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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】光学部材及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240815BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240815BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240815BHJP
   H01S 5/02257 20210101ALI20240815BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G02B5/20
H01L33/50
H01L33/60
H01S5/02257
G02B5/00 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022059393
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023150332
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 健
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-057414(JP,A)
【文献】国際公開第2013/175706(WO,A1)
【文献】特開2016-072435(JP,A)
【文献】特開2011-249768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20- 5/28
H01L 33/50
G03B 21/14
G02F 1/13357
H01S 5/00- 5/50
F21S 2/00
F21V 8/00
H01L 31/04
C03C 4/12
C09K 11/08
H05B 33/00-33/28
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面との間に位置する側面と、を有する光学部材であって、
光反射材と、無機バインダーと、を含む反射部材と、
前記反射部材内に配置される波長変換部材と、
前記波長変換部材と離隔して前記反射部材内に配置される放熱部材と、を備える光学部材。
【請求項2】
前記波長変換部材は、前記光学部材の第1面の一部と、第2面の一部又は側面の一部と、を構成する、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記波長変換部材は、前記光学部材の第1面の一部と、第2面の一部と、を構成する、請求項1又は2に記載の光学部材。
【請求項4】
前記光学部材の第1面側からみて、前記放熱部材は、前記波長変換部材の少なくとも一部を囲むように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項5】
前記放熱部材は、一対の放熱部材を含み、前記光学部材の第1面側からみて、前記一対の放熱部材は、前記波長変換部材を挟んで互いに対向して配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項6】
前記光学部材の第1面側からみて、前記放熱部材は、円弧状に配置された部分を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項7】
前記光学部材の第1面側からみて、前記放熱部材は、前記波長変換部材に対して略放射状に配置された部分を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項8】
前記放熱部材は、前記光学部材の第1面の一部を構成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項9】
前記放熱部材は、前記光学部材の側面の少なくとも一部を構成する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項10】
前記放熱部材は、前記光学部材の第2面の少なくとも一部を構成する、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項11】
前記光学部材は、略直方体形状であり、
前記波長変換部材は、前記第1面及び前記第2面において露出し、平面視において、前記反射部材の中央部に位置するように、前記反射部材内に配置され、
前記放熱部材は、前記第1面及び側面において露出し、前記波長変換部材の周囲に位置するように、前記反射部材内に配置されている、
請求項1に記載の光学部材。
【請求項12】
前記波長変換部材は、蛍光体を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項13】
前記波長変換部材は、赤色蛍光体を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項14】
前記波長変換部材は、少なくとも1種の蛍光体を含む複数の層が積層された積層体である、請求項1~13のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項15】
前記放熱部材は、金属部材である、請求項1~14のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項16】
前記金属部材における金属は、Cu、Ag、Pt、Ni、Al、Pd、Au、Fe、Co、W、Mo、又はこれらの合金である、請求項15に記載の光学部材。
【請求項17】
前記光反射材は、窒化ホウ素又はアルミナである、請求項1~16のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項18】
前記光反射材の平均粒径は、0.6μm以上43μm以下である、請求項1~17のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項19】
前記光反射材の平均アスペクト比は、10以上である、請求項1~18のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項20】
前記無機バインダーは、シリカ及びアルカリ金属を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項21】
前記アルカリ金属は、カリウム又はナトリウムである、請求項20に記載の光学部材。
【請求項22】
前記反射部材は、光散乱材を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項23】
前記光散乱材は、ジルコニア又はチタニアを含む、請求項22に記載の光学部材。
【請求項24】
前記波長変換部材の前記反射部材から露出された部分は、反射防止層により被覆されている、請求項1~23のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項25】
前記放熱部材は、少なくとも前記第1面において露出し、前記光学部材の第1面、第2面及び側面は、前記放熱部材の第1面において露出した部分を除いて反射防止層により被覆されている、請求項1~24のいずれか1項に記載の光学部材。
【請求項26】
基体と、
基体上に配置された発光素子と、
平面視において、前記発光素子を覆う請求項1~25のいずれか1項に記載の光学部材と、
を有する発光装置。
【請求項27】
前記基体は、凹部を有し、
前記発光素子は、前記凹部を規定する底面上に配置され、
前記光学部材は、前記凹部を覆うように配置される、
請求項26に記載の発光装置。
【請求項28】
前記光学部材の第1面において放熱部材が露出し、前記放熱部材の第1面において露出された部分は、前記基体と接合されている、請求項26又は27に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学部材として、波長変換部材と波長変換部材を支持する包囲部とを有する光学部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-176076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、放熱性に優れた光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る光学部材は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面との間に位置する側面と、を有する光学部材であって、
光反射材と、無機バインダーと、を含む反射部材と、
前記反射部材内に配置される波長変換部材と、
前記波長変換部材と離隔して前記反射部材内に配置される放熱部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の光学部材は、放熱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る光学部材の概略斜視図である。
図2図1のII-II線における概略断面図である。
図3】実施形態1に係る光学部材が備える反射部材の一部を拡大した概略断面図である。
図4】実施形態1の変形例1に係る光学部材の概略断面図である。
図5】実施形態1の変形例2に係る光学部材の概略断面図である。
図6】実施形態1の変形例3に係る光学部材の概略底面図である。
図7】実施形態1の変形例4に係る光学部材の概略底面図である。
図8】実施形態1の変形例5に係る光学部材の概略底面図である。
図9】実施形態1の変形例6に係る光学部材の概略底面図である。
図10】実施形態1の変形例7に係る光学部材の概略底面図である。
図11】実施形態1の変形例8に係る光学部材の概略底面図である。
図12】実施形態1の変形例9に係る光学部材の概略底面図である。
図13】実施形態1の変形例10に係る光学部材の概略底面図である。
図14】実施形態2に係る光学部材の概略底面図である。
図15図14のXV-XV線における概略断面図である。
図16】実施形態3に係る発光装置の概略平面図である。
図17】実施形態3に係る発光装置の概略断面図である。
図18】実施形態4に係る発光装置の概略平面図である。
図19】実施形態4に係る発光装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する光学部材及び発光装置は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合もある。
【0009】
(実施形態1)
本開示に係る実施形態1は、光学部材101に関する。本開示に係る実施形態1の光学部材101を、図1図2及び図3を用いて説明する。図1は、光学部材101の概略斜視図である。図2は、光学部材101の概略断面図である。図2に示す概略断面図は、光学部材101を、図1のII-II線に沿って高さ方向に切断した断面を示す。図3は、光学部材101が備える反射部材4の一部を拡大した概略断面図である。尚、光学部材101において、第2面2側を上、第1面1側を下とする。即ち、図2において図面上側を上、下側を下とする。
【0010】
図1図2又は図3に示すように、本開示の光学部材101は、
第1面1と、第1面1の反対側に位置する第2面2と、第1面1と第2面2との間に位置する側面3と、を有し、
光反射材7と、無機バインダー8と、を含む反射部材4と、
反射部材4内に配置される波長変換部材5と、
波長変換部材5と離隔して反射部材4内に配置される放熱部材6と、
を備える。側面3は、第1側面3aと、第2側面3bと、第3側面3cと、第4側面3dと、を含む。放熱部材6は、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、を含む。
【0011】
本開示に係る実施形態1の光学部材101の第1面1は、反射部材4の表面(下面)と、波長変換部材5の表面(下面)と、放熱部材6の表面(下面)とを含む。第2面2は、反射部材4の表面(上面)と、波長変換部材5の表面(上面)とを含む。第1側面3a及び第3側面3cは、反射部材4の表面(側面)と、放熱部材6の表面(側面)とを含む。第2側面3b及び第4側面3dは、反射部材4の表面(側面)を含む。
【0012】
光学部材101において、反射部材4内に放熱部材6が配置されている。従って、波長変換部材5で生じた熱を効率的に放熱することができる。さらに、放熱部材6は、反射部材4を支える骨部材として機能し得、光学部材101の強度の向上に寄与し得る。
【0013】
(波長変換部材)
波長変換部材5は、反射部材4内に配置される。波長変換部材5は、光学部材101の第1面1の一部と、第2面2の一部と、を構成する。具体的には、波長変換部材5は、反射部材4及び放熱部材6と共に、光学部材101の第1面1を構成する。また、波長変換部材5は、反射部材4と共に、光学部材101の第2面2を構成する。換言すれば、波長変換部材5は、反射部材4に支持され、その上面及び下面が反射部材4から露出している。また、波長変換部材5は、その上面及び下面を含む一部が反射部材4から出っ張るように反射部材4内に配置されてもよい。波長変換部材5は、平面視において、反射部材4の中央部に位置する。
【0014】
光学部材101において、波長変換部材5は、その上面及び下面が長四角形である四角柱状である。尚、波長変換部材5の形状は、これに限定されず、例えば正四角柱状、円柱状等であってもよい。
【0015】
波長変換部材5は、蛍光体を含む部材、好ましくは樹脂中に蛍光体を分散させた部材であり得る。
【0016】
蛍光体は、赤色蛍光体であってもよい。赤色蛍光体は、波長変換時の発熱が大きいことから、本開示の光学部材101の高い放熱特性の利益をより享受する。
【0017】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、KSi0.99Al0.015.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS又はAgInSe)等を用いることができる。波長変換部材に添加する蛍光体としては、1種類の蛍光体を用いてもよく、複数種類の蛍光体を用いてもよい。
【0018】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
[SiAlMn] (I)
【0019】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K[Si0.946Al0.005Mn0.0495.995]、K[Si0.942Al0.008Mn0.0505.992]、K[Si0.939Al0.014Mn0.0475.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピークの半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0020】
光学部材101は、波長変換部材5を有することにより、適当な発光素子と組み合わせて、所望の発光色の光を得ることができる。例えば、青色の発光が可能な発光素子と、黄色の発光が可能な蛍光体を含有する波長変換部材5と、を組み合わせて白色光を得ることができる。また他には、青色の発光が可能な発光素子と、赤色の発光が可能な蛍光体(以下、赤色蛍光体という)及び緑色の発光が可能な蛍光体(以下、緑色蛍光体という)を含有する波長変換部材5とを組み合わせてもよい。
【0021】
波長変換部材5に用いられる黄色の蛍光体としては、例えば、上述したイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体を用いるのが好ましい。また、波長変換部材5に用いられる緑色の蛍光体としては、発光ピークの半値幅の狭い、例えば、上述したペロブスカイト構造を有する蛍光体又は量子ドット蛍光体を用いるのが好ましい。また、波長変換部材5に用いられる赤色の蛍光体としては、緑色の蛍光体同様に発光ピークの半値幅の狭い、例えば、上述したKSF系蛍光体、KSAF系蛍光体又は量子ドット蛍光体を用いるのが好ましい。
【0022】
波長変換部材5に用いられる樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、及びポリノルボルネン樹脂から選択される樹脂であってもよい。また、波長変換部材5は、これら樹脂の代わりに、例えばガラス等の無機材料を用いてもよい。
【0023】
波長変換部材5は、例えば、少なくとも1種の蛍光体が焼結された蛍光体セラミックスであってもよい。
【0024】
波長変換部材5は、少なくとも1種の蛍光体を含む複数の層が積層された積層体であってもよい。例えば、波長変換部材5は、蛍光体を含む複数の樹脂層が積層された積層体であってもよいし、複数の蛍光体セラミックス層が積層された積層体であってもよいし、蛍光体を含む樹脂層と蛍光体セラミックス層とが積層された積層体であってもよい。
【0025】
(反射部材)
反射部材4内には、波長変換部材5及び放熱部材6が配置されている。換言すれば、反射部材4は、波長変換部材5及び放熱部材6を支持している。反射部材4は、光学部材101の第1面1の一部と、第2面2の一部と、側面3の一部を構成する。具体的には、反射部材4は、波長変換部材5及び放熱部材6と共に、光学部材101の第1面1を構成する。反射部材4は、波長変換部材5と共に、第2面2を構成する。また、反射部材4は、第2側面3b及び第4側面3dを構成する。反射部材4は、放熱部材6と共に、第1側面3a及び第3側面3cを構成する。
【0026】
光学部材101において、反射部材4は、板状部材であり、平面視において、略正方形の外形を有する。尚、反射部材4の形状は、これに限定されず、例えば平面視において、長四角形、円形等の外形を有していてもよい。
【0027】
反射部材4の線形熱膨張係数(Coefficient of Linear Terminal Expansion)は、40℃~300℃の温度範囲において、0.5ppm/℃以上5ppm/℃以下が好ましい。これにより、光学部材101を使用した際、反射部材4の温度が上昇したとしても、反射部材4の膨張を抑制することができ、信頼性を向上させることができる。
【0028】
反射部材4は、光反射材7と、無機バインダー8と、を含む。
【0029】
反射部材4は、例えば、光反射材7と、シリカの粉体、及びアルカリ溶液を混合し、次いで得られた混合物を加熱工程に付すことにより形成できる。
【0030】
<光反射材>
光反射材7は、無機材料の粉体である。
【0031】
上記無機材料は、好ましくは窒化ホウ素又はアルミナである。窒化ホウ素又はアルミナを用いることにより、高反射率を得ることができる。
【0032】
光反射材7は、好ましくは板状、又は鱗片状の粒子であり得る。
【0033】
光反射材7の粉体は、一次粒子でもよいし、2個以上の一次粒子が凝集した二次粒子でもよい。また、一次粒子と二次粒子が混在してもよい。
【0034】
光反射材7の平均アスペクト比は、10以上であり、好ましくは10以上70以下である。光反射材7の平均アスペクト比は、以下の方法で算出される。
【0035】
<平均アスペクト比の算出方法>
光反射材7の平均アスペクト比は、反射部材4の断面において、光反射材7の厚さ及び横幅を測定することで算出される。
【0036】
まず、反射部材4の断面を露出させる。該断面は、反射部材4を切断加工することによって露出される。
【0037】
次に、露出させた断面を鏡面研磨する。鏡面研磨した断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影し、光反射材7の断面を抽出し、およそ1000個の光反射材7の断面が含まれる測定領域を選択する。顕微鏡の画素数は、およそ2000万画素に設定され、倍率は500倍~3000倍に設定される。また、本明細書において、光反射材7の断面とは、光反射材7の少なくとも一方の主面に略垂直な面である。なお、板状の光反射材7は、その形状に起因して、無機バインダー8内で互いの主面を対向させて重なり合うようにして配置される傾向にある。従って、露出させる断面を適当に選択することで、SEMにより適宜光反射材7の断面を抽出することができる。
【0038】
次に、画像解析ソフトウェアにより、抽出した光反射材7の各断面の横幅(光反射材7の断面の長手方向の長さ)と厚さ(光反射材7の断面の短手方向の長さ)をそれぞれ一点ずつ測定し、厚さに対する横幅の平均値を算出する。そして、100個の光反射材7の該測定値の平均値を平均アスペクト比とする。
光反射材7が窒化ホウ素の場合、光反射材7の平均アスペクト比は、例えば、16.5以上19.2以下である。光反射材7がアルミナの場合、光反射材7の平均アスペクト比は、例えば、10以上70以下である。
【0039】
また、光反射材7の平均粒径は、0.6μm以上43μm以下である。
ここで、反射部材4は加熱工程を経て製造されることがあるが、加熱工程による光反射材7の粉体と無機バインダー8の粉体との融着、及び加熱工程による光反射材7の粉体の他の材料、例えばアルカリ溶液への溶出は、わずかなものである。従って、光反射材7の粉体の形状及び寸法と、加熱工程を経て形成された反射部材4に含まれる光反射材7の形状及び寸法とは、実質同一である。そのため、上記の光反射材7の平均粒径は、以下の方法で光反射材7の粉体の粒径を測定することにより算出される。
【0040】
<平均粒径の算出方法>
光反射材7の粉体の粒径は、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査電子顕微鏡「TM3030Plus」を用いて算出される。
まず、カーボン製の両面テープの一方の面を該顕微鏡の試料台に貼りつけ、その後、両面テープの他方の面に光反射材7の粉体を配置する。顕微鏡の画素数を123万画素に設定し、倍率を1000倍~2000倍に設定し、100個の光反射材7の粉体(粒子)の画像を取得する。その後、画像解析ソフトウェアにより各粒子の粒径を測定する。本明細書において、光反射材7の粉体の粒径は、光反射材7の主面から見たときの直径のうち最大の直径である。次に、測定した粒子のメジアン径を算出し、該算出値を光反射材7の平均粒径とする。また、光反射材7の粉体の粒径は、SEMにより反射部材4の断面を抽出し、画像解析ソフトウェアにより測定して算出してもよい。
【0041】
光反射材7が窒化ホウ素の場合、光反射材7の平均粒径は、例えば、6μm以上43μm以下である。光反射材7がアルミナの場合、光反射材7の平均粒径は、例えば、0.6μm以上10μm以下である。
【0042】
<無機バインダー>
無機バインダー8は、光反射材7を支持する。
【0043】
無機バインダー8は、好ましくはシリカと、アルカリ金属と、を含む。
【0044】
<シリカ>
反射部材4に含まれるシリカと光反射材7との含有比率は重量比で、例えば、1:4以上1:1以下である。すなわち、反射部材4に含まれる光反射材7の重量は、反射部材4に含まれるシリカの重量の、例えば、1倍以上4倍以下である。この範囲であれば、混合物の硬化時の収縮を低減させることができる。光反射材7の量を4倍以下とすることにより、硬化性の低下を抑制することができる。一方、光反射材7の量を1倍以上とすることにより、硬化による収縮を抑え、硬化時のクラックの発生を防止することができる。
【0045】
シリカの平均粒径は、例えば、0.1μm以上10μm以下である。この範囲内であれば、原料(光反射材7やシリカ)の容量あたりの密度を向上させることができるため、反射部材4の強度を確保することができる。
【0046】
シリカの粉体の平均粒径は、好ましくは、光反射材7の平均粒径よりも小さい。これにより、シリカの粉体が、混合時に光反射材7同士の間にできる空隙を埋めることができる。シリカの粉体の平均粒径は、レーザー回析法によりシリカの粉体の粒度分布を測定することにより算出される。シリカの平均粒径は、アルカリ溶液と混合する前に測定した値である。シリカの粉体は、アルカリ溶液と混合すると溶融されてしまうため、反射部材4から粒径を確認することが困難であるためである。なお、反射部材4から、シリカと光反射材7との含有比率を算出するには、例えば、SEMにより抽出された反射部材4の断面を観察し、シリカと光反射材7の占有率に基づいて算出してもよい。
【0047】
(アルカリ金属)
アルカリ金属は、上記のアルカリ溶液に含まれるアルカリ金属である。アルカリ金属は、例えば、カリウム又はナトリウムである。
【0048】
さらに、反射部材4は、好ましくは光散乱材を含む。
【0049】
光散乱材は、好ましくは、ジルコニア又はチタニアであり得る。
【0050】
光源が紫外光を出射する場合は、紫外波長領域の光吸収の少ないジルコニアが好ましい。反射部材4が光散乱材を含むことにより、反射部材4による光反射率が向上する。
【0051】
光散乱材としてチタニアを用いる場合、チタニア単体を用いてもよいし、チタニアの表面に、シリカ、アルミナ、ジルコニア、亜鉛、有機物等の各種表面処理を行ったものを用いてもよい。
【0052】
光散乱材としてジルコニアを用いる場合、ジルコニア単体を用いてもよいし、ジルコニアの表面にシリカ、アルミナ、亜鉛、有機物等の各種表面処理を行ったものを用いてもよい。また、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、又はアルミニウムが添加された安定化ジルコニア、又は部分安定化ジルコニアを用いてもよい。
【0053】
反射部材4に光散乱材を添加した場合、光散乱材は、無機バインダー8中に分散して存在する。
【0054】
光散乱材の平均粒径は、光反射材7の平均粒径より小さいことが好ましい。これにより、光反射材7同士の隙間に光散乱材が配置されるため、光源からの光が光反射材7同士の隙間を介して通り抜けることが抑制される。なお、光散乱材の平均粒径は、レーザー回析法で測定される。
【0055】
(放熱部材)
放熱部材6は、反射部材4内に、波長変換部材5と離隔して配置される。放熱部材6は、光学部材101の第1面1の一部と、第1側面3aの一部と、第3側面3cの一部と、を構成する。具体的には、放熱部材6は、反射部材4及び波長変換部材5と共に、第1面1を構成する。また、放熱部材6は、反射部材4と共に、光学部材101の第1側面3a及び第3側面3cを構成する。換言すれば、放熱部材6は、第1面1、第1側面3a及び第3側面3cにおいて、反射部材4から露出している。また、放熱部材6は、その一部が第1面1、第1側面3a及び第3側面3cにおいて反射部材4から出っ張るように反射部材4内に配置されてもよい。
【0056】
光学部材101において、放熱部材6は、一対の放熱部材、具体的には、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、を含む。第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、同じ形状であり、波長変換部材5を挟んで対向して配置され、好ましくは、例えば、平面視において波長変換部材5の長手方向の中心軸に対して線対称に配置される。
【0057】
第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、半円弧部61と、第1棒状部62と、第2棒状部63と、第3棒状部64と、を含む。半円弧部61は、波長変換部材5の少なくとも一部を囲むように配置される。具体的には、半円弧部61は、第1面側からみて、波長変換部材5の長辺側を囲むように配置される。第1棒状部62と、第2棒状部63と、第3棒状部64とは、第1面側からみて、波長変換部材5に対して、略放射状に配置される。具体的には、第1棒状部62は、半円弧部61の中央部に接続され、第1放熱部材6aにおいては、当該接続部から第1側面3aまで延在し、第2放熱部材6bにおいては、当該接続部から第3側面3cまで延在する。第2棒状部63及び第3棒状部64と半円弧部61とは、第1棒状部62と半円弧部61の接続部と、半円弧部61の各末端と、の間において、それぞれ接続される。第2棒状部63及び第3棒状部64は、半円弧部61との接続部から反射部材4の角に向かって延在する。さらに、第2棒状部63及び第3棒状部64は、半円弧部61の内側にも延在する。
【0058】
実施形態1の光学部材101において、半円弧部61は、波長変換部材5を囲むように配置されることから、波長変換部材5で生じた熱を効率よく受け取ることができる。特に、第2棒状部63及び第3棒状部64が半円弧部61の内側にも延在することから、波長変換部材5で生じた熱をさらに効率よく受け取ることができる。また、第1棒状部62、第2棒状部63、及び第3棒状部64は、波長変換部材5に対して、略放射状に配置されることから、半円弧部61で受け取った熱を、反射部材4の外縁に向かって拡散させることができる。さらに、放熱部材6は、第1面1、第1側面3a及び第3側面3cから露出していることから、波長変換部材5で生じた熱を効率よく外部に放出することができる。
【0059】
反射部材4は、無機材料であることから、はんだ(例えば、Au-Sn、Au-In)等の接合部材との接着性が低くなり得る。実施形態1の光学部材101においては、放熱部材6を、第1面1から露出させることにより、接合部材との接着性が高い放熱部材6を接合部位として利用することができる。従って、放熱部材6が第1面1から露出した光学部材101は、他の部材との接合が容易になり、また、その接合強度も高くなる。
【0060】
放熱部材6は、好ましくは金属部材である。放熱部材6として金属部材を用いることにより、放熱性能が向上する。また、接合部材との接合強度も高くなる。
【0061】
上記金属部材における金属は、好ましくは、Cu、Ag、Pt、Ni、Al、Pd、Au、Fe、Co、W、Mo、又はこれらの合金であり得る。
【0062】
実施形態1の光学部材101は、以下のような種々の変形が可能である。
【0063】
(変形例1)
図4は、変形例1の光学部材101aの概略断面図である。図4に示すように、変形例1の光学部材101aは、放熱部材6が、反射部材4の内部に埋設されている。
【0064】
変形例1では、光学部材101aの第1面1において反射部材4により構成される部分の割合が大きくなることから、第1面1側からの光をより反射することができる。例えば、図19に示す発光装置202の光学部材として用いた場合、発光素子21からの光の吸収を抑え、より反射することができ、発光装置202の輝度を向上させることができる。
【0065】
(変形例2)
図5は、変形例2の光学部材101bの概略断面図である。図5に示すように、変形例2の光学部材101bにおいて、放熱部材6は、光学部材101bの第1面1の一部を構成する。即ち、変形例2の光学部材101bにおいて、放熱部材6は、第1面1において、反射部材4から露出している。放熱部材6は、光学部材101bの第2面2の一部を構成する。即ち、変形例2の光学部材101bにおいて、放熱部材6は、第2面2において、反射部材4から露出している。
【0066】
変形例2では、光学部材101bの2つの主面である第1面1及び第2面2において放熱部材6が露出していることから、波長変換部材5で生じた熱を、より効率的に外部に放出することができる。
【0067】
(変形例3)
図6は、第1面1側からみた変形例3の光学部材101cの概略底面図である。図6に示すように、変形例3の光学部材101cにおいて、放熱部材6は、一対の放熱部材である第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bを含む。第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。
【0068】
変形例3において、第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、第1面1側からみて、長四角形であり、その長辺が互いに対向するように配置される。放熱部材6の長辺の長さは、当該長辺が対向する波長変換部材5の辺の長さよりも長い。このような構成とすることにより、放熱部材6は、波長変換部材5で生じた熱を、より多く受け取ることができ、放熱効果が向上する。
【0069】
(変形例4)
図7は、第1面1側からみた変形例4の光学部材101dの概略底面図である。図7に示すように、変形例4の光学部材101dにおいて、放熱部材6は、一対の放熱部材である第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bを含む。第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。
【0070】
変形例4において、第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、第1面1側からみて、凹部を有する形状であり、かかる凹部により、波長変換部材5の一部を囲むように配置される。このような構成とすることにより、放熱部材6は、波長変換部材5で生じた熱を、より多く受け取ることができ、放熱効果が向上する。
【0071】
(変形例5)
図8は、第1面1側からみた変形例5の光学部材101eの概略底面図である。図8に示すように、変形例5の光学部材101eにおいて、放熱部材6は、第1面1側からみて、波長変換部材5の全体を囲むように配置される。
【0072】
放熱部材6を、第1面1側からみて、波長変換部材5の全体を囲むように配置することにより、放熱部材6は、波長変換部材5で生じた熱をより効率的に受け取ることが可能になり、放熱効果がより向上する。
【0073】
(変形例6)
図9は、第1面1側からみた変形例6の光学部材101fの概略底面図である。図9に示すように、変形例6の光学部材101fにおいて、放熱部材6は、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、第3放熱部材6cと、第4放熱部材6dと、を含む。第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、対を成し、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。第3放熱部材6c及び第4放熱部材6dは、対を成し、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。
【0074】
変形例6において、放熱部材6は、第1面1側からみて、各対の放熱部材が波長変換部材5を挟むように配置され、波長変換部材5の全ての辺がいずれかの放熱部材と対向する。このような構成とすることにより、放熱部材6は、波長変換部材5で生じた熱を、より多く受け取ることができ、放熱効果がより向上する。
【0075】
(変形例7)
図10は、第1面1側からみた変形例7の光学部材101gの概略底面図である。図10に示すように、変形例7の光学部材101gは、変形例6の光学部材101fにおける一対の第3放熱部材6c及び第4放熱部材6dの長さ(図面横方向の長さ)をより長くしたものである。このように放熱部材6を長くすることにより、反射部材4の末端まで熱を輸送することが容易になり、放熱効果が向上する。
【0076】
(変形例8)
図11は、第1面1側からみた変形例8の光学部材101hの概略底面図である。図11に示すように、変形例8の光学部材101hにおいて、放熱部材6は、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、を含む。第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、第1面1側からみて、円弧状の形状であり、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。
【0077】
放熱部材6が円弧状の形状を有することにより、各放熱部材において、場所による波長変換部材5との距離のばらつきが小さくなり、光学部材全体の温度及び放熱効果のばらつきを小さくすることができる。
【0078】
(変形例9)
図12は、第1面1側からみた変形例9の光学部材101iの概略底面図である。図12に示すように、変形例9の光学部材101iにおいて、放熱部材6は、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、第3放熱部材6cと、第4放熱部材6dと、を含む。第1放熱部材6a及び第2放熱部材6bは、対を成し、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。第3放熱部材6c及び第4放熱部材6dは、対を成し、波長変換部材5を挟んで互いに対向して配置される。第1放熱部材6a、第2放熱部材6b、第3放熱部材6c、及び第4放熱部材6dは、第1面1側からみて、円弧状の形状を有する。
【0079】
変形例9において、放熱部材6は、波長変換部材5を囲むように配置されることから、波長変換部材5で生じた熱を、より多く受け取ることができ、放熱効果が向上する。
【0080】
(変形例10)
図13は、第1面1側からみた変形例10の光学部材101jの概略底面図である。図13に示すように、変形例10の光学部材101jにおいて、放熱部材6は、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、第3放熱部材6cと、第4放熱部材6dと、第5放熱部材6eと、第6放熱部材6fとを含む。これらの放熱部材6a,6b,6c,6d,6e,6fは、棒状であり、波長変換部材5に対して略放射状に配置される。
【0081】
上記棒状の放熱部材は、波長変換部材5に対して略均等に配置されることが好ましい。例えば、図13に示すように、第1放熱部材6aと、第2放熱部材6bと、第3放熱部材6cとは第1組を構成し、かかる3つの放熱部材は、波長変換部材5に対して、隣接する放熱部材同士が等角度をなすように、放射状に配置される。同様に、第4放熱部材6dと、第5放熱部材6eと、第6放熱部材6fとは第2組を構成し、かかる3つの放熱部材は、波長変換部材5に対して、隣接する放熱部材同士が等角度をなすように、放射状に配置される。第1組と第2組とは、波長変換部材5を挟んで対称に配置される。このように放熱部材を波長変換部材5に対して略放射状に配置することにより、波長変換部材5で生じた熱を反射部材4の末端まで均等に効率よく輸送することができ、放熱効果がより向上する。
【0082】
本開示の実施形態1に係る光学部材101において、放熱部材6の大きさ(例えば、幅又は長さ)は、特に限定されない。放熱部材6の大きさは、大きくすることにより放熱効果がより向上し、小さくすることにより第1面1の光反射能が向上する。
【0083】
本開示の実施形態1に係る光学部材101において、放熱部材6は、反射部材4との接触部に、凹部又は凸部を有していてもよい。放熱部材6が反射部材4との接触部に凹部又は凸部を有することにより、アンカー効果が得られ、放熱部材6と反射部材4との接合強度が高くなる。また、放熱部材6と反射部材4との接触面の面積が増加し、熱がより放熱部材6に移動しやすくなる。
【0084】
本開示の実施形態1に係る光学部材101において、波長変換部材5の反射部材4から露出された部分は、反射防止層により被覆されていてもよい。波長変換部材5の露出部分を反射防止膜で被覆することにより、発光素子からの光を効率よく透過させることができる。
【0085】
反射防止層は、波長変換部材5の露出部分のみを被覆していてもよく、波長変換部材5の露出部分に加え、他の部分、例えば反射部材4を被覆していてもよい。例えば、反射防止層は、放熱部材6が第1面1において露出した部分を除いて、光学部材101の第1面1、第2面2及び側面3を被覆する。放熱部材6を反射防止層から露出させることにより、かかる露出部分を他の部材との接合部位として用いることができ、高い接合強度を得ることができる。
【0086】
(実施形態2)
本開示に係る実施形態2は、光学部材102に関する。本開示に係る実施形態2の光学部材102を、図14及び図15を用いて説明する。図14は、第1面1側からみた光学部材102の概略底面図である。図15は、光学部材102の概略断面図である。図15に示す概略断面図は、光学部材102を、図14のXV-XV線に沿って切断した断面を示す。
【0087】
図14及び図15に示すように、本開示に係る実施形態2の光学部材102は、波長変換部材5が、光学部材102の第1面1の一部と、第3側面3cの一部と、を構成する点で、実施形態1の光学部材101と異なる。さらに、本開示に係る実施形態2の光学部材102は、第1面1側からみて、放熱部材6が波長変換部材5の三方を囲むように配置される点で、実施形態1の光学部材101と異なる。
【0088】
波長変換部材5は、反射部材4内に配置される。波長変換部材5は、光学部材102の第1面1の一部と、第3側面3cの一部と、を構成する。具体的には、波長変換部材5は、反射部材4及び放熱部材6と共に、光学部材102の第1面1を構成する。また、波長変換部材5は、反射部材4と共に、光学部材102の第3側面3cを構成する。換言すれば、波長変換部材5は、第1面1及び第3側面3cにおいて、反射部材4から露出している。図15に示されるように、波長変換部材5は、第1面1から露出する部分において厚みが比較的大きく、第1面1から露出しない部分において厚みが比較的小さい。
【0089】
波長変換部材5が上記のような構造を有することにより、第1面1側から波長変換部材5に入射した光は、第3側面3cから出射される。換言すれば、波長変換部材5において、光路が曲げられる。
【0090】
放熱部材6は、反射部材4内に、波長変換部材5と離隔して配置される。放熱部材6は、反射部材4及び波長変換部材5と共に、第1面1を構成する。放熱部材6は、第1面1側からみて、波長変換部材5の三方を囲むように配置される。
【0091】
本開示に係る実施形態2の光学部材102では、波長変換部材5における光路が長くなる傾向にあり、波長変換部材5での発熱量も多くなり得る。このように波長変換部材5での発熱量が多くなる光学部材では、放熱部材6の放熱効果がより効果的となる。
【0092】
(実施形態3)
本開示に係る実施形態3は、発光装置201に関する。本開示に係る実施形態3の発光装置201を、図16及び図17を用いて説明する。図16は、発光装置201の概略平面図である。図17は、発光装置201の概略断面図である。なお、本開示の発光装置において、基体33側を下、光学部材101s側を上とする。即ち、図17において図面上側を上、下側を下とする。
【0093】
図16及び図17に示すように、本開示に係る実施形態3の発光装置201は、
基体33と、
基体33上に配置された発光素子31と、
平面視において、発光素子31を覆う光学部材101sと、
を有する。
【0094】
基体33は、配線基板であり、板状の絶縁部40と、絶縁部40を貫通する導電部材34と、第1主面38上に配置された配線層35と、第2主面39上に配置された外部電極36と、をそれぞれ3つ有する。一の配線層35と一の外部電極36とは、それぞれ、導電部材34を通じて電気的に接続される。導電部材34により接続された配線層35と外部電極36の一の組と、他の組とは、互いに電気的に絶縁される。
【0095】
絶縁部40は、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂から形成される。
【0096】
基体33上には発光素子31が配置され、発光素子31の電極が、ワイヤ32を介して基体33の配線層35に電気的に接続される。
【0097】
基体33の配線層35上には、金属部材37が配置される。金属部材37は、その上面が発光素子31の上面よりも高くなるような厚みを有する。
【0098】
金属部材37は、放熱部材6からの熱の伝導率を高めるために、好ましくは、熱伝導率が高い金属材料で形成される。金属材料の例としては、Cu、Al、Au、Ag、Zn、Ni、Sn等が挙げられる。金属材料は、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0099】
金属部材37は、配線層35上に直接形成することにより配置してもよく、又は、別途形成した金属部材37を配線層35に接合することにより配置してもよい。
【0100】
金属部材37は、例えば、めっき層、金属ブロックであり得る。
【0101】
光学部材101sは、上側からみて、発光素子31を覆うように、金属部材37上に配置される。光学部材101sの放熱部材6と、金属部材37とは、接合される。
【0102】
光学部材101sの放熱部材6は、2つに分かれており、互いに離隔している。換言すれば、放熱部材6は、互いに絶縁されている。従って、2つの放熱部材6間の短絡を防止できることから、放熱部材6を金属部材37に直接接合することができる。
【0103】
発光装置201において、光学部材101sは、放熱部材6において金属部材37と接合されることから、十分な接合強度を得ることができる。また、発光装置201において、放熱部材6は、金属部材37に接続され、金属部材37は、基体33の配線層35に接続され、配線層35は導電部材34に接続され、導電部材34は外部電極36に接続される。これらの部材はすべて熱伝導率が高いことから、波長変換部材5で生じた熱は、発光装置201全体に拡散し、さらに効果的に放熱される。
【0104】
(実施形態4)
本開示に係る実施形態4は、発光装置202に関する。本開示に係る実施形態4の発光装置202を、図18及び図19を用いて説明する。図18は、発光装置202の概略平面図である。図19は、発光装置202の概略断面図である。
【0105】
図18及び図19に示すように、本開示に係る実施形態4の発光装置202は、
基体11と、
基体11上に配置された発光素子21と、
平面視において、発光素子21を覆う光学部材101tと、
を有し、
基体11は、凹部14を有し、
発光素子21は、凹部14を規定する底面16上に配置され、
光学部材101tは、凹部14を覆うように配置される。
【0106】
発光装置202において、本開示に係る実施形態1の変形例5に係る光学部材101tは、基体11の壁部の上面18上に、接合部材20を介して配置される。
【0107】
発光装置202において、光学部材101tの放熱部材6と、基体11の配線層12とは絶縁されている。従って、光学部材として、放熱部材6が波長変換部材5の全体を囲むように配置された光学部材101tを用いることができ、より高い放熱効果を得ることができる。
【0108】
接合部材20としては、例えば、はんだ(例えば、Au-Sn、Au-In)、低融点ガラス、樹脂(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂)等の接着剤を用いることができる。
【0109】
基体11は、底面16と壁部の側面17とにより規定される凹部14を有する。
【0110】
基体11は、配線層12と外部電極13とを含む。図18及び図19に示すように、配線層12は、凹部の底面16上に配置され、発光素子21の電極22と電気的に接続される。外部電極13は、基体の下面15上に配置される。配線層12と外部電極13とは、基体の底部を貫通する導電部材19を通じて電気的に接続される。
【0111】
基体11の母材は、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、パルプ等の絶縁材料、半導体、金属(例えば、銅、銀、金、アルミニウム等)等の導電材料の単一材料及びこれらの複合材料によって形成することができる。母材の材料は、好ましくは金属、セラミックス等であり、より好ましくは無機材料であるセラミックスであり得る。上記セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライト等が挙げられる。上記セラミックスは、好ましくは放熱性の高い窒化アルミ二ウムであり得る。
【0112】
発光素子21は基板と半導体層を含む。基板は、半導体層を構成する半導体の結晶を成長可能な結晶成長用基板であり得る。基板は、例えば、サファイア基板、又は窒化ガリウム基板である。半導体層は、例えば、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層及びp型半導体層の間に配置される発光層と、を含む。
【0113】
発光素子21は、一対の電極22を含み、それぞれ、配線層12と電気的に接続される。かかる一対の電極22は、いわゆるp電極とn電極である。
【0114】
半導体層は、ダブルヘテロ接合であってもよい。発光層は、単一量子井戸(SQW)等の構造を有していてもよいし、多重量子井戸(MQW)のように複数の井戸層をもつ構造を有していてもよい。半導体層は、可視光または紫外光を発光可能に構成されている。このような発光層を含む半導体層は、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。半導体層が出射する光のピーク波長は、例えば、260nm以上630nm以下の範囲である。
【0115】
半導体層は、1つの発光層を有していてもよいし、複数の発光層を有していてもよい。複数の発光層を有する半導体層の構造は、1つのn型半導体層と1つのp型半導体層との間に複数の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造であってもよい。半導体層が複数の発光層を含む場合、発光ピーク波長が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光層の間の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば半導体層が2つの発光層を含む場合、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせで発光層を選択することができる。各発光層は、発光ピーク波長が異なる複数の活性層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ複数の活性層を含んでいてもよい。
【0116】
発光素子21は、発光ダイオード又はレーザーダイオードであり得る。
【符号の説明】
【0117】
101,102…光学部材、101a~101j…光学部材、
101s、101t…光学部材、201,202…発光装置、
1…第1面、2…第2面、3…側面、3a…第1側面、3b…第2側面、
3c…第3側面、3d…第4側面、4…反射部材、5…波長変換部材、
6…放熱部材、6a…第1放熱部材、6b…第2放熱部材、6c…第3放熱部材、
6d…第4放熱部材、6e…第5放熱部材、6f…第6放熱部材、
7…光反射材、8…無機バインダー、
11…基体、12…配線層、13…外部電極、14…凹部、15…基体の下面、
16…凹部の底面、17…壁部の側面、18…壁部の上面、19…導電部材、
20…接合部材、
21…発光素子、22…発光素子の電極、31…発光素子、32…ワイヤ、
33…基体、34…導電部材、35…配線層、36…外部電極、37…金属部材、
38…第1主面、39…第2主面、40…絶縁部、
61…半円弧部、62…第1棒状部、63…第2棒状部、64…第3棒状部
図1
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