(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240815BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 176
G03G21/16 133
G03G15/08 390A
(21)【出願番号】P 2020157266
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】清水 保伸
(72)【発明者】
【氏名】細川 浩
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏
(72)【発明者】
【氏名】松本 和樹
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-234221(JP,A)
【文献】特開2020-106868(JP,A)
【文献】特開2007-065687(JP,A)
【文献】特許第3782541(JP,B2)
【文献】特開2013-200552(JP,A)
【文献】特開2015-225167(JP,A)
【文献】特開2009-003375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して所定の着脱方向に着脱される着脱ユニットを備え、
前記着脱ユニットは、回転可能な回転体と、前記回転体に駆動を伝達するユニット駆動ギアと、を具備し、
前記画像形成装置本体は、前記画像形成装置本体に装着された前記着脱ユニットの前記ユニット駆動ギア
よりも装着方向の上流側に配置されて、前記ユニット駆動ギアの前記装着方向の上流側の噛合部と噛合する本体駆動ギアを具備し、
前記ユニット駆動ギアと前記本体駆動ギアとのうち少なくとも一方のギアは、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットを着脱するときに、相手方のギアに噛合せずに前記画像形成装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作を妨げない退避位置に移動
して、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着されると前記退避位置から噛合可能位置に移動して前記ユニット駆動ギアと前記本体駆動ギアとが噛合することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニット駆動ギアと前記本体駆動ギアとのうち少なくとも一方のギアは、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが着脱される動作に連動して、前記噛合可能位置から前記退避位置へ移動した後に再び前記噛合可能位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置本体又は前記着脱ユニットは、前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアとともに移動可能に前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアを保持する可動部と、
前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアが前記退避位置から前記噛合可能位置に向けて付勢されるように、前記可動部を付勢する付勢部材と、
を備え、
前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが着脱される動作に連動して、前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアが、前記付勢部材の付勢に抗して、前記噛合可能位置から前記退避位置に移動するように前記可動部を押動する押動部が、前記着脱ユニット又は前記画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置本体は、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットを着脱するために開閉される開閉カバーを具備し、
前記ユニット駆動ギアと前記本体駆動ギアとのうち少なくとも一方のギアは、前記画像形成装置本体に前記着脱ユニットが装着された状態で、前記開閉カバーが閉鎖される動作に連動して前記退避位置から前記噛合可能位置に移動して、前記開閉カバーが開放される動作に連動して前記噛合可能位置から前記退避位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置本体又は前記着脱ユニットは、前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアとともに移動可能に前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアを保持する可動部と、
前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアが前記噛合可能位置から前記退避位置に向けて付勢されるように、前記可動部を付勢する付勢部材と、
を備え、
前記画像形成装置本体に前記着脱ユニットが装着された状態で前記開閉カバーが閉鎖される動作に連動して、前記本体駆動ギア又は前記ユニット駆動ギアが、前記付勢部材の付勢に抗して、前記退避位置から前記噛合可能位置に移動するように前記可動部を押動する押動部が、前記開閉カバーに設置されたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一方のギアは、その軸方向に沿って前記噛合可能位置と前記退避位置との間を移動することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回転体は、前記ユニット駆動ギアが軸方向に沿って前記噛合可能位置と前記退避位置との間を移動する動作に連動して、その回転軸方向に沿って移動することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ユニット駆動ギアが前記軸方向に移動する動作に連動して前記回転体が前記回転軸方向に沿って移動するときに、前記回転体が回転することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記本体駆動ギアから前記ユニット駆動ギアに駆動が伝達されるときに、前記ユニット駆動ギアが前記本体駆動ギアから受ける力が、前記着脱ユニットが
前記装着方向の下流側に付勢される方向に作用することを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記着脱ユニットは、前記画像形成装置本体に設置された現像装置に直接的又は間接的に連結されるトナー容器であって、
前記回転体は、トナー搬送スクリュであって、
前記着脱方向は、上下方向であることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナー容器は、その筐体が付勢手段によって下方に付勢されることなく自重によって前記画像形成装置本体に設置されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、プロセスカートリッジやトナー容器などの着脱ユニットが着脱可能(交換可能)に設置されるものが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、プロセスカートリッジ(着脱ユニット)を画像形成装置本体に装着したときに、装置本体のモータから駆動が伝達されるギアの中心にある凹部と、感光体ドラムの軸に形成された突起と、を係合させるために、これらの部材を長手方向に移動させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、画像形成装置本体に着脱ユニットが装着されると、着脱ユニットにおいて搬送スクリュなどの回転体に駆動を伝達するユニット駆動ギアが、装着方向奥側に設置された画像形成装置本体の本体駆動ギアに噛合していた。そのため、稼働時に、ユニット駆動ギアが本体駆動ギアから力を受けて装着方向手前側に離れてしまい(浮いてしまい)、本体駆動ギアとの噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じてしまうことがあった。そして、そのような不具合が生じてしまうと、着脱ユニットの駆動不良や、駆動ギアの歯飛びによる異常音などが生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成装置本体の本体駆動ギアと、着脱ユニットのユニット駆動ギアと、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくい、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、画像形成装置本体に対して所定の着脱方向に着脱される着脱ユニットを備え、前記着脱ユニットは、回転可能な回転体と、前記回転体に駆動を伝達するユニット駆動ギアと、を具備し、前記画像形成装置本体は、前記画像形成装置本体に装着された前記着脱ユニットの前記ユニット駆動ギアよりも装着方向の上流側に配置されて、前記ユニット駆動ギアの前記装着方向の上流側の噛合部と噛合する本体駆動ギアを具備し、前記ユニット駆動ギアと前記本体駆動ギアとのうち少なくとも一方のギアは、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットを着脱するときに、相手方のギアに噛合せずに前記画像形成装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作を妨げない退避位置に移動して、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着されると前記退避位置から噛合可能位置に移動して前記ユニット駆動ギアと前記本体駆動ギアとが噛合するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置本体の本体駆動ギアと、着脱ユニットのユニット駆動ギアと、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくい、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】画像形成装置における作像部を示す断面図である。
【
図3】トナー容器が画像形成装置本体に装着される動作を示す図である。
【
図4】本体駆動ギアとユニット駆動ギアとの位置関係を示す図である。
【
図5】変形例1における画像形成装置において、トナー容器が装着される動作を示す図である。
【
図6】変形例2における画像形成装置において、トナー容器が装着される動作を示す図である。
【
図7】変形例3における画像形成装置において、開閉カバーが閉鎖される動作を示す図である。
【
図8】変形例4における画像形成装置において、開閉カバーが閉鎖される動作を示す図である。
【
図9】変形例5における画像形成装置において、開閉カバーが閉鎖される動作を示す図である。
【
図10】変形例6における画像形成装置において、トナー容器におけるトナー搬送スクリュの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置(不図示)等と、が1つのユニットとして画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。すなわち、プロセスカートリッジ6Yは、1次転写ローラ9Y(1次転写装置)などとともに、作像部を構成している。
【0012】
なお、他の3つのプロセスカートリッジ6M、6C、6K(作像部)も、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Y(作像部)とほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つのプロセスカートリッジ6M、6C、6K(作像部)の説明を適宜に省略して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Y(作像部)のみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Y(像担持体)は、不図示の駆動モータによって時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Y(帯電ローラ)の位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(
図1参照)から発せられた露光光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他のプロセスカートリッジ6M、6C、6K(作像部)でも、イエロー用のプロセスカートリッジ6Y(作像部)と同様におこなわれる。すなわち、画像形成装置100の上方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいた露光光が、各プロセスカートリッジ6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、
図1に示すように、中間転写ベルト装置15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y(
図2参照)、駆動ローラ、従動ローラ、等で構成される。中間転写ベルト8は、駆動ローラと従動ローラと1次転写ローラとによって張架・支持されるとともに、駆動ローラの回転駆動によって
図1中の矢印方向(反時計方向)に無端移動される。
【0018】
1次転写ローラ9Yは、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Yとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Yに、トナーの極性とは逆の転写電圧(転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写ローラ(9Y)の1次転写ニップを順次通過する。こうして、各感光体ドラム(1Y)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19(2次転写装置)との対向位置に達する。この位置では、駆動ローラ(2次転写対向ローラ)が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置16(中間転写クリーニングブレード)の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが、中間転写ベルト8に圧接する中間転写クリーニングブレード(中間転写クリーニング装置16)によって機械的に除去される。なお、中間転写クリーニングブレードは、ウレタンゴム等の弾性材料で形成された略板状部材であって、中間転写ベルト8に対して所定の当接圧及び当接角で当接している。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、
図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28(タイミングローラ対)等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置(定着ニップ)に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト21(定着部材)及び加圧ローラ22(加圧部材)による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像(トナー像)がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部(開閉カバー110)上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2に示すように、プロセスカートリッジ6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)、帯電装置4Y(帯電ローラ)、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム1Yは、負帯電の有機感光体であって、装置本体100側に設置された駆動モータ(不図示であって、後で
図3にて説明する本体駆動ギア123を駆動するモータ122とは別のモータである。)から駆動を受けて
図2の時計方向に回転駆動される。
【0025】
帯電装置4Yは、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層を形成した弾性を有する帯電ローラである。
クリーニング装置2Yは、感光体ドラム1Yに摺接するクリーニングブレード2aが設置されていて、感光体ドラム1Y上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。クリーニングブレード2aは、ウレタンゴム等の弾性材料で形成された略板状部材であって、感光体ドラム1Yに対して所定の当接圧及び当接角で当接している。
【0026】
現像装置5Yは、現像剤担持体としての現像ローラ51が感光体ドラム1Yに対して微小ギャップをあけて対向するように配置されていて、双方の部材1Y、51の間(対向位置)には現像領域が形成される。現像装置5Y内には、現像剤としてのトナー(非磁性又は磁性の1成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置5Yは、感光体ドラム1Y上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。
【0027】
以下、
図2を用いて、現像装置5Yについて詳述する。
図2を参照して、本実施の形態における現像装置5Yは、非接触1成分現像方式の現像装置であって、感光体ドラム1Y上に形成される静電潜像を現像するものである。現像装置5Yの上部には、現像装置5Yに補給するためのトナー(1成分現像剤)が収容された着脱ユニットとしてのトナー容器60が着脱可能に接続されている。
現像装置5Yは、プロセスカートリッジ6Yとして他の作像部材1Y、2Y、4Yとともに装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置されるが、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)に対してトナー容器60を別々に交換できるように構成されている。すなわち、トナー容器60(着脱ユニット)は、装置本体100に装着された現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)に対して上方の位置で着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、開閉カバー110(
図1参照)を不図示のヒンジを中心に破線で示すように開放することにより、現像装置5Yからトナー容器60を分離してトナー容器60のみを交換したり、トナー容器60が装着された状態の現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)を交換したりする。
なお、トナー容器60の交換はその内部に収容されたトナーがなくなるタイミングでおこなわれ、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)の交換はその構成部品(例えば、現像ローラ51、感光体ドラム1Y等である。)が寿命に達するとともに内部のトナーがなくなるタイミングでおこなわれる。したがって、トナー容器60の交換は独立して単独でおこなわれることがあるが、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)の交換はトナー容器60とともに(トナー容器60が装着された状態で)おこなわれることになる。
【0028】
本実施の形態において、着脱ユニットとしてのトナー容器60は、画像形成装置本体100の設置部111(
図1参照)に保持されるように設置される。
また、
図1に示すように、本実施の形態において、露光装置7は、開閉カバー110の内側に固定設置されていて、開閉カバー110の開閉動作に連動して開閉カバー110とともに移動する。
【0029】
図2を参照して、現像装置5Yは、現像剤担持体としての現像ローラ51、現像剤供給部材としての供給ローラ53、現像剤規制部材としてのドクターブレード52、複数の搬送部材としての搬送スクリュ54、55、第1搬送スクリュ54による第1搬送経路B1と第2搬送スクリュ55による第2搬送経路B2とを隔絶する仕切部材56、トナー容器60からトナーが補給される補給口57、等で構成されている。
【0030】
現像ローラ51(現像剤担持体)は、感光体ドラム1Yに対向して、感光体ドラム1Y上に形成された静電潜像にトナー(現像剤)を供給する。現像ローラ51としては、ステンレス鋼等の導電性金属材料で形成された回転軸部(芯金)上に、鉄系材料又はアルミニウム系材料からなるローラ部を具備したものを用いることができる。
供給ローラ53(現像剤供給部材)は、2つの搬送スクリュ54、55の下方に配設されていて、現像ローラ51に摺接して現像ローラ51にトナーを供給する。供給ローラ53は、芯金上に、導電性を有する発泡ポリウレタン層(電気抵抗値が103~1014Ω程度のものである。)が積層されている。また、供給ローラ53は、感光体ドラム1Yとの現像領域において現像工程に供されなかった現像ローラ51上のトナーを、現像ローラ51から除去する機能も有している。
ドクターブレード52(現像剤規制部材)は、その先端部が現像ローラ51の外周面に10~100N/m程度の圧力にて所定角度で当接するように配設されていて、現像ローラ51に担持された現像剤の量を規制する。ドクターブレード52としては、ステンレス鋼等の金属材料からなる薄い板状部材を用いることができる。
【0031】
ここで、現像ローラ51や供給ローラ53やドクターブレード52には、不図示の電源部から、所定の電圧が印加されていて、現像ローラ51上におけるトナーの移動が促進されている。
2つの搬送スクリュ54、55(搬送部材)は、装置本体100に装着された状態で、現像装置5Y内に収容されたトナーを軸方向(
図2の紙面垂直方向である。)に搬送して循環経路を形成する。
第1搬送部材としての第1搬送スクリュ54は、供給ローラ53に対向する位置(上方の位置である。)に配設されていて、トナーを軸方向(長手方向)に水平に搬送(
図2の紙面垂直方向の手前側から奥側への搬送である。)しながら、供給ローラ53上にトナーを供給する。
【0032】
第2搬送部材としての第2搬送スクリュ55は、仕切部材56を介して第1搬送スクリュ54に対向する位置(上方の位置である。)に配設されていて、トナーを軸方向(長手方向)に水平に搬送(
図2の紙面垂直方向の奥側から手前側への搬送である。)する。そして、第2搬送スクリュ55は、第1搬送スクリュ54による第1搬送経路B1の下流側から第2中継部を介して循環されるトナーを第1搬送経路B1の上流側に第1中継部を介して搬送する。
2つの搬送スクリュ54、55は、現像ローラ51や感光体ドラム1Yと同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、2つの搬送スクリュ54、55は、いずれも、軸部にスクリュ部が螺旋状に巻装されたものである。
【0033】
なお、第1搬送スクリュ54による搬送経路(第1搬送経路B1)と、第2搬送スクリュ55による搬送経路(第2搬送経路B2)と、は仕切部材56(壁部)によって隔絶されている。
図示は省略するが、第2搬送スクリュ55による第2搬送経路B2の下流側と、第1搬送スクリュ54による第1搬送経路B1の上流側と、は第1中継部を介して連通している。第2搬送スクリュ55による第2搬送経路B2の下流側に達したトナーが、第1中継部にて自重落下して、第1搬送経路B1の上流側に達することになる。
また、第1搬送スクリュ54による第1搬送経路B1の下流側と、第2搬送スクリュ55による第2搬送経路B2の上流側と、は第2中継部を介して連通している。そして、第1搬送経路B1にて供給ローラ53上に供給されなかったトナーが、第2中継部の近傍に留まって盛り上がって、第2中継部を介して第2搬送経路B2の上流側に搬送(供給)されることになる。
なお、第2中継部におけるトナーの搬送性(第1搬送経路B1から第2搬送経路B2への重力方向に逆らったトナーの受け渡しである。)を向上させるために、第1搬送スクリュ54の下流側の位置(第2中継部に対応する位置である。)に、パドル形状部や、スクリュの巻き方向が逆方向に形成されたスクリュ部、を設けることもできる。
【0034】
また、
図2を参照して、現像装置5Yは、上方の位置にてトナー容器60の容器側補給口63に連通する補給口57が形成されている。この補給口57は、トナー容器60から現像装置5Yへのトナー(現像剤)の補給をおこなうためのものである。
また、図示を省略するが、現像ローラ51、供給ローラ53、第1搬送スクリュ54、第2搬送スクリュ55の各軸部にはギアが設置されていて、アイドラギアをも含めたギア列が形成されている。そして、これらのギア列に不図示の駆動モータ(駆動手段)から駆動力が入力されて、現像ローラ51、供給ローラ53、第1搬送スクリュ54、第2搬送スクリュ55がそれぞれ
図2の矢印方向に回転駆動される。
【0035】
ここで、着脱ユニットとしてのトナー容器60は、アジテータ61、回転体としてのトナー搬送スクリュ62、等が設置されている。
アジテータ61は、回転軸部に薄板状の可撓性部材が貼着されたものであって、
図2の反時計方向に回転することで、トナー容器60の収容部C内に収容されたトナーをトナー搬送スクリュ62による搬送経路に向けて搬送する。
回転体としてのトナー搬送スクリュ62は、画像形成装置本体100に装着された状態で、容器内に収容されたトナーを容器側補給口63(
図3(C)に示すように、長手方向一端側に設置されている。)に向けて搬送する。トナー搬送スクリュ62は、軸部にスクリュ部が螺旋状に巻装されたものである。
容器側補給口63は、トナー搬送スクリュ62による搬送経路において長手方向一端側(駆動側)に形成されている。そして、容器側補給口63から排出されたトナーは、補給口57を介して現像装置5Yの第2搬送経路B2の上流側に自重落下により補給される。
なお、トナー容器60の容器側補給口63と、現像装置5Yの補給口57と、は弾性部座としてのシール材70(
図3(C)参照)を介して連結される。
【0036】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
まず、トナー容器60から補給口57、63を介して第2搬送経路B2内に補給されたトナーは、現像装置5Y内を循環するトナーとともに、第2搬送スクリュ55によって撹拌・混合されながら、第1搬送経路B1に供給される。そして、第1搬送経路B1に搬送されたトナーは、第1搬送スクリュ54に搬送されながら、その一部が供給ローラ53に供給され担持される。供給ローラ53に担持されたトナーは、現像ローラ51との圧接部(当接位置)で摩擦帯電された後に、現像ローラ51上に移動して担持される。その後、現像ローラ51上に担持されたトナーは、ドクターブレード52との当接位置で、薄層化・均一化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域)に達する。そして、この位置で、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0037】
以下、本実施の形態における画像形成装置100において、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に
図1、
図2を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置100には、画像形成装置本体100に対して所定の着脱方向(上下方向である。)に着脱される着脱ユニットとしてのトナー容器60が設置されている。そして、トナー容器60は、画像形成装置本体100に設置された現像装置5Yに連結される。
【0038】
ここで、
図3に示すように、着脱ユニットとしてのトナー容器60には、
図3(C)の矢印方向に回転可能な回転体としてのトナー搬送スクリュ62と、トナー搬送スクリュ62(回転体)に駆動を伝達するユニット駆動ギア65と、が設けられている。
詳しくは、トナー搬送スクリュ62(回転体)は、回転軸方向の一端側(
図3の右側である。)の軸部が、トナー容器60のケース64(筐体)に軸受(不図示)を介して回転可能に保持されている。そして、その一端側の軸部(ケース64の外部に突出した部分である。)に、ユニット駆動ギア65が、トナー搬送スクリュ62とともに回転可能に設置されている。なお、本実施の形態において、トナー搬送スクリュ62の回転軸方向他端側(
図3の左側である。)は、いかなる部材にも保持されておらず、フリーな状態である。
【0039】
これに対して、画像形成装置本体100には、画像形成装置本体100に装着されたトナー容器60(着脱ユニット)のユニット駆動ギア65に対して装着方向手前側(
図3(C)の上方である。)の噛合可能位置で噛合する本体駆動ギア123が設置されている。
詳しくは、本実施の形態において、本体駆動ギア123は、モータ122のモータ軸に設置されている。そして、モータ122が駆動されると、本体駆動ギア123(駆動ギア)からユニット駆動ギア65(従動ギア)に駆動が伝達されて、トナー搬送スクリュ62が回転駆動されることになる。なお、図示は省略するが、アジテータ61(
図2参照)は、ユニット駆動ギア65からギア列を介して伝達される駆動によって所定方向に回転する。
【0040】
ここで、本実施の形態において、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123とのうち少なくとも一方のギアは、画像形成装置本体100に対してトナー容器60(着脱ユニット)を着脱するときに、相手方のギアに噛合せずに画像形成装置本体100に対するトナー容器60の着脱動作を妨げない退避位置(
図3(B)の位置である。)に移動する。
なお、本願明細書等において、「画像形成装置本体100に対してトナー容器60(着脱ユニット)を着脱するとき」とは、トナー容器60を着脱方向に移動する動作はもちろんのこと、後述する開閉カバー110の開閉動作など、トナー容器60の着脱をおこなうために実施されるすべての動作を含むものとする。
【0041】
詳しくは、
図3(A)~(C)に示すように、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123とのうち少なくとも一方のギア(本実施の形態では、本体駆動ギア123である。)は、画像形成装置本体100に対してトナー容器60が着脱される動作に連動して、
図3(A)、(C)に示す噛合可能位置から
図3(B)に示す退避位置へ移動した後に再び噛合可能位置に移動する。
なお、このように移動する本体駆動ギア123(一方のギア)は、その軸方向(
図3の左右方向である。)に沿って噛合可能位置と退避位置との間を移動する。
【0042】
さらに具体的に、画像形成装置本体100には、可動部120や、付勢部材としての圧縮スプリング125、などが設置されている。
可動部120は、本体駆動ギア123とともに移動可能に本体駆動ギア123を保持する板状部材であって、複数のスタッド124によって
図3の左右方向に移動可能に保持されている。可動部120には、本体駆動ギア123がモータ軸に設置されたモータ122が固定設置され、
図3の左方に突出する突起部121が形成されている。突起部121は、装着方向(
図3の上下方向)の幅が、根元部から先端部に向けて漸減するように形成されている。
圧縮スプリング125は、本体駆動ギア123が、
図3(B)に示す退避位置から、
図3(A)、(C)に示す噛合可能位置に向けて付勢されるように、可動部120を付勢する付勢部材として機能するものである。具体的に、圧縮スプリング125は、本体側板131(画像形成装置100の筐体として前後に設置された2つの本体側板131、132のうち一方の本体側板である。)と、可動部120と、の間でスタッド124に巻装されている。
なお、スタッド124には止め輪が設置されていて、圧縮スプリング125の付勢によって可動部120が
図3の左方に無制限に移動しないように規制されている。
また、図示は省略するが、モータ122に電力を供給するためのハーネスは、モータ122が可動部120とともに
図3の左右方向に移動しても、他の部材に絡まったり破断したりしないように、充分な長さで最適な配回しで設置されている。
【0043】
一方、トナー容器60には、筐体としてのケース64に、
図3の右方に突出するように押動部64aが形成されている。
この押動部64aは、画像形成装置本体100に対してトナー容器60(着脱ユニット)が着脱される動作に連動して、本体駆動ギア123が、圧縮スプリング125(付勢部材)の付勢に抗して、噛合可能位置から退避位置に移動するように可動部120を押動するものである。
【0044】
以下、
図3(A)~(C)を用いて、画像形成装置本体100にトナー容器60を装着するときの動作について説明する。
まず、開閉カバー110(
図1参照)を開放位置まで回動して、画像形成装置本体100における設置部111(トナー容器60を設置する部分であって、
図1参照)を上方に露呈させる。そして、
図3(A)に示すように、トナー容器60を上方から下方に向けて矢印方向に移動(操作者の手動操作による移動である。)する。このとき、
図3(A)に示すように、画像形成装置本体100の可動部120は圧縮スプリング125によって左方に位置していて、本体駆動ギア123は噛合可能位置に位置している。また、図示は省略するが、画像形成装置本体100には、トナー容器60が正しい姿勢でスムーズに着脱されるように、トナー容器60の着脱方向の移動を案内するガイド部が設けられている。
そして、
図3(B)に示すように、トナー容器60の下方への移動が進められると、やがて、トナー容器60の押動部64aが、可動部120の突起部121に当接する。そして、突起部121(可動部120)は、押動部64aが下方に移動するのにともない、圧縮スプリング125の付勢に抗するように右方(白矢印方向)に押動される。これにより、本体駆動ギア123は、トナー容器60に干渉することなく、退避位置に移動することになる。
そして、
図3(C)に示すように、トナー容器60の下方への移動がさらに進められて、設置部111(現像装置5Yに接続される位置である。)への装着が完了することになる。このとき、押動部64aによる突起部121(可動部120)の押動が解除されて、圧縮スプリング125の付勢によって可動部120が左方(白矢印方向)に移動する。これにより、本体駆動ギア123は、噛合可能位置に移動して、ユニット駆動ギア65に噛合する。また、トナー容器60の容器側補給口63と、現像装置5Yの補給口57と、が発泡ポリウレタンなどからなるシール材70(弾性変形した状態である。)を介して連通することになる。そして、トナー容器60の装着が完了した後に、開閉カバー110が閉鎖されることになる。
これに対して、画像形成装置本体100からトナー容器60を取り出すときには、上述した装着時とは逆の動作がおこなわれることになる。
なお、容器側補給口63や補給口57に、トナー容器60の着脱に連動して補給口を開閉するシャッタ部材を設けることもできる。
【0045】
このように、本実施の形態における画像形成装置100は、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123が、トナー容器60のユニット駆動ギア65に対して装着方向奥側で噛合するのではなくて、トナー容器60のユニット駆動ギア65に対して装着方向手前側で噛合するように構成している。そのため、本体駆動ギア123がユニット駆動ギア65に対して装着方向奥側で噛合する場合に比べて、本体駆動ギア123とユニット駆動ギア65との噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
すなわち、本体駆動ギア123がユニット駆動ギア65に対して装着方向奥側で噛合する場合には、稼働時においてユニット駆動ギア65が本体駆動ギア123から力を受けて装着方向手前側に離れて(浮いて)、互いのギアの噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じやすい。そして、そのような不具合が生じてしまうと、トナー容器60の駆動不良や、駆動ギア65、123の歯飛びによる異常音などが生じてしまうことになる。
これに対して、本実施の形態では、ユニット駆動ギア65の装着方向手前側の移動を規制するように、本体駆動ギア123がユニット駆動ギア65に対して装着方向手間側で噛合するため、稼働時においてユニット駆動ギア65が本体駆動ギア123から力を受けても離れにくく(浮きにくく)、互いのギアの噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。特に、本実施の形態では、トナー容器60が重力方向にセットされて、トナー容器60の重量が、装着方向手前側の移動を規制するものとして効率的に作用するため、上述した不具合がさらに生じにくくなる。
そして、本実施の形態では、本体駆動ギア123をユニット駆動ギア65に対して装着方向手間側で噛合させるために、トナー容器60の着脱動作に連動して本体駆動ギア123を一時的に退避位置に移動させている。そのため、トナー容器60の着脱操作性が悪化することなく、上述したように、ギアの噛み合いが浅くなる不具合を軽減することができる。
【0046】
さらに、本発明の効果について補足する。
トナー容器60が画像形成装置本体100に装着されると、現像装置の補給口57に設けられたシール材70の反力(弾性力)によって、トナー容器60は上方への力を受ける。しかし、本実施の形態では、本体駆動ギア123がトナー容器60の上方への浮きを抑える位置に配置されているため、本体駆動ギア123とユニット駆動ギア65との噛み合いが浅くなることによって発生する異常音の発生も防止することができる。また、トナー容器60の上方への浮きを抑えるための部材を専用で設ける必要もなくなるため、装置が低コスト化、小型化される。
本実施の形態では、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123との軸間距離が互いに離れる方向に対して規制されるが、近づく方向に対しては規制されない。そのため、そのままでは、ギヤ同士の歯底が接触したり、歯面同士が強く当たったりすることによって生じる振動が現像装置5Yに伝わってしまい、現像工程においてバンディングによる画像不良が生じる可能性がある。これに対して、本実施の形態では、トナー容器60と現像装置5Yとがシール材70(弾性部材)を介して連結されているため、ギヤ同士の歯底の接触したり、歯面同士が強く当たったりすることによって生じる振動が現像装置5Yに伝わりにくくなり、そのような画像不良が生じにくくなる。
また、同様の理由により、ギヤ同士の歯底が接触したり、歯面同士が強く当たったりすることによって生じる振動が設置部111などを介して露光装置7に伝わってしまい、露光工程においてバンディングによる画像不良が生じる可能性がある。そのため、設置部111など、トナー容器60に接触する接触部材は、弾性部材など制振性や振動減衰性を有する部材を介して接触するように構成することが好ましい。
そして、そのような弾性部材などを設置する場合に、弾性部材が設置されていないものと仮定したときに、接触部材とトナー容器60とが接しないようにレイアウトすることが好ましい。
【0047】
ここで、
図4を参照して、本実施の形態では、本体駆動ギア123からユニット駆動ギア65に駆動が伝達されるときに、ユニット駆動ギア65が本体駆動ギア123から受ける力F(ギアの圧力角の方向である。)が、トナー容器60(着脱ユニット)が装着方向奥側に付勢される方向に作用するように設定している。
重力方向を装着方向とするトナー容器60において、ユニット駆動ギア65は、本体駆動ギア123に対して下方に位置することになる。すなわち、ユニット駆動ギア65の回転中心は、本体駆動ギア123の回転中心の下方に配置されることになるため、本体駆動ギア123の回転中心を中心に、
図4の破線で示すユニット駆動ギア65aの第1位置からユニット駆動ギア65cの第3位置まで反時計方向の範囲内での設置が可能になる。しかし、稼働時に、第3位置のユニット駆動ギア65cのように、本体駆動ギア123から受ける力Fcが上方に作用してしまうと、トナー容器60が上方に移動しやすくなって、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123との歯底が当接する不具合や、トナー容器60が現像装置5Yから離れて補給口からトナーが漏出する不具合などが生じやすくなってしまう。
このような不具合を軽減するために、稼働時に、本体駆動ギア123からユニット駆動ギア65が受ける力F(Fa、Fb)が下方に作用するように設定している。具体的に、本体駆動ギア123の回転中心を中心に、
図4の破線で示すユニット駆動ギア65aの第1位置からユニット駆動ギア65bの第2位置まで反時計方向の範囲内での設置となる。
なお、本実施の形態において、本体駆動ギア123がユニット駆動ギア65に与える反力(ギア伝達による回転成分を除く。)は、装着方向の成分を含む反力を含むことになる。
【0048】
特に、本実施の形態におけるトナー容器60は、そのケース64(筐体)が、付勢手段(例えば、開閉カバー110に設置するスプリングなどである。)によって下方に付勢されることなく(付勢手段を設置することなく)、自重によって画像形成装置本体100に設置される。すなわち、トナー容器60の上方への浮きを強制的に制限する手段が設けられていない。そのため、上述したように、本体駆動ギア123からユニット駆動ギア65が受ける力Fが下方に作用するように設定することが有用になる。
なお、本実施の形態において、補給口57、63に設置されたシール材70(弾性部材)は、トナー容器60に対して現像装置5Yから離れる方向(上方)への力を作用させる。そのため、ユニット駆動ギア65は、その力に抗する方向の成分を含む反力を本体駆動ギア123から受けることになる。
【0049】
<変形例1>
図5(A)~(C)に示すように、変形例1における画像形成装置100では、本体駆動ギア123ではなくて、ユニット駆動ギア65が、画像形成装置本体100に対してトナー容器60が着脱される動作に連動して、
図5(A)、(C)に示す噛合可能位置から
図5(B)に示す退避位置へ移動した後に再び噛合可能位置に移動する。なお、ユニット駆動ギア65(一方のギア)は、その軸方向(
図5の左右方向である。)に沿って噛合可能位置と退避位置との間を移動する。
さらに具体的に、トナー容器60(着脱ユニット)には、可動部66や、付勢部材としての圧縮スプリング68、などが設置されている。
可動部66は、ユニット駆動ギア65とともに移動可能に、ユニット駆動ギア65を回転可能に保持する板状部材である。可動部66は、トナー搬送スクリュ62の軸部62aやスタッドによって
図5の左右方向に移動可能に保持されている。可動部66には、
図5の右方に突出する突起部67が形成されている。突起部67は、装着方向(
図5の上下方向)の幅が、根元部から先端部に向けて漸減するように形成されている。
圧縮スプリング68は、ユニット駆動ギア65が、
図5(B)に示す退避位置から、
図5(A)、(C)に示す噛合可能位置に向けて付勢されるように、可動部66を付勢する付勢部材として機能するものである。具体的に、圧縮スプリング68は、ケース64と可動部66との間で軸部62aやスタッドに巻装されている。
なお、軸部62aやスタッドには止め輪が設置されていて、圧縮スプリング68の付勢によって可動部66が
図3の右方に無制限に移動しないように規制されている。
一方、変形例1において、画像形成装置本体100には、本体側板131に、
図5の左方に突出するように押動部131aが形成されている。
この押動部131aは、画像形成装置本体100に対してトナー容器60(着脱ユニット)が着脱される動作に連動して、ユニット駆動ギア65が、圧縮スプリング68(付勢部材)の付勢に抗して、噛合可能位置から退避位置に移動するように可動部66を押動するものである。
また、本体側板131には、本体駆動ギア123を駆動するモータ122が設置されている。
【0050】
以下、
図5(A)~(C)を用いて、変形例1において、画像形成装置本体100にトナー容器60を装着するときの動作について説明する。
まず、開閉カバー110(
図1参照)を開放位置まで回動して、画像形成装置本体100における設置部111(トナー容器60を設置する部分であって、
図1参照)を上方に露呈させる。そして、
図5(A)に示すように、トナー容器60を上方から下方に向けて矢印方向に移動する。このとき、
図5(A)に示すように、トナー容器60の可動部66は圧縮スプリング68によって右方に位置していて、ユニット駆動ギア65は噛合可能位置に位置している。
そして、
図5(B)に示すように、トナー容器60の下方への移動が進められると、やがて、画像形成装置本体100の押動部131aが、可動部66の突起部67に当接する。そして、突起部67(可動部66)は、押動部131aが上方に相対的に移動するのにともない、圧縮スプリング68の付勢に抗するように左方(白矢印方向)に押動される。これにより、ユニット駆動ギア65は、画像形成装置本体100に干渉することなく、退避位置に移動することになる。
そして、
図5(C)に示すように、トナー容器60の下方への移動がさらに進められて、設置部111(現像装置5Yに接続される位置である。)への装着が完了することになる。このとき、押動部131aによる突起部67(可動部66)の押動が解除されて、圧縮スプリング68の付勢によって可動部66が右方(白矢印方向)に移動する。これにより、ユニット駆動ギア65は、噛合可能位置に移動して、本体駆動ギア123に噛合する。また、トナー容器60の容器側補給口63と、現像装置5Yの補給口57と、が発泡ポリウレタンなどからなるシール材70(弾性変形した状態である。)を介して連通することになる。そして、トナー容器60の装着が完了した後に、開閉カバー110が閉鎖されることになる。
これに対して、画像形成装置本体100からトナー容器60を取り出すときには、上述した装着時とは逆の動作がおこなわれることになる。
そして、このように構成された変形例1における画像形成装置100でも、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123と、トナー容器60(着脱ユニット)のユニット駆動ギア65と、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
【0051】
ここで、変形例1において、回転体としてのトナー搬送スクリュ62は、
図5(A)~(C)に示すように、ユニット駆動ギア65が軸方向に沿って噛合可能位置と退避位置との間を移動する動作に連動して、その回転軸方向(
図5の左右方向である。)に沿って移動する。
このように構成することで、輸送などで交換前のトナー容器60内のトナーが長手方向片側に偏った状態になってしまっていても、画像形成装置本体100へのトナー容器60の装着動作に連動してトナー搬送スクリュ62が長手方向(回転軸方向)に移動して、偏ったトナーをほぐすことができる。
【0052】
<変形例2>
図6(A)~(C)に示すように、変形例2における画像形成装置100でも、変形例1のものと同様に、画像形成装置本体100に対してトナー容器60が着脱される動作に連動してユニット駆動ギア65が軸方向に移動するように構成されている。
ただし、変形例2では、付勢部材としての圧縮スプリング68が、ユニット駆動ギア65の側(回転軸方向一端側)ではなくて、その反対側(回転軸方向他端側)に設置されている。
詳しくは、変形例2において、トナー搬送スクリュ62は、その両端の軸部62aがそれぞれ回転可能にケース64に保持されている。そして、回転軸方向他端側に止め輪が設置されていて、その止め輪とケース64の内壁面との間の軸部62aに圧縮スプリング68が巻装されている。
そして、このように構成された変形例2における画像形成装置100でも、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123と、トナー容器60(着脱ユニット)のユニット駆動ギア65と、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
【0053】
<変形例3>
図7(A)~(C)に示すように、変形例3における画像形成装置100において、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123とのうち少なくとも一方のギア(変形例3では、本体駆動ギア123である。)は、画像形成装置本体100にトナー容器60(着脱ユニット)が装着された状態で、開閉カバー110が閉鎖される動作に連動して
図7(A)に示す退避位置から
図7(B)に示す噛合可能位置に移動して、開閉カバー110が開放される動作に連動して
図7(B)に示す噛合可能位置から
図7(A)に示す退避位置に移動する。なお、開閉カバー110は、先に
図1等を用いて説明したように、画像形成装置本体100に対してトナー容器60(着脱ユニット)を着脱するために開閉される部材である。
詳しくは、画像形成装置本体100には、可動部120や、付勢部材としての圧縮スプリング142、などが設置されている。
可動部120は、本体駆動ギア123とともに移動可能に、本体駆動ギア123を保持する板状部材である。可動部120は、スタッド141によって
図7の左右方向に移動可能に保持されている。可動部120には、本体駆動ギア123がモータ軸に設置されたモータ122が固定設置されている。
圧縮スプリング142は、本体駆動ギア123が、
図7(B)に示す噛合可能位置から、
図7(A)に示す退避位置に向けて付勢されるように、可動部120を付勢する付勢部材として機能するものである。具体的に、圧縮スプリング142は、本体側板140と可動部120との間でスタッド141に巻装されている。
なお、スタッド141には止め輪が設置されていて、圧縮スプリング142の付勢によって可動部120が
図7の右方に無制限に移動しないように規制されている。
一方、変形例3において、開閉カバー110には、
図7の下方に突出するように押動部110aが形成されている。
この押動部110aは、画像形成装置本体100にトナー容器60(着脱ユニット)が装着された状態で開閉カバー110が閉鎖される動作に連動して、本体駆動ギア123が、圧縮スプリング142(付勢部材)の付勢に抗して、退避位置から噛合可能位置に移動するように可動部120を押動するものである。なお、押動部110aは、開閉方向に直交する方向(
図7の左右方向である。)の幅が、根元部から先端部に向けて漸減するように形成されている。
【0054】
以下、
図7(A)、(B)を用いて、変形例3において、画像形成装置本体100にトナー容器60を装着するときの動作について説明する。
まず、開閉カバー110(
図1参照)を開放位置まで回動して、画像形成装置本体100における設置部111(トナー容器60を設置する部分であって、
図1参照)を上方に露呈させる。そして、
図7(A)に示すように、トナー容器60を設置部111にセットする。このとき、
図7(A)に示すように、画像形成装置本体100の可動部120は圧縮スプリング142による付勢によって右方に位置していて、本体駆動ギア123は退避位置に位置している。
そして、
図7(B)に示すように、開閉カバー110が閉鎖されると、圧縮スプリング142の付勢に抗するように、押動部110aが可動部120を押動する。これにより、本体駆動ギア123は、噛合可能位置に移動して、ユニット駆動ギア65に噛合することになる。このように開閉カバー110が閉鎖されて、トナー容器60の一連の装着操作が完了することになる。
これに対して、画像形成装置本体100からトナー容器60を取り出すときには、上述した装着時とは逆の動作がおこなわれることになる。
そして、このように構成された変形例3における画像形成装置100でも、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123と、トナー容器60(着脱ユニット)のユニット駆動ギア65と、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
なお、変形例3において、本体駆動ギア123は、画像形成装置本体100にトナー容器60が装着されているか否かに関わらず、開閉カバー110が開閉される動作に連動して退避位置と噛合可能位置との間を移動することになる。
【0055】
<変形例4>
図8(A)、(B)に示すように、変形例4における画像形成装置100では、本体駆動ギア123ではなくて、ユニット駆動ギア65が、開閉カバー110が開閉される動作に連動して、
図8(A)に示す退避位置と
図8(B)に示す噛合可能位置との間を移動する。
詳しくは、ユニット駆動ギア65は、画像形成装置本体100にトナー容器60が装着された状態で、開閉カバー110が閉鎖される動作に連動して
図8(A)に示す退避位置から
図8(B)に示す噛合可能位置に移動して、開閉カバー110が開放される動作に連動して
図8(B)に示す噛合可能位置から
図8(A)に示す退避位置に移動する。
さらに具体的に、トナー容器60には、可動部77や、付勢部材としての圧縮スプリング78、などが設置されている。
可動部77は、ユニット駆動ギア65とともに移動可能に、ユニット駆動ギア65を回転可能に保持する板状部材である。可動部77は、スタッドによって
図8の左右方向に移動可能に保持されている。
圧縮スプリング78は、ユニット駆動ギア65が、
図8(B)に示す噛合可能位置から、
図8(A)に示す退避位置に向けて付勢されるように、可動部77を付勢する付勢部材として機能するものである。具体的に、圧縮スプリング78は、トナー搬送スクリュ62の他端側(ユニット駆動ギア65が設置されていない側である。)の軸部62aに設置された止め輪と、ケース64の外壁面と、の間で軸部62aに巻装されている。
なお、本体駆動ギア123がモータ軸に設置されたモータ122は、本体側板131に固定設置されている。
一方、変形例4において、開閉カバー110には、
図7の下方に突出するように押動部110bが形成されている。
この押動部110bは、画像形成装置本体100にトナー容器60(着脱ユニット)が装着された状態で開閉カバー110が閉鎖される動作に連動して、ユニット駆動ギア65が、圧縮スプリング78(付勢部材)の付勢に抗して、退避位置から噛合可能位置に移動するように可動部77を押動するものである。なお、押動部110bは、開閉方向に直交する方向(
図8の左右方向である。)の幅が、根元部から先端部に向けて漸減するように形成されている。
【0056】
以下、
図8(A)、(B)を用いて、変形例4において、画像形成装置本体100にトナー容器60を装着するときの動作について説明する。
まず、開閉カバー110(
図1参照)を開放位置まで回動して、画像形成装置本体100における設置部111(トナー容器60を設置する部分であって、
図1参照)を上方に露呈させる。そして、
図8(A)に示すように、トナー容器60を設置部111にセットする。このとき、
図8(A)に示すように、トナー容器60の可動部77は圧縮スプリング78による付勢によって左方に位置していて、ユニット駆動ギア65は退避位置に位置している。
そして、
図8(B)に示すように、開閉カバー110が閉鎖されると、圧縮スプリング78の付勢に抗するように、押動部110bが可動部77を押動する。これにより、ユニット駆動ギア65は、噛合可能位置に移動して、本体駆動ギア123に噛合することになる。このように開閉カバー110が閉鎖されて、トナー容器60の一連の装着操作が完了することになる。
これに対して、画像形成装置本体100からトナー容器60を取り出すときには、上述した装着時とは逆の動作がおこなわれることになる。
そして、このように構成された変形例4における画像形成装置100でも、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123と、トナー容器60(着脱ユニット)のユニット駆動ギア65と、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
【0057】
<変形例5>
図9(A)、(B)に示すように、変形例5における画像形成装置100でも、変形例4のものと同様に、開閉カバー110が開閉される動作に連動してユニット駆動ギア65が軸方向に移動するように構成されている。
ただし、変形例5では、開閉カバー110の押動部110cや、トナー容器60の可動部79が、ユニット駆動ギア65の側(回転軸方向一端側)ではなくて、その反対側(回転軸方向他端側)に設置されている。
そして、このように構成された変形例5における画像形成装置100でも、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123と、トナー容器60(着脱ユニット)のユニット駆動ギア65と、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
【0058】
<変形例6>
変形例6における画像形成装置100も、変形例5(又は、変形例1、2、4)のものと同様に、開閉カバー110が開閉される動作(又は、トナー容器60が着脱される動作)に連動してユニット駆動ギア65が軸方向に移動するように構成されている。また、回転体としてのトナー搬送スクリュ62は、ユニット駆動ギア65が軸方向に沿って噛合可能位置と退避位置との間を移動する動作に連動して、その回転軸方向に沿って移動するように構成されている。
ここで、変形例6では、ユニット駆動ギア65が軸方向に移動する動作に連動してトナー搬送スクリュ62(回転体)が回転軸方向に沿って移動するときに、トナー搬送スクリュ62が回転するように構成されている。
詳しくは、
図10に示すように、トナー容器60には、可動部79に対して軸方向に間隔をあけて、送りネジ部80aが形成された側板80が固定設置されている。一方、トナー搬送スクリュ62の軸部62aの一部には、送りネジ部80aに螺合する雄ネジ部62a1が形成されている。
このような構成により、
図10(A)、(B)に示すように、トナー搬送スクリュ62が回転軸方向に移動すると、送りネジ部80aと雄ネジ部62a1との螺合によって、トナー搬送スクリュ62が回転する。
このように構成することで、輸送などで交換前のトナー容器60内のトナーが長手方向片側に偏った状態になってしまっていても、画像形成装置本体100へのトナー容器60の装着動作に連動してトナー搬送スクリュ62が長手方向(回転軸方向)に移動しながら回転して、偏ったトナーが効率的にほぐされることになる。
【0059】
<実験結果>
最後に、本願発明者がおこなった実験について説明する。
実験は、本実施の形態や変形例で説明した画像形成装置100と、比較例として
図3で説明した画像形成装置100において開閉カバー110にトナー容器60のケース64を下方に付勢するスプリングを設置したものと、を用意して、それぞれ、A4サイズのシートP3000枚に対して、画像面積率が5%の印刷をおこない、本体駆動ギア123とユニット駆動ギア65との噛み合い不良による異常音の有無を確認した。
その結果、比較例のものは異常音の発生が確認されたのに対して、本実施の形態や変形例のものは異常音の発生が確認されなかった。
また、本実施の形態や変形例のものと、比較例のものと、についてそれぞれ開閉カバー110の操作性について官能評価をおこなった。その結果、比較例のものは開閉カバー110の操作性が良好でなかったのに対して、本実施の形態や変形例のものは開閉カバー110の操作性が良好であった。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100は、画像形成装置本体100に対して所定の着脱方向に着脱されるトナー容器60(着脱ユニット)が設置されている。トナー容器60は、回転可能なトナー搬送スクリュ62(回転体)と、トナー搬送スクリュ62に駆動を伝達するユニット駆動ギア65と、が設けられている。画像形成装置本体100は、画像形成装置本体100に装着されたトナー容器60のユニット駆動ギア65に対して装着方向手前側の噛合可能位置で噛合する本体駆動ギア123が設けられている。そして、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123とのうち少なくとも一方のギアは、画像形成装置本体100に対してトナー容器60を着脱するときに、相手方のギアに噛合せずに画像形成装置本体100に対するトナー容器60の着脱動作を妨げない退避位置に移動する。
これにより、画像形成装置本体100の本体駆動ギア123と、トナー容器60のユニット駆動ギア65と、の噛み合いが浅くなってしまう不具合が生じにくくなる。
【0061】
なお、本実施の形態(変形例を含む。以下、同様。)においては、感光体ドラム1Y(像担持体)と現像装置5Yと帯電装置4Yとクリーニング装置2Yとが一体化されたプロセスカートリッジ6Yとして構成されている画像形成装置100に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、これらの装置1Y、2Y、3Y、5Yの全部又は一部が、それぞれ単体で画像形成装置本体100に対して着脱されるユニットして構成されている場合であっても、当然に本発明を適用することができる。そして、そのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0062】
また、本実施の形態では、トナー容器60が現像装置5Yに直接的に連結される画像形成装置100に対して本発明を適用したが、トナー容器がサブホッパなどを介して現像装置に間接的に連結される画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、モータ軸に本体駆動ギア123が設置されたモータ122を可動部120に設置したが、可動部にモータを設置せずに本体駆動ギアのみを回転可能に設置することもできる。その場合、本体駆動ギアには、別の場所に設置されたモータの駆動がギア列を介して伝達されることになる。
また、本実施の形態では、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123とのうち一方のみが退避位置と噛合可能位置との間を移動するように構成したが、ユニット駆動ギア65と本体駆動ギア123とがそれぞれ退避位置と噛合可能位置との間を移動するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、カラーの画像形成装置100に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置100に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、着脱ユニットとしてのトナー容器60が設置された画像形成装置100に対して本発明を適用したが、本発明が適用される着脱ユニットはこれに限定されることなく、例えば、プロセスカートリッジ6Yや定着装置20などの着脱ユニットであっても、回転体が設置されたものであれば、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、着脱ユニットとしてのトナー容器60の着脱方向が上下方向となっている画像形成装置に対して本発明を適用したが、本発明が適用される着脱ユニットの着脱方向はこれに限定されることなく、例えば、水平方向に着脱される着脱ユニットが設置された画像形成装置であっても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1Y 感光体ドラム(像担持体)、
5Y 現像装置、
6Y、6M、6C、6K プロセスカートリッジ、
60 トナー容器(着脱ユニット)、
62 トナー搬送スクリュ(回転体)、
62a 軸部、
64 ケース(筐体)、
64a 押動部、
65 ユニット駆動ギア、
66 可動部、
67 突起部、
68 圧縮スプリング(付勢部材)、
70 シール材(弾性部材)、
78 圧縮スプリング(付勢部材)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
110 開閉カバー、
110a~110c 押動部、
120 可動部、
121 突起部、
122 モータ、
123 本体駆動ギア、
125 圧縮スプリング(付勢部材)、
131 本体側板、
131a 押動部、
142 圧縮スプリング(付勢部材)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】