(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】半導体装置、インバータ回路、駆動装置、車両、及び、昇降機
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240815BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240815BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652M
H01L29/78 652H
H01L29/78 652J
H01L29/78 658A
H01L29/78 658F
(21)【出願番号】P 2020118755
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 克久
(72)【発明者】
【氏名】京極 真也
(72)【発明者】
【氏名】飯島 良介
(72)【発明者】
【氏名】木本 真一
(72)【発明者】
【氏名】原田 信介
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-284584(JP,A)
【文献】特開2011-091086(JP,A)
【文献】特開2017-079251(JP,A)
【文献】特開2018-014455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面の側に位置し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置し、前記第2のトレンチに対して前記第1の方向に位置する第3のトレンチと、
n型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、
前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置し、深さが前記第2のトレンチの深さよりも浅く、前記第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に位置し、一部が前記第2のトレンチの中に位置し、前記一部が前記第2のトレンチの底面で前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度よりも高
く、
前記第4の炭化珪素領域のp型不純物濃度は、前記第2の炭化珪素領域のp型不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項2】
前記第6の炭化珪素領域の深さは、前記第2の炭化珪素領域の深さよりも浅
い請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第6の炭化珪素領域と前記第1の電極は、前記第1の面で接する請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面の側に位置し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置し、前記第2のトレンチに対して前記第1の方向に位置する第3のトレンチと、
n型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、
前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置し、深さが前記第2のトレンチの深さよりも浅く、前記第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に位置し、一部が前記第2のトレンチの中に位置し、前記一部が前記第2のトレンチの底面で前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度よりも高く、
前記炭化珪素層は、前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に、前記第2のトレンチよりも浅い第4のトレンチを含み、
前記第1の電極の別の一部は前記第4のトレンチの中に位置し、
前記第1の電極の前記別の一部は前記第4のトレンチの底面で前記第6の炭化珪素領域に接す
る、半導体装置。
【請求項5】
前記第1の電極の前記別の一部は前記第4のトレンチの側面で前記第3の炭化珪素領域に接する請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の電極の前記別の一部は前記第4のトレンチの側面で前記第6の炭化珪素領域に接する請求項4記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面の側に位置し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置し、前記第2のトレンチに対して前記第1の方向に位置する第3のトレンチと、
n型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、
前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置し、深さが前記第2のトレンチの深さよりも浅く、前記第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に位置し、一部が前記第2のトレンチの中に位置し、前記一部が前記第2のトレンチの底面で前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度よりも高く、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は1×10
19cm
-3以上であ
る、半導体装置。
【請求項8】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面の側に位置し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置し、前記第2のトレンチに対して前記第1の方向に位置する第3のトレンチと、
n型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、
前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置し、深さが前記第2のトレンチの深さよりも浅く、前記第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に位置し、一部が前記第2のトレンチの中に位置し、前記一部が前記第2のトレンチの底面で前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度よりも高く、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度の10倍以上であ
る、半導体装置。
【請求項9】
前記第2のトレンチの前記第1の方向の長さは、前記第2のトレンチの前記第2の方向の長さよりも長い請求項1ないし請求項8いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項10】
前記炭化珪素層は、前記第1の炭化珪素領域と前記第1のトレンチとの間に位置するp型の第7の炭化珪素領域を含む請求項1ないし請求項9いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の炭化珪素領域の一部は前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置する請求項1ないし請求項10いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の炭化珪素領域の前記一部は、前記第4の炭化珪素領域と前記第5の炭化珪素領域との間に位置する請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、
前記第1の面の側に位置し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、
前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置し、前記第2のトレンチに対して前記第1の方向に位置する第3のトレンチと、
n型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、
前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、
前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置し、深さが前記第2のトレンチの深さよりも浅く、前記第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、
を含む炭化珪素層と、
前記第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に位置し、一部が前記第2のトレンチの中に位置し、前記一部が前記第2のトレンチの底面で前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度よりも高く、
前記第4の炭化珪素領域と前記第5の炭化珪素領域は接す
る、半導体装置。
【請求項14】
前記第1の炭化珪素領域は、第1の領域と、第2の領域を含み、
前記第2の領域は前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間及び前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、
前記第2の領域のn型不純物濃度は、前記第1の領域のn型不純物濃度よりも高い請求項1ないし請求項13いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14いずれか一項記載の半導体装置を備えるインバータ回路。
【請求項16】
請求項1ないし請求項14いずれか一項記載の半導体装置を備える駆動装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項14いずれか一項記載の半導体装置を備える車両。
【請求項18】
請求項1ないし請求項14いずれか一項記載の半導体装置を備える昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、インバータ回路、駆動装置、車両、及び、昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイス用の材料として炭化珪素(SiC)が期待されている。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが約3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この物性を活用すれば低損失かつ高温動作可能な半導体デバイスを実現することができる。
【0003】
縦型のMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)において、低いオン抵抗を実現するために、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造が適用される。トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、オン抵抗が低減される。
【0004】
MOSFETの消費電力を低減する観点から、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流を低減することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-125331号公報
【文献】特開2018-006639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流の低減が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、前記第1の面の側に位置し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、前記第1の面の側に位置し、前記第1のトレンチに対して前記第2の方向に位置し、前記第2のトレンチに対して前記第1の方向に位置する第3のトレンチと、n型の第1の炭化珪素領域と、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、前記第1の炭化珪素領域と前記第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、前記第1の炭化珪素領域と前記第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、前記第2のトレンチと前記第3のトレンチとの間に位置し、深さが前記第2のトレンチの深さよりも浅く、前記第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、前記第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に位置し、一部が前記第2のトレンチの中に位置し、前記一部が前記第2のトレンチの底面で前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、前記炭化珪素層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、を備え、前記第6の炭化珪素領域の前記第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、前記第4の炭化珪素領域の前記底面のp型不純物濃度よりも高く、前記第4の炭化珪素領域のp型不純物濃度は、前記第2の炭化珪素領域のp型不純物濃度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図10】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図11】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図12】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図13】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図14】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図15】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図16】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図17】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図18】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図19】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図20】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図21】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図22】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図23】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図24】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図25】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図26】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図27】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図28】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図29】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図30】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図31】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図32】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図33】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図37】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図38】第2の実施形態の半導体装置の模式平面図。
【
図39】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図40】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図41】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図42】第3の実施形態の半導体装置の模式平面図。
【
図43】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図44】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図45】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図46】第4の実施形態の半導体装置の模式平面図。
【
図47】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図48】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図49】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0010】
また、以下の説明において、n+、n、n-及び、p+、p、p-の表記を用いる場合、これらの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn+はnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n+型、n-型を単にn型、p+型、p-型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
不純物濃度は、例えば、Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、Scanning Capacitance Microscopy(SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SCM像から求めることが可能である。
【0012】
トレンチの深さ、絶縁層の厚さ等は、例えば、Transmission Electron Microscope(TEM)の画像上で計測することが可能である。また、例えば、SIMSのプロファイルから判断することが可能である。
【0013】
なお、本明細書中でp型の炭化珪素領域の「p型不純物濃度」とは、当該領域のp型不純物濃度から当該領域のn型不純物濃度を引いた正味(net)のp型不純物濃度を意味する。また、n型の炭化珪素領域の「n型不純物濃度」とは、当該領域のn型不純物濃度から当該領域のp型不純物濃度を引いた正味(net)のn型不純物濃度を意味する。
【0014】
また、明細書中に別段の記述がない限り特定の領域の不純物濃度とは、当該領域の中央部の不純物濃度を意味するものとする。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層であって、第1の面の側に位置し、第1の方向に延びる第1のトレンチと、第1の面の側に位置し、第1のトレンチに対して第2の方向に位置する第2のトレンチと、第1の面の側に位置し、第1のトレンチに対して第2の方向に位置し、第2のトレンチに対して第1の方向に位置する第3のトレンチと、n型の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置するp型の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第2のトレンチとの間に位置するp型の第4の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第3のトレンチとの間に位置するp型の第5の炭化珪素領域と、第2のトレンチと第3のトレンチとの間に位置し、深さが第2のトレンチの深さよりも浅く、第2の炭化珪素領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第6の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、第1のトレンチの中に位置するゲート電極と、ゲート電極と炭化珪素層との間に位置するゲート絶縁層と、炭化珪素層の第1の面の側に位置し、一部が第2のトレンチの中に位置し、一部が第2のトレンチの底面で第4の炭化珪素領域に接し、第6の炭化珪素領域に接する第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に位置する第2の電極と、を備える。そして、第6の炭化珪素領域の第1の電極と接する部分のp型不純物濃度は、第4の炭化珪素領域の底面のp型不純物濃度よりも高い。
【0016】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いた縦型MOSFET100である。MOSFET100は、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造のMOSFETである。また、MOSFET100は、トレンチの中にソース電極を設ける、いわゆるダブルトレンチ構造のMOSFETである。また、MOSFET100は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0017】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図3は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図4は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0018】
【0019】
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極16、ゲート絶縁層18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、コンタクト領域12a(第1の電極の一部)を有する。
【0020】
炭化珪素層10は、ゲートトレンチ21(第1のトレンチ)、コンタクトトレンチ22a(第2のトレンチ)、コンタクトトレンチ22b(第3のトレンチ)、コンタクトトレンチ22c、コンタクトトレンチ22d、n+型のドレイン領域24、n-型のドリフト領域26(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域28(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域30(第3の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32a(第4の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32b(第5の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32c、p++型の高濃度領域34(第6の炭化珪素領域)、p+型のゲートトレンチ底部領域36(第7の炭化珪素領域)を有する。
【0021】
以下、コンタクトトレンチ22a、コンタクトトレンチ22b、コンタクトトレンチ22c及びコンタクトトレンチ22dを一括して、単に、コンタクトトレンチ22と称する場合がある。また、電界緩和領域32a、電界緩和領域32b及び電界緩和領域32cを一括して、単に、電界緩和領域32と称する場合がある。
【0022】
炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に位置する。炭化珪素層10は、第1の面(
図1中“P1”)と第2の面(
図1中“P2”)とを備える。以下、第1の面P1を表面、第2の面P2を裏面とも称する。第2の面P2は、第1の面P1に対向する。
【0023】
第1の方向及び第2の方向は第1の面P1に対して平行な方向である。また、第2の方向は第1の方向に直交する方向である。また、第3の方向は第1の面P1に対して垂直な方向である。第3の方向は第1の方向及び第2の方向に対して垂直な方向である。
【0024】
以下、「深さ」とは、第1の面P1を基準とする深さを意味する。
【0025】
炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。炭化珪素層10の厚さは、例えば、5μm以上500μm以下である。
【0026】
第1の面P1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。すなわち、法線が[0001]方向のc軸に対し0度以上8度以下傾斜した面である。言い換えれば、(0001)面に対するオフ角が0度以上8度以下である。また、第2の面P2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。
【0027】
(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。第1の面P1及び第2の面P2の傾斜方向は、例えば、[11-20]方向である。[11-20]方向は、a軸方向である。
図1、
図2、
図3、
図4では、例えば、図中に示す第1の方向又は第2の方向がa軸方向である。
【0028】
ゲートトレンチ21は、炭化珪素層10の中に存在する。ゲートトレンチ21は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に位置する。ゲートトレンチ21は、炭化珪素層10に形成された溝である。
【0029】
ゲートトレンチ21は、
図2に示すように、第1の方向に延びる。ゲートトレンチ21は、
図2に示すようにストライプ形状を有する。
【0030】
ゲートトレンチ21は、
図1及び
図2に示すように第2の方向に繰り返し配置される。ゲートトレンチ21の第2の方向の長さは、例えば、0.5μm以上1μm以下である。
【0031】
ゲートトレンチ21は、ソース領域30及びボディ領域28を貫通する。ゲートトレンチ21の深さは、例えば、1μm以上2μm以下である。
【0032】
コンタクトトレンチ22は、炭化珪素層10の中に存在する。コンタクトトレンチ22は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に位置する。コンタクトトレンチ22は、炭化珪素層10に形成された溝である。
【0033】
コンタクトトレンチ22は、
図2に示すように、例えば、第1の方向に延びる。コンタクトトレンチ22は、
図2に示すように第1の方向に繰り返し配置される。コンタクトトレンチ22は、第1の方向に分割されたトレンチである。
【0034】
例えば、コンタクトトレンチ22bは、コンタクトトレンチ22aに対して第1の方向に位置する。コンタクトトレンチ22bは、コンタクトトレンチ22aに対して第1の方向に離間して設けられる。
【0035】
コンタクトトレンチ22は、ゲートトレンチ21に対して第2の方向に位置する。例えば、コンタクトトレンチ22aは、ゲートトレンチ21に対して第2の方向に位置する。例えば、コンタクトトレンチ22bは、ゲートトレンチ21に対して第2の方向に位置する。コンタクトトレンチ22は、2つのゲートトレンチ21の間に設けられる。コンタクトトレンチ22は、ゲートトレンチ21を間に挟んで第2の方向に繰り返し配置される。
【0036】
コンタクトトレンチ22の第1の方向の長さは、例えば、コンタクトトレンチ22の第2の方向の長さよりも長い。例えば、コンタクトトレンチ22aの第1の方向の長さ(
図2中のL1)は、コンタクトトレンチ22aの第2の方向の長さ(
図2中のL2)よりも長い。
【0037】
コンタクトトレンチ22の第1の方向の長さは、例えば、1μm以上5μm以下である。コンタクトトレンチ22の第2の方向の長さは、例えば、0.5μm以上2μm以下である。
【0038】
コンタクトトレンチ22の第2の方向の長さは、例えば、ゲートトレンチ21の第2の方向の長さよりも長い。また、コンタクトトレンチ22の第2の方向の長さは、例えば、ゲートトレンチ21の第2の方向の長さと同一である。
【0039】
ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22の間の距離は、例えば、0.5μm以上1μm以下である。第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間の距離は、例えば、0.6μm以上1.5μm以下である。
【0040】
コンタクトトレンチ22は、ソース領域30及びボディ領域28を貫通する。コンタクトトレンチ22の深さは、例えば、1μm以上2μm以下である。
【0041】
コンタクトトレンチ22の深さと、ゲートトレンチ21の深さは、例えば、同一である。言い換えれば、第2の面P2からゲートトレンチ21までの距離と、第2の面P2からコンタクトトレンチ22までの距離は同一である。コンタクトトレンチ22の深さと、ゲートトレンチ21の深さは、異なっていても構わない。
【0042】
ゲート電極16は、ゲートトレンチ21の中に位置する。ゲート電極16は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。ゲート電極16は、第1の方向に延びる。
【0043】
ゲート電極16は、導電層である。ゲート電極16は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0044】
ゲート絶縁層18は、ゲート電極16と炭化珪素層10との間に位置する。ゲート絶縁層18は、ソース領域30、ボディ領域28、ドリフト領域26及びゲートトレンチ底部領域36と、ゲート電極16との間に設けられる。
【0045】
ゲート絶縁層18は、例えば、シリコン酸化膜である。ゲート絶縁層18には、例えば、高誘電率絶縁膜を適用することも可能である。また、ゲート絶縁層18には、例えば、シリコン酸化膜と高誘電率絶縁膜との積層膜を適用することも可能である。
【0046】
層間絶縁層20は、ゲート電極16上に設けられる。層間絶縁層20は、ゲート電極16とソース電極12との間に設けられる。
【0047】
層間絶縁層20の厚さは、例えば、ゲート絶縁層18の厚さよりも厚い。層間絶縁層20は、例えば、シリコン酸化膜である。層間絶縁層20は、ゲート電極16とソース電極12を電気的に分離する。
【0048】
ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1側に位置する。ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1の上に設けられる。
【0049】
ソース電極12は、ソース領域30、ボディ領域28、電界緩和領域32及び高濃度領域34に電気的に接続される。
【0050】
ソース電極12は、ソース領域30、及び、電界緩和領域32及び高濃度領域34に接する。
【0051】
ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1で、ソース領域30に接する。ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1で、高濃度領域34に接する。
【0052】
ソース電極12の一部であるコンタクト領域12aは、コンタクトトレンチ22の中に位置する。ソース電極12の一部であるコンタクト領域12aは、例えば、コンタクトトレンチ22aの中に位置する。ソース電極12の一部であるコンタクト領域12aは、例えば、コンタクトトレンチ22bの中に位置する。
【0053】
コンタクト領域12aは、コンタクトトレンチ22の側面で、ソース領域30に接する。
【0054】
コンタクト領域12aは、コンタクトトレンチ22の側面で、電界緩和領域32に接する。コンタクト領域12aは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32に接する。コンタクト領域12aは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32aに接する。コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32bに接する。
【0055】
ソース電極12は、金属を含む。ソース電極12を形成する金属は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極12は、例えば、炭化珪素層10に接する金属シリサイドや金属カーバイドを含んでも構わない。
【0056】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2側に位置する。ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域24に接する。
【0057】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0058】
n+型のドレイン領域24は、炭化珪素層10の第2の面P2側に設けられる。ドレイン領域24は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域24のn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0059】
n-型のドリフト領域26は、ドレイン領域24上に設けられる。ドリフト領域26は、ドレイン領域24と第1の面P1との間に位置する。
【0060】
ドリフト領域26の一部は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に位置する。ドリフト領域26の一部は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に挟まれる。ドリフト領域26の一部は、例えば、コンタクトトレンチ22aとコンタクトトレンチ22bとの間に位置する。
【0061】
ドリフト領域26の一部は、第1の方向に隣り合う2つの電界緩和領域32の間に位置する。ドリフト領域26の一部は、例えば、電界緩和領域32aと電界緩和領域32bとの間に位置する。
【0062】
ドリフト領域26は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドリフト領域26のn型不純物濃度は、ドレイン領域24のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域26のn型不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0063】
p型のボディ領域28は、ドリフト領域26と第1の面P1との間に位置する。ボディ領域28は、ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22との間に位置する。
【0064】
ボディ領域28の一部は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に位置する。ボディ領域28の一部は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に挟まれる。ボディ領域28の一部は、例えば、コンタクトトレンチ22aとコンタクトトレンチ22bとの間に位置する。
【0065】
ボディ領域28は、MOSFET100のチャネル形成領域として機能する。例えば、MOSFET100のオン動作時に、ボディ領域28のゲート絶縁層18と接する領域に電子が流れるチャネルが形成される。ボディ領域28のゲート絶縁層18と接する領域が、チャネル形成領域となる。
【0066】
ボディ領域28は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ボディ領域28のp型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0067】
ボディ領域28の深さは、ゲートトレンチ21の深さよりも浅い。ボディ領域28の深さは、例えば、0.4μm以上1.0μm以下である。
【0068】
ボディ領域28の深さ方向(第3の方向)の厚さは、例えば、0.1μm以上0.3μm以下である。
【0069】
n+型のソース領域30は、ボディ領域28と第1の面P1との間に位置する。ソース領域30は、ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22との間に位置する。
【0070】
ソース領域30は、ソース電極12に接する。ソース領域30は、ゲート絶縁層18に接する。
【0071】
ソース領域30は、例えば、リン(P)をn型不純物として含む。ソース領域30のn型不純物濃度は、ドリフト領域26のn型不純物濃度よりも高い。ソース領域30のn型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0072】
ソース領域30の深さは、ボディ領域28の深さよりも浅い。ソース領域30の深さは、例えば、0.1μm以上0.4μm以下である。
【0073】
p+型の電界緩和領域32は、ドリフト領域26とコンタクトトレンチ22との間に位置する。電界緩和領域32は、例えば、ドリフト領域26とコンタクトトレンチ22aとの間に位置する。電界緩和領域32は、例えば、ドリフト領域26とコンタクトトレンチ22bとの間に位置する。
【0074】
電界緩和領域32は、コンタクトトレンチ22の側面に接する。電界緩和領域32は、ソース電極12のコンタクト領域12aに接する。
【0075】
電界緩和領域32は、ドリフト領域26とコンタクトトレンチ22の底面との間に設けられる。電界緩和領域32は、コンタクトトレンチ22とボディ領域28との間に位置する。
【0076】
電界緩和領域32の深さは、ゲートトレンチ21の深さよりも深い。
【0077】
電界緩和領域32は、MOSFET100のオフ動作時に、ゲート絶縁層18に印加される電界強度を緩和する機能を有する。電界緩和領域32は、例えば、ソース電極12と同電位に固定される。
【0078】
電界緩和領域32は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。電界緩和領域32のp型不純物濃度は、ボディ領域28のp型不純物濃度よりも高い。電界緩和領域32のp型不純物濃度は、例えば、ボディ領域28のp型不純物濃度の10倍以上である。電界緩和領域32のp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1020cm-3以下である。
【0079】
p++型の高濃度領域34は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に位置する。高濃度領域34は、例えば、コンタクトトレンチ22aとコンタクトトレンチ22bとの間に位置する。
【0080】
高濃度領域34の深さは、コンタクトトレンチ22の深さよりも浅い。高濃度領域34の深さは、例えば、コンタクトトレンチ22aの深さよりも浅い。高濃度領域34の深さは、例えば、コンタクトトレンチ22bの深さよりも浅い。
【0081】
高濃度領域34の深さは、ゲートトレンチ21の深さよりも浅い。高濃度領域34の深さは、ボディ領域28の深さよりも浅い。
【0082】
高濃度領域34は、例えば、第1の面P1に接する。
【0083】
高濃度領域34は、ソース電極12のコンタクト抵抗を低減する機能を有する。高濃度領域34を設けることにより、ソース電極12と電界緩和領域32との間の電気抵抗が低減する。高濃度領域34を設けることにより、ソース電極12とボディ領域28との間の電気抵抗が低減する。
【0084】
高濃度領域34は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。高濃度領域34のp型不純物濃度は、ボディ領域28のp型不純物濃度よりも高い。
【0085】
高濃度領域34のp型不純物濃度は、電界緩和領域32のp型不純物濃度よりも高い。高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、電界緩和領域32のコンタクトトレンチ22の底面のp型不純物濃度よりも高い。
【0086】
例えば、高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、電界緩和領域32aのコンタクトトレンチ22aの底面におけるp型不純物濃度よりも高い。例えば、高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、電界緩和領域32bのコンタクトトレンチ22bの底面におけるp型不純物濃度よりも高い。
【0087】
高濃度領域34のp型不純物濃度は、電界緩和領域32のp型不純物濃度の10倍以上1000倍以下である。例えば、高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、電界緩和領域32aのコンタクトトレンチ22aの底面におけるp型不純物濃度の10倍以上1000倍以下である。
【0088】
高濃度領域34のp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0089】
p+型のゲートトレンチ底部領域36は、ドリフト領域26とゲートトレンチ21の底面との間に設けられる。ゲートトレンチ底部領域36は、ゲートトレンチ21の底面に接する。
【0090】
ゲートトレンチ底部領域36は、MOSFET100のオフ動作時に、ゲート絶縁層18に印加される電界強度を緩和する機能を有する。ゲートトレンチ底部領域36は、例えば、ソース電極12と同電位に固定される。
【0091】
ゲートトレンチ底部領域36は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ゲートトレンチ底部領域36のp型不純物濃度は、ボディ領域28のp型不純物濃度よりも高い。
【0092】
ゲートトレンチ底部領域36のp型不純物濃度は、例えば、ボディ領域28のp型不純物濃度の10倍以上である。ゲートトレンチ底部領域36のp型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1020cm-3以下である。
【0093】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0094】
【0095】
最初に、n
+型のドレイン領域24、及び、ドレイン領域24の上にエピタキシャル成長により形成されたn
-型のエピタキシャル層11を有する炭化珪素層10を準備する(
図5)。エピタキシャル層11の一部は、最終的に、ドリフト領域26となる。
【0096】
炭化珪素層10は、第1の面(
図5中“P1”)と第2の面(
図5中“P2”)とを備える。以下、第1の面P1を表面、第2の面P2を裏面とも称する。
【0097】
次に、エピタキシャル層11に、イオン注入法により、p型のボディ領域28を形成する(
図6)。
【0098】
次に、エピタキシャル層11に、イオン注入法により、n
+型のソース領域30を形成する(
図7)。ソース領域30は、ボディ領域28と第1の面P1との間に形成される。
【0099】
次に、炭化珪素層10の上に、マスク材49を形成する。マスク材49は、第1の方向に延びる開口部を有する。マスク材49は、例えば、フォトレジストである。
【0100】
次に、p
++型の高濃度領域34を形成する(
図8、
図9)。高濃度領域34は、マスク材49をマスクに、炭化珪素層10にp型不純物を注入して形成する。p型不純物は、例えば、アルミニウムイオンである。
【0101】
次に、炭化珪素層10の表面に、マスク材50を形成する(
図10、
図11)。マスク材50は、開口部70を有する。マスク材50は、例えば、Chemical Vapoer Deposition法(CVD法)による膜の堆積、リソグラフィ法、及び、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いた膜のパターニングにより形成される。マスク材50は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0102】
次に、マスク材50をマスクにゲートトレンチ21及びコンタクトトレンチ22を形成する(
図12、
図13)。ゲートトレンチ21及びコンタクトトレンチ22は、RIE法を用いて形成される。ゲートトレンチ21及びコンタクトトレンチ22は、ソース領域30及びボディ領域28を貫通するように形成される。ゲートトレンチ21及びコンタクトトレンチ22は、マスク材50の開口部70の下の炭化珪素層10に形成される。
【0103】
次に、炭化珪素層10の上に、マスク材52を形成する(
図14、
図15)。マスク材52は、マスク材50とゲートトレンチ21を覆う。マスク材52は、コンタクトトレンチ22を覆わない。マスク材52は、例えば、フォトレジストである。
【0104】
次に、p
+型の電界緩和領域32を形成する(
図16、
図17)。電界緩和領域32は、マスク材52及びマスク材50をマスクに、コンタクトトレンチ22に、斜めイオン注入法によりp型不純物を注入して形成する。p型不純物は、例えば、アルミニウムイオンである。電界緩和領域32は、炭化珪素層10のコンタクトトレンチ22の側面及び底面の近傍に形成される。
【0105】
次に、マスク材52を剥離する。次に、炭化珪素層10の上に、マスク材53を形成する。マスク材53は、マスク材50とコンタクトトレンチ22を覆う。マスク材53は、ゲートトレンチ21を覆わない。マスク材53は、例えば、フォトレジストである。
【0106】
次に、p
+型のゲートトレンチ底部領域36を形成する(
図18、
図19)。ゲートトレンチ底部領域36は、マスク材53及びマスク材50をマスクに、ゲートトレンチ21の底部に、イオン注入法によりp型不純物を注入して形成する。p型不純物は、例えば、アルミニウムイオンである。
【0107】
次に、マスク材53及びマスク材50を剥離する(
図20、
図21)。次に、n型不純物及びp型不純物の活性化アニールを行う。
【0108】
次に、ゲートトレンチ21及びコンタクトトレンチ22の中に、第1のシリコン酸化膜60、及び、多結晶シリコン膜61を形成する(
図22、
図23)。
【0109】
第1のシリコン酸化膜60、及び、多結晶シリコン膜61は、例えば、CVD法により形成される。第1のシリコン酸化膜60の一部は、ゲート絶縁層18となる。多結晶シリコン膜61の一部はゲート電極16となる。
【0110】
次に、炭化珪素層10の表面の多結晶シリコン膜61を除去する(
図24、
図25)。炭化珪素層10の表面の多結晶シリコン膜61は、例えば、ドライエッチング法により除去される。多結晶シリコン膜61の一部は、ゲートトレンチ21及びコンタクトトレンチ22の中に残る。
【0111】
次に、炭化珪素層10の表面に、マスク材54を形成する。マスク材54は、例えば、フォトレジストである。
【0112】
マスク材54は、ゲートトレンチ21を覆う。マスク材54は、ゲートトレンチ21の中の多結晶シリコン膜61を覆う。
【0113】
次に、マスク材54をマスクにコンタクトトレンチ22の中の多結晶シリコン膜61を除去する(
図26、
図27)。多結晶シリコン膜61は、例えば、ドライエッチング法により除去される。
【0114】
次に、マスク材54を除去する。次に、第1のシリコン酸化膜60、及び、多結晶シリコン膜61の上に第2のシリコン酸化膜62を形成する(
図28、
図29)。第2のシリコン酸化膜62は、例えば、CVD法により形成される。第2のシリコン酸化膜62の一部は、層間絶縁層20となる。
【0115】
次に、第2のシリコン酸化膜62の上に、マスク材56を形成する。マスク材56は、例えば、フォトレジストである。
【0116】
次に、マスク材56をマスクに、コンタクトトレンチ22の中の第1のシリコン酸化膜60、及び、第2のシリコン酸化膜62を、除去する(
図30、
図31)。第1のシリコン酸化膜60、及び、第2のシリコン酸化膜62は、例えば、ウェットエッチング法により除去される。
【0117】
次に、マスク材56を除去する。次に、コンタクトトレンチ22の中、及び、第2のシリコン酸化膜62の上に、ソース電極12を形成する(
図32、
図33)。ソース電極12は、例えば、CVD法により金属膜を堆積することで形成される。
【0118】
その後、公知のプロセス技術を用いて、炭化珪素層10の裏面にドレイン電極14を形成する。
【0119】
以上の製造方法により、
図1ないし
図4に示すMOSFET100が製造される。
【0120】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0121】
MOSFET100は、ゲートトレンチ21の中にゲート電極16が設けられたトレンチゲート構造が適用される。トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、MOSFET100のオン抵抗が低減される。
【0122】
また、MOSFET100は、コンタクトトレンチ22の中にソース電極12の一部であるコンタクト領域12aを設ける。MOSFET100は、いわゆるダブルトレンチ構造のMOSFETである。
【0123】
コンタクトトレンチ22の中にコンタクト領域12aを設けることで、ボディ領域28及びソース領域30への電気的接続をコンタクトトレンチ22の側面で取ることができる。したがって、炭化珪素層10の表面でのソース電極12の接続面積が低減できる。よって、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、MOSFET100のオン抵抗が低減される。
【0124】
また、MOSFET100は、コンタクトトレンチ22の底面及び側面の周りに、電界緩和領域32を備える。したがって、MOSFET100のオフ動作時に、ゲート絶縁層18に印加される電界強度が緩和される。よって、ゲート絶縁層18の信頼性が向上する。
【0125】
また、MOSFET100は、ゲートトレンチ21の底面に、ゲートトレンチ底部領域36を備える。したがって、MOSFET100のオフ動作時に、ゲート絶縁層18に印加される電界強度が緩和される。よって、ゲート絶縁層18の信頼性が向上する。
【0126】
図34は、比較例の半導体装置の模式断面図である。
図35は、比較例の半導体装置の模式平面図である。
図36は、比較例の半導体装置の模式断面図である。
【0127】
【0128】
比較例の半導体装置は、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造のMOSFET900である。MOSFET900はダブルトレンチ構造である。
【0129】
比較例のMOSFET900は、コンタクトトレンチ22が第1の方向に分割されていない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。また、比較例のMOSFET900は、高濃度領域34が、コンタクトトレンチ22の底部に設けられる点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0130】
MOSFET900がオフ状態の際には、コンタクトトレンチ22の底部に電界が集中し、電界強度が高くなる。MOSFET900では、電界が集中するコンタクトトレンチ22の底部に、p型不純物濃度が高い高濃度領域34が存在する。p型不純物濃度が高い領域では、例えば、p型不純物のイオン注入の際に、高い密度で結晶欠陥が形成される。
【0131】
結晶欠陥の密度が高い領域に電界が集中すると、結晶欠陥に起因して、MOSFET900のソース-ドレイン間のリーク電流が増加する。MOSFET900のソース-ドレイン間のリーク電流が増加するとMOSFET900の消費電力が増加する。
【0132】
一方、例えば、MOSFET900において、高濃度領域34のp型不純物濃度を低くすると、ソース電極12と電界緩和領域32との間の抵抗が高くなる。例えば、MOSFET900において、電界緩和領域32とドリフト領域26との間のpn接合を用いたボディダイオードを、還流ダイオードとして機能させる場合がある。ソース電極12と電界緩和領域32との間の抵抗が高くなると、還流ダイオードの順方向電流が低下し問題となる。
【0133】
第1の実施形態のMOSFET100は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間にp++型の高濃度領域34が設けられる。高濃度領域34は、電界が集中するコンタクトトレンチ22の底部から離れた位置に設けられる。
【0134】
第1の実施形態のMOSFET100は、コンタクトトレンチ22を第1の方向に分割することで、高濃度領域34を第1の面P1に近い位置に設けることを可能にしている。MOSFET100は、コンタクトトレンチ22を第1の方向に分割することで、高濃度領域34を、電界が集中するコンタクトトレンチ22の底部から離れた位置に設けることを可能にしている。
【0135】
したがって、高濃度領域34に起因するソース-ドレイン間のリーク電流が低減される。
【0136】
そして、高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、電界緩和領域32のコンタクトトレンチ22の底面のp型不純物濃度よりも高い。言い換えれば、電界緩和領域32のコンタクトトレンチ22の底面のp型不純物濃度は、高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度より低い。
【0137】
したがって、電界緩和領域32に起因するソース-ドレイン間のリーク電流が低減される。よって、MOSFET100の消費電力が低減する。
【0138】
また、第1の実施形態のMOSFET100は、コンタクトトレンチ22を第1の方向に分割することで、高濃度領域34とソース電極12との接触面積を確保している。したがって、ソース電極12と電界緩和領域32との間の抵抗が高くなることが抑制される。よって、還流ダイオードの順方向電流の低下が抑制される。
【0139】
MOSFET100のソース電極12の高濃度領域34に対するコンタクト抵抗を低減する観点から、高濃度領域34のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上であることが好ましく、1×1020cm-3以上であることがより好ましく、1×1020cm-3以上であることが更に好ましい。
【0140】
MOSFET100のソース-ドレイン間のリーク電流を抑制する観点から、電界緩和領域32のp型不純物濃度は、5×1020cm-3以下であることが好ましく、5×1019cm-3以下であることがより好ましく、5×1018cm-3以下であることが更に好ましい。
【0141】
MOSFET100のソース電極12の高濃度領域34に対するコンタクト抵抗を低減し、ソース-ドレイン間のリーク電流を抑制する観点から、高濃度領域34のp型不純物濃度は、電界緩和領域32のp型不純物濃度の10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。高濃度領域34のソース電極12と接する部分のp型不純物濃度は、電界緩和領域32aのコンタクトトレンチ22aの底面におけるp型不純物濃度の10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。
【0142】
MOSFET100のソース-ドレイン間のリーク電流を抑制する観点から、高濃度領域34の深さは、ゲートトレンチ21の深さよりも浅いことが好ましい。MOSFET100のソース-ドレイン間のリーク電流を抑制する観点から、高濃度領域34の深さは、ボディ領域28の深さよりも浅いことが好ましい。
【0143】
以上、第1の実施形態によれば、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流の低減が可能なMOSFETが実現できる。
【0144】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第4の炭化珪素領域と第5の炭化珪素領域は接する点で第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0145】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いた縦型MOSFET200である。MOSFET200は、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造のMOSFETである。また、MOSFET200は、トレンチの中にソース電極を設ける、いわゆるダブルトレンチ構造のMOSFETである。また、MOSFET200は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0146】
図37は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図38は、第2の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図39は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図40は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0147】
【0148】
MOSFET200は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極16、ゲート絶縁層18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、コンタクト領域12a(第1の電極の一部)を有する。
【0149】
炭化珪素層10は、ゲートトレンチ21(第1のトレンチ)、コンタクトトレンチ22a(第2のトレンチ)、コンタクトトレンチ22b(第3のトレンチ)、コンタクトトレンチ22c、コンタクトトレンチ22d、n+型のドレイン領域24、n-型のドリフト領域26(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域28(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域30(第3の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32a(第4の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32b(第5の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32c、p++型の高濃度領域34(第6の炭化珪素領域)、p+型のゲートトレンチ底部領域36(第7の炭化珪素領域)を有する。
【0150】
以下、コンタクトトレンチ22a、コンタクトトレンチ22b、コンタクトトレンチ22c及びコンタクトトレンチ22dを一括して、単に、コンタクトトレンチ22と称する場合がある。また、電界緩和領域32a、電界緩和領域32b及び電界緩和領域32cを一括して、単に、電界緩和領域32と称する場合がある。
【0151】
MOSFET200において、第1の方向に隣り合う2つの電界緩和領域32は互いに接する。例えば、電界緩和領域32aと電界緩和領域32bは接する。電界緩和領域32aと電界緩和領域32bは、コンタクトトレンチ22aとコンタクトトレンチ22bの間で接する。
【0152】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流の低減が可能なMOSFETが実現できる。
【0153】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素層は、第2のトレンチと第3のトレンチとの間に、第2のトレンチよりも浅い第4のトレンチを含み、第1の電極の別の一部は第4のトレンチの中に位置し、第1の電極の別の一部は第4のトレンチの底面で第6の炭化珪素領域に接する点で第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0154】
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いた縦型MOSFET300である。MOSFET300は、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造のMOSFETである。また、MOSFET300は、トレンチの中にソース電極を設ける、いわゆるダブルトレンチ構造のMOSFETである。また、MOSFET300は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0155】
図41は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図42は、第3の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図43は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図44は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0156】
【0157】
MOSFET300は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極16、ゲート絶縁層18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1のコンタクト領域12x(第1の電極の一部)、第2のコンタクト領域12y(第1の電極の別の一部)を有する。
【0158】
炭化珪素層10は、ゲートトレンチ21(第1のトレンチ)、コンタクトトレンチ22a(第2のトレンチ)、コンタクトトレンチ22b(第3のトレンチ)、コンタクトトレンチ22c、コンタクトトレンチ22d、シャロートレンチ23(第4のトレンチ)、n+型のドレイン領域24、n-型のドリフト領域26(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域28(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域30(第3の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32a(第4の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32b(第5の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32c、p++型の高濃度領域34(第6の炭化珪素領域)、p+型のゲートトレンチ底部領域36(第7の炭化珪素領域)を有する。
【0159】
以下、コンタクトトレンチ22a、コンタクトトレンチ22b、コンタクトトレンチ22c及びコンタクトトレンチ22dを一括して、単に、コンタクトトレンチ22と称する場合がある。また、電界緩和領域32a、電界緩和領域32b及び電界緩和領域32cを一括して、単に、電界緩和領域32と称する場合がある。
【0160】
コンタクトトレンチ22は、炭化珪素層10の中に存在する。コンタクトトレンチ22は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に位置する。コンタクトトレンチ22は、炭化珪素層10に形成された溝である。
【0161】
シャロートレンチ23は、炭化珪素層10の中に存在する。シャロートレンチ23は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に位置する。シャロートレンチ23は、炭化珪素層10に形成された溝である。
【0162】
シャロートレンチ23は、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に設けられる。シャロートレンチ23は、例えば、コンタクトトレンチ22aとコンタクトトレンチ22bの間に設けられる。シャロートレンチ23は、
図42に示すように、コンタクトトレンチ22を間に挟んで第1の方向に繰り返し配置される。
【0163】
シャロートレンチ23の深さは、コンタクトトレンチ22の深さよりも浅い。
【0164】
ソース電極12の一部である第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の中に位置する。ソース電極12の一部である第1のコンタクト領域12xは、例えば、コンタクトトレンチ22aの中に位置する。ソース電極12の一部である第1のコンタクト領域12xは、例えば、コンタクトトレンチ22bの中に位置する。
【0165】
ソース電極12の一部である第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の側面で、ソース領域30に接する。
【0166】
第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の側面で、電界緩和領域32に接する。第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32に接する。第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32aに接する。第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32bに接する。
【0167】
ソース電極12の別の一部である第2のコンタクト領域12yは、シャロートレンチ23の中に位置する。
【0168】
第2のコンタクト領域12yは、シャロートレンチ23の底面で高濃度領域34に接する。言い換えれば、高濃度領域34はシャロートレンチ23の底面で第2のコンタクト領域12yに接する。
【0169】
第2のコンタクト領域12yは、シャロートレンチ23の側面でソース領域30に接する。言い換えれば、ソース領域30は、シャロートレンチ23の側面で第2のコンタクト領域12yに接する。
【0170】
第3の実施形態のMOSFET300によれば、シャロートレンチ23を備えることで、ソース電極12がシャロートレンチ23の側面でソース領域30に接する。したがって、ソース電極12とソース領域30との接触面積が、第1の実施形態のMOSFET100に比べて増加する。よって、例えば、MOSFET300のオン抵抗が低減する。
【0171】
以上、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流の低減が可能なMOSFETが実現できる。また、オン抵抗の低減が可能なMOSFETが実現できる。
【0172】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、第1の電極の一部は前記第4のトレンチの側面で第6の炭化珪素領域に接する点で第3の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態又は第3の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0173】
第4の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いた縦型MOSFET400である。MOSFET400は、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造のMOSFETである。また、MOSFET400は、トレンチの中にソース電極を設ける、いわゆるダブルトレンチ構造のMOSFETである。また、MOSFET400は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0174】
図45は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図46は、第4の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図47は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図48は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0175】
【0176】
MOSFET400は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極16、ゲート絶縁層18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1のコンタクト領域12x(第1の電極の一部)、第2のコンタクト領域12y(第1の電極の別の一部)を有する。
【0177】
炭化珪素層10は、ゲートトレンチ21(第1のトレンチ)、コンタクトトレンチ22a(第2のトレンチ)、コンタクトトレンチ22b(第3のトレンチ)、コンタクトトレンチ22c、コンタクトトレンチ22d、シャロートレンチ23(第4のトレンチ)、n+型のドレイン領域24、n-型のドリフト領域26(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域28(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域30(第3の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32a(第4の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32b(第5の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32c、p++型の高濃度領域34(第6の炭化珪素領域)、p+型のゲートトレンチ底部領域36(第7の炭化珪素領域)を有する。
【0178】
以下、コンタクトトレンチ22a、コンタクトトレンチ22b、コンタクトトレンチ22c及びコンタクトトレンチ22dを一括して、単に、コンタクトトレンチ22と称する場合がある。また、電界緩和領域32a、電界緩和領域32b及び電界緩和領域32cを一括して、単に、電界緩和領域32と称する場合がある。
【0179】
ソース電極12は、第1の面P1で高濃度領域34に接する。
【0180】
ソース電極12の一部である第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の中に位置する。第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の側面で、高濃度領域34に接する。
【0181】
第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の側面で、電界緩和領域32に接する。第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32に接する。第1のコンタクト領域12xは、コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32aに接する。コンタクトトレンチ22の底面で、電界緩和領域32bに接する。
【0182】
ソース電極12の別の一部である第2のコンタクト領域12yは、シャロートレンチ23の中に位置する。
【0183】
第2のコンタクト領域12yは、シャロートレンチ23の底面で高濃度領域34に接する。言い換えれば、高濃度領域34はシャロートレンチ23の底面で第2のコンタクト領域12yに接する。
【0184】
第2のコンタクト領域12yは、第1の面P1及びシャロートレンチ23の側面で高濃度領域34に接する。言い換えれば、高濃度領域34は、シャロートレンチ23の側面で第2のコンタクト領域12yに接する。
【0185】
第4の実施形態のMOSFET400によれば、ソース電極12がシャロートレンチ23の側面で高濃度領域34に接する。したがって、ソース電極12と高濃度領域34との接触面積が、第1の実施形態のMOSFET300に比べて増加する。よって、例えば、MOSFET400のボディダイオードの順方向電流が増加する。
【0186】
以上、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流の低減が可能なMOSFETが実現できる。また、ボディダイオードの順方向電流の増加が可能なMOSFETが実現できる。
【0187】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置は、第1の炭化珪素領域は、第1の領域と、第2の領域を含み、第2の領域は第1の領域と第2の炭化珪素領域との間及び第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置し、第2の領域のn型不純物濃度は、第1の領域のn型不純物濃度よりも高い点で、第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0188】
第5の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いた縦型MOSFET500である。MOSFET500は、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造のMOSFETである。また、MOSFET500は、トレンチの中にソース電極を設ける、いわゆるダブルトレンチ構造のMOSFETである。また、MOSFET500は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0189】
図49は、第5の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図49は、第1の実施形態の
図1に対応する図である。
【0190】
MOSFET500は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極16、ゲート絶縁層18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、コンタクト領域12aを有する。
【0191】
炭化珪素層10は、ゲートトレンチ21(第1のトレンチ)、コンタクトトレンチ22a(第2のトレンチ)、コンタクトトレンチ22b(第3のトレンチ)、コンタクトトレンチ22c、コンタクトトレンチ22d、シャロートレンチ23(第4のトレンチ)、n+型のドレイン領域24、n-型のドリフト領域26(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域28(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域30(第3の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32a(第4の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32b(第5の炭化珪素領域)、p+型の電界緩和領域32c、p++型の高濃度領域34(第6の炭化珪素領域)、p+型のゲートトレンチ底部領域36(第7の炭化珪素領域)を有する。
【0192】
以下、コンタクトトレンチ22a、コンタクトトレンチ22b、コンタクトトレンチ22c及びコンタクトトレンチ22dを一括して、単に、コンタクトトレンチ22と称する場合がある。また、電界緩和領域32a、電界緩和領域32b及び電界緩和領域32cを一括して、単に、電界緩和領域32と称する場合がある。
【0193】
n-型のドリフト領域26(第1の炭化珪素領域)は、第1の領域26a及び第2の領域26bを有する。
【0194】
第2の領域26bは、第1の領域26aとボディ領域28との間に位置する。第2の領域26bは、ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22との間に位置する。例えば、第2の領域26bは、ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22aとの間に位置する。例えば、第2の領域26bは、ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22bとの間に位置する。例えば、第2の領域26bは、ゲートトレンチ21とコンタクトトレンチ22cとの間に位置する。
【0195】
第2の領域26bは、第1の方向に隣り合う2つのコンタクトトレンチ22の間に位置する。例えば、第2の領域26bは、コンタクトトレンチ22aとコンタクトトレンチ22bとの間に位置する。
【0196】
第2の領域26bは、第1の方向に対向する2つの電界緩和領域32の間に位置する。第2の領域26bは、例えば、電界緩和領域32aと電界緩和領域32bとの間に位置する。
【0197】
第2の領域26bは、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。第2の領域26bのn型不純物濃度は、第1の領域26aのn型不純物濃度よりも高い。
【0198】
第2の領域26bのn型不純物濃度は、例えば、第1の領域26aのn型不純物濃度の1.2倍以上5倍以下である。第2の領域26bのn型不純物濃度は、例えば、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0199】
第5の実施形態のMOSFET500は、n型不純物濃度の高い第2の領域26bを有することにより、MOSFET500のオン抵抗を低減することが可能となる。
【0200】
以上、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、MOSFETのオフ動作時のソース-ドレイン間のリーク電流の低減が可能なMOSFETが実現できる。また、オン抵抗の低減が可能なMOSFETが実現できる。
【0201】
(第6の実施形態)
第6の実施形態のインバータ回路及び駆動装置は、第1の実施形態の半導体装置を備える駆動装置である。
【0202】
図50は、第6の実施形態の駆動装置の模式図である。駆動装置1000は、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0203】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュール150a、150b、150cで構成される。3個の半導体モジュール150a、150b、150cを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。
【0204】
第6の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、インバータ回路150及び駆動装置1000の特性が向上する。
【0205】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の車両は、第1の実施形態の半導体装置を備える車両である。
【0206】
図51は、第7の実施形態の車両の模式図である。第7の実施形態の車両1100は、鉄道車両である。車両1100は、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0207】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュールで構成される。3個の半導体モジュールを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。モーター140により車両1100の車輪90が回転する。
【0208】
第7の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、車両1100の特性が向上する。
【0209】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の車両は、第1の実施形態の半導体装置を備える車両である。
【0210】
図52は、第8の実施形態の車両の模式図である。第8の実施形態の車両1200は、自動車である。車両1200は、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0211】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュールで構成される。3個の半導体モジュールを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。
【0212】
インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。モーター140により車両1200の車輪90が回転する。
【0213】
第8の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、車両1200の特性が向上する。
【0214】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の昇降機は、第1の実施形態の半導体装置を備える昇降機である。
【0215】
図53は、第9の実施形態の昇降機(エレベータ)の模式図である。第9の実施形態の昇降機1300は、かご610、カウンターウエイト612、ワイヤロープ614、巻上機616、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0216】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュールで構成される。3個の半導体モジュールを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。
【0217】
インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。モーター140により巻上機616が回転し、かご610が昇降する。
【0218】
第9の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、昇降機1300の特性が向上する。
【0219】
以上、第1ないし第5の実施形態では、炭化珪素の結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造の炭化珪素に適用することも可能である。
【0220】
また、第6ないし第9の実施形態においては、第1の実施形態の半導体装置を備える場合を例に説明したが、第2ないし第5の実施形態の半導体装置を適用することも可能である。
【0221】
また、第6ないし第9の実施形態において、本発明の半導体装置を車両やエレベータに適用する場合を例に説明したが、本発明の半導体装置を例えば、太陽光発電システムのパワーコンディショナー等に適用することも可能である。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0223】
10 炭化珪素層
12 ソース電極(第1の電極)
12a コンタクト領域(一部)
12x 第1のコンタクト領域(一部)
12y 第2のコンタクト領域(別の一部)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16 ゲート電極
18 ゲート絶縁層
21 ゲートトレンチ(第1のトレンチ)
22 コンタクトトレンチ
22a コンタクトトレンチ(第2のトレンチ)
22b コンタクトトレンチ(第3のトレンチ)
23 シャロートレンチ(第4のトレンチ)
26 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
26a 第1の領域
26b 第2の領域
28 ボディ領域(第2の炭化珪素領域)
30 ソース領域(第3の炭化珪素領域)
32 電界緩和領域
32a 電界緩和領域(第4の炭化珪素領域)
32b 電界緩和領域(第5の炭化珪素領域)
34 高濃度領域(第6の炭化珪素領域)
36 ゲートトレンチ底部領域(第7の炭化珪素領域)
100 MOSFET(半導体装置)
150 インバータ回路
200 MOSFET(半導体装置)
300 MOSFET(半導体装置)
400 MOSFET(半導体装置)
500 MOSFET(半導体装置)
1000 駆動装置
1100 車両
1200 車両
1300 昇降機
P1 第1の面
P2 第2の面