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特許7539292監視システム、監視装置及び機械監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置及び機械監視方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240816BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G05B23/02 V
F04B49/10 311
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020172501
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022064023
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁 倩
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 裕太
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-198047(JP,A)
【文献】特開2002-82718(JP,A)
【文献】特開2019-79356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象機械の監視対象項目の値を検出する監視装置であって、前記監視装置の設置状態の情報と、所定の動作を起こす契機となる前記監視対象項目の値の閾値と、を含む固有情報を記憶可能な監視装置と、
前記監視装置から、前記固有情報と、前記監視装置が検出した前記監視対象項目の値に関する検出情報と、を含む監視関連情報を収集する上位機器であって、前記監視対象機械から離れた位置に設けられた上位機器と、を備え、
前記上位機器は、
前記監視装置から前記監視関連情報を所定のタイミングで収集し、
前記監視装置から収集した前記監視関連情報のうち前記固有情報が保存されていない場合に少なくとも前記固有情報を保存し、
前記監視装置から収集した前記固有情報のうちの前記設置状態の情報と、保存されている前記設置状態の情報と、を比較して相違点が存在する場合に前記監視装置が交換されたと判断し、
前記監視装置が交換されたと判断したときに、保存されている前記固有情報の前記閾値のうちの、交換された前記監視装置から収集した前記固有情報に含まれていなかった部分の閾値を少なくとも含む返信情報を、前記監視装置に送信するように構成され、
前記監視装置は、前記上位機器から受信した前記閾値のうち、少なくとも記憶されていない部分の閾値を記憶するように構成されていると共に、検出した前記監視対象項目の値が、前記監視装置が前記監視対象機械に設置された後に記憶された前記閾値であって前記上位機器から受信して記憶された前記閾値を含む前記閾値を超えた場合に、前記所定の動作を起こすように構成されている
監視システム。
【請求項2】
前記監視装置を複数備え、
前記上位機器は、前記固有情報の保存と、前記監視装置が交換されたか否かの判断と、前記返信情報の前記監視装置への送信とを、それぞれの前記監視装置について個別に行うように構成されている、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視装置が取り付けられた前記監視対象機械を複数備え、
前記上位機器は、複数の前記監視対象機械に取り付けられた前記監視装置のそれぞれと前記監視関連情報のやりとりを行うように構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記上位機器は、前記固有情報の一部として保存されている前記閾値を、前記監視装置から収集した前記検出情報に基づいて、機械学習モデルを用いて最適化し、最適化した前記閾値を前記返信情報に含めて前記監視装置に送信するように構成されている、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視対象機械は、ポンプ、コンプレッサ、タービン、ファン、ブロワ、冷凍機、及び冷却塔のうちの1種又は2種以上である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
監視対象機械を監視する監視装置であって、
前記監視対象機械の監視対象項目の値を検出する検出部と、
前記監視装置の設置状態の情報を記憶する設置状態記憶部と、
所定の動作を起こす契機となる前記監視対象項目の値の閾値の一部又は全部を、前記監視装置が前記監視対象機械に設置された後に記憶する閾値記憶部と、
前記監視対象機械から離れた位置に設けられた上位機器に対して前記閾値を含む情報の受け渡しを行う通信部と、を備え、
前記検出部が検出した前記監視対象項目の値が、前記上位機器から受信して記憶された前記閾値を含む前記閾値記憶部に記憶された前記閾値を超えた場合に、前記所定の動作を起こす、
監視装置。
【請求項7】
監視対象機械の監視対象項目の値を検出する監視装置から送られた監視関連情報を、前記監視対象機械から離れた位置に設けられた上位機器が所定のタイミングで収集する収集工程であって、
前記監視関連情報は、前記監視装置が検出した前記監視対象項目の値に関する検出情報と、固有情報と、を含み、
前記固有情報は、前記監視装置の設置状態の情報と、所定の動作を起こす契機となる前記監視対象項目の値の閾値と、を含む、収集工程と、
前記上位機器が、前記監視装置から収集した前記監視関連情報のうち前記固有情報が保存されていない場合に少なくとも前記固有情報を保存する保存工程と、
前記上位機器が、前記監視装置から収集した前記固有情報のうちの前記設置状態の情報と、保存されている前記設置状態の情報と、を比較する比較工程と、
前記上位機器が、前記比較工程において前記比較をした結果、相違点が存在する場合に前記監視装置が交換されたと判断する判断工程と、
前記上位機器が、前記判断工程において前記監視装置が交換されたと判断したときに、保存されている前記固有情報の前記閾値のうちの、交換された前記監視装置から収集した前記固有情報に含まれていなかった部分の閾値を少なくとも含む返信情報を、前記監視装置に返信する返信工程と、
前記監視装置が、前記上位機器から受信した前記閾値のうち、少なくとも記憶されていない部分の閾値を記憶する記憶更新工程と、を備え、
前記監視装置は、検出した前記監視対象項目の値が、前記監視装置が前記監視対象機械に設置された後に記憶された前記閾値であって前記上位機器から受信して記憶された前記閾値を含む前記閾値を超えた場合に、前記所定の動作を起こす、
機械監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視システム、監視装置及び機械監視方法に関し、特に監視装置への閾値の設定作業を簡略化する監視システム、監視装置及び機械監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、流体を移送するポンプ設備では、一般に、ポンプに取り付けたセンサによって、振動、温度、流量等の状態量を検出している。このようなポンプとセンサとを備えるポンプシステムとして、以下のものがある。そのポンプシステムは、ポンプ及びセンサの他に、このポンプの主軸に連結された回転軸を有する電動機と、この電動機と一体に設けられた制御装置とを備える。制御装置にはセンサの計測値に対する閾値と点検項目とが関連付けられて記憶されており、センサの計測値が対応する閾値を超えた場合に、制御装置は対応する点検項目を外部の端末装置に通知する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-180349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサの計測値に対する閾値と点検項目とが関連付けられた制御装置は、ポンプ等の監視対象機械から独立していると、1つの制御装置で複数台の監視対象機械について制御をすることが可能となって好適である。センサの計測値に対する閾値は、多数に及ぶ場合があると共に、センサが取り付けられた監視対象機械が同種のものであっても設置環境や監視対象機械の運転状況によって異なる場合が多い。他方、センサは、一般に、監視対象機械よりも寿命が短いため、監視対象機械よりも交換の頻度が高くなる傾向にある。継続して使用される監視対象機械に対してセンサを交換した場合、閾値を設定し直す必要があるが、閾値は種類が膨大にあるため、交換する度に設定し直すのに手間がかかる。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、センサ等の監視装置への閾値の設定作業を簡略化することができる監視システム、監視装置及び機械監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る監視システムは、監視対象機械の監視対象項目の値を検出する監視装置であって、前記監視装置の設置状態の情報と、所定の動作を起こす契機となる前記監視対象項目の値の閾値と、を含む固有情報を記憶可能な監視装置と、前記監視装置から、前記固有情報と、前記監視装置が検出した前記監視対象項目の値に関する検出情報と、を含む監視関連情報を収集する上位機器であって、前記監視対象機械から離れた位置に設けられた上位機器と、を備え、前記上位機器は、前記監視装置から前記監視関連情報を所定のタイミングで収集し、前記監視装置から収集した前記監視関連情報のうち前記固有情報が保存されていない場合に少なくとも前記固有情報を保存し、前記監視装置から収集した前記固有情報のうちの前記設置状態の情報と、保存されている前記設置状態の情報と、を比較して相違点が存在する場合に前記監視装置が交換されたと判断し、前記監視装置が交換されたと判断したときに、保存されている前記固有情報の前記閾値のうちの、交換された前記監視装置から収集した前記固有情報に含まれていなかった部分の閾値を少なくとも含む返信情報を、前記監視装置に送信するように構成され、前記監視装置は、前記上位機器から受信した前記閾値のうち、少なくとも記憶されていない部分の閾値を記憶するように構成されている。
【0007】
このように構成すると、監視装置に閾値が含まれていない場合に、上位機器に保存されている閾値を返信情報に含めて監視装置に送信することができ、監視装置を交換したときに、比較的煩雑になりがちな閾値の監視装置への設定作業を簡略化することができる。
【0008】
第2の態様に係る監視システムは、上記第1の態様に係る監視システムにおいて、前記監視装置を複数備え、前記上位機器は、前記固有情報の保存と、前記監視装置が交換されたか否かの判断と、前記返信情報の前記監視装置への送信とを、それぞれの前記監視装置について個別に行うように構成されている。
【0009】
このように構成すると、複数の監視装置が存在して交換時期が異なる場合であっても適切に閾値を引き継ぐことができる。
【0010】
第3の態様に係る監視システムは、上記第1の態様又は第2の態様に係る監視システムにおいて、前記監視装置が取り付けられた前記監視対象機械を複数備え、前記上位機器は、複数の前記監視対象機械に取り付けられた前記監視装置のそれぞれと前記監視関連情報のやりとりを行うように構成されている。
【0011】
このように構成すると、各監視装置に対して監視対象機械の特性に適合した設定が行われた監視システムを提供することができる。
【0012】
第4の態様に係る監視システムは、上記第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る監視システムにおいて、前記上位機器は、前記固有情報の一部として保存されている前記閾値を、前記監視装置から収集した前記検出情報に基づいて、機械学習モデルを用いて最適化し、最適化した前記閾値を前記返信情報に含めて前記監視装置に送信するように構成されている。
【0013】
このように構成すると、機械学習モデルを用いて閾値を最適化するので、より精度の高い閾値を設定することができる。
【0014】
第5の態様に係る監視システムは、上記第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る監視システムにおいて、前記監視対象機械は、ポンプ、コンプレッサ、タービン、ファン、ブロワ、冷凍機、及び冷却塔のうちの1種又は2種以上である。
【0015】
このように構成すると、種々の監視対象機械について、監視装置への閾値の設定作業を簡略化することができる。
【0016】
第6の態様に係る監視装置は、監視対象機械を監視するものであって、前記監視対象機械の監視対象項目の値を検出する検出部と、前記監視装置の設置状態の情報を記憶する設置状態記憶部と、所定の動作を起こす契機となる前記監視対象項目の値の閾値の一部又は全部を、前記監視装置が前記監視対象機械に設置された後に記憶する閾値記憶部と、前記監視対象機械から離れた位置に設けられた上位機器に対して情報の受け渡しを行う通信部と、を備える。
【0017】
このように構成すると、閾値記憶部を備えるので、閾値を超えた場合に迅速に検出することができ、所定の動作を迅速に起こすことができる。
【0018】
第7の態様に係る機械監視方法は、監視対象機械の監視対象項目の値を検出する監視装置から送られた監視関連情報を、前記監視対象機械から離れた位置に設けられた上位機器が所定のタイミングで収集する収集工程であって、前記監視関連情報は、前記監視装置が検出した前記監視対象項目の値に関する検出情報と、固有情報と、を含み、前記固有情報は、前記監視装置の設置状態の情報と、所定の動作を起こす契機となる前記監視対象項目の値の閾値と、を含む、収集工程と、前記上位機器が、前記監視装置から収集した前記監視関連情報のうち前記固有情報が保存されていない場合に少なくとも前記固有情報を保存する保存工程と、前記上位機器が、前記監視装置から収集した前記固有情報のうちの前記設置状態の情報と、保存されている前記設置状態の情報と、を比較する比較工程と、前記上位機器が、前記比較工程において前記比較をした結果、相違点が存在する場合に前記監視装置が交換されたと判断する判断工程と、前記上位機器が、前記判断工程において前記監視装置が交換されたと判断したときに、保存されている前記固有情報の前記閾値のうちの、交換された前記監視装置から収集した前記固有情報に含まれていなかった部分の閾値を少なくとも含む返信情報を、前記監視装置に返信する返信工程と、前記監視装置が、前記上位機器から受信した前記閾値のうち、少なくとも記憶されていない部分の閾値を記憶する記憶更新工程と、を備える。
【0019】
このように構成すると、監視装置に閾値が含まれていない場合に、上位機器に保存されている閾値を返信情報に含めて監視装置に送信することができ、監視装置を交換したときに、比較的煩雑になりがちな閾値の監視装置への設定作業を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、監視装置を交換したときに、比較的煩雑になりがちな閾値の監視装置への設定作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態に係る監視システムの概略構成図である。
図2】本実施の形態に係る監視システムが備えるセンサ及び上位機器の概略構成図である。
図3】交換したセンサへの閾値の再設定を行う手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0023】
まず図1を参照して、本実施の形態に係る監視システム1を説明する。図1は、監視システム1の概略構成図である。監視システム1は、監視対象機械としてのポンプ19の運転状態を監視するシステムである。監視システム1は、典型的には、複数台のポンプ19について、1つ又は複数の点検項目を遠隔で監視することで、ポンプ19に不具合が発生する前にメンテナンスを行うことを目指すシステムである。監視システム1は、ポンプ19に取り付けられたセンサ10と、上位機器20とを含んで構成されている。
【0024】
監視対象となるポンプ19は、管理対象領域内に設置されている。管理対象領域は、例えば、工場、オフィスビルの機械室等の、監視対象項目の値(状態量)を取得すべきセンサ10が設置されたポンプ19が配置された場所である。図1では、ポンプ19A及びポンプ19Bが、それぞれ複数のセンサ10を有する例を示している。図1に示す例では、ポンプ19Aは、モータに取り付けられたセンサ10Aと、架台に取り付けられたセンサ10Bと、軸受に取り付けられたセンサ10Cとを有している。ポンプ19Bは、軸受に取り付けられたセンサ10Dと、ポンプハウジングに取り付けられたセンサ10Eとを有している。各センサ10A、10B、10C、10D、10Eは、それぞれ、取り付けられた部位に関する状態量を検出する独立したものであるが、共通の性質を説明するときは「センサ10」と総称する。同様に、各ポンプ19A、19Bは、それぞれ、独立した機能を発揮するものであるが、共通の性質を説明するときは「ポンプ19」と総称する。センサ10を上記のような位置に取り付ける際、取り付ける部分が非磁性体である場合やセンサ10の取付面に適合しない形状の面を有する場合は接着剤を用いるとよく、センサ10の付け外しを容易にする観点からは磁石で取り付けるようにするとよい。
【0025】
図1に示す例では、ポンプ19Aが3つのセンサ10A、10B、10Cを有し、ポンプ19Bが2つのセンサ10D、10Eを有している。しかしながら、ポンプ19A及び/又はポンプ19Bに取り付けられた各センサ10の数は必要に応じて増減してもよく、ポンプ19の数も必要に応じて増減してもよい。監視システム1が複数のセンサ10を備える態様としては、典型的には、1台に複数のセンサ10が設置されたポンプ19を複数台備える場合が挙げられる。しかし、1台に1つのセンサ10が設置されたポンプ19を複数台備えることとしてもよい。又は、1台に複数のセンサ10が設置されたポンプ19を1台備えることとしてもよい。あるいは、1台に複数のセンサ10が設置されたポンプ19と1台に1つのセンサ10が設置されたポンプ19とを合わせて複数台備えることとしてもよい。引き続き、監視システム1の各構成要素を説明する。
【0026】
センサ10は、ポンプ19の監視対象項目の値(典型的には物理量)を検出するものであり、監視装置に相当する。センサ10は、検出した監視対象項目の値が閾値を超えたか否かを監視することで、監視しているポンプ19の異常の有無を検出することができるように構成されている。また、センサ10は、上位機器20と通信することができ、上位機器20との間で情報(データ)をやりとりすることができるように構成されている。センサ10は、典型的には、電力で作動するように構成されている。センサ10は、典型的にはポンプ19に供給される電力(通常は商用電源からの電力)の一部を受電して作動するように構成されている。しかしながら、商用電源が停電したときの補助としてバッテリが併設されていてもよい。あるいは、商用電源を用いずにバッテリのみで作動するように構成されていてもよい。
【0027】
図2に示す、センサ10及び上位機器20の概略構成図を用いて、本実施の形態におけるセンサ10の概略構成を説明する。センサ10は、検出部11と、設置状態記憶部12と、閾値記憶部13と、通信部14とを含んでいる。検出部11は、センサ10が取り付けられたポンプ19の部分の監視対象項目の値(状態量)を検出するものである。検出部11が検出する監視対象項目として、振動、温度、圧力、電流、電圧等を挙げることができる。センサ10には、1つのセンサ10が複数種類の監視対象項目を検出するように構成されているものもあれば、1つのセンサ10が1種類の監視対象項目を検出するように構成されているものもある。本実施の形態では、センサ10Aが電流を検出し、センサ10Bが振動、温度、漏れを検出し、センサ10C、10Dはセンサ10Bと同様に構成されており、センサ10Eが圧力を検出するように構成されている。
【0028】
設置状態記憶部12は、センサ10の設置状態の情報を記憶する部位である。設置状態の情報には、当該センサ10を識別する固有アドレスが含まれている。固有アドレスは、センサ10ごとに割り振られたアドレスであり、当該センサ10以外の他のセンサ10と区別できるアドレスである。具体例を挙げると、センサ10A、10B、10C、10D、10Eは、それぞれ相互に異なる固有アドレスが割り振られている。また、設置状態の情報は、固有アドレスのほか、製品固有アドレス、機種情報、取付位置、GPS情報、電波強度、及びその他の必要な情報のうちの1つ又は複数が、必要に応じて含まれている。製品固有アドレスは、そのセンサ10の種別を特定するアドレスであり、種類が同じ(典型的には同製品)であれば同じアドレスが割り振られるものである。つまり、製品固有アドレスは、複数のセンサ10に同じものが付与される場合があり得る。具体例を挙げると、センサ10B、10C、10Dは、いずれも振動等検出用の製品として同じ製品固有アドレスが割り振られているが、その製品固有アドレスは、電流用の製品であるセンサ10Aや圧力用の製品であるセンサ10Eに割り振られたものとは異なる。機種情報は、センサ10が取り付けられた監視対象機械の種類の情報であり、本実施の形態ではポンプとなる。取付位置は、取付場所(管理対象領域内のどこに設置されているか)及び/又は取付箇所(ポンプ19のどの部分に設置されているか)を含んでいる。取付位置の情報は、GPS情報から推定されることとしてもよい。電波強度は、当該センサ10が上位機器20と通信する際や巡回監視員が参照するための携帯端末機器(スマートフォン等)などと通信する際の電波の強度の情報である。典型的には、固有アドレス及び製品固有アドレスは、センサ10の製造時に記憶される。機種情報、取付位置、GPS情報、電波強度、及びその他の必要な情報は、通常、必要に応じて事後的(センサ10の製造後で、典型的には所望の位置に設置された後)に記憶される。この事後的に記憶される種類の情報は、典型的には、管理者の指令(デバイスを介した入力による指示等)により、消去することが可能になっている。
【0029】
閾値記憶部13は、ポンプ19の監視対象項目の値の閾値を記憶する部位である。閾値は、監視対象機械であるポンプ19の状態を判定するのに用いられるものであり、ポンプ19に関連して、所定の動作を起こす契機となる監視対象項目の値である。所定の動作は、典型的には警報の発報であるが、例えばポンプ19を減速運転させる等の運転条件の変更等であってもよい。閾値は、監視対象項目ごとに設定される。したがって、1つのセンサ10に1つの閾値が設定されるものもあれば、1つのセンサに複数の閾値が設定されるものもある。また、同じ機種の複数のポンプ19に同種のセンサ10がそれぞれ取り付けられる場合でも、ポンプ19の設置環境や運転状況によって、閾値の設定は異なるものになる場合がある。つまり、設定される閾値は、センサ10ごとに特有の値となる。このように設定された閾値が、閾値記憶部13に記憶されることとなる。閾値記憶部13に記憶された閾値は、典型的には、管理者の指令(デバイスを介した入力による指示等)により、消去することが可能になっている。閾値は、初期設定時は監視対象項目の特性等を考慮して比較的余裕を持って決定するとよい。その後、運用状況に照らして適宜アップデート(更新)してもよい。
【0030】
通信部14は、アンテナ等の、上位機器20と無線通信を行うのに必要な部品を有している部位である。通信部14は、検出部11、設置状態記憶部12、及び閾値記憶部13のそれぞれとデータのやりとりをすることができるように構成されている。そして、通信部14は、上位機器20に向けて送信するデータを、検出部11、設置状態記憶部12、及び閾値記憶部13から受け取ることができるように構成されている。また。通信部14は、上位機器20から受信したデータを、設置状態記憶部12及び/又は閾値記憶部13に受け渡すことができるように構成されている。ここで、センサ10から上位機器20へ送信する情報(データ)を、総称して監視関連情報ということとする。監視関連情報には、検出情報と固有情報とが含まれる。検出情報は、検出部11が検出した監視対象項目の値に関する情報である。固有情報には、設置状態記憶部12に記憶されたセンサ10の設置状態の情報と、閾値記憶部13に記憶された閾値とが含まれる。
【0031】
センサ10は、上述のように、検出部11、設置状態記憶部12、閾値記憶部13、及び通信部14を備えており、図2では、説明の便宜のために、これらを機能の観点から区別して示している。しかしながら、これらの部位11、12、13、14は、センサ10の一部として渾然一体に構成されていてもよい。また、検出部11、設置状態記憶部12、閾値記憶部13、及び通信部14は、図2では、相互に近接して配置されているように示されているが、これらの各部のうちの1つ又は複数の部分が物理的に分かれて構成されていてもよい。
【0032】
上位機器20は、センサ10から送られてきた監視関連情報を収集する機器である。上位機器20は、センサ10が取り付けられたポンプ19から離れた位置に設けられている。典型的には、上位機器20は、ポンプ19が設置された管理対象領域の外に設けられている。上位機器20は、状況に応じて、単一の機器で構成される場合もあり、ネットワークで接続された複数の機器で構成される場合もある。上位機器20を構成するものの具体例として、ゲートウェイ(GateWay)などの中継器、センサ10と同じローカルネットワークに存在するサーバ(コンピュータ)、インターネットや公衆回線を介して接続されたサーバ(クラウド含む)等が挙げられる。中継器は、エッジユニットが接続されていてもよい。また、スマートフォン、タブレット型携帯端末、ラップトップ(ノートパソコン)等も上位機器20の一部又は全部を構成する場合もあり得る。図2に示すように、上位機器20は、通信部21と、保存部22と、判断部23と、最適化部24とを含んでいる。図2では、説明の便宜のために、これらの部位21、22、23、24を機能の観点から区別して示しているが、上位機器20の一部として渾然一体に構成されていてもよい。あるいは、これらの部位21、22、23、24のうちの1つ又は複数の部分が、物理的に分かれて構成されていて、離れた場所に設けられていてもよい。
【0033】
通信部21は、アンテナ等の、センサ10と無線通信を行うのに必要な部品を有している部位である。通信部21は、上位機器20を構成しない外部の機器(例えば単なる状態参照用の携帯端末)と無線通信又は有線通信を行うのに必要な部品を有していてもよい。通信部21は、センサ10から受信した監視関連情報を上位機器20内の必要な部位に受け渡し、及びセンサ10に向けて送信(返信)するデータを上位機器20内の必要な部位から受け取ることができるように構成されている。通信部21は、センサ10から、監視関連情報を、所定のタイミングで受信するように構成されている。所定のタイミングは、定期的(例えば数秒又は数分ごとの所定の間隔)であってもよく、連続的であってもよい。通信部21が所定のタイミングでセンサ10から監視関連情報を受信することで、上位機器20はセンサ10から監視関連情報を収集することができる。上位機器20からセンサ10に返信するデータは、返信情報が含まれる。返信情報には、閾値が含まれ得る。
【0034】
保存部22は、センサ10から受信した監視関連情報のうち、固有情報を保存する部位である。保存部22は、上位機器20が複数のセンサ10と通信する場合に、センサ10ごとに固有情報を保存するように構成されている。したがって、保存部22は、本実施の形態では、センサ10Aの固有情報、センサ10Bの固有情報、センサ10Cの固有情報、センサ10Dの固有情報、センサ10Eの固有情報が、区別して保存されている。なお、保存部22に保存される固有情報は、上位機器20との通信が許可された(認証された)センサ10に関するものとなっている。上位機器20とセンサ10との認証は、例えば、両者を通信する際の電波強度を検出することで、当該管理対象領域に入場可能な監視員が所持する携帯端末によって行うようにしてもよい。保存部22は、保存されている情報を、典型的には、管理者の指令(デバイスを介した入力による指示等)により、部分的(例えばセンサごと)に又は一括して消去することが可能になっている。
【0035】
判断部23は、センサ10から受信した固有情報のうちの設置状態の情報を、保存部22に保存されている設置状態の情報と照合して、センサ10が交換されたか否かを判断する部位である。判断部23は、センサ10から受信した設置状態の情報と、保存部22に保存されている設置状態の情報と、を比較して、相違点が存在する場合にセンサ10が交換されたと判断することとしている。特に、両者を比較して固有アドレスが相違している場合は、センサ10が交換されたと判断することができる。センサ10が交換された場合は、閾値が欠落している場合が多く(典型的には閾値未設定のための欠落)、この点において、閾値の有無という固有情報の相違点が存在することとなる。交換されたセンサ10は、ポンプ19に取り付けられる前に、閾値の一部があらかじめ閾値記憶部13に記憶されていてもよい。なお、両者を比較して、固有アドレスに相違点はないがその他の設置状態の情報が変わっている場合、例えばGPS情報や取付位置等に相違点が存在する場合、センサ10が移設されて別の場所で使われることとなったと判断することができる。センサ10が移設されたと判断した場合、前述のように、設定される閾値が設置環境や運転状況等に応じた特有の値となることに鑑みて、新規にセンサ10を設置した場合と同様に扱うこととする。つまり、センサ10が移設された場合(ポンプ19と共に移設された場合を含む)は、センサ10が交換された場合に含まれないこととする。センサ10が移設された場合の取り扱いについては後述する。
【0036】
最適化部24は、保存部22に保存されている閾値の最適化を図る部位である。最適化部24は、機械学習モデルを実行可能なプログラムが実装されている。最適化部24は、複数のセンサ10から収集した監視対象項目のデータを、機械学習して、より精度の高い閾値を導き出すことができるように構成されている。最適化部24は、ローカルネットワーク内に配置されていてもよいが、クラウド上に配置されていてもよい。最適化部24がクラウド上に配置されていると、適時にアップデートされた機械学習モデルを利用しやすくなる。なお、機械学習モデルを利用するに際し、監視対象項目のデータが一定程度(例えばデータのパターンや関連性を一応推定できる程度)集まるまでは閾値の精度が十分ではない場合がある。この点を考慮して、最適化部24は、閾値の初期設定時は機械学習モデルを用いた最適化を行わず、監視対象項目のデータが一定程度集まった後に機械学習モデルを用いた最適化を行うように構成されている。
【0037】
上述のように構成されたセンサ10と上位機器20とは、前述のように、相互に無線通信ができるように構成されている。無線通信の手段は、典型的には国際規格の通信手段が用いられる。国際規格の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802.15.4gなどの方式がある。また、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)等を用いることもできる。
【0038】
監視システム1を構築する際は、管理対象領域内に新たに設置されたポンプ19に、及び/又は、元から管理対象領域内に設置されていたポンプ19に、センサ10を取り付ける。センサ10は、ポンプ19の監視対象項目を検出できる箇所に、必要な数を取り付ける。ポンプ19に新たに取り付けるセンサ10には、通常、センサ10自体に関する情報である固有アドレス及び製品固有アドレスがあらかじめ記憶されている。しかし、新たなセンサ10には、通常、製造時に明確ではない機種情報、取付位置、GPS情報、電波強度、閾値等は記憶されていない。記憶されていないこれらの情報は、当該センサ10との接続が認証されたタブレット型携帯端末等から入力してセンサ10に転送することにより、センサ10に記憶させることができる。また、センサ10が移設された場合、典型的には、管理者は、設置状態記憶部12に記憶されていた事後的に記憶される種類の情報(機種情報、取付位置、GPS情報、電波強度等)、閾値記憶部13に記憶されていた閾値、保存部22に保存されていた当該センサ10の固有情報を消去する。特に、保存部22に保存されていた当該センサ10の固有情報が消去されることで、判断部23において情報が比較されて、固有アドレスに相違点はないがその他の設置状態の情報が変わっていると判断される場合が原則としてなくなる。これらの情報を消去したら、管理者は、センサ10を新たに取り付けた場合と同様に、事後的に記憶される種類の情報及び閾値を、当該センサ10との接続が認証されたタブレット型携帯端末等から入力・転送してセンサ10に記憶させることができる。
【0039】
監視システム1は、監視対象機械であるポンプ19が稼働しているとき、センサ10が監視対象項目の値を検出する。センサ10は、検出した監視対象項目の値を、他の情報と共に、監視関連情報として、所定のタイミングで、上位機器20へ送信する。上位機器20へ送信された監視対象項目の値は、最適化部24における機械学習モデルの基礎情報として用いられる。また、センサ10は、検出した監視対象項目の値を、閾値記憶部13に記憶されている閾値と比べる。センサ10は、検出した監視対象項目の値が閾値を超えていない場合は、所定の動作を起こさせない。監視対象項目の値が閾値を超えていない場合、ポンプ19に問題が生じていないと推定され、ポンプ19の通常運転が継続される。他方、監視対象項目の値が閾値を超えた場合、センサ10は、ポンプ19に異常が生じたと推定して、警報を発報する(所定の動作を起こす)。警報の発報は、典型的には、センサ10で警報信号を発生させ、上位機器20を介して、監視員が監視している装置に通知することで行われる。警報を認識した監視員は、ポンプ19の異常を認識した時点で当該ポンプ19を点検する等の対処をすることができ、他のポンプ19よりも故障する可能性が高いポンプ19に対して故障する前にメンテナンスを行うことが可能になる。本実施の形態に係る監視システム1は、検出した監視対象項目の値が閾値を超えたか否かをセンサ10で判断しているので、遠隔にあるコンピュータで判断するのに比べて、タイムラグの発生を抑制することができ、異常が生じた場合に迅速に対処することができる。
【0040】
上述のように作用している監視システム1において、センサ10は、通常、ポンプ19よりも寿命が短いため、ポンプ19を交換する前にセンサ10を交換する場合が生じ得る。センサ10を交換した場合、機種情報や取付位置の情報等をはじめ、閾値をも再設定することになる。前述のように、設定される閾値は、設置環境や運転状況に応じた、センサ10ごとに特有の値となるため、閾値を一律に設定することができず、監視システム1が有するセンサ10の数が多くなるほど閾値の設定作業が煩雑になる。また、前述のように閾値の数が多い場合、再設定を人手で行おうとすると、時間と手間が掛かる。また、監視システム1を監視している監視員とセンサ10を交換する交換作業者とが異なる場合、交換作業者がセンサ10の交換を行った後に監視員が再設定を行うこととなり、当該センサ10が監視を中断する期間が長くなってしまう。本実施の形態に係る監視システム1では、センサ10交換後の閾値の再設定を省力化するため、また、交換するセンサ10の監視中断期間をできるだけ短くするため、以下のような動作を行わせることとしている。
【0041】
図3は、交換したセンサ10への閾値の再設定を行う手順を説明するフローチャートである。以下の説明において、監視システム1の構成に言及しているときは、適宜図1及び図2を参照することとする。監視システム1は、通常時は、前述のように、上位機器20が、各センサ10から、所定のタイミングで、監視関連情報を収集している(収集工程:S1)。上位機器20は、監視関連情報を収集したら、収集した監視関連情報のうちの固有情報について、保存部22に保存されていない項目があるか否かを判断する(S2)。保存部22に保存されていない項目がある場合は、その保存されていない項目を保存部22に保存する(保存工程:S3)。その後、上位機器20が監視関連情報を収集する工程(S1)に戻る。
【0042】
他方、センサ10から収集した固有情報で保存部22に保存されていない項目があるか否かを判断する工程(S2)において、保存されていない項目がない場合は、収集した設置状態の情報と保存部22に保存されている設置状態の情報とを比較する(比較工程:S4)。収集した設置状態の情報と保存部22に保存されている設置状態の情報とを比較したら、相違点があるか否かを判断する(S5)。両者に相違点がない場合は、上位機器20が監視関連情報を収集する工程(S1)に戻る。他方、両者に相違点がある場合は、相違点があるセンサ10が交換されたものであると判断する(判断工程:S5でYES)。センサ10が交換されたものであると判断したら、上位機器20は、返信情報を、センサ10へ返信する(返信工程:S6)。返信情報には、保存部22に保存されている閾値であって、センサ10から収集した固有情報には含まれていなかった閾値が含まれる。また、センサ10から収集した固有情報に、機種情報や取付位置の情報等の、閾値の他に含まれていない情報がある場合は、当該含まれていない情報を返信情報に含めることとしてもよい。
【0043】
センサ10は、上位機器20からの返信情報を受け取ったら、返信情報に含まれている閾値のうち、少なくとも、閾値記憶部13に記憶されていない閾値を記憶する(記憶更新工程:S7)。この記憶更新工程では、上位機器20から受け取った返信情報に、閾値以外の固有情報が含まれている場合は、設置状態記憶部12に記憶されていない設置状態の情報を記憶するとよい。このように、センサ10が交換された場合に、交換されたセンサ10に記憶されていない情報を、上位機器20に保存されている情報から自動的に補填することができるので、比較的煩雑になりがちな閾値等の再設定を簡便に行うことができる。また、監視員と交換作業者が異なる場合であっても、閾値等の再設定が自動的に行われるため、交換したセンサ10による監視の中断期間を最小限にすることができる。交換されたセンサ10に不足していた情報を記憶させたら、監視システム1による監視対象項目の監視を終了する旨の指令があったか否かを判断する(S8)。終了しない場合は上位機器20が監視関連情報を収集する工程(S1)に戻り、以降、上述の工程を繰り返す。他方、監視を終了する旨の指令があった場合は、監視を終了する。
【0044】
なお、上述のフロー中の比較工程(S4)において、センサ10から収集した設置状態の情報と保存部22に保存されている設置状態の情報だけでなく、閾値を含む固有情報同士をも比較することとしてもよい。比較の結果、両者の閾値が異なっている場合として、センサ10から収集した固有情報中の閾値の全部又は一部が欠落している部分がある場合のほか、閾値の欠落はないが保存部22に保存されている閾値と異なる場合が挙げられる。この場合、保存部22に保存されている閾値は、最適化部24における機械学習モデルを利用した計算によって、更新されたものであり得る。最適化部24で最適化された閾値を返信情報に含めてセンサ10に送信することで、センサ10の閾値記憶部13に記憶されている閾値を最適化されたものに更新することができ、より精度の高い閾値を設定することができる。また、上述のフロー中の判断工程(S5)において、固有アドレスに相違点はないがその他の設置状態の情報に相違があって(情報の欠落を含む)センサ10が移設されたと判断した場合は、警報を発報するように構成するとよい。センサ10の移設が適切に行われた場合は、原則としてセンサ10が移設されたと判断されることはないが、保存部22の当該センサ10に関する情報の消去が行われていなかった場合は、センサ10が移設されたと判断される場合がある。このような場合に対処するため、センサ10が移設されたと判断された場合に、警報を発報して監視員の注意を喚起して、適切な設定(初期設定と同様の設定)を促すとよい。なお、前述のように、一般的には、センサ10の寿命がポンプ19の寿命よりも短いため、ポンプ19を交換せずにセンサ10を交換する場合が多い。しかし、ポンプ19の交換が必要になったときの少し前にセンサ10を交換した場合等、ポンプ19は交換するがセンサ10は引き続き利用する場合があり得る。このとき、新設のポンプ19と撤去するポンプ19とで仕様(流量、圧力等)が変わらない場合は、継続使用するセンサ10に記憶されている固有情報や、上位機器20の保存部22に記憶されている情報を消去しなくてもよいことは言うまでもない。
【0045】
以上で説明したように、本実施の形態に係る監視システム1によれば、センサ10を交換した際に、あらかじめ上位機器20に保存されていた情報を新たなセンサ10に設定することができるので、再設定作業を簡略化することができる。
【0046】
以上の説明では、監視対象機械がポンプ19であるとして説明したが、ポンプのほか、コンプレッサ、タービン、ファン、ブロワ、冷凍機、又は冷却塔等であってもよく、あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。監視対象機械が上述のような回転機械の場合、振動を監視対象項目の1つとして採用するとよい。監視対象機械は、監視対象項目を有する各種の機械が該当し得る。
【0047】
以上の説明では、上位機器20が最適化部24を有しているとしたが、機械学習モデルを利用した閾値の最適化を行わない場合は、最適化部24を省略することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 監視システム
10 センサ
11 検出部
12 設置状態記憶部
13 閾値記憶部
14 通信部
19 ポンプ
20 上位機器
図1
図2
図3