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特許7539318インゴットネック引張速度の移動平均の監視を伴うシリコンインゴットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】インゴットネック引張速度の移動平均の監視を伴うシリコンインゴットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/20 20060101AFI20240816BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C30B15/20
C30B29/06 502J
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020572822
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019038933
(87)【国際公開番号】W WO2020005909
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】16/021,948
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ウー・チュン-シェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ・フォン-チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チ-ユン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ・ヨン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン・シエン-タ
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-118585(JP,A)
【文献】特開2007-022864(JP,A)
【文献】特開2016-183072(JP,A)
【文献】特開2010-053015(JP,A)
【文献】特開2016-056086(JP,A)
【文献】特開2018-062428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 15/20
C30B 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネックおよびネックから吊り下げられた本体を有する単結晶シリコンインゴットを製造するための方法であって、前記方法は、
るつぼ内に保持されたシリコン溶融物と種結晶を接触させるステップと、
シリコン溶融物からネックを引っ張るステップであって、ネック成長中にネックの引張速度を変えることによりネックを所望のネック直径に成長させるステップと、
ネックがシリコン溶融物から引っ張られる引張速度を測定するステップと、
測定された引張速度から移動平均を計算するステップと、
測定された引張速度の移動平均を目標範囲と比較するステップと、
移動平均が目標範囲内の場合は、インゴット本体を溶融物から引っ張り、本体がネックから吊り下げられ、ネック成長中の移動平均が目標範囲外である場合、本体は溶融物から成長せずインゴット成長は終了するステップであって、ネック成長中の移動平均が目標範囲外である場合、制御ユニットは、種結晶の引張速度を調節し、インゴット成長の終了を開始するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
インゴット成長が終了するステップは、ネックを溶融物内に下降させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ネックは、第1のネックであり、前記方法は、
本体が第1のネックから成長していない場合は、シリコン溶融物から第2のネックを引っ張るステップと、
第2のネックがシリコン溶融物から引っ張られる引張速度を測定するステップと、
第2のネックの測定された引張速度から移動平均を計算するステップと、
第2のネックの測定された引張速度の移動平均を目標範囲と比較するステップと、
第2のネックの測定された引張速度の移動平均が目標範囲内にあり、本体が第2のネックから吊り下げられている場合、インゴット本体を溶融物から引っ張るステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記目標範囲は、最大移動平均を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記目標範囲は、最小移動平均を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記目標範囲は、最小移動平均および最大移動平均によって制限される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記移動平均は、時間平均される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記移動平均は、長さ平均である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
測定された引張速度の移動平均を目標範囲と比較するステップは、ネックの一部についてのみ行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
測定された引張速度の移動平均を目標範囲と比較するステップは、ネックの全長に対して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
インゴット本体を支持するために使用されるネックの品質を制御するための方法であって、ネックは、シリコン溶融物から引っ張られ、前記方法は、
ネックがシリコン溶融物から引っ張られる引張速度を測定するステップであって、ネック成長中にネックの引張速度を変えることによりネックを所望のネック直径に成長させるステップと、
測定された引張速度から引張速度の移動平均を計算するステップと、
測定された引張速度の移動平均を目標範囲と比較するステップと、
移動平均が目標範囲外にある場合、ネックの成長を終了する信号を送信し、ネックを溶融物に下げることによってネックの成長を終了させるステップと、
を含む方法。
【請求項12】
インゴット本体を支持するために使用されるネックの品質を制御するための方法であって、ネックは、シリコン溶融物から引っ張られ、前記方法は、
ネックがシリコン溶融物から引っ張られる引張速度を測定するステップであって、ネック成長中にネックの引張速度を変えることによりネックを所望のネック直径に成長させるステップと、
測定された引張速度から引張速度の移動平均を計算するステップと、
測定された引張速度の移動平均を目標範囲と比較するステップと、
移動平均が目標範囲外にある場合、ネックの成長を終了する信号を送信し、ネックの引張速度を増加させてエンドコーンを形成し、ネックが形成されたインゴットプーラからネックを除去することによってネックの成長を終了させるステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記目標範囲は、最大移動平均を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記目標範囲は、最小移動平均を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記目標範囲は、最小移動平均および最大移動平均によって制限される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記目標範囲は、最大移動平均を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記目標範囲は、最小移動平均を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記目標範囲は、最小移動平均および最大移動平均によって制限される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
単結晶シリコンインゴットを製造するためのシステムであって、
シリコンインゴットが引っ張られる結晶プーラと、
結晶プーラ内に多結晶シリコン溶融物を保持するためのるつぼと、
シリコン溶融物に接触するための種を固定する種結晶チャックと、
インゴット本体が吊り下げられたネックの成長を制御するための制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、ネックの引張速度を調整して所望のネック直径を達成し、前記制御ユニットは、引張速度の移動平均を計算し、移動平均を目標移動平均と比較するように構成され、引張速度の移動平均が目標移動平均の内の場合は、インゴット本体を溶融物から引っ張って、本体がネックから吊り下げられ、引張速度の移動平均が目標移動平均の外にあるときは、前記制御ユニットはネックの成長を終了して、本体を成長しない、システム。
【請求項20】
前記システムは、ネックの成長を終了させるための終了機構をさらに備え、前記終了機構は、前記制御ユニットに通信可能に接続されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記終了機構は、技術者に警告するための警告信号を生成する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記警告信号は、技術者に警告する警報を引き起こす、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムは、ネックの引張速度を測定するためのセンサを備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年6月28日に出願された米国特許出願第16/021,948号の優先権を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、ネック成長中の引張速度を監視する単結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。いくつかの実施形態では、引張速度の移動平均が計算され、目標移動平均と比較されて、転位が除去されず、ネックがシリコンインゴット本体の製造に適していないかどうかが決定される。
【背景技術】
【0003】
半導体電子部品製造のほとんどの工程の出発原料である単結晶シリコンは、一般的にチョクラルスキー法(「Cz」)法で作製される。この方法では、多結晶シリコン(「ポリシリコン」)をるつぼに入れて溶融し、種結晶を溶融シリコンと接触させ、ゆっくりと抽出して単結晶を成長させる。結晶成長が始まると、種結晶を溶融物と接触させる熱衝撃から結晶内に転位が発生する。これらの転位は、成長中の結晶全体に伝播し、種結晶と結晶本体との間のネック領域で除去されない限り、増殖する。
【0004】
シリコン単結晶内の転位を除去するための従来の方法には、結晶本体の成長を開始する前に、直径(例えば、2~4mm)の小さいネックを高い結晶引張速度(例えば、最大6mm/分)で成長させて転位を完全に除去する、いわゆる「ダッシュネック法」を含む。一般に、これらの小径のネックでは、ネックの約100~約125mmが成長した後、転位を除去できる。転位が除去されると、結晶の直径が拡大されて「コーン」または「テーパ」部分が形成される。結晶の所望の直径に達すると、円筒形の本体は、ほぼ一定の直径を有するように成長する。
【0005】
転位を除去するための従来の方法は、ほとんど成功しているが、そのような方法は、インゴットの一定の直径の部分に伝播する転位を含むいくつかのネックをもたらす可能性がある。このようなインゴットは、デバイス製造には適さず、高コストで廃棄される。
【0006】
転位が除去されていないネックを検出して、転位のない第2のネックを成長させることができるシリコンインゴットの作製方法が必要である。
【0007】
このセクションは、本開示の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを意図しており、これらは、以下に説明および/または請求される。この議論は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にするための背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられている。したがって、これらの説明は、先行技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきであることを理解されたい。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、ネックとネックから吊り下げられた本体とを有する単結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。種結晶は、るつぼ内に保持されたシリコン溶融物と接触する。ネックは、シリコン溶融物から引っ張られる。ネックがシリコン溶融物から引っ張られる引張速度が測定される。測定された引張速度から移動平均が計算される。測定された引張速度の移動平均が目標範囲と比較される。移動平均が目標範囲内にあり、本体がネックから吊り下げられている場合、インゴット本体は、溶融物から引っ張られる。
【0009】
本開示の他の態様は、インゴット本体を支持するために使用されるネックの品質を制御するための方法に関するものであり、ネックは、シリコン溶融物から引っ張られる。ネックがシリコン溶融物から引っ張られる引張速度が測定される。引張速度の移動平均は、測定された引張速度から計算される。測定された引張速度の移動平均が目標範囲と比較される。移動平均が目標範囲外にある場合、ネックの成長を終了する信号が送信される。
【0010】
本開示のさらに他の態様は、単結晶シリコンインゴットを製造するためのシステムに関する。このシステムには、シリコンインゴットが引っ張られる結晶プーラが含まれている。このシステムには、結晶プーラ内に多結晶シリコン溶融物を保持するためのるつぼが含まれている。種結晶チャックは、シリコン溶融物に接触するための種を固定する。このシステムは、インゴット本体が吊り下げられているネックの成長を制御するための制御ユニットを含む。制御ユニットは、ネックの引張速度を調整する。制御ユニットは、引張速度の移動平均を計算し、移動平均を目標移動平均と比較するように構成されている。引張速度が目標移動平均の範囲外になると、制御ユニットは、ネックを終了する。
【0011】
本開示の上記の態様に関連して記載された特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、本開示の上記の態様に組み込まれ得る。これらの改良点と追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで存在する場合がある。例えば、本開示の例示された実施形態のいずれかに関連して以下で論じられる様々な特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで、本開示の上記の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】単結晶シリコンインゴットを形成するための引張装置の概略側面図である。
図2】チョクラルスキー法で成長させた単結晶シリコンインゴットの正面図の一部である。
図3】シリコン溶融物から単結晶シリコンインゴットを引っ張るために使用される結晶プーラ装置の断面図である。
図4】ネックの引張速度の移動平均に基づいてネックの成長を調節するための制御システムの例のブロック図である。
図5】例示的なサーバシステムのブロック図である。
図6】例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
図7】単結晶シリコンインゴットの成長中のネック引張速度の実際のおよび3分間の移動平均のグラフである。
図8図7の実際のネックの成長引張速度の0.5分間の移動平均、1分間の移動平均および2分間の移動平均のグラフである。
図9図7の実際のネックの成長引張速度の2分間の移動平均、3分間の移動平均、および5分間の移動平均のグラフである。
図10】転位のあるネックおよび転位のないネックの実際のネックの引張速度のグラフである。
図11】転位のあるネックおよび転位のないネックのネック引張速度の2分間の移動平均のグラフである。
図12】転位のあるネックおよび転位のないネックのネック引張速度の5分間の移動平均のグラフである。
図13】転位が除去されなかったネックと転位のないネックのネック引張速度の10分間の移動平均のグラフである。
【0013】
対応する参照文字は、図面全体の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の規定は、単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関するものであり、インゴットのネック部分の品質を監視して、ネックがインゴットの成長に適しているかどうか、またはネックを終了する必要があるかどうかを判断する(例えば、溶融物に戻されて溶融されるか、プーラから取り出される)。本開示の実施形態によれば、図1を参照して、インゴットは、インゴットプーラ23のるつぼ22内に保持されたシリコン溶融物44からインゴットが引き出される、いわゆるチョクラルスキー法によって成長される。
【0015】
インゴットプーラ23は、結晶成長チャンバ12を規定するハウジング25と、成長チャンバ12よりも横方向の寸法が小さいプルチャンバ8とを含む。成長チャンバ12は、成長チャンバ12から狭くなったプルチャンバ8に移行する、概してドーム型の上壁45を有する。インゴットプーラ23は、結晶成長中にハウジング25にプロセスガスを導入およびハウジング25からプロセスガスを除去するために使用され得る入口ポート7および出口ポート11を含む。
【0016】
インゴットプーラ23内のるつぼ22は、シリコンインゴットが引き出される多結晶シリコン溶融物44を含む。シリコン溶融物44は、るつぼ22に充填された多結晶シリコンを溶融することによって得られる。るつぼ22は、インゴットプーラ23の中心長手方向軸Xの周りでるつぼを回転させるためにターンテーブル31に取り付けられている。
【0017】
加熱システム39(例えば、電気抵抗ヒータ)は、シリコンチャージを溶融して溶融物44を生成するためにるつぼ22を取り囲む。ヒータ39はまた、米国特許第8,317,919号明細書に示されるように、るつぼの下に延在できる。ヒータ39は、制御システム(図示せず)によって制御されるので、溶融物44の温度は、引っ張りプロセス全体を通して正確に制御される。ヒータ39を取り囲む断熱材(図示せず)は、ハウジング25を通して失われる熱の量を減らすことができる。インゴットプーラ23はまた、溶融物表面40の上方に反射器アセンブリ32(図3)を含み、インゴットをるつぼ22の熱から遮蔽して、固溶界面での軸方向温度勾配を増加させることができる。
【0018】
引っ張り機構42(図4)は、機構から下方に延びるプルワイヤ26(図1)に取り付けられている。引っ張り機構42は、引っ張りワイヤ26を上下させることができる。インゴットプーラ23は、プーラのタイプに応じて、ワイヤではなくプルシャフトを有することができる。プルワイヤ26は、シリコンインゴットを成長させるために使用される種結晶6を保持する種結晶チャック34を含む引っ張りアセンブリ58で終端する。インゴットを成長させる際に、引っ張り機構は、種結晶6がシリコン溶融物44の表面に接触するまで種結晶6を下降させる。種結晶6が溶融し始めると、引っ張り機構42は、成長チャンバ12を通って種結晶6をゆっくりと上昇させ、チャンバ8を引っ張って単結晶インゴットを成長させる。引っ張り機構42(図2)が種結晶6を回転させる速度および引っ張り機構42が種結晶6を上昇させる速度は、制御ユニット143によって制御される。
【0019】
プロセスガスは、入口ポート7からハウジング25に導入され、出口ポート11から引き出される。プロセスガスは、ハウジング内に雰囲気を作り、溶融物と雰囲気は溶融ガス界面を形成する。出口ポート11は、インゴットプーラの排気システム(図示せず)と流体的に連絡している。
【0020】
本開示の実施形態、および一般的にはチョクラルスキー法に従って製造された単結晶シリコンインゴット10を図2に示す。インゴット10は、ネック24、外向きにフレア状部分16(同義的に「コーン」)、ショルダー18、および一定直径の本体20を含む。ネック24は、溶融物と接触し、引き出されてインゴット10を形成した種結晶6に取り付けられている。インゴットのコーン部分16が形成され始めると、ネック24は終了する。
【0021】
本体20の定径部は、円周縁50、円周縁に平行な中心軸X、中心軸から円周縁に延びる半径Rとを有する。中心軸Xはまた、コーン部分16およびネック24を通過する。主インゴット本体20の直径は、変動し得、いくつかの実施形態では、直径は、約150mm、約200mm、約300mm、約300mmより大きく、約450mm、またはさらには約450mmより大きくあり得る。
【0022】
単結晶シリコンインゴット10は、一般に、任意の抵抗率を有し得る。いくつかの実施形態では、インゴット10の抵抗率は、約20mohm-cm未満、約10mohm-cm未満、または約1mohm-cm未満(例えば、0.01mohm-cmから約20mohm-cmまたは0.1mohm-cmから約20mohm-cm)であり得る。
【0023】
単結晶シリコンインゴット10をドープしてもよい。いくつかの実施形態では、インゴットは、少なくとも約1×1013/cm(例えば、約1×1013/cmから約1×1015/cm)の窒素濃度で窒素ドープされている。上記の抵抗率およびドーピング範囲は例示的なものであり、特に明記しない限り、限定的な意味で考慮されるべきではない。
【0024】
一般に、インゴットが引き出される溶融物は、多結晶シリコンをるつぼ22(図1)に充填してシリコンチャージを形成することによって形成される。多結晶シリコンの様々な供給源を使用でき、例えば、流動床反応器でシランまたはハロシランを熱分解することによって生成される粒状多結晶シリコン、またはシーメンス反応器で生成される多結晶シリコンを含む。多結晶シリコンがるつぼに添加されてチャージを形成すると、チャージは、チャージを溶融するために、シリコンのほぼ溶融温度(例えば、約1412℃)を超える温度に加熱される。いくつかの実施形態では、チャージ(すなわち、得られる溶融物)は、加熱システム39によって、少なくとも約1425℃、少なくとも約1450℃、さらには少なくとも約1500℃の温度に加熱される。チャージが液化してシリコン溶融物を形成すると、シリコン種結晶6が下降して溶融物と接触する。次に、結晶6は、シリコンが付着した状態で(すなわち、ネック24が形成された状態で)溶融物から引き出され、それにより、溶融物の近くまたは表面に溶融物固体界面を形成する。ネックの形成後、ネック24に隣接する外向きにフレア状のコーン部分16が成長する。次に、コーン部分16に隣接する一定の直径を有する主インゴット本体20が成長する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本体20の成長中の溶融物固体界面での熱伝達は、反射器、放射シールド、熱シールド、絶縁リング、パージチューブまたは当業者に一般的に知られている温度勾配を操作することができる他の同様のデバイスなどのデバイスによって制御される。熱伝達は、結晶溶融物の下または隣接するヒータに供給される電力を調整することによって、または溶融物中のるつぼの回転または磁束を制御することによって制御することもできる。好ましい実施形態では、溶融物固体界面での熱伝達は、図3に示されるように、溶融物表面に近接した反射器を使用して制御される。以下に記載される本開示の方法は、一般に、そのような反射器を参照して説明されるが、本開示の方法は、上記の他の熱伝達制御デバイスにも適用可能であり、本明細書での反射器の使用への言及は、限定的な意味で考慮されるべきではないことに留意されたい。ネック24の形成中、熱伝達は、通常、反射器などのデバイス、または放射線シールド、熱シールド、絶縁リングまたはパージチューブなどの他のデバイスを使用することによって制御される。
【0026】
ここで図3を参照すると、結晶引っ張り装置の一部が示されている。図3に示されるように、インゴットネック24が溶融面40から引っ張られ、インゴットのコーン部分16が形成され始めている。この装置は、るつぼ22および反射器アセンブリ32(同義的に「反射器」)を含む。当技術分野で知られているように、反射器アセンブリ32などのホットゾーン装置は、熱および/またはガス流管理の目的で、るつぼ22内に配置されることが多い。例えば、反射器32は、一般に、それ自体の下および溶融物44の上に熱を保持するように適合された熱シールドである。この点に関して、当技術分野で知られている任意の反射器の設計および構成材料(例えば、グラファイトまたは灰色の石英)を制限なく使用できる。図3に示されるように、反射器アセンブリ32は、インゴットが結晶溶融物44から引っ張られる中央開口部を規定する内面38を有する。
【0027】
本開示の実施形態によれば、ネック24がシリコン溶融物44から引っ張られるときに、ネックが溶融物44から引っ張られる引張速度が測定される。測定された引張速度から移動平均が計算され、移動平均が移動平均の目標範囲と比較される。移動平均が目標範囲内にある場合、成長が継続し、インゴットの定径部20または「本体」が形成され、ネック24が本体20を支持する(すなわち、ネックに接続された本体が形成される)。移動平均が目標範囲内にない場合、引っ張りサイクルで本体が形成されない。ネックは、溶融状態に戻るか、プーラから取り外され、インゴット本体の成長のために第2のネックが形成される。第2のネックを解析して、その成長率が目標範囲内にあるかどうかを判断することもできる。
【0028】
ネックの引張速度は、直接測定することができ、または所望のネックの直径を提供するように計算される引張速度など制御ユニットによって測定される引張速度(例えば、出力信号から測定される)であり得る。制御ユニットは、ネックの引張速度を調節するために協調する1つまたは複数のセンサと統合され得る(例えば、引っ張り機構42と統合されたセンサおよび/またはインゴット直径センサ)。いくつかの実施形態では、加熱システムの電力は、ネックの引張速度を測定している間、比較的一定に保たれる。例えば、加熱システムの出力電力は、平均または目標電力の約+/-0.5kW以内、あるいは平均または目標電力の約+/-0.25kW以内に維持され得る。
【0029】
制御システム90の例を図4に示す。ネックの直径は、直径センサ98によって感知され得る。直径センサ98の例には、カメラ、高温計、フォトダイオード、PMT(光電子増倍管)などが含まれる。センサ98は、ネックの直径に関連する信号を制御ユニット143に中継する。制御ユニット143は、引っ張り機構42に信号を送信することによってネックの直径を調整して、引張速度を増加または減少させ、それにより、ネックの直径を増加または減少させる。ネックが成長するにつれて、制御ユニット143によって決定される引張速度は変化する。
【0030】
いくつかの実施形態では、ネックの引張速度の移動平均は、ネックが引っ張られた時間に亘って平均化される(例えば、引張速度は、時間間隔で測定され、ある期間に亘る移動平均が計算される)。いくつかの実施形態では、時間平均ネック引張速度は、平均が、少なくとも過去約5秒間、または少なくとも過去約30秒間、少なくとも過去約1分間、少なくとも過去約2分間、少なくとも過去約5分間、または少なくとも過去約10分間に亘る平均であると計算される(例えば、過去約5秒から過去約25分間、過去約30秒から過去約20分間、または過去約2分から過去約10分間)。
【0031】
他の実施形態では、ネックの引張速度の移動平均は、ネックの長さに亘って平均化される(例えば、引張速度は、ネックの長さの間隔で測定され、ネックの長さに亘る移動平均が計算される)。いくつかの実施形態では、長さ平均ネック引張速度は、平均が、少なくとも過去約0.2mm、少なくとも過去約1mm、少なくとも過去約2mm、少なくとも過去約4mm、少なくとも過去約10mm、または少なくとも過去約20mmに亘る平均であると計算される。(例えば、過去約0.2mmから過去約50mm、または過去約4mmから過去約20mm)。
【0032】
移動平均を計算する際に、計算した移動平均を目標移動平均と比較する。制御ユニットは、ネックの直径を調整するため、および/または移動平均を計算するために使用されるのと同じ制御ユニット143(図4)であり得るか、または異なる制御ユニットであり得る。
【0033】
制御ユニット143は、直径センサ98を含むがこれに限定されない、結晶プーラ23の様々なセンサから受信した信号を処理するプロセッサ144を含み得る。制御ユニット143はまた、加熱システム39(図1)、ガスフローコントローラ(例えば、アルゴンフローコントローラ)、溶融表面温度センサ、およびそれらの任意の組み合わせを含む他のセンサまたはデバイスと通信できる。
【0034】
制御ユニット143は、コンピュータシステムであり得る。本明細書で説明されるように、コンピュータシステムは、任意の既知のコンピューティングデバイスおよびコンピュータシステムを指す。本明細書で説明するように、そのような全てのコンピュータシステムは、プロセッサおよびメモリを含む。しかしながら、本明細書で言及されるコンピュータシステム内の任意のプロセッサはまた、1つまたは複数のプロセッサを指し得、プロセッサは、1つのコンピューティングデバイスまたは並列に動作する複数のコンピューティングデバイス内にあり得る。さらに、本明細書で言及されるコンピュータデバイス内の任意のメモリはまた、メモリが1つのコンピューティングデバイスまたは並列に動作する複数のコンピューティングデバイス内にあり得る1つまたは複数のメモリを指し得る。
【0035】
本明細書で使用されるプロセッサという用語は、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に記載されている機能を実行可能な他の回路またはプロセッサを指す。上記は単なる例であり、したがって、「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を制限することを意図したものではない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「データベース」という用語は、データの本体、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、またはその両方を指す場合がある。本明細書で使用される場合、データベースは、階層データベース、リレーショナルデータベース、フラットファイルデータベース、オブジェクトリレーショナルデータベース、オブジェクト指向データベース、およびコンピュータシステムに格納される他の構造化されたレコードまたはデータのコレクションを含む任意のデータのコレクションを含み得る。上記の例は単なる例であり、したがって、データベースという用語の定義や意味を制限することを意図したものではない。RDBMSの例には、Oracle(登録商標)Database、MySQL、IBM(登録商標)DB2、Microsoft(登録商標)SQLServer、Sybase(登録商標)、およびPostgreSQLが含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、本明細書に記載のシステムおよび方法を可能にする任意のデータベースを使用できる。(Oracleは、カリフォルニア州レッドウッドショアーズのOracle Corporationの登録商標、IBMは、ニューヨーク州アーモンクのInternational Business Machines Corporationの登録商標、Microsoftは、ワシントン州レッドモンドのMicrosoft Corporationの登録商標、Sybaseは、カリフォルニア州ダブリンのSybaseの登録商標である。)
【0037】
一実施形態では、制御ユニット143を有効にするためにコンピュータプログラムが提供され、このプログラムは、コンピュータ可読媒体上に具現化される。例示的な実施形態では、コンピュータシステムは、サーバコンピュータへの接続を必要とせずに、単一のコンピュータシステム上で実行される。さらなる実施形態では、コンピュータシステムは、Windows(登録商標)環境で実行される(Windowsは、ワシントン州レッドモンドのMicrosoft Corporationの登録商標である)。さらに他の実施形態では、コンピュータシステムは、メインフレーム環境およびUNIX(登録商標)サーバー環境上で実行される(UNIXは、英国バークシャー州レディングにあるX/Open Company Limitedの登録商標である)。または、コンピュータシステムは、適切なオペレーティングシステム環境で実行される。コンピュータプログラムは柔軟性があり、主要な機能を損なうことなく様々な異なる環境で実行できるように設計されている。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、複数のコンピューティングデバイスに分散された複数のコンポーネントを含む。1つまたは複数のコンポーネントは、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータ実行可能命令の形態であり得る。
【0038】
コンピュータシステムおよびプロセスは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。さらに、各コンピュータシステムおよび各プロセスのコンポーネントは、本明細書に記載されている他のコンポーネントおよびプロセスから独立して、別個に実施できる。各コンポーネントとプロセスは、他のアセンブリパッケージとプロセスと組み合わせて使用することもできる。
【0039】
一実施形態では、コンピュータシステムは、サーバシステムとして構成できる。図5は、直径センサ98を含むがこれらに限定されない1つまたは複数のセンサから測定値を受信するために、並びに引っ張り機構42およびネック終了機構152を含むがこれらに限定されない結晶プーラ23の1つまたは複数のデバイスを制御するために使用されるサーバシステム301の構成例を示す。再び図4を参照すると、サーバシステム301は、また、データベースサーバを含み得るが、これに限定されない。この例示的な実施形態では、サーバシステム301は、本明細書で説明されるように、システム90の1つまたは複数のデバイスを制御するために使用される全てのステップを実行する。
【0040】
サーバシステム301は、命令を実行するためのプロセッサ305を含む。命令は、例えば、メモリ領域310に格納され得る。プロセッサ305は、命令を実行するための1つまたは複数の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を含み得る。命令は、UNIX(登録商標)、LINUX、Microsoft Windows(登録商標)などのサーバシステム301上の様々な異なるオペレーティングシステム内で実行できる。また、コンピューターベースの方法の開始時に、初期化中に様々な命令を実行できることも理解されたい。本明細書に記載の1つまたは複数のプロセスを実行するためにいくつかの操作が必要な場合があるが、他の操作は、特定のプログラミング言語(例えば、C、C#、C++、Java、または他の任意の適切なプログラミング言語)により一般的および/または固有であり得る。
【0041】
プロセッサ305は、サーバシステム301がユーザシステムまたは他のサーバシステム301などのリモートデバイスと通信できるように、通信インターフェース315に動作可能に結合されている。例えば、通信インターフェース315は、要求を受信できる(例えば、センサ入力を受信し、インターネットを介してクライアントシステムから結晶プーラ23の1つまたは複数のデバイスを制御するための対話型ユーザインターフェースを提供する要求)。
【0042】
プロセッサ305はまた、ストレージデバイス134に動作可能に結合され得る。ストレージデバイス134は、データを記憶および/または検索するのに適した任意のコンピュータ操作ハードウェアである。いくつかの実施形態では、ストレージデバイス134は、サーバシステム301に統合されている。例えば、サーバシステム301は、ストレージデバイス134として1つまたは複数のハードディスクドライブを含み得る。他の実施形態では、ストレージデバイス134は、サーバシステム301の外部にあり、複数のサーバシステム301によってアクセスされ得る。例えば、ストレージデバイス134は、安価なディスクの冗長アレイ(RAID)構成において、ハードディスクまたはソリッドステートディスクなどの複数のストレージユニットを含み得る。ストレージデバイス134は、ストレージエリアネットワーク(SAN)および/またはネットワーク接続ストレージ(NAS)システムを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、プロセッサ305は、ストレージインターフェース320を介してストレージデバイス134に動作可能に結合されている。ストレージインターフェース320は、プロセッサ305にストレージデバイス134へのアクセスを提供できる任意のコンポーネントである。ストレージインターフェース320は、例えば、アドバンストテクノロジーアタッチメント(ATA)アダプタ、シリアルATA(SATA)アダプタ、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)アダプタ、RAIDコントローラ、SANアダプタ、ネットワークアダプタ、および/または、プロセッサ305にストレージデバイス134へのアクセスを提供する任意のコンポーネントを含み得る。
【0044】
メモリ領域310は、動的RAM(DRAM)または静的RAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、および不揮発性RAM(NVRAM)を含み得るが、これらに限定されない。上記のメモリタイプは単なる例示であり、したがって、コンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプに関して限定するものではない。
【0045】
他の実施形態では、コンピュータシステムは、コンピューティングデバイス402(図6に示される)などのコンピューティングデバイスの形態で提供され得る。コンピューティングデバイス402は、命令を実行するためのプロセッサ404を含む。いくつかの実施形態では、実行可能命令は、メモリ領域406に格納される。プロセッサ404は、1つまたは複数の処理ユニットを含むことができる(例えば、マルチコア構成において)。メモリ領域406は、実行可能命令および/または他のデータなどの情報を格納および検索することを可能にする任意のデバイスである。メモリ領域406は、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0046】
他の実施形態では、制御ユニット143のコンピューティングデバイスに含まれるメモリは、複数のモジュールを含み得る。各モジュールは、少なくとも1つのプロセッサを使用して実行するように構成された命令を含み得る。複数のモジュールに含まれる命令は、コンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるときに、本明細書に記載されるように複数のプロセスパラメータを同時に調整するための方法の少なくとも一部を実施できる。コンピューティングデバイスのメモリに格納されたモジュールの非限定的な例には、1つまたは複数のセンサから測定値を受信する第1のモジュール、およびシステム90の1つまたは複数のデバイスを制御する第2のモジュールを含む。
【0047】
コンピューティングデバイス402はまた、ユーザ400に情報を提示するための1つのメディア出力コンポーネント408を含む。メディア出力コンポーネント408は、ユーザ400に情報を伝達できる任意のコンポーネントである。いくつかの実施形態では、メディア出力コンポーネント408は、ビデオアダプタおよび/またはオーディオアダプタなどの出力アダプタを含む。出力アダプタは、プロセッサ404に動作可能に結合され、さらに、ディスプレイデバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LDC)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、ブラウン管(CRT)、または「電子インク」ディスプレイ)またはオーディオ出力デバイス(例えば、スピーカーまたはヘッドフォン)などの出力デバイスに動作可能に結合されるように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、クライアントコンピューティングデバイス402は、ユーザ400からの入力を受信するための入力デバイス410を含む。入力デバイス410は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチセンシティブパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、カメラ、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、および/またはオーディオ入力デバイスを含み得る。タッチスクリーンなどの単一のコンポーネントは、メディア出力コンポーネント408の出力デバイスと入力デバイス410の両方として機能できる。
【0049】
コンピューティングデバイス402はまた、サーバシステム301またはウェブサーバなどのリモートデバイスに通信可能に結合するように構成された通信インターフェース412を含み得る。通信インターフェース412は、例えば、携帯電話ネットワーク(例えば、移動体通信のためのグローバルシステム(GSM)、3G、4Gまたはブルートゥース(登録商標))または他のモバイルデータネットワーク(例えば、マイクロ波アクセスのための世界的な相互運用性(WIMAX))で使用するための有線または無線ネットワークアダプタまたは無線データトランシーバを含み得る。

【0050】
メモリ406には、例えば、メディア出力コンポーネント408を介してユーザ400にユーザインターフェースを提供し、任意選択で、入力デバイス410からの入力を受信および処理するためのコンピュータ可読命令が格納されている。ユーザインターフェースは、他の可能性の中でも、ウェブブラウザおよびアプリケーションを含み得る。ウェブブラウザは、ユーザ400が、ウェブページまたはウェブサーバからのウェブサイトに通常埋め込まれているメディアおよび他の情報を表示および対話することを可能にする。アプリケーションは、ユーザ400がサーバーアプリケーションと対話することを可能にする。ウェブブラウザとアプリケーションの一方または両方を介したユーザインターフェースにより、低酸素含有量の単結晶シリコンインゴットを製造するプロセスに関連する情報の表示が容易になる。
【0051】
制御ユニット143は、計算された移動平均を目標移動平均と比較する。目標移動平均は、メモリ310(図5)、データベース、またはルックアップテーブルに格納され得る。目標移動平均は、ユーザ入力デバイス410によってユーザによって入力され得る(図6)。
【0052】
目標移動平均は、特定の結晶プーラ23(図1)および/または反射器アセンブリ32(図3)に応じて変化し得る。一般に、目標移動平均は、当業者に利用可能な任意の方法によって、特定のプーラおよび/または反射器構成について決定できる。いくつかの実施形態では、目標移動平均は、(1)ネック引張速度の移動平均を監視しながら複数のネック(および任意選択でインゴット本体)を成長させること、および(2)ネックの成長の終わりまでに無転位(すなわち、ゼロ転位)ではなかったネックのネック引張速度の移動平均を決定することによって決定される。平均化の期間は、同じまたは同様の方法で決定できる。ネックのゼロ転位は、装飾的エッチングまたはXRT(X線トポグラフィー)などの後の顕微鏡検査によって決定され得る。いくつかの実施形態では、ネックの引張速度の目標移動平均は、最大移動平均である(例えば、超えた場合、以下でさらに説明するようにネックの成長が終了する移動平均)。目標移動平均はまた、最小移動平均を含み得る(例えば、移動平均が目標最小移動平均を下回った場合、ネックの成長が終了する移動平均)。
【0053】
いくつかの実施形態では(および結晶プーラ構成に応じて)、結晶引張速度の移動平均の目標(例えば、2、5または10分の移動平均で)は、3mm/分以下、4mm/分以下、4.5mm/分以下(例えば、1mm/分から4.5mm/分または1mm/分から4.0mm/分)。ネックの引張速度の目標移動平均は、例示的なものであり、特に明記しない限り、他の目標移動平均を使用できることに留意されたい。
【0054】
移動平均を計算し、ネックの全長に亘って、またはネックの一部のみ(例えば、長さの少なくとも25%、長さの少なくとも50%または少なくとも75%)の目標移動平均と比較できる。様々な実施形態では、ネック24は、少なくとも100mm、少なくとも150mm、または少なくとも約200mm(例えば、約100mmから約400mm、約100mmから約300mm、または約150mmから約250mm)の長さを有し得る。様々な実施形態において、インゴットの一定直径部分は、約1500mmから約2500mmまたは約1700mmから約2100mmの長さを有し得る。
【0055】
本開示の実施形態によれば、移動平均が目標移動平均の外にある(例えば、最大移動平均を超える)場合、制御ユニットは、終了機構152に信号を送信する(図4)。例えば、終了機構152は、引張速度の移動平均が引張速度の目標範囲外にあること、および/またはネックに転位が含まれている可能性があり、インゴット本体の成長に使用してはならないことを技術者に警告する警報などの警告信号であり得る。そのような実施形態では、技術者は、ネックを溶融物に戻してネックを溶かし、第2のネックを成長させるか、または技術者は、ネックにエンドコーンを形成させ、インゴットプーラからネックを取り除くことができる。いくつかの実施形態では、終了機構152は、引っ張り機構42である。そのような実施形態では、制御ユニット143は、信号を引っ張り機構42に送信して、引っ張り機構42にネックを溶融物の中に下げさせてネックを溶かす。
【0056】
ネックが終了した後(例えば、メルトダウンのために溶融物に戻された後)、第2のネックが成長する場合がある。結晶プーラは、チャックと種を十分に予熱できるように、第2のネックが成長する前に安定化期間を経ることがある。第2のネックの引張速度を測定できる。移動平均は、測定された引張速度と、引張速度の目標範囲と比較された移動平均から計算され得る。測定された引張速度の移動平均が目標範囲内にある場合、シリコンインゴット本体は、第2のネックから成長する。
【0057】
単結晶シリコンインゴットを製造するための従来の方法と比較して、本開示の実施形態の方法にはいくつかの利点がある。ネックの引張速度の移動平均を計算することにより、直径制御ループおよび直径の変動および測定誤差に起因する引張速度プロファイルの変化を低減できる。これにより、プロファイルを監視して、移動平均引張速度が、ネックに転位が含まれている可能性があることを示す目標範囲外にあるかどうかを判断できる。特定の理論に拘束されることなく、種と溶融物との間の熱衝撃により、転位がネック全体に拡大する可能性があると考えられている。熱衝撃によって誘発された転位は、従来の方法(例えば、ダッシュネック法)では除去するのが難しいと考えられている。種と溶融物との温度差は、溶融物温度が十分に安定していないこと、種結晶が十分に予熱されていないこと(例えば、結晶とネックとの温度差が比較的大きいためにネックの平均成長速度が比較的大きい)、またはヒータシステムの電力が適切に設定されていないことが原因である可能性がある。溶融物が比較的低温の場合、ネックが急速に固化し、引張速度が増加することがある。溶融物が比較的高温の場合、ネックの固化が遅くなり、引張速度が低下する。引張速度の移動平均を取り、移動平均を目標移動平均と比較することにより、種と溶融物との間の熱衝撃を検出できる。そのような場合、ネックは終了され(例えば、溶融物に戻され)、インゴットの形成のために第2のネックが形成され得る。第2のネックの引張速度の移動平均もまた判断され得、そして第2のネックが転位を含み得るかどうかを判断するために目標移動平均と比較され得る。
【0058】
比較的大きな直径のインゴット(例えば、200mmまたは300mm以上)、約20mohm-cm未満などの比較的低い抵抗率を有するインゴット、および/または少なくとも約1×1013原子/cmの濃度で窒素ドープされたインゴットなどのように、ネックから転位が除去されない発生率が比較的高い環境において、この方法は特に有利であり得る。
【0059】
本開示のプロセスは、以下の例によってさらに説明される。これらの例は、限定的な意味で見られるべきではない。
例1:実際のネックの引張速度プロファイルと3分間の移動平均の比較
【0060】
図1の装置などの装置で製造された単結晶シリコンインゴットのネックの長さ全体に亘る実際の引張速度を図7に示す。図7から分かるように、典型的なネックの成長における実際の種リフトプロファイルには、多くの高頻度の種リフトの変化がある。変化は、機能的に直径制御ループの一部である可能性があり、一部の変化は、直径変動や測定誤差などによって引き起こされる可能性がある。種リフト変動のレベルは直径制御に悪影響を及ぼさない。しかしながら、図7の例示的なプロファイルの変動の程度は、プロファイルを成長条件と相関させることを困難にする。
【0061】
ネックの引張速度の3分間の移動平均も図7に示されている。図7に示されるように、ノイズレベルが大幅に低減され、長期的な成長傾向の開発が可能になる。長期的な成長傾向は、溶融安定化(例えば、適切なヒータ出力)および種とネックとの間の熱衝撃と相関している可能性がある。
例2:引張速度が平均化される期間の選択
【0062】
例1の実際のネック引張速度の0.5分移動平均、1分移動平均、2分移動平均を図8に示し、2分移動平均、3分移動平均、5分移動平均を図9に示す。図8図9に示されるように、平均化効果により、より高い周波数変動が低減または排除される。十分な感度で定量化を可能にしながら、短期間の信号とノイズを除去するために平均持続時間が選択される(例えば、インゴットの一定直径部分の成長前にネックでゼロ転位が達成される)。引張速度が平均化される期間は、ホットゾーン構成、メルトフロープロファイル、および成長条件によって異なる。
【0063】
引張速度が平均化される持続時間の選択は、ゼロ転位を達成しなかったネックとゼロ転位を達成したネックのいくつかの持続時間の移動平均を比較することによって判断できる。図10に示されるように、転位のあるネックと転位が除去されたネック(例えば、より高い引張速度)との間で、実際のネック引張速度プロファイルに顕著な違いがある場合がある。しかしながら、引張速度の大きな変動により、ネックの成長全体の様々な場所でプロファイルがオーバーラップするため、違いを定量化することは困難である。
【0064】
2分、5分、10分の移動平均を示す図11図13に示されるように、ネックのリフトプロファイル間の違いは、転位が除去されたネックと比較して、転位のあるネックの方が定量化が容易である。ネックが成長した結晶プーラの特定のホットゾーン構成(例えば、300mmおよび比較的重いドーピング)では、2分から5分の移動平均により、転位のあるネックと転位が除去されたネックとの違いを、広範囲の動作条件で正確に定量化できる。例えば、この特定の結晶プーラ構成のインゴットの全長に亘って3.3mm/分の目標移動平均が設定され、3.3mm/分を超える移動平均を有するネックが溶融物に戻される場合、転位のあるネックは、除去されない場合、大幅に削減される可能性がある(例えば、20倍以上の削減)。同じホットゾーン構成を使用するより低濃度にドープされた用途では、3.5mm/分の上限を使用して、転位のあるネックを大幅に減らすことができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」、「本質的に」および「ほぼ」という用語は、寸法、濃度、温度または他の物理的または化学的プロパティまたは特性の範囲と組み合わせて使用される場合、プロパティまたは特性の範囲の上限および/または下限に存在する可能性のある変動をカバーすることを意味する。これには、例えば、丸め、測定方法、またはその他の統計的変動に起因する変動が含まれる。
【0066】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味することを意図している。「備える」、「含む」、「含む」および「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。特定の方向(例えば、「上」、「下」、「側面」など)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、説明されているアイテムの特定の向きを必要としない。
【0067】
開示の範囲を逸脱することなく、上記の構成および方法に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示として解釈され、限定的な意味ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13