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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】CVDリアクタのサセプタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240816BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240816BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/458
H01L21/68 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021553376
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2020055308
(87)【国際公開番号】W WO2020182495
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102019105913.5
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ルダ・イ・ヴィット、フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】コールベルク、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ラウフ、ヘンドリック
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022880(JP,A)
【文献】特表2007-501329(JP,A)
【文献】特開2016-035080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/67-21/683
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタ(1)で使用するサセプタ構造であって、
第一のサセプタ主面(3)を有する円状又は環状のサセプタ(2)を備え、
前記第一サセプタ主面(3)上には、基板ホルダ(4)と少なくとも一つの被覆体(5、15)とが配置され、
前記被覆体(5、15)は、前記サセプタ(2)の前記第一のサセプタ主面(3)に隣接する、最下段被覆プレート(6、16、36)と、前記最下段被覆プレート(6、16、36)と少なくとも局所的に重なり、前記サセプタ構造の自由主面(14)を形成する最上段被覆プレート(7、17)とを具備する、前記サセプタ構造において、
相互に合わさる、前記最下段被覆プレート(6、16、36)と前記最上段被覆プレート(7、17)の開口部(12、13199、10)へ挿入される一つ又は複数の位置決め部材(8、18)によって、前記最上段被覆プレート(7、17)は、前記最下段被覆プレート(6、16、36)に結合し、かつ/又は、前記最下段被覆プレート(6、16、36)とその上に載置される前記最上段被覆プレート(7、17)とが前記サセプタ(2)に結合すること、を特徴とする、サセプタ構造。
【請求項2】
前記最上段被覆プレート(7)の二つの前記開口部(9、10)が、止まり穴によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のサセプタ構造。
【請求項3】
前記最上段被覆プレート(7、17)が、前記最下段被覆プレート(6、16、36)に直接隣接することを特徴とする請求項1又は2に記載のサセプタ構造。
【請求項4】
前記最上段被覆プレート(7、17)を前記最下段被覆プレート(6、16、36)に結合するための、かつ/又は、少なくとも前記最下段被覆プレート(6、16)とその上に載置する前記最上段被覆プレート(7、17)とを前記サセプタ(2)に結合するための、一つ以上の位置決め部材(8、18)を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のサセプタ構造。
【請求項5】
前記位置決め部材(18)が、前記第一のサセプタ主面(3)の挿入穴(24)へ挿入可能なシャフト(18’)を形成することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のサセプタ構造。
【請求項6】
前記シャフト(18’)が、スペーサ(20)の開口部を通過する位置まで到達し、それにより、前記最下段被覆プレート(6、16、36)が前記第一のサセプタ主面(3)までのギャップ距離に位置することを特徴とする請求項5に記載のサセプタ構造。
【請求項7】
前記位置決め部材(18)が、頭部(18”)を有し、前記頭部(18”)は、前記シャフト(18’)に対して広げられた直径を有しかつ前記最上段被覆プレート(17)上、又は前記最下段被覆プレート(16)上に、載置されることを特徴とする請求項5又は6に記載のサセプタ構造。
【請求項8】
前記最上段被覆プレート(7、17)及び前記最下段被覆プレート(6、16、36)が、炭化ケイ素、石英、クオーツ、Al、ZrO、炭化ケイ素被覆黒鉛、又はセラミックの、結晶又は非晶質物質からなることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のサセプタ構造。
【請求項9】
プロセスガスをプロセスチャンバ(28)内に注入するためのガス入口部材(27)と、
第一主面(3)を有する円状又は環状のサセプタ(2)を備え、前記第一主面(3)上に基板ホルダ(4)と少なくとも一つの被覆体(5、15)が配置され、前記第一主面(3)の反対側に位置する第二主面(3)が加熱装置(26)によって加熱可能である、サセプタ構造と、を備えるCVDリアクタであって、
少なくとも一つの前記被覆体(5、15)が、前記サセプタ(2)の前記第一主面(3)に直接隣接する最下段被覆プレート(6、16、36)と、
前記最下段被覆プレート(6、16、36)を覆い、請求項1~8のいずれかに記載のサセプタ構造の自由主面を形成する、最上段被覆プレート(7、17)と、を具備することを特徴とするCVDリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一のサセプタ主面を有する円状又は環状のサセプタを具備するCVDリアクタで使用するサセプタ構造に関する。この第一のサセプタ主面上には、基板ホルダと少なくとも一つの被覆体が配置される。
【0002】
本発明はさらに、サセプタ構造を有するCVDリアクタに関する。
【背景技術】
【0003】
CVDリアクタは、特許文献1~9に記載されている。それらに記載された被覆体は、いくつかの被覆プレートから構成され、それらの部位は相互に重複する。
【0004】
先行技術として知られる基本的な先行する発明におけるCVDリアクタは、プロセスチャンバを有し、ガス入口部材からその中へプロセスガスが注入される。一つ以上の基板は、サセプタ上に配置され、プロセスガスの熱分解による分離を経てコーティングされる。特に、プロセスガスは、第三主族の元素の有機金属化合物と第五主族の元素の水素化物である。第三主族の元素の有機金属化合物と第五主族の元素の水素化物は、例えば基板上にIII-V族の半導体層を成膜するための例えば水素であるキャリアガスとともにプロセスチャンバの中へ注入される。基板ホルダは、プロセスチャンバの方へ面したサセプタの第一主面上に配置され、とりわけガスクッション上で回転する。それぞれの基板ホルダは、少なくとも一つのコーティングされた基板を支持する。基板ホルダ間の表面領域は、被覆体で被覆されているが、消耗する部分であるため、時々交換しなければならない。被覆プレートは、炭化ケイ素でコーティングされた数ミリ圧の黒鉛プレートである。被覆プレートは、反応性ガスによってのみ作用されるのではなく、特にエッチングガスのようなクリーニングガスによっても作用されうる。これが被覆体でコーティングされた表面の質の損傷へとつながる。結果として被覆体は消耗品となる。炭化ケイ素でコーティングされた黒鉛プレートの代わりに大型の炭化ケイ素プレートを代用することは、炭化ケイ素の材料の使用量の増加につながり、求められる純度において高価となる。複数のプレートを備える被覆体の物質の厚さを薄くすることは、被覆体の表面で、望ましくない温度上昇へとつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第 2006/0 201 427号明細書
【文献】独国特許出願公開第103 23 085号明細書
【文献】特開 2012-178488号公報
【文献】特開 2016-035080号公報
【文献】特開 2013-004593号公報
【文献】米国特許第2006/0 201 427号明細書
【文献】欧州特許出願第1 657 744号明細書
【文献】米国特許出願公開第 2015/0 345 016号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2014 104 218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コーティングされた半導体を製造するためのCVDのような操作を、より経済的に設計しうるような手段を示すことにある。
【0007】
本目的は、請求項に示した本発明により達成され、従属項により、本発明の有利なさらなる発展だけでなく、本目的の独立した解決策も記載される。
【0008】
上記で特徴を示した種類のCVDリアクタまたはサセプタ構造において、被覆体が、あるプレートの上に他のプレートが積層する複数のプレートを具備し、当該プレートの積層は、少なくとも一つの最下段被覆プレートと一つの最上段被覆プレートを有することを、最初にまた基本的に提案する。被覆プレートの積層は、厳密に二つの被覆プレートから構成されうる。具体的には最上段と最下段の被覆プレートにより構成される。
【0009】
本発明の更なる発展として、炭化ケイ素からなる被覆プレートを提示する。しかしながら、それも炭化ケイ素でコーティングされた黒鉛プレートからなることもできる。使用される被覆プレートは2mm以下の部材の厚みが好ましい。その部材の厚みはおよそ1mmとなる。被覆プレートは相互に異なる大きさを持つことが可能である。特に、最下段被覆プレートは、それにより担持されかつその上に配置される最上段被覆プレートよりも大きく拡張した表面を有するように設けられる。とりわけ、最上段被覆プレートは、それを担持する最下段被覆プレートの上に水平に置かれる。被覆プレートは、一つの各基板ホルダを格納するための円状の格納ポケットを、少なくとも部分的に備える。この目的のため、それらは円弧ラインに沿った外周縁を有する。特に、最下段被覆プレートは、相互に隣接する少なくとも二つの格納ポケットを部分的に備えるよう設けられる。この最下段被覆プレートは厳密に一つの最上段被覆プレートを担持することが好ましい。本発明の実施形態では、少なくとも一つの格納ポケット又は基板ホルダ又は厳密に一つの基板ホルダを部分的に備える被覆プレート、とりわけ最下段被覆プレートを、さらに設けることができる。一つの格納ポケット又はいくつかの格納ポケット、又はその中に格納される基板ホルダを完全に備える被覆プレート、とりわけ最下段被覆プレートを、さらに設けることができる。少なくとも一つの格納ポケット又はそこに格納される複数の基板ホルダを、それぞれが部分的あるいは完全に備える二つの被覆プレート、とりわけ下段被覆プレートを、さらに設けることができ、それらのプレートの間にいずれの格納ポケットやいずれの基板ホルダとも隣接しない追加の被覆プレートが配置される。特に、二つの被覆プレートはプレートの積層を形成し、2又は3mmより厚くならないように設けられる。さらに被覆プレートは、 位置決め部材によって、サセプタの第一主面に結合されるように設けられる。
【0010】
位置決め部材は複数のピンを形成し、少なくとも部分的にサセプタの第一主面の開口部に係合する。被覆プレートは、複数の開口部を有し、それを通り、ピンが達する。とりわけ、最下段被覆プレートは通路となる開口部を有し、それを通り、 位置決め部材のシャフトが到達する。位置決め部材は環状のスペーサを通り到達する。それにより最下段被覆プレートを、サセプタの第一主面への所定の距離に、維持する。追加のスペーサは、最上段被覆プレートを最下段被覆プレートから離れて位置するように設ける。これにより、一方が他方の上に直接配置された二つの被覆プレートの間に形成される間隔ギャップを生じる。間隔を設ける手段として、スペーサワッシャがありえる。しかしながらそれらは、(補助的に)サセプタの主面を起点とするソケットによって形成されることもありえる。位置決め部材が、直径を広げた頭部を持つことも可能である。この頭部は、最下段又は最上段被覆プレートで止まることができる。特に、最上段被覆プレートは、最下段被覆プレートへ開口した止まり穴を有するように設けられる。その中に、位置決め部材の最上段部分が係合する。これにより、プロセスチャンバに隣接する最上段被覆プレートに、閉じた、自由な表面が与えられる。位置決めピンは、円柱状のジャーナルを具備し、その下部は、最下段被覆プレートの開口部の中に形状的に篏合する態様で、係合する。
【0011】
最下段被覆プレートは、二つの開口部を有することができ、とりわけサセプタの軸に関して、放射状に配置される。その中へ各位置決め部材の下部が挿入される。二つの位置決め部材のうちの一つの上部は、上部に対して形状的に篏合する最上段被覆プレートの下部の開口部に、係合する。その他の位置決め部材の上部は、横長穴としてデザインされた最上段被覆プレートの開口部に、係合する。上段被覆プレートの縁は、直線にそって走ることができる。下方に面する位置決め部材の端面は、サセプタの第一主面上で支持される。仮に最下段被覆プレートが、他の位置決め部材と他の場所にてサセプタと結合していた場合には、そこに配置されたサセプタの開口部に係合させる必要はない。相互になす角度で走る第一被覆プレートの二つの縁は、一点で交差し得る。さらに、最上段被覆プレートのそれらの縁は、直線に走るチャネルの側面に位置する。基板ホルダを持ち上げるために、又に分かれたロボットアームの指は、その中に係合される。ロボットアームの先端は、並行に又に分かれた二つのアームを持つことができる。
【0012】
前述のように設計され、少なくとも二つの被覆プレートを具備する、被覆体の高さは、9mmよりも小さくなりえる。この高さは基板ホルダの部材の厚さよりも小さくなり得る。この高さは、このように形成されたプレートの積層によって少なくとも部分的に取り囲まれ、基板ホルダは、ガスクッションを構成するパージガスフローによって、ガスクッション上で浮遊的に担持される。パージガスフローは、基板ホルダの下面に向けて、そこに配置されたガスクッションの中へと、サセプタによって注入される。プロセスチャンバ側に向けて閉じられた最上段被覆プレートの開口部に係合した位置決め部材に関する、本発明の別形態として、最上段被覆プレートの部材の厚さが、最下段被覆プレートの部材の厚さよりも厚くすることができる。少なくとも2倍又は少なくとも3倍 の大きさとすることができる。結果として、最上段被覆プレートは、部材の厚さが2から3mmとなるように設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明につき、例示的実施形態に基づき、以下で詳細に説明する。
図1図1は、CVDリアクタの概略断面図を示す。
図2図2は、種々の例示的実施形態のうち、サセプタ2とその上に延在するいくつかの被覆体から構成されるサセプタ構造の透視図である。
図3図3は、図2で示したサセプタ構造の立体分解図を示す。
図4図4は、サセプタ構造の上面図を示す。
図5図5は、第一の例示的実施形態を図示するために、図4のV-V部分断面を示す。
図6図6は、図5のVI部分の拡大図を示す。
図7図7図4に基づいた図を示す。
図8図8は、第二の例示的実施形態を図示するために、図8のVIII-VIII断面を示す。
図9図9は、図8のIX部分の拡大図を示す。
図10図10は、図4に基づいた図を示す。
図11図11は、第二の例示的実施形態を図示するために図10のXI-XI断面を示す。
図12図12は、図11のXII部分の拡大図を示す。
図13図13は、図11のXIII部分の拡大図を示す。
図14図14は、2つの基板ホルダ4に隣接した最下段被覆プレート6を具備した例示的実施形態を示す。
図15図15は、基板ホルダ4を部分的に取り囲む最下段被覆プレート36を具備した例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ハウジングを備えた本発明におけるCVDリアクタを概略的に描いている。プロセスガスを注入するためのガス入口部材27、コーティングされた基板を支持するためのサセプタ2、そしてサセプタ2を加熱する加熱装置29が備えられている。サセプタ2はキャリア32上に置かれ、それによりサセプタ2は軸周りで回転駆動されうる。
【0015】
被覆体5、15は、サセプタ2の上に配置される。図においてサセプタ構造は、本発明の異なる変形を図示するために、多様に設計された被覆体5、15を具備する。実際、サセプタ構造は、好ましくは相互に独立して設計された被覆体5、15を専ら有する。
【0016】
図5図6に示す第一の例示的な実施形態において、被覆体5は、相互に独立して設計された二つの平坦な本体から構成され、それは塊状の炭化ケイ素からなる。最下段被覆プレート16は、黒鉛からなるサセプタ2の主面3と直接に対向して置かれる底面を有する。ギャップ11は、最下段被覆プレート16の下向きの主面と上向きの主面3との間で、ソケット21又はスペーサ20によって形成される。
【0017】
最上段被覆プレート17は、最下段被覆プレート16と一致している。両被覆プレート16、17は、円弧ライン上を走る外周縁で形成され得る。それは基板ホルダ4の格納場所との境界である。結果として、基板ホルダ4は、描かれないガスラインが空の状態で、底を有するポケット22に挿入される。ガスラインを通して、パージングガスが注入され、基板ホルダ4を持ち上げ、回転駆動させ、ガスクッションの上に浮遊させる。中心のピンは、ポケット22の底の中央に、挿入することができる。それは、基板ホルダ4の下面の中心の開口部へ係合する。これによって、パージングガスがポケット22の底と基板ホルダ4の下面との間のギャップへ注入されるときに、基板ホルダ4が回転可能となるような回転軸が形成されるようになる。
【0018】
他方の上に一方が置かれた二つの被覆プレート 16、17は、相互に合わさる開口部13、19を有している。同様にそれがサセプタ2の主面3における挿入穴24と合わさる。例示的実施形態において、スペーサ20は、最下段被覆プレート16と、主面3又はソケット21との間に置かれる。また、開口部を有し、その開口部を通り、位置決め部材18のシャフト18’が到達する。その位置決め部材18のシャフト18’は、一方が他方の上に置かれる二つの被覆プレート16、17の二つの開口部13、19を通り到達する。シャフト18’よりも大きな直径を持つ頭部18は、最上段被覆プレート7の上向きの上面に置かれる。それはプロセスチャンバ28に面する自由な表面を形成する。位置決め部材18は、炭化ケイ素を材料とした様々な規格部品で作ることができる。
【0019】
図8図9で示される例示的実施形態において、サセプタ主面3と最下段被覆プレート6との間のギャップ11を形成する際に、シャフト18’と頭部18”を有する位置決め部材18は、最下段被覆プレート6をサセプタ2と結合させるために、最下段被覆プレート6の開口部23からのみ、到達する。この目的のため、サセプタ2は挿入穴24を有し、シャフト18’の下端はその中へと挿入される。
【0020】
図8から図9に加えて図11から図13にて例示的実施形態を示す。そこで最上段被覆プレート7は、最下段被覆プレート6よりも表面の広がりが小さい。同様に、二つの被覆プレート6、7が構成する積層が、二つの位置決め部材18のみによってサセプタと結合するように設けられる。位置決め部材18のシャフト18’が通る開口部23は、位置決め部材18のシャフト18’よりも幾分直径が大きくなりうる。サセプタ構造の構成要素が、サセプタ2が熱せられる際に、相互に移動できるようにするためである。
【0021】
図11から図13は、おおよそで三角形の最上段被覆プレート7の最下段被覆プレート6への取り付けを示している。最上段被覆プレート7は、最下段被覆プレート上に水平に置かれる。最上段被覆プレート7は二つの止まり穴9、10を有する。これらは最上段被覆プレート7の下側に位置する。第一の止まり穴10は、円柱ピンの形状をもつ位置決め部材8の上部8”に適合するよう形成される。そしてその下部8’は、最下段被覆プレート6の形状的に篏合する開口部13へと挿入される。最上段被覆プレート7の下側にある第二の止まり穴9は、 横長穴として設計される。これは二つの被覆プレート6、7が、熱膨張したとき相互において移動できるようにするためである。最下段被覆プレート6と最上段被覆プレート7は、厳密に二つの位置決め部材8により相互に結合している。位置決め部材8は、サセプタ2における回転の中心に関して、おおよそ径方向に前後して配置される。しかしながら、位置決め部材8は相互に隣り合って配置することもできる。例えば方位方向に相互隣り合って配置することができる。
【0022】
位置決め部材8の下部8’の一つの端面は、サセプタ2の主面3上で、それ自身を支持することができる。たとえ好ましくない変形例において可能であった場合でも、最上段被覆プレート7は、位置決め部材8の上部8”の端面上で支持すべきではない。好ましくない変形において、第二の止まり穴9、10のそれぞれの底面は、この端面上でそれ自身を支持しうる。これは最上段被覆プレート7をギャップによって最下段被覆プレート6から離れて置くことを可能にするだけではない。二つのピン形状の位置決め部材8は、最上段被覆プレート7によって完全に覆われ得ることも可能である。しかしながら、最上段被覆プレート7は最下段被覆プレート6の上に置くことが望ましい。結果として、上部8”の端面と止まり穴9、10の底との間の距離が存在することになる。
【0023】
ここでも、位置決め部材8は炭化ケイ素からなる。しかしながら位置決め部材8はプロセスチャンバにさらされない限り、サファイアからなることが望ましい。
【0024】
最下段被覆プレート6をサセプタ2に固定する二つの位置決め部材18は、直線を形成し、最下段被覆プレート6の二つの開口部23を通る。最上段被覆プレート7を最下段被覆プレート6に固定する二つの位置決め部材8は、同様に直線を形成する。二つの直線は相互に直交する。
【0025】
最下段被覆プレート6は、最下段被覆プレート16と外形を一致させることができる。最下段被覆プレート6は、二つの部分を有し、部分的に二つのポケット22を取り囲むように、その外周縁は円弧ライン上を走る。
【0026】
最下段被覆プレート6上に置かれる最上段被覆プレート7は、鋭角に交わり、直線に沿ってのびる二つの縁30を有する。当該縁30は、それぞれチャネル31の側面に位置する。そのチャネル31内に把持アームのフォークの又に分かれたアームが係合できる。それにより基板ホルダ4は、それを格納するポケット22から持ち上げることができる。
【0027】
図2図3では、同様にポケット22の側面に位置する丸い縁を有するさらに別の被覆プレート25、26を示す。
【0028】
図14では、サセプタ2上に配列した五つの基板ホルダ4を有するサセプタ2を示す。それぞれ格納ポケットに格納される。最下段被覆プレート6は、そのようにアーチ形の外周縁を有するように設計される。それにより、二つの基板ホルダ4又は格納ポケットは、部分的に取り囲まれる。この例示的実施形態において、格納ポケット又はその中に配置される基板ホルダ4は、四つの被覆プレートの全体によって部分的に取り囲まれる。具体的には、二つの径方向外側の被覆プレート6と二つの径方向内側の被覆プレート25である。ギャップ33が形成され、そこで、二つの半径方向外側の被覆プレート6は相互に隣接する。
【0029】
図15は、基板ホルダ4又は基板ホルダ4を格納する格納ポケットが、3つの被覆プレート36、25と隣接するような、サセプタ2についての例示的実施形態を示す。径方向外側の被覆プレート36は、基板ホルダ4を部分的に取り囲む円弧型の開口部を有する。この例示的実施形態において、基板ホルダ4は、厳密に一つの径方向外側の被覆プレート36によって部分的に取り囲まれる。
【0030】
被覆プレート36は、上段被覆プレート又は厳密に一つの上段被覆プレートを置くことができるような、下段被覆プレートである。二つの隣接する被覆プレート36の間に、追加的に、おおよそ三角形の被覆プレート34が設けられ、それはギャップ35の構造を有する二つの被覆プレート36と隣接する。この例示的実施形態において、被覆プレート34は、基板ホルダ4と隣接しない。
【0031】
上記の記述は、本出願が全体として範囲とする発明を説明するのに役立ち、本発明はそれぞれの場合において、独立して、少なくとも特徴の組み合わせによって、先行技術を発展させるものであり、これらの特徴の組み合わせのうち、二つ、複数又は全てを組み合わせることも可能である。
【0032】
サセプタ2の第一主面3に隣接する最下段被覆プレート6、16、36と、最下段被覆プレート6、16、36と少なくとも部分的に重なり、サセプタ構造の自由主面14を形成する最上段被覆プレート7、17とを含む少なくとも一つの被覆体5、15により、特徴づけられるサセプタ構造。
【0033】
二つの被覆プレート6、16、36、7、17が、炭化ケイ素、クオーツ、Al、ZrO、炭化ケイ素被覆黒鉛、又はその他の適切なセラミックの、結晶又は非晶質物質からなることを特徴とするサセプタ構造。
【0034】
最下段被覆プレート6が、最上段被覆プレート7よりも大きな表面を有し、最上段被覆プレート7が、最下段被覆プレート6上に水平に置かれることを特徴とするサセプタ構造。
【0035】
基板ホルダ4を格納するための第一のサセプタ主面3上の格納ポケット22において、少なくとも一つの最下段被覆プレート6が二つの異なる格納ポケット22又は、一つ又は厳密に一つの格納ポケット22を部分的に取り囲むことを特徴とするサセプタ構造。
【0036】
少なくとも二つの格納ポケット22を部分的に取り囲む最下段被覆プレート16と、最下段被覆プレート16によって担持される最上段被覆プレート17とが同じレイアウトを有することを特徴とするサセプタ構造。
【0037】
最上段被覆プレート7、17を最下段被覆プレート6、15、36と結合するためのかつ/又は少なくとも一つの最下段被覆プレート6、16とその上に置かれる最上段被覆プレート7、17をサセプタ2に結合するための一つ以上の位置決め部材8、18を特徴とするサセプタ。
【0038】
位置決め部材18が、第一のサセプタ主面3の挿入穴24へ挿入することのできるシャフト18’を形成し、とりわけシャフト18’がスペーサ20の開口部を通過する位置まで到達するように設けられ、それとともに、最下段被覆プレート6、16、36は、第一のサセプタ主面3とのギャップ距離に配置され、かつ/又は、位置決め部材18が、シャフト18’に関して直径を広げた頭部18”を有しかつ最上段被覆プレート17又は最下段被覆プレート16の上に載置される、ことを特徴とするサセプタ構造。
【0039】
最下段被覆プレート6、16、36は相互に離れて位置する二つの開口部12、13を有し、その中に、それぞれ形状的に篏合する位置決め部材8の下部8’が係合する。その端面は、第一のサセプタ主面3上に面し、かつ最上段被覆プレート7は、そこに対応する開口部を有し、最上段被覆プレート7の第一の開口部10は、位置決め部材の上部8”に形状的に篏合し、かつ第二の開口部9は、横長穴として形成され、とりわけ止まり穴によって形成される最上段被覆プレート7の二つの開口部9、10が設けられる、ことを特徴とするサセプタ構造。
【0040】
最上段被覆プレート7、17が、最下段被覆プレート6、16、36と直接隣接することを特徴とするサセプタ構造。
【0041】
とりわけ先行する請求項1及び請求項4~8のいずれかに記載された、CVDリアクタであって、サセプタ2の第一主面3と直接隣接する最下段被覆プレート6、16、36を有する少なくとも一つの被覆体5、15と、最下段被覆プレート6、16、36を覆い、サセプタ構造の自由主面を形成する、最上段被覆プレート7、17とを特徴とするCVDリアクタ。
【0042】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号の付与、及び/又は参照番号のリストで特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、又は技術的に同じ効果を有する他の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されていない、設計の形態に関する。
【符号の説明】
【0043】
1 CVDリアクタ
2 サセプタ
3 第一主面
4 基板ホルダ
5 被覆体
6 最下段被覆プレート
7 最上段被覆プレート
8 位置決め部材
8’ 下部
8” 上部
9 横長穴、 止まり穴
10 形成止まり穴
11 ギャップ
12 開口部
13 開口部
14 自由主面
15 被覆体
16 最下段被覆プレート
17 最上段被覆プレート
18 位置決め部材
19 開口部
20 スペーサ
21 ソケット
22 ポケット
23 開口部
24 挿入穴
25 被覆プレート
26 被覆プレート
27 ガス入口部材
28 プロセスチャンバ
29 加熱装置
30 縁
31 チャネル
32 キャリア
33 ギャップ
34 被覆プレート
35 ギャップ
36 下段被覆プレート
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図2
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