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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ファインダー及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 25/00 20060101AFI20240816BHJP
   G02B 15/16 20060101ALI20240816BHJP
   G02B 15/167 20060101ALI20240816BHJP
   G02B 15/20 20060101ALI20240816BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240816BHJP
   G03B 13/06 20210101ALI20240816BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B15/16
G02B15/167
G02B15/20
G02B13/18
G03B13/06
G02B5/04 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023506863
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2022004895
(87)【国際公開番号】W WO2022196187
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2021044876
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 広樹
(72)【発明者】
【氏名】宮城島 峻介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】大槻 智貴
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010215(JP,A)
【文献】特開平11-133298(JP,A)
【文献】特開2006-259476(JP,A)
【文献】特開2007-256644(JP,A)
【文献】特開2005-352240(JP,A)
【文献】特開2009-186675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G03B 13/06
G02B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み
前記対物光学系は前記反射面を含む第1のプリズムを有し、
前記接眼光学系は前記反射面を含む第2のプリズムを有し、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとし
前記第1のプリズムの最も物体側の面から前記第1のプリズムの最もアイポイント側の面までの光軸上の距離をdPoとし、
前記第2のプリズムの最も物体側の面から前記第2のプリズムの最もアイポイント側の面までの光軸上の距離をdPeとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
1.1<dPo/dPe<5 (3)
で表される条件式(1)及び(3)を満足するファインダー。
【請求項2】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
前記中間像の物体側で前記中間像に最も近い屈折力を有する光学面は、正の屈折力を有し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとし
前記光学面から前記中間像までの光軸上の距離をdiとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
0.025<di/fe<0.4 (4)
で表される条件式(1)及び(4)を満足するファインダー。
【請求項3】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
前記中間像の位置、又は前記中間像と光学的に共役な位置に、画像を表示する表示素子を備え、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとし
前記表示素子が前記中間像の位置に配置されている場合は、前記表示素子の画像表示面と前記中間像との光軸方向の空気換算距離をdとし、
前記表示素子が前記共役な位置に配置されている場合は、前記表示素子の前記画像表示面と前記共役な位置との光軸方向の空気換算距離をdとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
0≦|d|/fe<0.08 (5)
で表される条件式(1)及び(5)を満足するファインダー。
【請求項4】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備え、かつ撮像装置に設けられたファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
で表される条件式(1)を満足し、
前記接眼光学系の少なくとも1枚のレンズを光軸に沿って移動させることにより視度調整を行い、
前記対物光学系の少なくとも1枚のレンズを光軸に沿って移動させることにより視度調整を行い、
前記中間像の位置に配置され、かつ画像を表示する表示素子と、
前記対物光学系の前記視度調整の際に移動する少なくとも1枚のレンズを移動させることにより前記対物光学系からの光の集光位置を変化させる集光位置可変機構であって、前記撮像装置の非使用状態において、前記集光位置を前記表示素子と異なる位置に移動させる集光位置可変機構とを備えたファインダー。
【請求項5】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
前記対物光学系は、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含み、
前記複数のレンズ群は、広角端から望遠端への変倍の際にアイポイント側へ移動する負の屈折力を有する負レンズ群と、広角端から望遠端への変倍の際に物体側へ移動する正の屈折力を有する正レンズ群とを含み、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
で表される条件式(1)を満足するファインダー。
【請求項6】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
前記対物光学系は、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含み、
前記複数のレンズ群は、広角端から望遠端への変倍の際にアイポイント側へ移動する負の屈折力を有する負レンズ群と、広角端から望遠端への変倍の際に物体側へ移動する正の屈折力を有する正レンズ群とを含み、
前記負レンズ群は、2枚以上の負レンズを含み、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
で表される条件式(1)を満足するファインダー。
【請求項7】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
前記対物光学系は、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含み、
前記複数のレンズ群は、広角端から望遠端への変倍の際にアイポイント側へ移動する負の屈折力を有する負レンズ群と、広角端から望遠端への変倍の際に物体側へ移動する正の屈折力を有する正レンズ群とを含み、
前記負レンズ群は、2枚以上の負レンズを含み、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
で表される条件式(1)を満足し、
前記負レンズ群の負レンズのd線基準のアッベ数をνdnoとした場合、
40<νdno<110 (6)
で表される条件式(6)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むファインダー。
【請求項8】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
前記中間像の物体側で前記中間像に最も近い屈折力を有する光学面は、正の屈折力を有し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとし
前記光学面の物体側の媒質のd線に対する屈折率をNdaとし、
前記光学面の曲率半径をRaとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
-2.5<fe×Nda/Ra<-0.4 (11)
で表される条件式(1)及び(11)を満足するファインダー。
【請求項9】
光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み前記中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、
前記中間像は、前記対物光学系と前記接眼光学系との間の光路に位置し、
正立像を形成するための複数の反射面を含み、
前記対物光学系及び前記接眼光学系はそれぞれ、前記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、
前記対物光学系は、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含み、
前記複数のレンズ群は、広角端から望遠端への変倍の際にアイポイント側へ移動する負の屈折力を有する負レンズ群と、広角端から望遠端への変倍の際に物体側へ移動する正の屈折力を有する正レンズ群とを含み、
無限遠物体を観察する状態における前記対物光学系の焦点距離をfoとし、
前記対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、
視度が-1ディオプターの状態における前記接眼光学系の焦点距離をfeとし
前記負レンズ群の広角端における位置と望遠端における位置との差をdwtnとし、
無限遠物体を観察する状態における望遠端での前記対物光学系の最も物体側のレンズ面から前記中間像までの光軸上の距離をdoとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
0.05<dwtn/do<0.5 (12)
で表される条件式(1)及び(12)を満足するファインダー。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載のファインダーを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファインダー、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファインダーに使用可能な光学系として、特開2012-133110号公報、及び特開2012-88604号公報に記載のレンズ系が知られている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の技術は、光学系の大型化を抑制しつつ、より光学ファインダー倍率が高いファインダー、及びこのファインダーを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の技術の一態様に係るファインダーは、光路に沿って物体側からアイポイント側へ順に、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を形成する対物光学系と、少なくとも1枚のレンズを含み中間像を観察するための接眼光学系とを備えるファインダーであって、中間像は、対物光学系と接眼光学系との間の光路に位置し、正立像を形成するための複数の反射面を含み、対物光学系及び接眼光学系はそれぞれ、複数の反射面のうちの少なくとも1つを有し、無限遠物体を観察する状態における対物光学系の焦点距離をfoとし、対物光学系が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とし、視度が-1ディオプターの状態における接眼光学系の焦点距離をfeとした場合、
2<fo/fe<8 (1)
で表される条件式(1)を満足する。
【0005】
上記態様のファインダーは、無限遠物体を観察する状態における対物光学系の最も物体側のレンズ面から中間像までの光軸上の距離をdoとし、対物光学系が変倍光学系の場合はdoは望遠端における値とし、無限遠物体を観察する状態、かつ視度が-1ディオプターの状態における中間像から接眼光学系の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の距離をdeとした場合、
1.8<do/de<6 (2)
で表される条件式(2)を満足することが好ましい。
【0006】
対物光学系は反射面を含む第1のプリズムを有し、接眼光学系は反射面を含む第2のプリズムを有し、第1のプリズムの最も物体側の面から第1のプリズムの最もアイポイント側の面までの光軸上の距離をdPoとし、第2のプリズムの最も物体側の面から第2のプリズムの最もアイポイント側の面までの光軸上の距離をdPeとした場合、上記態様のファインダーは、
1.1<dPo/dPe<5 (3)
で表される条件式(3)を満足することが好ましい。
【0007】
上記態様のファインダーは、接眼光学系の少なくとも1枚のレンズを光軸に沿って移動させることにより視度調整を行うことが好ましい。
【0008】
上記態様のファインダーは、対物光学系の少なくとも1枚のレンズを光軸に沿って移動させることにより視度調整を行うことが好ましい。
【0009】
上記態様のファインダーにおいて、中間像の物体側で中間像に最も近い屈折力を有する光学面は、正の屈折力を有することが好ましい。上記光学面から中間像までの光軸上の距離をdiとした場合、上記態様のファインダーは、
0.025<di/fe<0.4 (4)
で表される条件式(4)を満足することが好ましい。
【0010】
上記光学面の物体側の媒質のd線に対する屈折率をNdaとし、
光学面の曲率半径をRaとした場合、上記態様のファインダーは、
-2.5<fe×Nda/Ra<-0.4 (11)
で表される条件式(11)を満足することが好ましい。
【0011】
上記態様のファインダーは、中間像の位置、又は中間像と光学的に共役な位置に、画像を表示する表示素子を備え、表示素子が中間像の位置に配置されている場合は、表示素子の画像表示面と中間像との光軸方向の空気換算距離をdとし、表示素子が共役な位置に配置されている場合は、表示素子の画像表示面と共役な位置との光軸方向の空気換算距離をdとした場合、
0≦|d|/fe<0.08 (5)
で表される条件式(5)を満足することが好ましい。
【0012】
上記態様のファインダーが上記表示素子を備える場合、上記態様のファインダーはさらに、対物光学系と接眼光学系との間の光路に、対物光学系から射出される光束の少なくとも一部を遮光する遮光部材を備えることが好ましい。そして、遮光部材が遮光する領域は可変であることが好ましい。
【0013】
上記態様のファインダーが、対物光学系の少なくとも1枚のレンズを光軸に沿って移動させることにより視度調整を行う場合、上記態様のファインダーは、撮像装置に設けられたファインダーであることが好ましく、中間像の位置に配置され、かつ画像を表示する表示素子と、対物光学系の視度調整の際に移動する少なくとも1枚のレンズを移動させることにより対物光学系からの光の集光位置を変化させる集光位置可変機構とを備えることが好ましい。上記集光位置可変機構は、撮像装置の非使用状態において、集光位置を表示素子と異なる位置に移動させることが好ましい。
【0014】
対物光学系は、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含むことが好ましい。その場合、対物光学系は、広角端から望遠端への変倍の際にアイポイント側へ移動する負の屈折力を有する負レンズ群と、広角端から望遠端への変倍の際に物体側へ移動する正の屈折力を有する正レンズ群とを含むことが好ましい。
【0015】
負レンズ群は、2枚以上の負レンズを含むことが好ましい。負レンズ群の負レンズのd線基準のアッベ数をνdnoとした場合、負レンズ群は、
40<νdno<110 (6)
で表される条件式(6)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0016】
負レンズ群の広角端における位置と望遠端における位置との差をdwtnとし、無限遠物体を観察する状態における望遠端での対物光学系の最も物体側のレンズ面から中間像までの光軸上の距離をdoとした場合、上記態様のファインダーは、
0.05<dwtn/do<0.5 (12)
で表される条件式(12)を満足することが好ましい。
【0017】
対物光学系の最も物体側のレンズ群は正の屈折力を有することが好ましい。対物光学系の最も物体側のレンズ群の焦点距離をf1とした場合、上記態様のファインダーは、
0.45<f1/fo<3 (7)
で表される条件式(7)を満足することが好ましい。
【0018】
対物光学系の正の屈折力を有するレンズ群の正レンズのd線に対する屈折率をNdpoとした場合、対物光学系の正の屈折力を有するレンズ群は、
1.65<Ndpo<2.3 (8)
で表される条件式(8)を満足する正レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0019】
接眼光学系は、1枚以上の正レンズと、1枚以上の負レンズとを含むことが好ましい。接眼光学系の負レンズのd線基準のアッベ数をνdneとした場合、接眼光学系は、
10<νdne<40 (9)
で表される条件式(9)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0020】
接眼光学系の条件式(9)を満足する負レンズの焦点距離をfneとし、無限遠物体を観察する状態、かつ視度が-1ディオプターの状態における中間像から接眼光学系の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の距離をdeとした場合、接眼光学系は、
-3<fne/de<-0.2 (10)
で表される条件式(10)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0021】
本開示の技術の別の態様に係る撮像装置は、上記態様のファインダーを備えている。
【0022】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、及びカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル等が含まれていてもよいことを意図する。
【0023】
なお、本明細書においては、非球面を含むレンズに関する、屈折力の符号、曲率半径、及び面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域で考えることにする。曲率半径の符号については、物体側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、アイポイント側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負とする。
【0024】
条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている値は、d線を基準とした場合の値である。本明細書に記載の「d線」、「C線」、及び「F線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)として扱う。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1のファインダーに対応し、一実施形態に係るファインダーの光路を展開した場合の構成と光束を示す断面図である。
図2図1のファインダーの各変倍状態における構成を示す断面図である。
図3図1のファインダーの光路を展開しない場合の側面図である。
図4図1のファインダーの部分の正面図である。
図5図1のファインダーの部分の斜視図である。
図6】変形例の要部の側面図である。
図7】変形例の要部の斜視図である。
図8】一実施形態に係る撮像装置の背面側の斜視図である。
図9】一実施形態に係る撮像装置の要部の機能構成図である。
図10】ファインダーにより観察される画像及び光学像の一例を示す図である。
図11】表示素子が表示する画像の一例である。
図12】光学像の一例である。
図13】第1表示領域のサイズ及び表示位置の変更例を示す図である。
図14】環境光の強度が高い状況での観察を説明するための図である。
図15】ファインダーを変倍した場合の観察を説明するための図である。
図16】実施例1のファインダーの各収差図である。
図17】実施例2のファインダーの構成と光束を示す断面図である。
図18】実施例2のファインダーの各収差図である。
図19】実施例3のファインダーの構成と光束を示す断面図である。
図20】実施例3のファインダーの各収差図である。
図21】実施例4のファインダーの構成と光束を示す断面図である。
図22】実施例4のファインダーの各収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の技術の実施形態の一例を図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1に、本開示の技術の一実施形態に係るファインダーの光学系の構成と光束を示す。本実施形態に係るファインダーは、例えばデジタルカメラ等の撮像装置に設けられて使用される。図1に示す構成例は、後述の実施例1に対応している。図1の光学系は変倍光学系であり、図2に、図1のファインダーの各変倍状態における構成を示す。図2では、「広角端」と付した上段に広角端状態を示し、「望遠端」と付した下段に望遠端状態を示す。本実施形態のファインダーの光路は屈曲形状であるが、図1及び図2には光路を展開した場合の断面図を示す。図1及び図2では左側を物体側、右側をアイポイントEP側としている。図1及び図2のアイポイントEPは形状を示しているのではなく光軸Ax方向の位置を示している。
【0028】
本実施形態のファインダーは、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、中間像MIを形成する対物光学系1と、中間像MIを観察するための接眼光学系2とを備える実像式のファインダーである。中間像MIは、対物光学系1と接眼光学系2との間の光路に位置する。対物光学系1及び接眼光学系2はそれぞれ、少なくとも1枚のレンズを含む。
【0029】
対物光学系1が有するレンズのみで形成される像は倒立像となるが、使用者が観察する像は正立像であることが好ましい。そこで、本実施形態のファインダーは、正立像を形成するための複数の反射面を含んで構成されている。これら複数の反射面は、それぞれが像を反転する作用を有し、全体として、正立像を形成するための光学系である像正立用光学系を構成する。本実施形態における対物光学系1及び接眼光学系2はそれぞれ、上記複数の反射面のうちの少なくとも1つを有する。すなわち、像正立用光学系の構成要素は、中間像MIを挟んで対物光学系1側と接眼光学系2側との両方に分けて配置されている。このように構成することによって、像正立用光学系内を通過する光束の最大径を小さくすることができるため、光学系の小型化に有利となる。
【0030】
一例として、図1の対物光学系1及び接眼光学系2は以下のように構成されている。対物光学系1は、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、レンズL1~L7の7枚のレンズと、第1のプリズムP1と、レンズL8とからなる。接眼光学系2は、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、第2のプリズムP2と、レンズL21~L23の3枚のレンズとからなる。対物光学系1は、ファインダーの最も物体側の屈折力を有する光学面から、中間像MIの物体側で中間像MIに最も近い光学面までの光学要素からなる。接眼光学系2は、中間像MIのアイポイントEP側で中間像MIに最も近い光学面から、ファインダーの最もアイポイントEP側の屈折力を有する光学面までの光学要素からなる。第1のプリズムP1及び第2のプリズムP2はそれぞれ、像正立用光学系の構成要素となる反射面を含む。図1では光束として、軸上光束Kaと、最大画角の光束Kbとを示す。
【0031】
図1のファインダーは、中間像MIの位置に配置された表示素子3を備える。表示素子3は、光透過性を有する素子であり、画像を表示する。図1のファインダーは、対物光学系1が形成する中間像MIである光学像と、表示素子3が表示する画像とを重畳させて観察可能に構成されている。つまり、図1のファインダーは、光学ビューファインダー(OVF:Optical View Finder)としての機能と、電子ビューファインダー(Electronic View Finder:EVF)としての機能とを兼ね備えたハイブリッド型のファインダーである。
【0032】
また、図1のファインダーは、対物光学系1と接眼光学系2との間の光路に遮光部材4を備える。遮光部材4は、対物光学系1から射出される光束の少なくとも一部を遮光する。これによって、表示素子3が表示する画像の視認性を向上させることができる。遮光部材4が遮光する領域は可変である。表示素子3と遮光部材4については後で詳述する。
【0033】
さらに、一例として、図1のファインダーは、接眼光学系2とアイポイントEPとの間に平行平板状の光学部材CGを備える。光学部材CGは、保護用のカバーガラス、又は各種フィルタ等を想定した部材である。光学部材CGは屈折力を有しない部材である。光学部材CGを省略してファインダーを構成することも可能である。
【0034】
図3に、図1のファインダーの光路を展開しない場合の側面図を示す。第1のプリズムP1及び第2のプリズムP2が有する反射面によって、光路が折り曲げられている。第1のプリズムP1から第2のプリズムP2までの部分の正面図を図4に示し、斜視図を図5に示す。
【0035】
図3図4、及び図5を参照しながら本実施形態の像正立用光学系について説明する。以下では、直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を用いて説明する。この説明では、レンズL1~L7の光軸Axと同じ方向で物体側からアイポイントEP側へ向かう方向を+Z軸方向とし、図3及び図4の上方向を+Y軸方向とし、図4の右方向を+X軸方向としている。
【0036】
第1のプリズムP1は、Z軸に垂直な入射面P1a、XY平面に対して45度傾いた反射面P1b、YZ平面に対して45度傾いた反射面P1c、YZ平面に対して反射面P1cと逆方向に45度傾いた反射面P1d、及びY軸に垂直な射出面P1eを有する。第2のプリズムP2は、Y軸に垂直な入射面P2a、XY平面に対して-45度傾いた反射面P2b、及びZ軸に垂直な射出面P2cを有する。
【0037】
物体側から+Z軸方向に進んで第1のプリズムP1に到達した光は、入射面P1aから第1のプリズムP1に入射して直進し、反射面P1bで-Y軸方向に反射され、反射面P1cで-X軸方向に反射され、反射面P1dで+Y軸方向に反射され、射出面P1eから射出される。この射出した光は、+Y軸方向に進んでレンズL8、遮光部材4、表示素子3を順に通過した後、入射面P2aから第2のプリズムP2に入射して直進し、反射面P2bで+Z軸方向に反射されて、射出面P2cから射出される。
【0038】
反射面P1b、反射面P1c、反射面P1d、及び反射面P2bは像正立用光学系の構成要素である。これら4つの反射面を経由することによって、図5に模式的に示すように、入射面P1aに入射した物体に対して射出面P2cから射出される像は、左右及び上下が逆になる。対物光学系1が有するレンズのみで形成される像は倒立像となるが、ファインダーが上記構成の像正立用光学系を備えることによって、使用者は正立像を観察することができる。
【0039】
対物光学系1の焦点距離をfoとし、接眼光学系2の焦点距離をfeとした場合、ファインダーは下記条件式(1)を満足するように構成される。ただし、foは無限遠物体を観察する状態における値とし、対物光学系1が変倍光学系の場合はfoは望遠端における値とする。また、feは視度が-1ディオプターの状態における値とする。条件式(1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、より高い像倍率で物体を観察することができる。条件式(1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(1-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(1-2)を満足することがさらにより好ましい。
2<fo/fe<8 (1)
2.3<fo/fe<6 (1-1)
2.7<fo/fe<4.2 (1-2)
【0040】
対物光学系1の最も物体側のレンズ面から中間像MIまでの光軸Ax上の距離をdoとし、中間像MIから接眼光学系2の最もアイポイントEP側のレンズ面までの光軸Ax上の距離をdeとした場合、ファインダーは下記条件式(2)を満足することが好ましい。ただし、doは無限遠物体を観察する状態における値とし、対物光学系1が変倍光学系の場合はdoは望遠端における値とする。また、deは、無限遠物体を観察する状態、かつ視度が-1ディオプターの状態における値とする。条件式(2)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、中間像MIよりアイポイントEP側の像正立用光学系の最もアイポイントEP側の面を通る光束の広がりを抑えることができるため、中間像MIよりアイポイントEP側の光学系の小型化に有利となる。条件式(2)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、中間像MIより物体側の像正立用光学系の最も物体側の面を通る光束の広がりを抑えることができるため、中間像MIより物体側の光学系の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(2-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(2-2)を満足することがさらにより好ましい。
1.8<do/de<6 (2)
2.4<do/de<5 (2-1)
3<do/de<4.2 (2-2)
【0041】
第1のプリズムP1の最も物体側の面から第1のプリズムP1の最もアイポイントEP側の面までの光軸Ax上の距離をdPoとし、第2のプリズムP2の最も物体側の面から第2のプリズムP2の最もアイポイントEP側の面までの光軸Ax上の距離をdPeとした場合、ファインダーは下記条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、中間像MIよりアイポイントEP側の像正立用光学系の最もアイポイントEP側の面を通る光束の広がりを抑えることができるため、中間像MIよりアイポイントEP側の光学系の小型化に有利となる。条件式(3)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、中間像MIより物体側の像正立用光学系の最も物体側の面を通る光束の広がりを抑えることができるため、中間像MIより物体側の光学系の小型化に有利となる。すなわち、条件式(3)を満足することによって、像正立用光学系の最もアイポイントEP側の面と像正立用光学系の最も物体側の面との両方について各々の有効径が大径化しないようバランスよく抑えることができるため、小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(3-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(3-2)を満足することがさらにより好ましい。
1.1<dPo/dPe<5 (3)
2<dPo/dPe<4.5 (3-1)
2.8<dPo/dPe<3.8 (3-2)
【0042】
中間像MIの物体側で中間像MIに最も近い屈折力を有する光学面は、正の屈折力を有することが好ましい。以下では、説明の便宜上、中間像MIの物体側で中間像MIに最も近い屈折力を有する光学面を近接光学面と呼ぶことにする。近接光学面が正の屈折力を有する場合は、近接光学面から接眼光学系2に向かう光束に収束作用を与えることができるため、接眼光学系2の小型化に有利となる。図1の例では、近接光学面は、レンズL8のアイポイントEP側のレンズ面である。しかし、本開示の技術においては、近接光学面はレンズ面に限定されない。例えば、近接光学面は屈折力を有するプリズムの面であってもよい。
【0043】
近接光学面から中間像MIまでの光軸Ax上の距離をdi、接眼光学系2の焦点距離をfeとした場合、ファインダーは下記条件式(4)を満足することが好ましい。ただし、feは視度が-1ディオプターの状態における値とする。条件式(4)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、近接光学面と中間像MIの像面との間に視度差が生じ、近接光学面にゴミが付着している場合でも光学像へのゴミの映り込みを回避することができる。条件式(4)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像正立用光学系の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(4-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(4-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.025<di/fe<0.4 (4)
0.05<di/fe<0.3 (4-1)
0.085<di/fe<0.25 (4-2)
【0044】
接眼光学系2の焦点距離をfeとし、近接光学面の物体側の媒質のd線に対する屈折率をNdaとし、近接光学面の曲率半径をRaとした場合、ファインダーは下記条件式(11)を満足することが好ましい。ただし、feは視度が-1ディオプターの状態における値とする。また、Raの符号は、物体側に凸面を向けた面形状のものを正、アイポイントEP側に凸面を向けた面形状のものを負とする。条件式(11)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外光線が接眼光学系2へ入射する際の光線の角度が収束傾向になり過ぎないため、アイレリーフの長さを確保することができる。条件式(11)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、軸外光線が接眼光学系2へ入射する際の光線の角度を収束傾向へ変化させることができるため、接眼光学系2の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(11-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(11-2)を満足することがさらにより好ましい。
-2.5<fe×Nda/Ra<-0.4 (11)
-1.8<fe×Nda/Ra<-0.8 (11-1)
-1.55<fe×Nda/Ra<-1.22 (11-2)
【0045】
対物光学系1は、変倍光学系であることが好ましい。より詳しくは、対物光学系1は、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含み、これら複数のレンズ群の隣り合う群との間隔を変化させることにより変倍を行うことが好ましい。変倍を可能とすることで、様々な視野に対応した光学像の中間像MIを形成することができる。
【0046】
一例として図1の対物光学系1は、最も物体側からアイポイントEP側へ順に連続して、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とを含む。第1レンズ群G1はレンズL1~L2の2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2はレンズL3~L4の2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3はレンズL5の1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4はレンズL6~L7の2枚のレンズからなる。広角端から望遠端への変倍の際、第2レンズ群G2は光軸Axに沿ってアイポイントEP側へ移動し、第4レンズ群G4は光軸Axに沿って物体側へ移動し、かつ第1レンズ群G1及び第3レンズ群G3は固定されている。図1では、変倍の際に移動するレンズ群の下に、広角端から望遠端への変倍の際の概略的な移動方向を太線の矢印で示している。
【0047】
対物光学系1が変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する複数のレンズ群を含む場合、対物光学系1は、広角端から望遠端への変倍の際にアイポイントEP側へ移動する負の屈折力を有する負レンズ群と、広角端から望遠端への変倍の際に物体側へ移動する正の屈折力を有する正レンズ群とを含むことが好ましい。このようにした場合は、高い変倍比を得ることに有利となり、かつ変倍に伴う視度変化を補正することにも有利となる。
【0048】
対物光学系1の上記負レンズ群は、2枚以上の負レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、高い変倍比を維持しつつ、変倍の際の球面収差の変動を抑制することに有利となる。
【0049】
対物光学系1の上記負レンズ群の負レンズのd線基準のアッベ数をνdnoとした場合、この負レンズ群は下記条件式(6)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。条件式(6)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸上色収差の補正に有利となる。条件式(6)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、材料の入手性を向上できるため、製造コストの低減に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(6)に代えて下記条件式(6-1)とすることがより好ましく、下記条件式(6-2)とすることがさらにより好ましい。
40<νdno<110 (6)
65<νdno<97 (6-1)
70<νdno<80 (6-2)
【0050】
対物光学系1の上記負レンズ群の広角端における位置と望遠端における位置との差をdwtnとし、対物光学系1の最も物体側のレンズ面から中間像MIまでの光軸Ax上の距離をdoとした場合、ファインダーは下記条件式(12)を満足することが好ましい。ただし、doは望遠端での無限遠物体を観察する状態における値とする。条件式(12)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、より高変倍の光学系の実現が容易になる。条件式(12)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、変倍の際の上記負レンズ群の移動量を抑制することができるため、小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(12-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(12-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.05<dwtn/do<0.5 (12)
0.09<dwtn/do<0.35 (12-1)
0.14<dwtn/do<0.185 (12-2)
【0051】
対物光学系1の最も物体側のレンズ群は正の屈折力を有することが好ましい。このようにした場合は、望遠端における球面収差の補正に有利となる。
【0052】
対物光学系1の最も物体側のレンズ群の焦点距離をf1とし、無限遠物体を観察する状態における望遠端での対物光学系1の焦点距離をfoとした場合、対物光学系1は下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、対物光学系1で発生する球面収差の抑制に有利となる。条件式(7)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、対物光学系1の最も物体側のレンズ群で好適に光束を収束させることができるため、対物光学系1の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、対物光学系1は下記条件式(7-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(7-2)を満足することがさらにより好ましい。
0.45<f1/fo<3 (7)
0.62<f1/fo<2 (7-1)
0.84<f1/fo<1.1 (7-2)
【0053】
対物光学系1の正の屈折力を有するレンズ群の正レンズのd線に対する屈折率をNdpoとした場合、対物光学系1の少なくとも1つの正の屈折力を有するレンズ群は下記条件式(8)を満足する正レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像面湾曲の補正に有利となる。条件式(8)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、材料の入手性を向上できるため、製造コストの低減に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(8)に代えて下記条件式(8-1)とすることがより好ましく、下記条件式(8-2)とすることがさらにより好ましい。
1.65<Ndpo<2.3 (8)
1.72<Ndpo<2.15 (8-1)
1.84<Ndpo<2.05 (8-2)
【0054】
接眼光学系2は、1枚以上の正レンズと、1枚以上の負レンズとを含むことが好ましい。このようにした場合は、倍率色収差の補正に有利となる。
【0055】
接眼光学系2の負レンズのd線基準のアッベ数をνdneとした場合、接眼光学系2は下記条件式(9)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。条件式(9)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、材料の入手性を向上できるため、製造コストの低減に有利となる。条件式(9)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、接眼光学系2で発生する色収差、特に倍率色収差の補正に有利となる。これによって、図1のように中間像MIの位置に表示素子3が配置されている場合は、表示素子3の画像表示面に表示される画像をより良好に観察することができる。より良好な特性を得るためには、条件式(9)に代えて下記条件式(9-1)とすることがより好ましく、下記条件式(9-2)とすることがさらにより好ましい。
10<νdne<40 (9)
15<νdne<29 (9-1)
22<νdne<25 (9-2)
【0056】
接眼光学系2の条件式(9)を満足する負レンズの焦点距離をfneとし、中間像MIから接眼光学系2の最もアイポイントEP側のレンズ面までの光軸Ax上の距離をdeとした場合、ファインダーは下記条件式(10)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。ただし、deは、無限遠物体を観察する状態、かつ視度が-1ディオプターの状態における値とする。条件式(10)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、中間像MIよりアイポイントEP側の像正立用光学系の反射面と、接眼光学系2の最も物体側のレンズ面との間隔を広げることができるため、迷光の発生を抑制することができる。条件式(10)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、接眼光学系2の小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、条件式(10)に代えて下記条件式(10-1)とすることがより好ましく、下記条件式(10-2)とすることがさらにより好ましい。
-3<fne/de<-0.2 (10)
-2<fne/de<-0.4 (10-1)
-1.82<fne/de<-0.6 (10-2)
【0057】
図1に示すように、ファインダーは、中間像MIの位置に画像を表示する表示素子3を備えることが好ましい。表示素子3が表示する画像とは、例えば撮像装置における撮像素子の撮影範囲を示す標識(視野枠)、撮影情報、及び撮影画像等である。中間像MIの位置に表示素子3を配置することによって、中間像MIと、表示素子3が表示する画像とを重畳させて観察することができる。なお、上記の「中間像MIの位置に画像を表示する表示素子3を備える」は、本開示の技術が属する技術分野で実用上許容される誤差を含む位置に表示素子3を備える場合も含む。
【0058】
表示素子3が配置される位置は、中間像MIの位置に代えて、中間像MIと光学的に共役な位置であってもよい。ファインダーが、中間像MIと光学的に共役な位置に表示素子3を備える場合も、中間像MIと、表示素子3が表示する画像とを重畳させて観察することができる。なお、上記の「中間像MIと光学的に共役な位置に表示素子3を備える」は、本開示の技術が属する技術分野で実用上許容される誤差を含む位置に表示素子3を備える場合も含む。
【0059】
一例として、中間像MIと光学的に共役な位置に表示素子3を備える構成の要部の側面図を図6に示し、斜視図を図7に示す。図3及び図5の構成と比較して図6及び図7の構成は、第2のプリズムP2に代えてハーフプリズムP21が配置されている点、接眼光学系2の光軸Axの延長上の位置であって中間像MIと光学的に共役な位置に表示素子3が配置されている点、及び、平行平板状の光透過性を有する光路長調整部材7が遮光部材4に隣接して配置されている点が主に異なる。光路長調整部材7は、図5の構成に代えて図7の構成を用いる場合に光路長を調整するための部材である。
【0060】
ハーフプリズムP21は、Y軸に垂直な入射面P21a、XY平面に対して-45度傾いた反射透過面P21b、Z軸に垂直な射出面P21c、及びZ軸に垂直な入射面P21dを有する。反射透過面P21bは、ハーフプリズムP21の内部に形成された膜によって構成され、入射光を反射光と透過光とに分岐する機能を有する。図6及び図7の構成では、対物光学系1からの光と、表示素子3からの光とを合成する素子として機能する。また、反射透過面P21bは、像正立用光学系の構成要素の1つの反射面としても機能する。
【0061】
図6及び図7の構成を用いた場合は、対物光学系1を通りレンズL8から射出して+Y軸方向に進む光は、遮光部材4を通過し、光路長調整部材7を透過した後、入射面P21aからハーフプリズムP21に入射して直進し、反射透過面P21bで+Z軸方向に反射される。一方、表示素子3から+Z軸方向へ進む光は、入射面P21dからハーフプリズムP21に入射し、反射透過面P21bを透過して、+Z軸方向に進む。反射透過面P21bにおいて、対物光学系1からの光と、表示素子3から光とが合成されて、射出面P21cから射出される。このようにして、中間像MIと、表示素子3が表示する画像とを重畳させて観察することができる。
【0062】
中間像MIの位置、又は中間像MIと光学的に共役な位置に、画像を表示する表示素子3が配置されている場合、ファインダーは下記条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)のdについては、表示素子3が中間像MIの位置に配置されている場合は、表示素子3の画像表示面と中間像MIとの光軸Ax方向の空気換算距離をdとする。また、条件式(5)のdについては、表示素子3が共役な位置に配置されている場合は、表示素子3の画像表示面と共役な位置との光軸Ax方向の空気換算距離をdとする。また、視度が-1ディオプターの状態における接眼光学系2の焦点距離をfeとする。条件式(5)の下限については、|d|が絶対値であり、feは接眼光学系2の焦点距離であるから、0≦|d|/feとなる。条件式(5)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、中間像MIと画像表示面との視度差を抑えて観察することができる。より良好な特性を得るためには、ファインダーは下記条件式(5-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(5-2)を満足することがさらにより好ましい。
0≦|d|/fe<0.08 (5)
0≦|d|/fe<0.045 (5-1)
0≦|d|/fe<0.02 (5-2)
【0063】
本実施形態のファインダーは、視度調整可能に構成されていることが好ましい。そのため、接眼光学系2の少なくとも1枚のレンズを光軸Axに沿って移動させることにより視度調整を行うように構成されていることが好ましい。このようにした場合は、視度調整の際の諸収差の変動を抑制することに有利となる。
【0064】
さらに、対物光学系1の少なくとも1枚のレンズを光軸Axに沿って移動させることにより視度調整を行うように構成されていることが好ましい。このようにした場合は、接眼光学系2での観察対象となる物体と、対物光学系1での観察対象となった物体の像との視度差を補正することが可能となる。具体的には例えば、表示素子3が表示する画像と、対物光学系1で形成する中間像MIとの視度差を補正することが可能となる。
【0065】
光軸Axに沿って移動することにより視度調整を行う群を、以下では視度調整群と呼ぶことにする。換言すれば、視度調整群は、視度調整の際に移動する群である。視度調整群は、1枚のみのレンズからなる構成としてもよく、複数のレンズからなる構成としてもよく、変倍の際に隣り合う群との間隔が変化する1つのレンズ群全体からなる構成としてもよい。
【0066】
図1の例では、対物光学系1の視度調整群はレンズL5の1枚のレンズからなり、接眼光学系2の視度調整群はレンズL21~L23の3枚のレンズからなる。接眼光学系2で視度調整を行う際には、レンズL21~L23が一体的に移動する。なお、本明細書において「一体的に移動する」とは、同時に同量同方向に移動することを意味する。
【0067】
ファインダーは、撮像装置の非使用状態において、視度調整群を移動させることにより、対物光学系1からの光の集光位置を表示素子3と異なる位置に移動させるように構成されていることが好ましい。このようにした場合は、非使用状態に太陽光等の強い光線がファインダーに入射した際に、表示素子3に焦点が合わないように集光位置を表示素子3からずらすことができるため、集光による表示素子3の損傷を防止することができる。同様に、遮光部材4の損傷も防止するためには、上記の非使用状態における視度調整群移動後の対物光学系1からの光の集光位置が、遮光部材4と異なる位置であることが好ましい。上記の非使用状態における視度調整群の移動は、自動的に行われることが好ましいが、使用者が手動で行ってもよい。
【0068】
次に、図8及び図9を参照しながら、本開示の技術の一実施形態に係る撮像装置について説明する。図8及び図9に示すカメラ100は、本開示の技術に係る撮像装置の一例である。図8には、カメラ100の背面側の斜視図を示し、図9にはカメラ100の要部の機能構成図を示す。以下では、ファインダーにとっての観察対象であり撮像装置にとっての撮像の対象となる物体を、被写体ともいう。また、以下では、対物光学系1が形成する中間像MIを、光学像OPともいう。
【0069】
一例として図8に示すカメラ100は、カメラ本体20と、本開示の技術の一実施形態に係るファインダー10とを備える。図8に示すファインダー10は、外付け型のファインダーであり、カメラ本体20の上部に不図示の接続部を介して着脱可能に接続されている。ファインダー10は、撮像中に使用者8が画角を設定したり被写体を確認したりするために使用する覗き込み型のファインダーである。ファインダー10は、使用者8がファインダー10内を覗き込むための接眼窓18を備える。
【0070】
図8に示すカメラ本体20は、背面ディスプレイ22、及び操作ユニット24等を備える。操作ユニット24は、カメラ本体20の外表面に設けられ、使用者8の操作を受け付ける。操作ユニット24には、レリーズボタン25、十字キー型又はコントロールホイール型の選択ボタン26、及び背面ディスプレイ22に設けられたタッチパネル等が含まれる。レリーズボタン25は、使用者8が撮像画像の記憶を指示する際に押される。選択ボタン26及びタッチパネルは、例えば、使用者8がモード選択又は条件設定等を行う場合に操作される。
【0071】
図9に示すように、ファインダー10は、内部に、対物光学系1、接眼光学系2、表示素子3、遮光部材4、対物用移動機構11、接眼用移動機構12、センサ13、光センサ14、及びプロセッサ16を備える。なお、図8では対物光学系1及び接眼光学系2を概念的に図示している。また、説明の便宜上、図8では対物光学系1が含む視度調整群1aと、その他の群1bとを分けて示している。
【0072】
対物用移動機構11及び接眼用移動機構12は視度調整の際に用いられる。対物用移動機構11は、不図示の対物用視度調整ダイヤルが操作された場合に、対物光学系1の視度調整群1aを光軸Axに沿って移動させる。これにより、視度調整が行われる。接眼用移動機構12は、不図示の接眼用視度調整ダイヤルが操作された場合に、接眼光学系2の視度調整群を光軸Axに沿って移動させる。これにより、視度調整が行われる。
【0073】
センサ13は、視度調整群1aの基準位置からの移動量を検出し、視度調整群1aの位置情報をプロセッサ16に出力する。センサ13としては、例えば、ポテンショメーター及びリニアエンコーダなどを用いることができる。センサ13からの出力値がアナログ値の場合は、出力値はA/D変換(Analog to Digital Conversion)された後、プロセッサ16に入力される。
【0074】
プロセッサ16は、不図示のメモリと協働して、制御プログラムを実行することにより、ファインダー10内の各部を制御する。ファインダー10がカメラ本体20に装着された状態では、接続部を介してプロセッサ16と本体プロセッサ29とは通信可能である。プロセッサ16は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成されていてもよい。
【0075】
対物用移動機構11は、本開示の技術に係る「集光位置可変機構」の一例としても機能する。視度調整群1aが移動すると、対物光学系1からの光の集光位置が変化する。プロセッサ16が備えるメモリには、対物光学系1からの光の集光位置が表示素子3と異なる位置になる状態の視度調整群1aの位置情報が記憶されている。プロセッサ16は、カメラ100の電源がONからOFFに切り替わった信号を受信した場合、非使用状態になったと判断し、対物用移動機構11を動作させて視度調整群1aを移動させることにより、対物光学系1からの光の集光位置が表示素子3と異なる位置になるようにする。
【0076】
表示素子3は光透過性を有し、例えば透過型ディスプレイによって構成される。透過型ディスプレイとしては、厚みが薄い自己発光型の有機EL(Electro Luminescence)パネル等が利用可能である。また、表示素子3の画像表示面の各領域の明るさ(輝度)は、可変であり、領域毎に制御可能である。表示素子3はプロセッサ16からの信号に基づき画像表示面に画像を表示する。
【0077】
遮光部材4は、対物光学系1から射出される光束の少なくとも一部を遮光する調光用部材である。遮光部材4は、例えば、高分子分散型の液晶パネル、エレクトロクロミック製のシート、及び/又は減光フィルタであるND(Neutral Density)フィルタによって構成してもよい。
【0078】
遮光部材4の遮光率は、可変である。遮光部材4の遮光率は、略0%~略100%の範囲で可変であることが好ましい。遮光部材4の遮光率が略0%の場合は、使用者8は、光学像OPと表示素子3が表示する画像とが重畳された像を観察することになる。遮光部材4の遮光率が略100%の場合は、光学像OPの光は遮光されるため、使用者8は、表示素子3が表示する画像のみを観察することになる。
【0079】
遮光部材4が遮光する領域は可変である。遮光する領域を任意な位置に変更可能とすることで、光学像OPの領域と、表示素子3が表示する画像の領域とを自由に選択することができる。遮光部材4の遮光率は、遮光部材4の領域毎に制御可能である。遮光部材4の各領域の遮光率は、使用者8が任意の値に設定できるようにしてもよい。遮光部材4の遮光率は、例えば遮光部材4に入力される電気信号に応じて変化する。プロセッサ16は、例えば、後述する光センサ14からの信号に基づいて、遮光部材4の遮光率を制御する。また、プロセッサ16は、例えば、操作ユニット24を通じて使用者8が入力した操作指示を受け付けることにより、遮光部材4の遮光率を制御することも可能である。
【0080】
遮光部材4は、表示素子3の全体を覆い、必要な場合は表示素子3を透過する光を十分に遮ることができるように構成されていることが好ましい。そのため、遮光部材4の平面サイズは、表示素子3の画像表示面の平面サイズと同一であるか、又はそれ以上であることが好ましい。遮光部材4は、表示素子3の物体側に配置されていてもよく、アイポイントEP側に配置されていてもよい。遮光部材4が表示素子3の物体側に配置されている場合は、遮光部材4の遮光率を上げることで表示素子3に入射する光の量を減らし、表示素子3の劣化を抑制することができる。
【0081】
光センサ14は測光用のセンサである。光センサ14は、ファインダー10内に設置され、撮影環境における光(以下、環境光という)の強度に応じた信号を出力する。光センサ14の出力信号は、プロセッサ16に伝送される。本例では、光センサ14は、ファインダー10内に設けられているが、この構成に限定されない。光センサ14は、カメラ本体20内に設けられてもよい。
【0082】
カメラ本体20は、撮影レンズ27、撮像素子28、及び本体プロセッサ29を備える。なお、撮影レンズ27は複数のレンズからなるが、図9では概念的に図示している。
【0083】
撮影レンズ27は、被写体の像を結像する。撮像素子28は、撮影レンズ27によって結像される像を撮像する。撮像素子28としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることができる。撮像素子28は、撮像した像の画像である撮像画像を本体プロセッサ29に出力する。
【0084】
本体プロセッサ29は、撮像画像に対して画像処理を施し、画像処理が施された画像データをプロセッサ16へ伝送し、プロセッサ16は伝送された画像データを表示素子3に出力する。表示素子3は、入力された画像データに基づいた画像を表示する。以下では、表示素子3が表示する画像のうち、撮像素子28を経由して得られた画像データに基づいた画像を画像Pと呼ぶことにする。
【0085】
本体プロセッサ29は、1つ又は複数のハードウェア機器、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はその他のIC(Integrated Circuit)によって構成されてもよい。あるいは、これらを組み合わせて本体プロセッサ29が構成されてもよい。本体プロセッサ29は、不図示のメモリと協働して、制御プログラムを実行することにより、カメラ本体20の各部を制御する。
【0086】
カメラ100では、遮光部材4の遮光率が十分に低ければ、使用者8は、接眼窓18を覗いて、一例として図10に示すような、対物光学系1が形成した光学像OPと、表示素子3が表示する画像Pとが重畳された像を観察することができる。
【0087】
理解を容易にするため、図10の像のうち、表示素子3が表示する画像のみを図11に示し、光学像OPのみを図12に示す。本例では、図11に示すように、表示素子3が画像表示面35に表示する画像は、画像Pに加え、標識F、及び設定情報EIがある。標識Fは、撮像素子28の撮影範囲(画角)を示す領域を囲む枠、又はその領域の境界位置を示すL字型マーク等である。本体プロセッサ29は、撮影レンズ27の仕様及びファインダー10各部に関する情報に基づいて、被写体の光学像OPと撮像素子28の撮影範囲との位置関係を特定し、特定した位置関係に応じて標識Fを表示素子3に表示させる。設定情報EIは、シャッタスピード、F値、及びISO(International Organization for Standardization)感度等の露光条件を含む情報である。
【0088】
表示素子3の画像表示面35のうち、画像Pが表示される領域を第1表示領域35aと呼び、第1表示領域35a以外の領域を第2表示領域35bと呼ぶことにする。
【0089】
図12に示すように、光学像OPの領域は、画像Pと重畳する領域と、画像Pと重畳しない領域とに分けて考えることができる。光学像OPの領域のうち、画像Pと重畳する領域を第1光学領域OP1と呼び、画像Pと重畳しない領域を第2光学領域OP2と呼ぶことにする。すなわち、第1光学領域OP1は第1表示領域35aに対応する領域であり、第2光学領域OP2は第2表示領域35bに対応する領域である。図10の例では、遮光部材4の遮光率が十分に低いため、第1表示領域35aに表示されている画像Pに対して、第1光学領域OP1の光学像OPが透けて見えている。
【0090】
画像Pが表示される第1表示領域35aのサイズ及び位置は、画像表示面35内であれば任意に変更可能である。プロセッサ16は、例えば使用者8の入力操作を受け付けると、その操作内容に基づいて第1表示領域35aのサイズ及び位置を設定する。また、プロセッサ16は、使用者8の第1表示領域35aに関する変更指示を受け付けた場合には、その指示内容に応じて第1表示領域35aのサイズ又は位置を変更する。
【0091】
一例として図13に、図10の例から第1表示領域35aのサイズ及び位置を変更した場合の例を示す。図13の例では、図10の例に比べて画像Pのサイズが大きくなり、画像Pの位置が左下隅へ変更され、画像Pのこの位置の変更に伴い設定情報EIの位置も変更されている。
【0092】
遮光部材4においては、第1光学領域OP1に対応する領域を第1遮光領域4aと呼び、第2光学領域OP2に対応する領域を第2遮光領域4bと呼ぶことにする。図10の像を観察している場合の第1遮光領域4a及び第2遮光領域4bを図14の上図に示す。遮光部材4の遮光率は、遮光部材4の領域毎に制御可能であるから、第1遮光領域4aの遮光率と第2遮光領域4bの遮光率とを個別に制御可能である。したがって、状況に応じて、光学像OP及び画像Pの各々の視認性(明るさ)を独立して調整することができる。例えば、環境光の強度に基づいて遮光部材4における各遮光領域の遮光率を制御することにより、ファインダー10により観察される光学像OP及び画像Pの両方の視認性を向上させることができる。
【0093】
環境光の強度が高い場合は、光学像OPが明るく見えるため、その明るさを有する光学像OPを表示素子3に透過させると、第1光学領域OP1と重畳する画像Pの視認性が低下する。このような場合、プロセッサ16は、遮光部材4を制御して、第1遮光領域4aの遮光率を第2遮光領域4bに比べて十分に高くする。具体的には、光センサ14の出力信号から環境光の強度を検出し、その検出結果に基づいて第2遮光領域4bの遮光率を制御する。また、プロセッサ16は、光センサ14の出力信号と、撮像素子28の生成する信号とに基づいて、第1遮光領域4aの遮光率を制御する。例えば、第1遮光領域4aの遮光率を略100%にする。そうすれば、図14の下図に示すように、環境光の強度が非常に強い場合でも、光学像OPの明るさを保ちつつ、画像Pの視認性を向上させることができる。もしくは、第1表示領域35aにおいて、第1光学領域OP1と画像Pを使用者8に共に視認させたい場合は、遮光率を例えば50~90%程度にするとよい。なお、図14では設定情報EI及び標識Fの図示を省略している。
【0094】
上記例とは逆に、環境光の強度が低い場合もある。例えば、撮影環境が夜間の屋外空間等の場合である。暗環境では、検出された環境光の強度が予め定められた基準値を下回る場合がある。このような場合は、被写体の光学像OPを確認する必要性が低下するため、プロセッサ16は、第1遮光領域4a及び第2遮光領域4b両方の遮光率を高くし、例えば、上限値付近の値に制御してもよい。そして、プロセッサ16は、画像Pを拡大して画像表示面35全面に表示させてもよい。これによって、使用者8は、光学像OPを見ることなく、画像Pの確認に集中することができる。上記構成を有するファインダー10によれば、多様な使用方法が可能である。
【0095】
変倍機能を有するファインダー10では、光学像OPを変倍できるため、望遠タイプの撮影レンズ27を用いて遠方の鳥等の被写体を撮像する場合、以下のような使用方法が可能である。初め、使用者8は、ファインダー10の対物光学系1を広角側に設定しておき、ファインダー10を覗きながら広い範囲で被写体を探す。この状態では、図10に示すように、光学像OPの画角は広い。使用者8は、光学像OPの中に被写体が入ったことが確認できたら、撮影レンズ27で被写体を撮像するため、被写体に標識Fを合わせようとする。しかし、望遠タイプの撮影レンズ27は、一般に画角が狭いため、標識Fの範囲は小さな範囲となる。このような場合、ファインダー10を覗きながら遠方の小さく見える被写体に小さな範囲の標識Fを合わせることは難しい。特に、被写体が移動体の場合は難しい。そこで、使用者8は、ファインダー10の対物光学系1を変倍して望遠側にすれば、変倍前に比べて、図15に示すように拡大した光学像OPを観察でき、かつサイズが拡大された被写体及び標識Fを観察できるため、被写体に標識Fを合わせることが容易になる。
【0096】
次に、本開示のファインダーの実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施例の断面図のレンズに付された参照符号は、参照符号の桁数の増大による説明及び図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。したがって、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0097】
[実施例1]
実施例1のファインダーの構成と光束は図1に示しており、その図示方法は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1のファインダーは、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、対物光学系1と、遮光部材4と、表示素子3と、接眼光学系2と、光学部材CGとを備える。
【0098】
対物光学系1は、物体側からアイポイントEP側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第1のプリズムP1と、レンズL8とからなる。第1レンズ群G1はレンズL1~L2の2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2はレンズL3~L4の2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3はレンズL5の1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4はレンズL6~L7の2枚のレンズからなる。広角端から望遠端への変倍の際、第2レンズ群G2は光軸Axに沿ってアイポイントEP側へ移動し、第4レンズ群G4は光軸Axに沿って物体側へ移動し、かつ第1レンズ群G1及び第3レンズ群G3は固定されている。対物光学系1の視度調整群はレンズL5の1枚のレンズからなる。
【0099】
接眼光学系2は、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、第2のプリズムP2と、レンズL21~L23の3枚のレンズとからなる。接眼光学系2の視度調整群は、レンズL21~L23の3枚のレンズからなる。第1のプリズムP1と第2のプリズムP2とはそれぞれ、正立像を形成するための反射面を含む。
【0100】
実施例1のファインダーについて、基本レンズデータを表1に、諸元及び可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。
【0101】
表1は以下のように記載されている。Snの列には、最も物体側の面を第1面としアイポイントEP側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。Rの列には、各面の曲率半径を示す。Dの列には、各面とそのアイポイントEP側に隣接する面との光軸Ax上の面間隔を示す。Ndの列には、各構成要素のd線に対する屈折率を示す。νdの列には、各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。
【0102】
表1では、物体側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、アイポイントEP側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負としている。表1では、中間像MIに対応する面の面番号の欄には面番号に加え(MI)を記載し、アイポイントEPに対応する面の面番号の欄には面番号に加え(EP)を記載している。表1では、視度調整及び変倍の際の可変面間隔はDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付してDの欄に記入している。
【0103】
表2に、各変倍状態及び各物体距離における、倍率、全画角での視野角2ω、及び可変面間隔の値を示す。表2の1行目の「広角端」及び「望遠端」は、変倍状態を示す。表2の2行目の「無限遠」及び「3m」はそれぞれ、物体距離が無限遠及び3m(メートル)であることを示す。物体距離は、物体からファインダーの最も物体側のレンズ面までの光軸Ax上の距離である。「倍率」はファインダー倍率である。2ωの欄の(°)は単位が度であることを示す。表2には、視度が表2に示す値におけるデータを示す。視度の行の「dpt」はディオプター(diopter)を意味する。
【0104】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を記載している。表3において、Snの行には非球面の面番号を示し、KA及びAm(m=3、4、5、・・・16)の行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KA及びAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h/{1+(1-KA×C×h1/2}+ΣAm×h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Axに垂直な平 面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Axからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0105】
以下、各表のデータにおいて、角度の単位には度を用い、長さの単位にはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
図16に、視度が-1.00ディオプターの状態における実施例1のファインダーの各収差図を示す。図16では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、及び倍率色収差を示す。図16では「広角端」と付した上段に広角端状態の収差を示し、「望遠端」と付した下段に望遠端状態の収差を示す。球面収差図では、d線、C線、及びF線における収差をそれぞれ実線、長破線、及び短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、及びF線における収差をそれぞれ長破線、及び短破線で示す。球面収差図及び非点収差図の横軸の単位のdptはディオプター(diopter)を意味する。倍率色収差図の横軸の単位のminは角度の分を意味する。球面収差図では「Φ=」の後に単位をmm(ミリメートル)とした場合のアイポイントEPの直径の値を示す。その他の収差図では「ω=」の後に半画角での視野角の値を示す。
【0110】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、及び図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0111】
[実施例2]
実施例2のファインダーの構成と光束を図17に示す。実施例2のファインダーは、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、対物光学系1と、遮光部材4と、表示素子3と、接眼光学系2と、光学部材CGとを備える。
【0112】
対物光学系1は、物体側からアイポイントEP側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第1のプリズムP1と、レンズL8とからなる。第1レンズ群G1はレンズL1~L2の2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2はレンズL3~L4の2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3はレンズL5の1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4はレンズL6~L7の2枚のレンズからなる。広角端から望遠端への変倍の際、第2レンズ群G2は光軸Axに沿ってアイポイントEP側へ移動し、第4レンズ群G4は光軸Axに沿って物体側へ移動し、かつ第1レンズ群G1及び第3レンズ群G3は固定されている。対物光学系1の視度調整群はレンズL5の1枚のレンズからなる。
【0113】
接眼光学系2は、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、第2のプリズムP2と、レンズL21~L22の2枚のレンズとからなる。接眼光学系2の視度調整群は、レンズL21~L22の2枚のレンズからなる。第1のプリズムP1と第2のプリズムP2とはそれぞれ、正立像を形成するための反射面を含む。
【0114】
実施例2のファインダーについて、基本レンズデータを表4に、諸元及び可変面間隔を表5に、非球面係数を表6に、視度が-1.00ディオプターの状態における各収差図を図18に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
[実施例3]
実施例3のファインダーの構成と光束を図19に示す。実施例3のファインダーは、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、対物光学系1と、遮光部材4と、表示素子3と、接眼光学系2と、光学部材CGとを備える。
【0119】
対物光学系1は、物体側からアイポイントEP側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第1のプリズムP1と、レンズL8とからなる。第1レンズ群G1はレンズL1~L2の2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2はレンズL3~L4の2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3はレンズL5~L7の3枚のレンズからなる。広角端から望遠端への変倍の際、第2レンズ群G2は光軸Axに沿ってアイポイントEP側へ移動し、第3レンズ群G3は光軸Axに沿って物体側へ移動し、かつ第1レンズ群G1は固定されている。対物光学系1の視度調整群はレンズL2の1枚のレンズからなる。
【0120】
接眼光学系2は、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、第2のプリズムP2と、レンズL21~L23の3枚のレンズとからなる。接眼光学系2の視度調整群は、レンズL21~L23の3枚のレンズからなる。第1のプリズムP1と第2のプリズムP2とはそれぞれ、正立像を形成するための反射面を含む。
【0121】
実施例3のファインダーについて、基本レンズデータを表7に、諸元及び可変面間隔を表8に、非球面係数を表9に、視度が-1.00ディオプターの状態における各収差図を図20に示す。
【0122】
【表7】
【0123】
【表8】
【0124】
【表9】
【0125】
[実施例4]
実施例4のファインダーの構成と光束を図21に示す。実施例4のファインダーは、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、対物光学系1と、遮光部材4と、表示素子3と、接眼光学系2と、光学部材CGとを備える。
【0126】
対物光学系1は、物体側からアイポイントEP側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第1のプリズムP1と、レンズL9とからなる。第1レンズ群G1はレンズL1~L2の2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2はレンズL3~L5の3枚のレンズからなる。第3レンズ群G3はレンズL6の1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4はレンズL7~L8の2枚のレンズからなる。広角端から望遠端への変倍の際、第2レンズ群G2は光軸Axに沿ってアイポイントEP側へ移動し、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4は相互間隔を変化させて光軸Axに沿って物体側へ移動し、かつ第1レンズ群G1は固定されている。対物光学系1の視度調整群はレンズL2の1枚のレンズからなる。
【0127】
接眼光学系2は、光路に沿って物体側からアイポイントEP側へ順に、第2のプリズムP2と、レンズL21~L23の3枚のレンズとからなる。接眼光学系2の視度調整群は、レンズL21~L23の3枚のレンズからなる。第1のプリズムP1と第2のプリズムP2とはそれぞれ、正立像を形成するための反射面を含む。
【0128】
実施例4のファインダーについて、基本レンズデータを表10に、諸元及び可変面間隔を表11に、非球面係数を表12に、視度が-1.00ディオプターの状態における各収差図を図22に示す。
【0129】
【表10】
【0130】
【表11】
【0131】
【表12】
【0132】
表13に、実施例1~4のファインダーの条件式(1)~(12)の対応値を示す。
【0133】
【表13】
【0134】
実施例1~4のファインダーの視度が-1ディオプターの状態におけるファインダー倍率の絶対値は2倍以上であり、高い倍率を達成している。また、実施例1~4のファインダーは、諸収差が良好に補正されて高い光学性能を実現している。
【0135】
以上、実施形態及び実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態及び実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、及び非球面係数等は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。対物光学系及び接眼光学系が含むレンズの枚数は上記実施例と異なる枚数でもよい。対物光学系が含むレンズ群の数は上記実施例と異なる数でもよい。対物光学系1が含む変倍の際に移動するレンズ群は上記実施例と異なるレンズ群であってもよい。対物光学系及び接眼光学系が含む視度調整群は上記実施例と異なる群でもよい。像正立用光学系は上記実施形態及び変形例と異なる構成であってもよい。
【0136】
条件式に関する構成も含め、本明細書において好ましい構成及び可能な構成とされたものは、矛盾しない範囲において任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。また、本開示の技術のファインダーが満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましい、より好ましい、及びさらにより好ましいとされた条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0137】
上記実施形態では、外付け型のファインダーを例にとり説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。ファインダーは、カメラ本体に内蔵されていてもよい。その場合は、カメラ本体の本体プロセッサが表示素子及び遮光部材を制御する。
【0138】
また、本開示の技術に係るファインダーは、上記実施形態の装置以外にも適用可能であり、例えば、フィルムカメラ、ビデオカメラ、及びヘッドマウントディスプレイ等にも適用可能である。
【0139】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0140】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0141】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
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