(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】デジタル-アナログ変換器及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H03M 1/08 20060101AFI20240819BHJP
H03M 1/74 20060101ALI20240819BHJP
G06F 3/05 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H03M1/08 B
H03M1/74
G06F3/05 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023007730
(22)【出願日】2023-01-23
【審査請求日】2023-01-23
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】507185945
【氏名又は名称】創意電子股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】汪 鼎豪
(72)【発明者】
【氏名】蔡 惠▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】羅 士淳
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-201671(JP,A)
【文献】特開平03-143026(JP,A)
【文献】特開2018-166232(JP,A)
【文献】米国特許第10965299(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00-1/88
G06F 3/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル-アナログ変換器であって、該デジタル-アナログ変換器は、
電流源モジュールと、
該電流源モジュールに結合され、デジタル入力信号を受信するデコーダと、
該デコーダに結合され、前記デコーダに指示信号を供給する変化指示器と、
該変化指示器に結合され、前記変化指示器に乱数信号を供給する乱数発生器と、を備え、
前記変化指示器は、前記乱数信号に従って前記指示信号を生成し、前記デコーダは、前記デジタル入力信号と前記指示信号とに従って、前記電流源モジュールに制御信号を生成し、その結果、前記電流源モジュールは、前記制御信号に従って、前記デジタル入力信号に対応するアナログ出力信号を生成
し、
前記変化指示器は、前記指示信号にダミービットをさらに加え、該ダミービットは、前記デジタル入力信号のコードが示すビット位置よりも1ビット前に位置し、前記ダミービットは値0に設定される、デジタル-アナログ変換器。
【請求項2】
前記電流源モジュールは、順番に設定された複数の電流源をさらに備え、
前記デコーダは、前記デジタル入力信号の
前記コードに対応する値に従って、前記電流源のイネーブルとなる量を決定し、前記デコーダは、前記指示信号の初期選択値に従って、前記電流源のうちの1つを初期選択対象として決定し、イネーブルとなる前記電流源の
量に従って、前記初期選択対象
の電流源に基づいて順次他の電流源を
選択する
ことにより、前記電流源のうちの少なくとも1つが、電流出力を供給することが可能となる、請求項1に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項3】
前記変化指示器は、前記指示信号の前記初期選択値が前のサイクルの初期選択値と同じままであるか、または、前記乱数信号に従って前記前のサイクルの前記初期選択値と異なるかを決定する、請求項2に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項4】
前記変化
指示器が、前記指示信号の前記初期選択値が前記前のサイクルの前記初期選択値と異なることを、前記乱数信号に従って、決定したとき、前記初期選択値は、前記前のサイクルの前記初期選択値に1を加算した結果である、請求項3に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項5】
前記電流源が1×Mの電流源アレイを形成し、Mが正の整数である、請求項2に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項6】
前記電流源がN×M個の電流源アレイを形成し、M及びNが正の整数である、請求項2に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項7】
前記デジタル入力信号は、複数のグループのコードを含み、前記デコーダは、前記デジタル入力信号の前記複数のグループのコードにそれぞれ対応する値に従って、電流源アレイの複数の次元においてイネーブルされるべき電流の量を決定する、請求項2に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項8】
前記指示信号は、複数の前記初期選択値を含み、前記デコーダは、それぞれ、前記初期選択値に従って、電流源アレイの複数の次元のうちの1つを初期選択対象として決定する、請求項2に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項9】
前記乱数信号は、複数の値を含み、前記変化指示器は、前記指示信号の前記初期選択値が、前のサイクルの初期選択値と同じままであるか、または、前記前のサイクルの前記初期選択値と異なるかを、それぞれ、前記値に従って決定する、請求項8に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項10】
前記乱数発生器は、
複数のシフトレジスタと、
論理ゲートと、を備え、
前記論理ゲートは、直列に接続されており、
前記論理ゲートは、前記シフトレジスタの一部の出力端子を、前記シフトレジスタの第1段の入力端子として、前記シフトレジスタにフィードバックするように構成され、
前記シフトレジスタの最終段の出力端子は、前記乱数信号を供給し、前記乱数信号は1ビット信号である、請求項1に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項11】
前記変化指示器は、順番に配置された複数のD型フリップフロップを備え、
該D型フリップフロップの各々の入力端子は、前段の対応するD型フリップフロップの出力端子に結合され、前記D型フリップフロップの各々のクロック入力端子が前記乱数信号を受信し、前記D型フリップフロップの第一段の設定端子がリセット信号を受信し、前記D型フリップフロップの各々の他の段のリセット端子が前記リセット信号を受信する、請求項1に記載のデジタル-アナログ変換器。
【請求項12】
デジタル-アナログ変換器の動作方法であって、該動作方法は、
乱数発生器を介して乱数信号を供給するステップと、
変化指示器を介して前記乱数信号に従って指示信号を生成するステップと、
デコーダを介してデジタル入力信号および前記指示信号を受信するステップと、
前記デジタル入力信号と前記指示信号に従って、前記デコーダを介して電流源モジュールに制御信号を生成するステップと、
前記制御信号に従って前記電流源モジュールを介して前記デジタル入力信号に対応するアナログ出力信号を生成するステップと、を有
し、
前記デジタル入力信号および前記指示信号に従って、前記デコーダを介して前記電流源モジュールに前記制御信号を生成するステップは、
前記指示信号にダミービットを加えるステップであって、前記ダミービットは、前記デジタル入力信号のコードが示すビット位置よりも1ビット前に位置し、前記ダミービットは値0に設定される、ステップを有する、デジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項13】
前記電流源モジュールは、順番に設定された複数の電流源を備え、
前記制御信号を生成する前記ステップは、
前記デコーダを介して、前記デジタル入力信号の
前記コードに対応する値に従って、イネーブルにされるべき前記電流源の量を決定するステップと、
前記デコーダを介して、前記指示信号の初期選択値に従って、前記電流源のうちの1つを初期選択対象として決定するステップと、
前記デコーダを介して、イネーブルにされるべき前記電流源の
量に従って、前記初期選択対象
の電流源に基づいて順次他の電流源を
選択する
ステップであって、その結果、前記電流源のうちの少なくとも1つが、電流出力を供給することを可能にする、ステップと、を有する、請求項
12に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項14】
前記変化指示器は、前記指示信号の前記初期選択値が前のサイクルの初期選択値と同じままであるか、前記乱数信号に従って前記前のサイクルの前記初期選択値と異なるかを決定する、請求項
13に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項15】
前記変化指示器は、前記指示信号の前記初期選択値が前記前のサイクルの前記初期選択値と異なることを前記乱数信号に従って決定するとき、前記初期選択値は、前記前のサイクルの前記初期選択値に1を加算した結果である、請求項
14に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項16】
前記電流源は1×Mの電流源アレイを形成し、Mは正の整数である、請求項
13に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項17】
前記電流源はN×M個の電流源アレイを形成し、M及びNは正の整数である、請求項
13に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項18】
前記デジタル入力信号は、複数のグループのコードを含み、
前記制御信号を生成するステップは、
前記デジタル入力信号の前記複数のグループのコードにそれぞれ対応する値に従って、デコーダを介して、電流源アレイの複数の次元においてイネーブルにされるべき電流の量を決定するステップを、さらに、有する、請求項
13に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項19】
前記指示信号は、複数の前記初期選択値を含み、前記制御信号を生成する前記ステップは、
前記デコーダを介して、電流源アレイの複数の次元のうちの1つを、それぞれ、前記初期選択値に従って、初期選択対象として決定するステップを、さらに、有する、請求項
13に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項20】
前記乱数信号は複数の値を含み、前記変化指示器は、前記指示信号の前記初期選択値が、前のサイクルの初期選択値と同じままであるか、または、前記前のサイクルの前記初期選択値と異なるかを、それぞれ、前記値に従って決定する、請求項
19に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項21】
前記乱数発生器は、
複数のシフトレジスタと、
論理ゲートと、を備え、
前記シフトレジスタは、直列に接続されており、
前記論理ゲートは、前記シフトレジスタの一部の出力端子を、前記シフトレジスタの第1段の入力端子として、前記シフトレジスタにフィードバックするように構成され、
前記シフトレジスタの最終段の出力端子は前記乱数信号を供給し、前記乱数信号は1ビット信号である、請求項
12に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【請求項22】
前記変化指示器は、順番に配置された複数のD型フリップフロップを備え、前記指示信号を生成する前記ステップは、
前記D型フリップフロップの各々の入力端子を前段の対応するD型フリップフロップの出力端子に結合するステップと、
前記D型フリップフロップの各々のクロック入力端子を介して、前記乱数信号を受信するステップと、
前記D型フリップフロップの第1段の設定端子を介して、リセット信号を受信するステップと、
前記D型フリップフロップの各々の他の段のリセット端子を介して、リセット信号を受信するステップと、を有する、請求項
12に記載のデジタル-アナログ変換器の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換器に関し、より詳細には、デジタル-アナログ変換器及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタル-アナログ変換器(DAC)の共通の問題は、複数の内部電流源によって生成される電流値が必然的に不一致であり、その結果、デジタル-アナログ変換器によって出力されるアナログ信号がスプリアス成分干渉の影響を持つことである。例えば、デジタル-アナログ変換器の複数の内部電流源の少なくとも1つによって提供される電流値が、著しくより高いかまたはより低いと想定すると、デジタル-アナログ変換器は、連続(動作)サイクルにおいてデジタル-アナログ変換器によって順次出力される複数のアナログ信号のいくつかの信号に明白な数値的異常を示すことがあり、これは、デジタル-アナログ変換器が積分非線形性(INL)およびスプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ(SFDR)において貧弱な性能を有するようにさせることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、積分非線形性(INL)およびスプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ(SFDR)における貧弱な性能を改善し、良好なデジタル-アナログ変換機能を実現し得る、デジタル-アナログ変換器およびその動作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のデジタル-アナログ変換器は、電流源モジュールと、デコーダと、変化指示器と、乱数発生器とを含む。前記デコーダは、前記電流源モジュールに結合され、デジタル入力信号を受信する。前記変化指示器は、前記デコーダに結合され、前記デコーダに指示信号を供給する。前記乱数発生器は、前記変化指示器に結合され、前記変化指示器に乱数信号を供給する。前記変化指示器は前記乱数信号に従って指示信号を生成し、前記デコーダは前記デジタル入力信号と前記指示信号に従って前記電流源モジュールに制御信号を生成し、その結果、前記電流源モジュールは制御信号に従って前記デジタル入力信号に対応するアナログ出力信号を生成する。
【0005】
本発明のデジタル-アナログ変換器の動作方法は、以下のステップを含む。すなわち、乱数発生器を介して乱数信号を供給するステップと、変化指示器を介して前記乱数信号に従って指示信号を生成するステップと、デコーダを介してデジタル入力信号および指示信号を受信するステップと、前記デジタル入力信号と前記指示信号に従って、前記デコーダを介して電流源モジュールに制御信号を生成するステップと、前記制御信号に従って前記電流源モジュールを介して前記デジタル入力信号に対応するアナログ出力信号を生成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
上記に基づいて、本発明のデジタル-アナログ変換器およびその動作方法は、乱数信号を使用することによって表示信号を生成し、デコーダを使用して、デジタル入力信号および表示信号に従って制御信号を生成し、その結果、制御信号に従って電流源モジュールによって生成されるアナログ出力信号は、スプリアス成分干渉の影響がより少なくすることができる。
【0007】
本発明の上述の特徴および利点をより理解しやすくするために、以下の実施例が、以下のように添付の図面とともに詳細に与えられ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるデジタル-アナログ変換器の概略回路図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるデジタル-アナログ変換器の動作方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による乱数発生器の概略回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態による変化指示器の概略回路図である。
【
図5】
図4の変化指示器によって生成される乱数信号および出力信号の概略波形図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるデコーダおよび電流源モジュールの概略回路図である。
【
図7A】本発明の一実施形態によるデジタル-アナログ変換器の例示的な動作を示す図である。
【
図7B】本発明の別の実施形態によるデジタル-アナログ変換器の例示的な動作を示す図である。
【
図8A】本発明の一実施形態による制御信号の例示的動作を示す図である。
【
図8B】本発明の一実施形態による制御信号の例示的動作を示す図である。
【
図8C】本発明の一実施形態による制御信号の例示的動作を示す図である。
【
図8D】本発明の一実施形態による制御信号の例示的動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の内容を容易に理解できるようにするために、以下の特定の実施形態は、本発明を実際に実施することができる例として見られる。加えて、可能であれば、図面および実施形態における同一の参照番号を使用する要素/構成要素/ステップは、同一または類似の部分を表す。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態によるデジタル-アナログ変換器の概略回路図である。
図1を参照すると、デジタル-アナログ変換器(DAC)100は、デコーダ110と、乱数発生器120と、変化指示器130と、電流源モジュール140とを含む。本実施形態では、デコーダ110は変化指示器130および電流源モジュール140に結合される。乱数発生器120は、変化指示器130に結合されている。本実施形態では、乱数発生器120が、変化指示器130に乱数信号RNSを与えることができ、その結果、変化指示器130が、乱数信号RNSに従って指示信号SPを生成することができる。本実施形態の変化指示器130は、信号を直接送信してもよく、または論理演算を介して複数セットの簡略化された指示信号SPを提供してもよく、本発明は、指示信号SPの信号実装を制限しないことに留意されたい。デコーダ110は、デジタル入力信号Dinおよび変化指示器130によって提供される指示信号SPを受信して、電流源モジュール140に対する対応する制御信号CSを生成し得る。電流源モジュール140は、制御信号CSに従って、対応するアナログ出力信号Aoutを生成し得る。本実施形態では、デジタル入力信号Dinは、例えば、サーモメーターコード及び二進コードの少なくとも一方に対応するコードを含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態のデジタル-アナログ変換器100は、ランダムシフト動的要素マッチング(RS-DEM)機能を有するデジタル-アナログ変換器を実装することができる。
【0011】
本実施形態では、デコーダ110は動的要素マッチング(DEM)デコーダであってもよい。本実施形態では、乱数発生器120は、擬似乱数発生器(PRNG)または他の種類の乱数発生器であってもよく、生成された乱数信号は、例えば、擬似乱数二進数列(PRBS)を含んでもよい。本実施形態では、電流源モジュール140は、複数の電流源セットを順に、さらに含むことができ、これらの電流源は、電流源アレイ、例えば、1×M電流源アレイ、N×M電流源アレイ、または多次元電流源アレイを形成することができ、MおよびNは正の整数である。また、本実施形態において、デジタル-アナログ変換器100は、例えば、二進加重デジタル-アナログ変換器(二進加重DAC)(二進コードによって制御される)またはセグメント化デジタル-アナログ変換器(セグメント化DAC)(二進コードおよびサーモメーターコードによって制御される)であってもよい。一実施形態において、デジタル-アナログ変換器100が、セグメント化されたデジタル-アナログ変換器の回路構造によって実装される場合、サーモメーターコードによって制御され、電流源によって供給される出力電流の電流値は、実質的に同一であり得る。
【0012】
本実施形態では、デコーダ110は、デジタル入力信号Dinに従って電流源モジュール140内でイネーブルにされる(オンになる)べき電流源の量を決定することができ、また、指示信号SPに従って、イネーブルにされるべき電流源物体を決定することができる。指示信号SPは、サイクル変化に従って電流出力を提供するために、異なる電流源物体を指示し得ることに留意されたい。さらに、乱数信号RNSに従って指示信号SPが生成されるため、指示信号SPがランダムな指示変化を有する場合がある。例えば、第1のサイクルにおいて、指示信号SPは、第1の電流源、第2の電流源、及び第3の電流源に電流出力を供給するように指示することができる。次に、第2のサイクルにおいて、指示信号SPは、第2の電流源、第3の電流源、及び第4の電流源に電流出力を供給するように指示することができる。次いで、第3のサイクルにおいて、指示信号SPは、依然として、第2の電流源、第3の電流源、および第4の電流源に電流出力を供給するように指示することができる。言い換えれば、イネーブルにされるべき指示された電流源物体は、固定されていない変更結果を有する(選択は、次の電流源から順番に開始されるとは限らず、具体的な動作は、以下の実施形態で詳細に説明する)。このようにして、本実施形態の電流源モジュール140は、デジタル入力信号Dinのデジタル値に対応するアナログ出力信号Aoutを効果的に出力することができ、スプリアス成分干渉の影響がより少なく有することができ、それによって、積分非線形性(INL)およびスプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ(SFDR)においてより良い性能を有することができる。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態によるデジタル-アナログ変換器の動作方法のフローチャートである。
図1および
図2を参照すると、デジタル-アナログ変換器100は、例えば、以下のステップS210~S250を実行することができる。本実施形態では、デジタル-アナログ変換器100は、1(動作)サイクルでデジタル入力信号Dinを受け取ることができる。ステップS210において、デジタル-アナログ変換器100は、乱数発生器120を介して乱数信号RNSを提供することができる。なお、本実施形態では、乱数信号RNSは、例えば、異なる周期に対応したランダムに発生したパルス波形で構成してもよく、例えば、パルス波形が発生した場合には、「1」の値を表し、パルス波形が発生しない場合には、「0」の値を表す。
【0014】
ステップS220において、デジタル-アナログ変換器100は、変化指示器130を介して乱数信号RNSに従って指示信号SPを生成することができる。本実施形態では、変化指示器130は、指示信号SPの初期選択値が、乱数信号RNSに従って、前のサイクルの初期選択値と同じであるか、または前のサイクルの初期選択値とは異なるかを判断することができる。本実施形態では、乱数信号RNSを1ビット信号としてもよい。変化指示器130が乱数信号RNSに従って、指示信号SPの初期選択値が前サイクルの初期選択値と異なると判断すると(乱数信号RNSはこのサイクルでは例えば「1」の値を有する)、変化指示器130の初期選択値は前サイクルの初期選択値に1を加算した結果である。変化指示器130が乱数信号RNSに従って、指示信号SPの初期選択値が前サイクルの初期選択保持値と同じであると判断すると(乱数信号RNSはこのサイクルでは例えば「0」の値を有する)、変化指示器130の初期選択値は前サイクルの初期選択値である。変化指示器130は、上記プロセスを直接実施することができ、また、インバータ、遅延回路または他の関連回路と組み合わせて、乱数変化を伴う複数の異なるグループの指示信号SPを同時に生成することもできることに留意されたい。
【0015】
ステップS230において、デジタル-アナログ変換器100は、デコーダ110を介してデジタル入力信号Dinおよび指示信号SPを受信することができる。ステップS240において、デジタル-アナログ変換器100は、デジタル入力信号Dinおよび指示信号SPに従って、デコーダ110を介して電流源モジュール140へ制御信号CSを生成することができる。デジタル入力信号Dinのコードに対応する値がゼロの場合、イネーブルされるべき電流源の量もゼロになることがある(ゼロに限定されるわけではないが、設計者が設計した固定オフセット値も許容される)。本実施形態では、デコーダ110は、デジタル入力信号Dinのコード応する値(例えば、10進値、しかし、本発明は、このタイプの値に限定されない)に従って、イネーブルされるべき電流源の量を決定し得る。一方、デコーダ110は、初期選択オブジェクトとして、固定電流源から複数の必要な電流源を選択するだけでなく、指示信号SPの初期選択値に従って、電流源モジュール140内の複数の電流源のうちの1つを決定してもよい。例えば、本実施形態を適用するものは、指示信号SPの初期選択値を介して、電流源モジュール140内の複数の電流源のうちの1つを初期選択対象として選択し、イネーブルにすべき電流源の量に従って、初期選択対象の電流源に基づいて順次他の電流源を選択することによって、これらの選択された電流源をイネーブルにして電流出力を提供するようにしてもよい。従って、デコーダ110はイネーブルされるべき電流源の量および初期選択値に従って制御信号CSを生成し得る。本実施形態では、制御信号CSは、例えば、電流源モジュール140内の複数の対応する電流源のうちの少なくとも1つをイネーブルにする(またはオンにする)ための複数のイネーブル信号(またはスイッチ切替信号)を含むことができる。
【0016】
ステップS250において、デジタル-アナログ変換器100は、制御信号CSに従って、電流源モジュール140を介するデジタル入力信号Dinに対応するアナログ出力信号Aoutを生成し得る。本実施形態では、電流源モジュール140内の複数のイネーブルにされた電流源は、電流出力を提供することができ、電流源モジュール140は、これらのランダムにイネーブルにされた電流源の電流を合成(電流値を加算)するために出力することができ、その結果、アナログ出力信号Aout (すなわち、イネーブルにされた電流源の電流出力に対応する電流値を加算した結果)を生成することができる。このようにして、本実施形態の動作方法およびデジタル-アナログ変換器100は、より良好なINLおよびSFDRでアナログ出力信号Aoutを生成することができる。本実施形態では、電流源モジュール140の複数の電流源がイネーブルにされないことも可能である。イネーブルにされるべき電流源の量は、デジタル入力信号Din)のコードに対応する値に従って決定される。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態による乱数発生器の概略回路図である。
図3は、本発明の実施形態における乱数発生器120の一例を提供するものであり、7ビットの擬似乱数発生器であり、乱数信号RNSとして1ビットの出力ビットを有する。具体的には、
図3の乱数発生器120は、複数のシフトレジスタ310-1~310-8と、論理ゲート320とを有する。シフトレジスタ310-1~310-8は、D型フリップフロップにより実現される。シフトレジスタ310-1~310-7は、それぞれ、出力端子D1~D7、タイミング端子及び入力端子を有している。シフトレジスタ310-1~310-8のタイミング端子は、クロック信号CLKに結合される。シフトレジスタ310-8の出力端子は、乱数信号RNSを生成する。シフトレジスタ310-1~310-7は、直列に接続される。論理ゲート320は、XORゲート又はXNORゲートとすることができ、論理ゲート320は、シフトレジスタ310-1~310-7(例えば、
図3のシフトレジスタ310-6~310-7の出力端子D6及びD7)の幾つかの出力端子の信号をシフトレジスタ310-1~310-7の第1段の入力端子(即ち、シフトレジスタ310-1)にフィードバックするように構成される。「7ビット」擬似乱数発生器は、乱数信号RNSを生成するために、乱数発生器120が7つの1ビットシフトレジスタを有することを意味する。7ビット擬似乱数発生器という意味では、出力乱数信号RNSの信号パターンは127サイクル後に繰り返されることになる。なお、本実施形態を適用する者は、内部ビット数を自らのニーズに応じて調整するために
図3の乱数発生器120におけるシフトレジスタの数を調整してもよく、例えば、5ビット、8ビット、16ビット等の乱数発生器120に調整してもよい。なお、本実施形態における乱数発生器120でのシフトレジスタ310-1~310-7の最終段(すなわちシフトレジスタ310-8)で提供される乱数信号RNSは1ビットの信号である。
【0018】
図4は、本発明の一実施形態による変化指示器130の概略回路図である。
図4を参照すると、本実施形態は、本発明の変化指示器の例示的な実施形態である。本実施形態では、変化指示器130は、順番に配列された複数のD型フリップフロップ131_P、131_1~131_(P-1)を含み得、Pは正の整数である。本実施形態では、D型フリップフロップ131_1~131_Pのそれぞれの入力端子INは、前段のD型フリップフロップの対応する出力端子OUTに結合される。D型フリップフロップ131_1~131_Pのそれぞれのクロック入力端子CKは、乱数信号RNSに従ってクロック信号RNS_Pを受信する。クロック信号RNS_Pは、
図5に示す乱数信号RNSに従って生成される。D型フリップフロップ131_2~131_Pのそれぞれのリセット端子REは、リセット信号RSを受け取り、D型フリップフロップ131_1(初段)の設定端子SETは、リセット信号RSを受け取る。本実施形態では、D型フリップフロップ131_1(第1段)の出力端子OUTは、対応するパルス波形(値「1」によって表され得る)を有する出力信号EN_1を出力する。本実施形態の指示信号SPは、以下に説明するD型フリップフロップ131_2~131_Pの各出力端子OUTにおける出力信号EN_1~EN_Pから構成される。
【0019】
D型フリップフロップ131_1~131_Pの出力信号EN_1~EN_Pは、指示信号SPを形成するように順番に配列され得、指示信号SPの初期選択値は、対応するパルス波形(値「1」によって表され得る)を有する出力信号に対応する段数によって決定される。すなわち、本実施形態の指示信号SPは、出力信号EN_1~EN_P、すなわち、指示信号SP=[EN_P、EN_(P-1)、、、..EN_1]により構成される。
【0020】
本実施形態において、D型フリップフロップ131_1~131_Pの数は、電流源の量に対応してもよい。例えば、1×Mの電流源アレイに関しては、PはMに等しい。別の例では、N×Mの電流源アレイに関しては、N×Mの電流源アレイは、二次元制御のために2つのグループに分割することができる。一方のグループPはNに等しく、N列のシフト挙動を制御するために内部回路とマッチングされ、他方のグループPはMに等しく、M行のシフト挙動を制御するために内部回路とマッチングされる。さらに、D型フリップフロップ131_1~131_Pは、より多くの寸法(例えば、3次元以上)を有する電流源アレイに適用されてもよい。
【0021】
例えば、変化指示器130が動作を開始すると、第1のサイクルにおいて、リセット信号RSは、開始信号(「1」の値によって表される)を有し得、D型フリップフロップ131_1の出力端子は、対応するパルス波形(「1」の値によって表され得る)を有する出力信号EN_1を出力し得、D型フリップフロップ131_2~131_Pの出力信号EN_2~EN_Pは、パルス波形を有しない(値「0」によって表され得る)。すなわち、リセット相又は初期相としての最初のサイクルにおいて、出力信号EN_1は“1”の値に設定され、出力信号EN_2~EN_Pは“0”の値に設定される。したがって、第1のサイクルにおいて、指示信号SPは、値「000000...001」に対応する信号波形を有し、対応する10進値は「1」であるとしてもよい(本発明の指示信号SPの値型はこれに限定されるものではない)。
【0022】
第2サイクルにおいて、D型フリップフロップ131_2の出力端子が、前段階のD型フリップフロップ131_1の出力信号EN_1を受け取り(値「1」で表され得る)、クロック信号RNS_Pは、例えば、パルス波形(乱数信号RNSにおいて「1」の値で表され得る)を有し得る場合、D型フリップフロップ131_2の出力端子は、対応するパルス波形(「1」の値で表され得る)を有する出力信号EN_2を出力し得、D型フリップフロップ131_1および131_3~131_Pの出力信号EN_1およびEN_3~EN_Pは、パルス波形(「0」の値で表され得る)を有さない。したがって、第2サイクルにおいて、指示信号SPは、値「000000...010」に対応する信号波形を有してもよく、対応する小数点は、「2」である。
【0023】
逆に、第2のサイクルにおいて、D型フリップフロップ131_2の出力端子が、前段階のD型フリップフロップ131_1の出力信号EN_1(「1」の値によって表され得る)を受け取り、クロック信号RNS_Pが、例えば、パルス波形(乱数信号RNSにおいて、「0」の値によって表され得る)を有さない場合、D型フリップフロップ131_1の出力端子は、対応するパルス波形(「1」の値によって表され得る)を有する出力信号EN_1を出力することを維持し得、D型フリップフロップ131_2~131_Pの出力信号EN_2~EN_Pは、パルス波形(「0」の値によって表され得る)を有さない。したがって、第2サイクルにおいて、指示信号SPは、前のサイクルにおける値「000000...001」に対応する信号波形を維持することができ、対応する10進値は「1」である。類似して、出力信号EN_3が対応するパルス波形(値「1」で表され得る)を有する場合、現在の指示信号SPによって示される初期選択値は、「3」(10進数)である。
【0024】
図5は、
図4の変化指示器130によって生成されるクロック信号RNS_P、乱数信号RNSおよび出力信号EN_1~EN_8の波形の模式図である。
図4中のPが「8」であると想定すると、
図4中の変化指示器130は、順に並んだ複数のD型フリップフロップ131_1~131_8を含み、
図5は、D型フリップフロップ131_1~131_8のクロック信号RNS_Pと乱数信号RNSと出力信号EN_1~EN_8とを提示するので、本実施形態をより明確に図示することができる。乱数信号RNSの値が“0”であるとき、クロック信号RNS_Pはパルス波形を持たず、イネーブル状態にある前段の出力信号EN_1~EN_8のうちの一つの出力信号は、次の期間においてイネーブル状態を継続することになる。例えば、
図5の期間T11及びT12又は期間T13及びT14を参照されたい。期間T11において、出力信号EN_7はイネーブル状態とされ、クロック信号RNS_Pはパルス波形とされ、このときの乱数信号RNSの値は“1”とされる。そして、期間T12における乱数信号RNSの値が「0」になるため、期間T11におけるイネーブル状態の出力信号EN_7は、矢印510で示すように、期間T12におけるイネーブル状態のまま継続することになる。同様に、期間T13およびT14においても、期間T13における乱数信号RNSの値が「1」から「0」に変化するため、期間T13においてイネーブル状態とされている出力信号EN_4は、矢印520に示すように、期間T14におけるイネーブル状態のまま継続することになる。
【0025】
図6は、本発明の一実施形態によるデコーダおよび電流源モジュールの概略回路図である。
図1および
図6を参照すると、
図1のデコーダ110および電流源モジュール140は
図6に示される回路構造を実装することができるが、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、デコーダ110は復号回路111および制御回路112を含んでもよい。電流源モジュール140は、二次元構造の複数の電流源C1_1~CM_N(すなわち、N×M個の電流源アレイ)を含んでもよい。電流源C1_1~CM_Nは、同じ電圧VDDに結合される。復号回路111は、デジタル入力信号Dinを受信し、デジタル入力信号Dinを復号化するように構成されてもよい。例えば、デジタル入力信号Dinは、例えば、二進コードであってもよく、復号回路111によって復号された後に、例えば、サーモメーターコードの複数の数値に対応する複数の復号された信号を生成し、制御回路112に供給してもよい。制御回路112は、複数の復号された信号および指示信号SPを受信して、制御信号CSを生成するように決定してもよい。制御信号CSは、例えば、複数のイネーブル信号を含むことができ、これらのイネーブル信号は、電流源C1_1~CM_Nが電流を供給するためにオンにされ、オンにされた電流源の電流が加算されるかどうか、すなわちアナログ出力信号Aoutが生成されるかどうかをそれぞれ動作させるために使用されることに留意されたい。
【0026】
本実施形態の電流源モジュール140は、サーモメーターコードによって制御されるセグメント化されたデジタル-アナログ変換器の例であることに留意されたい。したがって、各グループの電流源は、同じ数Nの電流値を有する。すなわち、電流源C1_1~C1_Nの数および合計電流値は、電流源C2_1~C2_Nの数および合計電流値と同じである。しかし、一実施形態では、電流源モジュール140は、また、二進二進コードによって制御される二進加重デジタル-アナログ変換器によって実装することもできるので、電流源の各グループは異なる電流値を有することができる。あるいは、各電流源が同じ電流値を生成する場合、電流源の各グループは、異なる数で設けられてもよい。例えば、各電流源が同じ電流値を生成する場合、電流源の最初のグループは、8つの電流源C1_1~C1_8を含むことができる。電流源の2番目のグループは、4つの電流源C2_1~C2_4を含むことができる(8×(1/2)=4のため)。電流源の3番目のグループは、2つの電流源C3_1~C3_2を含むことができる(8×(1/2)^2=2のため)。4番目の電流源グループは、1つの電流源C4_1を含むことができる(8×(1/2)^3=1のため)。上述した電流源の様々なグループ間の差は、本実施形態を適用する者が他のコードを介して制御を行い、その結果、様々な電流源のグループによって生成される電流値を適応的に調整するようにするという事実に由来する。例えば、制御を実行するために使用されるサーモメーターコードに加えて、制御は二進コードを介しても実行され得る。
【0027】
図7Aは、本発明の一実施形態によるデジタル-アナログ変換器の例示的な動作を示す図である。
図1、
図6及び
図7Aを参照すると、本実施形態は、1×8個の電流源アレイを採り、ここで、例として、Nは「1」であり、Mは「8」である。電流源モジュール140は、例えば、
図6に示すように、電流源C1_1及びC2_1~CM_1を含んでもよく(すなわち、
図6ではNに対応する電流源が「1」であり、Mに対応する電流源が「8」である)、電流源C1_1及びC2_1~C8_1のそれぞれを、例えば、電流値Iの電流出力を提供するために使用してもよい。すなわち、
図6のCM_1は、Mが8の場合、C8_1である。まず、本実施形態における電流値Iは、実際の電流源の出力結果ではなく、電流の加算結果を説明するためにのみ用いられ、様々な電流源によって提供される実際の電流値は、互いにわずかに異なる場合があることに留意されたい。
【0028】
図7Aに示されるように、期間T1の間に、乱数発生器120が「0」の値を有する乱数信号RNSを変化指示器130に供給することが想定され、変化指示器130が「3」(10進)の値(初期選択値)に対応する指示信号SPを生成することができる。デコーダ110は、「011」のコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると(二進コードのコードを例に挙げると)、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号信号を生成し得る。デジタル入力信号Dinのコードに対応する10進値が「3」であるため、イネーブルにする電流源の量は3になる。さらに、指示信号SPの値は「3」であるため、デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C3_1、C4_1、C5_1)を選択して、第3の電流源(例えば、電流源C3_1)から開始することを可能にし、
図7Aに示されるように、期間T1の間に「00111000」として符号化された制御信号CSを生成するように決定してもよい。制御信号CSの第3~第5ビット位置に対応する値が「1」であることから、第3~第5電流源(例えば電流源C3_1、C4_1、C5_1)をイネーブルにして電流出力を行うことを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T1中に3×Iの電流値を有することができる。
【0029】
期間T2の間、乱数発生器120は、「1」の値を有する乱数信号RNSを変化指示器130に与えると想定し、変化指示器130は、「4」(10進)の値(初期選択値)に対応する指示信号SPを生成することができる(初期選択値は、前サイクルの初期選択値に1を加算した結果である)。デコーダ110が依然として、「011」のコードを有するデジタル入力信号Dinを受信する場合、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号化して、対応する復号化信号を生成してもよい。ただし、デジタル入力信号Dinのコードに対応する10進値はまだ
“3
”であるので、イネーブルにする電流ソースの量は3である。さらに、指示信号SPの値は、「4」であるため(「3」から「4」にシフトする)、デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1、C6_1)を選択して、第4の電流源(例えば、電流源C4_1)から開始することを可能にし、
図7Aに示されるように、期間T2の間に「00011100」として符号化された制御信号CSを生成することができる。この点、制御信号CSの第4から第6のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第4から第6の電流源(電流源C4_1、C5_1、C6_1など)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T2中に3×Iの電流値を有することができる。
【0030】
期間T3の間、乱数発生器120は、「0」の値を有する乱数信号RNSを変化指示器130に与えると想定し、変化指示器130は、「4」(10進)の値(初期選択値)に対応する指示信号SPを生成することができる(初期選択値は前サイクルの初期選択維持値と同じである)。デコーダ110が依然として、「011」のコードを有するデジタル入力信号Dinを受信する場合、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号化して、対応する復号化信号を生成してもよい。ただし、デジタル入力信号Dinのコードに対応する10進値はまだ“3”であるので、イネーブルにする電流ソースの量は3である。指示信号SPの値は、「4」である(シフトされない)ので、デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1、C6_1)を選択して、第4の電流源(例えば、電流源C4_1)から開始することを可能にし、
図7Aに示されるように、期間T3の間に「00011100」として符号化された制御信号CSを生成するように維持する。この点、制御信号CSの第4から第6のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第4から第6の電流源(電流源C4_1、C5_1、C6_1など)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T3の間に3×Iの電流値を有することができる。
【0031】
類似的に、期間T4の間、指示信号SPの値は「4」(シフトされない)である。デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1、C6_1)を選択して、第4の電流源(例えば、電流源C4_1)から開始することを可能にするように決定し、
図7Aに示されるように、期間T4の間、「00011100」として符号化された制御信号CSを生成してもよい。制御信号CSの第4から第6のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第4から第6の電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1、C6_1)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T4中に3×Iの電流値を有することができる。
【0032】
類似的に、期間T5の間、指示信号SPの値は「5」(「4」から「5」にシフトする)である。デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C5_1、C6_1、C7_1)を選択し、第5の電流源(例えば、電流源C5_1)から開始することを可能にするように決定し、
図7Aに示されるように、期間T5の間、「00001110」として符号化された制御信号CSを生成してもよい。この点に関し、制御信号CSの第5から第7のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第5から第7の電流源(例えば、電流源C5_1、C6_1、C7_1)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T5の間に3×Iの電流値を有することができる。
【0033】
類似的に、期間T6の間、指示信号SPの値は「6」(「5」から「6」にシフトする)である。デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C6_1、C7_1、C8_1)を選択し、第6の電流源(例えば、電流源C6_1)から開始することを可能にするように決定して、
図7Aに示されるように、期間T6の間、「00000111」として符号化された制御信号CSを生成し得る。この点に関し、制御信号CSの第6から第8のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第6から第8の電流源(例えば、電流源C6_1、C7_1、C8_1)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T6中に3×Iの電流値を有することができる。
【0034】
図7Bは、本発明の別の実施形態によるデジタル-アナログ変換器の例示的な動作を示す図である。
図1、
図6及び
図7Bを参照すると、本実施形態は、1×8電流源アレイを例にとる。電流源モジュール140は、例えば、
図6に示すように、電流源C1_1およびC2_1~C8_1を含んでもよく、電流源C1_1およびC2_1~C8_1のそれぞれは、例えば、電流値Iの電流出力を提供するために使用されてもよい。
【0035】
図7Bに示されるように、期間T1の間に、乱数発生器120が「0」の値を有する乱数信号RNSを変化指示器130に供給すると想定し、変化指示器130が、その値(初期選択値)に対応する指示信号SPを「3」(10進)として生成することができる。デコーダ110は、「011」のコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると(二進コードのコードを例に挙げると)、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号信号を生成し得る。デジタル入力信号Dinのコードに対応する10進値が「3」であるため、イネーブルにする電流源の量は3になる。さらに、指示信号SPの値は「3」であるため、デコーダ110の制御回路112は、3つの電流源(例えば、電流源C3_1、C4_1、C5_1)を選択して、第3の電流源(例えば、電流源C3_1)から開始することを可能にするように決定して、
図7Bに示されるように、期間T1の間に「00111000」として符号化された制御信号CSを生成してもよい。この点、制御信号CSの第3から第5のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第3から第5の電流源(電流源C3_1、C4_1、C5_1など)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T1中に3×Iの電流値を有することができる。
【0036】
期間T2の間、乱数発生器120は、変化指示器130に「1」の値の乱数信号RNSを与えることを想定し、変化指示器130は、その値(初期選択値)に対応する指示信号SPを「4」(10進)として生成することができる(初期選択値は、前サイクルの初期選択値に1を加算した結果である)。デコーダ110は、「101」のコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号信号を生成し得る。ただし、デジタル入力信号Dinのコードに対応する10進値は「5」であるため、イネーブルにする電流源の量は5となる。さらに、指示信号SPの値は、「4」であるため(「3」から「4」にシフトする)、デコーダ110の制御回路112は、5つの電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1、C6_1、C7_1、C8_1)を選択して、第4の電流源(例えば、電流源C4_1)から開始することを可能にするように決定し、
図7Bに示されるように、期間T2の間、「00011111」として符号化された制御信号CSを生成することができる。この点、制御信号CSの第4から第8のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第4から第8の電流源(電流源C4_1、C5_1、C6_1、C7_1、C8_1など)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T2中に5×Iの電流値を有することができる。
【0037】
期間T3の間、乱数発生器120は、変化指示器130に「0」の値を有する乱数信号RNSを与えることを想定し、変化指示器130は、その値(初期選択値)に対応する指示信号SPを「4」(10進)として生成することができる(初期選択値は前サイクルの初期選択維持値と同じである)。デコーダ110は、「010」のコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号信号を生成し得る。ただし、デジタル入力信号Dinのコードに対応する10進値は“2”であるため、イネーブルにする電流源の量は2となる。さらに、指示信号SPの値は、「4」である(シフトされない)ため、デコーダ110の制御回路112は、2つの電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1)を選択して、第4の電流源(例えば、電流源C4_1)から開始することを可能にするように決定し、
図7Bに示されるように、期間T3の間に「00011000」として符号化された制御信号CSを生成するようにしてもよい。この点、制御信号CSの第4から第5のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第4から第5の電流源(電流源C4_1、C5_1など)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T3中に2×Iの電流値を有することができる。
【0038】
類似的に、期間T4の間、指示信号SPの値は「4」(シフトされない)である。デコーダ110の制御回路112は、7つの電流源(例えば、電流源C4_1、C5_1、C6_1、C7_1、C8_1、C1_1、C2_1)を選択して、第4の電流源(例えば、電流源C4_1)から開始することを可能にし、
図7Bに示されるように、期間T4の間、「11011111」として符号化された制御信号CSを生成し得る。この点、制御信号CSの第1から第2及び第4から第8のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第1から第2及び第4から第8の電流源(例えば、電流源C1_1、C2_1、C4_1、C5_1、C6_1、C7_1、C8_1)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T3中に7×Iの電流値を有することができる。
【0039】
類似的に、期間T5の間、指示信号SPの値は「5」(「4」から「5」にシフトする)である。デコーダ110の制御回路112は、7つの電流源(例えば、電流源C5_1、C6_1、C7_1、C8_1、C1_1、C2_1、C3_1)を選択して、第5の電流源(例えば、電流源C5_1)から開始することを可能にするように決定し、
図7Bに示されるように、期間T5の間、「11101111」として符号化された制御信号CSを生成してもよい。この点に関し、制御信号CSの第1から第3及び第5から第8のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第1から第3及び第5から第8の電流源(例えば、電流源C1_1、C2_1、C3_1、C5_1、C6_1、C7_1、C8_1)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T5中に7×Iの電流値を有することができる。
【0040】
類似的に、期間T6の間、指示信号SPの値は「6」(「5」から「6」にシフトする)である。デコーダ110の制御回路112は、7つの電流源(例えば、電流源C6_1、C7_1、C8_1、C1_1、C2_1、C3_1、C4_1)を選択して、第6の電流源(例えば、電流源C6_1)から開始することを可能にするように決定し、
図7Bに示されるように、期間T6の間、「11110111」として符号化された制御信号CSを生成し得る。この点、制御信号CSの第1から第4及び第6から第8のビット位置に対応する値は「1」であり、これは、第1から第4及び第6から第8の電流源(例えば、電流源C1_1、C2_1、C3_1、C4_1、C6_1、C7_1、C8_1)が、電流出力を提供するためにイネーブルにされることを意味する。この点に関し、アナログ出力信号Aoutは、例えば、期間T6中に7×Iの電流値を有することができる。
【0041】
また、本発明の実施形態は、上記ランダムシフト法の下で疑似DEM (PDEM)を採用し、制御信号CSのコードにダミービット810を追加する。ダミービットは、デジタル入力信号Dinのコードが示すビット位置の1ビット手前に位置しており、ダミービット810の値は
“0
”のままである。詳細には、デジタル入力信号Dinのコードに対応する2進(10進)値が「111(7)」であっても、制御信号CSのコードがそれぞれ「11101111」及び「1110111」であることが、
図7Bの期間T5及びT6から分かるであろう。すなわち、値「0」のダミービット810があるので、制御信号CSのコードは、必ずしも「1」ではない。このようにして、本発明の実施形態の制御信号CSは、ランダムシフトの場合、前段の制御信号CSとなお異なるので、本発明の実施形態は、連続して同じ入力値を有していない。したがって、本実施形態では、PDEM方法は、依然として、ランダムな変化によって、電流源がオンにされる位置を変更するために使用され得、それによって、PDEM方法が効果的でないことを防止する。
【0042】
図1に戻ると、本発明の電流源モジュール140は、単次元から多次元への電流源アレイによって実装することができ、各次元は、複数の電流源を含むことができる。乱数信号RNSは、複数の値を含み得る。指示信号SPは、複数の初期選択値を含んでもよい。変化指示器130は、指示信号SPの初期選択値が前のサイクルの初期選択値と同じままであるか、または前のサイクルの初期選択値と異なるかを、これらの値に従ってそれぞれ決定し得る。デコーダ110は、初期選択値に応じて、電流源アレイの複数の次元のうちの1つを初期選択対象としてそれぞれ決定してもよい。デジタル入力信号Dinは、複数セットのコードを含むことができる。デコーダ110は、デジタル入力信号Dinの複数のコードにそれぞれ対応する値(例えば、10進値)に従って、電流源アレイの複数の次元においてイネーブルにされるべき電流の量を決定し得る。例えば、
図7Aおよび
図7Bは、本発明の一実施形態による、単次元1×8電流源アレイによって実される。
図8A~
図8Dは、本発明の一実施形態による制御信号の例示的な動作を示す図であり、サーモメーターコード機能のみを有するデジタル-アナログ変換器が、2次元を有する8×8電流源アレイによって実装される。サーモメーターコードは単項コードとも呼ばれる。本実施形態を適用するものは、電流源アレイをより多くの次元に拡張することができ、例えば、3、4、または、さらには5の次元を有する電流源アレイをそのニーズに応じて拡張することができる。
【0043】
図8A~
図8Dの本実施形態では、
図1および
図6を同時に参照してもよい。本実施形態は、電流源モジュール140が例として2次元を有する電流源アレイ(すなわち、Nが8であり、Mが8であるN×M (8×8)電流源アレイ)をとる。さらに、乱数信号RNSが第1の値および第2の値を含んでもよいことを第1に説明すべきである。指示信号SPは、第1の初期選択値および第2の初期選択値を含んでもよい。変化指示器130は、指示信号SPの第1の初期選択値が前のサイクルの第1の初期選択値と同じままであるか、または前のサイクルの第1の初期選択値とは異なるかを、第1の値に従って決定してもよい。変化指示器130は、指示信号SPの第2の初期選択値が前のサイクルの第2の初期選択値と同じままであるか、または前のサイクルの第2の初期選択値とは異なるかを、第2の値に従って決定してもよい。
【0044】
本実施形態では、デコーダ110は、第1の初期選択値に従って第1の次元におけるこれらの電流源の初期選択対象を決定することができ、すなわち、例えば、行のうちの1つを初期選択対象の列として選択することができる。さらに、デコーダ110は、第2の初期選択値に従って、第2の次元における電流源の初期選択オブジェクトを決定することができ、すなわち、例えば、列のうちの1つを初期選択オブジェクトの行として選択することができる。
【0045】
本実施形態では、デジタル入力信号Dinは、第1のグループのコードおよび第2のグループのコードを含むことができる。デコーダ110は、デジタル入力信号Dinの第1のグループのコードに対応する値(例えば、10進値)および第2のグループのコードに対応する値(例えば、10進値)に従って、イネーブルにされるべき電流源の電流の量を決定し得る。いくつかの実施形態において、第1のグループのコードに対応する値(例えば、10進値)を使用して、第1の次元においてイネーブルにされるべき電流源の電流の量を制御することができ、第2のグループのコードに対応する値(例えば、10進値)を使用して、第2の寸法においてイネーブルにされるべき電流源の電流の量を制御する。本発明の実施形態では、他の論理方法も、
図8A~
図8Dの実施形態など、イネーブルにされるべき電流源の電流量を決定するために使用してもよい。
【0046】
本実施形態は、8×8電流源アレイを使用して実装され、常時イネーブルにされる電流源は、また、電流平衡点に近い中間コードを調整するためのオフセットとして追加されてもよい(例えば、半二進および半サーモメーターコードを有するセグメント化DACが使用される場合)。例えば、32個の電流源がイネーブルであり、他の32個の電流源がイネーブルでないとき、本実施形態は、さらに、オフセットとして正規イネーブル電流源を有し、生成された電流がちょうど中間値であることを回避し、その結果、10進コードが中心点により近くなり得る。すなわち、8×8電流源アレイを使用する場合、本実施形態では、追加の常時イネーブルにされる電流源も追加することができるが(限定されないが)、したがって、64個の電流源の代わりに、65個の電流源もまた、8×8電流源アレイを実現するために使用することができる。
【0047】
図1、
図6及び
図8Aを参照すると、本実施形態は、8×8電流源アレイを例にとる。電流源モジュール140は、例えば、
図6に示されるように、電流源C1_1からC8_8を含んでもよく、電流源C1_1からC8_8の各々は、例えば、電流値Iの電流出力を提供するために使用されてもよい。制御信号CSは、コードアレイ601のコード情報を含むことができる。本発明の実施形態では、デジタル入力信号Dinから変換されたビット位置のコードを使用することによって、対応する電流源を選択するために、以下に説明する論理方法を使用することができる。上述のように、本実施形態のデジタル入力信号Dinは、第1のグループのコードおよび第2のグループのコードを含む。第1のグループのコードと第2のグループのコードは、2進コードを使用して提示されてもよい。本実施形態の
図8A~
図8Dを説明する便宜のために、第1のグループのコードおよび第2のグループのコードは、本明細書では、行上のビット位置(例えばビット位置D1~F1)の10進コードおよび列上のビット位置(例えばビット位置D2~F2)の10進コードにそれぞれ変換される。
【0048】
図8Aを本実施形態の初期状況としてみると、第1のグループのコードと第2のグループのコードは共に二進コード「000」である。したがって、行上のビット位置(例えば、ビット位置D1からF1)及び列上のビット位置(例えば、ビット位置D2からF2)の両方とも、10進コードは常に「00000000」である。第1のグループのコードでは、行のビット位置D1は最下位ビット(LSB)“0”で、行のビット位置F1は最上位ビット(MSB) “0”である。第2のグループのコードでは、列上のビット位置D2が最下位ビット(LSB)であり、列上のビット位置F2が最上位ビット(MSB)で表される。
【0049】
図8Bの第1のグループのコード(二進コード“001”)は、10進数“1”に変換されるので、行上のビット位置(例えば、ビット位置D1、D1-1、D1-2~F1)に対する10進コードは“10000000”であり、ビット位置D1は最下位ビット(LSB)“1”であり、ビット位置F1は最上位ビット(MSB) “0”である。
【0050】
一方、
図8Bの第2のグループのコード(二進コード「011」)は、10進数で「3」に変換されるので、列上のビット位置(例えば、ビット位置D2~F2)に対する10進コードは、「11100000」である。ビット位置D2の3ビットは“111”で、ビット位置D2の最初のビットが最下位ビット(LSB)である。ビット位置F2は最上位ビット(MSB)として表され、“0”になる。
【0051】
コードアレイ601において、各行上のビット位置におけるコード及び各列上のビット位置におけるコードは、選択された電流源に対応するために使用される。
図8Aを例にとると、本実施形態では、行上のビット位置におけるコードが予め確認されており、例えば、D1,D1-1,D1-2~F1のビット位置が順番に確認されている。行上のビット位置(例えばビット位置D1)におけるコードが“1”であるとき、それはビット位置D1に対応する列上の全ての電流源がイネーブル(オン)であることを意味する。例えば、
図8Aのビット位置D1からF1は全て“0”であり、従って、
図8Aのコードアレイ601は、全列が“1”であることはない。
図8Bのコードアレイ601は、ビット位置D1に対応するコードアレイ601の第1列が全て“1”となっている。
【0052】
一方、行上のビット位置(例えば、ビット位置D1-1)におけるコードが「0」の最初の発生であるとき、それは、ビット位置に対応する列上の全ての電流源が、列上のビット位置(例えば、ビット位置D2~F2)におけるコードに従って、部分的にイネーブル(オン)になり、電流源の他の部分がイネーブル(オン)にならないことを意味する。
図8Aのコードアレイ601内のビット位置D1に対応する列を参照されたい。列のコードおよび列のビット位置(ビット位置D2からF2)はすべて「0」である。一方、
図8Bのコードアレイ601内のビット位置D1-1に対応する列を参照されたい。列内の最初の3つのコードは「1」であり、列内の残りのコードは「0」である。したがって、列のコードは、D2~F2のビット位置にあるコードとまったく同じである。行のビット位置(例えば、ビット位置D1-2)のコードが“0”の最初の出現でない場合、ビット位置D1-2に対応する複数の列のコードはすべて“0”になる。これは、対応する電流源がイネーブル(オン)になっていないことを意味する。したがって、
図8Aのコードアレイ601は、すべての電流源がオンにされないこと、すなわち、
図6の電流源がイネーブルにされていないことを示しており、
図8Bのコードアレイ601は、オンにされる必要がある8+3=11個の電流源を示しており、それによって合計11グループの電流源がオンにされる。
【0053】
本発明の実施形態は、デジタル入力信号Dinによって変換されるビット位置におけるコードを利用することによって、対応する電流源を選択する論理方法を利用する。本実施形態を適用することにより、本発明の実施形態を実現するために、行上のビット位置(例えば、ビット位置D1、D1-1、D1-2)におけるコードが「0」の第1、第2、またはX番目の生起であり、かつ、対応する列内のコードがビット位置D2~F2におけるコードと全く同じであることを選択的に決定することができ、本発明の実施形態を実現するものであって、本実装は上記の論理方法に限定されるものではない。
【0054】
本実施形態に戻り、
図8Bに示されるように、第1のサイクルにおいて、乱数発生器120が、第1の値「0」及び第2の値「0」を有する乱数信号RNSを変化指示器130に供給することが想定され、変化指示器130が、「1」(10進)の値(第1の初期選択値)に対応し、かつ「1」(10進)の値(第2の初期選択値)に対応する指示信号SPを生成することができる。上述のように、デコーダ110が、「001」(例えば、バイナリコード)の値を有する第1のグループのコードおよび「011」(例えば、バイナリコード)の値を有する第2のグループのコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号された信号を生成することができる。イネーブルにする電流源の総数は8+3=11であるため、これに応じて、デジタル入力信号Dinの第1のグループのコードに対応する10進値は、ある列の8個の電流源のグループがオンになることを示すために「1」であり、デジタル入力信号Dinの第2グループのコードに対応する10進値は、電流源の3つのグループをオンにしなければならないことを示すために「3」である。更に、指示信号SPの値が「1」(第1初期選択値)及び「1」(第2初期選択値)であるので、デコーダ110は、1列目の第1行~第8行の8つの電流源のグループ(電流源C1_1~C1_8など)をすべてイネーブルにすることを決定し、2列目の第1行~第3行の電流源をイネーブルにすることを決定してもよい。すなわち、3つの電流源(例えば、電流源C2_1からC2_3)が選択され、第2列内の第1の電流源からのスタートを可能にして、
図8Bに示されるように、第1のサイクルの間、コードアレイ601に対応する制御信号CSを生成する。
【0055】
この点に関し、本実施形態では、第1のグループのコードの行のビット位置D1に対応する値は「1」であり、これは、電流出力を提供するために、1列目の1番目から8番目の電流源(例えば、電流源C1_1からC1_8)をイネーブルにすることを表す。さらに、第2のグループのコードの列のビット位置D2に対応する値は“111”であり、これは、電流出力を提供するために、2列目の1番目から3番目の電流源(例えば、電流源C2_1からC2_3)をイネーブルにすることを意味する。このようにして、アナログ出力信号Aoutは、例えば、最初のサイクルの間に11×Iの電流値を有することができ、加算された定常的にイネーブルな電流源の第65のグループが計算のために組み合わされた場合、全電流値は、11×I+I=12×Iである。
【0056】
次に、
図1及び
図8Cを参照する。
図8Cに示されるように、第2のサイクルでは、乱数発生器120は、第1の値が「0」であり、第2の値が「1」である乱数信号RNSを変化指標130に供給すると想定するので、変化指示器130は、「1」(10進数)の値(第1の初期選択値)に対応し、かつ、「2」(10進数)の値(第2の初期選択値)に対応する指示信号SPを生成する。デコーダ110は、「001」の値を有する第1のグループのコードおよび「011」の値を有する第2のグループのコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号された信号を生成し得る。本実施形態では、デジタル入力信号Dinの第1のグループのコードに対応する10進値が「1」であることは、全列内の8個の電流源のグループがオンにされていることを示し、デジタル入力信号Dinの第2のグループのコードに対応する10進値が「3」であることは、電流源の3つのグループがオンにされていることを示す。さらに、指示信号SPの値が「1」(第1の初期選択値)および「2」(第2の初期選択値)であるので、デコーダ110は、第1列内のすべての電流源(例えば、電流源C1_1からC1_8)をイネーブルにし、3つの電流源(電流源C2_2~C2_4など)が選択されて、第2行および第2列内の電流源から始動することを可能にし(例えば、第1のグループのコード内の行のビット位置D1‘の次のビット位置からの対応する電流源と、前述のセグメント機構を介して第2のグループのコード内の列のビット位置D2’によってマークされた対応する電流源とをイネーブルにし)、これにより、
図8Cに示すように、第2サイクル中にコードアレイ602に対応する制御信号CSを生成する。
【0057】
この点に関し、本実施形態では、第1のグループのコード内の行のビット位置D1‘に対応する値は“1”であり、第1のグループのコード内の行のビット位置F1’に対応する値“0”は同じ位置に保たれる(乱数信号RNSの第1の値が“0”であるため)。したがって、1番目の列を表す1番目から8番目の電流源(たとえば、電流源C1_1~C1_8)は、電流出力を提供するためにイネーブルになる。本実施形態では、第2のグループのコードの列の第2列目~第4列目のビット位置D2‘に対応する値が「1」であり、第2のグループのコードの列の第8行目のビット位置に元のプリセット値「0」(
図8Bのビット位置F2に示すように)が、
図8Cの第2のグループのコードの列の第1行目のビット位置F2’に周期的にシフトされる(乱数信号RNSの第2の値が「1」であるため)。したがって、2番目の列を表す2番目から4番目の電流源(例えば、電流源C2_2~C2_4)は、電流出力を提供するためにイネーブルになる。このようにして、アナログ出力信号Aoutは、例えば、第2のサイクルの間に11×Iの電流値を有することができるが、
図8Bと比較して異なる位置の電流源によって提供され、付加された(ただし、限定されないが)常時イネーブルにされた電流源の第65のグループが計算のために組み合わされた場合、全電流値は11×I+I=12×Iである。
【0058】
あるいは、
図1および
図8Dを参照する。
図8Dに示すように、第2のサイクルでは、乱数発生器120は、変化指示器130に対して、第1の値「1」及び第2の値「0」の乱数信号RNSを提供し、変化指示器130は、「2」(10進数)の値(第1初期選択値)及び「1」(10進数)の値(第2初期選択値)に対応する指示信号SPを生成することができる。デコーダ110は、「001」の値を有する第1のグループのコードおよび「011」の値を有する第2のグループのコードを有するデジタル入力信号Dinを受信すると、デコーダ110の復号回路111は、デジタル入力信号Dinを復号して、対応する復号された信号を生成し得る。本実施形態では、デジタル入力信号Dinの第1のグループのコードに対応する10進値は「1」であり、これは、8個の電流源のグループの全体の列がオンになることになることを意味し、デジタル入力信号Dinの第2のグループのコードに対応する10進値は、「3」であり、電流源の3つのグループがオンになることを示す。さらに、指示信号SPの値は、「2」(第1の初期選択値)および「1」(第2の初期選択値)であるので、デコーダ110は、第2列のすべての電流源(例えば、電流源C2_1~C2_8)がすべてイネーブルにされ、第3列の第1~第3行の電流源が制御されてイネーブルにされるように決定することができる。すなわち、3つの電流源(例えば、電流源C3_1~C3_3)が選択されて、第3列の第1の電流源からのスタートを可能にして、
図8Dに示されるように、コードアレイ603に対応する制御信号CSを第2のサイクルの間に生成する。
【0059】
この点に関し、本実施形態では、第1のグループのコード内の行の第2の列のビット位置D1“に対応する値は「1」であり、第1のグループのコード内の行の第8の列のビット位置における元のプリセット値「0」(
図8Aに示すようにビット位置F1)は、
図8Dの第1のグループのコード内の行の第1の列のビット位置F12”に周期的にシフトされる(乱数信号RNSの第1の値が「1」であるため)。したがって、2番目の列を表す1番目から8番目の電流源(たとえば、電流源C2_1~C2_8)が電流出力を提供するためにイネーブルになる。さらに、第2のグループのコードにおける列の第1~第3の行のビット位置D2”に対応する値は、全て“1”であり、第2のグループのコードにおける列のビット位置F2”に対応する値“0”は、同じ位置に保たれる(乱数信号RNSの第2の値が“0”であるため)。したがって、3番目の列を表す1番目から3番目の電流源(電流源C3_1~C3_3など)は、電流出力を提供するためにイネーブルになる。このようにして、アナログ出力信号Aoutは、例えば、第2のサイクルの間に11Iの電流値を有することができるが、
図8Bおよび
図8Cと比較して異なる位置の電流源によって提供され、追加された定常的にイネーブルにされる電流源の第65のグループが、計算のために組み合わされる(設計に依存し、限定されない)場合、全電流値は、11×I+I=12×Iである。
【0060】
要約すると、本発明のデジタル-アナログ変換器およびその動作方法は、乱数信号を使用して、変化指示器を介して、指示信号を生成してもよく、また、デコーダを介して、デジタル入力信号および指示信号に従って、対応する制御を生成してもよく、それにより、複数の電流源のうちの少なくとも1つを、時間(動作サイクル)にわたるランダムシフト選択方法で可能にしてもよい。したがって、本発明のデジタル-アナログ変換器によって生成されるアナログ出力信号は、INLおよびSFDRにおいてより良好な性能を有し得る。
【0061】
本発明は、実施形態とともに上記に開示されたが、本発明を限定する意図はない。技術分野の通常の知識を有する当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、若干の変更及び修正を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明におけるデジタル-アナログ変換器およびその動作方法は、デジタル-アナログ変換の分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 デジタル-アナログ変換器
110 デコーダ
111 復号回路
112 制御回路
120 乱数発生器
130 変化指示器
131_P、131_1-131_(P-1) D型フリップフロップ
140 電流源モジュール
Din デジタル入力信号
CS 制御信号
RS リセット信号
RNS 乱数信号
RNS_P クロック信号
SP 指示信号
Aout アナログ出力信号
CLK クロック信号
RE リセット端子
S210-S250 ステップ
310-1-310-8 シフトレジスタ
320 論理ゲート
510,520 矢印
601, 602、603:コードアレイ
810 ダミービット
D1-D7 出力端子
IN 入力端子
OUT 出力端子
CK クロック入力端子
SET 設定端子
EN_1-EN_P 出力信号
T1、T2、T3、T4、T5、T6、T11-T14 期間
C1_1~CM_N、C2_1~C2_N、C3_1~C3_3、C4_1、C5_1、C6_1、C7_1、C8_1、C8_8 電流源
D1~F1、D2~F2、D1'、D2'、F1'、F2'、D1”、D2”、F1”、F2” ビット位置