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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】珪化物系合金材料及びそれを用いた素子
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/06 20060101AFI20240820BHJP
   H10N 10/851 20230101ALI20240820BHJP
   C22C 5/04 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C01B33/06
H10N10/851
C22C5/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019227426
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021020842
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2019006659
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019041217
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019146704
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】幸田 陽一朗
(72)【発明者】
【氏名】秋池 良
(72)【発明者】
【氏名】倉持 豪人
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0077375(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125659(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0097391(US,A1)
【文献】特開平11-233986(JP,A)
【文献】特表2011-527517(JP,A)
【文献】国際公開第2014/021139(WO,A1)
【文献】特開2004-346392(JP,A)
【文献】SIMKIN, B. A. et al.,Directional thermoelectric properties of Ru2Si3,Intermetallics,Elsevier Ltd.,2005年,Vol 13,p. 1225-1232,特にp. 1227-1231, 第4節, 図2-10
【文献】IVANENKO L. et al.,Transport properties of Mn-doped Ru2Si3,Microelectronic Engineering,Elsevier B. V.,2003年,Vol. 70,p. 209-214,特にp. 209-211, 第1, 2節
【文献】HOHL, H. et al.,Transport properties of RuSi, RuGe, OsSi, and quasi-binary alloys of these compounds,Journal of Alloys and Compounds,Elsevier Science S. A.,1998年,Vol. 278,p. 39-43,特にp. 39-41, 第2, 3節, 図2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/06
H10N 10/851
C22C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、当該合金材料を構成する元素の原子比が、シリコン、ルテニウムの含有量をそれぞれSi、Ruとしたときに
45atm%≦Si/(Ru+Si)≦70atm%
30atm%≦Ru/(Ru+Si)≦55atm%
であり、空間群198、64、60から選ばれる少なくとも2種類以上の結晶相を組織中に有する珪化物系合金材料。
【請求項2】
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が50μm以下である請求項1に記載の珪化物系合金材料。
【請求項3】
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が1nm~20μmである請求項1又は2に記載の珪化物系合金材料。
【請求項4】
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が3nm~1μmである請求項1~3のいずかに記載の珪化物系合金材料。
【請求項5】
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が5nm~500nmである請求項1~4のいずかに記載の珪化物系合金材料。
【請求項6】
シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、複数の結晶相を組織中に有する請求項1~5のいずかに記載の珪化物系合金材料。
【請求項7】
シリコン、ルテニウムの含有量が、
55atm%≦Si/(Ru+Si)≦65atm%
35atm%≦Ru/(Ru+Si)≦45atm%
である請求項1~6のいずれかに記載の珪化物系合金材料。
【請求項8】
シリコン、ルテニウムの含有量が、
47atm%≦Si/(Ru+Si)≦60atm%
40atm%≦Ru/(Ru+Si)≦53atm%
である請求項1~6のいずれかに記載の珪化物系合金材料。
【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載の珪化物系合金材料を用いた熱電変換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珪化物系合金材料及びそれを用いた素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーの候補として、排熱を利用した熱電発電が古くから知られている。現在、200℃以下の排熱に関してはBiTeが実用化されているが、Bi-Te系材料はBi及びTeはともに高価であり、またTeは極めて毒性が強いという問題がある。このため、熱電変換素子として、低発電コスト化、環境負荷低減できるものが求められている。
【0003】
また、ゴミ焼却場や自動車で発生する排熱は、前述の温度を上回る200℃~600℃程度の温度域(以下、中温域とする。)にある。これらの温度領域で使用される材料は、SbやAs等の毒性の強い元素を含むため、環境負荷が大きなものとなっている。
【0004】
環境負荷が小さく、高性能の中温域用熱電材料として金属とシリコンを化合させた合金材料が注目されている。特に、MgSiなどが知られており(例えば、特許文献1参照)、また同族元素を用いたp型の熱電材料としてMgSiとCaMgSiの混合物が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、400℃におけるゼーベック係数は70μV/K以下と小さく、実用に耐えうる熱電特性を得られていない。
【0005】
従って、低環境負荷及び低コストであり、かつ200℃を超える温度範囲を含む温度域
において、高い熱電変換効率を得られる熱電変換材料が求められている。
【0006】
非特許文献1、2には、中温域において高い電気伝導度とゼーベック係数を有するシリコンとルテニウムの合金が報告されているが、FZ法で作製された単結晶試料に関する開示であり、室温における熱伝導率が5.0W/K・mとなっており、熱電変換における性能の指標となる性能指数Zと絶対温度Tの値は低い数字にとどまっていた。
【0007】
また、ルテニウムとシリコンは中温域(400℃~600℃)において、比較的高い熱電変換効率を示すことが非特許文献3において示されている。しかしながら、200℃以下の低温領域においては電気伝導率の向上とゼーベック係数の向上を両立させることができず、高い熱電変換効率が達成できずにいた。非特許文献3では、ルテニウムとシリコンの比率を1:1とした合金をアーク溶解により作製し、その電気特性と熱物性に関して測定を実施しているが、300K以下の温度領域に限ったものであり、得られた合金に関しても結晶相以外の詳細な組織構造に関しての情報は記載されていない。
【0008】
さらに、非特許文献4では、非特許文献3と同様の方法でルテニウムとシリコンの比率を1:1の比率とした合金を作製し、その熱電性能を測定しているが、100℃付近のゼーベック係数が250μV/Kであり、電気伝導度が約6×10E-3Ω・cm程度であることが開示されているが、非特許文献4同様得られた合金に関しても結晶相以外の詳細な組織構造に関しての情報は記載されていない。
ここでTは絶対温度、性能指数Zは以下の式で定義される。
【0009】
【数1】
【0010】
Sはゼーベック係数(V/K)、σは電気伝導率であり電気抵抗(Ω・m)の逆数である。また、κは熱伝導率(W/K・m)である。また、Zの分子部分(Sの二乗とσの積)をパワーファクター(W/K・m)と呼ぶ。
【0011】
また、(パワーファクター/熱伝導率)×温度(K:ケルビン)を熱電変換性能という。
【0012】
本発明者らは、結晶粒径サイズを制御し、複数の結晶相を含有したシリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料とすることで熱伝導率を抑制し、熱電性能を高めることができることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2002-368291号公報
【文献】特開2008-147261号公報
【非特許文献】
【0014】
【文献】L.Ivanenko et al. 22nd International Conference on Thermoelectrics 2003 157-160
【文献】L.Ivanenko et al.Microelectronic Engineering 70(2003) 209-214
【文献】B.Buschinger et al. Journal of Alloys and Compounds 256(1997) 57-60
【文献】H.Hole et al. Journal of Alloys and Compounds 278(1998) 39-43
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、環境負荷低減が可能であり、かつ高い熱電性能を得ることが可能な珪化物系合金材料及びそれを用いた素子を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る珪化物系合金材料の実施形態としては、以下の特徴を有する。
(1)
シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、当該合金材料を構成する元素の原子比が、シリコン、ルテニウムの含有量をそれぞれSi、Ruとしたときに
45atm%≦Si/(Ru+Si)≦70atm%
30atm%≦Ru/(Ru+Si)≦55atm%
である珪化物系合金材料。
(2)
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が50μm以下である(1)に記載の珪化物系合金材料。
(3)
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が1nm~20μmである(1)又は(2)に記載の珪化物系合金材料。
(4)
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が3nm~1μmである(1)~(3)のいずかに記載の珪化物系合金材料。
(5)
珪化物系合金材料の平均結晶粒径が5nm~500nmである(1)~(4)のいずかに記載の珪化物系合金材料。
(6)
シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、複数の結晶相を組織中に有する(1)~(5)のいずかに記載の珪化物系合金材料。
(7)
シリコン、ルテニウムの含有量が、
55atm%≦Si/(Ru+Si)≦65atm%
35atm%≦Ru/(Ru+Si)≦45atm%
である(1)~(6)のいずれかに記載の珪化物系合金材料。
(8)
シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、空間群198、64、6
0から選ばれる少なくとも2種類以上の結晶相を組織中に有する(1)~(7)のいずか
に記載の珪化物系合金材料。
(9)
シリコン、ルテニウムの含有量が、
47atm%≦Si/(Ru+Si)≦60atm%
40atm%≦Ru/(Ru+Si)≦53atm%
である(1)~(6)のいずれかに記載の珪化物系合金材料。
(10)
シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、空間群221、198の結晶相を組織中に有する(1)~(6)、(9)のいずれかに記載の珪化物系合金材料。
(11)
(1)~(10)のいずれかに記載の珪化物系合金材料を用いた熱電変換素子。
【0017】
以下に本発明について詳細に述べる。
【0018】
本発明の珪化物系合金材料の平均結晶粒径が50μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1nm~50μmであり、さらに好ましくは1nm~20μmであり、より好ましく3nm~1μmであり、一層好ましくは5nm~500nmがより、最も好ましくは5nm~100nmである。
【0019】
また、本発明の平均結晶粒径については、熱電変換素子の性能が低くとどまっている理由の大部分が、熱伝導率の高さに起因するためであり、平均結晶粒径を小さく抑えることで熱伝導率を低下させることが可能となる。しかしながら、効率的に熱伝導を抑制するのに適した平均結晶粒径は、物質の種類により異なる。これは熱を伝達するフォノンが、物質の種類によって異なる平均自由行程を有するためである。加えて、平均結晶粒径が1nmを下回ると電気伝導が低くなる可能性が高いため熱電変換素子の性能を悪化させる問題も発生する。
【0020】
ここで述べている平均結晶粒径とは、特定の領域において観測された結晶粒の個数に対して、特定のサイズを有する結晶粒の個数を数え上げて平均値を算出した数値を意味する。
【0021】
【数2】
【0022】
また、熱伝導率の特性上、上記平均結晶粒径に加えて、面積加重平均結晶粒径の数値も重要となる。面積加重平均結晶粒径とは、測定領域に存在する平均結晶粒径に、そのサイズの結晶粒群が占める面積を乗じて、測定面積で除した数値であり、以下の式で表される。
【0023】
【数3】
【0024】
また、平均結晶粒径と面積加重平均結晶粒径との比は、可能な限り小さく、1に近いことが好ましい。これは、微細な結晶粒から構成される合金の組織中に粗大な結晶粒が混在していると、熱が伝導する際に、粗大な結晶粒を経由して伝熱してしまうためである。従って、平均結晶粒径と面積加重平均結晶粒径の比をR(=面積加重平均結晶粒径/平均結晶粒径)としたとき、Rの値が10以下であることが好ましく、5以下であることがさらに好ましい。最も好ましくは2以下である。
【0025】
本発明の珪化物系合金材料は、不可避的な微量の不純物を含んでいてもよい。このような不純物としては、Si、Ru以外の金属元素およびそれらの酸化物などの化合物が挙げられる。
【0026】
本発明の珪化物系合金材料は、シリコンとルテニウムを主成分とする珪化物系合金材料であり、当該合金材料を構成する元素の原子比が、シリコン、ルテニウムの含有量をそれぞれSi、Ruとしたときに、
45atm%≦Si/(Ru+Si)≦70atm%
30atm%≦Ru/(Ru+Si)≦55atm%
であり、
200~600℃の温度域において、熱電変換材料(高温熱電材料)として好適であることから、好ましくは
55atm%≦Si/(Ru+Si)≦65atm%
35atm%≦Ru/(Ru+Si)≦45atm%
であり、特に好ましくは
57atm%≦Si/(Ru+Si)≦63atm%
37atm%≦Ru/(Ru+Si)≦42atm%
である。最も好ましくは
59atm%≦Si/(Ru+Si)≦63atm%
37atm%≦Ru/(Ru+Si)≦41atm%
である。
【0027】
これは、シリコンとルテニウムの珪化物系合金材料が上記の範囲内で、高温熱電材料用の熱電変換性能に優れた半導体結晶相を発現するためであり、この組成範囲を外れると、珪化物系合金材料の物性が金属的な結晶相を示してしまい、熱電変換性能が著しく悪化する。
【0028】
高温熱電材料用の珪化物系合金材料の組織構造としては、複数のルテニウムとシリコン比率の異なる複数の結晶構造を有することが好ましい。特に好ましくは、空間群198、64、60から選ばれる、少なくとも2種類以上の結晶構造を含有する組織であるのがよい。さらに中温域で高い熱電性能を達成するためには空間群198、60から選ばれる結晶構造を2種類以上含有していることが好ましい。
【0029】
シリコン、ルテニウムの含有量については、
200℃以下の温度域において、熱電変換材料(低温熱電材料)として好適であることから、
好ましくは
47atm%≦Si/(Ru+Si)≦60atm%
40atm%≦Ru/(Ru+Si)≦53atm%
であり、特に好ましくは
48atm%≦Si/(Ru+Si)≦55atm%
45atm%≦Ru/(Ru+Si)≦52atm%
である。最も好ましくは
48atm%≦Si/(Ru+Si)≦52atm%
52atm%≦Ru/(Ru+Si)≦48atm%
である。
【0030】
これは、シリコンとルテニウムの珪化物系合金材料が上記の範囲内で、低温熱電材料用の熱電変換性能に優れた半導体結晶相を発現するためであり、この組成範囲を外れると、珪化物系合金材料の結晶構造が金属的な結晶相となってしまい、熱電変換性能が著しく悪化する。
【0031】
低温熱電材料用の珪化物系合金材料の組織構造としては、複数のルテニウムとシリコン比率の異なる複数の結晶構造を有することが好ましい。特に好ましくは、空間群221、198の結晶構造を含有する組織であるのがよい。さらに100℃付近の低温域において高い熱電変換性能を示すためには、結晶構造が空間群221である相1と空間群198である相2の存在比率(相1/(相1+相2))が
0.0001≦(相1/(相1+相2))≦0.3
であることが好ましい。
さらに好ましくは
0.0001≦(相1/(相1+相2))≦0.1
である。最も好ましくは
0.0001≦(相1/(相1+相2))≦0.05
である。
【0032】
次に、本発明の珪化物系合金材料の製造方法について説明する。
【0033】
本発明の製造方法は、ルテニウム及びシリコンから合金を合成する工程と、場合に応じて前記合金を粉砕又は急冷して粉末とする工程と、前記合金粉末を焼成温度900℃~1850℃でホットプレス処理する焼成工程とを含んでなる製造方法が好ましい。
【0034】
まず、ルテニウム及びシリコンから合金を合成する工程では、ルテニウムとシリコンを所定の比率で用意し、アーク溶解炉で事前に溶融させることでルテニウムシリサイドを合成する。これは、粉末中の不純物除去のためと後述する合金組織の微細化のためである。さらに溶解条件として、低い放電パワーで長時間溶融するよりも、高いパワーで短時間処理する事が好ましい。その電流量は、単位サンプル量当たり電流値で30A/g以上が好ましく、さらに好ましくは200A以上である。20A/g以下の電流値では電流量が不足し、ルテニウムを溶融できず、結果として均質な合金にすることが困難であり好ましくない。
【0035】
上記の好ましい条件から得られた合金は、ルテニウムシリサイドの合金となっている。
【0036】
次に、場合に応じて前記合金を粉砕して粉末又は急冷とする工程は、得られる粉末の粒径を小さくする工程である。
【0037】
粉砕する際は、合金の合成後から含有酸素量を増加させないように、粉砕作業は不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。そうすることで粉末表面の酸化を防ぎ、含有酸素量を低く抑えることができるからである。さらに、粉砕の方法により、珪化物系合金材料とした際の組織構造を制御することができる。粉砕および造粒の方法としては、乳鉢での粉砕、ボールミル、ジェットミル、ビーズミル、スプレードライ、ガスアトマイズなどの方法を利用することができる。このとき得られる粉末の一次粒径は可能な限り小さいものが好ましい。また、造粒した場合の造粒粉末の平均造粒粒径は特に限定されるものではないが、10~100μm程度であることが、取扱性等を考慮するとより好ましい。
【0038】
また、原料の組成比により高温熱電材料に適した珪化物系合金材料と低温熱電材料に適した珪化物系合金材料をそれぞれ作り分けることが可能である。高温熱電材料に適した珪化物系合金材料、低温熱電材料に適した珪化物系合金材料は、それぞれ前述のRu、Si比に応じた組成比となるように原料粉末を混合することで得ることが可能である。
【0039】
急冷する際は、溶融状態となっている珪化物系合金材料を、3000rpmで回転する水冷銅ローラーに吹き付けることで、瞬間的に溶融状態から凝固させ、薄い帯状とすることが可能である(急冷薄帯)。その際の冷却速度は、一例では約8×10K/sとなることもある。
【0040】
最後に、合金粉末を焼成温度900℃~1850℃でホットプレス処理する焼成工程では、焼結方法としては雰囲気制御炉、加圧焼結の一種であるホットプレスに加えて、パルス通電加圧焼結に代表されるECAS(Electric current activated sintering)、放電プラズマ焼結などの焼結方法を用いることができ、その中でも放電プラズマ焼結が好ましい。
【0041】
以下に加圧焼結の一種であるホットプレスでの一例を説明する。ホットプレス法は粉末を加圧しながら温度を与えることで焼結を進める装置であり、加熱時に一軸加圧を行なうことで焼成時の拡散を補助し、拡散係数が低い場合や、金属など粒子径が大きい場合など焼結しにくい材料を焼結できるようにする焼成法である。ホットプレス法により焼成を行なうことで従来よりも密度が向上し、RuSiの理論密度を6.79g/cm、RuSiの相1、相2それぞれの理論密度を8.44g/cm、8.04g/cmとすると相対密度80%以上の珪化物系合金材料を得ることが可能となる
ホットプレス処理における焼成温度は900℃~1850℃であり、好ましくは、900℃~1800℃で焼成する。900℃より低い温度では焼結が進まず密度が成形体密度と同程度にしか向上しない。また、1850℃よりも高い温度にて焼成を行なうとRuSiおよびRuSiが溶融し、合金がホットプレスの型と接着し、歩留まりが悪化する可能性がある。
【0042】
ここで高温熱電変換材料に適した珪化物系合金材料の場合、高い熱電変換性能が得やすいことから焼成温度は1600℃以上であることが好ましい。一方、低温熱電変換性能に適した珪化物系合金材料の場合、相2の生成比率を制御しやく、高い熱電変換性能を得やすいことから、1600℃以上であるか1300℃以下であることが好ましい。
【0043】
焼成時の圧力は10MPa~100MPaである事が好ましい。珪化物系合金材料の密度を向上させ、一般的に用いられるカーボン製の金型でも使用に耐えうるからである。さらにプレス圧の制御により、珪化物系合金材料中に生成する結晶相を変化させることも可能である。特に高温熱電変換材料に適した珪化物系合金材料を製造する際は、熱電変換性能を達成しやすいことから10MPa~40MPaであることが特に好ましい。
【0044】
焼結の雰囲気は酸素を含まない窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気や真空中で行なう事が好ましい。
【0045】
ホットプレス処理の焼成温度における保持時間は特に限定されるものではなく、10分以上であることが好ましく、保持時間が短いと内部まで均一に加熱できず多結晶体として保形が難しい。一方、保持時間は1時間以内であることが好ましい。保持時間の延長は粒径の増大を誘起し、結果的に熱伝導率の増大を招く可能性がある。
【0046】
本発明の珪化物系合金材料は、所定の寸法に加工してもよい。加工方法は特に限定はなく、平面研削法、ロータリー研削法または円筒研削法等を用いることができる。これらの方法を用いることで熱電変換素子用途に適した形状に加工することができる。
【0047】
本発明の珪化物系合金材料は、熱電変換素子とすることが好ましい。
【0048】
熱電変換素子は、p型、n型半導体を用いて作製される。従って、用いる半導体材料はp型、n型制御ができることが好ましい。本発明では、特定の元素をシリコンとルテニウムの合金に添加することでp型、n型の制御をすることが可能である。
【0049】
上記珪化物系合金材料を用いた熱電変換素子の製造方法の一例を以下に示す。
p型、n型それぞれの珪化物系合金材料を接触しないように平行に設置し上部を電極で橋渡しする。これらの構造をΠ字型素子とした場合、素子の上部が高温に接する構造となっており、加熱されると素子の上部と下部で温度勾配が発生し、そのときの温度差ΔT(=TH-TL)に応じたゼーベック効果によって発生した電位差から電流が生成する。従って、素子の下部のp型、n型珪化物系合金材料それぞれに電極を取り付け、適当な抵抗を介した回路とすることで、電池として効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明の珪化物系合金材料を用いることで、広範囲の温度域で高効率な熱電変換素子を作製することができる。
【実施例
【0051】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
(平均結晶粒径の測定方法)
EBSP付属電解放出形操作電子顕微鏡JSM-7100F(日本電子製)により測定した。
【0053】
(結晶相の測定方法)
X線回折測定により、得られた回折ピークから結晶相の同定を行った。
【0054】
(組成の測定方法)
ICP-MS質量分析法により定量した。
【0055】
(電気特性の測定方法)
ホール効果測定装置(東陽テクニカ製ResiTest8400)を用いて測定を行った。
【0056】
(ゼーベック係数の測定方法)
上記ホール効果測定装置にゼーベック係数測定システム(東陽テクニカ製ResiTest8400オプション)を取り付け、測定を行った。
【0057】
(熱伝導率の測定方法)
レーザーフラッシュ法熱伝導測定装置(NETZSCH社製LFA-457)により測定を行った。
【0058】
(実施例1)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=60atm%、Ru/(Ru+Si)=40atm%として混ぜ合わせた後、水冷鋳型に充填し、アーク溶融を行った。得られた原料塊を瑪瑙乳鉢内で乳鉢を用いて粉砕し粉末を作製した。得られた粉末を30mm×15mmサイズの、長方形のホットプレス用型に充填しホットプレスを行った。ホットプレス条件は、昇温速度200℃/hour、焼成温度1400℃で1時間保持、圧力は2.3tonとした。また、真空度は1.0e-2Paであった。焼結中合金試料付近に設置していたリファサーモ(型式L)は1250℃を示していた。
【0059】
EBSD測定の結果、得られた合金試料に関して、面積比で0.001%程度のSi相が混在したRuSiの結晶相(空間群60)が観測された。
【0060】
得られた合金試料の相対密度は、合金試料が純RuSiであると想定すると、RuSiの理論密度6.79g/cmを用いて、アルキメデス法により91.2%と算出された。
【0061】
その後、合金試料は10mm×10mm×1mmtのサイズに加工して電気特性測定サンプル、10mmφ×2mmtのサイズに加工して熱伝導率測定サンプルとし、それぞれ測定を行った。測定条件は、ゼーベック係数と電気抵抗については600℃、真空条件で行った。一方、熱伝導率については室温、窒素雰囲気下と、600℃、Ar雰囲気下の二条件で測定した。各測定結果を表1に示す。
【0062】
(実施例2)
ホットプレス条件を焼成温度1750℃とし、その他条件は実施例1と同様の条件で実験を行った。
【0063】
(実施例3)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=61atm%、Ru/(Ru+Si)=39atm%とし、ホットプレス条件を焼成温度1750℃、プレス圧力1.1tonとし、その他条件は実施例1と同様の条件で実験を行った。
【0064】
(実施例4)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=61atm%、Ru/(Ru+Si)=39atm%とし、ホットプレス条件を焼成温度1750℃、プレス圧力1.1tonとし、その他条件は実施例1と同様の条件で実験を行った。
【0065】
(実施例5)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=61atm%、Ru/(Ru+Si)=39atm%とし、ホットプレス条件を焼成温度1750℃、プレス圧力0.5tonとし、その他条件は実施例1と同様の条件で実験を行った。
【0066】
【表1】
【0067】
得られた実施例1~5の結果は、600℃においても非特許文献1,2に記載の熱伝導率5W/K・mより、低い値を示した。このことから、合金の組織粒径を微細化制御することで600℃においても高い熱電変換性能を達成することが可能となる。
【0068】
(実施例6)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%として混ぜ合わせた後、水冷鋳型に充填し、アーク溶融を行った。得られた原料塊を瑪瑙乳鉢内で乳鉢を用いて粉砕し粉末を作製した。得られた粉末を30mm×15mmサイズの、長方形のホットプレス用型に充填しホットプレスを行った。ホットプレス条件は、昇温速度200℃/hour、保持温度1400℃、1時間保持、圧力は2.3tonとした。また、真空度は1.0e-2Paであった。焼結中合金試料付近に設置していたリファサーモ(型式L)は1250℃を示していた。
【0069】
EBSD測定の結果、得られた合金試料に関して、空間群221である結晶相(相1)と空間群198である結晶相(相2)が面積比(相1/(相1+相2))=0.005の割合で含有されたRuSiの組織構造であることが明らかになった。
【0070】
得られた合金試料の相対密度は、相対密度は、合金試料がRuSiの相1、相2それぞれの理論密度8.44g/cm、8.04g/cmの相加平均を真密度であると想定すると、アルキメデス法により95.0%と算出された。
【0071】
その後、合金試料は10mm×10mm×1mmtのサイズに加工して電気特性測定サンプル、10mmφ×2mmtのサイズに加工して熱伝導率測定サンプルとし、それぞれ測定を行った。測定条件は、ゼーベック係数と電気抵抗については100℃、真空条件で行った。一方、熱伝導率については室温、窒素雰囲気下と、100℃、Ar雰囲気下の二条件で測定した。各測定結果を表2に示す。
【0072】
(実施例7)
ホットプレス条件を保持温度1750℃とし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0073】
(実施例8)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=49atm%、Ru/(Ru+Si)=51atm%とし、ホットプレス条件を保持温度1750℃、プレス圧力1.1tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0074】
(実施例9)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=51atm%、Ru/(Ru+Si)=49atm%とし、ホットプレス条件を保持温度1750℃、プレス圧力1.1tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0075】
(実施例10)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%とし、ホットプレス条件を保持温度1750℃、プレス圧力0.5tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0076】
【表2】
【0077】
(実施例11)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%とし、アーク溶融炉で30A/gの投入電流で溶融させインゴットとした後、それを瑪瑙乳鉢で粉砕して粉末とした。当該粉末を300μmメッシュの篩を通した後にホットプレス用原料として用いた。ホットプレス条件を保持温度1750℃、プレス圧力3.5tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0078】
(実施例12)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%とし、アーク溶融炉で30A/gの投入電流で溶融させインゴットとした後、それを瑪瑙乳鉢で粉砕して粉末とした。当該粉末を300μmメッシュの篩を通した後にホットプレス用原料として用いた。ホットプレス条件を保持温度1200℃、プレス圧力3.5tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0079】
(実施例13)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%とし、アーク溶融炉で30A/gの投入電流で溶融させインゴットとした後、液体急冷装置で再度溶融した後、急冷することで細線状に加工した。それを瑪瑙乳鉢で粉砕して粉末とした。当該粉末を300μmメッシュの篩を通した後にホットプレス用原料として用いた。ホットプレス条件を保持温度1200℃、プレス圧力3.5tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0080】
(実施例14)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=60atm%、Ru/(Ru+Si)=40atm%とし、アーク溶融炉で30A/gの投入電流で溶融させインゴットとした後、それを瑪瑙乳鉢で粉砕して粉末とした。当該粉末に金属ルテニウム粉末を、合計でSi/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%となるように加えた後、300μmメッシュの篩を通した後にホットプレス用原料として用いた。ホットプレス条件を保持温度1750℃、プレス圧力3.5tonとし、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。
【0081】
【表3】
【0082】
(実施例15)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%として混合した試料を、高周波加熱により溶融状態にし、冷却した無酸素銅ロールに全量滴下することで急冷薄帯(冷却速度8×10K/s)を作製した。この時の銅ロールの回転数は約3000rpmとした。ここで得られた急冷薄帯を瑪瑙乳鉢で粉砕し、300μmメッシュの篩を通した後に放電プラズマ焼結用原料として用いた。焼結は2cmΦのカーボン型を用いて、放電プラズマ焼結装置において、昇温速度50℃/minにて1000℃まで昇温したのち、20℃/minにて1400℃まで加熱した。1400℃で10分間保持した後、放冷を行った。焼結時の圧力は2.4tonとし、真空度は5.0e-3Paであった。物性評価の方法は、評価温度を100℃として、その他は実施例1と同様にして行った。結果を表4に示す。
【0083】
(実施例16)
放電プラズマ焼結の圧力を1.6tonとした以外は実施例15と同様の条件で実験を行った。その結果を表4に示す。
【0084】
(実施例17)
放電プラズマ焼結の圧力を2.4tonとし、焼結時の保持温度を1300℃とした以外は実施例15と同様の条件で実験を行った。その結果を表4に示す
(実施例18)
シリコン粉末(純度4N、平均粒径300μm、高純度化学製)と、金属ルテニウム(純度99.9%、平均粒径150μm、フルウチ化学製)を、Si/(Ru+Si)=50atm%、Ru/(Ru+Si)=50atm%とし、アーク溶融炉で30A/gの投入電流で溶融させインゴットとした後、それを瑪瑙乳鉢で粉砕して粉末とした。当該粉末を300μmメッシュの篩を通した後にホットプレス用原料として用いた。ホットプレス条件を保持温度1750℃、プレス圧力3.5tonとし、保持時間を10分として、その他条件は実施例6と同様の条件で実験を行った。結果を表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】
得られた実施例6~18の結果は、200℃以下の温度域においても非特許文献3,4に記載の熱電変換性能より、高い値を示した。このことから、本発明により200℃以下の温度域においても高い熱電変換性能を達成することが可能となる。
【0087】
(比較例1)
原料をSi/(Ru+Si)=99atm%、Ru/(Ru+Si)=1atm%とした以外は、実施例1と同様の手法で合金を得た。
【0088】
(比較例2)
原料にシリコン粉末を用いて、Si/(Ru+Si)=100atm%、ホットプレス時の焼成温度を1200℃とした以外は実施例1と同様の方法で合金を得た。
【0089】
(比較例3)
原料にシリコン粉末を用いて、Si/(Ru+Si)=75atm%、Ru/(Ru+Si)=25atm%とし、ホットプレス時の焼成温度を1400℃とした以外は実施例1と同様の方法で合金を得た。
【0090】
(比較例4)
原料にシリコン粉末を用いて、Si/(Ru+Si)=41atm%、Ru/(Ru+Si)=59atm%とし、ホットプレス時の焼成温度を1400℃とした以外は実施例1と同様の方法で合金を得た。
【0091】
【表5】
【0092】
(比較例5)
原料をSi/(Ru+Si)=99atm%、Ru/(Ru+Si)=1atm%とした以外は、実施例6と同様の手法で合金を得た。
【0093】
(比較例6)
原料にシリコン粉末を用いて、Si/(Ru+Si)=100atm%、ホットプレス時の温度を1200℃とした以外は実施例6と同様の方法で合金を得た。
【0094】
(比較例7)
原料をSi/(Ru+Si)=75atm%、Ru/(Ru+Si)=25atm%とし、ホットプレス時の温度を1400℃とした以外は実施例6と同様の方法で合金を得た。
【0095】
(比較例8)
原料をSi/(Ru+Si)=41atm%、Ru/(Ru+Si)=59atm%とし、ホットプレス時の焼成温度を1400℃とした以外は実施例6と同様の方法で合金を得た。
【0096】
【表6】
【0097】
本願発明の範囲外である比較例1~8では、200℃以下、600℃のいずれにおいても本願発明よりも熱電変換性能に劣るものである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明を用いることで、高い性能を有する熱電変換素子を作製可能となり、広範囲の温度域の排熱を効率的に利用できるようになる。