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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240820BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240820BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B65H5/06 J
B65H7/02
G03G15/00 446
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020115559
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013176
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】大谷 遼平
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001786(JP,A)
【文献】実開昭62-035356(JP,U)
【文献】特開昭62-060744(JP,A)
【文献】特開2011-084406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 7/00-7/20
B65H 29/12-29/24
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を挟持して搬送する搬送ローラ対に媒体を給送する給送装置であって、
各々が複数の媒体を積層して収容する第1トレイ及び第2トレイと、
前記第1トレイに収容された媒体に圧接された状態で回転することによって、当該媒体を第1給送路を通じて前記搬送ローラ対に給送する第1給送ローラと、
前記第2トレイに収容された媒体に圧接された状態で回転することによって、当該媒体を前記第1給送路より長い第2給送路を通じて前記搬送ローラ対に給送する第2給送ローラと、
前記第2給送路に配置され、前記第2給送ローラによって給送された媒体を挟持して回転することによって、当該媒体を前記搬送ローラ対に中継する中継ローラ対とを備え、
前記第1トレイに収容された媒体を給送する場合の前記第1給送ローラの停止タイミングと、前記第2トレイに収容された媒体を給送する場合の前記第2給送ローラの停止タイミングとを異ならせ、
前記第2トレイに収容された媒体を給送する場合において、
前記第2トレイに収容された媒体の給送方向の長さである媒体サイズを取得し、
取得した前記媒体サイズが前記第2給送路の経路長より長い場合に、前記媒体の先端が前記搬送ローラ対に到達した後で且つ前記媒体の後端が前記第2給送ローラを通過する前に、前記第2給送ローラを停止させ、
取得した前記媒体サイズが前記第2給送路の経路長以下の場合に、前記媒体の先端が前記中継ローラ対に到達した後で且つ前記媒体の後端が前記第2給送ローラを通過した後に、前記第2給送ローラを停止させることを特徴とする給送装置。
【請求項2】
前記第1トレイに収容された媒体を給送する場合において、前記媒体の先端が前記搬送ローラ対に到達した後で且つ前記媒体の後端が前記第1給送ローラを通過する前に、前記第1給送ローラを停止させることを特徴とする請求項1に記載の給送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給送装置と、
前記搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対によって搬送された媒体に画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部に画像を形成させる媒体の給紙元として、前記第1トレイ及び前記第2トレイのいずれかを示すトレイ情報が入力される入力部を備え、
前記入力部に入力された前記トレイ情報が、前記第1トレイを示す場合の前記第1給送ローラの停止タイミングと、前記第2トレイを示す場合の前記第2給送ローラの停止タイミングとを異ならせることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1トレイ及び前記第2トレイそれぞれに収容された媒体の給送方向の長さである媒体サイズを示すサイズ情報を記憶するメモリを備え、
前記入力部に入力された前記トレイ情報が前記第2トレイを示す場合に、前記第2トレイの前記サイズ情報を前記メモリから読み出し、
読み出した前記サイズ情報で示される前記媒体サイズが、前記第2給送路の経路長より長い場合と、前記第2給送路の経路長以下の場合とで、前記第2給送ローラの停止タイミングを異ならせることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の媒体を積層して収容するトレイと、トレイに収容された媒体を搬送路に送り出す給送ローラと、給送ローラによって送り出された媒体を挟持して搬送する搬送ローラと、搬送ローラによって搬送された媒体に画像を形成する画像形成部とを備える画像形成装置が知られている。
【0003】
また、上記構成の画像形成装置において、媒体の種別に応じて、給送ローラ及び搬送ローラの駆動を制御することによって、媒体を良好に搬送する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、トレイから複数の媒体が送り出される(所謂、連れ送り)のを防止するために、媒体の後端が給送ローラを通過する前に、給送ローラを停止させる技術も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の画像形成装置は、異なる種類(例えば、サイズ、紙質など)の用紙に対応するために、複数のトレイが装着可能に構成されている。しかしながら、各トレイから搬送ローラまでの経路長が異なるので、媒体の後端が通過する前に給送ローラを停止させる制御を実行すると、搬送ローラまでの経路長によっては搬送力不足によるジャムや搬送遅れが発生するという課題を生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数のトレイを備えた給送装置において、各トレイから媒体を適切に給送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、媒体を挟持して搬送する搬送ローラ対に媒体を給送する給送装置であって、各々が複数の媒体を積層して収容する第1トレイ及び第2トレイと、前記第1トレイに収容された媒体に圧接された状態で回転することによって、当該媒体を第1給送路を通じて前記搬送ローラ対に給送する第1給送ローラと、前記第2トレイに収容された媒体に圧接された状態で回転することによって、当該媒体を前記第1給送路より長い第2給送路を通じて前記搬送ローラ対に給送する第2給送ローラと、前記第2給送路に配置され、前記第2給送ローラによって給送された媒体を挟持して回転することによって、当該媒体を前記搬送ローラ対に中継する中継ローラ対とを備え、前記第1トレイに収容された媒体を給送する場合の前記第1給送ローラの停止タイミングと、前記第2トレイに収容された媒体を給送する場合の前記第2給送ローラの停止タイミングとを異ならせ、前記第2トレイに収容された媒体を給送する場合において、前記第2トレイに収容された媒体の給送方向の長さである媒体サイズを取得し、取得した前記媒体サイズが前記第2給送路の経路長より長い場合に、前記媒体の先端が前記搬送ローラ対に到達した後で且つ前記媒体の後端が前記第2給送ローラを通過する前に、前記第2給送ローラを停止させ、取得した前記媒体サイズが前記第2給送路の経路長以下の場合に、前記媒体の先端が前記中継ローラ対に到達した後で且つ前記媒体の後端が前記第2給送ローラを通過した後に、前記第2給送ローラを停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各トレイから媒体を適切に給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の概略構成図。
図2】給送トレイの外観斜視図。
図3】画像形成装置のハードウェア構成図。
図4】トレイテーブルのデータ例。
図5】印刷処理のフローチャート。
図6】印刷画面の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図1は、画像形成装置1の概略構成図である。図1に示すように画像形成装置1は、装置本体100と、装置本体100に対して着脱可能な複数の給送トレイ200A、200B、200C(以下、これらを総称して、「給送トレイ200」と表記することがある。)とを主に備える。
【0010】
装置本体100は、給送トレイ200を着脱可能に支持する複数のバンク(装着部)110A、110B、110C(以下、これらを総称して、「バンク110」と表記することがある。)と、給送トレイ200に収容された用紙P(媒体)を搬送する搬送部120と、搬送部120によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部130と、画像形成部130によって画像が形成された用紙Pが排出される排出トレイ140とを主に備える。
【0011】
なお、「媒体」は、紙製の用紙Pに限定されず、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチックなど、インクやトナーを付着させて画像を形成することが可能なあらゆるものが該当する。
【0012】
また、装置本体100の内部には、搬送路Rと、給送路(第1給送路)Rとが形成されている。搬送路R及び給送路Rは、用紙Pが通過する空間である。搬送路Rは、後述する搬送ローラ対122から画像形成部130の位置を経由して排出トレイ140に至る経路である。給送路Rは、給送トレイ200Aから搬送ローラ対122に至る経路である。すなわち、搬送路Rと給送路Rとは、搬送ローラ対122の位置で接続されている。以下、搬送路Rに沿って搬送ローラ対122から排出トレイ140に向かう方向を「搬送方向」と表記し、給送路Rに沿って給送トレイ200Aから搬送ローラ対122に向かう方向を「給送方向」と表記する。
【0013】
搬送部120は、給送ローラ(第1給送ローラ)121と、搬送ローラ対122と、レジストローラ対123と、定排ローラ対124と、排出ローラ対125とを含む。給送ローラ121は、給送トレイ200Aに収容された用紙Pに圧接された状態で回転することによって、当該用紙Pを給送路Rを通じて搬送ローラ対122に給送する。搬送ローラ対122、レジストローラ対123、定排ローラ対124、及び排出ローラ対125それぞれは、一対のローラが用紙Pを挟持して回転することによって、用紙Pを搬送路Rに沿って搬送する。
【0014】
搬送ローラ対122は、搬送路Rの最上流部に配置されている。レジストローラ対123は、搬送方向において、搬送ローラ対122より下流側で且つ画像形成部130より上流側に配置されている。定排ローラ対124は、搬送方向において、画像形成部130より下流側で且つ排出ローラ対125より上流側に配置されている。排出ローラ対125は、搬送方向において、定排ローラ対124より下流側で且つ排出トレイ140より上流側に配置されている。
【0015】
画像形成部130は、電子写真方式で用紙Pに画像を形成する。但し、本実施形態の画像形成装置1は、電子写真方式に代えて、インクジェット方式で用紙Pに画像を形成する、所謂インクジェットプリンタでもよい。本実施形態に係る画像形成部130は、感光体131と、帯電装置132と、LED133と、転写ローラ134と、定着ローラ対135とを主に備える。
【0016】
帯電装置132は、感光体131の表面を帯電させる。LED133は、画像データに基づいて、帯電された感光体131の表面を露光することによって、感光体131上に静電潜像を形成する光源である。そして、静電潜像が形成された感光体131にトナーを付着させることによって、媒体に形成する画像(トナー像)が形成される。
【0017】
転写ローラ134は、搬送路R上において、感光体131に当接している。搬送部120によって搬送された用紙Pを挟持した感光体131及び転写ローラ134が回転することによって、感光体131に形成された画像が用紙Pに転写される。定着ローラ対135は、搬送方向において、転写ローラ134より下流側で且つ定排ローラ対124より上流側に配置されている。定着ローラ対135は、一対のローラが用紙Pを挟持して回転することによって、転写ローラ134によって転写された画像を用紙P上に定着させる。
【0018】
給送トレイ200は、上面が開放された箱型の部材である。給送トレイ200は、複数の用紙Pを積層した状態で収容することができる。また、給送トレイ200は、様々なサイズ(例えば、A3、A4、B4、B5、ハガキなど)の用紙Pを選択的に収容することができる。そして、給送トレイ200は、対応するバンク110に対して挿抜(着脱)可能に構成されている。
【0019】
給送トレイ200A(第1トレイ)は、例えば、画像形成装置1に標準搭載されている標準トレイである。一方、給送トレイ200B(第2トレイ)及び給送トレイ200C(第3トレイ)は、例えば、必要に応じて画像形成装置1に増設される増設トレイである。但し、このような役割分担は一例であって、これに限定されるものではない。
【0020】
給送トレイ200Aは、支持板201Aと、コイルバネ(付勢部材)202Aと、分離ローラ203Aとを主に備える。支持板201Aは、積層された複数の用紙Pを下方から支持する。コイルバネ202Aは、上下方向において給送ローラ121と対面する位置において、支持板201Aを上方に付勢する。これにより、給送ローラ121は、支持板201Aに支持された複数の用紙Pのうち、最上層の用紙Pに圧接される。
【0021】
給送ローラ121が用紙Pに圧接された状態で回転すると、最上層の用紙Pが給送路Rを通じて搬送ローラ対122に給送される。分離ローラ203Aは、給送路Rの最上流部において、給送ローラ121に当接している。そして、給送ローラ121及び分離ローラ203Aの間を用紙Pが通過することによって、最上層の用紙Pのみを分離して送り出すことができる。
【0022】
また、給送トレイ200Aに収容可能な用紙Pの給送方向の長さ(以下、「用紙サイズ(媒体サイズ)」と表記する。)は、給送ローラ121から搬送ローラ対122を経てレジストローラ対123に至る経路長より長い。そのため、給送トレイ200Aから送り出される用紙Pは、まず給送ローラ121のみによって給送され、その後に給送ローラ121及び搬送ローラ対122によって搬送され、さらにその後に給送ローラ121、搬送ローラ対122、及びレジストローラ対123によって搬送される。
【0023】
給送トレイ200Bは、支持板201B、コイルバネ202B、及び分離ローラ203Bに加えて、給送ローラ204B(第2給送ローラ)と、中継ローラ対205Bとを備える。支持板201B、コイルバネ202B、分離ローラ203B、及び給送ローラ204Bの構成は、支持板201A、コイルバネ202A、分離ローラ203A、及び給送ローラ121と同様である。
【0024】
給送ローラ204Bは、支持板201Bに支持された複数の用紙Pに圧接された状態で回転することによって、最上層の用紙Pを給送路R(第2給送路)を通じて搬送ローラ対122に給送する。中継ローラ対205Bは、給送路Rに配置されている。中継ローラ対205Bは、給送ローラ204Bによって給送された用紙Pを挟持して回転することによって、当該用紙Pを搬送ローラ対122に中継する。
【0025】
給送路Rは、給送ローラ204Bから中継ローラ対205Bを経て搬送ローラ対122に至る経路である。また、給送路Rの一部は、給送トレイ200Aの内部に形成されている。そして、給送路Rの経路長Lは、給送路Rの経路長Lより長い。以下、給送路Rに沿って給送トレイ200Bから搬送ローラ対122に向かう方向を「給送方向」と表記する。
【0026】
また、給送トレイ200Bに収容可能な用紙Pの用紙サイズは、給送ローラ204Bから中継ローラ対205Bを経て搬送ローラ対122に至る経路長(すなわち、給送路Rの経路長L)より長い場合と、短い場合とがある。
【0027】
用紙サイズが経路長Lより長い場合、給送トレイ200Bから送り出される用紙Pは、まず給送ローラ204Bのみによって給送され、その後に給送ローラ204B及び中継ローラ対205Bによって搬送され、さらにその後に給送ローラ204B、中継ローラ対205B、及び搬送ローラ対122によって搬送される。
【0028】
一方、用紙サイズが経路長L以下の場合、給送トレイ200Bから送り出される用紙Pは、まず給送ローラ204Bのみによって給送され、その後に給送ローラ204B及び中継ローラ対205Bによって搬送され、さらにその後に中継ローラ対205Bのみによって搬送されて、搬送ローラ対122に到達する。
【0029】
給送トレイ200Cは、支持板201C、コイルバネ202C、及び分離ローラ203Cに加えて、給送ローラ204C(第3給送ローラ)と、中継ローラ対205Cとを備える。支持板201C、コイルバネ202C、分離ローラ203C、及び給送ローラ204Cの構成は、支持板201A、コイルバネ202A、分離ローラ203A、及び給送ローラ121と同様である。
【0030】
給送ローラ204Cは、支持板201Cに支持された複数の用紙Pに圧接された状態で回転することによって、最上層の用紙Pを給送路R(第3給送路)を通じて中継ローラ対205Bに給送する。中継ローラ対205Cは、給送路Rに配置されている。中継ローラ対205Cは、給送ローラ204Cによって給送された用紙Pを挟持して回転することによって、当該用紙Pを中継ローラ対205Bに中継する。
【0031】
給送路Rは、給送ローラ204Cから中継ローラ対205Cを経て中継ローラ対205Bに至る経路である。すなわち、給送路Rは、中継ローラ対205Bの位置で給送路Rに接続されている。また、給送路Rの一部は、給送トレイ200Bの内部に形成されている。そして、給送路Rの経路長Lは、給送路Rの経路長Lより長い。給送路Rに沿って給送トレイ200Cから中継ローラ対205Bに向かう方向を「給送方向」と表記する。
【0032】
また、給送トレイ200Cに収容可能な用紙Pの用紙サイズは、給送ローラ204Cから中継ローラ対205Cを経て中継ローラ対205Bに至る経路長(すなわち、給送路Rの経路長L)より長い場合と、短い場合とがある。
【0033】
用紙サイズが経路長Lより長い場合、給送トレイ200Cから送り出される用紙Pは、まず給送ローラ204Cのみによって給送され、その後に給送ローラ204C及び中継ローラ対205Cによって搬送され、さらにその後に給送ローラ204C、中継ローラ対205C、及び中継ローラ対205Bによって搬送される。
【0034】
一方、用紙サイズが経路長L以下の場合、給送トレイ200Cから送り出される用紙Pは、まず給送ローラ204Cのみによって給送され、その後に給送ローラ204C及び中継ローラ対205Cによって搬送され、さらにその後に中継ローラ対205Cのみによって搬送されて、中継ローラ対205Bに到達する。
【0035】
図2は、給送トレイ200の外観斜視図である。図2に示すように、給送トレイ200は、ピン206と、コネクタ207とをさらに備える。ピン206は、給送トレイ200が対応するバンク110に装着された際に、給送トレイ200を所定の位置に位置決めするために、給送トレイ200から上方に突出している。コネクタ207は、給送トレイ200が対応するバンク110に装着された際に、装置本体100の端子に電気的に接続される。
【0036】
図3は、画像形成装置1のハードウェア構成図である。図3に示すように、画像形成装置1は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)301、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)302、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)303、記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)304、及びインタフェースとしてのI/F305が通信手段としての共通バス306を介して接続されている構成を備える。CPU301、RAM302、ROM303、HDD304は、コントローラ300の一例である。
【0037】
CPU301は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM302は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU301が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM303は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD304は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。
【0038】
画像形成装置1は、ROM303やHDD304からRAM302にロードされた各種プログラムをCPU301が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成装置1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成装置1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0039】
I/F305は、バンク110、搬送部120、画像形成部130、ディスプレイ307、及び操作パネル308を、共通バス306に接続するインタフェースである。すなわち、コントローラ300は、I/F305を通じて、搬送部120及び画像形成部130を制御する。より詳細には、コントローラ300は、搬送部120に用紙Pを搬送させ、画像形成部130に画像を形成させる。
【0040】
また、コントローラ300は、バンク110の端子と給送トレイ200のコネクタ207とが電気的に接続されたことによって、給送トレイ200がバンク110に装着されたことを検知する。そして、コントローラ300は、端子に接続されたコネクタ207を通じて、給送ローラ204B、204C及び中継ローラ対205B、205Cを回転させるモータに電力を供給する。但し、給送トレイ200がバンク110に装着されたことを検知する方法は、前述の例に限定されず、別途センサを設けてもよい。
【0041】
さらに、画像形成装置1は、ディスプレイ307と、操作パネル308とを備える。ディスプレイ307は、各種画面を表示する。操作パネル308は、画像形成装置1のユーザからの各種入力操作を受け付ける入力部である。操作パネル308は、例えば、ディスプレイ307に重畳されたタッチパネルでもよいし、押しボタン等でもよい。
【0042】
図4は、HDD304(メモリ)に記憶されたトレイテーブルのデータ例である。トレイテーブルは、給送トレイ200A、200B、200Cそれぞれに収容された用紙Pのサイズ情報を記憶するテーブルである。トレイテーブルの設定値は、例えば、画像形成装置1のユーザによって、操作パネル308を通じて事前に入力される。なお、図4のトレイテーブルでは、給送トレイ200Aを「トレイA」、給送トレイ200Bを「トレイB」、給送トレイ200Cを「トレイC」と表記する。
【0043】
サイズ情報とは、用紙Pの給送方向の長さである用紙サイズ(媒体サイズ)を示す情報である。本実施形態に係るサイズ情報は、用紙Pの「規格サイズ(A4、B4など)」と、用紙Pの長手方向の「向き」との組み合わせである。「向き」には、用紙Pの長手方向が給送方向と一致する場合に「縦」が設定され、用紙Pの長手方向が給送方向に直交する場合に「横」が設定される。但し、サイズ情報の具体例はこれに限定されない。
【0044】
次に、図5及び図6を参照して、印刷処理を説明する。図5は、印刷処理のフローチャートである。図6は、印刷画面の表示例である。印刷処理は、給送トレイ200に収容された用紙Pに画像を形成する処理である。コントローラ300は、操作パネル308を通じてユーザに指示されたことに応じて、または通信ネットワークを介して接続された外部装置から指示されたことに応じて、印刷処理を開始する。
【0045】
まず、コントローラ300は、図6に示す印刷画面を、ディスプレイ307に表示させる(S501)。印刷画面は、画像形成部130に画像を形成させる用紙Pの給紙元を、画像形成装置1のユーザに選択させるための画面である。印刷画面は、例えば図6に示すように、「トレイを選択して[印刷]ボタンを押して下さい。」とのメッセージと、トレイボタン601、602、603と、[印刷]ボタン604とを含む。但し、印刷画面のレイアウトは、図6の例に限定されない。
【0046】
トレイボタン601、602、603は、給送トレイ200A、200B、200Cそれぞれに対応する。また、装置本体100に装着された給送トレイ200A、200Bに対応するトレイボタン601、602は選択可能な態様で表示され、装置本体100に装着されていない給送トレイ200Cに対応するトレイボタン603は選択不能な態様で表示される。さらに、[印刷]ボタン604は、トレイボタン601~603の1つが選択されるまでは押下不能な態様で表示され、トレイボタン601~603の1つが選択されると押下可能な態様で表示される。
【0047】
そして、コントローラ300は、操作パネル308を通じて、トレイボタン601、602、603の1つが選択され、且つ[印刷]ボタン604が押下されるまで(S502:No)、ステップS503以降の処理の実行を待機する。トレイボタン601~603の1つを選択することは、画像形成部130に画像を形成させる用紙Pの給紙元として、給送トレイ200A~200Cのいずれかを示すトレイ情報を入力することの一例である。次に、コントローラ300は、[印刷]ボタン604が押下されたことに応じて(S502:Yes)、トレイボタン601~603のいずれが選択されたかを判定する(S503)。
【0048】
コントローラ300は、トレイボタン601が選択されたと判定した場合に(S503:Yes)、給送ローラ121、搬送ローラ対122、及びレジストローラ対123を回転駆動する(S504)。これにより、給送トレイ200Aの最上層の用紙Pが給送路Rを通じて搬送ローラ対122に到達し、さらにその後に搬送路Rを通じてレジストローラ対123に到達する。
【0049】
そして、コントローラ300は、給送トレイ200Aから給送された用紙Pの先端が搬送ローラ対122(より好ましくは、レジストローラ対123)に到達するまで(S505:No)、ステップS506以降の処理の実行を待機する。用紙Pの先端が搬送ローラ対122(または、レジストローラ対123)に到達したことは、例えば、搬送路Rに設置したセンサで検知してもよいし、給送ローラ121を駆動するモータが所定の回転数に達したことをロータリエンコーダで検知してもよい。
【0050】
次に、コントローラ300は、用紙Pの先端が搬送ローラ対122(または、レジストローラ対123)に達したことに応じて(S505:Yes)、給送ローラ121の回転を停止させる(S506)。すなわち、コントローラ300は、給送トレイ200Aに収容された用紙Pを給送する場合において、用紙Pの先端が搬送ローラ対122(または、レジストローラ対123)に到達した後で且つ用紙Pの後端が給送ローラ121を通過する前に、給送ローラ121を停止させる。
【0051】
次に、コントローラ300は、搬送ローラ対122及びレジストローラ対123によって用紙Pが画像形成部130に対面する位置まで搬送されたことに応じて、当該用紙Pに対して画像形成部130に画像を形成させる(S507)。なお、コントローラ300は、例えば、画像形成部130に形成させる画像を示す画像データを、画像形成装置1が備えるスキャナまたは通信インタフェースを通じて接続された外部装置から取得すればよい。
【0052】
そして、コントローラ300は、レジストローラ対123、定排ローラ対124、及び排出ローラ対125を回転駆動することによって、画像が形成された用紙Pを排出トレイ140に排出する。ステップS507以降の処理は、印刷画面でトレイボタン602、603を選択した場合も同様である。
【0053】
一方、コントローラ300は、トレイボタン602が選択されたと判定した場合に(S503:No)、給送ローラ204B、中継ローラ対205B、搬送ローラ対122、及びレジストローラ対123を回転駆動する(S508)。これにより、給送トレイ200Bの最上層の用紙Pが給送路Rを通じて中継ローラ対205Bに到達し、その後に搬送ローラ対122に到達し、さらにその後に搬送路Rを通じてレジストローラ対123に到達する。
【0054】
次に、コントローラ300は、トレイボタン602に対応する給送トレイ200Bのサイズ情報をHDD304から読み出し、読み出したサイズ情報で示される用紙サイズと、予め定められた閾値Lthとを比較する(S509)。サイズ情報(A4、横)で示される用紙サイズは、210mmである。また、給送トレイ200Bに対応する閾値Lthは、給送路Rの経路長Lである。
【0055】
そして、コントローラ300は、用紙サイズが閾値Lth(=L)より長い場合に(S509:Yes)、給送トレイ200Bから給送された用紙Pの先端が搬送ローラ対122に到達するまで(S505:No)、ステップS506以降の処理の実行を待機する。用紙Pの先端が搬送ローラ対122に到達したことは、例えば、搬送路Rに設置したセンサで検知してもよいし、給送ローラ204Bを駆動するモータが所定の回転数に達したことをロータリエンコーダで検知してもよい。
【0056】
次に、コントローラ300は、給送トレイ200Bから給送された用紙Pの先端が搬送ローラ対122に到達したことに応じて(S505:Yes)、給送ローラ204Bの回転を停止させる(S506)。すなわち、コントローラ300は、給送トレイ200Bに収容された用紙Pを給送する場合において、用紙サイズが給送路Rの経路長Lより長ければ、用紙Pの先端が搬送ローラ対122に到達した後で且つ用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過する前に、給送ローラ204Bを停止させる。
【0057】
一方、コントローラ300は、用紙サイズが閾値Lth(=L)未満の場合に(S509:No)、給送トレイ200Bから給送された用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過するまで(S510:No)、ステップS506以降の処理の実行を待機する。用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過したことは、例えば、給送ローラ204Bを駆動するモータが所定の回転数に達したことをロータリエンコーダで検知すればよい。
【0058】
次に、コントローラ300は、用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過したことに応じて(S510:Yes)、給送ローラ204Bの回転を停止させる(S506)。このとき、用紙Pの先端は、既に中継ローラ対205Bに到達しているものとする。すなわち、コントローラ300は、給送トレイ200Bに収容された用紙Pを給送する場合において、用紙サイズが給送路Rの経路長L以下であれば、用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過した後に、給送ローラ204Bを停止させる。
【0059】
また、コントローラ300は、給送トレイ200Cがバンク110Cに装着された状態において、印刷画面でトレイボタン603が選択された場合も(S503:No)、ステップS508以降の処理を実行する。基本的な処理内容はトレイボタン602が選択された場合と同様であるが、相違点は以下の通りである。
【0060】
まず、コントローラ300は、ステップS508において、給送ローラ204C、中継ローラ対205B、205C、搬送ローラ対122、及びレジストローラ対123を回転駆動する。また、ステップS509において、サイズ情報(A4、縦)で示される用紙サイズは297mmであり、給送トレイ200Cに対応する閾値Lthは給送路Rの経路長Lである。
【0061】
また、コントローラ300は、用紙サイズが閾値Lth(=L)より長い場合に(S509:Yes)、給送トレイ200Cから給送された用紙Pの先端が中継ローラ対205Bに到達したことに応じて(S505:Yes)、給送ローラ204Cの回転を停止させる(S506)。すなわち、コントローラ300は、給送トレイ200Cに収容された用紙Pを給送する場合において、用紙サイズが給送路Rの経路長Lより長ければ、用紙Pの先端が中継ローラ対205Bに到達した後で且つ用紙Pの後端が給送ローラ204Cを通過する前に、給送ローラ204Cを停止させる。
【0062】
一方、コントローラ300は、用紙サイズが閾値Lth(=L)未満の場合に(S509:No)、用紙Pの後端が給送ローラ204Cを通過したことに応じて(S510:Yes)、給送ローラ204Cの回転を停止させる(S506)。このとき、用紙Pの先端は、既に中継ローラ対205Cに到達しているものとする。すなわち、コントローラ300は、給送トレイ200Cに収容された用紙Pを給送する場合において、用紙サイズが給送路Rの経路長L以下であれば、用紙Pの後端が給送ローラ204Cを通過した後に、給送ローラ204Cを停止させる。
【0063】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0064】
上記の実施形態によれば、給送トレイ200Aに収容された用紙Pを給送する場合の給送ローラ121の周面が回転移動を開始してから停止するまでの停止タイミングと、給送トレイ200B、200Cに収容された用紙Pを給する場合の給送ローラ204B、204Cの停止タイミングとを異ならせることによって、給送トレイ200A~200Cそれぞれから用紙Pを適切に給送することができる。その結果、搬送力不足によるジャムや搬送遅れを防止することができる。
【0065】
より詳細には、給送路Rの経路長Lより長い用紙Pを給送トレイ200Bから給送する場合、用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過する前に、当該用紙Pが搬送ローラ対122及び中継ローラ対205Bの両方に挟持されている。同様に、給送路Rの経路長Lより長い用紙Pを給送トレイ200Bから給送する場合、用紙Pの後端が給送ローラ204Cを通過する前に、当該用紙Pが中継ローラ対205B、205Cの両方に挟持されている。そのため、用紙Pに圧接された状態で給送ローラ204B、204Cを停止させても、搬送力を不足させることなく、連れ送りを防止することができる。
【0066】
一方、給送路Rの経路長L以下の用紙Pを給送トレイ200Bから給送する場合、用紙Pの後端が給送ローラ204Bを通過する際に、当該用紙Pの先端が搬送ローラ対122に到達していない。同様に、給送路Rの経路長L以下の用紙Pを給送トレイ200Cから給送する場合、用紙Pの後端が給送ローラ204Cを通過する際に、当該用紙Pの先端が中継ローラ対205Bに到達していない。そのため、用紙Pが通過した後に給送ローラ204B、204Cを停止させることによって、搬送力不足によるジャムや搬送遅れを防止することができる。
【0067】
このように、用紙Pの用紙サイズが、給送路R、Rの経路長L、Lより長い場合と、給送路R、Rの経路長L、L以下の場合とで、給送ローラ204B、204Cの周面が回転移動を開始してから停止するまでの停止タイミングを異ならせることによって、停止した給送ローラ204B、204Cが用紙Pを送り出す抵抗となって、ジャムや搬送遅れが発生するのを防止できる。
【0068】
さらに、給送トレイ200Aから給送される用紙Pは、後端が給送ローラ121を通過する前に、先端がレジストローラ対123に到達する。そのため、用紙Pが通過する前に給送ローラ121を停止させても、搬送ローラ対122及びレジストローラ対123の両方で用紙Pを挟持しているので、搬送力を不足させることなく、連れ送りを防止することができる。
【0069】
なお、上記の実施形態では、印刷画面を通じてユーザが選択した給送トレイ200から用紙Pを給送する例を説明したが、給送元の給送トレイ200を特定する方法は、前述の例に限定されない。他の例として、コントローラ300は、画像を形成する用紙のサイズ(例えば、A4、B4など)を、操作パネル308を通じてユーザに選択させてもよい。そして、コントローラ300は、図4に示すサイズテーブルに基づいて、ユーザが選択したサイズの用紙Pを収容している給送トレイ200を特定してもよい。
【0070】
また、本発明は、画像形成装置1としてだけでなく、搬送ローラ対122に向けて用紙Pを給送する給送装置としても観念することができる。給送装置は、給送トレイ200A、200Bと、給送ローラ121、204Bと、中継ローラ対205Bと、コントローラ300とを少なくとも含む。また、給送装置は、給送トレイ200Cと、給送ローラ204Cと、中継ローラ対205Cとをさらに含んでもよい。
【0071】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 :画像形成装置
100 :装置本体
110 :バンク
120 :搬送部
121,204B,204C:給送ローラ
122 :搬送ローラ対
123 :レジストローラ対
124 :定排ローラ対
125 :排出ローラ対
130 :画像形成部
131 :感光体
132 :帯電装置
133 :LED
134 :転写ローラ
135 :定着ローラ対
140 :排出トレイ
200A,200B,200C:給送トレイ
201A,201b,201C:支持板
202A,202B,202C:コイルバネ
203A,203B,203C:分離ローラ
205B,205C:中継ローラ対
206 :ピン
207 :コネクタ
300 :コントローラ
301 :CPU
302 :RAM
303 :ROM
304 :HDD
305 :I/F
306 :共通バス
307 :ディスプレイ
308 :操作パネル
601,602,603:トレイボタン
604 :[印刷]ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【文献】特開2013-124146号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6