IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7540226複合粒子、液体内包粒子形成用複合粒子、及び液体内包粒子、並びに液体内包粒子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】複合粒子、液体内包粒子形成用複合粒子、及び液体内包粒子、並びに液体内包粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/00 20060101AFI20240820BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240820BHJP
【FI】
B01J2/00 B
A23L5/00 D
B01J2/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020126993
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2021023933
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019141316
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 航治
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-093629(JP,A)
【文献】特開2017-094239(JP,A)
【文献】特開平02-137715(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133104(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/039292(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0170195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0222670(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0154426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00
A23L 5/00
A61K 9/14
A61K 9/20
A61K 9/48
A61K 8/02
C09D 11/03
C09J 9/00
B01J 13/00
C08J 3/12
C08J 3/20
C12N
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を15質量%以上含有する溶液の液滴を被覆するための複合粒子であって、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CAaが、10°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CAbが、10°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である、ことを特徴とする複合粒子。
【数1】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの前記粒子群全体の体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの前記粒子群全体の体積(μm)を表す。
【請求項2】
前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの少なくともいずれかが、フッ素樹脂、シリカ、ステアリン酸処理炭酸カルシウム、及び疎水化処理デンプンの少なくともいずれかである、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
更に、前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子、及び添加物の少なくともいずれかを有する、請求項1から2のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項4】
水を15質量%以上含有する溶液からなる液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子とを有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる、ことを特徴とする液体内包粒子。
【数2】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの前記粒子群全体の体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの前記粒子群全体の体積(μm)を表す。
【請求項5】
個数平均粒径d50cが、15μm以上2.5mm以下である、請求項4に記載の液体内包粒子。
【請求項6】
前記液滴が、食品添加物及び生理活性物質の少なくともいずれかを含有する、請求項4からのいずれかに記載の液体内包粒子。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の複合粒子からなることを特徴とする液体内包粒子形成用複合粒子。
【請求項8】
水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成工程と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含むことを特徴とする液体内包粒子の製造方法。
【数3】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの前記粒子群全体の体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの前記粒子群全体の体積(μm)を表す。
【請求項9】
更に、表面被覆工程において、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する分離工程を含む、請求項に記載の液体内包粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子、液体内包粒子形成用複合粒子、及び液体内包粒子、並びに液体内包粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業上用いられる材料は、圧力や温度を変えることで、気相、液相、固相のいずれかの相で安定的に取り扱うことができる。しかし、材料の運搬や搬送などの取り扱い性の観点では、気体は漏洩防止のための措置が必要であり、また密度が小さいことから効率よく取り扱うことが難しい。また、液体は、漏洩防止のための措置が必要であるとともに、搬送経路を汚染するため効率よく取り扱うことが難しい。そのため、材料の取り扱い上は固体であることが好ましい。
【0003】
そこで、従来技術では、例えば、気体や液体を冷却して固化したり、気体や液体を多孔質材料に吸着させたりすることにより、固体として取り扱う手法が知られているが、冷却するためのエネルギーが必要となり、産業上利用できる範囲が限定されてしまう。
【0004】
近年では、材料の相を変化させずに取り扱う技術として、例えば、アブラムシ類が作り出すリキッドマーブルが注目されている。アブラムシ類は体内から分泌した蜜の滴の表面に疎水性の粒子を被覆させて、巣の外に移動させることが知られており、液体を固体のように取り扱うことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このリキッドマーブルを模して産業上応用したリキッドマーブル形成技術としては、例えば、化粧水成分を液滴としてその液滴表面を、特定の濡れ性(水に対する接触角)を有する粒子でコーティングすることで液体を内包する微粒子とする技術が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、液滴化した接着剤組成物の表面を疎水性微粒子で被覆した粒状接着剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、種々の液体に対する、液滴の合一を抑制し、外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる複合粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段としての本発明の複合粒子は、水を15質量%以上含有する溶液の液滴を被覆するための複合粒子であって、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CAaが、10°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CAbが、10°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である。
【数1】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの粒子群全体の合計質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの前記粒子群全体の体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの前記粒子群全体の体積(μm)を表す。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、種々の液体に対する、液滴の合一を抑制し、外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる複合粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本発明の複合粒子の一例を示す模式図である。
図1B図1Bは、図1AにおけるX-Z平面における断面の一例を示す模式図である。
図2A図2Aは、実施例21において使用した複合粒子の電子顕微鏡写真の一例を示す図である。
図2B図2Bは、実施例21において使用した疎水性固体粒子Aの電子顕微鏡写真の一例を示す図である。
図2C図2Cは、実施例21において使用した疎水性固体粒子Bの電子顕微鏡写真の一例を示す図である。
図3A図3Aは、実施例21の液体内包粒子の写真の一例を示す図である。
図3B図3Bは、比較例10の液体内包粒子の写真の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(複合粒子)
本発明の複合粒子は、疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子Bを有する。
本発明の複合粒子は、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aは、水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bは、水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下であり、さらに必要に応じてその他の成分を含有する。
【数2】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0010】
従来の化粧水を粒子化する技術では、肌に適量のせ、こすりつけることで化粧水成分を粒子外に放出させる設計にすることができるが、その利便性と相反し、外力(例えば、輸送時の衝撃など)で簡単に崩壊してしまうという問題がある。
また、従来の接着剤組成物を粒子で被覆する技術の場合、輸送時の衝撃に対して耐久性があるが、液体成分特有の高粘度による寄与が大きく、種々の液体に対して使用できるものではないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明者が種々の液体に対する液滴の合一を抑制し、外力に対する耐久性に優れる粒子について検討したところ、以下の知見を得た。
粒径の大きな粒子だけで液滴を内包する粒子(リキッドマーブル、液体内包粒子などと称することがある)を製造すると、液滴を被覆している粒子と液滴との接触面積が小さくなり、液滴が露出している箇所が生じてしまう。このことによって、外力に対し強度が非常に弱く、耐久性を向上させることが難しいということがわかった。
また、粒径の小さな粒子だけで液体内包粒子を製造すると、外力に対し耐久性は向上するが、変形が生じやすくなり、毛細管現象によって液体内包粒子同士が合一してしまうことがあるという問題があることがわかった。
【0012】
そのため、液滴の合一を抑制するためには、特定の物性を持つ粒径の異なる2種の疎水性固体粒子(粒径が大きな疎水性固体粒子A及び粒径が小さな疎水性固体粒子B)を用いることによって、液体内包粒子の合一を抑制することができることを本発明者は見出した。
さらに、前記疎水性固体粒子Aの表面上に前記疎水性固体粒子Bを配した複合粒子とすることにより、液体内包粒子同士の合一を抑制し、種々の液体の液滴の表面を被覆することができ、かつ耐久性に優れる液体内包粒子を形成できることを本発明者は見出した。
【0013】
--疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子B--
前記疎水性固体粒子Bは前記疎水性固体粒子Aの表面上に存在し、前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆する。なお、前記疎水性固体粒子Bが前記疎水性固体粒子Aの表面を被覆するとは、本発明の効果を奏することができる程度に被覆することをいい、後述する被覆率CRを満たす範囲で被覆することを意味する。
本発明において、「疎水性固体粒子Aの表面」とは、疎水性固体粒子Aの露出面を意味する。
前記疎水性固体粒子Aは、水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bは、水との接触角CAbが、110°以上180°以下である。
前記水との接触角CAa及び接触角CAbが、110°以上180°以下であると、液体内包粒子の合一を抑制することができる。
本発明において、「疎水性」とは、後述する接触角の測定方法により測定した水との接触角CAa及び接触角CAbが、90°以上180°以下であることを意味する。
【0014】
また、水を15質量%以上含有する溶液に対しては、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下である。また、前記疎水性固体粒子Aの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALaが、100°以上160°以下であることが好ましく、前記疎水性固体粒子Bの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbが、100°以上160°以下であることが好ましい。
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALa及びCALbが、100°以上180°以下であると、液体内包粒子の合一を抑制することができる。
前記溶液としては、水を15質量%以上含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。また、その他に含有する物質については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記物質としては、例えば、水溶性化合物、水不溶性化合物、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。
前記水溶性化合物としては、グルコース、アスコルビン酸、日本薬局方ハチミツ、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([EMIM][CFSO])、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([BMIM][CFSO])、(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム=クロリド([BMIM][Cl])、グリセリン、ポリグリセリン、乳糖などが挙げられる。
前記水不溶性化合物としては、例えば、酸化チタン、活性炭、ゼオライト、シリカなどの無機フィラーなどが挙げられる。
前記食品添加物としては、例えば、Lアスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤、防かび剤などが挙げられる。
前記生理活性物質としては、例えば、ビタミンB1;葉酸などのビタミン類;アルギニン、アラニンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0015】
前記水との接触角CAa及びCAbの測定方法としては、前記疎水性固体粒子A又はBの構成材料を熱プレスした板状体や前記疎水性固体粒子A又はBの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストして板状体としたものを測定試料とし、マイクロシリンジにて10μLの水を乗せた際の液面と前記板状体の表面とのなす角度を前記水との接触角CAa及びCAbとして測定する(従来公知の接触角の測定方法に準じる(θ/2法))。なお、前記水を前記溶液に置き換えることにより、前記溶液との接触角CALa及びCALbを測定する測定方法とすることができる。
なお、前記疎水性固体粒子A又はBの構成材料を熱プレスした板状体の作製における前記熱プレスの条件は以下の通りである。
[熱プレス条件]
・温度:200℃
・総加圧力:30kN
・時間:30kN到達時点から5分
・作業内容:試料(疎水性固体粒子の構成材料)粉末を内径10mmφの粉末成形用金型(深さ:20mm)に、底部からの高さが10mmになるまで充填してプレス機(装置名:SA302卓上テストプレス、製造会社名:テスター産業株式会社)にセットする。金型が所定の温度(200℃)になったことを確認したのち、所定の圧力(30kN)までプレスを開始する。所定の圧力に到達した時点から5分間プレスを行ってサンプルを作成する。
また、前記疎水性固体粒子A又はBの構成材料の分散液をキャスト法にて基板にキャストした板状体は、前記疎水性固体粒子A又はBの構成材料を熱プレスした板状体の作製において、まず直径10mmに打ち抜いたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、平均厚み:200μm)を前記粉末成形用金型に設置し、その上に試料(疎水性固体粒子の構成材料)粉末を略均一に撒き、前記熱プレスを行うことにより得る。
試料(疎水性固体粒子の構成材料)粉末を略均一に撒く方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥試料粉末を撒く方法、試料分散液を撒く方法などが挙げられる。前記試料分散液に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールなどが挙げられる。前記試料分散液を用いると、かさ密度の小さい試料を扱いやすくすることができる。
【0016】
前記複合粒子における前記疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子Bの構成材料を測定試料とする場合には、前記疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子Bの材質をガスクロマトグラフィー(GC-MS)、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)などにより特定しその材料を入手し、入手した材料を用いて前記水との接触角CAa及びCAbを測定する、又は前記複合粒子から前記疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子Bを単離し、単離した前記疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子Bから前記板状体を作製し前記水との接触角CAa及びCAbを測定することができる。なお、前記水を前記溶液に置き換えることにより、前記溶液との接触角CALa及びCALbを測定する測定方法とすることができる。
なお、前記複合粒子から前記疎水性固体粒子A及び疎水性固体粒子Bを単離する方法としては、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)を加えて分散させた液をろ別することなどにより行う方法などが挙げられる。これらの中でも、特に、エタノールを用いることが好ましい。エタノールは、揮発性が高いため、ろ別後の乾燥を簡便に行うことができるため好ましい。
【0017】
また、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下である。
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50a及び前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bは、上述した方法で単離した前記疎水性固体粒子A又は前記疎水性固体粒子Bを、それぞれバルクで観察した走査型電子顕微鏡画像において、任意に選択した10個の各粒子の最長径の平均値である。
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、30以上50以下が好ましい。前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる。また、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10未満であると、複合粒子を形成し難くなり、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、100超であると、複合粒子は形成できるものの液体内包粒子を安定的に製造することが難しくなる。
【0018】
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aとしては、本発明の効果を奏する程度であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aが、0.1μm以上10μm以下であると、液滴への前記疎水性固体粒子Aの吸着量を増やすことができるため、後述する液体内包粒子をより安定化することができる。
【0019】
前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとしては、本発明の効果を奏する程度であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.01μm以上0.5μm以下が好ましく、0.01μm以上0.05μm以下がより好ましい。前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bが、0.01μm以上0.5μm以下であると、前記疎水性固体粒子Aへの前記疎水性固体粒子Bの吸着量を増やすことができるため、後述する液体内包粒子をより安定化することができる。
【0020】
本発明の複合粒子は、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である。
【0021】
【数3】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0022】
前記質量(g)及び前記体積(μm)は、単位粒子当たりでもよいが、使用する複合粒子の質量と体積が同じ基準で得られる数値であればバルクであってもよい。なお、各粒子の体積は、用いた各粒子の体積の平均値を用いてもよく、得られた個数平均粒径を直径とする真球と仮定した場合の体積を算出して用いてもよい。
【0023】
前記被覆率は、前記疎水性固体粒子Aの表面上に存在する前記疎水性固体粒子Bの存在率を意味する。
前記被覆率CRは、以下のようにして求める。
まず、複合粒子を真球(疎水性固体粒子A及びBも真球とする)とした場合、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとをそれぞれ2で除した数の和(d50a/2+d50b/2)を複合粒子の半径とし、前記複合粒子の表面積(4π(d50a/2+d50b/2))を算出する。
次に、疎水性固体粒子Aの表面を被覆する疎水性固体粒子Bの面積は、1つの前記疎水性固体粒子Aの中心と、前記疎水性固体粒子Bの中心とを結んだ線分と、に直交し、前記疎水性固体粒子Bの中心を含む前記疎水性固体粒子Bの断面Sbの面積としたとき、1つの前記疎水性固体粒子Aに対して被覆する前記疎水性固体粒子Bの個数を掛け合わせることによって求める。なお、断面Sbの面積は、疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bを用いて、π(d50b/2)と表される。また、1つの前記疎水性固体粒子Aに対して被覆する前記疎水性固体粒子Bの個数は、前記疎水性固体粒子Aの質量Xa、密度Ya、及び体積Zaと、前記疎水性固体粒子Bの質量Xb、密度Yb、及び体積Zbと、を用いて、{Xb(g)/Yb(g/μm)/Zb(μ)}/{Xa(g)/Ya(g/μm)/Za(μ)}と表すことができる。
図1Aは、本発明の複合粒子の一例を示す模式図である。図1Bは、図1AにおけるX-Z平面における断面の一例を示す模式図である。
図1Aに示すように、本発明の複合粒子10は疎水性固体粒子A11と疎水性固体粒子B12とを有し、疎水性固体粒子B12が疎水性固体粒子A11の表面を被覆している。
被覆率CRを算出する際には、疎水性固体粒子A11の個数平均粒径d50aと疎水性固体粒子B12の個数平均粒径d50bとから、複合粒子10の表面積を算出し、複合粒子10の表面積に対する疎水性固体粒子B12が占める面積の割合として算出する。なお、疎水性固体粒子B12が占める面積は、図1Bに示すように、疎水性固体粒子A11の中心と、前記疎水性固体粒子Bの中心とを結んだ線分と、に直交し、前記疎水性固体粒子Bの中心を含む前記疎水性固体粒子Bの断面Sbの面積に、1つの前記疎水性固体粒子A11に対して被覆する前記疎水性固体粒子B12の個数を掛け合わせることによって求める。
前記被覆率CRとしては、50%以上500%以下であり、100%以上200%以下が好ましい。前記被覆率CRが、50%以上500%以下であると、合一抑制性、及び外力に対する耐久性に優れる液体内包粒子を形成することができる。また、前記被覆率CRが、50%未満であると、水又は溶液への接触が、前記疎水性固体粒子Aが支配的となり合一抑制効果が得られにくくなり、被覆率が500%を超えると、前記疎水性固体粒子B
が前記疎水性固体粒子Aの表面上で凝集し堆積した状態になり、水又は溶液への接触が、前記疎水性固体粒子Bが支配的になるため、合一抑制効果が得られにくくなる。
【0024】
前記疎水性固体粒子Aの材質としては、水との接触角CAaが、110°以上180°以下を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。
【0025】
前記有機材料としては、例えば、ポリマー材料などが挙げられる。
前記ポリマー材料としては、例えば、樹脂などが挙げられる。
前記樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、及びそれらを少なくとも1種類含む共重合体などが挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、メチルシリコン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、などが挙げられる。
【0026】
前記無機材料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
前記シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカ、シリカ球状微粒子(QSGシリーズ:信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0027】
さらに、前記有機材料及び前記無機材料は、その表面が疎水化処理されているものでもよい。前記有機材料及び前記無機材料としては、その材料の物性として疎水性を有していなくても、前記疎水化処理によって、表面に疎水性を付与したものを用いることができる。
疎水化処理された前記有機材料としては、例えば、疎水化処理デンプンなどが挙げられる。前記疎水化処理デンプンとしては、例えば、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム(商品名:オクティエ、日澱化学社製)などが挙げられる。
前記有機材料が疎水化されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。上述した方法で圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して90°以上180°以下であることを確認することにより前記有機材料が疎水化されていることを確認することができる。
疎水化処理された前記無機材料としては、例えば、ステアリン酸処理炭酸カルシウムなどが挙げられる。前記ステアリン酸処理炭酸カルシウムとしては、例えば、炭酸カルシウム100gをステアリン酸10gとメタノール500mlとを混ぜたのち、メタノールを減圧留去後に50℃で加熱乾燥したものなどが挙げられる。
前記無機材料が疎水化されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。例えば、前記疎水化としてステアリン酸処理されている場合においては、圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して90°以上180°以下であることを確認することによりステアリン酸処理されていることを確認することができる。
【0028】
前記疎水性固体粒子Bの材質としては、水との接触角CAbが、110°以上180°以下を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。
【0029】
前記有機材料としては、例えば、ポリマー材料などが挙げられる。
前記ポリマー材料としては、例えば、樹脂などが挙げられる。
前記樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、及びそれらを少なくとも1種類含む共重合体などが挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、メチルシリコン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、などが挙げられる。
【0030】
前記無機材料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
前記シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカ、シリカ球状微粒子(QSGシリーズ:信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0031】
さらに、前記有機材料及び前記無機材料は、その表面が疎水化処理されているものでもよい。前記有機材料及び前記無機材料としては、その材料の物性として疎水性を有していなくても、前記疎水化処理によって、表面に疎水性を付与したものを用いることができる。
疎水化処理された前記有機材料としては、例えば、疎水化処理デンプンなどが挙げられる。前記疎水化処理デンプンとしては、例えば、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム(商品名:オクティエ、日澱化学社製)などが挙げられる。
前記有機材料が疎水化されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。上述した方法で圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して90°以上180°以下であることを確認することにより前記有機材料が疎水化されていることを確認することができる。
疎水化処理された前記無機材料としては、例えば、ステアリン酸処理炭酸カルシウムなどが挙げられる。前記ステアリン酸処理炭酸カルシウムとしては、例えば、炭酸カルシウム100gをステアリン酸10gとメタノール500mlとを混ぜたのち、メタノールを減圧留去後に50℃で加熱乾燥したものなどが挙げられる。
前記無機材料が疎水化されていることは、接触角を測定することにより確認することができる。例えば、前記疎水化としてステアリン酸処理されている場合においては、圧縮成形(熱プレスなど)した試料の接触角を測定して90°以上180°以下であることを確認することによりステアリン酸処理されていることを確認することができる。
【0032】
前記疎水性固体粒子Bの材質としては、上述した本発明の前記疎水性固体粒子Aと前記疎水性固体粒子Bの関係を満たす限りは、前記疎水性固体粒子Aと同様の材質であっても、異なっていてもよい。なお、前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの少なくともいずれかが、フッ素樹脂、シリカ、ステアリン酸処理炭酸カルシウム、及び疎水化処理デンプンの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0033】
前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの形状としては、本発明の効果を奏することができる程度の構造であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形、真球、扁平、針状、柱状、不定形、直方体状などが挙げられる。
【0034】
前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの構造としては、本発明の効果を奏することができる程度の構造であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質、中空、層状などが挙げられる。
【0035】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子、添加物などが挙げられる。
前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子としては、前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記添加物としては、本発明の効果を奏することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0036】
[複合粒子の製造方法]
本発明の複合粒子の製造方法は、前記疎水性固体粒子Aと前記疎水性固体粒子Bとを不活性ガス下で混合機に加え、10rpmで12時間撹拌することにより前記複合粒子を得ることができる。
【0037】
複合粒子の性状の分析方法としては、例えば、入手した粉末材料をアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)を加えて分散処理して固体粒子A及びBに分離後、ろ別することにより単離し、前記固体粒子A及び固体粒子Bの質量(g)、密度(g/μm)、体積(μm)を測定する。その後、単離した固体粒子A及びBの個数平均粒径を、それぞれ走査型電子顕微鏡を用いて撮影し、得られた電子顕微鏡画像における任意の10粒子を選び、その最長径の平均値を算出する。接触角CAa及びCAbについては、単離した固体粒子A及びBの構成材料を熱プレスした板状体や分散液のキャスト法にて基板にキャストし板状体としたものを測定試料とし、マイクロシリンジにて10μLの水を乗せた際の、水と平滑面とのなす角度を前記水との接触角CAa及びCAbとして測定する。なお、前記水を前記溶液に置き換えることにより、前記溶液との接触角CALa及びCALbを測定する測定方法とすることができる。前記熱プレス及び前記キャスト法は上述したものと同様の方法である。
前記固体粒子A及び固体粒子Bの質量(g)は、精密天秤により測定する。
前記固体粒子A及び固体粒子Bの密度(g/μm)は、真密度の測定値であって、ゲーリュサック型比重瓶(ピクノメータ法)により測定する。前記固体粒子A及び固体粒子Bの密度(g/μm)は、使用する固体粒子のカタログ値や文献値を用いることができる。
前記固体粒子A及び固体粒子Bの体積(μm)は、個数平均粒径から算出する。
【0038】
(液体内包粒子)
本発明の液体内包粒子は、液滴と、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子と、を有し、前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなり、更に必要に応じてその他の成分を有する。
【0039】
【数4】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0040】
また、本発明の液体内包粒子は、水を15質量%以上含有する溶液からなる液滴と、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子とを有し、前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなり、更に必要に応じてその他の成分を有する。
【数5】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0041】
本発明の液体内包粒子は、前記液滴の表面を前記複合粒子により被覆した状態のものを意味する。
本発明において、「液滴の表面を複合粒子により被覆した状態」とは、本発明の効果を奏することができる程度に被覆してあれば特に制限はなく、完全被覆であっても、部分被覆であってもよい。
【0042】
-複合粒子-
前記複合粒子としては、本発明の複合粒子と同様である。
【0043】
-液滴-
前記液滴としては、水又は水を15質量%以上含有する溶液のいずれであり、更に必要に応じてその他の成分を有する。
前記溶液としては、水を15質量%以上含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。また、その他に含有する物質については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記物質としては、例えば、水溶性化合物、水不溶性化合物、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。
前記水溶性化合物としては、グルコース、アスコルビン酸、日本薬局方ハチミツ、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([EMIM][CFSO])、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([BMIM][CFSO])、(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム=クロリド([BMIM][Cl])、グリセリン、ポリグリセリン、乳糖などが挙げられる。
前記水不溶性化合物としては、例えば、酸化チタン、活性炭、ゼオライト、シリカなどの無機フィラーなどが挙げられる。
前記食品添加物としては、例えば、Lアスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤、防かび剤などが挙げられる。
前記生理活性物質としては、例えば、ビタミンB1、葉酸などのビタミン類;アルギニン、アラニンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0044】
--その他の成分--
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。
前記食品添加物としては、例えば、Lアスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤、防かび剤などが挙げられる。
前記生理活性物質としては、例えば、ビタミンB1、葉酸などのビタミン類;アルギニン、アラニンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0045】
本発明の液体内包粒子の個数平均粒径d50cとしては、15μm以上2.5mm以下が好ましく、15μm以上1.0mm以下がより好ましい。前記液体内包粒子の個数平均粒径d50cが、15μm以上であると、液滴加工中の液体内包粒子の乾燥を制御でき、液体内包粒子の製造を効率よく行うことができる。また、前記液体内包粒子の個数平均粒径d50cが、2.5mm以下であると、重力の影響により、前記液体内包粒子同士の自発的な同一や破裂を抑制することができる。
前記液体内包粒子の個数平均粒径d50cの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光学顕微鏡にて観察し、任意の10個の最長径を測定し、測定値を平均して得る方法などが挙げられる。
【0046】
前記液体内包粒子が含有する前記液滴の成分の分析方法としては、例えば、液体内包粒子をエタノール蒸気に曝し、濾別して液体(液滴)と、複合粒子に分け、前記液体を分析する方法などが挙げられる。液体を分析する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0047】
(液体内包粒子形成用複合粒子)
本発明の液体内包粒子形成用複合粒子は、本発明の複合粒子からなり、必要に応じてその他の成分を有する。
本発明の液体内包粒子形成用複合粒子は、本発明の複合粒子と同様のものである。
本発明の液体内包粒子形成用複合粒子は、例えば、本発明の液体内包粒子に専ら好適に用いることができる。
【0048】
(液体内包粒子の製造方法及び液体内包粒子の製造装置)
本発明の液体内包粒子の製造方法は、液体から液滴を形成する液滴形成工程と、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【数6】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
本発明の液体内包粒子の製造方法は、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成工程と、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【数7】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0049】
本発明の液体内包粒子の製造装置は、液体から液滴を形成する液滴形成手段と、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
【数8】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0050】
本発明の液体内包粒子の製造装置は、水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成手段と、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
【数9】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0051】
本発明の液体内包粒子の製造方法は、前記液体内包粒子の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記液滴形成工程は前記液滴形成手段により好適に実施することができ、前記表面被覆工程は前記表面被覆手段により好適に実施することができる。
【0052】
<液滴形成工程及び液滴形成手段>
前記液滴形成工程は、液体から液滴を形成する工程である。
前記液滴形成手段は、液体から液滴を形成する手段である。
前記液滴形成工程は前記液滴形成手段により好適に実施することができる。
【0053】
前記液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水を15質量%以上含有する溶液などが挙げられる。
【0054】
前記液体としては、水を15質量%以上含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理食塩水、細胞培養培地、グルコース溶液などが挙げられる。また、その他に含有する物質については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記物質としては、例えば、水溶性化合物、水不溶性化合物、食品添加物、生理活性物質などが挙げられる。
前記水溶性化合物としては、グルコース、アスコルビン酸、日本薬局方ハチミツ、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([EMIM][CFSO])、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート([BMIM][CFSO])、(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム=クロリド([BMIM][Cl])、グリセリン、ポリグリセリン、乳糖などが挙げられる。
前記水不溶性化合物としては、例えば、酸化チタン、活性炭、ゼオライト、シリカなどの無機フィラーなどが挙げられる。
前記食品添加物としては、例えば、Lアスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤、防かび剤などが挙げられる。
前記生理活性物質としては、例えば、ビタミンB1、葉酸などのビタミン類;アルギニン、アラニンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0055】
前記液滴形成手段としては、公知の液滴形成手段を使用することができ、液体から液滴を形成することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット方式、ディスペンサー方式、スプレードライ方式などが挙げられる。これらの中でも、液滴化可能な特性範囲が広く、汎用的であり、ヘッドの孔径の大きさ、及び充填液の押し出し圧力によって、液滴の大きさを制御することができるディスペンサー方式が好ましい。
【0056】
<表面被覆工程及び表面被覆手段>
前記表面被覆工程は、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる工程である。
【数10】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
前記表面被覆手段は、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる手段である。
【数11】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0057】
また、前記表面被覆工程は、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる工程である。
【数12】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
また、前記表面被覆手段は、疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる手段である。
【数13】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
【0058】
前記表面被覆工程は前記表面被覆手段により好適に実施することができる。
【0059】
本発明において「表面被覆」とは、本発明の効果を奏することができる程度に液滴の表面を被覆してあることを意味しており、特に制限はなく、完全被覆であっても、部分被覆であってもよい。
【0060】
-複合粒子-
前記複合粒子としては、本発明の複合粒子と同様である。
【0061】
前記液滴の表面を被覆する方法としては、前記液滴と前記複合粒子を接触させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飛翔中の前記液滴に前記複合粒子を吹き付ける方法、前記複合粒子を敷き詰めた容器に液滴を配する方法などが挙げられる。これらの中でも、装置の制御の簡便性に優れる点から前記複合粒子を敷き詰めた容器に液滴を配する方法が好ましい。
なお、前記複合粒子を敷き詰めた容器に液滴を配する方法の場合においては、前記複合粒子を敷き詰めた容器に液滴を配した後に、前記液滴の全表面に前記複合粒子を被覆させるために前記複合粒子を前記容器に供給しながら、前記容器を振盪させる工程、前記容器を傾けて前記液滴を転動させる工程などを含んでいることが好ましい。これらの工程は単独で行ってもよく、いずれかの工程を行った後に他の工程を行ってもよい。
前記複合粒子を前記容器に供給する手段としては、市販の粉体供給装置を用いることができ、前記粉体供給装置の機構や種類は前記複合粒子の性状に応じて適宜選択することができる。
【0062】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離工程、回収工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離手段、回収手段などが挙げられる。
前記その他の工程は前記その他の工程により好適に実施することができ、前記分離工程は前記分離手段により好適に実施することができ、前記回収工程は前記回収手段により好適に実施することができる。
【0063】
<<分離工程及び分離手段>>
前記分離工程は、前記表面被覆工程において、前記液体内包粒子と、表面被覆に供しなかった前記複合粒子とを分離する工程である。
前記分離手段は、前記表面被覆工程において、前記液体内包粒子と、表面被覆に供しなかった前記複合粒子とを分離する手段である。
【0064】
前記表面被覆工程において、前記液体内包粒子と、表面被覆に供しなかった前記複合粒子とを分離する方法としては、前記液体内包粒子を拾い上げる方法、密度差を利用して前記液体内包粒子と前記複合粒子との混合物を分離し前記複合粒子を除去する方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、密度差を利用する方法が好ましい。
前記密度差を利用して前記液体内包粒子と前記複合粒子との混合物を分離し前記複合粒子を除去する方法としては、例えば、プッシュプル型の集塵システム内を通過させる方法などが挙げられる。
【0065】
<<回収工程及び回収手段>>
前記回収工程は、分離した前記液体内包粒子を回収する工程である。
前記回収手段は、分離した前記液体内包粒子を回収する手段である。
【0066】
前記分離した前記液体内包粒子を回収する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記容器から前記液体内包粒子を落下させて捕集容器に回収する方法などが挙げられる。落下の衝撃を和らげるために前記捕集容器は前記容器から200mm以内に設置することが好ましく、また、前記捕集容器は傾けておくことが好ましい。また、前記捕集容器として波、その内壁は疎水化処理されていることが好ましく、又はその材質が疎水性材料からなることが好ましい。
【実施例
【0067】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0068】
[実施例1]
-複合粒子1の製造-
疎水性固体粒子Aとして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、個数平均粒径d50a:1.0μm、接触角CAa:120°、質量Xa:10g、密度Ya:2.2×10-12g/μm、体積Za:0.52μm、Sigma-Aldrich社製、商品名:430935-100G)、疎水性固体粒子Bとして、疎水性シリカ(個数平均粒径d50b:0.030μm、接触角CAb:170°、質量Xb:0.52g、密度Yb:1.8×10-12g/μm、体積Zb:0.14×10-4μm、信越化学工業株式会社製、商品名:QSG30)を用いて、不活性ガス(窒素、25℃)下でV型容器回転式混合機(株式会社西村機械製作所製、装置名:NV-5)に加え、10rpmで12時間撹拌することにより、複合粒子1を得た。なお、各粒子の体積は、個数平均粒径を直径とする真球と仮定した場合の体積を算出して用いた。
【0069】
-液体内包粒子1の製造-
次に、20質量%となるようにD-グルコース(東京化成工業製、商品名:G0048)を水に溶解した溶液を32Gのシリンジ針を備えるシリンジを用いて、大気圧下、室温(25℃)、1秒間毎に1滴の速度の条件で液滴を形成し、前記複合粒子1を敷き詰めた容器(PTFE製)に、形成した前記液滴を配して液体内包粒子1を製造した。
【0070】
[実施例2~21及び比較例1~17]
実施例1において、表1及び表2に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、複合粒子2~38及び液体内包粒子2~38を製造した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
なお、実施例及び比較例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
-疎水性固体粒子A-
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、個数平均粒径d50a:1.3μm、1.0μm、0.50μm;接触角CAa:120°;密度Ya:2.2×10-12g/μm;Sigma-Aldrich社製;商品名:430935-100G)
・疎水性シリカ(個数平均粒径d50a:0.30μm;接触角CAa:170°;密度Ya:1.9×10-12g/μm;日本触媒社製;商品名:E30)をヘキサメチレンジシラザン(東京化成工業株式会社製)に浸漬したのち、濾別し120℃で加熱処理したものを用いた。
・ステアリン酸処理炭酸カルシウム(個数平均粒径d50a:10μm;接触角CAa:145°;密度Ya:2.8×10-12g/μm)は、炭酸カルシウム(東京化成工業株式会社製)100gをステアリン酸(東京化成工業株式会社製)10gとメタノール(東京化成工業株式会社製)500mlとを混ぜたのち、メタノールを減圧留去後に50℃で加熱乾燥したものを用いた。
・疎水化処理デンプン(個数平均粒径d50a:20μm;接触角CAa:110°;密度Ya:1.7×10-12g/μm;日澱化学社製;商品名:オクティエ)
-その他の固体粒子A-
・乳糖(個数平均粒径d50a:30μm;接触角CAa:溶解すると0°;密度Ya:1.5×10-12g/μm;米山薬品工業株式会社製;商品名:乳糖)
・ポリスチレン(個数平均粒径d50a:20μm;接触角CAa:85°;密度Ya:1.1×10-12g/μm;Sigma-Aldrich社製;商品名:ポリスチレンマイクロ粒子 84135-5ML-F)
-疎水性固体粒子B-
・疎水性シリカ(個数平均粒径d50b:0.17μm、0.030μm、0.010μm;接触角CAb:170°;密度Yb:1.8×10-12g/μm;信越化学工業株式会社製;商品名:QSG170,QSG30、QSG10)
・疎水化処理デンプン(個数平均粒径d50b:0.050μm;接触角CAb:110°;密度Yb:1.7×10-12g/μm;日澱化学社製;商品名:オクティエ)
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、個数平均粒径d50b:1.0μm、0.50μm;接触角CAb:120°;密度Yb:2.2×10-12g/μm;Sigma-Aldrich社製;商品名:430935-100G)
・ヒュームドシリカ(個数平均粒径d50b:0.015μm;接触角CAb:175°;密度Yb:4.0×10-14g/μm;ワッカー社製;商品名:HDK-H18)
・ポリスチレン(個数平均粒径d50b:1.5μm;接触角CAb:85°;密度Yb:1.1×10-12g/μm;Sigma-Aldrich社製;商品名:ポリスチレンマイクロ粒子 79166-5ML-F)
・ポリスチレン(個数平均粒径d50b:0.075μm;接触角CAb:85°;密度Yb:1.1×10-12g/μm;Creative Diagnostics社製;商品名:DiagPolyTM Plain Polystyrene particles,0.05-0.1μm)
-その他の固体粒子B-
・乳糖(個数平均粒径d50b:0.50μm;接触角CAb:溶解すると0°;密度Yb:1.5×10-12g/μm;米山薬品工業株式会社製)
-液体-
・D-グルコース(東京化成工業株式会社製)
・局方ハチミツ(中北製薬社製)
・アスコルビン酸(東京化成工業株式会社製)
-その他の成分-
・ステアリン酸亜鉛(個数平均粒径d50b:15μm;接触角CAb:85°;密度Yb:1.1×10-12g/μm;米山薬品工業株式会社製)
【0076】
次に、実施例2~21及び比較例1~17で得られた液体内包粒子1~38において、以下のようにして、「合一抑制性」及び「耐久性」を測定及び評価した。結果を表5に示す。
【0077】
<合一抑制性評価>
-評価1-
直径30mmφのガラスシャーレを中性洗剤で洗浄後、飽和水酸化ナトリウム水溶液に8時間以上浸漬後、純水でリンスして洗浄した。十分乾燥させたのち、ヘキサメチレンジシラザン蒸気で満たした密閉容器内に12時間静置したものを評価1用ガラスシャーレとした。
この評価1用ガラスシャーレ内に、底面から約2mm程度の厚みになるよう複合粒子を加え、旋回シェーカー(コーニング社製)にて20rpmで旋回振盪させながら、液体をマイクロシリンジにて10μL滴下した。1分間後、さらに10μL滴下した。さらに1分間旋回振盪後、2つの液体内包粒子が合一して1粒子になっていた場合に、評価結果をEとし、合一していなかった場合には、評価2を行った。
-評価2-
直径72mmφ×高さ89mmHのPTFE製の容器内に、底面から約50mm程度の厚みになるように複合粒子を加え、旋回シェーカー(コーニング社製)にて200rpmで旋回振盪させた。容器内へ、ディスペンサー(ムサシエンジニアリング社製)を用いて、直径1mm大の液滴(表4に記載の組成の液体)を、1滴/1秒間の速度で吐出した。
1000滴吐出後、容器内を目視観察し、液体内包粒子が合一破裂し、水面に複合粒子の膜が形成されている場合をDとし、水面に複合粒子の膜が形成されなかったものは、さらに液滴を吐出した。
累計2000滴吐出後、容器内を目視観察し、液体内包粒子が合一破裂し、水面に複合粒子の膜が形成されている場合をCとし、水面に複合粒子の膜が形成されなかったものは、さらに液滴を吐出した。
累計3000滴吐出後、容器内を目視観察し、液体内包粒子が合一破裂し、水面に複合粒子の膜が形成されている場合をBとし、水面に複合粒子の膜が形成されなかったものは、Aとした。
以下の評価基準に基づいて、評価点を算出した。
【0078】
[評価基準]
A:10点
B:8点
C:6点
D:4点
E:0点
【0079】
<耐久性評価>
製造した液体内包粒子500mgを1mLバイアル瓶に充填し、蓋を閉めて測定試料とした。前記測定試料を200mmの高さから木版上に自由落下させ、バイアル瓶の内部を目視で確認し、全ての液体内包粒子が破裂し、粒子形状を取らなくなるまで繰り返した。全ての液体内包粒子が破裂した状態になった回数を測定値として、以下の評価基準に基づいて、評価点を算出した。
【0080】
[評価基準]
6回以上:10点
5回 :8点
4回 :6点
3回 :4点
2回 :2点
1回以下:0点
【0081】
<総合評価>
「合一抑制性」及び「耐久性」の評価点の合計値を以下の評価基準に基づき評価した。なお、いずれかの評価で0点のものは「×」とし、最低評価とした。「E」および「×」は産業上利用することができない。
【0082】
[評価基準]
A:18点超20点以下
B:16点超18点以下
C:12点超16点以下
D:8点超12点以下
E:8点以下
【0083】
【表5】
【0084】
また、実施例21に用いた複合粒子の電子顕微鏡写真を図2Aに、実施例21に用いた疎水性固体粒子Aの電子顕微鏡写真を図2Bに、実施例21及び比較例10に用いた疎水性固体粒子Bの電子顕微鏡写真を図2Cに示す。さらに、実施例21の液体内包粒子の写真を図3Aに、比較例10の液体内包粒子の写真を図3Bに示す。
図2Aに示すように、図2Cに示す疎水性固体粒子Bである疎水性シリカが、図2Bに示す疎水性固体粒子AであるPTFEの表面上に、被覆率100%で被覆している状態を観察することができた。
また、図2Aに示す複合粒子を用いて得られた液体内包粒子では、その長軸と短軸の長さの比(長軸/短軸)が、1.34/1.31=1.02となった。それに対し、疎水性固体粒子Bとして疎水性シリカのみを用いて得られた液体内包粒子では、その長軸と短軸の長さの比(長軸/短軸)が、1.43/1.31=1.09となった。
【0085】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である、ことを特徴とする複合粒子である。
【数14】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<2> 前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子Bの少なくともいずれかが、フッ素樹脂、シリカ、ステアリン酸処理炭酸カルシウム、及び疎水化処理デンプンの少なくともいずれかである、前記<1>に記載の複合粒子である。
<3> 更に、前記複合粒子を形成する前記疎水性固体粒子A及び前記疎水性固体粒子B以外の疎水性固体粒子、及び添加物の少なくともいずれかを有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の複合粒子である。
<4> 疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である、ことを特徴とする複合粒子である。
【数15】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<5> 前記疎水性固体粒子Aの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALaが、100°以上160°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbが、100°以上160°以下である、前記<4>に記載の複合粒子である。
<6> 液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子と、
を有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる、ことを特徴とする液体内包粒子である。
【数16】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<7> 水を15質量%以上含有する溶液からなる液滴と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子とを有し、
前記複合粒子を前記液滴の表面に被覆してなる、ことを特徴とする液体内包粒子である。
【数17】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<8> 前記疎水性固体粒子Aの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALaが、100°以上160°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水を15質量%以上含有する溶液との接触角CALbが、100°以上160°以下である、前記<7>に記載の液体内包粒子である。
<9> 個数平均粒径d50cが、15μm以上2.5mm以下である、前記<6>から<8>のいずれかに記載の液体内包粒子である。
<10> 前記液滴が、食品添加物及び生理活性物質の少なくともいずれかを含有する、前記<6>から<9>のいずれかに記載の液体内包粒子である。
<11> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の複合粒子からなることを特徴とする液体内包粒子形成用複合粒子である。
<12> 液体から液滴を形成する液滴形成工程と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含むことを特徴とする液体内包粒子の製造方法である。
【数18】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<13> 水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成工程と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆工程と、を含むことを特徴とする液体内包粒子の製造方法である。
【数19】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<14> 更に、表面被覆工程において、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する分離工程を含む、前記<12>から<13>のいずれかに記載の液体内包粒子の製造方法である。
<15> 液体から液滴を形成する液滴形成手段と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの水との接触角CAaが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの水との接触角CAbが、110°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、を有することを特徴とする液体内包粒子の製造装置である。
【数20】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<16> 水を15質量%以上含有する溶液から液滴を形成する液滴形成手段と、
疎水性固体粒子Aの表面上に疎水性固体粒子Bを有し、
前記疎水性固体粒子Aの前記溶液との接触角CALaが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Bの前記溶液との接触角CALbが、100°以上180°以下であり、
前記疎水性固体粒子Aの個数平均粒径d50aと、前記疎水性固体粒子Bの個数平均粒径d50bとの比(d50a/d50b)が、10以上100以下であり、
下記式1で表される被覆率CRが、50%以上500%以下である複合粒子で、前記液滴を表面被覆させる表面被覆手段と、を有することを特徴とする液体内包粒子の製造装置である。
【数21】
ただし、式1中、Xaは、疎水性固体粒子Aの質量(g)を表し、Xbは、疎水性固体粒子Bの質量(g)を表し、Yaは、疎水性固体粒子Aの密度(g/μm)を表し、Ybは、疎水性固体粒子Bの密度(g/μm)を表し、Zaは、疎水性固体粒子Aの体積(μm)を表し、Zbは、疎水性固体粒子Bの体積(μm)を表す。
<17> 更に、表面被覆工程において、前記表面被覆に供しなかった前記複合粒子を、前記液体内包粒子と分離する分離手段を有する、前記<15>から<16>のいずれかに記載の液体内包粒子の製造装置である。
【0086】
前記<1>から<5>のいずれかに記載の複合粒子、前記<6>から<10>のいずれかに記載の液体内包粒子、前記<11>に記載の液体内包粒子形成用複合粒子、前記<12>から<14>のいずれかに記載の液体内包粒子の製造方法、及び前記<15>から<17>のいずれかに記載の液体内包粒子の製造装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【文献】国際公開番号WO2015/129903号公報
【非特許文献】
【0088】
【文献】Proc. R. Soc. Lond. B (2002) 269, 1211-1215
【文献】J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn.報文42(4) 313-318(2008)
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B