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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ニッケル酸化鉱石の製錬方法、還元炉
(51)【国際特許分類】
   C22B 23/02 20060101AFI20240820BHJP
   C22B 5/10 20060101ALI20240820BHJP
   F27D 3/06 20060101ALI20240820BHJP
   F27B 3/20 20060101ALI20240820BHJP
   F27B 3/19 20060101ALI20240820BHJP
   F27B 3/18 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C22B23/02
C22B5/10
F27D3/06 A
F27D3/06 B
F27B3/20
F27B3/19
F27B3/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021011032
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114653
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】井関 隆士
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-158792(JP,A)
【文献】特開2020-084268(JP,A)
【文献】特開2018-197381(JP,A)
【文献】特開昭58-144434(JP,A)
【文献】特開2007-146249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0121365(US,A1)
【文献】中国実用新案第212179586(CN,U)
【文献】特開2019-035127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
F27D 3/06
F27B 3/18-3/20,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、
前記ニッケル酸化鉱石と、前記炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、
試料用容器に収容した前記混合物を還元炉内に装入し、該混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、
を有し、
前記還元炉は、箱型炉であって、試料である前記混合物を装入する試料装入口と、前記還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるように該箱型炉の対向する面に設けられている炉であり、
先端部に押出面を構成する板体が軸に対して垂直に接続された試料押出棒を用い、前記試料装入口から前記混合物を収容する試料用容器に対して該試料押出棒の押出面である板体を押し当てて該混合物を押し入れることによって前記還元炉内に装入し、前記還元物を収容する試料用容器に対して該試料押出棒の押出面である板体を押し当てて該還元物を前記試料取出口へ押し出すことによって該還元炉から取出す、
ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項2】
前記還元炉内には、試料である前記混合物を載置するための試料台が、前記試料装入口から前記試料取出口に渡るように設けられており、
前記還元処理に際しては、前記試料押出棒を用い、前記混合物を前記試料装入口から前記試料台の上を滑らせるように押し入れて所定の箇所に載置させ、
前記還元処理の終了後には、前記試料押出棒を用い、前記還元物を前記試料台の上を滑らせるように前記試料取出口へと押し出す、
請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項3】
前記還元炉は、加熱方式がバーナーであるバーナー炉である、
請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項4】
前記還元工程では、
前記還元炉内にて、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、
請求項1乃至のいずれかに記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項5】
ニッケル酸化鉱石の製錬に用いられ、ニッケル酸化鉱石を含む処理対象物を加熱して還元処理を行うための還元炉であって、
箱型炉であり、
処理対象物を装入する試料装入口と、前記還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるように該箱型炉の対向する面に設けられ、
試料押出棒により、前記試料装入口から前記処理対象物が押し入れることによって当該還元炉内に装入され、前記還元処理で生成する還元物が前記試料取出口へ押し出されることよって該還元炉から取出される、
還元炉。
【請求項6】
内部に、前記試料装入口から前記試料取出口に渡るように、処理対象物を載置するための試料台を備える、
請求項に記載の還元炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元することによりフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用してフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用してミックスサルファイドを製造する湿式製錬方法等が知られている。
【0003】
ニッケル酸化鉱石を製錬する場合、まず、その原料鉱石を塊状物化、スラリー化等するための処理(還元処理に先立つ「前処理」)が行われる。具体的に、その前処理では、ニッケル酸化鉱石を塊状物化、すなわち粉や微粒の形状から塊状にするにあたり、まず、ニッケル酸化鉱石以外の成分、例えばバインダーや還元剤と混合して混合物とし、水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば10mm~30mm程度の塊状物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」という)とするのが一般的である。
【0004】
ペレットは、例えば、水分を飛ばすためにある程度の通気性が必要となる。また、ペレット内で還元が均一に行われないと、組成が不均一になってメタルが分散、偏在してしまうことがある。そのため、混合物を均一混合したり、ペレット還元時に可能な限り均一な温度と保持することが重要となる。
【0005】
加えて、還元されて生成したフェロニッケルを粗大化させることも重要となる。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm~数100μm以下程度の大きさである場合では、スラグと分離することが困難となり、フェロニッケルの収率が大きく低下してしまう。このことから、還元後に生成したフェロニッケルを有効に粗大化する技術が必要となる。
【0006】
粗大なフェロニッケルを得るためには、実験による条件精査が重要となる。そのため、例えば還元炉に少量のペレットを装入して還元処理の試験を行うことによって各種特性を調べたりする。
【0007】
しかしながら、実験のための還元炉であってもその処理温度は1000℃~1500℃程度もの高温であり、還元炉へのペレットの装入、還元炉からの取出しと言っても容易な操作ではない。
【0008】
一般には、比較的高温に耐えられる金属で作った還元処理専用の杓を用いてペレットを還元炉内に装入し、また還元炉内から取出したりするが、高温の熱によって杓が曲がってしまい、特に取出しに際して炉壁に引っかかる等の不具合が生じ、正確にかつ効率的に取出すことができないことがある。すると、得られるメタルの品質にも影響が生じ、条件精査のための適切な試験を行うことができない。
【0009】
以上のように、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元してメタルを製造する技術には多くの問題点が残されており、特に様々な試験を精度よく、効率よく行うようにすることは重要な課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-178252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元炉内にて加熱して還元することによりフェロニッケルを製造する技術において、処理対象の混合物の還元炉への装入や還元炉からの取出しを正確にかつ効率的に行うことができ、得られるメタルの品質低下を防ぐことができる方法を提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を備える還元炉を用い、試料である混合物の還元炉への装入、還元炉からの取出しを、試料押出棒による押入れ又は押出し操作によって行うようにすることで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
(1)本発明の第1の発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、前記ニッケル酸化鉱石と、前記炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、前記混合物を還元炉内に装入し、該混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、を有し、前記還元炉は、箱型炉であって、試料である前記混合物を装入する試料装入口と、前記還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるように該箱型炉の対向する面に設けられている炉であり、試料押出棒を用い、前記試料装入口から前記混合物を押し入れることにより前記還元炉内に装入し、前記還元物を前記試料取出口へ押し出すことにより該還元炉から取出す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0014】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記還元炉内には、試料である前記混合物を載置するための試料台が、前記試料装入口から前記試料取出口に渡るように設けられており、前記還元処理に際しては、前記試料押出棒を用い、前記混合物を前記試料装入口から前記試料台の上を滑らせるように押し入れて所定の箇所に載置させ、前記還元処理の終了後には、前記試料押出棒を用い、前記還元物を前記試料台の上を滑らせるように前記試料取出口へと押し出す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0015】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記試料押出棒の先端部には、押出面を構成する板体が軸に対して垂直に接続され、前記試料装入口から前記試料押出棒を挿入させ、前記混合物に対して該試料押出棒の押出面を押し当てることによって操作する、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0016】
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記還元炉は、加熱方式がバーナーであるバーナー炉である、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0017】
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記還元工程では、前記還元炉内にて、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0018】
(6)本発明の第6の発明は、処理対象物を加熱して還元処理を行うための還元炉であって、箱型炉であり、処理対象物を装入する試料装入口と、前記還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるように該箱型炉の対向する面に設けられ、試料押出棒により、前記試料装入口から前記処理対象物が押し入れることによって当該還元炉内に装入され、前記還元処理で生成する還元物が前記試料取出口へ押し出されることよって該還元炉から取出される、還元炉である。
【0019】
(7)本発明の第7の発明は、第6の発明において、内部に、前記試料装入口から前記試料取出口に渡るように、処理対象物を載置するための試料台を備える、還元炉である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、処理対象の混合物の還元炉への装入や還元炉からの取出しを正確にかつ効率的に行うことができ、得られるメタルの品質低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。
図2】還元炉の構成の一例を示す模式図である。
図3】試料である混合物を収容するための試料用容器の構成の一例を示す図(側面図)である。
図4】還元炉の内部構成の一例を示す図であり、還元処理に際しての混合物の還元炉内への装入操作、還元処理により生成する還元物の還元炉からの取出し操作について説明するための図である。
図5】試料押出棒の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
【0023】
≪1.ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合し、その混合物に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、フェロニッケルのメタルとスラグとを生成させるものである。
【0024】
具体的に、ニッケル酸化鉱石の製錬方法では、少なくとも、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、得られた混合物を還元炉内に装入しその混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、を有する。
【0025】
このとき、本実施の形態に係る製錬方法では、還元工程での還元処理に用いる還元炉として、箱型炉であって、試料である混合物を装入する試料装入口と、還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるようにその箱型炉の対向する面に設けられている炉を用いる。そして、試料押出棒を用いて、試料装入口から混合物を押し入れることにより還元炉内に装入し、生成した還元物を試料取出口へ押し出すことにより還元炉から取出す、ことを特徴としている。
【0026】
このような方法により還元処理を実施することで、従来の杓等の治具を用いた操作のようにその治具の変形等による処理操作不良を防ぐことができ、効率的にかつ正確に混合物の装入又は取出しを行うことができる。これにより、還元処理により得られる還元物であるフェロニッケルメタルの品質低下を抑えることもでき、効率的な操作によって高品質なフェロニッケルを製造することができる。
【0027】
なお、本実施の形態においては、ニッケル酸化鉱石を原料鉱石として用いて炭素質還元剤との混合物(処理対象物)に対して還元処理を施すことで鉄-ニッケル合金であるフェロニッケルを製造する方法を示しているが、本発明は他の原料を用いてその処理対象物に対して還元炉で加熱して還元処理する方法に広く適用することができる。
【0028】
≪2.製錬方法のプロセスについて≫
上述したように、ニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元炉に装入し、還元炉にてその混合物を加熱してニッケル(酸化ニッケル)と鉄(酸化鉄)を還元することで、鉄-ニッケル合金(フェロニッケル)のメタルを生成させるものである。なお、還元処理により得られた還元物からメタルを分離(スラグからメタルを分離)することで、フェロニッケルを得ることができる。
【0029】
具体的に、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、図1に示すように、ニッケル酸化鉱石を含む原料と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程S1と、得られた混合物を所定の形状に成形する混合物成形工程S2と、成形された混合物を還元炉にて所定の還元温度で加熱して還元処理する還元工程S3と、還元処理により生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する回収工程S4と、を有する。
【0030】
[混合処理工程]
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2mm~0.8mm程度の粉末を混合して混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
【0031】
混合処理工程S1では、混合性を高めるために混練を行ってもよい。例えば、二軸混練機等により混合物を混練することにより混合物にせん断力を加えることで、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて、より均一に混合できる。また、各々の粒子の密着性を高めることができ、得られる混合物に対して均一な還元処理が行い易くなる。
【0032】
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されず、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、構成成分として、酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe)とを含有する。
【0033】
上述したように、混合処理工程S1では、ニッケル酸化鉱石に対して特定量の炭素質還元剤を添加して混合し混合物とする。炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、炭素質還元剤としては、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と同等の粒度を有するものであることが好ましい。炭素質還元剤とニッケル酸化鉱石の粒度が同等であると、均一に混合し易くなり、その結果還元反応も均一に生じさせることができ好ましい。
【0034】
炭素質還元剤の混合量は、特に限定されないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量を100%としたとき、50.0%以下の割合とすることが好ましく、40.0%以下とすることがより好ましい。ここで、酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量とは、酸化ニッケルの全量をニッケルメタルに還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄を鉄メタルに還元するのに必要な化学当量との合計値(以下、「化学当量の合計値」ともいう)と言い換えることができる。このように、炭素質還元剤の混合量を、化学当量の合計値を100%としたときに50.0%以下の割合とすることで、還元反応を効率的に進行させることができる。なお、炭素質還元剤の混合量の下限値としては、特に限定されないが、化学当量の合計値を100%としたときに、10.0%以上の割合とすることが好ましく、15.0%以上の割合とすることがより好ましい。
【0035】
ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤のほか、任意成分として添加する鉄鉱石としては、特に限定されないが、例えば鉄品位が50%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
【0036】
下記表1に、混合処理工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(重量%)の一例を示す。なお、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
【0037】
【表1】
【0038】
[混合物成形工程]
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。具体的には、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさ以上の塊に成形し、次の還元工程S3での還元処理に際して、還元炉内に混合物を例えば積層して装入できるようにする。なお、後述するが、混合物は試料用容器内に収容され還元炉に装入される。
【0039】
混合物を成形することで得られる塊状化物(ペレットとも称する)の形状としては、直方体状、円柱状、球状等とすることができる。このような形状であれば、混合物を成形し易く、成形にかかるコストを抑えることができる。また、これらの形状は、複雑なものではないため、不良品が出ることがほとんどなく成形における収率は極めて高い。
【0040】
成形(塊状化)した混合物のペレットの体積は、特に限定されず、例えば8000mm以上とすることができる。ペレットの体積が小さすぎると成形コストが高くなり、また還元炉に装入するのに手間がかかる可能性がある。さらに、ペレットの体積が小さい場合には、ペレット全体に占める表面積の割合が高くなるため、表面と内部とで還元の差の現れやすくなり、フェロニッケルの品質に影響を及ぼす可能性がある。混合物のペレットの体積を8000mm以上とすることで、成形コストを抑えることができ、取り扱いも容易なり好ましい。さらに、高い品質のフェルニッケルを製造することができる。
【0041】
混合物を成形した後には、乾燥処理を施すようにしてもよい。混合物中の水分により、還元処理における急激な昇温によって混合物中の水分が一気に気化、膨張して、混合物が粉々になってしまうこともある。そのため、混合物成形工程S2の後に乾燥工程を設け、混合物を乾燥するようにしてもよい。例えば、乾燥工程では、混合物の固形分が70重量%程度で、水分が30重量%程度となるように乾燥処理を施すことができる。
【0042】
混合物に対する乾燥処理の方法は、特に限定されず、例えば150℃~400℃の熱風を塊状物に対して吹き付けて乾燥させることができる。なお、比較的大きな塊状の混合物である場合、乾燥前や乾燥後の混合物にひびや割れが入っていてもよい。塊が大きい場合は、割れ等によって表面積が大きくなってもその影響は僅かである。
【0043】
下記表2に、混合物(乾燥処理後)における固形分中組成(重量部)の一例を示す。なお、混合物の組成としては、これに限定されるものではない。
【0044】
【表2】
【0045】
[還元工程]
還元工程S3では、混合物成形工程S2で得られた混合物を、還元炉内において所定の還元温度に加熱して還元処理する。このような還元処理により、ニッケル酸化鉱石を含む混合物に対する還元反応が進行し、還元物としてメタルとスラグとが生成する。
【0046】
還元処理の温度(還元温度)としては、1200℃以上1500℃以下とすることが好ましく、1250℃以上1450℃以下とすることがより好ましい。このような範囲の還元温度とすることで、効率的にかつ確実に還元反応を進行させて、所望とする特性のフェロニッケルを得ることができる。
【0047】
なお、還元処理においては、混合物中のスラグは半熔融して液相と固相が混在した状態となるが、既に分離して生成したメタルとスラグとは混ざり合うことがなく、その後の冷却によってメタル固相とスラグ固相との別相として混在する混合物となる。この混合物の体積は、装入する混合物と比較すると50%~60%程度の体積に収縮している。
【0048】
(還元炉の装置構成について)
ここで、本実施の形態においては、還元炉として、箱型炉であって、試料(還元処理の処理対象物)である混合物を装入する試料装入口と、還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるように箱型炉の対向する面に設けられている炉を用いる。図2は、還元炉の構成の一例を示す模式図である。
【0049】
図2に示すように、還元炉1は、炉本体11が箱型形状(直方体形状)を有する箱型炉である。また、還元炉1は、特に限定されないが、所定の位置にバーナー12が備えられ、バーナーによる加熱によって還元処理を実行するバーナー炉とすることができる。還元炉1の加熱方式としてバーナー加熱(バーナー炉)を採用することで、優れた燃焼性により炉内を加熱することができ、好ましい。なお、バーナーの燃料は、特に限定されず、LPG等の気体燃料、重油等の液体燃料、石炭やコークス等の固体燃料のいずれであってもよいが、その中でもより燃焼性に優れている点でLPGが好ましい。
【0050】
還元炉1は、試料である混合物を装入する試料装入口13と、炉内での還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口(試料回収口)14とを備える。試料装入口13と、試料取出口14とは、箱型の還元炉1の対向する面(例えば図2中の炉壁の面11aと面11b)に設けられており、互いに直線で結んだ線上に配置される。例えば、図2に示すように、炉壁の面11aの中央部に試料装入口13が設けられ、その面11aに対向する面11bの中央部に試料取出口14が設けられる。試料装入口13と試料取出口14とは、炉底からの高さ位置が略同じであり、互いに直線上に配置されている(図3も参照)。
【0051】
なお、試料装入口13と試料取出口14には、還元炉1の外部から開閉可能な蓋(扉)が設けられており、還元処理に際してはその蓋を閉め、還元炉1内に空気等が混入しないようにすることができる。また、試料装入口13と試料取出口14とが直線上に配置されれば、水平な直線でなくてもよく、例えば試料取出口14の高さ方向の設置位置を、試料装入口13の高さ方向の設置位置よりも低くして、試料装入口13から試料取出口14に向かって傾斜する直線上に配置されてもよい。
【0052】
また、還元炉1は、箱型の炉本体11に内部配置される試料台15を備える。試料台15は、試料である混合物を載置するための台である。還元炉1において、図2に示すように、その試料台15が、試料装入口13から試料取出口14に渡るように設けられている。すなわち、試料台15は、例えば直方体の形状を呈し、その一端部が試料装入口13が設けられている炉壁の面11aと接し、その他端部が試料取出口14が設けられている炉壁の面11bと接して設けられ、試料装入口13から試料取出口14へと渡っている。
【0053】
これにより、混合物を試料装入口13から還元炉1内に装入後にすぐに試料台15に載せることができ、詳しくは後述するように、試料押出棒30によって試料台15上を滑らせるように、混合物を試料取出口14の方向に移動させることができる。また、還元処理により得られた還元物を取出す際に、その還元物を試料押出棒30によって試料台15上を滑らせるようにして押出すという簡易な操作によって、試料取出口14から取出すことができる。
【0054】
なお、そのほか、還元炉1は、例えばその上部面(天井面)に、炉内のガスを排気する排気口16を備える。
【0055】
ここで、特に限定されないが、還元炉1においては、還元処理の処理対象物である混合物をそのままの状態で試料台15に載置して処理を行ってもよいが、混合物を試料用容器に収容してその試料用容器を試料台15に載置して処理を行うことが好ましい。
【0056】
図3(A)、(B)は、試料(処理対象物)である混合物を収容するための試料用容器の側面図である。試料用容器20は、例えば、混合物の載置面が凹部を構成し、四方に壁面が立設されて上面が開口した容器本体20aと、対向する壁面に渡るよう設けられた取手部20bとにより構成されている。試料用容器20の取手部20bは、例えば、作業者によって把持される部分であり、処理試験等の作業性を向上させる。
【0057】
試料用容器20の容器本体20aの載置面には、灰や炭素質還元剤等を敷いておいてもよい。これにより、還元処理に伴う載置面での混合物の融着を防ぐことができる。
【0058】
このように、好ましくは、試料用容器20内に混合物を収容し、混合物を収容した状態の試料用容器20を還元炉1内の試料台15に載置して混合物に対する還元処理を施すようにする。これにより、詳しくは後述するように、試料押出棒を用いた操作によって、試料用容器20を円滑に移動させることができ、混合物の還元炉1内への装入や、生成した還元物の還元炉1からの取出しを効率的に行うことが可能となる。
【0059】
(混合物の装入/取出しの操作)
図4は、還元処理に際しての混合物の還元炉1内への装入操作、還元処理により生成する還元物の還元炉1からの取出し操作について説明するための図である。なお、試料用容器20内に収容した混合物を還元炉1内に装入したときの様子を示している。
【0060】
上述したように、箱型炉である還元炉1は、試料である混合物を装入する試料装入口13と、還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口14とが直線上に配置されるように対向する面11a,11bに設けられている。また、還元炉1の内部において、混合物を載置するための試料台15が、試料装入口13から試料取出口14に渡るように設けられている。
【0061】
還元炉1内への混合物の装入、還元炉1からの混合物(還元物)の取出しは、試料押出棒を用いて行うようにする。
【0062】
ここで、図5(A)、(B)に、試料押出棒の構成の一例を示す。試料押出棒30は、棒状であって作業者が把持する部分となる柄31と、柄31の先端部に軸に対して垂直に接続された板体32とを有する。板体32は、当該試料押出棒30の操作によって試料である混合物に押し当てる押出面を構成する。なお、試料押出棒30の大きさは、特に限定されず、還元炉1の大きさや、試料装入口13の大きさ、または混合物を収容する試料用容器20の大きさに応じて設定することができる。
【0063】
・混合物の還元炉内への装入について
還元炉1での還元処理において、処理対象の試料である混合物を還元炉1内に装入するに際しては、試料押出棒30を用い、試料装入口13から混合物を収容した試料用容器20を押し入れることによって装入する。
【0064】
例えば、図4の模式図に示すように、混合物を収容した試料用容器20を試料装入口13にセットしたのち、還元炉1の外側からその試料装入口13に試料押出棒30を挿入して、試料用容器20に試料押出棒30の押出面32aである板体32を当てて押し入れることによって、還元炉1内に装入させていく。
【0065】
還元炉1には、上述したように、混合物を載置するための試料台15が、試料装入口13から試料取出口14に渡るように設けられていることから、試料押出棒30によって試料用容器20を押し入れることによって、試料装入口13から試料台15上を滑るように移動していく。そして、試料用容器20を試料台15における所定の位置(混合物設置位置)まで移動させると、試料押出棒30を試料装入口13から抜き出す。その後、還元炉1における還元処理を開始する。
【0066】
・混合物(還元物)の還元炉内からの取出しについて
次に、混合物に対する還元処理を終了して還元炉1から還元物(混合物に対する還元処理により得られた還元物)を取出すに際しては、試料押出棒30を用い、還元物を収容した試料用容器20を試料取出口14へと押し出すことによって取出す。
【0067】
例えば、図4の模式図に示すように、還元炉1の外側からその試料装入口13を介して試料押出棒30を挿入して、生成した還元物を収容した試料用容器20に試料押出棒30の押出面32aである板体32を当てて押し出すことによって、還元処理を行った所定の位置から移動させていく。
【0068】
還元炉1内の試料台15は、試料装入口13から試料取出口14に渡って設けられていることから、試料押出棒30によって試料用容器20を押し出すことによって、試料取出口14の方向に試料台15上を滑るように移動していく。そして、試料用容器20を試料台15の端部に接続された試料取出口14まで移動させると、その試料取出口14から還元物を収容した試料用容器20を回収する。
【0069】
従来から用いられてきた杓等の治具を用いた、還元炉内への混合物の装入や取出しの操作では、還元炉内の高温の熱によって杓の持ち手が加熱されてしまい、例えば1200℃以上の温度にまで加熱されると軟化して曲がるなどの変形が生じる。すると、特に還元物を取出すときの操作にあたり、その変形した杓が炉内壁に引っかかるなどして円滑に取出すことができない不具合が生じる。このような不具合は、還元温度が高温になるほど生じやすくなる。また、そのような不具合によって還元物の取出しに時間を要してしまうと、還元物に含まれるメタル(フェロニッケル)が酸化され、品質を低下させる。
【0070】
これに対して、本実施の形態に係る方法によれば、上述した構成の還元炉1を用いて、還元炉1内への混合物の装入、還元炉1からの還元物の取出しの操作のときだけ試料押出棒30を炉内に挿入するようにし、試料装入口13から混合物を押し入れることにより装入し、還元物を試料取出口14へ押し出すことにより取出すという操作を行うことで、混合物装入、取出しの作業を円滑に行うことができる。またこれにより、短時間での操作が可能となることから、還元物に含まれるメタルの酸化等を抑制することができ、品質の低下を効果的に防ぐことができる。
【0071】
以上のような還元工程S3での還元処理を行うことで、精度よく確実に、かつ効率的にフェロニッケルを製造することができる。
【0072】
[回収工程]
回収工程S4では、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。具体的には、容器に充填させた状態の混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混合物(混在物)からメタル相を分離して回収する。
【0073】
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
【0074】
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、上述した還元工程S3における処理で得られた、大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
【0075】
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによってメタル相、すなわちフェロニッケルを回収する。
【実施例
【0076】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0077】
[実施例、比較例]
以下に示すような条件で、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元してフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法を実行した。
【0078】
(混合処理工程)
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:80重量%、平均粒径:約85μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量を100%としたときに36.0%の割合となる量で含有させた。
【0079】
(混合物成形工程)
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒し、φ15.0±1.0mmの大きさに篩った。その後、試料については、還元前に、固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように170℃~250℃の熱風を吹き付けることで乾燥処理を施した。下記表3に、乾燥処理後の試料の固形分組成(炭素を除く)を示す。
【0080】
【表3】
【0081】
(還元工程)
次に、篩った試料(混合物試料)を12個に分け(実施例1~9、比較例1~3)、還元炉(バーナー炉)を用いて加熱して還元処理を施した。バーナーの燃料には、微粉炭、重油、及びコークスを用いた。
【0082】
このとき、実施例では、還元炉として、図2及び図4に模式図を示したような箱型の還元炉を用いた。還元炉には、処理対象物である混合物を装入する試料装入口と、還元処理により得られる還元物を取出す試料取出口とが直線上に配置されるように箱型炉の対向する面に設けられている。また、還元炉の内部には、試料装入口から試料取出口に渡るように、混合物を載置して還元処理するための試料台を備える。処理対象の混合物については、試料用容器(図3参照)に収容してその状態で還元炉に装入し、還元処理を行った。なお、試料用容器の載置面には灰(主成分はSiO、その他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する)を敷き詰め、その上に混合物を載置するようにした。
【0083】
そして、還元炉内への混合物の装入に際しては、図5に模式図を示したような試料押出棒を用い、試料用容器に収容した混合物を、還元炉の試料装入口から試料台の上を滑らせるように押し入れることによって装入し、試料台上の所定の箇所に載置させた。混合物の還元炉内への装入後、還元炉内を密閉空間としてバーナーによる加熱を開始し、還元処理を行った。なお、還元炉内に空気が混入しないように、試料装入口及び試料取出口には蓋をした。
【0084】
所定の還元時間の終了後、混合物(還元物)を載せた試料用容器を還元炉から取出した。還元物の取出しに際しては、同じ試料押出棒を用い、還元物を試料台の上を滑らせるように試料取出口へと押し出すことによって取出した。
【0085】
還元炉から取出した還元物を冷却した後、下記に示すニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率を測定した。
【0086】
一方、比較例では、実施例とは異なる還元炉、すなわち、従来用いられている単なる箱型バーナー炉を用いて還元処理を行った。還元炉内への混合物の装入に際しては、耐熱性の鉄で作られた杓を用いて、還元炉の側方に設けた試料装入取出口から押し入れて装入し、杓を還元炉内に保持したまま還元処理を行った。また、還元処理により得られた還元物の取出しに際しては、同じ杓を用いて引き出すことによって取出した。なお、混合物の装入、取出しのとき以外は、断熱ウールで試料装入取出口に蓋をした。
【0087】
[評価]
各試料を冷却した後、下記式により定義される、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率について、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100)により分析して算出した。
ニッケルメタル率=混合物中のメタル化したNiの量÷(混合物中の全てのNiの量)×100(%) ・・・[1]式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(混合物中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・[2]式
【0088】
また、試料である混合物の還元炉への装入作業及び還元炉からの還元物の取出し作業に関しての作業性について評価した。具体的には、装入及び取出しの作業を問題なく行うことができた場合を『○』とし、治具に変形が生じる等して作業に不具合が発生して1分以上の作業時間を要した場合を『△』とし、混合物や還元物が炉内で引っ掛かる等して作業を行うことができなかった場合を『×』として評価した。
【0089】
下記表4に、還元処理の条件と、ニッケルメタル率、メタル中ニッケル含有率の算出結果をそれぞれ示す。
【0090】
【表4】
【0091】
表4に示されるように、実施例1~9では、その装入、取出しの作業を問題なく効率的に行うことができ、ニッケルメタル化率、メタル含有率が共に良好な結果となった。これは、混合物の装入や取出しの作業を、スムーズに、正確かつ精度よく行うことができたため、その結果として、生成したメタルの酸化等を効果的に抑制できたためと考えられる。
【0092】
一方で、従来のように、杓を用いて混合物の装入に取出しを行った比較例1~3では、特に還元物の取出しに際して、杓が高温の熱により大きく曲がって変形し、炉に引っかかる等の不具合が生じた。そのため、作業に時間がかかってしまい、それに伴い、生成したメタルの酸化が進行して、実施例に比べてニッケルメタル化率、メタル含有率が共に低くなる結果となった(比較例1)。なお、比較例2、3では、取出し自体ができなかった。
【符号の説明】
【0093】
1 還元炉
11 炉本体
12 バーナー
13 試料装入口
14 試料取出口
15 試料台
16 排気口
20 試料用容器
20a 容器本体
20b 取手部
30 試料押出棒
31 柄
32 板体
32a 押出面
図1
図2
図3
図4
図5