(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240820BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20240820BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/15 501
G02F1/1334
(21)【出願番号】P 2021044503
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松島 孝典
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-526791(JP,A)
【文献】特開2018-154319(JP,A)
【文献】特開2010-120417(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105667266(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0019034(US,A1)
【文献】特表2014-515837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/15
G02F 1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光機能を備える複数の調光ガラスと、
前記複数の調光ガラスの透過率を制御する制御装置と、を備え、
前記調光ガラスは、印加電圧に応じて透過率が変化するように構成されており、
前記制御装置は、前記調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率特性の固有のばらつきを補正する機能を備
え、
前記調光ガラスの各々は温度変化に応じて透過率が変化する性質を有し、
前記制御装置は、前記温度変化に応じた前記各々の調光ガラスの透過率の変化を補正する機能を備える、
調光ガラス制御システム。
【請求項2】
前記制御装置には、前記各々の調光ガラスの透過率を所定の透過率とするための電圧補正情報が前記調光ガラス毎に格納されており、
前記制御装置は、前記各々の調光ガラスの透過率を所定の透過率とするためのそれぞれの電圧値を前記調光ガラス毎の電圧補正情報を用いて決定する、
請求項1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項3】
前記調光ガラス毎の電圧補正情報は、印加電圧に対する前記各々の調光ガラスの透過率特性を表した関数に関する情報である、請求項2に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項4】
前記複数の調光ガラスは、第1の調光ガラスと第2の調光ガラスであり、
前記第1の調光ガラスの第1の温度における透過率と前記第1の温度よりも低い第2の温度における透過率との差を第1の透過率差とし、前記第2の調光ガラスの前記第1の温度における透過率と前記第2の温度における透過率との差を第2の透過率差とし、前記第1の透過率差が前記第2の透過率差よりも大きい場合、前記制御装置は、前記第2の温度において、前記第2の調光ガラスの透過率が前記第1の調光ガラスの透過率に近づくように、前記第2の調光ガラスの印加電圧を調整する、
請求項
1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2の温度において前記第1の調光ガラスの透過率と前記第2の調光ガラスの透過率とがそろった際の前記第2の調光ガラスの印加電圧を電圧補正情報として格納する、請求項
4に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項6】
前記複数の調光ガラスは、第1の調光ガラスと第2の調光ガラスであり、
前記第1の調光ガラスの第1の温度における透過率と前記第1の温度よりも低い第2の温度における透過率との差を第1の透過率差とし、前記第2の調光ガラスの前記第1の温度における透過率と前記第2の温度における透過率との差を第2の透過率差とし、前記第1の透過率差が前記第2の透過率差よりも大きい場合、前記制御装置は、前記第2の温度において前記第1の調光ガラスの透過率が最大となるように前記第1の調光ガラスの印加電圧を調整するとともに、前記第2の調光ガラスの透過率が調整後の前記第1の調光ガラスの透過率とそろうように前記第2の調光ガラスの印加電圧を調整する、
請求項
1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2の温度において前記第1の調光ガラスの透過率が最大となる前記第1の調光ガラスの印加電圧と、前記第2の調光ガラスの透過率が調整後の前記第1の調光ガラスの透過率とそろった際の前記第2の調光ガラスの印加電圧とをそれぞれ電圧補正情報として格納する、請求項
6に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項8】
前記複数の調光ガラスは、第1の調光ガラスと第2の調光ガラスであり、
前記第1及び第2の調光ガラスの透過率の温度依存性がそれぞれ線形である場合、前記制御装置は、前記第1及び第2の調光ガラスの温度に応じて前記第1及び第2の調光ガラスの印加電圧を決定する、
請求項
1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項9】
前記各々の調光ガラスは、
印加電圧に応じて透過率が変化する調光フィルムと、
前記調光フィルムが封入された、又は前記調光フィルムが表面に貼付されたガラスと、を備える、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項10】
前記複数の調光ガラスは、後部左側座席の窓ガラス、後部右側座席の窓ガラス、及びルーフガラスのうちの少なくとも2つである、請求項1~
9のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項11】
印加電圧に応じて透過率が変化する複数の調光ガラスを制御する制御装置であって、
前記制御装置は、前記調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率の固有のばらつきを補正する機能を備
え、
前記調光ガラスの各々は温度変化に応じて透過率が変化する性質を有し、
前記制御装置は、前記温度変化に応じた前記各々の調光ガラスの透過率の変化を補正する機能を備える、
制御装置。
【請求項12】
印加電圧に応じて透過率が変化する複数の調光ガラスを制御する、調光ガラスの制御方法であって、
前記調光ガラスの各々は温度変化に応じて透過率が変化する性質を有し、
前記複数の調光ガラスの透過率を制御する際に、前記調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率の固有のばらつきを補正する
とともに、前記温度変化に応じた前記各々の調光ガラスの透過率の変化を補正するように制御する、
調光ガラスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印加電圧に応じて透過率が変化する調光ガラスの開発が進められている。このような調光ガラスは、車両用の窓ガラス等に用いることが期待されている。例えば、調光ガラスは、運転席のサンバイザー、リアドアガラスのカーテン、ルーフガラスの可動シェードの代替機能として実装が期待される。
【0003】
特許文献1には、調光層と、調光層に電圧を印加する透明導電フィルムとを備える調光フィルムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調光ガラスは、印加電圧に応じて透過率が変化する。具体的には、調光ガラスは、透過率が最大である透過状態、透過率が最小である遮光状態、及び透過率が最大と最小の中間である半透過状態を、印加電圧を変化させることで制御できる。ここで、調光ガラスの透過率は、調光ガラスに印加する電圧(印加電圧)を用いて制御されるが、特定の領域においては印加電圧に対する透過率が線形に近似している(
図4参照)。
【0006】
しかしながら、調光ガラスは製造メーカーやロットによって特性、つまり、印加電圧に対する透過率特性にばらつきがある場合がある。このため、複数の調光ガラスを制御する場合に、各々の調光ガラスの透過率特性のばらつきを考慮しなければならない問題がある。
【0007】
上記課題に鑑み本発明の目的は、複数の調光ガラスを制御する際に、各々の調光ガラスの透過率にばらつきが発生することを抑制可能な調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる調光ガラス制御システムは、
調光機能を備える複数の調光ガラスと、
前記複数の調光ガラスの透過率を制御する制御装置と、を備え、
前記調光ガラスは、印加電圧に応じて透過率が変化するように構成されており、
前記制御装置は、前記調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率特性の固有のばらつきを補正する機能を備える。
【0009】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記制御装置には、前記各々の調光ガラスの透過率を所定の透過率とするための電圧補正情報が前記調光ガラス毎に格納されてもよく、
前記制御装置は、前記各々の調光ガラスの透過率を所定の透過率とするためのそれぞれの電圧値を前記調光ガラス毎の電圧補正情報を用いて決定してもよい。
【0010】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記調光ガラス毎の電圧補正情報は、印加電圧に対する前記各々の調光ガラスの透過率特性を表した関数に関する情報でもよい。
【0011】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記調光ガラスの各々は温度変化に応じて透過率が変化する性質を有してもよく、
前記制御装置は、前記温度変化に応じた前記各々の調光ガラスの透過率の変化を補正する機能を備えてもよい。
【0012】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記複数の調光ガラスは、第1の調光ガラスと第2の調光ガラスであり、
前記第1の調光ガラスの第1の温度における透過率と前記第1の温度よりも低い第2の温度における透過率との差を第1の透過率差とし、前記第2の調光ガラスの前記第1の温度における透過率と前記第2の温度における透過率との差を第2の透過率差とし、前記第1の透過率差が前記第2の透過率差よりも大きい場合、前記制御装置は、前記第2の温度において、前記第2の調光ガラスの透過率が前記第1の調光ガラスの透過率に近づくように、前記第2の調光ガラスの印加電圧を調整してもよい。
【0013】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記制御装置は、前記第2の温度において前記第1の調光ガラスの透過率と前記第2の調光ガラスの透過率とがそろった際の前記第2の調光ガラスの印加電圧を電圧補正情報として格納してもよい。
【0014】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記複数の調光ガラスは、第1の調光ガラスと第2の調光ガラスであり、
前記第1の調光ガラスの第1の温度における透過率と前記第1の温度よりも低い第2の温度における透過率との差を第1の透過率差とし、前記第2の調光ガラスの前記第1の温度における透過率と前記第2の温度における透過率との差を第2の透過率差とし、前記第1の透過率差が前記第2の透過率差よりも大きい場合、前記制御装置は、前記第2の温度において前記第1の調光ガラスの透過率が最大となるように前記第1の調光ガラスの印加電圧を調整するとともに、前記第2の調光ガラスの透過率が調整後の前記第1の調光ガラスの透過率とそろうように前記第2の調光ガラスの印加電圧を調整してもよい。
【0015】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記制御装置は、前記第2の温度において前記第1の調光ガラスの透過率が最大となる前記第1の調光ガラスの印加電圧と、前記第2の調光ガラスの透過率が調整後の前記第1の調光ガラスの透過率とそろった際の前記第2の調光ガラスの印加電圧とをそれぞれ電圧補正情報として格納してもよい。
【0016】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記複数の調光ガラスは、第1の調光ガラスと第2の調光ガラスであり、
前記第1及び第2の調光ガラスの透過率の温度依存性がそれぞれ線形である場合、前記制御装置は、前記第1及び第2の調光ガラスの温度に応じて前記第1及び第2の調光ガラスの印加電圧を決定してもよい。
【0017】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記各々の調光ガラスは、
印加電圧に応じて透過率が変化する調光フィルムと、
前記調光フィルムが封入された、又は前記調光フィルムが表面に貼付されたガラスと、を備えてもよい。
【0018】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、
前記複数の調光ガラスは、後部左側座席の窓ガラス、後部右側座席の窓ガラス、及びルーフガラスのうちの少なくとも2つでもよい。
【0019】
本発明の一態様にかかる制御装置は、印加電圧に応じて透過率が変化する複数の調光ガラスを制御する制御装置であって、前記調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率の固有のばらつきを補正する機能を備える。
【0020】
本発明の一態様にかかる調光ガラスの制御方法は、印加電圧に応じて透過率が変化する複数の調光ガラスを制御する調光ガラスの制御方法であって、前記複数の調光ガラスの透過率を制御する際に、前記調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率の固有のばらつきを補正するように制御する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、複数の調光ガラスを制御する際に、各々の調光ガラスの透過率にばらつきが発生することを抑制可能な調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1にかかる調光ガラス制御システムを説明するためのブロック図である。
【
図2】調光ガラスの構成例を説明するための断面図である。
【
図3】調光ガラスの他の構成例を説明するための断面図である。
【
図4】調光ガラスに対する印加電圧と透過率との関係の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態1にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図6】実施の形態1にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図8】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図10】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図11】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図12】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図13】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【
図14】実施の形態2にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる調光ガラス制御システムを説明するためのブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システム1は、複数の調光ガラス11a~11c、複数の駆動部12a~12c、複数の操作部13a~13c、及び制御装置14を備える。以下では、調光ガラス11a~11cを総称して、調光ガラス11と記載する場合もある。駆動部12a~12cおよび操作部13a~13cについても同様に、駆動部12、操作部13と記載する場合もある。
【0024】
なお、
図1では、3つの調光ガラス11a~11cと、これらに対応するように設けられた3つの駆動部12a~12cと3つの操作部13a~13cを備える構成例を示している。しかし本実施の形態では、複数の調光ガラス11の数は2つ以上であれば任意に決定できる。また、駆動部12および操作部13の数も、調光ガラス11の数に応じて任意に決定できる。
【0025】
調光ガラス11a~11cはそれぞれ、印加電圧に応じて透過率が変化する調光機能を備える。例えば、調光ガラス11a~11cは、印加電圧が高くなるほど透過率が高くなるように構成されている(
図4参照)。
【0026】
図2、
図3は、調光ガラスの構成例を説明するための断面図である。
図2に示すように、例えば、調光ガラス11は、印加電圧に応じて透過率が変化する調光フィルム25と、調光フィルム25が封入されたガラス21、22とを用いて構成される。つまり、ガラス21、22は、中間膜23を挟持した合わせガラスであり、
図2に示す構成例では、中間膜23を配置している箇所に調光フィルム25を封入して調光ガラス11を構成している。
【0027】
調光フィルム25は印加電圧に応じて透過率が変化する調光機能を有する。調光フィルム25には配線26を用いて電圧が供給される。調光フィルム25は、懸濁粒子デバイス、高分子分散型液晶、高分子ネットワーク型液晶、ゲストホスト液晶、TN(Twisted Nematic)型液晶、PC(Phase Change)型液晶、STN(Super Twisted Nematic)型液晶、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶、OCB(Optically Compensated Bend)型液晶、IPS(In-Place Switching)型液晶、VA(Vertical Alignment)型液晶、FFS(Fringe Field Switching)型液晶、FPA(Field-induced Photo-reactive Alignment)型液晶、エレクトロクロミック、エレクトロキネティック、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL等が使用可能である。
【0028】
例えば、調光フィルム25が高分子分散型液晶である場合、調光フィルム25は液晶層と電極層とを備えており、配線26から印加電圧が印加されると液晶層の液晶分子の配向がそろうため、調光フィルム25の透過率が高くなる。本実施の形態では、調光フィルム25に印加する印加電圧を調整し、液晶分子の配向を調整することで、調光フィルム25の透過率を調整する。なお、調光フィルム25は、配線26から電圧が印加されると透過率が低くなるタイプを用いてもよい。
【0029】
本実施の形態では、
図3に示す構成例のように、合わせガラスを構成している一方のガラス22の表面に調光フィルム25を貼付して調光ガラス11を構成してもよい。なお、本実施の形態において調光ガラス11は、印加電圧に応じて透過率が変化する調光機能を備えるガラスであれば特に限定されることはない。
【0030】
例えば、複数の調光ガラス11は車両のガラスに用いてもよい。例えば、調光ガラス11を自動車に使用する場合は、運転席のサンバイザー、リアドアガラスのカーテン、ルーフガラスの可動シェード等の代替機能として実装してもよい。換言すると、調光ガラス11は、後部左側座席の窓ガラス、後部右側座席の窓ガラス、及びルーフガラス等に用いてもよい。なお、本実施の形態において調光ガラス11を使用する箇所は車両及び自動車に限定されることはなく、複数の調光ガラス11を使用できる箇所であれば使用する箇所は限定されない。
【0031】
ユーザーは、操作部13a~13cを操作して、各々の調光ガラス11a~11cの透過率を調整する。制御装置14は、各々の操作部13a~13cから供給された操作信号に基づいて、各々の調光ガラス11a~11cの透過率を調整するための制御信号を生成する。制御装置14で生成された制御信号は、各々の駆動部12a~12cに供給される。各々の駆動部12a~12cは、制御装置14から供給された制御信号に応じた駆動電圧をそれぞれ生成する。各々の駆動部12a~12cで生成された駆動電圧(印加電圧)は、各々の調光ガラス11a~11cに供給される。このような動作により、各々の操作部13a~13cの操作に応じて、各々の調光ガラス11a~11cの透過率が制御される。なお、制御装置14は、各々の操作部13a~13cのいずれかにより供給された操作信号に基づいて、調光ガラス11a~11cのうち複数の調光ガラスの透過率を同時に調整するための制御信号を生成してもよい。
【0032】
本実施の形態にかかる調光ガラス制御システム1において、制御装置14は、複数の調光ガラス11a~11cの透過率を制御する際に、調光ガラス11a~11cの各々が有する印加電圧に対する透過率特性の固有のばらつきを補正するように制御することを特徴としている。以下、制御装置14が調光ガラス11a~11cの固有のばらつきを補正する方法について詳細に説明する。
【0033】
図4は、調光ガラス11に対する印加電圧と透過率特性との関係の一例を示す図である。
図4に示すように、調光ガラス11は、印加電圧に応じて透過率が変化する。具体的には、調光ガラス11は、透過率が最大である透過状態、透過率が最小である遮光状態、及び透過率が最大と最小の中間である半透過状態を、印加電圧を変化させることで制御できる。ここで、調光ガラス11の透過率は、調光ガラスに印加する電圧(印加電圧)を用いて制御されるが、特定の領域においては印加電圧に対する透過率が線形に近似している(線形領域)。本実施の形態における「線形」は、厳密な数学的定義を満たす必要はなく、線形に近似可能であれば十分である。
【0034】
しかしながら、調光ガラスは製造メーカーやロットによって特性、つまり、印加電圧に対する透過率特性にばらつきがある場合がある。例えば、調光ガラス(調光フィルム)に使用する液晶や高分子の種類、液晶素子のセルギャップ、液晶濃度等によって、印加電圧に対する透過率特性にばらつきが発生する場合がある。また、調光ガラス(調光フィルム)を構成する素子の電気的要素、例えば電極の面抵抗、配線抵抗、等価直列抵抗、静電容量等によって、印加電圧に対する透過率特性にばらつきが発生する場合がある。このため、複数の調光ガラスを制御する場合に、各々の調光ガラスの透過率特性のばらつきを考慮しなければならない問題があった。
【0035】
そこで本実施の形態にかかる調光ガラス制御システム1では、制御装置14が複数の調光ガラス11a~11cの透過率を制御する際に、調光ガラス11a~11cの各々が有する印加電圧に対する透過率特性の固有のばらつきを補正するように制御している。具体的には、制御装置14には、各々の調光ガラス11の透過率を所定の透過率とするための電圧補正情報が調光ガラス毎に格納されている。そして、制御装置14は、各々の調光ガラス11の透過率を所定の透過率とするためのそれぞれの電圧値を調光ガラス11毎の電圧補正情報を用いて決定している。例えば、調光ガラス11毎の電圧補正情報は、印加電圧に対する各々の調光ガラス11の透過率特性を表した関数に関する情報である。
【0036】
図5は、本実施の形態にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図であり、調光ガラス毎の電圧補正情報として、印加電圧に対する調光ガラスの透過率特性を表した関数(以下、電圧補正関数とも記載する)を求める方法を説明するための図である。
【0037】
電圧補正関数を求める際は、印加電圧に対して調光ガラスの透過率特性が線形である領域(線形領域)において、2点以上の任意の印加電圧を設定する。そして、設定した任意の印加電圧を調光ガラスに印加し、このときの透過率を透過率計を用いて測定する。例えば、透過率計にはヘイズメータを用いる。そして、このようにして得られた2点以上の座標情報(印加電圧と透過率の関係)を用いて、x次関数(xは1以上の整数)を求める。例えば、電圧補正関数が1次関数である場合は、2点の座標情報が必要となる。電圧補正関数が2次関数である場合は、3点の座標情報が必要となる。
【0038】
電圧補正関数が1次関数である場合は、
図5に示すように、任意の座標Pa、座標Pbを求める。すなわち、印加電圧Va、Vbを設定し、これらの印加電圧Va、Vbをそれぞれ調光ガラスに印加し、このときの透過率Ta、Tbを透過率計を用いてそれぞれ測定する。これにより、座標Pa(Va、Ta)、座標Pb(Vb、Tb)がそれぞれ求まる。
【0039】
1次関数の傾きをk、切片をdとし、所定の透過率をTex、所定の透過率Texが得られる印加電圧をVRMSxとした場合、透過率Texと印加電圧VRMSxとの関係は下記の式1で表すことができる。
【0040】
Tex=k・VRMSx+d ・・・式1
【0041】
この式1のVRMSx及びTexに、上記で求めた座標Pa、座標Pbの値を代入することで、傾きkおよび切片dの値が求まる。したがって、求めた傾きkおよび切片dの値と、式1を用いることで、所定の透過率Texを得るための印加電圧VRMSxが求まる。
【0042】
本実施の形態にかかる制御装置14は、調光ガラス毎にこのような電圧補正関数を求め、これらの情報を電圧補正情報として調光ガラス毎に格納している。よって、所定の透過率Texを得るための印加電圧VRMSxを、調光ガラス11a~11c毎に設定できる。
【0043】
なお、上記の手法は一例であり、本実施の形態にかかる発明では上記以外の手法を用いて電圧補正関数を求めてもよい。例えば、任意の印加電圧を3値以上とした場合は、最小二乗法等による線形近似や多項式近似等による曲線近似を用いて、所望の透過率が得られる印加電圧を決定してもよい。また、上記手法では可視光線透過率と印加電圧との関係を用いたが、縦軸(透過率に対応)に全光線透過率、平行線透過率、拡散透過率、Hazeなどを用いてもよく、また、横軸(印加電圧に対応)に実効電圧、Duty比、電圧振幅、スイッチング周波数などを用いてもよい。
【0044】
次に、本実施の形態にかかる調光ガラスの制御方法の具体例について
図6、
図7を用いて説明する。
図6、
図7において、調光ガラスRD-Lは後部座席左側の調光ガラス、調光ガラスRD-Rは後部座席右側の調光ガラス、調光ガラスRFはルーフガラスを示している。
図6、
図7に示す例では、調光ガラスRD-L、RD-Rに対して調光ガラスRFの特性が異なっている例を示している。
【0045】
図6、
図7に示す例において、各々の調光ガラスの透過率を60%に統一する場合について説明する。まず、各々の調光ガラスに印加電圧V
1(30Vrms)、V
2(60Vrms)をそれぞれ印加し、これらの印加電圧における各々の調光ガラスの透過率を測定する。ここで、Vrmsは実効電圧を示している。なお、各々の調光ガラスへの印加電圧V
1、V
2の値は、30Vrms、60Vrmsに限られず、適宜決定してよい。
【0046】
図7に示す表に、各々の調光ガラスの印加電圧V
1、V
2における透過率を示している。つまり、印加電圧30Vrms、60Vrmsにおける透過率が求まるので、各々の調光ガラスに対して2点の座標が定まる。したがって、各々の調光ガラスの透過率Texと印加電圧VRMSxとの関係を示す式1の傾きkと切片dが定まる。
【0047】
各々の調光ガラスの透過率Texを60%に統一する場合は、各々の調光ガラスの透過率を示す式1に透過率Tex=60を代入して印加電圧VRMSxの値を求める。このとき、式1の傾きkと切片dは各々の調光ガラス毎に定められているので、透過率を60%にするための印加電圧VRMSxが、各々の調光ガラス毎に求まる。このようにして求めた印加電圧VRMSxを各々の調光ガラスに印加することで、各々の調光ガラスの透過率を60%に統一できる。
【0048】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる発明では、調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率の固有のばらつきを補正する機能を備える。したがって本実施の形態にかかる発明により、複数の調光ガラスを制御する際に、各々の調光ガラスの透過率にばらつきが発生することを抑制できる。
【0049】
つまり、式1の透過率Texに所望の透過率を代入することで、所望の透過率を得るためのパラメータ値(印加電圧VRMSx)を、特性の異なる複数の調光ガラス毎に容易に得られる。
【0050】
例えば、本実施の形態にかかる発明を車両の調光ガラスに用いた場合は、車両製造時において、複数の調光ガラスに対する視認性の調整工程の時間を短縮できる。
【0051】
また、本実施の形態にかかる発明では、電圧補正情報(上述の式1)を求めた後は、任意の透過率に設定する際に、電圧補正情報を用いてパラメータ値(印加電圧VRMSx)を算出できる。したがって、設定する透過率が複数段階ある場合であっても、段階毎に透過率を測定してパラメータ値を調整することが不要となる。また、透過率測定装置を有さない場合(ユーザー設定など)でも、任意に所望の透過率を追加で設定できる。
【0052】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、温度変化に応じて各々の調光ガラスの透過率の変化を補正する場合について説明する。つまり、本発明において、「調光ガラスの各々が有する印加電圧に対する透過率特性の固有のばらつき」には、温度変化に応じた各々の調光ガラスの透過率特性のばらつきも含まれる。なお、本実施の形態にかかる発明は、実施の形態1で説明した発明と適宜組み合わせて用いてもよい。
【0053】
図8は、本実施の形態にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図であり、各々の調光ガラスの印加電圧に対する透過率特性を示している。
図8では、調光ガラスAと調光ガラスBの温度25℃と温度-10℃における印加電圧と透過率特性を示している。
図8に示すように、本実施の形態では、調光ガラスの各々は温度変化に応じて透過率が変化する性質を有する。具体的には、調光ガラスAの-10℃における透過率は、25℃における透過率よりも低くなる性質を有する。同様に、調光ガラスBの-10℃における透過率は、25℃における透過率よりも低くなる性質を有する。
【0054】
このように、各々の調光ガラスが温度変化に応じて透過率が変化する性質を有する場合は、調光ガラスを使用する温度に応じて調光ガラスに印加する電圧を調整する必要がある。つまり、各々の調光ガラスの透過率が25℃でそろっている場合でも、-10℃では各々の調光ガラスの透過率が変化するため、各々の調光ガラスの透過率が互いにずれてしまう。このような問題を解決するために、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムは、温度変化に応じた各々の調光ガラスの透過率の変化を補正する機能を備える。以下、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システム(調光ガラスの制御方法)について詳細に説明する。
【0055】
図9~
図11は、本実施の形態にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図であり、第1の制御例を説明するための図である。第1の制御例では、調光ガラスAの第1の温度(25℃)における透過率と第1の温度よりも低い第2の温度(-10℃)における透過率との差を第1の透過率差とし、調光ガラスBの第1の温度(25℃)における透過率と第2の温度(-10℃)における透過率との差を第2の透過率差とする。そして、第1の透過率差が第2の透過率差よりも大きい場合、制御装置14は、第2の温度(-10℃)において、調光ガラスBの透過率が調光ガラスAの透過率に近づくように、調光ガラスBの印加電圧を調整する。
【0056】
具体的には、
図9に示すように、25℃において調光ガラスAと調光ガラスBは、印加電圧に対する透過率にばらつきがある。このため、実施の形態1で説明した方法を用いて、調光ガラスAと調光ガラスBの透過率のばらつきを補正している。つまり、同一の透過率T0を得るために、調光ガラスAでは印加電圧Va0とし、調光ガラスBでは印加電圧Vb0としている。
【0057】
一方、
図10に示すように、調光ガラスAと調光ガラスBを-10℃で使用する場合、調光ガラスAに電圧Va0を印加し、調光ガラスBに電圧Vb0を印加すると、透過率にばらつきが生じる。具体的には、-10℃では調光ガラスAの透過率が座標Pa0の位置の透過率となり、調光ガラスBの透過率が座標Pb0の位置の透過率となる。
図10に示す例では、調光ガラスAの25℃における透過率と-10℃における透過率との差ΔPaは、調光ガラスBの25℃における透過率と-10℃における透過率との差ΔPbよりも大きい。このため、-10℃では、調光ガラスAのほうが調光ガラスBよりも透過率が低くなる。
【0058】
この場合、制御装置14は、
図11に示すように、-10℃において、調光ガラスBの透過率(座標Pb0の透過率の値)が調光ガラスAの透過率(座標Pa0の透過率の値)に近づくように、調光ガラスBの印加電圧を調整する。つまり、調光ガラスBでは、印加電圧Vb0から印加電圧Vb1に調整することで、調光ガラスBの透過率を調光ガラスAの温度-10℃における透過率T1と同一にできる。これにより、調光ガラスAの透過率と調光ガラスBの透過率とを透過率T1にそろえられる。
【0059】
例えば、制御装置14は、-10℃において調光ガラスAの透過率と調光ガラスBの透過率とがそろった際の調光ガラスBの印加電圧Vb1を、電圧補正情報として格納してもよい。これにより、調光ガラスAと調光ガラスBを温度-10℃において使用する際に、調光ガラスBのパラメータ(印加電圧)を迅速に決定できる。
【0060】
図12、
図13は、本実施の形態にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図であり、第2の制御例を説明するための図である。第2の制御例では、調光ガラスAの第1の温度(25℃)における透過率と第1の温度よりも低い第2の温度(-10℃)における透過率との差を第1の透過率差とし、調光ガラスBの第1の温度(25℃)における透過率と第2の温度(-10℃)における透過率との差を第2の透過率差とする。そして、第1の透過率差が第2の透過率差よりも大きい場合、制御装置14は、第2の温度(-10℃)において調光ガラスAの透過率が最大となるように調光ガラスAの印加電圧を調整するとともに、調光ガラスBの透過率が調整後の調光ガラスAの透過率とそろうように調光ガラスBの印加電圧を調整する。
【0061】
具体的には、
図12に示すように、調光ガラスAと調光ガラスBを-10℃で使用する場合、調光ガラスAに電圧Va0を印加し、調光ガラスBに電圧Vb0を印加すると、透過率にばらつきが生じる。つまり、調光ガラスAの透過率が座標Pa0の位置の透過率となり、調光ガラスBの透過率が座標Pb0の位置の透過率となる。この場合も、
図10に示した場合と同様に、調光ガラスAの25℃における透過率と-10℃における透過率との差ΔPaは、調光ガラスBの25℃における透過率と-10℃における透過率との差ΔPbよりも大きい。このため、-10℃では、調光ガラスAのほうが調光ガラスBよりも透過率が低くなる。
【0062】
第2の制御例では、まず、制御装置14は、温度-10℃において調光ガラスAの透過率が最大となるように調光ガラスAにおいて、印加電圧Va0から印加電圧Va2に調整する。例えば、透過率が最大とは、調光ガラスAの透過率特性が印加電圧に対して線形的に変化する領域において最大となる透過率T2である。
【0063】
その後、
図13に示すように、調光ガラスBの透過率が調整後の調光ガラスAの透過率T2とそろうように、調光ガラスBでは、印加電圧Vb0から印加電圧Vb2に調整する。これにより、調光ガラスAの透過率と調光ガラスBの透過率とを透過率T2にそろえられる。制御例2の場合は、調光ガラスAおよび調光ガラスBのうち、温度-10℃において最大透過率が低い方の調光ガラスAの最大透過率T2に、調光ガラスAおよび調光ガラスBの透過率を合わせている。したがって、温度-10℃において設定可能な最大の透過率に設定できる。
【0064】
例えば、制御装置14は、温度-10℃において調光ガラスAの透過率が最大となる調光ガラスAの印加電圧Va2と、調光ガラスBの透過率が調整後の調光ガラスAの透過率T2とそろった際の調光ガラスBの印加電圧Vb2とをそれぞれ電圧補正情報として格納してもよい。これにより、調光ガラスAと調光ガラスBを温度-10℃において使用する際に、調光ガラスA、Bのパラメータ(印加電圧)を迅速に決定できる。
【0065】
なお、
図11、
図13に示す例では、調光ガラスBの透過率が調光ガラスAの透過率とそろうように調光ガラスBの印加電圧を調整している。このとき、調光ガラスBの透過率が調光ガラスAの透過率とそろったという判断は、透過率計の測定結果を用いて行ってもよく、ユーザーが目視で行ってもよい。例えば、制御装置14は、調光ガラスBの透過率が調光ガラスAの透過率とそろった(同一になった)ことを示す信号を受信した際の印加電圧を、調光ガラスBの補正後の印加電圧Vb1、Vb2と決定してもよい。調光ガラスBの透過率が調光ガラスAの透過率とそろった(同一になった)ことを示す信号は、透過率計から制御装置14に供給されてもよく、ユーザーが操作部13を操作することで、制御装置14に供給されてもよい。
【0066】
図14は、本実施の形態にかかる調光ガラスの制御方法を説明するための図であり、第3の制御例を説明するための図である。
図14に示すように、調光ガラスAと調光ガラスBの透過率の温度依存性がそれぞれ線形である場合、制御装置14は、調光ガラスAと調光ガラスBの温度に応じて調光ガラスAの印加電圧と調光ガラスBの印加電圧をそれぞれ決定してもよい。
【0067】
具体的には
図14に示すように、調光ガラスAの透過率の温度依存性が線形である場合、調光ガラスAが25℃において透過率T0となる座標Paと調光ガラスAが-10℃において透過率T3となる座標Pa3とを結ぶ線Laは直線となる。同様に、調光ガラスBの透過率の温度依存性が線形である場合、調光ガラスBが25℃において透過率T0となる座標Pbと調光ガラスBが-10℃において透過率T3となる座標Pb3とを結ぶ線Lbは直線となる。
【0068】
このような関係がある場合は、1℃当たりの透過率の変化量が一定であるため、調光ガラスAの座標Pa(25℃)および座標Pa3(-10℃)と、調光ガラスBの座標Pb(25℃)および座標Pb3(-10℃)とを求めた後、これらの関係を用いて調光ガラスA、Bの印加電圧をそれぞれ決定できる。つまり、これらの中間の任意の温度において、所定の透過率を得るための調光ガラスA、Bの印加電圧をそれぞれ決定できる。
【0069】
具体的には、調光ガラスAの座標Paおよび座標Pa3の値を用いて、直線Laの式を求める。同様に、調光ガラスBの座標Pbおよび座標Pb3の値を用いて、直線Lbの式を求める。そしてこれらの式に、設定する透過率Texの値を代入することで、調光ガラスA、Bの印加電圧をそれぞれ決定できる。
【0070】
なお、上記説明では、調光ガラスA、Bを25℃と-10℃で使用する例を示したが、調光ガラスA、Bを使用する複数の温度及び温度の点数は3以上で任意に決定できる。例えば、調光ガラスA、Bを使用する温度は、それぞれ、-10℃、0℃、25℃の3点として、印加電圧に対する透過率特性を得てもよい。さらに、任意の温度を3値以上とした場合は、最小二乗法等による線形近似や多項式近似等による曲線近似を用いて、所望の透過率が得られる印加電圧を決定してもよい。
【0071】
また、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムは、製品出荷時に調光ガラス11の各々が有する印加電圧に対する透過率の固有のばらつきを補正するためのパラメータ(印加電圧)を予め求め、この求めたパラメータを制御装置14のレジスタに書き込んでもよい。また、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムは、ユーザーが製品を使用する際に、調光ガラス11の固有のばらつきを補正するためのパラメータ(印加電圧)を求めてもよい。また、各々の調光ガラス11の透過率を透過率計を用いて自動で測定できるようにしてもよい。この場合、制御装置14は、
図7に示した傾きk、切片dを自動で取得できる。また、
図9~
図14に示した制御を自動で実施できる。
【0072】
なお、上記本発明では、制御装置14の制御処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることで実現してもよい。
【0073】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。磁気記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブなどである。光磁気記録媒体は、例えば光磁気ディスクなどである。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0074】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1 調光ガラス制御システム
11、11a~11c 調光ガラス
12、12a~12c 駆動部
13、13a~13c 操作部
14 制御装置
21、22 ガラス
23 中間膜
25 調光フィルム
26 配線