(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】搬送装置のティーチング方法及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20240820BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L21/68 G
B25J9/10 A
(21)【出願番号】P 2021042857
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真也
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/178420(WO,A1)
【文献】特開2000-127069(JP,A)
【文献】特開2015-119066(JP,A)
【文献】特開2004-214462(JP,A)
【文献】特開2003-188228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
B25J 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するピックと、マッピングセンサと、を有する搬送装置のティーチング方法であって、
前記マッピングセンサを用いてティーチング対象モジュールに配置された前記基板のエッジの位置を検出し、水平方向の一の方向のティーチング位置を設定するステップと、
設定された前記ティーチング位置に基づいて、前記ピックで前記基板を前記ティーチング対象モジュールからアライメント装置のステージに搬送するステップと、
前記ステージを所定の角度回転させ、前記基板のエッジの位置の軌跡を検出するステップと、
検出した前記基板のエッジの位置の軌跡に基づいて、前記ステージと前記基板との偏心量を推定するステップと、
を有する、搬送装置のティーチング方法。
【請求項2】
推定された前記偏心量が閾値を超えるか否かを判定し、推定された前記偏心量が前記閾値を超える場合、
前記ステージの回転角度を戻し、前記ピックで前記基板を前記アライメント装置から前記ティーチング対象モジュールに搬送するステップと、
推定された前記偏心量に基づいて、前記水平方向の他の方向の前記ティーチング位置を設定するステップと、
設定された前記ティーチング位置に基づいて、前記ピックで前記基板を前記ティーチング対象モジュールから前記アライメント装置の前記ステージに搬送するステップと、
前記ステージを前記所定の角度回転させ、前記基板のエッジの位置の軌跡を検出するステップと、
検出した前記基板のエッジの位置の軌跡に基づいて、前記ステージと前記基板との偏心量を推定するステップと、
を更に有する、請求項1に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項3】
前記所定の角度は、90°未満である、
請求項1または請求項2に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項4】
推定する前記偏心量は、前記ステージを90°回転した際の前記基板のエッジ位置の変化量である、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項5】
推定された前記偏心量が閾値を超えるか否かを判定し、推定された前記偏心量が前記閾値を超えない場合、
前記アライメント装置で前記ステージと前記基板との偏心量を測定するステップと、
前記ステージの回転角度を戻し、前記ピックで前記基板を前記アライメント装置から前記ティーチング対象モジュールに搬送するステップと、
測定された前記偏心量に基づいて、前記水平方向の前記ティーチング位置を設定するステップと、
を更に備える、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項6】
基板を保持するピック及びマッピングセンサを有する搬送装置と、
アライメント装置と、
制御部と、を有する搬送システムであって、
前記制御部は、
前記搬送装置を制御して、前記マッピングセンサを用いてティーチング対象モジュールに配置された前記基板のエッジの位置を検出するように構成され、
検出した前記基板のエッジの位置に基づいて、水平方向の一の方向のティーチング位置を設定するように構成され、
前記搬送装置を制御して、設定された前記ティーチング位置に基づいて、前記ピックで前記基板を前記ティーチング対象モジュールから前記アライメント装置のステージに搬送するように構成され、
前記アライメント装置を制御して、前記ステージを所定の角度回転させ、前記基板のエッジの位置の軌跡を検出するように構成され、
検出した前記基板のエッジの位置の軌跡に基づいて、前記ステージと前記基板との偏心量を推定するように構成される、
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置のティーチング方法及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板を搬送する搬送装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、被処理体の偏芯量と被処理体の外周に形成された切欠目印の位置を検出して補正可能な方向位置決め装置と、被処理体を載置部上に載置して所定の処理を施す処理室と、被処理体を搬送する搬送ロボットと、該搬送ロボットを制御する制御部とを備えた処理装置における搬送ロボットの搬送ズレを確認する方法であって、前記処理室内に搬送された時に処理室内でセンタリング手段によりセンタリングされる擬似被処理体を形成し、該擬似被処理体を前記搬送ロボットにより前記方向位置決め装置を経由して前記処理室内に搬送し、擬似被処理体をセンタリングした後、そのセンタリングされた擬似被処理体を前記方向位置決め装置に搬送して擬似被処理体の偏芯量及び偏心方向を検出し、その検出値に基いて搬送ロボットの搬送ズレを確認することを特徴とする搬送ロボットの搬送ズレ確認方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、搬送装置のティーチング方法及び搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を保持するピックと、マッピングセンサと、を有する搬送装置のティーチング方法であって、前記マッピングセンサを用いてティーチング対象モジュールに配置された前記基板のエッジの位置を検出し、水平方向の一の方向のティーチング位置を設定するステップと、設定された前記ティーチング位置に基づいて、前記ピックで前記基板を前記ティーチング対象モジュールからアライメント装置のステージに搬送するステップと、前記ステージを所定の角度回転させ、前記基板のエッジの位置の軌跡を検出するステップと、検出した前記基板のエッジの位置の軌跡に基づいて、前記ステージと前記基板との偏心量を推定するステップと、を有する、搬送装置のティーチング方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、搬送装置のティーチング方法及び搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す構成図。
【
図2】大気搬送装置のピック及びウエハの一例を示す平面図。
【
図5】大気搬送アームのティーチング動作の一例を説明するフローチャート。
【
図6】ウエハのエッジの位置を特定する動作の一例を示す図。
【
図7】大気搬送アームのティーチング動作の一例を説明するフローチャート。
【
図8】各時点におけるアライメント装置のウエハの状態を示す平面図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<基板処理装置100>
一実施形態に係る基板処理装置100について、
図1を用いて説明する。
図1は、一実施形態に係る基板処理装置100の一例を示す構成図である。
【0011】
基板処理装置100は、真空に保持され、基板の一例であるウエハWを搬送するための真空搬送室1と、真空搬送室1の周囲にて各々気密に接続され、ウエハWに対して所定の処理を行う複数の処理モジュールとを有する。この例では、処理モジュールは例えば4つ設けられているが、1つ以上設けられていればよい。以下では、4つの処理モジュールを処理室PM1、PM2、PM3、PM4といい、総称して処理室PMという。4つの処理室PM1~PM4及び2つのロードロック室2は、6角形の真空搬送室1の各辺にそれぞれ接続されている。
【0012】
処理室PM1~PM4では、所定温度に加熱された状態でウエハWに所定の処理が実行される。例えば、処理室PM1~PM4はCOR(Chemical Oxide Removal)処理室であってもよく、PHT(Post Heat Treatment)処理室であってもよい。また、例えば、処理室PM1~PM4で行われる処理としては、プラズマを用いたドライエッチング処理、アッシング処理であってもよい。その他の処理としては、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)による成膜処理、アニール処理であってもよい。また、ウエハWに含まれる水分を除去するためにウエハWを例えば200℃程度に加熱する水分除去処理であってもよい。処理室PM1及び処理室PM4は、ウエハWを載置する載置台、室内に処理ガスを供給するガス供給路及び室内を真空排気する排気管等を有している。
【0013】
真空搬送室1の内部には、基板搬送装置10が配置されている。基板搬送装置10は、第1の搬送アーム11と第2の搬送アーム12の2本のアームを有し、2本のアームの一方又は両方の上にウエハWを保持して搬送する。
【0014】
第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12は、真空搬送室1の底面に設けられた回転機構13により同軸回りに回転自在及び昇降自在に構成されている。第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12の先端部は、各々例えばU字型に形成されてウエハWを保持するピック14、15をなし、処理室PM1~処理室PM4及び2つのロードロック室2に対して水平方向に各々独立して進退自在に構成されている。
【0015】
第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12は、例えば回転機構13から伸び出すときの進行方向が互いに逆向きとなるように回転機構13に各々接続されている。第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12の進退及び昇降と、各処理室PM内のウエハWを置く載置台に設けられた昇降ピンの昇降との協働作用により各処理室PM及びロードロック室2の間にてウエハWの受け渡しが行われる。
【0016】
ロードロック室2は、真空搬送室1に気密に接続され、内部の雰囲気を真空雰囲気と大気雰囲気との間において切り替える。本実施形態では、ロードロック室2は2つ設けられているが、これに限られない。
【0017】
2つのロードロック室2には、大気雰囲気においてウエハWを搬送するための共通の大気搬送室3が気密に接続されている。大気搬送室3には、例えば25枚のウエハWが収納されたFOUP5を載置するためのロードポート4の載置台が複数箇所に設けられている。本実施形態では、載置台は4箇所に設けられるが、これに限られない。押圧機構41は、載置台の上のFOUP5を大気搬送室3側に押しつけるように機能する。
【0018】
大気搬送室3の内部には、ロードロック室2とFOUP5との間においてウエハWの受け渡しを行うための大気搬送装置30が設けられている。大気搬送装置30は、鉛直方向に昇降可能かつ鉛直軸回りに回転自在なアームを有する大気搬送アームと、ロードポート4の並びに沿って平行に移動自在に構成されたスライド機構(図示せず)と、を備える。2つのロードロック室2の間には、ウエハWの位置合わせを行うアライメント装置6が設置されている。なお、以下の説明において、大気搬送装置30及びアライメント装置6を搬送システムともいう。
【0019】
真空搬送室1と処理室PM1~PM4の間、真空搬送室1とロードロック室2の間、ロードロック室2と大気搬送室3の間にはそれぞれゲートバルブGが設けられ、ゲートバルブGの開閉によりウエハWを気密に搬送する。
【0020】
かかる構成の基板処理装置100は、たとえばコンピュータで構成される制御部7を有する。制御部7は、基板処理装置100の全体を制御する。制御部7は、メモリ及びCPUを有し、メモリには各処理室PMにて処理を行うために使用されるプログラム及びレシピが記憶されている。プログラムには、処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムが含まれる。レシピには、処理室PMが加熱される温度等のプロセス条件や処理手順、ウエハWの搬送経路が設定されている。
【0021】
CPUは、メモリに記憶されたプログラム及びレシピに従い、FOUP5から取り出したウエハWを大気搬送装置30、第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12を用いて所定の経路で複数の処理室PMに搬送する。そして、CPUは、レシピに設定されたプロセス条件に基づき各処理室PMにて所定の処理を実行する。プログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)などの記憶部に格納されて制御部7にインストールされてもよいし、通信機能を使用してダウンロードしてもよい。
【0022】
FOUP5から搬出された未処理のウエハWは、大気搬送装置30によりロードロック室2へ搬送される。次に、未処理のウエハWは、第1の搬送アーム11又は第2の搬送アーム12により処理室PMに搬送される。処理室PMにてウエハWに所望の処理(例えば、成膜処理等)が施される。処理室PMにて処理が施されたウエハWは、第1の搬送アーム11又は第2の搬送アーム12により他の処理室PMに搬送され、更に処理が施されてもよい。処理が施されたウエハWはロードロック室2を介してFOUP5に戻される。
【0023】
<大気搬送装置30>
次に、大気搬送装置30について、更に説明する。
図2は、大気搬送装置30のピック31及びウエハWの一例を示す平面図である。大気搬送装置30は、ウエハW(一点鎖線参照)を保持して搬送するピック31を有する。また、ピック31は、中心位置37が設けられている。中心位置37は、ピック31でウエハWを保持する際、ウエハWの中心が中心位置37と一致するように保持するための基準となる位置である。また、ピック31には、マッピングセンサ32が設けられている。マッピングセンサ32は、発光部33及び受光部34を有し、発光部33から照射されたビーム35を受光部34で検知することで、ビーム35の進路途中の遮光物(ウエハW)の有無を検出する。
【0024】
図3は、マッピング動作を説明する斜視図の一例である。発光部33及び受光部34を上昇(矢印36)させることで、FOUP5に収容されたウエハWの高さ方向位置を検出(マッピング)することができる。
【0025】
<アライメント装置>
図4は、アライメント装置6の一例を示す構成図である。
【0026】
アライメント装置6は、ステージ60と、検出部66と、を備える。
【0027】
ステージ60は、表面にウエハWが載置される。ステージ60の裏面には、シャフト61及び歯付プーリ62が設けられている。また、モータ65の回転軸には、歯付プーリ64が設けられている。歯付プーリ62と歯付プーリ64とは、歯付ベルト63で接続されている。これにより、モータ65によって、ステージ60は回転するようになっている。また、モータ65のエンコーダ(図示せず)によって、ステージ60の回転角度及び回転速度が検出可能となっている。
【0028】
検出部66は、ウエハWのエッジを検出する。検出部66は、光源67と、ラインセンサ68と、を有する。光源67及びラインセンサ68は、ステージ60に載置されるウエハWの端部付近に対向して配置される。また、ラインセンサ68は、径方向に複数の受光部68aが設けられている。検出部66は、一部の受光部68aにおいて光源67から照射された光が到達し、残部の受光部68aではウエハWによって遮蔽され光源67から照射された光が到達しないように配置される。これにより、ウエハWのエッジの径方向位置を検出する。例えば、径方向に配列された複数の受光部68aのうち、光を検出した最も内側の受光部68aの位置をウエハWのエッジの径方向位置として検出する。
【0029】
また、ステージ60を回転させながらウエハWのエッジの径方向位置を検出することにより、ウエハWのエッジを全周に亘って検出し、ウエハWの中心位置を算出することができる。これにより、ウエハWの中心位置とステージ60の中心位置とのずれ量(偏心量)を測定することができる。
【0030】
<大気搬送アームのティーチング動作>
次に、大気搬送装置30のティーチング動作について、
図5から
図8を用いて説明する。ここでは、FOUP5に収容されたウエハWをピック31で受け取るピック位置を大気搬送装置30にティーチングする動作について説明する。
【0031】
図5は、大気搬送装置30のティーチング動作の一例を説明するフローチャートである。ここでは、所定のロードポート4に設置されたFOUP5の所定のスロット(ティーチング対象モジュール)からウエハWを受け取るピック31の受取位置(ティーチング位置)をティーチングする動作について説明する。
【0032】
ここで、アライメント装置6に対する大気搬送装置30のティーチングは、完了しているものとする。即ち、大気搬送装置30のピック31をアライメント装置6に対する受渡位置まで移動させた際、ピック31の中心位置37(
図2参照)とアライメント装置6(ステージ60)の中心位置とは、一致しているものとする。なお、アライメント装置6に対する大気搬送装置30のティーチングは、例えば、ピック31の中心位置37とウエハWの中心とが一致するようにピック31にウエハWを載置し、ピック31の中心位置37がアライメント装置6に対する仮の受渡位置(受渡位置の設計値)となるようにウエハWを搬送してピック31からアライメント装置6にウエハWを受け渡し、アライメント装置6でウエハWの偏心量及び偏心方向を測定し、測定結果に基づいて仮の受渡位置を補正することにより、大気搬送装置30のアライメント装置6に対する受渡位置を設定する、ことにより実現する。
【0033】
ステップS101において、作業者は、ティーチング対象モジュールにウエハWを設置する。ここでは、作業者は、FOUP5の所定のスロットにウエハWを収容し、FOUP5を所定のロードポート4に設置する。
【0034】
ステップS102において、制御部7は、マッピング位置でウエハWをマッピングする。ここでは、制御部7は、ピック31に設けられたマッピングセンサ32を用いて、FOUP5に収容されたウエハWのマッピングを行う(
図2,3参照)。制御部7は、大気搬送装置30を制御して、ピック31を所定のマッピング位置に移動させ、マッピング位置からZ方向に上昇させることにより、マッピングを行う。なお、Y軸方向のマッピング位置は、ウエハWのエッジからY軸方向に所定の設定値(例えば、7mm)進んだ位置で設定されている。換言すれば、Y軸方向のマッピング位置は、ウエハWのエッジの位置の設計値及び設定値から決定される。
【0035】
ステップS103において、制御部7は、ステップS102のマッピングによってウエハWを検出したか否かを判定する。
【0036】
ウエハWを検出していない場合(S103・No)、制御部7の処理は、ステップS104に進む。ステップS104において、制御部7は、エラーと判定して、ティーチング動作を停止する。また、制御部7は、ウエハWの設置状態、大気搬送装置30の状態(ピック31の位置等)等の確認を促す警告を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。これにより、作業者にエラーの発生を報知することができる。
【0037】
ウエハWを検出した場合(S103・Yes)、制御部7の処理は、ステップS105に進む。ステップS105において、制御部7は、ステップS102のマッピング結果に基づいて、ピック31のZ軸方向(高さ方向)の受取位置(Pick Z位置)を設定する。
【0038】
ステップS106において、制御部7は、マッピング位置からY軸方向に所定の設定値(例えば、7mm)減算した位置をピック31の新たなマッピング位置とし、新たなマッピング位置でウエハWをマッピングする。なお、ステップS106における新たなマッピング位置は、ウエハWのエッジの位置の設計値に相当する。
【0039】
ステップS107において、制御部7は、ステップS106のマッピングによってウエハWを検出したか否かを判定する。
【0040】
ウエハWを検出した場合(S107・Yes)、制御部7の処理は、ステップS108に進む。
【0041】
ステップS108において、制御部7は、現在のマッピング位置からY軸方向に所定の送り値(例えば、1mm)減算した位置をピック31の新たなマッピング位置とし、新たなマッピング位置でウエハWをマッピングする。
【0042】
ステップS109において、制御部7は、ステップS108のマッピングによってウエハWを検出したか否かを判定する。ウエハWを検出した場合(S109・Yes)、制御部7の処理は、ステップS108に戻り、マッピング位置を送り値で更新してマッピングを繰り返す。
【0043】
ウエハWを検出していない場合(S109・No)、制御部7の処理は、ステップS110に進む。ステップS110において、制御部7は、ステップS106及びステップS108のマッピング結果に基づいて、ウエハWのエッジの位置を特定する。なお、ウエハWのエッジの位置の特定については、
図6を用いて後述する。そして、制御部7は、特定されたウエハWのエッジの位置とウエハWのエッジの位置の設計値との差をY軸方向の補正値とする。また、制御部7は、Y軸方向の補正値に基づいてY軸方向の受取位置の設計値を補正することにより、ピック31のY軸方向(水平方向の一の方向)の受取位置(Pick Y位置)を設定する。そして、制御部7の処理は、
図7のステップS201に進む。
【0044】
一方、ウエハWを検出していない場合(S107・No)、制御部7の処理は、ステップS111に進む。
【0045】
ステップS111において、制御部7は、現在のマッピング位置からY軸方向に所定の送り値(例えば、1mm)加算した位置をピック31の新たなマッピング位置とし、新たなマッピング位置でウエハWをマッピングする。
【0046】
ステップS112において、制御部7は、ステップS111のマッピングによってウエハWを検出したか否かを判定する。ウエハWを検出していない場合(S112・No)、制御部7の処理は、ステップS111に戻り、マッピング位置を送り値で更新してマッピングを繰り返す。
【0047】
ウエハWを検出した場合(S112・Yes)、制御部7の処理は、ステップS113に進む。ステップS113において、制御部7は、ステップS106及びステップS111のマッピング結果に基づいて、ウエハWのエッジの位置を特定する。なお、ウエハWのエッジの位置の特定については、
図6を用いて後述する。そして、制御部7は、特定されたウエハWのエッジの位置とウエハWのエッジの位置の設計値との差をY軸方向の補正値とする。また、制御部7は、Y軸方向の補正値に基づいてY軸方向の受取位置の設計値を補正することにより、ピック31のY軸方向(水平方向の一の方向)の受取位置(Pick Y位置)を設定する。そして、制御部7の処理は、
図7のステップS201に進む。
【0048】
ここで、ステップS106からステップS113に示すピック31のY軸方向の受取位置(Pick Y位置)の設定について、
図6を用いて更に説明する。
図6は、ウエハWのエッジの位置を特定する動作の一例を示す図である。また、
図6(a)は、例1から例4における各マッピング位置における補正量、Y軸方向の補正量を示す表の一例である。
図6(b)は、例1における動作を説明する模式図である。
図6(c)は、例3における動作を説明する模式図である。
【0049】
例1において、1回目のマッピング(S102)においてウエハWを検出した場合(S103・Yes)、1回目のマッピング位置からY軸方向に-7mm(設定値)の位置で2回目のマッピング(S106)を行う。2回目のマッピング(S106)においてウエハWを検出した場合(S107・Yes)、2回目のマッピング位置からY軸方向に-1mm(送り値)の位置で3回目のマッピング(S108)を行う。3回目のマッピングにおいてウエハWを検出しなかった場合(S109・No)、ウエハWのエッジは2回目のマッピングした位置と3回目のマッピングした位置との間にあると判定することができる。ここでは、2回目のマッピングした位置と3回目のマッピングした位置との中間(1回目のマッピング位置からY軸方向に-7.5mmの位置)にウエハWのエッジがあるものと特定する。そして、制御部7は、マッピング動作によって特定されたウエハWのエッジの位置(-7.5mm)とウエハWのエッジの位置の設計値(-7mm)との差を、Y軸方向の補正値(-0.5mm)とする。
【0050】
同様に、例2においては、2回目及び3回目のマッピングにおいてウエハWを検出し、4回目のマッピングにおいてウエハWを検出しなかった場合、ウエハWのエッジは3回目のマッピングした位置と4回目のマッピングした位置との間にあると判定することができる。ここでは、3回目のマッピングした位置と4回目のマッピングした位置との中間(1回目のマッピング位置からY軸方向に-8.5mmの位置)にウエハWのエッジがあるものと特定する。そして、制御部7は、マッピング動作によって特定されたウエハWのエッジの位置(-8.5mm)とウエハWのエッジの位置の設計値(-7mm)との差を、Y軸方向の補正値(-1.5mm)とする。
【0051】
また、例3において、1回目のマッピング(S102)においてウエハWを検出した場合(S103・Yes)、1回目のマッピング位置からY軸方向に-7mm(設定値)の位置で2回目のマッピング(S106)を行う。2回目のマッピング(S106)においてウエハWを検出しなかった場合(S107・No)、2回目のマッピング位置からY軸方向に+1mm(送り値)の位置で3回目のマッピング(S111)を行う。3回目のマッピングにおいてウエハWを検出した場合(S112・Yes)、ウエハWのエッジは2回目のマッピングした位置と3回目のマッピングした位置との間にあると判定することができる。ここでは、2回目のマッピングした位置と3回目のマッピングした位置との中間(1回目のマッピング位置からY軸方向に-6.5mmの位置)にウエハWのエッジがあるものと特定する。そして、制御部7は、マッピング動作によって特定されたウエハWのエッジの位置(-6.5mm)とウエハWのエッジの位置の設計値(-7mm)との差を、Y軸方向の補正値(+0.5mm)とする。
【0052】
同様に、例4においては、2回目及び3回目のマッピングにおいてウエハWを検出せず、4回目のマッピングにおいてウエハWを検出した場合、ウエハWのエッジは3回目のマッピングした位置と4回目のマッピングした位置との間にあると判定することができる。ここでは、3回目のマッピングした位置と4回目のマッピングした位置との中間(1回目のマッピング位置からY軸方向に-5.5mmの位置)にウエハWのエッジがあるものと特定する。そして、制御部7は、マッピング動作によって特定されたウエハWのエッジの位置(-5.5mm)とウエハWのエッジの位置の設計値(-7mm)との差を、Y軸方向の補正値(+1.5mm)とする。
【0053】
ここで、マッピング動作によって特定されたウエハWのエッジの位置は、ウエハWのエッジの位置の設計値に対して、Y軸方向の補正値の分ずれている。換言すれば、ティーチングするY軸方向の受取位置も、Y軸方向の受取位置の設計値に対して、Y軸方向の補正値の分ずれている。したがって、制御部7は、Y軸方向の受取位置の設計値をY軸方向の補正値で補正した値を、Y軸方向の受取位置(Pick Y位置)として設定する。なお、設定されたY軸方向の受取位置(Pick Y位置)の精度は、送り値の大きさによる。換言すれば、制御部7は、Y軸方向の受取位置の設計値をY軸方向の補正値で仮補正して、Y軸方向の受取位置(Pick Y位置)として設定する。
【0054】
なお、ステップS109において、ステップS108を所定回数(例えば、9回)以上繰り返してもウエハWを検出した場合(S109・Yes)、制御部7は、エラーと判定して、ティーチング動作を停止してもよい。また、ステップS112において、ステップS111を所定回数(例えば、9回)以上繰り返してもウエハWを検出しない場合(S112・No)、制御部7は、エラーと判定して、ティーチング動作を停止してもよい。また、制御部7は、ウエハWの設置状態、大気搬送装置30の状態(ピック31の位置等)等の確認を促す警告を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。これにより、作業者にエラーの発生を報知することができる。
【0055】
図7は、大気搬送装置30のティーチング動作の一例を説明するフローチャートである。
図8は、各時点におけるアライメント装置6のウエハWの状態を示す平面図の一例である。
図5に示すフローに従ってピック31のZ軸方向の受取位置(Pick Z位置)及びY軸方向の受取位置(Pick Y位置)が設定された後、
図7に示す処理が実行される。
【0056】
ステップS201において、制御部7は、ティーチング対象モジュールからアライメント装置6にウエハWを搬送する。ここでは、制御部7は、大気搬送装置30のピック31を制御して、ピック31の中心位置37をティーチング対象モジュールの受取位置に移動させてピック31でウエハWを受け取り、ピック31の中心位置37をアライメント装置6の受渡位置まで移動させてピック31でウエハWを搬送し、ピック31からアライメント装置6のステージ60にウエハWを受け渡す。ここで、X軸方向の受取位置は、X軸方向の受取位置の設定値とする。また、Y軸方向の受取位置は、ステップS110又はステップS113で設定されたY軸方向の受取位置(Pick Y位置)とする。
【0057】
図8(a)は、ウエハWをアライメント装置6のステージ60に載置した状態を示す。
図8(a)に示す例において、ステージ60の中心位置O
60とウエハWの中心位置O
Wとは、位置ずれが生じ、偏心している。具体的には、X軸方向の受取位置がティーチング前の状態(設定値)であることに起因して、ステージ60の中心位置O
60に対するウエハWの中心位置O
Wの左右方向のずれは、大きくずれている。一方、Y軸方向の受取位置の精度は送り値の大きさに基づくことにより、ステージ60の中心位置O
60に対するウエハWの中心位置O
Wの上下方向のずれは、小さいものとする。なお、ステージ60の回転前(0°)におけるラインセンサ68で検出するウエハWのエッジ位置をエッジ位置E
0とする。
【0058】
ステップS202において、制御部7は、ウエハWが載置されたステージ60を一の回転方向(例えば、時計回り)に所定角度(例えば、45°)回転させ、ラインセンサ68で回転開始(0°)から所定角度(例えば、45°)回転するまでの間のウエハWのエッジの位置の変位量Lを連続して検出し、記憶する。なお、ステージ60を回転させる所定角度は、360°未満であり、90°未満がより好ましい。
【0059】
図8(b)は、ウエハWが載置されたステージ60を時計回りに所定角度(例えば、45°)回転させた状態を示す。なお、
図8(b)において、ステージ60の回転前(0°)におけるラインセンサ68で検出するウエハWのエッジ位置をエッジ位置E
0とし、所定角度回転時(45°)におけるラインセンサ68で検出するウエハWのエッジ位置をエッジ位置E
45とする。制御部7は、ラインセンサ68で回転開始(0°)から所定角度(例えば、45°)回転するまでの間のウエハWのエッジの位置の変位量Lを連続して検出することにより、エッジ位置E
0からエッジ位置E
45までのウエハWのエッジの位置の軌跡E
arcを検出する。
【0060】
ステップS203において、制御部7は、所定角度回転するまでの間に連続して検出した変位量L(エッジの位置の軌跡Earc)に基づいて、偏心量を推定する。
【0061】
図8(c)は、ウエハWが載置されたステージ60を時計回りに90°回転させた仮想状態を示す。
図8(c)に示す例において、ステージ60を時計回りに90°回転させることにより、回転前のステージ60の中心位置O
60に対するウエハWの中心位置O
Wの左右方向にずれ(
図8(a)参照)は、ラインセンサ68で検出される上下方向のずれとなる。制御部7は、所定角度回転するまでの間に連続して検出した変位量L(
図8(b)に示すエッジの位置の軌跡E
arc)に基づいて、ステージ60を時計回りに90°回転させた際のエッジ位置の変位量L
90を推定する。そして、制御部7は、推定したエッジ位置の変位量L
90を偏心量として推定する。
【0062】
なお、ステージ60を時計回りに90°回転させた際のエッジ位置の変位量L
90を偏心量として推定するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、制御部7は、所定角度回転するまでの間に連続して検出した変位量L(
図8(b)に示すエッジの位置の軌跡E
arc)に基づいて、ウエハWの中心位置O
Wを推定する。その後、制御部7は、ステージ60の中心位置O
60に対するウエハWの中心位置O
Wのずれを偏心量として推定してもよい。
【0063】
ステップS204において、制御部7は、ステップS203で推定した偏心量がアライメント装置6の許容値(閾値)以内であるか否かを判定する。
【0064】
推定した偏心量がアライメント装置6の許容値以内でない場合(S204・No)、制御部7の処理は、ステップS205に進む。なお、制御部7は、ステージ60の回転が所定角度に到達する前に、推定した偏心量がアライメント装置6の許容値以内でないと判定した場合、ステージ60の回転を止め、制御部7の処理をステップS205に進めてもよい。
【0065】
ステップS205において、制御部7は、ステージ60を一の回転方向(例えば、時計回り)とは逆の回転方向(例えば、反時計回り)に回転させ、ウエハWをステージ60に載置した時点の元の角度まで戻す。ここで、
図8(d)は、ステージ60を元の角度まで戻した状態を示す。これにより、ウエハWはステージ60に載置した直後の状態(
図8(a)参照)に一致する。そして、制御部7は、大気搬送装置30のピック31を制御して、アライメント装置6からティーチング対象モジュールにウエハWを搬送する。これにより、ウエハWは、ステップS201の開始直前の状態に戻される。
【0066】
ステップS206において、制御部7は、ステップS203で推定した偏心量に基づいて、ピック31のX軸方向(水平方向の他の方向)の受取位置(Pick X位置)を設定する。換言すれば、制御部7は、X軸方向の受取位置の設計値を推定した偏心量で仮補正して、X軸方向の受取位置(Pick X位置)として設定する。
【0067】
そして、制御部7の処理は、ステップS201に戻り、ステップS201からS204を再度実行する。即ち、ステップS201において、制御部7は、大気搬送装置30のピック31を制御して、ピック31の中心位置37をティーチング対象モジュールの受取位置に移動させてピック31でウエハWを受け取り、ピック31の中心位置37をアライメント装置6の受渡位置まで移動させてピック31でウエハWを搬送し、ピック31からアライメント装置6のステージ60にウエハWを受け渡す。ここで、X軸方向の受取位置は、ステップS206で設定されたX軸方向の受取位置(Pick X位置)とする。また、Y軸方向の受取位置は、ステップS110又はステップS113で設定されたY軸方向の受取位置(Pick Y位置)とする。これにより、ステージ60の中心位置O
60に対するウエハWの中心位置O
Wの左右方向のずれは、
図8(a)の場合と比較して、小さくすることができる。以下、ステップS202からS204を再度実行する。
【0068】
推定した偏心量がアライメント装置6の許容値(例えば、ラインセンサ68の測定可能範囲)以内である場合(S204・Yes)、制御部7の処理は、ステップS207に進む。
【0069】
ステップS207において、制御部7は、アライメント装置6を動作させ偏心量を測定する。ここで、制御部7は、所定角度まで回転したステージ60の回転を継続させる。また、ラインセンサ68でウエハWのエッジの位置の変位量Lを連続して検出し、記憶する。これにより、ステップS202及びステップS207で、ウエハWの全周に対して、エッジの位置の変位量Lを記憶する。制御部7は、ウエハWの全周のエッジの位置の変位量L(全周のエッジ位置の軌跡)からウエハWの中心位置Owを測定し、ステージ60の中心位置O60に対するウエハWの中心位置Owのずれ量である偏心量を測定する。ここでは、ウエハWのエッジの全周を計測することにより、ステップS203で推定した偏心量よりも、高精度に偏心量を測定する。
【0070】
ステップS208において、制御部7は、ステージ60を元の角度まで戻す。そして、制御部7は、大気搬送装置30のピック31を制御して、アライメント装置6からティーチング対象モジュールにウエハWを搬送する。これにより、ウエハWは、ステップS201の開始直前の状態に戻される。
【0071】
ステップS209において、制御部7は、ステップS207でアライメント装置6で測定した偏心量に基づいて、ピック31のX軸方向の受取位置(Pick X位置)及びピック31のY軸方向の受取位置(Pick Y位置)を設定する。換言すれば、制御部7は、仮補正されたピック31のX軸方向及びY軸方向の受取位置をアライメント装置6で測定した偏心量で本補正して、X軸方向の受取位置(Pick X位置)及びY軸方向の受取位置(Pick Y位置)として設定する。
【0072】
以上、本実施形態に係る大気搬送装置30のティーチング方法によれば、水平方向(X軸方向、Y軸方向)の受取位置(ティーチング位置)を仮補正して偏心量がアライメント装置6の許容値に収まる状態とした後に、アライメント装置6を用いた受取位置の補正(S207~S209)を行うことができる。具体的には、受取位置の仮補正は、Y軸方向の受取位置(Pick Y位置)を仮補正(ステップS110,S113参照)し、X軸方向の受取位置(Pick X位置)を仮補正(ステップS206参照)する。これにより、受取位置の設定値とティーチング後の受取位置との乖離がアライメント装置6の許容値を超えるような場合であっても、受取位置を仮補正して、ティーチング動作を行うことができる。また、大気搬送装置30のティーチングを自動化することができる。
【0073】
また、Y軸方向の受取位置(Pick Y位置)を仮補正(ステップS110,S113参照)する際、ピック31に設けられるマッピングセンサ32を用いることができるので、新たな装置の追加を不要とすることができる。
【0074】
また、Y軸方向の受取位置を仮補正した後に、ウエハWをアライメント装置6に搬送し、アライメント装置6で偏心量を推定(ステップS202参照)する。これにより、Y軸方向の受取位置のずれによる偏心量を予め低減することができる。
【0075】
また、ステージ60を所定角度(例えば、45°)回転させて偏心量を推定(ステップS202参照)することにより、90°回転した際のエッジ位置の変化量L90が許容値(例えば、ラインセンサ68の測定可能範囲)を超えるような場合であっても、所定角度回転した際のエッジ位置の変化量Lが許容値(例えば、ラインセンサ68の測定可能範囲)内であれば、偏心量を推定することができる。これにより、受取位置の初期値と補正後の受取位置との乖離がアライメント装置6の許容値を超えるような場合であっても、ティーチング動作を行うことができる。
【0076】
なお、ステップS108,S111の送り値は、値を小さくするほどY軸方向の受取位置の仮補正の精度が向上するが、マッピング回数が増加しティーチング作業の時間が増加するおそれがある。一方、X軸方向及びY軸方向の受取位置は、アライメント装置6で測定した偏心量に基づいて本補正される(ステップS207~S209参照)。このため、送り値は、アライメント装置6の許容値に収まるように補正できればよい。これにより、ステップS109,S112の繰り返し回数を削減して、ティーチング作業の時間を短縮することができる。
【0077】
また、ステップS202及びステップS203において、ステージ60を所定角度(例えば、45°)回転させて偏心量を推定することができるので、ステージ60を1回転させる場合と比較して、短い処理時間で偏心量を推定することができる。
【0078】
なお、ステップS207において、ステージ60を1回転させて偏心量を計測するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、ステージ60を90°回転させてウエハWのエッジの位置の変位量Lを連続して検出し、連続して検出した変位量L(エッジの位置の軌跡)に基づいてウエハWの中心位置OWを推定し、ステージ60の中心位置O60に対するウエハWの中心位置Owのずれ量である偏心量を測定してもよい。これにより、ステージ60を1回転させる場合と比較して、短い処理時間で偏心量を計測することができる。
【0079】
なお、ティーチング対象モジュールとして、所定のロードポート4に設置されたFOUP5の所定のスロットを例に説明したが、これに限られるものではない。ロードロック室2をティーチング対象モジュールとした場合も同様にティーチングを行うことができる。
【0080】
また、ピック31のティーチング位置(受取位置)は直交座標系(X,Y,Z)で定義されるものとして説明したが、これに限られるものではない。本開示のティーチング動作は、円筒座標系(R,θ,Z)においても適用してもよい。
【0081】
以上、一実施形態に係る基板処理装置について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0082】
W ウエハ(基板)
4 ロードポート
5 FOUP
6 アライメント装置(搬送システム)
7 制御部
30 大気搬送装置(搬送装置、搬送システム)
31 ピック
32 マッピングセンサ
60 ステージ