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特許7540872パラメータ導出装置、パラメータ導出方法及びパラメータ導出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】パラメータ導出装置、パラメータ導出方法及びパラメータ導出プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240820BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240820BHJP
   H01L 21/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022572984
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046220
(87)【国際公開番号】W WO2022145225
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2020218976
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】茂木 弘典
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/050072(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/049974(WO,A1)
【文献】特表2020-520096(JP,A)
【文献】特開2019-047100(JP,A)
【文献】特開2007-140694(JP,A)
【文献】特開2004-119851(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208357(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ処理条件で処理された基板の処理前の形状を示すデータと、処理後の形状を示すデータとの複数の組み合わせであって、処理前または処理後のいずれかの形状を示すデータが他の組み合わせの処理前または処理後の形状を示すデータとは異なる前記複数の組み合わせを生成する生成部と、
前記複数の組み合わせに含まれるそれぞれの処理前の形状を示すデータを、形状シミュレータに入力することで予測される処理後の形状を示すデータと、対応する処理後の形状を示すデータとの各差分の総和を最小にする、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータの値を導出する導出部と
を有するパラメータ導出装置。
【請求項2】
前記複数の組み合わせには、
アスペクト比が互いに異なる、または、
マスク形状が互いに異なる、または、
膜種及びその相対的な位置が互いに異なる、または、
表面状態が互いに異なる、または、
周囲の開口率が互いに異なる、
処理前の形状を示すデータまたは処理後の形状を示すデータが含まれる、請求項1に記載のパラメータ導出装置。
【請求項3】
前記導出部は、
前記処理前の形状を示すデータとシミュレーションパラメータとを、前記形状シミュレータに入力して前記各差分の総和を算出する処理を、該シミュレーションパラメータの値を変更しながら繰り返し行うことで、前記各差分の総和を最小にする、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータの値を導出する、請求項1に記載のパラメータ導出装置。
【請求項4】
前記導出部は、
機械学習により求めたモデルを用いることにより、前記形状シミュレータに入力するシミュレーションパラメータの値を変更する、請求項3に記載のパラメータ導出装置。
【請求項5】
前記同じ処理条件で処理された基板には、処理前後の形状の変化が同程度となる処理条件で処理された基板が含まれる、請求項1に記載のパラメータ導出装置。
【請求項6】
前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータの各項目には、前記基板が処理された際の物理現象として、重複のない反応要素のカテゴリが含まれる、請求項5に記載のパラメータ導出装置。
【請求項7】
前記予測される処理後の形状を示すデータと、対応する処理後の形状を示すデータとの差分には、面積の差分、テーパ角の差分、深さの差分、ボーイングの差分、限界寸法の差分のいずれかが含まれる、請求項1に記載のパラメータ導出装置。
【請求項8】
前記導出部は、
所定の制約条件のもとで、前記シミュレーションパラメータの値を変更する、請求項1に記載のパラメータ導出装置。
【請求項9】
前記所定の制約条件は、
第1の処理条件で処理された基板の処理前の形状を示すデータと、処理後の形状を示すデータとの複数の組み合わせについて、前記各差分の総和を最小にする際に、前記導出部により変更されるシミュレーションパラメータの値と、
第2の処理条件で処理された基板の処理前の形状を示すデータと、処理後の形状を示すデータとの複数の組み合わせについて、前記各差分の総和を最小にする際に、前記導出部により変更されるシミュレーションパラメータの値と、
の間の共有関係、上下関係または比率関係を規定する、請求項8に記載のパラメータ導出装置。
【請求項10】
前記導出部は、
実験計画法に基づいて、前記シミュレーションパラメータの値を変更する、請求項1に記載のパラメータ導出装置。
【請求項11】
同じ処理条件で処理された基板の処理前の形状を示すデータと、処理後の形状を示すデータとの複数の組み合わせであって、処理前または処理後のいずれかの形状を示すデータが他の組み合わせの処理前または処理後の形状を示すデータとは異なる前記複数の組み合わせを生成する生成工程と、
前記複数の組み合わせに含まれるそれぞれの処理前の形状を示すデータを、形状シミュレータに入力することで予測される処理後の形状を示すデータと、対応する処理後の形状を示すデータとの各差分の総和を最小にする、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータの値を導出する導出工程と
を有するパラメータ導出方法。
【請求項12】
同じ処理条件で処理された基板の処理前の形状を示すデータと、処理後の形状を示すデータとの複数の組み合わせであって、処理前または処理後のいずれかの形状を示すデータが他の組み合わせの処理前または処理後の形状を示すデータとは異なる前記複数の組み合わせを生成する生成工程と、
前記複数の組み合わせに含まれるそれぞれの処理前の形状を示すデータを、形状シミュレータに入力することで予測される処理後の形状を示すデータと、対応する処理後の形状を示すデータとの各差分の総和を最小にする、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータの値を導出する導出工程と
をコンピュータに実行させるためのパラメータ導出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パラメータ導出装置、パラメータ導出方法及びパラメータ導出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の分野においては、従来より、基板形状の予測の際に形状シミュレータが利用される。形状シミュレータとは、所定の処理条件の下で基板を処理した場合の、処理後の基板形状を予測する装置である。
【0003】
当該形状シミュレータによれば、処理前の基板の断面形状を示す処理前断面画像と、所定の処理条件に関する情報(“シミュレーションパラメータ”と称す)とを入力することで、処理後の基板の断面形状を示す処理後予測断面画像を予測することができる。
【0004】
加えて、当該形状シミュレータを用いることで、例えば、処理前断面画像から、所望の処理後断面画像を得るための、最適なシミュレーションパラメータを導出することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-135365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような形状シミュレータでは、断面形状の異なる処理前断面画像が入力された場合に、仮に処理前後の断面形状が同じように変化していたとしても、それぞれ、異なるシミュレーションパラメータが導出されることになる。つまり、形状シミュレータにおいて個別の処理前断面画像について導出される最適なシミュレーションパラメータは、あくまで局所的な最適解であるといえる。
【0007】
一方で、処理前後の断面形状の変化が等しい場合には、処理前の断面形状の違いに関わらず、導出される最適なシミュレーションパラメータも同じであること(つまり、大域的な最適解が導出されること)が望ましい。
【0008】
本開示は、形状シミュレータを用いて、シミュレーションパラメータの大域的な最適解を導出する、パラメータ導出装置、パラメータ導出方法及びパラメータ導出プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によるパラメータ導出装置は、例えば、以下のような構成を有する。即ち、
同じ処理条件で処理された基板の処理前の形状を示すデータと、処理後の形状を示すデータとの複数の組み合わせであって、処理前または処理後のいずれかの形状を示すデータが他の組み合わせの処理前または処理後の形状を示すデータとは異なる複数の組み合わせを生成する生成部と、
前記複数の組み合わせに含まれるそれぞれの処理前の形状を示すデータを、形状シミュレータに入力することで予測される処理後の形状を示すデータと、対応する処理後の形状を示すデータとの各差分の総和を最小にする、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータの値を導出する導出部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
形状シミュレータを用いて、シミュレーションパラメータの大域的な最適解を導出する、パラメータ導出装置、パラメータ導出方法及びパラメータ導出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、形状シミュレーションシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、パラメータ導出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、収集データ格納部に格納される収集データの一例を示す図である。
図4図4は、パラメータ導出装置の機能構成の一例を示す第1の図である。
図5図5は、シミュレーションデータ生成部の処理の具体例を示す図である。
図6図6は、シミュレーションデータ格納部に格納されるシミュレーションデータの具体例を示す図である。
図7図7は、集約部の処理の具体例を示す図である。
図8図8は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す第1の図である。
図9図9は、差分算出部の処理の具体例を示す図である。
図10図10は、シミュレーションパラメータ導出処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図11図11は、パラメータ導出装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
図12図12は、制約条件規定部の処理の具体例を示す図である。
図13図13は、制約条件の具体例を示す図である。
図14図14は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す第2の図である。
図15図15は、シミュレーションパラメータ導出処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図16図16は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す第3の図である。
図17図17は、実験計画法の概要を説明するための図である。
図18図18は、シミュレーションパラメータ導出処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
<形状シミュレーションシステムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係るパラメータ導出装置を備える形状シミュレーションシステム全体のシステム構成について説明する。図1は、形状シミュレーションシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、形状シミュレーションシステム100は、基板処理装置110と、測定装置111、112と、パラメータ導出装置120と、形状シミュレータ130とを有する。
【0015】
図1において、基板処理装置110は、複数の処理前ウェハ(対象物)が搬送されることで、各種基板製造プロセス(例えば、ドライエッチング、デポジション)を実行する。
【0016】
なお、複数の処理前ウェハのうちの一部の処理前ウェハは、測定装置111に搬送され、様々な位置で断面方向に切断された後、測定装置111により断面形状が測定される。これにより、測定装置111では、処理前ウェハの断面形状を示す処理前断面画像を生成する。なお、測定装置111には、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等が含まれる。
【0017】
図1の例は、測定装置111が、ファイル名=「形状データLD001」、「形状データLD002」、「形状データLD003」・・・等の処理前断面画像を生成した様子を示している。
【0018】
一方、各種基板製造プロセスが実行されると、基板処理装置110からは、処理後ウェハが搬出される。このとき、基板処理装置110では、処理条件(各種基板製造プロセスの実行中に取得されたプロセスデータ、各種基板製造プロセスを実行する際に用いられたレシピパラメータ等)が保持される。
【0019】
処理後ウェハとして基板処理装置110から搬出された複数の処理後ウェハのうちの一部の処理後ウェハは、測定装置112に搬送され、様々な位置で断面方向に切断された後、測定装置112により断面形状が測定される。これにより、測定装置112では、処理後ウェハの断面形状を示す処理後断面画像を生成する。なお、測定装置111と同様に、測定装置112には、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等が含まれる。
【0020】
図1の例は、測定装置112が、ファイル名=「形状データLD001’」、「形状データLD002’」、「形状データLD003’」、・・・等の処理後断面画像を生成した様子を示している。
【0021】
測定装置111により生成された処理前断面画像、基板処理装置110によって保持されたプロセスデータ、レシピパラメータ等、測定装置112により生成された処理後断面画像は、収集データとして、パラメータ導出装置120に送信される。これにより、パラメータ導出装置120の収集データ格納部122には、収集データが格納される。
【0022】
パラメータ導出装置120には、パラメータ導出プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、パラメータ導出装置120は、パラメータ導出部121として機能する。
【0023】
パラメータ導出部121は、収集データ格納部122に格納された収集データを読み出し、形状シミュレータ130に入力するシミュレーションデータを生成した後、生成したシミュレーションデータをシミュレーションデータ格納部123に格納する。
【0024】
シミュレーションデータは、基板の処理前の形状を示すデータ及び処理後の形状を示すデータの組み合わせの一例として、収集データに含まれる処理前断面画像と処理後断面画像との組み合わせを複数有する。シミュレーションデータは、処理前後の断面形状の変化において、同じ効果が得られる処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)のグループごとに分類して管理される。
【0025】
なお、本実施形態では、処理前後の断面形状の変化において、同じ効果が得られる処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)のグループを、基板製造プロセスでの微細加工における最小のデータ単位を表す概念として、“Proxel”と称す。ただし、ここでいう“同じ効果”とは、断面形状の変化が完全に同じである必要はなく、断面形状の変化が同程度のもの(所定の範囲内のもの)を指すものとする。
【0026】
パラメータ導出部121では、Proxelごとに分類されたシミュレーションデータのうち、特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数の組み合わせを読み出す。
【0027】
また、パラメータ導出部121は、読み出した複数の組み合わせに含まれる複数の処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130より複数の処理後予測断面画像を取得する。
【0028】
ここで、パラメータ導出部121では、形状シミュレータ130を動作させる際、シミュレーションパラメータの値を変更しながら、複数の処理前断面画像を繰り返し形状シミュレータ130に入力する。
【0029】
このとき、パラメータ導出部121では、形状シミュレータ130から繰り返し出力される複数の処理後予測断面画像が、対応する複数の処理後断面画像に近づくように、シミュレーションパラメータの値を変更する。
【0030】
これにより、パラメータ導出部121では、複数の処理後予測断面画像と、対応する複数の処理後断面画像との各差分値の総和を最小にする、最適なシミュレーションパラメータの値を導出することができる。つまり、パラメータ導出部121によれば、大域的な最適解を導出することができる。
【0031】
形状シミュレータ130は、パラメータ導出部121より、処理前断面画像とシミュレーションパラメータの値とが入力されることで動作し、処理後予測断面画像を出力する。
【0032】
<パラメータ導出装置のハードウェア構成>
次に、パラメータ導出装置120のハードウェア構成について説明する。図2は、パラメータ導出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0033】
図2に示すように、パラメータ導出装置120は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、I/F(Interface)装置204、通信装置205、ドライブ装置206を有する。なお、パラメータ導出装置120の各ハードウェアは、バス207を介して相互に接続されている。
【0034】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラム(例えば、パラメータ導出プログラム等)をメモリ202上に読み出して実行する。
【0035】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0036】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種データを格納する。上述した収集データ格納部122及びシミュレーションデータ格納部123は、補助記憶装置203において実現される。
【0037】
I/F装置204は、外部装置の一例である形状シミュレータ130と、パラメータ導出装置120とを接続する接続デバイスである。
【0038】
通信装置205は、ネットワークを介して基板処理装置110、測定装置111、112等と通信するための通信デバイスである。
【0039】
ドライブ装置206は記録媒体210をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体210には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体210には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0040】
なお、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体210がドライブ装置206にセットされ、該記録媒体210に記録された各種プログラムがドライブ装置206により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、通信装置205を介してネットワークからダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0041】
<収集データの具体例>
次に、収集データ格納部122に格納される収集データの具体例について説明する。図3は、収集データ格納部に格納される収集データの一例を示す図である。
【0042】
図3に示すように、収集データ300には、情報の項目として“工程”、“ジョブID”、“処理前断面画像”、“プロセスデータ、レシピパラメータ等”、“Proxel”、“処理後断面画像”が含まれる。
【0043】
“工程”には、基板製造プロセスを示す名称が格納される。図3の例は、“工程”として、「ドライエッチング」が格納された様子を示している。
【0044】
“ジョブID”には、基板処理装置110により実行されるジョブを識別するための識別子が格納される。
【0045】
図3の例は、ドライエッチングの“ジョブID”として、「PJ001」、「PJ002」、「PJ003」が格納された様子を示している。
【0046】
“処理前断面画像”には、測定装置111により生成された処理前断面画像のファイル名が格納される。図3の例は、ジョブID=「PJ001」の場合、当該ジョブのロット(ウェハ群)のうちの1つの処理前ウェハについて、測定装置111により、ファイル名=「形状データLD001」の処理前断面画像が生成されたことを示している。
【0047】
また、図3の例は、ジョブID=「PJ002」の場合、当該ジョブのロット(ウェハ群)のうちの1つの処理前ウェハについて、測定装置111により、ファイル名=「形状データLD002」の処理前断面画像が生成されたことを示している。更に、図3の例は、ジョブID=「PJ003」の場合、当該ジョブのロット(ウェハ群)のうちの1つの処理前ウェハについて、測定装置111により、ファイル名=「形状データLD003」の処理前断面画像が生成されたことを示している。
【0048】
“プロセスデータ、レシピパラメータ等”には、基板処理装置110において処理後ウェハが搬送される際に保持された処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)が格納される。図3の例において、「プロセスデータセット001_1」等には、例えば、
・Vpp(電位差)、Vdc(直流自己バイアス電圧)、OES(発光分光分析による発光強度)、Reflect(反射波電力)、Top DCS current(ドップラ流速計の検出値)等のように、処理中に基板処理装置110から出力されるデータ、
・Plasma density(プラズマ密度)、Ion energy(イオンエネルギ)、Ion flux(イオン流量)等のように、処理中に測定されるデータ、
等のプロセスデータが含まれる。
【0049】
また、図3の例において、「レシピパラメータセット001_1」等には、例えば、
・Pressure(チャンバ内の圧力)、Power(高周波電源の電力)、Gas(ガス流量)、Temperature(チャンバ内の温度またはウェハの表面の温度)等のように、基板処理装置110に設定値として設定されるデータ、
・CD(限界寸法)、Depth(深さ)、Taper(テーパ角)、Tilting(チルト角)、Bowing(ボーイング)等のように、基板処理装置110に目標値として設定されるデータ、
等のレシピパラメータが含まれる。
【0050】
“Proxel”には、“プロセスデータ、レシピパラメータ等”に格納された(プロセスデータセットに含まれる)プロセスデータ、(レシピパラメータセットに含まれる)レシピパラメータ等が分類されるグループを示すProxel名が格納される。図3の例は、ジョブID=「PJ001」~「PJ003」にそれぞれ対応するプロセスデータ、レシピパラメータ等は、「Proxel_A」、「Proxel_B」、「Proxel_C」に分類されることを示している。
【0051】
“処理後断面画像”には、測定装置112により生成された処理後断面画像のファイル名が格納される。図3の例は、ジョブID=「PJ001」の場合、当該ジョブのロット(ウェハ群)のうちの1つの処理後ウェハについて、測定装置112により、ファイル名=「形状データLD001’」の処理後断面画像が生成されたことを示している。
【0052】
また、図3の例は、ジョブID=「PJ002」の場合、当該ジョブのロット(ウェハ群)のうちの1つの処理後ウェハについて、測定装置112により、ファイル名=「形状データLD002’」の処理後断面画像が生成されたことを示している。更に、図3の例は、ジョブID=「PJ003」の場合、当該ジョブのロット(ウェハ群)のうちの1つの処理後ウェハについて、測定装置111により、ファイル名=「形状データLD003’」の処理後断面画像が生成されたことを示している。
【0053】
<パラメータ導出装置の機能構成>
次に、パラメータ導出装置120の機能構成の詳細について説明する。図4は、パラメータ導出装置の機能構成の一例を示す第1の図である。図4に示すように、パラメータ導出装置120のパラメータ導出部121は、
・シミュレーションデータ生成部410(生成部の一例)、
・取得部420、
・集約部430、
・シミュレーションパラメータ算出部440(導出部の一例)、
・差分算出部450、
・出力部460、
を有する。
【0054】
シミュレーションデータ生成部410は、収集データ格納部122に格納された収集データを読み出し、シミュレーションデータを生成した後、生成したシミュレーションデータをシミュレーションデータ格納部123に格納する。シミュレーションデータ生成部410では、同じProxelごとにシミュレーションデータを生成する。
【0055】
取得部420は、シミュレーションデータ格納部123より、特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数の組み合わせのうち、複数の処理前断面画像を読み出す。
【0056】
また、取得部420は、読み出した複数の処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130を動作させる。
【0057】
集約部430は、特定のProxelのシミュレーションデータを用いて形状シミュレータ130を動作させるにあたり、形状シミュレータ130に入力するシミュレーションパラメータの項目を生成する。集約部430では、Proxelを構成するプロセスデータの項目、レシピパラメータの項目等を参照することで、シミュレーションパラメータの項目を生成する。
【0058】
シミュレーションパラメータ算出部440は、形状シミュレータ130に入力するシミュレーションパラメータの値を算出する。シミュレーションパラメータ算出部440では、まず、集約部430により生成されたシミュレーションパラメータの各項目に、所定の初期値を設定して形状シミュレータ130に入力する。
【0059】
続いて、シミュレーションパラメータ算出部440では、差分算出部450から各差分値を取得する。そして、シミュレーションパラメータ算出部440では、取得した各差分値の総和が最小となるように、シミュレーションパラメータの値を変更し、変更後のシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力する。
【0060】
なお、シミュレーションパラメータ算出部440では、各差分値の総和が最小となるまで、これらの処理を繰り返す。
【0061】
差分算出部450は、取得部420が複数の処理前断面画像を入力することで形状シミュレータ130より出力される複数の処理後予測断面画像を取得する。また、差分算出部450は、シミュレーションデータ格納部123より、対応する複数の処理後断面画像を読み出し、取得した複数の処理後予測断面画像との間で、それぞれ差分値を算出する。
【0062】
なお、差分算出部450では、複数の処理後断面画像及び複数の処理後予測断面画像それぞれから特徴量を抽出し、抽出した特徴量の差分値を算出する。ここでいう特徴量の差分値には、例えば、面積の差分値、テーパ角の差分値、深さの差分値、ボーイングの差分値、限界寸法の差分値等のいずれかの差分値が含まれる。
【0063】
また、差分算出部450は、算出した各差分値(処理後断面画像及び処理後予測断面画像の数に応じた数の差分値)をシミュレーションパラメータ算出部440に通知する。
【0064】
出力部460は、差分算出部450から各差分値を取得する。また、出力部460は、取得した各差分値の総和が最小となった際のシミュレーションパラメータの値を、シミュレーションパラメータ算出部440より取得する。更に、出力部460は、シミュレーションパラメータ算出部440より取得した当該シミュレーションパラメータの値を、最適なシミュレーションパラメータの値として出力する。
【0065】
<パラメータ導出装置の各部の処理の具体例>
次に、パラメータ導出装置120の各部(ここでは、シミュレーションデータ生成部410、集約部430、シミュレーションパラメータ算出部440、差分算出部450)の処理の具体例について説明する。
【0066】
(1)シミュレーションデータ生成部の処理の具体例
はじめに、シミュレーションデータ生成部410の処理の具体例について説明する。図5は、シミュレーションデータ生成部の処理の具体例を示す図である。
【0067】
図5に示すように、シミュレーションデータ生成部410は、収集データ格納部122より収集データ300を読み出し、同じProxelごとにシミュレーションデータを生成する。
【0068】
図5の例は、シミュレーションデータ生成部410が、収集データ300に基づいて、
・シミュレーションデータ510(データ名=「シミュレーションデータA」)、
・シミュレーションデータ520(データ名=「シミュレーションデータB」)、
・シミュレーションデータ530(データ名=「シミュレーションデータC」)を生成した様子を示している。
【0069】
図5の例において、シミュレーションデータ510は、収集データ300に含まれる複数の組み合わせのうち、Proxel名=「Proxel_A」が対応付けられた組み合わせからなるシミュレーションデータである。
【0070】
同様に、図5の例において、シミュレーションデータ520は、収集データ300に含まれる複数の組み合わせのうち、Proxel名=「Proxel_B」が対応付けられた組み合わせからなるシミュレーションデータである。
【0071】
同様に、図5の例において、シミュレーションデータ530は、収集データ300に含まれる複数の組み合わせのうち、Proxel名=「Proxel_C」が対応付けられた組み合わせからなるシミュレーションデータである。
【0072】
なお、上述したように、パラメータ導出部121では、同じProxelごとのシミュレーションデータを用いて最適なシミュレーションパラメータの値を導出する。図5の例は、
・シミュレーションデータ510を用いて最適なシミュレーションパラメータの値が導出され、シミュレーションパラメータセットAが出力されること、
・シミュレーションデータ520を用いて最適なシミュレーションパラメータの値が導出され、シミュレーションパラメータセットBが出力されること、
・シミュレーションデータ530を用いて最適なシミュレーションパラメータの値が導出され、シミュレーションパラメータセットCが出力されること、
を示している。
【0073】
続いて、シミュレーションデータの具体例について説明する。図6は、シミュレーションデータ格納部に格納されるシミュレーションデータの具体例を示す図である。
【0074】
図6において、紙面左側に示す処理前断面画像は、ファイル名が「形状データLD001」、「形状データLD005」、「形状データLD006」の処理前断面画像である。一方、図6において、紙面右側に示す処理後断面画像は、ファイル名が「形状データLD001’」、「形状データLD005’」、「形状データLD006’」の処理後断面画像である。
【0075】
上述したように、シミュレーションデータ510に含まれる処理前断面画像及び処理後断面画像の複数の組み合わせに対しては、最適なシミュレーションパラメータの値からなる共通のシミュレーションパラメータセットAが出力される。シミュレーションデータ生成部410では、このとき出力されるシミュレーションパラメータセットAが、より大域的な最適解となるように、断面形状の異なる断面画像を用いてシミュレーションデータ510を生成する。
【0076】
具体的には、シミュレーションデータ510は、いずれか1つの組み合わせに含まれる処理前断面画像が、他のいずれの組み合わせに含まれる処理前断面画像とも、断面形状が異なるように構成されているものとする(図6の紙面左側参照)。また、シミュレーションデータ510は、いずれか1つの組み合わせに含まれる処理後断面画像が、他のいずれの組み合わせに含まれる処理後断面画像とも、断面形状が異なるように構成されているものとする(図6の紙面右側参照)。
【0077】
つまり、同じProxleごとのシミュレーションデータは、処理前または処理後のいずれかの断面形状が他の組み合わせの処理前または処理後の断面形状のいずれとも異なる組み合わせによって構成される。
【0078】
なお、ここでいう“断面形状が異なる”とは、
・アスペクト比が互いに異なる、または、
・マスク形状が互いに異なる、または、
・膜種及びその相対的な位置が互いに異なる、または、
・表面状態が互いに異なる、または、
・周囲の開口率が互いに異なる、
のいずれかが含まれるものとする。
【0079】
このように、パラメータ導出部121では、単に複数の組み合わせを用いて最適なシミュレーションパラメータを導出するのではなく、互いに断面形状が異なる複数の組み合わせを用いて最適なシミュレーションパラメータを導出する。この結果、パラメータ導出部121によれば、より大域的な最適解を導出することができる。
【0080】
なお、図6では、処理前断面画像及び処理後断面画像の両方が、互いに異なる断面形状を有している例について示した。しかしながら、処理前断面画像または処理後断面画像の、いずれか一方が互いに異なる断面形状を有していてもよい。
【0081】
(2)集約部の処理の具体例
次に、集約部430の処理の具体例について説明する。図7は、集約部の処理の具体例を示す図である。
【0082】
図7に示すように、集約部430は、Proxel取得部701、シミュレーションパラメータ項目生成部702、シミュレーションパラメータ項目出力部703を有する。
【0083】
Proxel取得部701は、シミュレーションデータ格納部123に格納されたシミュレーションデータのうち、特定のシミュレーションデータに対応するProxelを構成する、プロセスデータの項目、レシピパラメータの項目を取得する。
【0084】
図7の符号700に示すように、Proxel_A~Proxel_Cは、プロセスデータの項目、レシピパラメータの項目等からなる多次元の空間を、同一の効果を有するプロット同士で小空間に区切ることで生成される。図7の符号700の例は、高周波電源の電力、低周波電源の電力、チャンバ内の圧力で構成される3次元の空間を区切ることで生成された各Proxelの小空間を示している。
【0085】
Proxel取得部701では、Proxel_Aのシミュレーションデータを用いて最適なシミュレーションパラメータの値を導出するにあたり、Proxel_Aを構成する、
・(プロセスデータセット001に含まれる)プロセスデータの項目及び値、
・(レシピパラメータセット001に含まれる)レシピパラメータの項目及び値、
等を取得する。図7の例は、Proxel取得部701が、高周波電源の電力、低周波電源の電力、チャンバ内の圧力を取得した様子を示している。
【0086】
シミュレーションパラメータ項目生成部702は、Proxel取得部701により取得されたプロセスデータの項目及び値、レシピパラメータの項目及び値を参照することで、形状シミュレータ130のシミュレーションパラメータの項目Aを生成する。シミュレーションパラメータ項目生成部702では、例えば、粒子系のシミュレーションパラメータと、反応系のシミュレーションパラメータとに分けて項目Aを生成する。なお、シミュレーションパラメータ項目生成部702がシミュレーションパラメータの項目を生成するにあたっては、ドメイン知識が反映されてもよい。
【0087】
図7の例は、粒子系のシミュレーションパラメータの項目として、等方エッチング成分の量等が生成されたことを示している。また、反応系のシミュレーションパラメータの項目として、イオン挙動に関する量、イオン角分布、スパッタリング効率の角度分布等が生成されたことを示している。
【0088】
このように、シミュレーションパラメータ項目生成部702では、Proxelを構成するプロセスデータの項目、レシピパラメータの項目等を、物理現象として重複のない反応要素のカテゴリに抽象化することで、シミュレーションパラメータの項目Aを生成する。これにより、シミュレーションパラメータ項目生成部702では、次元数を削減したシミュレーションパラメータの項目Aを生成することができる。
【0089】
シミュレーションパラメータ項目出力部703は、シミュレーションパラメータ項目生成部702により生成されたシミュレーションパラメータの項目Aを、シミュレーションパラメータ算出部440に出力する。
【0090】
(3)シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例
次に、シミュレーションパラメータ算出部440の処理の具体例について説明する。図8は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す第1の図である。
【0091】
図8に示すように、シミュレーションパラメータ算出部440は、シミュレーションパラメータ項目取得部801、初期値設定部802、シミュレーションパラメータ入力部803、値変更部804、差分値取得部805を有する。
【0092】
シミュレーションパラメータ項目取得部801は、集約部430より、シミュレーションパラメータの項目(例えば、“シミュレーションパラメータの項目A”)を取得し、シミュレーションパラメータ入力部803に設定する。
【0093】
初期値設定部802は、シミュレーションパラメータの各項目に対応する初期値を、シミュレーションパラメータ入力部803に設定する。
【0094】
シミュレーションパラメータ入力部803は、複数の処理前断面画像が形状シミュレータ130に入力される際に、シミュレーションパラメータの値を入力する。シミュレーションパラメータ入力部803では、はじめに初期値を入力し、以降は、値変更部804により変更指示された値を入力する。
【0095】
また、シミュレーションパラメータ入力部803は、各差分値の総和を最小にする、最適なシミュレーションパラメータの値からなるシミュレーションパラメータセット(ここでは、“シミュレーションパラメータセットA”)を、出力部460に出力する。
【0096】
値変更部804は、シミュレーションパラメータ入力部803に対して、シミュレーションパラメータの値の変更指示を行う。具体的には、値変更部804は、差分値取得部805より各差分値の総和が通知されるごとに、通知された各差分値の総和に応じた変更指示を、シミュレーションパラメータ入力部803に対して行う。なお、値変更部804では、シミュレーションパラメータの項目の数に応じた数の変更指示を、シミュレーションパラメータ入力部803に対して行う。なお、値変更部804が行う変更指示には、変更方向(増減)と変更量とが含まれる。
【0097】
これにより、シミュレーションパラメータ入力部803では、各差分値の総和に応じたシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力することができる。
【0098】
差分値取得部805は、差分算出部450より通知された各差分値を取得する。差分値取得部805では、形状シミュレータ130に入力された処理前断面画像の数に応じた数の各差分値を取得する。
【0099】
また、差分値取得部805は、取得した各差分値の総和を算出するとともに、前回取得した各差分値の総和と比較し、各差分値の総和が拡大したか縮小したかを判定する。また、差分値取得部805は、算出した各差分値の総和と判定結果とを、値変更部804に通知する。これにより、値変更部804では、各シミュレーションパラメータの値の変更指示(変更方向と変更量とを含む)を決定することができる。
【0100】
(4)差分算出部の処理の具体例
次に、差分算出部450の処理の具体例について説明する。図9は、差分算出部の処理の具体例を示す図である。
【0101】
図9に示すように、差分算出部450は、処理後断面画像取得部901、処理後予測断面画像取得部902、特徴量算出部903、特徴量差分算出部904を有する。
【0102】
処理後断面画像取得部901は、形状シミュレータ130に入力された複数の処理前断面画像(例えば、形状データLD001、LD005、LD006)に対応する、処理後断面画像(例えば、形状データLD001’、LD005’、LD006’)を取得する。また、処理後断面画像取得部901は、取得した処理後断面画像を特徴量算出部903に通知する。
【0103】
処理後予測断面画像取得部902は、複数の処理前断面画像(例えば、形状データLD001、LD005、LD006)が入力されたことに応じて、複数の処理後予測断面画像(例えば、LD101’、LD105’、LD106’)を取得する。また、処理後予測断面画像取得部902は、取得した処理後予測断面画像を、特徴量算出部903に通知する。
【0104】
特徴量算出部903は、処理後断面画像取得部901より通知された処理後断面画像から特徴量を抽出する。また、特徴量算出部903は、処理後予測断面画像取得部902より通知された処理後予測断面画像から特徴量を抽出する。なお、特徴量算出部903により抽出される特徴量には、例えば、断面の面積、テーパ角、深さ、ボーイング、限界寸法等が含まれる。
【0105】
特徴量算出部903は、処理後断面画像から抽出した特徴量と、処理後予測断面画像から抽出した特徴量とを、特徴量差分算出部904に通知する。
【0106】
特徴量差分算出部904は、処理後断面画像から抽出された特徴量と、処理後予測断面画像から抽出された特徴量との差分値を算出し、算出した差分値をシミュレーションパラメータ算出部440に通知する。特徴量差分算出部904は、形状シミュレータ130に入力された処理前断面画像の数に応じた数の差分値の算出を行い、算出した各差分値を、シミュレーションパラメータ算出部440に通知する。
【0107】
<シミュレーションパラメータ導出処理>
次に、パラメータ導出装置120によるシミュレーションパラメータ導出処理の流れについて説明する。図10は、シミュレーションパラメータ導出処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0108】
ステップS1001において、パラメータ導出装置120は、収集データを読み出し、シミュレーションデータを生成する。
【0109】
ステップS1002において、パラメータ導出装置120は、特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数の組み合わせを取得する。
【0110】
ステップS1003において、パラメータ導出装置120は、特定のProxelを構成するプロセスデータの項目及び値、レシピパラメータの項目及び値等を参照し、シミュレーションパラメータの項目を生成する。
【0111】
ステップS1004において、パラメータ導出装置120は、シミュレーションパラメータの項目に初期値を設定し、形状シミュレータ130に入力する。
【0112】
ステップS1005において、パラメータ導出装置120は、複数の組み合わせに含まれる複数の処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力する。
【0113】
ステップS1006において、パラメータ導出装置120は、形状シミュレータ130を動作させる。
【0114】
ステップS1007において、パラメータ導出装置120は、形状シミュレータ130より、複数の処理後予測断面画像を取得する。
【0115】
ステップS1008において、パラメータ導出装置120は、複数の組み合わせに含まれる複数の処理後断面画像と、複数の処理後予測断面画像との各差分値を算出する。
【0116】
ステップS1009において、パラメータ導出装置120は、各差分値の総和が最小になったか否かを判定する。
【0117】
ステップS1009において、各差分値の総和が最小になっていないと判定した場合には(ステップS1009においてNOの場合には)、ステップS1010に進む。
【0118】
ステップS1010において、パラメータ導出装置120は、シミュレーションパラメータの値を変更し、変更後のシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力した後、ステップS1005に戻る。
【0119】
一方、ステップS1009において、各差分値の総和が最小になったと判定した場合には(ステップS1009においてYESの場合には)、ステップS1011に進む。
【0120】
ステップS1011において、パラメータ導出装置120は、各差分値の総和を最小にする最適なシミュレーションパラメータの値を出力する。
【0121】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係るパラメータ導出装置120は、
・同じProxelのもとで処理された基板の処理前断面画像と、処理後断面画像との複数の組み合わせであって、処理前または処理後のいずれかの断面形状が他の組み合わせの処理前または処理後の断面形状とは異なる複数の組み合わせを生成する。
・複数の組み合わせに含まれるそれぞれの処理前断面画像を、形状シミュレータに入力することで予測される処理後予測断面画像と、対応する処理後断面画像との各差分値の総和を最小にする、シミュレーションパラメータの値を導出する。
【0122】
このように、互いに断面形状の異なる複数の組み合わせから、共通のシミュレーションパラメータの値を導出する構成とすることで、第1の実施形態に係るパラメータ導出装置120によれば、大域的な最適解を導出することが可能となる。
【0123】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、形状シミュレータ130に入力するシミュレーションパラメータの値を、任意に変更するものとして説明した。これに対して、第2の実施形態では、所定の制約条件のもとで変更する。
【0124】
これにより、第2の実施形態によれば、最適なシミュレーションパラメータの値を導出するにあたり、形状シミュレータ130の動作回数を削減することができる。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0125】
<パラメータ導出装置の機能構成>
はじめに、第2の実施形態に係るパラメータ導出装置の機能構成について説明する。図11は、パラメータ導出装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
【0126】
図4に示したパラメータ導出装置120との相違点は、図11の場合、制約条件規定部1110が含まれている点、及び、シミュレーションパラメータ算出部1120の機能が、シミュレーションパラメータ算出部440の機能とは異なっている点である。
【0127】
制約条件規定部1110は、シミュレーションパラメータ算出部1120がシミュレーションパラメータの値を変更する際の、制約条件を規定する。
【0128】
具体的には、制約条件規定部1110は、Proxelを構成するプロセスデータの値、レシピパラメータの値等に基づいて、制約条件を規定する。ここでいう制約条件とは、
・特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる処理前断面画像及び処理後断面画像の複数の組み合わせについて、最適なシミュレーションパラメータを導出する際に変更するシミュレーションパラメータの値と、
・他のProxelのシミュレーションデータに含まれる処理前断面画像及び処理後断面画像の複数の組み合わせについて、最適なシミュレーションパラメータを導出する際に変更するシミュレーションパラメータの値と、
の間の共有関係、上下関係または比率関係等を指す。
【0129】
シミュレーションパラメータ算出部1120は、形状シミュレータ130に入力するシミュレーションパラメータの値を算出する。シミュレーションパラメータ算出部1120では、まず、制約条件規定部1110により規定された制約条件に応じた初期値を設定して形状シミュレータ130に入力する。
【0130】
続いて、シミュレーションパラメータ算出部1120では、差分算出部450から各差分値を取得する。そして、シミュレーションパラメータ算出部1120では、取得した各差分値の総和が最小となるように、シミュレーションパラメータの値を変更する。その際、シミュレーションパラメータ算出部1120では、制約条件規定部1110により規定された制約条件のもとでシミュレーションパラメータの値を変更し、変更後のシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力する。
【0131】
なお、シミュレーションパラメータ算出部1120では、各差分値の総和が最小となるまで、これらの処理を繰り返す。
【0132】
<パラメータ導出装置の各部の処理の具体例>
次に、第2の実施形態に係るパラメータ導出装置120の各部(ここでは、制約条件規定部1110、シミュレーションパラメータ算出部1120)の処理の具体例について説明する。
【0133】
(1)制約条件規定部の処理の具体例
はじめに、制約条件規定部1110の処理の具体例について説明する。図12は、制約条件規定部の処理の具体例を示す図である。
【0134】
このうち、図12の符号1210は、「Proxel_A」~「Proxel_E」をそれぞれ構成するプロセスデータの具体的な値を示している。符号1210に示す各Proxelを構成するプロセスデータの値の場合、制約条件規定部1110では、例えば、下記の制約条件を規定する(符号1220)。
・Powerごとに、シミュレーションパラメータのスパッタリング効率及びイオン角を固定にする(制約条件<1>)。
・温度が一定であるため、シミュレーションパラメータのデポ付着係数を固定にする(制約条件<2>)。
・C4F6の流量ごとに、シミュレーションパラメータのデポ量を固定にする(制約条件<3>)。
・C4F6/Ar/O2ガスの比率ごとに、シミュレーションパラメータのデポ除去量、エッチング量の比率を固定にする(制約条件<4>)。
・Ar単ガス条件の場合、シミュレーションパラメータのデポ関連のパラメータと、ラジカルエッチング関連のパラメータとを除外する(制約条件<5>)。
【0135】
続いて、制約条件(符号1220)の具体例について説明する。図13は、制約条件の具体例を示す図である。
【0136】
このうち、符号1310は、制約条件<1>の具体例であり、
・Power=40MHz、1400Wのプロセスデータを含むProxel_A、Proxel_B、Proxel_Cのシミュレーションデータについて、最適なシミュレーションパラメータの導出に際しては、スパッタリング効率及びイオン角を固定にする、
・Power=40MHz、800Wのプロセスデータを含むProxel_D、Proxel_Eのシミュレーションデータについて、最適なシミュレーションパラメータの導出に際しては、スパッタリング効率及びイオン角を固定にする、
ことを示している。
【0137】
また、符号1320は、制約条件<2>の具体例であり、
・温度が同じプロセスデータを含むProxel_A~Proxel_Eのシミュレーションデータについて、最適なシミュレーションパラメータの導出に際しては、デポ付着係数を固定にする、
ことを示している。
【0138】
また、符号1330は、制約条件<3>の具体例であり、
・C4F6の流量=10sccmのプロセスデータを含むProxel_A、Proxel_Bのシミュレーションデータについて、最適なシミュレーションパラメータの導出に際しては、デポ量を共有にする、
ことを示している。
【0139】
また、符号1350は、制約条件<4>の具体例であり、
・C4F6/Ar/O2ガスの比率が同一のプロセスデータを含むProxel_A、Proxel_Dのシミュレーションデータについて、最適なシミュレーションパラメータの導出に際しては、デポ除去量、エッチング量の比率を固定にする、
ことを示している。
【0140】
また、符号1340は、制約条件<5>の具体例であり、
・Ar単ガス条件のプロセスデータを含むProxel_C、Proxel_Eのシミュレーションデータについて、最適なシミュレーションパラメータの導出に際しては、デポ関連及びエッチング関連のシミュレーションパラメータの値を“ゼロ”に固定する、
ことを示している。
【0141】
(2)シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例
次に、シミュレーションパラメータ算出部1120の処理の具体例について説明する。図14は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す第2の図である。
【0142】
図8に示したシミュレーションパラメータ算出部440との相違点は、図14のシミュレーションパラメータ算出部1120の場合、制約条件設定部1401を有する点である。
【0143】
制約条件設定部1401では、制約条件規定部1110より制約条件を取得すると、取得した制約条件を、初期値設定部802、シミュレーションパラメータ入力部803に設定する。
【0144】
これにより、初期値設定部802では、制約条件に応じた初期値を、シミュレーションパラメータ入力部803に設定することができる。また、シミュレーションパラメータ入力部803では、制約条件のもとで変更したシミュレーションパラメータを、形状シミュレータ130に入力することができる。
【0145】
<シミュレーションパラメータ導出処理>
次に、第2の実施形態に係るパラメータ導出装置120によるシミュレーションパラメータ導出処理の流れについて説明する。図15は、シミュレーションパラメータ導出処理の流れを示す第2のフローチャートである。図10に示したフローチャートとの相違点は、ステップS1501~S1502、ステップS1503~S1504である。
【0146】
ステップS1501において、パラメータ導出装置120は、Proxelを構成するプロセスデータの値、レシピパラメータの値等に基づいて、制約条件を規定する。
【0147】
ステップS1502において、パラメータ導出装置120は、シミュレーションパラメータの項目に、制約条件に応じた初期値を設定し、形状シミュレータ130に入力する。
【0148】
ステップS1503において、パラメータ導出装置120は、ステップS1010において変更された変更後のシミュレーションパラメータの値が、制約条件を満たすか否かを判定する。
【0149】
ステップS1503において、制約条件を満たすと判定した場合には(ステップS1503においてYESの場合には)、ステップS1005に戻る。
【0150】
一方、ステップS1503において、制約条件を満たさないと判定した場合には(ステップS1503においてYESの場合には)、ステップS1504に進む。
【0151】
ステップS1504において、パラメータ導出装置120は、ステップS1010において変更された、変更後のシミュレーションパラメータの値を、制約条件に基づいて修正し、形状シミュレータ130に入力した後、ステップS1005に戻る。
【0152】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係るパラメータ導出装置は、最適なシミュレーションパラメータの値を導出する際、形状シミュレータに入力するシミュレーションパラメータの値を、所定の制約条件のもとで変更する。
【0153】
これにより、第2の実施形態によれば、最適なシミュレーションパラメータの値を導出するにあたり、形状シミュレータの動作回数を削減することができる。
【0154】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、シミュレーションパラメータの値の変更方法について言及しなかったが、シミュレーションパラメータ算出部は、例えば、シミュレーションパラメータの値を、実験計画法に基づいて変更するように構成してもよい。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0155】
<シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例>
はじめに、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例について説明する。図16は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す第3の図である。
【0156】
図8に示したシミュレーションパラメータ算出部440との相違点は、図16のシミュレーションパラメータ算出部1610の場合、値変更部1611の機能が、図8の値変更部804の機能とは異なっている点である。
【0157】
値変更部1611では、シミュレーションパラメータの各項目の値を変更する際、実験計画法に基づき、複数の項目を同時に変更する。これにより、値変更部1611によれば、最適なシミュレーションパラメータの値を導出するにあたり、形状シミュレータの動作回数を削減することが可能になる。
【0158】
<実験計画法の概要>
次に、値変更部1611により用いられる実験計画法の概要について説明する。図17は、実験計画法の概要を説明するための図である。
【0159】
このうち、図17の17aは、比較例として、シミュレーションパラメータの各項目の値を逐次的に変更する変更方法を、模式的に示した図である。図17の17aの場合、複数のシミュレーションパラメータの項目のうち、1回の変更においてシミュレーションパラメータの値が変更されるのは、1つの項目に限られる(符号1710の太線枠参照)。このため、空間1711における6点のシミュレーションパラメータが、形状シミュレータ130に入力されることになる。
【0160】
一方、図17の17bは、実験計画法に基づいて、シミュレーションパラメータの各項目の値を変更する変更方法を、模式的に示した図である。図17の17bの場合、複数のシミュレーションパラメータの項目のうち、1回の変更において、複数のシミュレーションパラメータの値を変更することができる(符号1720の太線枠参照)。この結果、空間1721における4点のシミュレーションパラメータが、形状シミュレータ130に入力されることになる。
【0161】
このように、実験計画法を用いれば、最適なシミュレーションパラメータの値に到達するまでのシミュレーションパラメータの変更回数を削減することが可能になる。この結果、形状シミュレータの動作回数を削減することが可能になる。
【0162】
<シミュレーションパラメータ導出処理>
次に、第3の実施形態に係るパラメータ導出装置120によるシミュレーションパラメータ導出処理の流れについて説明する。図18は、シミュレーションパラメータ導出処理の流れを示す第3のフローチャートである。図10に示したフローチャートとの相違点は、ステップS1801である。
【0163】
ステップS1801において、パラメータ導出装置120は、実験計画法に基づいて、シミュレーションパラメータの値を変更し、変更後のシミュレーションパラメータの値を、形状シミュレータ130に入力する。
【0164】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係るパラメータ導出装置は、最適なシミュレーションパラメータの値を導出する際、形状シミュレータに入力するシミュレーションパラメータの値を、実験計画法に基づいて変更する。
【0165】
これにより、第3の実施形態によれば、最適なシミュレーションパラメータの値を導出するにあたり、形状シミュレータの動作回数を削減することができる。
【0166】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態において値変更部は、差分値取得部805から通知された各差分値の総和と、各差分値の総和が拡大したか縮小したかの判定結果とに基づいて、シミュレーションパラメータの値の変更方向及び変更量を決定するものとして説明した。
【0167】
しかしながら、値変更部による変更方向及び変更量の決定方法はこれに限定されない。例えば、各差分値の総和と、変更方向及び変更量との関係を予め機械学習により求めておいてもよい。これにより、値変更部は、当該機械学習により求めた学習結果(モデル)を用いて、シミュレーションパラメータの値の変更方向及び変更量を決定することが可能になる。
【0168】
また、上記各実施形態では、集約部によるシミュレーションパラメータの項目の生成方法について詳細に言及しなかった。しかしながら、集約部は、例えば、Proxelを構成するプロセスデータの項目及び値、レシピパラメータの項目及び値等と、シミュレーションパラメータの項目との関係を予め機械学習により求めておいてもよい。これにより、集約部は、当該機械学習により求めた学習結果(モデル)を用いて、シミュレーションパラメータの項目を生成することが可能になる。
【0169】
また、上記各実施形態では、各差分値の総和を最小にするシミュレーションパラメータの値を、最適なシミュレーションパラメータの値として導出する場合について説明した。しかしながら、最適なシミュレーションパラメータの値の導出方法はこれに限定されず、例えば、各差分値を重み付け加算した値を最小にするシミュレーションパラメータの値を、最適なシミュレーションパラメータの値として導出するように構成してもよい。
【0170】
また、上記各実施形態では、パラメータ導出装置120と形状シミュレータ130とを別体として構成したが、パラメータ導出装置120と形状シミュレータ130とは、一体として構成してもよい。
【0171】
また、上記各実施形態において、シミュレーションデータは、基板の処理前の形状を示すデータ及び処理後の形状を示すデータの組み合わせの一例として、処理前断面画像と処理後断面画像との組み合わせを有するものとして説明した。しかしながら、シミュレーションデータが有する形状を示すデータの組み合わせは断面画像に限定されず、形状シミュレータ130用に加工した2次元の画像や3次元の画像であってもよい。あるいは、断面画像以外の画像またはデータに基づいて、形状シミュレータ130用に加工された2次元の画像や3次元の画像またはデータであってもよい。具体的には、
・断面画像に基づいて作成した、2次元または3次元の形状シミュレータ用データ、
・上面から観察した画像に基づいて作成した、3次元の形状シミュレータ用データ、
・輪郭データを取得する測定装置により取得された輪郭データに基づいて作成した、2次元または3次元の形状シミュレータ用データの組み合わせ、
・寸法データなどから理想形状として作成した3次元の形状シミュレータ用データ(真上から見た画像と断面画像とに基づいて復元された、3次元の形状シミュレータ用データ)、
等であってもよい。
【0172】
また、上記各実施形態では、パラメータ導出装置120により、単体でパラメータ導出プログラムが実行されるものとして説明した。しかしながら、パラメータ導出装置120が、例えば、複数台のコンピュータにより構成され、かつ、パラメータ導出プログラムが当該複数台のコンピュータにインストールされている場合にあっては、分散コンピューティングの形態で実行されてもよい。
【0173】
また、上記各実施形態では、補助記憶装置203へのパラメータ導出プログラムのインストール方法の一例として、不図示のネットワークを介してダウンロードして、インストールする方法について言及した。このとき、ダウンロード元については特に言及しなかったが、かかる方法によりインストールする場合、ダウンロード元は、例えば、パラメータ導出プログラムをアクセス可能に格納したサーバ装置であってもよい。また、当該サーバ装置は、例えば、不図示のネットワークを介してパラメータ導出装置120からのアクセスを受け付け、課金を条件にパラメータ導出プログラムをダウンロードするクラウド上の装置であってもよい。つまり、当該サーバ装置は、パラメータ導出プログラムの提供サービスを行うクラウド上の装置であってもよい。
【0174】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0175】
本出願は、2020年12月28日に出願された日本国特許出願第2020-218976号に基づきその優先権を主張するものであり、同日本国特許出願の全内容を参照することにより本願に援用する。
【符号の説明】
【0176】
100 :形状シミュレーションシステム
110 :基板処理装置
111 :測定装置
112 :測定装置
120 :パラメータ導出装置
121 :パラメータ導出部
130 :形状シミュレータ
300 :収集データ
410 :シミュレーションデータ生成部
420 :取得部
430 :集約部
440 :シミュレーションパラメータ算出部
450 :差分算出部
460 :出力部
510~530 :シミュレーションデータ
801 :シミュレーションパラメータ項目取得部
802 :初期値設定部
803 :シミュレーションパラメータ入力部
804 :値変更部
805 :差分値取得部
1110 :制約条件規定部
1120 :シミュレーションパラメータ算出部
1401 :制約条件設定部
1611 :値変更部
図1
図2
図3
図4
図5
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