(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法および調整剤、並びに、試験試料の評価方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20240820BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20240820BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20240820BHJP
G01N 33/50 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
C12Q1/06
C12N5/071
G01N33/15 Z
G01N33/50 Z
(21)【出願番号】P 2019204143
(22)【出願日】2019-11-11
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】505314022
【氏名又は名称】国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】玉置 寛子
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】藤田 郁尚
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 香織
(72)【発明者】
【氏名】岡田 文裕
(72)【発明者】
【氏名】石井 健
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/177099(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/172419(WO,A1)
【文献】Am. J. Physiol. Renal. Physiol.,2015年,Vol.309,pp.F697-F707
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
C12Q 1/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化させるシグナル制御物質に接触させて、一次繊毛を減少させる接触工程、または、
免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を不活性化させるシグナル制御物質に接触させて、一次繊毛を増加させる接触工程、を有し、
上記免疫関連細胞は、
HaCat細胞または表皮角化細胞である、免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法。
【請求項2】
TRPM4のシグナル伝達経路を活性化させて一次繊毛を減少させる、またはTRPM4のシグナル伝達経路を不活性化させて一次繊毛を増加させる、シグナル制御物質を含有する、免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤であって、
上記免疫関連細胞は、
HaCat細胞または表皮角化細胞である、調整剤。
【請求項3】
免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化させて一次繊毛を減少させる、またはTRPM4のシグナル伝達経路を不活性化させて一次繊毛を増加させる、シグナル制御物質に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する、第1の観察工程と、
前記免疫関連細胞を、前記第1の観察工程に用いた前記シグナル制御物質、および、試験試料に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する、第2の観察工程と、
前記第1の観察工程の観察結果と、前記第2の観察工程の観察結果とを比較することによって、前記試験試料が前記免疫関連細胞の一次繊毛に及ぼす影響を評価する評価工程と、を有し、
上記免疫関連細胞は、
HaCat細胞または表皮角化細胞である、試験試料の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法および調整剤、並びに、試験試料の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一次繊毛は、微小管を内部骨格として有するアンテナ様の器官である。非運動性である一次繊毛は、当該一次繊毛の表面に存在する様々な受容体を介して、細胞外のシグナルを細胞内へ伝達する。略全ての細胞が一次繊毛を有することが知られているが、免疫関連細胞における一次繊毛と免疫反応との関係については、明らかにされていない部分が多い。
【0003】
近年の研究によって、免疫関連細胞に一次繊毛が存在すること、一次繊毛が免疫関連疾患と関連すること、および、一次繊毛を有する免疫関連細胞の数と免疫関連疾患の発症とに相関関係があること、が示唆されている。そして、これらの知見に基づいて、一次繊毛を観察することによる免疫関連疾患の指標の検出方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、特許文献2では、生体の感覚センサーとしての機能を有するTRP(Transient Receptor Potential)チャネルの一種であるTRPM4が免疫反応を制御していることを報告されているが、TRPM4と免疫関連細胞の一次繊毛との関連は明らかになっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2019/172419号国際公開公報
【文献】WO2019/177099号国際公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
免疫関連細胞の一次繊毛を調整すること(例えば、一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合を調整すること)により、免疫系の調整、および、免疫関連疾患の治療に寄与できると考えられる。それ故に、免疫関連細胞の一次繊毛を調整する技術の開発が期待されている。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法および調整剤、並びに、試験試料の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、免疫関連細胞にてTRPM4のシグナル伝達経路の活性化状態を調整することによって、一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合を調整することができるという新規知見を発見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を含む。
【0009】
<1>免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質に接触させる接触工程を有する、免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法。
【0010】
<2>TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質を含有する、免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤。
【0011】
<3>免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する、第1の観察工程と、上記免疫関連細胞を、上記第1の観察工程に用いた上記シグナル制御物質、および、試験試料に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する、第2の観察工程と、上記第1の観察工程の観察結果と、上記第2の観察工程の観察結果とを比較することによって、上記試験試料が上記免疫関連細胞の一次繊毛に及ぼす影響を評価する評価工程と、を有する、試験試料の評価方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法および調整剤、並びに、試験試料の評価方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例において、HaCat細胞(ヒト表皮角化細胞株)の一次繊毛に与える、TRPM4の活性化の影響を示すグラフである。
【
図2】本発明の実施例において、HaCat細胞(ヒト表皮角化細胞株)の一次繊毛に与える、TRPM4の不活性化(阻害)の影響を示すグラフである。
【
図3】本発明の実施例において、初代ヒト表皮角化細胞の一次繊毛に与える、TRPM4の活性化および不活性化(阻害)の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「X~Y」は、「X以上Y以下」を意図する。
【0015】
〔1.免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法〕
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法は、免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質に接触させる接触工程を有する。
【0016】
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法は、より具体的に、(i)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合を増加させる方法、(ii)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が増加することを抑制する方法、(iii)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合を減少させる方法、または、(iv)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が減少することを抑制する方法、であってもよい。
【0017】
接触工程において、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させる方法は、特に限定されない。例えば、免疫関連細胞を培養している培地にシグナル制御物質を添加することによって、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させてもよい。接触工程において、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させる時間は、特に限定されず、例えば、0.1時間~100時間、0.1時間~75時間、0.1時間~50時間、0.1時間~25時間、0.1時間~10時間、または、0.1時間~1時間であってもよい。
【0018】
接触工程では、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させた後、当該免疫関連細胞を、所望の時間、培養してもよい。なお、当該培養の間、免疫関連細胞とシグナル制御物質とは、接触していてもよいし、接触していなくてもよい。なお、培養時間は、特に限定されず、1日~3日であってもよく、1日~7日であってもよく、7日以上であってもよい。
【0019】
免疫関連細胞には、免疫反応を主に担当する免疫細胞と、免疫細胞に間接的に関与する免疫機能保有細胞とが包含される。免疫機能保有細胞は、例えば、免疫細胞を活性化させる機能を有している。免疫細胞としては、例えば、皮膚樹状細胞(例えば、ランゲルハンス細胞、真皮樹状細胞)、リンパ球系の免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)、および単球系の免疫細胞(例えば、通常型樹状細胞、単球系樹状細胞(例えば、形質細胞様樹状細胞))を挙げることができる。一方、免疫機能保有細胞としては、例えば、ケラチノサイト、繊維芽細胞、および上皮細胞を挙げることができる。免疫関連細胞は、生体から採取された免疫関連細胞であってもよいし、株化された免疫関連細胞(例えば、HaCaT細胞)であってもよい。
【0020】
TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質の作用機序は、特に限定されない。より確実にTRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるという観点から、シグナル制御物質は、TRPM4自体のチャネル活性を活性化させるもの、または、TRPM4自体のチャネル活性を不活性化させるものであることが好ましい。
【0021】
シグナル制御物質としては、具体的に、(i)TRPM4のシグナル伝達経路を活性化する物質、(ii)TRPM4のシグナル伝達経路の活性化を抑制する物質、(iii)TRPM4のシグナル伝達経路を不活性化する物質、または、(iv)TRPM4のシグナル伝達経路の不活性化を抑制する物質、を挙げることができる。
【0022】
シグナル制御物質としては、より具体的に、(i)TRPM4自体のチャネル活性を活性化する物質、(ii)TRPM4自体のチャネル活性の活性化を抑制する物質、(iii)TRPM4自体のチャネル活性を不活性化する物質、または、(iv)TRPM4自体のチャネル活性の不活性化を抑制する物質、を挙げることができる。
【0023】
シグナル制御物質の具体例としては、TRPM4のアゴニストおよびTRPM4のアンタゴニストを挙げることができる。
【0024】
TRPM4のアゴニストとしては、例えば、BTP2(4-methy-4’-[3,5-bis(trifluoromethyl)-1H-pyrazol-1-yl]-1,2,3-thiadiazole-5-carboxanilide)、デカバナデート、および、U73122(1-[6-[[(17β)-3-methoxyestra-1,3,5(10)-trien-17-yl]amino]hexyl]-1H-pyrrole-2,5-dione)、硫酸アルミニウムカリウムなどのアルミニウム化合物を挙げることができる。取り扱いの簡便性という利点を有しているという観点から、これらのシグナル制御物質の中では、BTP2、および、U73122が好ましい。これらのTRPM4のアゴニストとしては、市販のものを用いることができる。
【0025】
TRPM4のアンタゴニストとしては、例えば、9-phenanthrol、フルフェナム酸、グリベンクラミド、スペルミン、スルホニルウレア、および、MPB-104(5-butyl-7-chloro-6-hydroxybenzo[c]quinolizinium chloride)を挙げることができる。TRPM4に対する特異性が特に高いという利点を有しているという観点から、これらのシグナル制御物質の中では、9-phenanthrolが好ましい。これらのTRPM4のアンタゴニストとしては、市販のものを用いることができる。
【0026】
〔2.免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤〕
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤は、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質を含有する。
【0027】
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤は、より具体的に、(i)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合を増加させるもの、(ii)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が増加することを抑制するもの、(iii)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合を減少させるもの、または、(iv)一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が減少することを抑制するもの、であってもよい。
【0028】
シグナル制御物質に関しては、上記〔1.免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法〕にて説明したので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0029】
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤は、シグナル制御物質以外の成分を含有していてもよい。当該シグナル制御物質以外の成分としては、特に限定されず、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、高分子量重合体、賦形剤、担体、希釈剤、溶媒、可溶化剤、安定剤、充填剤、結合剤、界面活性剤、安定化剤等が挙げられる。
【0030】
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤に含有されているシグナル制御物質の量は、特に限定されず、例えば、調整剤を100重量%とした場合に、0.001重量%~100重量%であってもよく、0.01重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~100重量%であってもよく、0.1重量%~95重量%であってもよく、0.1重量%~90重量%であってもよく、0.1重量%~80重量%であってもよく、0.1重量%~70重量%であってもよく、0.1重量%~60重量%であってもよく、0.1重量%~50重量%であってもよく、0.1重量%~40重量%であってもよく、0.1重量%~30重量%であってもよく、0.1重量%~20重量%であってもよく、0.1重量%~10重量%であってもよい。
【0031】
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤に含有されているシグナル制御物質以外の量は、特に限定されず、例えば、調整剤を100重量%とした場合に、0重量%~99.999重量%であってもよく、0重量%~99.99重量%であってもよく、0重量%~99.9重量%であってもよく、5重量%~99.9重量%であってもよく、10重量%~99.9重量%であってもよく、20重量%~99.9重量%であってもよく、30重量%~99.9重量%であってもよく、40重量%~99.9重量%であってもよく、50重量%~99.9重量%であってもよく、60重量%~99.9重量%であってもよく、70重量%~99.9重量%であってもよく、80重量%~99.9重量%であってもよく、90重量%~99.9重量%であってもよい。
【0032】
本発明に係る免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤に含有されているシグナル制御物質の量は、例えば、免疫関連細胞とシグナル制御物質とを接触させる溶液(例えば、培地)中に含まれるシグナル制御物質の量が、0.1nM~10mM、0.1nM~1mM、0.1nM~100μM、0.1nM~10μM、0.1nM~1μM、0.1nM~500nM、0.1nM~100nM、または、1nM~100nMになるように、調節されていてもよい。
【0033】
〔3.試験試料の評価方法〕
本発明に係る試験試料の評価方法は、免疫関連細胞を、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する、第1の観察工程と、
上記免疫関連細胞を、上記第1の観察工程に用いた上記シグナル制御物質、および、試験試料に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する、第2の観察工程と、
上記第1の観察工程の観察結果と、上記第2の観察工程の観察結果とを比較することによって、上記試験試料が上記免疫関連細胞の一次繊毛に及ぼす影響を評価する評価工程と、を有する。
【0034】
シグナル制御物質は、TRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるものである。第1の観察工程では、シグナル制御物質を用いることによって、当該シグナル制御物質が免疫関連細胞の一次繊毛に与える影響を観察する(対照試験に相当)。一方、第2の観察工程では、シグナル制御物質および試験試料を用いることによって、シグナル制御物質が免疫関連細胞の一次繊毛に与える影響に対して、更に、試験試料が如何なる影響を与えるか観察する。そして、両方の観察結果を比較すれば、試験試料がシグナル制御物質に与える影響(換言すれば、試験試料が免疫関連細胞の一次繊毛に及ぼす影響)を評価することができる。
【0035】
以下では、本発明に係る試験試料の評価方法が有する各工程について説明する。なお、上記〔1.免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法〕、および、上記〔2.免疫関連細胞の一次繊毛の調整剤〕にて説明した構成については、以下では、その説明を省略する。
【0036】
<第1の観察工程>
第1の観察工程では、免疫関連細胞をTRPM4のシグナル伝達経路を活性化または不活性化させるシグナル制御物質に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する。
【0037】
第1の観察工程において、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させる方法は、特に限定されない。例えば、免疫関連細胞を培養している培地にシグナル制御物質を添加することによって、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させてもよい。免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させる時間は、特に限定されず、例えば、0.1時間~100時間、0.1時間~75時間、0.1時間~50時間、0.1時間~25時間、0.1時間~10時間、または、0.1時間~1時間であってもよい。
【0038】
第1の観察工程では、免疫関連細胞をシグナル制御物質に接触させた後、当該免疫関連細胞を、所望の時間、培養してもよい。なお、当該培養の間、免疫関連細胞とシグナル制御物質とは、接触していてもよいし、接触していなくてもよい。なお、培養時間は、特に限定されず、1日~3日であってもよく、1日~7日であってもよく、7日以上であってもよい。
【0039】
第1の観察工程では、顕微鏡等を用いて免疫関連細胞の一次繊毛を観察し、免疫関連細胞の一次繊毛の形成率を算出する。以下に、一次繊毛の形成率の算出方法、および、一次繊毛の観察方法の一例について説明する。
【0040】
第1の観察工程では、指標の1つとして、免疫関連細胞における一次繊毛を観察して、一次繊毛数を算出することができる。一次繊毛数を算出する場合、例えば、(a)免疫関連細胞1個あたりの一次繊毛の数を算出してもよいし、(b)所定の数の免疫関連細胞あたりの、一次繊毛を有する免疫関連細胞の割合を算出してもよいし、(c)上記(a)及び(b)の両方の算出を行ってもよい。また、検体に含まれる免疫関連細胞の全数は、検体中の核の全数として算出してもよい。
【0041】
例えば、上述した(a)の場合、下記の式(I)にしたがって、[免疫関連細胞の一次繊毛の形成率]として、一次繊毛数を算出することができる;
[免疫関連細胞の一次繊毛の形成率]=〔[検体に含まれる免疫関連細胞が有する一次繊毛の全数]/[検体に含まれる免疫関連細胞の全数]〕×100 ・・・式(I)。
【0042】
例えば、上述した(b)の場合、下記の式(II)にしたがって、[免疫関連細胞の一次繊毛の形成率]として、一次繊毛数を算出することができる;
[免疫関連細胞の一次繊毛の形成率]=〔[検体に含まれる一次繊毛を有する免疫関連細胞の全数]/[検体に含まれる免疫関連細胞の全数]〕×100 ・・・式(II)。
【0043】
一次繊毛の観察は、例えば、公知の免疫組織化学染色法によって行うことができる。具体的に、一次繊毛の観察は、被験検体含有試料(例えば、細胞をパラホルムアルデヒド等の固定化剤によって固定化したもの、被験検体をパラフィン包埋切片化したもの)と、一次繊毛に対する特異的結合物質(以下、「第1の特異的結合物質」と呼ぶ)とを接触させて、第1の特異的結合物質を被験検体含有試料に含まれる一次繊毛に結合させ、当該第1の特異的結合物質に結合した標識物質を検出することによって行うことができる。なお、被験検体含有試料の作製方法は、限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0044】
第1の特異的結合物質としては、一次繊毛のマーカーとなる物質に特異的に結合する物質(例えば、抗体(一次抗体))を挙げることができる。一次繊毛のマーカーとなる物質としては、例えば、ADPリボシル化因子様タンパク質(Arl13B)、アセチル化チューブリン、アデニル酸シクラーゼIII、ネフロシスチン3(NPHP3)、鞭毛内輸送タンパク質(IFT88)、ソマトスタチンレセプター3(sstr3)、ポリシステン-1(TRPC1)、一過性受容体電位バニロイド4(TRPV4)、血小板由来成長因子レセプターα(PDGFRα)、及びスムーズンド(Smo)を挙げることができる。
【0045】
上述したように、第1の特異的結合物質としては、例えば、一次繊毛のマーカーとなる物質に特異的に結合する抗体を挙げることができる。当該抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及びこれら抗体の断片(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、及び単鎖抗体)を挙げることができる。
【0046】
モノクローナル抗体は、例えば、免疫関連細胞の一次繊毛のマーカーに対するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを所望の培地中にて培養して培養上清を得、必要に応じて当該培養上清を精製することによって得ることができる。ハイブリドーマは、免疫関連細胞の一次繊毛のマーカーを動物(例えば、マウス、ラット)の静脈内、皮下、又は腹腔内に投与した後、当該動物から抗体産生細胞を得、当該抗体産生細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させることによって得ることができる。
【0047】
ポリクローナル抗体は、例えば、免疫関連細胞の一次繊毛のマーカーを動物(例えば、ウサギ)の静脈内、皮下、又は腹腔内に投与した後、当該動物から血清を得、必要に応じて当該血清を精製することによって得ることができる。
【0048】
Fabフラグメントは、例えば、免疫関連細胞の一次繊毛のマーカーに対するモノクローナル抗体をパパインによって消化し、必要に応じて当該消化産物を精製することによって得ることができる。
【0049】
F(ab’)2フラグメントは、例えば、免疫関連細胞の一次繊毛のマーカーに対するモノクローナル抗体をペプシンによって消化し、必要に応じて当該消化産物を精製することによって得ることができる。
【0050】
単鎖抗体は、例えば、免疫関連細胞の一次繊毛のマーカーに対するモノクローナル抗体の軽鎖の可変領域をコードする核酸と、リンカーをコードする核酸と、当該モノクローナル抗体の重鎖の可変領域をコードする核酸とを連結させた核酸構築物を含有するファージミドベクターを宿主細胞に導入し、当該宿主細胞内にて核酸構築物にコードされるポリペプチドを発現させ、必要に応じて当該ポリペプチドを精製することによって得ることができる。
【0051】
上記標識物質は、蛍光、又は色などの検出可能なシグナルを生成できる物質(例えば、蛍光色素、酵素)であればよい。なお、当該標識物質は、第1の特異的結合物質と直接結合していてもよいし、第1の特異的結合物質に対する特異的結合物質(以下、「第2の特異的結合物質」と呼ぶ)と直接結合していてもよい。第2の特異的結合物質としては、例えば、第1の特異的結合物質に特異的に結合する物質(例えば、抗体(二次抗体))を挙げることができる。
【0052】
標識物質としては、例えば、フルオレセインイソチオシアネート;2-(3-イミニオ-4,5-ジスルホナト-6-アミノ-3H-キサンテン-9-イル)-5-[[5-(2,5-ジオキソ-3-ピロリン-1-イル)ペンチル]カルバモイル]安息香酸(例えば、Invitrogen社製のAlexa Fluor 488);6-(2-カルボキシラト-4-カルボキシフェニル)-1,2,10,11-テトラヒドロ-1,2,2,10,10,11-ヘキサメチル-4,8-ビス-(スルホメチル)-1,11-ジアザ-13-オキソニアペンタセン(例えば、Invitrogen社製のAlexa Fluor 594);ペルオキシダーゼ;アルカリホスファターゼを挙げることができる。
【0053】
第1の特異的結合物質に結合した標識物質の検出は、例えば、光学顕微鏡(例えば、蛍光顕微鏡、及び共焦点レーザー顕微鏡)、画像解析装置(例えば、蛍光イメージングアナライザー)、又はフローサイトメトリー装置(蛍光フローサイトメーター、及びイメージングフローサイトメーター)を用いて目視による検出や、蛍光強度などの数値による検出として行うことができる。
【0054】
<第2の観察工程>
第2の観察工程では、免疫関連細胞を、第1の観察工程に用いたシグナル制御物質、および、試験試料に接触させた後、当該免疫関連細胞の一次繊毛を観察する。
【0055】
第2の観察工程において、免疫関連細胞をシグナル制御物質および試験試料に接触させる方法は、特に限定されず、第1の観察工程と同じ方法を採用すればよい。免疫関連細胞をシグナル制御物質および試験試料に接触させる時間は、特に限定されず、第1の観察工程と同じ時間を採用すればよい。第2の観察工程では、第1の観察工程と同様に、免疫関連細胞をシグナル制御物質および試験試料に接触させた後、当該免疫関連細胞を、所望の時間、培養することが可能である。なお、第2の観察工程では、免疫関連細胞をシグナル制御物質および試験試料に、同時に接触させてもよいし、異なる時に接触させてもよい。
【0056】
第2の観察工程で用いられる試験試料は、特に限定されず、例えば、無機化合物、有機化合物、植物抽出物、微生物抽出物、および各種細胞の培養上清を挙げることができる。被験試料は、そのままの状態にて用いられてもよく、溶媒に溶解された状態にて用いられてもよい。当該溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、および水を挙げることができる。
【0057】
第2の観察工程では、顕微鏡等を用いて免疫関連細胞の一次繊毛を観察し、免疫関連細胞の一次繊毛の形成率を算出する。一次繊毛を観察方法、および、一次繊毛の形成率の算出方法は、第1の観察工程と同じ方法にしたがえばよい。
【0058】
<評価工程>
評価工程では、第1の観察工程の観察結果と、第2の観察工程の観察結果とを比較することによって、試験試料が免疫関連細胞の一次繊毛に及ぼす影響を評価する。
【0059】
例えば、第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が上昇するという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果よりも上昇するという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を増加させる効果を有すると評価することができる。
【0060】
第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が下降するという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果よりも上昇するという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を増加させる効果を有すると評価することができる。
【0061】
例えば、第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が上昇するという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果よりも下降するという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を減少させる効果を有すると評価することができる。
【0062】
第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が下降するという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果よりも下降するという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を減少させる効果を有すると評価することができる。
【0063】
例えば、第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が上昇するという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果と略同じという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を増減させる効果を有していない、または、シグナル制御物質は一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が変化(増加または減少)することを抑制するものである、と評価することができる。
【0064】
第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が変化しないという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果と略同じという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を増減させる効果を有していない、または、シグナル制御物質は一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が変化(増加または減少)することを抑制するものである、と評価することができる。
【0065】
第1の観察工程において、一次繊毛の形成率が下降するという結果が得られ、第2の観察工程において、一次繊毛の形成率が第1の観察工程の観察結果と略同じという結果が得られたとする。この場合、試験試料は免疫関連細胞の一次繊毛を増減させる効果を有していない、または、シグナル制御物質は一次繊毛を有する免疫関連細胞の数および/または割合が変化(増加または減少)することを抑制するものである、と評価することができる。
【実施例】
【0066】
本発明の実施例について、以下に説明する。なお、IL-4(インターロイキン-4)、IL-13(インターロイキン-13)、IL-31(インターロイキン-31)、およびTNFα(tumor necrosis factor α)は免疫関連細胞の一次繊毛の形成率を増加させるので、以下の試験では、これらの物質をポジティブコントロール等として用いた。
【0067】
<実施例1.HaCat細胞の一次繊毛に与えるTRPM4のアゴニストの影響>
HaCat細胞(ヒト表皮角化細胞株)を培養している培地に、(i)IL-4、IL-13、およびTNFαの混合物、または、(ii)IL-4、IL-13、TNFα、およびBTP2の混合物、を加えた。なお、培地中の各サイトカインの濃度と、BTP2の濃度とは、
図1に示す濃度に調節した。なお、
図1中の「ctrl」は、培地にサイトカイン、およびBTP2を加えていない試験に対応している。培地に上述した(i)または(ii)の混合物を加えた後、当該混合物の存在下にて、HaCat細胞を48時間培養した。
【0068】
48時間の培養の後、HaCat細胞を、一次繊毛のマーカー蛋白質であるADPリボシル化因子様タンパク質(Arl13B)を認識する抗体を用いて染色した。
【0069】
具体的に、HaCat細胞をPBS(phosphate buffered saline)溶液にて洗浄した後、当該HaCat細胞を、4%パラホルムアルデヒドを含有するPBS溶液中に浸して固定化処理を行った。次いで、当該HaCat細胞を、界面活性剤含有PBS溶液中に浸して透過処理を行った。
【0070】
洗浄後のHaCat細胞と、抗Arl13B抗体〔proteintech社製、商品名:Arl13B Polyclonal Antibody、品番:17711-1-AP〕とを、一晩4℃にて反応させた。
【0071】
反応後のHaCat細胞を、界面活性剤含有PBS溶液を用いて洗浄した。洗浄後のHaCat細胞と、蛍光色素にて標識された抗ラビットIgG抗体〔サーモフィッシャー社製、商品名:Donkey Anti-Rabbit IgG H&L(蛍光色素:Alexa Fluor(登録商標)594、カタログナンバー:A-21207)〕と、核染色剤Hoechst 33342〔サーモフィッシャー社製、商品名:Hoechst 33342, Trihydrochloride, Trihydrate - 10 mg/mL Solution in Water、品番:H3570〕とを、室温(25℃)にて1時間反応させることによって、HaCat細胞を染色した。染色後のサンプルを、界面活性剤含有PBS溶液を用いて洗浄した。
【0072】
洗浄後のHaCat細胞を、共焦点顕微鏡〔オリンパス(株)製、品番:FV1200〕を用いて観察し、5カ所の観察視野の画像を取得した。画像中に含まれる細胞核の数と、一次繊毛の数と、をそれぞれ測定した。その後、式(Ia)にしたがって、HaCat細胞の一次繊毛の形成率を算出し、算出した値から平均値を計算した;
[一次繊毛の形成率]=[画像中の一次繊毛の数]/[画像中の全細胞核数]×100
・・・・・(Ia)。
【0073】
図1に、試験結果を示す。
図1から明らかなように、BTP2は、サイトカインによって増加した一次繊毛の形成率を濃度依存的に減少させた。つまり、TRPM4の活性化によって、一次繊毛が減少することが明らかになった。
【0074】
<実施例2.HaCat細胞の一次繊毛に与えるTRPM4のアンタゴニストの影響>
HaCat細胞(ヒト表皮角化細胞株)を培養している培地に、TRPM4のアンタゴニストである9-phenanthrolを加えた。なお、培地中の各9-phenanthrolの濃度と刺激時間とは、
図2に示すように、5μMの濃度にて24hの刺激、5μMの濃度にて48hの刺激、10μMの濃度にて24hの刺激、10μMの濃度にて48hの刺激、に調節した。なお、
図2中の「ctrl」は、培地に9-phenanthrolを加えていない試験に対応している。培地に各阻害剤を加えた後、阻害剤存在下にて、HaCat細胞を24時間、または48時間培養した。
【0075】
以降の試験は、上述した<1>と同様の試験方法に従って行い、HaCat細胞を染色した後、一次繊毛の形成率を計算した。
【0076】
図2に、試験結果を示す。
図2から明らかなように、9-phenanthrolは、一次繊毛の形成率を濃度依存的に増加させた。つまり、TRPM4の不活性化(阻害)によって、一次繊毛が増加することが明らかになった。
【0077】
<実施例3.初代ヒト表皮角化細胞の一次繊毛に与える、TRPM4のアゴニストおよびアンタゴニストの影響>
初代ヒト表皮角化細胞の培地に、(i)IL-31、(ii)IL-31、およびBTP2の混合物、または、(iii)9-phenanthrol、を加えた。なお、培地中の各物質の濃度は
図3に示す濃度に調節した。なお、
図3中の「ctrl」は、培地に(i)~(iii)の物質を加えていない試験に対応している。
【0078】
以降の試験は、上述した<1>と同様の試験方法に従って行い、初代ヒト表皮角化細胞を染色した後、一次繊毛の形成率を計算した。
【0079】
結果を
図3に示す。
図3から明らかなように、BTP2は、株化されたHaCat細胞のみならず、生体を構成する初代ヒト表皮角化細胞においても、サイトカインによって増加した一次繊毛の形成率を濃度依存的に減少させた。つまり、TRPM4の活性化によって、一次繊毛が減少することが明らかになった。また、
図3から明らかなように、9-phenanthrolは、株化されたHaCat細胞のみならず、生体を構成する初代ヒト表皮角化細胞においても、一次繊毛の形成率を増加させた。つまり、TRPM4の不活性化(阻害)によって、一次繊毛が増加することが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法および調整剤、並びに、試験試料の評価方法として好適に利用することができる。特許文献1に記載のとおり、免疫関連細胞の一次繊毛と免疫関連疾患とが相関していることから、免疫関連細胞の一次繊毛を調整する本発明によれば、例えば、免疫関連疾患の指標の検出、免疫関連疾患の罹患の有無の診断の補助または免疫関連疾患の予後の診断の補助、免疫関連疾患の治療または免疫関連疾患抑制剤による免疫関連疾患に対する抑制効果の評価ならびに被験試料が免疫機能制御作用を有する物質であるかどうかの評価を行なうことができる。また、免疫関連細胞の一次繊毛は、免疫関連細胞の増殖および免疫関連疾患に関与していることから、免疫関連細胞の一次繊毛の形成を制御することにより、免疫機能の制御を行なうこともできる。したがって、本発明は、免疫関連疾患の検査、免疫関連疾患の罹患の有無の診断の補助または免疫関連疾患の予後の診断の補助、免疫関連疾患の治療薬の開発、免疫関連疾患を抑制するための医薬部外品または化粧料成分の開発などに用いられることが期待されるものである。