(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】包装袋及び包装製品
(51)【国際特許分類】
B65D 30/18 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B65D30/18 B
(21)【出願番号】P 2020144435
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】米山 通徳
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-320020(JP,A)
【文献】特開2003-212245(JP,A)
【文献】特開2000-318752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部と、前記胴部の下側を封止する底部とを有する自立可能な包装袋であって、
前記胴部は、幅方向の左右両側に形成された側部折り線を介して、前面と後面とが重なり合うように折り畳まれ、
前記前面と前記後面とが、周方向に連続したフィルムから、前記側部折り線に
全長にわたってシール部を有せずに形成されており、
前記フィルムの周方向における両端部が、前記前面又は前記後面のいずれか一方に形成されたシール部により接合され、
前記底部が、前記胴部を形成する前記フィルムとは別の部材である底部フィルムから形成され、
前記胴部を形成する前記フィルムの下部と、前記底部フィルムとの間が、前記底部の
全周にわたり、前記胴部と前記底部との境界部に
形成されたシール部を介して接合され、かつ、前記底部が、前記胴部と重なり合うように折り畳まれていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記フィルムの周方向における両端部を接合するシール部が、前記両端部のうち、一方の端部の内面と、他方の端部の外面とを対向させて形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記胴部を形成する前記フィルムの上部が、前記前面の上端と前記後面の上端との間でシール部を介して接合されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記側部折り線の少なくとも一方に沿って、前記胴部を形成する前記フィルムの上部が延出され、
前記フィルムの上部における延出部の周縁同士が、前記側部折り線を介した折り畳みで対向する位置においてシール部により封止されていることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の包装袋からなり、前記胴部に内容物が充填され、前記底部を広げて自立させていることを特徴とする包装製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及び包装製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムから形成された軟包装容器として、パウチ等の包装袋が広く使用されている。自立性を有する包装袋として、例えば、特許文献1、2には、前面と後面とを左右両端でシールして胴部を形成し、胴部の下部に底部を挟み込んだ構造が記載されている。また、特許文献3,4には、前面と後面との左右両端に一対の側面を挟み込み、各端部をシールして胴部を形成し、胴部の下部に底部を接合した構造が記載されている。
【0003】
上述の包装袋では、充填前の空袋を平坦に折り畳むことが可能であり、さらに充填後には底部を広げて自立させることができる。また、特許文献4には、一体のチューブの折り重ねによって、前面と後面と一対の側面とを有する胴部を形成する改変例も記載されている。なお、自立性を有しないが、幅方向の中央部で縦にシール部を有する包装袋として、特許文献5に記載のように、フィルムの左右両端を対向させて縦シール部を形成したのち、流れ方向に交差させて横シール部を形成した縦型ピロー包装袋も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3977284号公報
【文献】特許第4689158号公報
【文献】特許第4316368号公報
【文献】特許第4381724号公報
【文献】特許第4526624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載のように、詰替用パウチ等として一般的な構造の包装袋は、前面と後面との接合により、左右両端に硬いシール部が突出する。このため、内容物を充填した後の包装袋の手触りや見栄えが良くない。また、箱詰め時や輸送時等において、左右のシール部が包装袋同士で、あるいは外箱に対して、衝突することにより、損傷が生ずる恐れもある。
【0006】
特許文献3、4に記載のように、側面にガゼットを設ける場合は、左右にシール部のないチューブ状の胴部を用いることも可能であるが、チューブ状の胴部の切断部に底部を貼り合わせる工程が煩雑である。特許文献5に記載のように、内容物の充填と並行して横シール部を形成する場合は、自立性を有する底部を設けることができない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、底部に自立性を有し、側面にシール部がなく、製造が容易な包装袋及びこれを用いた包装製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、筒状の胴部と、前記胴部の下側を封止する底部とを有する自立可能な包装袋であって、前記胴部は、幅方向の左右両側に形成された側部折り線を介して、前面と後面とが重なり合うように折り畳まれ、前記前面と前記後面とが、周方向に連続したフィルムから、前記側部折り線にシール部を有せずに形成されており、前記フィルムの周方向における両端部が、前記前面又は前記後面のいずれか一方に形成されたシール部により接合され、前記底部の周囲の少なくとも一部において、前記胴部と前記底部との境界部にシール部が形成され、かつ、前記底部が、前記胴部と重なり合うように折り畳まれていることを特徴とする包装袋を提供する。
【0009】
前記胴部を形成する前記フィルムの下部が、前記胴部から前記境界部を超えて前記底部まで延出され、前記胴部と前記フィルムの下部における延出部との間に、前記境界部に沿って底部折り線が形成され、前記フィルムの下部における前記延出部の端部同士をシール部により接合して、前記底部が形成されていてもよい。
前記底部が、前記胴部を形成する前記フィルムとは別の部材である底部フィルムから形成され、前記胴部を形成する前記フィルムの下部と、前記底部フィルムとの間が、前記底部の全周にわたり、前記境界部のシール部を介して接合されていてもよい。
【0010】
前記フィルムの周方向における両端部を接合するシール部が、前記両端部のうち、一方の端部の内面と、他方の端部の外面とを対向させて形成されていてもよい。
前記胴部を形成する前記フィルムの上部が、前記前面の上端と前記後面の上端との間でシール部を介して接合されていてもよい。
前記側部折り線の少なくとも一方に沿って、前記胴部を形成する前記フィルムの上部が延出され、前記フィルムの上部における延出部の周縁同士が、前記側部折り線を介した折り畳みで対向する位置においてシール部により封止されていてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記包装袋からなり、前記胴部に内容物が充填され、前記底部を広げて自立させていることを特徴とする包装製品を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、胴部を前面と後面とから形成することにより、製造が容易である。また、側面にシール部がなく、前面又は後面のいずれか一方にシール部を配置して胴部を形成することにより、包装袋の使用性を改善することができる。また、胴部と底部との境界部にシール部を有するため、自立性を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の包装袋の(a)正面図、(b)側面図である。
【
図2】第1実施形態の包装袋を形成するフィルムの展開図である。
【
図3】第1実施形態の包装袋を自立させた状態を例示する斜視図である。
【
図4】第2実施形態の包装袋の(a)正面図、(b)側面図である。
【
図5】第2実施形態の包装袋の胴部を形成するフィルムの展開図である。
【
図6】第2実施形態の包装袋の底部を形成するフィルムの平面図である。
【
図7】第2実施形態の包装袋を自立させた状態を例示する斜視図である。
【
図8】包装袋の上部のシール部及び注出部を例示する部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0015】
図1~
図3を参照して、第1実施形態の包装袋10について説明する。
図1(a)は包装袋10の正面図、
図1(b)は包装袋10の側面図、
図2はフィルム13の展開図、
図3は包装袋10を自立させた状態を例示する斜視図である。包装袋10は、筒状の胴部11と、胴部11の下側を封止する底部12とを有して、自立可能である。
【0016】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、胴部11は、前面11aと後面11bとを有する。胴部11の幅方向の左右両側に形成された側部折り線11cを介して、前面11aと後面11bとが重なり合うように折り畳まれている。前面11a及び後面11bは、周方向に連続したフィルム13から、側部折り線11cにシール部を有せずに形成されている。
【0017】
包装袋10を構成するフィルム13の周方向における両端部が、接合シール部11dにより接合されている。第1実施形態の図示例では、後面11bに接合シール部11dを有し、前面11aに接合シール部11dを有しない配置としたが、この逆に、前面11aに接合シール部11dを配置してもよい。なお、実施形態の説明では、胴部11を筒状に接合するシール部を、接合シール部11dと称している。
【0018】
底部12の周囲の少なくとも一部において、胴部11と底部12との境界部14に境界シール部14aが形成されている。図示例の場合、境界シール部14aは、底部12の左右で、側部折り線11cから隅部折り線17が分岐した側に配置されている。隅部折り線17は、前面11a側と後面11b側とにそれぞれ形成された底部折り線14bに向けて斜めに形成されている。なお、実施形態の説明では、フィルム13における胴部11と底部12との境界部14を接合するシール部を、境界シール部14aと称している。
【0019】
底部12は、水平折り線16により、胴部11と重なり合うように折り畳まれている。水平折り線16は、側部折り線11cから隅部折り線17が分岐する位置を結ぶ高さに形成されている。図示例では、底部12が胴部11の前面11a側に折り畳まれている。特に図示しないが、底部12が胴部11の後面11b側に折り畳まれてもよい。
【0020】
第1実施形態の包装袋10では、胴部11を形成するフィルム13の下部に、胴部11から境界部14を超えて底部12まで延出された延出部15a,15bを有する。前面11a側の延出部15aは、底部12の全幅にわたって形成されている。後面11b側の延出部15bは、底部12の幅方向の略中央部で、接合シール部11dにより接合されている。胴部11と延出部15a,15bとの間には、境界部14に沿って底部折り線14bが形成されている。前面11a側の延出部15a及び後面11b側の延出部15bの間は、下端シール部12aにより接合されている。なお、実施形態の説明では、フィルム13の下端同士を接合するシール部を、下端シール部12aと称している。
【0021】
フィルム13は、1の樹脂層からなる単層フィルムでもよく、2以上の層を含む多層フィルムでもよい。単層フィルムとしては、熱可塑性樹脂等のシーラント樹脂からなるフィルムが用いられる。多層フィルムとしては、熱可塑性樹脂等をシーラント層とし、これに基材層として、シーラント層とは異なる樹脂等を積層したものが挙げられる。
【0022】
フィルム13のシーラント層を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)や無延伸ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)やシクロオレフィンコポリマー(COC)等の環状オレフィン系樹脂、ポリエステル等の変性樹脂等の1種以上が挙げられる。シーラント層をフィルム13の少なくとも片面に設けることにより、シーラント層同士を対向させてフィルム13を接合することができる。フィルム13のシールによる接合方法は特に限定されないが、例えばヒートシール(熱シール)、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等が挙げられる。
【0023】
フィルム13の基材層を構成する樹脂等としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂、ポリプロピレン(PP)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の1種以上が挙げられる。積層フィルムの各層を積層する方法としては、特に限定されないが、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法等が挙げられる。シーラント層と基材層の間には、両者を接着するため、接着剤、接着性樹脂、アンカー剤等からなる接着層を設けてもよい。
【0024】
フィルム13には、酸素や水蒸気等のガスを遮断するためのガスバリア層として、例えばアルミニウムなどの金属蒸着層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機化合物蒸着層、EVOHや塩化ビニリデン(PVDC)等のガスバリア性樹脂層、アルミニウム箔等の金属箔等の1種以上を組み合わせてもよい。
【0025】
図2に示すように、胴部11の周方向が左右方向となるようにフィルム13を展開した状態では、前面11aの左右両側に後面11bが半分ずつ配置されている。
図3に示すように、フィルム13の周方向における両端部13a,13bを重ね合わせることで、接合シール部11dが形成される。両端部13a,13bのうち、一方の端部13aの内面と、他方の端部13bの外面とを対向させて接合シール部11dを形成すると、接合シール部11dが胴部11の外側に突出しないので好ましい。特に図示しないが、両端部13a,13bを胴部11の外側に向けて折り曲げ、一方の端部13aの内面と、他方の端部13bの内面とを対向させて接合シール部11dを形成することも可能である。
【0026】
フィルム13の両端部13a,13bは、後面11b側の延出部15bまで延びているため、接合シール部11dは延出部15bにも形成される。下端シール部12aは、前面11a側の延出部15aの端部15cと、後面11b側の延出部15bの端部15dとから形成される。境界シール部14aは、境界部14に沿った胴部11の下端部11eと、延出部15a,15bの側部15eとから形成される。胴部11の下端部11eと延出部15a,15bの側部15eとは、略矩形状の切欠部19の内側に配置されている。
【0027】
図3に、底部12を広げて包装袋10を自立させた状態を示す。図示例の包装袋10は、境界シール部14aの上方で、前面11a及び後面11bの左右に側面18を有する。側面18は、前面11a側の側端部18aと、後面11b側の側端部18bとの間の領域である。
図3では、側部折り線11c、水平折り線16及び隅部折り線17の図示を省略した。
【0028】
第1実施形態の包装袋10によれば、胴部11を前面11aと後面11bとから形成することにより、充填前の空袋を平坦に折り畳んで製造することが容易になる。また、包装袋10の側面18にシール部がなく、前面11a又は後面11bのいずれか一方に接合シール部11dを配置して胴部11を形成することにより、包装袋10の手触りや見栄えを改善し、箱詰め時や輸送時等における損傷を抑制することができる。胴部11と底部12との境界部14に境界シール部14aを有するため、底部12の形状が安定し、包装袋10の自立性を補強することができる。
【0029】
次に、
図4~
図7を参照して、第2実施形態の包装袋20について説明する。
図4(a)は包装袋20の正面図、
図4(b)は包装袋20の側面図、
図5はフィルム13の展開図、
図6は底部フィルム21の平面図、
図7は包装袋20を自立させた状態を例示する斜視図である。包装袋20は、筒状の胴部11と、胴部11の下側を封止する底部12とを有して、自立可能である。
【0030】
第2実施形態の包装袋20における胴部11の前面11a、後面11b、側部折り線11c、フィルム13の両端部13a,13bにおける接合シール部11d等の主な構成は、第1実施形態の包装袋10と同様である。第2実施形態の図示例では、前面11aに接合シール部11dを有し、後面11bに接合シール部11dを有しない配置としたが、この逆に、接合シール部11dを後面11bに配置することも可能である。
【0031】
第2実施形態の包装袋20では、胴部11のフィルム13とは別の部材である底部フィルム21から底部12が形成されている。胴部11と底部12との境界部14に形成された底部シール部22は、底部12の全周にわたり、底部フィルム21をフィルム13の下端部に接合している。底部フィルム21は、二つ折り線23を介した両側の部分が、それぞれ胴部11の前面11a側又は後面11b側と重なり合うように折り畳まれている。なお、実施形態の説明では、フィルム13と底部フィルム21とを接合するシール部を、底部シール部22と称している。
【0032】
図5に示すように、胴部11の周方向が左右方向となるようにフィルム13を展開した状態では、後面11bの左右両側に前面11aが半分ずつ配置されている。フィルム13の下端部13cの一部には、下端部13cから側部折り線11cに向けて形成された切欠部13dが形成されている。フィルム13の下端部13c及び切欠部13dの側縁部13eを、底部フィルム21の周縁部25と重ね合わせて底部シール部22を形成することにより、胴部11のフィルム13に底部フィルム21が接合される。
【0033】
図6に示すように、底部フィルム21は、平面状の部材から形成することができる。底部フィルム21の材質、層構成、厚さ等は、胴部11のフィルム13と同様でよい。底部フィルム21は、少なくとも、胴部11と重なり合う側の片面にシーラント層を有することが好ましい。底部フィルム21の左右両側には、上述したフィルム13の切欠部13dと適合するように傾斜した角部24を有してもよい。これにより、
図7に示すように、包装袋20を自立させるときに、底部12を広げやすくなる。切欠部13d及び角部24の形状としては、例えば三角形や台形等の多角形状が挙げられる。
【0034】
第2実施形態の包装袋20によれば、胴部11を前面11aと後面11bとから形成することにより、充填前の空袋を平坦に折り畳んで製造することが容易になる。また、包装袋20の側面にシール部がなく、前面11a又は後面11bのいずれか一方に接合シール部11dを配置して胴部11を形成することにより、包装袋20の手触りや見栄えを改善し、箱詰め時や輸送時等における損傷を抑制することができる。胴部11と底部12との境界部14に底部シール部22を有するため、底部12の形状が安定し、包装袋20の自立性を補強することができる。
【0035】
次に、
図8を参照して、胴部11の上部の構造を例示する。胴部11の上部の構造は、第1実施形態の包装袋10にも、第2実施形態の包装袋20にも、適用することができる。注出部30は、包装袋10,20に収容される内容物を注出するための開口部を形成するために用いることができる。
【0036】
内容物としては、特に限定されないが、液体、粉体、粒体等の流体を採用できる。内容物の種類としては、特に限定されず、飲料品、食料品、調味料、化粧品、医薬品、洗剤、接着剤、家庭用品、工業製品などが挙げられる。液体の内容物としては、飲料、調味液、洗剤、薬剤などが挙げられる。胴部11の寸法や容量は特に限定されないが、例えば、詰替用包装袋の場合、胴部11の高さは100~500mm程度、胴部11の幅は50~500mm程度、胴部11の容量は0.1~10リットル程度が挙げられる。
【0037】
注出部30は、側部折り線11cに沿ってフィルム13の上部が延出された延出部31に形成されている。フィルム13の側部折り線11cを介した折り畳みにより対向する位置において、延出部31の周縁同士が封止シール部32により封止されている。なお、実施形態の説明では、注出部30の周縁を封止するシール部を、封止シール部32と称している。注出部30は、胴部11の片側に限られず、胴部11の両側の側部折り線11cに沿って、それぞれ形成してもよい。
【0038】
注出部30に開口部を形成することで、内容物を注出することができる。開封を容易にするため、封止シール部32にノッチ等の開封開始部34を形成したり、延出部31にハーフカット溝等の開封補助線35を形成したりしてもよい。延出部31が胴部11から突出し、側部折り線11cが湾曲することにより、注出先の容器等に向けた注出部30の挿入、内容物の注出が容易になる。注出部30の側部折り線11cとは反対側に開封開始部34を配置することにより、包装袋10,20の衝突等による開封開始部34の意図しない開封を抑制することができる。開封補助線35は、注出部30の流路を横断するように、所望の形状で形成することができる。
【0039】
特に図示しないが、注出部30の側部における封止シール部32の幅を広くして、特許文献2に記載のように、タブ状の把持部を封止シール部32に設けてもよい。この場合は、例えば、注出部30の上辺に開封開始部34を配置し、開封開始部34の下方で、把持部の周囲に配置した略U字状の開封誘導線を形成してもよい。これにより、開封の動作を開封開始部34から容易に開封補助線35に接続させることができる。
【0040】
胴部11を形成するフィルム13の上部が、前面11aの上端と後面11bの上端との間で上端シール部33を介して接合されていてもよい。上端シール部33を形成する前の前面11a及び後面11bの上端部は、胴部11に内容物を充填する際の充填口として用いることができる。なお、実施形態の説明では、胴部11の上部を封止するシール部を、上端シール部33と称している。
【0041】
注出部30を省略して、前面11a及び後面11bの上端が、胴部11の全幅にわたって上端シール部33で接合されてもよい。開封時に胴部11に切り込みを形成して、任意の位置から開封してもよい。特に図示しないが、上端シール部33に開封開始部34を形成したり、胴部11に開封補助線35を形成したりしてもよい。側部折り線11cの近傍に注出口を開口すると、シール部のない側部折り線11cが湾曲することにより、内容物の注出が容易になる。
【0042】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0043】
第1実施形態では、フィルム13の延出部15a,15bから底部12を形成し、第2実施形態では、底部フィルム21から底部12を形成したが、本発明は、これらに限定されるものではない。底部12の一部をフィルム13の延出部15a,15bから形成し、底部12の残部を胴部11とは別の底部フィルム21から形成することも可能である。
【0044】
特に図示しないが、胴部11に、チューブ、コック、スパウト、キャップ、チャック等の開閉具を取り付けると、注出口の再封が容易になる。開閉具を樹脂成形品として、胴部11に接合してもよい。胴部11に開閉具を設けず、フィルム13に注出口を形成すると、包装袋10,20をかさばらずに折り畳むことができるので、好ましい。
【符号の説明】
【0045】
10,20…包装袋、11…胴部、11a…前面、11b…後面、11c…側部折り線、11d…接合シール部、11e…胴部の下端部、12…底部、12a…下端シール部、13…フィルム、13a…一方の端部、13b…他方の端部、13c…フィルムの下端部、13d…切欠部、13e…切欠部の側縁部、14…境界部、14a…境界シール部、14b…底部折り線、15a,15b…下側の延出部、15c,15d…延出部の端部、15e…延出部の側部、16…水平折り線、17…隅部折り線、18…側面、18a,18b…側端部、19…延出部の切欠部、21…底部フィルム、22…底部シール部、23…二つ折り線、24…角部、25…底部フィルムの周縁部、30…注出部、31…上側の延出部、32…封止シール部、33…上端シール部、34…開封開始部、35…開封補助線。