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特許7540952コロナ放電を使用したバイアス場非線形光学計測法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】コロナ放電を使用したバイアス場非線形光学計測法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H01L21/66 L
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020560402
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019029439
(87)【国際公開番号】W WO2019210229
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】62/663,925
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519226850
【氏名又は名称】フェムトメトリクス, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】マ, ソンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム, サンミン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ジョンホイ
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ミン
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/161136(WO,A1)
【文献】特開2016-178122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038797(US,A1)
【文献】M.L.C.Adams,Silicon surface passivation by thin films studied by corona charging,Student Thesis :Master (EINDHOVEN UNIVERSITY OF TECHNOLOGY),2011年,https://pure.tue.nl/ws/files/66832291/Adams_M.L.C.pdf
【文献】M.K. Vanbel et al.,Tunneling of holes is observed by second-harmonic generation,Applied Physics Letters,米国,AIP,2013年02月25日,vol.102, no.8,82104,DOI: 10.1063/1.4793578
【文献】Maarten K. Vanbel et al.,Electric-Field-Induced Second-Harmonic-Generation Demonstrates Different Interface Properties of Molecular Beam Epitaxy Grown MgO on Si,The Journal of Physical Chemistry C,米国,ACS Publications,2014年01月09日,vol.118, no.4,1919-1924,DOI: 10.1021/jp408866e
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側および底側を有する試料の光学的調査方法であって、
プローブ光源から前記試料の上側表面にプローブ放射を照射し、
コロナ銃を用いて前記試料の前記上側に異なる量の電荷を堆積し、
電流計を使用して、前記試料の前記底側および電気的接地間の電流を監視することによって前記試料の前記上側に堆積した異なる量の電荷を決定し、
光学的検出器を使用して、前記試料の前記上側に堆積した異なる量の電荷についてのプローブ放射によって生成された第二高調波発生(SHG)効果信号を検出し、
前記検出SHG効果信号の変化特性を、前記試料の前記上側に堆積した異なる量の前記電荷について決定する、ことを含む光学的調査方法。
【請求項2】
表面電荷の関数としての前記試料の対応するバンド曲がりでの界面充電状態を決定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポンプ光源からのポンプ放射を前記試料の前記上側表面に適用し、
光学的検出器を使用して、前記ポンプ放射および前記プローブ放射のうちの少なくとも一つによって生成されたSHG効果信号を検出し、
前記電荷および前記ポンプ放射の存在下で、前記検出SHG効果信号の特性を決定すること、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表面電荷の関数としての前記試料の対応するバンド曲がりでのキャリア動態を決定するために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記試料の前記上側に異なる量の電荷を堆積することは、前記試料の前記上側の異なる部分に異なる量の電荷を堆積すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
試料への電荷適用を伴う、前記試料の表面の光学的調査システムであって、
プローブ光放射を前記試料の上側表面の上に向けるように配置され、前記プローブ光放射を放出するように構成された第1の光源と、
前記試料に異なる量の電荷を供給するために試料に対して配置されたコロナ放電源と、
前記試料からの第二高調波発生光を検出するように構成された光学的検出器と、
電子機器であって、
電流計を使用して、前記試料の底側および電気的接地間の電流を測定することによって前記試料に供給された前記異なる量の電荷を決定し、
前記検出第二高調波発生光の特性を前記電荷の前記異なる量について決定するように構成された電子機器と、
を含む試料表面用光学的調査システム。
【請求項7】
前記第1の光源は、レーザを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第2の光源をさらに備え、前記第2の光源は、ポンプ放射を放出するように構成されたポンプ光源を含み、かつ前記第1の光源は、プローブ光源を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記異なる量の電荷は、前記試料の上側の異なる部分に供給されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記電子機器は、異なる量のSHG信号を、前記コロナ放電源によって供給される前記異なる量の電荷と関係付けるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
試料への電荷適用を伴う、前記試料の表面の光学的調査システムであって、
前記試料の前記表面に向かって光の第1の入射ビームを放出するように構成された第1の光源と、
前記試料の前記表面に向かって光の第2の入射ビームを放出するように構成された第2の光源と、
前記試料に異なる量の電荷を供給するために試料に対して配置されたコロナ放電源と、
前記試料から、前記異なる量の電荷について少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分を検出するように構成された光学的検出システムと、
前記検出した少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいた信号を受信するように前記光学的検出システムに電気的に接続された電子機器と、を備える試料表面用光学的調査システム。
【請求項12】
前記電子機器は、前記コロナ放電源によって供給される異なる量の電荷を決定するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記電子機器は、前記異なる量の前記電荷について検出された前記少なくとも一つの四波混合信号成分または前記少なくとも一つの多波混合信号成分の特性を決定するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記電子機器は、前記試料に関する情報について、前記異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分について前記決定された特性に基づいて取得するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記電子機器は、前記試料の電荷動態に関する情報について、前記異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分について前記決定された特性に基づいて取得するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
上側および底側を有する試料の光学的調査方法であって、
第1の光源からの第1の入射ビームを、前記試料の表面上の領域に向け、
第2の光源からの第2の入射ビームを、前記試料の前記表面上の前記領域に向け、
コロナ銃を用いて前記試料の前記上側に異なる量の電荷を堆積し、
光学的検出システムを使用して、第1の入射ビームおよび第2の入射ビームによって生成された前記試料からの少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分を、前記試料の前記上側に堆積した異なる量の電荷について検出する、ことを含む光学的調査方法。
【請求項17】
前記試料に関する情報について、前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定すること、をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記試料の電荷動態に関する情報について、前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定すること、をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記試料の前記上側に堆積した前記異なる量の電荷について前記少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分の特性を決定すること、をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記試料の電荷動態に関する情報について、異なる量の前記電荷について検出された前記少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分について前記特性に基づいて決定すること、をさらに含む請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願への相互参照)
本出願は、35 USC §119(e)の優先権の利益に基づいて、2018年4月27日出願の米国仮出願第62/663925号「SHG測定による界面電気的特性のためのパラメトリックモデリング」を援用する。
【0002】
2014年4月17日出願の米国仮出願第61/980860号明細書「ウエハ計測技術」の全体を参照により本明細書に援用する。その第I、II、III、およびIV節の各々を含むが、これらに限定されない。2015年4月17日出願の米国特許出願第14/690251号明細書「バイアス場第二高調波発生計測法」は、米国特許出願公開第2015/331036号(代理人整理番号FMETRX.10A)として公開され、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0003】
本出願の対象は、第二高調波発生(SHG)に基づくウエハ検査、半導体計測学、物質特性評価、表面特性評価および/または界面分析のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
非線形光学において、光ビーム入力は、それらの入力の和、差、または高調波周波数として出力される。第二高調波発生(SHG)は、光がある反射角度で入射光源の光ビームの二倍の周波数でもって物質から放出される非線形効果である。このプロセスは、入射放射のエネルギーEの二つの光子を組み合わせて、エネルギー2Eの単一の光子を生成する(つまり、周波数が2倍(2ω)または波長が半分の光を生成する)ものと見なすことができる。
【0005】
SHG技術を使用した科学的研究の調査は、T.F.ハインツ等著、「半導体表面からの光第二高調波発生」、レーザ研究の進歩III(A.C.タム、J.L.コール、W.C.スチュワレー編、米国物理学会、ニューヨーク、1988)所収、p.452によって提供された。そこに見られるように、SHGプロセスは、対称中心を示す物質(つまり、反転または中心対称物質)のバルク内では発生しない。これらの物質の場合、SHGプロセスは、バルク物質の反転対称性が破られている表面および/または界面でのみ認識できる。そのため、SHGプロセスは、表面および界面の特性に対して独自の感度を提供する。
【0006】
同様の理解について、SHG効果が、ハインツ等の米国特許第5294289号明細書に記載されている。ダウナー等の米国特許第5557409号、ハントの米国特許第6795175号、第6781686号、第6788405号、第6819844号、第6882414号、および第7304305号、トーク等の第6856159号、アレス等の第7158284号明細書のそれぞれは、また、採用する可能性のある他の手法または「ツール」について説明する。しかし、これらの特許の教示によっても、半導体製造および計測用の確立した技術として、SHGを採用する際の主な障害のいくつかは克服されないように思える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5294289号明細書
【文献】米国特許第5557409号明細書
【文献】米国特許第6795175号明細書
【文献】米国特許第6781686号明細書
【文献】米国特許第6788405号明細書
【文献】米国特許第6819844号明細書
【文献】米国特許第6882414号明細書
【文献】米国特許第7304305号明細書
【文献】米国特許第6856159号明細書
【文献】米国特許第7158284号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】T.F.ハインツ等著、「半導体表面からの光第二高調波発生」、レーザ研究の進歩III(A.C.タム、J.L.コール、W.C.スチュワレー編、米国物理学会、ニューヨーク、1988)所収、p.452
【発明の概要】
【0009】
様々なバイアス場(例えば、磁場バイアス、DCバイアス、ならびに/または容量結合および/もしくは変化する磁場を伴う、AC場だけで誘導した電圧バイアス)のSHGに基づくシステムおよびそれらの使用方法について説明する。コロナ放電によるバイアスも記載する。これらについて順番に扱う。それらは、独立して、および/または組み合わせたシステムで使用することができる。本明細書に記載した様々な実施形態は、上記の手法に関連した方法のそれぞれ、上記方法を実行するハードウェア、そのハードウェアおよび製品(プロダクト・バイ・プロセスを含む)を組み込む生産システムを含む。
【0010】
(磁場バイアス)
静的または変化する磁場を試料に印加すると、物質の二次の光学感受率テンソルの変化を引き起こすであろう。したがって、磁場を使用して、試料からのSHG信号を最適値まで増加させることができる。さらに、以下でさらに説明するように、変化する磁場を使用してバイアスを誘導することができる。
【0011】
(DC接触プローブを除くための誘導電圧バイアス)
積層半導体物質のSHG応答を特性評価するためのシステムおよび方法が記載について記載する。当該物質は、システム内の接触バイアスプローブを使用せずに、その界面全体にわたる別個の電場を受け、当該電場は、プローブレーザのパルスおよび/または検出器の開閉を、試料に印加する所定振幅の可変もしくはパルス状ACバイアスに同期させ、調査すべき表面に対応のまたは配位された誘導電圧場を生成できる。
【0012】
対象ハードウェアは、SHG装置(例えば、2014年4月17日出願の米国仮出願第61/980860号明細書「ウエハ計測技術」の第II節「電荷減衰測定のシステムおよび方法」に詳述し、参照によりその全体を本明細書に援用するもの)を、試料の「装置」面に、またはそれに沿って非接触で電圧を誘導する手段(例えば、誘導するように構成された部品)とともに含む。(また、2015年4月17日出願の米国特許出願第14/690256号明細書「電荷減衰測定のシステムおよび方法」を参照されたい。これは、米国特許出願公開第2015/331029号(代理人整理番号FMETRX.008A)として公開され、参照によりその全体が本明細書に援用される。)そのような手段または部品は、プローブを備えた裏面接触か、または導電チャックを介してのいずれかであり、裏面接触プローブまたはそのようなチャックと通信もする電力源に接続した容量結合プローブを伴う。あるいは、その多層界面に外部電圧場を誘導する目的のため、試料に変化する磁場を印加することによってである。
【0013】
可変波形(必要に応じてAC)電源が生成する過渡電場によって(上記の手法のいずれかを介して)、多層半導体物質の界面全体の電場を誘導する。電圧および物質界面電場の関係は、伝達関数またはその他の方法でモデル化できる。これには、さまざまな(容量性またはその他の)外的影響を考慮することも含まれる。この関数の出力について、特定の振幅および周波数のAC(または他の)電流を与えることにより、界面の電場振幅値がほぼ瞬時的に一定となるテスト点のSHG特性評価のため、レーザシャッタおよび/または光子カウンタを同時にトリガするタイミング合図として使用する可能性がある。このように、システムにより、接触電気プローブを介して上面(すなわち、基板の装置層)に印加する一定の(DC)電圧を模擬することができる。
【0014】
試料の裏面にACを直接適用すると、システムは、「中性」または接地状態のチャック、ならびに平衡電位のバルクおよび装置層から始まる。次に、バルクまたは多層半導体物質の基板層とガルバニック接触するチャックに交流バイアスを印加する。装置層は、埋め込みの酸化物層によってバルクから分離され、導体に直接接続しないため、装置およびバルク層間に電位場または電圧が生成(すなわち、誘導)される。
【0015】
あるいは、試料の上面に接触することなくその近傍(約1~約2mm以内)に存在する容量結合プローブを使用する可能性がある。この点において好ましい手法では、ウエハ全体を覆う(しかし、接触しない)大きさのプレートであって、当該プレートは、入射レーザが試料に向かって通過し、かつ試料から出力するSHGビームが通過するための小さい穴を備え、空中停止している可能性がある。
【0016】
いくつかの実施では、非接触電極を、MEMS技術を用いて実現することができる。例えば、一実施では、Siウエハの両面を酸化することができる。次に、スパイラルまたはグリッド状の電極を、ウエハの一つまたは複数の場所に堆積することによって配置することができる。酸化物物質は、これらの場所でウエハの裏側から取り除くことができる。電極に印加された電磁場は、そのような実施において、近接場誘導結合を介してウエハを誘導的にバイアスすることができる。外部電流によって生成された磁場を使用して、堆積された電極に電流を誘導することにより、ウエハ全体に電流を生成することができる。非接触プローブを実施する他の方法も使用できる。
【0017】
いずれの場合においても、SHG法を、試料を調査するために使用し、例えば、2014年4月17日出願の米国仮出願第61/980860号明細書「ウエハ計測技術」の第I節「ポンプおよびプローブ型SHG計測」、および/または第III節「温度制御された計測」の部分に詳述がある。なお、いずれも参照によりその全体が本明細書に援用される。また、2015年4月17日出願の米国特許出願第14/690179号明細書「ポンプおよびプローブ型第二高調波発生計測」も参照されたい。これは、米国特許出願公開第2015/330908号(代理人整理番号FMETRX.007A)として公開され、参照によりその全体は本明細書に援用される。同一のことは、以下に論じる他の実施形態に関しても当てはまる。
【0018】
とにかく、対象の実施形態では、界面の両端間の電圧の関数としてSHGを監視することが望ましいので、SHG信号を電力源と同期させるであろう。この同期は、SHG信号生成およびSHG信号処理ソフトウェアに使用するレーザ、レーザ単独、またはSHG信号処理ソフトウェアのみを、電圧変化とともに時間的に制御することによって達成できる。チャックの電圧も制御できる。
【0019】
この同期の利点は、DCバイアスのSHG測定値と同様の電圧バイアスのSHG測定値を、ウエハの表面に接触電圧バイアスプローブを使用することなく取得できることである。DCバイアスを印加する代わりに、システムはSHG測定および/または生成と同期したACバイアスを使用して、電圧サイクルの別々の点でSHGデータを収集する。ACバイアスは、近接場誘導結合を使用して、または試料の容量性結合を介して印加できる。これらのバイアス技術で収集したSHGデータは、DCバイアスのSHGと同一の物質特性情報を生成する。
【0020】
ノイズを低減または最小化し、界面の両端の電圧の関数として統計学的に適切な指標を得るために、以下に詳述するように、複数の光子計数ウィンドウが望ましい可能性がある。
【0021】
(界面リークを特性評価するための誘導電圧バイアス)
積層(例えば、半導体)物質の層間の界面リーク電流および/またはキャリア注入エネルギーについて、SHGおよび上記のような積層半導体物質に印加する電圧変化(例えば、交流の、可変および/もしくはパルス状電圧または電流信号、あるいは試料の装置層内に電圧変化を誘導するように磁場を変化させる装置)を利用して特性評価するシステムおよび方法を説明する。
【0022】
交流の、可変および/もしくはパルス状電圧を積層の半導体/誘電体構造物質に印加しながら、あるいは印加直後に、当該積層半導体物質に向けられたパルスレーザによって生成される光パルスからのSHG応答を測定することによって、層間の界面リーク電流および/またはキャリア注入エネルギーを特性評価することができる。いくつかの実施形態では、誘導電圧の減衰時定数の関数として界面からのSHG信号の時間発展を測定することができる。これにより、界面全体の電荷キャリアの移動度に関する情報が得られる。
【0023】
(キャリア注入エネルギーしきい値を特性評価するための誘導電圧バイアス)
積層半導体物質における、誘電体への光誘導電荷キャリア注入のエネルギーしきい値を決定するため、波長可変レーザ励起の使用に代わる、試料の装置層での変動電場と関係するSHG測定について、そのシステムおよび方法を説明する。より具体的には、誘電体への光誘導電荷キャリア注入に必要なエネルギーしきい値を測定するために、前述の物質を実質的に単色の入射光子ビームに曝露してSHGを生成させ、次に曝露された積層半導体物質の界面両端の電圧を増分的に変化させ、SHG応答が大幅な屈曲もしくは不連続性を示すか、または以前の測定値からの勾配が突然変化するまで、各増分電圧変化でSHG信号数を測定することができる。この勾配の変化は、最大もしくは最小(例えば、極大もしくは極小)、または尖点、あるいは階段関数などの可能性がある。これらすべてのプロセスによる正味の電荷変化の伝達は、第三高調波注入電流、強電場による誘電体への「順方向」リーク電流、および「逆方向」放電リーク電流の寄与の積分として説明できる。方程式の形式では、以下となる。
【数1】
この曲線形状の運動学的特徴(時間に関する屈曲モーメントおよび飽和モーメント)により、キャリア注入エネルギーしきい値を決定するための情報が提供されよう。
【0024】
(コロナ帯電)
本明細書では、コロナ帯電下での光第二高調波発生検出のための装置も説明する。本発明のハードウェアは、一または複数の電荷Qを試料に供給または堆積するためのコロナ放電源(例えば、コロナ銃)を有するSHG装置または他の種類の光学的調査システムを含むことができる。試料は、半導体物質を含むことができる。例えば、試料は、半導体装置、半導体ウエハ、半導体チップ、バルク半導体物質、ヘテロ接合などを含むことができる。ある実施において、外部電圧源を試料およびコロナ放電源間に接続して、試料上に一または複数の電荷Qを供給または堆積することができる。
【0025】
(四波混合および多波混合)
コロナ帯電を用いる計測システムの様々な実施形態において、四波混合および多波混合のような他の非線形光学プロセスによって生成される光信号を使用して、半導体装置の様々な特性(例えば、界面領域の電気的特性)を決定することができる。四波混合および多波混合とは、同一または異なる光周波数の二つ以上の入射ビームが互いに相互作用し、非線形媒質のより高次の非線形感受率の結果として、前述の二つ以上の入射ビームとは異なる一つまたは複数の光周波数を有する光信号を生成する非線形光学現象である。様々な実施形態において、試料の特性を評価するための計測システムは、コロナ放電源によって堆積した電荷の存在下で四波または多波混合信号を測定するように構成される。
【0026】
本明細書に開示したシステム、方法および装置は、それぞれがいくつかの革新的な態様を有し、それら単一のものは、いずれも、本明細書に開示した望ましい属性に対して単独で原因を有するわけではない。様々なシステムおよび方法の実施例について以下に説明する。
【0027】
(実施形態1)
上側および底側を有する試料の光学的調査方法であって、
プローブ光源から前記試料の表面にプローブ放射を照射し、
コロナ銃を用いて前記試料の前記上側に異なる量の電荷を堆積し、
光学的検出器を使用して、前記試料の前記上側に堆積した異なる量の電荷についてのプローブ放射によって生成された第二高調波発生(SHG)効果信号を検出し、
前記検出SHG効果信号の変化特性を、前記試料の前記上側に堆積した異なる量の前記電荷について決定する、ことを含む光学的調査方法。
(実施形態2)
表面電荷の関数としての前記試料の対応するバンド曲がりでの界面充電状態を決定するために使用される、実施形態1に記載の方法。
(実施形態3)
ポンプ光源からのポンプ放射を前記試料の前記表面に適用し、
光学的検出器を使用して、前記ポンプ放射および前記プローブ放射のうちの少なくとも一つによって生成されたSHG効果信号を検出し、
前記電荷および前記ポンプ放射の存在下で、前記検出SHG効果信号の特性を決定すること、をさらに含む実施形態1または2に記載の方法。
(実施形態4)
表面電荷の関数としての前記試料の対応するバンド曲がりでのキャリア動態を決定するために使用される、実施形態3に記載の方法。
(実施形態5)
前記試料および電気的接地間の電流を測定すること、をさらに含む実施形態1~4のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態6)
前記試料の前記上側に堆積した電荷の前記異なる量を決定すること、をさらに含む、実施形態1~4のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態7)
前記試料および前記電気的接地間の前記測定電流に基づいて、前記試料の前記上側に堆積した電荷の前記異なる量を決定すること、をさらに含む実施形態6に記載の方法。
(実施形態8)
前記試料は、半導体を含む、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態9)
前記試料は、酸化物および半導体または金属間の界面領域を含む、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態10)
試料への電荷適用を伴う、前記試料の表面の光学的調査システムであって、
プローブ光放射を前記試料の前記表面の上に向けるように配置され、前記プローブ光放射を放出するように構成された第1の光源と、
前記試料に異なる量の電荷を供給するために試料に対して配置されたコロナ放電源と、
前記試料からの第二高調波発生光を検出するように構成された光学的検出器と、
前記検出第二高調波発生光の特性を前記電荷の前記異なる量について決定するように構成された電子機器と、
を含む試料表面用光学的調査システム。
(実施形態11)
前記第1の光源は、レーザを含む、実施形態10に記載のシステム。
(実施形態12)
前記第1の光源は、パルスレーザを含む、実施形態11に記載のシステム。
(実施形態13)
前記パルスレーザは、ナノ秒、ピコ秒およびフェムト秒レーザから選択される、実施形態11または12に記載のシステム。
(実施形態14)
前記パルスレーザは、波長可変レーザを含む、実施形態12または13に記載のシステム。
(実施形態15)
第2の光源をさらに備え、前記第2の光源は、ポンプ放射を放出するように構成されたポンプ光源を含み、かつ前記第1の光源は、プローブ光源を含む、実施形態10に記載のシステム。
(実施形態16)
前記ポンプ光源は、UVフラッシュランプを含む、実施形態15に記載のシステム。
(実施形態17)
前記ポンプ光源は、レーザを含む、実施形態15に記載のシステム。
(実施形態18)
前記ポンプ光源は、パルスレーザを含む、実施形態15に記載のシステム。
(実施形態19)
前記パルスレーザは、ナノ秒、ピコ秒およびフェムト秒レーザから選択される、実施形態18に記載のシステム。
(実施形態20)
前記パルスレーザは、波長可変レーザを含む、実施形態18に記載のシステム。
(実施形態21)
前記光学的検出器は、光電子増倍管、CCDカメラ、アバランシェ検出器、フォトダイオード検出器、ストリークカメラおよびシリコン検出器から選択される、実施形態10~20のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態22)
前記コロナ放電源および前記試料間に電圧を印加する電圧源をさらに備える、実施形態10~21のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態23)
前記試料および電気的接地間の電流を測定するように構成された電気センサをさらに備える、実施形態10~22のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態24)
前記電子機器は、前記コロナ放電源によって供給される異なる量の電荷を決定するように構成される、実施形態10~23のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態25)
前記電子機器は、前記試料および前記電気的接地間の前記測定電流に基づいて、前記コロナ放電源によって供給される異なる量の電荷を決定するように構成される、実施形態24に記載のシステム。
(実施形態26)
前記電子機器は、異なる量のSHG信号を、前記コロナ放電源によって供給される前記対応の異なる量の電荷と関係付けるように構成される、実施形態24または25に記載のシステム。
(実施形態27)
前記電子機器は、前記試料中の一または複数の欠陥、前記試料中の格子間状態、または前記試料中の空乏領域、蓄積領域もしくは反転領域に関する情報について、前記異なる量のSHG信号、および前記コロナ放電源によって供給される前記対応の異なる量の電荷間の前記関係に基づいて決定するように構成される、実施形態26に記載のシステム。
(実施形態28)
前記電子機器は、異なる量のSHG信号を、前記コロナ放電源によって供給される前記対応の異なる量の電荷と関係付けるように構成される、実施形態26または27のシステム。
(実施形態29)
前記電子機器は、前記試料中の一または複数の欠陥、前記試料3020中の格子間状態、または前記試料中の空乏領域、蓄積領域もしくは反転領域に関する情報について、前記異なる量のSHG信号、および前記コロナ放電源によって供給される前記対応の異なる量の電荷間の前記関係に基づいて決定するように構成される、実施形態28に記載のシステム。
(実施形態30)
前記試料は、半導体を含む、実施形態10~29のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態31)
前記試料は、酸化物、および半導体または金属間の界面領域を含む、実施形態10~29のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態32)
試料への電荷適用を伴う、前記試料の表面の光学的調査システムであって、
前記試料の前記表面に向かって光の第1の入射ビームを放出するように構成された第1の光源と、
前記試料の前記表面に向かって光の第2の入射ビームを放出するように構成された第2の光源と、
前記試料に異なる量の電荷を供給するために試料に対して配置されたコロナ放電源と、
前記試料から、前記異なる量の電荷について少なくとも一つの四波混合または少なくとも一つの多波混合信号成分を検出するように構成された光学的検出システムと、
前記検出した少なくとも一つの四波混合または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいた信号を受信するように前記光学的検出システムに電気的に接続された電子機器と、
を備える試料表面用光学的調査システム。
(実施形態33)
前記第1の光源は、パルスを出力するように構成されたパルス光源を含む、実施形態32に記載のシステム。
(実施形態34)
前記第2の光源は、パルスを出力するように構成されたパルス光源を含む、実施形態32または33に記載のシステム。
(実施形態35)
前記第1の光源から出力された前記パルスおよび前記第2の光源から出力された前記パルス間に時間遅延を導入するように構成されたシステムをさらに含む、実施形態34に記載のシステム。
(実施形態36)
前記第1および第2の光源のうちの少なくとも一つは、パルスを出力するように構成されたパルスレーザを含む、実施形態32~35のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態37)
前記パルスレーザは、ナノ秒、ピコ秒およびフェムト秒レーザから選択される実施形態36に記載のシステム。
(実施形態38)
前記電子機器は、前記コロナ放電源によって供給される異なる量の電荷を決定するように構成される、実施形態32~37のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態39)
前記試料および電気的接地間の電流を測定するように構成された電気センサをさらに備える、実施形態32~38のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態40)
前記電子機器は、前記電気センサと電気的に通信する、実施形態39に記載のシステム。
(実施形態41)
前記電子機器は、前記試料および前記電気的接地間の前記測定電流に基づいて、前記コロナ放電源によって供給される異なる量の電荷を決定するように構成される、実施形態40に記載のシステム。
(実施形態42)
前記電子機器は、前記異なる量の前記電荷について検出された前記少なくとも一つの四波混合信号成分または前記少なくとも一つの多波混合信号成分の特性を決定するように構成される、実施形態32~41のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態43)
前記電子機器は、前記試料に関する情報について、前記異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分について前記決定された特性に基づいて取得するように構成される、実施形態42に記載のシステム。
(実施形態44)
前記電子機器は、前記試料の電荷動態に関する情報について、前記異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分について前記決定された特性に基づいて取得するように構成される、実施形態42に記載のシステム。
(実施形態45)
前記電子機器は、異なる量の前記少なくとも一つの四波混合信号成分または前記少なくとも一つの多波混合信号成分SHG信号を、前記コロナ放電源によって供給される前記対応の異なる量の電荷と関係付けるように構成される、実施形態32~44のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態46)
前記第1の入射ビームおよび前記第2の入射ビームの光パルス間に可変時間遅延を導入するように構成された光学的遅延システムをさらに含む、実施形態32~45のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態47)
前記電子機器は、前記試料に関する情報について、異なる量の前記可変時間遅延および異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定するように構成される、実施形態46に記載のシステム。
(実施形態48)
前記電子機器は、前記試料の電荷動態に関する情報について、異なる量の前記可変時間遅延および異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定するように構成される、実施形態46に記載のシステム。
(実施形態49)
前記光学的検出システムは、前記試料から少なくとも一つの四波混合信号成分を検出するように構成される、実施形態32~48のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態50)
前記光学的検出システムは、前記試料から少なくとも一つの多波混合信号成分を検出するように構成される、実施形態32~48のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態51)
前記試料は、半導体を含む、実施形態32~50のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態52)
前記試料は、酸化物、および半導体または金属間の界面領域を含む、実施形態32~50のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態53)
上側および底側を有する試料の光学的調査方法であって、
第1の光源からの第1の入射ビームを、前記試料の表面上の領域に向け、
第2の光源からの第2の入射ビームを、前記試料の前記表面上の前記領域に向け、
コロナ銃を用いて前記試料の前記上側に異なる量の電荷を堆積し、
光学的検出システムを使用して、第1の入射ビームおよび第2の入射ビームによって生成された前記試料からの少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分を、前記試料の前記上側に堆積した異なる量の電荷について検出する、ことを含む光学的調査方法。
(実施形態54)
前記試料に関する情報について、前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定すること、をさらに含む実施形態53に記載の方法。
(実施形態55)
前記試料の電荷動態に関する情報について、前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定すること、をさらに含む実施形態53に記載の方法。
(実施形態56)
前記試料の前記上側に堆積した前記異なる量の電荷について前記少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分の特性を決定すること、をさらに含む実施形態53に記載の方法。
(実施形態57)
前記試料の電荷動態に関する情報について、異なる量の前記電荷について検出された前記少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分について前記決定された特性に基づいて決定すること、をさらに含む実施形態53に記載の方法。
(実施形態58)
前記第1の入射ビームおよび前記第2の入射ビームは、光パルスを含む、実施形態53~57のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態59)
前記第1の入射ビームおよび前記第2の入射ビームの光パルス間に可変時間遅延を導入すること、をさらに含む実施形態58に記載の方法。
(実施形態60)
前記試料に関する情報について、異なる量の前記可変時間遅延および異なる量の前記電荷について前記検出された少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定すること、をさらに含む実施形態59に記載の方法。
(実施形態61)
前記試料の電荷動態に関する情報について、異なる量の前記可変時間遅延および異なる量の前記電荷について検出された前記少なくとも一つの四波混合信号成分または少なくとも一つの多波混合信号成分に基づいて決定すること、をさらに含む実施形態59に記載の方法。
(実施形態62)
前記少なくとも一つの四波混合信号成分は、前記光学的検出システムによって検出される、実施形態53~61のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態63)
前記少なくとも一つの多波混合信号成分は、前記光学的検出システムによって検出される、実施形態53~61のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態64)
前記試料は、半導体を含む、実施形態53~63のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態65)
前記試料は、酸化物、および半導体または金属間の界面領域を含む、実施形態53~63のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態66)
ポンプ放射を適用すること、をさらに含む実施形態1~9のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態67)
前記試料の調査は、前記試料が製造または製造ラインにある間に、インラインで行われる、実施形態1~9または66のいずれか1項に記載の方法。
(実施形態68)
前記システムは、前記試料が製造または製造ラインにある間に、前記試料をインラインで調査するように構成される、実施形態10~31のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態69)
前記システムは、前記試料が製造または製造ラインにある間に、前記試料をインラインで調査するように構成される、実施形態32~52のいずれか1項に記載のシステム。
(実施形態70)
前記試料の調査は、前記試料が製造または製造ラインにある間に、インラインで行われる、実施形態53~65のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図によって、異なる本発明の変形例について種々の実施形態の態様を図式的に説明する。
図1図1Aおよび1Bは、本明細書中で使用することができるSHGシステム部品の概略図である。
図2A図2Aは、本明細書の第1のチャック構成の斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aのチャック構成の側面の断面図である。
図3A図3Aは、本明細書の第2のチャック構成について一部を切り取った斜視図である。
図3B図3Bは、本明細書の第2のチャック構成について一部を切り取った上面図である。
図3C図3Cは、図3A/3Bのチャックの切り取った斜視図である。
図4図4Aおよび4Bは、DCバイアスプローブを除くため、試料に印加した交流電圧および表れた交流電圧に関する図である。
図5図5Aおよび5Bは、リーク電流をテストするため、試料に印加した交流電圧および現われた交流電圧に関する図である。
図6A図6Aは、コロナ放電源を用いたSHGシステムの概略図である。
図6B図6Bは、コロナ放電源を用いたSHGシステムの概略図である。
図6C図6Cは、コロナ放電源を用いたSHGシステムの概略図である。
図6D図6Dは、試料の表面上に堆積した種々の量の電荷についてのSHG信号を測定する方法を示すフローチャートである。
図6E図6Eは、コロナ放電源により堆積した種々の量の電荷についてのSHG信号の変化を示す概略図である。
図6F図6Fは、試料の表面上に堆積した電荷量が変化したときのSHG信号の強度の変化を示す別の概略図である。
図7A図7Aは、コロナ放電源により堆積した電荷の存在下で四波または多波混合信号を測定するように構成された計測システムの実施形態の側面図を概略的に示す。
図7B図7Bは、四波または多波混合信号を測定するように構成された計測システムの実施形態の上面斜視図を概略的に示す。
図7C図7Cは、調査している試料の表面から出力される種々の信号の断面を示す検出平面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1Aおよび1Bは、2014年4月17日出願の米国特許仮出願第61/980860号明細書「ウエハ計測技術」の第I節「ポンプおよびプローブ型SHG計測」の一部に詳説されている、本発明のシステムおよび方法に使用するための適切なハードウェアを示す。なお、参照によりその記載の全体は本明細書に援用される。また、2015年4月17日出願の米国特許出願第14/690179号明細書「ポンプおよびプローブ型第二高調波発生計測」も参照されたい。これは、米国特許出願公開第2015/330908号(代理人整理番号FMETRX.007A)として公開され、参照によりその全体は本明細書に援用される。他のシステムおよび方法の選択肢は、2014年4月17日出願の米国特許仮出願第61/980860号明細書「ウエハ計測技術」の第II節「電荷減衰測定のシステムおよび方法」の一部に、例えば、中間の光学、光学遅延線を含めることおよび任意の電極機能などに関して提示があり、参照によりその全体は本明細書に援用される。また、2015年4月17日出願の米国特許出願第14/690256号明細書「電荷減衰測定のシステムおよび方法」も参照されたい。この出願は、米国特許出願公開第2015/331029号(代理人整理番号FMETRX0.008A)として公開され、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0030】
図示のように、システム3000には、真空チャック3030により保持された試料ウエハ3020に電磁放射の調査ビーム3012を向ける一次またはプローブレーザ3010が含まれる。図1Bに示すように、チャック3030は、xおよびyステージ、ならびに必要に応じて、レーザが向けられる場所に対してウエハ全体の試料位置3022を位置決めするための回転ステージをも含むか、またはそれらのステージ上に設定される。xyステージにより、他のハードウェアを動かすことなく、複数のウエハ表面位置または場所3022をスキャンすることが可能になる。回転ステージにより、必要に応じて、結晶構造のSHGに対する影響を評価することが可能になる。さらなる任意の特徴、態様および/またはチャック3030の用途について、本明細書の他の箇所に提示がある。試料位置3022は、一つまたは複数の層を含むことができる。試料位置3022は、少なくとも二つの層を含む複合基板を含むことができる。試料位置3022は、二つの異なる物質間(例えば、二つの異なる半導体物質間、不純物が異なる二つの半導体物質間、半導体および酸化物間、半導体および誘電体物質間、半導体および金属、または酸化物および金属間)の界面を含むことができる。
【0031】
システム3000を使用したとき、検出器3040に向け反射された放射ビーム3014は、SHG信号を含むであろう。検出器3040は、光電子増倍管、CCDカメラ、アバランシェ検出器、フォトダイオード検出器、ストリークカメラ、およびシリコン検出器のいずれであってもよい。システム3000はまた、一つまたは複数のシャッター型装置3050を含み得る。使用するシャッターハードウェアの種類は、レーザ放射を遮断する、投棄する、または他の方法で試料位置から離れる方向に向ける時間枠に依存する。ポッケルスセルまたはカーセルなどの電子光学遮断装置を使用して、非常に短い遮断期間(つまり、作動時間が10-9~10-12秒程度の)を得ることができる。
【0032】
より長い遮断時間間隔(例えば、約10-5秒以上)のためには、機械的シャッターまたはフライホイールのチョッパー型装置を用いる可能性がある。しかし、電子光学遮断装置を使用すると、以下の方法に従って、より広範囲の物質をテストできる。非常に短い時間間隔、通常、ピコ秒からマイクロ秒程度で離散的に開閉することができる光子計数システム3044を使用して、時間依存信号の計数を解決することができる。より高速な時間枠の場合、上記のように光学遅延線を組み込むことができる。
【0033】
システム3000は、ポンプ光源とも呼ばれる追加の電磁放射源3060を含むことができる。様々な実施形態において、放射源3060は、指向性ビーム3062を放出するものとして示されるレーザ、または発散もしくは光学的にコリメートされたパルス3064を放出するUVフラッシュランプであり得る。レーザ源の場合、そのビーム3062は、ビーム3012と同一直線上であり得る(例えば、追加のミラーまたはプリズムなどによって向きを変える)。光源3060の出力波長は、約80nmから約1000nmのどこであってもよい。この範囲のより短い波長(例えば、約450nm未満)を使用すると、より長い波長よりも少ない光子を使用して、かつ/またはより低いピーク強度で電荷励起を駆動することが可能である。
【0034】
フラッシュランプの場合、1フラッシュ当りのエネルギー、またはフラッシュ時の電力レベルは、基板物質に依存する可能性がある。1フラッシュ当りの総エネルギー1J~10kJを生成するフラッシュランプが、完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FD-SOI)に適切であろう。ただし、パルスまたは定常的なUV光源も使用可能であろう。ポンプの特性および用途における重要な要素は、電荷キャリアを調査対象の物質の誘電体中に注入することである。適切なフラッシュランプのメーカーには、米国Hellma社、および浜松フォトニクス株式会社が含まれる。
【0035】
レーザを光源3060として使用する場合、ナノ秒、ピコ秒、またはフェムト秒、あるいはより高速のパルスレーザ源のいずれであってもよい。連続固体レーザの可能性さえある。様々な実施形態では、ポンプ源は波長を調整可能である。調整可能なレーザに関して市販されている選択肢には、スペクトラ・フィジックス社のVelocity、およびVortex Tunable Laserがある。さらに、調整可能な固体ソリューションを、LOTIS社のLT-22xxシリーズの固体レーザから入手できる。
【0036】
レーザまたはフラッシュランプのいずれとして提供するにしても、ポンプ源3060は、比較的高い平均電力を有するように選択し得る。これは、約10mW~約10Wが可能であるが、より通常は、約100mW~約4Wと調査物質に依存し(繰り返しになるが、考慮すべきことは、電荷キャリアを物質の界面(例えば、誘電体界面)中に注入するような、電荷キャリア移動度の誘導を保証することである)、物質固有の値であり得る。ポンプ源3060の平均電力は、物質の光学的損傷のしきい値以下であるように選択される。例えば、ポンプ源3060は、調査物質がシリコンを含む場合、シリコンの光学的損傷しきい値を超えないように、平均光電力が1~2Wを有するように選択することができる。
【0037】
プローブレーザ3010は、ナノ秒、ピコ秒、またはフェムト秒、あるいはより高速のパルスレーザ源のいずれであってもよい。必要なピーク電力、波長、信頼性を有する、現在市販のレーザの二つの選択肢は、ドープファイバーおよびチタンサファイア装置である。コヒレント社のVITESSEおよびスペクトラ・フィジックス社のMAI TAIレーザが好適なチタンサファイアの例である。フェムトレーザーズ社およびその他のメーカーも、他の適切なチタンサファイア装置を製造する。適切なドープファイバーレーザを、IMRA、OneFive、およびToptica Photonicsが製造する。基板物質およびポンプ種によっては、浜松など多くのメーカーのピコ秒、および/または、ナノ秒レーザも、選択肢になる可能性がある。レーザ3010は、約100nm~約2000nmの波長範囲において約10kW~1GWのピーク電力で動作するが、電力供給は平均で150mW未満となる可能性がある。
【0038】
その他種々の任意の、いわゆる「中間」光学部品を、システム3000で使用することができる。例えば、システムは、レーザ3010および/または光源3060から直接に反射された放射と同軸のSHG信号を選択的に通過させる二色性反射もしくは屈折フィルタ3070を含む可能性がある。あるいは、プリズムを使用して、より弱いSHG信号を、何桁も強い反射一次ビームから区別することができる。しかし、プリズムを使用する手法は誤整列に非常に敏感であることが判明しているため、上記の二色性システムが好ましい場合がある。他の選択肢には、回折格子またはペリクルビームスプリッタの使用が含まれる。集束および平行/円柱構造光学系のための光束3080を設けてもよい。あるいは、フィルタホイール3090、偏光子3092、および/またはズームレンズ3094の装置もしくはアセンブリを、システムで使用することができる。また、角度(または円弧型)回転調整(検出器に対応する調整を伴うもの)およびインライン光学用部品が望ましい場合もある。
【0039】
検出器3040および/または光子計数システム3044からの出力は、電子装置、電子機器、処理用電子機器、制御用電子機器、または処理/制御用電子機器3048に入力することができる。電子装置3048は、計算装置、コンピュータ、タブレット、マイクロコントローラまたはFPGAとすることができる。電子装置3048は、プロセッサ、処理用電子機器、制御用電子機器、処理/制御用電子機器、または一つもしくは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得る電子機器を含む。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサ、処理用電子機器、制御用電子機器、処理/制御用電子機器、または電子機器は、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または他の任意のソフトウェアアプリケーションを含む一つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得る。電子装置3048は、本明細書で論じる方法を、例えば、RAM、ROM、EEPROM、等のような機械可読非一時的記憶媒体に含まれる命令を実行することにより、実施できる。電子装置3048は、ユーザと対話するための表示装置および/またはグラフィックユーザインタフェースを含むことができる。電子装置3048は、ネットワークインタフェースを介して一つまたは複数の装置と通信することができる。ネットワークインタフェースは、例えば、有線イーサネット、ブルートゥース(登録商標)、または無線接続などの通信が可能な送信機、受信機、および/もしくはトランシーバを含むことができる。
【0040】
他の選択肢に関しては、SHG信号は、それを生成する反射ビームと比較して弱いので、SHG計数の信号対ノイズ比を改善することが望ましい。光子計数システム3044の光子計数ゲート時間が、本明細書に記載の遮断および/または遅延プロセスのために減少するにつれて、改善がさらに重要になる。使用する可能性のあるノイズを低減する一つの方法は、光子計数器を積極的に冷却することである。これは、液体窒素やヘリウムなどの極低温流体、またはペルチェ装置を使用した固体冷却を使用して行うことができる。その他の改善分野には、シャッタースピードに関連するマルクスバンク回路(MBC)の使用が含まれる可能性がある。さらに、システム3000は、生産ライン環境内のインラインに組み込むことができる。システム3000に先行するまたは後続の生産ライン要素には、エピタキシャル成長システム、リソグラフィおよび/または堆積(CVD、PVD、スパッタリング、等)システムのいずれも含まれ得る。
【0041】
いずれの場合においても、図2Aおよび2Bによって、対象のSHGシステムで使用する可能性がある目的特化のチャックハードウェアの第1の組の図を提供する。チャック3030は、ウエハ3020を真空または他の手段によって保持する。チャック3030は導電性であり、電源に接続される。必要に応じて、容量結合プローブ3100も、電源3120に接続される。電源はコンピュータ制御であるか、または少なくともその出力は、上記に要約したタイミングの理由でコンピュータによって調整される。プローブ3100も、同様に制御および/または監視することができる。それは、電源3120に接続された容量性回路の一部であるという意味で制御されるであろう。それは、電圧計によってチャック3030と共に監視されて、電圧が意図されたように誘導されていることを確認することができる。
【0042】
プローブ3100は、穴3102またはポート(例えば、直径0.2mm)をそのリング内に含むので、光ビーム3012、3014(調査ビームおよび反射SHGビーム)が遮断されずに通過でき、かつ光学部品に対して相対的に固定されるので、装置表面をスキャンするときに、光学素子と一緒に移動するか、または留まり、(再)配置した試料位置3022の中心に留まる。その結合(正の「+」電荷を持つことを示す)は、試料装置の表面の近く(例えば、約1mm~約2mm以内)に配置されるが、接触はしない。カンチレバーアームまたはその他の方法で支持される。プローブ3100は、図2Bに示すように、リング3104として提供してもよいし、またはより大きな円盤もしくは平板を含んでもよい。
【0043】
図2Bの断面図に示す例では、ウエハ3020または装置表面(シリコンを含む)は、シリコンバルク層からSiOによって分離されている。したがって、上記で説明したように、装置表面への誘導バイアスが必要である。そうでなければ、導電性チャック3030と接触する、下のシリコンから(少なくとも実質的に)電気的に絶縁されるか、または分離されるからである。
【0044】
図3A~3Cは、電源3120に接続した電気コイル3130を含む電磁チャック3030の詳細を示す。使用中、ウエハ3020を、チャック3030の上に置き、固定する。交流電流(AC)をコイル3130に印加すると、これによりウエハを通る交流磁場を発生する。交流磁場は、その装置表面を含むウエハ3020全体に電位を誘導する。そして、この電場により、上記のSHG調査のさまざまなモードが可能になるので、その一部について、以下で詳しく説明する。あるいは、DC電流をチャック3130と平行に配向されるコイル3130に印加し、上記した他の効果のためチャック全体に一定の磁場を作り出すこともできる。
【0045】
図4Aは、基板バルク層に時間の経過とともに印加したAC電圧(V)プロファイル(正弦波)の一例を示す。図4Bは、装置および装置がその上に製造されている基板バルク層間の誘導電圧(V)の仮想的な応答を示す。様々な実施形態では、基板は、シリコンウエハまたは半導体物質の一部を含むことができる。図5Aは、基板バルク層に時間の経過とともに印加したAC電圧(V)プロファイル(方形波)の一例を示す。図5Bは、装置およびバルク層間の誘導電圧(V)の仮想的な応答を示す。なお、図4Aまたは5Aのいずれにおいても、電圧入力は図と異なる可能性があり、潜在的に、階段、ランプ、正弦波、または他の形で印加する可能性があることに留意されたい。
【0046】
図4Aおよび4Bに関して、より具体的には、ノイズを最小化し、界面の両端の電圧の関数として統計的に妥当なSHG強度を取得するために、複数の光子計数ウィンドウが望ましい可能性がある。このような目的のために、例として、点AおよびAについて、バルクおよび装置層間の電圧が電圧Aとして両点で同一になるようにタイミング調整する。これは、例えば、点BおよびBの電圧B、点CおよびCの電圧C、についても同様である。例えば、電圧Aを使用して、SHGを記録し、点Aにおける計数値を、点Aでの計数値および点A、A、A...での計数値と、所望の測定時間に応じて任意の長い系列で加算し得る。次に、この期間に測定された計数値の総数を、1秒あたりの平均計数値を見つける方法として、この「ゲート」が及ぶ時間で除算する。これにより、SHG強度をバルク-装置電圧の関数としてプロットできる。同一方法を使用して、点BおよびB、ならびにB、B、B...での電圧Bに対する測定値を、所望の測定時間に応じて任意の長い系列で取得できる。次に、この期間に測定された計数値の総数を、1秒あたりの平均計数値を見つける方法として、この「ゲート」が及ぶ時間で除算する。これにより、SHG強度をバルク-装置電圧の関数としてプロットできる。同様に、この方法を使用して、点CおよびC、ならびにC、C、C...での電圧Cに対する測定値を、所望の測定時間に応じて任意の長い系列で取得できる。次に、この期間に測定された計数値の総数を、1秒あたりの平均計数値を見つける方法として、この「ゲート」が及ぶ時間で除算する。これにより、SHG強度をバルク-装置電圧の関数としてプロットできる。バイアス電圧の関数としてのSHG強度の利用に関するさらなる詳細について、DCバイアス文献に見出すことができる。例えば、「第二高調波発生に測定した照射SOIウエハにおける電荷トラップ」、IEEE Transaction on Nuclear Science、Vol.51、No.6、2004年12月所収、および「電場誘導第二高調波発生を利用したシリコン集積回路の光プローブ」、Applied Physics Letters、88、114107、2006年所収、等があり、各出版物について、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0047】
図5Aおよび5Bに関して、より具体的には、これらの図は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)装置を調査する一例を示す。この例では、導電性チャックは「中立の」基底状態で始まり、バルク層および装置層は平衡電位にある。時点「A」で、チャックに印加される電圧を急激に変化させると、当該電圧が試料の導電性バルク層に印加される。試料の装置層は、薄い埋め込み酸化膜層によってバルクから分離されて導電体と直接接続していないため、電位電場または電圧が装置およびバルク層間に誘導されるであろう。時刻「A」および「B」の間、チャックに印加する電圧は変化しない。バルク層および装置層間の誘電体は完全ではないため、誘導された電位が層間のリーク電流を駆動し、バルク層および装置層間の電位を自然な状態に戻す。次に、電場のこのスパイクおよび減衰について、SHGを介して監視することによって、リーク電流に関する洞察を提供する。時刻「B」で、チャックに印加した電圧を接地電位に戻すと、界面の両端の電圧が逆転する。
【0048】
本明細書で説明するシステムおよび方法について、試料(例えば、半導体ウエハまたはその一部)を特性評価するために使用できる。例えば、本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して、上記のように試料中の欠陥または汚染物質を検出できる。本明細書に記載のシステムおよび方法について、半導体ウエハの製造または生産中に試料を特性評価するように構成できる。したがって、システムおよび方法を、半導体製造施設の半導体製造ラインに沿って使用できる。本明細書に記載のシステムおよび方法を、半導体製造/生産ラインと統合できる。本明細書に記載のシステムおよび方法について、自動化されたウエハ処理機能を備えた半導体製造ラインに統合できる。例えば、システムには、フロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)などのウエハカセットを受け入れる機器フロントエンドモジュール(EFEM)を取り付けることができる。これらのカセットのそれぞれを、人間のオペレーターによって、またはカセットを製造/生産ラインに沿ってプロセスからプロセスに移動する自動カセット処理ロボットによって、それらの機械に配送できる。
【0049】
様々な実施形態では、システムについて、カセットを一度EFEM上に取り付けると、FOUPが開き、そしてロボットアームがFOUPから個々のウエハを選択しシステムに含まれる自動的に作動するドアを通って移動させ、遮光プロセスボックス、およびバイアス可能な真空チャックに入れるように構成できる。チャックは、試料をその上に置くことができるように、ロボットアームと補完し適合するように設計することができる。この過程のある時点で、ウエハをスキャナにかざして、固有のレーザ刻印を特定できる。
【0050】
したがって、半導体製造/組み立てラインに統合されるように構成されたシステムは、FOUPまたは他の種類のカセットからの自動ウエハ操作能力、上記のようなEFEMへの統合、ロボット操作と互換性を持つ方法で設計されたチャック、ロボットの棒/アームの動作が可能なように開閉する自動遮光ドア、およびウエハのロード/アンロードおよびウエハ識別のためEFEMに信号を出すソフトウェアを有することができる。
【0051】
(コロナ帯電)
また、コロナ帯電下での光第二高調波発生検出のための装置についても、本明細書で説明する。本発明のハードウェアは、一または複数の電荷Qを試料に供給または堆積するためのコロナ放電源(例えば、コロナ銃)を有するSHG装置を含む。試料は、半導体物質を含むことができる。例えば、試料は、半導体装置、半導体ウエハ、半導体チップ、バルク半導体物質、ヘテロ接合などを含むことができる。外部電圧源は、試料およびコロナ放電源間に接続され、試料上に一または複数の電荷Qを供給または堆積する。堆積した電荷は、試料の表面および裏面間に電圧バイアスを生じさせることができる。様々な実施形態では、試料の片側(例えば、裏面)のみを外部電圧源に接続して、試料の表面および裏面間に電位差を形成することに留意されたい。したがって、試料の両面に電気的に接触することによって試料中に電流または電荷を導入することに依存する試験方法とは対照的に、コロナ放電源は、試料の両側に接触することなく試料の片側のみに電気的に接触することにより電荷を導入することができる。これにより、試験中に片側(例えば、試料の前面)を損傷する危険性を低減するのに有利であり得る。
【0052】
図6Aおよび6Bに示すように、試料3020からの第2高調波発生信号I(2ω)(Q)について、試料表面をコロナ放電源(例えば、コロナ銃)3260からのコロナ放電(3265)に曝露しながら検出する。パラメータωはレーザ3010からの入射プローブ光の光周波数であり、Qは試料が受け取るコロナ銃3260からの電荷である。コロナ銃またはコロナ放電源3260は、試料(例えば、試料表面)に対して、試料(または試料表面)が、例えば、コロナ銃から荷電イオンのような荷電粒子(Q)の形態で電流を受け取るように配置される。コロナ放電3265のコロナ銃または源3260は、例えば、電圧を印加することができる導体を含むエミッタを備えることができる。図示のように、例えば、電圧源3220を、コロナ銃3260(例えば、エミッタ)および試料3020間に電気的に接続し、その間に電圧を印加する。試料3020をチャック3030上に配置でき、電圧源からのバイアスを、チャックを介して供給できる。エミッタは、その長さに対して狭い端部を有する細長い導電性プローブを備えることができる。狭い端部は鋭利であってもよく、それによってプローブに印加する電圧によって生じる電位勾配を増大させることができる。特定の科学理論に同意することなく、電位勾配に関連する電場は、プローブに近接するイオン化した気体(例えば、空気)からのイオンのような荷電粒子を、試料3020(例えば、試料表面3020)に向けて加速できる。様々な実施形態では、荷電粒子は、試料3020を取り囲む大気中で生成された正または負のイオンを含むことができる。例えば、電圧源(3220)によって供給される電圧の値に応じて、荷電粒子は(HO) および/または(COイオンを含むことができる。これらの荷電粒子は、他の原子と衝突して、より多くのイオンおよび荷電粒子を生成し、これらもまた、電場によって試料3020に向かって加速し得る。より多くの衝突は、電圧勾配によって、また、試料に向かうより多くのイオンの生成をもたらす可能性がある。その結果、複数の荷電粒子が試料3020および/または試料表面3020に入射する可能性がある。
【0053】
実施形態によっては、コロナ放電を試料に適用でき、表面からの第二高調波発生信号を測定できる。例えば、いくつかの実施形態では、試料表面における表面バンド曲がりは、コロナ銃3260からの堆積電荷(Q)によって変更される。パルスレーザ照射(I(ω))によって誘導されたSHG信号(I(2ω))は、対応するバンド曲がりにおける界面充電状態を検出するために使用できる。
【0054】
いくつかの実施形態では、例えば、試料上に荷電粒子を堆積することにより、試料に電圧バイアスを印加して表面電位を変化させる。試料3020の界面電気的特性は、レーザ3010からの光を試料表面3020に向けることによって、同時におよび/またはその後にSHGで特性評価ができる。図6Aは、試料3020に一もしくは複数の電荷を導入または堆積することができるコロナ放電源を用いたSHG検出の一例を示す。他の構成も可能である。いくつかの実施形態では、コロナ放電源によって導入または供給する電荷により、半導体物質の界面におけるバンドギャップ状態の増大した範囲(例えば、全範囲)を介して表面バンド曲がりの変調が可能になる。反転対称性を有する結晶の場合、SHG信号は界面双極子寄与によって支配され、これは半導体物質の界面電気的特性に固有の感度を与える。したがって、SHGは、界面電気的特性を測定するための効果的なツールとなることができる。SHGをコロナ放電と組み合わせることにより、このようなSHG測定の有用性を高めることができる。さらに、コロナ放電源を介して電荷を追加的に導入または供給することは、試料を損傷しない非接触手法である。このように、SHGおよびコロナ放電を組み合わせることによって、界面電気的特性の正確で非接触かつ安定的な特性評価を提供できる。
【0055】
上記の一つもしくは複数の技術および/または構成について、コロナ放電を利用する手法および/または構成における特定の実施形態で適用することができる。例えば、上記のように、半導体物質の表面上の荷電粒子によって生成される過渡的な電場は、試料3020内に電場を誘導し、それによって、SHG信号の特性(例えば、強度または周波数)は変化し得る。
【0056】
上記のように、このコロナバイアスの利点は、ウエハ前面に接触電圧バイアスプローブを使用することなく、電圧バイアスされたSHG測定値を得ることができることである。
【0057】
図6Aおよび6Bは、SHGを得るための異なる方法および構成を示す。図6Aに示す実施形態では、一つの光源(例えば、レーザ)を、コロナ電荷によって誘導された準静的界面電場の光学プローブとして使用する。対照的に、図6Bでは、別個の光学ポンプおよびプローブ源を、異なるバイアス条件下の超高速充電動態を検出するために使用する。例えば、図6Aには、ウエハであってもよい試料3020の上方に配置されたコロナ銃(3260)を示す。図6Aには、また、コロナ銃3260、およびウエハを支持するチャック3030間に電気的に結合された高電圧電源3220も示す。高電圧電源によって、電荷粒子をウエハ表面に供給するために、コロナ銃3260およびウエハ3020間にバイアス電圧を供給する。図6Aには、試料3020上に向けられたレーザビームを出力するレーザ3010を概略的に示す。図6Aにはまた、ウエハ3020から光を受け取るように配置された検出器3040を示す。レーザ3010からのレーザビームは、SHG信号を誘導でき、それを検出器3040によって感知できる。誘導されたSHG信号は、約10ミクロン(μm)未満の波長を有することができる。例えば、誘導されたSHG信号の波長は、約200nm~約400nm、約400nm~約450nm、約450nm~約750nm、約750nm~約980nm、約980nm~約1.3μm、約1.1μm~約1.6μm、約1.5μm~約3μm、約3μm~約8.8μm、またはこれらの任意の値によって規定される範囲/部分範囲内の任意の値を有することができる。様々な実施形態において、誘導されたSHG信号は、紫外、可視、近赤外または遠赤外の波長範囲にあり得る。試料3020の表面にコロナ放電を適用すると、荷電粒子が試料3020上に堆積する。様々な実施形態において、荷電粒子は、装置表面を含む試料3020全体に電位を誘導する。この電場により、その後の様々なモードのSHG調査が可能になる。
【0058】
図6Bでは、単一のレーザ3010の代わりに、それぞれ別個のポンプおよびプローブ源3016、3015を使用して、ポンプ光およびプローブビームをウエハ3020の表面上に向け、SHGを誘導する。プローブビーム3015の周波数(ω)の2倍の周波数(2ω)を有する試料からのSHG信号を、検出器3040によって検出できる。ポンプ源3016からのポンプ光(例えば、ポンプパルス)、およびプローブ光源(例えば、レーザ)3015からのプローブ光(例えば、プローブパルス)の組み合わせによって誘導される時間分解されたSHG効果信号を使用して、ポンプ光およびプローブ光(例えば、プローブパルスおよびポンプパルス)間の遅延時間(Δt)を変化させることにより、半導体表面付近のキャリア動態を検出できる。上記のように、表面バンド曲がりは、コロナ銃またはコロナ放電源3260からの堆積電荷(Q)によって変更される。対応するバンド曲がり状態におけるキャリア動態について、例えば、本明細書で説明する様々な実施において、表面電荷の関数として抽出できる。これらおよび他の時間遅延技術について、上記の他に、2015年4月17日出願の米国特許出願第14/690256号明細書「電荷減衰測定のシステムおよび方法」も参照されたい。この出願は、米国特許出願公開第2015/331029号(代理人整理番号FMETRX0.008A)として公開され、参照によりその全体が本明細書に援用される。上記および/または参照により援用された特許出願において開示した技術の任意の組み合わせは、本明細書に記載したコロナ放電を使用する構成および/または技術と共に使用される可能性がある。
【0059】
コロナ放電源3260によって試料表面上に堆積する電荷の量について、例えば図6Aおよび6Bを参照して上記した実施形態のような、コロナ放電3265に曝露される試料表面からSHG信号を検出するように構成されたシステムの様々な実施形態により決定できる。図6Cは、コロナ放電源を使用して電荷が堆積する試料の表面からのSHG信号を検出するように構成されたSHG計測システムの実施形態の一例を示す。図6Cに示す実施形態では、光源3280からの光放射は、試料3020の表面に入射し、第二高調波発生信号は検出器3040によって検出される。光源3280は、図6Aを参照して上記したような周波数ωの放射を放出する一つのレーザ3010、または図6Bを参照して上記したようなそれぞれが別個であるポンプおよびプローブ源3016、3015を備えることができる。
【0060】
コロナ放電源3260からのコロナ放電3265によって試料3020の表面に堆積した電荷の量は、試料3020の表面に堆積した電荷によって誘導された電流(例えば、直流電流)を監視することによって決定することができる。試料3020の表面に堆積した電荷によって誘導された電流は、図6Cに示すように、試料3020および電気的接地間に配置された電気メータ3225(例えば、一つもしくは複数の電流センサ、電流計、AMメータ、または電圧センサ、電圧計、電気計など)のような電気センサを用いて測定することができる。例えば、電気センサまたは電気メータ3225を、図6Cに示すように、電気的接地および試料3020の底面間に電気的に接続できる。時間間隔tにおけるコロナ放電源3260からのコロナ放電によって試料3020の表面に堆積する電荷の量は、試料3020および電気的接地間の測定電流に比例し得る。例えば、時間間隔tにおける試料3020の表面に堆積する電荷の量は、試料3020および電気的接地間の測定電流と等しく、下記式で与えられる。
【数2】
ここで、Iは、測定電流である。
【0061】
電子プロセッサ、処理用電子機器、制御用電子機器、処理/制御用電子機器または電子機器3295は、試料3020および電気的接地間の電流に依存する電気メータ3225によって提供される出力に基づいて、コロナ放電源3260からのコロナ放電によって試料3020の表面上に堆積する電荷の量を決定するプログラマブル命令を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電子プロセッサ3295は、試料3020および電気的接地間の電流に依存する電気メータ3225の出力を、有線または無線ネットワークを介して取得するように構成することができる。様々な実施形態では、電子プロセッサ3295は、さらに、電圧源3220から出力する電圧を制御するように構成することができる。例えば、電子プロセッサ3295は、電圧源3220からコロナ放電源3260への電圧出力をターンオフまたは変化(例えば、減少または増加)させるように構成することができる。電圧源3220からコロナ放電源3260への電圧出力を変化させることにより、コロナ放電源3260からコロナ放電3265によって試料3020の表面に堆積する電荷量を変化させることができ、電圧源3220からコロナ放電源3260への電圧出力を変化させることにより、コロナ放電源3260からコロナ放電によって試料3020の表面に堆積する電荷の種類(例えば、正または負の電荷)を変化させることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、電子プロセッサ3295は、コロナ放電源3260からのコロナ放電が複数の充電サイクルにわたって繰り返しターンオンし、かつターンオフするように、電圧源3220を制御するように構成され得る。例えば、電子プロセッサ3295は、電圧源3220を制御して、コロナ放電源3260からのコロナ放電がオンになるような期間tonの間、しきい値電圧レベルよりも大きい電圧Vonを供給し、コロナ放電源3260からのコロナ放電がオフになるような期間toffの間、しきい値電圧レベルよりも低い電圧Voffを供給するように構成できる。様々な実施形態において、時間tonおよび電圧Vonは、異なる充電サイクルについて同じであり得、同じ量の電荷を、異なる充電サイクルにおいて試料3020の表面上に堆積できる。様々な実施形態において、時間tonおよび電圧Vonは、異なる充電サイクルについて異なることがあり得、異なる量の電荷を、異なる充電サイクルにおいて試料3020の表面上に堆積できる。いくつかの実施形態では、チャックを異なる充電サイクル間に並進させることができ、試料3020の表面の異なる部分上に電荷を堆積できる。これらの態様について、以下でより詳細に説明する。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1の充電サイクルにおいて、電子プロセッサ3295は、電圧源3220を制御して、第1の期間ton1の間に試料3020の表面上に電荷Qの量が堆積するように、第1の期間ton1の間にしきい値電圧レベルより大きい第1の電圧Von1を供給し、第2の期間ton2の間に試料3020の表面上に電荷Qの量が堆積するように、第2の期間ton2の間にしきい値電圧レベルより大きい第2の電圧Von2を供給するように構成することができる。第1の期間ton1、ならびに第2の期間ton2において堆積する電荷の極性および大きさは、いくつかの実施形態では、等しくすることができる。いくつかの実施では、第1の期間ton1および第2の期間ton2において堆積する電荷の大きさは等しいが、第1の期間ton1および第2の期間ton2において堆積する電荷の極性を逆にすることができる。いくつかの実施形態では、電荷QおよびQの量は、試料3020の表面上の同一位置に堆積するが、他のいくつかの実施形態では、チャック3030を第1の期間ton1および第2の期間ton2間に並進させ、電荷Qを試料3020の表面上の第1の位置に堆積し、電荷Qを試料3020の表面上の第2の位置に堆積することができる。
【0064】
様々な実施形態において、電子プロセッサ3295は、さらに、光源3280および検出器3040を制御し、かつ/またはそれらと電子的に通信するように構成することができる。電子プロセッサ3295は、電子メモリ装置と電子的に通信可能である。電子プロセッサ3295は、さらに、表示装置と電子的に通信するように構成することができる。様々な実施形態では、電子プロセッサ3295は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、モバイル装置、スマートフォン、または他の種類のボードおよび電子機器として構成することができる。
【0065】
図6Dは、試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量についてのSHG信号を測定する方法を示すフローチャートである。上記の通り、ブロック6005に示すように、コロナ放電を使用して試料3020の表面上にある量の電荷を堆積する。上記の通り、ブロック6010に示すように、試料3020および電気的接地間の電流から電荷の堆積量を求めることができる。ブロック6015に示すように、試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量について試料3020からのSHG信号を測定する。上記のように、検出器3040の出力に基づいて、SHG信号を決定する。いくつかの実施形態では、このSHG信号は、コロナ放電源3260からの電荷が堆積した試料3020の表面上の同一場所を、レーザ3010、または各ポンプおよびプローブ源3016、3015からの光によって照射することにより得られる。いくつかの他の実施形態において、このSHG信号は、コロナ放電源3260からの電荷が堆積した場所とは異なる試料3020の表面上の場所をレーザ3010または各ポンプおよびプローブ源3016、3015からの光によって照射することにより得られる。いくつかの実施形態では、試料からのSHG信号は、コロナ放電源3260からの電荷の堆積と同時に測定することができる。いくつかの実施形態では、コロナ放電源3260からの電荷の堆積を、SHG信号を測定している間は停止することができる。
【0066】
試料3020の物質特性に応じて、コロナ放電源3260によって試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量に対するSHG信号の変動は、非線形であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、コロナ放電源3260によって試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量に対するSHG信号の変動は、図6Eに示すように、二次(または放物線状)であり得る。コロナ放電源3260によって試料3020の表面上に堆積した異なる量の電荷に対するSHG信号の変化は、試料3020中の一つまたは複数の欠陥(例えば、点欠陥)に関連する情報を提供し得る。コロナ放電源3260によって試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量に対するSHG信号の変化はまた、試料3020中の格子間状態に関する情報を提供することができる。コロナ放電源3260によって試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量に対するSHG信号の変化は、試料3020中の空乏領域、蓄積領域(例えば、多数キャリア濃度がドーピング濃度よりも高い領域)、および/または反転領域(例えば、少数キャリアの濃度がドーピング濃度よりも高い領域)に関する情報を提供することもできる。例えば、図6Eにおいて、試料表面の電荷堆積量(または電荷密度)が増加するにつれて、SHG信号が減少する曲線の部分は、試料3020の空乏領域に関する情報を提供し、試料の表面上の電荷堆積量(または電荷密度)が増加するにつれて、SHG信号が増加する曲線の部分は、試料3020の蓄積領域に関する情報を提供し得る。
【0067】
コロナ帯電の存在下でのSHG計測を用いて、例えば、半導体装置の酸化物層のような、酸化物中の電荷を決定できる。特に、試料の表面に堆積した電荷を使用して、金属および酸化物、または半導体および酸化物間の界面領域における酸化物電荷を測定できる。図6Fは、試料(例えば、試料3020)の表面上に堆積電荷(Q)を有するSHG信号の強度(I(2ω))の変化を示す別の概略図である。試料の表面上に堆積電荷(Q)を有するSHG信号の強度(I(2ω))の変化を用いて、試料の界面領域における酸化物電荷を決定することができる。図6では、コロナ銃による試料表面に堆積した電荷が増加すると、界面領域全体の電場の変化に応じて、SHG信号の強度が変化する。堆積した電荷が酸化物電荷を補償すると、SHG信号の強度が減少する。堆積した電荷が酸化物電荷を正確に補償するとき、SHG信号の強度は、フラットバンド条件に対応する最小値に達する。したがって、SHGが最小値に達するとき、酸化物電荷(QOX)は、堆積したコロナ電荷と大きさが等しく、極性(または符号)が反対である。時間間隔tにおいて堆積したコロナ電荷の大きさは、数2を用いて電流計3225の測定電流から求めることができる。一例として、図6Fに示す曲線では、酸化物電荷(QOX)は、qに等しい。これは、SHG信号の強度(I(2ω))が最小値(I(q))を有するコロナ電荷に対応する。
【0068】
したがって、界面電気的特性のより網羅的な調査のための非接触装置設計を、コロナ帯電を用いた光SHGによって提供することができる。コロナ帯電は、ケルビンプローブを介した特性評価のために荷電粒子を堆積することによって表面電位を変調できる非接触バイアス制御である。コロナ帯電の統合により、SHGによる界面電気的特性評価のための調節可能なバイアス制御が可能になる。光第二高調波発生(SHG)は、界面電気的特性(Dit、電荷トラップ、ドーピング等)の優れた非接触検出を提供する。このようなSHG技術を、柔軟なバイアス制御によって増大させることができ、それにより検出を静的な界面充電状態を超えて拡張することができる。外部電気バイアスを、コロナ放電を用いて非破壊的に印加することができる。したがって、界面電気的特性のより網羅的な特性評価を、増加した(例えば、全ての)バンドギャップ状態を介した表面バンド曲がりの変調によって提供することができる。したがって、この手法により、可変なバンド曲がり状態での界面電気的特性評価において、従来のSHG技術の検出能力を拡張できる。コロナ帯電およびSHGの非接触性は、半導体製造/生産ラインにおけるインラインモニタとしての界面特性評価に特に有益であり得る。
【0069】
(四波および多波混合)
コロナ帯電を用いる計測システムの様々な実施において、四波混合および多波混合などの他の非線形光学プロセスによって生成される光信号を使用して、半導体装置の様々な特性(例えば、界面領域の電気的特性)を決定できる。四波混合および多波混合とは、非線形媒質のより高次の非線形感受率の結果として、同一または異なる光周波数を有する二つまたはそれ以上の入射ビームが互いに相互作用し、前述の二つまたはそれ以上の入射ビームとは異なる光周波数を有する複数の光信号を生成する非線形光学現象である。
【0070】
四波混合は、例えば、光周波数fを有する第1の入射光ビームおよびfより大きい光周波数fを有する第2の入射光ビームが、互いに相互作用し、非線形光学媒体の三次非線形感受率(χ(3))の結果として、四波混合信号成分を生成する非線形光学現象である。四波混合信号成分は、光周波数f=f-(f-f)を有する第3のビームおよび光周波数f=f+(f-f)を有する第4のビームを含むことができる。第3のビームfの光周波数は、第2のビームの光周波数fおよび第1のビームの光周波数fの2倍の差である。第4のビームfの光周波数は、第1のビームの光周波数fおよび第2のビームの光周波数fの2倍の差である。四波混合信号成分の様々な光学特性を測定して、半導体装置の界面領域の特性を決定することができる。四波混合信号成分の光学的特性は、強度、周波数および/または位相について、スペクトルおよび/または時間特性を含むことができる。
【0071】
特定の理論によらずとも、非線形媒体の三次非線形感受率χ(3)の結果として、四波混合信号成分の第3のビームおよび第4のビームを生成することができる。追加の光ビームは、非線形媒体の例えば、χ(5)、χ(7)等のようなより高次の非線形感受率の結果として、潜在的に生成され得る。生成される追加の光ビームの光学的特性を測定して、半導体装置の界面領域の特性を決定することもできる。
【0072】
図7Aは、コロナ帯電を使用する、非線形媒体の3次および/またはより高次の非線形感受率の結果として生成される光ビームの光学特性を得るように構成された光学計測システム7000の実施形態を示す。システム7000は、チャック3030によって支持された試料3020に入射する光ビーム7007aおよび7007bをそれぞれ出力するように構成された二つの光源7001aおよび7001bを備える。上記のように、チャック3030は、真空または他の機械的方法によって試料3020を保持することができる。試料3020は、界面領域を含む半導体ウエハを含むことができる。界面領域は、例えば、半導体および酸化物接合、金属および酸化物接合、半導体および金属接合、または異なる物質組成および/またはドーピングプロファイルを有する二つの半導体間の接合を含むことができる。
【0073】
システム7000は、さらに、非線形媒体の三次およびより高次の非線形感受率の結果として生成された様々な光ビームを受け取るように構成された検出システム7005を備える。非線形媒体の三次およびより高次の非線形感受率の結果として生成される様々な光ビームの光学特性は、試料3020の表面バンド曲がりが、コロナ源3260からのコロナ放電3265によって堆積した電荷の結果として変更されると、変化し得る。様々な実施形態では、コロナ源3260からコロナ放電3265によって堆積した電荷により、試料3020の界面領域におけるバンド曲がりまたは種々の電子エネルギー準位の変更ができる。
【0074】
様々な実施形態において、光源7001aおよび7001bの一つは、フラッシュランプまたは連続波(CW)レーザ光源を含むことができる。様々な実施形態において、光源7001aおよび7001bの一方または両方は、パルス源(例えば、パルスレーザ光源)を備えることができる。例えば、光源7001aおよび7001bの一方または両方は、約1マイクロ秒~約1ミリ秒、約1ナノ秒~約1マイクロ秒、約1ピコ秒~約1ナノ秒、約1フェムト秒~約1ピコ秒、および/もしくは約1フェムト秒~約1アト秒またはこれらの任意の値の間の任意の範囲の持続時間を有するパルスを出力するように構成することができる。光源7001aおよび7001bの両方がパルス源を含むシステム7000の実施形態では、光源7001aおよび7001bから出力するパルス間に時間遅延(τ)を導入するように構成されたシステムを提供することができる。光源7001aおよび7001bから出力するパルス間の時間遅延(τ)は、光源7001aおよび7001bの一方または両方から出力するパルス列の時間周期よりも短くすることができる。いくつかの実施形態では、試料に関する情報を得るために、時間遅延に関する4波混合信号を測定することができる。
【0075】
光源7001aおよび7001bから出力するパルス間に時間遅延を導入するように提供される遅延システムは、光源7001aおよび7001bの一つまたは両方と統合され、光源7001aおよび7001bの一方または両方を駆動する電気信号に時間オフセットを導入する電子システム、光源7001aおよび7001bの一方または両方から出力する一つもしくは複数のパルスを減衰させる(例えば、遮断する)機械的システム(例えば、機械式シャッター、フライホイールチョッパ等)、光源7001aおよび7001bの一方または両方から出力する一つもしくは複数のパルスを減衰させる(例えば、遮断する)、例えば、ポッケルスセルまたはカーセルのような電子光学装置、光源7001aおよび7001bの一つまたは両方、ならびに試料3020間の光学経路に配置され、光源7001aおよび7001bから出力するパルス間に時間遅延(τ)を導入する光学遅延線(例えば、光ファイバ遅延線、集積光学遅延、または反射光学系を含む自由空間遅延線)を含むことができる。様々な実施形態において、遅延システムについて、光源7001aおよび7001bから出力するパルス間に可変時間遅延(τ)を提供するように構成できる。
【0076】
光源7001aおよび7001bは、一部の実施形態では、同一の波長(λ)または光周波数(ω)を有する光を出力するように構成することができる。同じ波長(λ)または光周波数(λ)を有する入射光によって生成された四波/多波混合信号を、縮退四波/多波混合信号と呼ぶ。他のいくつかの実施形態では、光源7001aおよび7001bは、異なる波長(λおよびλ)または光周波数(ωおよびω)を有する光を出力するように構成することができる。異なる波長または光周波数を有する入射光によって生成された四波/多波混合信号を、非縮退四波/多波混合信号と呼ぶ。いくつかの実施形態では、光源7001aおよび7001bは、出力光の波長または光周波数を変更または調整するように構成することができる。
【0077】
光源7001aおよび7001bは、図7Bの上面斜視の概略図に示すように、試料3020の領域上に光ビーム7007aおよび7007bが斜めに入射するように配向することができる。光ビーム7007aおよび7007bは、いくつかの実施形態において、試料3020の表面の法線に対して異なる入射角で入射することができる。いくつかの実施形態では、光ビーム7007aおよび7007bは、図7Bに示すように、試料3020の表面の法線に対して同じ入射角であるが、異なる方位角で入射することができる。いくつかの実施形態では、光ビーム7007aおよび7007bは、試料3020の表面の法線に対して異なる入射角および異なる方位角で入射することができる。光ビーム7007aおよび7007bのスポットサイズは、光ビーム7007aおよび7007bが、調査する試料3020の領域で少なくとも部分的に重なるように構成することができる。
【0078】
入射光ビーム7007aおよび7007bは、試料3020の表面から反射光ビーム7007arおよび7007brとして鏡面反射することができる。鏡面反射ビーム7007arおよび7007brのいずれの側にも、四波混合信号成分7007ax3および7007bx3を検出することができる。四光波混合信号成分の方向は、反射ビーム7007arおよび7007brの波数ベクトル(ベクトルk)の方向に依存し得る。例えば、四波混合信号成分の一つである7007ax3の方向は、以下となり得る。
【数3】
ここで、ベクトルkおよびkは、反射ビーム7007arおよび7007brに関連する波数ベクトルである。別の四波混合信号成分7007bx3の方向は、以下となり得る。
【数4】
【0079】
四光波混合信号成分は、四波混合信号成分7007ax3および7007bx3の方向に沿った方向に配置された光電検出器によって受光および検出することができる。場合によっては、より高次の非線形感受率によって生成された追加の光信号7007ax5および7007bx5を、それぞれの反射ビーム7007arおよび7007brのいずれの側にも検出することもできる。検出システム7005の検出面における反射ビーム7007arおよび7007br、四波混合信号成分7007ax3および7007bx3、およびより高次の四波または多波混合成分7007ax5、7007bx5、7007ax7、7007bx7の断面を、図7Cに示す。
【0080】
上記の通り、試料3020の表面バンド曲がりは、コロナ放電3265によって試料3020に堆積した電荷の結果として変更される。様々な実施形態では、試料3020に堆積した電荷の量は、図6Cを参照して上記した通り、図6Cおよび図7Aに示すような試料3020および電気的接地との間に配置された電気メータ3225(例えば、電位計または電流計、AMメータ)を用いて試料3020の表面上に堆積した電荷によって誘導される電流を測定することによって、決定することができる。図6Cを参照して上記した通り、電子プロセッサ3295は、試料3020および電気的接地間の電流に依存する電気メータ3225によって提供される出力に基づいて、コロナ放電源3260からのコロナ放電によって試料3020の表面上に堆積した電荷の量を決定するプログラマブル命令を実行するように構成することができる。様々な実施形態では、電子プロセッサ3295は、さらに、電圧源3220から出力する電圧を制御するように構成することができ、例えば、電子プロセッサ3295は、電圧源3220からコロナ放電源3260に出力する電圧をターンオフ、または変化(例えば、減少または増加)するように構成することができる。電圧源3220からコロナ放電源3260への電圧出力を変更することにより、コロナ放電源3260からコロナ放電3265によって試料3020の表面上に堆積する電荷量を変化させることができる。ある実施形態では、電子プロセッサ3295は、コロナ放電源3260への電圧供給を繰り返しオン/オフするように構成することができる。四波混合信号または多波混合信号は、試料3020の表面上に堆積した異なる電荷量について検出および/または測定することができる。試料3020の表面上に堆積した電荷の量は、異なるバンド曲がり状態と相関させることができる。このように、四波混合信号または多波混合信号を、異なるバンド曲がり状態について検出および/または測定することができる。時間分解された四波混合および多波混合信号を、光源7001aおよび7001bから出力されるパルス間の異なる時間遅延(τ)、および異なるバンド曲がり状態を示す表面上に堆積した異なる量の電荷についても得ることができる。得られた時間分解された四波混合および多波混合信号を分析して、試料3020の領域における電荷動態に関する情報を得ることができる。様々な実施形態では、試料3020を再配置して、試料3020の他の領域からの四波混合および/または多波混合信号を検出することができる。コロナ帯電および四波混合/多波混合の非接触性は、半導体製造/製造ラインにおけるインラインモニタとしての界面特性評価のために特に有益であり得る。
【0081】
(変形例)
本発明の実施形態について、特徴の選択に関する詳細とともに、以上に記載した。他の詳細に関しては、これらについて、上記で参照した特許および刊行物に関連して理解し得るだけでなく、一般に、当業者によって知られているか、または評価されている。本発明の方法に基づく態様に関しても、一般的または論理的に使用する追加の動作について、同じことが当てはまる可能性がある。製造および使用方法を含む、そのような方法に関して、これらについて、論理的に可能なイベントの任意の順序、ならびに列挙したイベントの任意の順序で実行できる。さらに、値の範囲を提供する場合、全ての介在値、つまり、その範囲の上限および下限間、ならびに当該記載範囲の他の任意の記載または介在値は、本発明に含まれることが理解されよう。また、記載する本発明の変形例の任意の選択可能な特徴について、本明細書に記載した一つもしくは複数の任意の特徴と独立に、または組み合わせて、明らかにし主張することを企図している。
【0082】
本発明の実施形態について、必要に応じて種々の特徴を組み込んだ、いくつかの実施例を参照して説明したが、これらはそれぞれ、そのような変形例に関して意図するように記載され、または示されたものに限定されない。記載したそのような発明の任意の実施形態に変更を加えてよく、同等物(本明細書に記載されているか、または簡潔にするために含まれていないかを問わず)を、本明細書の真の精神および範囲から逸脱することなく置き換えることができる。
【0083】
記載した様々な処理例について、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理装置、個別ゲートもしくはトランジスタロジック、個別ハードウェア部品、または本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを用いて実現し、または実行してよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、代替として、前述のプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってよく、ユーザインタフェースと通信し、ユーザによって入力されたコマンドを受信するユーザインタフェースポート、プロセッサの制御下およびユーザインタフェースポートを介した通信で動作するプログラムを含む電気的情報を格納する、少なくとも一つのメモリ(例えば、ハードドライブまたは他の同等の記憶装置、およびランダムアクセスメモリ)、VGA、DVI、HDMI(登録商標)、DisplayPortなどの任意の種類のビデオ出力形式を介して出力を生成するビデオ出力を有するコンピュータシステムの一部であり得る。したがって、処理を、処理用電子機器、制御用電子機器、処理/制御用電子機器、または電子機器によって実行してよい。
【0084】
プロセッサ、処理用電子機器または電子機器について、また、計算装置の組み合わせ、例えば、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する一つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または他の任意のこのような構成として実現してよい。また、これらの装置を使用して、本明細書に記載した装置の値を選択してよい。
【0085】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された方法またはアルゴリズムの工程を、直接ハードウェアで、プロセッサ(例えば、処理用電子機器、制御用電子機器、処理/制御用電子機器、または電子機器)によって実行されるソフトウェアモジュールで、またはこれらの組み合わせで、具体化し得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能なディスク、CD-ROM、または当該技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体に存在できる。記憶媒体の一例では、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合する。代替として、記憶媒体を、プロセッサと一体してもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICに存在してもよい。ASICは、ユーザ端末内に存在できる。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内の別個の構成要素として存在できる。
【0086】
一つまたは複数の実施形態の例では、説明した機能を、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実施し得る。ソフトウェアで実施する場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に記憶され、送信され、または一つまたは複数の命令、コード他の情報のような分析/計算データを結果として出力する。コンピュータ可読媒体には、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方が含まれる。記憶媒体を、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とできる。限定ではなく、例として、そのようなコンピュータ可読媒体には、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを搬送もしくは記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体が含まれ得る。メモリ記憶装置は、また、回転磁気ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、もしくはフラッシュメモリベースの記憶装置ドライブ、または他のそのような固体、磁気または光学記憶装置であってもよい。
【0087】
また、任意の接続は、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバー、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波のような無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(Disk)およびディスク(Disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(Disk)は通常、データを磁気的に再生し、ディスク(Disc)は、データをレーザで光学的に再生する。上記の組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0088】
本明細書で説明した動作は、ウェブサイト上またはウェブサイト経由で実行することができる。ウェブサイトは、サーバーコンピュータ上で動作し、もしくは、例えば、クライアントコンピュータにダウンロードすることによってローカルに動作し、またはサーバーファームを介して動作することができる。ウェブサイトは、携帯電話もしくはPDAを経由して、または任意の他のクライアント上でアクセスすることができる。ウェブサイトは、MHTMLまたはXMLのような任意の形式のHTMLコードを使用することができ、さらに、カスケード式スタイルシート(CSS)または他の形式のような任意の形式を介して使用することができる。
【0089】
また、本発明者らは、「手段」という語を使用する特許請求の範囲のみが、35USC112、第6段落の下で解釈されるべきであることを意図している。さらに、明細書からの制限は、特許請求の範囲に明示的に含まれない限り、いずれの特許請求の範囲にも、含まれることを意図するものではない。本明細書に記載されたコンピュータは、汎用のいずれのコンピュータ、またはワークステーションなどの特定の目的のコンピュータであってもよい。プログラムは、C、もしくはJAVA(登録商標)、BREW、または任意の他のプログラミング言語で書くことができる。プログラムは、記憶媒体、例えば、磁気もしくは光学のもの、例えば、コンピュータハードドライブ、メモリスティックもしくはSDメディアなどの取り外し可能なディスクもしくは媒体、または他の取り外し可能な媒体上に常駐する場合がある。プログラムはまた、ネットワーク上で実行されてもよく、例えば、サーバーまたは他のマシンがローカルマシンに信号を送信することにより、ローカルマシンに本明細書に記載した動作の実行をさせてもよい。
【0090】
また、本明細書に提供される任意の実施形態に関して記載された全ての特徴、要素、構成要素、機能、動作および工程について、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能であり、かつ置換可能であることを意図していることにも留意されたい。特定の特徴、要素、構成要素、機能、または工程について、一実施形態に関してのみ記載している場合、その特徴、要素、構成要素、機能、または工程を、特に明記しない限り、本明細書に記載されたあらゆる他の実施形態と一緒に使用し得ることが理解されるべきである。したがって、この段落は、特定の例において、以下の説明により、そのような組み合わせまたは置換が可能であることを明記していない場合であっても、いつでも、異なる実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、および動作もしくは工程を組み合わせる、または、ある実施形態からの機能、要素、構成要素、機能、および動作もしくは工程を他の実施形態のものと置換する、請求項を導入するための先行的な基礎および書面による支持として機能する。すべての可能な組合せおよび置換の列挙を表現することは、特に、各組み合わせおよび置換の許容度について当業者によって容易に認識することができることを考慮すると、過度の負担になることが明らかに認められるからである。
【0091】
いくつかの例では、エンティティは、他のエンティティに結合されるものとして本明細書で説明する。「相互嵌合」、「結合」または「接続」(あるいはこれらの形態のいずれか)という用語について、本明細書では交換可能に使用する場合があり、二つのエンティティの直接結合(無視できない、いかなる、例えば、寄生するエンティティが介在しない)および二つのエンティティの間接的な結合(無視できない、一つまたは複数の、寄生するエンティティが介在する)を包括することを理解されたい。エンティティが互いに直接結合されるものとして示されている、または介在するエンティティを記載することなく互いに結合されるように記載されている場合、これらのエンティティは、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、互いに間接的に結合され得ることを理解されたい。
【0092】
単数の項目を参照することは、複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「一つの(a、an)」、「前記(said)」および「前述の(the)」は、特に明記しない限り、複数の指示対象を含む。換言すれば、その冠詞を使用することにより、以下の特許請求の範囲と同様に、上記の説明において対象の「少なくとも一つ」が可能となる。
【0093】
さらに、請求項について、任意の選択的な要素(例えば、本明細書の「通常」、「できる」、「可能である」、または「可能性がある」、「場合がある」、「してよい」などを用いた記載により指定した要素)を除外して作成してもよいことに留意されたい。したがって、この記述について、請求項の列挙に関連して「単独で」、「唯一」などのような排他的な用語の使用、または他の「否定的な」請求項制限言語の使用をするための先行的な基礎として機能するように意図している。このような排他的な用語を使用することなく、特許請求の範囲における「含む」という用語は、所与の数の要素が請求項に列挙されているかどうか、または機能の追加が特許請求の範囲に記載された要素の性質を変換するものと見なされ得るかどうかに関係なく、任意の追加の要素が包含されることを許容する。さらに、特許請求の範囲における任意のそのような用語「含む」について、排他型言語「から成る」に補正できることを企図している。また、本明細書で具体的に定義する場合を除いて、本明細書で使用する全ての技術的および科学的用語は、請求項の妥当性を維持しながら、可能な限り当業者に広く一般に理解される意味として与えられるべきである。
【0094】
実施形態について、様々な変更および代替形態が可能であるが、その具体例を、図面に示し、本明細書で詳細に説明している。しかし、これらの実施形態は、開示した特定の形態に限定されるものではなく、むしろ、本開示の精神に含まれる全ての変更、均等物および代替物を網羅するものであることを理解されたい。さらに、本発明の実施形態の任意の特徴、機能、動作、工程、または要素について、特許請求の範囲内に記載しても、特許請求の範囲に追加してもよく、発明の範囲内にない特徴、機能、工程、または要素によって請求項の本発明の範囲を規定する否定的制限(上述したように、または他のものであってもよい)も同様である。したがって、本発明の変形例または発明の実施形態の幅は、提供した実施例に限定されるものではなく、以下の請求項の範囲によってのみ限定される。したがって、本発明者らは以下の通り、請求する。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C