IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星エスディアイ株式会社の特許一覧

特許7541597レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
<>
  • 特許-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図1
  • 特許-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図2
  • 特許-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図3
  • 特許-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図4
  • 特許-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図5
  • 特許-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240821BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023087532
(22)【出願日】2023-05-29
(65)【公開番号】P2024024583
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0099444
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 有 廷
(72)【発明者】
【氏名】金 聖 振
(72)【発明者】
【氏名】白 載 烈
(72)【発明者】
【氏名】陣 和 英
(72)【発明者】
【氏名】權 純 亨
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-015957(JP,A)
【文献】特開2008-309929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位および下記化学式2で表される構造単位の少なくとも一方を含む重合体、下記化学式3で表される化合物、ならびに溶媒を含む、レジスト下層膜用組成物であって、前記重合体および前記化合物の質量比が9:1~2:3である、レジスト下層膜用組成物:
【化1】

上記化学式1および化学式2中、
Aは、それぞれ独立して、下記化学式A-1~化学式A-で表される環基のうちの少なくとも1種であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR’-(ここで、R’は、水素原子、重水素原子、または炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である;
【化2】

上記化学式A-1~上記化学式A-中、
、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である;
【化3】

上記化学式3中、
およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0~5の整数である。
【請求項2】
前記化学式1および化学式2中のAは、下記化学式A-1で表される環基、下記化学式A-2で表される環基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化4】

上記化学式A-2中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基であり、
上記化学式A-1および化学式A-2中、*は、連結地点である。
【請求項3】
前記化学式1および化学式2中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1および化学式2中のX~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1および化学式2中のY~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項4】
前記化学式3中のRおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項5】
前記化学式3中のnおよびmは、それぞれ独立して、0~3の整数である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項6】
前記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-1で表される化合物である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化5】

上記化学式3-1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項7】
前記化学式3-1中のRおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、またはこれらの組み合わせである、請求項6に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項8】
前記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-2~化学式3-13で表される化合物のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化6】

【化7】

【化8】
【請求項9】
前記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~300,000g/molである、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項10】
前記重合体は、前記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~50質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項11】
前記化合物は、前記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.01質量%~20質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項12】
アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコールウリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の重合体をさらに含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項13】
界面活性剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項14】
基板の上にエッチング対象膜を形成する工程、
前記エッチング対象膜の上に請求項1~13のいずれか1項に記載のレジスト下層膜用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成する工程、
前記レジスト下層膜の上にフォトレジストパターンを形成する工程、ならびに
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、前記レジスト下層膜、および前記エッチング対象膜を順次にエッチングする工程、
を含む、パターン形成方法。
【請求項15】
前記フォトレジストパターンを形成する工程は、
前記レジスト下層膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程、
前記フォトレジスト膜を露光する工程、および
前記フォトレジスト膜を現像する工程を含む、請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記レジスト下層膜を形成する工程は、前記レジスト下層膜用組成物のコーティング後、100℃~300℃の温度で熱処理する工程をさらに含む、請求項14に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜用組成物、およびこれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は数百ナノメートル大きさのパターンから数~数十ナノメートルの大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
リソグラフィック技法は、シリコンウェーハなどの半導体基板上にフォトレジスト膜をコーティングして薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性エネルギーを照射する。その後、現像して、得られたフォトレジストパターンを保護膜にして基板をエッチング処理することによって、基板表面に上記のフォトレジストパターンに対応する微細パターンを形成する加工法である。
【0004】
半導体パターンが次第に微細化されるにつれて、フォトレジスト層の厚さが薄いことが要求され、これによりレジスト下層膜の厚さも薄いことが要求される。レジスト下層膜は、薄い厚さであってもフォトレジストのパターンが崩れてはならず、すなわち、フォトレジストとの密着性および接着力が良いと同時に、均一な厚さで膜が形成されることが要求される。また、露光光源に対する感度が改善されて、低い出力にも効率的にパターニングが可能なレジスト下層膜が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0140261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、微細パターニング工程でもレジストのパターン崩壊が起こらず、優れたコーティング均一性を有し、露光光源に対する感度が向上して、パターニング性能および効率改善が可能な手段を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、レジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるレジスト下層膜用組成物は、下記化学式1で表される構造単位および下記化学式2で表される構造単位の少なくとも一方を含む重合体、下記化学式3で表される化合物、ならびに溶媒を含む。
【0009】
【化1】
【0010】
上記化学式1および化学式2中、
Aは、それぞれ独立して、下記化学式A-1~化学式A-3で表される環基のうちの少なくとも1種であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR’-(ここで、R’は、水素原子、重水素原子、または炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である;
【0011】
【化2】
【0012】
上記化学式A-1~上記化学式A-3中、
は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である;
【0013】
【化3】
【0014】
上記化学式3中、
およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0~5の整数である。
【0015】
上記化学式1および化学式2中のAは、下記化学式A-1および下記化学式A-2で表される基の少なくとも一方であり得る。
【0016】
【化4】
【0017】
上記化学式A-2中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基であり、上記化学式A-1および化学式A-2中、*は連結地点である。
【0018】
上記化学式1および化学式2中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
上記化学式3中のRおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0020】
上記化学式3中のnおよびmは、それぞれ独立して、0~3の整数であってもよい。
上記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-1で表すことができる。
【0021】
【化5】
【0022】
上記化学式3-1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0023】
上記化学式3-1中のRおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0024】
上記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-2~化学式3-13で表される化合物のうちの少なくとも1種であり得る。
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
上記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~300,000g/molであってもよい。
【0029】
上記重合体および化合物の質量比は、9:1~2:3であってもよい。
【0030】
上記重合体は、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~50質量%の含有量で含まれてもよい。
【0031】
上記化合物は、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.01質量%~20質量%の含有量で含まれてもよい。
【0032】
上記レジスト下層膜用組成物は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコールウリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の重合体をさらに含むことができる。上記レジスト下層膜用組成物は、界面活性剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0033】
本発明の他の実施形態によれば、基板の上にエッチング対象膜を形成する工程、上記エッチング対象膜の上に本発明によるレジスト下層膜用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成する工程、上記レジスト下層膜の上にフォトレジストパターンを形成する工程、ならびに上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記レジスト下層膜、および上記エッチング対象膜を順次にエッチングする工程を含む、パターン形成方法を提供する。
【0034】
上記フォトレジストパターンを形成する工程は、上記レジスト下層膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程、上記フォトレジスト膜を露光する工程、および上記フォトレジスト膜を現像する工程を含むことができる。
【0035】
上記レジスト下層膜を形成する工程は、上記レジスト下層膜用組成物のコーティング後、100℃~300℃の温度で熱処理する工程をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、微細パターニング工程でもレジストのパターン崩壊が起こらず、優れたコーティング均一性を有し、露光光源に対する感度が向上して、パターニング性能および効率改善が可能な手段が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図3】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図5】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図6】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0039】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、明細書全体にわたって類似の部分については同一の図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」あるという場合、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという場合は、中間に他の部分がないことを意味する。
【0040】
以下、本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子が重水素原子、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基またはその塩の基、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸またはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子として残っていることを意味する。
【0041】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30のヘテロ環基のうちの隣接した2つの置換基が結合して環を形成することもできる。
【0042】
本明細書において、「アリール基」は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する基を意味し、広くは、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態、および芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環も含む。アリール基は、単環、多環、または縮合多環(即ち、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0043】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Se(セレン原子)およびP(リン原子)から選択されるヘテロ原子を1~3個含有することを意味する。
【0044】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロアルキル基」は、アルキル基を形成する1つ以上の炭素元素の代わりに、N、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ元素を含有する基を意味する。
【0045】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロアリール基」は、アリール基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基は、シグマ結合を通じて直接連結されるか、ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合できる。ヘテロアリール基が縮合環である場合、それぞれの環ごとに上記のヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0046】
より具体的には、置換もしくは非置換のアリール基および/または置換もしくは非置換のヘテロアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、ピリドインドリル基、ベンゾピリドオキサジニル基、ベンゾピリドチアジニル基、9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であってもよいが、これらに制限されない。
【0047】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また、本明細書で、「重合体」は、オリゴマーと重合体とを全て含むことができる。
【0048】
本明細書で特に言及しない限り、「重量平均分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200series ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex社LF-804、標準試料はShodex社製ポリスチレンを使用する)した値である。
【0049】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「*」は化合物の構造単位または化合物部分(moiety)の連結地点を示す。また、本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合していることを意味する。
【0050】
半導体産業では、チップの大きさを小さくしようとする要求が絶え間なく続いている傾向である。このような傾向に対応するためには、リソグラフィ技術においてパターニングされるレジストの線幅が数十ナノメートルのサイズ水準に小さくしなければならず、このように形成されたパターンを用いて、下部基板にエッチング工程を用いて下層材料にパターンを転写することになる。しかし、レジストのパターンサイズが小さくなると、その線幅を耐えることができるレジストの高さが制限され、これによりレジストがエッチング段階で十分な耐性を有しない場合がある。したがって、レジスト物質を薄く使用する場合、エッチングしようとする基板が厚い場合、あるいは深さが深いパターンが必要な場合などで、これを補償するためにレジスト下層膜が使用されてきた。
【0051】
レジスト下層膜は、レジストの厚さが薄くなるにつれて共に薄いことが要求され、レジスト下層膜は、薄い厚さであってもフォトレジストのパターンが崩れてはならず、フォトレジストとの密着性に優れていなければならない。また、レジスト下層膜用組成物は、ウェーハに均一な厚さで薄く塗布されなければならず、これから形成されたレジスト下層膜は、パターン形成性に優れていなければならない。このためには、レジスト下層膜の感度が改善されなければならない。
【0052】
本発明者らは、上記のような要求される特性を有する下層膜を提供するための組成物が、特定の構造単位を含む重合体、または特定構造の化合物を含むようにした。その結果、上記組成物が、フォトレジストに対する密着性が向上し、膜密度が増加されたレジスト下層膜を形成することができるのを確認し、これと同時に露光光源に対する感度が改善されて、パターン形成性に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0053】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、フォトレジストの下部に塗布して膜を形成することによって、この膜とフォトレジストとの間の密着性が向上して、微細パターニング工程中でも、レジストパターンの崩壊を防止することができる。
【0054】
具体的には、本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、下記化学式1で表される構造単位および下記化学式2で表される構造単位の少なくとも一方を含む重合体、下記化学式3で表される化合物、ならびに溶媒を含む。
【0055】
【化9】
【0056】
上記化学式1および化学式2中、
Aは、それぞれ独立して、下記化学式A-1~化学式A-3で表される環基のうちの少なくとも1種であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR’-(ここで、R’は水素、重水素、または炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である;
【0057】
【化10】
【0058】
上記化学式A-1~上記化学式A-3中、
は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である;
【0059】
【化11】
【0060】
上記化学式3中、
およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0~5の整数である。
【0061】
上記化学式1および上記化学式2で表される構造単位が、環内に窒素原子を含むヘテロ環を含むことによって、重合体間のsp-sp結合が可能となり、これによって高い電子密度を有することができる。これにより、薄膜の密度を向上させて緻密な構造の膜を超薄膜形態に実現することができ、レジスト下層膜組成物の露光時、吸光効率を向上させる効果を有することができる。上記の組成物を用いてレジスト下層膜を形成する場合、露光工程中に2次電子が追加的に発生され得、追加生成された2次電子は、露光工程中にフォトレジストに影響を与えて、酸発生効率を極大化させることができる。これにより、フォトレジストの露光工程の速度を改善し、フォトレジストの感度を向上させることができる。
【0062】
また、本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物が、上記化学式3で表される化合物を含むことによって、露光光源に対する感度が向上し、これによりフォトレジストのパターニング性能および効率を改善することができる。すなわち、エッチング工程の時間を短縮させ、エネルギーを節約しながらパターンを鮮明に形成することができる。
【0063】
本発明の一実施形態において、上記化学式1および化学式2中のAは、上記化学式A-1および上記化学式A-2で表される基の少なくとも一方であり得る。本発明の一実施形態において、上記化学式A-2中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基であってもよく、上記化学式A-1および化学式A-2中、*は、連結地点である。
【0064】
本発明の一実施形態において、上記化学式1および化学式2中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0065】
本発明の一実施形態において、上記化学式3中のRおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。一例として、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはペンチル基である。上記アルキル基は置換されてもよく、一例として、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であってもよく、例えば、メトキシ基またはエトキシ基で置換されたメチル基、例えば、メトキシ基またはエトキシ基で置換されたエチル基、例えば、ヒドロキシ基で置換されたメチル基、エチル基、またはプロピル基、例えば、フッ素原子(F)、ヨウ素原子(I)で置換されたメチル基、エチル基、またはプロピル基であってもよい。RおよびRの種類によって、上記化学式3で表される化合物は、例えば、光活性化合物であってもよく、例えば、架橋剤であってもよい。
【0066】
本発明の一実施形態において、上記化学式3中のnおよびmは、それぞれ独立して、0~5、例えば0~4、例えば0~3の整数である。
【0067】
本発明の一実施形態において、上記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-1で表される化合物であり得る。
【0068】
【化12】
【0069】
上記化学式3-1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0070】
一例として、上記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-2~化学式3-13で表される化合物のうちの少なくとも1種であり得る。
【0071】
【化13】
【0072】
【化14】
【0073】
【化15】
【0074】
上記重合体は、1,000g/mol~300,000g/molの重量平均分子量を有することができる。より具体的に、上記重合体は、2,000g/mol~300,000g/mol、例えば2,000g/mol~200,000g/mol、例えば2,000g/mol~100,000g/mol、例えば2,000g/mol~90,000g/mol、例えば2,000g/mol~70,000g/mol、例えば2,000g/mol~50,000g/mol、例えば2,000g/mol~30,000g/mol、例えば2,000g/mol~20,000g/mol、例えば2,000g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができるが、これらに制限されない。上記範囲の重量平均分子量を有することによって、上記重合体を含むレジスト下層膜用組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して、最適化することができる。
【0075】
本発明の一実施形態において、上記重合体と上記化合物との質量比は、9:1~2:3であってもよい。例えば、上記質量比は、8:2~2:3、例えば、7:3~2:3、例えば、6:4~4:6であってもよく、これらに制限されない。本発明の一実施形態において、重合体と化合物との質量比は、9:1~2:3、例えば8:1~2:3、例えば7:1~2:3、例えば6:1~2:3、例えば、5:1~2:3、例えば4:1~2:3、例えば3:1~2:3の範囲であってもよく、これらに制限されない。本発明による組成物に重合体と化合物とが上記の質量比で含まれることによって、レジスト下層膜の厚さ、表面粗さ、および平坦化程度を調節することができる。
【0076】
本発明の一実施形態において、上記重合体は、レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~50質量%の含有量で含まれてもよい。より具体的には、上記重合体は、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%、例えば0.1質量%~30質量%、例えば0.1質量%~20質量%、例えば0.3質量%~20質量%、例えば0.3質量%~10質量%の含有量で含まれてもよく、これらに制限されない。上記含有量の範囲で重合体が組成物に含まれることによって、レジスト下層膜の厚さ、表面粗さおよび平坦化程度を調節することができる。
【0077】
本発明の一実施形態において、上記化合物は、レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.01質量%~20質量%の含有量で含まれてもよい。より具体的には、上記化合物は、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準にして、0.01質量%~15質量%、例えば0.01質量%~10質量%、例えば0.01質量%~10質量%、例えば0.05質量%~10質量%、例えば0.05質量%~5質量%、例えば0.1質量%~20質量%、例えば0.1質量%~15質量%、例えば0.1質量%~10質量%の含有量で含まれてもよく、これらに制限されない。上記含有量の範囲で化合物が組成物に含まれることによって、レジスト下層膜の厚さ、表面粗さおよび平坦化程度を調節することができる。
【0078】
本発明によるレジスト下層膜用組成物は、溶媒を含むことができる。溶媒は、上記重合体および上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、メチル2-ヒドロキシイソブチレート、アセチルアセトン、エチル3-エトキシプロピオネート、またはこれらの組み合わせを含むことができ、これらに限定されるものではない。
【0079】
なお、上記の重合体および化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0080】
本発明によるレジスト下層膜用組成物は、上記重合体、化合物、および溶媒以外にも、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコールウリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の重合体をさらに含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
また、他の実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、界面活性剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせを含む添加剤をさらに含むことができる。
【0082】
界面活性剤はレジスト下層膜形成時、固形分含量の増加によって発生するコーティング不良を改善するために使用することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0083】
熱酸発生剤は、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホネート、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/またはベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート等を使用することができる。その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
可塑剤は、特に制限されず、公知の多様な系統の可塑剤を用いることができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類などの低分子化合物、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアセタール系などの化合物などが挙げられる。
【0085】
添加剤は、レジスト下層膜用組成物100質量部に対して、0.001~40質量部の含有量で含まれてもよい。このような含有量の範囲で含むことによって、レジスト下層膜用組成物の光学的特性を維持しつつ、溶解度を向上させることができる。
【0086】
また、他の実施形態によれば、本発明は、上述のレジスト下層膜用組成物を使用して製造されたレジスト下層膜を提供する。レジスト下層膜は、上述のレジスト下層膜用組成物を、例えば基板の上にコーティングした後、熱処理工程により硬化した形態であってもよい。
【0087】
以下、上述のレジスト下層膜用組成物を使用してパターンを形成する方法について、図1図6を参照して説明する。
【0088】
図1図6は、本発明によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0089】
図1を参照すれば、先ず、エッチング対象物を準備する。上記エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であってもよい。以下では、エッチング対象物が薄膜102である場合に限り説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を前洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0090】
次に、洗浄された薄膜102の表面上に、本発明のレジスト下層膜用組成物をスピンコーティング方式を適用してコーティングする。
【0091】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100℃~500℃で行うことができ、例えば100℃~300℃で行うことができる。より具体的なレジスト下層膜用組成物に関する説明は、上記で詳しく説明したため、ここでは重複を避けるために省略する。
【0092】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104の上にフォトレジストをコーティングして、フォトレジスト膜106を形成する。
【0093】
フォトレジストの例としては、ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂とを含有するポジ型フォトレジスト、露光によって酸を解離可能な光酸発生剤、酸の存在下で分解してアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有する化学増幅型のポジ型フォトレジスト、光酸発生剤および酸の存在下で分解してアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する樹脂を生成することができる基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する化学増幅型のポジ型フォトレジストなどが挙げられる。
【0094】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は90℃~120℃の温度で行うことができる。
【0095】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。フォトレジスト膜106を露光するための露光工程を一例として説明すれば、露光装置のマスクステージ上に所定のパターンが形成された露光マスクを位置させ、フォトレジスト膜106上にマスク110を配置する。次に、マスク110に光を照射することによって、基板100に形成されたフォトレジスト膜106の所定部位が、マスク110を透過した光と選択的に反応するようになる。
【0096】
一例として、露光工程で使用できる光の例としては、365nmの波長を有するi線、248nmの波長を有するKrFエキシマレーザー、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーのような短波長光等があり、この他にも極端紫外光に該当する13.5nmの波長を有するEUV(Extreme ultraviolet)などが挙げられる。
【0097】
露光された部位のフォトレジスト膜106aは、非露光部位のフォトレジスト膜106bに比べて相対的に親水性を有するようになる。したがって、露光された部位106aおよび非露光部位106bのフォトレジスト膜は、互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0098】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90℃~150℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、露光された領域に該当するフォトレジスト膜は、特定の溶媒に溶解しやすい状態となる。
【0099】
図4を参照すれば、具体的に、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などを用いて、露光された領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解した後に除去する。これにより、現像後残されたフォトレジスト膜106bがフォトレジストパターン108を形成する。
【0100】
次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクにして、レジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程によって、図5に示されているような有機膜パターン112が形成される。エッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えばCHF、CF、Cl、Oおよびこれらの混合ガスを使用することができる。上述のように、本発明によるレジスト下層膜組成物によって形成されたレジスト下層膜は、速いエッチング速度を有するため、短時間で円滑なエッチング工程を行うことができる。
【0101】
図6を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して露出された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜は、薄膜パターン114として形成される。先に行われた露光工程で、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの短波長光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、数十nm~数百nmの幅を有することができ、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、20nm以下の幅を有することができる。
【実施例
【0102】
以下、前述の重合体の合成およびこれを含むレジスト下層膜用組成物の製造に関する実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例によって本発明の技術的限定されるのではない。
【0103】
合成例
重合体の合成
(合成例1)
500mlの三口丸底フラスコに、1,3-ジアリル-5-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 24.9g、メルカプトエタノール 7.4g、アゾイソブチロニトリル(AIBN)0.7g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)48gを投入しコンデンサを連結した。温度80℃で16時間反応を行った後、反応液を常温に冷却した。反応液を水800gが入っている1Lの広口瓶に攪拌しながら滴下して、ガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)80gに溶解させた。得られたレジン溶液を、トルエンに滴下して沈殿物を形成させ、単分子および低分子を除去した。最終的に、下記化学式1-1で表される構造単位を有する重合体10g(重量平均分子量(Mw)=10,500g/mol)を得た。
【0104】
【化16】
【0105】
(合成例2)
500mlの三口丸底フラスコに、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン 24.9g、メルカプトエタノール 7.4g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.7g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)48gを投入しコンデンサを連結した。温度80℃で16時間反応を行った後、反応液を常温に冷却した。反応液を水800gが入っている1Lの広口瓶に攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)80gに溶解させた。得られたレジン溶液を、トルエンに滴下して沈殿物を形成させ、単分子および低分子を除去した。最終的に、下記化学式1-2で表される構造単位を有する重合体10g(重量平均分子量(Mw)=8,000g/mol)を得た。
【0106】
【化17】
【0107】
(合成例3)
250mLの4口フラスコに、1,3-ジアリル-5,5-ジメチル-1,3-ジアジナン-2,4,6(1H、3H、5H)-トリオン 20gと、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール 8.4g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5g、およびN,N-ジメチルホルムアミド 50gを投入して反応溶液を準備し、コンデンサを連結した。反応溶液を60℃で5時間加熱して反応を行わせた後、反応溶液を常温に冷却した。その後、反応溶液を、蒸留水300gが入っているビーカーに攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)30gに溶解させた。得られたたレジン溶液に対して、トルエンを添加し沈殿物を形成させ、単分子および低分子を除去して、最終的に下記化学式2-1で表される構造単位からなる重合体(重量平均分子量(Mw)=3,700g/mol)を得た。
【0108】
【化18】
【0109】
(合成例4)
1Lの二口丸底フラスコに、1,3,5-トリグリシジルイソシアヌレート 148.6g(0.5mol)、2,2’-チオ二酢酸 60.0g(0.4mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド 9.1g、およびN,N-ジメチルホルムアミド 350gを投入し、コンデンサを連結した。温度を100℃に上げ、8時間反応させた後、当該反応液を常温(23℃)に冷却した。その後、前記反応液を1Lの広口瓶に移した後、ヘキサンで3回洗浄し、次いで精製水を用いて順次に洗浄した。得られたガム(gum)状態のレジンを、THF80gを用いて完全に溶解させた後、攪拌中の700gのトルエンに徐々に滴下した。その後、溶媒を除去することによって、最終的に下記化学式2-2で表される構造単位を有する重合体(重量平均分子量(Mw)=9,100g/mol)を得た。
【0110】
【化19】
【0111】
(合成例5)
250mLの4口フラスコに、1,3-ジアリル-5-(1-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレート 20g、エタン-1,2-ジチオール 6.0g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1g、およびN,N-ジメチルホルムアミド 50gを投入して反応溶液を準備し、コンデンサを連結した。この反応溶液を50℃で5時間加熱して反応を行った後、3,4-ジフルオロベンジルメルカプタン 10g、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1gを投入して追加の反応を2時間行った後、溶液を常温に冷却した。その後、反応溶液を、蒸留水300gが入っているビーカーに攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)30gに溶解させた。得られた溶液は、トルエンで沈殿物を形成させ、単分子および低分子を除去して、最終的に下記化学式2-3で表される重合体(重量平均分子量(Mw)=5,500g/mol)を得た。
【0112】
【化20】
【0113】
化合物の合成
(合成例6)
500mLのフラスコに、4,4’-スルホニルジフェノール 10g、ジエチルアミン 24g、およびパラホルムアルデヒド 10gを蒸留水20gと共に入れて、85℃で10時間以上反応させた後、冷却した。冷却された反応物を、トルエン 100gに入れて攪拌し、水100gを混合後、層分離された水を除去する作業を3回繰り返して、トルエンを除去して、下記化学式3-2aで表される化合物を得た。
【0114】
【化21】
【0115】
500mLのフラスコに、上記化学式3-2aで表される化合物 21gと、無水酢酸 30gを入れ、85℃で18時間反応を行った後、冷却した。エバポレーターを用いて真空状態で溶媒を全て除去した後、得られた反応物はメタノール20gに完全に溶かし、冷凍保管して再結晶化した。再結晶されたパウダーをろ過した後、乾燥して、下記化学式3-2bで表される化合物を得た。
【0116】
【化22】
【0117】
500mLのフラスコに、上記化学式3-2bで表される化合物 19g、メタノール 140g、および硫酸 30gを入れて攪拌した後、65℃で3日間反応させ、冷却した。反応が終わったフラスコは、冷凍条件で24時間保管して結晶を形成させ、得られた結晶をろ過して粉末を得た。得られた粉末を、水で数回濯いで中和させ、乾燥して、最終的に下記化学式3-2で表される化合物を得た。
【0118】
【化23】
【0119】
(合成例7)
上記合成例6で得られた化学式3-2bで表される化合物 20g、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)150gおよび硫酸 30gを入れてよく攪拌した後、65℃で3日間反応させ、その後冷却した。反応が終わったフラスコは、冷凍条件で24時間保管して、液状の化合物と溶媒とを層分離させた。上層の溶媒を除去した後、水を入れて攪拌し、除去する方式で数回濯いで中和させ、濃縮乾燥して、最終的に下記化学式3-3で表される化合物を得た。
【0120】
【化24】
【0121】
(合成例8)
250mLのフラスコに、4,4’-スルホニルジフェノール 7.5g、p-トルエンスルホン酸 22g、およびアセトニトリル 90gを入れて30分攪拌した。その後、N-ヨードスクシンイミド 30gを投入し、常温で10時間以上反応を行った。得られた反応溶液に、酢酸エチル 400g、および蒸留水300gを入れ、攪拌しながら10質量%亜硫酸ナトリウム水溶液 100gを追加投入して、十分に攪拌した。層分離して水層を除去した後、蒸留水300gを追加投入し、攪拌後、除去する作業を3回繰り返した。その後、ヘキサンを用いて固形分を沈殿させ、当該沈殿物をろ過した後、乾燥して、下記化学式3-12で表される化合物を得た。
【0122】
【化25】
【0123】
レジスト下層膜用組成物の製造
実施例1~8および比較例1~2
(実施例1)
合成例1で製造した重合体と、合成例6で最終的に得られた化合物とを、フラスコに100:30の質量比率で0.5g投入し、PD1174(東京化成工業株式会社製;架橋剤)0.1g、およびピリジニウムp-トルエンスルホナート(PPTS)0.01gと共にプロピレングリコールモノメチルエーテル 90gおよび乳酸エチル 5gに完全に溶解させた後、追加的に溶媒で希釈して、実施例1によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0124】
(実施例2)
合成例6で製造した化合物の代わりに、合成例7で製造した化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様に行って、実施例2によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0125】
(実施例3)
合成例6で製造した化合物の代わりに、合成例8で製造した化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様に行って実、施例3によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0126】
(実施例4)
合成例6で製造した化合物の代わりに、下記化学式3-8で表される化合物(4,4’-スルホニルジフェノール、アルドリッチ社製)を使用したことを除いては、実施例1と同様に行って、実施例4によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0127】
【化26】
【0128】
(実施例5)
合成例6で製造した化合物の代わりに、下記化学式3-11で表される化合物(4,4’-スルホニルビス(フルオロベンゼン);アルドリッチ社製)を使用したことを除いては、実施例1と同様に行って、実施例5によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0129】
【化27】
【0130】
(実施例6)
合成例1で製造した重合体の代わりに、合成例2で製造した重合体を使用したことを除いては、実施例2と同様に行って、実施例6によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0131】
(実施例7)
合成例1で製造した重合体の代わりに、合成例2で製造した重合体を使用したことを除いては、実施例3と同様に行って、実施例7によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0132】
(実施例8)
合成例1で製造した重合体の代わりに、合成例2で製造した重合体を使用したことを除いては、実施例4と同様に行って、実施例8によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0133】
(実施例9)
合成例1で製造した重合体の代わりに、合成例3で製造した重合体を使用したことを除いては、実施例2と同様に行って、実施例9によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0134】
(実施例10)
合成例1で製造した重合体の代わりに、合成例4で製造した重合体を使用したことを除いては、実施例5と同様に行って、実施例10によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0135】
(実施例11)
合成例1で製造した重合体の代わりに、合成例5で製造した重合体を使用したことを除いては、実施例5と同様に行って、実施例11によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0136】
(比較例1)
合成例3で製造した重合体 0.5g、PD1174(東京化成工業株式会社製;架橋剤)0.1g、およびピリジニウムp-トルエンスルホナート(PPTS)0.01gを投入し、プロピレングリコールモノメチルエーテル 90gおよび乳酸エチル 5gに完全に溶解させた後、追加的に溶媒で希釈して、比較例1によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0137】
(比較例2)
合成例3で製造した重合体の代わりに、合成例4で製造した重合体を使用したことを除いては、比較例1と同様に行って、比較例2によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0138】
(コーティング均一性評価)
実施例1~11、および比較例1~2で製造した組成物をそれぞれ2mlずつ取って、8インチウェーハの上にそれぞれ塗布した後、auto track(TEL社製 ACT-8)を用いて、main spin速度1,500rpmで20秒間スピンコーティングを行った後、205℃で60秒間硬化して、50Åの厚さの薄膜を形成した。
【0139】
膜の表面の51個の位置で膜の厚さを測定し、コーティング均一性(coating uniformity)を評価し、その結果を下記表1に示した。コーティング均一性は、51個の厚さの測定値のうちの最大値と最小値との差(Å)を表記した(下記式参照)。値が小さいほどコーティング均一性に優れることを意味する:
コーティング均一性(Å)=ウェーハ内の51個の厚さの最大値-厚さの最小値。
【0140】
【表1】
【0141】
表1を参照すれば、実施例1~11によるレジスト下層膜用組成物は、コーティング均一性が6Å未満であって、優れたコーティング均一性を有するのを確認することができる。
【0142】
(露光特性評価)
実施例1~実施例9、および比較例1~2で製造した組成物を、それぞれスピン-コーティング法で基板上に塗布した後、ホットプレートの上で205℃、60秒間熱処理して、50Å厚さのレジスト下層膜を形成した。その後、フォトレジスト下層膜の上に、フォトレジスト溶液をスピン-コーティング法で塗布し、ホットプレートの上で、110℃で1分間熱処理してフォトレジスト層を形成した。フォトレジスト層を、e-beam露光装置(Elionix社製)を使用して、200μC/cm~1700μC/cmの範囲で露光した後、110℃で60秒間熱処理した。次に、フォトレジスト層を、23℃でTMAH 2.38質量%水溶液で現像した後、純水で15秒間リンスして、50nmのラインアンドスペース(line and space、L/S)のフォトレジストパターンを形成した。次に、フォトレジストパターンの最適露光量を評価し、その結果を表2に示した。ここで、50nmのラインアンドスペースパターンサイズを1:1で現像する露光量を、最適露光量(Optimum energy)(Eop、μC/cm)と定義し、その値が小さいほど感度が良いことを意味する。また、ライン同士が連結されるか倒れることなくラインパターンがよく形成される最小の大きさを最小CDと称し、形成されるパターンの大きさが小さいほど、解像度に優れることを意味する。
【0143】
【表2】
【0144】
表2を参照すれば、実施例1~9による組成物を使用してレジスト下層膜を形成した場合、比較例1~2に比べて微細パターン(50nm L/S)の形成が可能であるのを確認することができた。このことから、本発明の実施例によるレジスト下層膜用組成物を使用する場合、比較例に比べてさらに優れた感度を有するフォトレジストパターンを形成することができることが分かる。
【0145】
以上、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるのではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できるのは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属すると言うべきである。
【符号の説明】
【0146】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
108 フォトレジストパターン、
110 マスク、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6