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特許7541614粘着フィルム、これを含む光学部材及びこれを含む光学表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】粘着フィルム、これを含む光学部材及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240821BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20240821BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20240821BHJP
   C09J 151/08 20060101ALI20240821BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20240821BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240821BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240821BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/14
C09J133/06
C09J151/08
C09J183/04
C09J11/04
B32B27/00 M
G02B5/30
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023513974
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2021011737
(87)【国際公開番号】W WO2022050675
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0111946
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ド ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル ジン
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-014376(JP,A)
【文献】国際公開第2020/091450(WO,A1)
【文献】特開2015-124320(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121794(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/092905(WO,A1)
【文献】特開2002-173656(JP,A)
【文献】特開2024-75717(JP,A)
【文献】特開2014-15614(JP,A)
【文献】特開2010-7044(JP,A)
【文献】特開2008-268414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00ー 43/00
C09J 1/00ー 5/10
C09J 7/00ー 7/50
C09J 9/00ー201/10
G02B 5/30
G02F 1/1335
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、無機粒子及びトリガーポリマーを含む粘着フィルムであって、
前記トリガーポリマーの溶融温度(Tm)は0℃以上で、前記トリガーポリマーは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数10乃至20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリル系単量体、及び下記化学式2で表される重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンを含む単量体混合物の共重合体を含み、
【化1】

(前記化学式2において、
、R 、R 、R 、R 、R 、R は、それぞれ独立して、水素、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数3乃至10のシクロアルキル基又は炭素数6乃至10のアリール基で、
は、炭素数1乃至10のアルキレン基、炭素数6乃至10のアリーレン基、又は炭素数1乃至10のアルキレンオキシ基で、
は、水素又はメチル基で、nは、1乃至100の整数である。)
前記粘着フィルムのヘイズは2%以下で、
前記粘着フィルムは、下記数式1の粘着力の比率が10以上である、粘着フィルム:
【数1】

(前記数式1において、Aは、ガラス板に対する粘着フィルムの初期粘着力(単位:gf/inch(1(gf/inch)=3.86×10 -3 (N/cm))で、
Bは、ガラス板に粘着フィルムを粘着し、50℃で1000秒間置いた後のガラス板に対する粘着フィルムの粘着力(単位:gf/inch)である(1(gf/inch)=3.86×10 -3 (N/cm))。)
【請求項2】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、無機粒子及びトリガーポリマーを含む粘着フィルムであって、
前記トリガーポリマーの溶融温度(Tm)は0℃以上で、前記トリガーポリマーは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数10乃至20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリル系単量体、及び下記化学式2で表される重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンを含む単量体混合物の共重合体を含み、
【化2】

(前記化学式2において、
、R 、R 、R 、R 、R 、R は、それぞれ独立して、水素、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数3乃至10のシクロアルキル基又は炭素数6乃至10のアリール基で、
は、炭素数1乃至10のアルキレン基、炭素数6乃至10のアリーレン基、又は炭素数1乃至10のアルキレンオキシ基で、
は、水素又はメチル基で、nは、1乃至100の整数である。)
前記粘着フィルムのヘイズは2%以下で、
前記粘着フィルムは、ガラス板に対する初期粘着力が100gf/inch(1(gf/inch)=3.86×10 -3 (N/cm))以下で、
前記粘着フィルムは、前記粘着フィルムをガラス板に粘着し、50℃で1000秒間置いた後の前記ガラス板に対する前記粘着フィルムの粘着力が500gf/inch(1(gf/inch)=3.86×10 -3 (N/cm))以上である、粘着フィルム。
【請求項3】
前記トリガーポリマーのための単量体混合物は、前記(メタ)アクリル系単量体95重量%乃至99重量%、及び前記化学式2で表される重合性官能基を有するポリオルガノシロキサン1重量%乃至5重量%を含む、請求項1または2に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記数式1のAは100gf/inch(1(gf/inch)=3.86×10 -3 (N/cm))以下で、前記数式1のBは、500gf/inch(1(gf/inch)=3.86×10 -3 (N/cm))以上である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記粘着フィルムの屈折率は1.5以上である、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
前記無機粒子の屈折率は1.5以上である、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
前記無機粒子はジルコニアを含む、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項8】
前記無機粒子は、前記粘着フィルムのうち10重量%乃至90重量%で含まれる、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項9】
前記芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含む、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項10】
前記芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、下記化学式1の単量体を含む、請求項に記載の粘着フィルム:
【化3】

(前記化学式1において、
は、水素又はメチル基で、
は、単一結合、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキレン基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキレンオキシ基で、
Arは、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基である。)
【請求項11】
前記単量体混合物は、前記芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体30重量%以上100重量%未満、前記水酸基含有(メタ)アクリル系単量体0重量%超過70重量%以下を含む、請求項に記載の粘着フィルム。
【請求項12】
前記単量体混合物は、アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体、及びアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち1種以上を含む、請求項に記載の粘着フィルム。
【請求項13】
前記(メタ)アクリル系単量体は、ステアリル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含む、請求項12に記載の粘着フィルム。
【請求項14】
前記トリガーポリマーは、前記粘着フィルムのうち0重量%超過20重量%以下で含まれる、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項15】
前記粘着フィルムは架橋剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項16】
前記粘着フィルムはUV吸収剤をさらに含み、前記粘着フィルムは、波長390nm以下で光透過率が70%以下である、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項17】
請求項1又は2の粘着フィルムを含む、光学部材。
【請求項18】
前記光学部材は、発光素子パネル、前記発光素子パネルの上部面に順次積層されたタッチスクリーンパネル、前記粘着フィルム、及び光学フィルムを含む、請求項17に記載の光学部材。
【請求項19】
前記タッチスクリーンパネルと前記粘着フィルムは、少なくとも直接接触する、請求項18に記載の光学部材。
【請求項20】
前記タッチスクリーンパネルと前記粘着フィルムとの界面には、少なくともパッシベーション層が形成された、請求項19に記載の光学部材。
【請求項21】
請求項1又は2の粘着フィルムを含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルム、これを含む光学部材及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子表示装置などを含む発光素子表示装置は、発光素子のうち発光層から出る光を用いて画面が表示されるものである。ところが、発光層から出る光のうち80%以上が、発光素子又は表示装置の各種層状構造の界面又は内部で反射又は吸収されることによって、表示装置の前面に出られずに消失してしまう。光抽出効率を低下させることによって、所望の輝度を具現するためには、電力消耗量が増加し、これによって発光素子の寿命も短縮される。よって、発光素子上に積層される層状構造を変更することによって、光抽出効率を改善しようとする試みが続けられている。
【0003】
一方、発光素子上に積層されるタッチスクリーンパネルは、アルミニウム、チタンなどの金属素材で作られることによって、通常の粘着フィルムに比べて著しく高い屈折率を有する。これによって、層間の屈折率差を低下させ、光抽出効率を高めるためには、屈折率差を緩和できる追加的な層又は粘着フィルムが必要であるが、これは、光学表示装置の製造工程性を低下させ得る。そこで、工程性を確保しながら、光抽出効率も高める粘着層が必要である。
【0004】
本発明の背景技術は、韓国公開特許第2007-0055363号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱処理によって粘着力が著しく増加する粘着フィルムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、ヘイズが低いので、光学的特性に優れ、段差埋め立て性に優れた粘着フィルムを提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、高屈折率の粘着フィルムを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、工程性に優れた粘着フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点は、粘着フィルムである。
【0010】
1.粘着フィルムは、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、無機粒子及びトリガーポリマー(trigger polymer)を含み、前記トリガーポリマーの溶融温度(Tm)は約0℃以上で、前記粘着フィルムのヘイズは約2%以下で、前記粘着フィルムは、下記数式1の粘着力の比率が約10以上である:
【0011】
【数1】
【0012】
(前記数式1において、Aは、ガラス板に対する粘着フィルムの初期粘着力(単位:gf/inch)で、
Bは、ガラス板に粘着フィルムを粘着し、50℃で1000秒間置いた後のガラス板に対する粘着フィルムの粘着力(単位:gf/inch)である。)
2.粘着フィルムは、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、無機粒子及びトリガーポリマーを含む粘着フィルムであって、前記トリガーポリマーの溶融温度(Tm)は約0℃以上で、前記粘着フィルムのヘイズは約2%以下で、前記粘着フィルムは、ガラス板に対する初期粘着力が約100gf/inch以下で、前記粘着フィルムは、前記粘着フィルムをガラス板に粘着し、50℃で1000秒間置いた後の前記ガラス板に対する前記粘着フィルムの粘着力が約500gf/inch以上である。
【0013】
3.1において、前記数式1のAは、約100gf/inch以下で、前記数式1のBは、約500gf/inch以上であってもよい。
【0014】
4.1~3において、前記粘着フィルムの屈折率は、約1.5以上であってもよい。
【0015】
5.1~4において、前記無機粒子の屈折率は、約1.5以上であってもよい。
【0016】
6.1~5において、前記無機粒子は、ジルコニアを含むことができる。
【0017】
7.1~6において、前記無機粒子は、前記粘着フィルムのうち約10重量%乃至約90重量%で含まれてもよい。
【0018】
8.1~7において、前記芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体、及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含むことができる。
【0019】
9.8において、前記芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、下記化学式1の単量体を含むことができる:
【0020】
【化1】
【0021】
(前記化学式1において、
は、水素又はメチル基で、
は、単一結合、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキレン基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキレンオキシ基で、
Arは、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基である。)
10.1~8において、前記単量体混合物は、前記芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体約50重量%以上約100重量%未満、及び前記水酸基含有(メタ)アクリル系単量体約0重量%超過約50重量%以下を含むことができる。
【0022】
11.1~10において、前記単量体混合物は、アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体、及びアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち1種以上を含むことができる。
【0023】
12.1~11において、前記トリガーポリマーは、(メタ)アクリル系単量体、及び重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンを含む単量体混合物の共重合体を含むことができる。
【0024】
13.1~12において、前記(メタ)アクリル系単量体は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数10乃至20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0025】
14.1~13において、前記(メタ)アクリル系単量体は、ステアリル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含むことができる。
【0026】
15.1~14において、前記トリガーポリマーは、前記粘着フィルムのうち約0重量%超過約20重量%以下で含まれてもよい。
【0027】
16.1~15において、前記粘着フィルムは、架橋剤をさらに含むことができる。
【0028】
17.1~16において、前記粘着フィルムは、UV吸収剤をさらに含み、前記粘着フィルムは、波長390nm以下で光透過率が約70%以下であってもよい。
【0029】
本発明の他の観点は、光学部材である。
【0030】
18.光学部材は、本発明の粘着フィルムを含む。
【0031】
19.18において、前記光学部材は、発光素子パネル、前記発光素子パネルの上部面に順次積層されたタッチスクリーンパネル、前記粘着フィルム、及び光学フィルムを含むことができる。
【0032】
20.18~19において、前記タッチスクリーンパネルと前記粘着フィルムは、少なくとも直接接触し得る。
【0033】
21.18~20において、前記タッチスクリーンパネルと前記粘着フィルムとの界面には、少なくともパッシベーション層が形成されてもよい。
【0034】
本発明の光学表示装置は、本発明の粘着フィルムを含む。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、熱処理によって粘着力が著しく増加する粘着フィルムを提供することができる。
【0036】
本発明は、ヘイズが低いので、光学的特性に優れ、段差埋め立て性に優れる粘着フィルムを提供することができる。
【0037】
本発明は、高屈折率の粘着フィルムを提供することができる。
【0038】
本発明は、工程性に優れた粘着フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施例に係る光学部材を示す断面図である。
図2】粘着力の測定のための試験片を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
添付の図面を参考にして、実施例によって本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明を詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0041】
図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の名称を使用した。図面において、各構成要素の長さ及び大きさは、本発明を説明するためのものであって、本発明が図面に記載の各構成要素の長さ及び大きさに制限されることはない。
【0042】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準にして定義したものであって、見る角度によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよい。
【0043】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0044】
本明細書において、「屈折率」は、可視光線領域、例えば、波長550nmで測定された値である。
【0045】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、X以上Y以下(X≦そして≦Y)を意味する。
【0046】
本発明の粘着フィルムは、熱処理によって被着体に対する粘着力が著しく増加することによって、被着体に粘着させた後で熱処理するだけで被着体に安定的に固定されるので、工程性を改善することができる。また、本発明の粘着フィルムは、段差埋め立て性に優れ、パターンが形成された被着体に粘着されたり、被着体上にパターンがさらに形成された場合にも被着体に容易に固定され得る。また、本発明の粘着フィルムは、下記で詳述する(メタ)アクリル系バインダー、無機粒子及びトリガーポリマーを含む粘着フィルムにおけるヘイズ上昇問題を解消することによって、ヘイズが低いので、透明性に優れ、光学表示装置に容易に使用され得る。また、本発明の粘着フィルムは、1.5以上、好ましくは1.6以上の高屈折率を示すことによって、高屈折率の被着体に積層された場合にも、従来の粘着フィルムに比べて被着体から粘着フィルムに入射される光の反射を最小化することによって、光抽出効率を高めることができる。
【0047】
本明細書において、「被着体」は、タッチスクリーンパネル、ガラス板、プラスチックフィルム又はインクジェットなどの硬化物を含むことができる。
【0048】
以下、本発明の一実施例に係る粘着フィルムを説明する。
【0049】
本実施例に係る粘着フィルムのヘイズは約2%以下で、下記数式1の粘着力の比率(Aに対するBの比率)が約10以上である:
【0050】
【数2】
【0051】
(前記数式1において、
Aは、ガラス板に対する粘着フィルムの初期粘着力(単位:gf/inch)で、
Bは、ガラス板に粘着フィルムを粘着し、50℃で1000秒間置いた後のガラス板に対する粘着フィルムの粘着力(単位:gf/inch)である。)
前記粘着力の比率範囲で、粘着フィルムを被着体に粘着させた後で熱処理のみを行えばよく、粘着フィルムが被着体に容易に固定され得るので、工程性を改善することができる。具体的には、粘着フィルムは、数式1の粘着力の比率が、例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、具体的には10乃至200、さらに具体的には15乃至150になり得る。
【0052】
前記数式1のAは、約100gf/inch以下、例えば、5gf/inch、10gf/inch、15gf/inch、20gf/inch、25gf/inch、30gf/inch、35gf/inch、40gf/inch、45gf/inch、50gf/inch、55gf/inch、60gf/inch、65gf/inch、70gf/inch、75gf/inch、80gf/inch、85gf/inch、90gf/inch、95gf/inch、100gf/inch、具体的には5gf/inch乃至50gf/inchになってもよい。前記範囲で、粘着フィルムを被着体に粘着させた後、再剥離性を高めることができる。前記数式1のAは、基材フィルムと粘着フィルムの積層体を無アルカリガラス板上に貼り合わせ、剥離速度300mm/min、剥離温度25℃、剥離角度180゜の条件で無アルカリガラス板から基材フィルムと粘着フィルムの積層体を剥離するときの粘着力である。前記基材フィルムとしては、離型処理されていない通常の高分子フィルムを使用することができる。例えば、基材フィルムは、離型処理されていないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであってもよい。
【0053】
前記数式1のBは、約500gf/inch以上、例えば、500gf/inch、550gf/inch、600gf/inch、650gf/inch、700gf/inch、750gf/inch、800gf/inch、850gf/inch、900gf/inch、950gf/inch、1000gf/inch、1050gf/inch、1100gf/inch、1150gf/inch、1200gf/inch、1250gf/inch、1300gf/inch、1350gf/inch、1400gf/inch、1450gf/inch、1500gf/inch、具体的には500gf/inch乃至1500gf/inchになってもよい。前記範囲で、粘着フィルムは、被着体から容易に剥離されずに固定され得る。前記数式1のBは、基材フィルムと粘着フィルムの積層体を無アルカリガラス板上に貼り合わせ、50℃で1000秒間置いた後、剥離速度300mm/min、剥離温度25℃、剥離角度180゜の条件で無アルカリガラス板から基材フィルムと粘着フィルムの積層体を剥離するときの粘着力である。前記基材フィルムとしては、離型処理されていない通常の高分子フィルムを使用することができる。例えば、基材フィルムは、離型処理されていないPETフィルムであってもよい。
【0054】
前記ヘイズの範囲で、被着体から入射される光の透過効率を高め、光抽出効率を高めることができる。具体的には、粘着フィルムのヘイズは、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、具体的には0%乃至2%、0%乃至1%になってもよい。
【0055】
粘着フィルムの屈折率は、約1.5以上、例えば、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.6乃至1.8になってもよい。前記屈折率の範囲で、高屈折率の被着体に積層された場合にも、屈折率差を緩和させることによって、被着体から粘着フィルムに入射される光の反射を減少させ、光抽出効率を高めることができる。
【0056】
本発明の粘着フィルムは、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、屈折率約1.5以上の無機粒子及びトリガーポリマーを全て含む。
【0057】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、粘着フィルムの屈折率及び粘着力を高めることができる。
【0058】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーの重量平均分子量は、約50万乃至約300万、具体的には100万乃至200万になってもよい。前記範囲で、高温、高湿などの信頼性が良好になり得る。
【0059】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含むことができる。
【0060】
芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、粘着フィルムの屈折率を高めることができる。芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、ホモポリマーの屈折率が約1.55以上、例えば、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、具体的には1.55乃至1.80である単量体を含むことができる:
一具体例において、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、1個以上の芳香族基を有する(メタ)アクリレート1種以上、好ましくは2種以上を含むことができる。例えば、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、下記化学式1の単量体を含むことができる:
【0061】
【化2】
【0062】
(前記化学式1で、
は、水素又はメチル基で、
は、単一結合、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキレン基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキレンオキシ基で、
Arは、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基である。)
好ましくは、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、置換又は非置換の芳香族基を2個以上有する(メタ)アクリル系単量体を含むことができる。置換又は非置換の芳香族基を2個以上有する(メタ)アクリル系単量体は、上述した無機粒子と組み合わせると、粘着フィルムの屈折率を容易に確保することができる。
【0063】
前記化学式1において、Rが単一結合であることは、-C(=O)O-とArとが直接連結されたことを意味する。
【0064】
好ましくは、前記化学式1において、Arは、炭素数6乃至20、好ましくは炭素数6乃至10のアリール基、又は炭素数6乃至20、好ましくは炭素数6乃至10のアリールオキシ基に置換されてもよい。
【0065】
一具体例において、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、前記化学式1において、Arが炭素数6乃至10のアリール基に置換された化学式1の単量体と、Arが炭素数6乃至10のアリールオキシ基に置換された化学式1の単量体との混合物を含むことができる。この場合、本発明の効果を容易に具現することができる。
【0066】
例えば、芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、及びビフェニルメチル(メタ)アクリレートのうち1種以上、好ましくは2種以上を含むことができる。
【0067】
芳香族基含有(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物のうち約30重量%以上乃至約100重量%未満、例えば、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、具体的には、50重量%以上100重量%未満、70重量%乃至95重量%、70重量%乃至90重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの粘着力を高めることを助けることができる。
【0068】
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体は、粘着フィルムの粘着力を提供することができる。水酸基含有(メタ)アクリル系単量体は、1個以上の水酸基を含有する炭素数1乃至10の(メタ)アクリレート1種以上を含むことができる。例えば、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体は、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0069】
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物のうち約0重量%超過約70重量%以下、例えば、0.1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、具体的には、0重量%超過50重量%以下、5重量%乃至30重量%、5重量%乃至25重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの粘着力を高め、ヘイズ改善の効果を提供することができる。
【0070】
単量体混合物は、アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体、及びアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち1種以上をさらに含むことができる。
【0071】
アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体は、粘着フィルムにおける粒子分散性に有利であり、フィルムのヘイズを改善する機能を提供することができる。アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリルアミド、オクタデシル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドのうち1種以上を含むことができる。
【0072】
アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物のうち約0重量%乃至約20重量%、例えば、0重量%、0.1重量%、1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、具体的には、0重量%乃至10重量%、0.1重量%乃至10重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの粘着力を高める効果を提供することができる。
【0073】
アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、炭素数1乃至炭素数20(好ましくは、炭素数2乃至炭素数20)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。炭素数1乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0074】
アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物のうち約0重量%乃至約50重量%、具体的には、0重量%乃至30重量%、0.1重量%乃至10重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの粘着力を高める効果を提供することができる。
【0075】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、上述した単量体混合物を使用し、当業者に知られている通常の方法で製造され得る。
【0076】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、粘着フィルムのうち約10重量%乃至約90重量%、例えば、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、具体的には、10重量%以上90重量%未満、30重量%乃至70重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの機械的強度が維持され、粘着力が確保され得る。
【0077】
屈折率約1.5以上の無機粒子は、粘着フィルムに含まれ、粘着フィルムの屈折率を向上又は維持させることができる。
【0078】
屈折率約1.5以上の無機粒子は、屈折率1.5以上、例えば、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、具体的には、1.5乃至1.8の無機粒子を含むことができる。前記範囲内で、粘着フィルムの屈折率を高めることを助けることができ、被着体への積層時、被着体から入射される光の反射を減少させることによって、光の抽出効率を高めることができる。例えば、無機粒子は、ジルコニア及びチタニアのうち1種以上、好ましくは、ジルコニアを含むことができる。
【0079】
屈折率約1.5以上の無機粒子は、その形状に制限がないが、例えば、球形、無定形、板状形又は粒状形などになってもよい。無機粒子の平均粒径(D50)は、粘着フィルムの厚さより小さく、約1nm乃至約100nm、例えば、1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、具体的には、5nm乃至50nmになってもよい。前記範囲で、無機粒子が粘着フィルムに含まれ得るので、粘着フィルムの効果を具現することができる。前記「平均粒径(D50)」は、当業者に知られている通常の方法で測定され得る。例えば、平均粒径(D50)は、粒度分析器(particle size analyzer)による無機粒子の重量)累積分析で50%に該当する粒径を意味する。
【0080】
屈折率約1.5以上の無機粒子は、表面処理されていない無機粒子を含むこともできるが、表面処理された無機粒子を含むことによって、粘着剤組成物のうち無機粒子の分散がうまく行われるようにし、その結果、粘着フィルムの光学的特性を改善することによって透明性を高めることができる。表面処理は、当業者に知られている通常の方法で行われ得る。例えば、無機粒子は、(メタ)アクリル系化合物などで表面処理されてもよい。
【0081】
屈折率約1.5以上の無機粒子は、粘着フィルムのうち約10重量%乃至約90重量%、例えば、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、具体的には、10重量%以上90重量%未満、30重量%乃至70重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムのヘイズに影響を与えることなく、粘着フィルムの屈折率を高めることができる。
【0082】
芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーと屈折率1.5以上の無機粒子の総和100重量部のうち、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーは、約10重量部乃至約90重量部、例えば、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、好ましくは30重量部乃至70重量部で、屈折率1.5以上の無機粒子は、10重量部乃至90重量部、例えば、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、好ましくは、30重量部乃至70重量部で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの屈折率が高くなり、熱処理による粘着力の上昇効果を期待することができる。
【0083】
トリガーポリマーの溶融温度(Tm)は約0℃以上である。粘着フィルムは、溶融温度が0℃以上のトリガーポリマーを含むことによって、粘着フィルムを熱処理すると、粘着フィルムの粘着力の上昇を助けることができる。トリガーポリマーは、熱処理によって粘着フィルムの粘着力を上昇させるポリマーを意味し得る。具体的には、トリガーポリマーの溶融温度は、例えば、0℃、1℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、具体的には10℃乃至100℃、さらに具体的には25℃乃至80℃になってもよい。前記溶融温度(Tm)は、当業者に知られている通常の方法、例えば、DSC(differential scanning calorimeter)によって測定され得るが、これに制限されない。
【0084】
トリガーポリマーは、(メタ)アクリル系単量体、及び重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンを含む単量体混合物の共重合体を含むことができる。
【0085】
(メタ)アクリル系単量体は、溶融温度0℃以上のトリガーポリマーを提供できるように、適切な範囲のTgを有する単量体を選択して使用され得る。例えば、(メタ)アクリル系単量体は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が約0℃乃至約50℃、例えば、0℃、1℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、具体的には10℃乃至35℃である単量体を選択して使用してもよい。前記範囲で、前記ポリオルガノシロキサンとの重合時、溶融温度0℃以上のトリガーポリマーを容易に製造することができる。例えば、(メタ)アクリル系単量体は、直鎖状又は分岐鎖状の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートを含むことができる。具体的には、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数10乃至20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどを使用できるが、これに制限されない。
【0086】
重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンは、トリガーの粘着フィルムの表面への移動(floating)を促進させ、熱処理による粘着フィルムの粘着力の上昇を助けることができる。重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンは、1個の重合性官能基を有するものであって、例えば、下記化学式2の化合物を含むことができる:
【0087】
【化3】
【0088】
(前記化学式2において、
、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数3乃至10のシクロアルキル基又は炭素数6乃至10のアリール基で、
は、炭素数1乃至10のアルキレン基、炭素数6乃至10のアリーレン基、又は炭素数1乃至10のアルキレンオキシ基で、
は、水素又はメチル基で、nは、1乃至100の整数である。)
トリガーポリマーのための単量体混合物は、(メタ)アクリル系単量体約95重量%乃至約99重量%、及び重合性官能基を有するポリオルガノシロキサン約1重量%乃至約5重量%を含むことができる。前記範囲で、粘着フィルムの熱処理による粘着力の上昇効果を得ることができる。
【0089】
トリガーポリマーは、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーと屈折率1.5以上の無機粒子の総和100重量部に対して、約1重量部超過約10重量部未満、例えば、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部で含まれてもよい。前記範囲で、熱処理による粘着力の上昇効果、ヘイズの上昇抑制効果及び段差埋め立て性の改善効果を得ることができる。具体的には、トリガーポリマーは、2重量部乃至9重量部で含まれてもよい。
【0090】
トリガーポリマーは、粘着フィルムのうち約0重量%乃至約20重量%、例えば、0重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、具体的には、0重量%超過20重量%以下、1重量%乃至9重量%で含まれてもよい。前記範囲で、熱処理による粘着力の上昇効果を得ることができ、粘着フィルムの最初の粘着力も高めることができる。
【0091】
粘着フィルムは、シランカップリング剤をさらに含むことができる。
【0092】
シランカップリング剤は、被着体に対する粘着フィルムの剥離力をさらに高めることができる。シランカップリング剤は、当業者に知られている通常の種類を含むことができる。例えば、シランカップリング剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ構造を有するケイ素化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基含有ケイ素化合物;及び3-クロロプロピルトリメトキシシランなどからなる群から選ばれる1種以上を含み得るが、これらに制限されない。
【0093】
シランカップリング剤は、粘着フィルムのうち約0重量%乃至約5重量%、具体的には0.1重量%乃至3重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの他の物性に影響を与えることなく、粘着フィルムの被着体に対する粘着力を高めることができる。
【0094】
粘着フィルムは、UV吸収剤をさらに含むことができる。
【0095】
UV吸収剤は、外部から入射されるUVを吸収することによって、被着体の下部面に積層される発光表示パネル内の発光素子の損傷を防止し、発光素子の寿命を延長させることができる。一具体例において、UV吸収剤を含む粘着フィルムは、波長390nm以下、例えば、波長380nm乃至390nmで光透過率が約70%以下、例えば、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、具体的には0%乃至70%になってもよい。前記範囲で、発光素子の損傷を防止することができる。
【0096】
一具体例において、UV吸収剤は、最大吸収波長が約350nm乃至約450nm、具体的には370nm乃至400nmになってもよい。前記範囲で、発光素子の損傷を防止することができ、UV照射による粘着フィルムの粘着力低下に影響を与えなくなり得る。前記「最大吸収波長」は、当業者に知られている通常の方法で測定され得る。
【0097】
一具体例において、UV吸収剤としては、インドール系UV吸収剤などを使用できるが、これに制限されない。
【0098】
UV吸収剤は、粘着フィルムのうち約0重量%乃至約1.0重量%、具体的には0.1重量%乃至0.5重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムのUV照射による粘着力減少に影響を与えることなく、発光素子の損傷防止機能を具現することができる。
【0099】
粘着フィルムは、帯電防止剤、界面活性剤、硬化促進剤、イオン性液体、リチウム塩、無機充填剤、軟化剤、分子量調節剤、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂(ポリオール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン樹脂など)、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料(着色顔料、体質顔料など)、処理剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、凝集剤、潤滑剤などの通常の添加剤をさらに含むことができる。
【0100】
添加剤は、粘着フィルムのうち約10重量%以下、具体的には0.01重量%乃至10重量%、さらに具体的には0.01重量%乃至1重量%で含まれてもよい。前記範囲で、粘着フィルムの粘着力及び信頼性に影響を与えることなく、添加剤の効果を出すことができる。
【0101】
粘着フィルムの厚さは、約200μm以下、例えば、0μm超過200μm以下、10μm乃至100μmになってもよい。前記範囲で、粘着フィルムが光学表示装置に使用され得る。
【0102】
粘着フィルムは、ガラス転移温度が約-50℃乃至約-10℃、例えば、-50℃、-45℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、-20℃、-15℃、-10℃、具体的には-40℃乃至-20℃になってもよい。前記範囲で、粘着剤特性の効果があり得る。
【0103】
粘着フィルムは、粘着剤組成物を基材フィルムの一表面にコーティングすることによってコーティング層を形成し、コーティング層を乾燥及び硬化させることによって製造され得る。コーティング層を熟成させた後、粘着フィルムに異物が付くことを防止するために、粘着フィルムの一面に離型フィルムがさらに貼り合わされ得る。基材フィルムは、前記で説明した通りである。乾燥は、コーティング層を約100℃乃至約150℃で約0.5分乃至約5分処理する過程を含み得るが、これに制限されない。熟成は、乾燥したコーティング層を約40℃乃至約80℃で約0.5日乃至約3日処理する過程を含み得るが、これに制限されない。
【0104】
前記粘着剤組成物は、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、屈折率1.5以上の無機粒子、及びトリガーポリマーを含む。粘着剤組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、粘着剤組成物の塗布性を高め、粘着剤組成物が均一に塗布されることを助けることができる。溶媒は、当業者に通常知られている有機溶媒のうち1種以上を含むことができる。
【0105】
以下、本発明の他の実施例の粘着フィルムを説明する。
【0106】
本実施例の粘着フィルムのヘイズは約2%以下で、前記数式1の粘着力の比率が約10以上で、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、屈折率約1.5以上の無機粒子、トリガーポリマー及び架橋剤を含む。架橋剤をさらに含むことを除いては、本発明の一実施例の粘着フィルムと実質的に同一である。粘着フィルムは、シランカップリング剤、UV吸収剤、及び各種添加剤をさらに含むことができる。
【0107】
前記ヘイズ、前記数式1の粘着力の比率(粘着力A及び粘着力Bを含む)、前記屈折率、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー、屈折率約1.5以上の無機粒子、トリガーポリマー、シランカップリング剤、UV吸収剤及び各種添加剤のそれぞれの詳細な内容及び各成分の含量範囲は、前記本発明の一実施例の粘着フィルムで説明した内容と実質的に同一である。
【0108】
架橋剤は、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーを硬化させることによって、粘着フィルムの信頼性をさらに高めることができる。粘着フィルムは、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダー及び架橋剤で形成された(メタ)アクリル系マトリックスを含むことができる。
【0109】
架橋剤は、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーを熱硬化させる際に使用される通常の熱硬化剤を含むことができる。例えば、架橋剤は、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及びエポキシ系架橋剤のうち1種以上を含むことができる。好ましくは、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を含むことができる。
【0110】
イソシアネート系架橋剤は、2官能以上、例えば、2官能乃至6官能のイソシアネート型架橋剤を含むことができる。一具体例において、イソシアネート系架橋剤は、m-キシレンジイソシアネートなどを含むキシレンジイソシアネート(XDI)、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)などを含むメチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートのうち1種以上、又はこれらの付加体、又はこれらのイソシアヌレート体を含むことができる。例えば、前記付加体又はイソシアヌレート体は、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体になってもよい。
【0111】
架橋剤は、芳香族基及び水酸基含有(メタ)アクリル系バインダーと屈折率約1.5以上の無機粒子の総和100重量部に対して、約0重量部乃至約10重量部、例えば、0重量部、0.01重量部、0.02重量部、0.03重量部、0.04重量部、0.05重量部、0.06重量部、0.07重量部、0.08重量部、0.09重量部、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、具体的には0重量部乃至0.1重量部で含まれてもよい。前記範囲で、(メタ)アクリル系バインダーが架橋され、粘着剤の形成及び適正な粘着力制御の効果があり得る。
【0112】
以下、本発明の一実施例に係る光学部材を説明する。
【0113】
本実施例に係る光学部材は、本発明の粘着フィルムを含む。一具体例において、光学部材は、粘着フィルム、及び前記粘着フィルムの下部面に積層される被着体を含む。一具体例において、被着体は、粘着フィルムに比べて高い屈折率を有することができる。被着体の下部面から入射された光は、粘着フィルムを介して透過され得る。粘着フィルムは、被着体に比べて屈折率差を低下させることによって、光抽出効率を高めることができる。例えば、被着体の屈折率は、1.7以上、具体的には1.7乃至2.0になってもよい。
【0114】
図1は、本発明の一実施例の光学部材を示す断面図である。
【0115】
図1を参照すると、光学部材は、発光素子パネル110、発光素子パネル110の上部面に順次積層されたタッチスクリーンパネル120、粘着フィルム140、及び光学フィルム150を含む。タッチスクリーンパネル120と粘着フィルム140との界面には、パッシベーション層130がパターン化されて形成されている。
【0116】
発光素子パネル110は、R(red)、G(green)、B(blue)発光素子を含み、表示装置の駆動のために発光する部分である。
【0117】
タッチスクリーンパネル120は、表示装置の画面上に手やペンでタッチしたとき、その位置を把握することによって、表示装置が特定の処理を行えるように画面で入力された資料を受け取るようにする。タッチスクリーンパネル120は、アルミニウム、チタンなどの金属素材で形成され、屈折率が2以上、例えば、2乃至4になってもよい。
【0118】
パッシベーション層130と粘着フィルム140は、タッチスクリーンパネル120と光学フィルム150との間の屈折率差を緩和させ、光抽出効率を高めることができる。パッシベーション層130は、図1に示したようにパターン化されており、タッチスクリーンパネル120から粘着フィルム140に入射される光の抽出効率を高めることができる。
【0119】
粘着フィルム140は、本発明の粘着フィルムを含むことができる。タッチスクリーンパネル120と粘着フィルム140は、少なくとも直接接触して形成されている。
【0120】
光学フィルム150は、ウィンドウフィルム、ウィンドウ、偏光板、カラーフィルター、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射偏光フィルム、反射防止フィルム、補償フィルム、輝度向上フィルム、配向膜、光拡散フィルム、ガラス飛散防止フィルム、表面保護フィルムなどを含むことができる。好ましくは、光学フィルム150は偏光板を含むことができる。
【0121】
本発明の光学表示装置は、本発明の粘着フィルム又は本発明の光学部材を含む。光学表示装置は、有機発光素子表示装置などを含む発光素子表示装置、液晶表示装置などを含むことができる。
【実施例
【0122】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0123】
実施例1
反応器内にステアリルメタクリレート(STMA)5重量部、及びシリコン含有モノアクリレート(BYK-3530)0.1重量部を含む単量体混合物を入れ、溶剤としてトルエンを入れた。UV開始剤を入れ、窒素パージしながら60℃で重合し、溶融温度(Tm)が33℃であるトリガーポリマーを製造した。
【0124】
反応器内に2-フェノキシベンジルアクリレート(PBA-001、韓農化成)70重量部、ベンジルアクリレート(BzA)10重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)15重量部、N,N-ジエチルアクリルアミド(DEAA)5重量部を含む単量体混合物100重量部を入れ、溶剤としてエチルアセテートを適正量で添加した。UV開始剤を入れ、窒素パージしながら重合し、2-フェノキシベンジルアクリレート、ベンジルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミドから由来した単位を有する(メタ)アクリル系バインダー(重量平均分子量:100万)を製造した。
【0125】
前記製造した(メタ)アクリル系バインダーに、ジルコニア含有ゾル(ZP-158、株式会社日本触媒、平均粒径(D50):15nm、表面処理、ジルコニアの屈折率:1.69)を添加し、固形分を基準にして、(メタ)アクリル系バインダーを50重量部、ジルコニアを50重量部にした。
【0126】
その後、バインダー50重量部及びジルコニア50重量部の総和100重量部に対して、前記製造したトリガーポリマー5重量部と、架橋剤(L-45、Soken Co., Ltd.、イソシアネート系架橋剤)0.02重量部とを混合して脱泡し、粘着剤組成物を製造した。
【0127】
製造した粘着剤組成物を、基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(TU73A、SKC社、厚さ:75μm、離型処理されていない)の一面に20μm乃至25μmで塗布し、120℃で2分間乾燥させ、50℃で2日間硬化(熟成)させた後、離型フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(RF12AS、SKC社、厚さ:75μm、離型処理されている)を覆い、基材フィルム、粘着フィルム(厚さ:25μm)、及び離型フィルムの積層体を製造した。
【0128】
実施例2乃至実施例6
実施例1における各成分の含量を下記表1(単位:重量部)のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法を実施し、基材フィルム、粘着フィルム、及び離型フィルムの積層体を製造した。
【0129】
比較例1乃至比較例2
実施例1における各成分の含量を下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法を実施し、基材フィルム、粘着フィルム、及び離型フィルムの積層体を製造した。
【0130】
【表1】
【0131】
前記表1において、
バインダーA:PBA-001、BzA、4-HBA及びDEAAの(メタ)アクリル系バインダー
バインダーB:PBA-001 70重量部、BzA 10重量部及び4-HBA 20重量部を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系バインダー
トリガーポリマーA:STMAとBYK-3530のポリマー、Tm:33℃
トリガーポリマーB:ラウリルアクリレート5重量部と、BYK-3530 0.1重量部とを含む単量体混合物のポリマー、Tm:25℃
UV吸収剤:UV-3912(インドール系、Orient Chemical社)
実施例と比較例で製造した積層体に対して下記表2の物性を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0132】
(1)数式1:図2を参照すると、実施例と比較例で製造した、基材フィルム/粘着フィルム/離型フィルムの積層体(横×縦、2.5cm×20cm)から離型フィルムを剥離し、基材フィルム/粘着フィルム積層体10を製造し、無アルカリガラス板20(横×縦、4cm×15cm)に粘着フィルム/基材フィルムの積層体を貼り合わせ、図2の断面図を有する試験片を製造した。前記試験片のうち前記積層体の末端10aを粘着力測定装置であるTA Instrumentのジグ(jig)に固定させ、25℃、剥離速度300mm/分、剥離角度180゜で無アルカリガラス板から基材フィルムと粘着フィルムの積層体を剥離したときの粘着力(数式1のA、単位:gf/inch)を測定する。
【0133】
実施例と比較例で製造した、基材フィルム/粘着フィルム/離型フィルムの積層体(横×縦、2.5cm×20cm)から離型フィルムを剥離した後、無アルカリガラス板(横×縦、4cm×15cm)に粘着フィルム/基材フィルムの積層体を貼り合わせ、前記と同様に図2の試験片を製造した。製造した試験片は、50℃、5.5barのオートクレーブ内で1000秒間維持した。その後、前記と同様に、試験片を粘着力測定装置であるTA Instrumentに固定させ、25℃、剥離速度300mm/分、剥離角度180゜で無アルカリガラス板から基材フィルムと粘着フィルムの積層体を剥離したときの粘着力(数式1のB、単位:gf/inch)を測定する。前記数式1の値を計算する。
【0134】
(2)ヘイズ(単位:%):積層体から基材フィルム及び離型フィルムを分離し、粘着フィルムを無アルカリガラス板に貼り合わせた後、ヘイズ測定器としてNDH-9000を使用して可視光線領域で測定した。
【0135】
(3)屈折率:積層体から基材フィルム及び離型フィルムを分離し、粘着フィルムを得た後、屈折率測定器としてプリズムカプラ(Prism coupler)を使用して可視光線領域で測定した。
【0136】
(4)段差埋め立て性:実施例と比較例で製造した、基材フィルム/粘着フィルム/離型フィルムの積層体から離型フィルムを剥離した後、粘着フィルムを媒介にし、高さが2μmであるパターンが形成された基板に貼り合わせ、オートクレーブ(3.5barで55℃)処理した後、粘着フィルムとパターンとの間の界面で気泡の発生有無を顕微鏡で確認した。気泡が全く発生していない場合はOK、気泡が少しでも発生した場合はNGと評価した。
【0137】
(5)光透過率(単位:%):積層体から基材フィルム及び離型フィルムを分離し、粘着フィルムを無アルカリガラス板に貼り合わせた後、光透過率測定器としてUV-spectrometerを使用して波長390nmでの光透過率を測定した。
【0138】
【表2】
【0139】
前記表2に示したように、本発明の粘着フィルムは、高屈折率であり、ヘイズが低いので、光学的特性に優れ、光抽出効率を高めることができる。また、本発明の粘着フィルムは、熱処理によって粘着力の変化を示す数式1が10以上に増加することによって工程性を高めることができ、段差埋め立て性にも優れていた。
【0140】
その一方で、比較例1乃至比較例2は、上述した本発明の効果を全て得ることができなかった。
【0141】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
図1
図2