IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人大阪大学の特許一覧 ▶ 学校法人同志社の特許一覧

特許7541662コンピュータシステム及びそのための方法
<>
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図1
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図2
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図3
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図4
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図5
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図6
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図7
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図8
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図9
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図10
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図11
  • 特許-コンピュータシステム及びそのための方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】コンピュータシステム及びそのための方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20240822BHJP
   H04B 7/0452 20170101ALI20240822BHJP
【FI】
H04B7/0413 200
H04B7/0452
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020072108
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021170697
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】村岡 一志
(72)【発明者】
【氏名】石井 直人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 拓海
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 信介
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0036651(US,A1)
【文献】国際公開第2020/022539(WO,A1)
【文献】特表2018-504030(JP,A)
【文献】特表2009-522961(JP,A)
【文献】Xiaosi TAN et al.,“Improving Massive MIMO Message Passing Detectors With Deep Neural Network”,IEEE Transactions on Vehicular Technology,2020年02月,Vol. 69, No. 2,p.1267-1280
【文献】橘 順太 他,ノード選択BPアルゴリズムを用いたMassive MIMO検出法におけるdamping係数の学習およびその解析,映像情報メディア学会技術報告,日本,映像情報メディア学会,2020年02月13日,Vol.44、No.5,pp.21-24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
H04B 7/0452
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムであって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、命令の1又はそれ以上のセットを実行するよう構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記命令の1又はそれ以上のセットは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、及び
前記BPアルゴリズムの総反復回数を調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
を引き起こ
前記総反復回数を調整することは、前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに基づいて定まる第1の最大反復回数と前記BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約に基づいて定まる第2の最大反復回数とのうち小さい方を、前記仮想化されたRAN機能に適用するために選択することを含む、
コンピュータシステム。
【請求項2】
前記少なとも1つのメモリは、前記BPアルゴリズムにより使用されるパラメータセットを格納するよう構成され、
前記パラメータセットは、異なる総反復(iterations)回数に対応する複数のサブセットを含み、
前記仮想化されたRAN機能は、前記コントローラ機能により決定された最大反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に対応するサブセットを前記BPアルゴリズムにおいて使用するよう構成されている、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記パラメータセットは、深層学習により得られている、
請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記パラメータセットは、スケーリング係数、ダンピング係数、及びノード選択係数のうち少なくとも1つを含む、
請求項2又は3に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
コンピュータシステムであって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、命令の1又はそれ以上のセットを実行するよう構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記命令の1又はそれ以上のセットは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、及び
前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
を引き起こし、
前記コントローラ機能は、アップリンク・スケジューリングに基づいて前記利用可能コンピューティング・リソースを予測するよう構成されている
ンピュータシステム。
【請求項6】
コンピュータシステムであって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、命令の1又はそれ以上のセットを実行するよう構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記命令の1又はそれ以上のセットは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、及び
前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
を引き起こし、
前記利用可能コンピューティング・リソースは、前記少なくとも1つのプロセッサの少なくとも一部のプロセッシング・リソース及び前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部のメモリ・リソースの一方又は両方を含む
ンピュータシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのメモリ及び前記少なくとも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより行われる方法であって、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、
前記BPアルゴリズムの総反復回数を調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
備え
前記総反復回数を調整することは、前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに基づいて定まる第1の最大反復回数と前記BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約に基づいて定まる第2の最大反復回数とのうち小さい方を、前記仮想化されたRAN機能に適用するために選択することを含む、
方法。
【請求項8】
少なくとも1つのメモリ及び前記少なくとも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、
前記BPアルゴリズムの総反復回数を調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
を引き起こす命令の1又はそれ以上のセットを備え
前記総反復回数を調整することは、前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに基づいて定まる第1の最大反復回数と前記BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約に基づいて定まる第2の最大反復回数とのうち小さい方を、前記仮想化されたRAN機能に適用するために選択することを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システムに関し、特に受信信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模マルチユーザMulti-Input Multi-Output(MIMO)が知られている。大規模マルチユーザMIMOは、massive MIMOとも呼ばれる。大規模マルチユーザMIMO(massive MIMO)は、例えば、5th generation (5G)システム等のマルチプルアクセス・セルラーシステムの上り回線(アップリンク)に使用されることができる。大規模マルチユーザMIMO(massive MIMO)の受信機は、マルチユーザ信号(signals)を分離するためにマルチユーザ検出 (Multi-User Detection(MUD))を行う必要がある。
【0003】
知られたMUDアルゴリズムの1つにBelief Propagation(確率伝搬(伝播)又は信念伝搬(伝播))(BP)アルゴリズムがある(例えば、非特許文献1及び2を参照)。BPアルゴリズムは、検出シンボルの信頼度を表す品質値(ビリーフ(belief)と呼ばれる)を反復(iteration)処理の間で伝搬し、これにより徐々に検出精度を改善する。実用的には、BPアルゴリズムを用いる検出器は、ソフト干渉キャンセラ(Soft Interference Canceller(IC))、ビリーフ生成器(Belief Generator(BG))、及びソフトレプリカ生成器(Soft Replica Generator(RG))を含む。ソフト干渉キャンセラは、一つ前の反復処理で得られた各送信シンボルのレプリカを用いて、受信信号から干渉成分を減算する。ビリーフ生成器は、キャンセル後の信号に基づいてビリーフを生成する。ソフトレプリカ生成器は、ビリーフに基づいて送信信号のレプリカを生成する。
【0004】
BPアルゴリズムを使用する軟判定(soft decision)検出又は復号の性能を向上する技術(technique)に、ダンピング(damping)、スケーリング、及びノード選択がある。ダンピング(制振)は、過去の反復処理で生成されたビリーフと現在の反復処理で生成されたビリーフの重み付け平均を新たなビリーフとし、これにより収束不良をもたらすビリーフの振動を抑制する(非特許文献1を参照)。ダンピング係数は、重み付け平均の重み係数(factor, coefficient)を定める。スケーリングは、反復初期におけるビリーフの信頼性が低いことを考慮し、反復が増えるにつれて徐々にビリーフの絶対値が大きくなるよう調整するパラメータ(スケーリング係数)を導入する(非特許文献2を参照)。MIMO検出の場合、ノード選択は、フェージング空間相関(受信アンテナ間相関)への対策として用いられる(非特許文献2を参照)。具体的には、ノード選択では、受信アンテナ素子のセットが複数のサブセットに分割される。各サブセットは、空間的に離れた(相関が低い)受信アンテナ素子から構成される。ノード選択を伴うBPアルゴリズムは、1回のBP反復で1つのサブセットのビリーフのみを更新し、続くBP反復で他のサブセットのビリーフを順次更新する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】P. Som, T. Datta, A. Chockalingam and B. S. Rajan, "Improved large-MIMO detection based on damped belief propagation," 2010 IEEE Information Theory Workshop on Information Theory (ITW 2010, Cairo), Cairo, 2010, pp. 1-5.
【文献】T. Takahashi, S. IBI and S. SAMPEI, "Design of Criterion for Adaptively Scaled Belief in Iterative Large MIMO Detection," IEICE TRANSACTIONS on Communications, 2019 Volume E102.B Issue 2 Pages 285-297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは、仮想化された(Virtualized)無線アクセスネットワークRadio Access Network(RAN))(vRAN)環境について検討し、様々な課題を見出した。vRANは、RAN機能(functions)をインスタンス化(instantiate)するためにネットワーク機能仮想化(Network Function Virtualization(NFV))を利用する。これにより、高価な専用ハードウェア上にこれらのRAN機能を実装するのに代えて、仮想化されたネットワーク機能(Virtualized Network Functions(VNFs))が汎用ハードウェアプラットフォーム上で実行されることができる。本明細書では、仮想化されたRAN機能はRAN VNFsとも呼ばれる。
【0007】
幾つかの実装では、無線基地局のユーザプレーン機能が仮想化される。ここでは、マルチユーザ検出のためのBP検出機能を含む物理(physical(PHY))レイヤ・デジタル信号処理機能が仮想化されるケースを考える。この場合、BPアルゴリズムは、他のPHYレイヤ信号処理(e.g., 変調及び復調並びに符号化及び復号化)とコンピューティング・リソース(resources)(e.g., プロセッシング・リソース、メモリ・リソース)を共用するであろう。加えて、これらのコンピューティング・リソースは、PHYレイヤ信号処理及びレイヤ2信号処理(e.g., Medium Access Control(MAC)及びRadio Link Control(RLC))の間で共用されるかもしれない。さらに、コンピューティング・リソースは、PHYレイヤ信号処理を提供するRAN-VNFと他のVNFsとの間で共用されるかもしれない。例えば、5th generation (5G)システムであれば、PHYレイヤ信号処理を提供するvirtual gNB Distributed Unit User Plane(gNB-DU-UP)は、virtual gNB-DU Control Plane(gNB-DU-CP)、virtual gNB Central Unit(gNB-CU)、又はlocal breakoutのためのvirtual User Plane Function(UPF)のうち1つ又は任意の組み合わせとコンピューティング・リソースを共用するかもしれない。
【0008】
共用されたコンピューティング・リソース上にBP検出器が実装される場合、BPアルゴリズムの総反復回数が多いほど多くのリソースが消費され、これは当該コンピューティング・リソースを使用する他の処理を妨げる(disturb)かもしれない。
【0009】
ここに開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、共用されたコンピューティング・リソース上へのBP検出器の実装に適した改良をもたらす装置、方法、及びプログラムを提供することである。なお、この目的は、ここに開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、コンピュータシステムは、少なくとも1つのメモリと、前記少なくとも1つのメモリに結合され、命令の1又はそれ以上のセットを実行するよう構成された少なくとも1つのプロセッサとを備える。前記命令の1又はそれ以上のセットは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、BPアルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、及び前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、を引き起こす。
【0011】
第2の態様では、少なくとも1つのメモリ及び前記少なくとも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより行われる方法は、以下のステップを含む:
(a)BPアルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、
(b)前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること。
【0012】
第3の態様では、プログラムは、コンピュータシステムに読み込まれた場合に、第2の態様に係る方法を当該コンピュータシステムに行わせるための命令の1又はそれ以上のセット(ソフトウェアコード)を含む。
【発明の効果】
【0013】
上述の態様によれば、共用されたコンピューティング・リソース上へのBP検出器の実装に適した改良をもたらす装置、方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
図2】実施形態に係るシステムモデルを示す図である。
図3】実施形態に係る基地局の構成例を示す図である。
図4】実施形態に係る仮想化されたBBUの構成例を示す図である。
図5】実施形態に係る、仮想化されたBBUにより提供されるPHYレイヤ処理の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る仮想化されたBBUにより行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係るBP検出器の構成例を示す図である。
図8】実施形態に係るBP検出器の深層展開を示す概念図である。
図9】実施形態に係るパラメータセットの一例を示す図である。
図10】実施形態に係るパラメータセットの一例を示す図である。
図11】実施形態に係る仮想化されたBBUにより行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る仮想化されたBBUにより行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態を含む複数の実施形態に係る無線通信システム(i.e., マルチプルアクセス・セルラーシステム)の構成例を示している。図1を参照すると、基地局1は、複数の無線端末2に無線アクセスを提供する。基地局1は、アクセスポイント、transmission/reception point (TRP)、又はその他の名称で参照されてもよい。基地局1は、例えば、5GシステムのgNB又はgNB Distributed Unit(gNB-DU)であってもよい。幾つかの実装では、無線通信システムは、複数の無線端末2から基地局1へのアップリンク送信のためにマルチユーザMIMO技術を利用してもよい。この場合、基地局1は、複数の無線端末2から参照信号を受信し、受信した参照信号を用いて複数の無線端末2と基地局1の間のMIMOチャネルを推定し、複数の無線端末からデータ信号を受信し、推定されたチャネルを用いて送信信号を検出してもよい。すなわち、基地局1は、複数の無線端末2のマルチユーザ信号を分離するためにMIMO検出を行ってもよい。
【0017】
図2は、アップリンク・マルチユーザMIMO送信のシステムモデルの一例を示している。図2では、複数の無線端末2の複数の送信機20が、チャネル(伝搬路)30を介して基地局1の受信機10と通信する。図2の例では、M’個の送信機20の各々が1つの送信アンテナを持つ。これに代えて、各送信機20は2つ以上の送信アンテナを有してもよい。基地局1の受信機10は、N’個の受信アンテナを有する。送信アンテナの合計数M’は受信アンテナの合計数N’以下であるものとする。
【0018】
以降の説明では、簡潔化のために、各無線端末2(ユーザ)からの送信信号はシングルキャリア伝送であり、各無線端末2と基地局1との間の伝搬路はフラットフェージングであるとみなす。一方で、各ユーザからの送信信号がOrthogonal Frequency Division Multiplexing (OFDM)又はSingle Carrier-Frequency Division Multiple Access(SC-FDMA)等を使用する場合のマルチパスフェージング環境においても、適切な長さのサイクリックプリフィクスを送信信号に挿入することで、各サブキャリア単位ではフラットフェージングとみなせる。したがって、本実施形態は、OFDM及びSC-FDMAに適用されてもよい。
【0019】
複数の無線端末2の合計M’個の送信アンテナからquadrature amplitude modulation(QAM)変調された送信信号が伝送され、N’個の受信アンテナを具備する基地局1において受信されることとする。このとき、等価低域表現による複素数の信号モデルは次式で表される:
【数1】
ここで、ycはN’×1(i.e., N’行1列)の複素受信信号ベクトル、HcはN’×M’の複素MIMOチャネル行列、zcはN’×1の複素雑音ベクトル、xcはM’×1の複素送信信号ベクトルである。
【0020】
QAM変調の変調シンボル数をQ’とし、例えば、Quadrature Phase shift Keying(QPSK)のときにQ’は4であり、16QAMのときにQ’は16である。変調シンボルの振幅については、I軸及びQ軸それぞれの振幅がQPSKのときに{+c,-c}であり、16QAMのときに{+c,-c,+3c,-3c}であるとする。ここで、cは以下の式で表される。Esは平均信号電力である。各受信アンテナにおける複素雑音の電力をN0とする。
【数2】
【0021】
説明の簡略化のために、複素数の等価低域表現を等価な実数の信号モデルyに置き換えた受信信号モデルは次の式で表される:
【数3】
ここで、yはN×1の等価実数受信信号ベクトルであり、HはN×Mの等価実数MIMOチャネル行列であり、zはN×1の等価実数雑音ベクトルであり、xはM×1の等価実数送信信号ベクトルである。Nは2N’に等しく、Mは2M’に等しい。各送信信号は変調シンボル数Qが√Q’(i.e., Q’の平方根)であるPulse Amplitude Modulation(PAM)変調シンボルと等価であり、平均信号電力はEs/2である。また、雑音ベクトルzの各要素に含まれる雑音電力はN0/2である。以下では、等価実数モデルを用いた受信処理を説明する。
【0022】
図3は、基地局1の構成例を示している。図3を参照すると、基地局1は、remote radio unit(RRU)310及びbaseband unit(BBU)320を含む。RRU310は、Remote Radio Head(RRH)、Radio Equipment(RE)、Radio Unit(RU)、又はその他の名称で参照されてもよい。BBU320は、Radio Equipment Controller(REC)、Data Unit(DU)、Distributed Unit(DU)、Central Unit(CU)、又はその他の名称で参照されてもよい。RRU310は、アンテナアレイ311に接続され、PHYレイヤのアナログ信号処理を行う。RRU310とBBU320の間は、例えば、光ファイバを用いてCommon Public Radio Interface (CPRI)インタフェースで接続される。
【0023】
BBU320は、少なくともマルチユーザ検出(MIMO検出)のための受信信号処理を行う。BBU320は、他のPHYレイヤ・デジタル信号処理を行ってもよい。さらに、BBU320は、レイヤ2信号処理の一部又は全部を行ってもよい。レイヤ2信号処理は、MACレイヤ、RLCレイヤ、及びPacket Data Convergence Protocol(PDCP)レイヤを含んでもよい。さらに、BBU320は、RANのコントロールプレーン機能(e.g., Radio Resource Control(RRC))を提供してもよい。例えば、BBU320は、5GシステムのgNB-DUに相当するRANノードであってもよいし、gNB-DU及びgNB-CUの両方に相当するRANノードであってもよい。
【0024】
図4は、BBU320の構成例を示している。本実施形態では、BBU320は、コンピュータシステム400の上に仮想化されたRANノード(RAN-VNF)として実装される。コンピュータシステム400は、ハードウェア及びソフトウェア・コンポーネント(components)を含む。図4を参照すると、コンピュータシステム400は、プロセッサ401、メモリ402、及びネットワーク・ハードウェア403を含むハードウェア・コンポーネントを備える。ネットワーク・ハードウェア403は、他のネットワークノード(e.g., RRU310、gNB-CU、コアネットワークノード)と通信するために使用される。ネットワーク・ハードウェア403は、例えば、CPRIに準拠した光インタフェース・ハードウェア、及びIEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェース・ハードウェアを含んでもよい。
【0025】
プロセッサ401は、1又はそれ以上のプロセッサを含む。例えば、プロセッサ401は、1又はそれ以上のcentral processing units (CPUs)、1又はそれ以上のdigital signal processors(DSPs)、1又はそれ以上のgraphics processing units(GPUs)、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0026】
メモリ402は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ402は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。メモリ402は、プロセッサ401から離れて配置されたストレージを含んでもよい。
【0027】
図4の例では、メモリ402は、ソフトウェア・コンポーネント404~406を含む複数のソフトウェア・コンポーネント(モジュール)を格納するために使用される。仮想化管理(virtualization management)ソフトウェア404は、プロセッサ401によってアクセスされ且つ実行される命令の1又はそれ以上のセットを含む。仮想化管理ソフトウェア404は、プロセッサ401によって実行されるとき、プロセッサ401、メモリ402、及びネットワーク・ハードウェア403を含むハードウェア・コンポーネントを抽象化(abstract)し、共通インタフェースを1又はそれ以上のVNFコンポーネントに提供することを、プロセッサ401に引き起こす。仮想化管理ソフトウェア404は、ハードウェア・アクセラレータ(Hardware Accelerator(HWA))及びAcceleration Abstraction Layer(AAL)を含んでもよい。
【0028】
RAN-VNFソフトウェア405は、プロセッサ401によってアクセスされ且つ実行される命令の1又はそれ以上のセットを含む。RAN-VNFソフトウェア405は、プロセッサ401によって実行されるとき、vRAN機能(functions)を提供することを、プロセッサ401に引き起こす。これらのvRAN機能は、少なくとも物理レイヤ(PHY)機能412を含む。PHY機能412は、マルチユーザ検出(MIMO検出)を行うためにBPアルゴリズムを実行することを少なくとも含む。これらのvRAN機能は、他のPHYレイヤ信号処理機能(e.g., 変調/復調及び符号化/復号化)を含んでもよく、レイヤ2信号処理機能412(e.g., MAC、RLC)を含んでもよく、コントロールプレーン機能(e.g., RRC)を含んでもよい。
【0029】
コントローラ・ソフトウェア406は、プロセッサ401によってアクセスされ且つ実行される命令の1又はそれ以上のセットを含む。コントローラ・ソフトウェア406は、プロセッサ401によって実行されるとき、RAN-VNFソフトウェア405(PHY機能412)により実行されるBPアルゴリズムの総反復回数(the total number of iterations)をコンピュータシステム400の利用可能コンピューティング・リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、プロセッサ401に引き起こす。コントローラ・ソフトウェア406によって考慮される利用可能コンピューティング・リソースは、プロセッサ401(少なくとも1つのプロセッサ)の少なくとも一部のプロセッシング・リソースを含んでもよい。さらに又はこれに代えて、当該コンピューティング・リソースは、メモリ402(少なくとも1つのメモリ)の少なくとも一部のメモリ・リソースを含んでもよい。
【0030】
RAN-VNFソフトウェア405を実行することでプロセッサ401により提供されるPHY機能412は、図5に示されるBP検出器500及び判定及び復調モジュール560を含むことができる。
【0031】
BP検出器500は、N’個の受信アンテナにより得られるN個の等価実数受信信号y1~yNを受信し、マルチユーザ検出を行うために総反復回数Tの反復BPアルゴリズムを実行する。その後、BP検出器500は、分離されたM個の等価実数送信信号に関する推定値r1 (T)~rM (T)を判定及び復調モジュール560に提供する。判定及び復調モジュール560は、推定値r1 (T)~rM (T)に基づいて、全てのMユーザの送信信号にデコードする。
【0032】
幾つかの実装では、メモリ402は、BPアルゴリズムにより使用されるパラメータセット550を格納する。パラメータセット550は、異なる総反復回数に対応する複数のサブセットを含む。BP検出器500は、必要な総反復回数に対応するサブセットをメモリ402から読み出し、これをBPアルゴリズムにおいて使用する。必要な総反復回数は、ユーザ数および無線チャネル品質などを考慮して決定される。
【0033】
パラメータセット550は、スケーリング係数、ダンピング係数、及びノード選択係数のうち少なくとも1つを含んでもよい。総反復回数毎のサブセットは、複数のスケーリング係数を含んでもよい。BP検出器500は、これら複数のスケーリング係数を、BPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用してもよい。さらに又はこれに代えて、総反復回数毎のサブセットは、複数のダンピング係数を含んでもよい。BP検出器500は、これら複数のダンピング係数をBPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用してもよい。さらに又はこれに代えて、総反復回数毎のサブセットは、ノード選択係数の複数のセットを含んでもよい。BP検出器500は、ノード選択係数の複数のセットをBPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用してもよい。
【0034】
後述するように、パラメータセット550は、深層学習によって得られることができる。幾つかの実装では、パラメータセット550は、深層学習技術を用いて一緒に(まとめて)学習された複数のスケーリング係数及び複数のダンピング係数を含んでもよい。他の実装では、パラメータセット550は、深層学習技術を用いて一緒に学習された複数のスケーリング係数及び複数のノード選択係数を含んでもよい。また、反復毎のパラメータ(スケーリング係数、ダンピング係数、ノード選択係数)の深層学習技術による学習は、異なる総反復回数毎に実行してもよい。異なる総反復回数毎に学習を行うことで、設定した総反復回数のBPアルゴリズムを実行後に最も性能が優れるような反復毎のパラメータ(スケーリング係数、ダンピング係数、ノード選択係数)を得ることができる。
【0035】
図6は、コントローラ・ソフトウェア406を実行することでプロセッサ401により提供されるコントローラ機能の一例を示している。ステップ601では、プロセッサ401は、コンピュータシステム400の利用可能リソースを判定する。既に説明したように、利用可能コンピューティング・リソースは、プロセッサ401(少なくとも1つのプロセッサ)の少なくとも一部のプロセッシング・リソースを含んでもよい。さらに又はこれに代えて、当該コンピューティング・リソースは、メモリ402(少なくとも1つのメモリ)の少なくとも一部のメモリ・リソースを含んでもよい。
【0036】
ステップ602では、プロセッサ401は、BP検出器500により実行されるBPアルゴリズムの総反復回数をコンピュータシステム400の利用可能リソースに応じて調整する。プロセッサ401は、現在の利用可能リソースを考慮してもよいし、将来の予測される利用可能リソースを考慮してもよい。
【0037】
幾つかの実装では、プロセッサ401は、利用可能リソースが多いほど総反復回数が増加し、反対に利用可能リソースが少ないほど総反復回数が減少するように、BP検出器500を制御してもよい。幾つかの実装では、プロセッサ401は、最大反復回数を決定し、これをBP検出器500に通知してもよい。BP検出器500は、当該最大反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に従ってBPアルゴリズムを実行してもよい。プロセッサ401は、利用可能リソースが多いほど最大総反復回数を増やし、反対に利用可能リソースが少ないほど最大反復回数を減らしてもよい。
【0038】
図6の処理によれば、プロセッサ401は、BP検出器500でのBP反復回数を共用されたコンピューティング・リソースの現在又は将来の使用状況に基づいて適応的に調整することができる。このことは、共用されたコンピューティング・リソース上へのBP検出器の実装に適した改良を提供できる。
【0039】
続いて以下では、BP検出器500の構成例が説明される。図7は、BP検出器500の構成例を示している。図7を参照すると、BP検出器500は、N個のソフト干渉キャンセラ710-1~710-N、ビリーフ生成器720、及びN個のソフトレプリカ生成器730-1~730-Nを含む。ソフト干渉キャンセラ710-1~710-Nは、N個の受信アンテナにより得られるN個の受信信号y1~yNをそれぞれ受信する。例えば、ソフト干渉キャンセラ710-1は、第1アンテナの受信信号y1(第1受信信号と呼ぶ)を受信する。加えて、第t回目の反復を行うために、ソフト干渉キャンセラ710-1は、1つ前(第t-1回目)の反復で生成された全ての送信信号のソフトレプリカxハット1,1 (t-1)~xハット1,M (t-1)を受信する。ここでxハットは、文字xに上付きの^を意味する。そして、ソフト干渉キャンセラ710-1は、キャンセレーション後の受信信号yチルダ1,1 (t)~yチルダ1,M (t)を生成する。ここで、yチルダは、文字yに上付きの~を意味する。
【0040】
ビリーフ生成器720は、パラメータセット550に含まれる複数のダンピング係数(又ノード選択係数の複数のセット)をメモリ402から読み出す。ビリーフ生成器720は、キャンセレーション後の受信信号yチルダ1,1 (t)~yチルダ1,M (t)をソフト干渉キャンセラ710-1から受信する。ビリーフ生成器720は、他のソフト干渉キャンセラ710-n(ここで、nは2からN)からも、同様に生成されたキャンセレーション後の受信信号yチルダn,1 (t)~yチルダn,M (t)を受信する。そして、ビリーフ生成器720は、第t回目の反復のためのダンピング係数(又ノード選択係数のセット)を使用し、第1受信信号に関連付けられたビリーフr1,1 (t)~r1,M (t)を生成する。同様に、ビリーフ生成器720は、残りの第2~第N受信信号に関連付けられたビリーフを生成する。
【0041】
ソフトレプリカ生成器730-1は、パラメータセット550に含まれる複数のスケーリング係数をメモリ402から読み出す。ソフトレプリカ生成器730-1は、第1受信信号に関連付けられたビリーフr1,1 (t)~r1,M (t)をビリーフ生成器720から受信する。そして、ソフトレプリカ生成器730-1は、第t回目の反復のためのスケーリング係数を使用し、ソフトレプリカxハット1,1 (t)~xハット1,M (t)を生成し、ソフトレプリカ電力p1,1 (t)~p1,1 (t)をさらに生成する。
【0042】
総反復回数TのBP処理の完了後に、ビリーフ生成器720は、分離されたM個の送信信号の推定値r1 (T)~rM (T)を判定及び復調モジュール560に提供する。
【0043】
以下では、ソフト干渉キャンセラ710、ビリーフ生成器720、及びソフトレプリカ生成器730により行われる処理をさらに詳細に説明する。
【0044】
(1)ソフト干渉キャンセラ
初回の反復では、ソフトレプリカがまだ生成されていない。したがって、ソフト干渉キャンセラ710は、キャンセル処理を行わずに、第1から第N受信信号をビリーフ生成器720に供給する。2回目以降のt回目の反復では、第n受信信号に関連付けられたソフト干渉キャンセラ710-nは、第n受信信号から第m送信信号以外のM-1個の送信信号成分をキャンセルし、キャンセル後の受信信号yチルダn,m (t)を生成する。キャンセル後の受信信号yチルダn,m (t)は以下の式で表される:
【数4】
ここで、ynは第n受信アンテナの受信信号であり、hn,jは第j送信アンテナと第n受信アンテナの間のチャネル応答であり、xハットn,j (t-1)は第(t-1)回目の反復処理で得られた第j送信アンテナの送信信号のソフトレプリカである。上述したように、基地局1(BBU320)は、無線端末2から送信される参照信号を用いてチャネル応答を推定できる。キャンセル処理後の受信信号yチルダn,m (t)は、ビリーフ生成器720に供給される。
【0045】
(2)ビリーフ生成器
ビリーフ生成器720は、キャンセル処理後の受信信号を用いてビリーフを生成する。まず、ビリーフ生成器720は、第n受信アンテナに関するキャンセル処理後の受信信号yチルダn,m (t)を用いて以下の式で表される処理を行い、これにより第t回目の反復における送信信号成分sn,m (t)を得る。
【数5】
ここで、ψn,m (t)は残留干渉雑音電力である。残留干渉雑音電力ψn,m (t)は、次の式に従って得られる:
【数6】
ここで、pn,j (t-1)はソフトレプリカの電力である。上述したように、ソフトレプリカ電力は、ソフトレプリカ生成器730によって生成される。
【0046】
送信信号成分sn,m (t)に含まれる真の送信信号xmに対する等価利得ωn,m (t)は次式で表され、スケーリング処理を行う際の規格化のために使用される:
【数7】
【0047】
次に、ビリーフ生成器720は、送信信号成分sn,m (t)を用いてビリーフrn,m (t)を生成する。ビリーフ生成器720は、ダンピング処理又はノード選択処理のいずれかを用いる。まず、ダンピング処理について説明する。ダンピング処理は、1つ前の第(t-1)回目の反復で得られた送信信号成分と現在の第t回目の反復で得られた送信信号成分の重み付け平均をダンピング係数η(t)を用いて以下のように計算する:
【数8】
ここで、s’n,m (t)はダンピング処理後の送信信号成分である。このダンピング処理により、s’n,m (t)に含まれる等価利得は次式で表される:
【数9】
【0048】
次にノード選択について説明する。ノード選択では、以下の式に従って、直近K回分の反復における各アンテナの送信信号成分を合成したs’n,m (t)を得る:
【数10】
ここで、ηi,t-k (t)は、t回目の反復において送信信号成分si,m (t-k)の反映度を表すノード選択係数である。既存のノード選択法ではノード選択係数ηi,t-k (t)の値は0又は1であり、ノードi(観測ノード、受信アンテナ)を考慮するか否かの二者択一であった。これとは対照的に、本実施形態では、ノード選択係数ηi,t-k (t)は、0から1の間の実数値(0以上且つ1以下の実数値)である。これにより、本実施形態のノード選択係数ηi,t-k (t)は、ノードiの送信信号成分si,m (t-k)の反映度を細かく調整でき、加えて後述するように深層学習において学習(訓練)可能である。上の式でK=tとした場合には、過去の全ての反復で得られた送信信号成分がノード選択において利用される。
【0049】
ノード選択処理により、s’n,m (t)に含まれる等価利得は次式で表される:
【数11】
【0050】
ビリーフ生成器720は、ダンピングまたはノード選択のいずれかを行って得られたs’n,m (t)をω’n,m (t)で規格化し、正規化後のビリーフrn,m (t)を生成し、これをソフトレプリカ生成器730に供給する。正規化後のビリーフrn,m (t)は以下の式で表される:
【数12】
【0051】
(3)ソフトレプリカ生成器
ソフトレプリカ生成器730は、スケーリング係数a(t)によってビリーフrn,m (t)をスケーリングし、以下の式に従ってソフトレプリカxハットn,m (t)およびソフトレプリカ電力pn,m (t)を算出する:
【数13】
ここでEs maxは取り得る最大のPAMシンボルのエネルギーであり、s’はPAM変調の判定閾値である。Es maxは以下の式で表される:
【数14】
【0052】
判定閾値s’は、集合SQ’のいずれかの値を取ることができる。集合SQ’は、QPSKのときには{0}であり、16QAMのときには{0, +2c, -2c}である。tanh関数は、ハイパボリックタンジェント関数である。これらの式は、判定閾値s’の周辺におけるビリーフ情報を合成することによって、ソフトレプリカxハットn,m (t)およびソフトレプリカ電力pn,m (t)が生成されることを表している。
【0053】
(4)BP検出器の出力
T回の反復が終了すると、ビリーフ生成器720は、分離されたM個の送信信号の推定値rm (T)を判定及び復調モジュール560に供給する。推定値rm (T)は以下の数式で表される:
【数15】
【0054】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る無線通信システムの構成及び基地局の構成は、図1図5を参照して説明された例と同様である。本実施形態は、BPアルゴリズムで使用されるパラメータの学習方法を提供する。
【0055】
図8は、BPに基づくマルチユーザ検出のための深層展開(deep unfolding)を示す概念図である。深層展開は、反復型のアルゴリズムを反復方向に展開し、得られた処理フローグラフを深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network (DNN))と見なし、深層学習のスキームを適用する手法である。BP検出器500を反復方向に展開すると、図8に示すBPネットワークが与えられる。各BP反復はDNNの1つの層に対応する。これにより、BPネットワークに埋め込まれたメタパラメータの学習が可能となる。具体的には、学習(訓練)可能なパラメータは、各反復(各層)のスケーリング係数a(t)及びダンピング係数η(t)(又は各反復(各層)のスケーリング係数a(t)及びノード選択係数のセット{ηi,t-k (t)})である。例えば、学習は勾配法に基づいて行われ、メタパラメータは設定したコストが小さくなる方向に一緒に調整される。
【0056】
深層学習に使用されるトレーニングデータセットは、送信信号データセット及び受信信号データセットを含む。送信信号データセットはランダムに生成されてもよい。受信信号データセットは、送信信号データセットに対応し、送信信号データセット及び与えられたチャネル行列を用いて生成される。チャネル行列は、ランダムに生成されてもよいし、3rd Generation Partnership Project(3GPP)仕様書などに規定された伝搬路モデルに基づいてもよい。これに代えて、チャネル行列は、基地局1(アンテナアレイ311)が設置される実環境での測定結果に基づいて生成されてもよい。
【0057】
一例では、深層学習は、勾配法に従う更新アルゴリズムを用いてもよい。使用される勾配法の更新アルゴリズムは、例えば、Adaptive moment estimation (Adam) optimizerアルゴリズムであってもよい。加えて、ミニバッチ学習が用いられてもよい。学習回数は訓練データに対する過学習を考慮して適切な回数とされればよい。学習率の更新のために、学習回数に対して徐々に更新幅を狭めるStepアルゴリズムが利用されてもよい。コスト関数は、平均二乗誤差(Mean Square Error (MSE))であってもよい。
【0058】
図9は、深層学習によって得られるスケーリング係数とダンピング係数のセットの一例を示している。学習されたこれらのパラメータは、例えばルックアップテーブル(lookup table (LUT))としてメモリ402に格納されてもよい。図9に示されたテーブルは、3つの値(i.e., 3、8、及び16)の総BP反復回数Tのための学習されたパラメータを格納している。この場合、基地局1(BBU320)のプロセッサ401(BP検出器500)は、設定された(又は選択された)反復回数Tに対応するパラメータのサブセットを反復BPアルゴリズムにおいて使用してもよい。反復回数Tのためのパラメータは、反復毎のスケーリング係数aT (t)及びダンピング係数ηT (t)を含む。これらのパラメータの下付き添字は総反復回数を表す。例えば、総反復回数Tが3であるとき、学習されたパラメータは、第1回反復のためのスケーリング係数a3 (1)及びダンピング係数η3 (1)のセット、第2回反復のためのスケーリング係数a3 (2)及びダンピング係数η3 (2)のセット、並びに第3回反復のためのスケーリング係数a3 (3)及びダンピング係数η3 (3)のセットを含む。
【0059】
図10は、深層学習によって得られるスケーリング係数とノード選択係数の組み合わせの一例を示している。図9のそれと同様に、図10に示されたテーブルは、総BP反復回数Tが3、8、及び16であるときの学習されたパラメータを格納している。反復回数Tのためのパラメータは、反復毎のスケーリング係数aT (t)と、ノード選択係数のセット{ηT,t-k (t)}とを含む。
【0060】
図9及び図10に示された例は一例である。例えば、4以上の値の総反復回数のための学習されたパラメータがBP検出器500に供給されてもよい。
【0061】
本実施形態によれば、BP検出器500は、深層学習技術を用いて一緒に学習されたパラメータセット用いる。したがって、本実施形態によれば、準最適なパラメータセットを各BP反復において使用することを基地局1(BBU320)に可能にできる。
【0062】
<第3の実施形態>
本実施形態に係る無線通信システムの構成及び基地局の構成は、図1図5を参照して説明された例と同様である。本実施形態は、BPアルゴリズムの総反復回数の制御の一例を提供する。本実施形態では、プロセッサ401(コントローラ機能)は、基地局1(BBU320)のアップリンク・スケジューリングに基づいて、コンピュータシステム400の利用可能リソースを予測する。
【0063】
図11は、コントローラ・ソフトウェア406を実行することでプロセッサ401により提供されるコントローラ機能の一例を示している。ステップ1101では、プロセッサ401は、BBU320によるアップリンク・スケジューリングを監視する。BBU320は、複数の無線端末2による複数のアップリンク送信をスケジュールする。より具体的には、BBU320は、無線端末2ごとまたはアップリンク送信ごとに、優先度、公正性、及び通信効率などに基づくメトリック値を計算し、複数の無線端末2(又はアップリンク送信)のメトリック値を比較し、現在の又は将来の送信ピリオド(e.g., サブフレーム)内の無線リソースを1又はそれ以上の無線端末2に割り当てる。したがって、プロセッサ401は、アップリンク・スケジューリングを監視することで、現在の又は将来の送信ピリオドでのアップリンク送信の発生を予測することができる。
【0064】
ステップ1102では、プロセッサ401は、基地局1(BBU320)のアップリンク・スケジューリングに基づいてコンピュータシステム400の将来の利用可能リソースを予測する。ステップ1103では、予測された利用可能リソースに応じて、BPアルゴリズムの総反復回数を調整する。
【0065】
幾つかの実装では、プロセッサ401は、予測された利用可能リソースが多いほど総反復回数が増加し、反対に予測された利用可能リソースが少ないほど総反復回数が減少するように、BP検出器500を制御してもよい。幾つかの実装では、プロセッサ401は、最大反復回数を決定し、これをBP検出器500に通知してもよい。BP検出器500は、当該最大反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に従ってBPアルゴリズムを実行してもよい。プロセッサ401は、予測された利用可能リソースが多いほど最大総反復回数を増やし、反対に予測された利用可能リソースが少ないほど最大反復回数を減らしてもよい。
【0066】
図11の処理によれば、プロセッサ401は、アップリンク・スケジューリングに基づく将来の利用可能リソースの予測を考慮して、BP検出器500でのBP反復回数を適応的に調整することができる。
【0067】
<第4の実施形態>
本実施形態に係る無線通信システムの構成及び基地局の構成は、図1図5を参照して説明された例と同様である。本実施形態は、BPアルゴリズムの総反復回数の制御の一例を提供する。本実施形態では、プロセッサ401(コントローラ機能)は、BP検出器500での総BP反復回数を調整するために、BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約(constraint、requirement)をさらに考慮する。
【0068】
図12は、コントローラ・ソフトウェア406を実行することでプロセッサ401により提供されるコントローラ機能の一例を示している。ステップ1201では、プロセッサ401は、コンピュータシステム400の利用可能リソースに基づいて定まる第1の最大反復回数を判定する。ステップ1201の判定は、第1の実施形態又は第3の実施形態で説明されたそれと同様であってもよい。
【0069】
ステップ1202では、プロセッサ401は、BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約に基づく第2の最大反復回数を判定する。BPアルゴリズムの総反復回数が大きいほど、マルチユーザ検出による処理遅延が増加する。このことは、受信信号のレイテンシ制約を保証することを困難にする可能性がある。したがって、プロセッサ401は、受信信号のレイテンシ制約に基づいて、総反復回数に上限を課す。幾つかの実装では、プロセッサ401は、受信信号のレイテンシ制約を知るために、基地局1(BBU320)と各無線端末2の間に設定された無線コネクション(e.g., Data Radio Bearer(DRB))のQuality of Service(QoS)設定を参照してもよい。プロセッサ401は、複数の無線コネクションの様々なレイテンシ制約のうち、最も厳しいレイテンシ制約を考慮してもよい。
【0070】
ステップ1203では、プロセッサ401は、第1の最大反復回数と第2の最大反復回数のうち小さい方を仮想化されたRAN機能(i.e., BP検出器500)に適用するために選択する。そして、プロセッサ401は、選択された最大反復回数をBP検出器500に適用する。BP検出器500は、当該最大反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に従ってBPアルゴリズムを実行する。
【0071】
図12の処理によれば、プロセッサ401は、BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約を考慮して、BP検出器500でのBP反復回数を適応的に調整することができる。
【0072】
<その他の実施形態>
BPアルゴリズムに使用されるパラメータセット(e.g., スケーリング係数、ダンピング係数、及びノード選択係数のうち少なくとも1つ)は、機械学習で得られたものでなくてもよい。幾つかの実装では、反復毎のスケーリング係数は、全ての反復で同じ値であってもよい。さらに又はこれに代えて、反復毎のダンピング係数は、全ての反復で同じ値であってもよい。さらに又はこれに代えて、反復毎のノード選択係数のセットは、受信アンテナのサブセットの周期的な選択パターンに従ってもよい。この場合、各ノード選択係数のとり得る値は、0又は1であってもよい。
【0073】
上述の実施形態では、基地局1(BBU320)がマルチユーザ検出(MIMO検出)のためにBPアルゴリズムを行う例を示した。さらに又はこれに代えて、基地局1は、他の目的のためにBPアルゴリズムを行うよう構成されてもよい。例えば、基地局1は、Low Density Parity Check(LDPC)符号やスパース重ね符号(Sparse Superposition Codes(SSC))のチャネル復号のためにBPアルゴリズムを行ってもよい。その他の例としては、基地局1は、スパース符号多元接続(Sparse Code Multiple Access(SCMA))による大規模同時接続時の信号検出のためにBPアルゴリズムを行ってもよい。プロセッサ401(コントローラ機能)は、このような他の用途のため行われるBPアルゴリズムの総反復回数を、コンピュータシステム400の利用可能リソースに応じて調整してもよい。
【0074】
上述の実施形態では、プロセッサ401は、仮想化RAN機能とその制御を提供するための命令の1又はそれ以上のセットを含む1又は複数のプログラムを実行する。これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0075】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0076】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0077】
(付記1)
コンピュータシステムであって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、命令の1又はそれ以上のセットを実行するよう構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記命令の1又はそれ以上のセットは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、及び
前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能コンピューティング・リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
を引き起こす、
コンピュータシステム。
(付記2)
前記少なとも1つのメモリは、前記BPアルゴリズムにより使用されるパラメータセットを格納するよう構成され、
前記パラメータセットは、異なる総反復(iterations)回数に対応する複数のサブセットを含み、
前記仮想化されたRAN機能は、前記コントローラ機能により決定された最大反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に対応するサブセットを前記BPアルゴリズムにおいて使用するよう構成されている、
付記1に記載のコンピュータシステム。
(付記3)
前記パラメータセットは、深層学習により得られている、
付記2に記載のコンピュータシステム。
(付記4)
前記パラメータセットは、スケーリング係数、ダンピング係数、及びノード選択係数のうち少なくとも1つを含む、
付記2又は3に記載のコンピュータシステム。
(付記5)
前記コントローラ機能は、アップリンク・スケジューリングに基づいて前記利用可能コンピューティング・リソースを予測するよう構成されている、
付記1~4のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
(付記6)
前記コントローラ機能は、前記総反復回数を調整するために、前記BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約をさらに考慮するよう構成されている、
付記1~5のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
(付記7)
前記コントローラ機能は、前記利用可能コンピューティング・リソースに基づいて定まる第1の最大反復回数と前記レイテンシ制約に基づいて定まる第1の最大反復回数のうち小さい方を前記仮想化されたRAN機能に適用するために選択するよう構成されている、
付記6に記載のコンピュータシステム。
(付記8)
前記利用可能コンピューティング・リソースは、前記少なくとも1つのプロセッサの少なくとも一部のプロセッシング・リソース及び前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部のメモリ・リソースの一方又は両方を含む、
付記1~7のいずれか1項に記載のコンピュータシステム。
(付記9)
少なくとも1つのメモリ及び前記少なくとも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより行われる方法であって、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、
前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
備える方法。
(付記10)
前記少なとも1つのメモリは、前記BPアルゴリズムにより使用されるパラメータセットを格納するよう構成され、
前記パラメータセットは、異なる総反復(iterations)回数に対応する複数のサブセットを含み、
前記仮想化されたRAN機能は、前記コントローラ機能により決定された総反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に対応するサブセットを前記BPアルゴリズムにおいて使用するよう構成されている、
付記9に記載の方法。
(付記11)
前記パラメータセットは、深層学習により得られている、
付記10に記載の方法。
(付記12)
前記パラメータセットは、スケーリング係数、ダンピング係数、及びノード選択係数のうち少なくとも1つを含む、
付記10又は11に記載の方法。
(付記13)
前記コントローラ機能は、アップリンク・スケジューリングに基づいて前記利用可能リソースを予測するよう構成されている、
付記9~12のいずれか1項に記載の方法。
(付記14)
前記コントローラ機能は、前記総反復回数を調整するために、前記BPアルゴリズムで処理される受信信号のレイテンシ制約をさらに考慮するよう構成されている、
付記9~13のいずれか1項に記載の方法。
(付記15)
前記コントローラ機能は、前記利用可能リソースに基づいて定まる第1の最大反復回数と前記レイテンシ制約に基づいて定まる第2の最大反復回数のうち小さい方を前記仮想化されたRAN機能に適用するために選択するよう構成されている、
付記14に記載の方法。
(付記16)
前記利用可能リソースは、前記少なくとも1つのプロセッサの少なくとも一部のプロセッシング・リソース及び前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部のメモリ・リソースの一方又は両方を含む、
付記9~15のいずれか1項に記載の方法。
(付記17)
少なくとも1つのメモリ及び前記少なくとも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより実行されるとき、前記コンピュータシステムに、
Belief Propagation(BP)アルゴリズムを実行することを含む仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)機能を提供すること、
前記BPアルゴリズムの総反復回数を前記コンピュータシステムの利用可能リソースに応じて調整することを含むコントローラ機能を提供すること、
を引き起こす命令の1又はそれ以上のセットを備えるプログラム。
(付記18)
前記少なとも1つのメモリは、前記BPアルゴリズムにより使用されるパラメータセットを格納するよう構成され、
前記パラメータセットは、異なる総反復(iterations)回数に対応する複数のサブセットを含み、
前記仮想化されたRAN機能は、前記コントローラ機能により決定された総反復回数と同じかそれより小さい総反復回数に対応するサブセットを前記BPアルゴリズムにおいて使用するよう構成されている、
付記17に記載のプログラム。
(付記19)
前記パラメータセットは、深層学習により得られている、
付記18に記載のプログラム。
(付記20)
前記パラメータセットは、スケーリング係数、ダンピング係数、及びノード選択係数のうち少なくとも1つを含む、
付記18又は19に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0078】
1 基地局
2 無線端末
310 RRU
320 BBU
400 コンピュータシステム
401 プロセッサ
402 メモリ
403 ネットワーク・ハードウェア
405 RAN-VNFソフトウェア
406 コントローラ・ソフトウェア
500 BP検出器
550 パラメータセット
560 判定及び復調モジュール
710 ソフト干渉キャンセラ
720 ビリーフ生成器
730 ソフトレプリカ生成器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12