(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】シート案内装置、シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/38 20060101AFI20240822BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20240822BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H29/58 B
G03G15/00 480
(21)【出願番号】P 2020103780
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】梶山 博史
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-225665(JP,A)
【文献】特開2004-361495(JP,A)
【文献】特開2013-050698(JP,A)
【文献】特開2011-215415(JP,A)
【文献】特開平01-187180(JP,A)
【文献】特開昭60-244736(JP,A)
【文献】特開2016-185854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/04
B65H 5/08-5/20
B65H 5/24-5/38
B65H 29/52-29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送経路を形成する第一ガイド部材と、
前記シート搬送経路を挟んで前記第一ガイド部材と反対側に位置する第二ガイド部材と、
前記第二ガイド部材を移動可能に支持する
第二ガイド支持機構と、を備えシート案内装置において、
前記
第二ガイド支持機構は、前記第一ガイド部材におけるガイド面、または、当該ガイド面をシート搬送方向に延長した仮想面、を超えての
前記第二ガイド部材の移動が可能であり、
前記第一ガイド部材を、前記ガイド面を構成する作動位置と、当該作動位置から
前記第二ガイド部材の移動の向きに移動した退避位置との間で移動可能に支持する
第一ガイド支持機構を設け
、
前記第二ガイド支持機構は、回動中心まわりの所定の向きの回動により前記第一ガイド部材におけるガイド面を超えての前記第二ガイド部材の移動が可能であり、
前記第一ガイド支持機構は、回転中心まわりの前記所定の向きとは反対向きの回動により前記作動位置から前記退避位置への前記第一ガイド部材の移動が可能であり、
前記第一ガイド部材におけるガイド面を超えての前記第二ガイド部材の移動が可能なように、前記第二ガイド部材の移動にあたって前記ガイド面を超えて移動する前記第二ガイド部材の部分と、当該部分が超える前記ガイド面の部分を有する前記第一ガイド部材の部分とを、シート幅方向で異なる位置を取るように形成したことを特徴とするシート案内装置
。
【請求項2】
請求項
1に記載のシート案内装置において、
前記退避位置から前記作動位置に移動するように付勢する付勢手段を
前記第一ガイド支持機構に設けたことを特徴とするシート案内装置
。
【請求項3】
請求項
2に記載のシート案内装置において、
前記付勢手段の付勢力は前記
第一ガイド部材の回動の方向に平行にしたことを特徴とするシート案内装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3の何れか一に記載のシート案内装置において、
前記第一ガイド部材は、反転ガイド部材であり、
前記第二ガイド部材は、両面ガイド部材であることを特徴とするシート案内装置
。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れか一に記載のシート案内装置を備えたシート搬送装置。
【請求項6】
請求項
5のシート搬送装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート案内装置、シート搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート搬送経路を形成する第一ガイド部材と、シート搬送経路を挟んで第一ガイド部材と反対側に位置する第二ガイド部材と、前記第二ガイド部材を移動可能に支持する支持機構と、を備えシート案内装置が知られている。
例えば特許文献1には、係るシート案内装置を備えた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、反転ガイド部材(第一ガイド部材)が装置本体に設けられ、両面ガイド部材(第二ガイド部材)が、装置本体に対し開閉可能な両面カバーに支持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1の画像形成装置では、両面カバーを開くとき、反転ガイド部材のガイド面をシート搬送方向に延長した仮想面を超えて両面ガイド部材が移動する。このため、シートの搬送不良により、反転ガイド部材と両面ガイド部材とに跨った位置でシートが停止した場合、シートを取り除くために両面カバーを開くときに、シートを介して反転ガイド部材に外力を加え、反転ガイド部材の支持構造に損傷を与える虞が残っている。この不具合は、第一ガイド部材が反転ガイド部材であり、かつ、第二ガイド部材が両面ガイド部材である場合に限らす生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート搬送経路を形成する第一ガイド部材と、前記シート搬送経路を挟んで前記第一ガイド部材と反対側に位置する第二ガイド部材と、前記第二ガイド部材を移動可能に支持する第二ガイド支持機構と、を備えシート案内装置において、前記第二ガイド支持機構は、前記第一ガイド部材におけるガイド面、または、当該ガイド面をシート搬送方向に延長した仮想面、を超えての前記第二ガイド部材の移動が可能であり、前記第一ガイド部材を、前記ガイド面を構成する作動位置と、当該作動位置から前記第二ガイド部材の移動の向きに移動した退避位置との間で移動可能に支持する第一ガイド支持機構を設け、前記第二ガイド支持機構は、回動中心まわりの所定の向きの回動により前記第一ガイド部材におけるガイド面を超えての前記第二ガイド部材の移動が可能であり、前記第一ガイド支持機構は、回転中心まわりの前記所定の向きとは反対向きの回動により前記作動位置から前記退避位置への前記第一ガイド部材の移動が可能であり、前記第一ガイド部材におけるガイド面を超えての前記第二ガイド部材の移動が可能なように、前記第二ガイド部材の移動にあたって前記ガイド面を超えて移動する前記第二ガイド部材の部分と、当該部分が超える前記ガイド面の部分を有する前記第一ガイド部材の部分とを、シート幅方向で異なる位置を取るように形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、第一ガイド部材と第二ガイド部材とに跨ったシートが停止した場合にも、第一ガイド部材の支持構造に損傷を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
【
図4】一部の通紙路近傍の主要な構成部材を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという。)の一実施形態について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本プリンタの構成を示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す。)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを備えている。これらは、同様の構成になっている。
図2に、Yを例に示すように、ドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置、帯電装置4Y、現像器5Y等を備えている。
【0008】
前記プロセスカートリッジ6Yにおいて、駆動手段によって図中時計回りに回転する感光体1Yの表面は、帯電装置4Yによって一様帯電される。一様帯電された感光体1Yの表面は、露光装置7からのレーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。この静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像器5YによってYトナー像に現像される。そして、中間転写ベルト8上に中間転写される。中間転写工程を経た後の感光体1Y表面は、ドラムクリーニング装置2Yによって残留トナーが除去され、除電装置によって残留電荷が除電される。他色のプロセスカートリッジ6M,6C,6Kにおいても、同様にして感光体1M,1C,1K上にM、C、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0009】
露光装置7の図中下側には、紙収容カセット30、これらに組み込まれた給紙ローラ31など有する紙収容手段が配設されている。紙収容カセット30は、シートである記録材としての転写紙Pを複数枚重ねて収納している。一番上の転写紙Pには給紙ローラ31を当接させている。給紙ローラ31が一番上の転写紙Pを給紙路32に向けて送り出す。この給紙路32の末端付近には、レジストローラ対33が配設されている。レジストローラ対33は、転写紙Pを適切なタイミングで二次転写ニップに向けて送り出す。
【0010】
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中上方には、中間転写体たる中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット10が配設されている。この中間転写ユニット10は、中間転写ベルト8の他、二次転写バイアスローラ19、クリーニング装置15などを備えている。また、4つの一次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、二次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。
【0011】
前記二次転写バックアップローラ12は、二次転写バイアスローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像が、この二次転写ニップで転写紙Pに転写される。4色トナー像が一括二次転写された転写紙Pは、転写後搬送路34を経由し、シート材搬送装置として被加圧体としての回転体である定着ローラ21と、加圧体としての回転体である加圧ローラ22とを備えた定着装置20に送られる。その未定着トナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0012】
定着装置20内でフルカラー画像が定着せしめられた転写紙Pは、排紙ローラ対38(38a、38b)を経由し、排紙路35と反転前搬送路36aとの分岐点にさしかかる。この分岐点には、切替爪37が揺動可能に配設されており、その揺動によって転写紙Pの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前搬送路36aに近づける方向に動かすことにより、転写紙Pの進路を排紙路35に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路36aから遠ざける方向に動かすことにより、転写紙Pの進路を反転前搬送路36aに向かう方向にする。
図1の状態は反転前搬送路36aに向かう方向である。
【0013】
切替爪37によって排紙路35に向かう進路が選択されている場合には、転写紙Pは、排紙路35から排紙口35aを経由して機外へと排出され、装置本体50の上面に設けられたスタック部50a上にスタックされる。排紙口35aに搬送力を与える排紙ローラ対を追加して設けてもよい。
【0014】
これとは異なり、切替爪37によって反転前搬送路36aに向かう進路が選択されている場合には、転写紙Pは反転前搬送路36aを経て、反転ローラ対39のニップに進入する。反転ローラ対39(39a、39b)は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pをスタック部50aに向けて搬送するが、転写紙Pの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、転写紙Pがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、転写紙Pの後端側が反転ユニット40内の反転後搬送路36b内に進入する。
【0015】
反転後搬送路36bは、鉛直方向上側から下側に向けて湾曲しながら延在する形状になっており、路内に第一反転搬送ローラ対41、第二反転搬送ローラ対42、第三反転搬送ローラ対43を有している。転写紙Pは、これらローラ対のニップを順次通過しながら搬送される。その後の転写紙Pは、上述の給紙路32に戻された後、再び二次転写ニップに至る。そして、今度は、画像非担持面を中間転写ベルト8に密着させながら二次転写ニップに進入して、その画像非担持面に中間転写ベルトの第二の4色トナー像が一括二次転写される。この後、転写後搬送路34、定着装置20、排紙路35、排紙ローラ対38を経由して、機外のスタック部50a上にスタックされる。このような反転搬送により、転写紙Pの両面にフルカラー画像が形成される。
【0016】
図3は、装置カバー61を解放した様子を説明する概略構成図である。プリンタの装置本体50の
図1中右側面には、反転ユニット40を収容する開閉部材しての装置カバー61が配設されている。
図3に示すように、装置カバー61はその下部に設けられた回動軸62を支点として反転ユニット40とともに揺動可能に設けられ、装置本体50に対して開閉可能に設けられている。
【0017】
図1に示すように、装置カバー61が装置本体50に対して閉じられた状態のときは、装置本体50との間に、転写後搬送路34や、定着装置20から機外に至るまでの通紙路を形成している。たとえば、装置本体50側に固定された係合部たるカバーフックピンと、装置カバーに付設された被係合部たるカバーフックとが係合して、装置カバー61が定位置にセットされる。
【0018】
一方、
図3に示すように、装置カバー61が開かれた状態のときは、後述する加圧機構60により、定着装置20において加圧ローラ22の定着ローラ21への加圧力が解除される。これにより、
図3に示したように、転写後搬送路34や、定着装置20から機外に至るまでの通紙路を外部に露出させ、これら路内におけるジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0019】
図4は定着装置20を抜けた後の通紙路近傍の主要な構成部材を示す拡大図である。定着装置20を抜けてから切替爪37の先端の分岐点までは、最大シート幅に対応した幅を持ち、通紙路に沿った表面を有するガイド板110aを備えた定着後ガイド部材110でガイドされる。ガイド板110aの通紙方向の一部には、ガイド板110aの表面から垂直に突出して通紙路方向に延在するシート幅方向の厚みが薄いリブ110bが設けられている。このようなリブは、シートの接触面積を小さくするための周知のガイド構造であるので、以下、他のガイド部材におけるリブも同様に、垂直に突出して通紙路方向に延在するシート幅方向の厚みが薄い形状のものとする。ガイド板110aの一部に排紙ローラ対38を構成するローラ38aの表面を露出させる開口が形成されている。
【0020】
切替爪37は反転ローラ対39近傍の回動軸37cで回動される爪基体部37aと、その表面から突出するリブ37bとを有する。リブ37bは、反転前搬送路36a側に突出して先端面が反転前搬送路36aにおけるガイド面になる部分と、排紙路35側に突出して先端面が排紙路35におけるガイド面になる部分とを有する。このリブ37bとともに排紙路35を構成する排紙路ガイド板35bが設けられている。
【0021】
そして、切替爪37の反転前搬送路36a側のリブ37bとともに、反転前搬送路36aを形成するとともに、定着後ガイド部材110とともに分岐点までの通紙路を形成する両面ガイド部材120が設けられている。この両面ガイド部材120は反転ユニット40の構成部材として装置カバー61に支持されたガイド基体部120aと、その表面から突出するリブ120bとを有する。リブ120bの、反転前搬送路36a側や定着後から分岐点までの通紙路側に突出して先端面121が反転前搬送路36aや上記通路を形成する。
【0022】
両面ガイド部材120のリブは反転後搬送路36b側にも突出している。その先端面122とともに、反転後搬送路36bを形成すべく、装置カバー61の構造体130aの表面からリブ130bが突出している。
【0023】
そして、切替爪37の反転前搬送路36a側のリブ37bとともに、反転前搬送路36aや反転後搬送路36bを形成する反転ガイド部材140が設けられている。この反転ガイド部材140は装置本体50(
図3参照)に支持されたガイド基体部140aと、その表面から突出するリブ140bとを有する。このリブ140bの反転後搬送路36bの下流端部141はガイド基体部140aの反転後搬送路36bの下流端部142よりも下流側に位置する。
【0024】
両面ガイド部材120の反転後搬送路36bの上流側の端である先端部124は、反転ガイド部材140のリブ140bの下流端部141よりも反転後搬送路36bの経路上で上流に位置する。このため、装置カバー61を開くのにともなって、
図4に矢印Aで示すように先端部124が移動するときは、両面ガイド部材120におけるリブ140bの先端部124の近傍が、反転ガイド部材140のリブ140bの反転後搬送路におけるガイド面を超えて移動することになる。
【0025】
つまり、反転ガイド部材140が第一ガイド部材に相当し、両面ガイド部材120が第二ガイド部材に相当し、第二ガイド部材を移動可能に支持する支持機構として装置カバー61などは、第一ガイド部材におけるガイド面を超えての移動が可能である。そして、実施形態に係るシート案内装置は、第一ガイド部材におけるガイド面を超えての移動が可能なように、移動にあたってガイド面を超えて移動する第二ガイド部材の部分と、当該部分が超えるガイド面の部分を有する第一ガイド部材の部分とを、シート幅方向で異なる位置を取るように形成している。具体的には、反転ガイド部材140のリブ140bの幅方向の位置と、両面ガイド部材120のリブ120bの幅方向の位置とを異ならせて、ぶつからないようしている。
【0026】
図示の例では、反転ガイド部材140のガイド基体部140aと、両面ガイド部材120のガイド基体部120aがともに、シート幅方向延在しているため、これらが他方のリブにぶつからないように端部位置を設定している。たとえば、反転ガイド部材140のガイド基体部140aの下流端部142の高さHよりも低いところを通って移動するように両面ガイド部材120のリブ120bの先端位置を設定している。それとともに、両面ガイド部材120のガイド基体部120aも移動中に他方のリブ140bの下流端部141にぶつからないように設定している。何れかのガイド基体部140a、120aがリブと同様に幅方向に部分的にしか存在しない場合には、その位置が幅方向で重複しないように設定することでぶつかるのを避けることもできる。
【0027】
そして、本実施形態では、反転ガイド部材140を、反転前搬送路や反転後搬送路のガイド面を構成する作動位置と、この作動位置から両面ガイド部材120の移動の向きに移動した退避位置との間で移動可能に支持する支持機構を設けた。具体的には、
図4に矢印Bで示すように反転ガイド部材の140の下流端部141が移動した退避位置との間で移動可能なように支持機構を構成した。
【0028】
このような支持機構を設けたのは、第一ガイド部材と第二ガイド部材とに跨ったシートが停止した場合にも、第一ガイド部材の支持構造に損傷を与えることを防止できるようにするためである。
図4に二点差線で示すP´のように転写紙が停止してしまうと、ジャム紙の処理のために装置カバー61を開くときに、両面ガイド部材120が転写紙を介して反転ガイド部材140に外力を与えてしまう。これにより、反転ガイド部材140の支持機構に損傷を与えてしまう。これを防止するため、ジャム紙の、両方のガイド部材の間に挟まっている部分が抜け出せる姿勢になるまで、ジャム紙を介して外力を受けながら移動し得るようにしたのである。
【0029】
図5はその一例を示すものである。下部の図が作動位置にある反転ガイド部材140近傍の図であり、上部の図が退避位置を取った反転ガイド部材140のみの姿勢を示すものである。この例では、反転ローラ対39のうち、下方のローラ39aの回転軸39cを回動軸として、90°回動した位置を退避位置する例である。90°ではなく、ジャム紙の処理をする上で必要・十分な角度であればよい。他の回動軸を用いてもよく、回動ではなく、並進移動であってもよい。
【0030】
図6は
図4に示す箇所のうち装置本体50側の部品のみを示す斜視図である。反転ガイド部材140のリブ140bは幅方向に間隔を置いて12個形成されているがこれに限られない。この例では、図示の範囲が排紙ユニット150としてユニット化されている。ユニットの図中右上側の側壁150aに現れているように、反転ガイド部材140を、退避位置から作動位置に移動するように付勢する付勢手段としてのスプリング160が設けられている。このスプリング160の上端が、反転ガイド部材のガイド基体部140aに一体に形成された係止部145に係止される。他端はユニットの側壁150aに固定された係止部151に係止される。これにより、反転ローラ対の一方のローラの軸39c回りでの回動方向と平行な付勢力を与えている。そして、ユニットの側壁150aにはスプリング160のガイド152,153も固設され、一方のガイド153の上端は、反転ガイド部材のガイド基体部140aに一体に形成された当接部146が突き当たるストッパになっている。ジャム紙を処理するときには、このスプリング160の付勢力に抗して反転ガイド部材140を回動させる。
【0031】
以上、実施例では、用紙排紙部に設置されている反転ガイド板と、反転ガイド板と両面搬送経路を構成する両面ガイド板と、両面ガイド板が設置されている開閉可能なカバーとを備える。反転ガイド板と両面ガイド板はカバー開閉時に断面で重なるが、用紙幅方向では位置がずれている。このため、用紙無し状態ではカバー開閉可能である。反転ガイド板は揺動可能な構成となっており、用紙搬送時に正規の位置を維持できるよう弾性部材で付勢されている。
【0032】
よって、反転ガイド板を揺動構成にすることで、両面ガイド板が用紙を介して反転ガイド板を押上げて逃がすことができるようになり、両面/反転間に用紙が跨って停止している場合でも用紙がロックすることなく両面カバーを開けることができるようになる。
【0033】
反転ガイドは上方向に回動可能な構成となっており、さらに上図の圧縮スプリングで排紙ガイド板に対して付勢されている。付勢力が用紙の搬送負荷より大きく設定されているため、搬送時は固定された状態となり、搬送品質への影響はない。
【0034】
また、反転ガイド板の回転軸は、反転ガイド板に設けられている反転ローラ軸とする。反転ローラは通常反転経路の入口に設置されているため、両面ガイド板とガイド板のオーバーラップ部の逆側に位置することになる。よって反転ガイド板が反転ローラ軸として揺動する構成とすることで、少ない回転角度で両面ガイド板とガイド板のオーバーラップ部を解消できる。
【0035】
また、弾性部材が反転ガイド板を付勢する方向は、回転方向と平行である。よって、弾性部材の付勢方向が、回転方向と平行であることにより、加圧のベクトルと回転軸の距離を遠く設定することができる。これにより、同じ加圧力で最大の付勢モーメントをガイド板に付加することができる。ガイド板の固定が必要な付勢モーメントが決まっている場合、加圧力は可能な限り小さい方が加圧部材の取り付け部の破損リスクが下がる。本構成をとることでこの破損リスク低減効果を得ることができる。
【0036】
以上の実施形態は、第一ガイド部材におけるガイド面を超えて第二ガイド部材が移動する場合であったが、第一ガイド部材におけるガイド面をシート搬送方向に延長した仮想面を超えて第二ガイド部材が移動する場合にも有効である。この場合にも、ジャム紙を介して外力を受け、第一ガイド部材の支持機構が損傷を受ける虞があるからである。
また、以上は画像形成装置のシート搬送装置、及び、シート案内装置に適用したが、シート案内装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1C :感光体
1K :感光体
1M :感光体
1Y :感光体
2Y :ドラムクリーニング装置
4Y :帯電装置
5Y :現像器
6C :プロセスカートリッジ
6K :プロセスカートリッジ
6M :プロセスカートリッジ
6Y :プロセスカートリッジ
7 :露光装置
8 :中間転写ベルト
9C :一次転写バイアスローラ
9K :一次転写バイアスローラ
9M :一次転写バイアスローラ
9Y :一次転写バイアスローラ
10 :中間転写ユニット
12 :二次転写バックアップローラ
13 :クリーニングバックアップローラ
14 :テンションローラ
15 :クリーニング装置
19 :二次転写バイアスローラ
20 :定着装置
21 :定着ローラ
22 :加圧ローラ
30 :紙収容カセット
31 :給紙ローラ
32 :給紙路
33 :レジストローラ対
34 :転写後搬送路
35 :排紙路
35a :排紙口
35b :排紙路ガイド板
36a :反転前搬送路
36b :反転後搬送路
37 :切替爪
37a :爪基体部
37b :リブ
37c :回動軸
38 :排紙ローラ対
38a :ローラ
39 :反転ローラ対
39a :ローラ
39c :回転軸
40 :反転ユニット
41 :第一反転搬送ローラ対
42 :第二反転搬送ローラ対
43 :第三反転搬送ローラ対
50 :装置本体
50a :スタック部
60 :加圧機構
61 :装置カバー
62 :回動軸
110 :定着後ガイド部材
110a :ガイド板
110b :リブ
120 :両面ガイド部材
120a :ガイド基体部
120b :リブ
121 :先端面
122 :先端面
124 :先端部
130a :構造体
130b :リブ
140 :反転ガイド部材
140a :ガイド基体部
140b :リブ
141 :下流端部
142 :下流端部
145 :係止部
146 :当接部
150 :排紙ユニット
150a :側壁
151 :係止部
152 :ガイド
153 :ガイド
160 :スプリング
H :高さ
L :レーザ光
P :転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】