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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基板研磨装置および基板研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20240822BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240822BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240822BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20240822BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240822BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B24B37/013
B24B37/00 K
B24B37/10
B24B37/12 D
B24B49/12
B24B57/02
H01L21/304 622S
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021054875
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152195
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】藤本 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 暢行
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-224758(JP,A)
【文献】特開2009-000796(JP,A)
【文献】特開2001-300847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/013
B24B 37/00
B24B 37/10
B24B 37/12
B24B 49/12
B24B 57/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の被研磨面を上向きにして支持するステージと、
前記ステージに支持された前記基板を研磨するための研磨面を有する研磨パッドを保持する研磨ヘッドと、
前記基板の表面上に研磨液を供給する研磨液供給ノズルと、
前記ステージ上の前記基板の表面上の測定領域に光を照射し、前記測定領域からの反射光を受ける膜厚測定ヘッドと、
前記反射光のスペクトルを生成し、前記スペクトルから前記基板の膜厚を決定するスペクトル解析部と、
前記膜厚測定ヘッドが取り付けられたヘッドノズルを備え、
前記ヘッドノズルは、
前記光および前記反射光の光路上に設けられた流体室と、
前記流体室に液体を供給するための液体供給流路と、
前記流体室から液体を排出するための液体排出流路と、
前記光路上に設けられ、前記基板の表面に近接可能な開口部を有し、
前記液体供給流路と前記流体室との第1接続部は、前記流体室の下部に位置しており、
前記液体排出流路と前記流体室との第2接続部は、前記流体室の上部に位置しており、
前記開口部は前記流体室の下端に連通しており、前記開口部の幅は前記流体室の幅よりも小さい、基板研磨装置。
【請求項2】
前記第2接続部は、前記膜厚測定ヘッドの下端に位置している、請求項1に記載の基板研磨装置。
【請求項3】
前記第2接続部から延びる、前記液体排出流路の上面は、前記膜厚測定ヘッドの下端よりも高い位置にある、請求項2に記載の基板研磨装置。
【請求項4】
前記開口部の幅は、1.0mmから2.0mmの範囲内である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
【請求項5】
前記液体供給流路に接続された供給弁と、前記液体排出流路に接続された排出弁をさらに備え、
前記供給弁および前記排出弁は、前記液体供給流路を流れる液体の流量が、前記液体排出流路を流れる液体の流量よりも多くなるように構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
【請求項6】
前記研磨ヘッドを研磨位置と非研磨位置との間で移動させるための研磨ヘッド移動機構と、
前記膜厚測定ヘッドを測定位置と非測定位置との間で移動させるための膜厚測定ヘッド移動機構と、
前記研磨ヘッド移動機構および前記膜厚測定ヘッド移動機構に接続された動作制御部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記研磨ヘッドと前記膜厚測定ヘッドとが互いに接触しないように前記研磨ヘッド移動機構および前記膜厚測定ヘッド移動機構を制御するように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板研磨装置。
【請求項7】
基板の被研磨面を上向きにして支持し、
前記基板の表面に研磨液を供給しながら、研磨面を有する研磨パッドを研磨ヘッドにより前記基板に押し付けて前記基板を研磨し、
ヘッドノズルの開口部を前記基板の表面に近接させ、
液体供給流路から前記ヘッドノズルの流体室に液体を供給し、かつ前記液体を前記流体室から液体排出流路を通じて排出しながら、膜厚測定ヘッドから前記流体室および前記開口部を通して、前記基板の表面上の測定領域に光を照射し、
前記流体室および前記開口部を通して、前記測定領域からの反射光を前記膜厚測定ヘッドで受け、
前記反射光のスペクトルから前記基板の膜厚を決定する工程を含み、
前記液体供給流路と前記流体室との第1接続部は、前記液体排出流路と前記流体室との第2接続部よりも下方に位置しており、
前記開口部は前記流体室の下端に連通しており、前記開口部の幅は前記流体室の幅よりも小さい、基板研磨方法。
【請求項8】
前記第2接続部は、前記膜厚測定ヘッドの下端に位置している、請求項7に記載の基板研磨方法。
【請求項9】
前記第2接続部から延びる、前記液体排出流路の上面は、前記膜厚測定ヘッドの下端よりも高い位置にある、請求項8に記載の基板研磨方法。
【請求項10】
前記基板の表面に近接させたときの前記開口部の下端から前記基板の表面までの距離は、0.5mmから1.0mmの範囲内である、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の基板研磨方法。
【請求項11】
前記液体供給流路を流れる液体の流量は、前記液体排出流路を流れる液体の流量よりも多い、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の基板研磨方法。
【請求項12】
前記研磨ヘッドと、前記膜厚測定ヘッドとが互いに接触しないように移動しながら前記基板を研磨し、前記基板の膜厚を決定する工程をさらに含む、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の基板研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板研磨装置および基板研磨方法に関し、特に、研磨中の基板の膜厚を測定するための基板研磨装置および基板研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)は、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつ研磨対象の基板を研磨面に摺接させて研磨を行う技術である。CMP工程で用いる基板研磨装置は、基板の被研磨面が上向きの方式(フェースアップ式)と基板の被研磨面が下向きの方式(フェースダウン式)が存在する。
【0003】
フェースアップ式の基板研磨装置は、基板の被研磨面を上向きにしてステージに載置し、基板よりも小径の研磨パッドを回転させながら基板に接触させて研磨パッドを揺動させることによって、基板を研磨するように構成される。基板の研磨は、基板の膜厚が所定の目標値に達したときに終了される。研磨中に基板の膜厚を測定する方法として、基板研磨装置に備えられた光学式の膜厚測定装置によって基板の表面に光を照射し、基板から反射してくる光の分光波形に基づいて膜厚を決定する手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-78156号公報
【文献】特開平9-298176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、研磨中の基板表面には研磨液や研磨屑などの異物が存在するため、膜厚測定装置によって光を照射し、反射光を受ける際の光の透過率が下がってしまう。このため、研磨中の基板の膜厚を高い精度で測定することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、研磨中の基板の膜厚を測定する際に、光の透過率を低下させることなく、高い精度で膜厚を測定することができる基板研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、基板の被研磨面を上向きにして支持するステージと、前記ステージに支持された前記基板を研磨するための研磨面を有する研磨パッドを保持する研磨ヘッドと、前記基板の表面上に研磨液を供給する研磨液供給ノズルと、前記ステージ上の前記基板の表面上の測定領域に光を照射し、前記測定領域からの反射光を受ける膜厚測定ヘッドと、前記反射光のスペクトルを生成し、前記スペクトルから前記基板の膜厚を決定するスペクトル解析部と、前記膜厚測定ヘッドが取り付けられたヘッドノズルを備え、前記ヘッドノズルは、前記光および前記反射光の光路上に設けられた流体室と、前記流体室に液体を供給するための液体供給流路と、前記流体室から液体を排出するための液体排出流路と、前記光路上に設けられ、前記基板の表面に近接可能な開口部を有し、前記液体供給流路と前記流体室との第1接続部は、前記流体室の下部に位置しており、前記液体排出流路と前記流体室との第2接続部は、前記流体室の上部に位置しており、前記開口部は前記流体室の下端に連通しており、前記開口部の幅は前記流体室の幅よりも小さい、基板研磨装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記第2接続部は、前記膜厚測定ヘッドの下端に位置している。
一態様では、前記第2接続部から延びる、前記液体排出流路の上面は、前記膜厚測定ヘッドの下端よりも高い位置にある。
一態様では、前記開口部の幅は、1.0mmから2.0mmの範囲内である。
一態様では、前記液体供給流路に接続された供給弁と、前記液体排出流路に接続された排出弁をさらに備え、前記供給弁および前記排出弁は、前記液体供給流路を流れる液体の流量が、前記液体排出流路を流れる液体の流量よりも多くなるように構成されている。
一態様では、前記研磨ヘッドを研磨位置と非研磨位置との間で移動させるための研磨ヘッド移動機構と、前記膜厚測定ヘッドを測定位置と非測定位置との間で移動させるための膜厚測定ヘッド移動機構と、前記研磨ヘッド移動機構および前記膜厚測定ヘッド移動機構に接続された動作制御部をさらに備え、前記動作制御部は、前記研磨ヘッドと前記膜厚測定ヘッドとが互いに接触しないように前記研磨ヘッド移動機構および前記膜厚測定ヘッド移動機構を制御するように構成されている。
【0009】
一態様では、基板の被研磨面を上向きにして支持し、前記基板の表面に研磨液を供給しながら、研磨面を有する研磨パッドを研磨ヘッドにより前記基板に押し付けて前記基板を研磨し、ヘッドノズルの開口部を前記基板の表面に近接させ、液体供給流路から前記ヘッドノズルの流体室に液体を供給し、かつ前記液体を前記流体室から液体排出流路を通じて排出しながら、膜厚測定ヘッドから前記流体室および前記開口部を通して、前記基板の表面上の測定領域に光を照射し、前記流体室および前記開口部を通して、前記測定領域からの反射光を前記膜厚測定ヘッドで受け、前記反射光のスペクトルから前記基板の膜厚を決定する工程を含み、前記液体供給流路と前記流体室との第1接続部は、前記液体排出流路と前記流体室との第2接続部よりも下方に位置しており、前記開口部は前記流体室の下端に連通しており、前記開口部の幅は前記流体室の幅よりも小さい、基板研磨方法が提供される。
【0010】
一態様では、前記第2接続部は、前記膜厚測定ヘッドの下端に位置している。
一態様では、前記第2接続部から延びる、前記液体排出流路の上面は、前記膜厚測定ヘッドの下端よりも高い位置にある。
一態様では、前記基板の表面に近接させたときの前記開口部の下端から前記基板の表面までの距離は、0.5mmから1.0mmの範囲内である。
一態様では、前記液体供給流路を流れる液体の流量は、前記液体排出流路を流れる液体の流量よりも多い。
一態様では、前記研磨ヘッドと、前記膜厚測定ヘッドとが互いに接触しないように移動しながら前記基板を研磨し、前記基板の膜厚を決定する工程をさらに含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、膜厚測定装置のヘッドノズルに設けられた流体室に透明な液体を供給するとともに、流体室から液体を排出することにより、開口部から液体を供給して研磨液などの基板上の異物を除去し、膜厚測定時の光路を透明な液体で満たして高い精度で研磨中の基板の膜厚を測定することができる。
本発明によれば、膜厚測定装置のヘッドノズルから供給される液体の流量を最小限にすることにより、基板上の研磨液が希釈されて研磨性能を低下させることを防止できる。
本発明によれば、膜厚測定装置のヘッドノズルに設けられた液体供給流路と流体室との第1接続部は流体室の下部に位置しているので、第1接続部から流体室内に流入した液体と、既に流体室内に存在している液体との衝突が緩和され、液体同士の衝突による気泡の発生を低減することができる。加えて、液体排出流路と流体室との第2接続部は流体室の上部に位置しているので、流体室内で発生した気泡を速やかに排出することができる。
本発明によれば、膜厚測定装置のヘッドノズルに設けられた液体供給流路と流体室との第1接続部が位置する部分の流体室の幅は、膜厚測定ヘッドの下端と面している部分の流体室の幅よりも小さいため、流体室に発生した気泡が膜厚測定時の光路上に留まることなく、光路の外側に分散される。第2接続部は、膜厚測定ヘッドの下端に位置しているため、気泡が流体室内に留まることなく、速やかに排出される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】基板研磨装置の一実施形態を示す上面図である。
図2図1に示す基板研磨装置を矢印Aで示す方向から見た側面図である。
図3】光学式の膜厚測定装置の原理を説明するための模式図である。
図4】スペクトル解析部によって生成された分光波形の一例を示す図である。
図5図5(a)乃至図5(c)は、研磨ユニットと膜厚測定装置の動作を説明する図である。
図6】ヘッドノズルの一実施形態を模式的に示す断面図である。
図7】基板の膜厚を測定する工程の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、基板研磨装置1の一実施形態を示す上面図である。図2は、図1に示す基板研磨装置1を矢印Aで示す方向から見た側面図である。図1および図2に示すように、基板研磨装置1は、基板Wを支持するステージ10と、基板Wを研磨するための研磨ユニット20と、基板Wの膜厚を測定するための膜厚測定装置30を備えている。基板Wの例としては、半導体デバイスの製造に用いられるウェーハが挙げられる。以下に説明する実施形態では、基板Wは円形であるが、四角形の形状を有してもよい。
【0014】
ステージ10は、研磨対象の基板Wをその被研磨面2を上向きにして支持する。ステージ10は図示しない複数の通孔を有しており、基板Wは複数の孔を介して真空吸引によって支持される。ステージ10は、図示しないモータなどのステージ回転機構に連結されており、ステージ回転機構はステージ10および基板Wを回転させるように構成されている。
【0015】
研磨ユニット20は、研磨ヘッド21と、研磨ヘッドアーム23と、研磨ヘッド移動機構24と、回転シャフト25と、研磨ヘッド回転機構26と、研磨液供給ノズル28を備えている。研磨ヘッド21は、研磨面22aを有する研磨パッド22を保持しており、高さ方向に延びる回転シャフト25を介して研磨ヘッドアーム23に連結されている。回転シャフト25は、モータなどを含む研磨ヘッド回転機構26に連結されており、研磨ヘッド回転機構26は研磨ヘッド21および研磨パッド22を、回転シャフト25とともに回転シャフト25を中心に回転させるように構成されている。
【0016】
研磨ヘッドアーム23は、さらに研磨ヘッド移動機構24に連結されており、研磨ヘッド移動機構24は研磨ヘッドアーム23を矢印で示す方向に揺動させて、研磨ヘッド21を研磨位置と非研磨位置との間で移動させる。研磨位置は、研磨ヘッド21が基板Wを研磨することができる位置、すなわち研磨ヘッド21の少なくとも一部がステージ10上の基板Wの上方に配置されている位置である。非研磨位置は、研磨ヘッド21が基板Wを研磨することができない位置、すなわち研磨ヘッド21の全部がステージ10上の基板Wの外側に配置されている位置である。図1および図2では、研磨ヘッド21は非研磨位置に配置されている。
【0017】
2つの研磨液供給ノズル28は、研磨ヘッドアーム23に連結されており、研磨ヘッド21を挟んで研磨ヘッド21の移動方向において両側にそれぞれの研磨液供給ノズル28の先端が配置されている。2つの研磨液供給ノズル28は、基板Wの表面上にシリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液または洗浄水を供給するように構成されている。
【0018】
ステージ回転機構、研磨ユニット20の動作は、動作制御部60によって制御される。動作制御部60はステージ回転機構、研磨ヘッド移動機構24、研磨ヘッド回転機構26に電気的に接続されている。ステージ回転機構、研磨ヘッド移動機構24、研磨ヘッド回転機構26の動作は、動作制御部60によって制御される。
【0019】
動作制御部60は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。動作制御部60は、基板研磨装置を動作させるためのプログラムが格納された記憶装置60aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置60bを備えている。記憶装置60aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。処理装置60bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部60の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0020】
基板Wは次のようにして研磨される。動作制御部60は、ステージ10および基板Wを回転させながら、研磨液供給ノズル28から研磨液が供給される。動作制御部60は、研磨ヘッド移動機構24に指令を発して研磨ヘッド21をステージ10に支持された基板Wの上方で揺動させる。研磨ヘッド21に保持された研磨パッド22は、研磨ヘッド回転機構26によって回転されながら、研磨ヘッド21は、基板W上に研磨液が存在した状態で研磨パッド22の研磨面22aを基板Wの被研磨面2に押し付ける。基板Wの被研磨面2は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド22の機械的作用により研磨される。
【0021】
膜厚測定装置30は、光学式の膜厚測定装置であり、光源32と、分光器33と、スペクトル解析部34と、膜厚測定ヘッド31と、ヘッドノズル40と、膜厚測定ヘッドアーム36と、膜厚測定ヘッド移動機構37を備えている。膜厚測定ヘッド31は、投光用光ファイバーケーブル38および受光用光ファイバーケーブル39の各先端を有している。光を発する光源32は、投光用光ファイバーケーブル38に連結されている。分光器33は、受光用光ファイバーケーブル39に連結されている。光源32および分光器33は、スペクトル解析部34に連結されている。
【0022】
膜厚測定ヘッドアーム36の一端は膜厚測定ヘッド31に連結されており、膜厚測定ヘッドアーム36の他端は膜厚測定ヘッド移動機構37に連結されている。膜厚測定ヘッド移動機構37は、膜厚測定ヘッドアーム36を矢印で示す方向に揺動させて、膜厚測定ヘッド31を測定位置と非測定位置との間で移動させる。測定位置は、膜厚測定ヘッド31が基板Wの膜厚を測定することができる位置、すなわち膜厚測定ヘッド31がステージ10上の基板Wの上方に配置されている位置である。非測定位置は、膜厚測定ヘッド31が基板Wの膜厚を測定することができない位置、すなわち膜厚測定ヘッド31がステージ10上の基板Wの外側に配置されている位置である。図1および図2では、膜厚測定ヘッド31は測定位置に配置されている。膜厚測定ヘッド移動機構37は、動作制御部60に電気的に接続されており、膜厚測定ヘッド移動機構37の動作は、動作制御部60によって制御される。
【0023】
投光用光ファイバーケーブル38の先端および受光用光ファイバーケーブル39の先端を含む膜厚測定ヘッド31は、ヘッドノズル40に取り付けられている。ヘッドノズル40は、ヘッドノズル40に液体を供給するための液体供給ライン42、およびヘッドノズル40から液体を排出するための液体排出ライン43に接続されている。液体供給ライン42は、図示しない液体供給源に接続されている。ヘッドノズル40に供給される液体は、例えば純水である。液体は、透明な液体であればよく、例えば研磨液に用いられるKOH溶液などであってもよい。液体供給ライン42には、供給弁44および流量計46が取り付けられている。液体排出ライン43には、排出弁45、流量計47およびエジェクタなどの液体ポンプ48が取り付けられている。供給弁44および排出弁45は、手動であってもよいし、あるいは供給弁44および排出弁45は動作制御部60に接続され、供給弁44および排出弁45の動作は動作制御部60によって制御されてもよい。なお、ヘッドノズル40の詳細については後述する。
【0024】
図3は、光学式の膜厚測定装置30の原理を説明するための模式図である。図3に示す例では、基板Wは、下層と、その上に形成された研磨対象層とを有している。研磨対象層は、例えばシリコン層や絶縁膜である。膜厚測定ヘッド31は、投光用光ファイバーケーブル38および受光用光ファイバーケーブル39の各先端を有しており、基板Wの表面に対向して配置されている。本実施形態では、膜厚測定ヘッド31にヘッドノズル40が取り付けられているが、図3は、説明の簡略化のためにヘッドノズル40の構成は省略されている。
【0025】
光源32から発せられた光は、投光用光ファイバーケーブル38を通じて膜厚測定ヘッド31に伝送され、投光用光ファイバーケーブル38の先端を含む膜厚測定ヘッド31から基板Wの表面に照射される。光は基板Wで反射し、基板Wからの反射光は、受光用光ファイバーケーブル39の先端を含む膜厚測定ヘッド31によって受けられ、受光用光ファイバーケーブル39を通じて分光器33に送られる。分光器33は反射光を波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定する。反射光の強度測定データは、スペクトル解析部34に送られる。
【0026】
スペクトル解析部34は、反射光の強度測定データから反射光のスペクトルを生成するように構成されている。反射光のスペクトルは、反射光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。反射光の強度は、反射率または相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
【0027】
基板Wに照射された光は、媒質(図3の例では水)と研磨対象層との界面、および研磨対象層と下層との界面で反射し、これらの界面で反射した光の波が互いに干渉する。この光の波の干渉の仕方は、研磨対象層の厚さ(すなわち光路長)に応じて変化する。このため、基板Wからの反射光から生成されるスペクトルは、研磨対象層の厚さに従って変化する。スペクトル解析部34は、反射光のスペクトルに含まれる光学情報に基づいて、基板Wの膜厚を決定する。
【0028】
図4は、スペクトル解析部34によって生成されたスペクトルの一例を示す図である。図4において、横軸は基板Wからの反射光の波長を表わし、縦軸は反射光の強度から導かれる相対反射率を表わす。相対反射率とは、反射光の強度を示す指標であり、光の強度と所定の基準強度との比である。各波長において光の強度(実測強度)を所定の基準強度で割ることにより、装置の光学系や光源固有の強度のばらつきなどの不要なノイズを実測強度から除去することができる。図4に示す例では、反射光のスペクトルは、相対反射率と反射光の波長との関係を示す分光波形であるが、反射光のスペクトルは、反射光の強度自体と、反射光の波長との関係を示す分光波形であってもよい。
【0029】
基準強度は、各波長について予め測定された光の強度であり、相対反射率は各波長において算出される。具体的には、各波長での光の強度(実測強度)を、対応する基準強度で割り算することにより相対反射率が求められる。基準強度は、例えば、膜厚測定ヘッド31から照射された光の強度を直接測定するか、または膜厚測定ヘッド31から鏡に光を照射し、鏡からの反射光の強度を測定することによって得られる。あるいは、基準強度は、膜が形成されていないシリコン基板(ベア基板)をステージ10上で水の存在下で水研磨しているとき、または上記シリコン基板(ベア基板)がステージ10上に置かれているときに、分光器33により測定されたシリコン基板からの反射光の強度としてもよい。
【0030】
実際の研磨では、実測強度からダークレベル(光を遮断した条件下で得られた背景強度)を引き算して補正実測強度を求め、さらに基準強度から上記ダークレベルを引き算して補正基準強度を求め、そして、補正実測強度を補正基準強度で割り算することにより、相対反射率が求められる。具体的には、相対反射率R(λ)は、次の式(1)を用いて求めることができる。
【数1】
ここで、λは基板Wから反射した光の波長であり、E(λ)は波長λでの強度であり、B(λ)は波長λでの基準強度であり、D(λ)は光を遮断した条件下で測定された波長λでの背景強度(ダークレベル)である。
【0031】
スペクトル解析部34は、基板Wからの反射光のスペクトルから基板Wの膜厚を決定する。反射光のスペクトルから膜厚を決定する方法には、公知の方法を使用することができる。例えば、反射光のスペクトルに対してフーリエ変換処理(典型的には高速フーリエ変換処理)を行って得られた周波数スペクトルから膜厚を決定する方法、または複数の参照スペクトルのうち、反射光のスペクトルに最も近い形状を持つ参照スペクトルに関連付けられた膜厚を決定する方法等がある。
【0032】
スペクトル解析部34は、研磨対象層の厚さの決定を実行するためのプログラムが格納された記憶装置34a(図1参照)と、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置34b(図1参照)を備えている。スペクトル解析部34は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。記憶装置34aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。処理装置34bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、スペクトル解析部34の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0033】
スペクトル解析部34は、決定された研磨対象層の厚さを動作制御部60(図3参照)に伝送する。動作制御部60、決定された研磨対象層の厚さ基づいて研磨終点を決定し、研磨ユニット20の動作を制御する。例えば、動作制御部60は、決定された研磨対象層の厚さが目標値に達した時点である研磨終点を決定する。一実施形態では、研磨対象層の厚さと下層の厚さを合わせた厚さを測定して研磨終点を決定してもよい。研磨対象層の厚さを決定するためのスペクトル解析部34と、基板Wの研磨動作を制御する動作制御部60は、一体に構成されてもよい。本明細書中において、基板Wの膜厚の例としては、研磨対象層の厚さ、および研磨対象層の厚さと下層の厚さを合わせた厚さなどが挙げられる。
【0034】
図5(a)乃至図5(c)は、研磨ユニット20と膜厚測定装置30の動作を説明する図である。研磨ユニット20の研磨ヘッド21と膜厚測定装置30の膜厚測定ヘッド31とは、連動して移動するように構成されている。具体的には、動作制御部60は、研磨ヘッド21と膜厚測定ヘッド31とが互いに接触しないように、研磨ヘッド移動機構24および膜厚測定ヘッド移動機構37を制御する。
【0035】
図5(a)は、研磨ヘッド21の一部がステージ10上の基板Wの上方に位置し、膜厚測定ヘッド31がステージ10上の基板Wの上方に位置している状態を示している。すなわち、研磨ヘッド21は研磨位置に配置されており、膜厚測定ヘッド31は測定位置に配置されている。研磨ヘッド移動機構24は、矢印で示すように、研磨ヘッド21が基板Wの中心に向かう方向に研磨ヘッドアーム23を移動させながら、研磨ヘッド21は研磨パッド22(図2参照)を基板Wに押し付けることにより、基板Wを研磨する。より具体的には、研磨ヘッド21は、基板Wの半径方向に移動しながら、研磨パッド22を基板Wに押し付けることにより、基板Wを研磨する。基板研磨装置1は、ステージ10を挟んで研磨ヘッド21の移動方向において両側に配置されたサイドステージ(図示しない)を備えていてもよい。サイドステージは、ステージ10の外側に位置する研磨ヘッド21を支持するように構成されている。これにより、基板Wの周縁部に研磨ヘッド21の押圧力が集中することなく、均一に基板Wを研磨することができる。
【0036】
膜厚測定ヘッド移動機構37は、矢印で示すように、膜厚測定ヘッド31が基板Wの外側に向かう方向に膜厚測定ヘッドアーム36を移動させながら、基板Wの膜厚を測定する。より具体的には、膜厚測定ヘッド31は、基板Wの半径方向に移動しながら、膜厚測定装置30は基板Wの膜厚を測定する。膜厚測定装置30は、所定の時間毎に基板Wの膜厚を測定してもよいし、基板W上の所定の測定位置で膜厚を測定してもよい。
【0037】
図5(b)は、研磨ヘッド21がステージ10上の基板Wの中央上方に位置し、膜厚測定ヘッド31がステージ10上の基板Wの外側に位置している状態を示している。すなわち、研磨ヘッド21は研磨位置に配置されており、膜厚測定ヘッド31は非測定位置に配置されている。研磨ヘッド移動機構24は、矢印で示すように、研磨ヘッド21が基板Wを横切るように研磨ヘッドアーム23を移動させながら、研磨ヘッド21は研磨パッド22(図2参照)を基板Wに押し付けることにより、基板Wを研磨する。膜厚測定ヘッド移動機構37は、矢印で示すように、膜厚測定ヘッド31が基板Wのさらに外側に向かう方向に膜厚測定ヘッドアーム36を移動させる。膜厚測定ヘッド31は、非測定位置に配置されているため、基板Wの膜厚は測定されない。
【0038】
図5(c)は、研磨ヘッド21がステージ10上の基板Wの外側に位置し、膜厚測定ヘッド31がステージ10上の基板Wの中央上方に位置している状態を示している。すなわち、研磨ヘッド21は非研磨位置に配置されており、膜厚測定ヘッド31は測定位置に配置されている。研磨ヘッド移動機構24は、矢印で示すように、研磨ヘッド21が基板Wのさらに外側に向かう方向に研磨ヘッドアーム23を移動させる。研磨ヘッド21は、非研磨位置に配置されているため、基板Wは研磨されない。膜厚測定ヘッド移動機構37は、矢印で示すように、膜厚測定ヘッド31が基板Wを横切るように膜厚測定ヘッドアーム36を移動させながら、基板Wの膜厚を測定する。より具体的には、膜厚測定ヘッド31は、基板Wの半径方向に移動しながら、膜厚測定装置30は基板Wの膜厚を測定する。膜厚測定装置30は、所定の時間毎に基板Wの膜厚を測定してもよいし、基板W上の所定の測定位置で膜厚を測定してもよい。
【0039】
図5(a)乃至図5(c)に示すように、研磨ヘッド21および膜厚測定ヘッド31は、ステージ10上の基板Wの中心を通る軌道で揺動しつつ、研磨ヘッド21と膜厚測定ヘッド31とが互いに接触しないように動作する。
【0040】
次に、ヘッドノズル40の詳細について説明する。図6は、ヘッドノズル40の一実施形態を模式的に示す断面図である。膜厚測定ヘッド31は、投光用光ファイバーケーブル38および受光用光ファイバーケーブル39の各先端と、これら先端を保持するファイバー保持部41を有している。ヘッドノズル40は、膜厚測定ヘッド31の先端を覆う形状を有している。ヘッドノズル40は、流体室51と、液体供給流路52と、液体排出流路53と、開口部54を有している。流体室51は、膜厚測定ヘッド31から基板Wの表面に照射される光、および膜厚測定ヘッド31で受ける基板Wからの反射光の光路上に設けられている。膜厚測定ヘッド31の下端31aは、流体室51に面している。
【0041】
液体供給流路52および液体排出流路53は、流体室51に接続されている。液体供給流路52は、第1配管接続部52bにおいて液体供給ライン42(図1参照)に接続されている。液体排出流路53は、第2配管接続部53cにおいて液体排出ライン43(図1参照)に接続されている。液体供給流路52と流体室51との第1接続部52aは、液体排出流路53と流体室51との第2接続部53aよりも下方に位置している。より具体的には、液体供給流路52と流体室51との第1接続部52aは、流体室51の下部に位置し、液体排出流路53と流体室51との第2接続部53aは、流体室51の上部に位置している。
【0042】
液体供給流路52と流体室51との第1接続部52aは流体室51の下部に位置しているので、既に流体室51内に存在している液体の液面よりも低い位置において、第1接続部52aから流体室51内に液体が流入する。これにより、第1接続部52aから流体室51内に流入した液体と、既に流体室51内に存在している液体との衝突が緩和され、液体同士の衝突による気泡の発生を低減することができる。加えて、液体排出流路53と流体室51との第2接続部53aは流体室51の上部に位置しているので、流体室51内で発生した気泡は、液体排出流路53を通じて速やかに排出することができる。
【0043】
開口部54は、膜厚測定ヘッド31から基板Wの表面に照射される光、および膜厚測定ヘッド31で受ける基板Wからの反射光の光路上に設けられている。開口部54は流体室51の下端に連通しており、開口部54の幅a1は流体室51の幅a2よりも小さい。これにより、流体室51に発生した気泡が開口部54に留まらずに流体室51の上部に分散される。一実施形態では、開口部54の幅a1は、1.0mmから2.0mmの範囲内である。これは、流体室51から開口部54を通じて流出する液体の流量を最小限にし、基板W上の研磨液の希釈を防止するため、および膜厚測定ヘッド31から放射される光および基板Wからの反射光の通路を確保するためである。開口部54は、基板Wの膜厚を測定するために基板Wの表面に対向して近接可能である。一実施形態では、開口部54の下端から基板Wの表面、すなわち被研磨面2までの距離b1は、0.5mmから1.0mmの範囲内である。これも、流体室51から開口部54を通じて流出する液体の流量を最小限して、基板W上の研磨液の希釈を防止するためである。
【0044】
投光用光ファイバーケーブル38と受光用光ファイバーケーブル39は、複数の投光用光ファイバーケーブル38の外側に複数の受光用光ファイバーケーブル39が配置されて束ねられたバンドルタイプであってもよいし、投光用光ファイバーケーブル38と受光用光ファイバーケーブル39が束ねられていないものでもよい。
【0045】
液体供給流路52と流体室51との第1接続部52aが位置する部分の流体室51の幅a2は、膜厚測定ヘッド31の下端31aと面している部分の流体室51の幅a3よりも小さい。これにより、流体室51に発生した気泡が膜厚測定時の光路上に留まることなく、光路の外側に分散される。第2接続部53aは、膜厚測定ヘッド31の下端に位置している。より具体的には、第2接続部53aから延びる、液体排出流路53の上面53bは、膜厚測定ヘッド31の下端よりも高い位置にある。このような配置により、気泡は流体室51内に留まることなく、液体排出流路53を通じて速やかに排出される。
【0046】
供給弁44(図1参照)が開かれると、液体供給ライン42を流れる液体は、液体供給流路52を通って流体室51に供給される。流体室51に供給された液体は、開口部54から基板Wの被研磨面2に供給される。排出弁45(図1参照)が開かれると、流体室51内の液体は、液体排出流路53を通って液体排出ライン43を流れ、液体ポンプ48(図1参照)により液体排出ライン43の外へ排出される。供給弁44および排出弁45は、液体供給流路52を流れる液体の流量が、液体排出流路53を流れる液体の流量よりも多くなるように構成されている。液体供給ライン42から供給される液体は、例えば純水である。液体は、透明な液体であればよく、例えば研磨液に用いられるKOH溶液などであってもよい。供給弁44および排出弁45が開かれると、流体室51内に液体が満たされるとともに、基板Wに液体が供給されて、基板W上に存在する研磨液などの異物が除去される。膜厚測定時の光路が透明な液体で満たされるため、高い精度で研磨中の基板Wの膜厚を測定することができる。供給弁44および排出弁45は、膜厚測定ヘッド31の位置によらず、基板Wの研磨中に常時開いてもよいし、膜厚測定ヘッド31が測定位置にあるときのみ開いてもよい。
【0047】
一実施形態では、液体排出流路53を流れる液体の流量は、液体供給流路52を流れる液体の流量の90%から95%の範囲内であり、開口部54から基板Wに供給される液体の流量は、液体供給流路52を流れる液体の流量の5%から10%の範囲内である。開口部54から供給される液体の流量を最小限にすることにより、基板W上の研磨液が希釈されて研磨性能を低下させることを防止できる。
【0048】
図7は、基板Wの膜厚を測定する工程の一例を説明するフローチャートである。
ステップS101では、ステージ10は、基板Wの被研磨面2が上向きの状態で基板Wを支持して、ステージ回転機構はステージ10を回転させる。
ステップS102では、研磨ユニット20は、研磨液供給ノズル28から研磨液を基板Wに供給しながら基板Wの研磨を開始する。
ステップS103では、研磨ヘッド移動機構24は研磨ヘッド21の移動を開始し、膜厚測定ヘッド移動機構37は膜厚測定ヘッド31の移動を開始する。このとき、研磨ヘッド21と、膜厚測定ヘッド31とは互いに接触しないように移動する。
ステップS104では、供給弁44および排出弁45を開き、ヘッドノズル40の流体室51に液体を供給しながら、流体室51から液体を排出する。
【0049】
ステップS105では、膜厚測定ヘッド31を測定位置に移動して、ヘッドノズル40の開口部54を基板Wの表面に近接させ、ヘッドノズル40から基板Wに液体が供給される。
ステップS106では、光源32は光を発し、光を膜厚測定ヘッド31から流体室51および開口部54を通して、基板Wの表面に光を照射する。
ステップS107では、膜厚測定ヘッド31は、流体室51および開口部54を通して、基板Wからの反射光を受ける。
ステップS108では、分光器33は、基板Wからの反射光の強度を波長毎に測定し、反射光の強度測定データをスペクトル解析部34に送る。スペクトル解析部34は、反射光の強度測定データから反射光のスペクトルを生成して、基板Wの膜厚を決定する。
【0050】
ステップS109では、決定された基板Wの膜厚が目標値に達したか否かを判断する。決定された基板Wの膜厚が目標値に達したとき(ステップS109の「YES」)、研磨ユニット20は基板Wの研磨を終了する(ステップS110)。決定された基板Wの膜厚が目標値に達していないとき(ステップS109の「NO」)、研磨ユニット20は基板Wの研磨を継続して、ステップS105~S109を繰り返す。
【0051】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 基板研磨装置
2 被研磨面
10 ステージ
20 研磨ユニット
21 研磨ヘッド
22 研磨パッド
22a 研磨面
23 研磨ヘッドアーム
24 研磨ヘッド移動機構
25 回転シャフト
26 研磨ヘッド回転機構
28 研磨液供給ノズル
30 膜厚測定装置
31 膜厚測定ヘッド
32 光源
33 分光器
34 スペクトル解析部
34a 記憶装置
34b 処理装置
36 膜厚測定ヘッドアーム
37 膜厚測定ヘッド移動機構
38 投光用光ファイバーケーブル
39 受光用光ファイバーケーブル
40 ヘッドノズル
41 ファイバー保持部
42 液体供給ライン
43 液体排出ライン
44 供給弁
45 排出弁
46,47 流量計
48 液体ポンプ
51 流体室
52 液体供給流路
52a 第1接続部
52b 第1配管接続部
53 液体排出流路
53a 第2接続部
53b 上面
53c 第2配管接続部
54 開口部
60 動作制御部
60a 記憶装置
60b 処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7