(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】カメラ位置調整情報生成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20240823BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G06T7/70
G01B11/00 A
(21)【出願番号】P 2020200621
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】川喜田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】新井田 利之
(72)【発明者】
【氏名】久富 健介
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/143263(WO,A1)
【文献】撮影位置への誘導による過去映像と現在風景のシームレスな接続,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.110 No.108,2010年06月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に画像を撮影したときのカメラの位置に、現在に画像を撮影するカメラの位置を合わせるための調整情報を生成するカメラ位置調整情報生成装置において、
撮影対象の座標値を経度成分及び緯度成分にて表す画像であって、過去に撮影された前記画像を過去画像とし、現在に撮影された前記画像を現在画像とし、前記過去画像を撮影した前記カメラを過去カメラとし、前記現在画像を撮影した前記カメラを現在カメラとし、3次元空間の前記過去カメラの位置及び前記現在カメラの位置をそれぞれ過去カメラ位置及び現在カメラ位置とし、
前記過去カメラ位置及び前記現在カメラ位置、並びに、前記過去画像及び前記現在画像に共通して設定されるK点(k=1,2,・・・,K、Kは3以上の整数)のランドマークの位置に対応する3次元空間の位置をそれぞれ所定の水平面に投影した場合に、前記過去カメラ位置を予め設定された過去カメラ水平面座標Oとし、前記現在カメラ位置を現在カメラ水平面座標Pとし、前記K点のランドマークの位置をランドマーク水平面座標qk(=q1,q2,・・・,qK)とし、前記現在カメラ水平面座標Pと前記ランドマーク水平面座標qkとの間の距離をランドマーク水平距離(P-qk)(=P-q1,P-q2,・・・,P-qK)として、
前記現在カメラにより撮影された前記現在画像を取得する取得部と、
ユーザによる操作に従い、前記過去画像の前記ランドマークを過去ランドマークとして指定することで、K点の前記過去画像のカーソール位置のそれぞれをK点の過去ランドマークカーソール位置として出力し、前記現在画像の前記ランドマークを現在ランドマークとして指定することで、K点の前記現在画像のカーソール位置のそれぞれをK点の現在ランドマークカーソール位置として出力するランドマーク指定部と、
前記ユーザによる前記ランドマーク水平面座標qkにおけるそれぞれの位置に対する操作に従って、前記ランドマーク水平距離(P-qk)が、所定のセンサにより測定された前記現在カメラ位置と前記現在ランドマークに対応する3次元空間の位置との間の水平方向の距離に一致するように調整されることで、前記過去カメラ水平面座標Oと前記ランドマーク水平面座標qkとの間の距離を算出し、K点の過去カメラ/ランドマーク水平距離として出力するランドマーク距離調整部と、
前記ランドマーク指定部により出力された前記K点の過去ランドマークカーソール位置及び前記K点の現在ランドマークカーソール位置に対応する画像座標を、それぞれ過去ランドマーク画像座標Qk’(=Q1’,Q2’,・・・,QK’)及び現在ランドマーク画像座標Qk(=Q1,Q2,・・・,QK)として、
前記過去ランドマーク画像座標Qk’及び前記ランドマーク距離調整部により出力された前記K点の過去カメラ/ランドマーク水平距離に基づいて、前記ランドマーク水平面座標qkを求め、
前記現在ランドマーク画像座標Qkの経度成分の座標値に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした2つの前記ランドマーク水平面座標qkの間の角度を算出し、前記過去カメラ水平面座標O、前記ランドマーク水平面座標qk及び前記角度に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを求め、
前記現在カメラ水平面座標P及び前記ランドマーク水平面座標qkに基づいて、前記ランドマーク水平距離(P-qk)を求め、
前記過去カメラ水平面座標O及び前記現在カメラ水平面座標Pに基づいて、前記過去カメラ位置に前記現在カメラ位置を合わせるための水平方向の向き及び距離からなる水平位置調整情報を求める現在カメラ水平位置推定部と、
前記過去ランドマーク画像座標Qk’及び前記現在ランドマーク画像座標Qkに基づいて、前記水平面に直交する垂直面に投影された前記過去カメラ位置及び前記現在カメラ位置を基準にして、前記垂直面に投影された前記ランドマーク水平面座標qkに対応する位置と水平方向との間の角度αk’(α1’,α2’,・・・,αK’)及び角度αk(α1,α2,・・・,αK)をそれぞれ求め、
前記角度αk’及び前記角度αk、並びに前記現在カメラ水平位置推定部により求めた前記ランドマーク水平距離(P-qk)に基づいて、前記過去カメラ位置に前記現在カメラ位置を合わせるための垂直方向の高さからなる垂直位置調整情報を求める現在カメラ垂直位置推定部と、
前記過去画像、及び前記取得部により取得された前記現在画像を表示すると共に、前記ランドマーク指定部により出力された前記K点の過去ランドマークカーソール位置のマーク及び前記K点の現在ランドマークカーソール位置のマークを、前記過去画像及び前記現在画像にそれぞれ表示し、
前記過去カメラ水平面座標O、前記現在カメラ水平位置推定部により求めた前記ランドマーク水平面座標qk、前記現在カメラ水平面座標P、前記ランドマーク水平距離(P-qk)及び前記水平位置調整情報、並びに前記現在カメラ垂直位置推定部により求めた前記垂直位置調整情報を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とするカメラ位置調整情報生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、
前記現在カメラ水平位置推定部は、
前記K点の過去ランドマークカーソール位置を前記過去ランドマーク画像座標Qk’に変換し、前記K点の現在ランドマークカーソール位置を前記現在ランドマーク画像座標Qkに変換する第1ランドマーク画像座標変換部と、
前記過去カメラ水平面座標Oと前記ランドマーク水平面座標qkとの間の予め設定されたK点の過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離、または前記K点の過去カメラ/ランドマーク水平距離に基づいて、前記第1ランドマーク画像座標変換部により変換された前記過去ランドマーク画像座標Qk’を前記ランドマーク水平面座標qkに変換するランドマーク水平面座標変換部と、
前記第1ランドマーク画像座標変換部により変換された前記現在ランドマーク画像座標Qkの経度成分の座標値に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした2つの前記ランドマーク水平面座標qkの間の前記角度を算出し、前記過去カメラ水平面座標O、前記ランドマーク水平面座標qk及び前記角度に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを推定する現在カメラ水平面座標推定部と、
前記現在カメラ水平面座標推定部により推定された前記現在カメラ水平面座標Pと前記ランドマーク水平面座標変換部により変換された前記ランドマーク水平面座標qkとの間の距離を、前記ランドマーク水平距離(P-qk)として求めるランドマーク水平距離算出部と、
前記過去カメラ水平面座標O及び前記現在カメラ水平面座標推定部により推定された前記現在カメラ水平面座標Pに基づいて、前記水平位置調整情報を求める水平位置調整情報処理部と、
を備えたことを特徴とするカメラ位置調整情報生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、
前記現在カメラ水平面座標推定部は、
K点のうちの所定の2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qk及び前記現在カメラ水平面座標Pを通る円の方程式、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした前記2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qkの間の前記角度を用いた正弦定理の式、K点のうちの他の2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qk及び前記現在カメラ水平面座標Pを通る円の方程式、及び、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした前記他の2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qkの間の前記角度を用いた正弦定理の式に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを推定する、ことを特徴とするカメラ位置調整情報生成装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、
前記現在カメラ垂直位置推定部は、
前記K点の過去ランドマークカーソール位置を前記過去ランドマーク画像座標Qk’に変換し、前記K点の現在ランドマークカーソール位置を前記現在ランドマーク画像座標Qkに変換する第2ランドマーク画像座標変換部と、
前記第2ランドマーク画像座標変換部により変換された前記過去ランドマーク画像座標Qk’の緯度成分の座標値に基づいて、前記角度αk’を求め、前記現在ランドマーク画像座標Qkの緯度成分の座標値に基づいて、前記角度αkを求める角度処理部と、
前記角度処理部により求めた前記角度αk’及び前記角度αkをそれぞれ角度α’及び角度αとし、前記ランドマーク水平距離(P-qk)を距離dとし、前記垂直面に投影された前記過去カメラ位置と前記現在カメラ位置との間の距離を示す高さhk(h1,h2,・・・,hK)を高さhとして、数式:h=d(tan(α)-tan(α’))により、前記高さhkを算出する高さ算出部と、
前記高さ算出部により算出された前記高さhkの全てが正の値である場合、または前記高さhkの全てが負の値である場合、絶対値が最も小さい前記高さhkを特定し、特定した前記hkを前記垂直位置調整情報として求める垂直位置調整情報処理部と、
を備えたことを特徴とするカメラ位置調整情報生成装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、
さらに、前記ユーザによる前記現在カメラ位置の変更に伴い、前記ランドマーク指定部により出力された前記K点の現在ランドマークカーソール位置をそれぞれトラッキングするトラッキング処理部を備え、
前記トラッキング処理部は、
前記K点の現在ランドマークカーソール位置のそれぞれについて、前記取得部により取得された前記現在画像の当該現在ランドマークカーソール位置の周辺画像と所定のテンプレート画像との間でマッチング処理を行い、マッチングした前記周辺画像をランドマーク画像として切り出し、前記ランドマーク画像を新たな前記テンプレート画像に設定し、前記ランドマーク画像内の所定位置を新たな現在ランドマークカーソール位置に設定する画像切出部と、
前記画像切出部により設定されたK点の前記新たな現在ランドマークカーソール位置を、トラッキング後のK点の現在ランドマークカーソール位置として出力するトラッキング部と、を備え、
前記現在カメラ水平位置推定部は、
前記トラッキング部により出力された前記トラッキング後のK点の現在ランドマークカーソール位置に対応する画像座標を、前記現在ランドマーク画像座標Qkとする、ことを特徴とするカメラ位置調整情報生成装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、
さらに、前記ユーザによる操作に従い、前記過去画像の前記ランドマークを前記過去ランドマークとして指定することで、前記過去画像のカーソール位置を前記過去画像内の特徴点位置にスナップし、前記現在画像の前記ランドマークを前記現在ランドマークとして指定することで、前記現在画像のカーソール位置を前記現在画像内の特徴点位置にスナップするスナップ処理部を備え、
前記スナップ処理部は、
前記過去画像及び前記現在画像から複数の特徴点位置をそれぞれ抽出する特徴点抽出部と、
前記カーソール位置が前記過去画像の領域内に存在する場合、前記特徴点抽出部により前記過去画像から抽出された前記複数の特徴点位置のうち前記カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、前記カーソール位置を、特定した前記特徴点位置にスナップし、スナップ後の前記カーソール位置を前記過去画像のカーソール位置として前記ランドマーク指定部に出力し、
前記カーソール位置が前記現在画像の領域内に存在する場合、前記現在画像から抽出された前記複数の特徴点位置のうち前記カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、前記カーソール位置を、特定した前記特徴点位置にスナップし、スナップ後の前記カーソール位置を前記現在画像のカーソール位置として前記ランドマーク指定部に出力するスナップ部と、
前記ランドマーク指定部は、
前記スナップ部から前記過去画像のカーソール位置及び前記現在画像のカーソール位置をそれぞれ入力し、K点の前記過去画像のカーソール位置のそれぞれを前記K点の過去ランドマークカーソール位置として出力し、K点の前記現在画像のカーソール位置のそれぞれを前記K点の現在ランドマークカーソール位置として出力する、ことを特徴とするカメラ位置調整情報生成装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から6までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの位置を調整するための情報を生成するカメラ位置調整情報生成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視聴者がコントローラを操作することで、現在に撮影された映像と過去に撮影された映像とを、ワイプして切り替える装置(360度映像プレイヤー)の開発が進められている(非特許文献1,2を参照)。
【0003】
図19は、360度映像プレイヤーにより、現在に撮影された映像(After映像、以下、「現在映像AA」という。)及び過去に撮影された映像(Before映像、以下、「過去映像BB」という。)がワイプして切り替えられる状態を説明する図である。視聴者100は、HMD(Head Mounted Display:ヘッドマウントディスプレイ)101を装着し、VR(Virtual Reality:仮想現実)の技術により、現在映像AAを視聴しているものとする。
【0004】
視聴者100は、コントローラ103を操作し、境界線102を左から右へ移動させることで、境界線102から左側に過去映像BBが現れる。そして、視聴者100は、左側の領域にて過去映像BBを視聴し、右側の領域にて現在映像AAを視聴する。つまり、視聴者100は、コントローラ103の操作により、現在映像AAと過去映像BBとをワイプして切り替えることができる。
【0005】
このような360度映像プレイヤーでは、過去映像BBと現在映像AAとの間の空間的な位置関係を合わせるために、現在映像AAの撮影の際に、過去映像BBの撮影時と同じ位置にカメラが設置される必要がある。
【0006】
現在映像AAのカメラが過去映像BBのカメラと同じ位置に設置されない場合には、現在映像AAが過去映像BBに対してずれることとなり、両映像をワイプして切り替えたときに、視聴者100は違和感を覚えるからである。
【0007】
従来、現在映像AAのカメラ位置を過去映像BBのカメラ位置に合わせるための調整は、撮影者(ユーザ)が現在映像AAを撮影する際に、過去映像BB及び現在映像AAを目視しながら手動で行っていた。具体的には、ユーザは、過去映像BBから抽出した1フレームのエクイレクタングラー形式の画像と、現在映像AAを撮影するカメラによりライブ出力されるエクイレクタングラー形式の映像とを見比べながら、カメラ位置の調整を行っていた。
【0008】
ここで、エクイレクタングラー形式は、正距円筒図法の形式であり、地図を表すメルカトル図法に準じた形式である。エクイレクタングラー形式の画像は、メルカトル図法の画像のように、3次元空間の撮影対象を、球面の経度成分及び緯度成分の座標値にて表現する画像であるが、カメラからの距離は表現されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】“Diverse Vision “Before/After”VR 360 video comparison beyond time”、[online]、日本放送協会、[令和2年10月12日検索]、インターネット<URL:https://www.nhk.or.jp/strl/english/ibc2020/b5.html>
【文献】H.Kawakita, T.Niida, and K.Hisatomi,“Development of a 360 Video Player for Head-Mounted Display to Enable Comparison Between Before and After Incident”,Forum on Information Technology 2020 (FIT2020),Part III,K-010,pp.361-363,2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、過去映像BBから抽出したエクイレクタングラー形式の画像と、現在映像AAであるエクイレクタングラー形式の映像とを見比べながら、手動にてカメラ位置の調整を行う手法では、調整が困難であるという問題があった。
【0011】
エクイレクタングラー形式の画像及び映像は、直感的に位置関係を認識することが困難であり、位置ずれがあることがわかったとしても、カメラをどの方向にどの程度移動させればよいのかがわかり難い。このため、ユーザは、試行錯誤のうえ調整することとなり、位置ずれが生じた状態で調整を妥協することが多かった。ここで、過去映像BBから抽出したエクイレクタングラー形式の画像を過去画像といい、現在映像AAから抽出したエクイレクタングラー形式の画像を現在画像という。
【0012】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、過去画像と現在画像の空間的な位置関係を合わせるために、現在画像を撮影するカメラの位置を調整する際に用いるカメラ位置調整情報を生成可能なカメラ位置調整情報生成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1のカメラ位置調整情報生成装置は、過去に画像を撮影したときのカメラの位置に、現在に画像を撮影するカメラの位置を合わせるための調整情報を生成するカメラ位置調整情報生成装置において、撮影対象の座標値を経度成分及び緯度成分にて表す画像であって、過去に撮影された前記画像を過去画像とし、現在に撮影された前記画像を現在画像とし、前記過去画像を撮影した前記カメラを過去カメラとし、前記現在画像を撮影した前記カメラを現在カメラとし、3次元空間の前記過去カメラの位置及び前記現在カメラの位置をそれぞれ過去カメラ位置及び現在カメラ位置とし、
前記過去カメラ位置及び前記現在カメラ位置、並びに、前記過去画像及び前記現在画像に共通して設定されるK点(k=1,2,・・・,K、Kは3以上の整数)のランドマークの位置に対応する3次元空間の位置をそれぞれ所定の水平面に投影した場合に、前記過去カメラ位置を予め設定された過去カメラ水平面座標Oとし、前記現在カメラ位置を現在カメラ水平面座標Pとし、前記K点のランドマークの位置をランドマーク水平面座標qk(=q1,q2,・・・,qK)とし、前記現在カメラ水平面座標Pと前記ランドマーク水平面座標qkとの間の距離をランドマーク水平距離(P-qk)(=P-q1,P-q2,・・・,P-qK)として、前記現在カメラにより撮影された前記現在画像を取得する取得部と、ユーザによる操作に従い、前記過去画像の前記ランドマークを過去ランドマークとして指定することで、K点の前記過去画像のカーソール位置のそれぞれをK点の過去ランドマークカーソール位置として出力し、前記現在画像の前記ランドマークを現在ランドマークとして指定することで、K点の前記現在画像のカーソール位置のそれぞれをK点の現在ランドマークカーソール位置として出力するランドマーク指定部と、前記ユーザによる前記ランドマーク水平面座標qkにおけるそれぞれの位置に対する操作に従って、前記ランドマーク水平距離(P-qk)が、所定のセンサにより測定された前記現在カメラ位置と前記現在ランドマークに対応する3次元空間の位置との間の水平方向の距離に一致するように調整されることで、前記過去カメラ水平面座標Oと前記ランドマーク水平面座標qkとの間の距離を算出し、K点の過去カメラ/ランドマーク水平距離として出力するランドマーク距離調整部と、前記ランドマーク指定部により出力された前記K点の過去ランドマークカーソール位置及び前記K点の現在ランドマークカーソール位置に対応する画像座標を、それぞれ過去ランドマーク画像座標Qk’(=Q1’,Q2’,・・・,QK’)及び現在ランドマーク画像座標Qk(=Q1,Q2,・・・,QK)として、前記過去ランドマーク画像座標Qk’及び前記ランドマーク距離調整部により出力された前記K点の過去カメラ/ランドマーク水平距離に基づいて、前記ランドマーク水平面座標qkを求め、前記現在ランドマーク画像座標Qkの経度成分の座標値に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした2つの前記ランドマーク水平面座標qkの間の角度を算出し、前記過去カメラ水平面座標O、前記ランドマーク水平面座標qk及び前記角度に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを求め、前記現在カメラ水平面座標P及び前記ランドマーク水平面座標qkに基づいて、前記ランドマーク水平距離(P-qk)を求め、前記過去カメラ水平面座標O及び前記現在カメラ水平面座標Pに基づいて、前記過去カメラ位置に前記現在カメラ位置を合わせるための水平方向の向き及び距離からなる水平位置調整情報を求める現在カメラ水平位置推定部と、前記過去ランドマーク画像座標Qk’及び前記現在ランドマーク画像座標Qkに基づいて、前記水平面に直交する垂直面に投影された前記過去カメラ位置及び前記現在カメラ位置を基準にして、前記垂直面に投影された前記ランドマーク水平面座標qkに対応する位置と水平方向との間の角度αk’(α1’,α2’,・・・,αK’)及び角度αk(α1,α2,・・・,αK)をそれぞれ求め、前記角度αk’及び前記角度αk、並びに前記現在カメラ水平位置推定部により求めた前記ランドマーク水平距離(P-qk)に基づいて、前記過去カメラ位置に前記現在カメラ位置を合わせるための垂直方向の高さからなる垂直位置調整情報を求める現在カメラ垂直位置推定部と、前記過去画像、及び前記取得部により取得された前記現在画像を表示すると共に、前記ランドマーク指定部により出力された前記K点の過去ランドマークカーソール位置のマーク及び前記K点の現在ランドマークカーソール位置のマークを、前記過去画像及び前記現在画像にそれぞれ表示し、前記過去カメラ水平面座標O、前記現在カメラ水平位置推定部により求めた前記ランドマーク水平面座標qk、前記現在カメラ水平面座標P、前記ランドマーク水平距離(P-qk)及び前記水平位置調整情報、並びに前記現在カメラ垂直位置推定部により求めた前記垂直位置調整情報を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2のカメラ位置調整情報生成装置は、請求項1に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、前記現在カメラ水平位置推定部が、前記K点の過去ランドマークカーソール位置を前記過去ランドマーク画像座標Qk’に変換し、前記K点の現在ランドマークカーソール位置を前記現在ランドマーク画像座標Qkに変換する第1ランドマーク画像座標変換部と、前記過去カメラ水平面座標Oと前記ランドマーク水平面座標qkとの間の予め設定されたK点の過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離、または前記K点の過去カメラ/ランドマーク水平距離に基づいて、前記第1ランドマーク画像座標変換部により変換された前記過去ランドマーク画像座標Qk’を前記ランドマーク水平面座標qkに変換するランドマーク水平面座標変換部と、前記第1ランドマーク画像座標変換部により変換された前記現在ランドマーク画像座標Qkの経度成分の座標値に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした2つの前記ランドマーク水平面座標qkの間の前記角度を算出し、前記過去カメラ水平面座標O、前記ランドマーク水平面座標qk及び前記角度に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを推定する現在カメラ水平面座標推定部と、前記現在カメラ水平面座標推定部により推定された前記現在カメラ水平面座標Pと前記ランドマーク水平面座標変換部により変換された前記ランドマーク水平面座標qkとの間の距離を、前記ランドマーク水平距離(P-qk)として求めるランドマーク水平距離算出部と、前記過去カメラ水平面座標O及び前記現在カメラ水平面座標推定部により推定された前記現在カメラ水平面座標Pに基づいて、前記水平位置調整情報を求める水平位置調整情報処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3のカメラ位置調整情報生成装置は、請求項2に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、前記現在カメラ水平面座標推定部が、K点のうちの所定の2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qk及び前記現在カメラ水平面座標Pを通る円の方程式、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした前記2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qkの間の前記角度を用いた正弦定理の式、K点のうちの他の2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qk及び前記現在カメラ水平面座標Pを通る円の方程式、及び、前記現在カメラ水平面座標Pを基準にした前記他の2点の組み合わせの前記ランドマーク水平面座標qkの間の前記角度を用いた正弦定理の式に基づいて、前記現在カメラ水平面座標Pを推定する、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項4のカメラ位置調整情報生成装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、前記現在カメラ垂直位置推定部が、前記K点の過去ランドマークカーソール位置を前記過去ランドマーク画像座標Qk’に変換し、前記K点の現在ランドマークカーソール位置を前記現在ランドマーク画像座標Qkに変換する第2ランドマーク画像座標変換部と、前記第2ランドマーク画像座標変換部により変換された前記過去ランドマーク画像座標Qk’の緯度成分の座標値に基づいて、前記角度αk’を求め、前記現在ランドマーク画像座標Qkの緯度成分の座標値に基づいて、前記角度αkを求める角度処理部と、前記角度処理部により求めた前記角度αk’及び前記角度αkをそれぞれ角度α’及び角度αとし、前記ランドマーク水平距離(P-qk)を距離dとし、前記垂直面に投影された前記過去カメラ位置と前記現在カメラ位置との間の距離を示す高さhk(h1,h2,・・・,hK)を高さhとして、数式:h=d(tan(α)-tan(α’))により、前記高さhkを算出する高さ算出部と、前記高さ算出部により算出された前記高さhkの全てが正の値である場合、または前記高さhkの全てが負の値である場合、絶対値が最も小さい前記高さhkを特定し、特定した前記hkを前記垂直位置調整情報として求める垂直位置調整情報処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5のカメラ位置調整情報生成装置は、請求項1から4までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、さらに、前記ユーザによる前記現在カメラ位置の変更に伴い、前記ランドマーク指定部により出力された前記K点の現在ランドマークカーソール位置をそれぞれトラッキングするトラッキング処理部を備え、前記トラッキング処理部が、前記K点の現在ランドマークカーソール位置のそれぞれについて、前記取得部により取得された前記現在画像の当該現在ランドマークカーソール位置の周辺画像と所定のテンプレート画像との間でマッチング処理を行い、マッチングした前記周辺画像をランドマーク画像として切り出し、前記ランドマーク画像を新たな前記テンプレート画像に設定し、前記ランドマーク画像内の所定位置を新たな現在ランドマークカーソール位置に設定する画像切出部と、前記画像切出部により設定されたK点の前記新たな現在ランドマークカーソール位置を、トラッキング後のK点の現在ランドマークカーソール位置として出力するトラッキング部と、を備え、前記現在カメラ水平位置推定部が、前記トラッキング部により出力された前記トラッキング後のK点の現在ランドマークカーソール位置に対応する画像座標を、前記現在ランドマーク画像座標Qkとする、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項6のカメラ位置調整情報生成装置は、請求項1から5までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置において、さらに、前記ユーザによる操作に従い、前記過去画像の前記ランドマークを前記過去ランドマークとして指定することで、前記過去画像のカーソール位置を前記過去画像内の特徴点位置にスナップし、前記現在画像の前記ランドマークを前記現在ランドマークとして指定することで、前記現在画像のカーソール位置を前記現在画像内の特徴点位置にスナップするスナップ処理部を備え、前記スナップ処理部が、前記過去画像及び前記現在画像から複数の特徴点位置をそれぞれ抽出する特徴点抽出部と、前記カーソール位置が前記過去画像の領域内に存在する場合、前記特徴点抽出部により前記過去画像から抽出された前記複数の特徴点位置のうち前記カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、前記カーソール位置を、特定した前記特徴点位置にスナップし、スナップ後の前記カーソール位置を前記過去画像のカーソール位置として前記ランドマーク指定部に出力し、前記カーソール位置が前記現在画像の領域内に存在する場合、前記現在画像から抽出された前記複数の特徴点位置のうち前記カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、前記カーソール位置を、特定した前記特徴点位置にスナップし、スナップ後の前記カーソール位置を前記現在画像のカーソール位置として前記ランドマーク指定部に出力するスナップ部と、前記ランドマーク指定部が、前記スナップ部から前記過去画像のカーソール位置及び前記現在画像のカーソール位置をそれぞれ入力し、K点の前記過去画像のカーソール位置のそれぞれを前記K点の過去ランドマークカーソール位置として出力し、K点の前記現在画像のカーソール位置のそれぞれを前記K点の現在ランドマークカーソール位置として出力する、ことを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項7のプログラムは、コンピュータを、請求項1から6までのいずれか一項に記載のカメラ位置調整情報生成装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、過去画像と現在画像の空間的な位置関係を合わせるために、現在画像を撮影するカメラの位置を調整する際に用いるカメラ位置調整情報を生成することができる。そして、ユーザは、カメラ位置調整情報を用いることで、現在画像を撮影するカメラの位置を、過去画像を撮影した位置に簡単にかつ素早く調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例1,2,3のカメラ位置調整情報生成装置を含む全体システムを示す概略図である。
【
図2】実施例1のカメラ位置調整情報生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】ランドマークLM(1),LM(2),LM(3)の指定例を説明する図である。
【
図5】ユーザの操作手順を説明するフローチャートである。
【
図6】現在カメラ水平位置推定部の構成例を示すブロック図である。
【
図7】現在カメラ水平位置推定部の処理例を示すフローチャートである。
【
図8】現在カメラ水平位置推定部の処理例を説明する図である。
【
図9】現在カメラ水平面座標推定部による現在カメラ水平面座標Pの推定処理(ステップS704)を説明する図である。
【
図10】現在カメラ垂直位置推定部の構成例を示すブロック図である。
【
図11】現在カメラ垂直位置推定部の処理例を示すフローチャートである。
【
図12】角度処理部による角度算出処理(ステップS1103)を説明する図である。
【
図13】実施例2のカメラ位置調整情報生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】トラッキング処理部の構成例を示すブロック図である。
【
図15】トラッキング処理部の処理例を示すフローチャートである。
【
図16】実施例3のカメラ位置調整情報生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図17】スナップ処理部の構成例を示すブロック図である。
【
図18】スナップ処理部の処理例を示すフローチャートである。
【
図19】360度映像プレイヤーにより、現在に撮影された映像及び過去に撮影された映像がワイプして切り替えられる状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、ユーザの操作により、過去に撮影されたエクイレクタングラー形式の画像及び現在に撮影されたエクイレクタングラー形式のライブ映像の画像に共通するK点(Kは3以上の整数)のランドマークの画像上の座標と、レーザ測距計等を用いて測定された現在のカメラとランドマークとの間の水平方向の距離を用いて、任意の2つのランドマークを見込む角が地図上において整合するように、過去のカメラの位置から現在のカメラの位置を推定することで、過去のカメラの位置に現在のカメラの位置を合わせるためのカメラ位置調整情報を生成することを特徴とする。
【0023】
これにより、過去に撮影された画像に、現在の画像の空間的な位置関係を合わせるために、現在のカメラの位置を調整する際に用いるカメラ位置調整情報を生成することができる。そして、ユーザは、カメラ位置調整情報を用いることで、現在のカメラの位置を簡単にかつ素早く調整することができる。
【0024】
以下、過去に撮影された3次元空間のエクイレクタングラー形式の画像を「過去画像B」とし、現在に撮影された3次元空間のエクイレクタングラー形式のライブ映像の画像を「現在画像A」とする。また、過去画像Bを撮影したカメラを「過去カメラ」とし、現在画像Aを撮影するカメラを「現在カメラ」とする。また、3次元空間の過去カメラの位置を「過去カメラ位置」とし、3次元空間の現在カメラの位置を「現在カメラ位置」とする。
【0025】
〔全体システム〕
図1は、実施例1,2,3のカメラ位置調整情報生成装置を含む全体システムを示す概略図である。このシステムは、実施例1,2,3のカメラ位置調整情報生成装置1,2,3、カメラ(現在カメラ)4、キャプチャデバイス5及びレーザ測距計6を備えて構成される。カメラ位置調整情報生成装置1,2,3及びキャプチャデバイス5は、USB(Universal Serial Bus)により接続される。また、現在カメラ4及びキャプチャデバイス5は、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)により接続される。
【0026】
カメラ位置調整情報生成装置1,2,3は、現在カメラ4からキャプチャデバイス5を介してライブ映像を入力し、予め蓄積された過去画像Bとライブ映像とを表示する。そして、カメラ位置調整情報生成装置1,2,3は、ユーザの操作により、過去画像B及びこれに対応する現在画像Aに共通して指定されたK点のランドマークの画像上の座標と、レーザ測距計6を用いて測定された水平方向の距離を用いて、任意の2つのランドマークを見込む角が地図上において整合するように、過去カメラの位置から現在カメラ4の水平面上の位置を推定することで、カメラ位置調整情報を生成する。
【0027】
ここで、ランドマークは、過去画像B及び現在画像Aにおいて、カメラ位置調整情報を生成するために必要な基準箇所であり、ユーザにより指定される。
【0028】
現在カメラ4は、現在映像AAであるライブ映像を撮影して出力する360度カメラである。図示しない過去カメラは、過去映像BBを撮影して出力する360度カメラである。ライブ映像は、時系列の複数の現在画像Aにより構成され、過去映像BBは、時系列の複数の過去画像Bにより構成される。
【0029】
キャプチャデバイス5は、現在カメラ4から出力されたHDMI(登録商標)規格のライブ映像を、USB規格のライブ映像に変換する変換器であり、変換後のライブ映像は、カメラ位置調整情報生成装置1,2,3へ出力される。
【0030】
レーザ測距計6は、ユーザの操作により、現在画像Aに対して指定されたK点のランドマークに対応する3次元空間の位置と現在カメラ4との間の水平方向の距離を測定するセンサである。
【0031】
尚、前述のとおり、ランドマークの点数を示すKは3以上の整数であるが、説明を簡単にするため、ランドマークの点数を3(K=3)として説明する。
【0032】
〔実施例1〕
まず、実施例1のカメラ位置調整情報生成装置1について説明する。
図2は、実施例1のカメラ位置調整情報生成装置1の構成例を示すブロック図である。このカメラ位置調整情報生成装置1は、過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17を備えている。
【0033】
過去画像蓄積部10には、過去カメラにより撮影されたエクイレクタングラー形式の過去映像BBの過去画像Bが蓄積されている。過去カメラは、過去映像BBが撮影されたときの3次元空間の所定の固定位置(以下、「過去カメラ位置」という。)に設置されていたものとする。
【0034】
カメラ映像取得部11は、現在カメラ4により撮影されたエクイレクタングラー形式のライブ映像を取得し、ライブ映像を映像及び画像表示部12に出力する。
【0035】
映像及び画像表示部12は、過去画像蓄積部10から過去画像Bを読み出すと共に、カメラ映像取得部11からライブ映像を入力し、過去画像B及びライブ映像を図示しない表示装置へ出力することで、画面上の所定位置に表示する。
【0036】
図3は、表示画面の例を示す図である。この表示画面には、ライブ映像、ランドマーク画像、過去画像B及び水平面地図が表示される。ライブ映像が表示されることは、現在画像Aが表示されることを意味する。
【0037】
図3に示すとおり、映像及び画像表示部12により、ライブ映像が表示画面の左上の領域に表示され、過去画像Bが表示画面の左下の領域に表示される。
【0038】
図2に戻って、ユーザは、画面に表示された過去画像Bに対し、
図1には図示していないポインティングデバイス7を用いて、3点のランドマークを過去ランドマークとして指定するためのクリック操作を行う。
【0039】
ランドマーク指定部13は、ユーザによるポインティングデバイス7の操作に従って、過去画像Bにおけるカーソール位置を入力する。そして、ランドマーク指定部13は、ユーザによるクリック操作に従って、入力したカーソール位置を過去ランドマークカーソール位置に設定することで、過去画像B及び現在画像Aに共通したランドマークLMとして、過去画像Bにおける3点の過去ランドマークを指定する。ランドマーク指定部13は、3点の過去ランドマークカーソール位置を現在カメラ水平位置推定部15及び現在カメラ垂直位置推定部16に出力する。
【0040】
また、ユーザは、画面に表示されたライブ映像の現在画像Aに対し、ポインティングデバイス7を用いて、3点の過去ランドマークにそれぞれ対応する(同じ位置の)3点の現在ランドマークを指定するためのクリック操作を行う。
【0041】
ランドマーク指定部13は、ユーザによるポインティングデバイス7の操作に従って、現在画像Aにおけるカーソール位置を入力する。そして、ランドマーク指定部13は、ユーザによるクリック操作に従って、入力したカーソール位置を現在ランドマークカーソール位置に設定することで、過去画像B及び現在画像Aに共通したランドマークLMとして、3点の過去ランドマークに対応する現在画像Aにおける3点の現在ランドマークを指定する。ランドマーク指定部13は、3点の現在ランドマークカーソール位置を現在カメラ水平位置推定部15及び現在カメラ垂直位置推定部16に出力する。
【0042】
また、
図2には図示していないが、ランドマーク指定部13は、3点の過去ランドマークカーソール位置及び3点の現在ランドマークカーソール位置を映像及び画像表示部12に出力する。これにより、映像及び画像表示部12は、3点の過去ランドマークカーソール位置のマークの表示を含む過去画像Bを表示し、3点の現在ランドマークカーソール位置のマークの表示を含む現在画像Aを表示する。
【0043】
図3の例では、過去画像Bの表示には、3点の過去ランドマークカーソール位置のそれぞれに対する周辺画像であるランドマーク画像LM-kB(k=1,2,3、すなわちLM-1B,LM-2B,LM-3B)が含まれる。また、ライブ映像の表示には、3点の現在ランドマークカーソール位置のそれぞれに対する周辺画像であるランドマーク画像LM-kA(k=1,2,3、すなわちLM-1A,LM-2A,LM-3A)が含まれる。
【0044】
図3を参照して、表示画面の右側に表示された水平面地図は、過去カメラの過去画像Bにおける3点の過去ランドマーク(及びこれに対応するライブ映像の現在画像Aにおける3点の現在ランドマーク)の位置に対応する3次元空間の位置、並びに3次元空間の過去カメラ位置及び現在カメラの位置を所定の水平面に投影した場合の地図である。
【0045】
3次元空間の過去カメラ位置を水平面に投影した座標を「過去カメラ水平面座標O」とし、予め設定されるものとする。また、3次元空間の現在カメラ位置を水平面に投影した座標を「現在カメラ水平面座標P」とする。また、過去カメラの過去画像Bにおける3点の過去ランドマーク(及びこれに対応するライブ映像の現在画像Aにおける3点の現在ランドマーク)の位置に対応する3次元空間の位置を水平面に投影した座標を「ランドマーク水平面座標qk(k=1,2,3、すなわちq1,q2,q3)」とする。ランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点をそれぞれ「ランドマークLM-k(k=1,2,3、すなわちLM-1,LM-2,LM-3)」とする。
【0046】
水平面において、現在カメラ水平面座標Pの点とランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点(ランドマークLM-1,LM-2,LM-3)との間の距離を「ランドマーク水平距離(P-qk)(k=1,2,3、すなわちP-q1,P-q2,P-q3)」とする。
【0047】
ランドマークLM-1において、Up:0.10mは、高さ0.10mであることを示しており、後述する現在カメラ垂直位置推定部16により算出される高さh1に相当する。また、ランドマークLM-2において、Up:0.03mは、高さ0.03mであることを示しており、後述する現在カメラ垂直位置推定部16により算出される高さh2に相当する。また、ランドマークLM-3において、Up:0.06mは、高さ0.06mであることを示しており、後述する現在カメラ垂直位置推定部16により算出される高さh3に相当する。
【0048】
水平面地図の上部には、水平位置調整情報及び垂直位置調整情報が表示される。水平位置調整情報は、水平方向の向き(矢印の向き)及び水平方向の距離からなる。この例では、水平方向の向きは、現在カメラ水平面座標Pの点を基準にランドマークLM-2方向であり、水平方向の距離は0.04mである。つまり、この水平位置調整情報は、3次元空間の水平面において、現在カメラ4を、ランドマークLM-2が存在する約45度の方向へ向けて0.04m移動させることで、現在カメラ4の水平位置を過去カメラ位置に合わせることができることを意味する。
【0049】
また、垂直位置調整情報は、垂直方向の高さからなり、この例では、垂直方向の高さは0.03mである。つまり、この垂直位置調整情報は、3次元空間の垂直面において、現在カメラ4を鉛直方向の上向きへ0.03m移動させることで、現在カメラ4の鉛直位置を過去カメラ位置に合わせることができることを意味する。水平位置調整情報は、後述する現在カメラ水平位置推定部15により推定され、垂直位置調整情報は、後述する現在カメラ垂直位置推定部16により推定される。
【0050】
図2に戻って、ユーザは、画面に表示された水平面地図のランドマークLM-1,LM-2,LM-3のそれぞれに対し、
図1には図示していないポインティングデバイス7を用いて、ランドマークLM-1,LM-2,LM-3(ランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点)を過去カメラ水平面座標Oの点へ近づけたり遠ざけたりすることで、現在カメラ水平面座標Pの点とランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点との間のランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を調整するためのドラッグ操作を行う。
【0051】
具体的には、ユーザは、レーザ測距計6を用いて、現在カメラ水平面座標Pの点と3点の現在ランドマークに対応する3次元空間の位置との間の水平方向の距離(以下、「測距値」という。)をそれぞれ測定する。そして、ユーザは、画面に表示された水平面地図のランドマークLM-1,LM-2,LM-3のそれぞれを過去カメラ水平面座標Oの点に近づけたり遠ざけたりすることで、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が測距値に一致するように、ドラッグ操作を行う。
【0052】
ランドマーク距離調整部14は、後述する現在カメラ水平位置推定部15から初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3(後述する過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離から求めたランドマーク水平面座標q1,q2,q3)を入力し、ユーザによるドラッグ操作に従ってカーソール位置を入力する。
【0053】
ここで、ランドマーク距離調整部14は、ドラッグ操作に従って入力するカーソール位置を、初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点と予め設定された過去カメラ水平面座標Oの点との間における(点を通る)直線上にそれぞれ限定する。すなわち、後述する
図8(1)のドラッグ操作前の水平面地図において、ドラッグ操作は、ランドマークLM-1,LM-2,LM-3と過去カメラ水平面座標Oの点との間における(点を通る)直線上に限定される。
【0054】
ランドマーク距離調整部14は、ドラッグ操作に従って、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が測距値に一致するように調整されることで、ドラッグ操作時のカーソール位置(水平面座標の点)と予め設定された過去カメラ水平面座標Oの点との間の距離(以下、「過去カメラ/ランドマーク水平距離」という。)を算出し、過去カメラ/ランドマーク水平距離を現在カメラ水平位置推定部15に出力する。
【0055】
現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク指定部13から3点の現在ランドマークカーソール位置及び3点の過去ランドマークカーソール位置を入力し、ランドマークLM-1,LM-2,LM-3と過去カメラ水平面座標Oの点との間の予め設定された固定距離(以下、「過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離」という。)を入力する。また、現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク距離調整部14からドラッグ操作時の過去カメラ/ランドマーク水平距離を入力する。
【0056】
現在カメラ水平位置推定部15は、3点の現在ランドマークカーソール位置を、エクイレクタングラー形式の画像の座標であるランドマークエクイレクタングラー座標(現在ランドマーク画像座標)Qk(k=1,2,3、すなわちQ1,Q2,Q3)にそれぞれ変換する。また、現在カメラ水平位置推定部15は、3点の過去ランドマークカーソール位置をランドマークエクイレクタングラー座標(過去ランドマーク画像座標)Qk’(k=1,2,3、すなわちQ1’,Q2’,Q3’)にそれぞれ変換する。
【0057】
現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’及び過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離に基づいて、初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3を求める。また、現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’及び過去カメラ/ランドマーク水平距離に基づいて、ドラッグ操作時のランドマーク水平面座標q1,q2,q3を求める。
【0058】
現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3等に基づいて、現在カメラ水平面座標Pを推定する。すなわち、現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3から任意の2つのランドマーク(例えばLM-1,LM-2)を見込む角を求める。そして、現在カメラ水平位置推定部15は、現在カメラ4の水平位置が取り得る候補を水平面地図において作図すると円弧状になるため、2組のランドマークから得られる2つの円弧の交点を現在カメラ4の水平位置(現在カメラ水平面座標P)として推定する。詳細については後述する。また、現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報を求める。
【0059】
現在カメラ水平位置推定部15は、初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3をランドマーク距離調整部14に出力する。また、現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を現在カメラ垂直位置推定部16に出力する。さらに、現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報を地図表示部17に出力する。現在カメラ水平位置推定部15の詳細については後述する。
【0060】
現在カメラ垂直位置推定部16は、ランドマーク指定部13から3点の過去ランドマークカーソール位置及び3点の現在ランドマークカーソール位置を入力する。また、現在カメラ垂直位置推定部16は、現在カメラ水平位置推定部15からランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を入力する。
【0061】
現在カメラ垂直位置推定部16は、3点の過去ランドマークカーソール位置をランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’にそれぞれ変換し、3次元空間の水平面に直交する垂直面に投影された過去カメラ位置を基準にして、垂直面に投影されたランドマーク水平面座標q1,q2,q3に対応する位置と水平方向との間の角度αk’(k=1,2,3、すなわちα1’,α2’,α3’)を求める(後述する
図12を参照)。
【0062】
また、現在カメラ垂直位置推定部16は、3点の現在ランドマークカーソール位置をランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3にそれぞれ変換し、3次元空間の水平面に直交する垂直面に投影された現在カメラ位置を基準にして、垂直面に投影されたランドマーク水平面座標q1,q2,q3に対応する位置と水平方向との間の角度αk(k=1,2,3、すなわちα1,α2,α3)を求める(後述する
図12を参照)。
【0063】
現在カメラ垂直位置推定部16は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び角度α1,α2,α3,α1’,α2’,α3’に基づいて、垂直面に投影された過去カメラ位置と現在カメラ位置との間の距離を高さhk(k=1,2,3、すなわちh1,h2,h3)としてそれぞれ求め、垂直位置調整情報を求める(後述する
図12を参照)。尚、後述する
図12において、過去カメラ位置及び現在カメラ位置が同じ垂直方向の軸上にあるのは、現在カメラ水平位置推定部15により求めた水平位置調整情報の指示に従い、ユーザによる現在カメラ4の水平移動の操作によって、水平面上で同じ位置に調整されているからである。
【0064】
現在カメラ垂直位置推定部16は、高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報を地図表示部17に出力する。現在カメラ垂直位置推定部16の詳細については後述する。
【0065】
地図表示部17は、現在カメラ水平位置推定部15からランドマーク水平面座標q1,q2,q3、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報を入力する。また、地図表示部17は、現在カメラ垂直位置推定部16から高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報を入力する。
【0066】
地図表示部17は、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)、水平位置調整情報、高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報を図示しない表示装置へ出力することで、
図3に示したとおり、水平面地図として画面上の所定位置に表示する。
【0067】
図3に示したとおり、地図表示部17により、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)、水平位置調整情報、高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報が、表示画面の右側の領域に表示される。
【0068】
また、地図表示部17は、ランドマーク水平面座標q1,q2及び現在カメラ水平面座標Pに基づいて、現在カメラ水平面座標Pの点を基準にして、ランドマーク水平面座標q1,q2の点間の角度xn_1,2 angleを求めて表示する。また、地図表示部17は、ランドマーク水平面座標q2,q3及び現在カメラ水平面座標Pに基づいて、現在カメラ水平面座標Pの点を基準にして、ランドマーク水平面座標q2,q3の点間の角度xn_2,3 angleを求めて表示する。
【0069】
これにより、ユーザは、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が測距値に一致するようにドラッグ操作を行った後の水平位置調整情報を認識することができ、これに従い、現在カメラ4を水平移動させることができる。また、ユーザは、現在カメラ4を水平移動させた後の垂直位置調整情報を認識することができ、これに従い、現在カメラ4を垂直移動させることができる。
【0070】
〔ユーザの操作手順〕
次に、カメラ位置調整情報生成装置1及びレーザ測距計6を使用するユーザの操作手順について説明する。
【0071】
まず、前提条件として以下の<a>~<c>が必要である。
<a>現在カメラ4は、水準器等を用いて常に水平が保たれていること(現在カメラ4のレンズの光軸が水平方向と一致すること)。
<b>過去画像B及びライブ映像の現在画像Aにおいて、対応するランドマークLMが3点以上指定できること。また、3点以上のランドマークLMは、過去画像B及び現在画像Aのそれぞれにおいて、東西方向の横軸を経度成分を表すx軸、南北方向の縦軸を緯度成分を表すy軸とした場合、xの値(経度成分の座標値)が異なるものとする。
<c>レーザ測距計6等を用いて、現在カメラ位置と、ライブ映像の現在画像Aにおける3点以上のランドマークLMに対応する3次元空間の位置との間の水平方向の距離が測定できること。
【0072】
図4は、ランドマークLM(1),LM(2),LM(3)の指定例を説明する図であり、前記<b>において、K=3の場合を示している。
図4の左側に示すように、過去画像B及び現在画像Aのそれぞれにおいて、例えばランドマークLM(1),LM(2),LM(3)のうちの少なくとも2点(ランドマークLM(2),LM(3))につき、xy軸のxの値である経度成分の座標値が同じ場合、前記<b>の条件を満たさない。
【0073】
また、
図4の右側に示すように、過去画像B及び現在画像Aのそれぞれにおいて、ランドマークLM(1),LM(2),LM(3)は、xy軸のxの値である経度成分の座標値が異なっていれば、yの値である緯度成分の座標値が同じであってもよい。
【0074】
図5は、ユーザの操作手順を説明するフローチャートである。ユーザは、画面表示された過去画像B及びライブ映像の現在画像Aに対し、対応するそれぞれ3点のランドマークLMをクリック操作する(ステップS501)。
【0075】
具体的には、ユーザは、以下のステップS501-1~S501-6の操作を行う。
(ステップS501-1):過去画像Bにおいて、第1のランドマークLMをクリック
(ステップS501-2):ライブ映像の現在画像Aにおいて、対応する第1のランドマークLMをクリック
(ステップS501-3):過去画像Bにおいて、第2のランドマークLMをクリック
(ステップS501-4):ライブ映像の現在画像Aにおいて、対応する第2のランドマークLMをクリック
(ステップS501-5):過去画像Bにおいて、第3のランドマークLMをクリック
(ステップS501-6):ライブ映像の現在画像Aにおいて、対応する第3のランドマークLMをクリック
【0076】
これにより、
図2に示したランドマーク指定部13にて、3点の過去ランドマークカーソール位置及び3点の現在ランドマークカーソール位置が指定される。そして、現在カメラ水平位置推定部15にて、予め設定された過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離を用いてランドマーク水平面座標q1,q2,q3が求められ、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報が求められる。また、現在カメラ垂直位置推定部16にて、高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報が求められる。そして、これらの情報を含む水平面地図が画面表示される。
【0077】
ユーザは、レーザ測距計6を用いて、現在カメラ4と同じ位置のレーザ測距計6から3点のランドマークLMに対応する3次元空間の位置までの間の水平方向の距離(測距値)を測定する(ステップS502)。
【0078】
ユーザは、画面表示された水平面地図を参照して、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が対応する測距値に一致するように、水平面地図における3点のランドマークLM-1,LM-2,LM-3を順番にドラッグ操作する(ステップS503)。
【0079】
具体的には、ユーザは、以下のステップS503-1~S503-4の操作を行う。
(ステップS503-1):水平面地図のランドマークLM-1をドラッグ操作することで、ランドマーク水平距離(P-q1)を対応する測距値に調整
(ステップS503-2):水平面地図のランドマークLM-2をドラッグ操作することで、ランドマーク水平距離(P-q2)を対応する測距値に調整
(ステップS503-3):水平面地図のランドマークLM-3をドラッグ操作することで、ランドマーク水平距離(P-q3)を対応する測距値に調整
(ステップS503-4): ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を再確認し、所定の閾値以上にずれている場合、ステップS503-1~S503-3の操作を再実行
【0080】
これにより、ステップS503-1~S503-3のドラッグ操作毎に、ランドマーク距離調整部14にて、過去カメラ/ランドマーク水平距離が求められる。そして、現在カメラ水平位置推定部15にて、過去カメラ/ランドマーク水平距離を用いてランドマーク水平面座標q1,q2,q3が求められ、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報が求められる。また、現在カメラ垂直位置推定部16にて、高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報が求められる。
【0081】
そして、これらの情報を含む水平面地図の画面表示が更新され、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が対応する測距値に一致したときの(対応する測距値に対して所定誤差内で一致したときの)水平位置調整情報が確定する。
【0082】
ユーザは、現在カメラ4の水平移動の操作(後述するステップS505)が済みでないとして(ステップS504:N)、画面表示された水平面地図を参照しながら、現在カメラ4を、確定した水平位置調整情報の示す方向及び距離に水平移動させる(ステップS505)。そして、ユーザは、ステップS501~S503の操作をやり直す。これにより、現在カメラ水平位置推定部15にて、現在カメラ水平面座標P等が求められ、現在カメラ垂直位置推定部16にて、高さh1,h2,h3及び垂直位置調整情報が求められ、垂直位置調整情報が確定する。
【0083】
ユーザは、ステップS501~S503の操作を完了した後、現在カメラ4の水平移動の操作(ステップS504)が済みであるとして(ステップS504:Y)、現在カメラ4を、確定した垂直位置調整情報の示す高さに垂直移動させる(ステップS506)。
【0084】
このように、ユーザは、ドラッグ操作後に画面表示された水平位置調整情報に従い、現在カメラ4を水平方向の所定距離だけ移動させ、水平方向の移動操作後に画面表示された垂直位置調整情報に従い、現在カメラ4を垂直方向の所定距離だけ移動させる。これにより、過去カメラ位置に現在カメラ位置を簡単にかつ素早く調整することができる。
【0085】
(現在カメラ水平位置推定部15)
次に、
図2に示した現在カメラ水平位置推定部15について詳細に説明する。
図6は、現在カメラ水平位置推定部15の構成例を示すブロック図であり、
図7は、現在カメラ水平位置推定部15の処理例を示すフローチャートである。
図8は、現在カメラ水平位置推定部15の処理例を説明する図である。
【0086】
この現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマークエクイレクタングラー座標変換部(ランドマーク画像座標変換部)20、ランドマーク水平面座標変換部21、現在カメラ水平面座標推定部22、ランドマーク水平距離算出部23及び水平位置調整情報処理部24を備えている。
【0087】
現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク指定部13から3点の現在ランドマークカーソール位置及び3点の過去ランドマークカーソール位置を入力し、予め設定された過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離を入力し、ランドマーク距離調整部14からドラッグ操作時の過去カメラ/ランドマーク水平距離を入力する(ステップS701)。
【0088】
ランドマークエクイレクタングラー座標変換部20は、3点の現在ランドマークカーソール位置を現在画像Aのランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3にそれぞれ変換し、3点の過去ランドマークカーソール位置を過去画像Bのランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’にそれぞれ変換する(ステップS702)。これにより、画面のカーソール位置の座標が、エクイレクタングラー形式の画像の経度成分及び緯度成分を示す座標に変換される。
【0089】
ランドマークエクイレクタングラー座標変換部20は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3を現在カメラ水平面座標推定部22に出力し、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’をランドマーク水平面座標変換部21に出力する。
【0090】
ランドマーク水平面座標変換部21は、ランドマークエクイレクタングラー座標変換部20からランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’を入力する。また、ランドマーク水平面座標変換部21は、ドラッグ操作前の初期処理のときに、予め設定された過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離を入力し、ドラッグ操作のときに、ランドマーク距離調整部14からドラッグ操作時の過去カメラ/ランドマーク水平距離を入力する。
【0091】
ランドマーク水平面座標変換部21は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’及び過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離または過去カメラ/ランドマーク水平距離から、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3を生成し、現在カメラ水平面座標推定部22、ランドマーク水平距離算出部23及び地図表示部17に出力する(ステップS703)。
【0092】
尚、ランドマーク水平面座標変換部21は、初期処理のときに生成した初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3を、ランドマーク距離調整部14にも出力する。
【0093】
エクイレクタングラー形式の画像においては、過去カメラ位置からランドマークLMへの向きは既知であるが、距離は未知である。このため、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’のみでは、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3を特定することができない。そこで、ドラッグ操作前においては、予め設定された暫定的な固定値である過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離を用い、ドラッグ操作時においては、ランドマーク距離調整部14から入力した過去カメラ/ランドマーク水平距離を用いることで、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3を特定することができる。
【0094】
具体的には、ランドマーク水平面座標変換部21は、ドラッグ操作前に、予め設定された過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離を用いて、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’をランドマーク水平面座標q1,q2,q3に変換する。また、ランドマーク水平面座標変換部21は、ドラッグ操作時に、ドラッグ操作時のカメラ/ランドマーク水平距離を用いて、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’をランドマーク水平面座標q1,q2,q3に変換する。
【0095】
図8(1)のドラッグ操作前の例において、水平面地図には、ランドマークLM-1,LM-2,LM-3の過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離をそれぞれ2.0mとした場合の初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3が示されている。過去カメラ水平面座標Oは予め設定され、その座標は(0.0,0.0)とする。
【0096】
また、
図8(2)のドラッグ操作後の例において、水平面地図には、ドラッグ操作が完了したときのランドマークLM-1,LM-2,LM-3の過去カメラ/ランドマーク水平距離におけるランドマーク水平面座標q1,q2,q3が示されている。
【0097】
このドラッグ操作後の水平面地図は、ドラッグ操作前の水平地図におけるランドマークLM-1,LM-2,LM-3のユーザによるドラッグ操作にて、後述するランドマーク水平距離算出部23により算出されたランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が、レーザ測距計6を用いて測定した測距値と一致するように調整した後の地図である。尚、ドラッグ操作は、
図8(1)のドラッグ操作前の水平面地図に示すとおり、ランドマークLM-1,LM-2,LM-3と過去カメラ水平面座標Oの点との間における(点を通る)直線上の位置に限定される。
【0098】
現在カメラ水平面座標推定部22は、ランドマークエクイレクタングラー座標変換部20からランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3を入力し、ランドマーク水平面座標変換部21からランドマーク水平面座標q1,q2,q3を入力する。そして、現在カメラ水平面座標推定部22は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3の経度成分の座標値に基づいて、現在カメラ水平面座標Pを基準にしたランドマーク水平面座標q1,q2,q3間の角度を算出する。
【0099】
現在カメラ水平面座標推定部22は、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、角度及び予め設定された過去カメラ水平面座標Oに基づいて、現在カメラ水平面座標Pを推定する。現在カメラ水平面座標推定部22は、現在カメラ水平面座標Pをランドマーク水平距離算出部23、水平位置調整情報処理部24及び地図表示部17に出力する(ステップS704)。
【0100】
図8(1)のドラッグ操作前の水平面地図には、調整前のランドマーク水平面座標q1,q2,q3及び過去カメラ水平面座標O(0.0,0.0)等に基づいて推定された現在カメラ水平面座標P(0.1,0.4)が示されている。ユーザによるランドマークLM-1,LM-2,LM-3のドラッグ操作が行われると、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3が変化するため、現在カメラ水平面座標Pも変化する。また、この水平面地図には、現在カメラ水平面座標Pを基準にしたランドマーク水平面座標q1,q2間の角度263°及びランドマーク水平面座標q2,q3間の角度41°が示されている。
【0101】
また、
図8(2)のドラッグ操作後の水平面地図には、ドラッグ操作が完了したときのランドマーク水平面座標q1,q2,q3及び過去カメラ水平面座標O(0.0,0.0)等に基づいて推定された現在カメラ水平面座標P(0.1,0.2)が示されている。また、この水平面地図には、現在カメラ水平面座標Pを基準にしたランドマーク水平面座標q1,q2間の角度263°及びランドマーク水平面座標q2,q3間の角度41°が示されている。
【0102】
図9は、現在カメラ水平面座標推定部22による現在カメラ水平面座標Pの推定処理(ステップS704)を説明する図である。
図9の左側には、水平面地図が示されている。
【0103】
過去カメラ水平面座標O(x
O,y
O)は既知であり、ランドマーク水平面座標q1(x
q1,y
q1)及びランドマーク水平面座標q2(x
q2,y
q2)は既知と仮定する。また、
図9の水平面地図には示してないが、ランドマーク水平面座標q3(x
q3,y
q3)も既知と仮定する。
【0104】
また、過去カメラ水平面座標Oを基準にしたランドマーク水平面座標q1の点とランドマーク水平面座標q2の点との間の角度θO1,2、過去カメラ水平面座標Oを基準にしたランドマーク水平面座標q2の点とランドマーク水平面座標q3の点との間の角度θO2,3(図示せず)、現在カメラ水平面座標Pを基準にしたランドマーク水平面座標q1の点とランドマーク水平面座標q2の点との間の角度θP1,2、及び現在カメラ水平面座標Pを基準にしたランドマーク水平面座標q2の点とランドマーク水平面座標q3の点との間の角度θP2,3(図示せず)も既知である。推定対象の現在カメラ水平面座標Pを(xp,yp)とする。
【0105】
角度θO1,2,θO2,3は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’の経度成分の座標値に基づいて算出され、角度θP1,2,θP2,3は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3の経度成分の座標値に基づいて算出される。例えば角度θP1,2は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1の経度成分の座標値とランドマークエクイレクタングラー座標Q2の経度成分の座標値との間の差に相当する。
【0106】
ランドマーク水平面座標q1,q2の各点及び現在カメラ水平面座標Pの点を通る円をβ1とすると、円β1の方程式は、以下のとおりである。円β1の中心の座標をEO1,2(xEO1,2,yEO1,2)とする。
[数1]
(xp-xEO1,2)2+(yp-yEO1,2)2=r1,2
2
(xq1-xEO1,2)2+(yq1-yEO1,2)2=r1,2
2 ・・・(1)
(xq2-xEO1,2)2+(yq2-yEO1,2)2=r1,2
2
【0107】
また、正弦定理から以下の式が得られる。
[数2]
〔√{(xq2-xq1)2+(yq2-yq1)2}〕/sinθP1,2=2r1,2 ・・・(2)
【0108】
前記式(1)(2)において、xq1,yq1,xq2,yq2,θP1,2は既知であり、変数の数は5(xp,yp,r1,2,xEO1,2,yEO1,2)であり、数式の数は4である。このため、推定対象の現在カメラ水平面座標Pの座標値xp,ypの関係式が得られる。具体的には、現在カメラ水平面座標P(xp,yp)は、ランドマーク水平面座標q1(xq1,yq1)の点とランドマーク水平面座標q2(xq2,yq2)の点との間の円弧上にあることとなる。尚、角度θP1,2は、現在カメラ水平面座標P(xp,yp)がこの円弧上に存在する限り、同一の値をとる。
【0109】
また、図示してないが、ランドマーク水平面座標q2,q3の各点及び現在カメラ水平面座標Pの点を通る円をβ2とすると、前記式(1)(2)に対応する式が得られる。そして、推定対象の現在カメラ水平面座標Pの座標値xp,ypの関係式が得られ、現在カメラ水平面座標P(xp,yp)は、ランドマーク水平面座標q2(xq2,yq2)の点とランドマーク水平面座標q3(xq3,yq3)の点との間の円弧上にあることとなる。
【0110】
そして、推定対象の現在カメラ水平面座標Pの座標値xp,ypの2つの関係式を解くことにより、現在カメラ水平面座標P(xp,yp)は、2つの円弧の交点に同定することができる。したがって、現在カメラ水平面座標Pは、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、角度θP1,2,θP2,3及び予め設定された過去カメラ水平面座標Oに基づいて推定することができる。
【0111】
図6、
図7及び
図8に戻って、ランドマーク水平距離算出部23は、ランドマーク水平面座標変換部21からランドマーク水平面座標q1,q2,q3を入力すると共に、現在カメラ水平面座標推定部22から現在カメラ水平面座標Pを入力する。そして、ランドマーク水平距離算出部23は、現在カメラ水平面座標Pの点とランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点との間の距離をランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)としてそれぞれ算出する。ランドマーク水平距離算出部23は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17に出力する(ステップS705)。
【0112】
図8(1)のドラッグ操作前の水平面地図において、過去カメラ/ランドマーク水平距離(O-q1,O-q2,O-q3)は、それぞれ2.00m,2.00m,2.00mである。また、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)は、それぞれ1.65m,2.16m,1.89mである。前述のドラッグ操作により、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)は、レーザ測距計6を用いて測定された測距値に近づくこととなる。そして、
図8(2)のドラッグ操作後の水平面地図において、過去カメラ/ランドマーク水平距離(O-q1,O-q2,O-q3)は、それぞれ2.21m,1.54m,1.52mとなる。また、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)は、それぞれ1.98m,1.65m,1.46mとなる。
【0113】
水平位置調整情報処理部24は、現在カメラ水平面座標推定部22から現在カメラ水平面座標Pを入力する。そして、水平位置調整情報処理部24は、現在カメラ水平面座標P及び予め設定された過去カメラ水平面座標Oに基づいて、現在カメラ水平面座標Pの点から見た過去カメラ水平面座標Oの点の方向を算出すると共に、現在カメラ水平面座標Pの点と過去カメラ水平面座標Oの点との間の距離を算出する。水平位置調整情報処理部24は、前記方向及び前記距離からなる水平位置調整情報を地図表示部17に出力する(ステップS706)。
【0114】
これにより、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、現在カメラ水平面座標P、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報等が生成され、これらの情報を含む水平面地図が表示される。そして、ユーザは、
図5のステップS505に示したとおり、ドラッグ操作後の水平位置調整情報に従い、現在カメラ4を水平移動させる。
【0115】
尚、
図8(1)のドラッグ操作前の水平面地図において、後述する現在カメラ垂直位置推定部16により推定された高さh1,h2,h3であるUP:-0.07m,UP:0.37m,UP:0.15mも表示される。また、
図8(2)のドラッグ操作後の水平面地図において、後述する現在カメラ垂直位置推定部16により推定された高さh1,h2,h3であるUP:-0.08m,UP:0.29m,UP:0.11mも表示される。
【0116】
(現在カメラ垂直位置推定部16)
次に、
図2に示した現在カメラ垂直位置推定部16について詳細に説明する。
図10は、現在カメラ垂直位置推定部16の構成例を示すブロック図であり、
図11は、現在カメラ垂直位置推定部16の処理例を示すフローチャートである。
【0117】
この現在カメラ垂直位置推定部16は、ランドマークエクイレクタングラー座標変換部(ランドマーク画像座標変換部)30、角度処理部31、高さ算出部32及び垂直位置調整情報処理部33を備えている。
【0118】
現在カメラ垂直位置推定部16は、ランドマーク指定部13から3点の現在ランドマークカーソール位置及び3点の過去ランドマークカーソール位置を入力すると共に、現在カメラ水平位置推定部15からランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を入力する(ステップS1101)。
【0119】
ランドマークエクイレクタングラー座標変換部30は、3点の現在ランドマークカーソール位置をランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3にそれぞれ変換し、3点の過去ランドマークカーソール位置をランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’にそれぞれ変換する(ステップS1102)。そして、ランドマークエクイレクタングラー座標変換部30は、ランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3,Q1’,Q2’,Q3’を角度処理部31に出力する。
【0120】
角度処理部31は、ランドマークエクイレクタングラー座標変換部30からランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3,Q1’,Q2’,Q3’を入力する。
【0121】
角度処理部31は、現在画像Aのランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3の緯度成分の座標値から、3次元空間の垂直面に投影された現在カメラ位置を基準にして、垂直面に投影されたランドマーク水平面座標q1,q2,q3に対応する位置と水平方向との間の角度α1,α2,α3を求める。また、角度処理部31は、過去画像Bのランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’の緯度成分の座標値から、3次元空間の垂直面に投影された過去カメラ位置を基準にして、垂直面に投影されたランドマーク水平面座標q1,q2,q3に対応する位置と水平方向との間の角度α1’,α2’,α3’を求める(ステップS1103)。
【0122】
角度処理部31は、角度α1,α2,α3,α1’,α2’,α3’を高さ算出部32に出力する。
【0123】
図12は、角度処理部31による角度算出処理(ステップS1103)を説明する図である。
図12(1)に示すように、3次元空間を球面の経度成分及び緯度成分にて表すエクイレクタングラー形式の画像において、その緯度成分αは、-π/2~+π/2の範囲にある。つまり、
図12(2)に示すように、その緯度成分αは、3次元空間の垂直面に投影された現在カメラ位置または過去カメラ位置を基準にすると、垂直面に投影されたランドマークLM-1の位置と水平方向との間の角度である。
【0124】
したがって、角度処理部31は、現在画像Aにおけるランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3の緯度成分の座標値をそれぞれ角度α1,α2,α3とすることができる。また、角度処理部31は、過去画像Bにおけるランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’の緯度成分の座標値をそれぞれ角度α1’,α2’,α3’とすることができる。
【0125】
図10及び
図11に戻って、高さ算出部32は、角度処理部31から角度α1,α2,α3,α1’,α2’,α3’を入力する。高さ算出部32は、角度α1,α2,α3,α1’,α2’,α3’及び現在カメラ水平位置推定部15から入力したランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)に基づいて、垂直面に投影された過去カメラ位置と現在カメラ位置との間の距離である高さh1,h2,h3を算出する(ステップS1104)。そして、高さ算出部32は、高さh1,h2,h3を垂直位置調整情報処理部33に出力する。これらの高さh1,h2,h3は、現在カメラ4を鉛直方向へ移動させるべき高さを意味する。
【0126】
具体的には、
図12(2)を参照して、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)は、垂直面における過去カメラ位置及び現在カメラ位置からランドマークLM-1,LM-2,LM-3までの水平方向の距離d1,d2,d3に相当するものとする。ここでの現在カメラ位置は、ユーザによる現在カメラ4の水平移動の操作(
図5のステップS505)が完了したときの位置、すなわち水平面において過去カメラ位置と同じ位置であり、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)は、ユーザによる現在カメラ4の水平移動の操作が完了したときの距離である。このため、距離d1,d2,d3は、過去カメラ位置及び現在カメラ位置において同じ値である。
【0127】
高さ算出部32は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)を距離d1,d2,d3として、以下の式により、高さh1,h2,h3を算出する。
[数3]
h1=d1(tan(α1)-tan(α1’))
h2=d2(tan(α2)-tan(α2’)) ・・・(3)
h3=d3(tan(α3)-tan(α3’))
【0128】
図12(2)に示すように、垂直面に投影された過去カメラ位置と現在カメラ位置との間の距離である高さh1は、ランドマーク水平距離(P-q1)である距離d1、過去カメラ位置の角度α1’の正接(タンジェント)及び現在カメラ位置の角度α1の正接から算出することができる。
【0129】
垂直位置調整情報処理部33は、高さ算出部32から高さh1,h2,h3を入力し、高さh1,h2,h3の示す向きが同じであるか否かを判定する(ステップS1105)。高さh1,h2,h3の全ての符号がプラスまたはマイナスである場合、高さh1,h2,h3の示す向きが同じであると判定される。
【0130】
垂直位置調整情報処理部33は、ステップS1105において、向きが同じであると判定した場合(ステップS1105:Y)、高さh1,h2,h3の絶対値のうち最小値を特定し、最小値に対応する高さを垂直位置調整情報に設定する。そして、垂直位置調整情報処理部33は、垂直位置調整情報を地図表示部17に出力する(ステップS1106)。これにより、
図3の表示画面の例に示したとおり、水平面地図の上部に、垂直位置調整情報が表示される。
【0131】
一般に、高さh1,h2,h3が同じ値である場合は、現在カメラ4の水平が保たれており、高さh1,h2,h3が異なる場合は、現在カメラ4の水平が保たれていない。このため、高さh1,h2,h3が全て同じ符号で異なる値の場合、それぞれの絶対値のうち最小値を垂直位置調整情報に設定することで、信頼性の高い垂直位置調整情報を得ることができる。
【0132】
一方、垂直位置調整情報処理部33は、ステップS1105において、向きが同じでないと判定した場合(ステップS1105:N)、垂直位置調整情報を設定しない。この場合、
図3の表示画面の例において、水平面地図の上部には垂直位置調整情報が表示されない。
【0133】
高さh1,h2,h3の示す向きが同じでない場合、前述した前提条件<a>が満たされていない、すなわち現在カメラ4の水平が保たれていない可能性がある。または、過去画像Bを撮影したときの過去カメラの水平が保たれていない可能性がある。前者の場合、ユーザは、高さh1,h2,h3の示す向きが同じになるように、水準器等を用いて現在カメラ4の水平を保つようにする。
【0134】
以上のように、実施例1のカメラ位置調整情報生成装置1によれば、カメラ映像取得部11は、現在カメラ4により撮影されたライブ映像を取得する。そして、映像及び画像表示部12は、ライブ映像の現在画像Aを画面表示すると共に、過去画像蓄積部10から読み出した過去画像Bを画面表示する。
【0135】
ランドマーク指定部13は、ユーザによるクリック操作に従って、過去画像Bにおける3点の過去ランドマークカーソール位置、及びこれに対応する現在画像Aにおける3点の現在ランドマークカーソール位置を指定する。
【0136】
ランドマーク距離調整部14は、ユーザによるドラッグ操作に従って、初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点と過去カメラ水平面座標Oの点との間の(点を通る)直線上にそれぞれ限定されたカーソール位置と、過去カメラ水平面座標Oの点との間の過去カメラ/ランドマーク水平距離を算出する。
【0137】
現在カメラ水平位置推定部15は、3点の過去ランドマークカーソール位置に対応するランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’及び過去カメラ/ランドマーク暫定水平距離または過去カメラ/ランドマーク水平距離に基づいて、初期またはドラッグ操作時のランドマーク水平面座標q1,q2,q3を求める。
【0138】
現在カメラ水平位置推定部15は、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3等に基づいて、現在カメラ水平面座標Pを推定し、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び水平位置調整情報を求める。
【0139】
現在カメラ垂直位置推定部16は、3点の過去ランドマークカーソール位置に対応するランドマークエクイレクタングラー座標Q1’,Q2’,Q3’を用いて、過去カメラ位置を基準にした垂直面におけるランドマーク水平面座標q1,q2,q3の角度α1’,α2’,α3’を求める。また、現在カメラ垂直位置推定部16は、同様に、3点の現在ランドマークカーソール位置に対応するランドマークエクイレクタングラー座標Q1,Q2,Q3を用いて、現在カメラ位置を基準にした角度α1,α2,α3を求める。
【0140】
現在カメラ垂直位置推定部16は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)及び角度α1,α2,α3,α1’,α2’,α3’に基づいて、垂直面に投影された過去カメラ位置と現在カメラ位置との間の高さh1,h2,h3をそれぞれ求め、垂直位置調整情報を求める。
【0141】
地図表示部17は、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、水平位置調整情報及び垂直位置調整情報等を水平面地図として画面表示する。
【0142】
ここで、ユーザは、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が、レーザ測距計6を用いて測定した現在カメラ位置と3点のランドマークLMに対応する3次元空間の位置との間の水平方向の測距値に一致するように、ドラッグ操作を行う。そして、ユーザは、ドラッグ操作後に、現在カメラ水平位置推定部15により求めた水平位置調整情報を参照し、現在カメラ4を水平移動させる。その後、ユーザは、現在カメラ4を水平移動させた後に、現在カメラ垂直位置推定部16により求めた垂直位置調整情報を参照し、現在カメラ4を垂直移動させる。
【0143】
これにより、過去画像Bに現在画像Aの空間的な位置関係を合わせるために、現在カメラ位置を調整する際に用いる水平位置調整情報及び垂直位置調整情報を生成することができる。そして、ユーザは、これらの水平位置調整情報及び垂直位置調整情報を用いることで、過去カメラ位置に現在カメラ位置を簡単にかつ素早く調整することができる。
【0144】
〔実施例2〕
次に、実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2について説明する。実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2は、ライブ映像の現在画像Aにおけるランドマーク画像及び現在ランドマークカーソール位置のトラッキング機能を有する装置である。
【0145】
実施例1のカメラ位置調整情報生成装置1では、クリック操作により指定された現在ランドマークカーソール位置を基準にして角度θP1,2,θP2,3が算出され、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3及び角度θP1,2,θP2,3等に基づいて現在カメラ水平面座標Pが算出される。この場合、現在ランドマークカーソール位置は変更されないため、現在カメラ水平面座標Pを求める際に用いる角度θP1,2,θP2,3は、最初の1回の演算により固定されてしまう。
【0146】
しかしながら、最初の1回の演算にて固定された角度θP1,2,θP2,3を用いて現在カメラ水平面座標Pが算出され、水平位置調整情報が求められるものの、現在カメラ位置を正確に調整することは困難である。なぜならば、ユーザは現在カメラ4を空中で移動させることとなるため、現在カメラ位置をcm単位に調整することが難しいからである。垂直位置調整情報についても同様である。水平位置調整情報の示す距離が長いほど、及び垂直位置調整情報の示す高さが高いほど、すなわち現在カメラ4を移動させる距離が長いほど、調整誤差が大きくなってしまう。
【0147】
そこで、実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2では、現在画像Aから、指定された現在ランドマークカーソール位置の周辺画像をランドマーク画像として切り出し、現在カメラ位置の変更に伴い、現在画像Aにおいて現在ランドマークカーソール位置及びランドマーク画像をリアルタイムに追跡するトラッキング機能を実現するようにした。このトラッキング機能により、現在カメラ位置の変更に伴い、現在カメラ位置が移動中であっても、現在カメラ水平面座標Pがリアルタイムに推定され、水平位置調整情報及び垂直位置調整情報がリアルタイムに更新される。
【0148】
図13は、実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2の構成例を示すブロック図である。このカメラ位置調整情報生成装置2は、過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17に加え、トラッキング処理部18を備えている。
【0149】
図2に示した実施例1のカメラ位置調整情報生成装置1と、
図13に示す実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2とを比較すると、両カメラ位置調整情報生成装置1,2は、過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17を備えている点で共通する。一方、カメラ位置調整情報生成装置2は、カメラ位置調整情報生成装置1の構成部に加え、さらにトラッキング処理部18を備えている点で、カメラ位置調整情報生成装置1と相違する。
図13において、
図2と共通する部分には
図2と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0150】
カメラ映像取得部11は、ライブ映像の現在画像Aを映像及び画像表示部12及びトラッキング処理部18に出力し、ランドマーク指定部13は、3点の現在ランドマークカーソール位置及び3点の過去ランドマークカーソール位置をトラッキング処理部18に出力する。
【0151】
トラッキング処理部18は、カメラ映像取得部11からライブ映像の現在画像Aを入力すると共に、ランドマーク指定部13から3点の現在ランドマークカーソール位置及び3点の過去ランドマークカーソール位置を入力する。そして、トラッキング処理部18は、現在画像Aにおいて、3点の現在ランドマークカーソール位置の周辺画像とテンプレート画像とのマッチング処理により、ランドマーク画像をそれぞれ切り出す。トラッキング処理部18は、現在カメラ位置の変更に伴い、現在画像Aにおいて、3点の現在ランドマークカーソール位置及び3つのランドマーク画像をトラッキングする。
【0152】
トラッキング処理部18は、トラッキング後の3点の現在ランドマークカーソール位置及び入力した3点の過去ランドマークカーソール位置を現在カメラ水平位置推定部15及び現在カメラ垂直位置推定部16に出力する。また、トラッキング処理部18は、トラッキング後の3つのランドマーク画像を映像及び画像表示部12に出力する。これにより、ランドマーク画像が画面表示される。
【0153】
また、トラッキング処理部18は、過去画像蓄積部10から過去画像Bを読み出し、過去画像Bから、3点の過去ランドマークカーソール位置の周辺画像をランドマーク画像としてそれぞれ切り出し、過去画像Bの3つのランドマーク画像を映像及び画像表示部12に出力する。
【0154】
これにより、
図3に示したとおり、ライブ映像の現在画像A及び過去画像Bと共に、現在画像Aのランドマーク画像LM-1A,LM-1B,LM-1A及び過去画像Bのランドマーク画像LM-1B,LM-2B,LM-3Bがサムネイル画像として画面表示される。
【0155】
図3のランドマーク画像が表示される領域において、3画像を1組として、上の段の左側には、ユーザのクリック操作により現在ランドマークカーソール位置が指定されたときのランドマーク画像LM-2A,LM-3A,LM-1Aが表示される。また、上の段の右側には、トラッキングされたランドマーク画像LM-2A,LM-3A,LM-1Aがリアルタイムに表示される。また、下の段には、ユーザのクリック操作により過去ランドマークカーソール位置が指定されたときのランドマーク画像LM-2B,LM-3B,LM-1Bが表示される。ランドマーク画像の近くに表示された数値(0.98,0.97,0.83)は、ランドマーク画像LM-2A,LM-3A,LM-1Aとランドマーク画像LM-2B,LM-3B,LM-1Bとの間において、それぞれのテンプレートマッチング精度を示している。
【0156】
(トラッキング処理部18)
次に、
図13に示したトラッキング処理部18について詳細に説明する。
図14は、トラッキング処理部18の構成例を示すブロック図であり、
図15は、トラッキング処理部18の処理例を示すフローチャートである。
【0157】
トラッキング処理部18は、画像切出部40、ランドマーク画像蓄積部41、ランドマーク画像トラッキング部42及びカーソール位置トラッキング部43を備えている。
【0158】
画像切出部40は、ランドマーク指定部13から3点の現在ランドマークカーソール位置及び3点の過去ランドマークカーソール位置を入力し(ステップS1501)、カメラ映像取得部11からライブ映像の現在画像Aを入力する(ステップS1502)。以下に示すステップS1503~S1507の処理は、3点の現在ランドマークカーソール位置のそれぞれについて行われる。
【0159】
画像切出部40は、3点の現在ランドマークカーソール位置のそれぞれについて、現在ランドマークカーソール位置の周辺画像と、後述するステップS1504にて設定されたテンプレート画像とのマッチング処理(テンプレートマッチング)をそれぞれ行う(ステップS1503)。そして、画像切出部40は、マッチングした周辺画像をランドマーク画像として切り出し、ランドマーク画像蓄積部41に格納し、ランドマーク画像をテンプレート画像に設定する(ステップS1504)。
【0160】
これにより、テンプレート画像が更新され、トラッキングされる現在ランドマークカーソール位置及びランドマーク画像のトラッキングずれを防止することができる。
【0161】
ここで、画像切出部40は、初期処理の際に、ステップS1503のマッチング処理を行わない。画像切出部40は、ステップS1503において、ステップS1501にて入力した現在ランドマークカーソール位置の所定の周辺画像をランドマーク画像として切り出し、ランドマーク画像蓄積部41に格納する。そして、画像切出部40は、当該ランドマーク画像をテンプレート画像に設定する。
【0162】
画像切出部40は、切り出したランドマーク画像内の所定位置(例えば中央の位置)を新たな現在ランドマークカーソール位置に設定し、新たな現在ランドマークカーソール位置をランドマーク画像蓄積部41に格納する(ステップS1505)。
【0163】
ランドマーク画像トラッキング部42は、ランドマーク画像蓄積部41からランドマーク画像を読み出すことで、ランドマーク画像を更新し、トラッキング後のランドマーク画像として映像及び画像表示部12に出力する(ステップS1506)。これにより、トラッキングされたランドマーク画像が画面表示される。
【0164】
また、カーソール位置トラッキング部43は、ランドマーク画像蓄積部41から現在ランドマークカーソール位置を読み出すことで、現在ランドマークカーソール位置を更新し、トラッキング後の現在ランドマークカーソール位置として現在カメラ水平位置推定部15及び現在カメラ垂直位置推定部16に出力する(ステップS1507)。これにより、現在カメラ水平位置推定部15により、トラッキング後の現在ランドマークカーソール位置を用いて現在カメラ水平面座標Pが推定され、水平位置調整情報等が求められる。また、現在カメラ垂直位置推定部16により、トラッキング後の現在ランドマークカーソール位置を用いて、垂直位置調整情報が求められる。
【0165】
また、画像切出部40は、過去ランドマークカーソール位置をカーソール位置トラッキング部43に出力し、カーソール位置トラッキング部43は、過去ランドマークカーソール位置を現在カメラ水平位置推定部15及び現在カメラ垂直位置推定部16に出力する(ステップS1508)。
【0166】
トラッキング処理部18は、当該トラッキング処理部18の処理が終了するか否かを判定する(ステップS1509)。トラッキング処理部18は、当該処理が終了しない限り、ステップS1502へ移行し、画像切出部40にて新たなライブ映像の現在画像Aを入力し、ステップS1503~S1507の処理を繰り返す。
【0167】
これにより、現在カメラ位置の変動に伴ってトラッキングされたランドマーク画像及び現在ランドマークカーソール位置が出力される。
【0168】
尚、画像切出部40によるステップS1503のマッチング処理において、周辺画像の探索範囲は、計算時間を考慮して、現在画像Aの前フレームの現在ランドマークカーソール位置を中心とした所定範囲に限定することが有効である。しかし、探索範囲を狭くすると、現在カメラ4が長い距離移動した場合に、トラッキングすることができなくなる可能性がある。このため、探索範囲は、計算資源と利便性とのトレードオフを考慮して設定することが望ましい。
【0169】
以上のように、実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2によれば、トラッキング処理部18は、現在カメラ位置の変更に伴い、現在画像Aにおける現在ランドマークカーソール位置の周辺画像と、以前に切り出したランドマーク画像であるテンプレート画像とのマッチング処理を行い、マッチングした周辺画像をランドマーク画像として切り出すことで、ランドマーク画像をトラッキングする。そして、トラッキング処理部18は、ランドマーク画像をテンプレート画像に設定する。
【0170】
また、トラッキング処理部18は、切り出したランドマーク画像から現在ランドマークカーソール位置を設定することで、現在ランドマークカーソール位置をトラッキングする。
【0171】
これにより、後段の現在カメラ水平位置推定部15にて、トラッキング後の現在ランドマークカーソール位置を用いて現在カメラ水平面座標Pが推定され、水平位置調整情報等が求められる。また、後段の現在カメラ垂直位置推定部16にて、トラッキング後の現在ランドマークカーソール位置を用いて、垂直位置調整情報が求められる。
【0172】
したがって、実施例1と同様の効果を奏すると共に、トラッキング機能により、現在カメラ水平位置推定部15において、現在カメラ位置の変更に伴い、現在カメラ位置が移動中であっても、現在カメラ水平面座標Pをリアルタイムに推定することができる。結果として、水平位置調整情報及び垂直位置調整情報をリアルタイムに更新することができる。
【0173】
〔実施例3/スナップ機能〕
次に、実施例3のカメラ位置調整情報生成装置3について説明する。実施例3のカメラ位置調整情報生成装置3は、カーソール位置のスナップ機能を有する装置である。
【0174】
図5に示したユーザの操作手順において、ユーザによりステップS501のクリック操作にて、ランドマークLMの位置が設定される。しかし、ランドマークLMのクリック位置がずれた場合には、現在カメラ水平面座標Pの推定精度が低下し、結果として、現在カメラ位置を調整する際に用いる水平位置調整情報及び垂直位置調整情報の精度が低下する。
【0175】
そこで、実施例3のカメラ位置調整情報生成装置3では、カーソール位置付近の画像の局所特徴量を抽出し、物体の角等の特徴点位置にカーソール位置を移動させるスナップ機能を実現するようにした。このスナップ機能により、ユーザは、ランドマークLMをクリックするときの慎重さから解放され、常に安定した精度の水平位置調整情報等を用いて現在カメラ位置を調整することができる。
【0176】
図16は、実施例3のカメラ位置調整情報生成装置3の構成例を示すブロック図である。このカメラ位置調整情報生成装置3は、過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17に加え、スナップ処理部19を備えている。
【0177】
図2に示した実施例1のカメラ位置調整情報生成装置1と、
図16に示す実施例3のカメラ位置調整情報生成装置3とを比較すると、両カメラ位置調整情報生成装置1,3は、過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17を備えている点で共通する。一方、カメラ位置調整情報生成装置3は、カメラ位置調整情報生成装置1の構成部に加え、さらにスナップ処理部19を備えている点で、カメラ位置調整情報生成装置1と相違する。
図16において、
図2と共通する部分には
図2と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0178】
スナップ処理部19は、過去画像蓄積部10から過去画像Bを読み出すと共に、カメラ映像取得部11からライブ映像の現在画像Aを入力し、ポインティングデバイス7から、ユーザによる操作に従ってカーソール位置を入力する。
【0179】
スナップ処理部19は、過去画像Bの特徴点及び現在画像Aの特徴点を抽出し、カーソール位置を、過去画像Bの特徴点の位置または現在画像Aの特徴点の位置にスナップし、スナップ後のカーソール位置をランドマーク指定部13に出力する。
【0180】
(スナップ処理部19)
次に、
図16に示したスナップ処理部19について詳細に説明する。
図17は、スナップ処理部19の構成例を示すブロック図であり、
図18は、スナップ処理部19の処理例を示すフローチャートである。
【0181】
スナップ処理部19は、特徴点抽出部50及びスナップ部51を備えている。スナップ処理部19は、過去画像蓄積部10から過去画像Bを読み出すと共に、カメラ映像取得部11からライブ映像の現在画像Aを入力し、ユーザによるポインティングデバイス7の操作に従ってカーソール位置を入力する(ステップS1801)。
【0182】
ここでのユーザ操作は、過去画像B及び現在画像Aのカーソール位置を、それぞれ過去ランドマークカーソール位置及び現在ランドマークカーソール位置に指定するための操作である。
【0183】
特徴点抽出部50は、例えばHarrisコーナー検出の処理にて、過去画像Bから複数の特徴点位置を抽出し、現在画像Aから複数の特徴点位置を抽出し(ステップS1802)、これらの特徴点位置をスナップ部51に出力する。
【0184】
Harrisコーナー検出の処理を用いることにより、物体のエッジのうち、例えば背景とのコントラストが明確なコーナー等が特徴点位置として抽出される。Harrisコーナー検出の処理は一例であり、他の処理を用いるようにしてもよい。
【0185】
Harrisコーナー検出の処理の詳細については、例えば以下の文献を参照されたい。
[非特許文献]
“Harrisコーナー検出”、[online]、[令和2年10月20日検索]、インターネット<URL:http://labs.eecs.tottori-u.ac.jp/sd/Member/oyamada/OpenCV/html/py_tutorials/py_feature2d/py_features_harris/py_features_harris.html>
【0186】
スナップ部51は、特徴点抽出部50から特徴点位置を入力すると共に、ポインティングデバイス7からカーソール位置を入力し、カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、カーソール位置を、特定した特徴点位置にスナップする(ステップS1803)。
【0187】
具体的には、スナップ部51は、カーソール位置が過去画像Bの領域内に存在する場合、過去画像Bから抽出された複数の特徴点位置のうち、カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、カーソール位置を、特定した特徴点位置にスナップする。また、スナップ部51は、カーソール位置が現在画像Aの領域内に存在する場合、現在画像Aから抽出された複数の特徴点位置のうち、カーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、カーソール位置を、特定した特徴点位置にスナップする。
【0188】
スナップ部51は、スナップ後のカーソール位置をランドマーク指定部13に出力する(ステップS1804)。
【0189】
これにより、スナップ処理部19から、過去画像B及び現在画像Aの特徴点位置がスナップ後のカーソール位置としてランドマーク指定部13に出力される。
【0190】
以上のように、実施例3のカメラ位置調整情報生成装置3によれば、スナップ処理部19は、現在画像A及び過去画像Bのそれぞれについて、複数の特徴点位置を抽出し、入力したカーソール位置に最も近い特徴点位置を特定し、カーソール位置を、特定した特徴点位置にスナップする。
【0191】
これにより、後段のランドマーク指定部13には、現在画像A及び過去画像Bの特徴点位置がスナップ後のカーソール位置として入力され、特徴点位置の現在ランドマークカーソール位置及び過去ランドマークカーソール位置が指定される。このため、現在ランドマークカーソール位置及び過去ランドマークカーソール位置は、同じ特徴点位置に指定され易くなり、正確に対応付けすることができる。
【0192】
したがって、実施例1と同様の効果を奏すると共に、スナップ機能により、ユーザは、ランドマークLMをクリックするときの慎重さから解放され、後段の現在カメラ水平位置推定部15等にて、常に安定した精度の水平位置調整情報等を求めることができる。結果としてユーザは、精度の高い水平位置調整情報等を用いて現在カメラ位置を正確に調整することができる。
【0193】
尚、カメラ位置調整情報生成装置3は、さらに、
図13の実施例2のカメラ位置調整情報生成装置2に備えたトラッキング処理部18を備えるようにしてもよい。これにより、トラッキング処理部18において、テンプレートマッチングし易いランドマーク画像を現在画像Aから切り出すことができる。また、現在画像Aにおいて、他の領域で頻出しない特徴的なランドマーク画像を得ることができる。
【0194】
以上、実施例1,2,3を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1,2,3に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0195】
例えば、実施例1,2,3では、ランドマークLMの数をK=3として説明したが、本発明は、ランドマークLMの数をK=3に限定するものではなく、Kが3以上の所定数(整数)であればよい。尚、ランドマークの数をK=3とすることで、処理負荷を低減することができる。
【0196】
また、前述のとおり、現在カメラ水平位置推定部15の現在カメラ水平面座標推定部22は、K=3の場合、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3、角度θP1,2,θP2,3及び予め設定された過去カメラ水平面座標Oを用いて、現在カメラ水平面座標Pを算出することができる。これに対し、現在カメラ水平面座標推定部22は、K≧4の場合、ランドマーク水平面座標q1,q2,q3,q4,・・・、角度θP1,2,θP2,3,θP3,4,・・・及び予め設定された過去カメラ水平面座標Oを用いて、複数の現在カメラ水平面座標Pを算出することとなり、1つの現在カメラ水平面座標Pを特定することができない。この場合、現在カメラ水平面座標推定部22は、最小二乗法等を用いて、複数の現在カメラ水平面座標Pから1つの現在カメラ水平面座標Pを特定する。
【0197】
また、実施例1,2,3では、ライブ画像の現在画像A及び過去画像Bをエクイレクタングラー形式の画像として説明したが、本発明は、撮影対象の画像をエクイレクタングラー形式の画像に限定するものではない。ライブ画像の現在画像A及び過去画像Bは、撮影対象の座標値を球面の経度成分及び緯度成分にて表すことが可能な形式であれば何でもよい。
【0198】
また、実施例1,2,3において、ユーザは手動にて、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が測距値に一致するようにドラッグ操作を行う。そして、カメラ位置調整情報生成装置1,2,3のランドマーク距離調整部14は、そのときの過去カメラ/ランドマーク水平距離を算出し、現在カメラ水平位置推定部15は、そのときの過去カメラ/ランドマーク水平距離を用いてランドマーク水平面座標q1,q2,q3を求め、現在カメラ水平面座標Pを推定し、水平位置調整情報を求めるようにした。そして、ユーザは、ドラッグ操作後の水平位置調整情報に従い、現在カメラ4を水平移動させる。
【0199】
ここで、ユーザによる手動のドラッグ操作に代えて、ランドマーク距離調整部14は、ドラッグ操作を自動的に行うようにしてもよい。
【0200】
この場合、ランドマーク距離調整部14は、レーザ測距計6から3点のランドマークLMに対応する測距値をそれぞれ入力する。そして、ランドマーク距離調整部14は、初期のランドマーク水平面座標q1,q2,q3の点と過去カメラ水平面座標Oの点との間の(点を通る)直線上の位置にカーソール位置を限定しながら、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が測距値に一致するように、カーソール位置を移動させる。
【0201】
ランドマーク距離調整部14は、ランドマーク水平距離(P-q1,P-q2,P-q3)が測距値を中心とした所定範囲内の値に一致したときの過去カメラ/ランドマーク水平距離を算出し、過去カメラ/ランドマーク水平距離を現在カメラ水平位置推定部15に出力する。
【0202】
尚、本発明の実施形態によるカメラ位置調整情報生成装置1,2,3のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。カメラ位置調整情報生成装置1,2,3は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0203】
カメラ位置調整情報生成装置1に備えた過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16及び地図表示部17の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0204】
また、カメラ位置調整情報生成装置2に備えた過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16、地図表示部17及びトラッキング処理部18の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0205】
また、カメラ位置調整情報生成装置3に備えた過去画像蓄積部10、カメラ映像取得部11、映像及び画像表示部12、ランドマーク指定部13、ランドマーク距離調整部14、現在カメラ水平位置推定部15、現在カメラ垂直位置推定部16、地図表示部17及びスナップ処理部19の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0206】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0207】
1,2,3 カメラ位置調整情報生成装置
4 カメラ(現在カメラ)
5 キャプチャデバイス
6 レーザ測距計
7 ポインティングデバイス
10 過去画像蓄積部
11 カメラ映像取得部
12 映像及び画像表示部
13 ランドマーク指定部
14 ランドマーク距離調整部
15 現在カメラ水平位置推定部
16 現在カメラ垂直位置推定部
17 地図表示部
18 トラッキング処理部
19 スナップ処理部
20,30 ランドマークエクイレクタングラー座標変換部
21 ランドマーク水平面座標変換部
22 現在カメラ水平面座標推定部
23 ランドマーク水平距離算出部
24 水平位置調整情報処理部
31 角度処理部
32 高さ算出部
33 垂直位置調整情報処理部
40 画像切出部
41 ランドマーク画像蓄積部
42 ランドマーク画像トラッキング部
43 カーソール位置トラッキング部
50 特徴点抽出部
51 スナップ部
100 視聴者
101 HMD(Head Mounted Display:ヘッドマウントディスプレイ)
102 境界線
103 コントローラ
AA 現在映像
BB 過去映像
A 現在画像
B 過去画像
O 過去カメラ水平面座標
P 現在カメラ水平面座標
qk,q1,q2,q3 ランドマーク水平面座標
Qk,Q1,Q2,Q3,Qk’,Q1’,Q2’,Q3’ ランドマークエクイレクタングラー座標
P-qk,P-q1,P-q2,P-q3 ランドマーク水平距離
LM,LM-k,LM-1,LM-2,LM-3 ランドマーク
LM-kA,LM-1A,LM-2A,LM-3A,LM-kB,LM-1B,LM-2B,LM-3B ランドマーク画像
αk,α1,α2,α3,αk’,α1’,α2’,α3’ 角度
hk,h1,h2,h3 高さ