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特許7542532液状光学透明接着剤用途のための二重硬化性シリコーン-有機ハイブリッドポリマー組成物
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  • 特許-液状光学透明接着剤用途のための二重硬化性シリコーン-有機ハイブリッドポリマー組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】液状光学透明接着剤用途のための二重硬化性シリコーン-有機ハイブリッドポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/61 20060101AFI20240823BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240823BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240823BHJP
   C08G 71/04 20060101ALI20240823BHJP
   C08L 101/06 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
C08G18/61
C08F290/06
C08G18/10
C08G71/04
C08L101/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021526706
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019061909
(87)【国際公開番号】W WO2020102790
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】62/768,313
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/777,960
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】スリダー、 ラクスミシャ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ、 ケヴィン ジェイ.
【審査官】大塚 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/112682(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0010914(KR,A)
【文献】米国特許第06828355(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/61
C08F 290/06
C08G 18/10
C08G 71/04
C08L 101/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)構造Iのポリマーを含むUV硬化性パート
【化1】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントであり;
およびPは、PおよびPのうちのただ1つがHであり得るという条件で、独立して、H、または(メタ)アクリレート基を含むイソシアネートとヒドロキシル基の反応から誘導された重合性基であり得;
nおよびmは、独立して1~10,000である。);
b)以下を含むシャドウ硬化性パート:
1)構造IIによるイソシアネート含有ポリマー
【化2】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンであり;
nおよびmは、それぞれ独立して、1~10,000である。)
2)構造IIIによるジオールポリマー、構造IVによるシリコーンポリオールポリマー、構造IVaによるシリコーンポリオールポリマー、またはそれらの組み合わせ;
【化3】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントであり;
nおよびmは、それぞれ独立して1~10,000である。);
【化4】
(式中、Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンであり;
mは1~10,000、nは2~1000である);
【化5】
(式中、Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンであり;
mは1~10,000である。);
c)光開始剤;
d)イソシアネート含有ポリマーシャドウ硬化反応のための触媒;および
e)任意選択で、有機希釈剤、UV安定剤および補助剤のうちの少なくとも一種
を含む二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項2】
a)構造Iのポリマーを含むUV硬化性パート
【化6】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントであり;
およびPは、PおよびPのうちのただ1つがHであり得るという条件で、独立して、H、または(メタ)アクリレート基を含むイソシアネートとヒドロキシル基の反応から誘導された重合性基であり得;
nおよびmは、独立して1~10,000である。);
b)以下を含むシャドウ硬化性パート:
1)構造Vによる環状カーボネート
【化7】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントであり;
nおよびmは、それぞれ独立して1~10000である);
2)構造VIおよびVIIによる1つまたは複数のアミン
【化8】
【化9】
(式中、Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンであり;
n1は1~10,000であり;n2は2~10,000である。);
c)光開始剤;
d)イソシアネート含有ポリマーシャドウ硬化反応のための触媒;および
e)任意選択で、有機希釈剤、UV安定剤および補助剤のうちの少なくとも一種
を含む二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記組成物が2パート系である、請求項またはに記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記組成物が液状光学透明接着剤である、請求項のいずれかに記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記液状光学透明接着剤が、自動車のディスプレイシステムで使用される、請求項に記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記組成物が1パート系である、請求項およびのいずれかに記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項7】
1つまたは複数のUV安定剤を含む、請求項のいずれかに記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項8】
前記組成物が1.45~1.60の高屈折率を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項9】
前記UV硬化性パートが、下記構造I:
【化10】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、直鎖状または分枝状アルキレン、シクロアルキレン、ビシクロアルキレン、トリシクロアルキレン、直鎖状または分岐状シクロアルキレン、直鎖状または分岐状のアルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される有機セグメントであり;1~30個の炭素原子、または、1~30個の炭素原子と、骨格内の窒素原子、酸素もしくは硫黄原子のうちの1つまたは複数を含み;
およびP は、P およびP のうちのただ1つがHであり得るという条件で、独立して、H、または(メタ)アクリレート基であり得;
nおよびmは、独立して1~10,000である。)
を有するポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【請求項10】
前記UV硬化性パートが、下記構造I:
【化11】
(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、4~20個の炭素原子を有するアルキレンまたはシクロアルキレン、ならびに4~20個の炭素原子および1つまたは複数の酸素原子を有するアルキレンエーテルまたはシクロアルキレンエーテルから選択され;
およびP は、P およびP のうちのただ1つがHであり得るという条件で、独立して、Hまたは(メタ)アクリレート基を含むイソシアネートとヒドロキシル基との反応から誘導された重合性基であり得;
nおよびmは、独立して1~10,000である。)
を有するポリマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の二重硬化性ポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、液状光学透明接着剤に関し、とりわけ、二重硬化性であり、かつシリコーン-有機ハイブリッドポリマーを含む液状光学透明接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本開示に関連する発明概念の必ずしも先行技術ではない背景情報を提供する。
【0003】
高度に統合かつ洗練されたタッチインターフェース設計は、タッチスクリーンに依拠する多くの技術分野においてますます重要になりつつある。これらには、単なる一例として、携帯電話用ディスプレイ、小売環境におけるレジスターのディスプレイパネル、食品および飲料ディスペンサーにおけるディスプレイパネル、カメラ用ディスプレイパネルならびに自動車用ディスプレイパネルが含まれる。自動車用ディスプレイパネルの分野では、その必要性は、機能性の向上と共に車両の安全性および使用者の快適性を可能にすることに関して特に重要である。タッチスクリーンディスプレイでは、複数のラミネート層を互いに結合するために液状光学透明接着剤(Liquid Optically Clear Adhesives:LOCA)が使用される。これらLOCAは、典型的には、平らでない表面を結合できなければならず、硬化したとき光学的に透明でなければならず、しばしば二重硬化性である必要があり、広範囲の環境条件にわたる老化後に良好な光学特性を有していなければならない。LOCAはまた、ラミネート層間の空隙を埋め、全体的な観視体験および透明性を改善する。現在のLOCAは、可視光硬化のオプションを有する自動化プロセスを可能にし、それによって設計の柔軟性を可能にすることにより、従来の適用方法の間に直面する制限を克服する。自動車用ディスプレイ用途において使用されるLOCAに関して克服する必要があるいくつかの重要な要件または複雑さは:光によって硬化することができず、二次硬化機構を必要とする大きいシャドウ領域の存在;プラスチックカバーレンズ基板または厚いLOCA膜を通じて可視光(>400nm)光硬化を達成する必要;例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)またはポリエチレンテレフタレート(PET)でできたプラスチックカバーレンズ上への良好なラミネーションを特に100℃~-40℃の温度範囲にわたって達成する必要;ならびに高温、高湿度の条件下および強いUV放射下で低ヘイズおよび低黄変を示すことである。現在利用可能な有機またはシリコーン系LOCAポリマーは、これらの要件のすべてを満たすことができない。したがって、これらの必要に対処するLOCAハイブリッドポリマー樹脂および配合物を開発することが必要とされている。
【0004】
光および湿気硬化性である現在利用可能なシリコーン系LOCAポリマーは、低弾性率および低ガラス転移温度を有する。これらは-40℃~100℃の広い温度範囲を維持するが、可視光光開始剤および湿気硬化触媒との相溶性が低い。加えて、これらは高透湿性を有し、その結果、高温および高湿度条件下で高ヘイズになる。現在の有機ポリアクリレート系LOCAポリマーは、光開始剤との良好な相溶性を有し、低透湿性を有することができるが、高収縮率および広範囲のガラス転移温度を常に有し、これは、-40℃~100℃の熱サイクル試験下でプラスチック基板上の欠陥または剥離の原因となる。シリコーン系LOCAポリマーを有機ポリアクリレート系LOCAポリマーと単純混合すると、LOCAポリマーの非相溶性のためにヘイズが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在利用可能なLOCAポリマーのこれらの欠点に対処し、かつ様々な用途において使用されるであろうLOCAポリマーまたはポリマーの混合物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供し、そのすべての範囲またはすべての特徴、態様および目的の包括的な開示と解釈されるものではない。
【0007】
本開示は、シリコーンブロックと、かなりの、例えば2wt.%~30wt.%の有機ブロック分とから構成されるシリコーン-有機ハイブリッドポリマーを提示する。これらのシリコーンハイブリッドポリマーは、LOCA配合物中の他の有機モノマーおよび光開始剤との改善された相溶性を有する。これらは、典型的なシリコーン系LOCAポリマーよりも低い透湿率および有機ポリアクリレート系LOCAポリマーよりも低い収縮率を示す。これらの特徴は、LOCA用途、特に自動車用ディスプレイにとって良い。
【0008】
本開示の1つの態様は、シリコーン-有機ハイブリッドポリマーを含む二重硬化性組成物を提供することである。
【0009】
本開示の1つの態様は、UV硬化性シリコーン-有機ハイブリッドポリマーとイソシアネート官能性シリコーンハイブリッドポリマーとの組合せを含む二重硬化性組成物を提供することである。
【0010】
本開示の1つの態様は、
a)部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたUV硬化性シリコーンハイブリッドポリマーと、
b)反応性成分の組合せを含む2成分(2K)シャドウ硬化性組成物と、
c)有機希釈剤、光開始剤、触媒、補助剤およびそれらの組合せなどの他の成分と
を含む二重硬化性組成物を提供することである。
【0011】
本開示の1つの態様は、
a)部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたUV硬化性シリコーンハイブリッドポリマーと、
b)
1)イソシアネート含有シリコーンハイブリッドポリマーと、
2)イソシアネート含有シリコーンハイブリッドポリマーと反応性の1種または複数種の材料と
を含むポリマー混合物を含むシャドウ硬化性成分と、
c)シャドウ硬化反応のための触媒と
を含む2パート二重硬化性組成物を提供することである。
【0012】
本開示の1つの態様は、
a)部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたUV硬化性シリコーンハイブリッドポリマーと、
b)
1)イソシアネート含有シリコーンハイブリッドポリマーと、
2)シリコーンハイブリッドポリマージオール、シリコーンポリオールポリマーおよびそれらの組合せと
を含むポリマー混合物を含むシャドウ硬化性成分と、
c)光開始剤と、
d)イソシアネート含有ポリマーシャドウ硬化反応のための触媒と
を含む二重硬化性組成物を提供することである。
【0013】
本開示の1つの態様は、
a)部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたUV硬化性シリコーンハイブリッドポリマーと、
b)
1)ポリマー性シリコーンハイブリッド環状カーボネートと、
2)1種または複数種のアミン官能性シリコーンポリマーと、
3)任意選択で1つまたは複数のシャドウ硬化触媒と
を含むポリマー混合物を含むシャドウ硬化性成分と
を含む二重硬化性組成物を提供することである。
【0014】
本開示のこれらおよび他の特徴ならびに利点は、本明細書の詳細な説明から当業者にさらに明らかになるであろう。詳細な説明を伴う図面が以下に記載される。
【0015】
本明細書に記載された図面は、選択された態様のみの例示を目的とし、すべての実施の例示を目的とするものではなく、実際に示されたもののみに本開示を限定するものではない。これを念頭に置いて、本開示の例の態様の様々な特徴および利点は、以下の添付図面と組み合わせて考慮されたとき、以下に記載される説明および添付の特許請求の範囲から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示による接着剤組成物、配合物1を含むシリコーンハイブリッドポリマーにおける1分のUV曝露後の6000分の硬化時間にわたる時間に対する貯蔵弾性率のプロットおよび2枚のガラス試験板の間の隙間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明において、本開示を理解できるように詳細が記載される。
【0018】
明確にする目的で、例の態様は、本開示の範囲を当業者に伝えるために本明細書で議論される。本開示の様々な態様を十分に理解できるようにするために、特定の成分、デバイスおよび方法の例などの多数の特定の詳細が記載される。周知のプロセス、周知のデバイス構造および周知の技術などの特定の詳細は当業者に既によく理解されているので本明細書で議論される必要はないこと、および例の実施形態は多くの異なる形態で具体化されてよいこと、およびいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきでないことが当業者には明らかになるであろう。
【0019】
本明細書において使用される専門用語は、特定の例の態様のみを説明するためのものであり、限定するためのものではない。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈により特に明確に示されていない限り複数形も含むことが意図され得る。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素および/または成分の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセスおよび操作は、実施の順序として具体的に識別されない限り、議論または例示された特定の順序でのそれらの実施を必ず必要とするものと解釈されるべきではない。追加または代替のステップが使用されてよいことも理解されるべきである。量、濃度、寸法および他のパラメータが、範囲、好ましい範囲、上限値、下限値または好ましい上限値および限界値の形で表されるとき、任意の上限または好ましい値を任意の下限または好ましい値と組み合わせることにより得ることができる任意の範囲も、得られた範囲が文脈において明確に述べられているかどうかに関わらず、具体的に開示されていると理解されるべきである。
【0020】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、所与の値の25%、好ましくは15%、より好ましくは5%、最も好ましくは1%以内を意味する。あるいは、「約」という用語は、利用可能な場合、所与の値の標準偏差または変動を意味する。
【0021】
「アルキル」または「アルケニル」という用語は、当技術分野における最も広い意味を有し、指定数の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状またはそれらの組合せであり得、これは置換されてよい。
【0022】
「脂肪族」という用語は、指定数の炭素原子を有する炭化水素部分を意味し、これは直鎖状、分枝状、環状またはそれらの組合せであり得、これは芳香族でない限り完全飽和であり得、または不飽和を含み得る。
【0023】
「アリール」という用語は、指定数の炭素原子を有する芳香族基を指す。
【0024】
「アラルキル」という用語は、指定数の炭素原子を有するアリール基で置換されているアルキル基を指し、これは置換されていてもよい。
【0025】
「二重硬化」という用語は、放射線硬化性である、例えば紫外線(UV)放射への曝露により硬化可能である第1の成分と、混合されたとき反応生成物を形成する材料を含む第2の成分とを含む組成物、例えば第1のイソシアネート含有材料と第2のヒドロキシル基含有材料とを含む組成物を指す。本明細書において使用されるとき、湿気開始または水開始硬化反応に依拠する組成物は二重硬化材料から除外される。
【0026】
「ヒドロカルビレン」という用語は、炭化水素から誘導された任意の二価基を指す。いくつかの例示的なヒドロカルビレンは、直鎖状または分岐状アルキレン、シクロアルキレン、ビシクロアルキレン、トリシクロアルキレン、直鎖状または分岐状アルキルシクロアルキレン(alkylcycloalkylene)、直鎖状または分岐状アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレンおよびそれらの混合物である。ヒドロカルビレン基は非置換でも、置換されてもよい。
【0027】
「ヘテロカルビレン」という用語は、鎖内または環内に取り込まれた酸素、硫黄または窒素などのヘテロ原子を含む二価のヒドロカルビレン基を意味する。ヘテロカルビレン基は非置換でも、置換されてもよい。
【0028】
「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーならびにそれらの組合せとそれらから形成されたポリマーの両方を意味する。したがって(メタ)アクリレートポリマーは、メタクリレートモノマー、アクリレートモノマーまたはそれらの混合物を含むことができる。
【0029】
「LOCA」という用語は液状光学透明接着剤を意味する。本開示において、接着剤が少なくとも約85%の光透過率を示すならば、接着剤は光学的に透明であると考える。光透過率の測定は当業者に既知である。光透過率は、以下の好ましい試験方法に従って300μm厚のサンプルで好ましくは測定することができる。透過率の好ましい試験方法は、イソプロパノールで拭かれた、その2つの端部に2つの300μm厚スペーサーが保持されている75mm×50mmプレーンマイクロスライド(Corning製Gorillaガラススライド)の上に置かれた光学的に透明な接着剤の小滴を置くことを含む。第2のガラススライドが、ある力で接着剤の上に貼り付けられる。次いで、接着剤は、UV源下で完全に硬化され、シャドウ硬化のために室温で一晩放置される。光透過率は、Technical color solutions製分光計Datacolor 650を用いて波長380nm~780nmから測定される。1枚のブランクガラススライドがバックグラウンドとして使用される。
【0030】
「分子量」という用語は、特に指定のない限り数平均分子量を指す。数平均分子量Mおよび重量平均分子量Mは、ポリスチレン標準を使用して23℃でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、SECとしても既知)により本発明に従って決定される。この方法は当業者に既知である。
【0031】
「任意選択の(optional)」または「任意選択で(optionally)」という用語は、続いて記載される状況が発生しても、発生しなくてもよく、したがって、説明には、状況が発生する場合の例、および状況が発生しない場合の例が含まれることを意味する。「好ましい」および「好ましくは」という用語は、ある特定の状況下で特定の利益を与え得る本開示の実施形態を指すために使用される。しかし、1つまたは複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを意味せず、かつそれらの他の実施形態を本開示の範囲から除外するものではない。「シャドウ硬化」という用語は、UV光に曝露されていない領域内で硬化する接着剤の能力を指す。シャドウ硬化性LOCAは、LOCAの少なくともいくつかの部分をUV光に曝露することができない用途において使用される。
【0032】
「シリコーンハイブリッドポリマー」という用語は、本開示の方法のいずれかに従って形成されたシリコーン-有機ハイブリッドポリマーを含む。
【0033】
「置換(されている)」という用語は、親構造が、所望の組成物に悪影響を及ぼさない化学基で置き換えられた1個または複数の水素原子を有することを意味する。いくつかの例示的な化学置換基は、アミノ基、ホスフィノ基、四級窒素(アンモニウム)基、四級リン(ホスホニウム)基、ヒドロキシル基、アミド基、アルコキシ基、メルカプト基、ニトロ基、アルキル基、ハロ基、スルホン基、スルホキシド基、ホスフェート基、ホスファイト基、カルボキシレート基、カルバメート基である。
【0034】
以下の略記が本明細書において使用される:グラムはg、ミリグラムはmg、ミリリットルはml、リットルはL、ミリメートルはmm、秒はsec、摂氏温度は℃、液状光学透明接着剤はLOCA、波長のナノメートルはnm、ポリ(メチルメタクリレート)はPMMA、ポリカーボネートはPC、ポリエチレンテレフタレートはPETおよびミリモルはmmol。
【0035】
開示されたシリコーンハイブリッドポリマーは、典型的には、かなりの有機分を有する。一部の実施形態において、シリコーンハイブリッドポリマーは、炭素および水素原子含有量に基づいて約2wt.%~約30wt.%の有機分を含む。この有機分は、LOCA配合物中の他の有機ポリマー/モノマーとのシリコーンハイブリッドポリマーの相溶性を実現する。これらのシリコーンハイブリッドポリマーおよびこれらのポリマーを含むLOCA配合物は、可視光有機光開始剤および湿気硬化触媒とも良好な相溶性を有する。これらは、典型的なシリコーン系LOCAポリマーよりも低い透湿率および有機ポリアクリレート系LOCAポリマーよりも低い収縮率を示す。これらの特徴は、LOCA用途、特に自動車用ディスプレイにとって良い。
【0036】
UV硬化性シリコーンハイブリッドポリマーについては、ジヒドロキシ官能性シリコーンポリマーを有機ジイソシアネートと反応させることにより有機セグメントとシリコーンセグメントとが組み合わせられて、透明な外観を有するシリコーン-有機ブロックポリマーを形成する。反応において使用される有機ジイソシアネートに対するジヒドロキシ官能性シリコーンポリマーの比に応じて、ヒドロキシ末端またはイソシアネート末端シリコーン-有機ブロックポリマーのいずれかを生成することができる。次いで、ヒドロキシ末端シリコーンハイブリッドポリマーを、(メタ)アクリレートを含むイソシアネートでワンポットプロセスでさらに部分的または完全にエンドキャップして、光硬化性シリコーンハイブリッドポリマーを生成することができる。(メタ)アクリレート部分を含む市販のイソシアネート化合物を上記のキャッピングプロセスに使用することができる。
【0037】
シャドウ硬化性シリコーンハイブリッドポリマーについては、イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーを上述のヒドロキシ末端もしくはペンダントシリコーンハイブリッドポリマーおよび/または市販のヒドロキシ官能性シリコーンポリマーのうちの1つまたは複数と配合して、2パート系を実現することができる。イソシアネート成分とヒドロキシ成分とが分離されているが、成分が混合されると反応し始める場合、2パート系は非反応性である。あるいは、環状カーボネート部分を含むシリコーンハイブリッドポリマーを1つの成分として使用することができ、アミン官能性シリコーンを第2の成分として使用することができる。環状カーボネート成分とアミン成分とが分離されているが、成分が混合されると反応し始める場合、2パート系は非反応性である。
【0038】
二重硬化性系は、典型的には、UV硬化性シリコーンハイブリッドポリマー、反応性シャドウ硬化性シリコーンハイブリッドポリマー成分ならびに有機希釈ポリマー、光開始剤、触媒、補助剤およびそれらの組合せなどの他の成分を含むことになる。1つの実施形態において、二重硬化性LOCA組成物は、部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーと、イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーと、ヒドロキシ末端シリコーンハイブリッドポリマーと、任意選択でヒドロキシル含有シリコーンポリオールポリマーと、有機希釈ポリマーと、少なくとも1種の光開始剤と、少なくとも1種のシャドウ硬化触媒と、任意選択で1種または複数種の補助剤とを含むことになる。別の実施形態において、二重硬化性LOCA組成物は、部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーと、環状カーボネート末端シリコーンハイブリッドポリマーと、アミン含有シリコーンハイブリッドポリマーと、有機希釈ポリマーと、少なくとも1種の光開始剤と、少なくとも1種の触媒と、任意選択で1種または複数種の補助剤とを含むことになる。
【0039】
当然、二重硬化性系の成分は2パート系にパッケージ化されて、シャドウ硬化性成分の反応を防ぎ、かつ商業的に有用な使用前貯蔵寿命を実現する。2パートは使用直前に混合される。
【0040】
1つの実施形態において、硬化性組成物は、典型的には、以下の成分および濃度を有することになる。
【0041】
【表1】
【0042】
1つの実施形態において、硬化性組成物は、典型的には、以下の成分および濃度を有することになる。
【0043】
【表2】
【0044】
混合された接着剤は、結合される第1の基板上に配置される。混合すると、シャドウ硬化性成分の反応が開始される。配置された接着剤は、UV光などの放射線に曝露されて、UV硬化を開始する。第2の基板を第1の基板に結合するために、第2の基板を硬化接着剤の上に置くことができる。あるいは、基板のうちの一方または両方がUV光に対して十分に透明であるならば、混合された接着剤を第1の基板と第2の基板の間に配置し、一方または両方の基板を通じてUV光を照射することができる。
【0045】
部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマー;
1種の部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーが構造I
【0046】
【化1】
に示されている。
【0047】
RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントである。好ましくは、RおよびR’は、それぞれ独立して、直鎖状または分岐状アルキレン、シクロアルキレン、ビシクロアルキレン、トリシクロアルキレン、直鎖状または分岐状シクロアルキレン、直鎖状または分岐状アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される有機セグメントであり、任意選択で、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物は、骨格内の酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を含むことができる。より好ましくは、RおよびR’は、4~20個の炭素原子を有するアルキレンまたはシクロアルキレンならびに4~20個の炭素原子および1個または複数の酸素原子を有するアルキレンエーテルまたはシクロアルキレンエーテルからそれぞれ独立して選択される。
【0048】
およびPは、PおよびPのうちのただ1つがHであり得るという条件で、独立して、H、または(メタ)アクリレート基を含むイソシアネートとヒドロキシル基の反応から誘導された重合性基であり得る。
【0049】
nおよびmは、独立して1~10,000である。好ましくは、nは1~1,000であり、mは1~20である。
【0050】
本開示による部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーは、化学量論的過剰を超えるジヒドロキシ官能性シリコーンポリマーを有機ジイソシアネートと反応させて、ヒドロキシ末端シリコーンおよび有機コポリマーを形成し、続いてそのヒドロキシ末端シリコーン-有機コポリマーをイソシアネート官能性(メタ)アクリレートでエンドキャップすることにより、一般に調製される。依然としてジオールを過剰に保ちながらも、ジイソシアネートに対するジオールの比を変更することにより、得られる(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーの粘度を所与の用途に適するように調整することができる。市販のヒドロキシ末端シリコーンポリマーには、信越化学工業株式会社から入手可能なKF-6000、6001、6002および6003;信越化学工業株式会社から入手可能なX-22-4952、X-22-4272、KF-6123、X-21-5841およびKF-9701;またはSiltech Corporationから入手可能なSilmer OHT A0、Silmer OH Di-10、Silmer OH di-50が含まれる。シリコーンジオールとの反応に使用することができる有機ジイソシアネートには、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、IPDIトリマー、ポリマーIPDI、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、メチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート(TDI)、TDIのイソシアヌレート、TDI-トリメチロールプロパン付加物、ポリマーTDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDIイソシアヌレート、HDIビウレート(biurate)、ポリマーHDI、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート(DDDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NDI)および4,4’-ジベンジルジイソシアネート(DBDI)ならびにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。好ましい脂肪族ジイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、TAKENATE(商標)600(1,3,ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)、TAKENATE(商標)D-120N(水素化キシリレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート付加物)(いずれも三井化学から入手可能)および4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12-MDI)が含まれる。芳香族ジイソシアネートは得られるコポリマーの色およびより高い粘度に寄与し、これは本出願にとって望ましくないので、脂肪族および脂環式のジイソシアネートならびにポリイソシアネートが好ましい。
【0051】
ヒドロキシ末端シリコーンハイブリッドポリマー:
部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーを調製するために使用される同じ手法を同じく使用して、最後のアクリレートエンドキャッピングステップを省略することにより、ヒドロキシ末端シリコーンハイブリッドポリマーを生成することができる。このシリコーンハイブリッドポリマージオールは、単独でまたは他のシリコーンジオールもしくはポリオールと組み合わせてシャドウ硬化性配合物の一部として使用することができる。以下の構造反応順序を参照されたい。
【0052】
【化2】
RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントである。好ましくは、RおよびR’は、それぞれ独立して、直鎖状または分岐状アルキレン、シクロアルキレン、ビシクロアルキレン、トリシクロアルキレン、直鎖状または分岐状シクロアルキレン、直鎖状または分岐状アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される有機セグメントであり、任意選択で、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物は、骨格内のOまたはSのうちの1つまたは複数を含むことができる。より好ましくは、RおよびR’は、4~20個の炭素原子を有するアルキレン、4~20個の炭素原子を有するシクロアルキレン、4~20個の炭素原子および1個または複数の酸素原子を有するアルキレンエーテルまたは4~20個の炭素原子および1個または複数の酸素原子を有するシクロアルキレンエーテルからそれぞれ独立して選択される。
【0053】
nおよびmは、それぞれ独立して1~10000である。好ましくは、nは1~1,000であり、mは1~20である。
【0054】
シリコーンポリオールポリマー:
1種のシリコーンポリオールポリマーが構造IV
【0055】
【化3】
に示されている。
【0056】
Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンである。好ましくは、Rは、1~30個の炭素原子を含むアルキレンセグメントまたはシクロアルキレンセグメントである。
【0057】
n1は1~10,000、好ましくは1~1,000である。n2は2~10,000、好ましくは2~100である。
【0058】
別のシリコーンポリオールポリマーが構造IVa
【0059】
【化4】
に示されている。
【0060】
Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンである。好ましくは、Rは、1~30個の炭素原子を含むアルキレンセグメントまたはシクロアルキレンセグメントである。
【0061】
mは1~10,000、好ましくは1~1,000である。
【0062】
イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマー:
部分的または完全に(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーと同様の方法および同じ反応物を使用して、しかし、以下に示されるように化学量論的に過剰量のジイソシアネートを使用してイソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーを生成することができる。
【0063】
【化5】
RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンである。好ましくは、RおよびR’は、それぞれ独立して、アルキレン、シクロアルキレン、ビシクロアルキレン、トリシクロアルキレン、直鎖状または分岐状アルキレン、直鎖状または分岐状シクロアルキレン、直鎖状または分岐状アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される有機セグメントであり、任意選択で、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物は、骨格内のOまたはSのうちの1つまたは複数を含むことができる。より好ましくは、RおよびR’は、4~20個の炭素原子を有するアルキレン、4~20個の炭素原子を有するシクロアルキレン、4~20個の炭素原子を有するアルキレンエーテルまたは4~20個の炭素原子および1個または複数の酸素原子を有するシクロアルキレンエーテルからそれぞれ独立して選択される。
【0064】
nおよびmは、それぞれ独立して1~10000である。好ましくは、nは1~1,000であり、mは1~20である。
【0065】
あるいは、イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーは、メルカプト官能性シリコーンを有機ジイソシアネートに加えることにより得ることもできる。構造IIaは、このイソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーの1つの実施形態を示す。
【0066】
【化6】
【0067】
R、R’、nおよびmは上述と同じである。本明細書において、例6では、化学量論量を超える有機ジイソシアネートにメルカプト官能性シリコーンを加えることによる本開示による構造IIaイソシアネート末端シリコーン-チオウレタンハイブリッドポリマーの合成を説明する。イソシアネート末端シリコーン-チオウレタンハイブリッドポリマーの合成に使用することができるメルカプタン官能性シリコーンの例として、X-22-167B、X-22-167C(これらは信越化学工業株式会社から入手可能である)およびGenesee Polymersから入手可能であるGP-970が挙げられる。
【0068】
環状カーボネート末端シリコーンハイブリッドポリマー:
環状カーボネート末端シリコーンハイブリッドポリマーが構造V
【0069】
【化7】
に示されている。
【0070】
RおよびR’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンセグメントまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンセグメントである。好ましくは、RおよびR’は、それぞれ独立して、直鎖状または分岐状アルキレン、シクロアルキレン、ビシクロアルキレン、トリシクロアルキレン、直鎖状または分岐状シクロアルキレン、直鎖状または分岐状アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される有機セグメントであり、任意選択で、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、アリールビシクロアルキレン、アリールトリシクロアルキレン、ビシクロアルキルアリーレン、トリシクロアルキルアリーレン、ビスフェニレン、シクロアルキルアリーレン、ポリオキシアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアリーレンおよびそれらの混合物は、骨格内のOまたはSのうちの1つまたは複数を含むことができる。より好ましくは、RおよびR’は、4~20個の炭素原子を有するアルキレンまたはシクロアルキレンならびに4~20個の炭素原子および1個または複数の酸素原子を有するアルキレンエーテルまたはシクロアルキレンエーテルからそれぞれ独立して選択される。
【0071】
nおよびmは、それぞれ独立して1~10000である。好ましくは、nは1~1,000であり、mは1~20である。
【0072】
シリコーンアミンポリマー:
いくつかの例示的なシリコーンアミンポリマーが構造VIおよびVII
【0073】
【化8】
【0074】
【化9】
に示されている。
【0075】
Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビレンまたは1~30個の炭素原子および骨格内の窒素原子、酸素原子または硫黄原子のうちの1つまたは複数を有するヘテロカルビレンである。好ましくは、Rは、1~30個の炭素原子を含むアルキレンセグメントまたはシクロアルキレンセグメントである。
【0076】
n1は1~10,000、好ましくは1~1,000である。n2は2~10,000、好ましくは2~100である。
【0077】
有機希釈剤:
有機希釈剤は、低粘度の反応性希釈モノマーまたは反応性希釈ポリマーである。有機希釈剤は、室温で5cP~3,000cPの粘度を有する液体であり得る。有機希釈剤には、単官能性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸およびそれらの組合せが含まれ得る。有用な単官能性(メタ)アクリレートの例示的な例には、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、ヘテロシクロアルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキルメタクリレート、アルコキシポリエーテルモノ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0078】
(メタ)アクリレート上のアルキル基は、望ましくは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子、望ましくは1~10個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基、1~20個の炭素原子、望ましくは1~15個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ビシクロまたはトリシクロアルキル基、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基、6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で有する、1~20個の炭素原子、望ましくは1~10個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基であり得る。
【0079】
(メタ)アクリレート上のアルケニル基は、望ましくは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基、6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、2~10個の炭素原子を有するエポキシ基、ヒドロキシルなどから選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で有する、2~20個の炭素原子、望ましくは2~10個の炭素原子を有する置換または非置換アルケニル基であり得る。
【0080】
(メタ)アクリレート上のヘテロシクロ基は、望ましくは、NおよびOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、かつ1~10個の炭素原子を有するアルキル基、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基、6~10個の炭素原子を有するアリールオキシ基または2~10個の炭素原子を有するエポキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を任意選択で有する、2~20個の炭素原子、望ましくは2~10個の炭素原子を有する置換または非置換ヘテロシクロ基であり得る。
【0081】
アルコキシポリエーテルモノ(メタ)アクリレートは、1~10個の炭素を有するアルコキシ基で置換することができ、ポリエーテルは、1~10個の繰返し単位を有することができる。
【0082】
単官能性(メタ)アクリレート反応性希釈剤の具体例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、オクタデシルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N,ジアルキルアクリルアミド、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2(2-エトキシ)エトキシエチルアクリレートおよびカプロラクトンアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
有用な(メタ)アクリルアミドは、非置換(メタ)アクリルアミド、N-アルキル置換(メタ)アクリルアミドまたはN,N-ジアルキル置換(メタ)アクリルアミドであり得る。N-アルキル置換(メタ)アクリルアミドにおいて、アルキル置換基は、望ましくは、N-エチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミドなどのように1~8個の炭素原子を有する。N,N-ジアルキル置換(メタ)アクリルアミドにおいて、アルキル置換基は、望ましくは、N,N-ジメチルアクリルアミドおよびN,N-ジエチルアクリルアミドのように1~4個の炭素原子を有する。
【0084】
有機希釈剤は、望ましくは、常温でシリコーンハイブリッドポリマーと相溶する低粘度液体である。「常温」または「室温」という用語は約25℃を意味する。
【0085】
光開始剤:
接着剤組成物は、硬化を実現するのに有用な量の光開始剤成分を任意選択で含むことができる。光開始剤の有用な非限定的な例には、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-アセトン、ジフェニル(2,4,6-トリフェニルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、2-ベンジル-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、ベンゾインジメチルケタールジメトキシアセトフェノン、a-ヒドロキシベンジルフェニルケトン、1-ヒドロキシ-1-メチルエチルフェニルケトン、オリゴ-2-ヒドキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチビニル)フェニル)アセトン、ベンゾフェノン、メチルo-ベンジルベンゾエート、メチルベンゾイルホルメート、2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジsec-ブトキシアセトフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、2-イソプロピルチオキサンテノン、2-メチルアントロン、2-エチルアントロン、2-クロロアントロン、1,2-ベンズアントロン、ベンゾイルエーテル、ベンゾインエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α-フェニルベンゾイン、チオキサンテノン、ジエチルチオキサンテノン、1,5-アセトナフトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、エチルp-ジメチルアミノベンゾエートなど、ベンジルケタール、ヒドロキシルケトン、アミンケトンおよびアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される1つまたは複数が含まれる。これらの光開始剤は、個別にまたは互いに組み合わせて使用されてよい。
【0086】
光開始剤は、全組成物の約0.05重量%~約3.0重量%の非限定的な量で、望ましくは全組成物の約0.1重量%~約1.0重量%で使用されてよい。
【0087】
1つの好ましい実施形態において、光開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドまたはIrgacure 819である。
【0088】
触媒:
触媒は、ヒドロキシルとのイソシアネート反応のための任意の触媒であり得る。いくつかの例には、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルおよびトリエチレンジアミンなどのアミン触媒ならびにジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクトエート、商品名K Kcat XK640で入手可能であるカルボン酸ビスマス触媒、King industriesから入手可能であるK Kat A 209などのZr系触媒などの有機金属触媒が含まれる。スズ触媒またはビスマス触媒がウレタン合成に使用されたときと比べて、得られるイソシアネート末端シリコーン樹脂が優れた保存寿命を示すので、Zr系触媒が好ましい。触媒は、好ましくは、全組成物重量に基づいて0.005~3.5wt.%の量で存在する。
【0089】
任意選択の補助剤:
任意選択の補助剤には、可塑剤、充填剤、接着促進剤、脱水剤、UV安定剤、保存寿命安定剤、レオロジー助剤、顔料および溶媒のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0090】
LOCA組成物は、弾性特性を調整し、かつ組成物の加工性を改善する1種または複数種の可塑剤を任意選択で含むことができる。可塑剤は、組成物の粘度を低減し、したがって加工をより容易にし、加えて組成物の柔軟性および伸展性を改善する物質であると理解される。可塑剤は、脂肪酸エステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルを除くジカルボン酸エステル、エポキシ化脂肪酸またはOH基を持つ脂肪酸のエステル、脂肪、グリコール酸エステル、安息香酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、トリメリット酸エステル、エポキシ化可塑剤、ポリエーテル可塑剤、ポリスチレン、炭化水素可塑剤、塩素化パラフィンおよびそれらのうちの2つ以上の混合物から選択されてよい。可塑剤のうちの1つまたは可塑剤の特定の組合せの注意深い選択により、本開示による組成物のさらなる有利な特性、例えばポリマーのゲル化特性、低温弾性または耐低温性または帯電防止特性を実現することができる。ポリエーテル可塑剤のうち、好ましくはエンドキャップされたポリエチレングリコール、例えばポリエチレンまたはポリプロピレングリコールジ-C1~4-アルキルエーテル、特にジエチレングリコールもしくはジプロピレングリコールのジメチルまたはジエチルエーテルおよびそれらのうちの2つ以上の混合物が使用される。同じく、可塑剤として適しているのは、例えば、アビエチン酸のエステル、酪酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、チオ酪酸エステル、クエン酸エステルならびにニトロセルロースおよびポリ酢酸ビニルに基づくエステル、ならびにそれらのうちの2つ以上の混合物である。同じく適しているのは、例えば、2-エチルヘキサノールとのアジピン酸モノオクチルエステルの非対称エステル(Edenol DOA、Cognis Deutschland GmbH、デュッセルドルフ)である。加えて、単官能性の直鎖状もしくは分岐状C4~16アルコールの純エーテルもしくは混合エーテルまたはこのようなアルコールの2種以上の異なるエーテルの混合物、例えばジオクチルエーテル(Cetiol OE(Cognis Deutschland GmbH、デュッセルドルフ)として入手可能)が可塑剤として適している。本開示の枠組み内の可塑剤として同じく適しているのはジウレタンであり、これは、例えば、実質的にすべての遊離OH基が完全に反応するように化学量論を選択することにより、単官能性イソシアネートとのOH末端基を有するジオールの反応により生成することができる。次いで、すべての過剰なイソシアネートを、例えば蒸留により、反応混合物から除去することができる。ジウレタンを生成するための別の方法は、単官能性アルコールをジイソシアネートと反応させるものであり、ここで、可能な限りすべてのNCO基が完全に反応する。使用される場合、本発明による硬化性組成物中の可塑剤の総量は、硬化性組成物の総重量にそれぞれの場合において基づいて0wt.%~30wt.%、好ましくは5wt.%~25wt.%、特に好ましくは10wt.%~20wt.%である。
【0091】
本開示によるLOCA組成物は、1種または複数種の充填剤を任意選択で含むことができる。いくつかの有用な充填剤には、チョーク、粉末状石灰石、沈降および/または焼成シリカ、ゼオライト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、アルミナ、粘土、獣脂、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、マイカ、粉末状ガラスならびに他の粉砕鉱物が含まれる。有機充填剤も使用することができる。いくつかの有用な有機充填剤には、カーボンブラック、グラファイト、木材繊維、木粉、おがくず、セルロース、綿、パルプ、木材チップ、切り藁、もみ殻、粉砕クルミ殻および他のショートカット有機繊維が含まれる。ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、Kevlar繊維またはポリエチレン繊維などの他の短繊維も充填剤として有用であり得る。アルミニウム粉末も充填剤として適している。無機質シェルまたはプラスチックシェルを有する中空球は充填剤として適している。これらは、例えば、商品名Glass Bubbles(登録商標)で市販されている中空ガラス球であり得る。プラスチック系中空球は、例えばExpancel(登録商標)またはDualite(登録商標)の名称で市販されている。これらは、1mm以下、好ましくは500μm以下の直径を有する。一部の用途については、調製物を揺変性(チキソトロピー性)にする充填剤が好ましい。これらの充填剤は、レオロジー助剤、例えば水素化ヒマシ油、脂肪酸アミドまたはPVCなどの膨潤性プラスチックとしても記載される。充填剤は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて0wt.%~50wt.%、好ましくは1wt.%~20wt.%、より好ましくは1wt.%~10wt.%の量で使用される。
【0092】
本開示によるLOCA組成物は、UV安定剤を任意選択で含むことができる。いくつかの有用なUV安定剤はヒンダードアミン光安定剤(HALS)である。架橋中または硬化中に最終生成物へのその取込みを可能にするシリル基を持つUV安定剤も使用することができる。さらに、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾエート、シアノアクリレート、アクリレート、立体障害フェノール、リンおよび/または硫黄も有用であり得る。組成物中のUV安定剤の割合は、組成物の総重量に基づいて約0.05wt.%~2wt.%、特に0.05wt.%~1wt.%である。
【0093】
さらにいっそう保存寿命を延ばすために、透湿によって引き起こされる早すぎる硬化に対して接着剤組成物を安定化することが有用であり得る。これは、脱水剤または乾燥剤の使用により達成することができる。接着剤組成物は、脱水剤または乾燥剤を任意選択で含むことができる。有用な乾燥剤は、水と反応して組成物中に存在する反応性基に対して不活性である基を形成する一方、その分子量はわずかしか変化しないすべての化合物である。当然、組成物内に浸透した湿気に対する乾燥剤の反応性は、組成物中のターポリマーのアミノシラン末端基の反応性よりも高くなければならない。使用される場合、組成物中の脱水剤または乾燥剤の割合は、組成物の総重量に基づいて約0wt.%~10wt.%、特に0wt.%~2wt.%である。
【0094】
さらに保存寿命を改善するために、LOCA組成物は、p-トルエンスルホニルイソシアネート(PTSI)、塩化ベンゾイルまたはppmレベルのリン酸などのイソシアネート安定剤を任意選択で含むことができる。
【0095】
ある種の用途において開示された組成物中で有用な他の添加剤には、脱気剤、殺菌剤、難燃剤およびそれらの組合せが含まれる。これらの添加剤の総レベルは、接着剤組成物に所望の特性を与えるのに必要な各特定の添加剤の量に応じて変わる。添加剤のレベルは、組成物の総重量に基づいて0wt.%~80wt.%であり得る。
【0096】
二重硬化接着剤配合物は、室温で500cPs~100,000cPs、より好ましくは1000cPs~約50,000cPsの粘度を有することになる。好ましくは、本開示に従って調製されたLOCA配合物は、1.3~1.6、最も好ましくは1.35~1.55の屈折率を有する。
【実施例
【0097】
<例1>
【0098】
【化10】
【0099】
これは、(メタ)アクリレートで部分的にエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。まず、シリコーンポリマーKF 6003シリコーン液100g(18.7mmol)をフラスコに添加し、真空下70℃で1時間乾燥して、微量の湿気をすべて除去した。65℃まで冷却した後、各5mgの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル0-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox(登録商標)1010)をフラスコに添加し、続いてカルボン酸ビスマス触媒K cat(登録商標)XK-640のアセトン溶液25.9mgを添加した。フラスコを窒素雰囲気下に置き、2.99gのIPDI(13.4mmol)を添加した。添加が終了した後、反応物を同じ温度で3時間さらに撹拌した。次いで、0.76g(5.4mmol)の2-イソシアナトエチルアクリレートをフラスコに添加し、混合物を1時間さらに撹拌して、部分的にアクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーを定量的収率で得た。
【0100】
<例2>
【0101】
【化11】
【0102】
これは、イソシアネート末端化されたシリコーンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。まず、シリコーンポリマーKF 6002シリコーン液286.8g(91mmol、OH価35)をフラスコに添加し、真空下70℃で1時間乾燥して、微量の湿気をすべて除去した。65℃まで冷却した後、各20mgのBHTおよびIrganox(登録商標)1010をフラスコに添加し、続いてK cat(登録商標)XK-640触媒のアセトン溶液を5滴添加した。フラスコを窒素雰囲気下に置き、20.7gのヘキサン-1,6-ジイソシアネート(122mmol)を20分にわたり滴下添加した。添加が終了した後、反応物を同じ温度で3時間さらに撹拌した。イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーを窒素雰囲気下で気密シリンジに移した。このポリマーに対してイソシアネート滴定を実施して、このポリマー中のイソシアネート分の百分率を測定した。典型的には、HDIを使用したとき、このポリマーのイソシアネートのwt%は0.15~約0.25%の範囲内であった。
【0103】
<例3>
【0104】
【化12】
【0105】
これは、イソシアネート末端化されたシリコーンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。まず、シリコーンポリマーKF 6003シリコーン液256.11g(49mmol)をフラスコに添加し、真空下70℃で1時間乾燥して、微量の湿気をすべて除去した。65℃まで冷却した後、各20mgのBHTおよびIrganox(登録商標)1010をフラスコに添加し、続いてK cat(登録商標)XK-640触媒のアセトン溶液を5滴添加した。フラスコを窒素雰囲気下に置き、11.33gのヘキサン-1,6-ジイソシアネート(67mmol)を20分にわたり滴下添加した。添加が終了した後、反応物を同じ温度で3時間さらに撹拌した。イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーを窒素雰囲気下で気密シリンジに移した。このポリマーに対してイソシアネート滴定を実施して、このポリマー中のイソシアネート分の百分率を測定した(典型的な範囲は0.15~0.25wt%であった)。
【0106】
<例4>
【0107】
【化13】
【0108】
これは、ヒドロキシ末端化された鎖伸長シリコーンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。まず、シリコーンポリマーKF 6003シリコーン液265.2g(51mmol、OH価21.73)をフラスコに添加し、真空下70℃で1時間乾燥して、微量の湿気をすべて除去した。65℃まで冷却した後、各20mgのBHTおよびIrganox(登録商標)1010をフラスコに添加し、続いてK cat(登録商標)XK-640触媒のアセトン溶液を5滴添加した。フラスコを窒素雰囲気下に置き、5.61gのヘキサン-1,6-ジイソシアネート(60mmol)を20分にわたり滴下添加した。添加が終了した後、反応物を同じ温度で3時間さらに撹拌した。ヒドロキシル末端シリコーンハイブリッドポリマーを容器に移した。OH価をこのポリマーについて測定し、7.17と決定した。他のシリコーンジオールおよびジイソシアネートを使用した本開示による他のヒドロキシル末端鎖伸長シリコーンハイブリッドポリマーの合成のために同様の手順を使用した。
【0109】
<例5>
【0110】
【化14】
【0111】
これは、環状カーボネート末端化された鎖伸長シリコーンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。まず、シリコーンポリマーKF 6002シリコーン液180.18g(51mmol、OH価32)をフラスコに添加し、真空下70℃で1時間乾燥して、微量の湿気をすべて除去した。65℃まで冷却した後、各20mgのBHTおよびIrganox(登録商標)1010をフラスコに添加し、続いてK cat(登録商標)XK-640触媒のアセトン溶液を5滴添加した。フラスコを窒素雰囲気下に置き、次いで、11.71gのヘキサン-1,6-ジイソシアネート(69mmol)を20分にわたり滴下添加した。添加が終了した後、反応物を同じ温度で3時間さらに撹拌した。次いで、5.19gの4-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジオキサラン-2-オン(24mmol)を添加し、赤外分析がイソシアネートのピークの消失を示すまで混合物を同じ温度で約2時間さらに撹拌し、次いで、この材料を容器に移した。
【0112】
<例6>
【0113】
【化15】
【0114】
これは、イソシアネート末端シリコーン-チオウレタンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。まず、146.1g(46mmol)の信越化学工業株式会社製のメルカプト末端シリコーンポリマーX-22-167Bをフラスコに添加し、真空下70℃で1時間乾燥して、微量の湿気をすべて除去した。65℃まで冷却した後、各30mgのBHTおよびIrganox(登録商標)1010をフラスコに添加し、続いて10.24g(60mmol)のヘキサン-1,6-ジイソシアネートを窒素雰囲気下で添加した。次いで、触媒量2.5g(24mmol)のトリエチルアミンをフラスコに添加した。添加が終了した後、反応物を同じ温度で3時間さらに撹拌した。イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーを容器に移した。
【0115】
<例7>
【0116】
【化16】
【0117】
これは、多ヒドロキシ官能性シリコーンハイブリッドポリマーの形成のための方法の本開示による一例である。機械式撹拌装置および乾燥窒素入口を備えた予備乾燥された500ml三口丸底フラスコ内で合成を行った。35.8のメルカプト価を有するGenesee polymers corporation製メルカプト官能化ポリジメチルシロキサン(PDMS)GP 367 16.84g(27mmol)、10.5gのポリプロピレングリコール(PPG)モノアクリレート(M 475、22mmol)および1ml(6mmol)のトリエチルアミンの混合物を室温で48時間撹拌した。チオール-エン反応が完了すると、元々は乳状の混合物が透明な液体になる。ロータリーエバポレーターを使用して、トリエチルアミンを減圧下40℃で3時間蒸発させた。これにより、対応するヒドロキシル官能性PDMS-PPGハイブリッドポリオールを明澄透明な液体として得た。
【0118】
実験結果
以下の配合物1に示されるようなLOCA配合物を使用して二重硬化LOCA研究を実施した。例1の(メタ)アクリレートエンドキャップされたシリコーンハイブリッドポリマー、例2のイソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーおよび架橋剤としての信越化学工業株式会社製の市販シリコーンポリオールX-22-4039を一緒にブレンドした。2-メトキシエチルアクリレートを希釈剤として使用して、シャドウ硬化触媒としてのジブチルスズジオクトエートの存在下でジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)光開始剤を溶解した。合わせた配合物を高速混合した。2枚のガラス板の間に600ミクロン厚の接着剤層を置き、1分間のUV曝露により接着剤を硬化することにより試験片を調製した。上側および下側のガラス板の間の600ミクロンの隙間を使用して、時間に対する貯蔵弾性率のプロットを室温で行った。二重硬化配合物1の時間に対する貯蔵弾性率のプロットが図1に示されている。1分のUV硬化時間の後、グラフは、配合物1のシャドウ硬化が室温で約1000分、すなわち約17時間で実質的に完了することを示す。対比として、UV光硬化機構および湿気硬化機構の両方を有する市販の単一成分シラン系LOCA配合物Loctite 8653は、同じ条件下室温で完全硬化に達するのに3~4日を要する。さらに、シャドウ硬化は湿気の侵入に依存しないので、本発明に開示された系を使用して、接着剤の曝露領域および非曝露領域の両方における均一な完全硬化を室温で24時間未満で達成することができる。上記の二重硬化配合物1のショア00硬度は約25であった。図1から見て分かるように、記録された時間にわたって隙間の大きさに変化はなかった。
【0119】
【表3】
【0120】
アクリレートシリコーンハイブリッドポリマーにおけるエンドキャッピング百分率を変更することにより、またはシリコーンポリオール架橋剤X-22-4039を鎖伸長ジオールシリコーンハイブリッドポリマーで部分的に置き換えることにより、本開示による二重硬化配合物のショア00硬度をさらに調整することができ、1つのこのような例が例4である。他の市販のシリコーンポリオールまたはジオールを配合物中で使用して、ショア00硬度を調整することもできる。使用され得る市販のシリコーンポリオールまたはジオールの例には、限定ではなく例として、シリコーンカルビノールX-22-4015、KF6000、KF-6001、KF-6002、KF 6003、X-22-4952、X-22-4272、KF-6123、X-21-5841およびKF-9701(これらは信越化学工業株式会社から市販されている)が含まれる。他の例には、Silmer OHT A0、Silmer OH Di-10、Silmer OH di-50、Silmer OH C50、Silmer OH J10、Silmer OHT A 0、Silmer OHT Di-10、Silmer OHT Di-100、Silmer OHT Di-400およびSilmer OHT E13(これらはSiltechから入手可能である)が含まれる。ポリアルキレングリコールモノアクリレートとの多メルカプト官能性シリコーンのチオール-エン反応により得られる他のシリコーンポリオールも使用することができる。例7では、ポリプロピレングリコールモノアクリレートとのメルカプト官能性シリコーンのチオール-エン反応により得られた本開示による多ヒドロキシ官能性シリコーンハイブリッドポリマーのこのような合成を説明している。ポリエーテルジオールモノ(メタ)アクリレートとのアニオン性チオール-エン反応によるシリコーン-ポリエーテルハイブリッドジオールまたはポリオールの合成において使用することができるメルカプト官能性シリコーンの例には、KF-2001、KF-2004、X-22-167B、X-22-167C(これらは信越化学工業株式会社から市販されている)またはGenesee Polymers Corporationから入手可能であるGP-970およびGP-367メルカプト官能性シリコーングレードが含まれる。Zr、Zn、Ti、Alなどの他の金属触媒をイソシアネートポリオール反応に使用することができる。これらの触媒の多くが市販されており、かつ環境に優しい。ヒドロキシ官能性シリコーンポリマーとイソシアネート官能性シリコーンポリマーを2K系に分離することにより、本開示による本発明の二重硬化配合物を2K系(2成分系を意味する)に適切に設計することができる。
【0121】
4種の配合物、配合物1~4を光学的老化研究に使用した。例1のシリコーンハイブリッドポリマーおよび例2のシリコーンハイブリッドポリマーを使用して、ただしショア00硬度および光学特性を調整するためにシリコーンポリオール架橋剤、鎖伸長ジオールおよびアクリレート希釈剤の量を変えて、本明細書の配合物表1~4に記載されているように配合物を調製した。シャドウ硬化のための架橋剤として信越化学工業株式会社製のシリコーンポリオールX-22-4039のみを使用した配合物1は、二重硬化後に約25のより高いショア00硬度を示した。対比として、X-22-4039ポリオール架橋剤の一部を例4の鎖伸長ジオールで置き換える配合物2は、より低いショア00硬度(12)を示した。この結果は、配合物中のポリオール/ジオール架橋剤の適切な選択によりショア00硬度を調整することができることを示す。
【0122】
【表4】
【0123】
配合物3では異なるアクリル希釈剤を使用し、これは光学特性を特に老化後に改善した(以下のデータを参照)。この結果は、有機希釈剤の選択も光学特性において重要な役割を果たすことを示す。
【0124】
【表5】
【0125】
上記の配合物1~3のすべてで、シャドウ硬化のためにスズ触媒を使用した。一部の用途については、スズの使用は、潜在的な環境問題のために懸念となる可能性がある。より環境に優しいZr触媒をシャドウ硬化反応における使用のためにスクリーニングした。ジルコニウムキレート錯体であるK Kat(登録商標)A 209を反応性希釈剤および酢酸t-ブチルに溶解した。この触媒は、シャドウ硬化反応において良好な反応性を示し、この反応は、室温で24時間未満で完了したように見受けられた(配合物4)。この配合物は、Zr触媒がシャドウ反応に使用されることを除いて配合物3と同一である。この配合物のショア00硬度は配合物3と同一であり、これは、完全なシャドウ硬化反応をZr触媒でも達成することができることを示す。
【0126】
【表6】
【0127】
配合物1~4を光学的老化研究に供し、本開示によらない市販の比較対照Loctite 8653と比べた。LOCA配合物1~4およびLoctite 8653からの硬化膜250ミクロン厚を光学的老化試験に供した。結果を以下に示す。全体として、配合物1および2は、1000時間の相対湿度(R.H.)85%で85℃の試験において対照配合物と比べて優れた老化結果を示したが、QUV 1000時間試験結果は対照配合物がわずかにより良かった。QUVは、太陽光、雨および露によって引き起こされる損傷を再現する促進耐候性試験機である。UV老化結果の改善において重要な役割を果たすUV安定剤を対照配合物Loctite 8653が含むことは注目すべきである。配合物1~4はUV安定剤を含んでいなかった。UV安定剤の添加は、それらのQUV試験結果を改善すると予想されるであろう。
【0128】
【表7】
【0129】
【表8】
【0130】
配合物3について以下に示されるように、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレートが希釈剤として使用されたとき、わずかに優れた光学的老化結果が得られた。ヘイズの結果は、2-メトキシエチルアクリレートを希釈剤として使用したとき得られた結果よりも優れていた。
【0131】
【表9】
【0132】
配合物4でのようにシャドウ硬化のためのZr触媒でスズ触媒を置き換えたとき、光学特性の悪化は見られなかった。光学的老化およびショア00硬度は、配合物3において観察されたものと同様であった。
【0133】
【表10】
【0134】
市販の対照Loctite 8653の結果を以下に示す。
【0135】
【表11】
【0136】
上記で示した配合物のすべてを2パート系に分けることができる。しかし、報告される光学的老化試験については成分を1K系として混合した。2パート系として分配された配合物が有意に異なる光学的老化結果を与えるか見るために、以下に示す配合物5を2パート配合物として250ミクロン厚の膜に分配し、二重硬化後、光学特性を評価した。結果も以下に示す。
【0137】
【表12】
【0138】
【表13】
【0139】
2パート二重硬化配合物における配合物6に示されるような環状カーボネート官能化シリコーンハイブリッドポリマーおよび脂肪族アミン官能性シリコーンのシャドウ硬化性を実証した。ヒドロキシ官能性ポリウレタンを与える5員環状カーボネートとの脂肪族アミン反応は周知であり、イソシアネートに関連する毒性問題のために、この技術が湿気硬化ポリウレタンの代替として使用されている。反応は室温で遅いが、触媒性アミジン/グアニジンタイプの塩基またはルイス酸とルイス塩基との組合せにより加速することができる。この環状カーボネート-アミン反応は、シリコーンハイブリッドポリマーを含む二重硬化配合物におけるシャドウ硬化のためであった。ここで、UV硬化は、前述のアクリレートキャップされたシリコーンハイブリッドポリマーにより得られ、シャドウ硬化は、環状カーボネート官能性シリコーンハイブリッドポリマーおよび脂肪族アミン官能性シリコーンに由来する。
【0140】
【表14】
【0141】
シリコーンハイブリッド環状カーボネートとアミン官能性シリコーンとのシャドウ硬化反応は、シリコーンイソシアネートとシリコーンハイブリッドジオールおよび/またはシリコーンポリオールとの間の反応よりもはるかに遅かったが、配合物6に示されるようなUV硬化後およびr.t.で10日間静置後のショア00硬度の増加から分かるように、シャドウ硬化反応は依然として起きていた。
【0142】
イソシアネート末端シリコーンハイブリッドポリマーを市販のグリセロールカーボネートでキャップすることにより、本開示による配合物6中で使用された例5の5員環状カーボネート官能性シリコーンハイブリッドポリマーを生成した。
【0143】
【化17】
【0144】
環状カーボネート官能性シリコーンとのシャドウ硬化に使用することができる脂肪族アミン官能性シリコーンの例には、X-22-3939A、KF-877、KF-889、KF-868、KF-865、KF-864、KF-8012、KF-8008、X-22-1660B-3、X-22-9409、PAM-E、KF-8010、X-22-161A、X22-161B(これらは信越化学工業株式会社から入手可能である)、Genesee polymersから入手可能であるGP-4、GP-6、GP-581、GP-344、GP-997、GP-342、GP-316が含まれるが、これらに限定されない。
【0145】
前述の開示は関連する法的基準に従って記載されており、したがって、本記載は本質的に限定的ではなく例示的である。開示された実施形態に対する変形および修正は当業者には明らかになるであろうし、本開示の範囲内に入るであろう。したがって、本開示によって与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定できる。
図1