(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】超高分子量プロピレン(共)重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/10 20060101AFI20240823BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20240823BHJP
C08F 10/06 20060101ALI20240823BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
C08L23/10
C08F4/654
C08F10/06
C08J9/04 CES
C08J9/04 101
(21)【出願番号】P 2021528174
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2020023196
(87)【国際公開番号】W WO2020255873
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2019111963
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597021842
【氏名又は名称】サンアロマー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
(72)【発明者】
【氏名】梶岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】神村 尭洋
(72)【発明者】
【氏名】秋永 修志
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-241517(JP,A)
【文献】特公昭61-028694(JP,B2)
【文献】特開平09-111061(JP,A)
【文献】特開平06-240068(JP,A)
【文献】特開昭63-010647(JP,A)
【文献】特開平10-231394(JP,A)
【文献】特開2008-184560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/10
C08F 4/654
C08F 10/06
C08J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A1)および(A2)を含み、両者の合計量基準で、成分(A1)の含有量が0.1~10重量%、成分(A2)の含有量が99.9~90重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物であって、
成分(A1)は、135℃においてテトラリン溶媒中で測定した極限粘度が20dl/g超である、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと30重量%以下の炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとの共重合体であり、
成分(A2)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は1~500g/10分であり、
成分(A2)は、
(A2-1)プロピレン単独重合体、
(A2-2)プロピレンと炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとのランダム共重合体、
(A2-3)プロピレンと炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとのブロック共重合体、および
これらの組合せからなる群より選択される重合体である、
ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記成分(A1)におけるα-オレフィンがエチレンである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記成分(A1)の極限粘度が23dl/g以上であり、前記エチレンの含有量が3~30重量%である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記成分(A1)が、プロピレン-エチレン共重合体であって、DSCを用いて10℃/分の昇温速度で求めた当該共重合体の融点Tm(℃)と、当該共重合体中のエチレン含有量C2(重量%)が下記式(1)を満たす、
Tm ≧ -3.4×C2 + 162 …(1)
請求項2または3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記成分(A1)を、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物を必須成分として含む固体触媒、
(b)有機アルミニウム化合物、および
必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して調製することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
成分(A1)および(A2)に対応するモノマーを、逐次的または連続的に実施する2段階以上の重合工程において重合することを含む
、請求項
5に記載の樹脂組成物
の製造方法。
【請求項7】
前記成分(A1)に対応するモノマーを重合する工程が予重合工程を含む、請求項6に記載の樹脂組成物
の製造方法。
【請求項8】
MFR(230℃、荷重2.16kg)が1~20g/10分である、請求項1~
4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
溶融張力(200℃、直径2.095mm)が2.5~30g重である、請求項1~4
、8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~4、
8、9のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高分子量プロピレン(共)重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量プロピレン重合体は特に押出成形体(一般シート、発泡シート、ブロー成形体等)の樹脂成分として有用であり、これまで高分子量プロピレン重合体の製造に関し種々の検討がなされてきた。例えば特許文献1は135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が5~50dl/gである架橋超高分子量オレフィン系重合体を開示する。しかし、実施例において具体的に開示されているオレフィン系重合体はポリエチレンのみである。特許文献2はデカリン溶液を用いて測定した極限粘度[η]が7dl/g以上25dl/g未満である超高分子量プロピレン単独重合体を開示する。当該文献の実施例には、[η]が20.2dl/gであるプロピレン重合体が開示されている。特許文献3はデカリン溶液を用いて測定した極限粘度[η]が少なくとも5dl/g以上である超高分子量ポリプロピレンを開示する。当該文献の実施例には、[η]が20.25dl/gであるポリプロピレンが開示されている。特許文献4は135℃テトラヒドロナフタレン(テトラリン)溶媒中で測定した極限粘度[η]が5~20dl/gであるポリプロピレンを開示する。特許文献5は、135℃デカリン溶媒中で測定した固有粘度[η]が5~20dl/gであるプロピレン(共)重合体を含む樹脂組成物から成形された発泡体を開示する(特許請求の範囲および段落0018)。しかし、特許文献5で具体的に開示されているプロピレン(共)重合体の固有粘度は3.8~14.8dl/gである(表1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5979985号
【文献】特許第5653761号
【文献】特許第3023382号
【文献】特許第6144045号
【文献】特開2013-100491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には[η]が高いプロピレン重合体は具体的に開示されていない。特許文献2および3には、[η]が20dl/g程度であるプロピレン重合体が開示されているが、当該粘度はデカリンを溶媒として測定した値である。デカリンを溶媒として測定した[η]の値を、テトラリンを溶媒として測定した値に換算すると、値が低くなることは当業者に自明である。したがって、特許文献2および3に記載の[η]を、テトラリンを溶媒として測定した値に換算すると、20dl/g未満となる。同様に特許文献5に記載の固有粘度を、テトラリンを溶媒として測定した値に換算すると、元の値よりもさらに低くなる。以上から、テトラリンを溶媒として測定した[η]が20dl/gを超える超高分子量プロピレン重合体を含む組成物はこれまで報告されていない。かかる事情を鑑み、本発明は超高分子量プロピレン重合体を含む組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、重合触媒や重合条件を最適化することで、前記超高分子量ポリプロピレン系重合体を含む組成物を製造できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]下記成分(A1)および(A2)を含み、両者の合計量基準で、成分(A1)の含有量が0.1~10重量%、成分(A2)の含有量が99.9~90重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物であって、
成分(A1)は、135℃においてテトラリン溶媒中で測定した極限粘度が20dl/g超である、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと30重量%以下の炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとの共重合体であり、
成分(A2)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は1~500g/10分であり、
成分(A2)は、
(A2-1)プロピレン単独重合体、
(A2-2)プロピレンと炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとのランダム共重合体、
(A2-3)プロピレンと炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとのブロック共重合体、および
これらの組合せからなる群より選択される重合体である、
ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2]前記成分(A1)におけるα-オレフィンがエチレンである、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記成分(A1)の極限粘度が23dl/g以上であり、前記エチレンの含有量が3~30重量%である、[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記成分(A1)が、プロピレン-エチレン共重合体であって、DSCを用いて10℃/分の昇温速度で求めた当該共重合体の融点Tm(℃)と、当該共重合体中のエチレン含有量C2(重量%)が下記式(1)を満たす、
Tm ≧ -3.4×C2 + 162 …(1)
[2]または[3]に記載の樹脂組成物。
[5]前記成分(A1)を、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物を必須成分として含む固体触媒、
(b)有機アルミニウム化合物、および
必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して調製することを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
[6]成分(A1)および(A2)に対応するモノマーを、逐次的または連続的に実施する2段階以上の重合工程において重合することを含む製造方法によって得られた、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]前記成分(A1)に対応するモノマーを重合する工程が予重合工程を含む、[6]に記載の樹脂組成物。
[8]MFR(230℃、荷重2.16kg)が1~20g/10分である、[1]~[4]、[6]および[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 溶融張力(200℃、直径2.095mm)が2.5~30g重である、[1]~[4]、[6]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]前記[1]~[4]、[6]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される発泡体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって超高分子量プロピレン重合体を含む組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
【0008】
1.組成物
1-1.成分(A1)
(1)極限粘度
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、成分(A1)としてプロピレン単独重合体またはプロピレンと30重量%以下の炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとの共重合体を含む。成分(A1)の、135℃においてテトラリン溶媒中で測定した極限粘度は20dl/g超である。極限粘度は分子量の指標であり、成分(A1)は従来にない極めて高い分子量を有する。前記極限粘度が高いプロピレン(共)重合体を含む樹脂組成物は溶融張力も高くなるので、本発明の組成物は例えば優れた発泡体を与える。この観点から前記極限粘度の下限は23dl/g以上であることが好ましい。また、製造容易性の観点から、前記極限粘度の上限は50dl/g以下であることが好ましい。
【0009】
(2)コモノマー量
成分(A1)が共重合体である場合、コモノマーの量は30重量%以下である。コモノマーの量がこの値を超えると、共重合体の結晶性が低下し重合体の粉体性状が悪化するため製造が困難になる。この観点から、当該量の上限は好ましくは25重量%以下である。一方、コモノマーの量の下限は限定されず、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。本発明においてコモノマーの量とは、共重合体中の当該モノマーに由来する単位の量である。コモノマーは、炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンである。この中でも反応性の観点から、コモノマーとしては炭素数2のα-オレフィンすなわちエチレンが好ましい。エチレンを共重合することでプロピレン重合体の極限粘度をより高くすることができる。よって、一態様において成分(A1)は、前記極限粘度が23dl/g以上であり、エチレンの含有量(エチレン由来単位の含有割合)が3~30重量%である共重合体である。
【0010】
(3)XI
成分(A1)は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上のキシレン不溶分(XI)を有する。XIはプロピレン(共)重合体における結晶性成分である。XIの上限は特に限定されない。
【0011】
(4)融点
成分(A1)は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上の融点(Tm)を有する。融点は、DSCを用いてセカンドスキャンして観測される融解に伴う融解熱量が最大値を示す温度である。セカンドスキャンとは、試料(樹脂)を加熱融解後、冷却して結晶化し、室温で5分間保持した後に2回目の加熱をして熱分析することをいう。具体的には、試料を融解温度以上(230℃)に加熱し、当該温度で5分保持し、10℃/分の降温速度で30℃まで冷却して5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で230℃まで加熱して熱分析を行う。
【0012】
成分(A1)は、コモノマーの種類と含有割合が同じ場合、従来の共重合体に比べて高い融点を有するという特徴を備える。特に、成分(A1)がプロピレン-エチレン共重合体である場合、前記Tm(℃)と共重合体中のエチレン由来単位の含有割合C2(重量%)は、式(1)を満たすことが好ましい。
式(1): Tm ≧ -3.4×C2 + 162
【0013】
1-2.成分(A2)
本発明の組成物は、成分(A2)としてMFR(230℃、荷重2.16kg)が1~500g/10分である重合体を含む。MFRはJIS K7210-1に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。MFRが前記上限値を超えると成分(A2)が分散不良となり、前記下限値未満であると溶融流動性が不足する。この観点から、MFRの上限は好ましくは100g/10分以下であり、下限は好ましくは5g/10分以上である。成分(A1)のMFRは測定できない。
【0014】
成分(A2)は、プロピレン単独重合体(成分(A2-1))、プロピレンと炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとのランダム共重合体(成分(A2-2))、プロピレンと炭素数2もしくは4~8のα-オレフィンとのブロック共重合体(成分(A2-3))、およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0015】
成分(A2-1)としては公知のものを使用できる。成分(A2-2)としては、生産性の観点から、プロピレンとエチレンのランダム共重合体(RACO)が好ましい。また、剛性と耐熱性の観点から、α-オレフィンの含有量は、成分(A2-2)中、5重量%以下であることが好ましい。
【0016】
成分(A2-3)としては、プロピレン重合体の存在下、プロピレンあるいは前記α-オレフィンを共重合して得た重合混合物(HECO)が挙げられる。生産性の観点からα-オレフィン(コモノマー)としてはエチレンが好ましい。また、安定製造の観点から、α-オレフィンの含有量は、成分(A2-3)中、40重量%以下であることが好ましい。その下限は限定されないが、耐衝撃性付与の観点から、5重量%以上であることが好ましい。
【0017】
成分(A2)は、成分(A2-1)、成分(A2-2)、成分(A2-3)の2種以上の組合せであってよい。この場合の各成分の比率は限定されないが、コモノマーの量が成分(A2)中、40重量%以下となるように、各成分が配合されることが好ましい。
【0018】
1-3.組成
(1)成分(A1)と成分(A2)の比率
成分(A1)と成分(A2)は、両者の合計量基準で、成分(A1)の含有量が0.1~10重量%、成分(A2)の含有量が99.9~90重量%である。組成は用途に合わせて適宜調製できるが、製造容易性等の観点からは、成分(A1)の前記含有量の上限は、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。また前記下限は、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上である。当該割合が0.1重量%未満では成分(A1)に起因する効果が得られにくく、また10重量%を超えると組成物の流動性が悪化しうる。
【0019】
(2)他の成分
本発明の組成物には、発泡剤、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および無機顔料などのオレフィン重合体に通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。発泡剤については後述する。
【0020】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。当該エラストマーは1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記エラストマーを含む場合、その含有量は公知の量としてよいが、前記成分(A1)と成分(A2)の合計(以下「樹脂成分」ともいう)100重量部に対し、好ましくは0.1~30重量部、より好ましくは1~20重量部である。
【0021】
さらに、本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、充填材を含有していてもよい。充填材は主に、成形体の剛性を向上する目的で添加される。充填材としては、例えばタルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ガラスファイバー等の無機充填材、カーボンファイバー、セルロースファイバー等の有機充填材が挙げられる。これらの充填材は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。充填材の分散性を向上させるため、必要に応じて、充填材の表面処理や充填材と樹脂とのマスターバッチの作製を行ってもよい。充填材の中でも、前記ポリプロピレン系樹脂に容易に混ざり、成形体の剛性を向上させやすいことから、タルクが好ましい。充填材の添加量は公知の量としてよい。例えば樹脂成分100重量部に対して0.1~40重量部であってよい。
【0022】
1-4.物性
(1)MFR
本発明の樹脂組成物のMFR(230℃、荷重2.16kg)は、好ましくは1~20g/10分であり、より好ましくは2~15g/10分である。
【0023】
(2)溶融張力
発泡成形時の破泡を抑制し発泡体の独立気泡性を維持しながら外観を保つ観点から、本発明の樹脂組成物の溶融張力の下限は、好ましくは2.5g重以上、より好ましくは4.0g重以上、さらに好ましくは5.0g重である。前記極限粘度の好ましい上限が50dl/g以下であることから、製造容易性の観点から前記溶融張力の上限は30g重以下であることが好ましい。一般に、ポリプロピレン系樹脂組成物ではMFRが大きくなるほど溶融張力は小さくなるが、MFRと溶融張力のバランスを特定の範囲とすると、ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形性が向上する。MFRと溶融張力のバランスは、MFR(230℃、荷重2.16kg、単位g/10分)と溶融張力(МT)(200℃、直径2.095mm、単位g重)を用いた、log(MFR+1)とlog(МT)の積を指標とすることができる。本発明においては、log(MFR+1)とlog(МT)の積は、好ましくは0.40以上、よりに好ましくは0.45以上であり、さらに好ましくは0.50以上である。本発明において溶融張力は、本発明の組成物を200℃で直径2.095mmのオリフィスから15mm/分の速度で押出し、溶融組成物のストランドを6.5m/分の速度で引き取るときの張力である。
【0024】
2.製造方法
本発明の組成物は、成分(A1)と成分(A2)の溶融混練や溶液ブレンド、多段重合による重合ブレンド等、公知の方法で製造できる。さらに、当該組成物をマスターバッチとして用い、他のポリオレフィンと組合せて2次組成物とすることもできる。
【0025】
好ましくは、本発明の組成物は、次の方法で製造される。
方法1:成分(A1)および(A2)に対応するモノマーを、逐次的または連続的に実施する2段階以上の重合工程において重合することを含む方法
方法2:成分(A1)を高濃度に含む組成物を調製し、これをマスターバッチのように使用して成分(A2)で希釈して得る方法
方法3:成分(A1)と成分(A2)を別々に準備してこれらを混合する方法
方法4:成分(A1)と成分(A2)をモノマー濃度や重合条件に関して勾配を有する重合器を用いて重合して混合する方法(一例として特表2002-520426号公報に記載された方法)
本発明においては、方法1~3の方法がより好ましいので、以下、これらを説明する。
【0026】
2-1.2段階の重合工程を備える製造方法(方法1)
本方法は、成分(A1)および(A2)に対応するモノマーを、逐次的または連続的に実施する2段階以上の重合工程において重合することを含む。特に成分(A)の原料モノマーを重合して成分(A1)の重合体を製造し、当該重合体の存在下において成分(A2)の原料モノマーを重合する方法が好ましい。重合は液相中、気相中または液-気相中で実施できる。連鎖移動剤(例えば水素またはZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調整剤を用いてもよい。
【0027】
特に、当該方法は前記反応段階の1つとして予重合工程を含むことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。予重合した触媒(予重合触媒)は重合反応系内に導入され、原料モノマーの本重合に供される。本発明では、予重合工程において超高分子量である成分(A1)を合成し、この予重合触媒を用いて成分(A2)を本重合することができる。このように重合することで、成分(A1)の成分(A2)中における分散性を向上できる。
【0028】
本重合は、モノマーを一度に導入して実施してもよいし、時間差で導入して実施してもよい。本重合に供されるモノマーは、通常、成分(A1)および成分(A2)に対応するモノマーである。しかし、前述のとおり予重合で成分(A1)を得る場合は、本重合において成分(A2)に対応するモノマーのみを供することができる。重合は、液相中、気相中または液-気相中で実施してよい。重合温度は0~90℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは0.8~6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5~3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調整剤を微量使用することができる。
【0029】
成分(A2)の重合には任意の触媒を用いることができる。一方、超高分子量の重合体を得るため、成分(A1)の重合には、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物を必須成分として含む固体触媒、(b)有機アルミニウム化合物、および必要に応じ(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いることが好ましい。当該触媒については後述する。
【0030】
2-2.成分(A1)の濃度が高い組成物を希釈する方法(方法2)
上記の方法によって成分(A1)を高濃度に含む組成物を調製し、これをマスターバッチのように使用して成分(A2)で希釈して本発明の組成物を得ることもできる。成分(A1)を高濃度に含む組成物は、成分(A1)の前記含有量が0.1~10重量%の範囲であってもよいし、この上限を超える量であってもよい。しかし希釈して得られた組成物中の成分(A1)の前記含有量は0.1~10重量%である。希釈方法としては、両者をドライブレンドすることや、押出機内で溶融混練する等の公知の方法を用いることができる。
【0031】
[触媒]
(1)固体触媒(成分(a))
成分(a)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。成分(a)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)gX4-gで表される4価のチタン化合物が好適である。式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4である。チタン化合物として、より具体的にはTiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(On-C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(OisoC4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(On-C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(On-C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(On-C4H9)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタンである。
【0032】
前記マグネシウム化合物としては、マグネシウム-炭素結合やマグネシウム-水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状であっても固体状であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム、ブトキシエトキシマグネシウムのようなジアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウムなどを挙げることができる。
【0033】
前記電子供与体化合物は、一般には「内部電子供与体化合物」と称される。本発明においては内部電子供与体化合物として、好ましくは式(I)で示されるエステル骨格を備える化合物が好ましい。
【0034】
【0035】
式中、R1は独立に水素原子または炭素数が1~15の炭化水素基である。当該炭化水素基は、ハロゲン、P、S、N、O、Si等のヘテロ原子を有していてもよく、環を形成していてもよい。R2もR1と同様に定義されるが、R2とR1は同じ構造である必要はない。さらにR1とR2は連結して環を形成してもよい。
【0036】
Aは2価の架橋基である。架橋結合間の鎖長は好ましくは1~10原子である。Aが環状構造を有する場合、鎖長とはAが結合している酸素原子間における最短のシーケンスの原子の数をいう。Aは、好ましくは-(ZR3
m)n-で表される。Zは、好ましくはC、Si、Ge、O、N、SまたはPである。R3は、それぞれ独立に水素または炭素数が1~20の炭化水素基であり、前記ヘテロ原子を含んでいてもよく、さらに複数のR3は融合して1つ以上の環を形成してもよい。mはZの原子価に対応する数であり、nは1~10の整数である。例えば、R3はZとともに芳香環、複素環、脂環を形成できる。-(ZR3
m)n-がO、S、およびNを含む場合、これらは式(I)の酸素原子には直接結合しない。
【0037】
本発明においては内部電子供与体化合物としてカルバメート系化合物を用いることがより好ましい。カルバメート系化合物とは、カルバミン酸エステル骨格を備える化合物であり、式(II)で表される。
【化2】
【0038】
式中、R4は独立に水素原子または炭素数が1~15の炭化水素基である。当該炭化水素基は、ハロゲン、P、S、N、O、Si等のヘテロ原子を有していてもよく、さらに2つのR4は連結して環を形成していてもよい。R5もR4と同様に定義されるが、R4とR5は同じ構造である必要はない。
【0039】
Aは前記のとおりに定義され、Zは好ましくはCまたはSiであり、より好ましくはCである。特に、以下の組合せを有する化合物が好ましい。
A:置換基を有していてもよい2価の芳香族基。当該芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。また前記置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数が1~5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
R4、R5:メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数が1~5の直鎖状または分岐状のアルキル基。
具体的に、式(II)で定義した化合物として米国特許出願2015/0266981号明細書に記載されたものを使用することができる。
【0040】
(2)有機アルミニウム化合物(成分(b))
当該有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
【0041】
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジプロピルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリドなどのような部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
【0042】
(3)電子供与体化合物(成分(c))
当該電子供与体化合物は「外部電子供与体化合物」とも称される。外部電子供与体化合物としては、有機ケイ素化合物が好ましく、具体的には以下の化合物が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル-t-ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチル-t-ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル-ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン。
【0043】
(4)組成比
成分(a)~(c)の組成比は限定されないが、Al/Tiモル比が、好ましくは10~1000、より好ましくは30~600となるように成分(a)と(b)の組成比は調整される。また、成分(c)がケイ素を含む場合、Si/Alモル比が、好ましくは0.01~1.5、より好ましくは0.05~1.0となるように成分(a)と(c)組成比は調整される。
【0044】
(5)重合
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、前述したように、まず前記触媒を用いて予重合を行ってもよい。
【0045】
2-3.成分(A1)と成分(A2)を別々に準備してこれらを混合する方法(方法3)
方法3では、任意の方法で準備した成分(A1)と成分(A2)と、必要に応じて他の成分とを混合する。各成分の添加の順序は限定されない。混合の方法も特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。混合して得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。本発明においては高分子量成分を均一に分散させる観点から、溶融混練によりペレット化する工程を含むことが好ましい。溶融混練の方法は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の溶融混練装置を用いることができる。
【0046】
3.用途
本発明の組成物は、超高分子量である成分(A1)を含むので高い溶融張力やダイスウェルを有する。よって本発明の組成物は押出成形体(一般シート、発泡シート、ブロー成形体等)や射出成形体の用途に有用である。また、本発明の組成物は、結晶性を有し溶融しにくいという特性も備える成分(A1)を有機フィラーのように用いた組成物とすることもできる。本発明の組成物をマスターバッチとして用い、他のポリオレフィンと組合せて2次組成物とすることもできる。当該2次組成物も、前述のMFR、溶融張力を有することが好ましい。当該2次組成物における、本発明の組成物と他のポリオレフィンとの配合重量比は、限定されないが、100:(10~100)とすることができる。他のポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(成分(A2)以外のプロピレン単独重合体、プロピレン共重合体(RACO)、重合混合物(HECO))やエチレン系重合体等の公知のものを使用できる。
【0047】
(1)発泡性組成物
本発明の組成物は発泡性組成物として有用である。以下、発泡性組成物に使用できる発泡剤について説明する。発泡剤としては分解型発泡剤、溶剤型発泡剤のいずれも使用できる。分解型発泡剤とは成形機のシリンダー温度条件下で分解して炭酸ガス、窒素ガス等の気体を発生する化合物である。分解型発泡剤としては、無機系、有機系のいずれも使用できる。さらに気体の発生を促す有機酸等の公知の発泡助剤を併用してもよい。
【0048】
無機系の分解型発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。有機系の分解型発泡剤としては、N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のN-ニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン-3,3’-ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4’-ジフェニルジスルフォニルアジド、p-トルエンスルフォニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0049】
これらの発泡剤の中でも、環境への影響が少なく、安全で、さらには発泡セルが安定化するという観点から無機系の分解型発泡剤を用いる場合は炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩または炭酸水素塩が好ましく、その際、有機カルボン酸を発泡助剤として併用してもよい。
【0050】
溶剤型発泡剤は、成形機のシリンダー部分から発泡剤を含まない組成物に注入して、金型中で蒸発して発泡剤として機能する物質である。プロパン、ブタン、ネオペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、イソヘキサン、ヘキサン等の低沸点脂肪族炭化水素や、フロンガスで代表される低沸点のフッ素含有炭化水素等が使用できる。あるいは、窒素や二酸化炭素などの不活性ガスを加圧して超臨界流体の発泡剤として使用することもできる。
【0051】
前記発泡性組成物に用いる発泡剤は、ポリオレフィンをキャリアとする発泡剤マスターバッチの態様で添加することができる。当該ポリオレフィンとしてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等が挙げられる。当該マスターバッチに含まれるキャリアは前述の他の成分に該当する。発泡剤マスターバッチ中に含まれる分解型発泡剤または溶剤型発泡剤の含有量は、通常5~50重量%、好ましくは10~40重量%であり、市販品をそのまま用いることができる。
【0052】
発泡剤の添加量は、本発明の組成物に対して通常1~10phrであるが、2~6phrが好ましく、2~4phrがさらに好ましい。さらにこの範囲内において発生ガス量および発泡倍率等を考慮して最適量が選択される。発泡倍率は1.5倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましく、2.5倍以上がさらに好ましい。この範囲内にある発泡性組成物からは、気泡径が揃い、かつ気泡が均一分散した発泡体が得られる。
【0053】
(2)マスターバッチとしての使用
前述のとおり、本発明の組成物をマスターバッチとして用い、成分(A1)および(A2)以外のポリオレフィンと組合せて2次組成物とすることもできる。成分(A1)および(A2)以外のポリオレフィンとしては任意のものを用いることができる。
【実施例】
【0054】
[実施例1]
1)ポリプロピレン系樹脂組成物
窒素でパージした300mLの4つ口丸底フラスコ中に、45mLのトルエンと10.0gの微細球状Mg(OC2H5)2を5℃において導入した。撹拌しながら28.7mlの四塩化チタンを10分間で滴下し、11.3ミリモルの5(ターシャリーブチル)-3-メチル-1,2-フェニレンビス(ジエチルカルバメート)(以下、化合物aともいう)を加えた。温度を110℃に上昇させ120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。その後、90℃においてトルエン(75mL)で4回洗浄した。
【0055】
洗浄後の固体にトルエン50mlを投入した。これに四塩化チタン21mlを投入し、温度を100℃に上昇させ90分間撹拌した。その後撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、40℃においてヘプタン(75mL)で6回洗浄した。洗浄後の固体を減圧乾燥して固体触媒成分(a)7.6gを得た。当該固体触媒成分は14.3重量%の化合物a、Mgを14.0重量%、Tiを4.0重量%含んでいた。
【0056】
〔前段重合〕
内容積20Lの撹拌機付きオートクレーブの反応器内を十分真空乾燥させ、窒素で置換した。調製した化合物aを含む固体触媒成分を59.3mg、および、トリエチルアルミニウム(TEAL)、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)をAl/Tiモル比が150、Si/Alモル比が1.0となるような量で加えた。次いで、反応器内に液化プロピレン5.6kgを加えるとともに、重合の間、連続的にエチレンガスを供給してエチレン分圧が一定になるように調整し、40℃で10分間重合を行った。重合圧力を調整することによって本発明のプロピレン-エチレン共重合体(成分(A1))を得た。その後、未反応モノマーをパージし、反応容器内を窒素で十分に置換した。
【0057】
〔後段重合〕
続いて、反応器内にTEAL、DCPMSをAl/Tiモル比が400、Si/Alモル比が0.05となるような量で追添した。液化プロピレン5.6kgと水素ガスを液体プロピレン中の水素濃度が0.7モル%になるように加え、オートクレーブの温度を70℃に昇温し、180分間重合(プロピレンの重合)を行った。重合反応終了後、未反応モノマーをパージして、4.6kgの粉体状の組成物を得た。当該組成物は、本発明のプロピレン-エチレン共重合体(成分(A1))とポリプロピレン(成分(A2))を重合ブレンドして得た重合組成物である。当該組成物の物性等を表1に示した。ただし、本発明のプロピレン-エチレン(共)重合体の極限粘度、エチレン由来単位の含有割合、融点は前段重合のみを同条件で行い得られた重合体を分析した結果である。また、組成物中の本発明のプロピレン-エチレン(共)重合体の比率は前段重合との活性比により求めた。
【0058】
上記で得た粉体状の重合組成物に、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.2phr、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.1phr添加し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合物を得た。次いで、該混合物を、スクリュー温度を230℃に設定した押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、同方向二軸押出機)を用いて溶融混練した。次いで、溶融した混合物を押出機から吐出し、冷却してストランドを形成し、そのストランドを裁断して、ペレット状の組成物(A)を得た。
【0059】
2)発泡体の形成
前述のようにして得たペレット状の組成物(A)に、発泡剤として三協化成株式会社製セルマイクMB3064を4phr添加し、ドライブレンドして発泡性組成物を得た。次いで、当該発泡性組成物を用いて、下記条件により発泡ストランドを形成し、得られた発泡体について評価した。
押出機:サーモ・プラステイックス工業株式会社製単軸押出機 TP-15
ダイ部形状:ストランドダイ
タイ部寸法:2mmφ
押出量:500g/h
スクリュー形状:フルフライトスクリュー
スクリュー回転数:40rpm
シリンダー設定温度:210℃
ダイ部設定温度:180℃
【0060】
同じく1)で得たペレット状の組成物(A)に、発泡剤として三協化成株式会社製セルマイクMB3064を6phr添加し、ドライブレンドして発泡性組成物を得た。発泡性組成物を用いて前述のとおりに発泡体を得て評価した。
【0061】
同じく1)で得たペレット状の組成物(A)を温度230℃で熱プレス成形して、非発泡性のシート(厚さ500μm)を得た。これを裁断して試験片を作製し、スティフネスを測定した。これらの結果を表1に示す。
【0062】
[実施例2~5]
前段重合のエチレン分圧、後段重合の水素濃度および重合時間を変更した以外は実施例1と同様に重合を行い、表1に示す組成物(A)を得た。ただし実施例4ではエチレン分圧をゼロとして、すなわちエチレンガスを供給せずに前段重合を行った。これらの組成物(A)を用いて、実施例1と同じ方法で発泡体および非発泡性のシートを得て評価した。これらの結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
前段重合において、Al/Tiモル比を500、Si/Alモル比を0.1に変更し、後段重合の水素濃度および重合時間を調整した以外は、実施例4と同様に重合を行い、表1に示す組成物(A)を得た。なお、Al/Tiモル比の変更にあたっては、使用するTEALを増量することにより行った。
【0064】
[比較例2]
MgCl2上にTiと内部電子供与体化合物としてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、重合用の固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、TEALおよびシクロヘキシルメチルジエトキシシラン(CHMMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が8、TEAL/CHMMSの重量比が6.5となるような量で、-5℃で5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレンをフィードし、重合温度、水素濃度を、それぞれ75℃、0.04モル%とすることよって、プロピレン単独重合体を製造した。得られた重合体に、酸化防止剤として、BASF社製B225を0.2重量%、中和剤として、淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量%配合し、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合した後、スクリュー直径50mmの単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製NVC)で、シリンダー温度230℃で押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A2)のみからなる組成物(A))を得た。
【0065】
[比較例3]
特開2011-500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下のとおりに、固体触媒成分を調製した。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiCl4を0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・1.8C2H5OHおよび9.1ミリモルのジエチル-2,3-(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。MgCl2・1.8C2H5OHは、米国特許4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって製造したが、回転数10000rpmを3000rpmに変更して製造した。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返し、固体触媒を得た。
250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
【0066】
上記固体触媒と、TEALおよびDCPMSを、固体触媒に対するTEALの重量比が18であり、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を得た後、得られた重合体を、未反応モノマー類をパージした後、2段目の重合反応器に導入して共重合体(エチレン-プロピレン共重合体)を得た。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.90モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、0.01モル%、0.25モル比であった。また、共重合体成分の量が30重量%となるように一段目と二段目の滞留時間を調整した。得られたプロピレン-エチレンブロック共重合体を用いて、比較例2と同様にしてペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物(組成物(A))を得た。得られた組成物(A)のMFRとエチレン由来単位の含有割合は、それぞれ10g/10分と9.0重量%、後述する方法で得られた25℃におけるキシレンに可溶性の重合体(成分(A1)に相当)の極限粘度は7dl/gであった。
【0067】
比較例で得た組成物(A)を用いて、実施例1と同じ方法で発泡体および非発泡性のシートを得て評価した。これらの結果を表1に示す。比較例1と比較例2の組成物については、発泡体の形成を試みたが、評価に足る発泡体を得ることができなかった。
【0068】
[実施例6]
実施例2で調製した発泡剤を含まない組成物(A)50重量%と、ポリプロピレン(PX600N、サンアロマー株式会社製)50重量%をドライブレンドして、スクリュー温度を230℃に設定した押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、同方向二軸押出機)を用いて溶融混練することにより組成物(組成物(A+B))を調製した。当該組成物に対して発泡剤として三協化成株式会社製セルマイクMB3064を4phr添加して、発泡性組成物を調製した。表2中、実施例2で調製した組成物(A)を成分(A)、ポリプロピレンを成分(B)と表記した。当該発泡性組成物を用いて、実施例1と同じ方法で発泡体と非発泡性のシートを製造し、評価した。また、発泡剤量を6phrに変更した発泡体を製造し、評価した。これらの結果を表2に示す。
【0069】
[実施例7]
成分(A)と成分(B)の比率を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例6と同じ方法で発泡体と非発泡性のシートを製造し、評価した。これらの結果を表2に示す。
【0070】
[実施例8]
成分(A)を実施例3で調製したものに変更した以外は、実施例6と同じ方法で発泡体と非発泡性のシートを製造し、評価した。これらの結果を表2に示す。
【0071】
[実施例9]
成分(A)を実施例1で調製したもの、成分(B)を比較例3の組成物(A)に変更した以外は、実施例6と同じ方法で発泡体と非発泡性のシートを製造し、評価した。これらの結果を表2に示す。
【0072】
【0073】
【0074】
表1および2に示すとおり、本発明の組成物から得た発泡体は外観性および独立気泡性に優れることが明らかである。
【0075】
評価は以下のようにして実施した。
[エチレン由来単位の含有割合]
プロピレン(共)重合体試料を230℃で熱プレスすることにより、厚さ0.4mmのシートを作製し、フーリエ変換赤外線分光法(FT-IR)によって試料対空気バックグラウンドのIRスペクトルを収集しシートの厚さを補正した後の760cm~690cm-1のピーク面積を使用しプロピレン(共)重合体のエチレン由来単位の含有割合(重量%)を求めた。データ収集パラメータは次の通りとした。
アポダイゼーション:Cosine
分解能:2cm-1
【0076】
[重合体のXI]
0.5~1.5gの重合体を撹拌しながら135℃において250mLのキシレンに溶解した。30分後溶液を撹拌しながら25℃に冷却し、次いで30分間静止させた。沈殿物を濾紙で濾過し、溶液を窒素流中で蒸発させ、残留物を一定の重量に達するまで真空下80℃において乾燥した。このようにして25℃におけるキシレンに可溶性の重合体の重量%を計算した。キシレン不溶分の量(25℃におけるキシレンに不溶性の重合体の重量%、XI)は、100-「可溶性の重合体の重量%」で求められ、重合体における結晶性成分の量と考えられる。
【0077】
[重合体の極限粘度]
プロピレン(共)重合体の試料を135℃のテトラリンに溶かして濃度0.01~0.02重量%の溶液を得た。当該溶液を用い、毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を使用して極限粘度を測定した。
【0078】
[重合体の融点]
重合体の融点は、パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSCを用いて、前記のとおり定義したセカンドスキャンを行い測定した。
【0079】
[MFR]
粉体状の重合体や重合組成物については、試料5gに対し本州化学工業株式会社製H-BHTを0.05g添加し、ドライブレンドにより均一化した後、JIS K7210-1に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。溶融混練されたペレットについては、JIS K7210-1に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
【0080】
[溶融張力]
長さ8.0mmかつ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けたキャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1D)を用い、温度200℃で樹脂組成物を溶融した。その溶融した樹脂組成物を樹脂押出速度15mm/分でオリフィスより吐出させてストランドを形成した。そのストランドを、回転する引き取り手段を用い、引き取り速度6.5m/分で引き取ると共に溶融張力(メルトテンション、単位はg重)を測定した。
【0081】
[発泡体の外観]
3.0倍以上3.4倍以下に発泡させた発泡ストランドの外観について、以下の基準で評価した。
A:表面が平滑でストランドが直線的である
B:表面にやや凹凸があるか、うねりがある
C:表面に凹凸があり、ストランドにうねりがある
【0082】
[独立気泡性]
3.0倍以上3.4倍以下に発泡させた発泡ストランドを4cmの長さにカミソリで切り出し、その一方を顔料のエタノール溶液に30秒浸浸し、切断面から内部にエタノールが最も浸透した距離(着色最大距離)で、独立気泡性の評価を行った。
A:着色最大距離が2mm以下
B:着色最大距離が2mmを超え、20mm以下
C:着色最大距離が20mmを超える
【0083】
[スティフネス]
前記非発泡性のシートを縦2.75インチ、横1.5インチに打ち抜いて試験片を5個作製した。
各試験片について、JIS P8125に従い、室温23℃の下でテーバーインスツルメントコーポレーション社製V-5スティフネステスター(型式150-B)を用い、のスティフネスを測定した。その際の測定条件は、以下のとおりとした。
測定レンジ:50-500
レンジ重量:500ユニット
反り角度:15°
測定スパン:5cm
スケール倍率:5倍
保持時間1分
測定温度:23℃
スティフネスは、各試験片について、左右の反り角度15°における値を読み取り、それらを平均して求めた。そして、下式により非発泡性のシートのスティフネスを求めた。
E=9.83×Tsu/t3
(E:シートのスティフネス[MPa]、Tsu:スティフネスの平均値[gf・cm]、t:試験片の厚さ[mm])
スティフネスの値が大きい程、剛性が高いことを意味する。
【0084】
135℃においてテトラリン溶媒中で測定した極限粘度が20dl/g超である成分(A1)を0.1~10重量%含むポリプロピレン系樹脂組成物となっている実施例は、いずれも高い剛性と優れた発泡体を与えることが明らかである。