(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】高性能コーティングが施された半導体チャンバ部品
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240823BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2022562704
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 US2021055852
(87)【国際公開番号】W WO2022093597
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-12-13
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラクシェスワル, カリタ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0185203(US,A1)
【文献】特表2017-527115(JP,A)
【文献】国際公開第2019/118248(WO,A1)
【文献】特開2012-060101(JP,A)
【文献】特開平01-189126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバであって、
チャンバ本体と、
シャワーヘッドと、
基板支持体と、を備え、
前記基板支持体が、
前記シャワーヘッドに面する第1の表面を特徴とする
ディスクを備えるプラテン
であって、前記プラテンは、前記ディスクに埋め込まれ且つ前記ディスクの中央に延在する電極を備え、前記第1の表面は、基板支持面を画定し、前記基板支持面の径方向外縁から径方向外側に前記第1の表面の周縁エッジまで延在する外部領域を備える、プラテンと、
前記
ディスクの前記第1の表面とは反対側の前記
ディスクの第2の表面に沿って、前記プラテンと結合されたシャフトであって、前記シャフトが、前記チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在
する、シャフトと、
を含み、
コーティングが、前記
ディスクの前記第1の表面、前記
ディスクの第2の表面、及び前記シャフトの周囲に共形に延在
し、
前記外部領域が、前記基板支持面に沿ったコーティング厚さより大きいコーティング厚さを特徴とする、
半導体処理チャンバ。
【請求項2】
前記コーティングが、ケイ素含有コーティングを含む、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項3】
前記コーティングが、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライドを含む、請求項2に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項4】
前記プラテンが、前記プラテンの前記第1の表面から延びる複数の突起を画定する、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項5】
前記コーティングが、前記複数の突起の各突起の周囲に延在する、請求項4に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項6】
前記コーティングは、全てのコーティングされた表面上の厚さが約1μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項7】
前記基板支持体の前記第1の表面の前記コーティングは、厚さが約10%以下で変動することを特徴とする、請求項6に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項8】
前記第1の表面から延びる前記プラテンのコーナフィーチャは、コーティング厚さが、前記プラテンの前記第1の表面に沿ったコーティング厚さより少なくとも10%大きいことを特徴とする、請求項6に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項9】
前記基板支持体の前記シャフトが、前記半導体処理チャンバの外部のハブと結合し、前記コーティングが、前記シャフトに沿って前記ハブまで延在する、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項10】
前記プラテンが窒化アルミニウムを含む、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項11】
前記シャワーヘッドが、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートと前記第2のプレートとは結合されて、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の空間を画定し、前記シャワーヘッドの前記第1のプレート及び前記第2のプレートの外面が、前記基板支持体と同様の材料でコーティングされている、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項12】
半導体処理方法であって、
半導体処理チャンバの処理領域内へとハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を送ることを含み、前記半導体処理チャンバが、
チャンバ本体と、
シャワーヘッドと、
基板支持体と、を備え、
前記基板支持体が、
前記シャワーヘッドに面する第1の表面を特徴とする
ディスクを備えるプラテン
であって、前記プラテンは、前記ディスクに埋め込まれ且つ前記ディスクの中央に延在する電極を備え、前記第1の表面は、基板支持面を画定し、前記基板支持面の径方向外縁から径方向外側に前記第1の表面の周縁エッジまで延在する外部領域を備える、プラテンと、
前記
ディスクの前記第1の表面とは反対側の前記
ディスクの第2の表面に沿って、前記プラテンと結合されたシャフトであって、前記シャフトが、前記チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在
する、シャフトと、
を含み、
コーティングが、前記
ディスクの前記第1の表面、前記
ディスクの第2の表面、及び前記シャフトの周囲に延在
し、
前記外部領域が、前記基板支持面に沿ったコーティング厚さより大きいコーティング厚さを特徴とする、
半導体処理方法。
【請求項13】
前記半導体処理チャンバとは別体のコーティングチャンバ内で前記基板支持体をコーティングすることと、
前記半導体処理チャンバ内に前記基板支持体を設置することと、
をさらに含む、請求項12に記載に半導体処理方法。
【請求項14】
前記基板支持体を取り出す前に、
前記半導体処理チャンバ内で少なくとも10個の基板を処理すること、又は、ハロゲン含有前駆体を用いて、前記半導体処理チャンバの前記処理領域を少なくとも10回洗浄すること
をさらに含む、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項15】
前記コーティングが、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライドを含む、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項16】
前記コーティングは、全てのコーティングされた表面上の厚さが約1μm以上であることを特徴とする、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項17】
前記基板支持体の前記第1の表面の前記コーティングは、厚さが約10%以下で変動することを特徴とする、請求項16に記載の半導体処理方法。
【請求項18】
前記第1の表面から延びる前記プラテンのコーナフィーチャは、コーティング厚さが、前記プラテンの前記第1の表面に沿ったコーティング厚さより少なくとも10%大きいことを特徴とする、請求項16に記載の半導体処理方法。
【請求項19】
半導体処理チャンバであって、
チャンバ本体と、
シャワーヘッドと、
基板支持体と、を備え、
前記基板支持体が、
前記シャワーヘッドに面する第1の表面を特徴とするプラテン
であって、前記第1の表面は、基板支持面を画定し、前記基板支持面の径方向外縁から下に向かう角度で径方向外側に前記第1の表面の周縁エッジまで延在する凹状レッジを備える、プラテンと、
前記プラテンの前記第1の表面とは反対側の前記プラテンの第2の表面に沿って、前記プラテンと結合されたシャフトであって、前記シャフトが、前記チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在
する、シャフトと、
を含み、
コーティングが、前記プラテンの前記第1の表面、前記プラテンの第2の表面、
前記プラテンと前記シャフトの結合部、及び前記シャフトの周囲に延在し、
前記コーティングは、全てのコーティングされた表面上の厚さが約5μm以上であることを特徴と
し、
前記凹状レッジが、前記基板支持面に沿ったコーティング厚さより大きいコーティング厚さを特徴とする、
半導体処理チャンバ。
【請求項20】
前記コーティングが、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライドを含む、請求項19に記載の半導体処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年10月26日に出願された「SEMICONDUCTOR CHAMBER COMPONENTS WITH HIGH-PERFORMANCE COATING」という名称の米国特許出願第17/080,560号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本技術は、半導体システム、プロセス、及び装置に関する。より具体的には、本技術は、チャンバ部品上のコーティングを含む又は当該コーティングを形成するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、基板表面上に複雑にパターニングされた材料層を生成するプロセスによって可能となる。基板上にパターニングされた材料を生成するには、露出した材料を除去するための制御された方法が必要である。化学的エッチングが、様々な目的に使用されており、当該目的には、フォトレジストのパターンを下層に転写すること、層を薄くすること、又は表面上に既に存在するフィーチャの横寸法を細くすることが含まれる。多くの場合に、1の物質を他の材料よりも速くエッチングして、例えば、パターン転写プロセスを促進するエッチング処理を行うことが望ましい。このようなエッチング処理は、第1の材料に対して選択的であると言われる。材料、回路、及びプロセスに多様性があるために、様々な材料に対して選択性を有するエッチングプロセスが開発されてきた。
【0004】
エッチングプロセスは、そのプロセスで使用される材料に基づいて湿式又は乾式と称されうる。湿式HFエッチングは、酸化ケイ素を、他の誘電体及び材料に対して優先的に除去する。しかしながら、湿式プロセスは、一部の制約されたトレンチに浸透することが困難なことがあり、また時には残りの材料を変形させうる。湿式プロセスはまた、チャンバ部品に損傷を与える恐れがある。例えば、HFエッチャントは、アルミニウム合金といった金属で作製されたチャンバ部品を化学的に攻撃する恐れがある。乾式エッチングは、基板処理領域内に形成された局所的なプラズマ中で行われるが、より制約のあるトレンチに浸透することができ、壊れやすい残りの構造の変形をより抑えることができる。しかしながら、局所的なプラズマが放電する際に生じる電気アークによって、局所的プラズマが基板に損傷を与える恐れがある。局所的なプラズマ、及びプラズマ放出物もまた、チャンバ部品に損傷を与える可能性がある。
【0005】
したがって、高品質のデバイス及び構造を作製するために使用可能な改良されたシステム及び方法が必要とされている。本技術は、これら必要性及び他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0006】
例示的な半導体処理チャンバがチャンバ本体を含みうる。チャンバがシャワーヘッドを含みうる。チャンバが基板支持体を含みうる。基板支持体は、シャワーヘッドに面する第1の表面を特徴とするプラテンを含みうる。基板支持体が、プラテンの第1の表面とは反対側のプラテンの第2の表面に沿ってプラテンと結合されたシャフトを含みうる。シャフトは、チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在しうる。コーティングが、プラテンの第1の表面、プラテンの第2の表面、及びシャフトの周囲に共形(コンフォーマル、conformally)に延在しうる。
【0007】
幾つかの実施形態において、コーティングが、ケイ素含有コーティングであってよく又はこれを含んでよい。コーティングが、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライドであってよく又はこれらを含んでよい。プラテンが、プラテンの第1の表面から延びる複数の突起を画定しうる。コーティングが、複数の突起の各突起の周囲に延在しうる。コーティングは、全てのコーティングされた表面上の厚さが約1μm以上であることを特徴としうる。基板支持体の第1の表面のコーティングは、厚さが約10%以下で変動することを特徴としうる。第1の表面から延びるプラテンのコーナフィーチャは、コーティング厚さが、プラテンの第1の表面に沿ったコーティング厚さより少なくとも10%大きいことを特徴としうる。基板支持体のシャフトが、半導体処理チャンバの外部のハブと結合しうる。コーティングが、シャフトに沿ってハブまで延在しうる。プラテンが、窒化アルミニウムであってよく又はこれを含んでよい。シャワーヘッドが、第1のプレート及び第2のプレートを含むことができ、第1のプレートと第2のプレートとは結合されて、第1のプレートと第2のプレートとの間の空間を画定しうる。シャワーヘッドの第1のプレート及び第2のプレートの外面が、基板支持体と同様の材料でコーティングされうる。
【0008】
本技術の幾つかの実施形態が、半導体処理方法を包含しうる。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域内へとハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を送ることを含みうる。半導体処理チャンバが、チャンバ本体を含みうる。チャンバがシャワーヘッドを含みうる。チャンバが基板支持体を含みうる。基板支持体が、シャワーヘッドに面する第1の表面を特徴とするプラテンを含みうる。基板支持体が、プラテンの第1の表面とは反対側のプラテンの第2の表面に沿ってプラテンと結合されたシャフトを含みうる。シャフトが、チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在しうる。コーティングが、プラテンの第1の表面、プラテンの第2の表面、及びシャフトの周囲に延在しうる。
【0009】
幾つかの実施形態において、本方法が、半導体処理チャンバとは別体のコーティングチャンバ内で基板支持体をコーティングすることを含みうる。本方法は、半導体処理チャンバ内に基板支持体を設置することを含みうる。本方法は、基板支持体を取り出す前に、半導体処理チャンバ内で少なくとも10個の基板を処理すること、又は、ハロゲン含有前駆体を用いて、半導体処理チャンバの処理領域を少なくとも10回洗浄することを含みうる。コーティングが、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライドであってよく又はこれらを含んでよい。コーティングは、全てのコーティングされた表面上の厚さが約1μm以上であることを特徴としうる。基板支持体の第1の表面のコーティングは、厚さが約10%以下で変動することを特徴としうる。第1の表面から延びるプラテンのコーナフィーチャは、コーティング厚さが、プラテンの第1の表面に沿ったコーティング厚さより少なくとも10%大きいことを特徴としうる。
【0010】
本技術の幾つかの実施形態が、半導体処理チャンバを包含しうる。チャンバがチャンバ本体を含みうる。チャンバがシャワーヘッドを含みうる。チャンバが基板支持体を含みうる。基板支持体が、シャワーヘッドに面する第1の表面を特徴とするプラテンを含みうる。基板支持体が、プラテンの第1の表面とは反対側のプラテンの第2の表面に沿ってプラテンと結合されたシャフトを含みうる。シャフトが、チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在しうる。コーティングが、プラテンの第1の表面、プラテンの第2の表面、及びシャフトの周囲に延在しうる。コーティングは、全てのコーティングされた表面上の厚さが約5μm以上であることを特徴としうる。幾つかの実施形態において、コーティングが、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライドであってよく又はこれらを含んでよい。
【0011】
こうした技術は、従来のシステム及び技術よりも数多くの利点をもたらしうる。例えば、本技術の実施形態は、任意の数の腐食プロセスから防護しうる基板支持体を提供することができる。加えて、基板支持体及び/又は他の部品上に形成された保護コーティングは、数百又は数千のウエハのために維持することができ、これにより、スループットが増大しうる。上記の実施形態及び他の実施形態、並びにこれらの利点及び特徴の多くが、以下の明細書の記載及び添付の図面に関連して、より詳細に記載される。
【0012】
開示される技術の性質及び利点は、本明細書の残りの部分及び図面を参照することによってさらに理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術の幾つか実施形態に係る例示的な処理システムの上面図を示す。
【
図2A】本技術の実施形態に係る例示的な処理チャンバの概略的な断面図を示す。
【
図2B】本技術の実施形態に係る、
図2Aに示された処理チャンバの一部分の詳細図を示す。
【
図3】本技術の実施形態に係る、例示的なシャワーヘッドの底面図を示す。
【
図4】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な半導体処理チャンバの概略的な部分断面図を示す。
【
図5】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な基板支持アセンブリの概略的な部分断面図を示す。
【
図6】本技術の幾つかの実施形態に係る方法における例示的な工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図のうちの幾つかが、概略図として含まれている。図は例示を目的としており、縮尺に関する明記がない限り、縮尺どおりとみなすべきではないと理解されたい。さらに、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な描写に比べて全ての態様又は情報を含まない場合があり、例示を目的として強調された素材を含むことがある。
【0015】
添付の図面では、同様の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、参照符号の後に付けられた、同様の構成要素同士を区別する文字によって区別されうる。本明細書において第1の参照符号のみ使用されている場合には、その記載は、その文字が何であれ、同じ第1の参照符号を有するいずれの同様の構成要素にも適用されうる。
【0016】
半導体処理は、基板上に複雑にパターニングされた材料を生成する幾つかの工程を含みうる。上記の工程は、腐食性又は侵食性の材料を利用しうる幾つかの形成プロセス及び除去プロセスを含むことができ、上記腐食性又は侵食性の材料には、遠隔で又は基板レベルで形成されるプラズマ強化材料が含まれる。例えば、ハロゲン含有ガスを処理領域内に流すことができ、処理領域では、ガス又は上記材料のプラズマ放出物が、当該領域内に配置された基板と接触する。エッチャントが、基板材料を優先的にエッチングできる一方で、化学エッチャントは、チャンバ内の他の部品にも接触する恐れがある。エッチャントは、当該部品を化学的に攻撃する恐れがあり、実施されるプロセスに従って、1つ以上の部品には、材料を侵食しうるプラズマ放出物が衝突する恐れがある。エッチャントにより引き起こされるチャンバ部品への化学的及び物理的損傷は、経時的に磨耗を引き起こす恐れがあり、このことで、チャンバの交換コスト及び休止時間が増大しうる。堆積プロセスも同様に、基板上に材料を形成又は堆積させるためにプラズマ強化プロセスを使用することができ、上記材料は、チャンバ部品上にも堆積する可能性がある。このことで、基板がチャンバから取り出されてしまったら、洗浄工程が必要となりうる。洗浄プロセスは、1つ以上のハロゲン含有前駆体又は当該前駆体のプラズマ放出物を利用して、処理チャンバ内の表面上に堆積した材料を除去することを含みうる。洗浄は、堆積した材料を対象としうるが、多くの露出したチャンバ部品表面も同様に攻撃される恐れがある。例えば、基板が処理チャンバから取り出されてしまうと、基板支持体の中央領域が、残留材料が無い状態でむき出しになる。洗浄プロセスは、基板支持体のピッティング(pitting)又は他の除去を形成し始める恐れがあり、このことで、チャックのための平坦性及び完全性が低減しうる。
【0017】
従来の技術では、チャンバ部品への腐食と浸食の双方を制限することに苦労してきたが、上記の仕組みの一方又は双方により引き起こされる損傷に因り、部品を定期的に交換する傾向がある。幾つかのプロセスは、半導体基板処理の前にシーズニング工程を含みうるが、このことで、さらなる難題が引き起こされうる。例えば、シーズニングプロセスは、基板支持体の部分をカバーしうるが、プロセス及び洗浄材料に依然として曝されうる裏側又はステムを完全にはカバーしえない。さらに、シーズニングプロセスでは典型的に、100ナノメートル以下のコーティングが堆積される。このことで、処理されている基板ごとにシーズニングを交換することが必要となり得、これにより待ち行列時間が増大する恐れがあり、さらに、均一又は完全なカバレージの可能性も下がりうる。本技術は、基板処理の前にチャンバ部品をコーティングすることによって、これらの問題を克服する。例えば、部品は、半導体処理チャンバ内で露出している表面が完全にコーティングされうる。加えて、コーティングは、増大した厚さを特徴とすることができ、これにより、完全なカバレージを改善しうると共に、コーディングを再度施す前に上記部品を幾つかのウエハの処理時に使用することが可能となりうる。
【0018】
残りの開示では、開示された技術を利用する特定のエッチング処理を通常通りに特定するが、当該システム及び方法は、他の堆積チャンバ及び洗浄チャンバ、並びに記載されるチャンバ内で行われうるプロセスに対して、同じように適用可能であることが容易に分かるであろう。これに対応して、本技術は、特定のエッチング処理又はエッチングチャンバのみでの使用に限定されるものと見做すべきではない。本開示は、本技術の実施形態に係るペデスタルを含みうる1つの可能なシステム及びチャンバについて説明した後で、本技術の実施形態に係る当該システムの追加の変更及び調整について記載する。
【0019】
図1は、実施形態に係る、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、ベーキングチャンバ、及び硬化チャンバによる処理システム100の一実施形態の上面図を示している。図では、一対の前方開孔統一ポッド102が、様々なサイズの基板を供給しうるが、この様々なサイズの基板は、ロボットアーム104によって受け取られて、低圧保持領域106に配置され、その後、タンデム区域109a~109c内に位置する基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つの中に配置される。第2のロボットアーム110を使用して、基板ウエハを、上記保持領域106から基板処理チャンバ108a~108fへと、及び逆方向に移送することができる。各基板処理チャンバ108a~108fは、プラズマ強化学気相堆積、原子層堆積、物理的気相堆積、エッチング、予洗浄、ガス抜き、配向、及び、アニーリング、灰化等を含む他の基板処理に加えて、本明細書において記載される半導体材料のスタックの形成を含む幾つかの基板処理工程を実施するために装備されうる。
【0020】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板上に誘電膜を堆積し、アニールし、硬化し、及び/又はエッチングするための1つ以上のシステム構成要素を含みうる。一構成において、2対の処理チャンバ(例えば、108c~108d及び108e~108f)が、基板上に誘電材料を堆積させるために使用され、第3の対の処理チャンバ(例えば、108a~108b)が、堆積された誘電体をエッチングするために使用されうる。他の構成において、3対のチャンバ(例えば、108a~108f)の全てが、基板上に交互になった誘電体膜のスタックを堆積するよう構成されうる。記載されるプロセスのうちの1つ以上の任意のものが、様々な実施形態で示される製造システムとは別体のチャンバ内で実施されうる。当然のことながら、システム100においては、誘電体膜の堆積チャンバ、エッチングチャンバ、アニールチャンバ、及び硬化チャンバのさらなる構成が考えられる。
【0021】
図2Aは、処理チャンバ内部で区切られたプラズマ生成領域を有する例示的な処理チャンバシステム200の断面図を示している。膜(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、ケイ素、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド等)のエッチング中に、プロセスガスが、ガス注入アセンブリ205を介して第1のプラズマ領域215内へと流されうる。遠隔プラズマシステム(RPS)201が、任意選択的にシステム内に含まれてよく、第1のガスを処理しうる。第1のガスは、その後、ガス注入アセンブリ205を通って移動する。ガス注入アセンブリ205は、2つ以上の異なるガス供給チャネルを含むことができ、第2のチャネル(図示せず)は、含まれる場合には、RPS201を迂回しうる。
【0022】
冷却プレート203、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び、基板255が載置されたペデスタル265又は基板支持体が示されており、それぞれが実施形態に従って含まれうる。ペデスタル265は、基板の温度を制御するための熱交換流体が貫流する熱交換チャネルを有しうる。熱交換チャネルは、処理工程中に基板又はウエハを加熱及び/又は冷却するよう作動しうる。アルミニウム、セラミック、又はこれらの組み合わせを含みうるペデスタル265のウエハ支持プラッタはまた抵抗加熱され得、埋め込まれた抵抗加熱素子を使用して、比較的高温(例えば、約100℃以下から約1100℃以上)に達しうる。
【0023】
面板217は、最上部が狭くて底部に向かって拡張して広くなるピラミッド形、円錐形、又は他の同様の構造でありうる。面板217は、追加的に、図示するように平坦であってよく、プロセスガスを分配するために使用される複数の貫通チャネルを含みうる。プラズマを生成するガス及び/又はプラズマ励起種は、RPS201の使用に従って、面板217の、
図2Bに示す複数の孔を通過することができ、第1のプラズマ領域215の中にさらに均一に供給されうる。
【0024】
例示的な構成は、上記のガス/種が面板217の孔を通って第1のプラズマ領域215へと流れ込むように、ガス注入アセンブリ205が、面板217によって第1のプラズマ領域215から区切られたガス供給領域258に通じていることを含みうる。構造的及び動作的特徴が、第1のプラズマ領域215から供給領域258、ガス注入アセンブリ205、及び流体供給システム210へと戻るプラズマの大量逆流を防止するよう選択されうる。面板217又はチャンバの導電性上部、及びシャワーヘッド225は、それらの特徴の間に絶縁リング220が位置する状態で示されており、これにより、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223に対して、面板217にAC電位を印加することが可能となる。絶縁リング220は、面板217と、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223と、の間に配置することができ、これにより、第1のプラズマ領域内で容量結合プラズマ(CCP)を形成することが可能となる。バッフル(図示せず)が、追加的に、第1のプラズマ領域215内に位置してよく又はさもなければガス注入口アセンブリ205と結合されてよく、ガス注入口アセンブリ205を通って上記プラズマ領域に流れ込む流体の流れに影響を与えうる。
【0025】
イオンサプレッサ223が、構造全体にわたって複数の開孔を画定するプレート又は他の形状を含むことができ、第1のプラズマ領域215を出たイオン的に帯電した種の移動を抑制しつつ、非帯電性の中性種又はラジカル種がイオンサプレッサ223を通過して、当該サプレッサとシャワーヘッドとの間の活性化されたガス供給領域内に入ることを可能にするよう構成されている。実施形態において、イオンサプレッサ223が、様々な開孔構成を備えた有孔プレートであってよく又は当該有孔プレートを含んでよい。上記非帯電性の種には、反応性がより低いキャリアガスと共に開孔を介して運ばれる反応性の高い種が含まれうる。上述したように、孔を介したイオン種の移動を減らすことができ、場合によっては、完全に抑えることができる。イオンサプレッサ223を通過するイオン種の量を制御することで、有利に、下にあるウエハ基板と接触させられる混合ガスへの制御の向上をもたらすことができ、ひいては、混合ガスの堆積特性及び/又はエッチング特性の制御も向上させることができる。例えば、混合ガスのイオン濃度の調節によって、混合ガスのエッチング選択性、例えば、SiNx:SiOxのエッチング比率、Si:SiOxのエッチング比率などを大幅に変えることができる。堆積が行われる代替的な実施形態において、誘電材料について共形(コンフォーマル、conformal)な堆積と、流動可能なスタイルでの堆積と、のバランスを変えることも可能である。
【0026】
イオンサプレッサ223の複数の開孔は、当該イオンサプレッサ223を介した活性ガス(即ち、イオン種、ラジカル種、及び/又は中性種)の通過を制御するよう構成されうる。例えば、イオンサプレッサ223を通過する活性ガス中のイオン的に帯電した種の流量が低減されるように、孔のアスペクト比(すなわち、孔の長さに対する直径)及び/又は孔の外形が制御されうる。イオンサプレッサ223の孔は、プラズマ励起領域215に面するテーパ状の部分と、シャワーヘッド225に面する円筒状の部分と、を含みうる。円筒状の部分は、シャワーヘッド225へと通過するイオン種の流量を制御するように、成形され及び寸法決定されうる。イオンサプレッサ223を通るイオン種の流量を制御する追加の手段として、調節可能な電気バイアスがイオンサプレッサ223に印加されてもよい。
【0027】
イオンサプレッサ223は、プラズマ生成領域から基板まで移動するイオン的に帯電した種の量を低減し又は無くすよう機能しうる。非帯電性の中性種及びラジカル種は、依然としてイオンサプレッサの開孔を通過して、基板と反応しうる。基板の周囲の反応領域内でのイオン的に帯電した種の完全な消去は、実施形態によっては実施されえない場合があることに注意されたい。特定の場合に、イオン種は、エッチング及び/又は堆積プロセスを実施するために基板に到達することが意図されている。このような場合、イオンサプレッサは、一定の水準で処理を支援する反応領域内のイオン種の濃度の制御に役立ちうる。
【0028】
シャワーヘッド225が、イオンサプレッサ223と組み合わされることで、第1のプラズマ領域215内に存在するプラズマが、基板処理領域233内のガスを直接的に励起するのを回避することが可能となり、その一方で、励起された種が依然として、チャンバプラズマ領域215から基板処理領域233内へと移動することが可能となる。このようにして、チャンバは、エッチングされている基板255にプラズマが接触するのを防止するよう構成されうる。これにより、有利には、基板上にパターン形成された様々な複雑な構造及び膜が保護される。これらの複雑な構造及び膜は、生成されたプラズマが直接接触すると、損傷、位置ずれ、又は歪みが生じることがある。更に、プラズマが基板に接触するか、又は基板レベルに接近することが許容された場合、酸化物種がエッチングを行う速度が上昇しうる。これに対応して、材料の露出した領域が酸化物である場合には、プラズマを基板から離して維持することで、この材料を更に保護することができる。
【0029】
処理システムは、処理チャンバに電気的に接続された電源240を更に含みうる。電源240は、第1のプラズマ領域215又は処理領域233内でプラズマを生成するために、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び/又はペデスタル265に電力を供給する。電源は、実行される処理に従って、調節可能な電力量をチャンバに送るよう構成されうる。このような構成により、実行される処理において調節可能なプラズマを使用することが可能となりうる。オン又はオフ機能が与えられていることが多い遠隔プラズマユニットとは異なって、調整可能なプラズマは、特定の量の電力を第1のプラズマ領域215に送るよう構成されうる。これにより、ひいては、前駆体により作り出されるエッチングプロファイルを強化するために特定のやり方で前駆体が分離しうるような、特定のプラズマ特性の開発が可能になりうる。
【0030】
プラズマは、シャワーヘッド225の上のチャンバプラズマ領域215、又はシャワーヘッド225の下の基板処理領域233のいずれかにおいて点火されうる。プラズマは、例えばフッ素含有前駆体又他の前駆体の流入からラジカル前駆体を生成するために、チャンバプラズマ領域215内に存在しうる。典型的に高周波(「RF」)範囲内のAC電圧が、面板217といった、処理チャンバの導電性上部と、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223と、の間に印加されて、堆積中にチャンバプラズマ領域215内でプラズマが点火されうる。RF電源は、13.56MHzの高RF周波数を発生させうるが、単独で又は13.56MHzの周波数と組み合わせて他の周波数を発生させることもできる。
【0031】
図2Bは、面板217を介したプロセスガスの分配に影響を与えるフィーチャの詳細
図253である。
図2A及び
図2Bに示されるように、面板217、冷却プレート203、及びガス注入アセンブリ205が交差することで、ガス供給領域258が画定される。ガス供給領域258には、ガス注入アセンブリ205からプロセスガスが供給されうる。ガスは、ガス供給領域258に充満し、面板217の開孔259を通って第1のプラズマ領域215に流れうる。開孔259は、実質的に単一方向に流れを導くよう構成されうる。これにより、プロセスガスが処理領域233に流入しうるが、面板217を横断した後にガス供給領域258内に逆流することが、部分的に又は完全に防止されうる。
【0032】
処理チャンバシステム200内で使用するための、シャワーヘッド225といったガス分配アセンブリは、デュアルチャネルシャワーヘッドと称することができ、
図3で説明する実施形態においてさらに詳しく述べる。デュアルチャネルシャワーヘッドは、処理領域233の外でのエッチャントの分離を可能とするエッチングプロセスを提供することができ、処理領域内に送られる前のエッチャントとチャンバ部品との相互作用、及びエッチャント同士の相互作用の制限がもたらされる。
【0033】
シャワーヘッド225は、上方プレート214と、下方プレート216と、を含みうる。プレートを互いに結合して、プレート間の空間218を画定することができる。プレート同士は、上方プレート及び下方プレートを貫通する第1の流体チャネル219、及び下方プレート216を貫通する第2の流体チャネル221を提供するように、結合されうる。形成されるチャネルは、第2の流体チャネル221のみを介した空間218から下方プレート216を通る流体的なアクセスをもたらすよう構成することができ、第1の流体チャネル219は、プレート間の空間218及び第2の流体チャネル221から流体的に分離されうる。空間218は、シャワーヘッド225の側部を介して流体的にアクセス可能でありうる。
【0034】
図3は、実施形態に係る、処理チャンバで使用するためのシャワーヘッド325の底面図である。シャワーヘッド325は、
図2Aに示されたシャワーヘッド225に対応しうる。第1の流体チャネル219の図を示す貫通孔365は、シャワーヘッド225を通過する前駆体の流量を制御し当該流量に影響を与えるための複数の形状及び構成を有しうる。第2の流体チャネル221の図を示す小さな孔375は、貫通孔365の間でも、シャワーヘッドの表面上にほぼ均等に分散させることができ、前駆体がシャワーヘッドから出る際の前駆体の混合を、他の構成よりも均一にするための一助となりうる。
【0035】
図4は、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な半導体処理チャンバ400の概略的な部分断面図を示している。
図4は、
図2Aに関して上述した1つ以上の構成要素を含むことができ、当該チャンバに関するさらなる詳細を示すことができる。チャンバ400は、エッチング又は除去、及び堆積工程又は洗浄工程を含む半導体処理工程を実行するために使用されうる。例えば、処理チャンバ400は、プラズマエッチャー又はプラズマエッチングリアクタのためのチャンバ、プラズマクリーナ、化学気相堆積チャンバ、物理的気相堆積チャンバ、原子層堆積チャンバ、又は任意の他の種類の半導体処理チャンバでありうる。チャンバ400は、半導体処理システムの処理領域の部分図を示すことができ、付加的なリッドスタック構成要素など、チャンバ400の幾つかの実施形態には組み込まれていると理解される構成要素の全ては含みえない。
【0036】
このように、
図4は、処理チャンバ400の一部分を示しうる。チャンバ400は、シャワーヘッド405、及び基板支持体410を含みうる。チャンバ側壁415と共に、シャワーヘッド405及び基板支持体410が、基板処理領域420を画定することができ、この基板処理領域420内で、プラズマが幾つかのプロセスにおいて生成されうる。処理領域420はまた、半導体処理のために基板を収容しうるところを示しうる。基板支持アセンブリはプラテン425を含むことができ、プラテン425は、本体内に埋め込まれ又は配置された1つ以上の構成要素を含むことができ、当該1つ以上の構成要素は、電極、ヒータ、流体チャネル、又は他の構成要素を含む。上部パック内に組み込まれる構成要素は、幾つかの実施形態において処理材料に曝露させることができず、プラテン425内で完全に保持されうる。プラテン425は、シャワーヘッド405に面しうる基板支持面427を画定することができ、プラテンの特定の外形に従った厚さ及び長さ又は直径によって特徴付けられうる。幾つかの実施形態において、プラテンは楕円形であってよく、本体を通る中心軸からの1つ以上の径方向寸法によって特徴付けられうる。上部パックは、任意の外形であってよく、径方向の寸法について述べられているときには、プラテンの中央位置からの任意の長さを規定しうると理解されたい。
【0037】
プラテン425は、プラテンを支持しうるステム又はシャフト430と結合することができ、さらに、プラテン425の内部構成要素と接続しうる電気的ライン及び/又は流体ラインを送り及び受け取るためのチャネルを含みうる。プラテン425は、静電チャック、真空チャック、又は任意の他の種類のチャックシステムとして機能する関連付けられたチャネル又は構成要素、及び、非チャック基板支持面を含みうる。シャフト430は、基板支持面とは反対側のプラテンの第2の表面でプラテンと結合されうる。プラテン425は、基板支持面の近傍のプラテン内に埋め込まれたDC電極でありうる電極435を含みうる。電極435は、電源440と電気的に接続されうる。電源440は、導電性のチャック電極435にエネルギー又は電圧を提供するよう構成されうる。このことは、半導体処理チャンバ400の処理領域420内で前駆体のプラズマを形成するために作用しうるが、他のプラズマ工程も同様に維持することができる。例えば、電極435は、シャワーヘッド405と電気的に接続されたRF源407を含む容量性プラズマシステムのための電気接地として機能するチャッキングメッシュであってもよい。例えば、電極435は、RF源407からのRF電力のための接地経路として機能しうる一方で、基板への電気バイアスとして機能して、基板支持面への基板の静電クランプを提供することもできる。電源440は、フィルタ、電源、及び、チャッキング電圧を提供するよう構成された幾つかの他の電気的構成要素を含みうる。電極435は、代替的に、電極に加えて又は電極の代わりにプラテン内に組み込むことができる加熱要素であってもよい。
【0038】
幾つかの実施形態において、プラテン425はまた、基板支持表面内の凹状領域445を画定することができ、凹状領域445は、基板を配置することができる凹状ポケットを提供することができる。凹状領域445は、上部パックの内部領域に形成することができ、処理のために基板を収容するよう構成されうる。凹状領域445は、図示するようにプラテンの中央領域を包含することができ、任意の様々な基板サイズに対応する寸法とすることができる。基板は、凹状領域内に着座させることができ、さらに、基板を包含しうる外部領域447によって収容されている。幾つかの実施形態において、外部領域447の高さは、基板が外部領域447での基板支持面の表面高さと同じであるように又は当該表面高さより下に下がるようにすることができる。凹状の表面は、処理中のエッジ効果を制御することができ、これにより、幾つかの実施形態において基板全体の均一性を改善することができる。幾つかの実施形態において、エッジリングが、上部パックの周囲に配置されてよく、基板を着座させうる凹部を少なくとも部分的に画定しうる。幾つかの実施形態において、プラテンの表面が実質的に平面的であってよく、エッジリングが、基板を着座させうる凹部を完全に画定しうる。加えて、プラテンは、以下にさらに記載するエッジ輪郭、又は、基板支持体の周囲に作製されうる任意の他の外形若しくはフィーチャ(feature)によって特徴付けられうる。
【0039】
幾つかの実施形態において、プラテン425及び/又はシャフト430は、絶縁材料又は誘電材料でありうるが、幾つかの実施形態において、アルミニウム又は他の導電性材料といった金属でありうる。例えば、酸化物、窒化物、炭化物、及び他の材料が、上記部品を形成するために使用されうる。例示的な材料は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、及び任意の他の金属又は遷移金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、又はチタン酸塩、並びにこれらの材料と他の絶縁材料又は誘電材料との組合せを含むセラミックを含みうる。様々なグレードのセラミック材料を、特定の温度範囲で作用するよう構成された複合材を提供するために使用することができ、したがって、様々なグレードの同様のセラミック材料を、幾つかの実施形態において上部パック及びステムのために使用することができる。幾つかの実施形態において、ドーパントを組み込んで、電気的特性を調整することができる。例示的なドーパント材料には、イットリウム、マグネシウム、ケイ素、鉄、カルシウム、クロム、ナトリウム、ニッケル、銅、亜鉛、又はセラミック材料若しくは誘電材料内に組み込まれることが知られている任意の数の他の元素が含まれうる。
【0040】
ヒータは、基板支持面427上に存在する基板と共にプラテン425全体の温度を調節することができる。ヒータは、プラテン及び/又は基板を加熱するための動作温度の範囲が約100℃以上であってよく、ヒータは、約125℃以上、約150℃以上、約175℃以上、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、約350℃以上、約400℃以上、約450℃以上、約500℃以上、約550℃以上、約600℃以上、約650℃以上、約700℃以上、約750℃以上、約800℃以上、約850℃以上、約900℃以上、約950℃以上、又は約1000℃以上、又はそれより高く加熱するよう構成されうる。ヒータはまた、上記の記載した数値のうちの任意の2つの間に含まれる任意の範囲、又は、これらの範囲のうちのいずれかの範囲内に含まれるより小さい範囲で動作するよう構成されうる。
【0041】
先に記載したように、本技術は、コーティングされたチャンバ部品を組み込んだチャンバ内で処理を実施することができる。残りの開示では、基板支持体について頻繁に論じるが、幾つかの実施形態において、チャンバ壁又は任意のリッドスタック部品を含む任意の構成要素が、以下に記載するコーティング材料のいずれかを用いて同様にコーティングされうる。例えば、結合された2つのプレートを含みうるシャワーヘッドは、結合前に各プレートとして個々にコーティングされてよく、又は一旦結合されてから、シャワーヘッドは、当該シャワーヘッドの幾つか又は全ての外面が以下に記載するようにコーティングされうる。
【0042】
基板支持体410は、プラテンの第1の表面及び第2の表面、並びにシャフトを含む基板支持体410の全ての露出表面の周囲に延在しうるコーティング450を含みうる。コーティングは、各構成要素の周囲に別個に又は一緒に、共形に形成されうる。例えば、コーティング450は、プラテンとステムとの結合後に施されてよく、又は接続前に各構成要素に施されてよい。シャフト430は、図示するように、チャンバ本体を少なくとも部分的に貫通して延在することができ、幾つかの実施形態において、シャフトの全長が、チャンバを貫通している部分を含めてコーティングされうる。シャフト430はハブ455と結合することができ、ハブ455は、図示のように処理チャンバの外側に配置されうる。コーティング450が、シャフト本体に沿ってハブまで延しうる。リングコネクタ457が、シャフトの周囲に延在しシャフトをハブと接続することができ、幾つかの実施形態において、コーティングは、上記コネクタの一部分内を延在しうる。
【0043】
図5は、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な基板支持アセンブリ500の概略的な部分断面図を示しており、先に図示したコーティングされたプラテン425のさらなる詳細を示しうる。コーティングは図示されていないが、コーティングが、ここで記載する突起及びエッジフィーチャを含む全ての表面の周囲に上述のように共形に延在しうると理解されたい。基板支持アセンブリ500は、上述の材料又は構成要素のいずれかを含むことができ、先に述べた基板支持アセンブリのさらなる詳細を示しうる。図示されるように、プラテン505が基板支持面506を画定しうる。幾つかの実施形態において、表面は平坦でありうるが、幾つかの実施形態において、フィーチャを含むことができ、フィーチャはプラテンによって画定されうる。このフィーチャは、半導体基板を支持するよう構成されうる。基板支持面は、当該基板支持面の範囲内で、上述の凹状ポケットといった基板を維持しうる領域508を画定しうる。凹状ポケットは、外側の区分により形成されうるが、幾つかの実施形態において、任意の数の他のエッジフィーチャ(edge feature)が、基板支持体の第1の表面から延びて形成されうる。例えば、凹状レッジ510も同様に、基板支持面において画定されうる。凹状レッジは、凹状ポケットの径方向外縁から径方向外側に、プラテンの外側エッジまで延在しうる。
【0044】
加えて、基板支持面は、領域508において当該支持面の範囲内で基板支持面から延びる幾つかの突起525を画定しうる。これらの突起525を横切る露出表面は、基板が基板支持表面と接触しうる接触位置を画定しうる。例えば、本技術は、約1mm、約2mm、又はそれ以上の直径又は幅を特徴とする突起を形成してよく、幾つかの実施形態において、約1mm以上の直径を特徴とする突起と、約2mm以上の直径を特徴とする突起と、の組み合わせを含んでよい。突起は、本技術の実施形態では、任意の数の外形及び輪郭によって特徴付けられうる。例示的な基板支持アセンブリについて、凹状ポケットの範囲内の基板支持面は、約250個以上の突起を画定することができ、さらに、約500個以上、約750個以上、約1000個以上、約1250個以上、約1500個以上、約1750個以上、約2000個以上、又はそれより多い突起を画定することができる。突起は、任意の数の構成又はパターンにおいて画定され得、この任意の数の構成又はパターンには、表面全体における均一なパターンと共に大まかな分散が含まれる。
【0045】
コーティング450が、基板支持体の全ての領域上に形成されうる。シーズニングプロセスとは異なって、コーティング450は、プラテンの裏面に沿ってかつシャフトの全長に沿って、基板支持体の周囲に一貫して形成されうる。コーティングは、ケイ素含有コーティングであってよく又はそれを含んでよく、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、オキシ窒化ケイ素、又はシリコンオキシカーボナイトライド、並びにこれらの材料の任意の組み合わせであってよく又はこれを含んでよい。コーティングは、ペデスタルの全ての表面に約1μm以上の厚さに形成されてよく、さらに、約2μm以上、約5μm以上、約10μm以上、約15μm以上、約20μm以上、約25μm以上、約30μm以上、又はそれよい大きい厚さに形成されてよい。このことにより、如何なるシーズニングよりも何桁も厚くなりうるコーティングを形成することができ、さらに、シーズニングとは異なって、構成要素の全ての表面を覆うコーティングを形成することができる。加えて、コーティングは、約50μm以下、約45μm以下、約40μm以下、約35μm以下、又はそれより小さい厚さに維持することができ、このことで、幾つかの実施形態において、コーティングは突起の全表面の周囲に形成されうるが、フィーチャを完全には充填しないことが保証されうる。
【0046】
フィーチャの周囲に一貫したコーティングを形成しうる、プラズマ強化化学的気相堆積を含む任意の数の方法によって、コーティングが形成されうる。例えば、幾つかの実施形態において、基板支持表面のコーティングの厚さを実質的に一貫して維持することができ、さらに、基板支持体の表面上の任意の2つの位置の間における上記表面での変動が約10%以下であることを特徴とすることができ、さらに、上記表面での変動が、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又はそれより小さいことを特徴とすることができる。
【0047】
コーティングプロセスに基づいて、幾つかの表面が、より大きな程度のカバレージを特徴としうる。例えば、上述の凹状の内部ポケットを画定するレッジを含む、凹状レッジ510又は任意の他のコーナフィーチャは、コーティング厚さが、プラテンの第1の表面に沿ったコーティング厚さよりも少なくとも10%大きいことを特徴とすることができ、さらに、コーティング厚さが、プラテンの第1の表面に沿ったコーティング厚さよりも約15%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、又はそれよりも大きいことを特徴とすることができる。被覆することができ又は直接的な流路又はプラズマ領域の外にありうる基板表面又は裏面とは異なって、コーナフィーチャといった上記フィーチャは、プラズマ工程中に曝露されうるため、付加的なカバレージによって、処理中のこれらの領域の保護を向上させることができ、チャンバ部品上で再コーティングが行われうるまでの間の時間がさらに延びうる。
【0048】
図6は、本技術の幾つかの実施形態に係る方法600における例示的な工程を示しており、方法600は、先に記載のコーティングを有するチャンバ部品を含む任意のチャンバ内で実行することができる。コーティングは、任意選択的な工程605においてコーティングチャンバ内で施すことができ、上記コーティングチャンバは、チャンバ部品を用いて基板を処理することができる半導体処理チャンバとは別体でありうる。コーティングは、上記部品の全ての表面上に施すことができ、上述の材料のうちのいずれかを含みうる。コーティング又は部品は、先に記載した任意の特徴又は特性によって特徴付けられうる。例えば、ケイ素含有材料が、プラテン及び基板支持体のシャフトの全ての表面、又は、結合された基板支持体の外側表面、又は他のチャンバ部品の上にコーティングされうる。チャンバ部品は、任意選択的な工程610において半導体処理チャンバ内に設置することができ、半導体処理チャンバ内では部品が部分的又は完全に延在しうる。例えば、先に記載の基板支持体が、以前に施されたコーティングを含みうる部分を含めて、チャンバから少なくとも部分的に延在しうる。
【0049】
工程615において、半導体処理が部品上で実行されうる。例えば、任意の数の基板を、上述のコーティングされた部品を利用するチャンバ内で処理することができ、又は、任意の数の洗浄工程を処理チャンバ内で実行することができる。例えば、おおよそ5個以上の基板を処理することができ、又は、洗浄工程を実行することができる。コーティングは、各プロセスにより影響を受けうるが、コーティングは、おおよそ10個以上の基板を処理すること又は洗浄工程を行うことを可能とすることができ、さらに、おおよそ50個以上、おおよそ100個以上、おおよそ500個以上、おおよそ1000個以上、おおよそ5000個以上、又はそれより多くの処理が可能となりうる。シーズニング又は部品交換のための休止時間を制限することで、本技術の実施形態に係るコーティングされた部品は、スループットを改善し、従来の技術よりも構成要素を保護することができる。
【0050】
先の記載では、説明を目的として、本技術の様々な実施形態の理解を促すべく、数多くの詳細事項を記載した。しかしながら、特定の実施形態が、これらの詳細事項の幾つかを含まずに又は更なる詳細事項を含んで実施されうることが当業者には明らかであろう。
【0051】
幾つかの実施形態を開示してきたが、当業者は、上記実施形態の思想から逸脱することなく、様々な変形例、代替構造、及び均等物が使用されうることが分かるであろう。加えて、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために、幾つかの周知のプロセス及び要素については記載していない。これに対応して、先の明細書の記載は、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0052】
値の範囲が与えられている場合に、文脈上そうでないと明示されていない限り、その範囲の上限値と下限値との間に介在する各値が、下限値の最も小さい単位まで具体的に開示されていると理解される。明記された範囲内の任意の明記された値又は明記されていない介在する値と、その明記された範囲内の他の明記された値又は他の介在する値と、の間の任意のより狭い範囲が包含される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、個別にその範囲内に含まれることも除外されることもあり、より狭い範囲内に限界値の一方又は両方が含まれる場合、又はどちらも含まれない場合の各範囲も、明記された範囲内の任意の特に除外された限界値に従って、本技術の範囲内に包含される。明記された範囲が、限界値の一方又は両方を含む場合、この含められた限界値の一方又は両方を除いた範囲も含まれる。
【0053】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上別途明示しない限り複数の指示物を含む。したがって、例えば、「電極(an electrode)」が言及されている場合、複数のこのような前駆体が含まれ、「その突起(the protrusion)」が言及されている場合、当業者に周知の1つ以上の構成要素及び均等物への言及が含まれ、他についても同様のことが当てはまる。
【0054】
また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という単語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている場合、記載された特徴、整数、構成要素、又は工程の存在を特定することを意図しているが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、工程、作動、又グループの存在又は追加を排除するものではない。