IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボンドテック株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】接合方法および接合装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023069506
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2021566778の分割
【原出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2023083480
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2019238011
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-066287(JP,A)
【文献】特開2012-138423(JP,A)
【文献】特開2000-332054(JP,A)
【文献】特開2019-204832(JP,A)
【文献】特開2006-069863(JP,A)
【文献】特開2013-251405(JP,A)
【文献】特開平11-097489(JP,A)
【文献】特開2017-028216(JP,A)
【文献】特開2008-084951(JP,A)
【文献】特開2007-180384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被接合物と、前記第1被接合物の第1接合部に接合させる第2接合部および前記第1被接合物に接合される側における前記第2接合部以外の領域に位置し紫外線硬化性樹脂から形成された樹脂部を有する第2被接合物と、を接合する接合方法であって、
前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値を50℃以下で維持しながら、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量が小さくなるように前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する相対位置を決定する位置決め工程と、
前記位置決め工程の後、前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値を50℃以下で維持しながら、前記第1被接合物に前記第2被接合物の前記第2接合部および前記樹脂部を接触させる接触工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値が50℃以下で維持され且つ前記第1被接合物に前記第2被接合物の前記樹脂部が接触した状態で、前記樹脂部に紫外線を照射して前記樹脂部を硬化させることにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に固定する固定工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値を50℃以下で維持しながら、前記第1被接合物と前記第2被接合物の前記第2接合部および前記樹脂部とが接触した状態で、前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定工程と、
前記位置ずれ量に基づいて、前記第1被接合物と前記第2被接合物の前記第2接合部および前記樹脂部とが接触した状態を維持しながら、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させる補正移動工程と、を含み、
前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記固定工程を行い、前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、前記測定工程および前記補正移動工程を行い、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程、前記補正移動工程および前記固定工程において、前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値が50℃以下で維持する、
接合方法。
【請求項2】
前記第2被接合物を供給する被接合物供給工程と、
前記接合物供給工程において供給される前記第2被接合物を前記樹脂部のみに当接した状態で前記第2被接合物を保持する被接合物保持部により前記第2被接合物を保持した状態で、前記第2被接合物を前記第1被接合物に接合するための位置まで搬送する被接合物搬送工程と、を更に含む、
請求項に記載の接合方法。
【請求項3】
第1被接合物と、前記第1被接合物のAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第1接合部に接合させるAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第2接合部を有する第2被接合物と、を接合する接合方法であって、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを加熱して予め設定された同一の第1規定温度で維持しながら、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量が小さくなるように前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する相対位置を決定する位置決め工程と、
前記位置決め工程の後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら前記第1接合部と前記第2接合部とを接触させて予め設定された基準圧力未満で加圧された状態を維持する接触工程と、
前記第1接合部と前記第2接合部とが接触した状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持し且つ前記基準圧力未満で加圧された状態を維持しながら前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら、前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させる補正移動工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とが前記第1規定温度で維持され且つ前記第1接合部と前記第2接合部とが接触した状態で、前記第1接合部と前記第2接合部とが密着する方向へ前記基準圧力以上の圧力で加圧することにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に固定する固定工程と、を含み、
前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記固定工程を行い、前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、前記測定工程および前記補正移動工程を行い、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程、前記補正移動工程および前記固定工程において、同一の前記第1規定温度で維持する、
接合方法。
【請求項4】
前記第2被接合物が前記第1被接合物に固定された状態で、前記第1被接合物および前記第2被接合物を加熱することにより前記第1被接合物および前記第2被接合物の温度を、前記第1規定温度よりも高い第2規定温度に上昇させて、前記第1被接合物と前記第2被接合物との接合強度を高める接合工程を更に含み、
前記第1規定温度は、150℃以上且つ200℃未満である、
請求項に記載の接合方法。
【請求項5】
前記第2規定温度は、200℃以上である、
請求項に記載の接合方法。
【請求項6】
前記基準圧力は、150MPaであり、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程および前記補正移動工程において、前記基準圧力未満で維持し、前記固定工程において、前記基準圧力以上に上昇させる、
請求項からのいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項7】
前記第1接合部、前記第2接合部の表面粗さは、Raで4nm以上且つ200nm以下である、
請求項からのいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項8】
前記基準圧力は、50Nであり、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程および前記補正移動工程において、前記基準圧力未満で維持し、前記固定工程において、前記基準圧力以上に上昇させる、
請求項からのいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項9】
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程および前記補正移動工程において、10N以下の圧力で維持し、前記固定工程において、50N以上の圧力に上昇させる、
請求項からのいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項10】
前記第1被接合物と前記第2被接合物とは、大気中で接合される、
請求項からのいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項11】
前記第1接合部と前記第2接合部とは、Arプラズマに曝露することにより活性化されている、
請求項から10のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項12】
第1被接合物と、前記第1被接合物の表面活性化処理された第1接合部に接合させる表面活性化処理された第2接合部を有する第2被接合物と、を接合する接合方法であって、
前記第1接合部と前記第2接合部との少なくとも一方に親水化処理を施す親水化処理工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを加熱して予め設定された同一の第1規定温度で維持しながら、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量が小さくなるように前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する相対位置を決定する位置決め工程と、
前記位置決め工程の後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら前記第1接合部と前記第2接合部とを接触させて予め設定された基準圧力未満で加圧された状態維持する接触工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とが接触した状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持し且つ前記基準圧力未満で加圧された状態を維持しながら前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら、前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させる補正移動工程と、
前記第1接合部と前記第2接合部とが接触した状態で、前記第1被接合物の前記第1接合部と前記第2被接合物の前記第2接合部とが密着する方向へ前記基準圧力以上で加圧することにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に仮接合する仮接合工程と、を含み、
前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記仮接合工程を行い、前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、前記測定工程および前記補正移動工程を行い、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程、前記補正移動工程および前記仮接合工程において、同一の前記第1規定温度で維持する、
接合方法。
【請求項13】
第1被接合物と、前記第1被接合物のAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第1接合部に接合させるAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第2接合部を有する第2被接合物と、を接合する接合装置であって、
前記第1被接合物を保持する第1被接合物保持部と、
前記第2被接合物を保持する第2被接合物保持部と、
前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが対向する第1方向において、前記第2被接合物保持部を前記第1被接合物保持部に対して前記第1被接合物保持部へ近づく方向または前記第1被接合物保持部から遠ざかる方向へ相対的に移動させる第1保持部駆動部と、
前記第1被接合物の温度と前記第2被接合物の温度とを調節する温度調節部と、
前記温度調節部により前記第1被接合物と前記第2被接合物とが予め設定された同一の第1規定温度で維持された状態で、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定部と、
前記第2被接合物保持部を前記第1被接合物保持部に対して前記第1方向に直交する第2方向へ相対的に移動させる第2保持部駆動部と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とが加熱され同一の前記第1規定温度で維持された状態で、前記測定部により測定された前記位置ずれ量に基づいて、前記第1保持部駆動部および前記第2保持部駆動部を制御して、前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する前記第2方向に直交する方向における相対位置を調整した後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが同一の前記第1規定温度で維持された状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを接触させて予め設定された基準圧力未満で加圧した状態を維持し、その後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが接触した状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが同一の前記第1規定温度で維持され且つ前記基準圧力未満で維持された状態で、前記測定部により前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定し、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが同一の前記第1規定温度で維持された状態で、前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させ、前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記第2被接合物を前記第1被接合物へ前記基準圧力以上の圧力で押し付けることにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に固定する制御部と、を備える、
接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法および接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの被接合物の一方をステージに保持し他方をヘッドに保持した状態で、両被接合物の位置ずれ量を測定し、その位置ずれ量に基づいて被接合物の位置合わせを行った後、被接合物同士を接合する接合装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-066287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された接合方法では、2つの被接合物同士を接合する際、2つの被接合物を加熱しながら加圧することにより両者を接合される。従って、2つの被接合物が熱膨張することにより位置ずれが生じてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、被接合物同士を高い位置精度で接合することができる接合方法および接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る接合方法は、
第1被接合物と、前記第1被接合物の第1接合部に接合させる第2接合部および前記第1被接合物に接合される側における前記第2接合部以外の領域に位置し紫外線硬化性樹脂から形成された樹脂部を有する第2被接合物と、を接合する接合方法であって、
前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値を50℃以下で維持しながら、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量が小さくなるように前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する相対位置を決定する位置決め工程と、
前記位置決め工程の後、前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値を50℃以下で維持しながら、前記第1被接合物に前記第2被接合物の前記第2接合部および前記樹脂部を接触させる接触工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値が50℃以下で維持され且つ前記第1被接合物に前記第2被接合物の前記樹脂部が接触した状態で、前記樹脂部に紫外線を照射して前記樹脂部を硬化させることにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に固定する固定工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値を50℃以下で維持しながら、前記第1被接合物と前記第2被接合物の前記第2接合部および前記樹脂部とが接触した状態で、前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定工程と、
前記位置ずれ量に基づいて、前記第1被接合物と前記第2被接合物の前記第2接合部および前記樹脂部とが接触した状態を維持しながら、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させる補正移動工程と、を含み、
前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記固定工程を行い、前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、前記測定工程および前記補正移動工程を行い、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程、前記補正移動工程および前記固定工程において、前記第1被接合物と前記第2被接合物との少なくとも一方を加熱して前記第1被接合物と前記第2被接合物との温度差の絶対値が50℃以下で維持する。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る接合方法は、
第1被接合物と、前記第1被接合物のAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第1接合部に接合させるAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第2接合部を有する第2被接合物と、を接合する接合方法であって、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを加熱して予め設定された同一の第1規定温度で維持しながら、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量が小さくなるように前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する相対位置を決定する位置決め工程と、
前記位置決め工程の後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら前記第1接合部と前記第2接合部とを接触させて予め設定された基準圧力未満で加圧された状態を維持する接触工程と、
前記第1接合部と前記第2接合部とが接触した状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持し且つ前記基準圧力未満で加圧された状態を維持しながら前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら、前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させる補正移動工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とが前記第1規定温度で維持され且つ前記第1接合部と前記第2接合部とが接触した状態で、前記第1接合部と前記第2接合部とが密着する方向へ予め設定された基準圧力以上の圧力で加圧することにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に固定する固定工程と、を含み、
前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記固定工程を行い、前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、前記測定工程および前記補正移動工程を行い、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程、前記補正移動工程および前記固定工程において、同一の前記第1規定温度で維持する。
【0008】
他の観点から見た本発明に係る接合方法は、
第1被接合物と、前記第1被接合物の表面活性化処理された第1接合部に接合させる表面活性化処理された第2接合部を有する第2被接合物と、を接合する接合方法であって、
前記第1接合部と前記第2接合部との少なくとも一方に親水化処理を施す親水化処理工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを加熱して予め設定された同一の第1規定温度で維持しながら、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量が小さくなるように前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する相対位置を決定する位置決め工程と、
前記位置決め工程の後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら前記第1接合部と前記第2接合部とを接触させて予め設定された基準圧力未満で加圧された状態維持する接触工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とが接触した状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持し且つ前記基準圧力未満で加圧された状態を維持しながら前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定工程と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とを同一の前記第1規定温度で維持しながら、前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させる補正移動工程と、
前記第1接合部と前記第2接合部とが接触した状態で、前記第1被接合物の前記第1接合部と前記第2被接合物の前記第2接合部とが密着する方向へ前記基準圧力以上で加圧することにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に仮接合する仮接合工程と、を含み、
前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記仮接合工程を行い、前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、前記測定工程および前記補正移動工程を行い、
前記位置決め工程、前記接触工程、前記測定工程、前記補正移動工程および前記仮接合工程において、同一の前記第1規定温度で維持する。
【0010】
他の観点から見た本発明に係る接合装置は、
第1被接合物と、前記第1被接合物のAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第1接合部に接合させるAuから形成され且つ予め表面活性化処理された第2接合部を有する第2被接合物と、を接合する接合装置であって、
前記第1被接合物を保持する第1被接合物保持部と、
前記第2被接合物を保持する第2被接合物保持部と、
前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが対向する第1方向において、前記第2被接合物保持部を前記第1被接合物保持部に対して前記第1被接合物保持部へ近づく方向または前記第1被接合物保持部から遠ざかる方向へ相対的に移動させる第1保持部駆動部と、
前記第1被接合物の温度と前記第2被接合物の温度とを調節する温度調節部と、
前記温度調節部により前記第1被接合物と前記第2被接合物とが予め設定された同一の第1規定温度で維持された状態で、前記第2被接合物の前記第1被接合物に対する位置ずれ量を測定する測定部と、
前記第2被接合物保持部を前記第1被接合物保持部に対して前記第1方向に直交する第2方向へ相対的に移動させる第2保持部駆動部と、
前記第1被接合物と前記第2被接合物とが加熱され同一の前記第1規定温度で維持された状態で、前記測定部により測定された前記位置ずれ量に基づいて、前記第1保持部駆動部および前記第2保持部駆動部を制御して、前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する前記第2方向に直交する方向における相対位置を調整した後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが同一の前記第1規定温度で維持された状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とを接触させて予め設定された基準圧力未満で加圧した状態を維持し、その後、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが接触した状態で、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが同一の前記第1規定温度で維持され且つ前記基準圧力未満で維持された状態で、前記測定部により前記第1被接合物の前記第2被接合物に対する位置ずれ量を測定し、前記第1被接合物と前記第2被接合物とが同一の前記第1規定温度で維持された状態で、前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を減少させるように前記第2被接合物を前記第1被接合物に対して相対的に補正移動させ、前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、前記第2被接合物を前記第1被接合物へ予め設定された基準圧力以上の圧力で押し付けることにより、前記第2被接合物を前記第1被接合物に固定する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第2被接合物の第1被接合物に対する相対位置を決定した後、第1被接合物に第2被接合物に接触させ、その後、第1被接合物と第2被接合物とが同一の規定温度で維持された状態で、第1被接合物に第2被接合物を固定する。これにより、その後、第1被接合物と第2被接合物とを加熱した際、第2被接合物が第1被接合物に事前に固定されていることにより、第1被接合物と第2被接合物の熱膨張に起因した位置ずれの発生を抑制できる。従って、第1被接合物、第2被接合物同士を高い位置精度で接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る接合装置の内部の概略正面図である。
図2】実施の形態1に係る接合装置の一部の概略構成図である。
図3A】チップの概略図である。
図3B】チップの概略図である。
図4】実施の形態1に係るチップのアライメントマークとヘッドの中空部との位置関係を示す図である。
図5A】実施の形態1に係るボンディング部の一部を示す概略斜視図である。
図5B】実施の形態1に係る接合装置の図2のA-A線における断面矢視図である。
図6A】チップに設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図6B】基板に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図7A】実施の形態1に係るステージの平面図である。
図7B】実施の形態1に係るステージの側面図である。
図8A】アライメントマークの撮影画像を示す概略図である。
図8B】アライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
図9】実施の形態1に係る接合装置が実行するチップ接合処理の流れを示すフローチャートである。
図10A】実施の形態1に係る接合装置におけるチップを基板に接合する前の状態を示す図である。
図10B】実施の形態1に係る接合装置におけるチップを基板に接触させた状態を示す図である。
図10C】実施の形態1に係る接合装置におけるチップを基板から離脱させる様子を示す図である。
図11A】実施の形態1に係る接合装置におけるチップを基板に対して相対的に移動させる様子を示す図である。
図11B】実施の形態1に係る接合装置におけるチップを基板に接触させる様子を示す図である。
図11C】実施の形態1に係る接合装置における紫外線を照射する様子を示す図である。
図12】本発明の実施の形態2に係る接合装置の内部の概略正面図である。
図13A】実施の形態2に係るステージおよびヘッド付近を示す概略斜視図である。
図13B】実施の形態2に係る直流電源の動作説明図である。
図14A】接合する2つの基板の一方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図14B】接合する2つの基板の他方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図15A】基板のアライメントマークの撮影画像を示す概略図である。
図15B】基板のアライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
図16】実施の形態2に係る接合装置が実行する基板接合処理の流れを示すフローチャートである。
図17】本発明の実施の形態3に係る接合装置の内部の概略正面図である。
図18】実施の形態3に係る接合装置が実行する基板接合処理の流れを示すフローチャートである。
図19】本発明の実施の形態4に係る接合装置の内部の概略正面図である。
図20】実施の形態4に係るチップ保持部を示す図である。
図21】変形例に係る接合装置が実行する基板接合処理の流れを示すフローチャートである。
図22A】LEDパネルの一例を示す概略図である。
図22B】変形例に係る接合装置の一部を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る接合装置について、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る接合装置は、基板上に電子部品を接合する装置である。電子部品は、例えばダイシングされた基板から供給される半導体チップ(以下、単に「チップ」と称する。)である。この接合装置は、基板の第1金属部(電極)とチップの第2金属部(電極)とを接触させて加圧および加熱することにより、チップを基板に接合する。また、チップには、基板に接合される側の一部に紫外線硬化性樹脂から形成された樹脂部が設けられている。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態に係る接合装置1は、チップCPを基板WT上に実装するいわゆるチップマウンタであり、ステージ31と、ヘッド33Hを有するボンディング部33と、ヘッド33Hを駆動するヘッド駆動部36と、撮像部35a、35b、41と、紫外線照射源51と、を備える。また、接合装置1は、図2に示すように、カメラF方向駆動部365と、カメラZ方向駆動部363と、を有する。
【0015】
基板WTは、例えばサファイヤ基板、アルミナ基板、ガラス基板等の紫外領域の波長帯の少なくとも一部の波長領域の光を透過する性質を有する基板上に金属部が配設された第1被接合物である。ここで、金属部は、はんだ、Au、Cu、Al等の各種金属から形成された第1金属部であり、基板WTの第1接合部に相当する。チップCPは、例えば図3Aに示すように、基板WTに接合される側に設けられた金属部MCP1および樹脂部CPR1を有する第2被接合物である。金属部MCP1は、はんだ、Au、Cu、Al等の各種金属から形成された第2金属部であり、チップCPの第2接合部に相当する。樹脂部CPR1は、紫外線硬化性樹脂から形成されている。紫外線硬化性樹脂としては、アクリル系の紫外線硬化性樹脂、エポキシ系の紫外線硬化性樹脂等が採用される。ここで、チップCPは、樹脂部CPR1の基板WTに固定される面と第1金属部の基板WTに接合される面とは面一となっている。
【0016】
或いは、チップCPの樹脂部CPR1は、チップCPを基板WTに押し付けたときに、チップCPにおける基板WTに接合される部分に侵入しない程度に第1金属部よりも突出していてもよい。樹脂部CPR1は硬化時に収縮する性質が有するため、チップCPの接合部と基板WTの接合部とを密着させるのに好適である。なお、チップCPは、例えば図3Bに示すように、樹脂部CPR1が基板WTに接合される側における金属部MCP1以外の領域に設けられた凹部TR1に埋設されているものであってもよい。ここで、チップCPの接合部は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨されており、平坦化されている。例えばRaが1nm以下の平坦性を有する。
【0017】
ボンディング部33は、Z軸方向移動部材331と、第1円盤部材332と、ピエゾアクチュエータ333と、第2円盤部材334と、ミラー固定用部材336と、ミラー337と、ヘッド33Hと、を有する。Z軸方向移動部材331の上端部には、第1円盤部材332が固定されている。また、第1円盤部材332の上側には、第2円盤部材334が配置されている。第1円盤部材332と第2円盤部材334とは、ピエゾアクチュエータ333を介して接続されている。さらに、第2円盤部材334の上面側には、ヘッド33Hが固定されている。ヘッド33Hは、チップCPを吸着して保持する。
【0018】
ヘッド33Hは、鉛直下方(-Z方向)からチップCPを保持する第2被接合物保持部である。ヘッド33Hは、チップツール411と、ヘッド本体部413とを有している。チップツール411は、撮影光(赤外光等)を透過する材料(例えばシリコン(Si))から形成されている。また、ヘッド本体部413には、チップツール411に保持されたチップCPの温度を調整する温度調節部417が内蔵されている。温度調節部417は、セラミックヒータやコイルヒータ等を有する。また、ヘッド本体部413には、撮影光を透過(通過)させるための中空部415,416が設けられている。各中空部415,416は、撮影光を透過する透過部分であり、ヘッド本体部413を鉛直方向(Z軸方向)に貫通するように設けられている。また、各中空部415,416は、図4に示すように、上面視において楕円形状を有している。2つの中空部415,416は、上面視略正方形形状を有するヘッド本体部413の対角部分において、軸AXを中心に点対称に配置されている。なお、撮影光を透過させるため、第2円盤部材334における中空部415、416に対応する部分にも孔部334a、334bが設けられている。
【0019】
ピエゾアクチュエータ333は、基板WTにおける金属部が形成された面WTfとチップCPにおける金属部MCP1が形成された面CPfとの間の距離とチップCPの基板WTの面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整する。ピエゾアクチュエータ333は、図5Aに示すように、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に3つ存在し、それぞれのZ方向に伸縮可能となっている。そして、3つのピエゾアクチュエータ333それぞれの伸縮の程度を制御することにより、水平面に対する第2円盤部材334、ひいてはヘッド33Hの傾き角度が調整される。そして、ヘッド33Hに保持されたチップCPの面CPfの基板WTの面WTfとの間の距離と、ヘッド33Hに保持されたチップCPの面CPfの基板WTの面WTfに対する傾きと、の少なくとも一方が調整される。なお、3本のピエゾアクチュエータ333は、撮像部35a、35bに関する照明光(反射光を含む)を遮らない位置に配置されている。
【0020】
ミラー337は、図2に示すように、ミラー固定用部材336を介して第1円盤部材332に固定され、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間の空隙に配置されている。ミラー337は、斜め下方向き45度の傾斜角度を有する傾斜面337a、337bを有する。第1撮像部35a、35bからミラー337の傾斜面337a、337bへ入射した撮影光は、上方へ反射される。
【0021】
ヘッド駆動部36は、チップCPを保持したヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの金属部にチップCPの金属部MCP1を接触させる第1保持部駆動部である。より詳細には、ヘッド駆動部36は、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの金属部にチップCPの金属部MCP1を接触させる。ここにおいて、後述するように、基板WTの金属部とチップCPの金属部MCP1とは、例えばAr粒子を金属部に照射することにより金属部の表面を活性化する表面活性化処理装置(図示せず)により表面活性化処理が施されている。
【0022】
ヘッド駆動部36は、Z方向駆動部34と、回動部材361と、θ方向駆動部37と、を有する。Z方向駆動部34は、サーボモータおよびボールネジ等を有している。Z方向駆動部34は、後述の回動部材361の下端側に設けられ、矢印AR1に示すように、ボンディング部33のZ軸方向移動部材331をZ軸方向へ駆動する。Z方向駆動部34が、Z軸方向移動部材331をZ方向に移動させると、それに伴い、ボンディング部33の上端部に設けられたヘッド33HがZ方向に移動する。即ち、ヘッド33Hは、Z方向駆動部34によりZ方向に駆動される。
【0023】
回動部材361は、円筒形状であり、図5Bに示すように内側の中空部の断面形状が八角形である。一方、Z軸方向移動部材331は、断面形状が八角形である棒状部分を有し、回動部材361の内側に挿入されている。また、Z軸方向移動部材331の8つの側面のうちの4つの側面と回動部材361の内面との間には、Z軸方向移動部材331が回動部材361に対してZ軸方向へ摺動するかたちで配置されたリニアガイド38が設けられている。Z軸方向移動部材331は、回動部材361が回転軸AX周りに回転すると、回動部材361と連動して回転する。即ち、ボンディング部33と回動部材361とは、矢印AR2に示すように、回転軸AX周りに連動して回転する。
【0024】
θ方向駆動部37は、サーボモータおよび減速機等を有し、図2に示すように、ボンディング装置30内に設けられた固定部材301に固定されている。θ方向駆動部37は、回動部材361を軸AX周りに回転可能に支持している。そして、θ方向駆動部37は、制御部90から入力される制御信号に応じて、回動部材361を回転軸AX周りに回転させる第2保持部駆動部である。
【0025】
撮像部35a、35bは、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、チップCPの鉛直下方、即ち、-Z方向からチップCPを撮像する。撮像部35aは、カメラZ方向駆動部363およびカメラF方向駆動部365を介して回動部材361に固定されている。撮像部35bも、カメラZ方向駆動部363およびカメラF方向駆動部365を介して回動部材361に固定されている。これにより、第1撮像部35a、35bは、回動部材361と共に回転する。ここで、前述のように、ミラー337は、Z軸方向移動部材331に固定され、回動部材361とZ軸方向移動部材331とは連動して回転する。従って、撮像部35a,35bとミラー337との相対的な位置関係は不変であるので、回動部材361の回転動作に関わらず、ミラー337により反射される撮影光が撮像部35a,35bに導かれる。
【0026】
チップCPには、例えば図6Aに示すような2つのアライメントマークMC1a、MC1bが設けられている。また、基板WTにおけるチップCPが実装される少なくとも1つの領域AW1それぞれには、例えば図6Bに示すような2つのアライメントマークMW1a、MW1bが設けられている。そして、撮像部35a、35bは、それぞれ、チップCPに設けられたアライメントマークMC1a、MC1bの画像と、基板WTに設けられた後述のアライメントマークMW1a、MW1bの画像と、を含む画像データを取得する。
【0027】
また、制御部90は、撮像部35a、35bにより取得された画像データに基づいて、基板WTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向における各チップCPの基板WTに対する相対位置を認識する。撮像部35a,35bは、それぞれ、図2に示すように、イメージセンサ351a、351bと、光学系352a、352bと、同軸照明系(図示せず)と、を有する。撮像部35a,35bは、それぞれ、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。なお、撮像部35a,35bの同軸照明系から水平方向に出射された照明光は、ミラー337の傾斜面337a、337bで反射されその進行方向が鉛直上方に変更される。そして、ミラー337で反射された光は、ヘッド33Hに保持されたチップCPとチップCPに対向配置された基板WTとを含む撮影対象部分に向けて進行し各撮影対象部分で反射される。ここで、チップCPの撮像対象部分には、後述のアライメントマークMC1a、MC1bが設けられており、基板WTの撮像対象部分には、後述のアライメントマークMC2a、MC2bが設けられている。チップCPおよび基板WTそれぞれの撮影対象部分からの反射光は、鉛直下方へ進行した後、ミラー337の傾斜面337a、337bで再び反射されその進行方向が水平方向に変更されて、撮像部35a,35bへと到達する。このようにして、撮像部35a、35bは、チップCPおよび基板WTそれぞれの撮影対象部分の画像データを取得する。ここにおいて、ヘッド33Hの中空部415、416は、回動部材361の回転に連動して軸AX周りに回転する。例えば、図4に示すように、撮像部35a,35bがチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bが設けられた2つの角部を結ぶ対角線上に位置するときに、撮像部35a、35bが中空部415、416を通じてアライメントマークMC1a、MC1bの撮像データを取得することができる。
【0028】
カメラF方向駆動部365は、図2の矢印AR3に示すように、撮像部35a、35bをフォーカス方向に駆動することにより、撮像部35a,35bの焦点位置を調整する。カメラZ方向駆動部363は、矢印AR4に示すように、第1撮像部35a、35bをZ軸方向に駆動する。ここで、カメラZ方向駆動部363は、通常、Z軸方向移動部材331のZ軸方向の移動量と、撮像部35a,35bのZ軸方向の移動量とが同一となるように、撮像部35a、35bを移動させる。このようにして、ヘッド33HのZ軸方向への移動時において、撮像部35a,35bの撮影対象部分が移動前後で変わらないようにしている。但し、カメラZ方向駆動部363は、撮像部35a、35bのZ軸方向の移動量がZ軸方向移動部材331のZ軸方向の移動量と異なるように、撮像部35a,35bを移動させる場合がある。この場合、撮像部35a,35bとミラー337とのZ方向における相対位置がそれぞれ変化するため、撮像部35a,35bによるチップCPおよび基板WTにおける撮影対象部分が変更される。
【0029】
ステージ31は、基板WTにおけるチップCPが実装される面WTfが鉛直下方、即ち、-Z方向を向く姿勢で基板WTを保持する第1被接合物保持部である。ステージ31は、X方向、Y方向および回転方向に移動できる。これにより、ボンディング部33とステージ31との相対位置関係を変更することができ、基板WT上における各チップCPの実装位置を調整することができる。ステージ31は、ステージ31に保持される基板WTの温度を調節する温度調節部317を有する。温度調節部317は、例えば赤外線ヒータである。また、ステージ31は、図7Aおよび図7Bに示すように、X方向移動部311とY方向移動部313と基板載置部315とX方向駆動部321とY方向駆動部323とを有する。X方向移動部311は、2つのX方向駆動部321を介してボンディング装置30のベース部材302に固定されている第2保持部駆動部である。2つのX方向駆動部321は、それぞれX方向に延在しY方向に離間して配置されている。X方向駆動部321は、リニアモータおよびスライドレールを有し、X方向移動部311を固定部材301に対してX方向に移動させる。
【0030】
Y方向移動部313は、X方向移動部311の下方(-Z方向)に、2つのY方向駆動部323を介して配置されている第2保持部駆動部である。2つのY方向駆動部323は、それぞれY方向に延在しX方向に離間して配置されている。Y方向駆動部323は、リニアモータおよびスライドレールを有し、Y方向移動部313をX方向移動部311に対してY方向に移動させる。基板載置部315は、Y方向移動部313に固定されている。基板載置部315は、X方向駆動部321およびY方向駆動部323の移動に応じて、X方向およびY方向に移動する。また、X方向移動部311の中央部には、平面視矩形状の開口部312が設けられ、Y方向移動部313の中央部にも、平面視矩形状の開口部314が設けられている。基板載置部315の中央部には、平面視円形の開口部316が設けられている。そして、これらの開口部312,314,316を通じて基板WT上のマークを撮像部41により認識する。
【0031】
撮像部41は、図1および図2に示すように、ステージ31の上方に配置されている。そして、撮像部41は、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、基板WTの鉛直上方(+Z方向)から、基板WTのアライメントマークMW2a、MW2bを撮像する、これにより、撮像部41は、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bの画像を含む画像データを取得する。制御部90は、撮像部41により取得された画像データに基づいて、基板WTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向におけるチップCPの実装位置のヘッド33Hに対する相対位置を認識する。撮像部41は、イメージセンサ418と、光学系419と、同軸照明系(図示せず)と、を有する。撮像部41は、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。
【0032】
紫外線照射源51は、ステージ31の鉛直上方、即ち、+Z方向側に配置され、基板WTの+Z方向側から基板WTに紫外線を照射する。紫外線照射源51としては、例えば紫外領域の波長帯域の光を照射する発光素子を有するもの、または、紫外領域の波長帯域のレーザ光を照射するレーザ源を有するものを採用することができる。基板WTの+Z方向側から基板WTに照射された紫外線は、基板WTを透過して樹脂部CPR1、WTR1に照射される。
【0033】
制御部90は、接合装置1全体を制御し、MPU(Micro Processing Unit)と主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスとを有する。主記憶部は、揮発性メモリから構成され、MPUの作業領域として使用される。補助記憶部は、不揮発性メモリから構成され、MPUが実行するプログラムを記憶する。また、補助記憶部は、後述するチップCPの基板WTに対する相対的な算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに対して予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを示す情報も記憶する。インタフェースは、撮像部35a、35b、41から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバスへ出力する。また、MPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、X方向駆動部321およびY方向駆動部323のそれぞれへ制御信号を出力する。制御部90は、図8Aに示すように、チップCPと基板WTとのアライメントマークMC1a,MW1aを含む撮影画像GAaと、チップCPと基板WTとのアライメントマークMC1b,MC2bを含む撮影画像GAbと、を取得する。そして、制御部90は、図8Bに示すように、撮像部35aから取得した撮影画像GAaに基づいて、チップCP、基板WTに設けられた1組のアライメントマークMC1a,MW1a相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。なお、図8Bは、1組のアライメントマークMC1a,MW1aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部90は、撮像部35bから取得した撮影画像GAbに基づいて、チップCP、基板WTに設けられた他の1組のアライメントマークMC1b,MW1b相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。そして、制御部90は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向におけるチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。また、制御部90は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減されるように、ヘッド33HをX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。これにより、チップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減される。
【0034】
次に、本実施の形態に係る接合装置1が実行するチップ接合処理について図9乃至図11Cを参照しながら説明する。このチップ接合処理は、制御部90によりチップ接合処理を実行するためのプログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、図9においては、チップCPおよび基板WTが、接合装置1内に搬送されているものとする。また、基板WTの第1金属部およびチップCPの第2金属部は、予め表面活性化処理されているものとする。
【0035】
まず、接合装置1は、チップCPと基板WTとが接触していない状態でチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS101)。ここで、接合装置1は、例えば図10Aに示すように、基板WTの第1金属部MWT1が設けられた面側とチップCPの第2金属部MCP1が設けられた面側とを対向させた状態で、撮像部35a、35bにより撮像してえられた撮像画像に基づいて、位置ずれ量を算出する。また、接合装置1は、チップCPと基板WTとを予め設定された同一の規定温度で維持しながら、撮像部35a、35bによりチップCPおよび基板WTを撮像する。規定温度は、例えば25℃の室温である。ここで、同一の規定温度とは、チップCPの温度と基板WTの温度との温度差の絶対値が50℃以下であることを意味する。
【0036】
次に、接合装置1は、図9に示すように、算出した位置ずれ量に基づいて、チップCPと基板WTとが接触していない状態でチップCPと基板WTとの相対的な位置を合わせる(ステップS102)。このステップ102の処理は、チップCPと基板WTとを予め設定された同一の規定温度で維持しながら、チップCPの基板WTに対する位置ずれ量が小さくなるようにチップCPの基板WTに対する相対位置を決定する位置決め工程に相当する。このとき、図10Aに示すように、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bの位置と基板WTにおけるチップCPを実装する位置のアライメントマークMW1a、MW1bの位置とが一致した状態となる。
【0037】
続いて、接合装置1は、図9に示すように、チップCPを保持したヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPを基板WTに接触させる(ステップS103)。このステップS103の処理は、基板WTにチップCPの金属部MCP1および樹脂部CPR1を接触させる接触工程に相当する。このとき、図10Bに示すように、基板WTの第1金属部MWT1とチップCPの第2金属部MCP1とが互いに接触した状態となる。ここで、ヘッド駆動部36によりヘッド33Hを鉛直上方へ押し上げる力は、ピエゾアクチュエータ333によりヘッド33Hの姿勢を維持する力に比べて十分強い。このため、チップCPを基板WTに接触する前の状態でチップCPが基板WTに対して角度φだけ傾いた姿勢でヘッド33Hに保持されていた場合でも、チップCPの第2金属部MCP1および樹脂部CPR1の全てを、それぞれに対応する基板WTの第1金属部MWT1および樹脂部WTR1に接触させることができる。
【0038】
その後、接合装置1は、図9に示すように、チップCPが基板WTに接触した状態でのチップCPの基板WTに対する相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS104)。このステップS104の処理は、チップCPの基板WTに対する位置ずれ量を測定する測定工程に相当する。ここで、接合装置1は、チップCPと基板WTとを予め設定された同一の規定温度で維持しながら、撮像部35a、35bによりチップCPおよび基板WTを撮像する。ここにおいて、接合装置1の制御部90は、まず、撮像部35a、35bから、非接触状態における2つのチップCP、基板WT(図8A参照)の撮影画像GAa,GAb(図8B参照)を取得する。そして、制御部90は、2つの撮影画像GAa,GAbに基づいて、チップCP、基板WTのX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する。具体的には、制御部90は、例えばZ方向に離間したアライメントマークMC1a、MW1aを同時に読み取った撮影画像GAaに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxa、Δya(図8B参照)を算出する。同様に、制御部90は、Z方向に離間したアライメントマークMC1b,MW1bを同時に読み取った撮影画像GAbに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。そして、制御部90は、位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、チップCPと基板WTの水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。ここで、図10Aに示すように、チップCPを基板WTに接触する前の状態でチップCPが基板WTに対して角度φだけ傾いた姿勢でヘッド33Hに保持されていたとする。この場合、図10Bに示すように、チップCPの位置が基板WTに対して位置ずれ量ΔDだけずれてしまう。なお、位置ずれ量ΔDは、位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかに相当する。
【0039】
次に、接合装置1は、図9に示すように、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthは、例えば0.2μm程度に設定される。接合装置1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのうちのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを超えていると判定すると(ステップS105:No)、チップCPを基板WTから離脱させる(ステップS106)。このとき、接合装置1は、例えば図10Cの矢印AR11に示すように、ヘッド33Hを鉛直下方へ移動させることにより、チップCPを基板WTから離脱させる。このとき、チップCPは、再び基板WTに対して角度φだけ傾いた姿勢でヘッド33Hに保持された状態となる。
【0040】
続いて、接合装置1は、図9に示すように、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに基づいて、チップCPの基板WTに対する位置ずれを解消するようにチップCPを基板WTに対して相対的に移動させる際の補正移動量、補正移動方向を算出する(ステップS107)。その後、接合装置1は、チップCPと基板WTとが非接触の状態で、チップCPを、算出した補正移動量だけ算出した補正移動方向へ移動させる(ステップS108)。ここで、接合装置1は、例えば図11Aに示すように、チップCPを基板WTに対して、位置ずれ量ΔDの位置ずれ方向とは反対方向へ位置ずれ量ΔDに相当する補正移動量だけ相対的に移動させる。また、ステップS108の処理は、チップCPの基板WTに対する位置ずれ量に基づいて、その位置ずれ量を減少させるようにチップCPを基板WTに対して相対的に補正移動させる補正移動工程に相当する。
【0041】
その後、接合装置1は、図9に示すように、再びチップCPを基板WTに接触させる(ステップS103)。ここで、接合装置1は、例えば図11Bの矢印AR13に示すように、ヘッド33Hをステージ31へ近づけることにより、チップCPの第2金属部MCP1を基板WTの第1金属部MWT1に接触させる。
【0042】
また、接合装置1が、図9のステップS105において、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS105:Yes)。この場合、接合装置1は、チップCPと基板WTとを予め設定された同一の規定温度で維持しながら、紫外線照射源51によりチップCPの樹脂部CPR1および基板WTの樹脂部WTR1に紫外線を照射する(ステップS109)。このステップS109の処理は、チップCP1を基板WTに固定する固定工程に相当する。ここで、接合装置1は、例えば図11Cに示すように、基板WTにおけるチップCP側とは反対側へ紫外線UVを照射する。そして、基板WTを透過した紫外線が、チップCPの樹脂部CPR1および基板WTの樹脂部WTR1に照射される。このとき、チップCPの樹脂部CPR1および基板WTの樹脂部WTR1が、照射される紫外線を吸収して硬化する。これにより、チップCPが基板WTに固定された状態となる。
【0043】
その後、接合装置1は、図9に示すように、チップCPおよび基板WTを加熱した状態で、基板WTの金属部MWT1とチップCPの接合部MCP1とが密着する方向へ加圧する(ステップS110)。これにより、チップCPの第2金属部MCP1が基板WTの第1金属部MWT1に接触した状態で、第2金属部MCP1の金属と第1金属部MWT1の金属とが互いに拡散されて接合される。ここで、チップCPと基板WTとを加熱する際に、チップCPを基板WTに押しつける方向へ加圧することを並行して行うことにより、チップCPと基板WTとが接触している部分とチップCPと基板WTとの間に生じたボイド部分との圧力差により金属粒子がボイド部分へ移動する。これにより、チップCPと基板WTとの間に生じたボイド部分が減少する。なお、第1金属部MWT1がパッドであり、第2金属部MCP1が、金属バンプである場合、第1金属部MWT1と第2金属部MCP1とが接触した状態で、第1金属部MWT1と第2金属部MCP1との少なくとも一方を加熱溶融するものであってもよい。その後、ヘッド33HをチップCPから離脱させる。このようにして、チップCPが基板WTに接合される。このステップS110の処理は、チップCPが基板WTに固定された状態で、チップCPと基板WTとを接合する接合工程に相当する。
【0044】
ここで、ステップS103乃至S108の一連の処理を繰り返し実行することによりチップCPの基板WTに対する位置ずれが低減されることを確認するための実験を行った結果について説明する。実験は、10個のチップCPを基板WTに接合することにより行った。この実験の結果を表1乃至表3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
表1は、10個のチップCPそれぞれについて前述のチップ接合処理を実行する際のステップS102の処理が完了した時点におけるチップCPの基板WTに対する位置ずれ量を示す。表2は、10個のチップCPそれぞれについて、チップCPを基板WTに圧力50Nで接触させた状態でのチップCPの基板WTに対する位置ずれ量を示す。表3は、前述のチップ接合処理において、位置ずれ量閾値を0.05μmに設定してステップS103乃至S108の一連の処理を実行した場合のチップCPの基板WTに対する位置ずれ量を示す。表1から、ステップS102の処理が完了した時点で、位置ずれ量が、±0.1μm程度であることが判る。また、表2から、ステップS103乃至S108の一連の処理を実行しない場合、位置ずれ量が±1.0μm程度に増加してしまうことが判る。一方、ステップS103乃至S108の一連の処理を実行することにより位置ずれ量が±0.05μm程度に低減されることが判る。このことから、ステップS103乃至S108の一連の処理が実行されることにより、位置ずれ量が大きく低減されることが判る。
【0049】
ところで、従来はチップCPと基板WTとの位置合わせを行う際、チップCPと基板WTとの間に、チップCP、基板WTそれぞれを撮像する別個のカメラを備えたいわゆる2視野カメラを挿入することにより位置ずれ量を測定していた。しかしながら、この場合、極力高い精度で位置合わせを行ったとしても、チップCPを基板WTに接合する際にチップCPと基板WTとを密着させる方向へ加圧することに起因した位置ずれ或いはチップCP、基板WTを加熱したときのチップCP、基板WTの熱膨張に起因した位置ずれが生じてしまい、結局、チップCPと基板WTとの間で2μm以上の位置ずれが発生していた。特にチップCP、基板WTの熱膨張が大きい場合は5μm以上の位置ずれが発生する場合もあった。
【0050】
これに対して、本実施の形態に係る接合方法では、基板WTがSi基板の場合は赤外光を利用した撮像部35a,35b、基板WTがサファイア基板または透明なガラス基板は可視光を利用した撮像部35a,35bにより、基板WTのアライメントマークMW1a、MW1bとチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bとを透過認識することによりチップCPと基板WTとを密着させる方向へ加圧することに起因した位置ずれを修正する。また、チップCP、基板WTの熱膨張に起因した位置ずれは、チップCPと基板WTとを加熱する前に樹脂部CPR1、WTR1を介して両者を固定することにより、上記のようにチップCPと基板WTとの接合後の位置ずれ量を±0.5μm以下若しくは±0.05μm以下までに高めることができている。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態に係る接合装置1によれば、チップCPの基板WTに対する相対位置を決定した後、基板WTにチップCPに接触させ、その後、チップCPと基板WTとが同一の規定温度で維持された状態で、基板WTにチップCPを固定する。これにより、その後、基板WTとチップCPとを加熱した際、チップCPが基板WTに事前に固定されていることにより、基板WTとチップCPの熱膨張に起因した位置ずれの発生を抑制できる。従って、基板WT、チップCP同士を高い位置精度で接合することができる。
【0052】
ところで、チップCPが基板WTに対して傾いている場合、チップCPと基板WTとが密着する方向へ加圧されると、接触時にチップCPと基板WTとのいずれか一方の接合部が他方の接合部に倣うことにより位置ずれが生じる。これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、チップCPの基板WTに対する位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、チップCPを基板WTに固定し、前述の位置ずれ量が位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、チップCPの基板WTに対する位置合わせを再度実行する。これにより、チップCPが基板WTに対して傾いていることに起因したチップCPの基板WTに対する位置ずれを修正することができる。従って、基板WT、チップCP同士を高い位置精度で接合することができる。つまり、本実施の形態に係る接合装置1は、チップCPと基板WTとを密着する方向へ加圧することに起因したチップCPの基板WTに対する位置ずれの修正と、樹脂部CPR1、WTR1を介してチップCPの基板WTへの固定と、を併用することにより、チップCP、基板WTの熱膨張に起因したチップCPの基板WTに対する位置ずれを抑制し、チップCPを基板WTに高い位置精度で接合することができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る接合方法では、チップCPの基板WTへの接触時の位置ずれを修正した後、紫外線を照射するだけなので、チップCP、基板WTの熱膨張に起因した位置ずれが発生しない。また、樹脂部CPR1、WTR1の収縮力によりチップCPと基板WTとの接合部同士がより密着するが、ステップS103乃至S108の一連の処理を行うことにより、チップCPが基板WTに対して傾いていることに起因した位置ずれが修正されている。従って、チップCPの基板WTに対する位置ずれを生じさせることなくチップCPを基板WTに固定できる。
【0054】
更に、本実施の形態に係る接合装置1では、基板WTをそのチップCPが実装される面WTfが鉛直下方を向く姿勢で保持し、チップCPを鉛直下方から基板WTに実装する方式を採用している。基板WTをそのチップCPが実装される面WTfが鉛直上方を向く姿勢で保持し、チップCPを鉛直上方から基板WTに実装する方式では、基板WT上にチップCPを複数実装する場合、パーティクルが基板WT上にまき散らされ、チップCPを基板WTに実装する際、チップCPと基板WTとの間にパーティクルが噛み込むことに起因してボイドが生じチップCPを基板WTに良好に接合することができない虞がある。これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、敢えて基板WTをそのチップCPが実装される面WTfが鉛直下方を向く姿勢で保持することによりパーティクルが基板WT上に付着することを抑制している。
【0055】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る接合装置は、減圧下のチャンバ内で、2つの被接合物同士を接触させた状態で2つの被接合物間に数百Vの直流電圧を印加しつつ加熱することにより、2つの被接合物同士を接合するいわゆる陽極接合装置である。ここで、2つの被接合物は、例えばいずれか一方がNaのようなアルカリイオンを含んだ珪酸ガラスから形成された基板であり、他方が金属または半導体から形成された基板である。
【0056】
本実施の形態に係る接合装置は、図12に示すように、チャンバ2200とステージ2401とヘッド2402とステージ駆動部2403とヘッド駆動部2404と温度調節部2421、2422と距離検出部2413と測定部2500とを備える。なお、以下の説明において、適宜図12の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。チャンバ2200は、排気管2202と排気弁2203とを介して真空ポンプ2201に接続されている。排気弁2203を開状態にして真空ポンプ2201を作動させると、チャンバ2200内の気体が、排気管2202を通してチャンバ2200外へ排出され、チャンバ2200内の気圧が低減(減圧)される。また、排気弁2203の開閉量を変動させて排気量を調節することにより、チャンバ2200内の気圧(真空度)を調節することができる。また、チャンバ2200の一部には、測定部2500により基板W1、W2間における相対位置を測定するために使用される窓部2503が設けられている。
【0057】
ステージ2401とヘッド2402とは、チャンバ2200内において、Z軸方向において互いに対向するように配置されている。ステージ2401は、その+Z方向側で基板W1を支持し、ヘッド2402は、-Z方向側で基板W2を支持する。ステージ2401およびヘッド2402は、それぞれ、基板W1、W2を保持するための真空チャック(図示せず)を有する。ここで、ステージ2401に保持される基板W1は、Naのようなアルカリイオンを含んだ珪酸ガラスから形成された基板である。ヘッド2402に保持される基板W1は、Si基板のような半導体基板または金属板である。
【0058】
温度調節部2421、2422は、例えば電熱ヒータから構成される。温度調節部2421、2422は、ステージ2401、2402に支持されている基板W1、W2に熱を伝達することにより基板W1、W2を昇温させる。また、温度調節部2321、2422は、その電熱ヒータの発熱量を調節することにより、基板W1、W2の温度を調節する。
【0059】
ステージ駆動部2403は、ステージ2401をXY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりすることができる。ヘッド駆動部2404は、ヘッド2402を+Z方向または-Z方向に昇降させる昇降駆動部2406と、ヘッド2402をXY方向へ移動させるXY方向駆動部2405と、ヘッド2402を図12の矢印AR22に示すようにZ軸周りの回転方向に回転させる回転駆動部2407と、を有する。また、ヘッド駆動部2404は、ヘッド2402のステージ2401に対する傾きを調整するためのピエゾアクチュエータ2411と、ヘッド2402に加わる圧力を測定するための圧力センサ2412と、を有する。XY方向駆動部2405および回転駆動部2407が、X方向、Y方向、Z軸周りの回転方向において、ヘッド2402をステージ2401に対して相対的に移動させることにより、ステージ2401に保持された基板W1に対してヘッド2402に保持された基板W2を相対的に移動させることができる。
【0060】
昇降駆動部2406は、ヘッド2402を-Z方向へ移動させることにより、ステージ2401とヘッド2402とを互いに近づける。また、昇降駆動部2406は、ヘッド2402を+Z方向へ移動させることにより、ステージ2401とヘッド2402とを離間させる。昇降駆動部2406がヘッド2402を+Z方向へ移動させることにより、ステージ2401に保持された基板W1とヘッド2402に保持された基板W2とが接触する。そして、基板W1、W2同士が接触した状態において昇降駆動部2406がヘッド2402に対してステージ2401に近づく方向への駆動力を作用させると、基板W2が基板W1に押し付けられる。また、昇降駆動部2406には、昇降駆動部2406がヘッド2402に対してステージ2401に近づく方向へ作用させる駆動力を測定する圧力センサ2408が設けられている。圧力センサ2408の測定値から、昇降駆動部2406により基板W2が基板W1に押し付けられたときに基板W1、W2の接合部に作用する圧力が検出できる。圧力センサ2408は、例えばロードセルから構成される。
【0061】
ピエゾアクチュエータ2411、圧力センサ2412は、それぞれ図13Aに示すように、3つずつ存在する。3つのピエゾアクチュエータ2411と3つの圧力センサ2412とは、ヘッド2402とXY方向駆動部2405との間に配置されている。3つのピエゾアクチュエータ2411は、ヘッド2402の+Z方向側の面における同一直線上ではない3つの位置、平面視略円形のヘッド2402の+Z方向側の面の周部においてヘッド2402の周方向に沿って略等間隔に並んだ3つの位置に固定されている。3つの圧力センサ2412は、それぞれピエゾアクチュエータ2411の上端部とXY方向駆動部2405の+Z方向側の面との間に介在している。3つのピエゾアクチュエータ2411は、各別にZ軸方向に伸縮可能である。そして、3つのピエゾアクチュエータ2411が伸縮することにより、ヘッド2402のX軸周りおよびY軸周りの傾きとヘッド2402の上下方向の位置とが微調整される。また、3つの圧力センサ2412は、ヘッド2402の+Z方向側の面における3つの位置での加圧力を測定する。そして、3つの圧力センサ2412で測定された加圧力が等しくなるように3つのピエゾアクチュエータ2411それぞれを駆動することにより、ヘッド2402の+Z方向側の面とステージ2401の+Z方向側の面とを略平行に維持しつつ基板W1、W2同士を接触させることができる。
【0062】
距離検出部2413は、レーザ距離計等から構成され、ステージ2401およびヘッド2402に接触せずにステージ2401とヘッド2402との間の距離を測定する。例えばヘッド2402が透明である場合、距離検出部2413は、ヘッド2402の上方からステージ2401に向かってレーザ光を照射したときのステージ2401の+Z方向側の面での反射光とヘッド2402の-Z方向側の面での反射光との差分からステージ2401とヘッド2402との間の距離を測定する。距離検出部2413は、ステージ2401の+Z方向側の面における3箇所の部位P11、P12、P13と、ヘッド402の-Z方向側の面における、Z軸方向において部位P11、P12、P13に対向する3箇所の部位P21、P22、P23との間の距離を測定する。
【0063】
直流電源2301は、図13Bに示すように、基板W1、W2同士が接触した状態で、基板W1、W2間に直流電圧を印加することにより基板W1を基板W2に固定または陽極接合するためのものである。直流電源2301は、ステージ2401が陰極、ヘッド2402が陽極となるように直流電圧を印加する。直流電源2301は、例えばステージ2401とヘッド2402との間に300V以上900V以下の範囲の電圧を印加する。
【0064】
図12に戻って、測定部2500は、上下方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)における、基板W1と基板W2との位置ずれ量を測定する。測定部2500は、複数(図12では2つ)の撮像部2501、2502と、ミラー2504、2505と、を有する。撮像部2501、2502は、それぞれ、撮像素子(図示せず)と同軸照明系とを有している。撮像部2501、2502の同軸照明系の光源としては、基板W1、W2およびステージ2401、チャンバ2200に設けられた窓部2503を透過する光(例えば赤外光)を出射する光源が用いられる。
【0065】
例えば図14Aおよび図14Bに示すように、基板W1には、2つのアライメントマークMK1a、MK1bが設けられ、基板W2には、2つのアライメントマークMK2a、MK2bが設けられている。接合装置2は、位置測定部2500により両基板W1、W2に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの位置を認識しながら、両基板W1、W2の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。ここにおいて、図12に示すように、撮像部2501の同軸照明系の光源(図示せず)から出射された光は、ミラー2504で反射されて上方に進行し、窓部2503および基板W1、W2を透過する。基板W1、W2を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、-Z方向へ進行し、窓部2503を透過してミラー2504で反射されて撮像部2501の撮像素子に入射する。また、撮像部2502の同軸照明系の光源(図示せず)から出射された光は、ミラー2505で反射されて+Z方向へ進行し、窓部2503および基板W1、W2を透過する。基板W1、W2を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、-Z方向へ進行し、窓部2503を透過してミラー2505で反射されて撮像部2502の撮像素子に入射する。このようにして、測定部2500は、図15Aに示すように、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aを含む撮影画像GAaと、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1b,MK2bを含む撮影画像GAbと、を取得する。
【0066】
制御部2090は、実施の形態1の制御部90と同様に、MPUと主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスとを有する。補助記憶部は、MPUが実行するプログラム等を記憶する。また、補助記憶部は、後述する基板W1、W2の相対的な算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに対して予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthも記憶する。インタフェースは、圧力センサ2408、2412および距離検出部2413から入力される測定信号を測定情報に変換してバスへ出力する。また、インタフェースは、撮像部2501、2502から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバスへ出力する。MPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、真空チャック、ピエゾアクチュエータ2411、温度調節部2421、2422、ステージ駆動部2403、ヘッド駆動部2404および直流電源2301それぞれへ制御信号を出力する。
【0067】
制御部2090は、図15Bに示すように、撮像部501から取得した撮影画像GAaに基づいて、基板W1、W2に設けられた1組のアライメントマークMK1a,MK2a相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。なお、図15Bは、1組のアライメントマークMK1a,MK2aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部2090は、撮像部2502から取得した撮影画像GAbに基づいて、基板W1、W2に設けられた他の1組のアライメントマークMK1b,MK2b相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。その後、制御部2090は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向における2つの基板W1、W2の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。そして、制御部2090は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減されるように、ヘッド2402をX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。
【0068】
次に、本実施の形態に係る接合装置2が実行する基板接合処理について図16を参照しながら説明する。この基板接合処理は、制御部2090により基板接合処理を実行するためのプログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、図16においては、基板W1、W2が、接合装置2内に搬送されているものとする。
【0069】
まず、接合装置2は、基板W1、W2同士が接触していない状態で基板W1、W2の相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS201)。ここで、接合装置1は、基板W1、W2を対向させた状態で、撮像部2501、2502により撮像してえられた撮像画像に基づいて、位置ずれ量を算出する。また、接合装置2は、基板W1、W2を予め設定された同一の規定温度で維持しながら、撮像部2501、2502により基板W1、W2を撮像する。ここで、規定温度は、基板W1、W2同士を陽極接合するために必要な温度に設定されており、200℃以上400℃以下の範囲に設定される。
【0070】
次に、接合装置2は、算出した位置ずれ量に基づいて、基板W1、W2が接触していない状態で基板W1、W2の相対的な位置を合わせる(ステップS202)。続いて、接合装置2は、基板W2を保持したヘッド2402を鉛直下方へ移動させることにより、基板W2を基板W1に接触させる(ステップS203)。ここで、昇降駆動部2406によりヘッド2402を鉛直下方へ押圧する力は、ピエゾアクチュエータ2411によりヘッド2402の姿勢を維持する力に比べて十分強い。このため、基板W2を基板W1に接触させる前の状態で基板W2が基板W1に対して傾いた姿勢でヘッド2402に保持されていた場合でも、基板W2の接合部を基板W1の接合部に面接触させることができる。
【0071】
その後、接合装置2は、基板W1、W2同士が接触した状態での基板W1、W2の相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS204)。ここで、接合装置2は、基板W1、W2を予め設定された同一の規定温度で維持しながら、撮像部2501、2502により基板W1、W2を撮像する。ここにおいて、接合装置1の制御部2090は、まず、撮像部35a、35bから、図15Aに示すような非接触状態における2つの基板W1、W2の撮影画像GAa,GAbを取得する。また、制御部2090は、2つの撮影画像GAa,GAbに基づいて、基板W1、W2のX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する。そして、制御部90は、位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、チップCPと基板WTの水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。
【0072】
次に、接合装置2は、図16に示すように、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthは、例えば0.2μm程度に設定される。接合装置2は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのうちのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを超えていると判定すると(ステップS205:No)、基板W2を基板W1から離脱させる(ステップS206)。
【0073】
続いて、接合装置2は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに基づいて、基板W2の基板W1に対する位置ずれを解消するように基板W2を基板W1に対して相対的に移動させる際の補正移動量、補正移動方向を算出する(ステップS207)。その後、接合装置1は、基板W1、W2が非接触の状態で、基板W2を保持するヘッド2402を、算出した補正移動量だけ算出した補正移動方向へ移動させる(ステップS208)。その後、接合装置2は、再び基板W2を基板W1に接触させる(ステップS203)。
【0074】
また、接合装置2が、ステップS205において、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS205:Yes)。この場合、接合装置2は、基板W1、W2を予め設定された同一の規定温度で維持しながら、直流電源2301により基板W1を保持するステージ2401と基板W2を保持するヘッド2402との間に数百Vの直流電圧を印加する(ステップS209)。これにより、基板W1における基板W2との接触界面近傍におけるアルカリイオンが欠乏したアルカリイオンイオン欠乏層が成長する。そして、アルカリイオン欠乏層に生じる強い負電荷と基板W2の接触界面近傍に生じた正電荷との間に生じる強いクーロン力により基板W1、W2同士が接合される。
【0075】
例えば基板W1,W2それぞれに貫通孔が設けられている場合、貫通孔同士の位置合わせを高精度に行う必要がある。また、基板W1、W2として、たとえばそれらの表面に金属部分が露出した領域とそれ以外の領域とを有し、金属部分の間隔が3μm程度、金属部分の大きさがφ1μm程度の基板を採用した場合、金属部分同士を、サブミクロンレベルの高い精度で位置合わせする必要がある。これに対して、本実施の形態に係る接合装置3によれば、前述の基板接合処理を実行することにより、サブミクロンレベルの高い精度の基板W1、W2同士の位置合わせを行うことができる。
【0076】
ところで、基板W2が基板W1に対して傾いている場合、基板W1、W2が密着する方向へ加圧されると、基板W1、W2の接触時に基板W1、W2のいずれか一方の接合部が他方の接合部に倣うことにより位置ずれが生じる。これに対して、本実施の形態に係る接合装置2では、基板W2の基板W1に対する位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、基板W2を基板W1に陽極接合し、前述の位置ずれ量が位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、基板W2の基板W1に対する位置合わせを再度実行する。これにより、基板W2が基板W1に対して傾いていることに起因した基板W2の基板W1に対する位置ずれを修正することができる。従って、基板W1,W2同士を高い位置精度で接合することができる。つまり、本実施の形態に係る接合装置2は、基板W1、W2同士を密着する方向へ加圧することに起因した基板W2の基板W1に対する位置ずれの修正と、基板W1、W2の温度を同一の規定温度で維持することを併用することにより、基板W1、W2の熱膨張に起因した基板W2の基板W1に対する位置ずれを抑制し、基板W1、W2同士を高い位置精度で接合することができる。つまり、本実施の形態に係る接合方法では、基板W1、W2を同一の陽極接合に必要な規定温度に加熱した状態で、ステップS203乃至S208の一連の処理を行うことにより基板W2が基板W1に対して傾いていることに起因した位置ずれを修正してから、基板W1、W2間に直流電圧を印加することにより基板W1、W2を陽極接合する。これにより、その後、基板W1、W2を加熱しても基板W1、W2の位置ずれが生じないという利点がある。
【0077】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る基板接合装置は、減圧下のチャンバ内で、2つの基板の接合部について親水化処理を行った後、基板同士を接触させて加圧および加熱することにより、2つの基板を接合する装置である。親水化処理では、活性化処理により活性化した基板の接合部近傍に水等を供給することにより基板の接合部を親水化する。本実施の形態では、例えば接合部にCuから形成された金属部とSiOから形成された絶縁膜とを含む基板同士を接合する。ここで、各基板の金属部の接合面と絶縁膜の接合面とは、CMPにより研磨されており、Raで0.5nm程度の平坦性を有する。ここで、2つの基板それぞれの接合面同士が接触して接合されるため、2つの基板の間には、パーティクルなどが挟まらないようにする必要がある。なお、この親水化処理では、プラズマ処理により2つの基板ぞれぞれの接合面を活性化する。プラズマ処理では、例えばCuから形成された金属部の表面とSiOから形成された絶縁膜の表面とを50W乃至500Wの窒素プラズマに曝す処理を行った後、大気中で水洗浄することにより、2つの基板それぞれの接合面に付着したパーティクルを除去すると同時に親水化処理を施す。親水化処理が施された2つの基板それぞれの表面は、OH基で終端された状態であり、2つの基板の接合面同士を接触させると、2つの基板が水分子を介在して張り合わされた状態となる。この状態で、2つの基板を加熱することにより、2つの基板の接触界面において脱水が生じ、2つの基板同士の結合が水素結合からより堅固な共有結合へと変化する。この接合方法は、一般的にはハイブリッド・ボンディングと呼ばれる。
【0078】
図17に示すように、本実施の形態に係る接合装置3は、チャンバ2200とステージ2401とヘッド2402とステージ駆動部2403とヘッド駆動部2404と温度調節部2421、2422と距離検出部2413と測定部2500とを備える。なお、図17において、実施の形態2と同様の構成については図12と同一の符号を付している。本実施の形態に係る接合装置3は、実施の形態2に係る接合装置2において直流電源2301を省略した構成となっている。また、基板W1、W2は、それぞれ互いに接合される接合部を有する。基板W1、W2としては、たとえばそれらの表面に金属部分が露出した領域とそれ以外の領域とを有する基板が採用される。基板W1、W2の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨されており、表面粗さが、Raで1nm以下に設定されている。また、金属部分は、例えばCu、Au等から形成されている。更に、金属部分が露出した領域以外の領域は、例えば酸化膜のような絶縁体から形成された層が露出している。
【0079】
次に、本実施の形態に係る接合装置3が実行する基板接合処理について図18を参照しながら説明する。この基板接合処理は、制御部3090により基板接合処理を実行するためのプログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、図18においては、基板W1、W2が、接合装置3内に搬送されているものとする。また、基板W1、W2は、それぞれの接合部に親水化処理を施す親水化処理工程が予め行われているものとする。更に、図18において実施の形態2と同様の処理については図16と同一の符号を付している。
【0080】
まず、接合装置3は、ステップS201乃至S204までの一連の処理を実行する。次に、接合装置3は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthは、例えば0.2μm程度に設定される。接合装置2は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのうちのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを超えていると判定すると(ステップS205:No)、ステップS206以降の一連の処理を実行する。
【0081】
一方、接合装置3は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS205:Yes)。この場合、接合装置3は、基板W1、W2を予め設定された同一の規定温度で維持しながら、ヘッド2402に対してステージ2401側へ移動する方向への駆動力を加えることにより基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧する(ステップS301)。ここで、規定温度は、常温(例えば25℃)、即ち、ヘッド2402、ステージ2401に対する加熱を行わない状態での温度、または、ヘッド2402、ステージ2401を同一の温度に加熱した状態での温度である。これにより、基板W2が基板W1に仮接合された状態となる。このステップS301の処理は、基板W1、W2の接合部同士が接触した状態で、基板W1、W2の接合部同士が密着する方向へ加圧することにより、基板W1、W2同士を仮接合する仮接合工程に相当する。その後、基板W1、W2を加熱することにより、基板W1、W2間の水素結合が共有結合に変化して基板W1、W2同士が接合する。ここで、基準圧力未満の圧力で加圧した場合は、基板W2を基板W2から離脱させることができる。また、基板W1、W2の中央部が周部に対して互いに近づく方向へ撓ました状態で前述の基準圧力未満の圧力で加圧した場合も基板W2を基板W1から離脱させることができる。なお、ステップS301において、基板W2の基板W1に対する傾きによる位置ずれは修正された状態であるため、基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧しても位置ずれは生じない。
【0082】
ところで、基板W1、W2として、例えば金属部分の大きさがφ3μm程度の基板、或いは、金属部分の間隔が3μm程度、金属部分の大きさがφ1μmの基板を採用した場合、金属部分同士を、サブミクロンレベルの高い精度で位置合わせする必要がある。これに対して、本実施の形態に係る接合装置3によれば、前述の基板接合処理を実行することにより、サブミクロンレベルの高い精度の基板W1、W2同士の位置合わせを行うことができる。
【0083】
また、基板W2が基板W1に対して傾いている場合、基板W1、W2が密着する方向へ加圧されると、基板W1、W2の接触時に基板W1、W2のいずれか一方の接合部が他方の接合部に倣うことにより位置ずれが生じる。これに対して、本変形例に係る接合装置では、基板W2の基板W1に対する位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下の場合、基板W2を基板W1に固定し、前述の位置ずれ量が位置ずれ量閾値よりも大きい場合、再度、基板W2の基板W1に対する位置合わせを再度実行する。これにより、基板W2が基板W1に対して傾いていることに起因した基板W2の基板W1に対する位置ずれを修正することができる。従って、基板W1,W2同士を高い位置精度で接合することができる。つまり、本変形例に係る接合装置は、基板W1、W2同士を密着する方向へ加圧することに起因した基板W2の基板W1に対する位置ずれの修正と、基板W1、W2の温度を同一の規定温度で維持することを併用することにより、基板W1、W2の熱膨張に起因した基板W2の基板W1に対する位置ずれを抑制し、基板W1、W2同士を高い位置精度で接合することができる。つまり、本実施の形態に係る接合方法では、基板W1、W2を常温、即ち、同一の室温程度の規定温度に維持しながらステップS203乃至S208の一連の処理を行うことにより、基板W2が基板W1に対して傾いていることに起因した位置ずれを修正する。従って、ステップS301において、基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧しても基板W1、W2の位置ずれは生じない。また、本実施の形態に係る接合方法では、ステップS301の処理前において、既に基板W1、W2同士が、OH基による水素結合により仮接合されているため、その後、基板W1、W2を加熱しても位置ずれが生じない。即ち、ステップS203乃至S208の一連の処理において、基板W1、W2を加熱することなく位置ずれを修正してから、ステップS301において、基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧して基板W2を基板W1に固定する。そして、基板W1、W2を固定してから基板W1、W2を加熱するので、基板W1、W2の加熱時に基板W1、W2の位置ずれが生じない。
【0084】
(実施の形態4)
本実施の形態に係る接合装置は、シート上に保持されたチップから1つのチップを接合装置へ供給するチップ供給ユニットを備える点が実施の形態1に係る接合装置と相違する。図19に示すように、本実施の形態に係る接合装置4は、チップ供給ユニット4010と接合ユニット4030と制御部4090とを備える。なお、以下の説明において、適宜図19の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。チップ供給ユニット4010は、シート保持枠112に保持されたシートTEに貼着された複数のチップCPの中から1つのチップCPを取得して接合ユニット4030へ供給する被接合物供給部である。ここで、シートTEとしては、例えば複数のチップCPを粘着性の有る一面側で保持する粘着シートを採用することができる。チップ供給ユニット4010は、チップ供給部4011と、チップ供給部4011から供給されるチップCPを接合ユニット4030のヘッド33Hまで搬送するチップ搬送部4051と、を有する。なお、シートTEの代わりに、トレイを設けて、トレイ上に複数のチップを載置するようにしてもよい。
【0085】
チップ供給部4011は、シート保持枠4112を保持する枠保持部4119と、複数のチップCPの中から1つのチップCPをピックアップするピックアップ機構4111と、を有する。なお、複数のチップCP(ダイシングされたウエハ)上にパーティクルが落下するのを防ぐために、ピックアップ機構411によりチップCPを取り出す取り出し部分に孔が穿孔されたカバーを設けても良い。また、チップ供給部4011は、シート保持枠4112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動する保持枠駆動部4113を有する。枠保持部4119は、シートTEにおける複数のチップCPが貼着された面が鉛直上方(+Z方向)側となる姿勢でシート保持枠4112を保持する。ピックアップ機構4111は、複数のチップCPのうちの1つのチップCPを、シートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から切り出す(突き出す)ことにより1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。ここで、ピックアップ機構4111は、ニードル4111aを有し、矢印AR45に示すように鉛直方向へ移動可能となっている。そして、ピックアップ機構4111は、チップCPの面CPf側とは反対側における周部を吸着して保持し、ニードル4111aの突き上げにより粘着シートから剥がして、チップCPを切り出す。ピックアップ機構4111は、シートTEにおける鉛直下方(-Z方向)からニードル4111aをシートTEに突き当ててチップCPを鉛直上方(+Z方向)へ持ち上げることによりチップCPを供給する。そして、シートTEに貼着された各チップCPは、ニードル4111aにより持ち上げられたものをチップ搬送部4051がチップCPの樹脂部CPR1に当接させた状態で吸着保持し、+Z方向へ上昇することで1個ずつ上方へ切り出される。保持枠駆動部4113は、シート保持枠4112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動することにより、ニードル4111aの鉛直下方に位置するチップCPの位置を変化させる。また、チップ位置を上部からカメラで画像処理して位置決めすると、より好適である。また、チップ移載部4051は直線的にヘッドへ移載する例を示したがこれに限らず、回転機構としてヘッドへ供給してもよく、その方式に限定されない。
【0086】
チップ搬送部4051は、チップ供給部4011から供給されるチップCPを、接合ユニット4030のヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する被接合物搬送部である。チップ搬送部4051は、本体部4511と、チップ保持部4512と、を有する。本体部4511は、矢印AR44に示すように、チップ保持部4512を、予め設定された待機位置と移載位置Pos1との間でZ軸方向を含め移動させる。チップ保持部4512は、図20に示すように、吸着部4512bと吸着部4512bの周囲に突設された突出部4512cとを有する。チップ保持部4512は、チップCPにおける基板WTに接合される面CPf側を鉛直上方(+Z方向)に向けた状態でチップCPの上面側を保持する。ここで、チップCPが、例えば実施の形態1の図3Bで説明した構造を有するものであるとする。この場合、チップ保持部4512の突出部4512cの先端部が、チップCPの樹脂部CPR1のみに当接する。ここで、突出部4512cの突出量HTは、樹脂部CPR1の内側の金属部MCP1がチップ保持部4512に接触しない大きさに設定される。そして、チップ保持部4512は、突出部4512cの先端部を樹脂部CPR1に当接させた状態で、吸着部4512bによりチップCPを吸着することにより、チップCPを保持する。つまり、チップCPの接合部は、金属部MCP1と絶縁膜ICP1とを含み、チップ保持部4512は、金属部MCP1および絶縁膜ICP1と非接触の状態で、チップCPを搬送する。金属部MCP1および絶縁膜ICP1は、それぞれ、基板WTに接合される側に基板WTに接合される接合面を有し、樹脂部CPR1は、基板WTに接合される側に基板WTに接触する接触面を有する。そして、金属部MCP1および絶縁膜ICP1それぞれの接合面と樹脂部CPR1の接触面とは、同一面上に位置している。
【0087】
接合ユニット4030は、実施の形態1で説明した接合装置30と同様の構成を有する。接合ユニット4030では、チップ搬送部4051により移載位置Pos1まで搬送されると、チップCPが、チップ搬送部4051からヘッド33Hへ移載される。制御部4090は、CPUと主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスとを有し、接合ユニット4030のヘッド駆動部36およびステージ駆動部32と、チップ供給装置4010のチップ供給部4011およびチップ搬送部4051を制御する。制御部4090のMPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、ヘッド駆動部36、ステージ駆動部32、チップ供給部4011、チップ搬送部4051それぞれへ制御信号を出力する。
【0088】
本実施の形態に係る接合装置では、まず、ピックアップ機構4111が鉛直上方へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から突き出し、1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。次に、チップ搬送部4051が、ピックアップ機構4111により鉛直方向へ突き出されたチップCPを受け取り、その後、ピックアップ機構4111が鉛直下方に向かって待機位置まで移動する。この時、ニードルの突き上げ途中でチップ移載部が吸着保持をはじめ、突き上げと同期して上昇し、ニードルが停止してからも更に上昇することで切り離した方が安定してなお良い。このとき、チップ保持部4512は、その突出部4512cの先端部が樹脂部CPR1のみに当接させた状態でチップCPを保持している。次に、チップ搬送部4051が、チップ保持部4512を接合ユニット4030の移載位置Pos1まで移動させる。そして、チップ保持部4512が移載位置Pos1に移動した後、ヘッド駆動部36が、ボンディング部33を鉛直上方へ移動させてヘッド33Hをチップ保持部4512へ近づけて、チップ保持部4512に保持されたチップCPを受け取る。続いて、チップ搬送部4051は、チップ保持部4512をチップ供給ユニット4011側へ退避させる。その後、接合ユニット4030において、実施の形態1の図9乃至図11Cを用いて説明したチップ接合処理と同様の処理が実行される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態に係る接合装置4は、チップ搬送部4051を備えており、チップ搬送部4051が、チップ保持部4512の突出部4512cの先端部を樹脂部CPR1のみに当接させた状態でチップCPを保持する。これにより、チップCPの金属部MCP1を触らずにチップCPを搬送することができるので、チップCPの金属部MCP1への異物の付着およびチップCPの金属部MCP1の損傷やパーティクルの付着が抑制される。
【0090】
ところで、チップCPは、金属部MCP1および絶縁膜ICP1の接合面と樹脂部CPR1の接触面とが略面一となるように研磨されているのが一般的であり、金属部MCP1または絶縁膜ICP1の接合面にパーティクルが存在するとチップCPと基板WTとの間で接合不良を起こしてしまう虞がある。これに対して、本実施の形態に係る接合装置4では、チップ保持部4512が金属部MCP1および絶縁膜ICP1の周辺の樹脂部CPR1のみに当接した状態で保持しているので、金属部MCP1および絶縁膜ICP1の接合面へのパーティクルの付着を抑制できる。また、チップ保持部4512が当接している樹脂部CPR1には、パーティクルが付着する場合があるが、チップCPを基板WTに接合する際、付着したパーティクルが樹脂部CPR1中に埋没するため、チップCPの基板WTへの接合に影響を及ぼさない。
【0091】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、金属部を有する2つの基板W1、W2同士を接触させて加圧することにより、一方の基板W1を他方の基板W2に固定した後、2つの基板W1、W2を加熱することにより、2つの基板W1、W2を接合するものであってもよい。ここで、2つの基板W1、W2は、例えば互いに接合される接合部に金属部と酸化膜とが露出したものであってもよい。或いは、基板W1、W2のいずれか一方の金属部がパッドであり、他方の金属部が金属バンプであってもよい。金属バンプ同士の接合では、例えばAuから形成された金属バンプを用いることで、表面活性化後も大気中で酸化することなく、加熱した状態で扱うことができる。ここで、Auバンプを含む基板W1、W2同士の接合面それぞれをArプラズマ処理することにより、Auバンプ表面の不純物を除去することができるとともに表面も活性化される。その後、大気に出してもAuバンプの表面は酸化されない。また、Auバンプの表面には、多少の不純物が吸着されるが、基板W1、W2同士を接触させて加圧する際にその表面に新生面が出て接合し易い状態になっている。また、Auバンプの表面は、酸化しないので基板W1、W2を加熱した状態で保持しても接合に悪い影響は出ない。Auバンプのような金属バンプの表面は、Ra=4nm乃至200nm程度の凹凸があり、基板W1、W2を接触させた状態で加圧することにより接触面積が増大して接合する。この場合、常温でも接合することが可能であるが、基板W1、W2の温度を150℃乃至200℃程度に加熱するほうが固相拡散が生じて接合し易い。そのため、基板W1、W2の両方を150℃で同じ温度に加熱した状態で、本接合に及ばない程度の低荷重(例えば10N程度)で接触させても再び基板W2を基板W1から離脱させることができる。従って、基板W1、W2を接触させた状態で両者の位置ずれ量を測定し、その後、位置ずれ量が閾値を超えている場合、基板W1、W2同士の加圧を開放してから基板W1、W2のいずれか一方をアライメント位置まで隙間まで戻して相対的な位置を補正修正し、その後、再度基板W1、W2同士を接触させることができる。そして、位置ずれ量が、前述の閾値以内であれば、温度をそのまま維持しながら加圧力を増大させる。ここで、加圧力を例えば50Nまで増加させる。これにより、金属バンプ同士の接合面積が増大し、基板W1、W2同士を固定することができる。また、Auバンプの接合面積を増大させる基準としては、基板W1、W2同士を150MPa程度で加圧することである。これにより、Auバンプの表面の凹凸が押しつぶされて、表面に新生面が出て強固に接合される。また、基板W1、W2同士を固定した後に、バッチ炉等で例えば基板W1、W2を200℃で1時間程度加熱することにより基板W1、W2の接合界面で固相拡散が促進し、接合強度を高めることができる。なお、本変形例に係る接合装置は、実施の形態3で説明した接合装置3と同様の構成を有する。
【0092】
ここで、本変形例に係る接合装置が実行する基板接合処理について図21を参照しながら説明する。なお、図21においては、基板W1、W2が、接合装置内に搬送されているものとする。また、基板W1、W2それぞれの金属部は、予めプラズマ処理のような表面活性化処理が施されているものとする。更に、図21において実施の形態2、3と同様の処理については図16、18と同一の符号を付している。
【0093】
まず、接合装置は、ステップS201乃至S204までの一連の処理を実行する。次に、接合装置は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS205)。接合装置は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのうちのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを超えていると判定すると(ステップS205:No)、ステップS206以降の一連の処理を実行する。
【0094】
一方、接合装置は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS205:Yes)。この場合、接合装置3は、基板W1、W2を予め設定された同一の規定温度で維持しながら、ヘッド2402に対してステージ2401側へ移動する方向への駆動力を加えることにより基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧する(ステップS401)。ところで、基板W1、W2の接合界面は、マイクロメートルレベル若しくはナノメートルレベルの凹凸が存在し、加圧する際の圧力の大きさに応じて基板W1、W2間の接触面積が変化する。そして、基準圧力未満の圧力で加圧した場合、基板W1、W2間の接触面積が小さいため、基板W2を基板W2から離脱させることができる。例えば、金属部がAuから形成されている場合、前述のように表面活性化処理が施された状態では、比較的低温で接合し易い状態となっている。そして、基板W1、W2の接合界面には、前述のようにマイクロメートルレベル若しくはナノメートルレベルの凹凸があるため、基準圧力未満の比較的低い圧力で基板W1、W2同士を接触させただけでは基板W1、W2同士の接触面積が小さい。また、例えば大気中で基板W1、W2同士を接触させた場合、基板W1、W2それぞれの接合面に付着した不純物もあるため、基板W2を基板W1から離脱させることができる。一方、基準圧力以上の圧力で加圧した場合、基板W1、W2の接合面に存在する凹凸が潰され且つ不純物も押し破られて、基板W1、W2間の接触面積が大きくなり、基板W2が基板W1に固定された状態となる。また、ステップS401において、基板W2の基板W1に対する傾きによる位置ずれは修正された状態であるため、基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧しても位置ずれは生じない。
【0095】
その後、接合装置は、基板W1、W2を加熱する(ステップS402)。これにより、基板W1、W2が接合する。なお、ステップS402において、接合装置が、基板W2を基板W1に押し付ける方向へ加圧した状態で、基板W1、W2を加熱してもよい。ここで、表面活性化処理が施された基板W1、W2の接合面は、酸化膜、不純物等が除去され且つ結晶構造が崩されてアモルファス化しており、金属粒子が固相でも拡散し易くなっている。このため、基板W1、W2の間で金属部を構成する金属粒子の固相での拡散が生じて基板W1、W2同士の結合強度が上昇していく。基板W1、W2が接触している部分と基板W1、W2との間に生じたボイド部分との圧力差により金属粒子がボイド部分へ移動する。これにより、基板W1、W2との間に生じたボイド部分が減少し、基板W1、W2同士の接合面積が増大し、基板W1、W2がより堅固に接合される。
【0096】
ここで、基板W1、W2として、例えば金属部分の大きさがφ3μm程度の基板、或いは、金属部分の大きさがφ1μmの基板を採用した場合、金属部分同士を、サブミクロンレベルの高い精度で位置合わせする必要がある。これに対して、本変形例に係る接合装置によれば、前述の基板接合処理を実行することにより、サブミクロンレベルの高い位置精度で位置合わせを行うことができる。
【0097】
なお、基板W1、W2それぞれの金属部を溶融させて金属粒子を拡散させて基板W1、W2同士を接合する場合、基板W1、W2同士の位置ずれ、或いは、基板W1、W2の剥がれが生じやすくなる。これに対して、本変形例では、金属粒子を固相で拡散させるので、基板W1、W2同士の相対的な位置精度を高く維持しつつ、基板W1、W2の接合強度の向上させることができ、更に、基板W1、W2間に生じるボイドを低減することができる。
【0098】
また、本変形例に係る接合方法では、基板W1、W2を同一の規定温度に維持した状態で、ステップS203乃至S208の一連の処理を行うことにより基板W2が基板W1に対して傾いていることに起因した位置ずれが修正されている。従って、ステップS401において、基板W2の基板W1に対する傾きによる位置ずれは修正された状態であるため、基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧しても位置ずれは生じないので、その後、基板W1、W2を加熱しても基板W1、W2の位置ずれが生じないという利点がある。
【0099】
実施の形態1に係る接合装置1において、チップCPと基板WTとを陽極接合する構成であってもよい。或いは、実施の形態1に係る接合装置1において、チップCPと基板WTとを親水化接合するものであってもよい。
【0100】
実施の形態1では、接合装置1が、1つのチップCPの基板WTへの樹脂部CPR1、WTR1を介して固定する工程と、チップCPと基板WTとを加熱して両者を接合する工程と、を繰り返し行う例について説明した。但し、これに限らず、例えば接合装置1が、複数のチップCPを基板WTに樹脂部を介して固定する工程を行った後、複数のチップCPと基板WTとを纏めて加熱することにより、複数のチップCPを基板WTに接合するものであってもよい。ここで、樹脂部は、複数のチップCPのみに設けられ、基板WTには設けられていない。仮に基板WTにおける複数のチップCPを接合する領域全体に樹脂部を設けた場合、照射領域がチップCP1つ分の領域よりも広い領域に広がる紫外線を照射すると、基板WTにおける未だチップCPが接合されていない領域に設けられた樹脂部まで硬化させてしまう。このため、複数のチップCPを基板WTへ1つずつ固定していくことができない。これに対して、本変形例では、樹脂部が複数のチップCPのみに設けられているので、複数のチップCPを基板WTへ1つずつ固定していくことか可能となる。
【0101】
実施の形態1では、接合装置1が、チップCPを基板WTに樹脂部CPR1、WTR1を介して固定した後、チップCPと基板WTとを加熱および加圧してチップCPを基板WTに接合する例について説明した。但し、これに限らず、例えば2つの基板同士を、樹脂部を介して互いに固定した後、2つの基板を加熱および加圧することにより2つの基板を接合する接合装置であってもよい。
【0102】
実施の形態1では、チップCPと基板WTとの両方に樹脂部が設けられた構成について説明したが、これに限らず、例えばチップCPのみに樹脂部が設けられた構成であってもよい。ところで、基板WTに樹脂部を設ける場合、基板WTに形成する配線パターンの自由度が低下してしまう。これに対して、基板WTとして樹脂部が設けられていない構成を採用すれば、基板WT上の配線パターンの自由度を高める観点から好ましい。なお、基板WTのみに樹脂部が設けられた構成であってもよい。
【0103】
実施の形態1では、チップCPの基板WTに対する位置合わせを再度行う際、一旦チップCPを基板WTから離脱させた後、チップCPを基板WTに対して移動させ、その後、再びチップCPを基板WTに接触させる例について説明した。但し、これに限らず、例えばチップCPと基板WTとが接触した状態を維持しながら、チップCPを基板WTに対して相対的に移動させることにより、チップCPの基板WTに対する位置合わせを行うものであってもよい。また、実施の形態2、3では、基板W2の基板W1に対する位置合わせを再度行う際、一旦基板W2を基板W1から離脱させた後、基板W2を基板W1に対して移動させ、その後、再び基板W2を基板W1に接触させる例について説明した。但し、これに限らず、例えば基板W1、W2が互いに接触した状態を維持しながら、基板W2を基板W1に対して相対的に移動させることにより、基板W2の基板W1に対する位置合わせを行うものであってもよい。この場合、基板W2は基板W1から離間しないので、基板W1と基板W2とが密着している。従って、基板W2を基板W1に予め設定された基準圧力以上の圧力で基板W1、W2の接合部同士を密着させる方向へ加圧しても位置ずれは生じない。
【0104】
実施の形態1では、紫外線照射源51が基板WTの鉛直上方に配置され、紫外線を基板WTに照射する例について説明した。但し、これに限らず、例えば紫外線照射源が、基板WTにおけるチップCP側に配置され、撮像部35a、35bの同軸照明系を利用してチップCPに紫外線を照射する構成であってもよい。ここで、撮像部35a、35bの同軸照明系に紫外線を導入する構成であってもよいし、或いは、撮像部35a、35bの位置をずらして紫外線照射源を配置する構成であってもよい。この場合、例えば基板WTがSi基板、その他半導体基板等であり、チップCPがサファイヤから形成されている場合であってもチップCPと基板WTとの間に介在する樹脂部CPR1、WTR1に紫外線を照射することができる。
【0105】
実施の形態2、3では、基板W1、W2同士を接合する方法について説明したが、これに限らず、例えばチップを基板に陽極接合、親水化接合するものであってもよい。或いは、複数のチップを基板に陽極接合、親水化接合するものであってもよい。
【0106】
実施の形態3において、接合装置3が、金属部を有する基板W1、W2同士を接合するものであってもよい。この場合、接合装置3が、基板W1の金属部と基板W2の金属部とを接触した状態で、基板W2を基板W1に予め設定された圧力で押し付けた後、基板W1、W2を加熱しないものであってもよい。また、接合装置3が、基板W2を基板W1に押し付けた後、基板W1、W2を加熱するものであってもよい。この場合、基板W1、W2同士がより堅固に接合される。
【0107】
実施の形態1、4では、基板WTをそのチップCPが実装される面WTfが鉛直下方を向く姿勢で保持し、チップCPを鉛直下方から基板WTに実装する方式を採用する例について説明した。但し、これに限らず、例えば、実施の形態1、4に係る接合装置1、4において、ボンディング部33をステージ31の鉛直上方に配置し、基板WTをそのチップCPが実装される面WTfが鉛直上方を向く姿勢で保持し、チップCPを鉛直上方から基板WTに実装する方式を採用するものであってもよい。実施の形態1、4では、基板WTにおけるチップCPが実装される面WTfへのパーティクル付着を抑制する観点からすれば、基板WTをその面WTfが鉛直下方を向く姿勢で保持することが好ましいが、基板WTをその面WTfが鉛直上方を向く姿勢で保持してもよい。
【0108】
実施の形態4に係る接合装置4では、チップ保持部4512の突出部4512cをチップCPの樹脂部CPR1のみに当接させた状態でチップCPを保持して搬送することにより、チップCPの基板WTに実装される面CPfにパーティクルが付着しないようにする例について説明した。但し、これに限らず、例えばチップ供給部4010において、ニードル4111aにより突き上げられたチップCPの周部下端を2つのアーム(図示せず)で掬い取り2つのアームを保持した状態で接合ユニット4030の移載位置Pos1まで搬送するものであってもよい。この場合、ヘッド33Hとして、鉛直方向に移動可能なポストピン(図示せず)を備えるものとしてもよい。そして、ヘッド33Hは、チップCPを保持した2つのアームが移載位置Pos1に配置されると、ポストピンを上昇させてポストピンの先端部でチップCPの下面の中央部を保持し、アームを移載位置Pos1以外の位置へ移動させた後、ポストピンを下降させてヘッド33Hの先端部に吸着保持するようにしてもよい。この場合でも、チップCPにおける基板WTに接合される面CPfにアームを接触させることなくチップCPを搬送することができる。また、基板WTをその面WTfが鉛直上方を向く姿勢で保持する場合、チップ搬送部が、チップ供給部4010からチップCPを受け取って搬送する第1サブチップ搬送部と、第1サブチップ搬送部からチップCPを受け取って反転させる反転部と、反転部からチップCPの面CPf側とは反対側の面を保持する形でチップCPを受け取ってヘッド33Hへ搬送する第2サブチップ搬送部とを備える構成とすればよい。この場合でもチップCPの面CPfを触らずにチップCPを搬送することができる。
【0109】
実施の形態4では、チップ供給ユニット4010においてチップCPを1つずつピックアップし、接合ユニット4030において、チップCPを1つずつ基板WTに実装する接合装置4の例について説明した。但し、これに限らず、例えば、チップ供給ユニットが、複数種類のチップCPを供給し、接合ユニットは、チップ供給ユニットから、複数のチップCPを一括して受け取りヘッドに保持させ、複数のチップCPを保持したヘッドを基板WTに近づけることにより複数のチップCPを一度に基板WTへ実装するようにしてもよい。
【0110】
例えば図22Aに示すように、赤色、緑色、青色の光を放射するLED(Light Emitting Diode)チップ(以下、「赤色LEDチップ」、「緑色LEDチップ」、「青色LEDチップ」と称する。)LCP1、LCP2、LCP3が、赤色LEDチップLCP1、緑色LEDチップLCP2、青色LEDチップLCP3の順に並ぶようにパネルPA上に接合されてなるいわゆるLEDパネルを作製する場合がある。この場合、図22Bに示すように、チップ供給部が、複数のLEDチップ(例えば赤色LEDチップLCP1)を一度に接合ユニットへ供給するチップ基板5111を有するものとすればよい。そして、ヘッド5033Hが、赤色LEDチップLCP1、緑色LEDチップLCP2、青色LEDチップLCP3のうちのいずれか1種類のLEDチップ(例えば赤色LEDチップLCP1)を2つのLEDチップ分の間隔を開けてチップ基板5111から取り出し、パネルPAへ2つのLEDチップ分の間隔を開けて接合する。ヘッド5033Hは、予め設定された数、例えば、N個×N個(Nは正の整数、例えば3個×3個)の格子状に並ぶN個(例えば9個)のLEDチップを一括して取り出す。ここで、例えば最初に赤色LEDチップLCP1を基板WTへ接合したとする。この場合、ヘッド5033Hの水平方向の位置を赤色LEDチップLCP2を基板WTへ接合したときに比べて1つのLEDチップ分だけずらした状態で緑色LEDチップLCP2を基板WTへ接合する。次に、ヘッド5033Hの水平方向の位置を緑LEDチップLCP2を基板WTへ接合したときに比べて1つのLEDチップ分だけずらした状態で青色LEDチップLCP3を基板WTへ接合する。このようにして、赤色LEDチップLCP1、緑色LEDチップLCP2および青色LEDチップLCP3を順番に隣接して接合する。これらの一連の処理をパネルPA全体にLEDチップLCP1、LCP2、LCP3が接合されるまで繰り返すことにより、LEDパネルが作製される。ここで、チップ基板5111の作製は、まず、半導体製造工程を経ることにより、位置精度よく複数のLEDチップが形成されたウエハを、別のサポート用の基板に張り付けた状態でLEDチップを個辺化する。次に、サポート用の基板に貼り付けられた複数のLEDチップを別の基板に転写し、その後、サポート用の基板を剥がす。この場合、接合ユニットは、キャリア5111に載置された複数のLEDチップLCPの中から予め設定された数のLEDチップ(例えば赤色LEDチップLCP1)をヘッド5033Hに保持させる。そして、接合ユニットは、予め設定された数のLEDチップを保持したヘッド5033Hを基板WTに近づけることにより、予め設定された数のLEDチップを一度に基板WTに接合する。ここで、基板WTが、ヘッド5033Hのチップツールに比べて大きい場合、前述の一連の処理を複数回繰り返すことにより、LEDチップを予め設定された数ずつ複数回に分けて基板WTに接合するようにすればよい。
【0111】
なお、チップ供給部は、複数のチップを取り出す際、複数のチップCPを吸着してもよいし、静電力または粘着力を利用して取り出してもよい。また、チップ供給部が、複数のチップCPを取り出す際、複数のチップCPそれぞれのアライメントを実行するようにしてもよい。アライメントを実行する際、ヘッドに設けられたチップツールとチップCPとを認識してもよい、チップCPを保持するチップ基板の一部を認識してもよい。この場合、高い位置精度でチップCPをヘッドに保持させることができる。また、基板WTへのチップCPのアライメントを実行する際、チップCPを認識してもよいし、チップCPを保持するチップツールの一部を認識してもよい。また、チップCPが、LEDチップである場合、赤色、青色、青色の光を放射するLEDチップ毎にチップツールを交換するようにしてもよい。また、チップCPを基板WTへ接合する際、基板WTの位置を固定して、チップCPを保持したヘッドを移動させてもよいし、チップCPを保持したヘッドの位置を固定して、基板WTをヘッドに近づける方向へ移動させてもよい。また、チップCPの基板WTへの接合は、加熱、加圧するものであってもよいし、転写技術を利用するものであってもよい。
【0112】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0113】
本出願は、2019年12月27日に出願された日本国特許出願特願2019-238011号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2019-238011号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、例えばCMOSイメージセンサやメモリ、演算素子、MEMSの製造に好適である。
【符号の説明】
【0115】
1,2,3,4:接合装置、31:ステージ、32:ステージ駆動部、33:ボンディング部、33H,5033H:ヘッド、34:Z方向駆動部、35a,35b,41:撮像部、36,2404:ヘッド駆動部、37:θ方向駆動部、38:リニアガイド、51:紫外線照射源、90,2090:制御部、311:X方向移動部、312,314,316:開口部、313:Y方向移動部、315:基板載置部、321:X方向駆動部、323:Y方向駆動部、331:Z軸方向移動部材、332:第1円盤部材、333:ピエゾアクチュエータ、334:第2円盤部材、334a,334b:孔部、336:ミラー固定用部材、337:ミラー、337a,337b:傾斜面、351a,351b,418:イメージセンサ、352a,352b,419:光学系、361:回動部材、363:カメラZ方向駆動部、365:カメラF方向駆動部、411:チップツール、413:ヘッド本体部、415,416:中空部、2200:チャンバ、2201:真空ポンプ、2202:供給管、203:弁、2401:ステージ、2402:ヘッド、2403:ステージ駆動部、2405:XY方向駆動部、2406:昇降駆動部、2407:回転駆動部、2408,2412:圧力センサ、2411:ピエゾアクチュエータ、2421,2422:温度調節部、2500:測定部、2501,2502:撮像部、2503:窓部、2504,2505:ミラー、4010:チップ供給ユニット、4011:チップ供給部、4111:ピックアップ機構、4111a:ニードル、4112:シート保持枠、4119:枠保持部、4030:接合ユニット、4051:チップ搬送部、4511:本体部、4512:チップ保持部、4512b:吸着部、4512c:突出部、5111:チップ基板、CPf,WTf:面、CPR1,WTR1:樹脂部、GAa,GAb:撮影画像、LCP1:赤色LEDチップ、LCP2:緑色LEDチップ、LCP3:青色LEDチップ、MC1a,MC1b,MK1a,MK1b,MK2a,MK2b,MW1a,MW1b:アライメントマーク、MCP1,MWT1:金属部、Pos1:移載位置、TR1:凹部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B