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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電極圧延装置および電極圧延方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022545113
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2021017912
(87)【国際公開番号】W WO2022119285
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0168504
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サンブム・アン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ハン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ス・ソル
(72)【発明者】
【氏名】スヒョン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドンギ・イ
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-127799(JP,A)
【文献】特開2004-335374(JP,A)
【文献】特開2008-235251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング部と未コーティング部とを有する電極基材を圧延する装置であって、
均一な磁場が発生する有効領域を有するコイル部と、
前記電極基材を圧延する電極圧延部とを含み、
前記コイル部は、前記電極基材の走行方向を基準として両側の少なくとも一側に配置されたコイルユニットを含み、
前記コイルユニットは、前記電極基材の上部および下部にそれぞれ配置された第1コイルユニットおよび第2コイルユニットを含み、
前記コイルユニットは、前記コーティング部と前記未コーティング部との境界線を中心に両側に位置する前記未コーティング部の全領域と前記コーティング部の一部領域を誘導加熱し、
前記コイル部によって磁場が発生する前記有効領域は、前記未コーティング部と、前記未コーティング部に隣接した前記コーティング部の一部領域と、前記コーティング部から離隔した前記未コーティング部の一側を外れたエア領域とを含む、電極圧延装置。
【請求項2】
前記有効領域に対応する前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットそれぞれに磁性コアが形成されている、請求項に記載の電極圧延装置。
【請求項3】
前記磁性コアは、前記未コーティング部および前記未コーティング部に隣接した前記コーティング部の一部領域に対応する、請求項に記載の電極圧延装置。
【請求項4】
前記コイル部は、前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットとを電気的に連結する連結ユニットをさらに含み、前記連結ユニットは、前記電極基材の面に垂直な方向に延びる、請求項1からのいずれか一項に記載の電極圧延装置。
【請求項5】
コーティング部と未コーティング部とを有する電極基材を圧延する装置であって、
均一な磁場が発生する有効領域を有するコイル部と、
前記電極基材を圧延する電極圧延部とを含み、
前記コイル部は、前記電極基材の走行方向を基準として両側の少なくとも一側に配置されたコイルユニットを含み、
前記コイルユニットは、前記電極基材の上部および下部にそれぞれ配置された第1コイルユニットおよび第2コイルユニットを含み、
前記コイルユニットは、前記コーティング部と前記未コーティング部との境界線を中心に両側に位置する前記未コーティング部の全領域と前記コーティング部の一部領域を誘導加熱し、
前記第1コイルユニットに電流が入り、前記第2コイルユニットに電流が流れていき、
前記第1コイルユニットの電流流れ回転方向と前記第2コイルユニットの電流流れ回転方向は、互いに同一である、電極圧延装置。
【請求項6】
電極集電体層と、前記電極集電体層の一面または両面に形成されたコーティング部とを含む電極基材を圧延する方法であって、
前記電極基材を誘導加熱する段階と、
前記電極基材を圧延する段階とを含み、
前記電極基材を誘導加熱する段階は、前記電極基材のコーティング部と未コーティング部との境界線を中心に両側に位置する前記未コーティング部の全領域と前記コーティング部の一部領域をコイル部を用いて誘導加熱し、
前記コイル部は、前記電極基材の上部および下部にそれぞれ配置された第1コイルユニットおよび第2コイルユニットを含み、
前記コイル部によって磁場が発生する有効領域は、前記未コーティング部と、前記未コーティング部に隣接した前記コーティング部の一部領域と、前記コーティング部から離隔した前記未コーティング部の一側を外れたエア領域とを含む、電極圧延方法。
【請求項7】
前記電極基材を誘導加熱する段階は、前記電極基材を圧延する段階の前および/または後に行われる、請求項に記載の電極圧延方法。
【請求項8】
前記電極基材を誘導加熱する段階では、前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットとの間に垂直な方向の磁場が形成される、請求項またはに記載の電極圧延方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年12月4日付の韓国特許出願第10-2020-0168504号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極圧延装置および電極圧延方法に関し、より具体的には、電極不良が改善された電極圧延装置および電極圧延方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、正極板、負極板および分離膜からなる電極組立体をケースに挿入した後、密封されて形成される。正極板または負極板(以下、「電極板」という)は、正極導電集電体または負極導電集電体にそれぞれ活物質スラリーを一定の厚さにコーティングし、前記正極導電集電体と前記負極導電集電体との間には分離膜を介在させてゼリーロール状に複数回巻取るか、複数層に積層して電極組立体を形成することができる。
【0004】
電極板は、活物質スラリーがコーティングされた活物質コーティング部と、コーティングされない未コーティング部とから形成される。前記活物質コーティング部には、電極集電体と接着性が増加し、活物質の容量密度が増加するように圧延工程が伴う。前記圧延された電極板は、乾燥後、一定の幅のカッターを通過して所定の大きさに切断されて用いられる。
【0005】
前記圧延工程は、電極板の圧延時、前記コーティング部と前記未コーティング部との厚さの差によって圧迫差が発生する問題がある。このような差によって電極集電体の不均衡な塑性変形が発生し、これによって残留応力が発生することがある。特に、引張形態の残留応力は部品の疲労耐久性の低下および破壊強度の低下を誘発しうる。
【0006】
図1は、従来の圧延装置による圧延工程を示す概略図である。図2は、圧延後の電極板を示す平面図である。
【0007】
図1を参照すれば、電極集電体20上に形成されたコーティング部30と未コーティング部40を圧延ロール10によって圧延する圧延工程が行われる。この時、圧力がコーティング部30に集中するにつれ、図2に示したように、コーティング部30Pの延伸程度と未コーティング部40の延伸程度とで差が発生し、未コーティング部40にシワが発生することがある。圧延時に発生する未コーティング部40のシワのため、後の工程で電極断線のような工程不良が発生することがある。特に、コーティング部30Pと未コーティング部40との境界面で高い引張残留応力が残ることで電極の収縮膨張によって弱い応力を持続的に受けて破壊に弱い状態になりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、電極不良が改善された電極圧延装置および電極圧延方法を提供することである。
【0009】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による電極圧延装置は、コーティング部と未コーティング部とを有する電極基材を圧延する装置において、均一な磁場が発生する有効領域を有するコイル部と、前記電極基材を圧延する電極圧延部とを含み、前記コイル部は、前記電極基材の走行方向を基準として両側の少なくとも一側に配置されたコイルユニットを含み、前記コイルユニットは、前記電極基材の上部および下部にそれぞれ配置された第1コイルユニットおよび第2コイルユニットを含み、前記コイルユニットは、前記コーティング部と前記未コーティング部との境界線を中心に両側に位置する前記未コーティング部の全領域と前記コーティング部の一部領域を誘導加熱する。
【0011】
前記コイル部によって磁場が発生する前記有効領域は、前記未コーティング部と、前記未コーティング部に隣接した前記コーティング部の一部領域と、前記コーティング部から離隔した前記未コーティング部の一側を外れたエア領域とを含むことができる。
【0012】
前記有効領域に対応する前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットそれぞれに磁性コアが形成される。
【0013】
前記磁性コアは、前記未コーティング部および前記未コーティング部に隣接した前記コーティング部の一部領域に対応することができる。
【0014】
前記コイル部は、前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットとを電気的に連結する連結ユニットをさらに含み、前記連結ユニットは、前記電極基材の面に垂直な方向に延びることができる。
【0015】
前記第1コイルユニットに電流が入り、前記第2コイルユニットに電流が流れていき、前記第1コイルユニットの電流流れ回転方向と前記第2コイルユニットの電流流れ回転方向は、互いに同一であってもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態による電極圧延方法は、電極集電体層と、前記電極集電体層の一面または両面に形成されたコーティング部とを含む電極基材を圧延する方法において、前記電極基材を誘導加熱する段階と、前記電極基材を圧延する段階とを含み、前記電極基材を誘導加熱する段階は、前記電極基材のコーティング部と未コーティング部との境界線を中心に両側に位置する前記未コーティング部の全領域と前記コーティング部の一部領域をコイル部を用いて誘導加熱し、前記コイル部は、前記電極基材の上部および下部にそれぞれ配置された第1コイルユニットおよび第2コイルユニットを含むことができる。
【0017】
前記電極基材を誘導加熱する段階は、前記電極基材を圧延する段階の前および/または後に行うことができる。
【0018】
前記電極基材を誘導加熱する段階は、前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットとの間に垂直な方向の磁場が形成される。
【0019】
前記垂直な方向の磁場が形成される有効領域は、前記未コーティング部と、前記未コーティング部に隣接した前記コーティング部の一部領域と、前記コーティング部から離隔した前記未コーティング部の一側を外れたエア領域とを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
実施形態によれば、電極の両面を誘導加熱し、均一な磁場有効領域として未コーティング部とその他の部分を加熱することによって、電極圧延工程においてコーティング部と未コーティング部との延伸比の差を最小化することができる。
【0021】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の圧延装置による圧延工程を示す概略図である。
図2】圧延後の電極板を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態による電極圧延装置を示す斜視図である。
図4図3の圧延装置を側面から眺めた様子を概略的に示す図である。
図5図4の電極圧延装置に含まれている加熱部を概略的に示す図である。
図6図5の電極圧延装置を正面から眺めた部分図である。
図7】本発明の一実施形態によるコイル部を示す図である。
図8図7のコイル部を示す斜視図である。
図9】本実施形態による電極圧延装置におけるコイル有効領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0024】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0025】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0026】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置するものであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するのではない。
【0027】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0028】
なお、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態による電極圧延装置を示す斜視図である。図4は、図3の圧延装置を側面から眺めた様子を概略的に示す図である。
【0030】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による電極圧延方法は、電極集電体層300上に活物質をコーティングしてコーティング部400および未コーティング部500を形成する段階と、電極集電体層300の一面または両面に形成されたコーティング部400および未コーティング部500を含む電極基材250を誘導加熱する段階と、電極基材250を圧延する段階とを含む。
【0031】
図3および図4を参照すれば、本実施形態による電極圧延装置100は、電極集電体層300上にコーティング物質が形成されたコーティング部400と、無地部に相当する未コーティング部500とを有する電極基材250をアンワインディングする第1ローラ101と、電極基材250をワインディングする第2ローラ102と、第1ローラ101と第2ローラ102との間に位置し、電極基材250の移動方向に沿って電極基材250のコーティング部400および未コーティング部500を圧延する圧延ロール109とを含む。未コーティング部500は、電極集電体層300上に形成されたコーティング部400を除いた領域を指すことができる。
【0032】
第1ローラ101は、圧延しようとする対象の電極基材250を圧延装置100に提供し、時計回り回転により電極基材250を図4の矢印方向D1に移動させる。第1ローラ101から解かれた電極基材250が矢印方向に沿って移動しながら圧延ロール109の間を通過する。圧延ロール109は、電極基材250を基準として両側にそれぞれ位置し、2つの圧延ロール109の間を通過した電極基材250は加圧される。以後、2つの圧延ロール109の間を通過した電極基材250は、第2ローラ102に再び巻かれる。
【0033】
本実施形態による電極圧延方法は、コーティング部400と未コーティング部500とを有する電極基材250がアンワインディングされた後、圧延ロール109によって圧延される前に電極基材250を誘導加熱する段階を含む。電極基材250を誘導加熱する段階は、本実施形態による電極圧延装置100において第1ローラ101と圧延ロール109との間に位置するコイル部600によって行われる。コイル部600は、本実施形態による未コーティング部500に熱を加えてコーティング部400との延伸比の差を低減することができる。コイル部600は、第1ローラ101と圧延ロール109との間に位置する代わりに、圧延ロール109と第2ローラ102との間に位置して、圧延工程後に電極基材250を誘導加熱することもできる。
【0034】
図5は、図4の電極圧延装置に含まれている加熱部を概略的に示す図である。図6は、図5の電極圧延装置を正面から眺めた部分図である。
【0035】
図5および図6を参照すれば、本発明の一実施形態による電極圧延装置100は、コーティング部400と未コーティング部500とを有する電極基材250を圧延する装置において、均一な磁場が発生する有効領域を有するコイル部600と、電極基材250を圧延する図4の電極圧延部700とを含む。この時、コイル部600は、電極基材250の走行方向(MD方向;圧延ロールが巻かれる方向)を基準として両側の少なくとも一側に配置されたコイルユニットを含み、コイルユニットは、電極基材250の上部および下部にそれぞれ配置された第1コイルユニット600aおよび第2コイルユニット600bを含む。第1コイルユニット600aと第2コイルユニット600bは、それぞれ絶縁性および/または耐熱性を有する被覆部材610によって覆われる。
【0036】
本実施形態によるコイル部600によって磁場が発生する有効領域は、未コーティング部500と、未コーティング部500に隣接したコーティング部400の一部領域と、コーティング部400から離隔した未コーティング部500の一側を外れたエア領域550とを含む。圧延ロールが巻かれる方向に垂直な方向(TD方向)に沿って、未コーティング部500に隣接したコーティング部400の一部領域、未コーティング部500、およびコーティング部400から離隔した未コーティング部500の一側を外れたエア領域550が順次に配列される。
【0037】
本実施形態によるコイルユニットは、コーティング部400と未コーティング部500との境界線を中心に両側に位置する未コーティング部500の全領域とコーティング部400の一部領域を誘導加熱することができる。有効領域に対応する第1コイルユニット600aと第2コイルユニット600bそれぞれに磁性コア620が形成される。磁性コア620は、未コーティング部500および未コーティング部500に隣接したコーティング部400の一部領域に対応することができる。
【0038】
本実施形態による磁性コア620は、コイルから出る磁場を集中させる役割を果たすことができる。コイル表面での磁場は拡散して均一度に差が発生しうるが、磁性コア620の抵抗、透磁率、および周波数領域帯を調節するか、磁性コア620の面積と位置を調節することによって加熱しようとする領域を制御し、均一に加熱することができる。また、互いに異なる磁性コア620の組み合わせにより所望の磁場の深さを調節することもできる。
【0039】
本実施形態によるコイル部600は、第1コイルユニット600aと第2コイルユニット600bとを電気的に連結する連結ユニット600cをさらに含むことができる。連結ユニット600cは、電極基材250の面に垂直な方向に延びることができる。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態によるコイル部を示す図である。図8は、図7のコイル部を示す斜視図である。
【0041】
図7および図8を参照すれば、第1コイルユニット600aに電流が入り、第2コイルユニット600bに電流が流れていくことができる。この時、第1コイルユニット600aの電流流れ回転方向と第2コイルユニット600bの電流流れ回転方向は、互いに同一であってもよい。電流の流れは、フレミングの左手の法則によって磁場の方向を決定できるが、もし第1コイルユニット600aと第2コイルユニット600bの電流流れ方向が互いに異なると磁場が相殺されて、誘導加熱による効率が低下することがある。
【0042】
図6に示したように、第1コイルユニット600aと第2コイルユニット600bは、それぞれ絶縁性および/または耐熱性を有する被覆部材610によって覆われるが、被覆部材610内にコイルユニットの周辺に通る冷却路を形成することができる。コイルに電流が流れると、これに反対方向の誘導電流が生成されて相殺による発熱が発生するため、冷却が必要である。空冷も可能であるが、高い出力と安定性のために水冷などの溶媒を用いることができる。
【0043】
図9は、本実施形態による電極圧延装置におけるコイル有効領域を示す図である。
【0044】
図9を参照すれば、本実施形態による有効領域EPは、垂直な方向の磁場が形成される領域であり、未コーティング部領域L2と、未コーティング部領域L2に隣接したコーティング部の一部領域L3と、コーティング部領域L3から離隔した未コーティング部領域L2の一側を外れたエア領域L1とを含むことができる。また、有効領域EPは、MD方向への長さWを有することができ、TD方向とMD方向との比に応じて最適な誘導加熱条件を制御することができる。
【0045】
本実施形態によれば、W/L0の範囲は、0.1~0.9であってもよく、好ましくは0.4~0.8の範囲を有することができる。この時、有効領域EPのTD方向の長さL0に対するエア領域L1の長さ比率は、0超0.9以下であってもよく、好ましくは0超0.6以下であってもよい。有効領域EPのTD方向の長さL0に対する未コーティング部領域L2の長さ比率は、0.1~1.0であってもよく、好ましくは0.4~0.8であってもよい。有効領域EPのTD方向の長さL0に対するコーティング部領域L3の長さ比率は、0超0.6以下であってもよく、好ましくは0.1~0.5であってもよい。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0047】
100:電極圧延装置
250:電極基材
400:コーティング部
500:未コーティング部
550:エア領域
600:コイル部
620:磁性コア
EP:有効領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9