(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240826BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240826BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20240826BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240826BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B23Q11/00 N
B24B27/06 M
B24B55/06
B24B41/06 A
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2020192149
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】藤江 健一
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168661(JP,A)
【文献】特開2005-051094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q11/00
B24B 7/00- 7/30
B24B27/06
B24B37/00-37/34
B24B41/06
B24B55/06
H01L21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに該被加工物を着脱する被加工物着脱領域と該被加工物を加工する加工領域との間で該チャックテーブルを移動させるチャックテーブル移動機構と、
該チャックテーブルの保持面の中心を通り、かつ、該保持面と直交する回転軸の周りで該チャックテーブルを回転させる回転駆動源と、該加工領域に位置付けられた該チャックテーブルに保持された該被加工物を切削加工する切削ユニットと、該被加工物を該被加工物着脱領域に位置付けられた該チャックテーブルに搬入する又は該チャックテーブルから搬出する搬送ユニットと、を備え、
該搬送ユニットは、
該保持面を洗浄するための洗浄用具を備え、
該洗浄用具と該保持面とが接触した状態で該回転駆動源が該チャックテーブルを回転させることによって該保持面が洗浄される、
切削装置。
【請求項2】
該洗浄用具は、ブラシ又はオイルストーンである、請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
該搬送ユニットは、該洗浄用具を昇降させるための昇降ユニットを備える、請求項1又は2に記載の切削装置。
【請求項4】
該チャックテーブル移動機構は、該保持面を洗浄する際に該チャックテーブルを該保持面に平行な第1方向に沿って移動させ、
該第1方向に直交し、かつ、該保持面に平行な第2方向における該洗浄用具の長さは、該第2方向における該保持面の長さ以上である、請求項1乃至3のいずれかに記載の切削装置。
【請求項5】
該チャックテーブル移動機構は、該保持面を洗浄する際に該チャックテーブルを該保持面に平行な第1方向に沿って移動させ、
該第1方向に直交し、かつ、該保持面に平行な第2方向における該洗浄用具の長さは、該第2方向における該保持面の長さ未満である、請求項1乃至3のいずれかに記載の切削装置。
【請求項6】
該搬送ユニットは、該チャックテーブルに向けて洗浄水を噴出するための洗浄水用ノズルおよびエアーを噴出するためのエアー用ノズルを備える、請求項1乃至5のいずれかに記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)及びLSI(Large Scale Integration)等の半導体デバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成である。
【0003】
このようなチップは、一般的に、表面に多数の半導体デバイスが形成されたウェーハの裏面側を研削して所定の厚さにした後、ウェーハを個々の半導体デバイスを含む領域毎に分割することで製造される。
【0004】
ウェーハの分割は、例えば、切削ブレードが装着された切削装置によってウェーハを切削することによって行われる。このような切削ブレードとしては、例えば、砥粒がニッケル等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される環状の切刃を有する電着ブレードが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
具体的には、このような切削装置は、ウェーハを保持するチャックテーブルと、先端部に切削ブレードが装着されるスピンドルとを有する。そして、回転する切削ブレードの外周縁が半導体デバイスを含む領域の境界に沿ってウェーハに接触することで、ウェーハが削られて個々のチップに分割される。
【0006】
このようにウェーハを切削加工すると切削屑が生じてウェーハの表面に付着することがある。さらに、この切削屑は、切削後のウェーハをチャックテーブルから搬出する際にウェーハの表面から落下してチャックテーブルの表面(保持面)に付着することがある。
【0007】
この点を踏まえて、チャックテーブルの保持面に付着した切削屑を除去できる切削装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この切削装置においては、チャックテーブルにウェーハを着脱するための領域(被加工物着脱領域)と、チャックテーブルに保持されたウェーハを切削加工するための領域(加工領域)との間の領域(チャックテーブル洗浄領域)にチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-87282号公報
【文献】特開2005-51094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
チャックテーブル洗浄手段を設けるための領域が存在する切削装置は、それが存在しない切削装置よりも大型の装置とならざるを得ない。この点に鑑み、本発明の目的は、切削装置のサイズを過度に大きくすることなく、チャックテーブルの保持面を洗浄することが可能な切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに該被加工物を着脱する被加工物着脱領域と該被加工物を加工する加工領域との間で該チャックテーブルを移動させるチャックテーブル移動機構と、該保持面の中心を通り、かつ、該保持面と直交する回転軸の周りで該チャックテーブルを回転させる回転駆動源と、該加工領域に位置付けられた該チャックテーブルに保持された該被加工物を切削加工する切削ユニットと、該被加工物を該被加工物着脱領域に位置付けられた該チャックテーブルに搬入する又は該チャックテーブルから搬出する搬送ユニットと、を備え、該搬送ユニットは、該保持面を洗浄するための洗浄用具を備え、該洗浄用具と該保持面とが接触した状態で該回転駆動源が該チャックテーブルを回転させることによって該保持面が洗浄される、切削装置が提供される。
【0011】
好ましくは、該洗浄用具は、ブラシ又はオイルストーンである。
【0012】
好ましくは、該搬送ユニットは、該洗浄用具を昇降させるための昇降ユニットを備える。
【0013】
例えば、該チャックテーブル移動機構は、該保持面を洗浄する際に該チャックテーブルを該保持面に平行な第1方向に沿って移動させ、該第1方向に直交し、かつ、該保持面に平行な第2方向における該洗浄用具の長さは、該第2方向における該保持面の長さ以上である。
【0014】
あるいは、該チャックテーブル移動機構は、該保持面を洗浄する際に該チャックテーブルを該保持面に平行な第1方向に沿って移動させ、該第1方向に直交し、かつ、該保持面に平行な第2方向における該洗浄用具の長さは、該第2方向における該保持面の長さ未満である。
【0015】
好ましくは、該搬送ユニットは、該チャックテーブルに向けて洗浄水を噴出するための洗浄水用ノズルおよびエアーを噴出するエアー用ノズルを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る切削装置においては、被加工物をチャックテーブルに搬入する又は該チャックテーブルから搬出する搬送ユニットにチャックテーブルの保持面を洗浄するための洗浄用具が設けられている。換言すると、本発明に係る切削装置には、洗浄用具を設けるためだけに利用される大きな領域が存在しない。
【0017】
そのため、本発明に係る切削装置においては、そのサイズを過度に大きくすることなく、搬送ユニットに設けられた洗浄用具によってチャックテーブルの保持面を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、切削装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、搬送ユニットの一例等を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、搬送ユニットの変形例等を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、搬送ユニットの変形例等を示す側面図であり、
図4(B)は、搬送ユニット等を示す上面図である。
【
図5】
図5は、搬送ユニットの構成要素の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、被加工物に切削加工を施す切削装置を模式的に示す斜視図である。なお、
図1に示されるX軸方向(加工送り方向、第1水平方向、前後方向)及びY軸方向(割り出し送り方向、第2水平方向、左右方向)は、水平面上において直交する方向である。また、
図1に示されるZ軸方向(切り込み送り方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0020】
図1に示される切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素を支持又は収容する基台4を備える。基台4の前端側の角部には、基台4の上面側で開口する矩形状の開口4aが設けられている。
【0021】
開口4aの側方には、基台4の上面側で開口し、長手方向がX軸方向に沿って形成された矩形状の開口4bが設けられている。開口4aの内部には、カセット8が載置されるカセット載置台6が設けられている。カセット8は、切削装置2によって切削加工される複数の被加工物11を収容可能な直方体状の容器である。
【0022】
カセット載置台6には昇降ユニット(不図示)が連結されており、昇降ユニットはカセット載置台6をZ軸方向に沿って移動(昇降)させる。そして、カセット載置台6の上面の上に、複数の被加工物11が収容されたカセット8が載置される。なお、
図1では、カセット8の輪郭のみが破線で示されている。
【0023】
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体からなる円盤状のウェーハであり、概ね平行な表面及び裏面を備える。被加工物11は、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の矩形状の領域に区画されている。
【0024】
また、被加工物11の表面側の分割予定ラインによって区画された領域のそれぞれには、IC及びLSI等の半導体デバイスが形成されている。そして、切削装置2によって被加工物11を分割予定ラインに沿って切削して分割すると半導体デバイスのチップが得られる。
【0025】
被加工物11の裏面(下面)側には、被加工物11よりも直径が大きい円形のテープ(ダイシングテープ)13が貼付されている。テープ13は、例えば、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着剤(糊層)とを備える。
【0026】
基材は、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル又はポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着剤は、例えば、エポキシ系、アクリル系又はゴム系の接着剤等からなる。また、粘着剤として、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂が用いられてもよい。
【0027】
テープ13の外周部は、SUS(ステンレス鋼)等の金属からなる環状のフレーム15に貼付されている。フレーム15の中央部には、被加工物11よりも直径が大きい円状の開口が設けられている。
【0028】
被加工物11をフレーム15の開口の内側に配置し、テープ13の中央部を被加工物11の裏面側に貼付するとともにテープ13の外周部をフレーム15に貼付すると、被加工物11がテープ13を介してフレーム15によって支持される。
【0029】
なお、被加工物11の種類、材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。被加工物11は、例えば、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN又はSiC等)、ガラス、セラミックス、樹脂又は金属等からなるウェーハであってもよい。また、被加工物11に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ及び配置等にも制限はなく、被加工物11にはデバイスが形成されていなくてもよい。
【0030】
基台4の開口4bの内部には、ボールねじ式のチャックテーブル移動機構10が設けられている。チャックテーブル移動機構10は、平板状の移動テーブル10aを備えており、移動テーブル10aをX軸方向に沿って移動させることができる。また、移動テーブル10aの前方及び後方には、チャックテーブル移動機構10の上側を覆いX軸方向に沿って伸縮する蛇腹状の防塵防滴カバー12が設けられている。
【0031】
移動テーブル10a上には、被加工物11を保持するチャックテーブル14が設けられている。チャックテーブル14の上面は、水平面(XY平面)に概ね平行な面であり、被加工物11を保持する円状の保持面14aを構成している。
【0032】
保持面14aは、チャックテーブル14の内部に形成された流路(不図示)及びバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル14の周囲には、被加工物11を支持しているフレーム15を把持して固定する複数のクランプ16が設けられている。
【0033】
チャックテーブル移動機構10は、チャックテーブル14を移動テーブル10aとともにX軸方向に沿って移動させることができる。また、チャックテーブル14はモータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、回転駆動源は保持面14aの中心を通るZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りでチャックテーブル14を回転させることができる。
【0034】
開口4bの前端部の上方には、Y軸方向に沿って配置された一対のガイドレール18が設けられている。一対のガイドレール18の一方は、水平面に概ね平行な底壁と、底壁の、一対のガイドレール18の他方から遠い側の端部から立設される側壁とを備える。同様に、一対のガイドレール18の他方は、水平面に概ね平行な底壁と、底壁の、一対のガイドレール18の一方から遠い側の端部から立設される側壁とを備える。
【0035】
また、一対のガイドレール18のX軸方向における間隔は、調整可能である。例えば、各ガイドレール18の底壁がフレーム15の下面側を支持した状態で、その側壁がフレーム15の外周縁と接触するように、一対のガイドレール18のX軸方向における間隔が調整される。これにより、被加工物11及びフレーム15の位置合わせが行われる。なお、切削装置2においては、一対のガイドレール18の近傍の領域がチャックテーブル14に被加工物11を着脱する被加工物着脱領域である。
【0036】
また、基台4の上面には、門型の第1支持構造20が開口4bを跨ぐように配置されている。第1支持構造20の前面側(ガイドレール18側)には、Y軸方向に沿うレール22が固定されている。レール22の前面側には、第1搬送ユニット移動機構24を介して第1搬送ユニット26が連結されている。
【0037】
第1搬送ユニット移動機構24は、レール22の前面側をスライドできる、すなわち、Y軸方向に沿って移動できる。また、第1搬送ユニット移動機構24はエアシリンダ等の昇降ユニットを備えており、昇降ユニットはZ軸方向に沿って昇降するロッドを有する。
【0038】
この昇降ユニットのロッドの下端部には、第1搬送ユニット26が固定されている。そのため、第1搬送ユニット移動機構24は、レール22の前面側をスライドすることで第1搬送ユニット26をY軸方向に沿って移動させ、かつ/又は、ロッドを昇降することで第1搬送ユニット26をZ軸方向に沿って移動させることができる。
【0039】
さらに、第1搬送ユニット26は、フレーム15を保持する複数の吸引パッドを備える。吸引パッドの下面は、フレーム15の上面側を吸引保持する保持面を構成している。吸引パッドの保持面は、吸引パッドの内部に形成された流路(不図示)及びバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0040】
また、第1搬送ユニット26の開口4a側(カセット8側)の端部には、フレーム15を把持する把持部26aが設けられている。第1搬送ユニット移動機構24は、カセット8に収容されたフレーム15を把持部26aが把持した状態で、第1搬送ユニット26がカセット8から離れるようにY軸方向に沿って移動する(レール22の前面側をスライドする)ことができる。この場合、被加工物11がフレーム15とともにカセット8から搬出され、一対のガイドレール18上に配置される。
【0041】
同様に、第1搬送ユニット移動機構24は、一対のガイドレール18上に配置されたフレーム15を把持部26aが把持した状態で、第1搬送ユニット26がカセット8に近づくようにY軸方向に沿って移動する(レール22の前面側をスライドする)ことができる。この場合、被加工物11がフレーム15とともにカセット8に搬入される。
【0042】
さらに、第1支持構造20の前面側には、Y軸方向に沿うレール28が固定されている。レール28の前面側には、第2搬送ユニット移動機構30を介して第2搬送ユニット32が連結されている。
【0043】
第2搬送ユニット移動機構30は、レール28の前面側をスライドできる、すなわち、Y軸方向に沿って移動できる。また、第2搬送ユニット移動機構30はエアシリンダ等の昇降ユニットを備えており、昇降ユニットはZ軸方向に沿って昇降するロッドを有する。
【0044】
この昇降ユニットのロッドの下端部には、第2搬送ユニット32が固定されている。そのため、第2搬送ユニット移動機構30は、レール28の前面側をスライドすることで第2搬送ユニット32をY軸方向に沿って移動させ、かつ/又は、ロッドを昇降することで第2搬送ユニット32をZ軸方向に沿って移動させることができる。
【0045】
第2搬送ユニット32の具体的な構造について、
図2を参照して詳細に説明する。なお、
図2は、第2搬送ユニット移動機構30及び第2搬送ユニット32を拡大して示す斜視図である。
【0046】
第2搬送ユニット32は、Y軸方向に沿って延在する角柱状の支持部材32aを有する。支持部材32aの中央部の上面側には、第2搬送ユニット移動機構30の昇降ユニットのロッド30aの下端部が固定されている。
【0047】
さらに、支持部材32aは、Y軸方向における両端部のそれぞれにエアシリンダ等の昇降ユニットを備えており、各昇降ユニットはZ軸方向に沿って昇降するロッド32bを有する。そして、各ロッド32bの下端部には、Y軸方向における長さがチャックテーブル14の円状の保持面14aの直径以上である洗浄用具32cが固定されている。
【0048】
洗浄用具32cは、例えば、ロッド32bの下端部が固定されている上面と水平面に概ね平行な下面とを有する毛束台と、この毛束台の下面から下方に向かって設けられている毛束とを有するブラシである。あるいは、洗浄用具32cは、ロッド32bの下端部に固定されている上面と水平面に概ね平行な下面とを有するオイルストーンであってもよい。
【0049】
支持部材32aの中央部の下面側には、X軸方向に沿って延在する角柱状の連結部材32dの一端(後端)部の上面側が固定されている。連結部材32dの他端(前端)部の下面側には、Y軸方向に沿って延在する角柱状の連結部材32eの中央部の上面側が固定されている。
【0050】
連結部材32eのY軸方向における両端部のそれぞれには、X軸方向に沿って延在する吸引パッド台32fの中央部が固定されている。吸引パッド台32fのX軸方向における両端部の下面側には、吸引パッド32gが設けられている。
【0051】
吸引パッド32gの下面は、フレーム15の上面側を吸引保持する保持面を構成している。吸引パッド32gの保持面は、吸引パッド32g及び吸引パッド台32fの内部に形成された流路(不図示)、当該流路に連通する配管(不図示)及び当該配管における気体の流れを制御するバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0052】
再び
図1を参照して、切削装置2のその他の構成要素について説明する。第1支持構造20の後方には、門型の第2支持構造34が開口4bを跨ぐように配置されている。第2支持構造34の前面側(第1支持構造20側)のY軸方向における両端部には、ボールねじ式の切削ユニット移動機構36a,36bが設けられている。
【0053】
切削ユニット移動機構36aの下部には、被加工物11を切削加工する切削ユニット38aが固定され、また、切削ユニット移動機構36bの下部には、被加工物11を切削加工する切削ユニット38bが固定されている。
【0054】
そして、切削ユニット移動機構36aは切削ユニット38aをY軸方向及び/又はZ軸方向に沿って移動させることができ、また、切削ユニット移動機構36bは切削ユニット38bをY軸方向及び/又はZ軸方向に沿って移動させることができる。
【0055】
また、切削ユニット38a,38bのそれぞれは、Y軸方向に沿って延在するスピンドル(不図示)を有する。このスピンドルの一端部にはスピンドルをY軸方向と概ね平行な回転軸の周りで回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結され、また、他端部(先端部)には環状の切削ブレード40が装着される。
【0056】
そのため、切削ユニット移動機構36aによって切削ユニット38aをY軸方向及び/又はZ軸方向に沿って移動させることで、切削ユニット38aに装着された切削ブレード40をY軸方向及び/又はZ軸方向に移動させることができる。
【0057】
同様に、切削ユニット移動機構36bによって切削ユニット38bをY軸方向及び/又はZ軸方向に沿って移動させることで、切削ユニット38bに装着された切削ブレード40のY軸方向及び/又はZ軸方向に移動させることができる。
【0058】
なお、切削装置2においては、第2支持構造34の前面近傍の開口4b上の領域が被加工物11を加工する加工領域である。そして、切削装置2においては、回転駆動源によって切削ブレード40を回転させながら切削ブレード40の外周縁を被加工物11に接触させることで被加工物11に切削加工を施すことができる。
【0059】
切削ブレード40としては、ハブタイプの切削ブレード(ハブブレード)を用いることができる。ハブブレードは、金属等からなる環状の基台と、基台の外周縁に沿って形成された環状の切刃とが一体となって構成される。
【0060】
また、ハブブレードの切刃は、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等からなる砥粒がニッケルめっき等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。
【0061】
ただし、切削ブレード40として、ワッシャータイプの切削ブレード(ワッシャーブレード)を用いることもできる。ワッシャーブレードは、金属、セラミックス又は樹脂等からなる結合材によって砥粒が固定された環状の切刃によって構成され、ハブブレードのようなブレード台を有しない。
【0062】
X軸方向において切削ユニット38a,38bのそれぞれに隣接する位置には、チャックテーブル14によって保持された被加工物11等を撮像する撮像ユニット(カメラ)42が設けられている。
【0063】
撮像ユニット42は、例えば、可視光を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える可視光カメラ、又は、赤外線を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える赤外線カメラ等によって構成される。
【0064】
切削装置2においては、撮像ユニット42による撮像によって形成された画像に基づいて、チャックテーブル14によって保持された被加工物11と切削ユニット38a,38bとの位置合わせ等を行うことができる。
【0065】
基台4の開口4bの、開口4aとは反対側の側方には、洗浄ユニット44が設けられている。洗浄ユニット44は、円筒状の洗浄空間内で被加工物11を保持するスピンナテーブル46を備える。スピンナテーブル46の上面は、水平面(XY平面)に概ね平行な面であり、被加工物11を保持する円状の保持面を構成している。
【0066】
スピンナテーブル46の保持面は、スピンナテーブル46の内部に形成された流路(不図示)及びバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。また、スピンナテーブル46の周囲には、被加工物11を支持しているフレーム15を把持して固定する複数のクランプが設けられている。
【0067】
また、スピンナテーブル46はモータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、回転駆動源はスピンナテーブル46の保持面の中心を通るZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りでスピンナテーブル46を回転させることができる。
【0068】
スピンナテーブル46の上方には、スピンナテーブル46によって保持された被加工物11に向かって洗浄用の流体(例えば、水とエアーとが混合された混合流体)を供給するノズル48が配置されている。
【0069】
切削装置2においては、スピンナテーブル46によって被加工物11を保持した状態で、スピンナテーブル46を回転させながらノズル48から流体を供給することにより、被加工物11を洗浄することができる。
【0070】
基台4の上側には、基台4上に配置された各構成要素を覆うカバー50が設けられている。なお、
図1ではカバー50の輪郭のみを破線で示している。また、カバー50の側方側には、切削装置2に関する各種の情報を表示する表示ユニット(表示部、表示装置)52が設けられている。
【0071】
表示ユニット52は、各種のディスプレイによって構成される。表示ユニット52としては、例えば、タッチパネルが用いられる。この場合、表示ユニット52は、切削装置2に情報を入力するための入力ユニット(入力部、入力装置)としても機能する。
【0072】
すなわち、表示ユニット52はユーザーインターフェースとして機能し、オペレーターは表示ユニット52のタッチ操作によって切削装置2に加工条件等の情報を入力できる。ただし、入力ユニットは、表示ユニット52とは別途独立して設けられていてもよい。この場合には、入力ユニットとしてキーボード及び/又はマウス等を用いることができる。
【0073】
また、カバー50の上面上には、オペレーターに所定の情報を報知する報知ユニット(報知部)54が設けられている。報知ユニット54は、例えば、警告灯によって構成され、切削装置2でエラー(異常)が発生した際に点灯又は点滅してオペレーターにエラーの発生を知らせることができる。また、報知ユニット54は、所定の情報を知らせる音や音声を発するスピーカー等によって構成されてもよい。
【0074】
また、切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素の動作を制御する制御ユニット(制御装置)56を備える。切削装置2の構成要素のそれぞれは、制御ユニット56に接続されている。
【0075】
制御ユニット56は、例えば、コンピュータによって構成される。具体的には、制御ユニット56は、切削装置2の稼働に必要な各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、切削装置2の稼働に必要な各種の情報(データ及びプログラム等)が記憶されるメモリ(主記憶装置及び補助記憶装置等)とを含む。
【0076】
切削装置2で被加工物11の加工を行う際には、まず、カセット8に収容された被加工物11が第1搬送ユニット26によって搬出される。具体的には、第1搬送ユニット26が把持部26aでフレーム15の端部を把持し、被加工物11をカセット8から引き出して一対のガイドレール18上に配置する。これにより、フレーム15が一対のガイドレール18によって挟み込まれ、被加工物11及びフレーム15の位置合わせが行われる。
【0077】
次いで、第1搬送ユニット26によってフレーム15の上面側が吸引保持され、被加工物11、テープ13及びフレーム15が被加工物着脱領域に位置付けられたチャックテーブル14に搬送される。そして、被加工物11は、テープ13を介してチャックテーブル14の保持面14a上に配置される。また、複数のクランプ16によってフレーム15が固定される。
【0078】
次いで、保持面14aに吸引源の負圧を作用させると、被加工物11がテープ13を介してチャックテーブル14によって吸引保持される。次いで、チャックテーブル14を加工領域に移動させる。次いで、切削ユニット38a,38bに装着された切削ブレード40を回転させながら被加工物11に接触させると被加工物11が切削される。
【0079】
被加工物11の切削加工が完了すると、チャックテーブル14が被加工物着脱領域に戻された後、第2搬送ユニット32によってフレーム15の上面側が吸引保持され、被加工物11、テープ13及びフレーム15がチャックテーブル14の保持面14aから上方に離隔される。
【0080】
そして、被加工物11、テープ13及びフレーム15が洗浄ユニット44に搬送される前又はその後に保持面14aが洗浄用具32cによって洗浄される。以下では、被加工物11、テープ13及びフレーム15が洗浄ユニット44に搬送される前に保持面14aを洗浄用具32cによって洗浄する方法について説明する。
【0081】
具体的には、被加工物11の切削加工が完了すると、チャックテーブル14が被加工物着脱領域に戻されるように、チャックテーブル移動機構10がチャックテーブル14をX軸方向に沿って移動させる。
【0082】
次いで、吸引パッド32gの下面がフレーム15の上面と接触するように、第2搬送ユニット移動機構30がレール28の前面側をスライドし、かつ/又は、第2搬送ユニット移動機構30に内蔵されたエアシリンダ等の昇降ユニットがロッド30aを昇降させる。
【0083】
ここで、仮に洗浄用具32cの下面が吸引パッド32gの下面よりも下方に位置する場合には、吸引パッド32gの下面とフレーム15の上面との接触に先立って洗浄用具32cを上昇させる。具体的には、洗浄用具32cの下面が吸引パッド32gの下面よりも上方に位置付けられるように支持部材32aに内蔵された昇降ユニットがロッド32bを上昇させる。
【0084】
次いで、吸引パッド32g及び吸引パッド台32f等の内部に形成された流路、当該流路に連通する配管及び当該配管における気体の流れを制御するバルブ等を介して吸引パッド32gの下面(保持面)に接続された吸引源を動作させることで第2搬送ユニット32がフレーム15の上面側を吸引保持する。
【0085】
次いで、被加工物11、テープ13及びフレーム15がチャックテーブル14の保持面14aから上方に離隔されるように、第2搬送ユニット移動機構30に内蔵された昇降ユニットがロッド30aを上昇させる。
【0086】
次いで、洗浄用具32cの下面が保持面14aに接触し、又は、保持面14aからみてX軸方向に離隔した位置に位置付けられるように、第2搬送ユニット移動機構30がレール28の前面側をスライドし、かつ/又は、支持部材32aに内蔵された昇降ユニットがロッド32bを下降させる。
【0087】
次いで、チャックテーブル14の保持面14aと洗浄用具32cの下面とが接触しながら洗浄用具32cの下をチャックテーブル14が通り過ぎるように、チャックテーブル移動機構10がチャックテーブル14をX軸方向に沿って移動させる。これにより、被加工物11の切削加工によって発生して保持面14aに付着した切削屑が除去される、すなわち、保持面14aが洗浄される。
【0088】
次いで、洗浄用具32cの下面が吸引パッド32gの下面よりも上方に位置付けられるように支持部材32aに内蔵された昇降ユニットがロッド32bを上昇させる。次いで、被加工物11、テープ13及びフレーム15が洗浄ユニット44に搬送されるように、第2搬送ユニット移動機構30がレール28の前面側をスライドし、かつ、第2搬送ユニット移動機構30に内蔵された昇降ユニットがロッド30aを昇降させる。
【0089】
なお、上述した保持面14aの洗浄は、後述するように被加工物11、テープ13及びフレーム15が洗浄ユニット44に搬送された後に行われてもよい。この場合、保持面14aの洗浄に伴って切削屑が飛散するような場合であっても切削屑が被加工物11、テープ13及びフレーム15に付着することを防止できる点で好ましい。
【0090】
他方、被加工物11、テープ13及びフレーム15を洗浄ユニット44に搬送する前に保持面14aを洗浄する場合、チャックテーブル14と洗浄ユニット44との間で第2搬送ユニット32を往復させる必要がない、すなわち、洗浄ユニット44を効率的に移動させることができる点で好ましい。
【0091】
被加工物11、テープ13及びフレーム15が洗浄ユニット44に搬送されると、被加工物11は、スピンナテーブル46によって保持され、ノズル48から供給される洗浄用の流体によって洗浄される。
【0092】
被加工物11の洗浄が完了すると、フレーム15は第1搬送ユニット26によって吸引保持され、被加工物11、テープ13及びフレーム15が一対のガイドレール18上に搬送される。これにより、一対のガイドレール18によって被加工物11及びフレーム15の位置合わせが行われる。
【0093】
次いで、第1搬送ユニット26は把持部26aでフレーム15を把持して被加工物11をカセット8に収容する。以上によって、切削装置2による被加工物11の処理が完了する。
【0094】
切削装置2においては、第2搬送ユニット32にチャックテーブル14の保持面14aを洗浄するための洗浄用具32cが設けられている。換言すると、切削装置2には、洗浄用具32cを設けるためだけに利用される大きな領域が存在しない。
【0095】
そのため、切削装置2においては、そのサイズを過度に大きくすることなく、第2搬送ユニット32に設けられた洗浄用具32cによってチャックテーブル14の保持面14aを洗浄することができる。
【0096】
なお、切削装置2は、本発明の一態様に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明の技術的範囲には、切削装置2と異なる特徴を有する切削装置も含まれる。例えば、本発明の技術的範囲には、第2搬送ユニット32に設けられた洗浄用具32cに替えて又は洗浄用具32cに追加して、洗浄用具32cと同様の洗浄用具が第1搬送ユニット26に設けられる切削装置も含まれる。
【0097】
また、洗浄用具32cは、本発明における洗浄用具の一例に過ぎず、本発明における洗浄用具を限定するものではない。例えば、本発明における洗浄用具の長さは、チャックテーブル14の円状の保持面14aの直径未満であってもよい。
図3は、このような変形例に係る洗浄用具を備える搬送ユニット等を模式的に示す斜視図である。
【0098】
図3に示される搬送ユニット58は、Y軸方向に沿って延在する角柱状の支持部材58aを有する。支持部材58aの一端(右端)部の上面側には、ロッド30aの下端部が固定されている。また、支持部材58aの他端(左端)部には、エアシリンダ等の昇降ユニットが内蔵されている。
【0099】
この昇降ユニットは、Z軸方向に沿って昇降するロッド58bを有する。ロッド58bの下端部には、Y軸方向における長さがチャックテーブル14の円状の保持面14aの直径未満である洗浄用具58cが固定されている。なお、洗浄用具58cは、例えば、上記の洗浄用具32cと同様のブラシ又はオイルストーンである。
【0100】
そして、第2搬送ユニット32が搬送ユニット58に置換された切削装置2においては、被加工物11の切削加工が完了して被加工物11、テープ13及びフレーム15がチャックテーブル14の保持面14aから上方に離隔された後、保持面14aが以下のように洗浄される。
【0101】
まず、洗浄用具58cの下面が保持面14aに接触し、又は、保持面14aからみてX軸方向に離隔した位置に位置付けられるように、第2搬送ユニット移動機構30がレール28の前面側をスライドし、かつ/又は、支持部材58aに内蔵された昇降ユニットがロッド32bを下降させる。
【0102】
次いで、チャックテーブル14の保持面14aと洗浄用具58cの下面とが接触しながら洗浄用具58cの下をチャックテーブル14が通り過ぎるように、チャックテーブル移動機構10がチャックテーブル14をX軸方向に沿って移動させる。
【0103】
次いで、保持面14aのうち未だ洗浄されていない領域と洗浄用具58cの下面とがX軸方向において重なるように第2搬送ユニット移動機構30がレール28の前面側をスライドして洗浄用具58cをY軸方向に沿って移動させる。次いで、上記同様にチャックテーブル移動機構10がチャックテーブル14をX軸方向に沿って移動させる。
【0104】
そして、このような操作を保持面14aの全てが洗浄されるまで繰り返す。これにより、保持面14aを洗浄すること、すなわち、被加工物11の切削加工によって生じた切削屑を保持面14aから除去することができる。
【0105】
図3に示される搬送ユニット58は、
図2に示される第2搬送ユニット32と比較して、その設置に必要な空間を縮小できる点で好ましい。他方、
図2に示される第2搬送ユニット32は、
図3に示される搬送ユニット58と比較して、保持面14aの洗浄を早期に完了させることができる点で好ましい。
【0106】
また、本発明における洗浄用具は、チャックテーブル14を回転させながら保持面14aを洗浄するのに適した形状を備えるものであってもよい。
図4(A)は、このような洗浄用具を備える搬送ユニットを模式的に示す側面図であり、
図4(B)は、このような洗浄用具を備える搬送ユニットを模式的に示す上面図である。
【0107】
図4に示される搬送ユニット60においては、連結部材32dの一端(後端)部の上面側にロッド30aの下端部が固定され、また、中央部の上面側に支持部材60aの一端(右端)部の下面側が固定されている。また、支持部材60aの他端(左端)部には、エアシリンダ等の昇降ユニットが内蔵されている。
【0108】
この昇降ユニットは、Z軸方向に沿って昇降するロッド60bを有する。ロッド60bの下端部には、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに対して斜めであって、水平面に平行な方向に延在する洗浄用具60cが固定されている。なお、洗浄用具60cは、例えば、上記の洗浄用具32cと同様のブラシ又はオイルストーンである。
【0109】
さらに、洗浄用具60cの一端部は、連結部材32eの中央部とZ軸方向において重なる。また、水平面上において、洗浄用具60cの他端部と連結部材32eの中央部との間隔は、連結部材32eの中央部と吸引パッド32gとの間隔よりも短い。
【0110】
そして、第2搬送ユニット32が搬送ユニット60に置換された切削装置2においては、被加工物11の切削加工が完了して被加工物11、テープ13及びフレーム15がチャックテーブル14の保持面14aから上方に離隔された後、保持面14aが以下のように洗浄される。
【0111】
まず、洗浄用具60cの一端部の下面が保持面14aの中心に接触するように、第2搬送ユニット移動機構30がレール28の前面側をスライドし、かつ/又は、支持部材60aに内蔵された昇降ユニットがロッド60bを下降させる。
【0112】
次いで、チャックテーブル14が回転するように、チャックテーブル14に接続されている回転駆動源が動作する。これにより、保持面14aを洗浄すること、すなわち、被加工物11の切削加工によって生じた切削屑を保持面14aから除去することができる。
【0113】
さらに、第2搬送ユニット32が搬送ユニット60に置換された切削装置2は、洗浄用具60cを用いてスピンナテーブル46の上面(保持面)を洗浄することもできる点で好ましい。具体的には、この切削装置においては、洗浄用具60cの下面がスピンナテーブル46の保持面に接触した状態でスピンナテーブル46を回転させることによってスピンナテーブル46の上面(保持面)を洗浄することもできる。
【0114】
また、本発明における搬送ユニットは、チャックテーブル14に洗浄水を噴出するための洗浄水用ノズルおよびエアーを噴出するためのエアー用ノズルを備えるものであってもよい。
図5は、これらのノズルを備える搬送ユニットの構成要素の一部を示す斜視図である。
【0115】
図5に示される搬送ユニット62は、所定の方向(例えば、Y軸方向)に沿って延在する洗浄用具62aを有する。洗浄用具62aの上面側には、エアシリンダ等の昇降ユニットのロッド(不図示)が固定されている。なお、洗浄用具62aは、例えば、上記の洗浄用具32cと同様のブラシ又はオイルストーンである。
【0116】
また、洗浄用具62aの一面(前面)側には、連結部材62bを介して、チャックテーブル14の保持面14aの洗浄時に保持面14aに向けて洗浄水を噴出するための洗浄水用ノズル62cが固定されている。また、洗浄用具62aの他面(後面)側には、連結部材62dを介して、チャックテーブル14の保持面14aの洗浄時に保持面14aに向けてエアーを噴出するためのエアー用ノズル62eが固定されている。
【0117】
洗浄水用ノズル62c及びエアー用ノズル62eは、洗浄用具62aが延在する方向(例えば、Y軸方向)に沿って延在する水平部を含む。そして、この水平部には、洗浄水又はエアーを噴出するための開口又はスリットが設けられている。
【0118】
また、洗浄水用ノズル62c及びエアー用ノズル62eは、当該水平部の一端(右端)部から上方に延在する鉛直部を含む。そして、この鉛直部の上端は、フレキシブルパイプ(不図示)を介して洗浄水供給源(不図示)又はエアー供給源(不図示)に連結されている。
【0119】
図5に示される搬送ユニット62を備える切削装置においては、洗浄水及びエアーを供給しながらチャックテーブル14の保持面14aを洗浄することができる。そのため、保持面14aに付着した切削屑をより確実に除去することができる点で好ましい。
【0120】
また、本発明におけるチャックテーブルは、円状の保持面を有するものに限定されない。本発明におけるチャックテーブルは、例えば、矩形状の保持面を有するものであってもよい。
【0121】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0122】
11:被加工物
13:テープ
15:フレーム
2 :切削装置
4 :基台(4a,4b:開口)
6 :カセット載置台
8 :カセット
10:チャックテーブル移動機構(10a:移動テーブル)
12:防塵防滴カバー
14:チャックテーブル(14a:保持面)
16:クランプ
18:ガイドレール
20:第1支持構造
22:レール
24:第1搬送ユニット移動機構
26:第1搬送ユニット(26a:把持部)
28:レール
30:第2搬送ユニット移動機構(30a:ロッド、)
32:第2搬送ユニット
(32a:支持部材、32b:ロッド、32c:洗浄用具、32d:連結部材)
(32e:連結部材、32f:吸引パッド台、32g:吸引パッド)
34:第2支持構造
36a,36b:切削ユニット移動機構
38a,38b:切削ユニット
40:切削ブレード
42:撮像ユニット
44:洗浄ユニット
46:スピンナテーブル
48:ノズル
50:カバー
52:表示ユニット
54:報知ユニット
56:制御ユニット
58:搬送ユニット(58a:支持部材、58b:ロッド、58c:洗浄用具)
60:搬送ユニット(60a:支持部材、60b:ロッド、60c:洗浄用具)
62:搬送ユニット
(60a:洗浄用具、62b:連結部材、62c:洗浄水用ノズル)
(62d:連結部材、62e:エアー用ノズル)