(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/12 20060101AFI20240826BHJP
B32B 25/08 20060101ALI20240826BHJP
B32B 25/20 20060101ALI20240826BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08J5/12 CES
C08J5/12 CFH
B32B25/08
B32B25/20
B32B27/32 C
(21)【出願番号】P 2021133055
(22)【出願日】2021-08-18
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昌克
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-289280(JP,A)
【文献】特開2007-062057(JP,A)
【文献】特開平03-074484(JP,A)
【文献】特開平08-333465(JP,A)
【文献】特開2013-244652(JP,A)
【文献】特開2000-109582(JP,A)
【文献】特開昭60-177030(JP,A)
【文献】特開2021-098812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00- 5/02、 5/12- 5/22
B32B 1/00- 43/00
C08J 7/04- 7/06
C09D 1/00- 10/00、101/00-201/10
C09J 1/00- 5/10、 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂と
下記シリコーンゴムが下記プライマー組成物により接合した接合物。
シリコーンゴム:
(C)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(D)BET法で測定した比表面積が50~500m
2
/gである補強性シリカ:10~100質量部
(E)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(C)成分中のアルケニル基1モルに対して(E)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量、及び、
(F)白金族金属触媒:(C)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppmを含有するシリコーンゴム組成物の硬化物
プライマー組成物:
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物。
【請求項2】
ポリプロピレン樹脂基材の表面に乾式処理を行う第一工程と、
第一工程の後に、
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物を、第一工程で乾式処理された基材表面に塗布し、乾燥してプライマー層を形成する第二工程と、
第二工程の後に、
プライマー層の表面にシリコーンゴム組成物を適用し、加熱硬化してシリコーンゴム層を形成する第三工程と
を有する請求項1に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
【請求項3】
乾式処理が、プラズマ処理又は酸化ケイ素皮膜処理であることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
【請求項4】
(A)成分が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及び3-アミノプロピルメチルジエトキシシランから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項
2又は
3に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
【請求項5】
プライマー組成物を塗布し、乾燥して形成されるプライマー層が、0.05~5g/m
2であることを特徴とする請求項
2~4のいずれか1項に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
【請求項6】
シリコーンゴム組成物が、下記(C)~(F)成分を含有する請求項2~5のいずれか1項に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
(C)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(D)BET法で測定した比表面積が50~500m
2/gである補強性シリカ:10~100質量部
(E)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(C)成分中のアルケニル基1モルに対して(E)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
(F)白金族金属触媒:(C)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、安全性等に優れることから多くの分野に使用されており、有機樹脂や金属等と組み合わせた部品として使用される事例も少なくない。また、ポリオレフィン樹脂の一種であるポリプロピレン樹脂は、合成樹脂の中でポリエチレン樹脂に次ぐ生産量があり、低比重で機械強度、加工性、耐擦傷性に優れている。しかし、ポリプロピレン樹脂は難接着性材料として知られており、ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの間に、確実に凝集破壊するような強力な接着性を発現させる手法は未だに見出されていない。
【0003】
ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接着を検討した例として、特開昭60-247556号公報(特許文献1)では、付加硬化型シリコーン組成物へのエポキシ化合物、酸無水物、アクリル変性シラン、不飽和炭化水素含有のオキシランの添加が提案されているが、ポリエチレン樹脂での凝集破壊は得られているものの、ポリプロピレン樹脂に対しては十分な接着力が得られていない。
特開昭60-084335号公報(特許文献2)では、加硫シリコーンゴム上にアミノシランとビニルシランを含有するシランカップリング剤層を設けて、そこにシリコーン/ポリオレフィン共重合体、さらに熱可塑性樹脂を同時に加熱加硫させるとあるが、この手法ではポリプロピレン樹脂上にシリコーンゴムを成型させることは難しい。
特開2004-210894号公報(特許文献3)では、アミノシラン化合物および/またはケチミン化合物を介して塩素化ポリオレフィン樹脂とシリコーン系シーリング材とを接着させるとあるが、本発明者の検討では、特に前処理なしでアミノシランだけを塗布したポリプロピレン樹脂は、付加硬化型シリコーン樹脂に対して十分な接着強度を示さなかった。
また、特開2009-1555358号公報(特許文献4)では、本発明でも一部実施している有機ケイ素化合物の燃焼により形成される酸化ケイ素皮膜を介して、湿気硬化型シリコーンゴム組成物を、ポリプロピレン樹脂を含む各種樹脂基材に接着させている。しかし、本発明者による検討では、実施例の各組成物に含まれるシランカップリング剤を組み合わせたプライマー処理ではいずれも付加硬化型シリコーンゴムに対する強い接着力は得られなかった。
さらに、特開2013-244652号公報(特許文献5)において、酸化ケイ素皮膜処理(イトロ処理)を行ったポリプロピレン樹脂基材に、メチルハイドロジェンポリシロキサンを主成分とするプライマー層を設け、付加硬化型シリコーンゴムを加熱成型することが提案されているが、本発明者の検討では付加硬化型シリコーンゴムが凝集破壊するほどの強い接着力は得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-247556号公報
【文献】特開昭60-084335号公報
【文献】特開2004-210894号公報
【文献】特開2009-155358号公報
【文献】特開2013-244652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムとを強固に接合した接合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、プラズマ処理あるいは酸化ケイ素皮膜処理を行ったポリプロピレン樹脂基材に、ケイ素原子にγ-アミノプロピル基が結合したシラン化合物と、エポキシ基を含むシラン化合物とを必須成分として含むプライマー組成物を塗布、乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層でシリコーンゴム組成物を加熱硬化させることで、ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムとの間に強固な接着が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
従って、本発明は下記のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物及びその製造方法を提供する。
【0008】
<1>
ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムが下記プライマー組成物により接合した接合物。
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物。
<2>
ポリプロピレン樹脂基材の表面に乾式処理を行う第一工程と、
第一工程の後に、
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物を、第一工程で乾式処理された基材表面に塗布し、乾燥してプライマー層を形成する第二工程と、
第二工程の後に、
プライマー層の表面にシリコーンゴム組成物を適用し、加熱硬化してシリコーンゴム層を形成する第三工程と
を有する<1>に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
<3>
乾式処理が、プラズマ処理又は酸化ケイ素皮膜処理であることを特徴とする<2>に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
<4>
(A)成分が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及び3-アミノプロピルメチルジエトキシシランから選ばれる1種以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
<5>
プライマー組成物を塗布し、乾燥して形成されるプライマー層が、0.05~5g/m2であることを特徴とする<1>~<4>のいずれか1項に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
<6>
シリコーンゴム組成物が、下記(C)~(F)成分を含有する<2>~<5>のいずれか1項に記載のポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムの接合物の製造方法。
(C)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(D)BET法で測定した比表面積が50~500m2/gである補強性シリカ:10~100質量部
(E)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(C)成分中のアルケニル基1モルに対して(E)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
(F)白金族金属触媒:(C)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法を用いれば、ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムが強固に接合した接合物が得られる。ポリプロピレン樹脂は、家電製品、文房具、自動車部品、おもちゃ、スポーツ用品等の様々な用途に使用されており、そこに硬度やカラーの異なるシリコーンゴムが強固に接合できると、触感調整(滑り止め等)や意匠性付与に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0011】
本発明は、ポリプロピレン樹脂とシリコーンゴムが下記プライマー組成物により接合した接合物である。
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物。
また、本発明の接合物の製造方法は、
ポリプロピレン樹脂基材の表面に乾式処理を行う第一工程と、
第一工程の後に、
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物を、第一工程で乾式処理された基材表面に塗布し、乾燥してプライマー層を形成する第二工程と、
第二工程の後に、
プライマー層の表面にシリコーンゴム組成物を適用し、加熱硬化してシリコーンゴム層を形成する第三工程と
を有する。
【0012】
ポリプロピレン樹脂
本発明で用いるポリプロピレン樹脂基材は、特に限定されるものではなく、種々の融点および分子量のポリプロピレン樹脂を用いることができる。一般的にポリプロピレン樹脂は共重合の形態によって、プロピレンだけによる単独の重合体であるホモポリマー、エチレンを4.5重量%以下の割合で含むランダムコポリマー、ホモポリマーの重合後にエチレンが共重合されたエチレン-プロピレン共重合体を含むブロックコポリマーの3種類に分類されるが、いずれも用いることができる。
シリコーンゴム
本発明で用いるシリコーンゴムは、特に限定されるものではないが、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、補強性シリカ、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属触媒を含有する付加硬化タイプのシリコーンゴムが好ましい。練りロール機や密閉式混合機で可塑化・混合できるミラブル型ゴムと硬化前の状態が液状またはペースト状の液状ゴムのいずれも用いることができる。
【0013】
ポリプロピレン樹脂基材の表面に乾式処理を行う第一工程
乾式処理
本発明では、プライマー層を形成する前のポリプロピレン樹脂表面への乾式処理が必須工程となる。一般的に乾式処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、酸化ケイ素皮膜処理(イトロ処理)、UV処理及びエキシマ処理を挙げることができる。該乾式処理を行うと、例えば酸素原子を有する親水基が生成される等して親水性が発現する。これによりプロピレン樹脂とプライマー組成物との反応性を向上させることができる。本発明においては、これら乾式処理の中でも特にプラズマ処理又は酸化ケイ素皮膜処理が、強固な接着が安定して得られるため好ましい。
【0014】
本発明で用いるプラズマ処理は、アルゴンまたは酸素プラズマを用いて減圧下で基材表面処理を行う手法であり、プラズマ出力、ガス流量、真空度、処理時間等を調整することができる。その処理条件はプライマー組成物の濡れ性や広がり具合、水等の液体の接触角に基づいて調整できる。
【0015】
本発明で用いる酸化ケイ素皮膜処理は、イトロ処理とも称され、火炎を形成するための燃料ガス中にシラン化合物等を導入し、その火炎を用いて基材表面を処理する手法である。処理後には、二酸化ケイ素を主成分とする微小な粒子が基材表面に多数形成され、プライマー組成物との反応性が向上する。表面処理は、火炎の大きさや形状、バーナーと基材との距離、バーナーの移動速度、処理時間等により処理度を調整することができる。その処理条件はプライマー組成物の濡れ性や広がり具合、水等の液体の接触角に基づいて調整できる。また、この酸化ケイ素皮膜処理の効果的な手順に関しては、特開2003-238710号公報に詳しく記載されている。
【0016】
第一工程で乾式処理された基材表面にプライマー層を形成する第二工程
本発明で用いる、第一工程で乾式処理された基材表面にプライマー層を形成するためのプライマー組成物は、
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物、及び、
(B)1分子中に1個以上のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
を含有するプライマー組成物である。
以下各成分について詳述する。
【0017】
(A)ケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物
(A)成分のケイ素原子に3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物は、本発明のキーマテリアルであり、これを用いると、強固な接着が得られる。前記シラン化合物は、ケイ素原子に結合した3-アミノプロピル基を1分子中に1個以上有するものであり、好ましくは1個または2個、より好ましくは1個有するものである。
また、3-アミノプロピル基以外のケイ素原子に結合する基としては、炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる基が挙げられ、1分子中、1個以上アルコキシ基を有するものが好ましい。
(A)成分のシラン化合物としては、具体的には、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジ(3-アミノプロピル)ジメトキシシラン、及びジ(3-アミノプロピル)ジエトキシシランを例示することができる。(A)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
公知のアミノシランとしては、ケイ素原子にN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミノ基、又はN-フェニル-3-アミノプロピル基が結合したシラン化合物があるが、いずれを用いても強い接着性が得られない。
【0018】
(B)エポキシ基含有有機基を有するシラン化合物
(B)成分のエポキシ基含有有機基を有するシラン化合物としては、公知の化合物を使用することができる。前記シラン化合物は、ケイ素原子に結合したエポキシ基含有有機基を1分子中に1個以上有するものであり、好ましくは1個または2個、より好ましくは1個有するものである。
また、エポキシ基含有有機基以外のケイ素原子に結合する基としては、炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる基が挙げられ、1分子中、1個以上アルコキシ基を有するものが好ましい。
(B)成分のシラン化合物としては、具体的には、入手の容易さと反応性の高さから3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを例示することができる。(B)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0019】
プライマー組成物における(A)成分と(B)成分の混合比は、アミノ基とエポキシ基のモル比が2:8~8:2が好ましく、3:7~7:3がより好ましく、4:6~6:4が更に好ましい。
【0020】
(A)成分及び(B)成分は溶剤で希釈して用いることもできる。溶剤としては、(A)成分、(B)成分及びその他の任意成分が溶けるものであれば限定されるものではなく、公知の溶剤を使用できる。溶剤は、プライマー組成物の塗布及び乾燥時の蒸発速度に応じて、1種単独又は2種以上を組合せて用いてもよい。溶剤としては、具体的には、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、リグロイン、ゴム揮発油等の芳香族/脂肪族混合系炭化水素;トリクロロエチレン、パークロロエチレン、塩化メチレン等の塩化炭化水素;酢酸エチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類;ジエチルエーテル等のエーテル類;及びシリコーン系溶剤等が挙げられる。中でも、脂肪族アルコール類が好ましく、さらには乾燥が容易な炭素数1~6の脂肪族アルコール類が特に好ましい。この理由としては、プライマー組成物において、シラン化合物中の、アミノ基とエポキシ基が反応してエポキシ基が開環し水酸基が生じ得るが、脂肪族アルコール中ではこの水酸基と、シラン化合物中のケイ素原子との反応が抑制され、プライマー溶液の保存安定性を高めることができるためである。
【0021】
溶剤の配合量としては、前記(A)成分、(B)成分及びその他の任意成分が、プライマー組成物中0.1~20質量%となる量が好ましく、0.5質量%~10質量%となる量がより好ましい。
【0022】
プライマー組成物の塗布方法としては、刷毛塗り及びスプレー装置等が挙げられる。塗布量は塗布方法、塗工回数、プライマー組成物の濃度等により調整され、乾燥後の重量変化からその量を見積もることができる。プライマー組成物の塗布量は、0.05~5g/m2となる量が好ましく、0.1~2g/m2となる量が好ましい。塗布量が0.05g/m2未満だと、十分な接着力が得られないおそれがあり、5g/m2を超えると、外部応力によりプライマー層が破壊されやすくなる場合がある。
【0023】
プライマー層の表面にシリコーンゴム層を形成する第三工程
本発明で用いる、プライマー層の表面にシリコーンゴム層を形成するためのシリコーンゴム組成物としては、特に限定されないが、例えば、下記(C)~(F)成分を含有する付加硬化タイプのシリコーンゴム組成物が好ましいものとして挙げられる。
(C)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(D)BET法で測定した比表面積が50~500m2/gである補強性シリカ:10~100質量部
(E)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(C)成分中のアルケニル基1モルに対して(E)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
(F)白金族金属触媒:(C)成分に対し、白金金属質量に換算して0.5~1,000ppm
以下、各成分について詳述する。
【0024】
(C)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(C)成分は、重合度(又は分子中のケイ素原子数)が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合した2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。この(C)成分は、本この組成物の主剤(ベースポリマー)として用いるものである。また、(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、好適には、室温(25℃)で生ゴム状(即ち、高粘度で自己流動性のない非液状)の成分である。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを主剤として配合するシリコーンゴム組成物は、通常、ミラブル型の(即ち、生ゴム状であって、ロールミル等の混練機により、せん断応力下に均一に混練することが可能な)組成物となるものである。(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(I)で表されるものが代表的である。
【化1】
(式(I)中、Rは同一又は異種の炭素数1~12の1価炭化水素基を示し、aは1.95~2.05の数である。)
【0025】
上記平均組成式(I)中、Rは同一又は異種の炭素数1~12、好ましくは1~8の1価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピル基等のフルオロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。メチル基はR中の80モル%以上、特に90%以上であることが好ましく、更にはアルケニル基を除く全てのR基がメチル基であることが好ましい。
【0026】
(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、又はこのジメチルポリシロキサンの主鎖の一部に、フェニル基、ビニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したもの等が好適である。
【0027】
(C)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上(通常、2~50個、特には2~20個)のアルケニル基、好ましくはビニル基を有する必要があり、例えば、上記平均組成式(I)中の全R基に対して、0.01~10%、特に0.02~5%がアルケニル基であることが好ましい。
なお、このアルケニル基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中(非末端)のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有していることが好ましい。具体的には分子鎖末端がジメチルビニルシリル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものが好ましい。
【0028】
上記平均組成式(I)において、aは1.95~2.05の数であり、好ましくは1.98~2.02、より好ましくは1.99~2.01の数である。(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの分子構造は、基本的には、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R2SiO2/2)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R3SiO1/2)で封鎖された直鎖状構造であることが一般的であるが、ゴム弾性を損なわない範囲において主鎖中に少量の分岐単位(RSiO3/2)を含有した分岐状構造であってもよい(Rは上記と同一である)。
【0029】
(C)成分のオルガノポリシロキサンの重合度は100~10,000であり、好ましくは1,000~10,000であり、より好ましくは2,000~10,000、更に好ましくは3,000~8,000、特に好ましくは5,000~8,000である。重合度が100未満であると十分なゴム強度が得られない場合がある。
なお、本明細書中で重合度とは下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均分子量から重量平均重合度として求めた値である。
【0030】
[GPC測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperH5000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度0.5質量%のトルエン溶液)
【0031】
(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、分子構造や重合度の異なる2種以上を併用してもよい。
【0032】
(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、公知の方法、例えばオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解し、縮合することにより、或いは環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
【0033】
(D)補強性シリカ
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(D)成分の補強性シリカは、通常シリコーンゴム組成物に使用される補強性シリカ微粉末を用いることができる。(D)成分の補強性シリカとしては、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、焼成シリカ等の乾式シリカ、沈降性シリカ等の湿式シリカ等が挙げられ、中でも耐熱性の観点から煙霧質シリカが好ましい。
BET法で測定した比表面積は50~500m2/gであることが好ましく、より好ましくは100~400m2/g、特に好ましくは100~300m2/gである。比表面積が50m2/g未満では機械的強度の付与が不十分となる場合がある。また、500m2/gよりも大きいものは工業的な生産が難しくなる場合がある。
【0034】
この補強性シリカは、必要に応じ、表面をクロロシランやヘキサメチルジシラザン等の公知の処理剤で疎水化処理してもよい。
【0035】
シリコーンゴム組成物への(D)成分の補強性シリカの添加量は、(C)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部に対して、10~100質量部であることが好ましく、より好ましくは20~70質量部、特に好ましくは30~60質量部である。10質量部未満だと、添加量が少なすぎて十分な補強効果が得られず、100質量部を超えると加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまう場合がある。
【0036】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(E)成分は、1分子中にケイ素原子に結合する水素原子(ヒドロシリル基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、下記平均組成式(II)で示される常温で液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
【化2】
(式(II)中、R
2は互いに独立に同一又は異種の炭素数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。bは0.7~2.1、cは0.001~1で、かつb+cは0.8~3を満足する数である。)
【0037】
式(II)中、R2は互いに独立に同一又は異種の炭素数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基を挙げることができる。
【0038】
また、式(II)中、bは0.7~2.1、好ましくは0.8~2、cは0.001~1、好ましくは0.01~1で、かつb+cは0.8~3、好ましくは0.9~2.7を満足する数である。
【0039】
(E)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個(2~300個)、好ましくは3個以上(例えば3~200個)、より好ましくは4個以上(例えば4~100個)有するが、これらは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中(非末端)にあっても、その両方にあってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中のケイ素原子数(又は重合度)が通常2~300個、好ましくは3~200個、より好ましくは4~100個のものであればよく、また25℃における粘度が0.5~1,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1~500mPa・s、特に5~300mPa・sであることが好ましい。なお、この粘度はJIS K 7117-1:1999記載の回転粘度計により25℃で測定した値を指す。
【0040】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(C)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~30質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましい。
また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(C)成分のアルケニル基の合計に対するヒドロシリル基のモル比が、0.5~5の範囲であることが好ましく、0.8~3の範囲がより好ましく、1~2.5の範囲となるように配合することもできる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用する場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量が少なすぎると、架橋が不十分で強度、伸び等のゴム物性に劣るおそれがあり、多すぎると架橋点が多すぎて(架橋密度が高すぎて)、同様にゴム物性に劣るおそれがある。
【0041】
(F)白金族金属触媒
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(F)成分としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。
【0042】
(F)成分の配合量は触媒量とすることができ、通常、(C)成分に対し、白金金属質量に換算して0.5~1,000ppmが好ましく、1~500ppmの範囲がより好ましい。
【0043】
シリコーンゴム組成物の硬化条件は、100~180℃で10秒~30分間が好ましく、120~160℃で20秒~20分間がより好ましい。シリコーンゴム組成物をプライマー層上に成型後(即ち、1次硬化後)に、接着性や硬化物の圧縮永久歪向上を目的にポストキュア(2次硬化)を実施することが好ましい。ポストキュアの条件は、ポリプロピレン樹脂の耐熱温度や融点も鑑みて、100~180℃で30分~100時間が好ましく、120~160℃で1~8時間がより好ましい。
【0044】
シリコーンゴム組成物の成形方法は、注入成形、圧縮成形、押出成形、トランスファー成形等いずれの方法を採用してもよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0046】
[ベースシリコーンゴムコンパウンド]
ジメチルシロキサン単位99.9mol%、メチルビニルシロキサン単位0.075mol%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025mol%からなり、重量平均重合度が約6,000、ビニル基量が1.4×10-5mol/gであるオルガノポリシロキサン100質量部、BET法による比表面積が200m2/gであるヒュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)25質量部、表面処理剤としてジメチルジメトキシシラン4質量部、メチルビニルジメトキシシラン0.15質量部、塩酸(pH=3)1質量部をニーダーにて混練し、180℃で1時間熱処理して、シリコーンベースコンパウンドを得た。
【0047】
[シリコーンゴム組成物(付加架橋)]
ベースシリコーンゴムコンパウンド100質量部に、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.05質量部、エチニルシクロヘキサノール0.025部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にヒドロシリル基を平均20個有するメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン(平均重合度40、ヒドロシリル基量0.014mol/g)0.8質量部を2本ロールミルにて配合した。
【0048】
[シリコーンゴム組成物(過酸化物架橋)]
ベースシリコーンゴムコンパウンド100質量部に、ビス(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド0.6質量部を2本ロールミルにて配合した。
【0049】
[シラン化合物]
アミノ基を有するシラン化合物として、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越化学工業株式会社製)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルシラン(KBM-603、信越化学工業株式会社製)、エポキシ基を有するシラン化合物として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社製)及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM-303、信越化学工業株式会社製)、ビニル基を有するシラン化合物として、ビニルトリエトキシシラン(KBE-1003、信越化学株式会社製)を準備した。
【0050】
[プライマー組成物]
イソプロピルアルコール中に所定のシラン化合物を1種類あるいは2種類投入し、いずれも5質量%となるようにプライマー組成物を調製した。2種類のシラン化合物を用いる場合は、アミノ基、エポキシ基、ビニル基がそれぞれ等モル配合となるように調整した。プライマー組成物の調製後に1時間震盪機にて攪拌後、翌日以降にプライマー組成物の塗布、乾燥を実施した。プライマー組成物を刷毛塗りにて塗布したところ、乾燥後の質量は概ね0.5g/m2となった。乾燥は室温で2時間以上放置することで実施した。
【0051】
[接着基材]
株式会社テストピースより、幅25mm、長さ100mm、厚さ2mmのポリプロピレン樹脂基材を入手した。
【0052】
[プラズマ処理]
ポリプロピレン樹脂基材の表面をエタノールで洗浄、乾燥後に、プラズマドライクリーナー(ODC210、ヤマト科学株式会社製)を用いて表面処理を実施した。高周波出力100W、酸素流量100mL/分、真空度60Paの条件で、1分間の表面処理を実施した。
【0053】
[酸化ケイ素皮膜処理]
ポリプロピレン樹脂基材の表面をエタノールで洗浄、乾燥後に、酸化ケイ素皮膜処理装置(フレイムボンド FB-5、株式会社ソフト99コーポレーション製)を用いて表面処理を実施した。火炎の大きさを4cm程度に調整し、火口と基材の距離を3cm、バーナーの移動速度を40cm/秒として、基材上を3回往復した。基材表面の光沢が失われたことから、処理されたことが確認できた。
【0054】
[接着性]
JIS K 6850:1999にあるせん断接着試験を参考に接着性を評価した。シリコーンゴム組成物を2本ロールミルにて厚さ2mmで部出しし、25mm×12.5mmの大きさにカットした。それをプラズマ処理又は酸化ケイ素皮膜処理を行ったポリプロピレン樹脂基材2枚で挟み込み、150℃に設定されたオーブン内で2時間加熱した。オーブンから取出し、12時間以上室温に放置した後に、引張試験機(TENSOMETER 2020、アルファテクノロジーズジャパンエルエルシー製)にて、反対方向に50mm/分で引張、最大試験力を記録した。耐水研磨紙(#180、JIS規格)を介してポリプロピレン樹脂基材をチャックし、チャックした部分が滑らないようにした。
【0055】
試験結果を表1に示す。プラズマ処理又は酸化ケイ素皮膜処理を行ったポリプロピレン樹脂基材に対して、3-アミノプロピル基を有するシラン化合物とエポキシ基を有するシラン化合物を併用したプライマーを処理した場合には、強力な接着強度が得られ、シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム)が凝集破壊されるか、チャックした部分が滑り破壊に至らなかった(非破壊)。N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基を有するシラン化合物でも同様の試験を行ったが、いずれも容易に界面剥離する結果となった。
【表1】