(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】光硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/08 20060101AFI20240826BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240826BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20240826BHJP
C09J 183/08 20060101ALI20240826BHJP
C09J 183/07 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08L83/08
C09K3/10 G
C08L83/07
C09J183/08
C09J183/07
(21)【出願番号】P 2021512872
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 US2019053150
(87)【国際公開番号】W WO2020072270
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-24
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウンシル
(72)【発明者】
【氏名】小川 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】大川 直
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/120743(WO,A1)
【文献】特開昭57-131230(JP,A)
【文献】特開昭57-207622(JP,A)
【文献】特表2020-531594(JP,A)
【文献】特表2019-502717(JP,A)
【文献】特開昭57-009792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K
C08L
C08G
C08F
C09K
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、
(A)100質量部の光硬化性オルガノポリシロキサンと、
(B)少なくとも1つの光活性有機基を有し、1分子あたり5~50個のケイ素原子を有する、0.01~5.0質量部の有機ケイ素化合物と、を含み、前記有機ケイ素化合物が、300~420nmの波長の光に曝されると活性化され、
成分(A)が、
下記の組成(M1)~(M7)、すなわち、
組成(M1):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、ならびに
(A2)成分(A2)の含有量が、成分(A1)および(A2)の合計100質量部あたり0.1~50.0質量部である量で、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、
組成(M2):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A1)中の前記アクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基1モルあたり0~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物、
組成(M3):
(A4)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、および
(A5)成分(A5)中のメルカプト基が、成分(A4)中の前記アルケニル基1モルあたり0.2~3モルである量で、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有基を有する有機化合物、
組成(M4):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、
(A2)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中の前記メルカプト基が、成分(A1)中の前記アクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、成分(A2)中の前記アルケニル基との合計1モルあたり0.1~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物、
組成(M5):
(A6)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基のうちの少なくとも1つを有し、1分子あたり少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中の前記メルカプト基が、成分(A6)中の前記アクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、前記アルケニル基との合計1モルあたり0~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物、
組成(M6):
(A7)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有し、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、
組成(M7):
(A8)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有し、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、
からなる群から選択される光硬化性オルガノポリシロキサンであり、
成分(B)中の前記光活性有機基が、下記の式
(b)~(d)及び(f)~(p)によって表される基から選択される基であり、
【化1】
式中、R
1が、水素原子、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
2が、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアラルキル基、1~12個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アルキル基、6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリール基、またはハロゲン原子であり、R
3が、1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Ar
1が、6~20個の炭素原子を有するアリール基、または6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリール基であり、Ar
2が、6~20個の炭素原子を有するアリーレン基、または6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリーレン基であり、Xが、酸素原子または硫黄原子であり、Yが、成分(B)のSi原子と結合する二価結合である、光硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
感圧性接着剤、接着剤、または封入剤である、請求項
1に記載の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
請求項
1に記載の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を、300~420nmの波長の光に曝すことによって得られる、硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月1日に出願された米国仮特許出願第62/739,469号の優先権およびすべての利点を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物に関する。
【背景技術】
【0003】
光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、光学ディスプレイの視認性を高めるための接着剤および感圧接着剤として使用される。近年、安全上の理由から、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂がディスプレイ表面カバーに使用されており、このタイプの熱可塑性樹脂によって吸収されない長波長光(例えば、405nmの波長を有する可視光)によって硬化する光硬化性オルガノポリシロキサン組成物が求められている。
【0004】
一般に、光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、その硬化性を改善するための光開始剤を含む。光硬化性オルガノポリシロキサン組成物として、例えば、特許文献1は、ビニル基含有流動性オルガノポリシロキサン、ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂、メルカプトアルキル基含有オルガノポリシロキサン、ならびに2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンおよび1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オンなどの光開始剤を含む光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を記載しており、特許文献2は、アルケニル含有ポリジオルガノシロキサン、メルカプト官能性ポリオルガノシロキサンまたはメルカプト有機化合物、ならびにベンゾフェノン、アセトナフトン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、および1[4-イソプロピル-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノンなどの光開始剤を含む光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を記載しており、特許文献3は、ケイ素原子結合不飽和脂肪族ラジカルを有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合メルカプトアルキルラジカルを有するオルガノポリシロキサン、ならびに2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどの光開始剤を含む光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を記載している。
【0005】
しかしながら、これらのタイプの光開始剤は、オルガノポリシロキサンとの適合性が低く、そのため、得られた光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、透明性が低く、したがって、長波長光の照射による深部硬化特性が低く、不十分な硬化をもたらす。
【0006】
先行技術文献
特許文献
特許文献1:米国(「US」)特許第4,935,455号
【0007】
特許文献2:米国特許第4,946,874号
【0008】
特許文献3:米国特許第5,158,988号
【発明の概要】
【0009】
技術的な問題
本発明の目的は、透明性を示す硬化物を提供することに加えて、優れた貯蔵安定性を提供しながら、長波長光を照射することによって迅速に硬化する光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することである。
【0010】
問題の解決策
本発明の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)100質量部の光硬化性オルガノポリシロキサンと、
(B)少なくとも1つの光活性有機基を有し、1分子あたり最大200個のケイ素原子を有する、約0.01~約5.0質量部の有機ケイ素化合物と、を含み、有機ケイ素化合物は、300~420nmの波長の光に曝されると活性化される。
【0011】
様々な実施形態では、成分(A)は、1分子あたり少なくとも1つの光反応性有機基を有するオルガノポリシロキサンである。
【0012】
様々な実施形態では、成分(A)中の光反応性有機基は、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アルケニル基、メルカプト基含有有機基、またはそれらの混合物である。
【0013】
様々な実施形態では、成分(A)は、下記の組成(M1)~(M7)からなる群から選択される光硬化性オルガノポリシロキサンである。
組成(M1):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、ならびに
(A2)成分(A2)の含有量が、成分(A1)および(A2)の合計100質量部あたり0.1~50.0質量部である量で、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン。
組成(M2):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A1)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基1モルあたり0~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M3):
(A4)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、および
(A5)成分(A5)中のメルカプト基が、成分(A4)中のアルケニル基1モルあたり0.2~3モルである量で、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M4):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、
(A2)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A1)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、成分(A2)中のアルケニル基との合計1モルあたり0.1~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M5):
(A6)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有し、1分子あたり少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A6)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、アルケニル基との合計1モルあたり0~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M6):
(A7)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有し、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン。
組成(M7):
(A8)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有し、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン。
【0014】
様々な実施形態では、成分(B)中の光活性有機基は、下記の式(a)~(q)によって表される基から選択される基である。
【化1】
【0015】
式において、R1は、水素原子、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアラルキル基、1~12個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アルキル基、6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリール基、またはハロゲン原子であり、R3は、1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Ar1は、6~20個の炭素原子を有するアリール基、または6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリール基であり、Ar2は、6~20個の炭素原子を有するアリーレン基、または6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリーレン基であり、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、Yは、成分(B)中のSi原子と結合する二価結合である。
【0016】
様々な実施形態では、組成物は、光学的または電気的で、感圧性の接着剤、接着剤、または封入剤である。
【0017】
本発明の硬化物は、上記のような光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を300~420nmの波長の光に曝すことによって得られることを特徴とする。
【0018】
発明の効果
本発明の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、良好な貯蔵能力を示し、300~420nmの波長の光に曝すことによって硬化することができ、良好な透明性を示す硬化物を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書では、「含む(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、「含む(including)」、「含む(include)」、「本質的に~からなる」、および「~からなる」の概念を意味し包含するために最も広い意味で使用される。例示的な例を列挙するための「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」、「など」、および「含む」の使用は、列挙される例のみに限定されない。したがって、「例えば」または「など」は、「例えば、しかし限定されない」または「など、しかし限定されない」を意味し、他の類似または同等の例を包含する。本明細書で使用される「約」という用語は、機器分析によって、またはサンプル取り扱いの結果として測定される数値のわずかな変動を合理的に包含または説明するのに役立つ。そのような軽微な変動は、数値の±0~25、±0~10、±0~5、または±0~2.5%ほどであり得る。さらに、「約」という用語は、値の範囲を伴う場合に、両方の数値に適用される。さらに、「約」という用語は、明確に述べられていない場合であっても、数値に適用される場合がある。
【0020】
一般に、本明細書で使用する場合、値の範囲のハイフン「-」またはダッシュ「-」は、「~(to)」または「から(through)」であり、「>」は、「上回る」または「より大きい」であり、「≧」は、「少なくとも」または「以上」であり、「<」は、「下回る」または「未満」であり、「≦」は、「最大で」または「以下」である。個別的に、前述の特許出願、特許、および/または特許出願公開の各々は、1つ以上の非限定的な実施形態において参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0021】
添付の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に記載される表現および特定の化合物、組成物、または方法に限定されないことが理解されるべきであり、添付の特許請求の範囲の範疇にある特定の実施形態間で異なる場合がある。さまざまな実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、および/または予期しない結果が得られる場合があることを認識されたい。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。
【0022】
さらに、本発明のさまざまな実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に該当し、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解されたい。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が本発明のさまざまな実施形態を十分に説明し、有効にし、かつかかる範囲および部分範囲が関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され、これは、個別および集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。さらに、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または修飾する文言に関して、かかる文言は部分範囲、および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個別の数字は、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などのさまざまな個別の整数、ならびに4.1などの小数点(または小数)を含む個別の数値が含まれ、これは、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に適切なサポートを提供する。
【0023】
<光硬化性オルガノポリシロキサン組成物>
最初に、本発明の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物が詳細に記載される。
【0024】
成分(A)は、光硬化性オルガノポリシロキサンであり、様々な実施形態では、1分子あたり少なくとも1つの光反応性有機基を有するオルガノポリシロキサンである。光反応性有機基の例としては、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アルケニル基、メルカプト基含有有機基、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
アクリル基またはメタクリル基含有有機基の例としては、アクリルオキシメチル基、アクリルオキシエチル基、アクリルオキシプロピル基、アクリルオキシブチル基、アクリルアミドメチル基、アクリルアミドエチル基、アクリルアミドプロピル基、アクリルアミドブチル基、メタクリルオキシメチル基、メタクリルオキシエチル基、メタクリルオキシプロピル基、メタクリルオキシブチル基、メタクリルアミドメチル基、メタクリルアミドエチル基、メタクリルアミドプロピル基、メタクリルアミドブチル基、アクリルオキシポリエチレンオキシプロピル基、およびメタクリルオキシポリエチレンオキシプロピル基が挙げられる。様々な実施形態では、経済性および反応性の観点から、アクリルオキシプロピル基およびメタクリルオキシプロピル基が望ましい場合がある。
【0026】
アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、およびドデセニル基などの2~12個の炭素原子を有するアルケニル基が挙げられる。様々な実施形態では、経済性および反応性の観点から、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、およびオクテニル基が望ましい場合がある。
【0027】
メルカプト基含有有機基の例としては、3-メルカプトプロピル基、4-メルカプトブチル基、および6-メルカプトヘキシル基などのメルカプトアルキル基が挙げられる。様々な実施形態では、しかし経済性および反応性の観点から、3-メルカプトプロピル基が望ましい場合がある。
【0028】
成分(A)中の光反応性有機基以外のケイ素原子に結合する基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、およびオクチル基などの1~12個の炭素原子を有するアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基などの6~20個の炭素原子を有するアリール基;ベンジル基、フェネチル基、および3-フェニルプロピル基などの7~20個の炭素原子を有するアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、およびノナフルオロブチルエチル基などの1~12個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基が挙げられる。様々な実施形態では、経済性の観点から、メチル基およびフェニル基が望ましい場合がある。さらに、成分(A)中のケイ素原子は、少量のヒドロキシル基またはアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基)、tert-ブトキシ基等に結合され得る。
【0029】
成分(A)の分子構造の例としては、直鎖、環状、部分分岐直鎖、および分岐が挙げられる。様々な実施形態では、得られた硬化物に十分な強度を与えることができるという観点から、少なくとも1つの種類の直鎖オルガノポリシロキサンが成分(A)として使用される。成分(A)の25℃での粘度は限定されないが、様々な実施形態では、それは、約1~約500,000mPa・sの範囲、または任意選択で約1~約200,000mPa・sの範囲にある。これは、成分(A)の粘度が範囲の下限を上回る場合、得られる硬化物の機械的特性が向上する一方で、粘度が上記範囲の上限を下回る場合、得られる組成物のコーティング性が向上する。本明細書では、粘度は、23±2℃でASTM D1084に準拠したタイプB粘度計を使用して測定された値であることに留意されたい。
【0030】
様々な実施形態では、成分(A)は、下記の組成(M1)~(M7)からなる群から選択される光硬化性オルガノポリシロキサンである。
組成(M1):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、ならびに
(A2)成分(A2)の含有量が、成分(A1)および(A2)の合計100質量部あたり0.1~50.0質量部である量で、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン。
組成(M2):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A1)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基1モルあたり0~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M3):
(A4)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、および
(A5)成分(A5)中のメルカプト基が、成分(A4)中のアルケニル基1モルあたり0.2~3モルである量で、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M4):
(A1)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン、
(A2)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A1)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、成分(A2)中のアルケニル基との合計1モルあたり0.1~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M5):
(A6)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有し、1分子あたり少なくとも1つのアルケニル基を有し、メルカプト基含有有機基を含まないオルガノポリシロキサン、ならびに
(A3)成分(A3)中のメルカプト基が、成分(A6)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、アルケニル基との合計1モルあたり0~3モルである量で、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有する有機化合物。
組成(M6):
(A7)1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有し、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン。
組成(M7):
(A8)1分子あたり少なくとも1つのアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基を有し、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルケニル基を有し、1分子あたり少なくとも1つのメルカプト基含有有機基を有するオルガノポリシロキサン。
【0031】
式において、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アルケニル基、およびメルカプト基含有有機基の例は、上記のとおりである。
【0032】
また、各成分中のアクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アルケニル基、およびメルカプト基含有有機基以外のケイ素原子に結合した基の例は、上記のとおりである。
【0033】
成分(A1)の例としては、下記の式によって表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。式において、「Me」は、メチル基を表し、「Ph」は、フェニル基を表し、「Ac」は、アクリルオキシプロピル基を表し、「MA」は、メタクリルオキシプロピル基を表す。「p」、「q」、「r」、および「s」は、それぞれ正の数であり、分子中の「p」、「q」、「r」、および「s」の合計は1であり、「u」は、3~20の整数である。
(Me2AcSiO1/2)2
(Me2MASiO1/2)2
(MeAcSiO2/2)u
(MeMASiO2/2)u
(MeAcSiO2/2)p(Me2SiO2/2)q
(MeMASiO2/2)p(Me2SiO2/2)q
(MeAcSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q
(MeMASiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q
(MeAcSiO2/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r
(MeMASiO2/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q
(Me2AcSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q
(Me2MASiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(AcSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MASiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(AcSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MASiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MASiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(AcSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MASiO3/2)r
【0034】
成分(A2)の例としては、下記の式によって表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。式において、「Me」、「Ph」、「p」、「q」、「r」、「s」および「u」は、上記のとおりであり、「Vi」は、ビニル基を表す。
(Me2ViSiO1/2)2
(MeViSiO2/2)u
(MeViSiO2/2)p(Me2SiO2/2)q
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeViSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MeSiO3/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(PhSiO3/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(SiO4/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(SiO4/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(SiO4/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(SiO4/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(SiO4/2)q
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(ViSiO3/2)q
【0035】
成分(A3)の例としては、下記の式によって表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。式において、「Me」、「Ph」、「p」、「q」、「r」、「s」および「u」は、上記のとおりであり、「MP」は、メルカプトプロピル基を表す。
(MeMPSiO2/2)u
(Me2SiO2/2)p(MeMPSiO2/2)q
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeMPSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MPSiO3/2)q
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r
【0036】
成分(A4)の例としては、上記の成分(A2)用のオルガノポリシロキサンが挙げられる。しかしながら、成分(A4)は、1分子あたり2~12個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を有する。
【0037】
成分(A5)の例としては、上記の成分(A3)用のオルガノポリシロキサンが挙げられる。しかしながら、成分(A5)は、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基含有有機基を有する。
【0038】
成分(A6)の例としては、下記の式によって表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。式において、「Me」、「Ph」、「Ac」、「MA」、「Vi」、「p」、「q」、「r」および「s」は、上記のとおりである。
(MeAcSiO2/2)p(MeViSiO2/2)q
(MeMASiO2/2)p(MeViSiO2/2)q
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MeAcSiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(MeMASiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Me3SiO1/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me3SiO1/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2MASiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Ph2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(PhSiO3/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(Me2SiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(Me2SiO2/2)r(MASiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(AcSiO3/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(MASiO3/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Me3SiO1/2)q(AcSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me3SiO1/2)q(MASiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(AcSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MASiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2AcSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me2MASiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(ViSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(AcSiO3/2)r(ViSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MASiO3/2)r(ViSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2AcSiO1/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2MASiO1/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeAcSiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeMASiO2/2)q(ViSiO3/2)r
【0039】
成分(A7)の例としては、下記の式によって表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。式において、「Me」、「Ph」、「Vi」、「MP」、「p」、「q」、「r」および「s」は、上記のとおりである。
(MeViSiO2/2)p(MeMPSiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeMPSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeMPSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MeMPSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(PhSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MPSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MPSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MPSiO3/2)q
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MPSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(ViSiO3/2)q(MPSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(ViSiO3/2)r(MPSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeViSiO2/2)r(MPSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q(ViSiO3/2)r
(Me3SiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(ViSiO3/2)s
【0040】
成分(A8)の例としては、下記の式によって表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。式において、「Me」、「Ph」、「Ac」、「MA」、「Vi」、「MP」、「p」、「q」、「r」および「s」は、上記のとおりである。
(MeAcSiO2/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(MeMASiO2/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MeMPSiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MeMPSiO2/2)r(MASiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MPSiO3/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MPSiO3/2)r(AcSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(Me2ViSiO1/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MASiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(AcSiO3/2)s
(Me3SiO1/2)p(MeViSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MASiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(AcSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Me2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q(AcSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MeMPSiO2/2)q(MASiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MPSiO3/2)q(MeAcSiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MPSiO3/2)q(MeMASiO2/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MPSiO3/2)q(AcSiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(MPSiO3/2)q(MASiO3/2)r
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MASiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(AcSiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeAcSiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MeMASiO2/2)s
(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(AcSiO3/2)s
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(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeMASiO2/2)s
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(Me2ViSiO1/2)p(MePhSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
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(MeViSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
(MeViSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeMASiO2/2)s
(MeViSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(AcSiO3/2)s
(MeViSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(MASiO3/2)s
(MeViSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(AcSiO3/2)s
(MeViSiO2/2)p(Ph2SiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
(MeViSiO2/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(Me2AcSiO1/2)s
(MeViSiO2/2)p(MePhSiO2/2)q(MeMPSiO2/2)r(Me2MASiO1/2)s
(MeViSiO2/2)p(MePhSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(Me2AcSiO1/2)s
(MeViSiO2/2)p(MePhSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(Me2MASiO1/2)s
(MeViSiO2/2)p(MePhSiO2/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
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(ViSiO3/2)p(PhSiO3/2)q(MPSiO3/2)r(Me2MASiO1/2)s
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(ViSiO3/2)p(PhSiO3/2)q(MPSiO3/2)r(MeAcSiO2/2)s
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(ViSiO3/2)p(PhSiO3/2)q(MPSiO3/2)r(AcSiO3/2)s
(ViSiO3/2)p(PhSiO3/2)q(MPSiO3/2)r(MASiO3/2)s
【0041】
組成(M1)において、様々な実施形態における成分(A2)の含有量は、成分(A1)および(A2)の合計100質量部あたり約0.1~約50.0質量部の範囲、任意選択で約0.1~約30質量部の範囲、または任意選択で約0.5~約20質量部の範囲にある。これは、成分(A2)の含有量が上記範囲の下限以上である場合、高温/高湿での硬化物の透過率の低下が小さくなるためである。一方、含有量が上記範囲の上限以下である場合、高温での硬化物の硬度変化を小さくし、着色を低減する。
【0042】
組成(M2)において、様々な実施形態における成分(A3)の含有量は、成分(A3)中のメルカプト基の量が、成分(A1)中の全アクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基1モルあたり約0~約3モルの範囲にあり、任意選択で約0~約2モルの範囲にある量である。これは、成分(A3)の含有量が上記範囲の下限以上である場合、組成物の硬化性が向上するためである。一方、含有量が上記範囲の上限以下である場合、高温での硬化物の硬度変化を小さくし、着色を低減する。
【0043】
組成(M3)において、様々な実施形態における成分(A5)の含有量は、成分(A5)中のメルカプト基の量が、成分(A4)中のアルケニル基の1モルあたり約0.2~約3モルの範囲にあり、任意選択で約0.5~約2モルの範囲にある量である。これは、成分(A5)の含有量が上記範囲の下限以上である場合、組成物を十分に硬化させることができるためである。一方、含有量が上記範囲の上限以下である場合、高温での硬化物の硬度変化を小さくし、着色を低減する。
【0044】
組成(M4)において、成分(A2)の含有量は限定されないが、様々な実施形態では、成分(A1)および(A2)の合計100質量部あたり約0.1~約50.0質量部の範囲内、任意選択で約0.1~約30質量部の範囲内、または任意選択で約0.5~約20質量部の範囲にある。これは、成分(A2)の含有量が上記範囲の下限以上である場合、高温/高湿での硬化物の透過率の低下が小さくなるためである。一方、含有量が上記範囲の上限以下である場合、高温での硬化物の硬度変化を小さくし、着色を低減する。
【0045】
組成(M4)において、様々な実施形態における成分(A3)の含有量は、成分(A3)中のメルカプト基の量が、成分(A1)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基と、成分(A2)中のアルケニル基との合計1モルあたり約0.1~約3モルの範囲にあり、任意選択で約0.5~約2モルの範囲にある。これは、成分(A3)の含有量が上記範囲の下限以上である場合、組成物を十分に硬化させることができるためである。一方、含有量が上記範囲の上限以下である場合、高温での硬化物の硬度変化を小さくし、着色を低減する。
【0046】
組成(M5)において、様々な実施形態における成分(A3)の含有量は、成分(A6)中のメルカプト基の量が、成分(A6)中のアクリル基含有有機基および/またはメタクリル基含有有機基の合計1モルあたり約0~約3モルの範囲にあり、任意選択で約0.5~約2モルの範囲にある量である。これは、成分(A3)の含有量が上記範囲の下限以上である場合、組成物を十分に硬化させることができるためである。一方、含有量が上記範囲の上限以下である場合、高温での硬化物の硬度変化を小さくし、着色を低減する。
【0047】
成分(B)は、少なくとも1つの光活性有機基を有し、1分子あたり最大約200個のケイ素原子を有する有機ケイ素化合物であり、有機ケイ素化合物は、300~420nmの波長の光に曝されると活性化される。
【0048】
成分(B)中の光活性有機基の例としては、下記の式(a)~(q)によって表される基が挙げられる。
【化2】
【0049】
式において、R1は、水素原子、または1~12個の炭素原子を有するアルキル基である。R1のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR1は、メチル基である。
【0050】
式において、R2は、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアラルキル基、1~12個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アルキル基、6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリール基、またはハロゲン原子である。
【0051】
R2のアルキル基の例としては、上記のようなR1のアルキル基が挙げられる。
【0052】
R2のハロゲン原子、アミノ基、またはヒドロキシル基置換アルキル基の例としては、1-クロロメチル基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-アミノプロピル基、2-アミノエチル-3-アミノプロピル基、ブチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、および3-ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0053】
R2のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR2は、フェニル基である。
【0054】
R2のハロゲン原子、アミノ基、またはヒドロキシル基置換アリール基の例としては、クロロフェニル基、アミノフェニル基、およびヒドロキシフェニル基が挙げられる。
【0055】
R2のアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR2は、フェネチル基である。
【0056】
式において、R3は、1~12個の炭素原子を有するアルキル基である。R3のアルキル基の例としては、上記のようなR1のアルキル基が挙げられる。
【0057】
式において、Ar1は、6~20個の炭素原子を有するアリール基、または6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリール基である。
【0058】
Ar1のアリール基の例としては、上記のようなR2のアリール基が挙げられる。
【0059】
Ar1のハロゲン原子、アミノ基、またはヒドロキシル基置換アリール基の例としては、上記のようなR2のハロゲン原子、アミノ基、またはヒドロキシル基置換アリール基が挙げられる。
【0060】
式において、Ar2は、6~20個の炭素原子を有するアリーレン基、または6~20個の炭素原子を有するハロゲン原子、アミノ基、もしくはヒドロキシル基置換アリーレン基である。
【0061】
Ar2のアリーレン基の例としては、1,4-フェニレン基、1,2-フェニレン基、および2-メチル-1,4-フェニレン基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのAr2は、1,4-フェニレン基である。Ar2のハロゲン原子、アミノ基、またはヒドロキシル基置換アリーレン基の例としては、2-クロロ-1,4-フェニレン基、2-アミノ-1,4-フェニレン基、および2-ヒドロキシ-1,4-フェニレン基が挙げられる。
【0062】
式において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
【0063】
式において、Yは、成分(B)中のSi原子と結合する二価結合である。
【0064】
様々な実施形態では、成分(B)は、下記の平均組成式(I)によって表される有機ケイ素化合物である。
【数1】
【0065】
式(I)において、R4は、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、2~12個の炭素原子を有するアルケニル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基、またはヒドロキシル基である。
【0066】
R4のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR4は、メチル基である。
【0067】
R4のアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、およびオクテニル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR4は、ビニル基であり、および/または少なくとも1つのR4は、アリル基である。
【0068】
R4のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR4は、フェニル基である。
【0069】
R4のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、およびブトキシ基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR4は、メトキシ基である。
【0070】
式(I)において、様々な実施形態におけるZは、下記の一般式(II)によって表されるアシルホスフィネート残基である。
【化3】
【0071】
式(II)において、R5は、1~12個の炭素原子を有する非置換もしくはハロゲン置換アルキル基、6~20個の炭素原子を有する非置換もしくはハロゲン置換アリール基、7~20個の炭素原子を有するアラルキル基、または1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0072】
R5の非置換またはハロゲン置換アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR5は、メチル基である。
【0073】
R5の非置換またはハロゲン置換アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、およびトリクロロフェニル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR5は、フェニル基である。
【0074】
R5のアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR5は、フェネチル基である。
【0075】
R5のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、およびブトキシ基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR5は、メトキシ基である。
【0076】
式(II)において、R6は、1~12個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレン基である。R6のアルキレン基の例としては、メチレン基、1,1-エチレン基、1,2-エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、および1,4-ブチレン基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR6は、1,3-プロピレン基である。
【0077】
式(II)において、R7は、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基である。R7のアルキレン基の例としては、1,2-エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、および1,4-ブチレン基が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのR7は、1,2-エチレン基であり、および/または少なくとも1つのR7は、1,2-プロピレン基である。
【0078】
式(II)において、Ar3は、6~20個の炭素原子を有する非置換、アルコキシ置換、またはハロゲン置換アリール基である。Ar3の非置換、アルコキシ置換、またはハロゲン置換アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、およびトリクロロフェニル基が挙げられる。
【0079】
式(II)において、「m」は、0~100の整数、任意選択で0~50の整数、任意選択で0~10の整数、または任意選択で0~5の整数である。これは、「m」が上記範囲の下限以上である場合、有機ケイ素化合物の分子量を高くし、有機ケイ素化合物の揮発性を低下させることができるためである。一方、「m」が上記範囲の上限以下である場合、光開始剤として有機ケイ素化合物を含む光硬化性シリコーン組成物の硬化性を高めることができる。
【0080】
式(II)において、「a」および「b」は、下記の条件を満たす数である。
0<a≦2、0<b≦3、および≦b、任意選択で「a」および「b」は、次の条件を満たす数である。a+b≦3、または任意選択で「a」および「b」は、次の条件を満たす数である。1.5≦a+b≦2.3。これは、「a」が上記範囲の下限以上である場合、光開始剤として有機ケイ素化合物を含む光硬化性シリコーン組成物の硬化性を高めることができるためである。一方、「a」が上記範囲の上限以下である場合、有機ケイ素化合物とオルガノポリシロキサンとの適合性を高めることができる。一方、「b」が上記範囲の下限以上である場合、有機ケイ素化合物とオルガノポリシロキサンとの適合性を高めることができる。一方、「b」が上記範囲の上限以下である場合、光開始剤として有機ケイ素化合物を含む光硬化性シリコーン組成物の硬化性を高めることができる。
【0081】
有機ケイ素化合物は、1分子あたり200個以下のケイ素原子を有する。様々な実施形態では、1分子あたりのケイ素原子の数は、1~100の範囲、任意選択で5~50の範囲、任意選択で5~30の範囲、または任意選択で5~20の範囲にある。ケイ素原子の数が上記範囲の下限以上である場合、有機ケイ素化合物とオルガノポリシロキサンとの適合性を高めることができると考えられる。一方、それが上記範囲の上限以下である場合、光開始剤として有機ケイ素化合物を含む光硬化性シリコーン組成物の硬化性を高めることができる。
【0082】
様々な実施形態では、そのような有機ケイ素化合物は、下記の一般式(III)によって表されるオルガノシロキサンである。
【数2】
【0083】
式(III)において、R8は、上記のように、同じまたは異なる、R4および/またはZである。しかしながら、1分子あたり少なくとも1つのR8は、上記のようなZである。
【0084】
式(III)において、「n」は、0~198の整数、任意選択で0~98の整数、任意選択で0~48の整数、任意選択で0~28の整数、または任意選択で0~18の整数である。これは、「n」が上記範囲の下限以上である場合、有機ケイ素化合物の分子量を増加させ、有機ケイ素化合物の揮発性を低下させることができるためである。一方、「n」が上記範囲の上限以下である場合、光開始剤として有機ケイ素化合物を含む光硬化性シリコーン組成物の硬化性を高めることができる。
【0085】
25℃での有機ケイ素化合物の状態は限定されないが、様々な実施形態では、それは液体である。
【0086】
有機ケイ素化合物を産生するための方法は限定されないが、様々な実施形態では、それはアシルホスフィネート残基を有する有機ケイ素化合物を生成するための下記のステップi)およびii)を含む方法である。
【0087】
ステップi)において、下記の組成式(IV)によって表される有機ケイ素化合物は、
【数3】
下記の一般式(VI)によって表される有機ホスフィンと反応する。
【化4】
【0088】
式(IV)において、R4、「a」および「b」は、上記のとおりである。
【0089】
式(IV)では、R
9は、下記の一般式(V)によって表される基である。
【化5】
【0090】
式(V)において、R6、R7および「m」は、上記のとおりである。
【0091】
式(VI)において、R5は、上記のとおりである。
【0092】
式(VI)では、Wは、同じまたは異なるハロゲン原子である。Wのハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子、ならびに塩素原子が挙げられる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのWは、臭素原子である。
【0093】
ステップi)において、上記の有機ケイ素化合物(IV)中の等量のヒドロキシル基は、有機ホスフィン化合物(VI)中のハロゲン原子と反応されるべきである。様々な実施形態では、反応は、有機ケイ素化合物(IV)中の0.5モル~2モル、または任意選択で0.75モル~1.5モルのヒドロキシル基が、有機ホスフィン化合物(VI)中の1モルのハロゲン化物基と反応する量で行われる。
【0094】
ステップi)において、反応は、ハロゲン化水素アクセプターの存在下で実施される。ハロゲン化水素アクセプターの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-i-ブチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリフェニルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、1-メチルピペリジン、およびピリジンなどの三級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、およびピペラジンなどの二級アミン;ブチルアミンおよびアニリンなどの一級アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびアンモニアなどの無機塩が挙げられる。様々な実施形態では、反応は、三級アミンの存在下で実施される。
【0095】
ステップi)において、有機溶媒を上記の調製方法で使用することができる。利用される有機溶媒は、エーテル、芳香族または脂肪族炭化水素、および2つ以上のタイプのそのような溶媒の混合物によって例示される。様々な実施形態では、有機溶媒が利用され、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、およびキシレンの群から選択される。
【0096】
ステップi)において、反応温度は限定されないが、様々な実施形態では、それは、約室温~約150℃の範囲にある。ステップi)では、ハロゲン化水素アクセプターの存在によって反応が促進される。有機溶媒が使用される場合、反応は、一般に室温以下であるが、有機溶媒の凝固点より上で行われる。
【0097】
次に、ステップii)において、アルブゾフ・ミカエリス反応に続いて、ステップi)によって得られた反応生成物を、下記の一般式(VII)によって表されるハロゲン化カルボン酸と反応させる。
【化6】
【0098】
式(VII)において、WおよびAr3は、上記のとおりである。
【0099】
ステップii)において、上記のステップi)によって得られた等量の反応生成物は、カルボン酸ハロゲン化物(VII)中のハロゲン原子と反応されるべきである。様々な実施形態では、反応は、0.5モル~2モル、または任意選択で0.75~から1.5モルの、ステップi)によって得られた反応生成物が、1モルのハロゲン化カルボン酸(VII)と反応する量で行われる。
【0100】
ステップii)において、有機溶媒を上記の調製方法で使用することができる。利用される有機溶媒は、エーテル、芳香族または脂肪族炭化水素、および2つ以上のタイプのそのような溶媒の混合物によって例示される。様々な実施形態では、有機溶媒が利用され、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、およびキシレンの群から選択される。
【0101】
ステップii)において、反応温度は限定されないが、様々な実施形態では、それは、約室温~約150℃の範囲にある。ステップii)では、加熱によって反応を促進する。有機溶媒を使用する場合、反応は、一般に有機溶媒の還流温度で行われる。
【0102】
様々な実施形態では、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に関して、0.01~5質量部の範囲内、任意選択で0.01~3質量部の範囲内、任意選択で0.05~3質量部の範囲内、または任意選択で0.05~2質量部の範囲内にある。これは、成分(B)の量が範囲の下限を上回る場合、得られる組成物の硬化特性が有利になるが、逆に量が上記範囲の上限値を下回る場合は、得られた硬化物の耐熱性および耐光性が良好となるためである。
【0103】
本発明の組成物は、組成物の好ましい貯蔵安定性を維持し、硬化物に耐熱性を提供するためのヒンダードフェノール化合物を含み得る。ヒンダードフェノール化合物の例としては、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシメチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[{3,5-ビス(1,1-ジ-tert-ブチル-4 -ヒドロキシフェニル)メチル}ホスホネート、3,3′、3′′、5,5′、5′′-ヘキサン-tert-ブチル-4-a、a′、a′′-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、およびヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。
【0104】
ヒンダードフェノール化合物の量は限定されないが、様々な実施形態では、それは、成分(A)および(B)の合計100質量部に関して、0.001~1質量部の範囲内、任意選択で0.01~1質量部の範囲内、または任意選択で0.01~0.5質量部の範囲内にある。これは、ヒンダードフェノール化合物の量が範囲の下限を上回る場合、得られる組成物の貯蔵安定性が有利になるが、逆に量が上記範囲の上限を下回る場合は、得られた硬化物の耐熱性、耐光性が良好となるためである。
【0105】
さらに、本発明の目的が妨げられない限り、組成物は、前述の成分に加えて、必要に応じて従来の既知の付加物を含有することができ、例として、ヒュームドシリカ、ウェットシリカ等の金属酸化物微粉末;ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の接着促進剤;1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン等の反応性溶媒としてアルケニル基を含む低分子量シロキサン;N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等の耐熱性向上剤が挙げられる。
【0106】
本組成物は、無溶媒形態として使用することができるが、組成物の粘度を低下させ、薄いコーティングを調製するために、溶媒で希釈することが許容される。溶媒の例としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0107】
溶媒の量は限定されないが、様々な実施形態では、それは、成分(A)および(B)の合計100質量部あたり0~3,000質量部の範囲、または任意選択で0~1,000質量部の範囲にある。
【0108】
23℃での本発明の粘度は限定されないが、様々な実施形態では、それは100,000mPa・s以下、任意選択で100~100,000mPa・sの範囲内、または任意選択で500~10,000mPa・sの範囲内にある。これは、組成物の粘度が範囲の下限を上回る場合、得られる硬化物の機械的特性が良好になるが、逆に粘度が前述の範囲の上限を下回る場合、得られる組成物のコーティング性が向上し、硬化物におけるボイドの形成を回避することができるためである。
【0109】
本組成物は、均一性成分(A)および(B)、ならびに必要に応じて他の任意の成分にブレンドすることによって産生することができる。この組成物を調製する場合、様々なタイプのミキサーまたはニーダーを使用して室温で混合を行うことができ、必要に応じて、加熱しながら混合を行うことができる。さらに、様々な成分を組み合わせる順序は制限されておらず、任意の順序で混合を行うことができる。一方、組成物の調製中の硬化の影響を回避するために、450nm以下の波長の光に曝されない場所において、または前述の光の混合物が可能な限り制限されている領域において調製を行うことが推奨される。
【0110】
本組成物は、光照射によって硬化させることができる。組成物を硬化させるために使用される光は、紫外線または可視光であり得るが、例えば、様々な実施形態における光の波長は、250~500nmの範囲内、または任意選択で300~420nmの範囲内にあり、その組成物は、400nm以上の波長を有する可視光(例えば、405nmの波長を有するLED光源)による硬化特性を有する。
【0111】
この組成物は、様々なタイプのポッティング剤、シール剤、接着剤、封入剤として有用であり、その硬化物は、変色が少なく、高温または高温/高湿の条件下で曇りにくいため、画像ディスプレイ部と画像ディスプレイ装置の保護部との間に中間層を形成するための材料として適切に使用することができる。
【0112】
この組成物は室温で硬化するため、耐熱性の低い基材のコーティングに適切に使用することができる。基材のタイプは、一般にガラスなどの透明基材、合成樹脂フィルム、シート、およびコーティング等である。さらに、組成物の適用方法は、例えば、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、スリットコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、またはコンマコーティングであり得る。
【0113】
<硬化物>
最初に、本発明の硬化物が詳細に記載される。硬化物は、上記のような光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を300~420nmの波長の光に曝すことによって得られる。硬化物の形状は特に限定されないが、例としては、シート、フィルム、テープ、および塊が挙げられる。さらに、様々なタイプの基板との統合も可能である。
【0114】
硬化物の形成方法は、フィルム状基板、テープ状基板、またはシート状基板に組成物を適用し、次いで光を照射して硬化させ、硬化物で作製された硬化フィルムを基板の表面に形成する方法であり得る。硬化フィルムのフィルム厚は制限されないが、様々な実施形態では、フィルムの厚さは、1~3000μm、または任意選択で40~3000μmである。硬化物の中で、上記のような光学材料と硬化物とを含む積層体が望ましい場合がある。
【実施例】
【0115】
本発明の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物を、実施例を使用して以下にさらに詳細に説明する。実施例では、測定および評価は以下のように行われたことに留意されたい。
【0116】
<光硬化性オルガノポリシロキサン組成物および各種成分の粘度>
光硬化性オルガノポリシロキサン組成物および各種成分の23℃での粘度(mPa・s)を、TOKIMEC CORPORATION製のE型粘度計VISCONIC EMDを使用して測定した。
【0117】
<光硬化性オルガノポリシロキサン組成物の外観>
光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を目視検査によって観察した。
【0118】
<光硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化>
深さ15mm、内径30mmのガラス容器に、光硬化性組成物を充填した。次いで、LEDランプを使用して、405nmの50mW/cm2で紫外線を20秒間照射して、硬化物を形成した。
【0119】
<硬化物の硬度>
得られた硬化物のショアA硬度は、ASTM D2240に従って測定されるタイプA硬度計を使用して測定した。得られた硬化物の針貫入は、JIS K2220に準拠した1/4コーンで規定された針貫入を使用して測定した。
【0120】
<硬化物の外観>
硬化物を目視検査によって観察した。
【0121】
<参考実施例1>
グローブボックス内のN
2雰囲気下の反応容器に、1.56gのジクロロフェニルホスフィンおよび150mLのヘキサンを入れ、次いで8.25gの下記の式によって表される3-ヒドロキシプロピル基含有ジメチルポリシロキサンを入れ、
【化7】
2.38gのトリエチルアミンおよび20mLのヘキサンを撹拌しながら添加した。白色の沈殿物が産生された。反応混合物を室温で30分間撹拌した。
1H-NMR分析の結果として、3-ヒドロキシプロピル基を含むジメチルポリシロキサンが完全に反応していることがわかった。白色の沈殿物を濾別した後、ヘキサンを減圧で蒸留し、無色の液体を得た。
【0122】
無色の液体を、70mLの無水トルエンを入れた250mLのシュレンクフラスコに装填した。1.55gの2,4,6-トリメチルベンゾイルクロリドを、混合物を撹拌しながら添加し、80℃でN
2流下で12時間反応させた。
31P-NMR分析によって反応の完了を確認した後、反応混合物を飽和炭化水素ナトリウム水溶液によって洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、次いで濾過した。低沸点成分を減圧下で除去して、3.26gの淡黄色の液体を得た。
1H-NMR分析の結果として、液体は、
下記の式によって表される有機ケイ素化合物:
【化8】
;
下記の式によって表される有機ケイ素化合物:
【化9】
;および
下記の式によって表される約25mol%のジメチルポリシロキサンを含むことがわかった。
【化10】
【0123】
<実施例1~6および比較例1>
光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、表1に示される組成(質量部)を使用して、下記の成分から調製した。実施例1~4および比較例1の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、1モルのビニル基に関して、1モルの3-メルカプトプロピル基を提供するように調製されたことに留意されたい。
【0124】
下記の成分を、成分(A)として使用した。
成分(a-1):両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされ、23℃で43,000mPa・sの粘度を有する直鎖ジメチルポリシロキサン
成分(a-2):両方の分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされ、23℃で2,300mPa・sの粘度を有する直鎖ジメチルポリシロキサン
成分(a-3):1分子あたり4つの分子末端がジメチルビニルシロキシ基でキャップされ、23℃で200mPa・sの粘度を有する分岐ジメチルポリシロキサン
成分(a-4):両方の分子末端がトリメチルシロキシ基でキャップされ、23℃で100mPa・sの粘度を有し、チオールに由来する水素原子の含有量が0.12質量%である直鎖ジメチルシロキサンおよびおよびメチル(3-メルカプトプロピル)シロキサンコポリマー
成分(a-5):1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジ(3-メタクリルオキシプロピル)-ジシロキサン
成分(a-6):3-メタクリルオキシプロピル-トリス[トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シラン
【0125】
下記の成分を、成分(B)として使用した。
成分(b-1):参考実施例1において調製した有機ケイ素化合物
成分(b-2):下記の式によって表されるホスフィン化合物
【化11】
【0126】
【0127】
【0128】
産業上の利用可能性
本発明の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、長波長光、例えば、405nmの波長を有する可視光を照射することによって迅速に硬化し、透明性を有する硬化物を形成し、光学ディスプレイ用保護フィルムまたは接着剤として有用であり、特に、カバー材料がポリカーボネートなどのプラスチック材料であるディスプレイに適用することもできる。