(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液およびリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240826BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240826BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240826BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240826BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
(21)【出願番号】P 2022550827
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 KR2021000783
(87)【国際公開番号】W WO2021182746
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0029711
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヒョク・イム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンヘ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ドンヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】エラン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スヨル・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンミン・シン
(72)【発明者】
【氏名】キュ-ウン・シム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミョンファン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォンソク・チョ
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンボン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル・シャトゥノフ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンミン・ハン
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-511103(JP,A)
【文献】特表2018-533823(JP,A)
【文献】特開2014-032781(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0085670(KR,A)
【文献】国際公開第2018/213661(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0567
H01M 10/052
H01M 4/525
H01M 4/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性有機溶媒、リチウム塩、および添加剤を含む、リチウム二次電池用電解液であって、前記添加剤が、
下記化学式1:
【化1】
で表され、
上記化学式1中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であ
り、
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1質量%~10質量%の含量で含まれる、リチウム二次電池用電解液。
【請求項2】
前記化学式1は下記化学式1-1で表される、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液:
【化2】
上記化学式1-1中、
nは、1~5の整数のうちの一つであり、
R
1およびR
2の定義は請求項1の通りである。
【請求項3】
前記化学式1のR
1およびR
2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項4】
前記化学式1のR
1およびR
2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項5】
前記化学式1のR
1およびR
2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項6】
前記化学式1のR
1およびR
2は同一なものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項7】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1質量%~3.0質量%の含量で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項8】
正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;
請求項1~
7のいずれか一項に記載の電解液
を含むリチウム二次電池。
【請求項9】
前記正極活物質は、ニッケル含有金属とリチウムとの複合酸化物である、請求項
8に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記正極活物質は下記化学式4で表されるものである、請求項
8に記載のリチウム二次電池:
[化学式4]
Li
aM
1
1-y1-z1M
2
y1M
3
z1O
2
上記化学式4中、
0.9≦a≦1.8、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦y1+z1<1、M
1、M
2およびM
3はそれぞれ独立してNi、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLa、およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液およびリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は再充電が可能であり、従来の鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較して単位重量当りエネルギー密度が3倍以上高く高速充電が可能であるため、ノートパソコンや携帯電話機、電動工具、電気自転車用として商品化されており、追加的なエネルギー密度向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
このようなリチウム二次電池はリチウムをインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(deintercalation)することができる正極活物質を含む正極とリチウムをインターカレーションおよびデインターカレーションすることができる負極活物質を含む負極とを含む電池セルに電解液を注入して使用される。
【0004】
特に、電解液はリチウム塩が溶解された有機溶媒を使用しており、リチウム二次電池の安定性および性能を決定するのに重要である。
【0005】
電解液のリチウム塩として最も多く使用されているLiPF6は、電解液溶媒と反応して溶媒の枯渇を促進させ多量のガスを発生させる問題を有している。LiPF6が分解されるとLiFとPF5を生成し、これは電池で電解液枯渇を引き起こし、高温性能劣化および安全性にぜい弱な結果を招く。
【0006】
このようなリチウム塩の副反応を抑制し電池性能を向上させる電解液が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、リチウム二次電池の高温寿命特性が向上できる添加剤を提供するためのものである。
【0008】
他の一実施形態は、前記添加剤を含むリチウム二次電池用電解液を提供するためのものである。
【0009】
また他の一実施形態は、前記リチウム二次電池用電解液を含むリチウム二次電池を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表される添加剤を提供する。
【0011】
【0012】
上記化学式1中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0013】
一例として、前記化学式1は、下記化学式1-1で表すことができる。
【0014】
【0015】
上記化学式1-1中、
nは、1~5の整数のうちの一つであり、R1およびR2の定義は前述の通りである。
【0016】
具体的な一例として、前記化学式1のR1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0017】
さらに具体的な一例として、前記化学式1のR1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基であってもよい。
【0018】
例えば、前記化学式1のR1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であってもよい。
一実施形態で、前記化学式1のR1およびR2は同一なものであってもよい。
【0019】
本発明の他の一実施形態は、非水性有機溶媒、リチウム塩、および前述の添加剤を含むリチウム二次電池用電解液を提供する。
【0020】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~10重量%の含量で含まれてもよい。
【0021】
具体的な一例として、前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~3.0重量%の含量で含まれてもよい。
【0022】
本発明のまた他の実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および前述の電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
前記正極活物質は、ニッケル含有金属とリチウムとの複合酸化物であってもよい。
【0023】
前記正極活物質は、例えば、下記化学式4で表すことができる。
[化学式4]
LiaM1
1-y1-z1M2
y1M3
z1O2
上記化学式4中、
0.9≦a≦1.8、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦y1+z1<1、M1、M2およびM3はそれぞれ独立してNi、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
高温寿命特性が向上したリチウム二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による添加剤として合成された化合物に対する1H NMRスペクトルである。
【
図3】本発明の一実施形態による添加剤として合成された化合物に対する13C NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0027】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0028】
以下、一実施形態による添加剤について説明する。
本発明の一実施形態による添加剤は下記化学式1で表される。
【0029】
【0030】
上記化学式1中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0031】
本発明の一実施形態による添加剤はジチオエステル官能基(dithioester functional group)が含まれており、これらは電解液内で正極および負極の表面にそれぞれ被膜を形成することによって高温保存時被膜での抵抗増加を抑制することによって寿命特性が改善される効果を示すことができる。
【0032】
特に、前記ジチオエステル官能基に含まれるチオカルボニル基(=S)はカルボニル基(=O)に比べてさらに堅固な被膜形成を可能にするので耐熱性に優れた被膜を形成することができ、これにより、前記化学式1で表されるジチオエステル官能基を含む添加剤が使用された電池の高温特性を改善することができる。
一例として、前記添加剤は下記化学式1-1で表すことができる。
【0033】
【0034】
上記化学式1-1中、
nは、1~5の整数のうちの一つであり、R1およびR2の定義は前述の通りである。
【0035】
一実施形態による添加剤は、前記化学式1-1のように二つのジチオエステル官能基が偶数個の炭素数を有するジオキシアルキレン基によって連結される構造であってもよい。
【0036】
このような構造を有する添加剤は二つのチオカルボニル基が正極表面で正極活物質の金属間幾何学的構造に最適化されたスカベンジャーとして機能することになるので、遷移金属とリガンド結合することによって正極安定化を誘導し、これにより正極の分解を防止することによってリチウム二次電池内抵抗増加率を減らすことができる。
【0037】
一例として、前記R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0038】
具体的な一例として、前記R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基であってもよい。
【0039】
例えば、前記R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であってもよい。
一実施形態で、前記R1およびR2は同一なものであってもよい。
【0040】
前記R1およびR2が同一な置換基であって対称構造である場合、前記添加剤が正極活物質の幾何学的構造にさらに適するように配位できる構造になるので、正極安定化効果をさらに極大化させることができる。
【0041】
本発明の他の一実施形態によるリチウム二次電池用電解液は、非水性有機溶媒、リチウム塩、および前述の添加剤を含む。
【0042】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~10重量%の含量で含まれてもよく、具体的に0.1重量%~5.0重量%の含量で含まれてもよく、さらに具体的に0.1重量%~3.0重量%の含量で含まれてもよい。
【0043】
添加剤の含量範囲が前記のような場合、高温での抵抗増加を防止して寿命特性が改善されたリチウム二次電池を実現することができる。
【0044】
即ち、前記添加剤の含量が0.1重量%未満である場合、高温保存特性が低下する問題点があり、10重量%を超過する場合、界面抵抗増加によって寿命が低下する問題点がある。
【0045】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質役割を果たす。
【0046】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0047】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としてはR-CN(Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0048】
前記非水性有機溶媒は単独で、または一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する人々には広く理解される。
【0049】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合して使用するとき、電解液の性能が優れるようになり得る。
【0050】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒は1:1~30:1の体積比で混合することができる。
【0051】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式2の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0052】
【0053】
上記化学式2中、R7~R12は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0054】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0055】
前記電解液は電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネートまたは下記化学式3のエチレン系カーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含むこともできる。
【0056】
【0057】
上記化学式3中、R13およびR14は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R13およびR14のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、但しR13およびR14が全て水素ではない。
【0058】
前記エチレン系カーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0059】
前記リチウム塩は非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2C2F5)2、Li(CF3SO2)2N、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば、1~20の整数である)、LiCl、LiIおよびLiB(C2O4)2(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate:LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0060】
本発明のまた他の一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および前述の電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【0061】
前記正極は、電流集電体およびこの電流集電体の上に形成された正極活物質を含む正極活物質層を含む。
【0062】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションの可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。
【0063】
具体的には、ニッケル含有金属とリチウムとの複合酸化物を使用することができる。
前記正極活物質の例として下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物が挙げられる。
【0064】
LiaA1-bXbD2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);LiaA1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaE1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaE2-bXbO4-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaNi1-b-cCobXcDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α≦2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNibEcGdO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);LiaNibCocMndGeO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);LiaNiGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaCoGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-bGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn2GbO4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-gGgPO4(0.90≦a≦1.8、0≦g≦0.5);QO2;QS2;LiQS2;V2O5;LiV2O5;LiZO2;LiNiVO4;Li(3-f)J2(PO4)3(0≦f≦2);Li(3-f)Fe2(PO4)3(0≦f≦2);LiaFePO4(0.90≦a≦1.8)
【0065】
前記化学式において、AはNi、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;DはO、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;EはCo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;TはF、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;QはTi、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;ZはCr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0066】
もちろん、この化合物表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または、前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用することもできる。このコーティング層はコーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層を成す化合物は非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができればいかなるコーティング方法を使用してもよく、これについては当該分野に従事する人々によく理解される内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0067】
さらに具体的には、下記化学式4で表されるリチウム複合酸化物のうちの1種以上であってもよい。
【0068】
[化学式4]
LiaM1
1-y1-z1M2
y1M3
z1O2
上記化学式4中、
0.9≦a≦1.8、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦y1+z1<1、M1、M2およびM3はそれぞれ独立してNi、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つであってもよい。
【0069】
例えば、前記M1はNiであってもよく、前記M2およびM3はそれぞれ独立してCo、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属であってもよい。
【0070】
さらに具体的に、前記M1はNiであってもよく、前記M2はCoであってもよく、前記M3はMnまたはAlであってもよいが、これに限定されるのではない。
【0071】
本発明の一実施形態による正極活物質の具体的な例として、LixNiyCozAl1-y-zO2(1≦x≦1.2、0.5≦y≦1、そして0≦z≦0.5)が挙げられる。
【0072】
前記正極活物質の含量は、正極活物質層全体重量に対して90重量%~98重量%であってもよい。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質層はバインダーおよび導電材を含むことができる。この時、前記バインダーおよび導電材の含量は、正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であってもよい。
【0074】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0075】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0076】
前記電流集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0077】
前記負極は、電流集電体およびこの電流集電体の上に形成された負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0078】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0079】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては炭素物質であって、リチウムイオン二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質はいずれのものでも使用することができ、その代表的な例としては結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0080】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0081】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi、Si-C複合体、SiOx(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO2、Sn-R(前記Rはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiO2を混合して使用することもできる。前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0082】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物またはリチウムチタニウム酸化物などが挙げられる。
【0083】
前記負極活物質層で負極活物質の含量は、負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記負極活物質層はバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含むこともできる。前記負極活物質層でバインダーの含量は負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また導電材をさらに含む場合には負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0085】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0086】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムおよびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。前記高分子樹脂バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0088】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤使用含量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0089】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0090】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0091】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができるのはもちろんである。
【0092】
図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、負極112、負極112と対向して位置する正極114、負極112と正極114の間に配置されているセパレータ113、および負極112、正極114およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池セルと、前記電池セルが入っている電池容器120、および前記電池容器120を密封する密封部材140を含む。
【0093】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。そのような下記の実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0094】
リチウム二次電池の製作
製造例:化学式aで表される化合物(Carbonodithioic acid、O,O’-1,2-ethanediyl-S,S’-dimethyl ester(9Cl))の合成
【0095】
【0096】
エチレングリコール(1.0eq)をDMSOに溶かした後、室温でカーボンジスルフィド(1.2eq)を滴加した後12時間攪拌した。反応が終了すると、反応混合物に水を添加した後、抽出を通じて有機層を分離した。集めた有機層はMgSO4で乾燥し、ろ過した後残った濾液を濃縮させた後、n-hexane/benzeneに再結晶して浅い黄色の固体を得た(Yield=66%)。
【0097】
前記化合物の合成有無は、
図2および
図3に示した1H NMRおよび13C NMRスペクトルから確認した。
【0098】
図2は、本発明の一実施形態による添加剤として合成された化合物に対する1H NMRスペクトルである。
【0099】
図3は、本発明の一実施形態による添加剤として合成された化合物に対する13C NMRスペクトルである。
【0100】
図2および
図3を参照すれば、NMRスペクトルで具体的なピークの情報は下記の通りである。
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ4.99(s、4H)、δ2.58(s、6H);13C NMR(100MHz、CDCl3):δ216.01、70.15、19.94;
【0101】
実施例1
正極活物質としてLiNi0.88Co0.105Al0.015O2、バインダーとしてポリビニリデンフルオライドおよび導電材としてカーボンブラックをそれぞれ97:1.6:1.4の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0102】
前記正極活物質スラリーを20μm厚さのアルミニウム箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0103】
負極活物質としてグラファイト、スチレン-ブタジエンゴムバインダーおよびカルボキシメチルセルロースをそれぞれ98:1:1の重量比で混合して、蒸留水に分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0104】
前記負極活物質スラリーを10μm厚さの銅箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して負極を製造した。
【0105】
前記製造された正極および負極と厚さ25μmのポリエチレン材質のセパレータ、そして電解液を使用してリチウム二次電池を製造した。
電解液組成は下記の通りである。
【0106】
(電解液組成)
塩:LiPF6 1.5M
溶媒:エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート(EC:EMC:DMC=2:1:7の体積比)
添加剤:前記化学式aで表される化合物0.1重量%
(但し、前記電解液組成で“重量%”は電解液全体(リチウム塩+非水性有機溶媒+添加剤)含量を基準にしたものである。)
【0107】
実施例2
添加剤の含量を0.5重量%に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0108】
実施例3
添加剤の含量を1.0重量%に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0109】
実施例4
添加剤の含量を2.0重量%に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0110】
実施例5
添加剤の含量を3.0重量%に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0111】
比較例1
添加剤を使用しないことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0112】
比較例2
添加剤を下記化学式bで表される化合物に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0113】
【0114】
(ethyl xanthate(C3H6OS2)、ethoxymethanedithioic acid、CAS 151-01-9)
【0115】
比較例3~5
添加剤の含量をそれぞれ0.5重量%、2.0重量%および3.0重量%にそれぞれ変更したことを除いては前記比較例2と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0116】
評価:高温寿命特性評価
実施例1~5および比較例1~5によって製造されたリチウム二次電池を45℃で定電流-定電圧で0.5C、4.3Vおよび0.05Cカット-オフ充電条件および定電流0.5Cおよび2.8Vカット-オフ放電条件の充放電を150回実施した後、放電容量を測定して1回放電容量に対する150サイクルでの容量比(容量維持率)を計算して表1に示した。
【0117】
【0118】
表1を参照すれば、実施例1~5によるリチウム二次電池の場合、添加剤を含まない比較例1、そして化学式bで表される化合物を添加剤として含む比較例2~5によるリチウム二次電池と比較する時、高温での容量低下が改善されることによって高温寿命特性が向上するのを確認することができる。
【0119】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0120】
100:リチウム二次電池
112:負極
113:セパレータ
114:正極
120:電池容器
140:封入部材