(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置およびガスの排気方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240826BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2023535740
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2022020737
(87)【国際公開番号】W WO2023223481
(87)【国際公開日】2023-11-23
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽 子維
(72)【発明者】
【氏名】河内 昭人
(72)【発明者】
【氏名】今本 賢司
(72)【発明者】
【氏名】山本 譲
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-180567(JP,A)
【文献】特開2017-84882(JP,A)
【文献】特開2012-238772(JP,A)
【文献】国際公開第2008/032516(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源と、前記試料が載置される試料台と、ガスを前記処理室へ供給するガス供給機構と、前記ガスを排気する排気装置とを備えるプラズマ処理装置において、
ガスボンベから充填されたガスを段階的に排気し、前記排気装置の排気側の圧力と前記ガスボンベのガス圧力を基にガスの排気を終了させるシーケンスが実行される
制御装置をさらに備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記ガス供給機構は、前記ガスボンベとガス流量制御装置の間に配置された第1のバルブと、前記ガスボンベから充填されたガスを前記処理室を介さずに排気するための配管に配置された第2のバルブと、前記ガス流量制御装置と前記処理室の間に配置された第3のバルブとを具備し、
前記ガスボンベから充填されたガスが前記シーケンスにより所定回数、排気され、
前記所定回数は、前記ガスボンベから前記第1のバルブまでの配管の長さに対する、前記第1のバルブから前記第3のバルブまでの配管の長さの比を基に求められた回数であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記制御装置は、前記排気装置の排気側の圧力と前記ガスボンベのガス圧力が概ね同等となった場合、前記ガスの排気を終了させることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記排気装置の排気側の圧力は、ターボ分子ポンプとドライポンプの間の圧力であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記ガスボンベの元栓が開いている場合、前記制御装置により前記シーケンスが実行されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載のプラズマ処理装置において、
前記ガスボンベの元栓が開いている場合、前記制御装置により前記シーケンスが実行されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
プラズマ処理に用いられるガスを排気するガスの排気方法において、
ガスボンベから充填されたガスを段階的に排気し、排気装置の排気側の圧力と前記ガスボンベのガス圧力を基にガスの排気を終了させることを特徴とするガスの排気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はプラズマ処理装置およびガスの排気方法に関し、特に、ガス配管起因で発生する金属汚染を低減することが可能なプラズマ処理装置およびガスの排気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置などの半導体製造装置の1次側のガス配管は、半導体製造装置や処理室(チャンバー)を追設する度にガス配管の分岐、追設工事を行う必要がある。また施工後のガス配管内には異物、金属汚染(Cr,Fe)の金属汚染源が残りやすい状況となる。
【0003】
特開2017-84882号公報には、上記金属汚染源の低減を目的として、一次側の供給バルブを閉じ、充填されたガスを半導体製造装置で排気する作業が提案されている。この際、各ガスラインは1本ずつマニュアル操作など手動で排気を行う場合が考えられる。この作業によりガス配管内のクロム不動態皮膜の状態を安定化させることができ、ガス配管起因の金属汚染源を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2017-84882号公報に記載された技術でガス配管起因のコンタミ源は低減できるが、顧客ハウスである半導体製造工場のガスラインの一次側バルブの開閉をすべて操作者による手動で実施すると、ミスオペレーションによりガス混入の事象が発生することが考えられる。また、この場合、排気作業はマニュアル操作となるため、操作者はその場を離れることができず、作業効率が悪化する課題が考えられる。
【0006】
本開示の課題は、ガス配管の排気作業を自動化することにより、ミスオペレーションを低減することができるプラズマ処理装置の技術を提供することにある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
一実施の形態に係るプラズマ処理装置は、試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源と、前記試料が載置される試料台と、ガスを前記処理室へ供給するガス供給機構と、前記ガスを排気する排気装置とを備えるプラズマ処理装置において、ガスボンベから充填されたガスを段階的に排気し、前記排気装置の排気側の圧力と前記ガスボンベのガス圧力を基にガスの排気を終了させるシーケンスが実行される制御装置さらに備える。
【0010】
また、一実施の形態に係るプラズマ処理装置は、ガスボンベとマスフローコントローラと間に配置された第1バルブと、充填されたガスをドライポンプ側から排気するための第2バルブと、マスフローコントローラの下流側に配置された第3バルブと、第3バルブ側に充填されたガスを排気するための第4バルブと、第1バルブとマスフローコントローラとの間に設けられ、ガスボンベの圧力を監視する第1圧力計と、ドライポンプとターボ分子ポンプとの間に配置された第2圧力計と、制御装置と、を備る。
【0011】
制御装置は、ガスボンベから第3バルブまでガスを充填させ、第1バルブを閉にする充填ステップと、充填ステップの後に、第2バルブと第4バルブを開にし、充填されたガスを排気する排気ステップと、第1圧力計と第2圧力計の圧力差が均等になるまで監視し、均等になった後、第2バルブと第4バルブを閉にする監視ステップと、充填ステップ、排気ステップおよび監視ステップを所定回数繰り返す繰り返しステップと、を実行する。
【0012】
つまり、顧客ハウスである半導体製造工場のガスラインの一次側バルブの手動による開閉は行わず、自動シーケンスにてプラズマ処理装置内に配置された第1バルブを閉し、ガス配管の排気を行う。上記終了後、自動シーケンスにて、プラズマ処理装置内の第1バルブを開け、ガス配管にガスを充填する。ガス配管にガスを充填した後、再度第1バルブを閉し、ガス配管の排気を行う。これを繰り返すことによりガス配管内に残留している金属汚染源をプラズマ処理装置の排気配管を介して、充填されたガスと共にドライポンプによって排気する。
【発明の効果】
【0013】
実施形態に係るプラズマ処理装置によれば、ガス配管内に存在する金属汚染源を低減することができる。また、ガス配管の排気作業を自動化することにより、ミスオペレーションを低減することができる。また、ガス配管の排気作業は、操作者不在でも24時間対応で実施可能である。
【0014】
さらに、排気時間短縮をするため複数本同時に選択することもできるが、可燃と支燃ガスを混合すると爆発の危険性がある。しかし、本発明では可燃、支燃のカテゴリーに分けることで、同一カテゴリー内であれば複数本排気できるので、排気時間の短縮を図ることができる。したがって、ガス配管起因の金属汚染源を短時間で低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1によるシングルガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置の処理用ガスの導入機構および排気機構を説明する概略図である。
【
図2】実施例2によるマルチガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置の処理用ガスの導入機構および排気機構を説明する概略図である。
【
図3】実施例1によるシングルガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業における各バルブの操作の流れを示すフローチャート図である。
【
図4】実施例2によるマルチガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業における各バルブの操作の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に関わる実施形態について各図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1によるシングルガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置の処理用ガスの導入機構および排気機構を説明する概略図である。
図3は、実施例1によるシングルガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業における各バルブの操作の流れを示すフローチャート図である。
【0018】
本実施例1では半導体製造装置の一例として、プラズマ処理装置であるマイクロ波プラズマエッチング装置(以下、エッチング装置ともいう)10を例として説明する。ここでは、シングルガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置10について
図1と
図3を用いて説明する。シングルガスインジェクション機構とは、エッチング処理装置10の処理室108へのガス供給部分が1つである構成を意味している。エッチング処理装置10は、半導体ウエハ等の試料がプラズマ処理される処理室108と、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源(RFバイアス電源)と、試料が載置される試料台と、ガスを処理室108へ供給するガス供給機構と、ガスを排気する排気装置とを備える。
【0019】
(エッチング装置10の処理用ガスの導入機構および排気機構の構成例)
図1に示すように、エッチング装置10は、ガス供給元であるガスボンベ101が、ガス供給配管であるガス配管102に連結されており、処理室108内にガスを供給する経路をガス供給機構として備えている。ここでは、ガスボンベ101と処理室108との間に設けられたガス配管がガス配管102とされている。
【0020】
ガス配管102の経路上には、ガス配管102の内部の流路を開放または遮断するバルブ103およびバルブ105が配置されており、バルブ105は処理室108内での処理の断続に応じてガス配管102の流路を開閉する。ガスボンベ101とバルブ103とは、半導体製造工場500側の施設ということができる。
図1において、ガスボンベ101とバルブ103とを除く他の構成は、エッチング装置10に設けられている構成である。
【0021】
また、ガス配管102の経路上には、バルブ105の上流側で複数のガスの導入経路であるマスフローコントローラボックス104を有している。マスフローコントローラボックス104はガス流量制御装置と言い変えることができる。フローコントローラボックス104は、ガスライン104-1~nのn個のガスの経路を含み、各々に異なる元素、または組成(異なる種類)の物質のガスが通流する。ガスライン104-1~nの複数を流れる互いに異なる種類のガスは合流部において混合された処理用ガスとなってガス配管102の内部を処理室108に向けて通流する。
【0022】
処理室108に導入された処理用ガスは、排気装置である真空ポンプであるターボ分子ポンプ111およびドライポンプ114の動作によって排気される。排気されるガスの量および速度は、ターボ分子ポンプ111の回転数と、可変コンダクタンスバルブ110の角度に応じた開口の面積とにより変化する。また、処理室108内の圧力の値および真空度は、処理用ガスの供給の量および速度と、可変コンダクタンスバルブ110からの排気の量および速度とのバランスにより調整される。処理室108と可変コンダクタンスバルブ110との間にバルブ109が設けられ、ターボ分子ポンプ111とドライポンプ114との間にバルブ112が設けられる。
【0023】
ガスライン104-1~nの各々の経路上には、内部を流れるガスの流量および速度を可変に増減する調節器であるマスフローコントローラ104-1b~nbが配置され、その前後に、ガスライン104-1~nの各々を開放または遮断するバルブ104-1a~naおよびバルブ104-1c~ncが各々配置されている。さらに、内部ガス配管であるガスライン104-1~nの各々は、上流側においてガス供給元であるガスボンベ101に連結されている。ガスライン104-1~nの各々には、ガスボンベ101の圧力を監視する第1圧力計104-1e~neが設けられている。バルブ104-1c~ncと処理室108との間にバルブ105が配置されている。
【0024】
また、ガス配管102の経路上のガスライン104-1~nまたはマスフローコントローラボックス104が合流する合流部とバルブ105との間に、排気配管であるバイパスライン118,115が連結されている。バイパスライン115は、ドライポンプ114の入口と一端部が連結された排気配管であるバイパスライン117との連結部を備えている。さらに、バイパスライン118、115の経路上には、内部の流路を開放または遮断するバルブ106を備えている。ガスライン104-1~nの各々は、バイパスライン117に連結されたガスのパージ用の経路であるパージ用ライン116を備えており、パージ用ライン116の各々の経路上には内部の流路を開放または遮断するバルブ104-1d~ndを備えている。
【0025】
ドライポンプ114は、通常、ターボ分子ポンプ111の排気口と連結された排気ポンプである。ターボ分子ポンプ111では、排気の効率が低く、排気できない相対的に高い圧力の範囲でのガス配管102、フローコントローラボックス104、ガスライン104-1~nまたは処理室108内の排気を行うことができない。そこで、ターボ分子ポンプ111とドライポンプ114の入り口とを連結するラインの経路上であって、バイパスライン117が連結する連結部よりもターボ分子ポンプ111側に、内部の流路を開放または遮断するバルブ112を配置する。バルブ112とドライポンプ114との間には、第2圧力計113が設けられている。そして、このバルブ112で流路を遮断することによって、バイパスライン117からガス配管102、フローコントローラボックス104、ガスライン104-1~nまたは処理室108内を、大気圧から、ターボ分子ポンプ114が使用できる高い真空度の減圧状態まで効率的に排気することができる(処理室106の粗引きラインは図示せず)。なお、パージ用ライン116とバイパスライン117の経路上に、バイパスライン117の内部の流路を開放または遮断するバルブ107が配置されている。
【0026】
エッチング装置10は、制御装置CNT1を有しており、制御信号CS1-CSmによって、バルブ103、バルブ104-1a~na、マスフローコントローラ104-1b~nb、バルブ104-1c~nc、バルブ104-1d~nd、バルブ105-107、109、112、可変コンダクタンスバルブ110のバルブの開閉の動作、および、ターボ分子ポンプ111、ドライポンプ114の動作を制御することができる。また、制御装置CNT1は、マスフローコントローラ104-1b~nbの計測値を取得することができ、また、圧力計104-1e~ne、113に接続され、圧力計104-1e~ne、113によって計測された圧力値を取得することができる。
【0027】
制御装置CNT1は、
図3に示すシーケンスを実行し、
図3に示すシーケンスに従って各バルブの開閉を自動で制御することができる。制御装置CNT1は、図示しないが、入力手段による入力設定(レシピともいう)に基づいて、マイクロ波電源のオンおよびオフの制御や周波数の制御、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源とされるRFバイアス電源のオンおよびオフの制御や周波数の制御、マイクロ波電源およびRFバイアス電源のパラメータの制御を実施することができる。制御部122は、さらに、エッチングを実施するためのガスの流量、処理圧力、コイル電流、試料が載置される試料台の温度、エッチング時間等、エッチングパラメータの制御を実施することができる。
【0028】
制御装置CNT1では、ガスボンベ101から充填されたガス配管104-1のガスを分割して段階的に排気し、ドライポンプ114の排気側の圧力である排圧とガスボンベ101のガス圧力を基にガスの排気を終了させる
図3のシーケンスが実行される。ガスボンベ101の元栓であるバルブ103が開いている場合、制御装置CNT1により
図3に示すシーケンスが実行される。
【0029】
(フローチャートの説明)
本実施例1ではまず、ガスボンベ101とマスフローコントローラボックス104の上位側のガス接続バルブ104-1aとの間に配置されたバルブ103はそのまま開の状態を保持し(バルブ104-1aは開状態であり、マスフローコントローラ104-1bは開状態であり、バルブ104-1cと処理室108との間のバルブ105は閉状態である)、ガスボンベ101とマスフローコントローラ104-1bの間に配置されたバルブ104-1aを閉する(301)。これにより、ガスライン104-1を含むガス配管102内には、ガスボンベ101のガスが充填される。(301)は充填ステップということができる。なお、充填ステップには、(301)と後述される(309)と(310)とを含めることもできる。
【0030】
次に、ガス配管102,104-1内に残留する金属汚染源をエッチング処理装置10の処理室108を介さずに排気を行うためドライポンプ114と処理室108の間に配置されたバルブ112を閉し、処理室108と処理室108内の圧力をコントロールする可変コンダクタンスバルブ装置110の間に配置されたバルブ109を閉する(302)。
【0031】
次に、ドライポンプ114とガス供給側(バルブ104-1d側、ガス配管104-1側)に配置されているバルブ107とバルブ104-1c側に配置されたバルブ106とを開し(303)、バルブ104-1aからバルブ104-1d内(ガス配管104-1内)とバルブ104-1c内に残留したガスの排気を行うためバルブ104-1cとバルブ104-1dを開する。そして、ドライポンプ114により、ガス配管115、116、117、118を介してバルブ104-1aからバルブ104-1d内(ガス配管104-1内)とバルブ104-1c内に残留したガスの排気を行う(304)。(304)は、排気ステップということができる。排気ステップには、(304)と、302)と(303)とを含めることもできる。
【0032】
ドライポンプ114を用いた排気の際(排気ステップの際)、圧力計104-1eと圧力計113の圧力差が均等(圧力計104-1eの計測した圧力値=圧力計113の計測した圧力値)になるまで監視(305)する。均等でない場合(No)は304を継続する。均等になったら(YES)、バルブ107、バルブ106を閉し、ドライポンプ114を用いた排気を終了する(306)。(305)と(306)とは、監視ステップということができる。制御装置CNT1は、ドライポンプ114の排圧を計測する圧力計113の圧力計測値とガスボンベ101のガス圧力を計測する圧力計104-1eの圧力計測値を基にガス排気(排気ステップ)を終了させる。
【0033】
次に、上記排気シーケンス中に上昇してしまったエッチング処理装置10の処理室108内の圧力を下げるため、バルブ112とバルブ109を開け(307)、所定時間の間、エッチング処理装置10の処理室108内の排気を行う(308)。(307,308)は処理室排気ステップということができる。この処理室排気ステップ(307,308)の排気には、例えば、ターボ分子ポンプ111やドライポンプ114を利用することができる。その後、バルブ104-1aを開し、バルブ104-1aからバルブ104-1dとマスフローコントローラ104-1bの間のガス配管104-1内にガスを充填させる(309)。その際、バルブ104-1cにもガスを充填させるため、バルブ104-1aを開して、1秒後に、マスフローコントローラ104-1bを全開にする(310)。
【0034】
以上のように、本発明はガスの充填(充填ステップ)、排気(排気ステップ)、監視(監視ステップ)を繰り返すシーケンスであるため、(311)で実施したサイクル数n(nは正の整数)が指定サイクル数N(Nは正の整数)に達しているか否かの判定が行われる。(311)は繰り返しステップということができる。(311)で実施サイクル数nが指定サイクル数Nに達していない場合(n<N、311:No)は(301)に戻り、(301-311)で説明した充填シーケンス(充填ステップ)、排気シーケンス(排気ステップ)および監視(監視ステップ)を指定サイクル数(N回)繰り返す。(311)で実施サイクル数nが指定サイクル数Nに達した場合(n=N、311:Yes)は(312)へ移行する。繰り返しステップを実施することにより、ガス配管(102)内に残留している金属(Cr,Fe)などの金属汚染源をプラズマ処理装置10の排気配管(115、116,117,118)を介して、充填されたガスと共にドライポンプ(114)によってプラズマ処理装置10の外部へ排気することができる。
【0035】
指定サイクル数(所定回数)Nは、バルブ104-1aからバルブ104-1cまでのガス配管104-1の長さと、ガスボンベ101からバルブ104-1aまでのガス配管102の長さの比を計算して求められた回数である。
【0036】
繰り返しステップ(311)の後に、指定のガス種が終了したか否かを判断する判断ステップ(312)を実行する。(312)では、指定のガス種が終了したか否かを判断し、指定のガス種が終了した場合(312:YES)、本シーケンスは終了する。一方、指定のガス種が終了していない場合(312:No)、(301)に移行する。そして、他の指定のガス種へ切り替えて、(301-311)が繰り返される。つまり、もし他のガス種も行う場合は前述したガスの充填シーケンスと排気シーケンスの終了後(301-311)に再度(301)に戻り、他のガス種について、(301-311)と同じ動作を繰り返す。
【0037】
以上の様に、制御装置CNT1は、ガスボンベ101から充填されたガス配管102,104-1のガスをカス管116側とガス管118側とから分割して段階的に排気し、ドライポンプ114の排圧(圧力計113で計測)とガスボンベ101のガス圧力(圧力計104-1eで計測)を基にガス排気を終了させる
図3に記載のシーケンスを実行する。
【0038】
プラズマ処理に用いられるガスを排気するガスの排気方法としては、ガスボンベ101から充填されたガスを段階的に排気し、排気装置(114)の排気側の圧力とガスボンベ101のガス圧力を基にガスの排気を終了させるガスの排気方法である。
【0039】
本実施例1に係るシーケンスの適用により、ガス配管内に存在する金属汚染源を低減することができる。
【0040】
バルブ開閉を
図3に記載のシーケンスを実行する制御装置CNT1により自動で実施する。そのため、操作者不在でも24時間対応可能であり、人為的なミスオペレーションが発生しないので、ガスの混入の発生を抑制できる。
【0041】
ガスの充填、排気作業は
図3に記載のシーケンスを実行する制御装置CNT1のより自動で実行されるため、操作者はその場を離れることができ、作業効率が向上する。
【0042】
さらに、可燃ガス、支燃ガスの同一カテゴリー内であれば複数本同時に選択ができるため、排気時間短縮ができる。同一カテゴリーのガスが、充填ステップにおいてガスライン104-1,104-2,104-3に充填された場合、排気ステップにおいて、ガスライン104-1,104-2,104-3に充填されたガスを、ライン116、118、117を経由してドライポンプ114で同時に排気できる。したがって、ガス配管起因の金属汚染源を短時間で低減することができる。
【0043】
実施例1では、バルブ開閉を
図3に記載のシーケンスを実行する制御装置CNT1により自動で実施する構成を述べたが、操作者により
図3に記載のシーケンスを実行するようにしても、もちろん良い。
【実施例2】
【0044】
図2は、実施例2によるマルチガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置の処理用ガスの導入機構および排気機構を説明する概略図である。
図4は、実施例2によるマルチガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業における各バルブの操作の流れを示すフローチャート図である。
【0045】
本実施例2ではマルチガスインジェクション機構を有するマイクロ波プラズマエッチング装置(以下、エッチング処理装置という)11について
図2と
図4を用いて説明する。マルチガスインジェクション機構とは、エッチング処理装置11の処理室209へのガス供給部分が複数(
図2では2つ)である構成を意味している。
(エッチング装置11の処理用ガスの導入機構および排気機構の構成例)
図2に示すように、エッチング装置11は、ガス供給元であるガスボンベ201が、ガス配管202に連結されており、処理室209内にガスを供給する経路を備えている。ここでは、ガスボンベ201と処理室209との間に設けられたガス配管がガス配管202とされている。
【0046】
ガス配管202の経路上には、ガス配管202の内部の流路を開放または遮断するバルブ203およびバルブ205、215が配置されており、バルブ205、215は処理室209内での処理の断続に応じてガス配管202の流路を開閉する。ガスボンベ201とバルブ203とは、半導体製造工場500側の施設ということができる。
図2において、ガスボンベ201とバルブ203とを除く他の構成は、エッチング装置11に設けられている構成である。
【0047】
また、ガス配管202の経路上には、バルブ205の上流側で複数のガスの導入経路であるマスフローコントローラボックス204を有している。フローコントローラボックス204は、ガスライン204-1~nのn個のガスの経路を含み、各々に異なる元素、または組成(異なる種類)の物質のガスが通流する。ガスライン204-1~nの複数を流れる互いに異なる種類のガスは合流部において混合された処理用ガスとなってガス配管202の内部を処理室209に向けて通流する。
【0048】
処理室209に導入された処理用ガスは、真空ポンプであるターボ分子ポンプ211およびドライポンプ214の動作によって排気される。排気されるガスの量および速度は、ターボ分子ポンプ211の回転数と、可変コンダクタンスバルブ210の角度に応じた開口の面積とにより変化する。また、処理室209内の圧力の値および真空度は、処理用ガスの供給の量および速度と、可変コンダクタンスバルブ210からの排気の量および速度とのバランスにより調整される。ターボ分子ポンプ211とドライポンプ214との間にバルブ212が設けられる。
【0049】
ガスライン204-1~nの各々の経路上には、内部を流れるガスの流量および速度を可変に増減する調節器であるマスフローコントローラ204-1b~nbが配置され、その前後に、ガスライン204-1~nの各々を開放または遮断するバルブ204-1a~na、バルブ204-1c~ncおよびバルブ204-1f~nfが各々配置されている。さらに、ガスライン204-1~nの各々は、上流側においてガス供給元であるガスボンベ201に連結されている。ガスライン204-1~nの各々には、ガスボンベ201の圧力を監視する第1圧力計204-1e~neが設けられている。バルブ204-1c~ncと処理室209との間にバルブ205が配置され、バルブ204-1f~nfと処理室209との間にバルブ215されている。
【0050】
また、ガス配管202の経路上のガスライン204-1~nまたはフローコントローラボックス204が合流する合流部とバルブ205、215との間にバイパスライン218,216が連結されている。バイパスライン216は、ドライポンプ214の入口と一端部が連結されたバイパスライン218との連結部を備えている。さらに、バイパスライン216の経路上には、内部の流路を開放または遮断するバルブ206を備えている。ガスライン204-1~nの各々は、バイパスライン218に連結されたガスのパージ用の経路であるパージ用ライン217を備えており、パージ用ライン217の各々の経路上には内部の流路を開放または遮断するバルブ204-1d~ndを備えている。
【0051】
ドライポンプ214は、通常、ターボ分子ポンプ211の排気口と連結された排気ポンプである。ターボ分子ポンプ211では、排気の効率が低く、排気できない相対的に高い圧力の範囲でのガス配管202、フローコントローラボックス204、ガスライン204-1~nまたは処理室209内の排気を行うことができない。そこで、ターボ分子ポンプ211とドライポンプ214の入り口とを連結するラインの経路上であって、バイパスライン218が連結する連結部よりもターボ分子ポンプ211側に、内部の流路を開放または遮断するバルブ212を配置する。バルブ212とドライポンプ214との間には、第2圧力計213が設けられている。そして、このバルブ212で流路を遮断することによって、バイパスライン218からガス配管202、フローコントローラボックス204、ガスライン204-1~nまたは処理室209内を、大気圧から、ターボ分子ポンプ214が使用できる高い真空度の減圧状態まで効率的に排気することができる(処理室209の粗引きラインは図示せず)。なお、パージ用ライン217とバイパスライン218の経路上に、バイパスライン218の内部の流路を開放または遮断するバルブ207、208が配置されている。
【0052】
エッチング装置11は、制御装置CNT2を有しており、制御信号CS1-CSmによって、バルブ203、バルブ204-1a~na、マスフローコントローラ204-1b~nb、バルブ204-1c~nc、バルブ204-1d~nd、バルブ204-1f~nf、バルブ205-208、212、可変コンダクタンスバルブ210、ターボ分子ポンプ211、ドライポンプ214の動作を制御することができる。また、制御装置CNT2は、圧力計204-1e~ne、213に接続され、計測された圧力値を取得することができる。
【0053】
制御装置CNT1は、
図4に示すシーケンスを実行し、
図4に示すシーケンスに従って各バルブの開閉を自動で制御することができる。制御装置CNT2は、図示しないが、入力手段による入力設定(レシピともいう)に基づいて、マイクロ波電源のオンおよびオフの制御や周波数の制御、RFバイアス電源のオンおよびオフの制御や周波数の制御、マイクロ波電源およびRFバイアス電源のパラメータの制御を実施することができる。制御部122は、さらに、エッチングを実施するためのガスの流量、処理圧力、コイル電流、試料台温度、エッチング時間等、エッチングパラメータの制御を実施することができる。
【0054】
(フローチャートの説明)
まず、ガスボンベ201とマスフローコントローラボックス204のガス接続バルブ204-1aとの間に配置されたバルブ203はそのまま開の状態を保持し(バルブ204-1aは開状態であり、マスフローコントローラ204-1bは開状態であり、バルブ204-1cと処理室108との間のバルブ205、215は閉状態である)、ガスボンベ201とマスフローコントローラ204-1bの間に配置されたバルブ204-1aを閉する(401)。これにより、ガスライン204-1を含むガス配管202内には、ガスボンベ201のガスが充填される。(401)は充填ステップということができる。なお、充填ステップには、(401)と後述される(409)と(410)とを含めることもできる。
【0055】
次に、ガス配管202,204-1内に残留する金属汚染源を、処理室209を介さずに排気を行うため、ドライポンプ214と処理室209の間に配置されたバルブ212を閉し、処理室209と処理室209内の圧力をコントロールする可変コンダクタンスバルブ装置210を閉する(402)。
【0056】
次に、ドライポンプ214とガス供給側に配置されているバルブ208と、バルブ204-1c側に配置されたバルブ206と、バルブ204-1d側に配置されたバルブ207とを開し(403)、マスフローコントローラボックス204内のバルブ204-1aからバルブ204-1d内、バルブ204-1c内と、バルブ204-1cからバルブ204-1f内に残留したガスの排気を行うためバルブ204-1cとバルブ204-1dを開する。ここでは、バルブ204-1fは閉の状態である。なお、バルブ204-1fは開の状態としてもよい。そして、ドライポンプ214により、ガス配管216、217、218を介してバルブ104-1aからバルブ104-1d内(ガス配管104-1内)、バルブ104-1c内とバルブ204-1cからバルブ204-1f内に残留したガスの排気を行う(404)。(404)は、排気ステップということができる。排気ステップには、(404)と、(402)と(403)とを含めることもできる。
【0057】
ドライポンプ214を用いた排気の際(排気ステップの際)、圧力計204-1eと圧力計213の圧力差が均等(圧力計204-1eの計測した圧力値=圧力計213の計測した圧力値)になるまで監視(405)する。均等でない場合(405:No)は(404)を継続する。均等になったら(405:YES)、バルブ206、バルブ207、バルブ208を閉し、排気を終了する(406)。(405)と(406)とは、監視ステップということができる。制御装置CNT2は、ドライポンプ114の排圧を計測する圧力計213の圧力計測値とガスボンベ201のガス圧力を計測する圧力計204-1eの圧力計測値を基にガス排気(排気ステップ)を終了させる。
【0058】
次に、上記排気シーケンス中に上昇してしまった処理室209内の圧力を下げるため、バルブ212と可変コンダクタンスバルブ装置210を開し(407)、所定時間、処理室209内の排気を行う(408)。(407,408)は処理室排気ステップということができる。この処理室排気ステップ(407,408)の排気には、例えば、ターボ分子ポンプ111やドライポンプ114を利用することができる。その後、バルブ204-1aを開し、バルブ204-1aからバルブ204-1d内と、マスフローコントローラ204-1bの間(ガス配管204-1内)にガス充填させる(409)。その際、バルブ204-1cとバルブ204-1f(ここでは、閉状態)側にもガスを充填させるため、バルブ204-1aを開して、1秒後に、マスフローコントローラ104-1bを全開にする(410)。
【0059】
以上のように本発明はガスの充填(充填ステップ)、排気(排気ステップ)、監視(監視ステップ)を繰り返すシーケンスであるため、(411)で実施したサイクル数n(nは正の整数)が指定サイクル数N(Nは正の整数)に達しているか否かの判定が行われる。(411)は繰り返しステップということができる。(411)で実施サイクル数nが指定サイクル数Nに達していない場合(n<N、411:No)は(401)に戻り、(401-411)で説明した充填シーケンス(充填ステップ)、排気シーケンス(排気ステップ)および、監視(監視ステップ)を指定サイクル数(N回)繰り返す。(411)で実施サイクル数nが指定サイクル数Nに達した場合(n=N、411:Yes)は(412)へ移行する。
【0060】
指定サイクル数(所定回数)Nは、バルブ104-1aからバルブ104-1cまでのガス配管104-1の長さと、ガスボンベ101からバルブ104-1aまでのガス配管102の長さの比を計算して求められた回数である。
【0061】
繰り返しステップ(411)の後に、指定のガス種が終了したか否かを判断する判断ステップ(412)を実行する。(412)では、指定のガス種が終了したか否かを判断する。指定のガス種が終了した場合(YES)、本シーケンスは終了する。一方、指定のガス種が終了していない場合(No)、(401)に移行する。そして、他の指定のガス種へ切り替えて、(401-411)が繰り返される。つまり、もし他のガス種も行う場合は前述したガスの充填と排気シーケンス終了後(401-412)に再度(401)に戻り、他のガス種について、(401-412)と同じ動作を繰り返す。
【0062】
本シーケンスの適用によりガス配管202、204-1内に存在する金属汚染源を低減することができる。
【0063】
以上の様に、制御装置CNT2は、ガスボンベ201から充填されたガス配管202,204-1のガスを分割して排気し、ドライポンプ214の排圧(圧力計213で計測)とガスボンベ201のガス圧力(圧力計204-1eで計測)を基にガス排気を終了させる
図4に記載のシーケンスを実行する。
【0064】
実施例2によれば、エッチング処理装置11がマルチガスインジェクション機構であっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0065】
実施例2では、バルブ開閉を
図4に記載のシーケンスを実行する制御装置CNT2により自動で実施する構成を述べたが、操作者により
図4に記載のシーケンスを実行するようにしても、もちろん良い。
【0066】
本開示の構成は、以下の様にまとめることができる。
【0067】
1)試料がプラズマ処理される処理室(108)と、プラズマを生成するための高周波電力を供給する高周波電源と、前記試料が載置される試料台と、ガスを前記処理室(108)へ供給するガス供給機構と、前記ガスを排気する排気装置(114)とを備えるプラズマ処理装置(10)において、
ガスボンベ(101)から充填されたガスを段階的に排気し、前記排気装置(114)の排気側の圧力と前記ガスボンベ(101)のガス圧力を基にガスの排気を終了させるシーケンス(301,304,306,311)が実行される制御装置(CNT1)さらに備える、ことを特徴とするプラズマ処理装置。
【0068】
2)上記1)に記載のプラズマ処理装置において、
前記ガス供給機構は、前記ガスボンベ(101)とガス流量制御装置(104)の間に配置された第1のバルブ(104-1a)と、前記ガスボンベ(101)から充填されたガスを前記処理室(108)を介さずに排気するための配管(117)に配置された第2のバルブ(107)と、前記ガス流量制御装置(104)と前記処理室(108)の間に配置された第3のバルブ(104-1c)とを具備し、
前記ガスボンベ(101)から充填されたガスが前記シーケンスにより所定回数、排気され、
前記所定回数は、前記ガスボンベ(101)から前記第1のバルブ(104-1a)までの配管(102)の長さに対する、前記第1のバルブ(104-1a)から前記第3のバルブ(104-1c)までの配管(104-1)の長さの比を基に求められた回数であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【0069】
3)上記項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記制御装置(CNT1)は、前記排気装置(114)の排気側の圧力と前記ガスボンベ(101)のガス圧力が概ね同等となった場合、前記ガスの排気を終了させることを特徴とするプラズマ処理装置。
【0070】
4)上記1)に記載のプラズマ処理装置において、
前記排気装置(114)の排気側の圧力は、ターボ分子ポンプ(111)とドライポンプ(114)の間の圧力であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【0071】
5)上記1)に記載のプラズマ処理装置において、
前記ガスボンベ(101)の元栓が開いている場合、前記制御装置(CNT1)により前記シーケンスが実行されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【0072】
6)上記4)に記載のプラズマ処理装置において、
前記ガスボンベ(101)の元栓が開いている場合、前記制御装置(CNT1)により前記シーケンスが実行されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【0073】
7)プラズマ処理に用いられるガスを排気するガスの排気方法において、
ガスボンベ(101)から充填されたガスを段階的に排気し、排気装置(114)の排気側の圧力と前記ガスボンベ(101)のガス圧力を基にガスの排気を終了させることを特徴とするガスの排気方法。
【0074】
また、本開示の構成は、以下の様にも、纏めることができる。
【0075】
8)プラズマ処理装置は、
ガスボンベ(101)とマスフローコントローラ(104-1b)と間に配置された第1バルブ(104-1a)と、
充填されたガスをドライポンプ(114)側から排気するための第2バルブ(107)と、
前記マスフローコントローラ(104-1b)の下流側に配置された第3バルブ(104-1c)と、
前記第3バルブ(104-1c)側に充填されたガスを排気するための第4バルブ(106)と、
前記第1バルブ(104-1a)と前記マスフローコントローラ(104-1b)との間に設けられ、前記ガスボンベ(101)の圧力を監視する第1圧力計(104-1e)と、
前記ドライポンプ(114)とターボ分子ポンプ(111)との間に配置された第2圧力計(113)と、
制御装置(CNT1)と、を備え、
前記制御装置(CNT1)は、
前記ガスボンベ(101)から前記第3バルブ(104-1c)までガスを充填させ、前記第1バルブ(104-1a)を閉にする充填ステップ(301)と、
前記充填ステップ(301)の後に、前記第2バルブ(107)と前記第4バルブ(106)を開にし(303)、前記充填されたガスを排気する排気ステップ(304)と、
前記第1圧力計(104-1e)と前記第2圧力計(113)の圧力差が均等になるまで監視(305)し、均等になった後、前記第2バルブ(107)と前記第4バルブ(106)を閉にする監視ステップ(306)と、
前記充填ステップ、前記排気ステップおよび前記監視ステップを所定回数繰り返す繰り返しステップ(311)と、を実行する。
【0076】
9)上記8)に記載のプラズマ処理装置において、
前記所定回数は、前記第1バルブから前記第3バルブまでのガス配管(104-1)の長さと、前記ガスボンベから前記第1バルブまでのガス配管(102)の長さの比を計算して求められた回数である。
【0077】
10)上記8)に記載のプラズマ処理装置において、
処理室(108)と、
前記第3バルブ(104-1c)と前記処理室(108)との間に設けられた第5バルブ(105)と、
前記マスフローコントローラ(104-1b)と前記第2バルブ(107)との間に設けられた第6バルブ(104-1d)と、を有し、
前記制御装置(CNT1)は、
前記充填ステップ、前記排気ステップおよび前記監視ステップにおいて、前記第5バルブ(105)を閉の状態とし、
前記充填ステップにおいて、前記第6バルブ(104-1d)を閉の状態とし、
前記排気ステップにおいて、前記第6バルブ(104-1d)を開の状態とする。
【0078】
11)上記10に記載のプラズマ処理装置において、
前記ドライポンプ(114)と前記ターボ分子ポンプ(111)との間に配置された第7バルブ(109)と、
前記処理室(108)と前記ターボ分子ポンプ(111)との間に配置された第8バルブ(112)と、を有し、
前記制御装置(CNT1)は、
前記監視ステップの後に、前記第7バルブ(109)と前記第8バルブ(112)とを開の状態として、前記ドライポンプ(114)および前記ターボ分子ポンプ(111)により前記処理室(108)を排気する処理室排気ステップ(307,308)を実行する。
【0079】
12)上記11に記載のプラズマ処理装置において、
前記制御装置(CNT1)は、
前記処理室排気ステップ(307,308)の後に、第1バルブ(104-1a)と前記マスフローコントローラ(104-1b)とを開の状態とし、その後に、前記繰り返しステップ(311)を実行する。
【0080】
13)上記8)に記載のプラズマ処理装置において、
前記制御装置(CNT1)は、
前記繰り返しステップ(311)の後に、指定のガス種が終了したか否かを判断する判断ステップ(312)を実行し、
前記指定のガス種が終了した場合、前記充填ステップ、前記排気ステップおよび前記監視ステップを終了し、
前記指定のガス種が終了していない場合、他の指定のガス種へ切り替えて、前記充填ステップ、前記排気ステップおよび前記監視ステップを実行する。
【0081】
14)上記10)に記載のプラズマ処理装置において、
前記マスフローコントローラ(104-1b)と前記処理室(108)との間に設けられた第9バルブ(104-1f)と、
前記第9バルブ(104-1f)と前記処理室(108)との間に設けられた第10バルブ(215)と、を有し、
前記第9バルブ(104-1f)と前記第10バルブ(215)との間が前記第2バルブ(107)を介して、前記ドライポンプ(114)により排気可能とされ、
前記制御装置(CNT1)は、
前記監視ステップにおいて、前記第5バルブ(105)と前記第10バルブ(215)を閉の状態とし、
前記充填ステップにおいて、前記第6バルブ(104-1d)を閉の状態とし、
前記排気ステップにおいて、前記第6バルブ(104-1d)を開の状態とする。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
101 ガスボンベ
102 ガス配管
103 バルブ
104 マスフローコントローラボックス
104-1~n ガスライン
104-1a~na バルブ
104-1b~nb マスフローコントローラ
104-1c~nc バルブ
104-1d~nd バルブ
104-1e~ne 圧力計
105 バルブ
106 バルブ
107 バルブ
108 処理室
109 バルブ
110 可変コンダクタンスバルブ
111 ターボ分子ポンプ
112 バルブ
113 圧力計
114 ドライポンプ
115 バイパスライン
116 バイパスライン
117 バイパスライン
201 ガスボンベ
202 ガス配管
203 バルブ
204-1~n ガスライン
204-1a~na バルブ
204-1b~nb マスフローコントローラ
204-1c~nc バルブ
204-1d~nd バルブ
204-1e~ne 圧力計
204-1f~nf バルブ
205 バルブ
206 バルブ
207 バルブ
208 バルブ
209 処理室
210 可変コンダクタンスバルブ
211 ターボ分子ポンプ
212 バルブ
213 圧力計
214 ドライポンプ
215 バルブ
216 バイパスライン
217 バイパスライン
218 バイパスライン
CNT1、CNT2:制御回路