(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H05K3/46 G
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
(21)【出願番号】P 2021076129
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】村上 昌弘
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-178097(JP,A)
【文献】特開2006-294769(JP,A)
【文献】特開2019-220504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを備えた絶縁性の基材と、
前記基材に形成された第1貫通孔と、
前記第1貫通孔内に設けられた第1導電層と、
前記第1主面と、前記第1導電層の前記第1主面側の面とを覆う第1絶縁層と、
前記第2主面と、前記第1導電層の前記第2主面側の面とを覆う第2絶縁層と、
前記第1絶縁層、前記基材及び前記第2絶縁層に形成された第2貫通孔と、
前記第2貫通孔内に設けられた磁性体と、
前記磁性体に形成された第3貫通孔と、
前記第3貫通孔内に設けられた第2導電層と、
を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第1主面上に形成され、前記第1導電層に接続された第1配線層と、
前記第2主面上に形成され、前記第1導電層に接続された第2配線層と、
前記第1絶縁層上に形成され、前記第2導電層に接続された第3配線層と、
前記第2絶縁層上に形成され、前記第2導電層に接続された第4配線層と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1導電層は、前記第1貫通孔の壁面上に設けられ、
前記第2導電層は、前記第3貫通孔の壁面上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1貫通孔の前記第1導電層の内側の部分を充填する絶縁性の第1充填材と、
前記第3貫通孔の前記第2導電層の内側の部分を充填する絶縁性の第2充填材と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層が、複数の絶縁層が積層されてなり、
前記第2絶縁層が、複数の絶縁層が積層されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを備えた絶縁性の基材に第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔内に第1導電層を設ける工程と、
前記第1主面と、前記第1導電層の前記第1主面側の面とを覆う第1絶縁層を形成する工程と、
前記第2主面と、前記第1導電層の前記第2主面側の面とを覆う第2絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層、前記基材及び前記第2絶縁層に第2貫通孔を形成する工程と、
前記第2貫通孔内に磁性体を充填する工程と、
前記磁性体に第3貫通孔を形成する工程と、
前記第3貫通孔内に第2導電層を設ける工程と、
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1主面上に、前記第1導電層に接続される第1配線層を形成する工程と、
前記第2主面上に、前記第1導電層に接続される第2配線層を形成する工程と、
前記第1絶縁層上に、前記第2導電層に接続される第3配線層を形成する工程と、
前記第2絶縁層上に、前記第2導電層に接続される第4配線層を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1導電層は、前記第1貫通孔の壁面上に設けられ、
前記第2導電層は、前記第3貫通孔の壁面上に設けられることを特徴とする請求項6又は7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1貫通孔の前記第1導電層の内側の部分を絶縁性の第1充填材により充填する工程と、
前記第3貫通孔の前記第2導電層の内側の部分を絶縁性の第2充填材により充填する工程と、
を有することを特徴とする請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1絶縁層が、複数の絶縁層を積層して形成され、
前記第2絶縁層が、複数の絶縁層を積層して形成されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板の一つとして、コア基板に形成された貫通孔内に磁性体樹脂が埋め込まれたインダクタ内蔵基板が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の磁性体樹脂を含む配線基板を用いてインダクタンスを高めるためには、コア基板を厚くする必要がある。コア基板を厚くすると、貫通孔の形成に多大な時間がかかり生産効率が大きく低下してしまう。
【0005】
本開示は、生産効率の低下を抑制しながらインダクタンスを高めることができる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを備えた絶縁性の基材と、前記基材に形成された第1貫通孔と、前記第1貫通孔内に設けられた第1導電層と、前記第1主面と前記第1導電層の前記第1主面側の面とを覆う第1絶縁層と、前記第2主面と前記第1導電層の前記第2主面側の面とを覆う第2絶縁層と、前記第1絶縁層、前記基材及び前記第2絶縁層に形成された第2貫通孔と、前記第2貫通孔内に設けられた磁性体と、前記磁性体に形成された第3貫通孔と、前記第3貫通孔内に設けられた第2導電層と、を有する配線基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、生産効率の低下を抑制しながらインダクタンスを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図7】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図8】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図9】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図10】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図11】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図12】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図13】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図14】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図15】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その14)である。
【
図16】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その15)である。
【
図17】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その16)である。
【
図18】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その17)である。
【
図19】第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その18)である。
【
図20】第2実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【
図21】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図22】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図23】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図24】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図25】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図26】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図27】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図28】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図29】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図30】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図31】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図32】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図33】第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図34】第3実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は配線基板に関する。
【0011】
[配線基板の構造]
まず、配線基板の構造について説明する。
図1は、第1実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る配線基板100は、支持体として絶縁性の基材102を含む。基材102は、ガラスエポキシ樹脂や、ビスマレイミドトリアジン樹脂等の絶縁材料から形成される。基材102は、第1主面102Aと、第1主面102Aとは反対側の第2主面102Bとを備える。
【0013】
基材102に厚さ方向に貫通する第1貫通孔111が形成されている。例えば、第1貫通孔111の直径は150μm~250μmである。第1貫通孔111内に第1貫通導電ビア121が設けられている。第1貫通導電ビア121は第1貫通孔111の壁面上に設けられている。第1貫通孔111の第1貫通導電ビア121の内側の部分を充填する絶縁性の第1充填材191が設けられている。例えば、第1充填材191は樹脂を含有する。第1充填材191が更にフィラーを含有してもよい。
【0014】
第1主面102A上に第1配線層1101が形成され、第2主面102B上に第2配線層1102が形成されている。第1配線層1101及び第2配線層1102は第1貫通導電ビア121に接続されている。すなわち、第1配線層1101及び第2配線層1102は、第1貫通導電ビア121を介して相互に接続されている。
【0015】
第1主面102A上に第1絶縁層1201が形成されている。第1絶縁層1201には、第1配線層1101の接続部に到達するビアホール1301が形成されており、第1絶縁層1201上に、ビアホール1301内のビア導体を介して第1配線層1101に接続される第3配線層1103が形成されている。更に、第1絶縁層1201上に第3絶縁層1203が形成されている。第3絶縁層1203には、第3配線層1103の接続部に到達するビアホール1303が形成されており、第3絶縁層1203上に、ビアホール1303内のビア導体を介して第3配線層1103に接続される第5配線層1105が形成されている。
【0016】
第3絶縁層1203上に第5絶縁層1205が形成されている。第5絶縁層1205には、第5配線層1105の接続部に到達するビアホール1305が形成されており、第5絶縁層1205上に、ビアホール1305内のビア導体を介して第5配線層1105に接続される第7配線層1107が形成されている。更に、第5絶縁層1205上に第7絶縁層1207が形成されている。第7絶縁層1207には、第7配線層1107の接続部に到達するビアホール1307が形成されており、第7絶縁層1207上に、ビアホール1307内のビア導体を介して第7配線層1107に接続される第9配線層1109が形成されている。
【0017】
第2主面102B上に第2絶縁層1202が形成されている。第2絶縁層1202には、第2配線層1102の接続部に到達するビアホール1302が形成されており、第2絶縁層1202上に、ビアホール1302内のビア導体を介して第2配線層1102に接続される第4配線層1104が形成されている。更に、第2絶縁層1202上に第4絶縁層1204が形成されている。第4絶縁層1204には、第4配線層1104の接続部に到達するビアホール1304が形成されており、第4絶縁層1204上に、ビアホール1304内のビア導体を介して第4配線層1104に接続される第6配線層1106が形成されている。
【0018】
第4絶縁層1204上に第6絶縁層1206が形成されている。第6絶縁層1206には、第6配線層1106の接続部に到達するビアホール1306が形成されており、第6絶縁層1206上に、ビアホール1306内のビア導体を介して第6配線層1106に接続される第8配線層1108が形成されている。更に、第6絶縁層1206上に第8絶縁層1208が形成されている。第8絶縁層1208には、第8配線層1108の接続部に到達するビアホール1308が形成されており、第8絶縁層1208上に、ビアホール1308内のビア導体を介して第8配線層1108に接続される第10配線層1110が形成されている。
【0019】
第7絶縁層1207、第5絶縁層1205、第3絶縁層1203、第1絶縁層1201、基材102、第2絶縁層1202、第4絶縁層1204、第6絶縁層1206及び第8絶縁層1208に厚さ方向に貫通する第2貫通孔112が形成されている。第2貫通孔112は、基材102の厚さ方向に直交する面内方向で第1貫通孔111から離間して形成されている。第2貫通孔112の直径は第1貫通孔111の直径より大きく、例えば350μm~450μmである。
【0020】
第2貫通孔112内に磁性体110が設けられている。磁性体110は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂剤と、樹脂剤中に分散した磁性粒子とを含む。磁性粒子としては、酸化鉄やフェライト等のフィラーを用いることができる。磁性体110は、第7絶縁層1207の表面よりも第1主面102Aから離れた面と、第8絶縁層1208の表面よりも第2主面102Bから離れた面とを有する。
【0021】
磁性体110に厚さ方向に貫通する第3貫通孔113が形成されている。第3貫通孔113の直径は第2貫通孔112の直径より小さく、例えば150μm~250μmである。第3貫通孔113内に第2貫通導電ビア122が設けられている。第2貫通導電ビア122は第3貫通孔113の壁面上に設けられている。第3貫通孔113の第2貫通導電ビア122の内側の部分を充填する絶縁性の第2充填材192が設けられている。例えば、第2充填材192は樹脂を含有する。第2充填材192が更にフィラーを含有してもよい。
【0022】
第9配線層1109及び第10配線層1110は第2貫通導電ビア122に接続されている。すなわち、第9配線層1109及び第10配線層1110は、第2貫通導電ビア122を介して相互に接続されている。
【0023】
第1絶縁層1201、第3絶縁層1203、第5絶縁層1205及び第7絶縁層1207は、第1絶縁層の一例である。第1絶縁層の数は任意である。1又は2以上の絶縁層を積層して形成できる。第2絶縁層1202、第4絶縁層1204、第6絶縁層1206及び第8絶縁層1208は、第2絶縁層の一例である。第2絶縁層の数は任意である。1又は2以上の絶縁層を積層して形成できる。第1配線層1101は第1配線層の一例である。第2配線層1102は第2配線層の一例である。第9配線層1109は第3配線層の一例である。第10配線層1110は第4配線層の一例である。第1貫通導電ビア121は第1導電層の一例である。第2貫通導電ビア122は第2導電層の一例である。
【0024】
第7絶縁層1207上に第9絶縁層1209が形成されている。第9絶縁層1209には、第9配線層1109の接続部に到達するビアホール1309が形成されており、第9絶縁層1209上に、ビアホール1309内のビア導体を介して第9配線層1109に接続される第11配線層1111が形成されている。更に、第9絶縁層1209上に第11絶縁層1211が形成されている。第11絶縁層1211には、第11配線層1111の接続部に到達するビアホール1311が形成されており、第11絶縁層1211上に、ビアホール1311内のビア導体を介して第11配線層1111に接続される第13配線層1113が形成されている。
【0025】
第11絶縁層1211上にソルダレジスト層1213が形成されている。ソルダレジスト層1213に第13配線層1113の接続部に達する開口部1313が形成されている。第13配線層1113の接続部上に、開口部1313を通じてソルダレジスト層1213の上方まで突出する接続端子1115が形成されている。接続端子1115はポスト及びその上のバンプを含んでもよい。接続端子1115に半導体チップの電極が接続される。
【0026】
第8絶縁層1208上に第10絶縁層1210が形成されている。第10絶縁層1210には、第10配線層1110の接続部に到達するビアホール1310が形成されており、第10絶縁層1210上に、ビアホール1310内のビア導体を介して第10配線層1110に接続される第12配線層1112が形成されている。更に、第10絶縁層1210上に第12絶縁層1212が形成されている。第12絶縁層1212には、第12配線層1112の接続部に到達するビアホール1312が形成されており、第12絶縁層1212上に、ビアホール1312内のビア導体を介して第12配線層1112に接続される第14配線層1114が形成されている。
【0027】
第12絶縁層1212上にソルダレジスト層1214が形成されている。ソルダレジスト層1214に第14配線層1114の接続部に達する開口部1314が形成されている。
【0028】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図19は、第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
図2~
図19には、
図1中の領域Rを詳細に示す。
【0029】
まず、
図2(a)に示すように、絶縁性の基材102と、導電膜103Aと、導電膜103Bとを備えた積層板101を準備する。基材102は、第1主面102Aと、第1主面102Aとは反対側の第2主面102Bとを備え、導電膜103Aは第1主面102Aの上に設けられ、導電膜103Bは第2主面102Bの上に設けられている。例えば、導電膜103A及び103Bは銅箔である。積層板101としては、配線基板100が複数個取れる大判の基板が使用される。つまり、積層板101は、配線基板100に対応する構造体が形成される複数の領域を有している。
【0030】
次いで、
図2(b)に示すように、積層板101に厚さ方向に貫通する第1貫通孔111を形成する。第1貫通孔111は、導電膜103Aと、基材102と、導電膜103Bとを厚さ方向に貫通する。例えば、第1貫通孔111はドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。その後、第1貫通孔111の壁面のデスミア処理を行う。デスミア処理とは、樹脂残渣(スミア)を除去する処理である。デスミア処理は、例えば、過マンガン酸カリウム溶液により行うことができる。例えば、第1貫通孔111の直径は150μm~250μmとする。
【0031】
その後、
図3(a)に示すように、導電膜103Aの表面上と、導電膜103Bの表面上と、第1貫通孔111の壁面上とに無電解銅めっき膜131を形成する。続いて、無電解銅めっき膜131をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜131上に電解銅めっき膜132を形成する。例えば、無電解銅めっき膜131の厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜132の厚さは、10μm~50μmである。
【0032】
次いで、
図3(b)に示すように、第1貫通孔111内に第1充填材191を充填する。例えば、第1充填材191はスクリーン印刷法により充填することができる。第1充填材191は第1貫通孔111内で電解銅めっき膜132上に設けられる。その後、第1充填材191を硬化させる。第1充填材191がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む場合、加熱処理により第1充填材191を硬化させることができる。第1充填材191は、電解銅めっき膜132の両側の表面から突出するように充填する。充填不足を避けるためである。
【0033】
続いて、第1充填材191を電解銅めっき膜132の表面が露出するまで研磨する。この結果、第1充填材191は、電解銅めっき膜132の表面と面一の面を有するようになる。例えば、第1充填材191は、化学機械的研磨(chemical mechanical polishing:CMP)法により研磨できる。第1充填材191の、電解銅めっき膜132の表面から突出する部分をバフ研磨又はロール研磨により除去してもよい。
【0034】
次いで、
図4(a)に示すように、第1主面102A側で、電解銅めっき膜132の表面上と、第1充填材191の電解銅めっき膜132の表面と面一の面上とに無電解銅めっき膜133Aを形成する。同様に、第2主面102B側で、電解銅めっき膜132の表面上と、第1充填材191の電解銅めっき膜132の表面と面一の面上とに無電解銅めっき膜133Bを形成する。その後、無電解銅めっき膜133Aをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜133A上に電解銅めっき膜134Aを形成し、無電解銅めっき膜133Bをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜133B上に電解銅めっき膜134Bを形成する。例えば、無電解銅めっき膜133A及び133Bの厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜134A及び134Bの厚さは、15μm~40μmである。
【0035】
続いて、
図4(b)に示すように、第1配線層1101のパターンが形成されたレジスト層151Aを電解銅めっき膜134A上に形成し、第2配線層1102のパターンが形成されたレジスト層151Bを電解銅めっき膜134B上に形成する。レジスト層151A及び151Bとしては、例えば、ドライフィルム等を用いることができ、露光及び現像によりレジスト層151A及び151Bにパターンを形成できる。
【0036】
次いで、
図5(a)に示すように、レジスト層151Aをマスクとして電解銅めっき膜134A、無電解銅めっき膜133A、電解銅めっき膜132、無電解銅めっき膜131、及び導電膜103Aをエッチングする。また、レジスト層151Bをマスクとして電解銅めっき膜134B、無電解銅めっき膜133B、電解銅めっき膜132、無電解銅めっき膜131、及び導電膜103Bをエッチングする。この結果、第1貫通導電ビア121と、第1配線層1101と、第2配線層1102とが得られる。第1貫通導電ビア121は、無電解銅めっき膜131及び電解銅めっき膜132の、第1主面102Aと第2主面102Bとの間の部分を含む。第1配線層1101は、導電膜103Aと、無電解銅めっき膜131及び電解銅めっき膜132の、第1主面102Aよりも無電解銅めっき133A側の部分と、無電解銅めっき膜133Aと、電解銅めっき膜134Aとを含む。第2配線層1102は、導電膜103Bと、無電解銅めっき膜131及び電解銅めっき膜132の、第2主面102Bよりも無電解銅めっき133B側の部分と、無電解銅めっき膜133Bと、電解銅めっき膜134Bとを含む。
【0037】
そして、
図5(b)に示すように、レジスト層151A及び151Bを除去する。
【0038】
次いで、
図6に示すように、第1主面102A上に第1配線層1101を覆うように未硬化の樹脂フィルムを貼付し、第2主面102B上に第2配線層1102を覆うように未硬化の樹脂フィルムを貼付する。その後、これら樹脂フィルムを加熱処理して硬化させることにより、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202を形成する。第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂から形成される。液状樹脂を塗布することにより、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202を形成してもよい。続いて、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202をレーザで加工することにより、第1配線層1101の接続部に到達するビアホール1301を第1絶縁層1201に形成し、第2配線層1102の接続部に到達するビアホール1302を第2絶縁層1202に形成する。
【0039】
次いで、同じく
図6に示すように、ビアホール1301内のビア導体を介して第1配線層1101に接続される第3配線層1103を第1絶縁層1201上に形成し、ビアホール1302内のビア導体を介して第2配線層1102に接続される第4配線層1104を第2絶縁層1202上に形成する。
【0040】
第3配線層1103及び第4配線層1104はセミアディティブ法によって形成することができる。ここで、第3配線層1103の形成方法について詳しく説明する。まず、第1絶縁層1201上及びビアホール1301の内面に無電解めっき法又はスパッタ法により、銅等からなるシード層(不図示)を形成する。次いで、シード層上に、第3配線層1103を形成する部分に開口部が設けられためっきレジスト層(不図示)を形成する。続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、めっきレジスト層の開口部に銅等からなる金属めっき層を形成する。その後、めっきレジスト層を除去する。次いで、金属めっき層をマスクにしてシード層をウェットエッチングにより除去する。このようにして、シード層及び金属めっき層を含む第3配線層1103を形成することができる。第4配線層1104も同様の方法により形成することができる。なお、図の簡略化の為、シード層と金属めっき層を一体のものとして第3配線層1103及び第4配線層1104を図示している。
【0041】
次いで、同じく
図6に示すように、第1絶縁層1201上に第3配線層1103を覆うように第3絶縁層1203を形成する。また、第2絶縁層1202上に第4配線層1104を覆うように第4絶縁層1204を形成する。第3絶縁層1203及び第4絶縁層1204は、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202と同様の方法で形成することができる。続いて、第3絶縁層1203及び第4絶縁層1204をレーザで加工することにより、第3配線層1103の接続部に到達するビアホール1303を第3絶縁層1203に形成し、第4配線層1104の接続部に到達するビアホール1304を第4絶縁層1204に形成する。ビアホール1303及びビアホール1304は、ビアホール1301及びビアホール1302と同様の方法で形成することができる。
【0042】
更に、同じく
図6に示すように、ビアホール1303内のビア導体を介して第3配線層1103に接続される第5配線層1105を第3絶縁層1203上に形成し、ビアホール1304内のビア導体を介して第4配線層1104に接続される第6配線層1106を第4絶縁層1204上に形成する。第5配線層1105及び第6配線層1106は、第3配線層1103及び第4配線層1104と同様の方法で形成することができる。
【0043】
次いで、同じく
図6に示すように、第3絶縁層1203上に第5配線層1105を覆うように第5絶縁層1205を形成する。また、第4絶縁層1204上に第6配線層1106を覆うように第6絶縁層1206を形成する。第5絶縁層1205及び第6絶縁層1206は、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202と同様の方法で形成することができる。続いて、第5絶縁層1205及び第6絶縁層1206をレーザで加工することにより、第5配線層1105の接続部に到達するビアホール1305を第5絶縁層1205に形成し、第6配線層1106の接続部に到達するビアホール1306を第6絶縁層1206に形成する。ビアホール1305及びビアホール1306は、ビアホール1301及びビアホール1302と同様の方法で形成することができる。
【0044】
更に、同じく
図6に示すように、ビアホール1305内のビア導体を介して第5配線層1105に接続される第7配線層1107を第5絶縁層1205上に形成し、ビアホール1306内のビア導体を介して第6配線層1106に接続される第8配線層1108を第6絶縁層1206上に形成する。第7配線層1107及び第8配線層1108は、第3配線層1103及び第4配線層1104と同様の方法で形成することができる。
【0045】
次いで、
図7に示すように、第5絶縁層1205上に第7配線層1107を覆うように未硬化の樹脂フィルムを貼付し、第6絶縁層1206上に第8配線層1108を覆うように未硬化の樹脂フィルムを貼付する。その後、これら樹脂フィルムを加熱処理して硬化させることにより、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208を形成する。第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂から形成される。液状樹脂を塗布することにより、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208を形成してもよい。続いて、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208をレーザで加工することにより、第7配線層1107の接続部に到達するビアホール1307を第7絶縁層1207に形成し、第8配線層1108の接続部に到達するビアホール1308を第8絶縁層1208に形成する。
【0046】
次いで、
図8に示すように、第7絶縁層1207上及びビアホール1307の内面に無電解銅めっき膜171Aを形成する。同様に、第8絶縁層1208上及びビアホール1308の内面に無電解銅めっき膜171Bを形成する。その後、無電解銅めっき膜171Aをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜171A上に電解銅めっき膜172Aを形成し、無電解銅めっき膜171Bをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜171B上に電解銅めっき膜172Bを形成する。例えば、無電解銅めっき膜171A及び171Bの厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜172A及び172Bの厚さは、15μm~40μmである。電解銅めっき膜172Aによりビアホール1307の内部が充填される。また、電解銅めっき膜172Bによりビアホール1308の内部が充填される。
【0047】
続いて、
図9に示すように、電解銅めっき膜172A、無電解銅めっき膜171A、第7絶縁層1207、第5絶縁層1205、第3絶縁層1203、第1絶縁層1201、基材102、第2絶縁層1202、第4絶縁層1204、第6絶縁層1206、第8絶縁層1208、無電解銅めっき膜171B及び電解銅めっき膜172Bに厚さ方向に貫通する第2貫通孔112を形成する。例えば、第2貫通孔112はドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。次いで、第2貫通孔112の壁面のデスミア処理を行う。デスミア処理は、例えば、過マンガン酸カリウム溶液により行うことができる。第2貫通孔112の直径は第1貫通孔111の直径より大きい。例えば、第2貫通孔112の直径は350μm~450μmとする。
【0048】
その後、
図10に示すように、第2貫通孔112内に磁性体110を充填する。例えば、磁性体110は、電解銅めっき膜172A及び172Bの各表面から突出するように充填する。充填不足を避けるためである。
【0049】
続いて、研磨により、磁性体110のうち電解銅めっき膜172A及び172Bの各表面から突出している部分を除去する。例えば、磁性体110の突出している部分は、バフ研磨又はロール研磨により除去することができる。この処理が行われた磁性体110は、電解銅めっき膜172Aの表面と面一の面と、電解銅めっき膜172Bの表面と面一の面とを備える。
【0050】
次いで、
図11に示すように、磁性体110に厚さ方向に貫通する第3貫通孔113を形成する。第3貫通孔113の直径は第2貫通孔112の直径より小さい。例えば、第3貫通孔113はドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。例えば、第3貫通孔113の直径は150μm~250μmとする。その後、水を用いて第3貫通孔113の壁面を洗浄する。
【0051】
その後、
図12に示すように、電解銅めっき膜172Aの表面上と、電解銅めっき膜172Bの表面上と、磁性体110の電解銅めっき膜172Aの表面と面一の面上と、磁性体110の電解銅めっき膜172Bの表面と面一の面上と、第3貫通孔113の壁面上とに無電解銅めっき膜173を形成する。続いて、無電解銅めっき膜173をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜173上に電解銅めっき膜174を形成する。例えば、無電解銅めっき膜173の厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜174の厚さは、10μm~50μmである。
【0052】
次いで、
図13に示すように、第3貫通孔113内に第2充填材192を充填する。例えば、第2充填材192はスクリーン印刷法により充填することができる。第2充填材192は第3貫通孔113内で電解銅めっき膜174上に設けられる。その後、第2充填材192を硬化させる。第2充填材192がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む場合、加熱処理により第2充填材192を硬化させることができる。第2充填材192は、電解銅めっき膜174の両側の表面から突出するように充填する。充填不足を避けるためである。
【0053】
続いて、第2充填材192を電解銅めっき膜174の表面が露出するまで研磨する。この結果、第2充填材192は、電解銅めっき膜174の表面と面一の面を有するようになる。例えば、第2充填材192は、CMP法により研磨できる。第2充填材192の、電解銅めっき膜174の表面から突出する部分をバフ研磨又はロール研磨により除去してもよい。
【0054】
次いで、
図14に示すように、第1主面102A側で、電解銅めっき膜174の表面上と、第2充填材192の電解銅めっき膜174の表面と面一の面上とに無電解銅めっき膜175Aを形成する。同様に、第2主面102B側で、電解銅めっき膜174の表面上と、第2充填材192の電解銅めっき膜174の表面と面一の面上とに無電解銅めっき膜175Bを形成する。その後、無電解銅めっき膜175Aをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜175A上に電解銅めっき膜176Aを形成し、無電解銅めっき膜175Bをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜175B上に電解銅めっき膜176Bを形成する。例えば、無電解銅めっき膜175A及び175Bの厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜176A及び176Bの厚さは、15μm~40μmである。
【0055】
続いて、
図15に示すように、第9配線層1109のパターンが形成されたレジスト層152Aを電解銅めっき膜176A上に形成し、第10配線層1110のパターンが形成されたレジスト層152Bを電解銅めっき膜176B上に形成する。レジスト層152A及び152Bとしては、例えば、ドライフィルム等を用いることができ、露光及び現像によりレジスト層152A及び152Bにパターンを形成できる。
【0056】
次いで、
図16に示すように、レジスト層152Aをマスクとして、電解銅めっき膜176A、無電解銅めっき膜175A、電解銅めっき膜174、無電解銅めっき膜173、電解銅めっき膜172A及び無電解銅めっき膜171Aをエッチングする。同様に、レジスト層152Bをマスクとして、電解銅めっき膜176B、無電解銅めっき膜175B、電解銅めっき膜174、無電解銅めっき膜173、電解銅めっき膜172B及び無電解銅めっき膜171Bをエッチングする。
【0057】
この結果、第2貫通導電ビア122と、第9配線層1109と、第10配線層1110とが得られる。第2貫通導電ビア122は、無電解銅めっき膜173及び電解銅めっき膜174の、磁性体110の両側の表面の間の部分を含む。第9配線層1109は、無電解銅めっき膜171Aと、電解銅めっき膜172Aと、無電解銅めっき膜173及び電解銅めっき膜174の、磁性体110の第1主面102A側の表面よりも無電解銅めっき膜175A側の部分と、無電解銅めっき膜175Aと、電解銅めっき膜176Aとを含む。第10配線層1110は、無電解銅めっき膜171Bと、電解銅めっき膜172Bと、無電解銅めっき膜173及び電解銅めっき膜174の、磁性体110の第2主面102B側の表面よりも無電解銅めっき膜175B側の部分と、無電解銅めっき膜175Bと、電解銅めっき膜176Bとを含む。第9配線層1109の一部が無電解銅めっき膜171A及び電解銅めっき膜172Aを含まなくてもよい。第10配線層1110の一部が無電解銅めっき膜171B及び電解銅めっき膜172Bを含まなくてもよい。
【0058】
そして、
図17に示すように、レジスト層152A及び152Bを除去する。
【0059】
次いで、
図18に示すように、第7絶縁層1207上に第9配線層1109を覆うように第9絶縁層1209を形成する。また、第8絶縁層1208上に第10配線層1110を覆うように第10絶縁層1210を形成する。第9絶縁層1209及び第10絶縁層1210は、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202と同様の方法で形成することができる。続いて、第9絶縁層1209及び第10絶縁層1210をレーザで加工することにより、第9配線層1109の接続部に到達するビアホール1309を第9絶縁層1209に形成し、第10配線層1110の接続部に到達するビアホール1310を第10絶縁層1210に形成する。ビアホール1309及びビアホール1310は、ビアホール1301及びビアホール1302と同様の方法で形成することができる。
【0060】
次いで、同じく
図18に示すように、ビアホール1309内のビア導体を介して第9配線層1109に接続される第11配線層1111を第9絶縁層1209上に形成し、ビアホール1310内のビア導体を介して第10配線層1110に接続される第12配線層1112を第10絶縁層1210上に形成する。第11配線層1111及び第12配線層1112は、第3配線層1103及び第4配線層1104と同様の方法で形成することができる。
【0061】
次いで、同じく
図18に示すように、第9絶縁層1209上に第11配線層1111を覆うように第11絶縁層1211を形成する。また、第10絶縁層1210上に第12配線層1112を覆うように第12絶縁層1212を形成する。第11絶縁層1211及び第12絶縁層1212は、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202と同様の方法で形成することができる。続いて、第11絶縁層1211及び第12絶縁層1212をレーザで加工することにより、第11配線層1111の接続部に到達するビアホール1311を第11絶縁層1211に形成し、第12配線層1112の接続部に到達するビアホール1312を第12絶縁層1212に形成する。ビアホール1311及びビアホール1312は、ビアホール1301及びビアホール1302と同様の方法で形成することができる。
【0062】
更に、同じく
図18に示すように、ビアホール1311内のビア導体を介して第11配線層1111に接続される第13配線層1113を第11絶縁層1211上に形成し、ビアホール1312内のビア導体を介して第12配線層1112に接続される第14配線層1114を第12絶縁層1212上に形成する。第13配線層1113及び第14配線層1114は、第3配線層1103及び第4配線層1104と同様の方法で形成することができる。
【0063】
次いで、
図19に示すように、第11絶縁層1211上にソルダレジスト層1213を形成し、第12絶縁層1212上にソルダレジスト層1214を形成する。その後、ソルダレジスト層1213に第13配線層1113の接続部に達する開口部1313を形成し、ソルダレジスト層1214に第14配線層1114の接続部に達する開口部1314を形成する。
【0064】
ソルダレジスト層1213及び1214は、感光性のエポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の絶縁樹脂から形成される。樹脂フィルムの貼り付け又は液状樹脂の塗布により、ソルダレジスト層1213及び1214を形成してもよい。開口部1313及び1314は、露光及び現像により形成することができる。ソルダレジスト層1213及び1214に非感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いてもよい。この場合、開口部1313及び1314は、レーザ加工又はブラスト処理により形成することができる。
【0065】
続いて、第13配線層1113の接続部上に、開口部1313を通じてソルダレジスト層1213の上方まで突出する接続端子1115を形成する。接続端子1115はポスト及びバンプを含む。
【0066】
次いで、接続端子1115の形成までの処理を行った構造体を所定の切断線に沿ってスライサー等により切断する。これにより、配線基板100に対応する構造体が個片化され、大判の積層板101から第1実施形態に係る配線基板100が複数得られる。このようにして、第1実施形態に係る配線基板100を製造することができる。
【0067】
第1実施形態では、基材102だけでなく、第1絶縁層1201、第2絶縁層1202、第3絶縁層1203、第4絶縁層1204、第5絶縁層1205、第6絶縁層1206、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208にも第2貫通孔112が形成され、第2貫通孔112内に磁性体110が設けられている。そして、磁性体110に第3貫通孔113が形成され、第3貫通孔113内に第2貫通導電ビア122が設けられている。従って、厚い基材102を用いずとも、第2貫通導電ビア122を含む配線に高いインダクタンスを得ることができる。
【0068】
また、基材102に第1貫通孔111が形成され、第1貫通孔111内に第1貫通導電ビア121が設けられている。従って、高いインダクタンスが必要されない配線には第1貫通導電ビア121を含ませることができる。そして、第1貫通孔111の形成に際しては、第1絶縁層1201、第2絶縁層1202、第3絶縁層1203、第4絶縁層1204、第5絶縁層1205、第6絶縁層1206、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208の加工は不要である。
【0069】
このように、第1実施形態では、厚い基材102を用いずとも、所望の配線に高いインダクタンスを確保しつつ、高いインダクタンスを必要としない配線については無駄な加工を省略することができる。従って、所望の配線に高いインダクタンスを確保しながら、生産効率の低下を抑制することができる。
【0070】
また、第1貫通孔111が、第1絶縁層1201、第2絶縁層1202、第3絶縁層1203、第4絶縁層1204、第5絶縁層1205、第6絶縁層1206、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208に形成されないため、第3配線層1103、第4配線層1104、第5配線層1105、第6配線層1106、第7配線層1107及び第8配線層1108の設計の自由度を高めることもできる。
【0071】
また、薄い基材102を用いることで、配線基板100の総厚を小さくしたり、第1貫通孔111の形成にかかる時間を短縮したりすることも可能である。
【0072】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、第9配線層1109、第10配線層1110及び第2貫通導電ビア122の構成の点で第1実施形態と相違する。
【0073】
[配線基板の構造]
まず、配線基板の構造について説明する。
図20は、第2実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
図20には、
図2~
図19と同様に、
図1中の領域Rを詳細に示す。
【0074】
第2実施形態に係る配線基板では、磁性体110に代えて磁性体210が設けられ、磁性体210に第3貫通孔213が形成されている。第2貫通導電ビア122は、無電解銅めっき膜173及び電解銅めっき膜174に代えて無電解銅めっき膜273及び電解銅めっき膜274を有し、第2充填材192に代えて第2充填材292が設けられている。磁性体210、無電解銅めっき膜273、電解銅めっき膜274及び第2充填材292は、第7絶縁層1207の表面と面一の面と、第8絶縁層1208の表面と面一の面とを有する。
【0075】
第9配線層1109は、無電解銅めっき膜171A、電解銅めっき膜172A、無電解銅めっき膜173、電解銅めっき膜174、無電解銅めっき膜175A及び電解銅めっき膜176Aに代えて、無電解銅めっき膜271A及び電解銅めっき膜272Aを含む。第10配線層1110は、無電解銅めっき膜171B、電解銅めっき膜172B、無電解銅めっき膜173、電解銅めっき膜174、無電解銅めっき膜175B及び電解銅めっき膜176Bに代えて、無電解銅めっき膜271B及び電解銅めっき膜272Bを含む。
【0076】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0077】
[配線基板の製造方法]
次に、第2実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図21~
図33は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
図21~
図33には、
図2~
図19と同様に、
図1中の領域Rを詳細に示す。
【0078】
まず、
図21に示すように、第1実施形態と同様にして、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208の形成までの処理を行う。
【0079】
次いで、
図22に示すように、第7絶縁層1207、第5絶縁層1205、第3絶縁層1203、第1絶縁層1201、基材102、第2絶縁層1202、第4絶縁層1204、第6絶縁層1206及び第8絶縁層1208に厚さ方向に貫通する第2貫通孔112を形成する。次いで、第2貫通孔112の壁面のデスミア処理を行う。
【0080】
その後、
図23に示すように、第2貫通孔112内に磁性体210を充填する。例えば、磁性体210は、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208の各表面から突出するように充填する。充填不足を避けるためである。
【0081】
続いて、研磨により、磁性体210のうち第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208の各表面から突出している部分を除去する。例えば、磁性体210の突出している部分は、バフ研磨又はロール研磨により除去することができる。この処理が行われた磁性体210は、第7絶縁層1207の表面と面一の面と、第8絶縁層1208の表面と面一の面とを備える。
【0082】
次いで、
図24に示すように、磁性体210に厚さ方向に貫通する第3貫通孔213を形成する。例えば、第3貫通孔213はドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。例えば、第3貫通孔213の直径は150μm~250μmとする。その後、水を用いて第3貫通孔213の壁面を洗浄する。
【0083】
その後、
図25に示すように、第7絶縁層1207の表面上と、第8絶縁層1208の表面上と、磁性体210の第7絶縁層1207の表面と面一の面上と、磁性体210の第8絶縁層1208の表面と面一の面上と、第3貫通孔213の壁面上とに無電解銅めっき膜273を形成する。続いて、無電解銅めっき膜273をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜273上に電解銅めっき膜274を形成する。例えば、無電解銅めっき膜273の厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜274の厚さは、10μm~50μmである。
【0084】
次いで、
図26に示すように、第3貫通孔213内に第2充填材292を充填する。例えば、第2充填材292はスクリーン印刷法により充填することができる。第2充填材292は第3貫通孔213内で電解銅めっき膜274上に設けられる。その後、第2充填材292を硬化させる。第2充填材292がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む場合、加熱処理により第2充填材292を硬化させることができる。第2充填材292は、電解銅めっき膜274の両側の表面から突出するように充填する。充填不足を避けるためである。
【0085】
続いて、
図27に示すように、第1主面102A側で、電解銅めっき膜274と、無電解銅めっき膜273と、第2充填材292とを第7絶縁層1207の表面が露出するまで研磨し、第2主面102B側で、電解銅めっき膜274と、無電解銅めっき膜273と、第2充填材292とを第8絶縁層1208の表面が露出するまで研磨する。この結果、無電解銅めっき膜273、電解銅めっき膜274及び第2充填材292は、第7絶縁層1207の表面と面一の面と、第8絶縁層1208の表面と面一の面とを有するようになる。例えば、無電解銅めっき膜273、電解銅めっき膜274及び第2充填材292は、CMP法により研磨できる。電解銅めっき膜274、無電解銅めっき膜273及び第2充填材292を次のようにして研磨してもよい。まず、電解銅めっき膜274及び無電解銅めっき膜273の、第7絶縁層1207の表面上の部分と、第8絶縁層1208の表面上の部分とを、ウェットエッチングにより除去する。この結果、第7絶縁層1207の表面と第8絶縁層1208の表面とが露出する。次いで、第2充填材292の、第7絶縁層1207の表面から突出する部分と、第8絶縁層1208の表面から突出する部分とを、バフ研磨又はロール研磨により除去する。
【0086】
次いで、
図28に示すように、第7絶縁層1207及び第8絶縁層1208をレーザで加工することにより、第7配線層1107の接続部に到達するビアホール1307を第7絶縁層1207に形成し、第8配線層1108の接続部に到達するビアホール1308を第8絶縁層1208に形成する。
【0087】
その後、
図29に示すように、磁性体210、無電解銅めっき膜273、電解銅めっき膜274及び第2充填材292の第7絶縁層1207の表面と面一の面と、第7絶縁層1207の表面と、ビアホール1307の内面とに無電解銅めっき膜271Aを形成する。同様に、磁性体210、無電解銅めっき膜273、電解銅めっき膜274及び第2充填材292の第8絶縁層1208の表面と面一の面と、第8絶縁層1208の表面と、ビアホール1308の内面とに無電解銅めっき膜271Bを形成する。続いて、無電解銅めっき膜271Aをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜271A上に電解銅めっき膜272Aを形成し、無電解銅めっき膜271Bをめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜271B上に電解銅めっき膜272Bを形成する。例えば、無電解銅めっき膜271A及び271Bの厚さは、0.3μm~1.0μmであり、電解銅めっき膜272A及び272Bの厚さは、15μm~40μmである。電解銅めっき膜272Aによりビアホール1307の内部が充填される。また、電解銅めっき膜272Bによりビアホール1308の内部が充填される。
【0088】
次いで、
図30に示すように、第9配線層1109のパターンが形成されたレジスト層152Aを電解銅めっき膜272A上に形成し、第10配線層1110のパターンが形成されたレジスト層152Bを電解銅めっき膜272B上に形成する。
【0089】
その後、
図31に示すように、レジスト層152Aをマスクとして、電解銅めっき膜272A及び無電解銅めっき膜271Aをエッチングする。同様に、レジスト層152Bをマスクとして、電解銅めっき膜272B及び無電解銅めっき膜271Bをエッチングする。
【0090】
この結果、第2貫通導電ビア122と、第9配線層1109と、第10配線層1110とが得られる。第2貫通導電ビア122は、無電解銅めっき膜273及び電解銅めっき膜274を含む。第9配線層1109は、無電解銅めっき膜271Aと、電解銅めっき膜272Aと、を含む。第10配線層1110は、無電解銅めっき膜271Bと、電解銅めっき膜272Bとを含む。
【0091】
そして、
図32に示すように、レジスト層152A及び152Bを除去する。
【0092】
その後、
図33に示すように、第1実施形態と同様にして、第9絶縁層1209及び第10絶縁層1210の形成以降の処理を行う。このようにして、第2実施形態に係る配線基板を製造することができる。
【0093】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は半導体パッケージに関する。
図34は、第3実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【0095】
図34に示すように、第3実施形態に係る半導体パッケージ300は、第1実施形態に係る配線基板100、半導体チップ310、バンプ312及びアンダーフィル樹脂330を有する。
【0096】
半導体チップ310は、バンプ312を介して接続端子1115に接続される接続端子311を含む。接続端子311は、例えば電極パッドである。バンプ312には、例えば、はんだバンプが用いられる。はんだバンプの材料としては、錫銀(SnAg)系合金、錫亜鉛(SnZn)系合金及び錫銅(SnCu)系合金等の無鉛はんだ、並びに鉛錫(PbSn)系合金の有鉛はんだが例示される。半導体チップ310と配線基板100のソルダレジスト層1213との間に、エポキシ樹脂等のアンダーフィル樹脂330が充填されている。
【0097】
このような半導体パッケージ300を製造するには、個片化後の配線基板100を準備し、バンプ312を用いて、半導体チップ310を配線基板100にフリップチップ実装する。半導体チップ310の実装後、半導体チップ310とソルダレジスト層1213との間にアンダーフィル樹脂330を充填する。
【0098】
このようにして、半導体パッケージ300を製造することができる。
【0099】
第1実施形態に係る配線基板100に代えて、第2実施形態に係る配線基板が用いられてもよい。
【0100】
本開示において、第1導電層及び第2導電層の材料は銅に限定されず、第1導電層及び第2導電層が、ニッケル等の他の金属のめっき膜を含んでいてもよい。
【0101】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0102】
100 配線基板
102 基材
110、210 磁性体
111 第1貫通孔
112 第2貫通孔
113 第3貫通孔
121 第1貫通導電ビア
122 第2貫通導電ビア