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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像位置ずれ補正方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240827BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240827BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/04 111
G02B26/10 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020064072
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162716
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】前田 雄久
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-058678(JP,A)
【文献】特開平09-269455(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0275811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/04
G03G 21/00
G03G 15/01
B41J 2/47
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置ずれ補正用パターンのデータに応じた光ビームにより像担持体を走査する光ビーム 走査手段と、
前記走査により前記像担持体上に形成された位置ずれ補正用パターンの潜像を現像する 現像手段と、
現像された位置ずれ補正用パターンを媒体に転写する転写手段と、
前記媒体に転写された位置ずれ補正用パターンを読み取って、画像位置ずれ量を取得す る画像位置ずれ量取得手段と、
前記画像位置ずれ量に応じて画像位置ずれを補正する画像位置ずれ補正手段であって、 スキュー量に応じて前記光ビーム走査手段の光学部材の傾きを調整することでスキューを 補正するスキュー補正手段を含む前記画像位置ずれ補正手段と、
前記各手段により実行される画像位置ずれ補正制御の前に、前記スキュー補正手段を駆動させる駆動手段と、
を有し、
前記スキュー補正手段は、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転軸の外側にバックラッシュを有する状態で取り付けられ、先端が前記光学部材に取り付けられ 、前記ステッピングモータの正逆回転により進退して、前記光学部材の傾きを変化させる調整部材とを有し、
前記駆動手段は、前記位置ずれ補正用パターンを形成する前に、前記ステッピングモータを規定量正転及び逆転させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記駆動手段は、事前補正動作の終了となるステッピングモータの回転方向を同じにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像形成装置において、
前記回転方向は、前記調整部材が前記光学部材を押し出す方向であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその画像位置ずれ補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を応用した画像形成装置においては、像担持体としての感光体ドラムを帯電器により帯電させ、帯電された感光体ドラムに画像データに応じた光ビームの照射を行って潜像を形成する。そして、感光体に形成された潜像を現像器によって現像し、現像された画像(つまり「トナー画像」)を記録紙に転写して画像を形成することが行われている。
【0003】
また、このような一連の画像形成プロセスが実行される作像ステーションを中間転写ベルトに沿って複数配列し、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色のトナー画像をそれぞれの感光体ドラム上に形成してカラーのトナー画像を形成するタンデム型のカラー画像形成装置が知られている。タンデム型には複数の方式が知られており、例えば、各感光体ドラム上に形成されたトナー画像を無端ベルトである中間転写ベルトの表面へ順次転写して重ね合わせた後に中間転写ベルト上のトナー画像を記録紙に転写する「中間転写方式」が知られている。また、各感光体ドラム上に形成されたトナー画像を無端ベルトである搬送ベルトによって搬送されている記録紙に順次重ね合わせて転写する「直接転写方式」も知られている。
【0004】
中間転写方式か直接転写方式を問わず、タンデム型のカラー画像形成装置では、各色のトナー画像を重ね合わせて転写する際、各色の転写位置が理想位置からずれると記録紙上には色ずれのある画像が形成されてしまう。
【0005】
このため、タンデム型のカラー画像形成装置においては、画像位置ずれ補正制御を行う機能を有するものが知られている。画像位置ずれ補正制御は、例えば、中間転写ベルト上又は搬送ベルト上に、各色のトナーで位置ずれ補正用パターンを作像する。そして、この作像された位置ずれ補正用パターンを、光電センサを用いて読み取り、例えばブラックを基準に、他の3色のスキュー(走査線の傾きのずれ)、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差からなる画像位置ずれを算出する。算出された「ずれ」を相殺するようにフィードバック制御することで、画像の色ずれを低減させる。
【0006】
そして、これらの画像位置ずれ補正制御のうち、スキュー補正については、光ビームの書き込みユニット内部のミラーやレンズなどの光学部材の傾きをステッピングモータやギヤなどのアクチュエータを含む調整機構により、スキュー量に応じて微調整することが知られている(例えば特許文献1、2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1又は2に開示されているようなメカ的な調整機構を用いるスキュー補正制御では、光学部材を固定させることができず、可動構造にする必要がある。その影響により、経時変化、例えば温度変化による調整機構の寸法の変化に起因する光学部材の傾きの変化や、調整機構のバックラッシュ(あそび)による動きに起因する光学部材の傾きの変化が発生するという問題がある。
【0008】
そして、画像位置ずれ補正制御では、このような光学部材の傾きが正常ではない状態、つまり「ずれ」が発生している状態で位置ずれ補正用パターンを形成することになる。その結果、スキュー補正のためにアクチュエータを駆動した際に、バックラッシュ分のずれも同時に除去されるため、その分だけ画像位置ずれが残ってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、画像位置ずれの補正をより確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画像形成装置に関し、位置ずれ補正用パターンのデータに応じた光ビームに より像担持体を走査する光ビーム走査手段と、前記走査により前記像担持体上に形成され た位置ずれ補正用パターンの潜像を現像する現像手段と、現像された位置ずれ補正用パタ ーンを媒体に転写する転写手段と、前記媒体に転写された位置ずれ補正用パターンを読み 取って、画像位置ずれ量を取得する画像位置ずれ量取得手段と、前記画像位置ずれ量に応 じて画像位置ずれを補正する画像位置ずれ補正手段であって、スキュー量に応じて前記光 ビーム走査手段の光学部材の傾きを調整することでスキューを補正するスキュー補正手段 を含む前記画像位置ずれ補正手段と、前記各手段により実行される画像位置ずれ補正制御 の前に、前記スキュー補正手段を駆動させる駆動手段と、を有し、前記スキュー補正手段は、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転軸の外側にバックラッシュを有する状態で取り付けられ、先端が前記光学部材に取り付けられ 、前記ステッピングモータの正逆回転により進退して、前記光学部材の傾きを変化させる調整部材とを有し、前記駆動手段は、前記位置ずれ補正用パターンを形成する前に、前記ステッピングモータを規定量正転及び逆転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像位置ずれの補正をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置における作像装置の構成を示す図。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における光ビーム走査装置及び画像形成制御部構成を示す図。
図4図3におけるVCOクロック発生部の内部構成を示すブロック図。
図5図3における書出開始位置制御部の内部構成を示すブロック図。
図6】書出開始位置制御部の主走査方向の動作を示すタイミングチャート。
図7】書出開始位置制御部の副走査方向の動作を示すタイミングチャート。
図8図3におけるLD制御部の前段に設けられているラインメモリの入力及び出力を示す図。
図9】スキュー補正機構の概要について説明するための図。
図10】スキュー補正機構の概略構造及び動作、並びにその経時変化を示す図。
図11】スキュー補正機構におけるモータの制御信号を示すタイミングチャート。
図12】画像形成装置の印刷時の制御フローを示す図。
図13】位置ずれ補正用パターンを示す図。
図14】画像形成装置の位置ずれ補正制御フローの第1の例を示す図。
図15】画像形成装置の位置ずれ補正制御フローの第2の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈画像形成装置の構成〉
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ100、給紙テーブル200、画像読み取りユニット300、及び原稿自動搬送装置(ADF)400を備えている。
【0014】
プリンタ100には、中央に中間転写ユニットがあり、中間転写ユニットには、無端ベルトである中間転写ベルト10がある。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ(第1の支持ローラ14、第2の支持ローラ15、第3の支持ローラ16)に掛け廻されており、時計回りに回動駆動される。第2の支持ローラ15の右に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニングユニット17がある。第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間の中間転写ベルト10には、その移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色の感光体ユニット80、帯電ユニット81、現像ユニット及びクリーニングユニットでなる作像装置20がある。作像装置20はプリンタ本体に対して脱着可能に装着されている。つまり、プリンタ100は「中間転写方式」に関するものであるが、本発明は「直接転写方式」のプリンタにも適用することができる。
【0015】
作像装置20の上方には、各色感光体ユニットの各感光体ドラムに画像形成のためのレーザ光を照射する光ビーム走査装置21がある。中間転写ベルト10の下方には、2次転写ユニット22がある。2次転写ユニット22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して、中間転写ベルト10を押し上げて第3の支持ローラ16に押当てるように配置したものである。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上の画像を用紙上に転写する。
【0016】
2次転写ユニット22の横には、用紙上の転写画像を定着する定着ユニット25があり、トナー像が転写された用紙がそこに送り込まれる。定着ユニット25は、無端ベルトである定着ベルト26に加熱、加圧ローラ27を押し当てたものである。2次転写ユニット22及び定着ユニット25の下方に、表面に画像を形成した直後の用紙を、裏面にも画像を記録するために表裏を反転して送り出すシート反転ユニット28がある。
【0017】
〈画像形成装置の動作〉
次に本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する。
操作部ユニット(図示せず)のスタートスイッチが押されると、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿給紙台30上に原稿があるときは、それをコンタクトガラス32上に搬送する。原稿自動搬送装置(ADF)400に原稿が無いときにはコンタクトガラス32上の手置きの原稿を読むために、画像読み取りユニット300のスキャナを駆動し、第1キャリッジ33及び第2キャリッジ34を読み取り走査駆動する。そして、第1キャリッジ33上の光源からコンタクトガラスに光を照射するとともに原稿面からの反射光を第1キャリッジ33上の第1ミラーで反射させて第2キャリッジ34に向け、第2キャリッジ34上のミラーで反射させて結像レンズ35を通して読取りセンサであるCCD36に結像させる。CCD36で得た画像信号に基づいてY、M、C、K各色の記録データが生成される。
【0018】
また、スタートスイッチが押されたとき、若しくはパソコン等から画像出力の指示があったとき、若しくはFAXの出力指示があったときに、中間転写ベルト10の回動駆動が開始されるとともに、作像装置20の各ユニットの作像準備が開始され、そして各色作像の作像シーケンスが開始される。そして、各色用の感光体ドラムに各色の記録データに基づいて変調された露光レーザが投射され、各色作像プロセスにより、各色トナー像が中間転写ベルト10上に一枚の画像として重ね転写される。
【0019】
このトナー画像の先端が2次転写ユニット22に進入するときに同時に先端が2次転写ユニット22に進入するようにタイミングをはかって用紙が2次転写ユニット22に送り込まれ、これにより中間転写ベルト10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像が移った用紙は定着ユニット25に送り込まれ、そこでトナー像が用紙に定着される。
【0020】
なお、上述の用紙は、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転駆動し、給紙ユニット43に多段に備える給紙トレイ44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚だけ分離して、搬送コロユニット46に入れ、搬送ローラ47で搬送してプリンタ100内の搬送コロユニット48に導き、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てて止めてから、前述のタイミングで2次転写ユニット22に送り出されるものである。
【0021】
手差しトレイ51上に用紙を差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51上に用紙を差し込んでいるときには、プリンタ100が給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上のシートの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込み。同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0022】
定着ユニット25で定着処理を受けて排出される用紙は、切換爪55で排出ローラ56に案内して排紙トレイ57上にスタックする。又は切換爪55でシート反転ユニット28に案内して、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット17で除去し、再度の画像形成に備える。
【0023】
〈作像装置の構成〉
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における作像装置の構成を示す図である。
【0024】
作像装置20は、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像を重ね合わせたカラー画像を形成するために4組の作像部20Y,20M,20C,20Kと4組の光ビーム走査装置21Y,21M,21C,21Kを備えている。光ビーム走査装置については、図3を参照して説明する。
【0025】
各色とも、感光体ユニット80Y,80M,80C,80Kの回りには、帯電器81Y,81M,81C,81K、除電器82Y,82M,82C,82K、クリーニングユニット83Y,83M,83C,83K、現像ユニット84Y,84M,84C,84K、及び転写器62Y,62M,62C,62Kが備わっている。そして、通常の電子写真プロセスである帯電、露光(潜像形成)、現像、転写により中間転写ベルト10上に1色目の画像を形成し、次に2色目、3色目、4色目の順に画像を転写することにより、4色の画像が重ね合わさったカラー画像を形成する。さらに、2次転写ユニット22によって、中間転写ベルト10上に形成された画像を搬送されてくる記録紙に転写することで、4色の画像が重ね合わさったカラー画像を記録紙上に形成する。そして図示していないが定着装置によって記録紙上の画像が定着される。
【0026】
中間転写ベルト10上のトナー像を除去するために、中間転写ベルトクリーニングユニット17が設けられている。また、中間転写ベルト10上に形成された画像位置ずれ検出用パターンを検出するためのセンサ91,92が備わっている。センサ91,92は反射型の光電センサであり、中間転写ベルト10上に形成された画像位置ずれ検出用パターンを検出し、その検出結果に基づき、各色間の主走査方向、副走査方向の画像位置ずれ、スキュー、主走査方向の画像倍率の各画像位置ずれデータを取得する。
【0027】
〈光ビーム走査装置及び画像形成制御部の構成〉
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における光ビーム走査装置及び画像形成制御部の構成を示す図である。ここには、1色分の光ビーム走査装置及び画像形成制御部を図示したが、プリンタ制御部106、補正データ記憶部108、センサ91,92以外は色毎に設けられている。また、各色の光ビーム走査装置21Y,21M,21C,21Kを区別せずに光ビーム走査装置21とした。
【0028】
光ビーム走査装置21は、LD(レーザダイオード)ユニット211、ポリゴンミラー212、fθレンズ213、第2レンズ214、折り返しミラー215、同期ミラー216、同期レンズ217、及び同期検知センサ218を備えている。
【0029】
LDユニット211は、画像データに応じて駆動変調されることにより選択的に光ビーム85を出射する。出射した光ビーム85は、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー212によって偏向され、fθレンズ213、及び第2レンズ214を通り、折り返しミラー215で反射し、像担持体としての上を走査し感光体ユニット80、潜像を形成する。
【0030】
同期検知センサ218は、光ビーム走査装置21の主走査方向端部の画像書き出し側に設けられており、LDユニット211から出射し、ポリゴンミラー212により偏向され、fθレンズ213を透過した光ビーム85が同期ミラー216によって反射され、同期レンズ217によって集光されて同期検知センサ218に入射するような構成になっている。
【0031】
光ビーム85が同期検知センサ218上を通過することにより、同期検知センサ218から同期検知信号XDETPが出力され、書出開始位置制御部102、同期検知用点灯制御部104、及び画素クロック生成部105に送られる。
【0032】
画素クロック生成部105では、同期検知信号XDETPに同期した画素クロックPCLKを生成し、書出開始位置制御部102、LD制御部103、同期検知用点灯制御部104に送る。
【0033】
画素クロック生成部105は、基準クロック発生部111、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)クロック発生部112、及び位相同期クロック発生部113から構成されている。
【0034】
画素クロック生成部105では、基準クロック発生部111が基準クロックFREFを発生してVCOクロック発生部112に出力し、VCOクロック発生部112が基準クロックFREFからクロックVCLKを生成して位相同期クロック発生部113に出力する。位相同期クロック発生部113は、VCOクロック発生部112で生成されたクロックVCLKと同期検知信号XDETPから、同期検知信号XDETPに同期した画素クロックPCLKを生成して、書出開始位置制御部102、LD制御部103、及び同期検知用点灯制御部104に出力する。
【0035】
〈VCOクロック発生部の内部構成〉
ここで、VCOクロック発生部112の内部構成を説明する。図4は、図3におけるVCOクロック発生部の内部構成を示すブロック図である。
【0036】
図示のように、VCOクロック発生部112は、位相比較器121、LPF(ローパスフィルタ)122、VCO123、及び1/N分周器124を備えている。
【0037】
VCOクロック発生部112では、基準クロック発生部111からの基準クロックFREFと、VCO123から出力されるクロックVCLKを1/N分周器124でN分周した信号とを位相比較器121に入力する。位相比較器121は、両信号の立ち下がりエッジの位相比較を行い、誤差成分を定電流出力する。そしてLPF122によって不要な高周波成分や雑音を除去し、VCO123に送る。VCO123ではLPF122の出力に依存した発振周波数のクロックVCLKを出力する。
【0038】
従って、プリンタ制御部106からFREFの周波数と分周比:Nを変化させることで、VCLKの周波数を変化させることができる。VCLKの周波数が変化することで、画素クロックPCLKの周波数も変化する。
【0039】
図3の説明に戻る。同期検知用点灯制御部104は、最初に同期検知信号XDETPを検出するために、LD強制点灯信号BDをオンしてLDユニット211を強制点灯させる。また、同期検知用点灯制御部104は、同期検知信号XDETPを検知した後には、同期検知信号XDETPと画素クロックPCLKを用いて、フレア光が発生しない程度で確実に同期検知信号XDETPが検知できるようなタイミングでLDユニット211を点灯させる。そして、同期検知信号XDETPを検知したら、LDユニット211を消灯するようなLD強制点灯信号BDを生成し、LD制御部103に送る。
【0040】
また、同期検知用点灯制御部104は、各LDユニット211の光量制御タイミング信号APCを同期検知信号XDETPと画素クロックPCLKを用いて生成し、LD制御部103に送る。この信号は画像書き込み領域外で出力する必要があり、そのタイミングで光量を狙いの光量に制御する。
【0041】
LD制御部103では、同期検知用のLD強制点灯信号BD、光量制御タイミング信号APC及び画素クロックPCLKに同期した画像データに応じてLDユニット211を点灯制御する。そして、LDユニット211からレーザビームが出射し、ポリゴンミラー212に偏向され、fθレンズ213、第2レンズ214を通り、折り返しミラー215によって感光体ユニット80上を走査することになる。
【0042】
ポリゴンモータ制御部101は、プリンタ制御部106からの制御信号により、ポリゴンモータ(不図示)を規定の回転数で回転制御する。書出開始位置制御部102は、同期検知信号XDETP、画素クロックPCLK、及びプリンタ制御部106からの制御信号等により、画像書出し開始タイミング及び画像幅を決定する主走査制御信号XLGATE、副走査制御信号XFGATEを生成している。
【0043】
モータ制御部107はプリンタ制御部106からの制御信号により折り返しミラー215の傾きを調整するためのモータ駆動信号を生成し、スキュー補正機構219のモータに送る。モータは駆動信号を受けて指示された量と方向に折り返しミラー215を動かす。なお、スキュー補正機構219を折り返しミラー215の代わりに第2レンズ214に設けてもよい。モータの駆動方法については同様である。
【0044】
位置ずれ補正用パターンを検出するセンサ91,91については、各センサで検出した画像位置ずれ補正用パターンのデータをプリンタ制御部106に送り、位置ずれ量を算出し、補正データを生成し、書出開始位置制御部102、画素クロック生成部105、及びモータ制御部107に設定するとともに、補正データ記憶部108に記憶しておく。
【0045】
補正データ記憶部108は、画像形成動作を行う際に、記憶されている補正データがプリンタ制御部106の指示により読み出され、補正データは書出開始位置制御部102、画素クロック生成部105、及びモータ制御部107に設定される。
【0046】
〈書き出し開始位置制御部の内部構成〉
図5は、図3における書出開始位置制御部の内部構成を示すブロック図である。図示のように、書出開始位置制御部102は、主走査ライン同期信号発生部131、主走査ゲート信号発生部132、及び副走査ゲート信号発生部133を備えている。
【0047】
主走査ゲート信号発生部132は、XLSYNCと画素クロックPCLKで動作する主走査カウンタ141と、そのカウンタ値とプリンタ制御部106からの第1設定値(補正データ)とを比較し、その結果を出力するコンパレータ142と、コンパレータ142からの比較結果から、主走査方向の画像書出しタイミングを決定する信号XLGATEを生成するゲート信号生成部143で構成されている。
【0048】
副走査ゲート信号発生部133は、プリンタ制御部106(図3)からの制御信号(印刷開始信号)と、XLSYNCとPCLKで動作する副走査カウンタ151と、そのカウンタ値とプリンタ制御部106からの第2設定値(補正データ)とを比較し、その結果を出力するコンパレータ152と、コンパレータ152からの比較結果から、副走査方向の画像書出しタイミングを決定する信号XFGATEを生成するゲート信号生成部153で構成されている。
【0049】
次に書出開始位置制御部102の動作を説明する。
主走査ライン同期信号発生部131は、主走査ゲート信号発生部132内の主走査カウンタ141、及び副走査ゲート信号発生部133内の副走査カウンタ151を動作させるための信号XLSYNCを生成し、主走査カウンタ141、及び副走査カウンタ151に出力する。
【0050】
主走査ゲート信号発生部132は、入力されたXLSYNCに基づき、画像信号の取り込みタイミング(主走査方向の画像書出しタイミング)を決定する信号XLGATEを生成し、副走査ゲート信号発生部133は、制御信号に基づき、画像信号の取り込みタイミング(副走査方向の画像書出しタイミング)を決定する信号XFGATEを生成する。
【0051】
書出開始位置制御部102は主走査については画素クロックPCLKの1周期単位、つまり1ドット単位で、副走査についてはXLSYNCの1周期単位、つまり1ライン単位で書出位置を補正できる。主走査、副走査とも、補正データについては、補正データ記憶部108に記憶されている。
【0052】
〈書出開始位置制御部の主走査方向の動作〉
図6は、書出開始位置制御部の主走査方向の動作を示すタイミングチャートである。XLSYNCによって主走査カウンタ141をリセットし、画素クロックPCLKでカウントアップしていく。主走査カウンタ141のカウンタ値がプリンタ制御部106によって設定された第1設定値(ここではX)になったところで、コンパレータ142からその比較結果が出力され、ゲート信号生成部143によってXLGATEがロー(Low)レベル(有効)になる。XLGATEは主走査方向の画像幅分だけローレベルとなる信号である。
【0053】
〈書出開始位置制御部の副走査方向の動作〉
図7は、書出開始位置制御部の副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。プリンタ制御部106からの印刷開始信号で副走査カウンタ151をリセットし、XLSYNCでカウントアップしていく。副走査カウンタ151のカウンタ値がプリンタ制御部106によって設定された第2設定値(ここではY)になったところでコンパレータ152からその比較結果が出力され、ゲート信号生成部153によってXFGATEがローレベル(有効)になる。XFGATEは副走査方向の画像長さ分だけローレベルとなる信号である。
【0054】
〈LD制御部の前段に設けられているラインメモリの動作〉
図8は、図3におけるLD制御部の前段に設けられているラインメモリの入力及び出力を示す図である。
【0055】
ラインメモリ161は、XFGATE、XLGATEのタイミングでプリンタコントローラ、フレームメモリ、スキャナ等から画像データを取り込み、PCLKに同期して画像データを出力する。出力された画像データはLD制御部103(図3)に送られ、そのタイミングで各LDユニット211が点灯する。
【0056】
〈スキュー補正機構〉
図9は、スキュー補正機構の概要について説明するための図である。図示のように、折り返しミラー215の一端(ここでは左端)を固定し、他端(ここでは右端)をスキュー補正機構219により変位させる。
【0057】
スキュー補正機構219は、ステッピングモータ221と、ステッピングモータ221の正逆回転により進退する調整部材222からなる(詳細については後述する)。センサ91,92(図3)により検出されたスキュー量に応じて、ステッピングモータ221を回転させ、調整部材222により、光ビーム走査装置21の光学部材としての折り返しミラー215の他端を変位させることで、折り返しミラー215の傾き変化させ、スキューを補正する。なお、同様のスキュー補正機構を第2レンズ214に取り付け、第2レンズ214の傾きを変えることで、スキュー補正を行うことも可能である。
【0058】
〈スキュー補正機構の概略構造、動作及びその経時変化〉
図10は、スキュー補正機構の概略構造及び動作、並びにその経時変化を示す図である。ここで、図10(a)はスキュー補正機構の概略構造及び動作を示している。また、図10(b)、図10(c)は、それぞれ図10(a)において破線で囲まれている部分のスキュー補正直後の状態、経時変化後の状態を示している。
【0059】
図10(a)に示されているように、スキュー補正機構219は、ステッピングモータ221と、調整部材222とを有する。調整部材222は、ネジ構造になっているモータの回転軸222aと、その外側に嵌め込まれたナット222bからなる。ナット222bは、回転抑制されており、ステッピングモータ221が正逆回転することで、ナット222bが進退(図では上下動)し、折り返しミラー215若しくは第2レンズ214の傾きを変えることができる。
【0060】
ただし、図10(b)及び図10(c)に示されているように、回転軸222aとナット222bとの間にバックラッシュ(あそび)223が存在すると、図10(b)に示されているように、スキュー補正直後はナット222bが補正完了位置に停止している状態になるが、図10(c)に示されているように、経時変化によりバックラッシュ223の分だけナット222bが動いてしまうことがある。このナット222bの動きにより、折り返しミラー215の傾きも変化してしまう。
【0061】
〈モータ制御信号〉
図11は、スキュー補正機構におけるモータの制御信号を示すタイミングチャートである。本実施形態ではモータは4相ステッピングモータの2-2相励磁方式として説明するが、モータ駆動についてこの方式に限定するものではない。
【0062】
プリンタ制御部106からスキュー補正の指示があった場合、モータ制御部107では図のようなパルスを生成してステッピングモータ221に対して出力する。例えば、T1→T2→T3→T4の方向に遷移すると、ステッピングモータ221としてはCW方向(時計回り)に回転(以下、正転と言う)し、プラス補正となる。逆に、T4→T3→T2→T1の方向に遷移すると、ステッピングモータ221としてはCCW方向(反時計回り)に回転(以下、逆転と言う)し、マイナス補正となる。4ステップで1回転(360度)となる。なお、「正転」をすると、図10(a)に示す「+」方向への補正となる。また、「逆転」をすると、図10(a)に示す「-」方向への補正となる。
【0063】
プリンタ制御部106ではスキュー補正量を算出した後、事前に取得しておいた補正量に対するステップ量のデータから、ステップ量を算出し、モータ制御部107に指示する。
【0064】
なお、ステッピングモータ221を動作させるときにのみ励磁した方が発熱の問題がなくなるため、モータ動作後、各相の状態を補正データ記憶部108に記憶しておき、励磁をオフし、次回動作する場合に、前回の励磁状態からスタートするように制御する。
【0065】
〈印刷時の動作〉
図12は、画像形成装置の印刷時の制御フローを示す図である。
操作パネルのスタートキーの押下に応じて、まず、ポリゴンモータをプリンタ制御部106からの指示で規定の回転数で回転させる(ステップS1)。
【0066】
そして、補正データ(主走査、副走査の書出開始位置、倍率の設定値)を各制御部に設定して(ステップS2)、同期検知信号を出力するためのLD点灯、及び各LDが規定光量で点灯できる状態にするためのAPC(Automatic Power Control:自動光量制御)動作を行う(ステップS3)。
【0067】
その後、画像形成動作を行う(ステップS4)。画像形成動作の後、次の画像の有無を判定する(ステップS5)。次の画像がなければ(ステップS5:No)、LDを消灯し(ステップS6)、ポリゴンモータを停止し(ステップS7)、この図に示されている制御フローを終了する。次の画像がある間は画像形成動作を繰り返す(ステップS5:Yes→ステップS4)。
【0068】
スキュー補正については、印刷前に実施した画像位置ずれ補正制御の際にステッピングモータ221を動作させていれば、改めて実施する必要はない。
【0069】
〈位置ずれ補正用パターン〉
図13は、位置ずれ補正用パターンを示す図である。
位置ずれ補正用パターンは印刷する画像を形成していない期間(紙間)に形成される。印刷開始前、若しくは印刷終了時でもよい。
【0070】
中間転写ベルト10上に各色で横線及び斜め線の画像を形成する。ここでは、中間転写ベルト10の移動方向に対して左側に形成された横線(Y1,M1,C1,K1)及び斜め線(Y3,M3,C3,K3)と、中間転写ベルト10の移動方向に対して右側に形成された横線(Y2,M2,C2,K2)及び斜め線(Y4,M4,C4,K4)を図示した。
【0071】
中間転写ベルト10が矢印の方向に移動することにより、各色の横線、斜め線の主走査方向の中心位置(図における破線との交点)がセンサ91,92で検出され、プリンタ制御部106に送られ、K色に対する各色のずれ量(時間)が算出される。斜め線は、主走査方向の画像位置、画像倍率がずれることで検出タイミングが変わり、横線は、副走査方向の画像位置がずれることで検出タイミングが変わる。
【0072】
具体的には、主走査方向については、パターンK1からパターンK3の時間を基準とし、パターンC1からパターンC3の時間と比較し、そのずれ分TKC13を求める。さらに、パターンK2からパターンK4までの時間を基準とし、パターンC2からパターンC4までの時間と比較し、そのずれ分TKC24を求める。TKC24-TKC13がシアン画像のブラック画像に対する倍率誤差となるので、その量に相当する分だけ画素クロックの周波数を変化させることになる。
【0073】
また、上記で求めたTKC13からセンサ91の位置における倍率誤差補正分を差し引いたものが、シアン画像のブラック画像に対する主走査ずれとなり、そのずれ量に相当する分だけ書出開始タイミングを決定するXLGATE信号のタイミングの変更を行う。マゼンタ、イエローについても同様である。
【0074】
副走査方向については、理想の時間をTcとし、パターンK1からパターンC1までの時間をTKC1、パターンK2からパターンC2までの時間をTKC2とすると、「{(TKC2+TKC1)/2}-Tc」がシアン画像のブラック画像に対する副走査ずれとなり、その量に相当する分だけ書出開始タイミングを決定するXFGATE信号のタイミングの変更を行う。マゼンタ、イエローについても同様である。
【0075】
また、スキューについて、TKC1とTKC2の差分である「TKC2-TKC1」がシアン画像のブラック画像に対するスキューずれとなり、その量に相当する分だけステッピングモータ221によって補正する。補正量を算出する際、ずれを検出するセンサ91,92の位置と実際に補正するステッピングモータ221が設置されている位置とが異なるので、検出したずれ量からステッピングモータ221の位置でのずれ量に換算し、実際に設定する補正量を求める必要がある。
【0076】
図示した位置ずれ補正パターンの形状は一例であり、これに限るものではない。また、主走査方向の3箇所以上で位置ずれ補正用パターンを形成して検出した方がより高精度になる。また、本パターンを中間転写ベルト10の移動方向に複数組配列し、ずれ量を平均化することで、様々な誤差を低減させることができる。
【0077】
〈位置ずれ補正制御フローの第1の例〉
図14は、画像形成装置の位置ずれ補正制御フローの第1の例を示す図である。
画像位置ずれ補正については、プリンタ制御部106が実行タイミングを制御する。電源オンした直後に実行したり、規定した印刷枚数毎に実行したり、温度を監視して規定以上の温度変化があった場合に実行する。
【0078】
まず、前回の補正からの経時変化で折り返しミラー215の傾きの変化、ステッピングモータ221のバックラッシュによって、光ビームの走査線の傾き状態が変化している可能性があるため、スキュー補正機構219のステッピングモータ221を規定量:+Aだけ駆動する(ステップS101)。この回転方向、回転量については、確実に折り返しミラー215の傾きが元に戻ることを事前に確認して決定しておく。なお、本実施形態の場合、+方向への動作のため、スキューずれをわざと発生させることになる可能性もあるが、この後に実施する補正動作でその分も含めて補正されるため、影響はない
【0079】
次に補正データ記憶部108に記憶されている各色の補正データを設定し(ステップS102)、位置ずれ補正用パターンを形成する(ステップS103)。次いでセンサ91,92で位置ずれ補正用パターンを検知し(ステップS104)、プリンタ制御部106で基準色に対する各色のずれ量を算出する(ステップS105)。ここで、複数組のパターンを形成した場合、平均値を算出する。
【0080】
そして、補正を実施するか否かを判断する(ステップS106)。この判断は、例えばずれ量が補正分解能の1/2以上であれば補正を行うことになる。補正する場合(ステップS106:Yes)、補正データを算出し(ステップS107)、算出された補正データで補正データ記憶部108の補正データを更新し(ステップS108)、各制御部に補正データを設定する(ステップS109)。
【0081】
ここでの補正データは、主走査方向の画像倍率を決定する画素クロック周波数の設定値と、主走査方向の画像位置を決定するXLGATE信号の設定値、副走査方向の画像位置を決定するXFGATE信号の設定値、副走査方向のスキュー補正量を決定する設定値である。補正を行わない場合は、補正データの更新は行わない。設定後は、この補正値を使って画像形成動作を実施することになる。
【0082】
位置ずれ補正用パターンを検知ができなかった等により、画像位置ずれ補正制御が実施できなかった場合、スキューについては+Aだけモータを動作(正転)させたことで、最初の状態から変わっているため、同じ量だけ逆方向に動作(逆転)させた方がよい。
【0083】
本実施例の場合、図10に示されているように+方向が折り返しミラー215を押し出す方向になっている。基本的に同じ量であれば動作方向による動作量の差異はないが、押し出す方向に動作させた方が、仮にミラー可動部の動きが多少悪い場合においても、折り返しミラー215の傾き、バックラッシュに対して常に同じ位置に安定させやすいという利点がある。
【0084】
〈位置ずれ補正制御フローの第2の例〉
図15は、画像形成装置の位置ずれ補正制御フローの第2の例を示す図である。この図におけるステップS202~S210は図14(第1の例)におけるステップS101~S109と同じである。すなわち、第1の例とは、最初に規定量:-Aだけ動作(逆転)させ、その後、同じ量だけ反対側(+A)に動作(正転)させる点だけ異なる。
【0085】
この第2の例の場合、同じ量を正負の方向で動作させるため、スキューの状態は折り返しミラー215の傾き、バックラッシュの影響以外は動作前とほぼ同じになる。この場合、仮にこの後に実施する画像位置ずれ補正制御が実施できなかった場合でも、ステッピングモータ221を動作させる必要がない。
【0086】
この第2の例の場合でも、図10のように+方向が折り返しミラー215を押し出す方向になっている。基本的に同じ量であれば動作方向による動作量の差異はないが、押し出す方向に動作した方が、仮にミラー可動部の動きが多少悪い場合においても、折り返しミラー215の傾き、バックラッシュに対して常に同じ位置に安定させやすい。よって、最初に-方向に動作させ、その後、+方向に動作させるようにする。
【0087】
また、この第2の例では、最初に-方向に動作させ、その後、+方向に動作させているが、常に同じ方向で動作終了させるようにした方がよい。動作する方向によって誤差が発生したとしても、常に同じ状態の方が動作毎のばらつきが無くなるからである。
【符号の説明】
【0088】
10:中間転写ベルト
20:作像装置
21:光ビーム走査装置
80:感光体
91,92:センサ
101:ポリゴンモータ制御部
102:書出開始位置制御部
105:画素クロック生成部
106:プリンタ制御部
107:モータ制御部
108:補正データ記憶部
214:第2レンズ
215:折り返しミラー
219:スキュー補正機構
221:ステッピングモータ
222:調整部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【文献】特開2010-181572号公報
【文献】特開平9-269455号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15