(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240827BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240827BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240827BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L25/08 B
(21)【出願番号】P 2020102478
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智章
(72)【発明者】
【氏名】小野関 仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直也
(72)【発明者】
【氏名】野中 敏央
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152602(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196105(WO,A1)
【文献】特開2018-012752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板本体と、該第1基板本体の一面に設けられた第1絶縁膜及び第1電極とを有する第1半導体基板を準備する工程と、
第2基板本体と、該第2基板本体の一面に設けられた第2絶縁膜及び複数の第2電極とを有する第2半導体基板を準備する工程と、
前記第1半導体基板の前記一面側及び前記第2半導体基板の前記一面側の少なくとも一方を研磨する工程と、
前記第2半導体基板を個片化し、前記第2絶縁膜に対応する絶縁膜部分と少なくとも1つの前記第2電極とをそれぞれが備えた複数の半導体チップを取得する工程と、
前記第1半導体基板の前記第1電極に対して前記複数の半導体チップの内の少なくとも1つの半導体チップの前記第2電極の位置合わせを行う工程と、
前記第1半導体基板の前記第1絶縁膜と前記半導体チップの前記絶縁膜部分とを互いに貼り合わせる工程と、
前記第1半導体基板の前記第1電極と前記半導体チップの前記第2電極とを接合する工程と、を備え、
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の少なくとも一方の絶縁膜が有機材料を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記研磨する工程において、前記第1電極の表面が前記第1絶縁膜の表面と同等の高さとなる又は前記第1絶縁膜の表面に対して凹んだ位置となるようにCMP法を用いて前記第1半導体基板の前記一面側を研磨する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記研磨する工程において、前記複数の第2電極の各表面が前記第2絶縁膜の表面と同等の高さとなる又は前記第2絶縁膜の表面に対して凹んだ位置となるようにCMP法を用いて前記第2半導体基板の前記一面側を研磨する、
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記貼り合わせる工程において、前記半導体チップと前記第1半導体基板との温度差が10℃以内となる温度、又は常温で、前記半導体チップの前記絶縁膜部分を前記第1半導体基板の前記第1絶縁膜に接合する、
請求項1~3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる前記有機材料の弾性率が7.0GPa以下である、
請求項1~4の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる前記有機材料の熱膨張係数は70ppm/k以下である、
請求項1~5の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2絶縁膜に含まれる前記有機材料は、前記第2電極を構成する金属材料の研磨レートの5倍以下の研磨レートを有する、
請求項1~6の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる前記有機材料は、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、又はPBO前駆体を含む、
請求項1~7の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる前記有機材料は、ポリアミドイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、又はPBO前駆体を含む、
請求項1~7の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる前記有機材料は、感光性樹脂、熱硬化性の非導電性フィルム、又は熱硬化性樹脂を含む、
請求項1~7の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2絶縁膜の厚さは、前記第1絶縁膜の厚さよりも厚い、
請求項1~
10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2絶縁膜の厚さは、前記第1絶縁膜の厚さよりも薄い、
請求項1~10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記貼り合わせる工程の後に、前記接合する工程を行う、
請求項1~12の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記研磨する工程では、前記第2半導体基板の前記一面側が研磨され、
前記半導体チップを取得する工程では、前記研磨された第2半導体基板が個片化される、
請求項1~13の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1基板本体の前記一面に複数の導電性ピラーを形成する工程を更に備え、
前記複数の導電性ピラーは、前記第1基板本体の前記一面において前記半導体チップが取り付けられる領域とは異なる領域に形成される、
請求項1~14の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、より詳しくは、個片化された半導体チップを半導体基板(別の半導体チップ又は半導体ウェハー等)に接合する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの集積度を向上させるために三次元実装が検討されている。非特許文献1には、半導体チップの三次元実装の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】F.C. Chen et al., “Systemon Integrated Chips(SoIC TM) for 3D Heterogeneous Integration”,2019 IEEE 69th Electronic Components and Technology Conference (ECTC),p.594-599(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような半導体チップの三次元実装を行う場合において、デバイス同士の配線の微細接合及び接合時の位置ずれ防止のため、Wafer-to-Wafer(W2W)接合に用いられるハイブリッドボンディング技術を使うことが検討されている。しかしながら、半導体チップの三次元実装を行う場合、W2Wと異なり、半導体チップへの個片化を行う工程により異物(切断破片)が発生することがあり、この異物が半導体チップ等の接合界面(ハイブリッドボンディングの絶縁膜)に付着してしまう虞がある。この絶縁膜には酸化シリコン(SiO2)等の無機材料が一般的に用いられているが、硬い材料であることから、付着した異物が絶縁膜に大きな空隙、例えば異物高さの1000倍近い直径の空隙を接合界面方向に生じさせてしまう。このため、W2Wに用いられているハイブリッドボンディング技術を単に半導体チップの三次元実装に適用しても、このような空隙により接合不良を引き起こしてしまう虞がある。一方、これらの接合不良を防ぐために高い清浄度を持つクリーンルーム及び装置を利用する場合、クレームルーム等に対する設備投資により多額の費用が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、半導体チップの三次元実装を行う場合において、半導体チップの微細接合を行いつつ接合不良を低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る半導体装置の製造方法は、第1基板本体と、該第1基板本体の一面に設けられた第1絶縁膜及び第1電極とを有する第1半導体基板を準備する工程と、第2基板本体と、該第2基板本体の一面に設けられた第2絶縁膜及び複数の第2電極とを有する第2半導体基板を準備する工程と、第1半導体基板の一面側及び第2半導体基板の一面側の少なくとも一方を研磨する工程と、第2半導体基板を個片化し、第2絶縁膜に対応する絶縁膜部分と少なくとも1つの第2電極とをそれぞれが備えた複数の半導体チップを取得する工程と、第1半導体基板の第1電極に対して複数の半導体チップの内の少なくとも1つの半導体チップの第2電極の位置合わせを行う工程と、第1半導体基板の第1絶縁膜と半導体チップの絶縁膜部分とを互いに貼り合わせる工程と、第1半導体基板の第1電極と半導体チップの第2電極とを接合する工程と、を備える。この製造方法では、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の少なくとも一方の絶縁膜が有機材料を含む。
【0007】
上記製造方法では、第1半導体基板の絶縁膜及び第2半導体基板(半導体チップ)の絶縁膜の少なくとも一方の絶縁膜が有機材料を含んで構成されている。有機材料は一般的に無機材料よりも弾性率が低く、このような柔らかい材料をハイブリッドボンディングの絶縁膜に用いることにより、半導体チップへの個片化の際のダイシングによって発生する異物が絶縁膜に付着しても、異物周辺の絶縁膜が容易に変形し、絶縁膜に大きな空隙を生じさせることなく異物を有機材料内に包含させることができる。すなわち、有機材料を含む絶縁膜によって異物の影響を抑えることが可能となる。よって、上記製造方法によれば、半導体チップの微細接合を行いつつ、接合不良を低減することができる。なお、この製造方法によれば、これに限定されるものではないが、上記方法によって接合不良を低減できるため、接合不良を防ぐための高い清浄度を持つクリーンルーム及び装置を利用しなくてもよくなり、上述した半導体装置の製造場所の限定が緩やかになる。
【0008】
上記製造方法では、研磨する工程において、第1電極の表面が第1絶縁膜の表面と同等の高さとなる又は第1絶縁膜の表面に対して凹んだ位置となるようにCMP法を用いて第1半導体基板の一面側を研磨してもよい。また、研磨する工程において、複数の第2電極の各表面が第2絶縁膜の表面と同等の高さとなる又は第2絶縁膜の表面に対して凹んだ位置となるようにCMP法を用いて第2半導体基板の一面側を研磨してもよい。このような研磨を行うことにより、絶縁膜を貼り合わせる工程において、第1電極と第2電極とが先に接触してしまうことを防止して、第1半導体基板の第1絶縁膜と半導体チップの絶縁膜部分とを互いに貼り合わせる工程をより確実に実行することができる。
【0009】
上記製造方法では、貼り合わせる工程において、半導体チップと第1半導体基板との温度差が10℃以内となる温度、又は常温で、半導体チップの絶縁膜部分を第1半導体基板の第1絶縁膜に接合してもよい。この場合、位置ずれを抑制しつつ、半導体チップを第1半導体基板に接合することができる。また、第1半導体基板の第1絶縁膜と半導体チップの絶縁膜部分とが異なる材料であっても接合することが可能となる。
【0010】
上記製造方法では、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる有機材料の弾性率は7.0GPa以下であってもよい。この場合、半導体チップへの個片化時のダイシングによって発生した異物が接合界面に付着しても、大きな空隙を生じさせることなく、これら異物を有機材料内により確実に包含させて、接合不良を更に低減することができる。上記の有機材料の弾性率は、好ましくは5.0GPa以下であり、更に好ましくは2.0GPa以下である。なお、ここでいう弾性率はヤング率を意味する。
【0011】
上記製造方法では、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる有機材料の厚さ方向の熱膨張係数は70ppm/k以下であってもよく、さらに好ましくは50ppm/k以下であってもよい。この場合、有機材料の熱膨張係数が第1電極及び第2電極の熱膨張係数と同等又は近いものとなり、熱が加えられた際に、絶縁層と電極との熱膨張の差が近しくなり、接合不良を更に低減することができる。なお、ここで規定する有機材料は、上述した弾性率を有したものであってもよいし、上述した弾性率とは異なる弾性率を有したものであってもよい。
【0012】
上記製造方法では、第2絶縁膜に含まれる有機材料は、第2電極を構成する金属材料の研磨レートの5倍以下の研磨レートを有してもよい。例えば、第2電極を構成する金属材料の研磨レートが50nm/minである場合、第2絶縁膜に含まれる有機材料の研磨レートは、200nm/min以下(4倍以下)であることが好ましく、100nm/min以下(2倍以下)であることが更に好ましく、50nm/min以下(同等以下)であることがより一層好ましい。このような研磨レートの関係にある場合、有機材料を含む第2絶縁膜と第2電極とを研磨する作業を行い易くなり、研磨工程を簡略化することができる。なお、第1絶縁膜と第1電極との研磨レートの関係が上記と同様であってもよい。
【0013】
上記製造方法では、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる有機材料は、ポリイミド、ポリイミド前駆体(例えばポリイミアミックエステル又はポリアミック酸)、ポリアミドイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、又はPBO前駆体を含んでもよい。また、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の少なくとも一方に含まれる有機材料は、感光性樹脂、熱硬化性の非導電性フィルム、又は熱硬化性樹脂を含んでもよい。感光性樹脂を用いた場合、接続電極の作製工程を簡略化することが可能である。また、熱硬化性の非導電性フィルムを用いた場合は、絶縁層の作製時の工程にかかる時間を短縮することが可能である。
【0014】
上記製造方法では、第2絶縁膜の厚さは、第1絶縁膜の厚さよりも厚くてもよい。この場合、半導体チップへの個片化時又はチップ実装時に接合界面に付着する異物の多くを第2絶縁膜によって包含することができ、接合不良をより一層低減することができる。一方、 第2絶縁膜の厚さは、第1絶縁膜の厚さよりも薄くてもよい。この場合、実装される半導体チップの低背化を図ることができる。なお、第1絶縁膜及び第2絶縁膜の厚さは、対応する電極の高さに応じて決定されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体チップの三次元実装を行う場合において、半導体チップの微細接合を行いつつ接合不良を低減する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体装置を製造するための方法を順に示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す半導体装置の製造方法における接合方法をより詳細に示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す半導体装置を製造するための方法であり、
図2に示す工程の後の工程を順に示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法をChip-to-Wafer(C2W)に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0018】
(半導体装置の構成)
図1は、本実施形態に係る製造方法によって製造される半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、半導体装置1は、例えば半導体パッケージの一例であり、第1半導体チップ10(第1半導体基板)、第2半導体チップ20(半導体チップ)、ピラー部30、再配線層40、基板50、及び、回路基板60を備えている。
【0019】
第1半導体チップ10は、例えばLSI(Large scale IntegratedCircuit:大規模集積回路)チップ又はCMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)センサ等の半導体チップであり、第2半導体チップ20が縦方向(高さ方向の下方)に実装された三次元実装構造になっている。第2半導体チップ20は、例えばLSI又はメモリ等の半導体チップであり、第1半導体チップ10よりも平面視における面積が小さいチップ部品である。第2半導体チップ20は、第1半導体チップ10の裏面にChip-to-Chip(C2C)接合されている。第1半導体チップ10と第2半導体チップ20とは、詳細を後述するハイブリッドボンディングにより、それぞれの端子電極とその周りの絶縁膜同士が強固且つ位置ズレせずに微細接合されている。
【0020】
ピラー部30は、例えば銅(Cu)から形成された複数のピラー31が樹脂32によって封止されている接続部である。複数のピラー31は、ピラー部30の上面から下面に向けて延在する導電性部材であり、例えば直径3μm以上20μm以下(一例では直径5μm)の円柱形状を呈し、各ピラー31間の中心ピッチが15μm以下となるように配置されてもよい。複数のピラー31は、第1半導体チップ10の下側の端子電極と再配線層40の上側の端子電極とをフリップチップ接続する。ピラー部30を用いることにより、半導体装置1では、TMV(Through mold via)と呼ばれるモールドに穴明けして半田接続する技術を使用せずに接続電極を形成することができる。ピラー部30は、例えば第2半導体チップ20と同程度の厚みを有し、第2半導体チップ20の水平方向の横側に配置される。なお、ピラー部30に代えて複数の半田ボールから当該部分が構成されてもよく、半田ボールによって第1半導体チップ10の下側の端子電極と再配線層40の上側の端子電極とを電気的に接続する構成であってもよい。
【0021】
再配線層40は、パッケージ基板の機能である端子ピッチ変換の機能を有する配線層であり、第2半導体チップ20の下側の絶縁膜上及びピラー部30の下面上にポリイミド及び銅配線等で再配線パターンを形成した層である。再配線層40は、第1半導体チップ10及び第2半導体チップ20等を上下反転した状態で形成される(
図4の(d)参照)。再配線層40は、第2半導体チップ20の下面の端子電極及びピラー部30を介した第1半導体チップ10の端子電極を、基板50の端子電極に電気的に接続する。基板50の端子ピッチは、第1半導体チップ10(ピラー31)及び第2半導体チップ20の端子ピッチよりも広くなっている。なお、基板50上には、各種の電子部品51が実装されていてもよい。また、再配線層40と基板50との端子ピッチに大きな開きがある場合はここに無機インターポーザ―等を使用して再配線層40と基板50との電気的接続をとってもよい。
【0022】
回路基板60は、第1半導体チップ10及び第2半導体チップ20をその上に搭載し、第1半導体チップ10、第2半導体チップ20及び電子部品51等に接続された基板50に電気的に接続される複数の貫通電極を内部に有する基板である。回路基板60では、これら貫通電極により、第1半導体チップ10及び第2半導体チップの各端子電極が回路基板60の裏面に設けられた端子電極61に電気的に接続される。
【0023】
(半導体装置の製造方法)
次に、半導体装置1の製造方法について、
図2~
図4を参照して、説明する。
図2は、
図1に示す半導体装置を製造するための方法を順に示す図である。
図3は、
図2に示す半導体装置の製造方法における接合方法(ハイブリッドボンディング)をより詳細に示す図である。
図4は、
図1に示す半導体装置を製造するための方法であり、
図2に示す工程の後の工程を順に示す図である。
【0024】
半導体装置1は、例えば、以下の工程(a)~工程(p)を経て製造することができる。
(a)第1半導体チップ10に対応する第1半導体基板100を準備する工程。
(b)第2半導体チップ20に対応する第2半導体基板200を準備する工程。
(c)第1半導体基板100を研磨する工程。
(d)第2半導体基板200を研磨する工程。
(e)第2半導体基板200を個片化し、複数の半導体チップ205を取得する工程。
(f)第1半導体基板100の端子電極103に対して複数の半導体チップ205それぞれの端子電極203の位置合わせを行う工程。
(g)第1半導体基板100の絶縁膜102と複数の半導体チップ205の各絶縁膜部分202bとを互いに貼り合わせる工程(
図3の(b)参照)。
(h)第1半導体基板100の端子電極103と複数の半導体チップ205それぞれの端子電極203とを接合する工程(
図3の(c)参照)。
(i)第1半導体基板100の接続面上であって複数の半導体チップ205の間に複数のピラー300(ピラー31に対応)を形成する工程。
(j)半導体チップ205とピラー300とを覆うように、第1半導体基板100の接続面上に樹脂301をモールドして半製品M1を取得する工程。
(k)工程(j)でモールドがされた半製品M1の上方を研削して薄化し、半製品M2を取得する工程。
(m)工程(k)で薄化された半製品M2に再配線層40に対応する配線層400を形成する工程。
(n)工程(m)で配線層400が形成された半製品M3を各半導体装置1となるように切断線Aに沿って切断する工程。
(p)工程(n)で個体化された半導体装置1aを反転して基板50及び回路基板60上に設置する工程(
図1参照)。
【0025】
[工程(a)及び工程(b)]
工程(a)は、複数の第1半導体チップ10に対応し、半導体素子及びそれらを接続する配線などからなる集積回路が形成されたシリコン基板である第1半導体基板100を準備する工程である。工程(a)では、
図2の(a)に示すように、シリコン等からなる第1基板本体101の一面101aに、銅又はアルミニウム等からなる複数の端子電極103(第1電極)を所定の間隔で設けると共に有機材料からなる絶縁膜102(第1絶縁膜)を設ける。絶縁膜102を第1基板本体101の一面101a上に設けてから、複数の端子電極103を設けてもよいし、複数の端子電極103を第1基板本体101の一面101aに設けてから絶縁膜102を設けてもよい。なお、複数の端子電極103の間には、後述する工程でピラー300を形成するため、所定の間隔が設けられており、その間にはピラー300に接続される別の端子電極(不図示)が形成されている。
【0026】
工程(b)は、複数の第2半導体チップ20に対応し、半導体素子及びそれらを接続する配線などからなる集積回路が形成されたシリコン基板である第2半導体基板200を準備する工程である。工程(b)では、
図2の(a)に示すように、シリコン等からなる第2基板本体201の一面201a上に、銅又はアルミニウム等からなる複数の端子電極203(複数の第2電極)を連続的に設けると共に有機材料からなる絶縁膜202(第2絶縁膜)を設ける。絶縁膜202を第2基板本体201の一面201a上に設けてから複数の端子電極203を設けてもよいし、複数の端子電極203を第2基板本体201の一面201aに設けてから絶縁膜202を設けてもよい。
【0027】
工程(a)及び工程(b)で用いられる絶縁膜102及び202は、上述したように、有機材料から構成されている。この有機材料は、例えばポリイミド、ポリイミド前駆体(例えばポリイミアミックエステル又はポリアミック酸)、ポリアミドイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、又はPBO前駆体を含んで構成されており、酸化シリコン(SiO2)等の無機材料に比べて低い弾性率を有している。絶縁膜102及び202を構成する有機材料の弾性率は、例えば7.0GPa以下であり、好ましくは5.0GPa以下又は3.0GPa以下であり、更に好ましくは2.0GPa以下又は1.5GPa以下である。なお、ここでいう弾性率はヤング率を意味する。
【0028】
また、絶縁膜102及び202を構成する有機材料は、その熱膨張係数が70ppm/k以下であることが好ましく、さらに好ましくは50ppm/k以下であってもよい。
【0029】
さらに、絶縁膜102及び202を構成する有機材料は、対応する端子電極103又は203を構成する金属材料(例えば銅又はアルミニウム)の研磨レートの5倍以下の研磨レートを有してもよい。例えば、端子電極103又は203を構成する金属材料が銅であり、その研磨レートが50nm/minの場合、絶縁膜102及び202を構成する有機材料の研磨レートは、200nm/min以下(4倍以下)であることが好ましく、100nm/min以下(2倍以下)であることが更に好ましく、50nm/min以下(同等以下)であることがより一層好ましい。
【0030】
なお、絶縁膜102及び202を構成する有機材料として、感光性樹脂、熱硬化性の非導電性フィルム(NCF:Non Conductive Film)、又は、熱硬化性樹脂を用いてもよい。この有機材料は、アンダーフィル材であってもよい。また、絶縁膜102及び202を構成する有機材料は耐熱性の樹脂であってもよい。
【0031】
[工程(c)及び工程(d)]
工程(c)は、第1半導体基板100を研磨する工程である。工程(c)では、
図3の(a)に示すように、端子電極103の各表面103aが絶縁膜102の表面102aに対して同等の位置か少し低い(凹んだ)位置となるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて第1半導体基板100の表面である一面101a側を研磨することができる。工程(c)では、例えば銅等からなる端子電極103を選択的に深く削る条件でCMP法によって第1半導体基板100を研磨することもできる。工程(c)において、端子電極103の各表面103aが絶縁膜102の表面102aと一致するようにCMP法で研磨してもよい。
【0032】
工程(d)は、第2半導体基板200を研磨する工程である。工程(d)では、
図3の(a)に示すように、端子電極203の各表面203aが絶縁膜202の表面202aに対して、同等の位置か少し低い(凹んだ)位置となるようにCMP法を用いて第2半導体基板200の表面である一面201a側を研磨することもできる。工程(d)では、例えば銅等からなる端子電極203を選択的に深く削る条件でCMP法によって第2半導体基板200を研磨する。工程(d)において、端子電極203の各表面203aが絶縁膜202の表面202aと一致するようにCMP法で研磨してもよい。
【0033】
工程(c)及び工程(d)では、絶縁膜102の厚さと絶縁膜202の厚さが同じになるように研磨してもよいが、例えば、絶縁膜202の厚さが絶縁膜102の厚さよりも厚くなるように研磨してもよい。一方、絶縁膜202の厚さが絶縁膜102の厚さよりも薄くなるように研磨してもよい。絶縁膜202の厚さが絶縁膜102の厚さよりも厚い場合には、半導体チップ205への個片化時又はチップ実装時に接合界面に付着する異物の多くを絶縁膜202によって包含することができ、接合不良をより一層低減することができる。一方、絶縁膜202の厚さが絶縁膜102の厚さよりも薄い場合には、実装される半導体チップ205、つまり半導体装置1の低背化を図ることができる。
【0034】
[工程(e)]
工程(e)は、第2半導体基板200を個片化し、複数の半導体チップ205を取得する工程である。工程(e)では、
図2の(b)に示すように、第2半導体基板200をダイシング等の切断手段により複数の半導体チップ205に個片化する。第2半導体基板200をダイシングする際に絶縁膜202に保護材等を被覆して、それから個片化してもよい。工程(e)により、第2半導体基板200の絶縁膜202は、各半導体チップ205に対応する絶縁膜部分202bへと分割される。なお、第2半導体基板200を個片化するダイシング方法としては、例えば、プラズマダイシング、ステルスダイシング又はレーザーダイシングを用いることができる。また、ダイシングの際の第2半導体基板200の表面保護材としては、例えば、水又はTMAH等で除去可能な有機膜、又は、プラズマ等で除去可能な炭素膜などの薄膜を設けてもよい。
【0035】
[工程(f)]
工程(f)は、第1半導体基板100の端子電極103に対して複数の半導体チップ205それぞれの端子電極203の位置合わせを行う工程である。工程(f)では、
図2の(c)に示すように、各半導体チップ205の端子電極203が第1半導体基板100の対応する複数の端子電極103に対向するように、各半導体チップ205の位置合わせを行う。この位置合わせ用に、第1半導体基板100上にアライアメントマーク等を設けてもよい。
【0036】
[工程(g)]
工程(g)は、第1半導体基板100の絶縁膜102と複数の半導体チップ205の各絶縁膜部分202bとを互いに貼り合わせる工程である。工程(g)では、各半導体チップ205の表面に付着した有機物又は金属酸化物を除去した後、
図2の(c)に示すように、第1半導体基板100に対する半導体チップ205の位置合わせを行い、これが終了すると、ハイブリッドボンディングとして複数の半導体チップ205それぞれの絶縁膜部分202bを第1半導体基板100の絶縁膜102に接合する(
図3の(b)参照)。この際、複数の半導体チップ205の絶縁膜部分と第1半導体基板100の絶縁膜102とを均一に加熱してから接合を行ってもよい。接合の際の半導体チップ205と第1半導体基板100との温度差は、例えば10℃以下が好ましい。このような均一な温度での加熱接合により、絶縁膜102と絶縁膜部分202bが接合された絶縁接合部分S1となり、複数の半導体チップ205が第1半導体基板100に対して機械的に強固に取り付けられる。また、均一な温度での加熱接合であることから、接合箇所における位置ズレ等が生じ難く、高精度な接合を行うことができる。この取り付けの段階では、第1半導体基板100の端子電極103と半導体チップ205の端子電極203とは互いに離間しており、接続されていない(但し位置合わせはされている)。なお、半導体チップ205の第1半導体基板100への貼り合わせは、他の接合方法によって行ってもよく、例えば常温接合等で接合してもよい。
【0037】
[工程(h)]
工程(h)は、第1半導体基板100の端子電極103と複数の半導体チップ205それぞれの端子電極203とを接合する工程である。工程(h)では、
図2の(d)に示すように、工程(g)の貼り合わせが終了すると、所定の熱H又は圧力若しくはその両方を付与して、ハイブリッドボンディングとして第1半導体基板100の端子電極103と複数の半導体チップ205の各端子電極203とを接合する(
図3の(c)参照)。端子電極103及び20が銅から構成されている場合、工程(g)でのアニーリング温度は、150℃以上400℃以下であることが好ましく、200℃以上300℃以下であることがより好ましい。このような接合処理により、端子電極103とそれに対応する端子電極203とが接合された電極接合部分S2となり、端子電極103と端子電極203とが機械的且つ電気的に強固に接合される。なお、工程(h)の電極接合は、工程(g)の貼り合わせ後に行われるが、工程(g)の貼り合わせと同時に行われてもよい。
【0038】
以上により、第1半導体基板100に複数の半導体チップ205が電気的且つ機械的に所定の位置に高精度に設置される。なお、
図2の(d)に示す半製品の段階で例えば製品の信頼性試験(接続試験等)を行い、良品のみを以降の工程に用いてもよい。続いて、このような半製品を用いた半導体装置の一例の製造方法を、
図4を参照して説明する。
【0039】
[工程(i)]
工程(i)は、第1半導体基板100の接続面100a上であって複数の半導体チップ205の間に複数のピラー300を形成する工程である。工程(i)では、
図4の(a)に示すように、複数の半導体チップ205の間に、例えば銅製の多数のピラー300を形成する。ピラー300は、例えば、銅めっき、導電体ペーストまたは銅ピンから形成することができる。ピラー300は、一端が第1半導体基板100の端子電極のうち半導体チップ205の端子電極203に接続されていない端子電極に接続されるように形成され、他端が上方に向かって延在する。ピラー300は、例えば直径10μm以上100μm以下であり、また、高さ10μm以上1000μm以下である。なお、一対の半導体チップ205の間には、例えば1個以上10000個以下のピラー300が設けられてもよい。
【0040】
[工程(j)]
工程(j)は、複数の半導体チップ205と複数のピラー300とを覆うように、第1半導体基板100の接続面100a上に樹脂301をモールドする工程である。工程(j)では、
図4の(b)に示すように、例えばエポキシ樹脂等をモールドして、複数の半導体チップ205と複数のピラー300とを全体的に覆う。モールド方法としては、例えば、コンプレッションモールド又はトランスファモールドを用いることができるし、フィルム状のエポキシフィルムをラミネートしてもよい。この樹脂モールドにより、複数のピラー300の間及びピラー300と半導体チップ205との間が樹脂によって充填される。これにより、樹脂が充填された半製品M1が形成される。なお、エポキシ樹脂等をモールドした後に硬化処理を行ってもよい。また、工程(i)と工程(j)とを略同時に行う場合、すなわち樹脂モールドするタイミングでピラー300も形成する場合、微細転写であるインプリントと導電性ペースト若しくは電解めっきとを用いてピラーを形成してもよい。
【0041】
[工程(k)]
工程(k)は、工程(j)でモールドがされた樹脂301、複数のピラー300及び複数の半導体チップ205からなる半製品M1を研削して薄化し、半製品M2を取得する工程である。工程(k)では、
図4の(c)に示すように、半製品M1の上方をグランダー等で研磨することにより、樹脂モールドされた第1半導体基板100等を薄化し、半製品M2とする。工程(k)での研磨により、半導体チップ205、ピラー300及び樹脂301の厚みは例えば数10μm程度に薄化され、半導体チップ205は第2半導体チップ20に対応する形状となり、ピラー300及び樹脂301は、ピラー部30に対応する形状となる。
【0042】
[工程(m)]
工程(m)は、工程(k)で薄化された半製品M2に再配線層40に対応する配線層400を形成する工程である。工程(m)では、
図4の(d)に示すように、研削された半製品M2の第2半導体チップ20及びピラー部30の上にポリイミド及び銅配線等で再配線パターンを形成する。これにより、第2半導体チップ20及びピラー部30の端子ピッチを広げた配線構造を有する半製品M3が形成される。
【0043】
[工程(n)及び工程(p)]
工程(n)は、工程(m)で配線層400が形成された半製品M3を各半導体装置1となるように切断線Aに沿って切断する工程である。工程(n)では、
図4の(d)に示すように、ダイシング等によって、各半導体装置1となるように、半導体装置基板を切断線Aに沿って切断する。その後、工程(p)では、工程(n)で個別化された半導体装置1aを反転して基板50及び回路基板60上に設置し、
図1に示す半導体装置1を複数取得する。
【0044】
以上、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1半導体基板100の絶縁膜102と、第2半導体基板200(半導体チップ205)の絶縁膜202(絶縁膜部分202b)とが有機材料を含んで構成されている。有機材料は一般的に無機材料よりも弾性率が低く、このような柔らかい材料をハイブリッドボンディングの絶縁膜に用いることにより、第2半導体基板200を半導体チップ205へ個片化する際のダイシングによって発生する異物が絶縁膜に付着しても、異物周辺の絶縁膜が容易に変形し、絶縁膜に大きな空隙を生じさせることなく異物を有機材料内に包含させることができる。すなわち、有機材料を含む絶縁膜によって異物の影響を抑えることが可能となる。よって、本実施形態に係る製造方法によれば、第1半導体基板100と半導体チップ205の微細接合を行いつつ、接合不良を低減することができる。なお、絶縁膜に用いる有機材料が低弾性率の材料からなっている又は靭性の高い樹脂組成を有している場合、上記の製造方法によって製造される半導体装置1の破損をより確実に防止することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、研磨工程(c)及び(d)において、複数の端子電極103の各表面103aが絶縁膜102の表面102aと同等の高さである又は絶縁膜102の表面102aに対して凹んだ位置となるようにCMP法を用いて第1半導体基板100の一面101a側を研磨している。また、複数の端子電極203の各表面203aが絶縁膜202の表面202aと同等の高さである又は絶縁膜202の表面202aに対して凹んだ位置となるようにCMP法を用いて第2半導体基板200の一面201a側を研磨している。このような研磨を行うことにより、第1半導体基板100の絶縁膜102と半導体チップ205の各絶縁膜部分202bとを互いに貼り合わせる工程(g)をより確実に実行して、ハイブリッドボンディングで接合される電極同士の位置ズレ等を防止することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、貼り合わせ工程(g)において、半導体チップ205と第1半導体基板100との温度差が10℃以内となる温度、又は常温で、半導体チップ205の絶縁膜部分202bを第1半導体基板100の第1絶縁膜102に接合している。このような温度制御を行っているため、位置ずれを抑制して、複数の半導体チップ205を第1半導体基板100に接合することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、絶縁膜102及び絶縁膜202を構成する有機材料の弾性率は7.0GPa以下であってもよい。この場合、半導体チップ205への個片化時又はチップ実装時に接合界面に異物が付着しても、大きな空隙を更に生じさせることなくこれら異物を有機材料内に包含させて、接合不良を更に低減することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、絶縁膜102及び絶縁膜202を構成する有機材料の熱膨張係数は70ppm/k以下であってもよい。この場合、絶縁膜を構成する有機材料の熱膨張係数が端子電極103及び端子電極203の熱膨張係数と同等又は近いものとなり、半導体装置1の使用時に発熱等が生じた場合であっても、絶縁層と端子電極との熱膨張が略同じになり、熱膨張係数の違いによる半導体装置1の破損を防止できる。
【0049】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、絶縁膜102に含まれる有機材料は、端子電極103を構成する金属材料の研磨レートの5倍以下の研磨レートを有してもよく、絶縁膜202に含まれる有機材料は、端子電極203を構成する金属材料の研磨レートの5倍以下の研磨レートを有してもよい。この場合、絶縁膜と端子電極とを研磨する工程(c)及び(d)での作業を行い易くなり、研磨工程(c)及び(d)を簡略化することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、
図4に示す工程において、ピラー300を形成する工程(i)の後に、樹脂301をモールドする工程(j)と樹脂301等を研削して薄化する工程(k)を順に行っていたが、樹脂301を第1半導体基板100の接続面上にモールドする工程(j)をまず行い、続いて、樹脂301を所定の厚みまで研削して薄化する工程(k)を行い、その後に、ピラー300を形成する工程(i)を行うようにしてもよい。この場合、ピラー300を削る作業等を減らすことができ、また、ピラー300のうち削る部分が不要となることから、材料費を低減することができる。
【0051】
また、上記の実施形態では、C2Cでの接合例を説明したが、
図5に示すChip-to-Wafer(C2W)での接合に本発明を適用してもよい。C2Wでは、基板本体411(第1基板本体)と基板本体411の一面に設けられた絶縁膜412(第1絶縁膜)及び複数の端子電極413(第1電極)とを有する半導体ウェハー410(第1半導体基板)を準備すると共に、基板本体421(第2基板本体)と基板本体421の一面に設けられた絶縁膜部分422(第2絶縁膜)及び複数の端子電極423(第2電極)とを有する複数の半導体チップ420の個片化前の半導体基板(第2半導体基板)を準備する。そして、半導体ウェハー410の一面側と半導体チップ420に個片化する前の第2半導体基板の一面側とを、上記の工程(c)及び工程(d)と同様に、CMP法等により研磨する。その後、工程(e)と同様な個片化処理を第2半導体基板に対して行い、複数の半導体チップ420を取得する。
【0052】
続いて、
図5の(a)に示すように、半導体ウェハー410の端子電極413に対して半導体チップ420の端子電極423の位置合わせを行う(工程(f))。そして、半導体ウェハー410の絶縁膜412と半導体チップ420の絶縁膜部分422とを互いに貼り合わると共に(工程(g))、半導体ウェハー410の端子電極413と半導体チップ420の端子電極423とを接合し(工程(h))、
図5の(b)に示す半製品を取得する。これにより、絶縁膜412と絶縁膜部分422とが接合された絶縁接合部分S3となり、半導体チップ420が半導体ウェハー410に対して機械的に強固に且つ高精度に取り付けられる。また、端子電極413とそれに対応する端子電極423とが接合された電極接合部分S4となり、端子電極413と端子電極423とが機械的且つ電気的に強固に接合される。
【0053】
その後、
図5の(c)及び(d)に示すように、複数の半導体チップ420を同様の方法で半導体ウェハーである半導体ウェハー410に接合することにより、半導体装置401を取得する。なお、複数の半導体チップ420は、一個ずつ半導体ウェハー410にハイブリッドボンディングにより接合されてもよいが、まとめて半導体ウェハー410にハイブリッドボンディングにより接合されてもよい。
【0054】
このような半導体装置401の製造方法においても、上記の半導体装置1の製造方法と同様に、半導体ウェハー410の絶縁膜412及び半導体チップ420の絶縁膜部分422が有機材料を含んで構成されており、このような柔らかい材料をハイブリッドボンディングの絶縁膜に用いることにより、半導体チップ420への個片化の際のダイシングによって発生する異物が絶縁膜に付着しても、異物周辺の絶縁膜が容易に変形し、絶縁膜に大きな空隙を生じさせることなく異物を有機材料内に包含させることができる。すなわち、有機材料を含む絶縁膜によって異物の影響を抑えることが可能となる。よって、上記のC2Wに係る製造方法でも、C2Cと同様に、半導体ウェハー410と半導体チップ420の微細接合を行いつつ、接合不良を低減することができる。
【0055】
更に、上記の半導体装置の製造方法では、半導体基板110の絶縁膜102及び半導体チップ205の絶縁膜202等が有機材料から構成されていたが、これら絶縁膜の一部に無機材料が含まれていてもよい。すなわち、上述した異物を包含できる有機材料の部分があれば、絶縁膜の残りの部分が無機材料から形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,401…半導体装置、10…第1半導体チップ、20…第2半導体チップ、30…ピラー部、40…再配線層、50…基板、60…回路基板、61…端子電極、100…第1半導体基板、101…第1基板本体、101a…一面、102…絶縁膜(第1絶縁膜)、103…端子電極(第1電極)、103a…表面、200…第2半導体基板、201…第2基板本体、201a…一面、202…絶縁膜(第2絶縁膜)、203…端子電極(第2電極)、203a…表面、205…半導体チップ、300…ピラー、301…樹脂、410…半導体ウェハー(第1半導体基板)、411…基板本体(第1基板本体)、412…絶縁膜(第1絶縁膜)、413…端子電極(第1電極)、420…半導体チップ(第2半導体基板)、421…基板本体(第2基板本体)、422…絶縁膜部分(第2絶縁膜)、423…端子電極(第2電極)、A…切断線、H…熱、M1~M3…半製品、S1…絶縁接合部分、S2…電極接合部分、S3…絶縁接合部分、S4…電極接合部分。