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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20240827BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240827BHJP
   B42B 5/00 20060101ALI20240827BHJP
   B42B 4/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H37/04 Z
G03G15/00 431
B42B5/00
B42B4/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020106210
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001516
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】川崎 正暁
(72)【発明者】
【氏名】松浦 広昌
(72)【発明者】
【氏名】須▲崎▼ 祐次
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-061964(JP,A)
【文献】特開2012-025499(JP,A)
【文献】特開2015-009984(JP,A)
【文献】特開2020-026111(JP,A)
【文献】特開2017-105569(JP,A)
【文献】特開2017-222458(JP,A)
【文献】特開2013-060245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00-37/06
G03G 15/00
B42B 2/00-9/06
B42C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を積載してシート束を形成する積載手段と、
綴じ部材を用いて前記シート束を綴じる第一綴じ処理を行う第一綴じ手段と、
綴じ部材を用いずに前記シート束を綴じる第二綴じ処理を行う第二綴じ手段と、を備え、
前記積載手段は、前記シート束に対し選択された綴じ処理が前記第一綴じ処理のときは、前記シート束の端部と前記第一綴じ手段とを相対的に近づけるように動作し、前記シート束に対し選択された綴じ処理が前記第二綴じ処理のときは、前記シート束の端部と前記第二綴じ手段とを相対的に近づけるようにし、
前記第一綴じ手段と前記第二綴じ手段は、前記シート束のシート面に対して直交する方向である第一方向に沿って配置されていて、
前記積載手段は、前記綴じ処理が実行されるシート束の端部を前記第一方向に移動させて、選択された前記綴じ処理に対応する綴じ手段と前記シート束の端部とを相対的に近づけるように動作する、ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記積載手段は、前記シート束の端部を前記第一方向において移動するように回動する、請求項に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記積載手段は、回転支点から前記第一綴じ手段までの距離と、当該回転支点から前記第二綴じ手段までの距離が一定である、請求項に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記積載手段は、前記シート束の端部を前記第一方向において移動させるように移動する、請求項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記第一綴じ手段と前記第二綴じ手段は、前記シート束のシート面に対して直交する第一方向に配列されていて、
前記第一綴じ手段と前記第二綴じ手段を前記第一方向において移動させて、前記シート束の端部に、前記綴じ処理に対応する前記綴じ手段を近づける、請求項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記積載手段は、前記媒体の搬送方向の下流側に相当する前記シート束の端部と、当該搬送方向との直交方向である第二方向の端部と、をそれぞれ整合させる整合手段を備える、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記積載手段に当接して配置されたガイド部材を有し、
当該積載手段と当該ガイド部材は連動して移動する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記第一綴じ手段及び前記第二綴じ手段は、前記シート束の端部に沿う方向に移動可能な移動手段に搭載される、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記シート束の端部に沿う方向と直交する、前記シート束の面方向のうち、前記媒体の搬送方向の上流側に移動可能である、請求項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記積載手段は、使用頻度が多い綴じ手段に近づいた位置を初期位置とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記積載手段は、綴じ処理が終了した前記シート束を排出するシート束排出手段を備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項12】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記媒体を積載する位置に搬送するシート搬送手段と、
積載された前記媒体に対して所定の綴じ処理を行う請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられる画像形成装置は、欠かせない機器となっている。このような画像形成装置は、シート状の媒体に付された情報を読み取る読取機能、シート状の媒体に画像を形成する画像形成機能、および画像を含む情報を通信する通信機能等を備え、プリンタ、スキャナ、ファクシミリを含む複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
また、画像が形成された媒体を複数まとめた束にして綴じる綴じ処理装置を備える複合機も知られている。なお、綴じ処理装置において実行可能な綴じ処理として、金属針などの綴じ部材を用いる「針有綴じ処理」と、金属針などの綴じ部材を用いない「針無綴じ処置」が知られている。
【0004】
「針有り」と「針無し」の両方の綴じ処理を行うことができる綴じ処理装置では、針有綴じを行う「針有綴じユニット」か針無綴じを行う「針無綴じユニット」のうち、選択された方の綴じユニットを所定の綴じ位置に移動させて綴じ処理を行う。したがって、複数種類の綴じユニットを媒体の束に対して移動可能にする空間を設ける必要が生じ、綴じ処理装置が大型になる。また、両方の綴じ処理を行える綴じ処理装置を備える複合機全体も大型になる。
【0005】
両方の綴じ処理を行う綴じ処理装置における小型化を図ることを目的とするものとして、回動部材に針有り綴じ手段と針無し手段を配置して、回動部材の回動により針有綴じと針無綴じを選択する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている技術を適用すると、綴じ手段を束の綴じ位置に対して任意に移動させることができないので、複数の位置での綴じ処理を行うことができない。また、特許文献に開示の技術において、綴じ手段を移動させる構成を付与すると装置が大型になる。すなわち従来技術では、異なる種類の綴じ処理を行うことはできるとしても、任意の位置、複数の位置において選択された任意の綴じ処理を行うことはできず、さらに小型化を可能にするには課題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型であっても複数種類の綴じ処理の自由度を高めることができるシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、シート処理装置に関し、シート状の媒体を積載してシート束を形成する積載手段と、綴じ部材を用いて前記シート束を綴じる第一綴じ処理を行う第一綴じ手段と、綴じ部材を用いずに前記シート束を綴じる第二綴じ処理を行う第二綴じ手段と、を備え、前記積載手段は、前記シート束に対し選択された綴じ処理が前記第一綴じ処理のときは、前記シート束の端部と前記第一綴じ手段とを相対的に近づけるように動作し、前記シート束に対し選択された綴じ処理が前記第二綴じ処理のときは、前記シート束の端部と前記第二綴じ手段とを相対的に近づけるようにし、前記第一綴じ手段と前記第二綴じ手段は、前記シート束のシート面に対して直交する方向である第一方向に沿って配置されていて、前記積載手段は、前記綴じ処理が実行されるシート束の端部を前記第一方向に移動させて、選択された前記綴じ処理に対応する綴じ手段と前記シート束の端部とを相対的に近づけるように動作する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型であっても複数種類の綴じ処理の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態であるMFPの全体像を例示する図。
図2】本発明に係るシート処理装置の実施形態である後処理ユニットの全体像を例示する図。
図3】上記後処理ユニットの要部の例を拡大した拡大側面図。
図4】上記後処理ユニットの要部の別例を拡大した拡大側面図。
図5】上記後処理ユニットの要部の別例を拡大した拡大平面図。
図6】上記後処理ユニットの要部の別例を拡大した拡大平面図。
図7】上記MFPの制御ブロックのハードウェア構成図。
図8】上記MFPの制御ブロックの機能構成図。
図9】上記後処理ユニットの制御ブロックの機能構成図。
図10】上記後処理ユニットにおいて実行される後処理制御プログラムの処理フローの例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るシート処理装置及び画像形成装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態としての複合機(MFP:Multi Function Peripheral)1の全体構成を簡略化して示した図である。図1に示すように、MFP1は、画像形成ユニット2、後処理ユニット3、スキャナユニット4により構成されている。
【0012】
画像形成手段としての画像形成ユニット2は、入力された画像データに基づいて、例えばCMYK(Cyan、Magenta、Yellow、KeyPlate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて、シート状の媒体としてのシートに画像形成出力を実行し画像を形成する。なお、画像形成ユニット2には、画像データに基づく画像が形成されるシートを供給する給シートユニット21が備わっている。
【0013】
なお、画像形成ユニット2は、公知の構成を有し、一例としては、電子写真方式のカラー画像形成装置として構成することができる。画像形成ユニット2は、例えば、制御部や、作像部、光書き込み部、給紙部、給紙搬送路、画像読取部、中間転写部、定着部、排紙搬送路、両面搬送路等を有して、用紙の両面または片面に画像を形成する。
【0014】
シート処理装置としての後処理ユニット3は、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みのシートに対して所定の後処理を実行する装置である。後処理ユニット3において実行される後処理として、シートを複数束ねてシート束を形成する整合処理や、整合されたシート束に対して所定の綴じ処理を実行する綴じ処理などがある。なお、本実施形態に係る後処理ユニット3は、綴じ処理を行う機能として、綴じ部材としての「針状部材」を用いる「針有綴じ処理」と、針状部材を用いずにシート束を綴じる「針無綴じ処理」を備える。したがって、後処理ユニット3には、針有り綴じ手段と針無し綴じ手段が備わっている。
【0015】
スキャナユニット4は、複数のフォトダイオードが一列に並べられ、これに並列にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の受光素子が配置されたリニアイメージセンサにより原稿を読み取ることで原稿を電子化する。なお、本実施形態に係るMFP1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な装置である。
【0016】
[シート処理装置の実施形態]
次に、シート処理装置としての後処理ユニット3の全体構成について、図2を用いて説明する。なお、後処理ユニット3と上述した画像形成ユニット2は、相互に情報通信が可能な接続構成になっている。
【0017】
MFP1では、画像形成ユニット2がシートに画像を形成した後、後処理ユニット3が画像形成ユニット2からシートを受け入れ、受け入れたシートに各種の後処理を実行する。各種の後処理を行なう後処理ユニット3は、複数の動作モードを有していて、例えば、排出モードや、端部綴じ処理を行う端部綴じモードがある。なお、端部綴じ処理とは、受け入れたシートを積載してシート束を形成し、そのシート束の端部を整合して、整合されたシート束の端部に対して、シートが剥離しないように綴じる処理である。端部綴じ処理には、上述したとおり、針有り綴じ処理と針無し綴じ処理がある。後処理ユニット3では、MFP1が備える制御部または後処理ユニット3が備える後処理制御部300によって制御され、ユーザが選択した任意の綴じ処理を、シート束の任意の位置において実行可能に構成されている。
【0018】
後処理ユニット3には、シート搬送手段として、画像形成ユニット2から排出されたシートを受け入れて当該シートを第一排出トレイ316に排出するための第一搬送経路310と、第一搬送経路310から分岐してシート束に端部綴じ処理等を施すための第二搬送経路320と、第一搬送経路310から分岐爪341によって分岐され、シートを第二排出トレイ333に排出するための第三搬送経路330が設けられている。各搬送経路は、例えばガイド部材等によって形成されている。
【0019】
第一搬送経路310には、入口ローラ311、第一搬送ローラ312、第二搬送ローラ313、第一排出ローラ314が第一搬送経路310の上流部から下流部に向けて順に配置されている。入口ローラ311、第一搬送ローラ312と第二搬送ローラ313および第一排出ローラ314は、モータによって回転駆動されてシートを搬送する。入口ローラ311の上流には、シートが後処理ユニット3に搬入されたことを検知する入口センサが配置されている。
【0020】
第一搬送ローラ312の下流には、分岐爪341が配置されている。分岐爪341は、回動してその位置を切替えることによって、シートを、第一搬送経路310における分岐爪341の下流側の部分と第三搬送経路330とのいずれか一方へ選択的に案内する。分岐爪341は、例えばモータやソレノイドなどで駆動される。
【0021】
第三搬送経路330には、第三搬送ローラ331が配置されていて、第三搬送ローラ331の下流側に第二排出ローラ332が配置されている。
【0022】
シート束に対する綴じ処理などを実行しない動作モードとしての排出モードでは、画像形成ユニット2から第一搬送経路310に搬入されたシートが、入口ローラ311、第一搬送ローラ312、第二搬送ローラ313および第一排出ローラ314によって搬送されて、第一排出トレイ316に排出される。または、第一搬送経路310に搬入されたシートが、入口ローラ311、分岐爪341、第三搬送ローラ331、及び第二排出ローラ332によって搬送されて、第二排出トレイ333に排出される。
【0023】
一方、シートを積み上げてシート束を形成し、そのシート束に対する端部綴じ処理を実行する動作モードとしての端部綴じモードでは、第一搬送経路310に搬入されたシートは、入口ローラ311および第一搬送ローラ312、第二搬送ローラ313によって搬送されて、搬送方向変更部342で進行方向を変えられて、第二搬送経路320へ搬送される。
【0024】
第二搬送経路320には、シートを積載してシート束を形成するための積載手段としてのシート積載トレイ321と、綴じ手段としての端部処理部350が配置されている。シート積載トレイ321は、シートの搬送方向における上流側の端部としての第一トレイ端部322と、シートの搬送方向における下流側の端部としての第二トレイ端部323と、を有し、第一トレイ端部322と第二トレイ端部323の間にシートを積載してシート束を形成させる積載面324を有している。
【0025】
また、シート積載トレイ321の側面部分には、整合手段としてのシート揃え部325が配置されている。シート揃え部325は、積載されたシートにより形成されたシート束の側端を整合させる。シート揃え部325は、シートの搬送方向との直交方向における積載面324の端部に配置され、シート束の両側端を挟むようにして側端を整合させる。
【0026】
また、シートの搬送方向の下流側に当たる積載面324の端部には、シート束の搬送方向の先端を整合する整合手段としての基準フェンス326が配置されている。また、基準フェンス326にシートの先端を当接させて整合させるために、積載面324上のシートを搬送する搬送ローラ328が配置されている。搬送ローラ328は、積載面324に積載されたシートの先端部分を基準フェンス326に突き当てるように動作する。
【0027】
また、シート積載トレイ321には、整合処理や綴じ処理が施されたシート束を搬出させるためのシート束排出手段としての放出爪327が配置されている。積載面324に載置されているシート束は、放出爪327によって、シート積載トレイ321の上流側に向けて放出される。そして、所定の後処理が施されたシート束は、第一トレイ端部322の上流側の近傍に配置されている第一排出ローラ314と排出従動ローラ315によって第一排出トレイ316に排出される。
【0028】
[端部処理部350の第一実施形態]
次に、本実施形態に係る後処理ユニット3が備える端部処理部350の構成について、図3を用いて説明する。図3は、端部処理部350を含む構成を拡大した拡大図である。後処理ユニット3は、種類の異なる綴じ処理を行うことができるユニットから構成される綴じ手段としての綴じ処理ユニットを備えている。種類の異なる綴じ処理を行うユニットの一例として、第一綴じ手段としての針有り綴じユニット351と、第二綴じ手段としての針無し綴じユニット352と、を備えるものとする。針有り綴じユニット351は、針状の綴じ部材をシート束の積層方向に貫通させて、シート束の端部を固着させる「針有り綴じ部」に相当する。針無し綴じユニット352は、綴じ部材を用いることなく、シート束の積載方向に圧着させて、シート束の端部を固着させる「針無し綴じ部」に相当する。
【0029】
針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352は、ベース353に搭載されている。ベース353は、ベース軸354に沿って移動可能な部材である。ベース軸354は、シート束の搬送方向と直交する方向であってシート面の面方向の沿う方向、すなわち、シート及びシート束の幅方向に相当する第二方向に沿って設置されている。したがって、ベース353は、ベース軸354に沿って第二方向に移動可能に保持されている。
【0030】
すなわち、針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352は、ベース353の移動によって第二方向に移動可能になっている。すでに説明のとおり第二方向は、シート束の端部に沿う方向に相当するので、針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352をシート束の端部の任意の位置に移動させることができる。すなわち、本実施形態に係る後処理ユニット3によれば、シート束の任意の位置で綴じ処理を行うことができる。
【0031】
針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352は、ベース353上において所定の方向に配列されている。この配列方向は、第二方向と直交する方向であって、積載面324の面方向と交差する方向である。この複数の異なる綴じ手段の配列方向を第一方向とする。図3においては、ベース353に載置された針無し綴じユニット352の上に針有り綴じユニット351が配置されている。すなわち、積載面324に載置されるシート束の面を基準にすると、針有り綴じユニット351の方が針無し綴じユニット352よりも上に配置されている。
【0032】
なお、後処理ユニット3において、綴じユニットの配列順は、これに限定されるものではない。ベース353に載置された針有り綴じユニット351の上に針無し綴じユニット352が配置されてもよい。
【0033】
図3に例示する綴じ処理ユニットでは、ステイプルトレイとしてのシート積載トレイ321が、第一トレイ端部322を回転支点として回動可能に保持されている。これによって積載面324に形成されるシート束の搬送方向先端部において綴じ処理が施される位置が、シート積載トレイ321の回動に応じて変化する。言い換えると、シート積載トレイ321の回動に応じて、積載面324に形成されたシート束の端部と、綴じ手段として針有り綴じユニット351及び針無し綴じユニット352との相対的な位置が変化する。
【0034】
形成されたシート束に対し選択された綴じ処理の種類が、第一綴じ処理としての針有り綴じ処理であれば、図3(a)に例示する状態になる。すなわち、シート積載トレイ321が第一トレイ端部322を回転支点として第二トレイ端部323を回動させることで、シート束の搬送方向先端部の位置を針有り綴じユニット351に接近させる。これによって、シート束の先端部は、針有り綴じユニット351における綴じ処理が可能な位置に移動される。
【0035】
また、形成されたシート束に対し選択された綴じ処理の種類が、第二綴じ処理としての針無し綴じ処理であれば、図3(b)に例示する状態になる。すなわち、シート積載トレイ321が第一トレイ端部322を回転支点として第二トレイ端部323は回動させることで、シート束の搬送方向先端部の位置を針無し綴じユニット352に接近させる。これによって、シート束の端部が、針無し綴じユニット352における綴じ処理が可能な位置に移動される。
【0036】
以上のとおり、本実施形態に係る端部綴じ処理によれば、シート束の綴じ処理が実行される対象となる端部と、針有り綴じユニット351及び針無し綴じユニット352との相対的な位置が任意に変更可能である。そして、針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352はいずれも、シート束の端部に沿って第二方向への移動が可能な構成である。したがって、選択された綴じ処理の種類に応じて、綴じ処理を実行させる綴じ手段の方にシート束の先端部を相対的に接近させることで、任意に選択された綴じ処理をシート束の任意の位置に対して実行できる。また、綴じ処理は、シート束の端部における複数の位置で行うこともできる。
【0037】
なお、シート積載トレイ321の回動支点としての第一トレイ端部322は移動せず、一定の位置に留まるので、シート積載トレイ321の回動状態がどのような状態であっても、綴じ処理が実行された後のシート束の放出動作を行うことができる。言い換えるとシート積載トレイ321の自由端の位置が任意の位置であっても綴じ処理が実行された後のシート束の放出動作を行うことができる。
【0038】
[端部処理部350の第二実施形態]
次に、本実施形態に係る後処理ユニット3が備える端部処理部350の第二実施形態について、図4を用いて説明する。図4に示す端部処理部350は、ベース353に搭載された針有り綴じユニット351又は針無し綴じユニット352に対して、シート積載トレイ321の積載面324の位置が相対的に第一方向へと移動するように構成されている。
【0039】
例えば、針有り綴じ処理を実行するときには、図4(a)に例示するような状態にシート積載トレイ321を相対的に上昇させて、シート束の先端部を針有り綴じユニット351に接近させる。その後、シート束の端部(先端部)に沿う方向である第二方向にベース353を移動させる。ベース353が所定の綴じ位置に対応する位置まで移動した後に、針有り綴じユニット351を動作させて針有り綴じ処理を実行する。
【0040】
針無し綴じ処理を実行するときには、図4(b)に例示するような状態にシート積載トレイ321を相対的に下降させて、シート束の先端部を針無し綴じユニット352に接近させる。その後、第二方向に移動させる。ベース353が所定の綴じ位置に対応する位置まで移動した後に、針無し綴じユニット352に動作させて針無し綴じ処理を実行する。
【0041】
また例えば、針有り綴じ処理又は針無し綴じ処理を実行するときには先ず、ベース353をシート束の先端部に対して第二方向において相対的に移動させてから積載面324を上昇又は加工させるようにしてもよい。このような制御によって、シート束の先端部をベース353に搭載されている綴じユニットに対し、第一方向において相対的に移動させて、任意の綴じ処理を選択的に実行することができる。言い換えると、シート束におけるシートの積載方向において、シート束の端部(先端部)の位置を変更するときに、シート束を形成するための構成として用いられるシート積載トレイ321を全体的に移動させることによって行う。
【0042】
なお、綴じ処理が行われるシート束の端部の反対側のシート束端部に近いシート積載トレイ321の一方の端部である第一トレイ端部322には、シート積載トレイ321の第二移動方向における移動と連動して追従するガイド板329が配置されている。ガイド板329は、シート積載トレイ321の搬送方向上流端部に当接している。シート積載トレイ321に積載された最下層のシートの一部分は、ガイド板329に載る状態になる。したがって、シート積載トレイ321の位置が第一方向において、図4(a)に相当する位置であっても図4(b)に相当する位置であっても、綴じ処理が行われた後のシート束の放出動作を放出爪327において実行されたときに、シート束の上流端部はガイド板329によって、第一排出ローラ314の方向に導かれて放出される。
【0043】
[第二方向へのベース353の移動]
ここで、シート積載トレイ321に形成されたシート束に対して、第二方向の任意の位置において、ベース353を移動可能にする構成について図5を用いて説明する。
【0044】
図5に示すように、端部処理部350を構成するベース353は、ベース軸354に沿って移動可能に保持されている。ベース353には、駆動ベルト355が固定されている。駆動ベルト355は、無端状ベルトであって、駆動源356の駆動力によって任意の方向に無限に回動する。駆動源356の動作を制御することによって、ベース353の第二方向の移動が制御される。なお、第二方向は、シートに対する画像形成処理における主走査方向に相当する。
【0045】
ベース353に搭載されている針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352は、駆動ベルト355の回動によって一体的に第二方向に移動可能な構成になっている。この構成により、針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352に対して個別の移動手段(移動構成)を設けなくても、任意の位置で任意の綴じ処理を行うことができる。また、上記したとおり、シート束の端部(綴じ処理を行う位置)を針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352に対して相対的に可変させることもできるので、従来例と比較して小型の構成によって実現可能である。すなわち、針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352を含む端部処理部350の設置容積を拡張することなく、複数の異なる種類の綴じ処理ができる。したがって、後処理ユニット3によれば、小型であって、複数の異なる綴じ手段による綴じ処理を任意の位置で行うことができるシート処理装置を実現可能である。
【0046】
[シート束の整合とベース353の移動]
また、ベース353は図6に示すように、ベース軸354と直交する方向であって積載面324の面方向に沿う方向に移動する駆動構成も備える。これによって、端部処理部350を構成するベース353のシート束Pbの端部に対する位置を、シートの搬送方向に沿って移動させることができる。例えば、シート束Pbの端部のギリギリ(端部の際)において綴じ処理を行うときは、図6(a)に例示するような状態になるように、ベース353の位置をシート束の端部から遠ざける方向に移動させる。また、シート束Pbの端部よりも内側において綴じ処理を行うときは、図6(b)に例示するような状態になるように、ベース353の位置をシート束Pbの端部に近づける方向に移動させる。すなわち、ベース353を画像形成処理における副走査方向に移動させることで、任意の位置での綴じ処理を可能とする。
【0047】
[MFP1および後処理ユニット3の制御系の構成]
次に、上記の動作を実行可能とするMFP1及び後処理ユニット3のハードウェア構成について図7を用いて説明する。
【0048】
図7は、本実施形態に係るMFP1の制御系のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。尚、MFP1は、図7に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ、折り処理、綴じ処理等を実現するためのエンジンを備える。
【0049】
図7に示すように、本実施形態に係るMFP1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係るMFP1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
【0050】
CPU10は演算手段であり、MFP1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。
【0051】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザがMFP1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザがMFP1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0052】
専用デバイス80は、画像形成ユニット2、給シートユニット21、後処理ユニット3、スキャナユニット4において専用の機能を実現するためのハードウェアであり、画像形成ユニット2は、シートの面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。
【0053】
また、後処理ユニット3においては、画像形成ユニット2による画像形成済みの複数枚の用紙に対して綴じ処理を実行する綴じ処理機構である。また、スキャナユニット4においては、紙面上に表示されている画像を読み取る読取装置である。
【0054】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るMFP1の機能及び後処理ユニット3の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0055】
次に、本実施形態に係るMFP1の機能構成について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係るMFP1の機能構成を模式的に示すブロック図である。尚、図8においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、シート若しくはシート束の流れを破線の矢印で示している。
【0056】
図8に示すように、本実施形態に係るMFP1は、コントローラ100、プリントエンジン200、後処理制御部300、スキャナエンジン400、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)600、排紙トレイ700、ディスプレイパネル800、ネットワークI/F900を有する。また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104及び操作表示制御部105を有する。
【0057】
プリントエンジン200は、画像形成ユニット2に備えられた画像形成部であり、給シートユニット21から搬送されてきた用紙に対して画像形成出力を実行することにより画像を描画する。プリントエンジン200の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。このプリントエンジン200により画像が描画された画像形成済みのシートは、後処理ユニット3に搬送され、若しくは、第二排出トレイ333に排出される。
【0058】
後処理制御部300は、後処理ユニット3に備えられ、プリントエンジン200から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して所定の後処理であって、本実施形態に係る綴じ処理を施す。本実施形態に係る後処理制御部300は、針有綴じ処理と処置針無綴じ処理の両方を制御する。後処理制御部300により綴じ処理が施されたシート及びシート束は、第一排出トレイ316に排紙される。
【0059】
ADF600は、スキャナユニット4に備えられ、原稿読取部であるスキャナエンジン400に原稿を自動搬送する。スキャナエンジン400は、スキャナユニット4に備えられ、光学情報を電気信号に変換する光電変換素子を含む原稿読取部であり、ADF600により自動搬送されてきた原稿、若しくは、図示しない原稿台ガラスにセットされた原稿を光学的に走査して読み取って画像情報を生成する。ADF600により自動搬送されてスキャナエンジン400により読み取られた原稿は、ADF600内蔵の排紙トレイに排紙される。
【0060】
ディスプレイパネル800は、MFP1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザがMFP1を直接操作し若しくはMFP1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル800は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル800は、図7に示すLCD60及び操作部70によって実現される。
【0061】
ネットワークI/F900は、MFP1がネットワークを介して管理者用端末等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、FeliCa(登録商標)等のインタフェースが用いられる。ネットワークI/F900は、図2に示すI/F50によって実現される。
【0062】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、MFP1全体を制御する制御部として機能する。
【0063】
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F900及びネットワークを介して他の装置にアクセスする。エンジン制御部102は、プリントエンジン200、給シートユニット21、後処理制御部300、スキャナエンジン400等の駆動部を制御し若しくは駆動させる。入出力制御部103は、ネットワークI/F900及びネットワークを介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。
【0064】
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる文書データ若しくは画像データに基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、CMYKのビットマップデータ等のデータであり、画像形成部であるプリントエンジン200が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部104は、スキャナエンジン400から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物としてMFP1に格納され若しくはネットワークI/F900及びネットワークを介して他の機器に送信される情報である。操作表示制御部105は、ディスプレイパネル800に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル800を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
【0065】
[後処理ユニット3の制御系の機能ブロック]
次に、後処理ユニット3の制御系を構成する後処理制御部300の詳細な機能ブロックについて、図9を用いて説明する。図9に示す機能ブロックは、図7を用いて説明したMFP1の制御構成と同等のハードウェア資源を利用して、後処理ユニット3の動作を制御する後処理制御プログラムを実行することで実現されるものである。
【0066】
後処理ユニット3の後処理制御部300は、少なくとも、綴じ動作選択部301と、シート積載トレイ移動部302と、綴じ手段移動部303と、綴じ制御部304と、シート束放出部305と、を有する。
【0067】
綴じ動作選択部301は、画像形成ユニット2から受け入れたシートに対して選択又は設定されている綴じ処理の種類に応じて、針有り綴じ処理又は針無し綴じ処理を実行するように、各構成を動作させる処理を制御する。綴じ動作選択部301は、針有り綴じ処理が選択されていれば、シート積載トレイ321の回動または移動によって積載面324に載置されているシート束の端部が相対的に針有り綴じユニット351に接近した後に、針有り綴じ処理を実行させる。また、綴じ動作選択部301は、針無し綴じ処理が選択されていれば、シート積載トレイ321の回動または移動によって積載面324に載置されているシート束の端部が相対的に針無し綴じユニット352に接近した後に、針有り綴じ処理を実行させる。さらに、綴じ動作選択部301は、ベース軸354に沿ってベース353を移動させて、シート束の端部の任意の位置での綴じ処理を実行させる。
【0068】
シート積載トレイ移動部302は、画像形成ユニット2から受け入れたシートに対し選択又は設定されている綴じ処理の種類に応じて、シート積載トレイ321を回動又は移動させてて、選択されている綴じ処理に対してシート束の端部を相対的に近づける。
【0069】
綴じ手段移動部303は、ベース軸354に沿ってベース353を移動させて、シート束の端部の任意の位置での綴じ処理を実行させる。
【0070】
綴じ制御部304は、針有り綴じユニット351と針無し綴じユニット352の綴じ動作を制御する。
【0071】
シート束放出部305は、放出爪327の動作を制御して、シート束を積載面324から放出させる。
【0072】
[綴じ処理の流れ]
次に、上記にて説明した後処理制御部300において実行される後処理の流れについて、図10のフローチャーを用いて説明する。後処理ユニット3は、画像形成ユニット2から通信手段を通じて得られる情報によって、選択される綴じユニットを判断する。その判断結果によって、シート積載トレイ321の位置を選択する(図3又は図4参照)。
【0073】
なお、後述する一連の後処理の実行後に、シート積載トレイ321を初期位置としてのホームポジションに戻すときには、使用頻度が高い綴じ手段に対して相対的に近い位置に戻るように制御される。すなわち、使用頻度の多い綴じユニットに対して相対的に近い位置となるポジションを、シート積載トレイ321のホームポジションとして設定する。これによって、画像形成ユニット2から通知された情報に基づいて選択される綴じ手段に対してシート積載トレイ321を移動させる処理時間を削減することができる。なお、以下の説明は、使用頻度の高いユニットが「針有り綴じユニット351」であると仮定したものを例とする。
【0074】
まず、画像形成ユニット2において画像形成処理すなわち印刷処理が実行され、当該処理において選択された綴じ処理の種類を印刷指示とともに受け取る(S1001)。
【0075】
続いて、指示された綴じ処理の種類が「針無し綴じ」であるか否か綴じ動作選択部301において判断する(S1002)。指示された綴じ処理の種類が「針無し綴じ」であれば(S1002:YES)、シート積載トレイ移動部302において、ステイプルトレイとしてのシート積載トレイ321を移動させて、針無し綴じユニット352に先端を接近させる(S1003)。その後、綴じ手段移動部303によってベース353を所定の綴じ位置に移動させる(S1004)。
【0076】
S1002において、指示された綴じ処理の種類が「針無し有り」であれば(S1002:NO)、シート積載トレイ移動部302におけるシート積載トレイ321の移動はせずに、綴じ手段移動部303によってベース353を主走査方向の指示された位置としての綴じ位置に移動させる(S1004)。
【0077】
続いて、画像形成ユニット2から画像形成済みのシートを受け入れて、第二搬送経路320にシートを搬送して、シート積載トレイ321において積載する(S1005)。積載面324上にシートが積載された状態で、シート整合手段としての搬送ローラ328によって、シートの搬送方向先端を基準フェンス326に突き当てて、副走査方向の整合動作が行われる(S1006)。続いて、シート揃え部325によって、主走査方向の整合、すなわち、シートの幅方向の整合動作が行われる(S1007)。
【0078】
続いて、整合動作が終了したシートの枚数が、印刷指示(S1001)において指示された枚数(通紙枚数)に到達したか否かを判断する(S1008)。通紙枚数に到達していなければ(S1008:NO)、処理をS1005に戻す。
【0079】
通紙枚数に到達してれば(S1008:YES)、選択されている綴じ手段による綴じ動作が実行される(S1009)。綴じ動作の終了後、シート束放出部305によって放出爪327が動作し、積載面324上のシート束を搬送方向上流側に搬送させる(S1010)。これによって、シート束が第一排出ローラ314に至る。その結果、シート束が第一排出ローラ314によって第一排出トレイ316に排出される(S1011)。
【0080】
続いて、印刷指示(S1001)において指示された部数にシート束の形成数が到達したか否かを判断する(S1012)。指示された部数のシート束の形成及び排出が終了していなければ(S1012:NO)、処理をS1005に戻す。指示された部数のシート束の形成及び排出が終了していれば(S1012:YES)、シート積載トレイ321を初期位置に戻し(S1013)、処理を終了する。
【0081】
以上説明した本実施形態に係る後処理ユニット3は、複数の異なる綴じ処理を実行可能な構成として、各綴じ処理に対応する綴じ手段を、シートの面と直交する方向に配列し、その配列を一体として綴じ位置への移動を可能にする構成を備える。また、複数の綴じ手段を一体として、シート束の綴じ処理が行われる端部方向の任意の位置に移動させることができ、また複数の綴じ位置において綴じ処理を行うことができる。これによって、小型であっても自由度の高い綴じ処理を可能にしている。
【0082】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 :MFP
2 :画像形成ユニット
3 :後処理ユニット
70 :操作部
80 :専用デバイス
100 :コントローラ
101 :主制御部
102 :エンジン制御部
103 :入出力制御部
104 :画像処理部
105 :操作表示制御部
200 :プリントエンジン
300 :後処理制御部
301 :動作選択部
302 :シート積載トレイ移動部
303 :手段移動部
304 :制御部
305 :シート束放出部
310 :第一搬送経路
311 :入口ローラ
312 :第一搬送ローラ
313 :第二搬送ローラ
314 :第一排出ローラ
315 :排出従動ローラ
316 :第一排出トレイ
320 :第二搬送経路
321 :シート積載トレイ
322 :第一トレイ端部
323 :第二トレイ端部
324 :積載面
325 :シート揃え部
326 :基準フェンス
327 :放出爪
328 :搬送ローラ
329 :ガイド板
330 :第三搬送経路
331 :第三搬送ローラ
332 :第二排出ローラ
333 :第二排出トレイ
341 :分岐爪
342 :搬送方向変更部
350 :端部処理部
351 :針有り綴じユニット
352 :針無し綴じユニット
353 :ベース
354 :ベース軸
355 :駆動ベルト
356 :駆動源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【文献】特開2004-168435号公報
図1
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図8
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図10