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特許7544180プログラム、情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240827BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20240827BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20240827BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240827BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240827BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 303
G06F3/12 331
G06F3/12 336
G06F3/12 385
G06F3/12 392
H04W76/10
H04W24/08
H04N1/00 127B
B41J29/00 E
B41J29/38 203
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2023075781
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2021079428の分割
【原出願日】2016-01-28
(65)【公開番号】P2023109787
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2015036830
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 輝壮
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-228271(JP,A)
【文献】特開2015-005814(JP,A)
【文献】特開2011-008564(JP,A)
【文献】特開2004-328269(JP,A)
【文献】特開2006-128957(JP,A)
【文献】特開2015-031981(JP,A)
【文献】特開2014-167747(JP,A)
【文献】特開2014-197360(JP,A)
【文献】特開2014-096781(JP,A)
【文献】特開2013-121053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04B 7/24- 7/26
H04M 1/00
H04M 1/24- 1/82
H04M 99/00
H04N 1/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置に接続可能な情報処理装置を、
画像処理装置から出力された電波を受信する受信手段、
設定画面に選択可能に表示された項目であって、選択されることにより画像処理が開始される前記項目に対するユーザの選択操作を検知する検知手段、
前記ユーザの選択操作を検知すると、前記ユーザの選択操作の後に前記画像処理装置から受信した電波に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する特定手段、及び
接続対象となる画像処理装置が特定されたことに応じて、接続対象と特定された画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をする要求手段、
として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、前記情報処理装置を、
前記受信手段によって受信された電波の強度を測定する電波強度測定手段、としてさらに機能させ、
前記特定手段は、前記ユーザの選択操作を検知したことに応じて、前記電波強度測定手段によって測定された電波の強度に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記電波強度測定手段は、前記ユーザの選択操作を検知したことに応じて、前記電波の強度の測定を開始する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記要求手段は、前記特定手段によって特定された画像処理装置から接続情報を取得し、取得した接続情報に基づいて、前記画像処理を開始するための要求をする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記要求手段は、前記画像処理装置から、前記受信手段によって受信される電波の無線通信方式で、該無線通信方式とは異なる無線通信方式で前記画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をするための接続情報を取得する、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記接続情報の取得は、近距離無線通信を用いた無線通信方式によって取得され、
前記画像処理を開始するための要求は、無線LANを用いた無線通信方式によって行われる、請求項4または5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記接続情報の取得と、前記画像処理を開始するための要求は近距離無線通信を用いた無線通信方式によって行われる、請求項4または5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記特定手段は、所定時間が経過しても接続対象となる画像処理装置を特定できなかった場合、エラーメッセージを表示する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記画像処理は、コピー、印刷、スキャン、投影のいずれかである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記情報処理装置は、スマートフォン、又はタブレット端末である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記設定画面は、原稿種類、解像度、ファイル形式、読み取りサイズ、原稿面を設定するための画面である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記受信手段は、NFC通信によって電波を受信する請求項1ないし11のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項13】
ネットワークを介して1以上の画像処理装置に接続可能な情報処理装置であって、
1以上の画像処理装置から出力された電波を受信する受信手段と、
設定画面に選択可能に表示された項目であって、を選択されることにより画像処理が開始される前記項目に対するユーザの選択操作を検知する検知手段と、
前記ユーザの選択操作を検知すると、前記ユーザの選択操作の後に前記画像処理装置から受信した電波に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する特定手段と、
接続対象となる画像処理装置が特定されたことに応じて、接続対象と特定された画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をする要求手段と、
を有する、情報処理装置。
【請求項14】
ネットワークを介して1以上の画像処理装置に接続可能な情報処理システムであって、
1以上の画像処理装置から出力された電波を受信する受信手段と、
設定画面に選択可能に表示された項目であって、選択されることにより画像処理が開始される前記項目に対するユーザの選択操作を検知する検知手段と、
前記ユーザの選択操作を検知すると、前記ユーザの選択操作の後に前記画像処理装置から受信した電波に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する特定手段と、
接続対象となる画像処理装置が特定されたことに応じて、接続対象と特定された画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をする要求手段と、
を有する、情報処理システム。
【請求項15】
1以上の画像処理装置と、情報処理装置が実行するプログラムとからなる情報処理システムであって、
前記プログラムは、
前記1以上の画像処理装置から出力された電波を受信する受信手段、
設定画面に選択可能に表示された項目であって、選択されることにより画像処理が開始される前記項目に対するユーザの選択操作を検知する検知手段、
前記ユーザの選択操作を検知すると、前記ユーザの選択操作の後に前記画像処理装置から受信した電波に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する特定手段、及び
接続対象となる画像処理装置が特定されたことに応じて、接続対象と特定された画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をする要求手段、
として前記情報処理装置を機能させる、
情報処理システム。
【請求項16】
前記プログラムは、前記情報処理装置を、
前記受信手段によって受信された電波の強度を測定する電波強度測定手段、としてさらに機能させ、
前記特定手段は、前記ユーザの選択操作を検知したことに応じて、前記電波強度測定手段によって測定された電波の強度に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する、請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記電波強度測定手段は、前記ユーザの選択操作を検知したことに応じて、前記電波の強度の測定を開始する、請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記要求手段は、前記特定手段によって特定された画像処理装置から接続情報を取得し、取得した接続情報に基づいて、前記画像処理を開始するための要求をする、請求項15ないし17のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記要求手段は、前記画像処理装置から、前記受信手段によって受信される電波の無線通信方式で、該無線通信方式とは異なる無線通信方式で前記画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をするための接続情報を取得する、請求項18に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記接続情報の取得は、近距離無線通信を用いた無線通信方式によって取得され、
前記画像処理を開始するための要求は、無線LANを用いた無線通信方式によって行われる、請求項18または19に記載の情報処理システム。
【請求項21】
前記接続情報の取得と、前記画像処理を開始するための要求は近距離無線通信を用いた無線通信方式によって行われる、請求項18または19に記載の情報処理システム。
【請求項22】
前記特定手段は、所定時間が経過しても接続対象となる画像処理装置を特定できなかった場合、エラーメッセージを表示する、請求項15ないし21のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項23】
前記画像処理は、コピー、印刷、スキャン、投影のいずれかである、請求項15ないし22のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項24】
前記情報処理装置は、スマートフォン、又はタブレット端末である、請求項15ないし23のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項25】
前記設定画面は、原稿種類、解像度、ファイル形式、読み取りサイズ、原稿面を設定するための画面である、請求項15ないし24のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項26】
前記受信手段は、NFC通信によって電波を受信する請求項15ないし25のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項27】
ネットワークを介して1以上の画像処理装置に接続可能な情報処理装置が、
1以上の画像処理装置から出力された電波を受信する受信処理と、
設定画面に選択可能に表示された項目であって、選択されることにより画像処理が開始される前記項目に対するユーザの選択操作を検知する検知処理と、
前記ユーザの選択操作を検知すると、前記ユーザの選択操作の後に前記画像処理装置から受信した電波に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する特定処理と、
接続対象となる画像処理装置が特定されたことに応じて、接続対象と特定された画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をする要求処理と、
を実行する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に接続する際に、無線通信端末などの情報処理装置は、第1の無線通信方式によって接続情報を取得し、該接続情報を用いて第2の無線通信方式によって接続する。
【0003】
プリントデータを送信する携帯端末が所定の範囲内に入ったことを検出するまで、プリントデータに基づく画像形成を開始せずに待機し、所定の範囲内に入ったことを検出すると、その待機状態を解除する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信端末などの情報処理装置は、画像処理装置から無線通信によって送信される信号を受信し、その信号の受信信号強度が所定の閾値以上となった場合に、受信した信号に基づいて画像処理装置へ接続を行う。
【0005】
しかし、複数の画像処理装置が設置される場合には、情報処理装置は、目の前の画像処理装置とは異なる隣の画像処理装置によって無線通信によって送信される信号の受信信号強度を偶然に測定してしまう場合がある。その受信信号強度が所定の閾値よりも高い場合、情報処理装置はジョブを依頼したい画像処理装置とは異なる隣の画像処理装置に接続してしまう場合がある。
【0006】
また、無線通信端末などの情報処理装置が画像処理装置の近傍に放置され、画像処理装置から無線通信によって送信される信号を偶然に測定してしまい、その受信信号強度が所定の閾値よりも高い場合、ユーザの意に反してその画像処理装置と通信を行ってしまい、ジョブを依頼してしまうことが想定される。
【0007】
そこで、本発明は、画像処理装置に接続する際に、情報処理装置が、無線通信によって接続情報を取得し、該接続情報を用いて接続する情報処理システムにおいて、複数の画像処理装置が設置されている場合であっても、所望の画像処理装置から無線通信によって接続情報を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の一実施例のプログラムは、画像処理装置に接続可能な情報処理装置を、画像処理装置から出力された電波を受信する受信手段、設定画面に選択可能に表示された項目であって、選択されることにより画像処理が開始される前記項目に対するユーザの選択操作を検知する検知手段、前記ユーザの選択操作を検知すると、前記ユーザの選択操作の後に前記画像処理装置から受信した電波に基づいて、接続対象となる画像処理装置を特定する特定手段、及び接続対象となる画像処理装置が特定されたことに応じて、接続対象と特定された画像処理装置に前記画像処理を開始するための要求をする要求手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
開示の実施例によれば、画像処理装置に接続する際に、情報処理装置が、無線通信によって接続情報を取得し、該接続情報を用いて無線通信によって接続する情報処理システムにおいて、複数の画像処理装置が設置されている場合であっても、所望の画像処理装置から無線通信によって接続情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
図2】一実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】一実施形態に係る画像処理装置の操作部の外観の一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る画像処理装置の操作部のハードウェア構成例を示す図である。
図5】一実施形態に係る画像処理装置の操作部の機能ブロック図である。
図6】一実施形態に係る無線通信端末のハードウェア構成例を示す図である。
図7】一実施形態に係る無線通信端末の機能ブロック図である。
図8】無線通信端末によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度の時間変化の一例(その1)である。
図9】一実施形態に係る無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
図10】一実施形態に係る無線通信端末の機能ブロック図である。
図11】無線通信端末において測定される加速度の一例を示す図である。
図12】無線通信端末の傾きの一例を示す図である。
図13】無線通信端末によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度の時間変化の一例(その2)を示す。
図14】無線通信端末によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度の時間変化の一例(その3)を示す。
図15】一実施形態に係る無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
図16】一実施形態に係る無線通信端末の機能ブロック図である。
図17】一実施形態に係る無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
図18】一実施形態に係る無線通信端末に表示される検索画面例を示す図である。
図19】一実施形態に係る無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
図20】一実施形態に係る無線通信端末に表示される検索画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施例は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施例に限られない。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0012】
<概要>
<画像処理システム>
図1は、本実施の形態に係る画像処理システムの構成例を示す。画像処理システムは、画像処理装置100と、無線通信端末200とを備える。
【0013】
画像処理装置100は、複合機、プリンタなどの画像形成装置を適用でき、無線通信端末200などの外部から印刷、スキャンなどの画像処理を依頼するジョブに応じて画像処理を実行する。画像処理装置100は、第1の無線通信部と、第2の無線通信部とを有し、第1の無線通信部によって無線通信端末200と直接接続し、第2の無線通信部によって無線アクセスポイント300を経由して無線通信端末200と接続する。
【0014】
無線通信端末200は、スマートフォン、タブレット端末などを適用できる。無線通信端末200は、第1の無線通信部と、第2の無線通信部とを有し、第1の無線通信部によって画像処理装置100と直接接続し、第2の無線通信部によって無線アクセスポイント300を経由して画像処理装置100と接続する。第1の無線通信部の代わりに、NFCリーダー/ライターを適用することもできる。
【0015】
無線アクセスポイント300は、画像処理装置100と無線通信端末200との間の通信経路を構築する。無線アクセスポイント300は、イーサネット(登録商標)などのLAN(Local Area Network)50と接続されるとともに、IEEE802.11などの無線LANの規格にしたがって、無線通信端末200と通信を行う。ここで、無線アクセスポイント300に代えて、画像処理装置100が、インフラストラクチャモードで動作するWi-Fiモジュールや、無線通信端末200と直接接続して通信できるWi-Fiダイレクトモジュールを備えるようにしてもよい。この場合、無線通信端末200は、無線アクセスポイント300を介することなく直接画像処理装置100と接続し、通信できるため、無線アクセスポイントを不要にできる。
【0016】
<画像処理装置100>
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成例を示す。
【0017】
画像処理装置100は、コントローラ102と、操作部122と、ファクシミリコントロールユニット(FCU: Facsimile control unit)126と、USB(Universal Serial Bus)128と、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インタフェース130と、エンジン部132とを備える。画像処理装置100において、操作部122以外の部分は、本体部と呼ばれることもある。
【0018】
コントローラ102は、CPU(Central Processing Unit)104と、ノースブリッジ(NB)106と、システムメモリ(MEM-P)108と、サウスブリッジ(SB)114と、ASIC(application specific integrated circuit)116と、ローカルメモリ(MEM-C)118と、HDD120と、ネットワークインタフェースカード(NIC: Network Interface Card)121とを備える。システムメモリ108は、ROM(Read Only Memory)110と、RAM(Random Access Memory)112とを有する。
【0019】
CPU104は、画像処理装置100全体の制御を行い、ノースブリッジ106、システムメモリ108、およびサウスブリッジ114とともにチップセットを構成する。CPU104は、このチップセットを介して、他の機器と接続される。ノースブリッジ106は、CPU104と、システムメモリ108、サウスブリッジ114、およびAGP(Accelerated Graphics Port)バス60との間を接続するブリッジである。ノースブリッジ106は、システムメモリ108に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interface)マスタと、AGPターゲットとを有する。
【0020】
AGPバス60は、グラフィック処理を高速化するために提案されたインタフェースであり、システムメモリ108に高スループットで直接アクセスすることにより、画像処理を高速にする。
【0021】
システムメモリ108のROM110は、画像処理装置用プログラムやデータを格納する読み出し専用のメモリである。システムメモリ108のRAM112は、画像処理装置用プログラムやデータを展開するために使用されるとともに、プリンタによって描画処理が行われる際に使用される書き込みおよび読み出し可能なメモリである。サウスブリッジ114は、ノースブリッジ106と、PCIデバイスなどの周辺デバイスとの間を接続するブリッジである。サウスブリッジ114は、PCIバスを介してノースブリッジ106と接続され、該PCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)なども接続することができる。
【0022】
ASIC116は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス60、PCIバス70、HDD120およびローカルメモリ118をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC116は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC116の中核をなすアービタ(ARB)と、ローカルメモリ118を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部132との間でPCIバス70を介してデータ転送を行うPCIユニットとからなる。ASIC116には、PCIバス70を介して、操作部122、ファクシミリコントロールユニット126、USB128、IEEE1394インタフェース130、およびエンジン部132が接続される。
【0023】
ローカルメモリ118は、コピー用の画像バッファ、符号バッファとして用いられる。HDD120は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行う。また、HDD120は、画像処理装置100で実行されるアプリケーションのライセンスファイルを保存する。NIC121は、LAN50などのネットワークと接続するインタフェースである。
【0024】
操作部122は、ASIC116に直接接続され、画像処理装置100に対して操作を行うオペレータなどのユーザのためのインタフェースである。操作部122を操作することにより、データの入力、ジョブの実行、表示をすることができる。
【0025】
ファクシミリコントロールユニット126は、PCIバス70と接続され、FAX装置又はモデム機能を有する複写装置などの外部装置との通信を公衆回線で制御する。USB128、およびIEEE1394インタフェース130は、それぞれPCIバス70と接続され、周辺機器を接続できる。エンジン部132は、PCIバス70と接続され、白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナー、ファックスユニットなどのプリンタエンジンを適用できる。なお、エンジン部132に、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部を備えることもできる。
【0026】
<操作部122>
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置100の操作部122の外観図の一例を示す。図3に示すように、操作部122には、無線通信端末200をかざす領域1221と、表示領域1222とが設けられる。ユーザは、かざす領域1221に無線通信端末200をかざすことによって画像処理装置100の操作を開始することができる。かざす領域1221に無線通信端末200がかざされることによって、表示領域1222には処理中であることが表示される。この場合、無線通信端末200から操作部122には、該無線通信端末200にユーザによって設定されたコピー、スキャンなどの使用する機能や、該機能にともなって設定された内容が通知される。これによって、ユーザは、表示領域1222への操作を行うことなく画像処理装置100を使用できる。
【0027】
一方、ユーザは、無線通信端末200を使用しないで画像処理装置100を使用する場合などの通常の操作を行う場合には、表示領域1222に表示されているHOME画面に表示されている複数のアプリアイコンからいずれか一つを選択する。これにより、ユーザは、選択したアプリを起動させることができる。
【0028】
図4は、本実施の形態に係る画像処理装置100の操作部122のハードウェア構成例を示す。操作部122は、一般的な情報処理端末を適用でき、CPU152と、メモリ(MEM)154と、不揮発性メモリ160と、I/F162と、第1の無線通信部164と、第2の無線通信部166と、USB168と、センサ170と、タッチパネル172とを備える。CPU152、メモリ154、不揮発性メモリ160、I/F162と、第1の無線通信部164、第2の無線通信部166、USB168、センサ170、およびタッチパネル172は、バス80を介して接続される。
【0029】
CPU152は、操作部122全体の動作を制御する。メモリ154は、ROM156、およびRAM158を有する。ROM156は読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムを格納する。RAM158は情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU152が情報を処理する際の作業領域として用いられる。
【0030】
不揮発性メモリ160は、NAND型などの情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラムなどを格納する。I/F162は、バス80と、各種のハードウェア、LAN50などのネットワーク等との間を接続する。
【0031】
第1の無線通信部164は、Bluetooth(登録商標)4.0(Bluetooth Low Energy: BLE)や近距離無線通信(Near Field Communication(NFC))などの第2の無線通信方式と比較して低速な第1の無線通信方式によって無線通信を行う。
【0032】
第2の無線通信部166は、LAN50などのネットワークを介して、無線アクセスポイント300と接続される。第2の無線通信部166は、該無線アクセスポイント300介して、無線LANなどの第2の無線通信方式の規格にしたがって第1の無線通信方式と比較して高速な無線通信を行うための処理を行う。
【0033】
USB168は、周辺機器を接続できる。センサ170は、加速度センサなどのハードウェアで実現されるセンサである。タッチパネル172は、ユーザが画像処理装置100の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースであり、操作する際にも利用される。
【0034】
操作部122と、ASIC116との間は、I/F162によって接続することも、USB168を介して接続することもできる。
【0035】
また、第1の無線通信部164、および第2の無線通信部166は、操作部122に備える代わりに本体部に備えてもよいし、操作部122、および本体部の両方に備えてもよい。
【0036】
<実施の形態の機能構成>
次に、本実施の形態の機能構成について説明する。図5は、画像処理装置100を構成する操作部122の機能ブロック図である。
【0037】
操作部122は、第1の送受信部402、第2の送受信部404、デバイス情報公開パケット作成部406、接続情報要求処理部408、接続処理部410、ジョブ処理部412、および記憶・読出処理部414を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、不揮発性メモリ160に記憶されている操作部用プログラムにしたがったCPU152からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、操作部122は、図4に示されている不揮発性メモリ160によって構築される記憶部416を有している。
【0038】
(デバイス情報公開パケット管理テーブル)
記憶部416には、表1に示されているようなデバイス情報公開パケット管理テーブルによって構成されているデバイス情報公開パケット管理DB418が構築されている。
【0039】
【表1】
デバイス情報公開パケット管理テーブルは、デバイス名、動作モード、出力電力レベル、受信信号強度などを紐付けることによって対応付けたものである。デバイス名は、画像処理装置100のプラグアンドプレイに使用されるものである。動作モードは、第1の無線通信部164によってサポートされている規格を表す。例えば、第1の無線通信部164がBluetooth 4.0に対応するものである場合に、デュアルモードおよびシングルモードのいずれかが格納される。出力電力レベルは、画像処理装置100によって発信される電波の出力強度を示す。この出力電力レベルは固定値とすることも変動値とすることもできる。
【0040】
出力電力レベルを固定値とすることによって、デバイス情報公開パケットの画像処理装置100における受信信号レベルに基づいて、画像処理装置100と無線通信端末200との間の距離を推定することができる。また、出力電力レベルを変動値とすることによって、出力電力レベル、およびデバイス情報公開パケットの画像処理装置100における受信信号レベルに基づいて、経路損失を求め、画像処理装置100と無線通信端末200との間の距離を推定することができる。受信信号強度は、無線通信端末200によってデバイス情報公開パケットが受信された際に、無線通信端末200のアンテナによって観測されるものである。
【0041】
(接続情報管理テーブル)
記憶部416には、表2に示されているような接続情報管理テーブルによって構成されている接続情報管理DB420が構築されている。
【0042】
【表2】
接続情報管理テーブルは、第2の無線通信部166と無線通信端末200との間で第2の無線通信方式によって接続する際に使用する接続情報が記憶されている。接続情報管理テーブルは、例えば、SSID(Service Set Identifier)、セキュリティ方式、パスワードなどのネットワークの情報、IPアドレス、ポート番号などのアドレス情報などの接続情報を紐付けることによって対応付けたものである。SSIDは無線LANの識別情報であり、セキュリティ方式はWEP、WPA、WPA2、WPA2-TKIP、AESなどの暗号化方式の規格によって表される。
【0043】
<操作部122の各機能部>
次に、操作部122の各部を詳細に説明する。
【0044】
操作部122の第1の送受信部402は、図4に示されている第1の無線通信部164、およびCPU152からの命令によって実現される。第1の送受信部402は、第1の無線通信方式の規格にしたがって無線通信端末200と各種データ(情報)の送受信を行う。
【0045】
操作部122の第2の送受信部404は、図4に示されている第2の無線通信部166、およびCPU152からの命令によって実現される。第2の送受信部404は、第2の無線通信方式の規格にしたがって無線通信端末200と各種データ(情報)の送受信を行うための処理を行う。
【0046】
操作部122の記憶・読出処理部414は、図4に示されているCPU152からの命令、不揮発性メモリ160に記憶されている操作部用プログラムによって実現される。記憶・読出処理部414は、記憶部416に各種データを記憶したり、記憶部416に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
【0047】
操作部122のデバイス情報公開パケット作成部406は、CPU152からの命令によって実現される。デバイス情報公開パケット作成部406は、デバイス情報公開パケット管理DB418のデバイス情報公開パケット管理テーブルに格納されている情報を付帯したデバイス情報公開パケットを作成する。デバイス情報公開パケットは、アドバタイズメントパケットなどの無線通信端末200に当該画像処理装置100の存在を公開するパケットである。デバイス情報公開パケット作成部406は、作成したデバイス情報公開パケットを、第1の送受信部402から送信する。
【0048】
操作部122の接続情報要求処理部408は、CPU152からの命令によって実現される。接続情報要求処理部408には、デバイス情報公開パケットを受信した無線通信端末200によって送信される接続情報要求が、第1の送受信部402から入力される。接続情報要求処理部408は、接続情報要求が入力されると、該接続情報要求にしたがって、接続情報管理DB420の接続情報管理テーブルに格納されている情報を付帯した接続情報を作成し、第1の送受信部402から送信する。
【0049】
操作部122の接続処理部410は、CPU152からの命令によって実現される。接続処理部410は、接続情報を受信した無線通信端末200によって送信される接続要求が第2の送受信部404から入力されると、該接続要求にしたがって、無線通信端末200との間で接続処理を行う。
【0050】
操作部122のジョブ処理部412は、CPU152からの命令によって実現される。ジョブ処理部412は、無線通信端末200によって依頼されるジョブが第2の送受信部404から入力されると、該ジョブを処理する。
【0051】
<無線通信端末200>
図6は、本実施の形態に係る無線通信端末200のハードウェア構成例を示す。無線通信端末200は、CPU202と、RAM204と、ROM206と、HDD208、I/F210と、センサ212と、LCD(Liquid Crystal Display)214と、操作部216と、第1の無線通信部218と、第2の無線通信部220とを備える。CPU202、RAM204、ROM206、HDD208、I/F210、およびセンサ212は、バス90によって接続される。
【0052】
CPU202は、無線通信端末200全体の制御を行う。ROM206は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM204は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU202が情報を処理する際の作業領域として用いられる。HDD208は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OSや各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0053】
I/F210は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続する。センサ212は、加速度センサなどのハードウェアで実現されるセンサである。LCD214は、ユーザが無線通信端末200の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部216は、キーボードやマウスなど、ユーザが無線通信端末200に情報を入力するためのユーザインタフェースである。LCD214、および操作部216をタッチパネルによって構成し、キーボードをソフトウェアで実現することもできる。
【0054】
第1の無線通信部218は、Bluetooth 4.0や近距離無線通信など、第2の無線通信方式と比較して低速な第1の無線通信方式によって無線通信を行う。
【0055】
第2の無線通信部220は、無線LANなどの第2の無線通信方式の規格にしたがって第1の無線通信方式と比較して高速な無線通信を行う。
【0056】
<実施の形態の機能構成>
次に、本実施の形態に係る無線通信端末200の機能構成について説明する。図7は、無線通信端末200の機能ブロック図である。
【0057】
無線通信端末200は、第1の送受信部252、第2の送受信部254、受信信号強度測定部256、接続対象特定部258、接続情報取得部260、接続処理部262、ジョブ依頼部264、および記憶・読出処理部266を有している。これら各部は、図6に示されている各構成要素のいずれかが、HDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムにしたがったCPU202からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、無線通信端末200は、図6に示されているHDD208によって構築される記憶部268を有している。
【0058】
(受信信号強度管理テーブル)
記憶部268には、表3に示されているような受信信号強度管理テーブルによって構成されている受信信号強度管理DB270が構築されている。
【0059】
【表3】
受信信号強度管理テーブルは、デバイス名、受信信号強度などを紐付けることによって対応付けたものである。デバイス名は、画像処理装置100のプラグアンドプレイに使用されるものであるが後から変更することも可能である。受信信号強度は、画像処理装置100によって送信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度である。受信信号強度管理テーブルでは、デバイス名毎に、デバイス情報公開パケットの受信信号強度のキューが作成される。表3に示される例では、デバイス名が「A」で表される画像処理装置100によって送信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度が-40dB、-42dB、-38dBと変化していることが示される。
【0060】
<無線通信端末200の各機能部>
次に、無線通信端末200の各部を詳細に説明する。無線通信端末200の第1の送受信部252は、図6に示されている第1の無線通信部218、およびCPU202からの命令によって実現される。第1の送受信部252は、第1の無線通信方式の規格にしたがって画像処理装置100と各種データ(情報)の送受信を行う。
【0061】
無線通信端末200の第2の送受信部254は、図6に示されている第2の無線通信部220、およびCPU202からの命令によって実現される。第2の送受信部254は、第2の無線通信方式の規格にしたがって画像処理装置100と各種データ(情報)の送受信を行う。
【0062】
無線通信端末200の記憶・読出処理部266は、図6に示されているCPU202からの命令、HDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。記憶・読出処理部266は、記憶部268に各種データを記憶したり、記憶部268に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
【0063】
無線通信端末200の受信信号強度測定部256は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。受信信号強度測定部256は、第1の送受信部252によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度を所定の周期で測定し、該デバイス情報公開パケットに付帯されるデバイス名とともに、記憶・読出処理部266に入力する。記憶・読出処理部266は、受信信号強度測定部256によって入力されるデバイス名、および受信信号強度を記憶部268の受信信号強度管理DB270に格納する。デバイス名、および受信信号強度を記憶部268の受信信号強度管理DB270に格納する際には、デバイス名毎に、FIFO(First In, First Out)にしたがって受信信号強度を格納できる。表3に示される受信信号強度管理テーブルを参照して具体的に説明する。例えば、新しく測定したデバイス名が「B」である画像処理装置によって送信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度を記憶させるものとする。この場合、記憶・読出処理部266は、受信信号強度管理テーブルからデバイス名が「B」の一番古い値を取り出して削除し、該デバイス情報公開パケットの受信信号強度をデバイス名が「B」の一番新しい値として追加する。
【0064】
無線通信端末200の接続対象特定部258は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。接続対象特定部258は、記憶・読出処理部266に記憶部268の受信信号強度管理DB270の受信信号強度管理テーブルを読み出させ、該受信信号強度管理テーブルに格納された受信信号強度に基づいて、接続する画像処理装置を特定する。
【0065】
図8は、無線通信端末200を保持するユーザが画像処理装置100に近づく際の無線通信端末200によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度の時間変化の一例(その1)を示す。図8において、横軸は時間(t)であり、縦軸はデバイス情報公開パケットの受信信号強度(RSSI)である。
【0066】
無線通信端末200を画像処理装置100に近づけると、無線通信端末200が受信するデバイス情報公開パケットの受信信号強度は強くなる傾向がある。また、無線通信端末200が受信するデバイス情報公開パケットの受信信号強度は、画像処理装置100の第1の無線通信部164と無線通信端末200の第1の無線通信部218との間の距離が数センチメートル程度まで近づくと一定の値に収束するようになる。なお、一定の値は、無線通信端末200のアンテナ特性によって多少異なる可能性がある。
【0067】
接続対象特定部258は、受信信号強度管理テーブルに格納されたデバイス情報公開パケットの受信信号強度に基づいて、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μ[dB]がある閾値Rs[dB]を超える画像処理装置があるか否かを判断する。接続対象特定部258は、3個のデバイス情報公開パケットなどの適当なサンプリング数の平均値μ[dB]を求め、該平均値μが閾値Rsを超えるか否かを判断する。また、接続対象特定部258は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μがある閾値Rsを超える画像処理装置を無線通信端末200の目の前にあるものと判断する。さらに、接続対象特定部258は、無線通信端末200の目の前にあるものと判断した画像処理装置を接続対象として特定し、その画像処理装置のデバイス名を接続情報取得部260に通知する。
【0068】
図7に戻り説明を続ける。無線通信端末200の接続情報取得部260は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。接続情報取得部260は、接続対象特定部258によって入力されるデバイス名に基づいて、該デバイス名に対応する画像処理装置を宛先とする接続情報要求を作成し、第1の送受信部252から送信する。また、接続情報取得部260は、ユーザによって依頼されるジョブがジョブ依頼部264に入力された場合に、同様にして、該デバイス名に対応する画像処理装置を宛先とする接続情報要求を作成し、第1の送受信部252から送信するようにしてもよい。接続情報取得部260は、接続情報要求に対する応答として、接続情報が第1の送受信部252から入力されると、該接続情報を接続処理部262に入力する。
【0069】
無線通信端末200の接続処理部262は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。接続処理部262は、接続情報取得部260によって入力される接続情報に基づいて、第1の無線通信方式から第2の無線通信方式にハンドオーバすることによって切り替え、接続対象の画像処理装置と第2の送受信部254との間を接続させる処理を行う。
【0070】
また、無線通信端末200は、ユーザによって依頼されるジョブがジョブ依頼部264に入力され、接続対象特定部258によって入力されるデバイス名に基づいて該デバイス名に対応する画像処理装置を宛先とする接続情報要求を送信しない場合がある。この場合、接続処理部262は、ユーザによって依頼されるジョブがジョブ依頼部264に入力された後に、接続対象の画像処理装置と第2の送受信部254との間を接続させる処理を開始するようにしてもよい。画像処理装置100と無線通信端末200との間で暗号化に関する鍵を共有することによって、画像処理装置100は暗号化して接続情報を送信し、無線通信端末200は該暗号化された接続情報を復号する。
【0071】
無線通信端末200のジョブ依頼部264は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。ジョブ依頼部264は、ユーザによって依頼されるジョブを第2の送受信部254から、接続した画像処理装置100に送信する。
【0072】
<画像処理システムの動作>
図9は、本実施の形態に係る画像処理システムの主に無線通信端末200の動作を示す。
【0073】
ステップS902では、無線通信端末200の受信信号強度測定部256は、第1の送受信部252によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度を測定する。
【0074】
ステップS904では、無線通信端末200の受信信号強度測定部256は、デバイス情報公開パケットに付帯されるデバイス名と、そのデバイス情報公開パケットの受信信号強度とを記憶・読出処理部266に入力する。これにより、受信信号強度測定部256は、デバイス情報公開パケットに付帯されるデバイス名と、そのデバイス情報公開パケットの受信信号強度とを、記憶部268の受信信号強度管理DB270に格納させる。
【0075】
ステップS906では、無線通信端末200の接続対象特定部258は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置があるか否かを判断する。デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がない場合、ステップS902に戻る。
【0076】
ステップS908では、無線通信端末200の接続対象特定部258は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がある場合、その画像処理装置を接続対象に設定する。
【0077】
ステップS910では、無線通信端末200の接続情報取得部260は、接続対象に設定した画像処理装置に接続情報を要求する。無線通信端末200の接続処理部262は、接続対象に設定した画像処理装置によって送信される接続情報(例えば、SSID、パスワード、及びIPアドレス等)を取得すると、その接続情報を使用して、該画像処理装置との間で接続処理を行う。
【0078】
なお、ステップS910の接続処理は、次の手順で行われるものであっても良い。
【0079】
例えば、ステップS910において、画像処理装置は、接続情報として、画像処理装置を特定する情報(IPアドレス等)を送信せずに、画像形成装置と同じネットワークに接続するための情報(SSID、パスワード等)のみを、無線通信端末200に送信する。
【0080】
画像処理装置から接続情報を受信した無線通信端末200は、接続対象の画像処理装置に無線通信端末200を特定する情報(IPアドレス等)を送信すると共に、画像処理装置から受信した接続情報を用いて、画像処理装置と同じネットワークに接続する。
【0081】
無線通信端末200から無線通信端末200を特定する情報(IPアドレス等)を受信した画像処理装置は、受信した情報を用いて無線通信端末200に接続する。
【0082】
また、別の一例として、ステップS910の接続処理は、次の手順で行われるものであっても良い。
【0083】
例えば、ステップS910において、画像処理装置は、接続情報として、画像処理装置を特定する情報(IPアドレス等)を送信せずに、画像形成装置と同じネットワークに接続するための情報(SSID、パスワード等)のみを、無線通信端末200に送信する。
【0084】
画像処理装置から接続情報を受信した無線通信端末200は、画像処理装置から受信した接続情報を用いて、画像処理装置と同じネットワーク上でサーバを構築し、無線通信端末200が情報を受付可能なアドレス情報(URL等)を画像処理装置に通知する。
【0085】
無線通信端末200から、無線通信端末200が情報を受付可能なアドレス情報(URL等)を受信した画像処理装置は、受信したアドレス情報を用いて、画像処理装置を特定する情報(IPアドレス等)を無線通信端末200に通知する。
【0086】
画像処理装置から、画像処理装置を特定する情報(IPアドレス等)を受信した無線通信端末200は、受信した情報を用いて、画像処理装置に接続し、印刷等の画像処理を要求する。
【0087】
このように、無線通信端末200は、画像処理装置に接続するための情報の全てを第1の無線通信方式で受信せずに、画像処理装置に接続するための情報の一部を無線アクセスポイント300を介して受信し、印刷等の画像処理を行うための接続処理を行っても良い。
【0088】
ステップS910によって接続処理が行われた後、無線通信端末200のジョブ依頼部264は、ユーザによって依頼される印刷、スキャンなどのジョブを第2の送受信部254から、接続した画像処理装置100に送信する。
【0089】
なお、図9のステップS906において、接続対象特定部258は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置があるか否かをまとめて判断しているが、この判断は、画像処理装置毎に個別に行うものであっても良い。例えば、接続対象特定部258は、各画像形成装置からデバイス情報公開パケットを受信する毎に、画像形成装置の受信信号強度の平均値を個別に計算し、計算した平均値μが閾値Rsを超えた場合、ステップS908の処理を実行するものであっても良い。
【0090】
上記の実施の形態において、無線通信端末200は第1の無線通信方式によって取得した接続情報を取得した後に、第1の無線通信方式から第2の無線通信方式にハンドオーバせず、第1の無線通信方式によって接続対象の画像処理装置と接続するようにしてもよい。接続後、無線通信端末200は、ユーザによって依頼されるジョブを第1の送受信部252から、接続した画像処理装置100に送信するようにしてもよい。
【0091】
上述した画像処理システムによれば、無線通信端末は、画像処理装置によって送信されるデバイス情報公開パケットの複数回の受信信号強度を測定し、その平均値がある一定の閾値に達した場合に、画像処理装置に接続情報要求を送信する。これによって、画像処理装置や無線通信端末を操作することなく、無線通信端末を画像処理装置にかざすだけで所望の画像処理装置にジョブ実行の指示をすることができる。
【0092】
上述した例では、無線通信端末200が、デバイス情報公開パケットの複数回の受信信号強度を測定し、その平均値がある一定の閾値に達した画像処理装置に接続情報要求を送信する場合について説明した。しかし、この例に限らず、無線通信端末200が、平均値がある範囲に収まる画像処理装置に接続情報要求を送信するようにしてもよい。或いは、無線通信端末200が、デバイス情報公開パケットの受信信号強度に所定の演算処理を行い、その演算処理の結果に基づいて、接続情報要求を送信する画像処理装置を特定するようにしてもよい。
【0093】
上述した例では、無線通信端末200の接続対象特定部258は、受信信号強度管理テーブルに格納された受信信号強度に基づいて、受信信号強度の平均値μ[dB]がある閾値Rs[dB]を超える画像処理装置があるか否かを判断する場合について説明した。接続対象特定部258に、平均値μに加え、標準偏差σに基づいて、平均値μがある閾値Rsを超え、且つ標準偏差σがある特定の範囲に収まっている画像処理装置があるか否かを判断するようにしてもよい。これによって、より高い精度の電波特性に基づいて、接続する画像処理装置を特定できる。
【0094】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る画像処理システムは図1を適用でき、無線通信端末200の代わりに、無線通信端末500を備える。第1の実施の形態に係る画像処理システムは、<概要>において説明した画像処理システムと無線通信端末の機能の一部が異なる。
【0095】
<本実施の形態の機能構成>
次に、機能構成について説明する。図10は、無線通信端末500の機能ブロック図である。無線通信端末500は、第1の送受信部552、第2の送受信部554、受信信号強度測定部556、接続対象特定部558、接続情報取得部560、接続処理部562、ジョブ依頼部564、記憶・読出処理部566、および傾き検出部572を有している。これら各部は、図6に示されている各構成要素のいずれかが、HDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムにしたがったCPU202からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、無線通信端末500は、図6に示されているHDD208によって構築される記憶部568を有している。
【0096】
<無線通信端末500の各機能部>
次に、無線通信端末500の各部を説明する。第1の送受信部552、第2の送受信部554、受信信号強度測定部556、接続情報取得部560、接続処理部562、ジョブ依頼部564、記憶・読出処理部566については、図7に示した無線通信端末200の各部の機能を適用できる。
【0097】
無線通信端末500の傾き検出部572は、図6に示されているセンサ212、およびCPU202からの命令によって実現される。傾き検出部572は、センサ212によって測定される加速度などの測定情報に基づいて、無線通信端末500の角度などの傾きを検出する。
【0098】
図11は、無線通信端末500において測定される加速度の一例を示す。センサ212に加速度センサが適用される場合、センサ212によって物が動くときにその加速度が測定される。例えば、無線通信端末500のLCD214の長手方向をY軸とし、LCD214の左右方向をX軸とし、X軸とY軸とからなる平面に垂直な方向をZ軸とする。この場合、無線通信端末500は、X軸方向の加速度を検出することによって無線通信端末500の左右方向の加速度を求めることができ、Y軸方向の加速度を検出することによって無線通信端末500の上下方向の加速度を求めることができる。また、無線通信端末500は、Z軸方向の加速度を検出することによって無線通信端末500の正面裏面方向の加速度を求めることができる。傾き検出部572は、センサ212によって測定された加速度がある一定の範囲内に収束したか否かを判断することによって、無線通信端末500の角度などの傾きを判定する。
【0099】
図12は、無線通信端末500の傾きの一例を示し、水平方向から45度傾けた場合を示す。この場合、傾き検出部572は、無線通信端末500のY軸方向の加速度がsin45°であることを検出する。傾き検出部572は、無線通信端末500の傾きが所定の範囲に入ることを検出できた場合、そのことを接続対象特定部558に通知する。ここで、所定の範囲は、画像処理装置100の操作部122の傾きに基づいて予め設定される。例えば、ユーザは、無線通信端末500を画像処理装置100に接続する際に、操作部122のタッチパネル172の表示画面と平行にかざすことが多いと想定される。無線通信端末500とタッチパネル172の表示画面とが平行になる場合、両者の傾きは等しくなる。したがって、傾き検出部572は、無線通信端末500の傾きがタッチパネル172の表示画面の傾きから所定の範囲にあるか否かを判断する。
【0100】
なお、画像処理装置100の操作部122の傾き(タッチパネル172の表示画面の傾き)の値は、例えば、無線通信端末500が、記憶部568に予め記憶しておく。
【0101】
無線通信端末500の接続対象特定部558は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。接続対象特定部558は、記憶・読出処理部566に記憶部568の受信信号強度管理DB570の受信信号強度管理テーブルを読み出させる。また、接続対象特定部558は、該受信信号強度管理テーブルに格納されたデバイス情報公開パケットの受信信号強度と、無線通信端末500の傾きが所定の範囲に入ることが検出されたか否かに基づいて、接続する画像処理装置を特定する。ここで、所定の範囲は、画像処理装置100の形状に応じて予め設定され、例えば、記憶部568に記憶されている。
【0102】
ここでは、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超えたか否かに基づいて接続対象を特定する場合について検討する。平均値μに加え、標準偏差σに基づいて、平均値μがある閾値Rsを超え、且つ標準偏差σがある特定の範囲に収まっているか否かに基づいて接続対象を特定するようにしてもよい。
【0103】
図13は、無線通信端末200によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度の時間変化の一例(その2)を示す。図13において、横軸は時間(t)であり、縦軸はデバイス情報公開パケットの受信信号強度(RSSI)である。図13に示すように、無線通信端末200のアンテナ特性によっては、画像処理装置100によって送信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度が偶然に閾値Rsより大きい値として測定される場合がある。この場合、無線通信端末200は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μがある閾値Rsを超えてしまうため、その画像処理装置に接続情報要求を送信し、画像処理装置によって送信される接続情報に基づいて接続処理を行う場合がある。この接続処理がユーザの意図した画像処理装置であれば問題ないが、画像処理装置に接続可能な状態で無線通信端末を放置してしまったようなユーザの意図したものではない場合には問題である。
【0104】
図14は、無線通信端末200によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度の時間変化の一例(その3)を示す。図14において、横軸は時間(t)であり、縦軸はデバイス情報公開パケットの受信信号強度(RSSI)である。図14では、第1の画像処理装置、および第2の画像処理装置の2台の画像処理装置によって送信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度が測定される。第1の画像処理装置、および第2の画像処理装置のうち、第1の画像処理装置が目の前の画像処理装置であり、接続したいものである。しかし、第2の画像処理装置によって送信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度が偶然に閾値Rsより大きい値として測定される場合がある。この場合、無線通信端末は、受信信号強度の平均値μ[dB]がある閾値Rs[dB]を超えてしまうため、その第2の画像処理装置に接続情報要求を送信し、画像処理装置によって送信される接続情報に基づいて接続処理を行う場合がある。
【0105】
このように、本実施の形態に係る無線通信端末500では、デバイス情報公開パケットの受信信号強度に加えて、無線通信端末500の傾きが画像処理装置100の操作部122の表示画面の傾きから所定の範囲にあるか否かに基づいて、接続対象を特定する。これにより、無線通信端末500は、ユーザの意図しない画像処理装置と接続されることを低減することができる。
【0106】
<画像処理システムの動作>
図15は、本実施の形態に係る画像処理システムの主に無線通信端末500の動作を示す。ステップS1502-S1506は、図9のステップS902-S906を適用できる。
【0107】
ステップS1508では、無線通信端末500の接続対象特定部558は、受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がある場合、傾き検出部572によって、無線通信端末500の傾きが所定の範囲に入ることが検出されたか否かを判断する。無線通信端末500の傾きが所定の範囲に入ることが検出されない場合、ステップS1502に戻る。
【0108】
ステップS1510では、無線通信端末500の接続対象特定部558は、傾き検出部572によって、無線通信端末500の傾きが所定の範囲に入ることが検出されている場合、その画像処理装置を接続対象に設定する。
【0109】
ステップS1512では、無線通信端末500の接続情報取得部560は、接続対象に設定した画像処理装置に接続情報を要求する。無線通信端末500の接続処理部562は、接続対象に設定した画像処理装置によって送信される接続情報を取得すると、その接続情報を使用して、該画像処理装置との間で接続処理を行う。
【0110】
ステップS1512によって接続処理が行われた後、無線通信端末500のジョブ依頼部564は、ユーザによって依頼される印刷、スキャンなどのジョブを第2の送受信部554から、接続した画像処理装置に送信する。
【0111】
図15に示されるフローチャートにおいて、ステップS1508の処理を行った後に、ステップS1502-S1506、S1510の処理を行うようにしてもよい。
【0112】
なお、図15のステップS1506において、接続対象特定部558は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置があるか否かをまとめて判断しているが、この判断は、画像処理装置毎に個別に行うものであっても良い。例えば、接続対象特定部558は、各画像形成装置からデバイス情報公開パケットを受信する毎に、画像形成装置の受信信号強度の平均値を個別に計算し、計算した平均値μが閾値Rsを超えた場合、ステップS1508の処理を実行するものであっても良い。
【0113】
本実施の形態によれば、無線通信端末500の接続対象となる画像処理装置を、デバイス情報公開パケットの受信信号強度に加えて、無線通信端末500の傾きが画像処理装置の操作部の表示画面の傾きから所定の範囲にあるか否かに基づいて特定する。これにより、無線通信端末500のが、所望の画像処理装置とは異なる画像処理装置に誤って接続してしまうことを低減できる。
【0114】
<変形例>
本変形例に係る画像処理システムでは、操作部122のデバイス情報公開パケット作成部406は、自装置の操作部122の傾き(タッチパネル172の表示画面の傾き)の値をデバイス情報公開パケットに付帯して送信する。
【0115】
例えば、操作部122の角度が固定されている画像処理装置100であれば、デバイス情報公開パケット作成部406は、操作部122の傾きの値を記憶部416に予め記憶しておき、記憶した操作部122の傾きの値をデバイス情報公開パケットに含めて送信する。
【0116】
また、操作部122の傾きが変更可能な画像処理装置100であれば、画像処理装置100は、センサ170によって測定される加速度に基づいて、無線通信端末500と同様に操作部122の傾きの値を計測する。また、デバイス情報公開パケット作成部406は、計測された操作部122の傾きの値をデバイス情報公開パケットに含めて送信する。
【0117】
なお、画像処理装置100が、操作部122の傾きの値を計測する場合、例えば、所定の時間間隔等で操作部122の傾きの値を計測して、デバイス情報公開パケットに含まれる操作部122の傾きの値を更新することが望ましい。
【0118】
無線通信端末500の接続対象特定部558は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度に加えて、無線通信端末500の傾きと、デバイス情報公開パケットに含まれる操作部122の傾きとの差が所定の範囲にあるか否かに基づいて、接続対象を特定する。これによって、画像処理装置100の操作部122の傾きが変更された場合でも、無線通信端末500は、所望の画像処理装置100を特定することができる。さらに、操作部122の角度などの傾きが画像処理装置によって異なる場合であっても、無線通信端末500は、所望の画像処理装置を特定することができる。
【0119】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る画像処理システムは図1を適用でき、無線通信端末200の代わりに、無線通信端末600を備える。第1の実施の形態に係る画像処理システムは、<概要>において説明した画像処理システムと無線通信端末の機能の一部が異なる。
【0120】
<本実施の形態の機能構成>
次に、機能構成について説明する。図16は、無線通信端末600の機能ブロック図である。無線通信端末600は、第1の送受信部652、第2の送受信部654、受信信号強度測定部656、接続対象特定部658、接続情報取得部660、接続処理部662、ジョブ依頼部664、記憶・読出処理部666、検索画面表示制御部672、およびタイマ674を有している。これら各部は、図6に示されている各構成要素のいずれかが、HDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムにしたがったCPU202からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、無線通信端末600は、図6に示されているHDD208によって構築される記憶部668を有している。
【0121】
<無線通信端末600の各機能部>
次に、無線通信端末600の各部を説明する。第1の送受信部652、第2の送受信部654、受信信号強度測定部656、接続情報取得部660、接続処理部662、ジョブ依頼部664、記憶・読出処理部666については、無線通信端末200の各部の機能を適用できる。
【0122】
無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、図6に示されているLCD214、およびCPU202からの命令によって実現される。検索画面表示制御部672は、画像処理装置を検索中である旨を無線通信端末600のユーザに示すための検索画面を表示する制御を行う。この検索画面には、画像処理装置の検索を開始する際に選択する検索開始項目、検索をキャンセルする際に選択するキャンセル項目も表示される。
【0123】
無線通信端末600のタイマ674は、図6に示されているCPU202からの命令によって実現される。タイマ674は、30秒間などのあらかじめ設定した時間が経過することを計測する。
【0124】
無線通信端末600の接続対象特定部658は、CPU202からの命令、およびHDD208に記憶されている無線通信端末用プログラムによって実現される。接続対象特定部658は、タイマ674によってあらかじめ設定した時間が経過するまでの間に、検索画面表示制御部672に画像処理装置を検索中である旨を示すための画面を表示させる。また、接続対象特定部658は、記憶・読出処理部666に記憶部668の受信信号強度管理DB670の受信信号強度管理テーブルを読み出させる。さらに、接続対象特定部658は、該受信信号強度管理テーブルに格納されたデバイス情報公開パケットの受信信号強度と、無線通信端末600の傾きが所定の範囲に入ることが検出されたか否かに基づいて、接続する画像処理装置を特定する。
【0125】
接続対象特定部658は、あらかじめ設定した時間が経過しても接続する画像処理装置を特定できない場合には、第1の送受信部652によって実行されている画像処理装置の検索を中止させ、検索画面表示制御部672によって表示していた検索画面を閉じさせる。接続対象特定部658は、あらかじめ設定した時間が経過しても接続する画像処理装置を特定できない場合には、検索画面表示制御部672に「機器が見つかりませんでした。」など検索を中止するためのメッセージを表示させることもできる。
【0126】
<画像処理システムの動作(その1)>
本実施の形態に係る画像処理システムの、主に無線通信端末600の動作について、検索画面とともに説明する。図17は本実施の形態に係る画像処理システムの主に無線通信端末600の動作を示し、図18は本実施の形態に係る無線通信端末600に表示される検索画面例を示す。ここでは、無線通信端末600にホーム画面が表示された後に検索画面が表示され、その後接続画面が表示される。
【0127】
ステップS1702では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、LCD214に検索画面を表示する。ここで、接続対象特定部658は、タイマ674を起動させる。例えば、ユーザによって無線通信端末600を画像処理装置100に接続する接続アプリが起動されることによって、図18(1)に示されるホーム画面が表示される。ホーム画面には、「原稿種類」、「解像度」、「ファイル形式」、「読み取りサイズ」、「原稿面」などのジョブのプロパティ、画像処理装置の検索を開始させる開始項目などを表示させることができる。ここで、ユーザが開始項目を選択することによって、図18(2)に示される検索画面が表示されるとともに、画像処理装置の検索が開始される。
【0128】
ステップS1704では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、検索画面表示制御部672によって表示されている検索画面のキャンセル項目が選択(例えば、押し下げ)されたか否かを判断する。検索画面のキャンセル項目が選択された場合、後述するステップS1716に移行する。図18(2)に示されるように、検索画面には、検索を中止する際に選択されるキャンセル項目が表示される。ユーザは、キャンセル項目を選択することによって、検索を中止することができる。
【0129】
ステップS1706では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、検索画面のキャンセル項目が選択されていないと判断した場合、タイマ674において検索時間が経過したか否かを判断する。
【0130】
ステップS1708では、無線通信端末600の受信信号強度測定部656は、検索時間が経過していないと判断した場合、第1の送受信部652によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度を測定する。
【0131】
ステップS1710では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置があるか否かを判断する。デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がない場合、ステップS1704に戻る。
【0132】
ステップS1712では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がある場合、その画像処理装置を接続対象に設定する。
【0133】
ステップS1714では、無線通信端末600の接続情報取得部660は、接続対象に設定した画像処理装置に接続情報を要求する。無線通信端末600の接続処理部662は、接続対象に設定した画像処理装置によって送信される接続情報を取得すると、その接続情報を使用して、該画像処理装置との間で接続処理を行う。ここで、検索画面表示制御部672は、検索画面を図18(4)に示される接続画面に変更する。この接続画面には、接続を中止する際に選択するキャンセル項目が表示される。ユーザは、キャンセル項目を選択することによって、接続を中止することができる。
【0134】
ステップS1716では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、LCD214に表示していた検索画面を閉じる。
【0135】
ステップS1718では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、ステップS1716において検索時間が経過した場合、エラーメッセージを表示するように設定されているか否かを判断する。エラーメッセージを表示するように設定されていない場合、ステップS1716に移行する。
【0136】
ステップS1720では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、エラーメッセージを表示するように設定されている場合、エラーメッセージを表示する。ここで、検索画面表示制御部672は、検索画面を図18(3)に示されるエラー表示画面に変更する。このエラー表示画面には、検索時間の間に機器が見つからなかった旨が表示される。その後、ステップS1716に移行する。
【0137】
<画像処理システムの動作(その2)>
本実施の形態に係る画像処理システムの、主に無線通信端末600の動作について、検索画面とともに説明する。図19は本実施の形態に係る画像処理システムの主に無線通信端末600の動作を示し、図20は本実施の形態に係る無線通信端末600に表示される検索画面例を示す。ここでは、無線通信端末600にホーム画面が表示された後に検索画面は表示されずに接続画面が表示される。
【0138】
ステップS1902では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、タイマ674において検索時間が経過したか否かを判断する。例えば、ユーザによって無線通信端末600を画像処理装置100に接続する接続アプリが起動されることによって、図20(1)に示されるホーム画面が表示される。ホーム画面には、「原稿種類」、「解像度」、「ファイル形式」、「読み取りサイズ」、「原稿面」などのジョブのプロパティ、画像処理装置の検索を開始させる開始項目などを表示させることができる。ここで、ユーザが開始項目を選択することによって、画像処理装置の検索が開始されるとともに、タイマ674に予め設定される検索時間のカウントダウンが開始される。ホーム画面に、検索を中止する際に選択するキャンセル項目を表示することもできる。ユーザは、キャンセル項目を選択することによって、検索を中止することができる。
【0139】
ステップS1904では、無線通信端末600の受信信号強度測定部656は、検索時間が経過していないと判断した場合、第1の送受信部652によって受信されるデバイス情報公開パケットの受信信号強度を測定する。
【0140】
ステップS1906では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置があるか否かを判断する。デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がない場合、ステップS1902に戻る。
【0141】
ステップS1908では、無線通信端末600の接続対象特定部658は、デバイス情報公開パケットの受信信号強度の平均値μが閾値Rsを超える画像処理装置がある場合、その画像処理装置を接続対象に設定する。
【0142】
ステップS1910では、無線通信端末600の接続情報取得部660は、接続対象に設定した画像処理装置に接続情報を要求する。無線通信端末600の接続処理部662は、接続対象に設定した画像処理装置によって送信される接続情報を取得すると、その接続情報を使用して、該画像処理装置との間で接続処理を行う。ここで、検索画面表示制御部672は、検索画面を図20(3)に示される接続画面に変更する。この接続画面には、接続を中止する際に選択するキャンセル項目が表示される。ユーザは、キャンセル項目を選択することによって、接続を中止することができる。
【0143】
ステップS1912では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、LCD214に表示していた検索画面を閉じる。
【0144】
ステップS1914では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、ステップS1902において検索時間が経過した場合、エラーメッセージを表示するように設定されているか否かを判断する。エラーメッセージを表示するように設定されていない場合、ステップS1912に移行する。
【0145】
ステップS1916では、無線通信端末600の検索画面表示制御部672は、エラーメッセージを表示するように設定されている場合、エラーメッセージを表示する。ここで、検索画面表示制御部672は、検索画面を図20(2)に示されるエラー表示画面に変更する。このエラー表示画面には、検索時間の間に機器が見つからなかった旨が表示される。エラー表示画面には、エラーを確認した際に選択する「OK」項目が表示される。ユーザがこの「OK」項目を選択することによって、ステップS1912に移行する。
【0146】
本実施の形態によれば、無線通信端末は、ユーザによって画像処理装置の検索の指示を受けることによってデバイス情報公開パケットの受信信号強度の測定を行う。したがって、接続可能な状態で無線通信端末を画像処理装置の近くに放置してしまった場合であっても、誤ってデバイス情報公開パケットの受信信号強度の測定が行われることがない。これによって、無線通信端末の電池残量が知らない間に低下することを防止できる。
【0147】
上述した実施の形態、および変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上述した実施の形態、および変形例は、プリント、スキャン、コピーなどの機能をもつ複合機などの画像形成装置に加え、プロジェクタなどの投影装置や電子黒板などにも適用することができる。
【0148】
上述した実施例において、画像処理システムは情報処理システムの一例であり、無線通信端末は情報処理装置の一例である。また、受信信号強度測定部は電波強度測定手段、および取得手段の一例であり、接続対象特定部は判断手段の一例であり、ジョブ依頼部は操作検知手段の一例である。さらに、接続処理部は判定手段、および接続手段の一例であり、傾き検出部は測定手段の一例であり、タイマは計測手段の一例である。
【0149】
本発明は特定の実施例、変形例を参照しながら説明されてきたが、各実施例、変形例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に従った装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウエアでまたはそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【符号の説明】
【0150】
50 LAN
100 画像処理装置
122 操作部
200、500、600 無線通信端末
300 無線アクセスポイント
252、552、652 第1の送受信部
254、554、654 第2の送受信部
256、556、656 受信信号強度測定部
258、558、658 接続対象特定部
260、560、660 接続情報取得部
262、562、662 接続処理部
264、564、664 ジョブ依頼部
266、566、666 記憶・読出処理部
268、568、668 記憶部
270、570、670 受信信号強度管理DB
572 傾き検出部
672 検索画面表示制御部
674 タイマ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0151】
【文献】特開2008-17381号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20