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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】めっき給電治具
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/08 20060101AFI20240827BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
C25D17/08 J
C25D17/08 S
H05K3/18 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020180722
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071653
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】依田 康昭
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 直輝
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527473(JP,A)
【文献】特開2005-281849(JP,A)
【文献】実開平04-000662(JP,U)
【文献】特開2018-016826(JP,A)
【文献】実開昭49-070109(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-17/28
H05K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方及び他方の主面を備えた連結部と、
前記連結部の一方の主面側に固定され、めっき膜を形成するめっき対象物を保持する第1保持部を備えた第1給電部と、
前記連結部の他方の主面側に、前記連結部を挟んで前記第1給電部と対向するように固定され、前記めっき対象物を保持する第2保持部を備えた第2給電部と、
前記連結部の一方の主面と、前記連結部の一方の主面と対向する面である前記第1給電部の第1面との間に配置され、前記連結部と前記第1給電部とを導通させる第1突起部と、
前記連結部の他方の主面と、前記連結部の他方の主面と対向する面である前記第2給電部の第2面との間に配置され、前記連結部と前記第2給電部とを導通させる第2突起部と、
前記第1突起部の外周面の周囲に配置されて、前記連結部の一方の主面及び前記第1給電部の第1面と接触する第1シール部と、
前記第2突起部の外周面の周囲に配置されて、前記連結部の他方の主面及び前記第2給電部の第2面と接触する第2シール部と、
を有する、めっき給電治具。
【請求項2】
一方及び他方の主面を備えた連結部と、
前記連結部の一方の主面側に固定され、めっき膜を形成するめっき対象物を保持する第1保持部を備えた第1給電部と、
前記連結部の他方の主面側に、前記連結部を挟んで前記第1給電部と対向するように固定され、前記めっき対象物を保持する第2保持部を備えた第2給電部と、
前記連結部の一方の主面と前記第1給電部の第1面との間に配置され、前記連結部と前記第1給電部とを導通させる複数の第1突起部と、
前記連結部の他方の主面と前記第2給電部の第2面との間に配置され、前記連結部と前記第2給電部とを導通させる複数の第2突起部と、
それぞれの前記第1突起部の外周面の周囲に配置されて、前記連結部の一方の主面及び前記第1給電部の第1面と接触する第1シール部と、
それぞれの前記第2突起部の外周面の周囲に配置されて、前記連結部の他方の主面及び前記第2給電部の第2面と接触する第2シール部と、
を有する、めっき給電治具。
【請求項3】
前記第1突起部は、前記連結部の一方の主面に設けられ、前記第1突起部の端面が前記第1給電部の第1面と接触し、
前記第2突起部は、前記連結部の他方の主面に設けられ、前記第2突起部の端面が前記第2給電部の第2面と接触する、請求項1又は2に記載のめっき給電治具。
【請求項4】
前記第1給電部は、第1面側に開口する第1凹部を有し、
前記第2給電部は、第2面側に開口する第2凹部を有し、
前記第1突起部の一部が前記第1凹部内に入り込み、前記第1突起部の端面が前記第1凹部の底面と接触し、
前記第2突起部の一部が前記第2凹部内に入り込み、前記第2突起部の端面が前記第2凹部の底面と接触する、請求項に記載のめっき給電治具。
【請求項5】
前記第1突起部は、前記第1給電部の第1面に設けられ、前記第1突起部の端面が前記連結部の一方の主面と接触し、
前記第2突起部は、前記第2給電部の第2面に設けられ、前記第2突起部の端面が前記連結部の他方の主面と接触する、請求項1又は2に記載のめっき給電治具。
【請求項6】
前記連結部は、一方の主面側に開口する第1凹部と、他方の主面側に開口する第2凹部を有し、
前記第1突起部の一部が前記第1凹部内に入り込み、前記第1突起部の端面が前記第1凹部の底面と接触し、
前記第2突起部の一部が前記第2凹部内に入り込み、前記第2突起部の端面が前記第2凹部の底面と接触する、請求項に記載のめっき給電治具。
【請求項7】
前記連結部又は前記第1給電部と前記第1突起部の端面とが接触する部分、及び前記連結部又は前記第2給電部と前記第2突起部の端面とが接触する部分は電流の経路となる導通部であり、
前記導通部、前記第1保持部の前記めっき対象物と接触する部分、及び前記第2保持部の前記めっき対象物と接触する部分を除いて、前記連結部、前記第1給電部、及び前記第2給電部の表面は、絶縁膜で被覆されている、請求項1乃至の何れか一項に記載のめっき給電治具。
【請求項8】
前記絶縁膜の材料は、フッ素系樹脂である、請求項に記載のめっき給電治具。
【請求項9】
前記連結部と前記第1給電部及び前記第2給電部とは、平面視で前記第1突起部及び前記第2突起部と重複する部分において、ボルトで固定されている、請求項1乃至の何れか一項に記載のめっき給電治具。
【請求項10】
前記連結部と前記第1給電部及び前記第2給電部とは、平面視で前記第1突起部及び前記第2突起部の周辺部分において、ボルトで固定されており、
前記ボルトが挿入される孔の内壁は絶縁膜で被覆されている、請求項1乃至の何れか一項に記載のめっき給電治具。
【請求項11】
前記第1保持部及び前記第2保持部は、前記めっき対象物と接触する湾曲形状の接点を備えている、請求項1乃至10の何れか一項に記載のめっき給電治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき給電治具に関する。
【背景技術】
【0002】
基板等のめっき対象物にめっきを行う際には、めっき槽内において、めっき対象物に電流を供給するめっき給電治具を用いる。従来のめっき給電治具は、めっき対象物との接点を含む給電部と、給電部が固定されると共に接点へ電流を供給する連結部とを備えている。また、給電部は、めっき対象物を保持すると共に接点へ電流を供給する保持部を備えており、連結部、保持部、接点の順で電流が供給される。連結部ら給電部への給電は、めっき液と触れないように、シールされた状態で行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2019-527473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のめっき給電治具において、連結部と給電部との接触面は、給電部に施されたフッ素系ゴムのコーティングによってシールされている。しかし、従来のめっき給電治具では、給電部に設けられているコーティングをシールに流用しているだけであるため、給電部を構成する保持部が動いてしまった場合、保持部に追従してシール性が変化する場合がある。具体的には、保持部がめっき対象物をクランプするとき、クランプしためっき対象物が目論見よりも厚かったり薄かったりした場合や、めっき対象物内で厚さにバラツキがある場合などに、給電部と連結部とが接触する部分に隙間が生じてシール性の低下が生じ、隙間にめっき液が侵入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、シール性を向上しためっき給電治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本めっき給電治具は、一方及び他方の主面を備えた連結部と、前記連結部の一方の主面側に固定され、めっき膜を形成するめっき対象物を保持する第1保持部を備えた第1給電部と、前記連結部の他方の主面側に、前記連結部を挟んで前記第1給電部と対向するように固定され、前記めっき対象物を保持する第2保持部を備えた第2給電部と、前記連結部の一方の主面と、前記連結部の一方の主面と対向する面である前記第1給電部の第1面との間に配置され、前記連結部と前記第1給電部とを導通させる第1突起部と、前記連結部の他方の主面と、前記連結部の他方の主面と対向する面である前記第2給電部の第2面との間に配置され、前記連結部と前記第2給電部とを導通させる第2突起部と、前記第1突起部の外周面の周囲に配置されて、前記連結部の一方の主面及び前記第1給電部の第1面と接触する第1シール部と、前記第2突起部の外周面の周囲に配置されて、前記連結部の他方の主面及び前記第2給電部の第2面と接触する第2シール部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、シール性を向上しためっき給電治具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るめっき治具が支持部材に取り付けられた状態を例示する斜視図である。
図2】第1実施形態に係るめっき給電治具を例示する断面図である。
図3】第1実施形態に係るめっき給電治具を例示する部分分解斜視図である。
図4】連結部と給電部との非導通部近傍の部分断面図である。
図5図4の分解図である。
図6】連結部と給電部との導通部近傍の部分断面図(その1)である。
図7】連結部と給電部との導通部近傍の部分断面図(その2)である。
図8】連結部と給電部との導通部近傍の部分断面図(その3)である。
図9】給電部の接点近傍の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係るめっき給電治具が支持部材に取り付けられた状態を例示する斜視図である。図1(a)は一対のめっき給電治具10がめっき対象物Wを保持していない状態を、図1(b)は一対のめっき給電治具10がめっき対象物Wを保持している状態を示している。図1では、支持部材300の長手方向をX方向、めっき給電治具10の長手方向をY方向、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向としている。
【0011】
図2は、第1実施形態に係るめっき給電治具を例示する断面図である。図2(a)は、図1のA-A線におけるXZ平面に水平な断面を示しており、図2(b)は図2(a)の分解図である。図3は、第1実施形態に係るめっき給電治具を例示する部分分解斜視図である。図4は、連結部と給電部との非導通部近傍の部分断面図であり、図1のXZ平面に水平な断面を示している。図5は、図4の分解図である。なお、図3において、各絶縁膜の図示は省略されている。
【0012】
図1図5を参照すると、第1実施形態に係るめっき給電治具10は、板状又はシート状のめっき対象物Wをめっき液に浸漬してめっき処理を施す際に、めっき対象物Wを両側から保持すると共に、めっき対象物Wに給電するものである。めっき給電治具10は、連結部20と、給電部30及び40と、シール部50及び60とを有している。
【0013】
めっき給電治具10は、略水平方向に延伸する細長状の支持部材300の両端に1つずつ支持されている。めっき給電治具10及び支持部材300は、主に導電性の材料から形成されている。一方のめっき給電治具10の連結部20は、支持部材300の一端に揺動自在に支持され、支持部材300に対して略垂直な方向に延伸している。他方のめっき給電治具10の連結部20は、支持部材300の他端に揺動自在に支持され、支持部材300に対して略垂直な方向に延伸している。
【0014】
一方のめっき給電治具10は、めっき対象物Wの左右方向(X方向)の一端側を挟み込んで保持する。他方のめっき給電治具10は、めっき対象物Wの左右方向(X方向)の他端側を挟み込んで保持する。めっき対象物W、及びめっき対象物Wを両側から挟んだ一対のめっき給電治具10がめっき液に浸漬され、支持部材300を経由して一対のめっき給電治具10に給電されると、めっき対象物Wの両面に電流が流れ、めっき対象物Wの両面にめっき層が形成される。一対のめっき給電治具10をめっき対象物Wの片面のみに電流が流れる構造にしておけば、めっき対象物Wの片面のみにめっき層を形成することも可能である。
【0015】
以降、めっき給電治具10の各構成要素について詳説する。連結部20は、Y方向に延伸する細長い板状の本体21と、本体21の一方の主面側からZ+方向に突起する突起部22と、本体21の他方の主面側からZ-方向に突起する突起部23と、絶縁膜24とを有している。突起部22は、例えば、円盤状であり、本体21の一方の主面に複数の突起部22が離散的に設けられている。突起部23は、例えば、円盤状であり、本体21の他方の主面に複数の突起部23が離散的に設けられている。突起部22及び23の高さは、絶縁膜24の厚さ、後述の絶縁膜33及び43の厚さ、並びにシール部50及び60の厚さがばらついた場合でも、突起部22及び23の各端面22a及び23aが確実に本体31及び41(後述)と面接合できる値に設計される。
【0016】
本体21の一方の主面と他方の主面とは略平行であり、各々の突起部22と突起部23は、本体21を介して互いに対向する位置に配置されている。連結部20には、突起部22、本体21、及び突起部23を貫通する貫通孔20xが設けられている。貫通孔20xの側壁には、例えば、雌ねじが切られている。例えば、図4及び図5に示すように、貫通孔20x内に、雌ねじが切られたインサート部品80を挿入してもよい。
【0017】
本体21、突起部22、及び突起部23は、導電性の材料から一体に形成されている。本体21、突起部22、及び突起部23の材料としては、例えば、ステンレス等が挙げられる。突起部22の端面22a及び突起部23の端面23aを除き、本体21、突起部22、及び突起部23の表面全体は、絶縁膜24で被覆されている。絶縁膜24の材料は、例えば、フッ素系樹脂である。絶縁膜24の厚さは、例えば、300μm程度である。絶縁膜24は、不要な部分にめっきが析出することを防止するために設けられる。
【0018】
給電部30は、めっき対象物Wと接続され、めっき対象物の保持及びめっき対象物への給電を行う部分である。給電部30は、本体31と、保持部32と、絶縁膜33とを有している。本体31及び保持部32は、導電性の材料から一体に形成されている。本体31及び保持部32の材料としては、例えば、ステンレス等が挙げられる。
【0019】
本体31は、Y方向に延伸する細長い板状の部材であり、連結部20の一方の主面側に固定されている。本体31の連結部20と対向する面は平坦面であり、この面の一部は絶縁膜33から露出している。本体31の絶縁膜33から露出する部分と突起部22の端面22aとは絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Aを形成している。つまり、突起部22は、連結部20の本体21と給電部30の本体31とを導通させ、導通部Aを含む突起部22は、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0020】
本体31の導通部Aの近傍以外の部分は、絶縁膜33に被覆されている。絶縁膜33の材料は、例えば、フッ素系樹脂である。絶縁膜33の厚さは、例えば、300μm程度である。絶縁膜33は、不要な部分にめっきが析出することを防止するために設けられる。絶縁膜33は、絶縁膜24と同一材料から形成されてもよい。
【0021】
給電部30は、連結部20と、平面視で突起部22と重複する部分において、ボルト71Aで固定されている。また、給電部30は、連結部20と、平面視で突起部22の周辺部分において、ボルト71B及び71Cで固定されている。本体31には、連結部20と締結するためのボルト71A、71B、及び71Cが挿入される座ぐり孔30xが形成されている。なお、ボルト71Aは、接触部Aの部分を固定するボルトである。ボルト71B及び71Cは、本体31と連結部20とが絶縁膜33及び24を介して接触する非導通部を固定するボルトである。ボルト71A、71B、及び71Cのねじ部の外周面には雄ねじが切られており、ボルト71A、71B、及び71Cは座ぐり孔30xに挿入されて、先端部が連結部20の貫通孔20xに達し、本体31と連結部20とを締結する。
【0022】
なお、座ぐり孔は必ずしも必要な構成ではなく、座ぐり孔を設けずにボルト71A、B、Cが連結部表面から突出するように本体31と連結部20とが締結されていても良い。
【0023】
なお、平面視とは、対象物を図1等のZ方向から視ることを指す。また、平面形状とは、対象物をZ方向から視た形状を指す。
【0024】
保持部32は、本体31の端面のZ+側からX+方向に延伸する、本体31よりも薄板に形成された部材である。保持部32は、めっき膜を形成するめっき対象物Wを保持すると共に、めっき対象物Wに給電する。保持部32は、本体31よりもX+方向に位置する第1屈曲点32aで鈍角をなすようにZ-方向に屈曲し、第1屈曲点32aよりも更にX+方向に位置する第2屈曲点32bで鈍角をなすようにZ+方向に屈折し、先端部に略V字型の接点34を形成している。
【0025】
接点34において、給電部40と対向する側(V字の屈曲部近傍)は絶縁膜33から露出しており、この部分がめっき対象物Wの導電体と接し、めっき対象物Wの導電体に電流を供給する。なお、保持部32において、接点34の給電部40と対向する側以外は、絶縁膜33に被覆されている。
【0026】
シール部50は、連結部20の本体21の突起部22が形成されている一方の主面と、給電部30の本体31との間に配置されている。シール部50は複数の貫通孔50xを有し、連結部20の各々の突起部22は、対応する位置に形成された貫通孔50xの内側に配置される。シール部50の一方側は連結部20の本体21と接し、他方側は給電部30の本体31と接触する。つまり、シール部50は、突起部22の外周面の周囲に配置されて、連結部20の本体21の一方の主面及び給電部30の本体21の一方の主面と対向する面と接触する。
【0027】
このように、シール部50は、連結部20の本体21と給電部30の本体31の互いに対向する面の間に配置され、両者と密着する。これにより、絶縁膜が形成されてない導通部Aにめっき液が侵入することを防止できる。シール部50は、耐薬品性の高い材料から形成することが好ましい。シール部50の材料としては、例えば、フッ素系ゴムやシリコーン系ゴム等が挙げられる。シール部50は、連結部20の本体21と給電部30の本体31の互いに対向する面に密着できれば、任意の厚さとしてかまわないが、例えば、1mm~2mm程度とすることができる。
【0028】
給電部40は、めっき対象物Wと接続され、めっき対象物の保持及びめっき対象物への給電を行う部分である。給電部40は、連結部20の本体21の他方の主面側に、連結部20を挟んで給電部30と対向するように固定されている。給電部40は、本体41と、保持部42と、絶縁膜43とを有している。本体41及び保持部42は、導電性の材料から一体に形成されている。本体41及び保持部42の材料としては、例えば、ステンレス等が挙げられる。給電部40は、例えば、給電部30と同一構造である。
【0029】
本体41は、Y方向に延伸する細長い板状の部材であり、連結部20の他方の主面側に固定されている。本体41の連結部20と対向する面は平坦面であり、この面の一部は絶縁膜43から露出している。本体41の絶縁膜43から露出する部分と突起部23の端面23aとは絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Bを形成している。つまり、突起部23は、連結部20の本体21と給電部40の本体41とを導通させ、導通部Bを含む突起部23は、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0030】
本体41の導通部Bの近傍以外の部分は、絶縁膜43に被覆されている。絶縁膜43の材料は、例えば、フッ素系樹脂である。絶縁膜43の厚さは、例えば、300μm程度である。絶縁膜43は、不要な部分にめっきが析出することを防止するために設けられる。絶縁膜43は、絶縁膜24及び絶縁膜33と同一材料から形成されてもよい。
【0031】
給電部40は、連結部20と、平面視で突起部23と重複する部分において、ボルト72Aで固定されている。また、給電部40は、連結部20と、平面視で突起部23の周辺部分において、ボルト72B及び72Cで固定されている。本体41には、連結部20と締結するためのボルト72A、72B、及び72Cが挿入される座ぐり孔40xが形成されている。なお、ボルト72Aは、接触部Bの部分を締結するボルトである。ボルト72B及び71Cは、本体41と連結部20とが絶縁膜43及び絶縁膜24を介して接触する非導通部を締結するボルトである。ボルト72A、72B、及び72Cのねじ部の外周面には雄ねじが切られており、ボルト72A、72B、及び72Cは座ぐり孔40xに挿入されて、先端部が連結部20の貫通孔20xに達し、本体41と連結部20とを締結する。
【0032】
保持部42は、本体41の端面のZ-側からX+方向に延伸する、本体41よりも薄板に形成された部材である。保持部42は、めっき膜を形成するめっき対象物Wを保持すると共に、めっき対象物Wに給電する。保持部42は、本体41よりもX+方向に位置する第1屈曲点42aで鈍角をなすようにZ+方向に屈曲し、第1屈曲点42aよりも更にX+方向に位置する第2屈曲点42bで鈍角をなすようにZ-方向に屈折し、先端部に略V字型の接点44を形成している。
【0033】
接点44において、給電部30と対向する側(V字の屈曲部近傍)は絶縁膜43から露出しており、この部分がめっき対象物Wの導電体と接し、めっき対象物Wの導電体に電流を供給する。なお、保持部42において、接点44の給電部30と対向する側以外は、絶縁膜43に被覆されている。
【0034】
シール部60は、連結部20の本体21の突起部23が形成されている他方の主面と、給電部40の本体41との間に配置されている。シール部60は複数の貫通孔60xを有し、連結部20の各々の突起部23は、対応する位置に形成された貫通孔60xの内側に配置される。シール部60の一方側は連結部20の本体21と接し、他方側は給電部40の本体41と接触する。つまり、シール部60は、突起部23の外周面の周囲に配置されて、連結部20の本体21の他方の主面及び給電部40の本体21の他方の主面と対向する面と接触する。
【0035】
このように、シール部60は、連結部20の本体21と給電部40の本体41の互いに対向する面の間に配置され、両者と密着する。これにより、絶縁膜が形成されてない導通部Bにめっき液が侵入することを防止できる。シール部60は、耐薬品性の高い材料から形成することが好ましい。シール部60の材料としては、例えば、フッ素系ゴムやシリコーン系ゴム等が挙げられる。シール部60は、連結部20の本体21と給電部40の本体41の互いに対向する面に密着できれば、任意の厚さとしてかまわないが、例えば、1mm~2mm程度とすることができる。
【0036】
めっき給電治具10において、給電部30の保持部32及び給電部40の保持部42は、板バネとして機能し、給電部30の保持部32の接点34近傍、及び給電部40の保持部42の接点44近傍が弾性変形及び弾性復帰する。接点34は、Y方向に延伸しており、めっき対象物Wの一方の面の左右方向(X方向)の一端側の略全体と接触する。接点44は、Y方向に延伸しており、めっき対象物Wの他方の面の左右方向(X方向)の一端側の略全体と接触する。
【0037】
めっき対象物Wの一方の面及び他方の面の左右方向(X方向)の他端側も他のめっき給電治具10の給電部30及び40に保持される。そのため、一方のめっき給電治具10の給電部30の接点34から、他方のめっき給電治具10の給電部30の接点34に電流が流れ、めっき対象物Wの一方の面にめっき層が形成される。また、一方のめっき給電治具10の給電部40の接点44から、他方のめっき給電治具10の給電部40の接点44に電流が流れ、めっき対象物Wの他方の面にめっき層が形成される。
【0038】
図4及び図5に示すボルト71B及び71C並びにボルト72B及び72Cの近傍では、前述のように、連結部20は絶縁膜24に被覆され、給電部30は絶縁膜33で被覆され給電部40は絶縁膜43で被覆されている。また、ボルト71B及び71Cが挿入される孔の内壁は絶縁膜33で被覆され、ボルト72B及び72Cが挿入される孔の内壁は絶縁膜43で被覆されている。したがって、この部分では、連結部20と給電部30及び40とは導通しない。つまり、ボルト71B及び71C並びにボルト72B及び72Cは、連結部20と給電部30及び40の非導通部同士の固定を目的としている。
【0039】
ボルト71B及び71C並びにボルト72B及び72Cを設けて、連結部20と給電部30及び40とを固定することにより、連結部20と給電部30及び40との間のシール部50及び60を、より強く広範囲に押圧できる。その結果、めっき給電治具10全体のシール性を高めることができる。すなわち、連結部20と給電部30及び40とが十分な力で固定されているため、導通部Aはシール部50により十分にシールされ、導通部Bはシール部60により十分にシールされる。その結果、導通部A及び導通部Bにめっき液が侵入することを確実に防止できる。
【0040】
従来のめっき給電治具(例えば、特許文献1参照)は、連結部及び給電部とは別の部材としてシール部を備えていなく、シールの役割は絶縁膜に持たせていた。すなわち、従来のめっき給電治具では、絶縁膜としてフッ素系ゴムを用い、シールの役割も持たせるべく厚めに形成していた。しかし、フッ素系ゴムは脆く、ボルトを挿入する部分に設けると剥離してしまい、ボルトを挿入する部分が電気的に導通してしまうおそれがある。そのため、従来のめっき給電治具では、連結部と給電部とをボルトで固定する手法を採用できず、連結部と給電部との固定力は十分ではなかった。
【0041】
これに対して、めっき給電治具10では、連結部20並びに給電部30及び40とは別の部材としてシール部50及び60を備えている。つまり、めっき給電治具10では、シールの役割はシール部50及び60に持たせ、絶縁膜24、絶縁膜33、及び絶縁膜43には絶縁コーティングとしての役割を持たせている。絶縁膜24、絶縁膜33、及び絶縁膜43は、シールの役割を持つ必要がないため、絶縁膜24、絶縁膜33、及び絶縁膜43としてフッ素系ゴムを使用する必要がなく、より強度が高く薄いフッ素系樹脂を使用することが可能である。そのため、ボルトを挿入する部分における絶縁性も確保した状態で、連結部20と給電部30及び40とを固定することが可能である。
【0042】
このように、めっき給電治具10では、導通部となる突起部22及び23の周囲にシール部50及び60を配置したため、導通部にめっき液が侵入することを防止できる。
【0043】
また、めっき給電治具10は、連結部20並びに給電部30及び40とは別の部材としてシール部50及び60を備えている。そのため、シール部50及び60が保持部32及び42の動きに追従することがなく、シール性の低下が生じにくい。また、シール部50及び60は、従来のめっき給電治具のフッ素系ゴムのコーティングに比べて格段に厚くできるため、保持部32及び42の動きに対して十分なシール性を保ったまま変形することが可能で、シール性の低下を抑制できる。
【0044】
また、シール性が高まったことにより、シール部50及び60の面積を小さくして突起部を拡径できるため、突起部の端面である導通部の面積を広くとることが可能となり、めっき対象物への大電流の供給に有利である。
【0045】
また、保持部の絶縁膜(コーティング材)にシール性を求めなくてもよくなるため、保持部のコーティングをフッ素系ゴムのコーティングよりも薄いフッ素系樹脂のコーティングに変えることが可能となる。その結果、めっき対象物との接点を小型化してもコーティング材から露出させることが可能となり、めっき給電治具を薄型化できる。
【0046】
また、絶縁膜(コーティング材)は薄い方が厚さのムラも少なくなるため、接点がコーティング材に埋もれて給電できなくなる不具合を解消できる。
【0047】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、連結部と給電部の導通部近傍の構造が異なるめっき給電治具の例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0048】
図6は、連結部と給電部との導通部近傍の部分断面図(その1)であり、図1のXZ平面に水平な断面を示している。図6に示すように、めっき給電治具10Aは、連結部20Aと、給電部30A及び40Aと、シール部50及び60とを有している。
【0049】
めっき給電治具10Aにおいて、連結部20Aは、本体21及び絶縁膜24を有しているが、突起部22及び23を有していない点が、めっき給電治具10の連結部20と相違する。また、給電部30Aは、本体31の連結部20Aと対向する面に突起部35が形成された点が、めっき給電治具10の給電部30と相違する。また、給電部40Aは、本体41の連結部20Aと対向する面に突起部45が形成された点が、めっき給電治具10の給電部40と相違する。
【0050】
連結部20Aの本体21の給電部30Aと対向する一方の主面は平坦面であり、この面の一部は絶縁膜24から露出している。また、連結部20Aの本体21の給電部40Aと対向する他方の主面は平坦面であり、この面の一部は絶縁膜24から露出している。また、給電部30Aの突起部35の端面35aは絶縁膜33から露出している。また、給電部40Aの突起部45の端面45aは絶縁膜43から露出している。
【0051】
本体21の一方の主面の絶縁膜24から露出する部分と突起部35の端面35aとは絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Cを形成している。導通部Cは、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。また、本体21の他方の主面の絶縁膜24から露出する部分と突起部45の端面45aとは絶縁膜を介すことなく接触し、導通部D形成している。導通部Dは、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0052】
シール部50は、連結部20Aの一方の主面と、給電部30Aの本体31との間に配置されている。シール部50は複数の貫通孔50xを有し、給電部30Aの各々の突起部35は、対応する位置に形成された貫通孔50xの内側に配置される。シール部50の一方側は連結部20Aの本体21と接し、他方側は給電部30Aの本体31と接触する。つまり、シール部50は、突起部35の外周面の周囲に配置されて、連結部20Aの本体21の一方の主面及び給電部30Aの本体21の一方の主面と対向する面と接触する。
【0053】
シール部60は、連結部20Aの他方の主面と、給電部40Aの本体41との間に配置されている。シール部60は複数の貫通孔60xを有し、給電部40Aの各々の突起部45は、対応する位置に形成された貫通孔60xの内側に配置される。シール部60の一方側は連結部20Aの本体21と接触し、他方側は給電部40Aの本体41と接触する。つまり、シール部60は、突起部45の外周面の周囲に配置されて、連結部20Aの本体21の他方の主面及び給電部40Aの本体21の他方の主面と対向する面と接触する。
【0054】
このように、シール部は導通部の周囲に配置されるが、導通部を形成する際に、連結部側に突起部を設けても、給電部側に突起部を設けてもよい。何れの場合も導通部の周囲に位置する連結部と給電部がシール部と密着するため、導通部にめっき液が侵入することを防止できる。なお、図6では連結部と給電部の導通部近傍の構造について説明したが、連結部と給電部の非導通部近傍についても同様の構造とすることができる。
【0055】
図7は、連結部と給電部との導通部近傍の部分断面図(その2)であり、図1のXZ平面に水平な断面を示している。図7に示すように、めっき給電治具10Bは、連結部20と、給電部30B及び40Bと、シール部50及び60とを有している。
【0056】
めっき給電治具10Bにおいて、給電部30Bは、本体31の連結部20と対向する面側に開口する凹部36を有する点が、めっき給電治具10の給電部30と相違する。また、給電部40Bは、本体41の連結部20と対向する面側に開口する凹部46を有する点が、めっき給電治具10の給電部40と相違する。なお、めっき給電治具10Bにおいて、連結部20の突起部22及び23の高さは、めっき給電治具10の場合より高くしてもよい。
【0057】
凹部36の底面には絶縁膜33は形成されていなく、連結部20の突起部22の一部は凹部36内に入り込み、突起部22の端面22aは、凹部36の底面と絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Eを形成している。導通部Eは、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0058】
凹部46の底面には絶縁膜43は形成されていなく、連結部20の突起部23の一部は凹部46内に入り込み、突起部23の端面23aは、凹部46の底面と絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Fを形成している。導通部Fは、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0059】
このように、給電部に凹部を設け、連結部の突起部の一部を凹部に入り込ませ、凹部の底面と突起部の端面とが接触するようにしてもよい。この構造では、導通部とめっき液との距離をより多く確保できるため、導通部にめっき液が侵入することを一層防止できる。なお、図7では連結部と給電部の導通部近傍の構造について説明したが、連結部と給電部の非導通部近傍についても同様の構造とすることができる。
【0060】
図8は、連結部と給電部との導通部近傍の部分断面図(その3)であり、図1のXZ平面に水平な断面を示している。図8に示すように、めっき給電治具10Cは、連結部20Cと、給電部30A及び40Aと、シール部50及び60とを有している。
【0061】
めっき給電治具10Cにおいて、連結部20Cは、本体21の一方の主面側に開口する凹部25と、本体21の他方の主面側に開口する凹部26を有する点が、めっき給電治具10Aの連結部20Aと相違する。なお、めっき給電治具10Cにおいて、給電部30Aの突起部35及び給電部40Aの突起部45の高さは、めっき給電治具10Aの場合より高くしてもよい。
【0062】
凹部25の底面には絶縁膜24は形成されていなく、給電部30Aの突起部35の一部は凹部25内に入り込み、突起部35の端面35aは、凹部25の底面と絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Gを形成している。導通部Gは、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0063】
凹部26の底面には絶縁膜24は形成されていなく、給電部40Aの突起部45の一部は凹部26内に入り込み、突起部45の端面45aは、凹部26の底面と絶縁膜を介すことなく接触し、導通部Hを形成している。導通部Hは、めっき対象物Wに供給する電流の経路の一部となる。
【0064】
このように、連結部に凹部を設け、給電部の突起部の一部を凹部に入り込ませ、凹部の底面と突起部の端面とが接触するようにしてもよい。この構造では、導通部とめっき液との距離をより多く確保できるため、導通部にめっき液が侵入することを一層防止できる。なお、図8では連結部と給電部の導通部近傍の構造について説明したが、連結部と給電部の非導通部近傍についても同様の構造とすることができる。
【0065】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、給電部の接点の構造が異なるめっき給電治具の例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0066】
図9は、給電部の接点近傍の部分断面図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、保持部32を屈曲させて接点を形成する代わりに、保持部32の先端側に別部材を取り付けて接点としてもよい。
【0067】
図9(a)では、保持部32は、先端部に接点37を有している。保持部32と接点37とは、電気的に接続されている。接点37は、例えば、大径の円柱部と小径の円柱部が同心的に設けられた構造である。接点37の小径の円柱部は、例えば、保持部32の先端側に設けられた貫通孔32xに挿入され、溶接部39で固定されている。接点37の大径の円柱部は、保持部42側に突起している。めっき対象物Wに接する面を除き、接点37は絶縁膜33で被覆されている。
【0068】
同様に、保持部42は、先端部に接点47を有している。接点47は、例えば、大径の円柱部と小径の円柱部が同心的に設けられた構造である。接点47の小径の円柱部は、例えば、保持部42の先端側に設けられた貫通孔42xに挿入され、溶接部49で固定されている。接点47の大径の円柱部は、保持部32側に突起している。めっき対象物Wに接する面を除き、接点47は絶縁膜43で被覆されている。
【0069】
接点37と接点47とは、互いに対向するように配置されている。接点37と接点47は、Y方向に沿って所定間隔で複数個配置されることが好ましい。接点37及び47は、例えば、ステンレス等の導電性の材料から形成される。接点37及び47は、複数個の大径の円柱部に代えて、Y方向に延伸する断面形状が四角形の1個の部分を備えてもよい。
【0070】
図9(b)では、保持部32は、先端部に接点38を有している。接点38は、例えば、半球部と、半球部よりも小径の円柱部が同心的に設けられた構造である。接点38の円柱部は、例えば、保持部32の先端側に設けられた貫通孔32xに挿入され、溶接部39で固定されている。接点38の半球部は、保持部42側に突起している。めっき対象物Wに接する半球部の先端近傍を除き、接点38は絶縁膜33で被覆されている。
【0071】
同様に、保持部42は、先端部に接点48を有している。接点48は、例えば、半球部と、半球部よりも小径の円柱部が同心的に設けられた構造である。接点48の円柱部は、例えば、保持部42の先端側に設けられた貫通孔42xに挿入され、溶接部49で固定されている。接点48の半球部は、保持部32側に突起している。めっき対象物Wに接する半球部の先端近傍を除き、接点48は絶縁膜43で被覆されている。
【0072】
接点38と接点48とは、互いに対向するように配置されている。接点38と接点48は、Y方向に沿って所定間隔で複数個配置されることが好ましい。接点38及び48は、例えば、ステンレス等の導電性の材料から形成される。接点38及び48は、半球部に代えて、断面形状が半円状のかまぼこ型の部分を備えてもよい。かまぼこ型の部分は、所定間隔で複数個設けてもよいし、Y方向に延伸するかまぼこ型の1個の部分を備えてもよい。
【0073】
このように、接点の形状は、必要に応じ適宜決定できる。特に図9(b)に示す接点38及び48は、めっき対象物Wの有する段差や厚さの違い等に対して高い追従性を有する点で好ましい。すなわち、保持部の接点が角を有する構造の場合、めっき対象物Wの有する段差や厚さの違い等により、めっき対象物Wとの接触面積が大きく変動してしまう。保持部の接点とめっき対象物Wとの接触面積が小さくなった場合、面積が小さい領域に電流が集中するとスパークが発生するおそれがある。図9(b)に示すように、保持部が、めっき対象物Wと接する、角のない湾曲形状(例えば、半球状)の接点を備えていることで、めっき対象物Wの有する段差や厚さの違い等が生じた場合でも、保持部の接点とめっき対象物Wとの接触面積が略一定となる。そのため、接点におけるスパークの発生を抑制できる。
【0074】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0075】
10、10A、10B、10C めっき給電治具
20、20A、20C 連結部
20x、32x、42x、50x、60x 貫通孔
21、31、41 本体
22、23、35、45 突起部
22a、23a、35a、45a 端面
24、33、43 絶縁膜
25、26、36、46 凹部
30、30A、30B、40、40A、40B 給電部
30x、40x 座ぐり孔
32、42 保持部
32a、42a 第1屈曲点
32b、42b 第2屈曲点
34、37、38、44、47、48 接点
39、49 溶接部
50、60 シール部
71A、71B、71C、72A、72B、72C ボルト
80 インサート部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9