(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240827BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240827BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240827BHJP
C23C 16/511 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H05H1/46 R
H01L21/31 C
H01L21/318 B
C23C16/511
(21)【出願番号】P 2021006262
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 英紀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 佳幸
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-168086(JP,A)
【文献】特開2002-313743(JP,A)
【文献】特開2005-129323(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035842(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/31
H01L 21/318
C23C 16/511
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプラズマ源を有するプラズマ処理装置にて実行するプラズマ処理方法であって、
前記複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態又は第1レベルのパワー状態を示す第1状態になり、残りのプラズマ源がオン状態又は第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態を示す第2状態になるように各プラズマ源を制御する工程と、
前記複数のプラズマ源から出力するパワーにより処理ガスからプラズマを生成し、基板を処理する工程と、を有し、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記複数のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御
し、
前記複数のプラズマ源は、内周領域に少なくとも1個と、外周領域に少なくとも3個配置され、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記外周領域に配置された少なくとも3個のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が前記外周領域の他のプラズマ源に順次遷移するように繰り返し制御する、
プラズマ処理方法。
【請求項2】
複数のプラズマ源を有するプラズマ処理装置にて実行するプラズマ処理方法であって、
前記複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態又は第1レベルのパワー状態を示す第1状態になり、残りのプラズマ源がオン状態又は第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態を示す第2状態になるように各プラズマ源を制御する工程と、
前記複数のプラズマ源から出力するパワーにより処理ガスからプラズマを生成し、基板を処理する工程と、を有し、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記複数のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御
し、
前記各プラズマ源を制御する工程は、複数の前記第1状態のプラズマ源が点対称に配置されないように制御する、
プラズマ処理方法。
【請求項3】
複数のプラズマ源を有するプラズマ処理装置にて実行するプラズマ処理方法であって、
前記複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態又は第1レベルのパワー状態を示す第1状態になり、残りのプラズマ源がオン状態又は第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態を示す第2状態になるように各プラズマ源を制御する工程と、
前記複数のプラズマ源から出力するパワーにより処理ガスからプラズマを生成し、基板を処理する工程と、を有し、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記複数のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御
し、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記プラズマ処理装置が有するすべてのプラズマ源から出力する総パワーが同一になるように、前記第1状態のプラズマ源及び前記第2状態のプラズマ源から出力する各パワーを制御する、
プラズマ処理方法。
【請求項4】
前記複数のプラズマ源は、内周領域に少なくとも1個と、外周領域に少なくとも3個配置され、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記外周領域に配置された少なくとも3個のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が前記外周領域の他のプラズマ源に順次遷移するように繰り返し制御する、
請求項
2又は3に記載のプラズマ処理方法。
【請求項5】
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記外周領域に配置された前記複数のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源がn回対称の位置に順次遷移するように繰り返し制御する、
請求項
1又は4に記載のプラズマ処理方法。
【請求項6】
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記外周領域に配置された前記複数のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源に隣接する前記第1状態のプラズマ源と同数の前記第2状態のプラズマ源に時計回り又は反時計回りに順次遷移するように繰り返し制御する、
請求項
1、4又は5に記載のプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記第1状態のプラズマ源は、予め定められた時間毎に順次遷移し、
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記第1状態のプラズマ源が前記予め定められた時間経過後に継続して前記第1状態を維持しないよう制御する、
請求項1~
6のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記予め定められた時間は、前記基板を処理する工程におけるプロセス条件に基づいて可変に制御される、
請求項
7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記各プラズマ源を制御する工程は、複数の前記第1状態のプラズマ源が点対称に配置されないように制御する、
請求項1
、3、4、5、6、7又は8に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記各プラズマ源を制御する工程は、前記プラズマ処理装置が有するすべてのプラズマ源から出力する総パワーが同一になるように、前記第1状態のプラズマ源及び前記第2状態のプラズマ源から出力する各パワーを制御する、
請求項1
、2、4、5、6、7、8又は9に記載のプラズマ処理方法。
【請求項11】
前記複数のプラズマ源は、マイクロ波プラズマ源である、
請求項1~
10のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項12】
請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法を実行するためのプログラムが記憶された記憶媒体を有する制御部を備えたプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、マイクロ波を複数に分配した状態で出力する複数のマイクロ波プラズマ源を有し、複数のマイクロ波プラズマ源から複数に分配されたマイクロ波をチャンバ内に導入するマイクロ波プラズマ処理装置を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャンバ内に導入されたマイクロ波の表面波は、チャンバの天壁の底面を伝播して干渉し、成膜時の膜特性等のプラズマ処理に影響を及ぼすことがある。
【0005】
本開示は、プラズマ処理の基板面内均一化を図ることができるプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、複数のプラズマ源を有するプラズマ処理装置にて実行するプラズマ処理方法であって、前記複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態又は第1レベルのパワー状態を示す第1状態になり、残りのプラズマ源がオン状態又は第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態を示す第2状態になるように各プラズマ源を制御する工程と、前記複数のプラズマ源から出力するパワーにより処理ガスからプラズマを生成し、基板を処理する工程と、を有し、前記各プラズマ源を制御する工程は、前記複数のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御し、前記複数のプラズマ源は、内周領域に少なくとも1個と、外周領域に少なくとも3個配置され、前記各プラズマ源を制御する工程は、前記外周領域に配置された少なくとも3個のプラズマ源のうち、前記第1状態のプラズマ源が前記外周領域の他のプラズマ源に順次遷移するように繰り返し制御する、プラズマ処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、プラズマ処理の基板面内均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す断面模式図。
【
図3】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例1、2のシーケンスを説明するための図。
【
図4】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例3のシーケンスを説明するための図。
【
図5】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例4のシーケンスを説明するための図。
【
図6】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例5のシーケンスを説明するための図。
【
図7】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例6のシーケンスを説明するための図。
【
図8】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例2、4と全プラズマ源オン時の実験結果の一例を示す図。
【
図9】実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例2、4と全プラズマ源オン時の実験結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[プラズマ処理装置]
実施形態に係るプラズマ処理装置10について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置10の一例を示す断面模式図である。実施形態に係るプラズマ処理装置10は、CVD(chemical Vapor deposition)成膜装置の一例であり、マイクロ波により処理ガスからプラズマを生成し、基板をプラズマ処理するマイクロ波プラズマ処理装置である。
【0011】
プラズマ処理装置10は、チャンバ20、載置台21、ガス供給機構30、排気装置40、マイクロ波導入モジュール50及び制御部80を有する。チャンバ20は、ウェハを一例とする基板Wを収容する。載置台21は、チャンバ20の内部に配置され、基板Wを載置する載置面21aを有する。ガス供給機構30は、チャンバ20内にガスを供給する。排気装置40は、チャンバ20内を排気し、減圧状態にする。マイクロ波導入モジュール50は、チャンバ20内に供給される処理ガスをプラズマ化するためのマイクロ波を導入する。制御部80は、プラズマ処理装置10の各部を制御する。
【0012】
チャンバ20は、例えば円筒形状を有する。チャンバ20は、例えばアルミニウム及びその合金等の金属材料によって形成されている。マイクロ波導入モジュール50は、チャンバ20の上部に配置され、チャンバ20内に電磁波(実施形態ではマイクロ波)を導入し、プラズマを生成するプラズマ生成部として機能する。
【0013】
チャンバ20は、板状の天壁11、底壁13、及び天壁11と底壁13とを連結する側壁12を有する。導電性部材である天壁11は、チャンバ20の上部に配置され、複数の開口部を有し、各開口部にはマイクロ波導入モジュール50が嵌め込まれるように構成される。側壁12は、チャンバ20に隣接する図示しない搬送室との間で基板Wの搬入出を行うための搬入出口12aを有する。チャンバ20と図示しない搬送室との間には、ゲートバルブGが配置されている。ゲートバルブGは、搬入出口12aを開閉する機能を有する。ゲートバルブGは、閉状態でチャンバ20を気密にシールすると共に、開状態でチャンバ20と搬送室との間で基板Wの移送を可能にする。
【0014】
底壁13は、複数(
図1では2つ)の排気口13aを有する。排気口13aと排気装置40とは、排気管14により接続されている。排気装置40は、APCバルブと、チャンバ20の内部空間を所定の真空度まで減圧可能な高速真空ポンプとを有する。高速真空ポンプとしては、例えばターボ分子ポンプ等がある。排気装置40の高速真空ポンプを作動させることによって、チャンバ20は、その内部空間が所定の真空度まで減圧される。
【0015】
プラズマ処理装置10は、更に、チャンバ20内において載置台21を支持する支持部材22と、支持部材22と底壁13との間に設けられた絶縁部材23とを有する。載置台21は、基板Wを水平に載置するためのものである。基板Wは、搬入及び搬出時、図示しない昇降駆動機構により上昇させたリフトピン19により持ち上げられ、搬送機構と載置台21との間で基板Wの受け渡しが行われる。支持部材22は、底壁13の中央からチャンバ20の内部空間に向かって延びる円筒形状を有する。載置台21および支持部材22は、例えば表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)が施されたアルミニウム等によって形成されている。
【0016】
プラズマ処理装置10は、更に、載置台21に高周波電力を供給する高周波バイアス電源25と、載置台21と高周波バイアス電源25との間に設けられた整合器24とを有する。高周波バイアス電源25は、基板Wにイオンを引き込むために、載置台21に高周波電力を印加する。整合器24は、高周波バイアス電源25の出力インピーダンスと負荷側(載置台21側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。
【0017】
プラズマ処理装置10は、更に、載置台21を加熱または冷却する、図示しない温度制御機構を有してもよい。温度制御機構は、例えば、基板Wの温度を、25℃(室温)~900℃の範囲内で制御する。
【0018】
ガス供給機構30は、ガス供給源31を含むガス供給装置3aと、ガス供給源31と複数のガスノズル2とを接続する配管32とを有する。なお、
図1では、ガス供給装置3aは、1つのガス供給源31を図示しているが、使用されるガスの種類に応じて複数のガス供給源を含んでもよい。
【0019】
ガス供給装置3aは、更に、配管32の途中に設けられた図示しないマスフローコントローラおよび開閉バルブを含んでいる。チャンバ20内に供給されるガスの種類や、これらのガスの流量等は、マスフローコントローラおよび開閉バルブによって制御される。
【0020】
配管32から延在する複数のガスノズル2は円筒形状をなし、天壁11を貫通し、天壁11の底面11aから垂直方向に突出している。ガスノズル2は、その先端のガス供給孔2aからチャンバ20内に処理ガス等を供給する。例えば、シリコン窒化膜を成膜する場合、シランガス(SiH4)、窒素ガス(N2)及びアルゴンガス(Ar)等の希ガスをガス供給孔2aからチャンバ20内に導入する。複数のガスノズル2は、側壁12に設けられてもよい。
【0021】
マイクロ波導入モジュール50は、マイクロ波出力部51、アンテナユニット60及びマイクロ波放射部63を有する。マイクロ波出力部51は、マイクロ波を複数の経路に分配して出力する。アンテナユニット60は、マイクロ波出力部51から出力されたマイクロ波を増幅し、マイクロ波放射部63に導入する。
【0022】
アンテナユニット60は、複数のアンテナモジュール61を含む。実施形態では、複数のアンテナモジュール61の構成は全て同一である。各アンテナモジュール61は、分配されたマイクロ波を主に増幅して出力するアンプ部62と、アンプ部62から出力されたマイクロ波をマイクロ波放射部63内に導入するマイクロ波導入機構とを有する。
【0023】
マイクロ波放射部63は、天壁11の中央に1個と外周に6個配置され、マイクロ波をチャンバ20内に放射する。7個のマイクロ波放射部63は、天壁11の開口部に配置されている。
【0024】
マイクロ波放射部63は、インピーダンスを整合させるチューナと、増幅されたマイクロ波をチャンバ20内に放射するアンテナ部65とを有する。更に、マイクロ波放射部63は、金属材料よりなり、上下方向に延びる円筒形状の本体容器66と、本体容器66内において本体容器66が延びる方向と同じ方向に延びる内側導体67とを有する。本体容器66および内側導体67は、同軸管を構成している。本体容器66は、この同軸管の外側導体を構成している。内側導体67は、棒状又は筒状である。本体容器66の内周面と内側導体67の外周面との間の空間は、マイクロ波伝送路68となる。
【0025】
アンテナ部65は、内側導体67の下端部に接続されたマイクロ波遅波材72と、マイクロ波遅波材72の下面に接触する平面アンテナ71と、平面アンテナ71の下面に接触するマイクロ波透過板1とを有する。マイクロ波透過板1は、本体容器66を介して天壁11の開口部に嵌合し、その下面はチャンバ20の内部空間に露出している。マイクロ波透過板1は、マイクロ波の透過窓として機能する。
【0026】
平面アンテナ71は、円板形状を有する。また、平面アンテナ71は、平面アンテナ71を貫通するように形成されたスロットを有する。マイクロ波遅波材72は、真空よりも大きい誘電率を有する材料によって形成されている。マイクロ波遅波材72を形成する材料としては、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。マイクロ波は、真空中ではその波長が長くなる。マイクロ波遅波材72は、マイクロ波の波長を短くしてプラズマを調整する機能を有する。また、マイクロ波の位相は、マイクロ波遅波材72の厚みによって変化する。そのため、マイクロ波遅波材72の厚みによってマイクロ波の位相を調整することにより、平面アンテナ71のスロット位置が定在波の腹の位置になるように調整することができる。これにより、マイクロ波のパワーを効率よくチャンバ20内に導入することができる。
【0027】
マイクロ波透過板1は円柱形状を有する。マイクロ波透過板1は、誘電体材料によって形成されている。マイクロ波透過板1を形成する誘電体材料としては、例えば石英やセラミックス等が用いられる。マイクロ波透過板1は、マイクロ波をTEモードで効率的に放射可能な形状をなしている。
【0028】
プラズマ処理装置10の各構成部は、それぞれ制御部80に接続され、制御部80によって制御される。制御部80は、コンピュータであり、CPUを備えたプロセスコントローラ、プロセスコントローラに接続されたユーザーインターフェース及び記憶部を有する。
【0029】
プロセスコントローラは、プラズマ処理装置10において、例えば温度、圧力、ガス流量、バイアス印加用の高周波電力、マイクロ波出力等のプロセス条件に関係する各構成部を統括して制御する制御手段である。各構成部は、例えば、高周波バイアス電源25、ガス供給源31、排気装置40、マイクロ波導入モジュール50等が挙げられる。
【0030】
ユーザーインターフェースは、工程管理者がプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードやタッチパネル、プラズマ処理装置10の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有する。
【0031】
記憶部には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラの制御によって実行するための制御プログラムや、プロセス条件データ等が記録されたレシピ等が保存されている。プロセスコントローラは、ユーザーインターフェースからの指示等、必要に応じて任意の制御プログラムやレシピを記憶部から呼び出して実行する。これにより、プロセスコントローラによる制御下で、プラズマ処理装置10のチャンバ20内において所望の処理が行われる。
【0032】
上記の制御プログラムおよびレシピは、例えば、フラッシュメモリ、DVD、ブルーレイディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用することができる。また、上記のレシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用することも可能である。
【0033】
後述する実施形態に係るプラズマ処理方法を実行するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用することができる。また、上記プラズマ処理方法を実行するためのプログラムは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用することも可能である。制御部80は、上記プラズマ処理方法を実行するためのプログラムが記憶された記憶媒体を有し、当該プログラムを実行することで、プラズマ処理装置10にて実施形態に係るプラズマ処理方法を行う。
【0034】
[天壁の底面]
次に、
図2を参照して、
図1に示したチャンバ20の天壁11の底面11aのマイクロ波導入機構について説明する。
図2は、
図1のA-A断面を示し、実施形態に係るチャンバ20の天壁11の底面11aの構成の一例を示す図である。
【0035】
実施形態では7本のマイクロ波放射部63が、中央に1つ、外周に6つ、等間隔に配置され、中央のマイクロ波放射部63のマイクロ波透過板1gが、天壁11の内周領域にて底面11aから露出している。また、外周領域のマイクロ波放射部63のマイクロ波透過板1a~1fが、天壁11の外周領域にて底面11aから露出している。マイクロ波透過板1a~1gの露出面は円形である。
【0036】
すべてのマイクロ波透過板1a~1gにおいて、互いに隣接する任意の3つのマイクロ波透過板1の中心点間の距離は互いに等しい。ガスノズル2は、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fと内周領域のマイクロ波透過板1gとの間にて周方向に等間隔に12個配置されている。
【0037】
マイクロ波導入モジュール50は、複数のプラズマ源の一例である。実施形態では、複数のプラズマ源は、マイクロ波プラズマ源であり、マイクロ波導入モジュール50のマイクロ波透過板1a~1gのそれぞれからマイクロ波を放射する7個のプラズマ源をいう。以下では、マイクロ波透過板1a~1gの7個のプラズマ源のそれぞれは、マイクロ波出力部51から出力されたマイクロ波を放射するための各マイクロ波放射部63を含む。マイクロ波透過板1は、マイクロ波透過板1a~1gの総称である。
【0038】
なお、天壁11の底面11aにおいてマイクロ波透過板1a~1gで示される複数のプラズマ源は、底面11aの内周領域と外周領域とに設けられる例を挙げたが、これに限られない。例えば、マイクロ波透過板1は、底面11aの内周領域に少なくとも1個と、外周領域に少なくとも3個配置されてもよい。底面11aの内周領域は、例えばガスノズル2よりも内周側の底面11aの領域であり、底面11aの外周領域は、底面11aの内周領域よりも外周側の底面11aの領域である。
【0039】
マイクロ波は、マイクロ波透過板1a~1gからチャンバ20内に放射され、チャンバ20の天壁11の底面11aを表面波となって伝播する。この表面波の干渉により定在波が生じる場合がある。定在波が生じると、定在波の腹と節によりマイクロ波の電磁界分布が不均一になり、この影響でプラズマが不均一に生成され、成膜処理における膜厚や膜質等の膜特性が不均一になる。
【0040】
例えば、7個のプラズマ源のすべてをオン状態にしてマイクロ波透過板1a~1gのすべてからチャンバ20内にマイクロ波を導入し、基板Wを成膜したときに膜厚の不均一が生じ、基板Wの周方向に沿って120°の角度毎に3回膜厚が薄い(または厚い)部分が発生する3回対称分布が生じることがある。ここで、「n回対称」とは、図形を特徴付ける対称性の一群である。nを2以上の整数とし、ある中心(2次元図形の場合)または軸(3次元図形の場合)の周りを(360/n)°回転させると自らと重なる性質を、n回対称という。
【0041】
たとえば、n=3の場合、3回対称の一例としては、天壁11に対向する基板Wの成膜において、基板の最外周を周方向に120°回転させる度に膜厚の薄い(または厚い)部分が生じる3回対称分布が生じることがある(
図8(a)参照)。
【0042】
3回対称分布は、マイクロ波透過板1a~1gの各プラズマ源より放射されるマイクロ波の表面波の干渉による定在波の発生に起因すると考えられる。そこで、マイクロ波透過板1a~1gのプラズマ源のうち、1つ以上のプラズマ源から表面波を放射しない状況を作り、かつ表面波を放射しないプラズマ源を遷移させ、成膜処理を実行するというプラズマ処理方法を考案した。これにより、表面波の定在波を崩し、3回対称分布を崩すことで膜特性等のプラズマ処理の基板面内均一化を図ることができる。
【0043】
[プラズマ処理方法]
実施形態に係るプラズマ処理方法では、複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態になり、残りのプラズマ源がオン状態になるように各プラズマ源を制御する工程と、複数のプラズマ源から出力するパワーにより処理ガスからプラズマを生成し、基板を処理する工程と、を有する。
【0044】
各プラズマ源を制御する工程は、複数のプラズマ源のうち、オフ状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御する。例えば、各プラズマ源を制御する工程は、外周領域に配置された複数のプラズマ源のうち、オフ状態のプラズマ源がn回対称の位置に順次遷移するように繰り返し制御してもよい。「オフ状態のプラズマ源がn回対称の位置に順次遷移する」とは、例えば、
図2の天壁11の中心点Oの周りを(360/n)°回転させるとオフ状態のプラズマ源の位置が重なる位置にオフ状態のプラズマ源を順次遷移させることをいう。
【0045】
オフ状態のプラズマ源は、予め定められた時間毎に外周領域の他のプラズマ源に遷移する。なお、極端な電磁界分布の不均一状態を継続させないため、オフ状態のプラズマ源が予め定められた時間の経過後に継続してオフ状態を維持しないよう制御する。つまり、オン状態とオフ状態とを切り替える前後で連続してオフ状態になるプラズマ源を作らないように制御する。
【0046】
[実施例]
以上に説明した実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例について、
図3~
図5を参照しながら説明する。
図3~
図5は、実施形態に係るプラズマ処理方法の各実施例のシーケンスを説明するための図である。各実施例のプラズマ処理方法は、制御部80により実行される。
【0047】
<実施例1:
図3(A)>
まず、実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例1について、
図3(A)を参照しながら説明する。
図3(A)は、実施形態に係るプラズマ処理方法の一実施例として実施例1を示す。
【0048】
図3(A)は、天壁11の底面11aのマイクロ波透過板1a~1gの色を白丸と黒丸とで示し、これによりマイクロ波透過板1a~1gの各プラズマ源から出力されるマイクロ波のパワーのオン・オフ状態を示す。白丸はパワーがオフ状態を示し、黒丸はパワーがオン状態を示す。
【0049】
実施例1に係るプラズマ処理方法では、
図3(A)に示すように、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)を1サイクルとしてサイクルを繰り返し、予め定められた時間毎にオフ状態にあるプラズマ源が順次遷移するように制御される。
【0050】
実施例1に係るプラズマ処理方法では、まず、(a)においてマイクロ波透過板1aのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1b~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0051】
予め定められた時間(以下、所定時間という。)経過後、(b)においてマイクロ波透過板1bのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1c~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、(c)においてマイクロ波透過板1cのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1b、1d~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0052】
次の所定時間経過後、(d)においてマイクロ波透過板1dのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1c、1e~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、(e)においてマイクロ波透過板1eのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1d、1f、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0053】
次の所定時間経過後、(f)においてマイクロ波透過板1fのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1e、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、再び(a)に戻り、マイクロ波透過板1aのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1b~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0054】
実施例1では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、1つのプラズマ源がオフ状態になり、オフ状態のプラズマ源が所定時間毎に隣接するオン状態のプラズマ源に時計回りに順次遷移する。これにより、オフ状態のプラズマ源がn(n=6)回対称の位置に順次遷移するように繰り返し制御される。換言すれば、オフ状態のプラズマ源の位置を、
図2の天壁11の底面11aの中心点Oに対して時計回りに角度が60°の位置に順次遷移させるように制御する。これにより、ある1つのプラズマ源よりマイクロ波の表面波を放射しない状況を作り、表面波を放射しないプラズマ源を遷移させて成膜処理を実行することができる。この結果、底面11aにおける表面波の定在波を崩し、3回対称分布を消失又は崩すことで膜特性の均一化を図ることができる。
【0055】
<実施例2:
図3(B)>
次に、実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例2について、
図3(B)を参照しながら説明する。
図3(B)は、実施形態に係るプラズマ処理方法の一実施例として実施例2を示す。
【0056】
実施例2に係るプラズマ処理方法では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、1つのプラズマ源がオフ状態になり、オフ状態のプラズマ源の位置が、所定時間毎に隣接するオン状態のプラズマ源に反時計回りに順次遷移する。実施例1との相違点は、オフ状態のプラズマ源の位置を遷移させるときに時計回りに遷移させるか、反時計回りに遷移させるかの点のみである。
【0057】
実施例2に係るプラズマ処理方法においても、オフ状態のプラズマ源がn(n=6)回対称の位置に順次遷移するように繰り返し制御される。これにより、ある1つのプラズマ源よりマイクロ波の表面波を放射しない状況を作り、表面波を放射しないプラズマ源を遷移させて成膜処理を実行する。これにより、表面波の定在波を崩し、3回対称分布を消失又は崩すことで膜特性の均一化を図ることができる。
【0058】
<実施例3:
図4>
次に、実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例3について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、実施形態に係るプラズマ処理方法の一実施例として実施例3を示す。
【0059】
実施例3に係るプラズマ処理方法では、
図4に示すように、(a)→(b)→(c)を1サイクルとしてサイクルを繰り返し、予め定められた時間毎にオフ状態にあるプラズマ源が順次遷移するように制御される。
【0060】
実施例3に係るプラズマ処理方法では、まず、(a)において隣接する2つのマイクロ波透過板1a、1bのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1c~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0061】
所定時間経過後、(b)において2つのマイクロ波透過板1c、1dのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1b、1e~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、(c)において2つのマイクロ波透過板1e、1fのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1d、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0062】
次の所定時間経過後、再び(a)に戻り、2つのマイクロ波透過板1a、1bのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1c~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0063】
実施例3に係るプラズマ処理方法では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、隣り合う2つのプラズマ源がオフ状態になり、オフ状態のプラズマ源が所定時間毎に時計回りに隣接する2つのオン状態のプラズマ源に順次遷移する。これにより、オフ状態のプラズマ源がn(n=3)回対称の位置に順次遷移するように繰り返し制御される。これにより、2つのプラズマ源ずつ表面波を放射しない状況を作り、表面波を放射しない2つのプラズマ源をn回対称の位置に遷移させて成膜処理を実行する。これにより、表面波の定在波を崩し、膜特性の均一化を図ることができる。
【0064】
なお、実施例3では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、2つのプラズマ源がオフ状態になり、オフ状態のプラズマ源が所定時間毎に時計回りに隣接するオン状態のプラズマ源に順次遷移したが、これに限らない。例えば、オフ状態の2つのプラズマ源が所定時間毎に反時計回りに隣接するオン状態のプラズマ源に順次遷移してもよい。
【0065】
<実施例4:
図5>
次に、実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例4について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、実施形態に係るプラズマ処理方法の一実施例として実施例4を示す。
【0066】
実施例1、2に係るプラズマ処理方法では、外周領域の複数のプラズマ源のうち、1つのプラズマ源をオフ状態にして、かつ次のオフ状態のプラズマ源の位置を時計回り又は反時計回りに隣接するプラズマ源に順次遷移させて成膜処理を行うシーケンスを実行した。
【0067】
これに対して、実施例4に係るプラズマ処理方法では、
図5に示すように、現在オフ状態のプラズマ源に対向する位置のプラズマ源を次にオフ状態にするように制御する。その理由は、最初にオフ状態にするプラズマ源の下方では、基板W上の膜厚が薄くなる傾向があることから、次にオフ状態に制御するプラズマ源を隣接するプラズマ源にすると、最初にオフ状態にしたプラズマ源の下方付近の膜厚が薄くなる傾向が強まるためである。実施例4では、オフ状態のプラズマ源に対向する位置のプラズマ源、つまり、オフ状態のプラズマ源から最も遠い位置のプラズマ源を次にオフ状態にする。これにより、最初にオフ状態にするプラズマ源の下方付近で形成される膜厚が薄くなる傾向を抑制し、膜厚の均一性を高めることができる。
【0068】
具体的には、実施例4に係るプラズマ処理方法では、まず、
図5の(a)においてマイクロ波透過板1aのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1b~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0069】
所定時間経過後、(b)においてマイクロ波透過板1aのプラズマ源に対向するマイクロ波透過板1dのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1c、1e~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、(c)においてマイクロ波透過板1dのプラズマ源に対向するマイクロ波透過板1aに隣接するマイクロ波透過板1bのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1c~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0070】
次の所定時間経過後、(d)においてマイクロ波透過板1bのプラズマ源に対向するマイクロ波透過板1eのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1d、1f、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、(e)においてマイクロ波透過板1eのプラズマ源に対向するマイクロ波透過板1bに隣接するマイクロ波透過板1cのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1b、1d~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0071】
次の所定時間経過後、(f)においてマイクロ波透過板1cのプラズマ源に対向するマイクロ波透過板1fのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1e、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、再び(a)に戻り、マイクロ波透過板1aのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1b~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0072】
実施例4では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、1つのプラズマ源がオフ状態になり、オフ状態のプラズマ源が所定時間毎に対向する位置のオン状態のプラズマ源に順次遷移する。これを繰り返し行うことで、オフ状態のプラズマ源が外周領域の6つのプラズマ源のオフ状態のプラズマ源から最も遠い位置に順次遷移するように繰り返し制御される。ただし、
図5の(b)から(c)及び(d)から(e)に遷移する場合、対向位置(オフ状態のプラズマ源から180°の角度)に戻ると前回オフ状態にしたプラズマ源が再びオフされるためオフ状態のプラズマ源を順次遷移させることができない。よって、オフ状態のプラズマ源から180°の角度のプラズマ源に隣接するプラズマ源をオフ状態に制御する。実施例4では、(b)から(c)に遷移する場合、対向位置のマイクロ波透過板1aのプラズマ源の右隣りのマイクロ波透過板1bのプラズマ源をオフ状態に制御している。ただし、これに限らず、マイクロ波透過板1aのプラズマ源の左隣りのマイクロ波透過板1fのプラズマ源をオフ状態に制御してもよい。この場合、
図5の(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)の順にプラズマ源をオフ状態に制御する代わりに、(a)→(b)→(f)→(e)→(d)→(c)の順にプラズマ源をオフ状態に制御する。このようにオフ状態のプラズマ源の対向位置が前回オフ状態に制御したプラズマ源の場合には、前回オフ状態に制御したプラズマ源に隣接するいずれかのプラズマ源をオフ状態に制御し、外周領域のプラズマ源を順次オフ状態にする制御を繰り返す。
【0073】
これにより、マイクロ波の表面波を放射しない位置を直前にオフ状態にしたプラズマ源から最も遠い位置のプラズマ源に制御することで、表面波を放射しないプラズマ源を直前に表面波を放射しないプラズマ源から最も遠い位置に遷移させて成膜処理を実行する。これにより、表面波の定在波を効果的に崩し、膜特性の均一化を図ることができる。特に、実施例4に係るプラズマ処理方法では、オフ状態のプラズマ源が外周領域の6つのプラズマ源の対向する位置に順次遷移するように制御することにより、膜厚の均一性をより高めることができる。
【0074】
実施例4に係るプラズマ処理方法は、外周領域のプラズマ源が6個等の偶数の場合、オフ状態のプラズマ源の対向位置が前回オフ状態に制御したプラズマ源の場合には、前回オフ状態に制御したプラズマ源に隣接するいずれかのプラズマ源をオフ状態に制御する。この場合も、オフ状態のプラズマ源の対向位置のプラズマ源は、n回対称の位置であってオフ状態にしたプラズマ源から最も遠い位置に制御される。よって、オフ状態のプラズマ源をn回対称の位置に順次遷移する制御に含まれる。
【0075】
一方、外周領域のプラズマ源が奇数の場合、オフ状態にしたプラズマ源を、オフ状態にしたプラズマ源から最も遠い位置のいずれかのプラズマ源をオフ状態に制御する。この場合も、オフ状態のプラズマ源の対向位置のプラズマ源は、n回対称の位置であってオフ状態にしたプラズマ源から最も遠い位置に制御される。よって、オフ状態のプラズマ源をn回対称の位置に順次遷移する制御に含まれる。
【0076】
<実施例5:
図6>
次に、実施例5に係るプラズマ処理方法について
図6を参照しながら説明する。
図6は、実施形態に係るプラズマ処理方法の一実施例として実施例5を示す。
【0077】
実施例5に係るプラズマ処理方法では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、所定時間毎に2つのプラズマ源がオフ状態になり、順次遷移する。実施例5では、
図6に示すように、(a)→(b)→(c)を1サイクルとしてサイクルを繰り返し、予め定められた時間毎にオフ状態にあるプラズマ源が順次遷移するように制御される。
【0078】
実施例5に係るプラズマ処理方法では、まず、(a)において2つのマイクロ波透過板1a、1bのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1c~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0079】
所定時間経過後、(b)においてマイクロ波透過板1a、1bに対向する2つのマイクロ波透過板1d、1eのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a~1c、1f、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、(c)において2つのマイクロ波透過板1c、1fのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1b、1d、1e、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0080】
次の所定時間経過後、再び(a)に戻り、2つのマイクロ波透過板1a、1bのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1c~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0081】
実施例5の場合、実施例4よりも単位時間あたりに投入可能な電力効率が低下する。また、n回対称の制御になっておらず、点対称に近い遷移になっている。このため、実施例4と比較すると実施例5の制御は劣るが、実施例5の制御によっても3回対称の分布を崩すことができ、膜特性の均一化を改善できる。
【0082】
<実施例6:
図7>
次に、実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例6について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、実施形態に係るプラズマ処理方法の一実施例としての実施例6を示す。
【0083】
実施例6では、
図7に示すように、(a)→(b)を1サイクルとしてサイクルを繰り返し、予め定められた時間毎にオフ状態にあるプラズマ源が順次遷移するように制御される。
【0084】
実施例6に係るプラズマ処理方法では、まず、(a)において隣接する3つのマイクロ波透過板1a、1b、1cのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1d~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0085】
所定時間経過後、(b)において3つのマイクロ波透過板1d、1e、1fのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1a、1b、1c、1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。次の所定時間経過後、再び(a)に戻り、3つのマイクロ波透過板1a、1b、1cのプラズマ源がオフ状態になり、残りのマイクロ波透過板1d~1gのプラズマ源はオン状態になるように制御される。
【0086】
実施例6では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のうち、隣接する3つのプラズマ源がオフ状態になり、オフ状態のプラズマ源が所定時間毎に隣接する3つのオン状態のプラズマ源に順次遷移する。これを繰り返し行うことで、オフ状態のプラズマ源がn(n=2)回対称の位置に順次遷移するように繰り返し制御される。これにより、3つのプラズマ源より表面波を放射しない状況を作り、表面波を放射しないプラズマ源を遷移させて成膜処理を実行する。これにより、表面波の定在波を崩すことができる。
【0087】
ただし、中心のプラズマ源1gを除き点対称の遷移の仕方でもあり、かつ、オフ状態のプラズマ源の領域が大きいため、膜質の均一化に多少の不均一が生じる場合がある。このため、実施例4と比較すると実施例6の制御は劣るが、実施例6の制御によっても3回対称の分布を崩すことができ、膜特性の均一化を改善できる。
【0088】
実施例1~6において、所定時間毎にオフ状態のプラズマ源を変化させ、所定時間が経過した後も連続してオフ状態のプラズマ源はないように制御する。よって、外周領域のプラズマ源が6つの場合、外周領域の4つ以上のプラズマ源を同時にオフ状態にすることは、所定時間が経過した後も連続してオフ状態のプラズマ源が生じるため行わない。
【0089】
なお、実施例1~6において、1サイクルにおけるオフ状態のプラズマ源の積算回数は、同時にオフ状態に制御するプラズマ源の個数によらず同一である。つまり、オン/オフに制御するプラズマ源の1サイクルにおけるオン/オフの積算回数は同一とする。なお、パワー投入効率の観点からオフ状態のプラズマ源はなるべく少ない方がよい。
【0090】
[実験検証]
以上に説明したように、実施例1~6に係るプラズマ処理方法では、3回対称分布、つまり基板の最外周において周方向に高い膜厚分布がほぼ等間隔に3箇所存在する分布を消失させることができる。
【0091】
発明者は、プラズマ処理装置10において実施例2、実施例4に係るプラズマ処理方法を実行する実験を行い、実施形態に係るプラズマ処理方法を用いれば、3回対称分布を消失させることができることを検証した。この実験検証結果について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8及び
図9は、実施形態に係るプラズマ処理方法の実施例2、4の実験結果と全プラズマ源をオンした場合の実験結果の一例を示す図である。なお、中央のマイクロ波透過板1gのプラズマ源は、常時オン状態に制御された。
【0092】
図8(a)は、7個のマイクロ波透過板1a~1gのプラズマ源をすべてオン状態に制御して成膜処理を実行した結果、基板Wに成膜された膜厚分布の一例を示す。基板Wの最外周において120°の角度毎に周方向に高い膜厚分布がほぼ等間隔に3箇所発生する現象である、3回対称分布が発生した。
【0093】
図8(b)は実施形態に係るプラズマ処理方法の一例であり、実施例2に係るプラズマ処理方法を実行した結果、基板Wに成膜された膜厚分布の一例を示す。基板Wの最外周において周方向に3回対称分布は発生していない。
【0094】
図8(c)は実施形態に係るプラズマ処理方法の一例であり、実施例4に係るプラズマ処理方法を実行した結果、基板Wに成膜された膜厚分布の一例を示す。周方向に3回対称分布は発生していない。
【0095】
図9は、
図8(a)~(c)に示す基板Wに成膜された膜厚分布をグラフに示した図である。
図9の横軸は、基板Wの中心から147mmの周方向の膜厚を示し、縦軸は、基板Wの成膜時に形成された膜厚を示す。
【0096】
線Sは、
図8(a)の全プラズマ源をオン状態に制御した場合の膜厚分布を示し、線Tは、
図8(b)の実施例2の場合の膜厚分布を示し、線Uは、
図8(c)の実施例4の場合の膜厚分布を示す。線Sに示すように、全プラズマ源をオン状態に制御した場合では、0°~360°の範囲で山が3つあり、3回対称分布が発生した。
【0097】
これに対して、実施例2の線T及び実施例4の線Uでは、外周領域の6個のプラズマ源のうち、オフ状態のプラズマ源を所定時間毎に順次他のプラズマ源に遷移させる制御を繰り返した。これにより、外周領域のプラズマ源のうち、オン状態のプラズマ源が基板Wの中心点O(
図2参照)に対して非対称に5個又は6個存在するようにし、天壁11の底面11aの表面波の定在波を崩すことができた。この結果、0°~360°の範囲で3つの山は消滅し、3回対称分布は発生しなかった。
【0098】
基板Wの中心から147mmの周方向の膜厚の均一性については、基板Wの中心から147mmの周方向の膜厚の平均値に対する膜厚の最大値と最小値とのバラツキの度合いを数値化して
図8(a)~(c)に示した。数値が大きい程、膜厚のバラツキが大きいことを示す。この結果、膜厚均一性は、全プラズマ源をオン状態に制御した場合は±1.42%、実施例2の場合は±1.24%、実施例4の場合は±1.08%となった。以上から、実施例2、4では、全プラズマ源をオン状態に制御した場合と比べて膜厚の均一性を向上させることができた。更に、実施例4では、実施例2よりも更に膜厚の均一性を向上させることができた。
【0099】
以上、実施形態に係るプラズマ処理方法について、内周領域のマイクロ波透過板1gのプラズマ源と、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源とを有するプラズマ処理装置10を一例として説明した。実施形態では、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源について、1つ、2つ及び3つのプラズマ源を同時にオフ状態に制御し、順次オフ状態のプラズマ源を遷移させる制御を繰り返す。
【0100】
また、外周領域の複数のプラズマ源のうち、同時にオフ状態となっているプラズマ源が点対称に配置されないように制御する。例えば、マイクロ波透過板1a、1c、1eのプラズマ源が同時にオフ状態に制御される場合はオフ状態のプラズマ源が点対称に配置される一例である。この場合、所定時間経過後にマイクロ波透過板1b、1d、1fのプラズマ源がオフ状態に制御されることを繰り返し、反転パターンの制御となる。実施形態に係るプラズマ処理方法では、オフ状態のプラズマ源の点対称の遷移はあまり好ましくない。つまり、オフ状態のプラズマ源がこのような点対称の配置にならないように制御することが好ましい。また、オフ状態のプラズマ源とオン状態のプラズマ源との配置パターンが所定時間毎に反転するパターンの制御にならないようにすることが好ましい。天壁11の底面11aに規則的な定在波が発生するため、3回対称を消失し難くなるためである。
【0101】
実施形態に係るプラズマ処理方法は、外周領域のプラズマ源のうち、オフ状態のプラズマ源の位置をn回対称により制御できるようにすることが好ましい。3回対称分布の改善の観点と、なるべく多くのパワーを効率的に投入する観点とを勘案すると、最も好ましいのは実施例4となり、実施例4以外では概ね実施例1及び実施例2、実施例3、実施例5、実施例6の順に好ましい。
【0102】
中央のマイクロ波透過板1gのプラズマ源は、常時オン状態に制御されることが好ましい。中央のマイクロ波透過板1gのプラズマ源の周囲には、
図2に示すように12個のガスノズル2があり、マイクロ波透過板1gから放射されるマイクロ波の表面波の障壁になっている。よって、中央のマイクロ波透過板1gのプラズマ源のオン及びオフの制御は、天壁11の底面11aの表面波の定在波の発生にほとんど影響を及ぼさないと考えられる。したがって、外周領域のマイクロ波透過板1a~1fのプラズマ源のオン及びオフを制御し、マイクロ波透過板1gのプラズマ源はオン状態を維持する。ただし、中央のマイクロ波透過板1gのプラズマ源はオン状態を維持する制御に限らず、マイクロ波透過板1gのプラズマ源から放射されるマイクロ波のパワーを変えるように制御したり、オン及びオフを制御したりしてもよい。
【0103】
すべてのプラズマ源から出力する総パワーが同一になるように、各プラズマ源から出力する各パワーを制御してもよい。すなわち、オフ状態のプラズマ源を有する場合のすべてのプラズマ源から投入される総パワーが、オフ状態のプラズマ源を有しない場合と同一となるよう、オフ状態以外のオン状態のプラズマ源から出力するパワーを増加させるように制御してもよい。
【0104】
例えば、外周領域の6つのプラズマ源のうち、1つのプラズマ源をオフ状態に制御する場合、外周領域の残りの5つのプラズマ源と中央のプラズマ源とから出力する各パワーを1/6ずつ増加させてプラズマ源から出力する総パワーを同一にしてもよい。ただし、プラズマ源から出力する総パワーを同一にする制御は、プロセス条件が完成し、レシピ等にプロセス条件が設定されているときに必要な調整であり、プロセス条件が完成していないときには係る制御は行わなくてもよい。
【0105】
プラズマ源から出力する総パワーを同一にする制御では、プラズマ源を1つずつオフ状態に制御すると、プラズマ源を複数同時にオフ状態に制御する場合よりもオン状態のプラズマ源への出力パワーの負担の影響を少なくできる。一方、天壁11の底面11aに発生する表面波の定在波をなくす又は弱めるためには、同時にオフ状態に制御するプラズマ源の個数が多い方がよい。この2つの条件を考慮しつつ、実施形態に係るプラズマ処理方法では、n回対称にオフ状態にするプラズマ源の個数と、nの値とを制御する。
【0106】
オフ状態のプラズマ源を遷移させるための所定時間(シーケンシャル回転速度)は、予め定められた時間であるが、基板Wを処理する工程におけるプロセス条件に基づいて可変に制御してもよい。例えば、オフ状態のプラズマ源を遷移させる所定時間(シーケンシャル回転速度)を可変に調整することで、膜厚分布の偏りを補正することができる。例えば、所定時間(シーケンシャル回転速度)が遅すぎると、オフ状態のプラズマ源の下方のプラズマ密度が下がり、基板W上に成膜された膜厚、膜質等の膜特性が悪化する可能性がある。そこで、所定時間は、例えば、0.1秒よりも大きく、1秒よりも小さい値であって可変に設定できる。所定時間を0.1秒よりも大きい値に設定するのは、プラズマ処理装置10の構成上の限界値であり、所定時間を1秒よりも小さい値に設定するのは、膜厚や膜質等の膜特性を許容範囲に制御するためである。
【0107】
以上では、複数のプラズマ源を有するプラズマ処理装置にて実行されるプラズマ処理方法であって、複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態になり、残りのプラズマ源がオン状態になるように各プラズマ源を制御する工程と、複数のプラズマ源から出力するパワーにより処理ガスからプラズマを生成し、基板を処理する工程とを有し、複数のプラズマ源のうち、オフ状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御するプラズマ処理方法について説明した。
【0108】
ただし、実施形態に係るプラズマ処理方法は、これに限らない。プラズマ源のオフ状態はプラズマ源の第1状態を示す一例である。プラズマ源のオン状態はプラズマ源の第2状態を示す一例である。オフ状態のプラズマ源に替えて第1レベルのパワー状態のプラズマ源に制御してもよい。第1レベルのパワー状態はプラズマ源の第1状態を示す一例である。また、オン状態のプラズマ源に替えて第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態に制御してもよい。第2レベルのパワー状態はプラズマ源の第2状態を示す一例である。
【0109】
各プラズマ源を制御する工程では、複数のプラズマ源のうち、少なくとも1つのプラズマ源がオフ状態又は第1レベルのパワー状態を示す第1状態になり、残りのプラズマ源がオン状態又は第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態を示す第2状態になるように各プラズマ源を制御し、複数のプラズマ源のうち、第1状態のプラズマ源が順次遷移するように繰り返し制御してもよい。第1状態に制御される少なくとも1つのプラズマ源が複数の場合、各プラズマ源が同じパワー状態を示す第1状態に制御されてもよいし、プラズマ源毎に異なるパワー状態を示す第1状態に制御されてもよい。同様に、第2状態に制御される残りのプラズマ源が複数の場合、第1レベルのパワー状態よりも高い第2レベルのパワー状態であれば、各プラズマ源が同じパワー状態を示す第2状態に制御されてもよいし、プラズマ源毎に異なるパワー状態を示す第2状態に制御されてもよい。
【0110】
すなわち、制御部80は、マイクロ波透過板1a~1gのプラズマ源をオフ状態に制御する替わりにLow状態(オフ状態よりも大きく、かつHigh状態よりも小さいパワー状態)に制御してもよい。また、マイクロ波透過板1a~1gのプラズマ源をオン状態に制御する替わりにHigh状態(Low状態よりも大きいパワー状態)に制御してもよい。たとえば、外周領域のプラズマ源を1つずつオフ状態に制御することに限らず、外周領域のプラズマ源を1つずつパワーダウンさせるように制御してもよい。外周領域のプラズマ源を1つずつオン状態に制御することに限らず、外周領域のプラズマ源を1つずつパワーアップさせるように制御してもよい。外周領域のプラズマ源をオン・オフ状態にしたり、パワーダウン及び/又はパワーアップさせたりすることで、天壁11の底面11aに現れる定在波の有無や強弱を調整することができ、膜厚等の3回対称分布を解消できる。
【0111】
以上に説明したように、実施形態に係るプラズマ処理方法によれば、天壁11の底面11aに現れる定在波を崩し、膜厚の均一性、膜質の均一性等の膜特性の均一化(プラズマ処理による基板面内の均一性向上)を図ることができる。
【0112】
今回開示された実施形態に係るプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0113】
1…マイクロ波透過板、2…ガスノズル、2a…ガス供給孔、10…プラズマ処理装置、11…天壁、19…リフトピン、20…チャンバ、21…載置台、25…高周波バイアス電源、30…ガス供給機構、40…排気装置、50…マイクロ波導入モジュール、63…マイクロ波放射部、80…制御部、W…基板