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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】マルチプローバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240827BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240827BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240827BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 N
G01R31/26 J
G01R31/28 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020193571
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082169
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】家老 統矢
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-183423(JP,A)
【文献】特開2016-192549(JP,A)
【文献】特開2008-196975(JP,A)
【文献】特開2016-075635(JP,A)
【文献】特開平02-073170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/683
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定部を有し、一つのアライメント装置で前記複数の測定部において、プローブ針とウェーハのアライメントとコンタクトとを行うマルチプローバであって、
前記ウェーハを載置し、前記アライメント装置に着脱自在に支持固定されるウェーハチャックと、
前記ウェーハチャックの重心位置を通る位置で180度反対側に設けられた2本の回転軸と、
半円型リング形状とされ、前記ウェーハチャックの外周側の側面に前記2本の前記回転軸で軸支されて取り付けられた半円リングと、
一端が前記半円リングに移動端金具を介して接続され、他端は固定端金具を介して固定されたケーブル案内装置と、
を備えたことを特徴とするマルチプローバ。
【請求項2】
前記半円リングは、前記2本の前記回転軸を中心として前記ウェーハチャックの高さ方向に回動可能とされたことを特徴とする請求項1に記載のマルチプローバ。
【請求項3】
前記移動端金具の前記ケーブル案内装置側に設けられたケーブル回転軸を備え、前記ウェーハチャックが下降すると、前記ケーブル案内装置は前記2本の前記回転軸及び前記ケーブル回転軸によって回動することを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチプローバ。
【請求項4】
前記ケーブル案内装置の前記移動端金具に固定されたアライメント側ボールキャスタとステージ側ボールキャスタとを備え、前記アライメント側ボールキャスタは、前記アライメント時にアライメント側荷重受けの上に乗り、前記ステージ側ボールキャスタは、コンタクト時にステージ側荷重受けの上に載置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチプローバ。
【請求項5】
前記アライメント装置は、前記ウェーハチャックを真空吸着により着脱自在に支持することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマルチプローバ。
【請求項6】
前記アライメント装置は、前記複数の測定部間で相互に移動可能に構成され、同一の段に配置される前記複数の測定部間で共有されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマルチプローバ。
【請求項7】
前記ウェーハチャックの内部に、加熱/冷却源としての加熱冷却機構が設けられたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のマルチプローバ。
【請求項8】
前記ケーブル案内装置に収容されて案内される冷却配管を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のマルチプローバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハに形成された複数チップの電気的特性の検査を行うプローバに係り、特に、一つのアライメント装置で複数ヘッドステージにおいて、真空吸着力によるプローブ針とウェーハのコンタクトを行い、コンタクト時のアライメントを行うマルチプローバに好適である。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、多数の工程を有し、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、半導体ウェーハ上に半導体装置の複数のチップが形成された段階で、各チップの半導体装置の電極パッドは、テストヘッドに接続され、テストヘッドから電源及びテスト信号が供給される。そして、半導体装置の出力する信号は、テストヘッドで測定され、正常に動作するかを電気的に検査される。
【0003】
また、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを向上させるため、複数の測定部を有するプローバが知られて、例えば、特許文献1に記載されている。このプローバは、複数の測定部が多段状に積層された積層構造(多段構造)を有し、ウェーハレベル検査を測定部毎に行うマルチプローバとされている。
【0004】
マルチプローバは、一つのアライメント装置で複数ヘッドステージにおいて、プローブ針とウェーハのコンタクト時のアライメントを行う。そのため、アライメント装置の昇降軸でプローブ針とウェーハのコンタクトを行うと、アライメント装置は、テスト中に一つのヘッドステージで占有されることになる。そこで、マルチプローバは、真空吸着力によるコンタクトを採用し、テスト中はアライメント装置とウェーハを載置したウェーハチャックを切り離すことが行われている。特許文献1は、プローブカードとウェーハチャックとの間に形成される内部空間を減圧することにより、ウェーハチャックをプローブカードに向かって引き寄せる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-149447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、ウェーハチャックの構成部品による荷重等の影響によってウェーハチャックに傾きや位置ずれが生じてしまう可能性がある。この場合、プローブカードとウェーハとの平行度が悪くなり、プローブカードの各プローブ針をウェーハの各チップの電極パッドに均一に接触させることができなくなる。そのため、ウェーハレベル検査の測定精度が低下してしまう結果になる。
【0007】
真空吸着力によってプローブ針とウェーハのコンタクトを実施するプローバは、ウェーハチャックに偏荷重が掛かるとウェーハチャックが傾き、適切なコンタクトに必要とされるオーバドライブ量に偏りが生じる。そのため、ウェーハチャック端部に取り付けられた配線や配管による偏荷重は、配線が取り付けられる位置とは反対側にカウンターウェイトを取り付けたキャンセル機構でウェーハチャックのバランスを取る必要がある。しかし、このキャンセル機構は、配管が増え、冷却液の有無や温度変化によって配管の重量が変化する場合等に対応ができなかった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、真空吸着力によってプローブ針とウェーハのコンタクトを実施するプローバにおいて、配線や配管によるウェーハチャックへの偏荷重を無くし、ウェーハチャックの傾きを抑制して適切なコンタクトを常に確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の測定部を有し、一つのアライメント装置で前記複数の測定部において、プローブ針とウェーハのコンタクト時にアライメントを行うマルチプローバであって、前記ウェーハを載置し、前記アライメント装置に着脱自在に支持固定されるウェーハチャックと、前記ウェーハチャックの重心位置を通る位置で180度反対側に設けられた2本の回転軸と、半円型リング形状とされ、前記ウェーハチャックの外周側の側面に前記2本の前記回転軸で軸支されて取り付けられた半円リングと、一端が前記半円リングに移動端金具を介して接続され、他端は固定端金具を介して固定されたケーブル案内装置と、を備えたものである。
【0010】
また、上記のマルチプローバにおいて、前記半円リングは、前記2本の前記回転軸を中心として前記ウェーハチャックの高さ方向に回動可能とされたことが望ましい。
【0011】
さらに、上記のマルチプローバにおいて、前記移動端金具の前記ケーブル案内装置側に設けられたケーブル回転軸を備え、前記ウェーハチャックが下降すると、前記ケーブル案内装置は前記2本の前記回転軸及び前記ケーブル回転軸によって回動することが望ましい。
【0012】
さらに、上記のマルチプローバにおいて、前記ケーブル案内装置の前記移動端金具に固定されたアライメント側ボールキャスタとステージ側ボールキャスタとを備え、前記アライメント側ボールキャスタは、前記アライメント時にアライメント側荷重受けの上に乗り、前記ステージ側ボールキャスタは、コンタクト時にステージ側荷重受けの上に載置されることが望ましい。
【0013】
さらに、上記のマルチプローバにおいて、前記アライメント装置は、前記ウェーハチャックを真空吸着により着脱自在に支持することが望ましい。
【0014】
さらに、上記のマルチプローバにおいて、前記アライメント装置は、前記複数の測定部間で相互に移動可能に構成され、同一の段に配置される前記複数の測定部間で共有されることが望ましい。
【0015】
さらに、上記のマルチプローバにおいて、前記ウェーハチャックの内部に、加熱/冷却源としての加熱冷却機構が設けられたことが望ましい。
【0016】
さらに、上記のマルチプローバにおいて、前記ケーブル案内装置に収容されて案内される冷却配管を備えたことが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、半円型リング形状とされた半円リングをウェーハチャックの重心位置を通る位置で180度反対側に設けられた2本の回転軸で軸支して、ケーブル案内装置を半円リングに接続するので、ウェーハチャックへの配線や配管による偏荷重を無くすことができる。したがって、ウェーハチャックの傾きを抑制して適切なコンタクトを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図
図2図1に示したプローバを示した平面図
図3図1の測定ユニットの内部構造を示した測定ユニットの正面図
図4】測定部の構成を示した概略図
図5】ウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられた状態を示す側面図(検査開始可能な状態の測定部を示した側面図)
図6】従来のウェーハチャック50を斜め下から見た斜視図
図7図6の従来例におけるウェーハチャック50部の側面図
図8図6の従来例におけるウェーハチャック50がプローブカード56と引き離された状態を示す側面図
図9】本発明の一実施形態によるウェーハチャック50を斜め下から見た斜視図
図10図9の一部拡大側面図
図11】一実施形態におけるウェーハチャック50部の側面図
図12】一実施形態におけるウェーハチャック50がプローブカード56と引き離された状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るマルチプローバ10の全体構成を示した外観図である。図2は、図1に示したマルチプローバ10の平面図である。図3は、図1の測定ユニット12の内部構造を示した図であり、測定ユニット12を正面側(ローダ部14側)から見た図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、マルチプローバ10は、検査するウェーハW(図4参照)を供給及び回収するローダ部14と、ローダ部14に隣接して配置され、複数の測定部16を有する測定ユニット12とを備えている。測定ユニット12では、ローダ部14から各測定部16にウェーハWが供給されると、各測定部16でそれぞれウェーハWの各チップの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)が行われる。
【0021】
そして、各測定部16で検査されたウェーハWはローダ部14により回収される。ローダ部14及び測定ユニット12は、筐体30(図3参照)に収容されている。なお、マルチプローバ10は、操作パネル21及び各部を制御する制御装置(図示せず)なども備えている。
【0022】
ローダ部14は、ウェーハカセット20が載置されるロードポート18と、測定ユニット12の各測定部16とウェーハカセット20との間でウェーハWを搬送する搬送ユニット22とを有する。搬送ユニット22は、図示しない搬送ユニット駆動機構を備えており、X方向及びZ方向に移動可能に構成されると共に、θ方向(Z方向周り)に回転可能に構成されている。また、搬送ユニット22は、搬送アーム24を備えており、搬送ユニット駆動機構により搬送アーム24を前後に伸縮させることが可能となっている。
【0023】
搬送アーム24の上面部には図示しない吸着パッドが設けられており、搬送アーム24は、吸着パッドでウェーハWの裏面を真空吸着してウェーハWを保持する。これにより、ウェーハカセット20内のウェーハWは、搬送ユニット22の搬送アーム24によって取り出され、その上面に保持された状態で測定ユニット12の各測定部16に搬送される。また、検査の終了した検査済みのウェーハWは逆の経路で各測定部16からウェーハカセット20に戻される。
【0024】
図3に示すように、測定ユニット12は、複数の測定部16が多段状に積層された積層構造(多段構造)を有しており、各測定部16はX方向及びZ方向に沿って2次元的に配列されている。図3は、X方向に4つの測定部16がZ方向に3段積み重ねられている。なお、各測定部16は、いずれも同一の構成を有しており、ウェーハチャック50やプローブカード56等を備えて構成される。ここで、図3において、測定ユニット12が、複数の測定部16により多段状に積層された積層構造(多段構造)を有している例で説明したが、多段状では無く1段のみの場合も本発明の範囲に含まれるものである。
【0025】
次に、測定部16の構成について説明する。図4は、測定部16の構成を示した側面図である。測定部16は、ウェーハチャック50と、ヘッドステージ52と、テストヘッド54と、プローブカード56と、ポゴフレーム58とを備えている。ヘッドステージ52は、筐体30の一部を構成するフレーム部材34に支持されている。テストヘッド54の受け部54aは、テストヘッド保持部80によりヘッドステージ52の上方に支持されている。
【0026】
テストヘッド54の受け部54aと、フレーム部材34に固定されるバネ受け部87と、の間は、バネ部材88が介在している。テストヘッド54は、プローブカード56のプローブ針66に電気的に接続され、電気的検査のためにウェーハWに構成された各チップに電源及びテスト信号を供給すると共に、各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定する。
【0027】
ポゴフレーム58は、テストヘッド54の下面(ポゴフレーム58に対向する面)に形成される各端子とプローブカード56の上面(ポゴフレーム58に対向する面)に形成される各端子とを電気的に接続する多数のポゴピン(不図示)を備えている。また、テストヘッド54、ポゴフレーム58及びプローブカード56は、吸引手段等により一体化される。
【0028】
プローブカード56は、複数のプローブ針66が設けられ、各プローブ針66は、プローブカード56の下面(ウェーハチャック50に対向する面)から下方に向けて突出して形成されている。また、プローブ針66は、ポゴフレーム58を介してテストヘッド54の各端子に電気的に接続される。
【0029】
ウェーハチャック50は、真空吸着等によりウェーハWを吸着して載置する。ウェーハチャック50は、アライメント装置70に着脱自在に支持固定される。アライメント装置70は、ウェーハチャック50をX、Y、Z、θ方向に移動することで、ウェーハチャック50に保持されたウェーハWとプローブカード56との相対的な位置合わせ、即ちアライメントを行う。
【0030】
図5は、測定部16において、ウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられた状態を示し、検査開始可能な状態の測定部16を示した側面図である。ウェーハチャック50の上面(ウエハ載置面)の外周部は、弾性を有するリング状のシール部材としてチャックシールゴム64が設けられている。
【0031】
Z軸移動・回転部72は、ウェーハチャック50をプローブカード56に向かって移動(上昇)させ、チャックシールゴム64をヘッドステージ52の下面に接触させる。そして、ウェーハチャック50、プローブカード56(ヘッドステージ52)及びチャックシールゴム64により囲まれた内部空間Sが形成される。
【0032】
そして、図示しない吸引装置(例えば、真空ポンプ)により、内部空間Sが減圧されることにより、ウェーハチャック50がプローブカード56(ヘッドステージ52)に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード56の各プローブ針66は、ウェーハWの各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。なお、チャックシールゴム64は環状のシール部材の一例である。
【0033】
ウェーハチャック50の内部は、チップを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば最低で-40℃)で電気的特性検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。したがって、ウェーハチャック50は、可動部となり、制御部(図示せず)等と配線、配管が案内されるケーブル案内装置40(図6参照)を介して接続される。
【0034】
ケーブル案内装置40は、可動部に接続された配線や配管等を保護・案内するために収容する部品であり、チェーンのように小さな部品が連結されている。特に、低温状態で電気的特性検査を行う場合、つまり低温仕様は、冷却液が流通する冷却配管がケーブル案内装置40に収容されて案内される。
【0035】
アライメント装置70は、ウェーハチャック50を真空吸着等により着脱自在に支持する。また、アライメント装置70は、ウェーハチャック50に保持されたウェーハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行うものである。そして、アライメント装置70は、ウェーハチャック50を着脱自在に支持固定してウェーハチャック50をZ軸方向に移動する。そして、アライメント装置70は、Z軸を回転中心としてθ方向に回転するZ軸移動・回転部72と、Z軸移動・回転部72を支持してX軸方向に移動するX軸移動台74と、X軸移動台74を支持してY軸方向に移動するY軸移動台76とを備えている。
【0036】
アライメント装置70は、それぞれの段毎に設けられており(図3参照)、図示しないアライメント装置駆動機構によって、各段に配置された複数の測定部16間で相互に移動可能に構成されている。すなわち、アライメント装置70は、同一の段に配置される複数の測定部16間で共有されており、同一の段に配置された複数の測定部16間を相互に移動する。
【0037】
図6は、従来のウェーハチャック50を斜め下から見た斜視図であり、ケーブル案内装置40との関係を示している。ケーブル案内装置40は、一端がウェーハチャック50の外周側の端部である矢印M点で移動端金具41を介して接続されている。ケーブル案内装置40の他端は、固定端金具42を介して固定されている。カウンターウェイト100は、ケーブル案内装置40が取り付けられる位置とは反対側に取り付けられる。これにより、カウンターウェイト100は、配線や配管による偏荷重をキャンセルし、ウェーハチャック50のバランスを取っている。
【0038】
図7は、図6の従来例におけるウェーハチャック50部の側面図であり、ウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられた状態を示している。図8は、図6の従来例におけるウェーハチャック50がプローブカード56と引き離された状態を示す側面図である。
【0039】
ケーブル案内装置40の両端、つまり移動端金具41のケーブル案内装置40側にケーブル回転軸43が設けられ、固定端金具42に固定側回転軸44が設けられている。そして、ウェーハチャック50がプローブカード56から引き離されて下降すると、ケーブル案内装置40は、ケーブル回転軸43、固定側回転軸44によって、図8に示すように矢印Kのように回動する。
【0040】
図7、8で示した従来例は、配管が増え、冷却液の有無や温度変化によって配管の重量が変化する場合等ではカウンターウェイト100によって常にバランスをとることができなかった。また、ケーブル案内装置40の両端にケーブル回転軸43、固定側回転軸44を設けているので、ケーブル案内装置40はウェーハチャック50の昇降に伴い傾く。そのためスペースの効率が悪く、冷却等のための配管が増える場合は、スペースの点からも対応ができなかった。
【0041】
図9は、実施形態によるウェーハチャック50を斜め下から見た斜視図である。ウェーハチャック50は、外周側の側面に半円型リング形状のプレートで構成された半円リング91が2本の回転軸92、93で軸支されて取り付けられる。2本の回転軸92、93は、ウェーハチャック50の中心C、つまり重心位置を通る位置で180度反対側に設けられる。
【0042】
したがって、半円リング91は、矢印H、実際にはウェーハチャック50の高さ方向であるZ方向(図4参照)に回転軸92、93を中心として回動可能となっている。ケーブル案内装置40は、一端が半円リング91に矢印M点で移動端金具41を介して接続されている。ケーブル案内装置40の他端は、固定端金具42を介して固定されている。ウェーハチャック50からの制御部への配線、あるいは配管は、ケーブル案内装置40で保護及び案内されて接続される。
【0043】
配線あるいは配管による荷重は、半円リング91、回転軸92、93を介してウェーハチャック50へ掛かる。しかし、回転軸92、93は、ウェーハチャック50の中心C、つまり重心位置に設けられているので、配線あるいは配管による荷重の力点は、回転軸92、93となり、ウェーハチャック50の重心位置となる。したがって、ウェーハチャック50は、ケーブル案内装置40からの力によるモーメントを受けないので、バランスは保たれる。したがって、ウェーハチャック50は、カウンターウェイト100を設けなくても配線や配管による偏荷重の影響を受けない。
【0044】
また、アライメント側ボールキャスタ45、ステージ側ボールキャスタ46は、ケーブル案内装置40(移動端金具41)に固定されている。図10は、図9の一部拡大側面図であり、アライメント側ボールキャスタ45及びステージ側ボールキャスタ46と、アライメント装置70及びヘッドステージ52との関係を示している。
【0045】
アライメント側ボールキャスタ45は、ウェーハチャック50のアライメント時にアライメント側荷重受け47の上に乗る。ステージ側ボールキャスタ46は、コンタクト時、つまりウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられ、アライメント装置70が他の測定部16へ移動した際にステージ側荷重受け48の上に載置される。
【0046】
これにより、配線・配管の荷重は、アライメント中とコンタクト中のいずれの場合もアライメント装置70又はヘッドステージ52側で受けることになる。したがって、アライメント中あるいはコンタクト中であっても、冷却液を通す配管の有無や温度変化に係わらず、ウェーハチャック50に荷重が掛からないので、ウェーハチャック50の傾きが抑えられる。
【0047】
図11は、図9の実施形態におけるウェーハチャック50部の側面図であり、ウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられた状態を示している。図12は、実施形態におけるウェーハチャック50がプローブカード56と引き離された状態を示す側面図である。移動端金具41のケーブル案内装置40側は、ケーブル回転軸49が設けられている。
【0048】
ウェーハチャック50がプローブカード56から引き離されて下降すると、半円リング91は、Z方向(図4参照)に回転軸92、93を中心として回動する。同様に、ケーブル案内装置40は、回転軸93、92及びケーブル回転軸49によって、回動して図12の状態となる。そして、ケーブル案内装置40は、ウェーハチャック50の昇降によって、傾くこと無く水平が保たれる。これにより、ケーブル案内装置40のスペースを有効に使えるため、冷却用の配管を追加すること等が可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、ウェーハチャック50の構成部品による荷重等の影響によってウェーハチャック50に傾きや位置ずれが生じることを抑制することができる。これにより、プローブカード56とウェーハWとの平行度を確保して、プローブカード56の各プローブ針66をウェーハWの各チップの電極パッドに均一に接触させることができる。そして、ウェーハレベル検査の測定精度を向上できる。
【0050】
また、本実施形態によれば、ウェーハチャック50のバランスを取るためのカウンターウェイト100を不要とし、スペース効率が良くなるので、配管の数、重量の増加等にも対応が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10…マルチプローバ
12…測定ユニット
14…ローダ部
16…測定部
18…ロードポート
20…ウェーハカセット
21…操作パネル
22…搬送ユニット
24…搬送アーム
30…筐体
34…フレーム部材
40…ケーブル案内装置
41…移動端金具
42…固定端金具
43、49…ケーブル回転軸
44…固定側回転軸
45…アライメント側ボールキャスタ
46…ステージ側ボールキャスタ
47…アライメント側荷重受け
48…ステージ側荷重受け
50…ウェーハチャック
52…ヘッドステージ
54…テストヘッド
54a…受け部
56…プローブカード
58…ポゴフレーム
64…チャックシールゴム
66…プローブ針
70…アライメント装置
72…Z軸移動・回転部
74…X軸移動台
76…Y軸移動台
80…テストヘッド保持部
87…バネ受け部
88…バネ部材
91…半円リング
92、93…回転軸
100…カウンターウェイト
C…中心
H、K、M…矢印
S…内部空間
W…ウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12