(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】自動分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01N35/00 Z
(21)【出願番号】P 2022573919
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2021038034
(87)【国際公開番号】W WO2022149327
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021002002
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 将也
(72)【発明者】
【氏名】今井 健太
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513311(JP,A)
【文献】特開2001-278409(JP,A)
【文献】特開2003-189948(JP,A)
【文献】特開2003-048605(JP,A)
【文献】特開2004-075324(JP,A)
【文献】中国実用新案第203294643(CN,U)
【文献】米国特許第05967728(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/133、 1/14 - 1/20 、
G01N35/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析システムであって、
床の上に設置される複数の支
持柱と、
前記複数の支持柱のうち、第1支持柱群の上に設置される複数の天板と、
前記複数の天板の上に設置され、液体投入口を有する自動分析装置と、
前記複数の支持柱のうち、第2支持柱群の上に設置されるレールと、前記レール上を移動し、消耗品を前記自動分析装置に引き渡すロボットと、
前記自動分析装置の下方、かつ、前記床と前記天板の間に設置されるジャッキと、を備え、
前記ジャッキは、前記自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与えるリフト部を備え、
前記レールは、前記ジャッキのうち、前記自動分析装置の外側方向に突き出た部位の上部に固定される、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析システムであって、
前記自動分析装置は、液体挿入口を備え、前記自動分析装置は、前記液体投入口が設置されている面と平行なX軸、及び当該X軸に垂直なY軸からなるW平面の上に設置される、
ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析システムであって、
自動分析装置が設置されている前記天板と前記床を密着するまで前記ジャッキをジャッキアップすることで前記自動分析装置の自重により前記ジャッキと前記レールを固定する、
ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項4】
請求項2記載の自動分析システムであって、
前記第1支持柱群は前記自動分析装置の鉛直方向下方に位置し、
前記第2支持柱群は前記自動分析装置の外側方向かつ前記Y軸方向に位置し、前記ジャッキは、前記X軸方向に離間して、前記Y軸方向に沿って配置される第1ジャッキと第2ジャッキからなる、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項5】
請求項4記載の自動分析システムであって、前記第1ジャッキは、前記自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与える第1リフト部及び第2リフト部を備え、前記第2ジャッキは、前記自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与える第3リフト部及び第4リフト部を備え、前記第1リフト部と前記第2リフト部、及び前記第3リフト部及び前記第4リフト部は、それぞれ、前記Y軸方向に離間して配置される、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項6】
請求項5記載の自動分析システムであって、前記レールは、前記W平面に垂直なZ軸上において前記X軸と平行な平面を2つ以上持ち、さらに前記W平面に平行な2つ以上の平面を持つ、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析システムであって、前記レールは、2つ以上に分割されており、
前記W平面上で分割している切り口において片方が凹形状、もう片方が凸形状となっており、V平面上で分割している切り口において片方が凹形状、もう片方が凸形状となっている、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項8】
請求項6に記載の自動分析システムであって、前記ロボットは前記レール上を移動するための移動機構と、前記液体投入口に前記消耗品を投入するためのロボットハンドを備える、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項9】
請求項8に記載の自動分析システムであって、前記移動機構は前記レールのV平面に3点以上接触し、前記レールの前記W平面に平行な2つ以上の平面に3点以上接触する、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項10】
請求項6に記載の自動分析システムであって、前記第1ジャッキは取り外し可能なハンドルを備え、前記第1リフト部と前記第2リフト部とハンドルは動力伝達要素によって連結され、前記ハンドルを回転させることで第1リフト部と第2リフト部を同時に昇降できる、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項11】
請求項6に記載の自動分析システムであって、
前記第2ジャッキは取り外し可能なハンドルを備え、前記第3リフト部と前記第4リフト部とハンドルは動力伝達要素によって連結され、前記ハンドルを回転させることで第3リフト部と第4リフト部を同時に昇降できる、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項12】
請求項6に記載の自動分析システムであって、前記消耗品を保管する液体保管庫と、前記液体保管庫から離間して設置される自動分析装置と、その間に設置される前記レールから構成される、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項13】
請求項12に記載の自動分析システムであって、前記液体保管庫と前記自動分析装置のそれぞれに設置されている、前記消耗品の数および種類を記憶する記憶部を備える、ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項14】
請求項13に記載の自動分析システムであって、前記記憶部において、前記自動分析装置に投入した前記消耗品の数が、予めオペレータが設定した数を下回った場合に、自動的に前記ロボットが前記液体保管庫から前記消耗品を取り出して、前記自動分析装置に投入する、ことを特徴とする自動分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液の分析を行う自動分析装置に各種の試薬または検体を投入する場合、主として人手によって実施されていた。この場合、検体においては人間が触れる可能性があり、感染のリスクが発生する。試薬においては人間が触れることにより人由来の有機物が試薬内に混入するリスクが発生する。そこで特許文献1では自走式ロボットにより搬送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では躯体上に一定の空間が確保されるように敷設された床である、フリーアクセスフロア上に設置された試薬および検体を取り扱う自動分析装置を対象とする。従来技術における自動分析装置に試薬または検体を投入する搬送ロボットは、平面上を移動する走行手段により目的地へと移動する。また試薬または検体を投入するため、自動分析装置の投入口付近までロボットハンドが試薬または検体を移載する機能を備える。自動分析装置は人手により試薬または検体を投入することが前提とされているため、接地面から投入口の高さはおよそ0.8mから1.5mとなる。よって、該ロボットハンドは試薬または検体を接地面からおよそ0.8mから1.5mの高さにおいて搬送することが求められる。
【0005】
提案されている技術では自動分析装置の投入口の高さまでロボットハンドが試薬または検体を搬送する必要があるため、重心が高くなってしまう。そこで搬送ロボット自体の転倒を防止するため、走行面に対する垂直方向の大きさよりも、走行面に対する縦または横寸法のどちらか一方または両方を大きくする必要がある。この場合、自動分析装置の投入口面では搬送ロボットが移動するスペースが必要となり、自動分析装置を設置する際のレイアウトが制限されてしまう問題がある。また、既に自動分析装置が設置されている施設において搬送ロボットを導入する場合、場合によっては自動分析装置のレイアウト見直しが必要となり、時間とコストがかかってしまう問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、走行面に対する縦または横寸法を自由に設定し、自動分析装置のレイアウトに影響を与えない自動分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明においては、床の上に設置される複数の支持柱と、複数の支持柱のうち、第1支持柱群の上に設置される複数の天板と、複数の天板の上に設置され、液体投入口を有する自動分析装置と、複数の支持柱のうち、第2支持柱群の上に設置されるレールと、レール上を移動し、消耗品を自動分析装置に引き渡すロボットと、自動分析装置の下方、かつ、床と天板の間に設置されるジャッキと、を備え、ジャッキは、自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与えるリフト部を備え、レールは、ジャッキのうち、自動分析装置の外側方向に突き出た部位の上部に固定される構成の自動分析システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、走行面に対する垂直方向の大きさよりも走行面に対する縦または横寸法を小さくしても搬送ロボットが転倒しない効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図12】レール列に作用するモーメント方向を示す図。
【
図13】レール列に作用するモーメント方向を示す図。
【
図15】搬送ロボットに作用するモーメント方向を示す図。
【
図18】
図16、17とは別の自動分析システムの全体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、自動分析システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、本明細書において、搬送の対象物である各種の試薬または検体の容器、マガジン、質量分析計(MS)のカラム等を総称して「消耗品」と呼ぶ。
【実施例1】
【0011】
実施例1は、床の上に設置される複数の支持柱と、複数の支持柱のうち、第1支持柱群の上に設置される複数の天板と、複数の天板の上に設置される自動分析装置と、複数の支持柱のうち、第2支持柱群の上に設置されるレールと、レール上を移動し、消耗品を自動分析装置に引き渡すロボットと、自動分析装置の下方、かつ、床と天板の間に設置されるジャッキと、を備え、ジャッキは、自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与えるリフト部を備え、レールは、ジャッキのうち、自動分析装置の外側方向に突き出た部位の上部に固定される構成の自動分析システムの実施例である。
【0012】
より詳細には、消耗品を搬送する搬送床の上に設置される複数の支持柱と、複数の支持柱のうち、第1支持柱群の上に設置される複数の天板と、複数の天板の上に設置される自動分析装置と、複数の支持柱のうち、第2支持柱群の上に設置されるレールと、レール上を移動し、液体を収容する容器を自動分析装置に引き渡すロボットと、自動分析装置の鉛直方向下方、かつ、床と第1天板の間に設置されるレール細長い形状の第1ジャッキ及び第2ジャッキと、を備え、自動分析装置は液体投入口を備え、液体投入口が設置されている面と平行なX軸及び、該X軸に垂直なY軸からなるW平面上に自動分析装置は設置され、第1支持柱群は自動分析装置の鉛直方向下方に位置し、第2支持柱群は自動分析装置の外側方向かつY軸方向に位置し、第1ジャッキと第2ジャッキは、それぞれ、X軸方向に離間して、Y軸方向に沿って配置され、第1ジャッキは、自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与える第1リフト部及び第2リフト部を備え、第2ジャッキは、自動分析装置を鉛直方向上方に押し返す力を与える第3リフト部及び第4リフト部を備え、第1リフト部と第2リフト部、及び、第3リフト部及び第4リフト部は、それぞれ、Y軸方向に離間して配置され、レールは、第1ジャッキ及び第2ジャッキのうち、自動分析装置の外側方向かつY軸方向に突き出た部位の上部に固定される自動分析システムの実施例である。
【0013】
すなわち、本実施例はフリーアクセスフロア上に設置される自動分析装置を含む自動分析システムを対象とする。
図1、
図2、
図3の(a)、(b)、(c)に、フリーアクセスフロア構成要素の斜視図と、平面図と、正面図を示す。
【0014】
図1に示す通り、建物の構造体である躯体101上に第一支持柱102と第二支持柱1
03が一定間隔で設置されている。その設置方法は接着剤やネジ等の固定要素が使用される。第一支持柱102と第二支持柱103の形状詳細は同図の(a)の拡大
図Aに示す。第
一支持柱102と第二支持柱103にはフロア固定穴104が設けられている。
【0015】
次に
図2に示す通り、第一支持柱102と第二支持柱103の上に天板105を載せる。第一支持柱102と第二支持柱103に対して天板105はフロア固定穴104通して、図示しないネジ等の固定要素によって固定される。
【0016】
図3は天板105上に、液体投入口107を備えた自動分析装置106を配置した状態を示す。
図1から
図3に示すフリーアクセスフロアを用いることで、躯体101と天板105の間にスペースを設け、電源線敷設などが実施されている。同図に示す通り、液体投入口107が設置されている面と平行なX軸、及び、このX軸に垂直なY軸からなるW平面の上に、自動分析装置106が配置されている。
【0017】
図4と
図5は本実施例の自動分析システムで使用するジャッキの一構成例を示す。
図4の第一ジャッキ108はハンドル109を回転させることで伝動要素110により回転を伝え、第一リフト111と第二リフト112を同時に昇降させる機能を持つ。また、
図5の第二ジャッキ113も同様にハンドル109を回転させることで、第三リフト114と第四リフト115を同時に昇降させる機能を持つ。
【0018】
図6に示す通り、本実施例の自動分析システムでは、自動分析装置は第二支持柱103上に設置されており、かつ自動分析装置106直前に位置する天板105を取り外し、第一ジャッキ108と第二ジャッキ113を自動分析装置106の下面に挿入する。
【0019】
この際、
図7の(b)のCに示す通り、第一リフト111、第二リフト112、第三リフ
ト114、第四リフト115が、自動分析装置106と天板105の設置面である自動分析装置脚部116の直下に位置するように第一ジャッキ108と第二ジャッキ113を配置する。この段階では、第一リフト111、第二リフト112、第三リフト114、第四リフト115は天板105に触れていない。
【0020】
次に、ハンドル109を回転させて第一リフト111、第二リフト112、第三リフト114、第四リフト115を上昇させ、
図8に示す通り自動分析装置脚部116が乗っている天板105と接触させる。その後、
図9に示す通り、ハンドル109を第一ジャッキ108と第二ジャッキ113から取り外す。
【0021】
次に、
図10に示す通り、取り外していた天板105部分に関し、自動分析装置106直前の部分にはレール列117を取り付け、それ以外の部分には再び天板105を取り付ける。
【0022】
図11に本実施例のレール列117の各要素を示す。同図の(a)、(b)、(c)に示すように、レール列117は各々1個ずつの始端レール118と終端レール120、および複数の中間レール119により構成される。すなわち、レール列は、W平面に垂直なZ軸上においてX軸と平行な平面を2つ以上持ち、さらにW平面に平行な2つ以上の平面を持ち、レール列は、2つ以上分割されている。また、レール列は、W平面上で分割している切り口において片方
が凹形状、もう片方が凸形状となっており、W平面に垂直なV平面上で分割している切り口において片方
が凹形状、もう片方が凸形状となっている。
【0023】
図11の(b)の平面図において、各レールには横方向凹部121と横方向凸部122が
設けられており、それぞれはめ合わせて使用する。また、
図11の(c)の正面図において
、各レールには縦方向凹部123と縦方向凸部124が設けられており、それぞれはめ合わせて使用する。
【0024】
このように縦方向と横方向ではめ合わせて使用することで、
図12の(b)に示すレール
列に生じるヨー軸モーメント125と、同図の(c)に示すレール軸に生じるピッチ軸モー
メント126によるレール列117のねじれを打ち消すことができる。
【0025】
次に
図13に示すレール列117とジャッキとの接合面127において、レール列117と第一ジャッキ108および第二ジャッキ113を固定する。第一ジャッキ108および第二ジャッキ113は、第一リフト111、第二リフト112、第三リフト114、第四リフト115を介して、装置自重129と躯体反力130で鉛直方向に対して物理的に拘束されているため、レール列に生じるロール軸モーメント128によるレール列117のねじれを打ち消すことができる。
【0026】
次に
図14に示すように、レール列117上に、ロボットハンド132と移動機構133を有する搬送ロボット131を配置する。この搬送ロボット131は検体または試薬を入れる液体容器134をロボットハンド132により、自動分析装置の液体投入口107に投入する機能を持つ。
【0027】
図15を用いて本実施例の自動分析システムの移動機構133について説明する。移動機構133は、レール列117のV平面に3点以上接触し、レール列117のW平面に平行な2つ以上の平面に3点以上接触する。同図(b)のD-D断面に示す通り、図示の四個と対面同位置の四個の計八個の縦車輪135が設けられている。レール列117の上辺と下辺のそれぞれに対して、レール手前側140とレール奥側141を合わせて四個ずつの縦車輪135が内接しているため、搬送ロボット131に生じるピッチ軸モーメント138によって搬送ロボット131がレール列117から外
れることはない。
【0028】
次に同図(a)のE-E図に示す通り、四個の横車輪136が設けられている。同図の(c)に示すように、レール手前側140とレール奥側141のそれぞれに対して二個ずつの横車輪136が内接しているため、搬送ロボット131に生じるヨー軸モーメント137によって搬送ロボット131がレール列117から外れることはない。次に搬送ロボット131に生じるロール軸モーメント139が発生しても、縦車輪135はレール手前側140とレール奥側141の二列で構成されているため、搬送ロボット131がレール列117から外れることはない。
【0029】
以上のように本実施例のレール列117は凹凸のはめ合い、及び
図13に示した装置自重129と躯体反力130を利用することで、ヨー軸、ピッチ軸、ロール軸のいずれにもねじれは発生しない。またレール列117に対する搬送ロボット131はレール二辺に対して三個以上の車輪を内接させることで、ヨー軸、ピッチ軸、ロール軸のいずれにも外
れることはない。このように、搬送ロボット131は転倒を防止することができるため、重心位置に留意することなく、自由な寸法で設計することが可能になる。
【0030】
図16に本実施例の自動分析システムの全体構成を示す。自動分析装置106近傍と試薬・検体保管庫142近傍を繋ぐ位置でレール列117を敷設する。試薬・検体保管庫142は試薬または検体の入った複数の液体容器134を格納している。図示しない位置に試薬または検体の管理情報の記憶部や制御部を備え、自動分析装置106に投入および排出した試薬または検体数、試薬・検体保管庫142から取り出した試薬または検体数を記憶する。制御部は、この記憶した情報に基づき、搬送ロボット131による試薬または検体の投入および排出を実施する。
【0031】
一例を挙げると、自動分析装置106に試薬が不足した場合、試薬・検体保管庫142に試薬の在庫があれば取り出し、自動分析装置106に投入する運用である。この試薬または検体の管理情報の記憶部や制御部は搬送ロボット131に内蔵されていてもよいし、搬送ロボット131外に配置されていてもよい。
【0032】
すなわち、液体保管庫と自動分析装置のそれぞれに設置されている、消耗品の数および種類を記憶する記憶部を備え、自動分析装置に投入した消耗品の数が、予めオペレータが設定した数を下回った場合に、自動的にロボットが液体保管庫から消耗品を取り出して、自動分析装置に投入するよう制御部が制御する。
【0033】
図17に本実施例の自動分析システムの別の形態を示す。レール列117を移動するのは液体容器134の運搬のみを行う容器搬送ロボット145であり、試薬・検体保管庫142から液体容器134を取り出すのは設置面に固定された容器取り出し用ロボット143である。また、容器搬送ロボット145が搬送した液体容器134を自動分析装置106に投入するのは設置面に固定された装置投入用ロボット144である。
【0034】
図18に、本実施例の別の形態として、自動分析装置の自重により固定されたジャッキを介してレールを固定する構成を示す。同図に示すように、躯体101 天板105 自動分析装置106の自重により躯体101に固定された第一ジャッキ108を介してレール列117を固定することができる。
【0035】
以上詳述した実施例1にかかる試薬および検体搬送装置を備える自動分析システムによれば、躯体上に敷設されたフリーアクセスフロア上に設置されており、フリーアクセスフロア下に昇降リフトを持つジャッキを設置し、フリーアクセスフロア上に設置したレールとジャッキを固定し、液体を収容する容器を自動分析装置に引き渡すロボットをレール上に設置し、自動分析装置が設置されているフリーアクセスフロアと躯体間を密着するまでリフトをジャッキアップすることで自動分析装置の自重によりジャッキを固定し、ジャッキとレールを固定し、レールはロボットの重心に対するロール軸とピッチ軸とヨー軸の回転を防ぐことで、走行面に対する垂直方向の大きさよりも走行面に対する縦または横寸法を小さくしてもロボットが転倒しない効果を奏する。
【0036】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
101 躯体
102 第一支持柱
103 第二支持柱
104 フロア固定穴
105 天板
106 自動分析装置
107 液体投入口
108 第一ジャッキ
109 ハンドル
110 伝動要素
111 第一リフト
112 第二リフト
113 第二ジャッキ
114 第三リフト
115 第四リフト
116 自動分析装置脚部
117 レール列
118 始端レール
119 中間レール
120 終端レール
121 横方向凹部
122 横方向凸部
123 縦方向凹部
124 縦方向凸部
125 レール列に生じるヨー軸モーメント
126 レール列に生じるピッチ軸モーメント
127 レール列とジャッキとの接合面
128 レール列に生じるロール軸モーメント
129 装置自重
130 躯体反力
131 搬送ロボット
132 ロボットハンド
133 移動機構
134 液体容器
135 縦車輪
136 横車輪
137 搬送ロボットに生じるヨー軸モーメント
138 搬送ロボットに生じるピッチ軸モーメント
139 搬送ロボットに生じるロール軸モーメント
140 レール手前側
141 レール奥側
142 試薬・検体保管庫
143 容器取り出し用ロボット
144 装置投入用ロボット
145 容器搬送ロボット