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特許7544876バッテリーSOC制御方法、バッテリーSOC制御装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】バッテリーSOC制御方法、バッテリーSOC制御装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240827BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240827BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240827BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240827BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 302C
H01M10/48 P
G01R31/382
G01R31/385
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023000662
(22)【出願日】2023-01-05
(65)【公開番号】P2023100599
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0002162
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】奥井 芳明
(72)【発明者】
【氏名】金 栽範
(72)【発明者】
【氏名】金 石基
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140716(JP,A)
【文献】特開2013-038960(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010176(WO,A1)
【文献】特開2021-093804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0399352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0194707(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H01M 10/48
G01R 31/382
G01R 31/385
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に連結された第1バッテリー及び第2バッテリーのSOC(state of charge)を制御する方法において、
前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ算出する段階と、
前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCに基づいて、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーの一端と電気的にそれぞれ連結された第1DC(direct current)-DCコンバータ及び第2DC-DCコンバータの出力電圧指令値をそれぞれ制御し、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階と、を含
前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階は、
前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーの平均SOCと、前記第1バッテリーのSOCまたは前記第2バッテリーのSOCとの差を増幅させるSOC平均制御段階と、
前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOC制限値と、前記第1バッテリーまたは前記第2バッテリーのSOCとを比較して超過した値を出力する超過成分出力段階と、
前記超過成分出力段階の出力値を、前記SOC平均制御段階の増幅前の信号と乗じた値を出力するSOC制限値制御段階と、を含む、バッテリーSOC制御方法。
【請求項2】
前記SOC制限値制御段階は、アナログ回路またはデジタル回路の制御によって遂行される、請求項に記載のバッテリーSOC制御方法。
【請求項3】
前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階は、
前記SOC平均制御段階の出力値と、前記SOC制限値制御段階の出力値との差を、前記第1DC-DCコンバータ及び前記第2DC-DCコンバータの出力電圧指令値からそれぞれ減算し、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ制御する段階をさらに含む、請求項に記載のバッテリーSOC制御方法。
【請求項4】
コンピューティング装置を利用して請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の方法を実行させるために、記録媒体に保存されたコンピュータプログラム。
【請求項5】
互いに並列に連結された第1バッテリー及び第2バッテリーの一端と電気的にそれぞれ連結された第1DC-DCコンバータ及び第2DC-DCコンバータを制御し、バッテリーのSOCを制御する装置において、
前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ算出し、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCに基づいて、前記第1DC-DCコンバータ及び前記第2DC-DCコンバータの出力電圧指令値をそれぞれ制御し、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御するプロセッサを含
前記プロセッサは、
前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーの平均SOCと、前記第1バッテリーのSOCまたは前記第2バッテリーのSOCとの差を増幅させるSOC平均制御回路と、
前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOC制限値と、前記第1バッテリーまたは前記第2バッテリーのSOCとを比較して超過した値を出力する超過成分出力回路と、
前記超過成分出力回路の出力値を、前記SOC平均制御回路の増幅前の信号と乗じた値を出力するSOC制限値制御回路と、を含む、バッテリーSOC制御装置。
【請求項6】
前記SOC制限値制御回路は、アナログ回路またはデジタル回路を含む、請求項に記載のバッテリーSOC制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記SOC平均制御回路の出力値と、前記SOC制限値制御回路の出力値との差を、前記第1DC-DCコンバータ及び前記第2DC-DCコンバータの出力電圧指令値からそれぞれ減算し、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ制御する、請求項に記載のバッテリーSOC制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーSOC制御方法、バッテリーSOC制御装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラムに係り、さらに具体的には、二次電池を充放電する過程において効果的にバッテリーのSOCを制御することができるバッテリーSOC制御方法、バッテリーSOC制御装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン、ビデオカメラ、携帯電話のような携帯用電子製品の需要が急増し、エネルギー保存用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、反復的な充放電の可能な高性能二次電池についての研究が活発に進行しつつある。
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、そのうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
前記のような二次電池を含むバッテリーは、自動車のような各種移動性装置に使用されるものであり、複数のバッテリーが並列に連結された並列バッテリーシステムを利用してバッテリーを充放電する場合、最初にバッテリーのSOC(State Of Charge)が0%あるいは100%に達するバッテリーにより、並列バッテリーシステム全体の充放電を停止しなければならない。この場合、各バッテリーのSOC均衡が異なって、使用しない残存エネルギーが大きくなり、バッテリー容量を十分に使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、前述の問題点を克服するためのものであって、二次電池を充放電する過程において効果的にバッテリーのSOCを制御することができるバッテリーSOC制御方法、バッテリーSOC制御装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラムを提供することである。
しかしながら、そのような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の技術的課題を解決するための技術的手段として、互いに並列に連結された第1バッテリー及び第2バッテリーのSOCを制御する方法において、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ算出する段階と、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCに基づいて、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーの一端と電気的にそれぞれ連結された第1 DC-DCコンバータ及び第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値をそれぞれ制御し、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階と、を含む、バッテリーSOC制御方法が提供される。
【0007】
一例によれば、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階は、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーの平均SOCと、前記第1バッテリーのSOCまたは前記第2バッテリーのSOCとの差を増幅させるSOC平均制御段階と、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOC制限値と、前記第1バッテリーまたは前記第2バッテリーのSOCとを比較して超過した値を出力する超過成分出力段階と、を含んでもよい。
【0008】
他の例によれば、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階は、前記超過成分出力段階の出力値を、前記SOC平均制御段階の増幅前の信号と乗じた値を出力するSOC制限値制御段階をさらに含んでもよい。
【0009】
さらに他の例によれば、前記SOC制限値制御段階は、アナログ回路またはデジタル回路の制御によっても遂行される。
【0010】
さらに他の例によれば、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御する段階は、前記SOC平均制御段階の出力値と、前記SOC制限値制御段階の出力値との差を、前記第1 DC-DCコンバータ及び前記第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値からそれぞれ減算し、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ制御する段階をさらに含んでもよい。
【0011】
上述の技術的課題を解決するための技術的手段として、コンピューティング装置を利用して上述の方法を実行させるために記録媒体に保存されたコンピュータプログラムが提供される。
【0012】
上述の技術的課題を解決するための技術的手段として、互いに並列に連結された第1バッテリー及び第2バッテリーの一端と電気的にそれぞれ連結された第1 DC-DCコンバータ及び第2 DC-DCコンバータを制御し、バッテリーのSOCを制御する装置において、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ算出し、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCに基づいて、前記第1 DC-DCコンバータ及び前記第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値をそれぞれ制御し、前記第1バッテリーのSOC及び前記第2バッテリーのSOCを制御するプロセッサを含む、バッテリーSOC制御装置が提供される。
【0013】
一例によれば、前記プロセッサは、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーの平均SOCと、前記第1バッテリーのSOCまたは前記第2バッテリーのSOCとの差を増幅させるSOC平均制御回路と、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOC制限値と、前記第1バッテリーまたは前記第2バッテリーのSOCとを比較して超過した値を出力する超過成分出力回路と、を含んでもよい。
【0014】
他の例によれば、前記プロセッサは、前記超過成分出力回路の出力値を、前記SOC平均制御回路の増幅前の信号と乗じた値を出力するSOC制限値制御回路をさらに含んでもよい。
【0015】
さらに他の例によれば、前記SOC制限値制御回路は、アナログ回路またはデジタル回路を含んでもよい。
【0016】
さらに他の例によれば、前記プロセッサは、前記SOC平均制御回路の出力値と、前記SOC制限値制御回路の出力値との差を、前記第1 DC-DCコンバータ及び前記第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値からそれぞれ減算し、前記第1バッテリー及び前記第2バッテリーのSOCをそれぞれ制御することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、並列バッテリーのSOCを効果的に制御することにより、並列バッテリーのSOC偏差による残存エネルギーを最小化し、並列バッテリーの使用容量を最大化することができる。もちろん、そのような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置、バッテリー及びDC-DCコンバータなどを概略的に示す図面である。
図2図1のバッテリーSOC制御装置の構成要素を概略的に示すブロック図である。
図3】従来のDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
図4】本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
図5】本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
図7】本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
図8】本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
図9】本発明の他の実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
図10】本発明の他の実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
図11】本発明の他の実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
図12】本発明の他の実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、多様な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の技術的思想は、多様な形態に変形されて具現されるので、本明細書で説明する実施形態に制限されない。本明細書に開示された実施形態を説明するにあたって関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の技術的思想の要旨を不明確にすると判断される場合、その公知技術についての具体的な説明を省略する。同一または類似した構成要素は、同じ参照番号を付与し、それについての重複説明は省略する。
【0020】
本明細書において、ある要素が他の要素と「連結」されていると記述されるとき、それは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の要素を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。ある要素が他の要素を「含む」とするとき、それは、特に逆の記載がない限り、他の要素以外にさらに他の要素を排除するものではなく、さらに他の要素をさらに含んでもよいということを意味する。
【0021】
一部実施形態は、機能的なブロック構成及び多様な処理段階によっても説明される。そのような機能ブロックの一部または全部は、特定機能を実行する多様な個数のハードウェア及び/またはソフトウェア構成によっても具現される。例えば、本発明の機能ブロックは、1以上のマイクロプロセッサによって具現されるか、あるいは所定の機能のための回路構成によって具現される。本発明の機能ブロックは、多様なプログラミングまたはスクリプト言語によっても具現される。本発明の機能ブロックは、1以上のプロセッサで実行されるアルゴリズムによっても具現される。本発明の機能ブロックが行う機能は、複数の機能ブロックによって遂行されてもよく、本発明において複数の機能ブロックが行う機能は、1つの機能ブロックによって遂行されてもよい。また、本発明は、電子的な環境設定、信号処理及び/またはデータ処理などのために従来の技術を採用することができる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置、バッテリー及びDC-DCコンバータなどを概略的に示す図面である。また、図2は、図1のバッテリーSOC制御装置の構成要素を概略的に示すブロック図である。例えば、図1に示されたように、本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置は、システムBMS(Battery Management System)30を示すことができる。あるいは、本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置は、システムBMS 30及び各バッテリーラックに含まれたBMSを示すことができる。
【0023】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態によるシステムBMS 30は、互いに並列に連結された第1バッテリー10及び第2バッテリー11の一端と電気的にそれぞれ連結された第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21と電気的に連結される。また、システムBMS 30は、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21を制御し、第1バッテリー10及び第2バッテリー11のSOCをそれぞれ制御することができる。また、図1に示されたように、各バッテリーラックには、BMSが具備される。ここで、各BMSは、各バッテリーのSOCを推正することができる。また、各BMSは、各DC-DCコンバータと電気的に連結され、各DC-DCコンバータを制御することができる。
【0024】
各バッテリーラックは、平均SOCの算出のためにSOC情報を送受信することができる。例えば、システムBMS 30は、各バッテリーラックのBMSと通信して平均SOCを算出することができる。また、システムBMS 30は、各バッテリーラックのBMSに平均SOCに係わる情報を送信することができる。
【0025】
また、図1に示されたように、各バッテリーラック別にBMSを分散配置することにより、マスターBMSを1台のみ配置する場合に比べて、システム全体が停止する確率が低くなる。また、I/F情報量が多く、ラック数が多ければ、制御速度の制約により、並列に連結可能なバッテリーラック数が制限されることもあるので、各バッテリーラック別にBMSを分散配置する方がさらに有利である。そして、2並列だけでなく、3並列以上の複数のラックにも容易に分散配置することができる。
【0026】
第1バッテリー10及び第2バッテリー11は、少なくとも1つのバッテリーセルを含み、バッテリーセルは、充電可能な二次電池でもある。例えば、バッテリーセルは、ニッケルカドミウム電池(nickel-cadmium battery)、鉛蓄電池、ニッケル水素電池(NiMH: nickel metal hydride battery)、リチウムイオン電池(lithium ion battery)、リチウムポリマー電池(lithium polymer battery)などからなるグループから選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
第1バッテリー10及び第2バッテリー11に含まれるバッテリーセルの個数及び連結方式は、バッテリーパックに要求される電力量及び電圧などに基づいて決定されうる。図1には、概念的な目的にのみ、第1バッテリー10及び第2バッテリー11に含まれたバッテリーセルが直列に連結されるものと示しているが、バッテリーセルは、互いに並列に連結されてもよく、直列及び並列に連結されてもよい。また、第1バッテリー10及び第2バッテリー11は、1つのみのバッテリーセルを含むこともできる。また、第1バッテリー10及び第2バッテリー11は、それぞれ複数のバッテリーセルから構成される複数のバッテリーモジュールを含むものでもある。また、図1に示されていないが、バッテリーSOC制御システムは、バッテリー、DC-DCコンバータ及びバッテリーSOC制御装置以外に、スイッチ、バッテリー保護回路、ヒューズ、電流センサ、温度センサなどをさらに含んでもよい。
【0028】
本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御システムは、複数のDC-DCコンバータを含むものでもある。例えば、バッテリーSOC制御システムは、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21を含む。DC-DCコンバータは、直流入力電源を供給され、出力側負荷が要求する形態の直流電源に変換させて出力する電力変換器である。例えば、図1に示されたように、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21は、第1バッテリー10及び第2バッテリー11の一端と電気的にそれぞれ連結される。また、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21は、出力電圧をそれぞれ負荷に供給することができる。
【0029】
本発明において、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21は、それぞれ第1バッテリー10及び第2バッテリー11の反対側のリンク電圧を制御することができる。例えば、図1に示されたように、本発明において、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21が出力するリンク電圧は、一定に制御される。また、バッテリー充放電電力は、DC-DCコンバータリンクに連結された負荷の負荷状態によって決定される。ここで、リンク電圧が一定であるので、負荷には、負荷電力をリンク電圧で割った電流値を有する電流が流れることになる。例えば、負荷が1MW、リンク電圧がDC-DCコンバータによって1000Vに制御される場合、リンクには1000A電流が流れることになる。そして、2並列バッテリーラックがある場合、それぞれのラックインピーダンス(DC/DC+バッテリーインピーダンス)が100mΩ及び150mΩとすれば、それぞれ600A及び400Aが流れることになる。しかしながら、この状態で充放電を続ければ、100mΩがさらに多く充放電するので、SOC変動幅が大きくなる。このとき、本発明では、各バッテリーラックのSOCに基づいて、各ラックのインピーダンスを変化させ、充放電量を制御することができる。具体的には、本発明では、バッテリーのインピーダンスは固定であるので、DC-DCコンバータのインピーダンスを変化させることができる。この場合、リンク電圧は一定に維持されうる。このとき、DC-DCコンバータのインピーダンスは、リンク電圧を制御している制御ゲインによっても決定される。例えば、制御ゲイン値が高ければ、インピーダンスは低くなり、制御ゲイン値が低ければ、インピーダンスは高くなる。
【0030】
このように、バッテリーの各SCOによってDC-DCコンバータのインピーダンスを変化させる方法が本発明の特徴である。また、バッテリーのSOCが0%や100%付近で各バッテリーラックのSOC差が大きい場合、SOC制限動作(SOC臨界制御)により、各バッテリーラックのSOCをほぼ同一に合わせた後、全てのバッテリーラックを同時に0%や100%にすることも、本発明の特徴である。ここで、本発明によれば、負荷電力は一定でなく、随時に変化する充放電でも、SOCをほぼ同一に制御することができ、SOCが0%及び100%付近でSOC差が大きくても、SOC制限動作によって一致させることにより、並列バッテリーの全エネルギーを無駄にせずに使用することができる効果がある。
【0031】
本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御システムは、システムBMS 30及び各バッテリーラックのBMSを含むものでもある。例えば、図2に示されたように、本発明の一実施形態によるシステムBMS 30及び各バッテリーラックのBMSは、通信モジュール31、プロセッサ32及びメモリ33を含むものでもある。
【0032】
プロセッサ32は、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21を制御することができる。例えば、プロセッサ32は、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21の出力電圧指令値をそれぞれ制御することができる。
【0033】
また、プロセッサ32は、バッテリーSOC制御システムの全般的な動作を制御するBMSでもある。例えば、プロセッサ32は、システムBMS 30の動作を遂行するために、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム及び/またはデータ処理装置などを選択的に含む形態にも具現される。また、プロセッサ32は、基本的な算術、ロジック及び入出力演算を行い、例えば、メモリに保存されたプログラムコードを実行することができる。プロセッサ32は、データをメモリ33に保存するか、あるいはメモリ33に保存されたデータをローディングすることができる。
【0034】
メモリ33は、プロセッサ32で読み取り可能な記録媒体であって、RAM(random-access memory)、ROM(read-only memory)及びディスクドライブのような永久大容量記録装置(permanent mass storage device)を含むものでもある。メモリ33には、オペレーティングシステムと少なくとも1つのプログラムまたはアプリケーションコードが保存されうる。メモリ33には、本発明の一実施形態によってバッテリーSOC制御方法のためのプログラムコードが保存されうる。メモリ33には、充電中のバッテリーの少なくとも1つのパラメータを測定することによって生成されるデータが保存されうる。例えば、前記データは、バッテリーの充放電電流、端子電圧及び/または温度を含んでもよい。メモリ33には、バッテリーの少なくとも1つのパラメータを測定することによって生成されるデータを利用してバッテリーのSOCを推正するためのプログラムコード、SOC-OCV(open circuit voltage)データが保存されうる。バッテリーの少なくとも1つのパラメータは、バッテリーの端子電圧、充放電電流及び/または周辺温度のような要素(component)または変数(variable)を意味する。
【0035】
システムBMS 30は、通信モジュール31をさらに含んでもよい。例えば、図1に示されたように、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21は、通信モジュール31を利用してシステムBMS 30と互いにデータを送受信することができる。また、第1バッテリー10及び第2バッテリー11は、通信モジュール31を利用してシステムBMS 30と互いにデータを送受信することができる。例えば、システムBMS 30は、第1バッテリー10及び第2バッテリー11のSOCデータを受信することができる。また、システムBMS 30は、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21に出力電圧指令値制御命令を送信することができる。
【0036】
通信モジュール31の通信方式は制限されず、ネットワークが含む通信網(一例として、移動通信網、有線インターネット、無線インターネット、放送網)を活用する通信方式だけではなく、機器間の近距離無線通信も含まれる。例えば、ネットワークは、PAN(personal area network)、LAN(local area network)、CAN(campus area network)、MAN(metropolitan area network)、WAN(wide area network)、BBN(broadband network)、インターネットなどのネットワークのうち1以上の任意のネットワークを含んでもよい。また、ネットワークは、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スター・バスネットワーク、ツリーまたは階層的(hierarchical)ネットワークなどを含むネットワークトポロジーのうち任意の1以上を含むが、それらに制限されない。
【0037】
また、本発明によるバッテリーSOC制御システムは、入出力インターフェースを含むものでもある。入出力インターフェースは、入出力装置とのインターフェースのための手段でもある。例えば、入力装置は、キーボードまたはマウスなどの装置を含み、出力装置は、アプリケーションの通信セッションを表示するためのディスプレイのような装置を含む。他の例として、入出力インターフェースは、タッチスクリーンのように、入力と出力のための機能が1つに統合された装置とのインターフェースのための手段でもある。
【0038】
図3は、従来のDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。また、図4及び図5は、本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
【0039】
まず、図3を参照すれば、DC-DCコンバータの制御ブロックが示されている。例えば、図3に示されたように、DC-DCコンバータの出力電圧が低ければ、ゲインがプラス増幅され、図3のPWM(pulse width modulation)を作る過程によってオンパルス幅が大きくなり、出力電圧が上昇する。逆に出力電圧が高ければ、マイナス増幅され、オンパルス幅が狭くなり、出力電圧が低下する。例えば、ゲイン=10とし、Voutを無負荷状態で1000Vで制御し、100Aの負荷を連結したときに得られる出力電圧が990Vと仮定すれば、10Vほど電圧が降下するが、それは、電源インピーダンスが0.1Ωほどあるためである。(Ri=10V/100A=0.1Ω)また、ゲイン=1であるとき、20Vほど電圧が降下したならば、0.2Ωの電源インピーダンスがあると言える。このように、DC-DCコンバータには、制御ゲイン及び回路内の抵抗成分などによって電源インピーダンス(内部インピーダンス)が存在する。
【0040】
例えば、複数のバッテリーに連結されたそれぞれのDC-DCコンバータを個々に制御する場合、出力電圧指令値Voを同一にしたとしても、電源インピーダンス差によって同じ出力電圧が得られない。(Vo1≠Vo2)そのような特性によって制御出力電圧指令値を変えることにより、出力電圧を一致させることができる。例えば、図3に示されたように、{Vout指令値-ΔV(=Kdr×Iout)}によって出力電圧を制御的に一致させることができる。そのような図3に示されたDC-DCコンバータ制御方法は、ドループ制御である。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
【0042】
図3のドループ制御だけではバッテリーそれぞれのSOCを制御することができないので、各バッテリーのSOCに基づいてDC-DCコンバータの出力電圧指令値を制御することができる。例えば、図4に示されたように、ドループ制御と共に、出力電圧指令値を変化させ、DC-DCコンバータの循環電流を個々に制御し、各バッテリーのSOCを一致させることができる。
【0043】
本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置は、第1バッテリーのSOC及び第2バッテリーのSOCをそれぞれ算出し、第1バッテリーのSOC及び第2バッテリーのSOCに基づいて、第1 DC-DCコンバータ及び第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値をそれぞれ制御し、第1バッテリーのSOC及び第2バッテリーのSOCを制御するプロセッサを含むものでもある。
【0044】
また、プロセッサは、SOC平均制御回路41、超過成分出力回路42及びSOC制限値制御回路43を含むものでもある。
【0045】
SOC平均制御回路41は、第1バッテリー及び第2バッテリーの平均SOCと、第1バッテリーのSOCまたは第2バッテリーのSOCとの差を増幅させることができる。例えば、図4に示されたように、SOC平均制御回路41は、(SOC_ave-SOC_X)によってSOC差を一致させるように、出力電圧Vout指令値を変化させることができる。例えば、SOC_aveは、第1バッテリー及び第2バッテリーのSOC平均値であり、SOC_Xは、第1バッテリーまたは第2バッテリーのSOC値である。また、図4に示されたように、SOC平均制御回路41は、第1バッテリー及び第2バッテリーの平均SOCと、第1バッテリーのSOCまたは第2バッテリーのSOCとの差をK倍増幅させることができる。
【0046】
超過成分出力回路42は、第1バッテリー及び第2バッテリーのSOC制限値と、第1バッテリーまたは第2バッテリーのSOCとを比較して超過した値を出力することができる。例えば、図4に示されたように、超過成分出力回路42は、各バッテリーのSOCが上下SOC_Lim範囲を超える場合、超過した成分を抽出することができる。例えば、SOC制限値範囲内にあるならば、超過成分出力回路42の出力値が0であるので、超過成分出力回路42は、SOC制限値範囲を超える場合にのみ作動する。例えば、図4に示されたように、超過成分は、ΔSOC_limで表されうる。超過成分出力回路42の動作を数式で表せば、以下の通りである。
【0047】
SOC_lim_L<SOC<SOC_lim_H:ΔSOC_lim=0
SOC>SOC_lim_H:ΔSOC_lim=SOC-SOC_lim_H
SOC<SOC_lim_L:ΔSOC_lim=SOC-SOC_lim_L
【0048】
SOC制限値制御回路43は、超過成分出力回路の出力値を、SOC平均制御回路の増幅前の信号と乗じた値を出力することができる。例えば、図4に示されたように、SOC制限値制御回路43は、SOC平均制御回路の増幅前の値と前記超過成分ΔSOC_limとを乗じて出力することができる。例えば、SOC制限値制御回路43は、SOC_aveと各バッテリーのSOCとの差が大きい場合、SOC制限値を超過した成分の大きさを乗じて結果値をさらに大きくすることができる。また、SOC制限値制御回路43は、SOC制限値を超過したが、SOC_aveと各バッテリーのSOCとの差が小さい場合、結果値を小さくすることができる。例えば、図4に示されたように、SOC制限値制御回路43のKは、増幅ゲインを示す。
【0049】
また、本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置は、SOC平均制御回路41の出力値とSOC制限値制御回路43の出力値との差を、第1 DC-DCコンバータ及び第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値からそれぞれ減算し、第1バッテリー及び第2バッテリーのSOCをそれぞれ制御することができる。
【0050】
本発明の一実施形態において、SOC制限値制御回路43は、アナログ回路またはデジタル回路を含む。例えば、図5を参照すれば、デジタル方式で構成された本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図が示されている。例えば、図5に示されたように、図4のSOC制限値制御回路43がデジタル方式にも具現される。
【0051】
例えば、D1において、SOC差が0.1%以内となれば、AND回路の入力がローとなり、スイッチがオフとなる。また、D2において、SOC_Lim_H/Lを超過しなければ、AND回路の入力がローとなり、スイッチがオフとなる。
図6ないし図8は、本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
【0052】
まず、図6を参照すれば、本発明の一実施形態において、第1バッテリーBat1のSOCは90%であり、第2バッテリーBat2のSOCは85%でもある。この場合、第1バッテリーのSOCと第2バッテリーのSOCとのSOC平均値は88%でもある。
【0053】
システムBMS 30は、SOC平均値88%及び第1バッテリーのSOCに基づいて、第1 DC-DCコンバータの出力電圧指令値を制御することができる。また、システムBMS 30は、SOC平均値88%及び第2バッテリーのSOCに基づいて、第2 DC-DCコンバータの出力電圧指令値を制御することができる。例えば、図6に示されたように、第1バッテリーBat1及び第2バッテリーBat2のSOCは、SOC平均値88%で制御されうる。
【0054】
図6及び図7を共に参照すれば、第1時間t1において、第1バッテリーBat1及び第2バッテリーBat2のSOCがSOC平均値88%で制御されうる。
【0055】
本発明によれば、SOC平均値及びSOCに基づいてDC-DCコンバータの出力電圧指令値を制御することにより、並列バッテリーのSOCを均一に制御し、SOC偏差による残存エネルギーを最小化することができる効果がある。
【0056】
図6及び図8を共に参照すれば、本発明の一実施形態によるバッテリーSOC制御装置は、SOCを均一に制御すると共にバッテリーを充電することができる。例えば、図8を参照すれば、第2時間t2において、第1バッテリーBat1及び第2バッテリーBat2のSOCが均一化されうる。SOC平均制御と充電が同時に進められるので、第1バッテリーBat1及び第2バッテリーBat2のSOCが均一化されるSOCは、SOC平均値である88%以上の値でもある。また、第3時間t3において、第1バッテリーBat1と第2バッテリーBat2が満充電されうる。
【0057】
本発明によれば、並列バッテリーにおいて各バッテリーのSOCを均一化し、充放電終了時にSOC偏差による残存エネルギー容量を最小化することができる。
【0058】
図9ないし図12は、本発明の他の実施形態によるバッテリーSOC制御方法を説明するための図面である。
【0059】
まず、図9を参照すれば、本発明の一実施形態において、第1バッテリーBat1のSOCは95%であり、第2バッテリーBat2のSOCは80%でもある。この場合、第1バッテリーのSOCと第2バッテリーのSOCとのSOC平均値は88%でもある。また、第1バッテリーのSOCとSOC平均値との第1差は7%であり、第2バッテリーのSOCとSOC平均値との第2差は8%でもある。
【0060】
本発明の一実施形態によるSOC制限値は、特定数値を有する値にも設定される。例えば、SOC制限値は98%でもある。
【0061】
図10ないし図12において、図10は、時間別の各バッテリーのSOCを示し、図11及び図12は、各DC-DCコンバータの制御ブロック図を示す図面である。例えば、図10ないし図12の実施形態は、SOC制限値制御回路43のゲインKが1であり、Ksoclimは3である実施形態である。また、各バッテリーのSOC制限値は98%である。
【0062】
図10には、各バッテリーの経時的なSOCとSOC平均が示されている。
【0063】
図10ないし図12を共に参照すれば、時間0~t4の区間において、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21の制御には、SOC平均制御が行われうる。例えば、第1バッテリー10のSOCが97%である時点で、第2バッテリー11のSOCは87%であり、SOC平均と各SOCとの差は5%でもある。この場合、図11及び図12において、A1=0、B1=-5、C1=0であり、A2=0、B2=5、C2=0でもある。
【0064】
時間t4~t5の区間において、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21の制御には、SOC平均制御が行われうる。また、第1 DC-DCコンバータ20の制御には、SOC臨界制御が行われうる。例えば、第1バッテリー10のSOCが98.5%である時点で、第2バッテリー11のSOCは92.5%であり、SOC平均と各SOCとの差は3%でもある。この場合、図11及び図12において、A1=-0.5、B1=-3、C1=4.5であり、A2=0、B2=3、C2=0でもある。
【0065】
時間t5~t6の区間において、第1 DC-DCコンバータ20及び第2 DC-DCコンバータ21の制御には、SOC平均制御及びSOC臨界制御が行われうる。例えば、第1バッテリー10のSOCが98.7%である時点で、第2バッテリー11のSOCは98.3%であり、SOC平均と各SOCとの差は0.2%でもある。この場合、図11及び図12において、A1=-0.7、B1=-0.2、C1=0.42であり、A2=-0.3、B2=0.2、C2=-0.18でもある。
【0066】
時間t6~t7の区間において、第1バッテリー10及び第2バッテリー11のSOCが99%と一致することができる。この場合、SOC平均と各SOCとの差は0%であり、図11及び図12において、A1=-1、B1=0、C1=0であり、A2=-1、B2=0、C2=0でもある。そして、第1バッテリー10と第2バッテリー11は共に満充電されうる。
【0067】
本発明によれば、SOC平均制御及びSOC臨界制御を利用して、充放電終了時に互いに並列連結された各バッテリーのSOC偏差による残存エネルギーを最小化し、並列バッテリーの使用容量を最大化することができる。
【0068】
互いに並列連結された各バッテリーのSOCが均一化され、充放電終了時にSOC偏差による残存エネルギー容量を最小化することができる。また、並列連結された複数のバッテリーに劣化バッテリーが含まれているか、あるいは他の種類のバッテリーが含まれていても、各バッテリーのSOCは同一であるように制御される。
【0069】
また、メンテナンスなどによって一部バッテリーが全体バッテリーシステムから分離される場合、復旧時にSOC差が大きければ、SOC平均制御を行っても、十分な応答前にSOC差を有したまま充放電を終了する場合がある。しかしながら、本発明では、SOCが均一化されていない場合にも、SOC制限値に達したバッテリーの充放電量を他のバッテリーとほぼ同一になるまで抑制するので、メンテナンス復旧時にSOC偏差が大きいとしても、そのまま運用して並列バッテリー容量を最大限利用することができる。
【0070】
SOC臨界制御機能がない場合、事前に各バッテリーのSOCを同一にして運用しなければならず、運用開始前まで調整作業量及び時間がかかるが、本発明によるSOC臨界制御機能を使用することにより、復旧時間を短縮することができる。
【0071】
前述の多様な実施形態は例示的であり、互いに区別されて独立して実施されるべきではない。本明細書で説明された実施形態は、互いに組み合わせられた形態にも実施される。
【0072】
前述の多様な実施形態は、コンピュータ上で多様な構成要素を介して実行可能なコンピュータプログラムの形態にも具現され、当該コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に記録される。このとき、該媒体は、コンピュータで実行可能なプログラムを継続保存してもよく、実行またはダウンロードのために臨時保存してもよい。また、該媒体は、単一または数個のハードウェアが結合された形態の多様な記録手段または保存手段でもあるが、あるコンピュータシステムに直接接続される媒体に限定されず、ネットワーク上に分散存在するものでもある。該媒体の例示には、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(digital versatile disc)のような光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気・光媒体(magneto-optical medium)、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどを含んでプログラム命令語が保存されるように構成されたものがありうる。また、他の媒体の例示として、アプリケーションを流通するアプリストアやその他多様なソフトウェアを供給または流通するサイト、サーバなどで管理する記録媒体または保存媒体も挙げられる。
【0073】
本明細書において、「部」、「モジュール」などは、プロセッサまたは回路のようなハードウェア構成(hardware component)、及び/またはプロセッサのようなハードウェア構成によって実行されるソフトウェア構成(software component)でもある。例えば、「部」、「モジュール」などは、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素及びタスク構成要素のような構成要素、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数によっても具現される。
【0074】
前述の本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解できるであろう。従って、前述の実施形態は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散されて実施可能であり、同様に、分散されたものと説明されている構成要素も、結合された形態に実施可能である。
【0075】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって表され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等な概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0076】
10 第1バッテリー
11 第2バッテリー
20 第1 DC-DCコンバータ
21 第2 DC-DCコンバータ
30 システムBMS
31 通信モジュール
32 プロセッサ
33 メモリ
41 SOC平均制御回路
42 超過成分出力回路
43 SOC制限値制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12