(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】発光装置及び光源装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240828BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20240828BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L23/28 D
H01L23/48 Y
(21)【出願番号】P 2020140324
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】林 英樹
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-067770(JP,A)
【文献】特開2008-198807(JP,A)
【文献】特開2009-158794(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0007719(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を載置する凹部を有する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面及び前記背面に隣接する底面と、前記底面の反対側に位置する上面と、前記底面及び前記上面に隣接する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置する第2側面とを有する樹脂部材と、
前記樹脂部材に覆われる第1インナーリード部と、前記底面から延出する第1アウターリード部とを有する第1リードと、
前記樹脂部材に覆われる第2インナーリード部と、前記底面から延出する第2アウターリード部とを有する第2リードと、を備え、
前記第1アウターリード部は、前記底面に沿う第1基部と、前記第1基部から前記第1側面側に延び且つ前記上面側に延在する第1A屈曲部と、前記第1基部から前記第2側面側に延び且つ前記上面側に延在する第1B屈曲部とを有し、
前記第2アウターリード部は、前記底面に沿う第2基部と、前記第2基部から前記第1側面側に延び且つ前記上面側に延在する第2A屈曲部と、前記第2基部から前記第2側面側に延び且つ前記上面側に延在する第2B屈曲部とを有し、
前記第1B屈曲部と前記第2A屈曲部との間の領域に前記樹脂部材が位置しない発光装置。
【請求項2】
前記第1A屈曲部の前記底面側から前記上面側までの最大高さと、前記第1B屈曲部の前記底面側から前記上面側までの最大高さとが同じである請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1リードにおいて、前記第1A屈曲部の前記底面側から前記上面側までの最大高さが、前記第1B屈曲部の前記底面側から前記上面側までの最大高さよりも低い請求項
1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1B屈曲部と前記第2A屈曲部との間の最短距離が、前記第1B屈曲部の前記底面側から前記上面側までの最大高さと、前記第2A屈曲部の前記底面側から前記上面側までの最大高さとの合計以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発光装置及び
前記発光装置の前記第1リード及び前記第2リードにそれぞれ接続される第1配線及び第2配線を有する実装基板を備え、
前記第1配線と前記第2配線は第1方向において離れて位置し、
底面視において、前記第1配線は前記第1基部と重なる第1配線部と、前記第1配線部から前記第1側面側に延び、前記第1A屈曲部と重なる第1A延長部と、前記第1配線部から前記第2側面側に延び、前記第1B屈曲部と重なる第1B延長部とを有する光源装置。
【請求項6】
底面視において、前記第1方向における前記第1基部の端部から前記第1配線部の端部までの最短距離が、前記第1方向における前記第1B屈曲部の端部から前記第1B延長部の端部までの最短距離よりも小さい請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
底面視において、前記第1方向における前記第1A屈曲部の端部から前記第1A延長部までの最短距離が、前記第1方向における前記第1B屈曲部の端部から前記第1B延長部までの最短距離よりも短い請求項5又は6に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型化が必要な液晶表示装置のバックライト等に用いられる、実装面に対して平行な方向に光を出射する発光装置において、発光装置から発生した熱を良好に放熱させることができ、かつ正負のアウターリード間の短絡を防止するために、正負のアウターリードの間に樹脂部材を配置するとともに、正負のアウターリードを樹脂部材に沿って屈曲させることにより、アウターリードを比較的大きく保ったまま小型化を実現した発光装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、発光装置と実装基板の固着強度の向上を実現し得る発光装置及び光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の発明を含む。
(1)発光素子と、
前記発光素子を載置する凹部を有する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面及び前記背面に隣接する底面と、前記底面の反対側に位置する上面と、前記底面及び前記上面に隣接する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置する第2側面とを有する樹脂部材と、
前記樹脂部材に覆われる第1インナーリード部と、前記底面から延出する第1アウターリード部とを有する第1リードと、
前記樹脂部材に覆われる第2インナーリード部と、前記底面から延出する第2アウターリード部とを有する第2リードと、を備え、
前記第1アウターリード部は、前記底面に沿う第1基部と、前記第1基部から前記第1側面側に延び且つ前記上面側に延在する第1A屈曲部と、前記第1基部から前記第2側面側に延び且つ前記上面側に延在する第1B屈曲部とを有し、
前記第2アウターリード部は、前記底面に沿う第2基部と、前記第2基部から前記第1側面側に延び且つ前記上面側に延在する第2A屈曲部と、前記第2基部から前記第2側面側に延び且つ前記上面側に延在する第2B屈曲部とを有し、
前記第1B屈曲部と前記第2A屈曲部との間の領域の少なくとも一部に前記樹脂部材が位置しない発光装置。
(2)上記の発光装置及び
前記発光装置の前記第1リード及び前記第2リードにそれぞれ接続される第1配線及び第2配線を有する実装基板を備え、
前記第1配線と前記第2配線は第1方向において離れて位置し、
底面視において、前記第1配線は前記第1基部と重なる第1配線部と、前記第1配線部から前記第1側面側に延び、前記第1A屈曲部と重なる第1A延長部と、前記第1配線部から前記第2側面側に延び、前記第1B屈曲部と重なる第1B延長部とを有する光源装置。
【発明の効果】
【0006】
本開示の発明によれば、実装基板への固着強度の向上を実現し得る発光装置及び光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の実施形態の発光装置の正面を斜め上から見た模式的斜視図である。
【
図1B】
図1Aの発光装置の背面を斜め上から見た模式的斜視図である。
【
図1C】
図1Aの発光装置の正面を斜め下から見た模式的斜視図である。
【
図1D】
図1Aの発光装置の背面を斜め下から見た模式的斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態の発光装置の変形例1の模式的底面図である。
【
図3】本開示の実施形態の発光装置の変形例2の模式的背面図である。
【
図4】本開示の実施形態の発光装置に用いられるリードの模式的平面図である。
【
図5A】本開示の実施形態の光源装置を示す模式的背面図である。
【
図5C】第1配線及び第2配線と第1アウターリード部及び第2アウターリード部の位置関係を説明するための、
図5Aの光源装置の模式的底面図である。
【
図5D】
図5Cのうち第1配線と第1アウターリード部との位置関係を示す模式的部分拡大図である。
【
図6A】本開示の実施形態の光源装置の変形例1を示す模式的背面図である。
【
図6C】第1配線及び第2配線と第1アウターリード部及び第2アウターリード部の位置関係を説明するための、
図6Aの光源装置の模式的底面図である。
【
図6D】
図6Bのうち第1配線と第1アウターリード部との位置関係を示す模式的部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施の形態は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。実施の形態、変形例において説明する内容は、他の実施の形態にも適用可能である。各図面が示す部材の大きさ、膜厚、位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。方向を示す図面中の矢印は、それに平行な2つの向きを包含する。
また、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかし、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0009】
〔発光装置〕
本開示の実施形態の発光装置10を、
図1A~
図1Jに基づいて説明する。内部の構造を示すため、
図1A、1C及び1Eおいては、封止部材15は透光性の部材として示している。発光装置10は、発光素子13と、樹脂部材14と、第1リード及び第2リードと、を備える。
樹脂部材14は、発光素子13を載置する凹部14aを有する正面Fと、正面Fの反対側に位置する背面Bと、正面F及び背面Bに隣接する底面BLと、底面BLの反対側に位置する上面Uと、底面BL及び上面Uに隣接する第1側面S1と、第1側面S1の反対側に位置する第2側面S2と、を有する。
第1リードは、樹脂部材14に覆われる第1インナーリード部11Iと、底面BLから延出する第1アウターリード部11とを有する。第1アウターリード部11は、底面BLに沿う第1基部b1と、第1基部b1から第1側面S1側に延び、かつ上面側に延在する第1A屈曲部11Aと、第1基部b1から第2側面S2側に延び、かつ上面側に延在する第1B屈曲部11Bと、を有する。
第2リードは、樹脂部材14に覆われる第2インナーリード部12Iと、底面BLから延出する第2アウターリード部12と、を有する。第2アウターリード部12は、底面BLに沿う第2基部b2と、第2基部b2から第1側面S1側に延び、かつ上面側に延在する第2A屈曲部12Aと、第2基部b2から第2側面S2側に延び、かつ上面側に延在する第2B屈曲部12Bと、を有する。
第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の領域の少なくとも一部には、樹脂部材が位置しない。言い換えると、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとが対面する方向において、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間に樹脂部材が位置しない領域がある。例えば、
図1Gに示すように、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとが対面する第1方向において、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の領域に樹脂部材が位置していなくてもよい。
【0010】
この発光装置10は、底面BLが実装面となる。この発光装置10においては、第1側面S1から第2側面S2に向かう方向及びその逆方向を第1方向(図面中では1st)と称し、第1方向に直交する方向を第2方向(図面中では2nd)と称する。また、第1方向及び第2方向の双方に直交する方向を第3方向(図面中では3rd)と称する。
従って、第1アウターリード部11は、底面BLから延出して、底面BLに沿って第3方向に延びる第1基部b1と、第1基部b1の背面側において、第1基部b1から第1側面S1(第1方向)側に延び、かつ上面U(第2方向)側に延在する第1A屈曲部11Aと、第1基部b1から第2側面S2(第1方向)側に延び、かつ上面U(第2方向)側に延在する第1B屈曲部11Bとを有する。
第2アウターリード部12は、底面BLから延出して、底面BLに沿って第3方向に延びる第2基部b2と、第2基部b2の背面側において、第2基部b2から第1側面S1(第1方向)側に延び、かつ上面U(第2方向)側に延在する第2A屈曲部12Aと、第2基部b2から第2側面S2(第1方向)側に延び、かつ上面U(第2方向)側に延在する第2B屈曲部12Bとを有する。
【0011】
このような構成を備えることにより、背面視において、第1アウターリード及び第2アウターリードが、それぞれU字形状で、互いに離れて配置され、第1B屈曲部11B及び第2A屈曲部12Aの間、特に、第1B屈曲部11B及び第2A屈曲部12Aの周辺に樹脂部材が位置していない空間が存在することとなる。これによって、実装基板に半田等の接合部材によって接合する場合に、U字形状の第1アウターリード及び第2アウターリードの両側面にそれぞれフィレットを形成することができる。つまり第1アウターリード及び第2アウターリードの両側面への接合部材の這い上がりを、樹脂部材によって阻止されることを抑制することができる。その結果、発光装置と実装基板との固着強度を向上させることができる。U字形状の第1アウターリード及び第2アウターリードによって、第1アウターリード及び第2アウターリードを比較的大きく形成することができるため、放熱性を確保することができる。
【0012】
図2に示すように、第1方向における第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aの間の領域の一部に樹脂部材14が位置し、第1方向における第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aの間の領域の他の一部には樹脂部材14が位置していなくてもよい。なかでも、
図1G等に示すように、第1B屈曲部11Bと前記第2A屈曲部12Aとの間の領域には樹脂部材14が位置しないことが好ましい。言い換えると、第1方向において第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとが対面する領域の全てにおいて、樹脂部材が位置せず、空気層のみが位置していることが好ましい。このようにすることで、第1B屈曲部11B及び第2A屈曲部12Aの間において樹脂部材がない空間を大きくすることができるので、第1B屈曲部と第2A屈曲部12Aとにそれぞれ接する接合部材の体積を大きくすることができる。これにより、更に、発光装置と実装基板の固着強度を向上させることができる。
【0013】
(発光素子13)
発光素子13は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体等から構成される公知の半導体素子を適用できる。発光素子としては、例えばLEDチップが挙げられる。発光素子は、少なくとも半導体層を備え、多くの場合に素子基板をさらに備える。発光素子は、素子電極を有する。素子電極は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。半導体材料としては、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。このほか、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。発光素子の素子基板は、主として半導体層を構成する半導体の結晶を成長可能な結晶成長用基板であるが、結晶成長用基板から分離した半導体層を接合させる接合用基板であってもよい。
発光素子13は、1つの発光装置において1つのみ搭載されていてもよいし、複数個搭載されていてもよい。この場合、光度を向上させるために、同じ発光色の色を発する発光素子を複数個組み合わせてもよい。また、例えば、RGBに対応するように、発光色の異なる発光素子を複数個組み合わせることにより、色再現性を向上させることができる。
【0014】
図1Jに示すように、第1発光素子13Aと第2発光素子13Bの2つの発光素子を備えている場合には、発光装置10は第1ワイヤ31と、第2ワイヤ32と第3ワイヤ33とを備えていてもよい。第1ワイヤ31は、第1発光素子13Aの一方の素子電極と第2発光素子13Bの一方の素子電極とを接続する。第2ワイヤ32は、第1発光素子13Aの他方の素子電極と第1インナーリード部11Iを接続する。第3ワイヤ33は、第2発光素子13Bの他方の素子電極と第2インナーリード部12Iを接続する。これにより、第1発光素子13Aと第2発光素子13Bを直列接続することができる。本明細書において、第1ワイヤ31、第2ワイヤ32及び/又は第3ワイヤ33をワイヤと呼ぶことがある。
ワイヤとしては、例えば、金、銅、銀、白金、アルミニウム、パラジウム等の金属またはこれらの1種以上を含む合金を用いることができる。ワイヤの材料が金を含んでいると、熱抵抗等に優れ、封止部材等の応力によって破断が生じにくいワイヤが得られる。また、ワイヤの材料が銀を含んでいると、高い光反射率を示すワイヤが得られるので発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。ワイヤは、金および銀の双方を含んでいてもよい。ワイヤが金および銀の双方を含むワイヤである場合には、銀の含有比率を例えば15%以上20%以下、45%以上55%以下、70%以上90%以下または95%以上99%以下の範囲とすることができる。特に、銀の含有比率が45%以上55%以下である場合、高い光反射率を得ながら、硫化の可能性を低減し得る。ワイヤの線径は、適宜選択でき、例えば5μm以上50μm以下とすることができる。ワイヤの線径は、10μm以上40μm以下であるとより好ましく、15μm以上30μm以下であるとよりいっそう好ましい。
【0015】
第1ワイヤ31、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33が金および銀の双方を含む場合には、第1ワイヤ31、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33の銀の含有比率は同じでもよく、異なっていてもよい。正面視において、第1ワイヤ31が第1インナーリード部11Iと第2インナーリード部12Iに重なっている場合には、第1ワイヤの銀の含有比率は、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33の銀の含有比率よりも低いことが好ましい。換言すると、正面視において、第1ワイヤ31が第1インナーリード部11Iと第2インナーリード部12Iに重なっている場合には、第1ワイヤの金の含有比率は、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33の金の含有比率よりも高いことが好ましい。第1リード及び第2リードと樹脂部材には熱膨張係数に差があるので、熱によって発光装置が膨張又は収縮する場合に第1リードと第2リードに跨るワイヤには一般的に大きな応力がかかる。このため、正面視において、第1インナーリード部11Iと第2インナーリード部12Iに重なっている第1ワイヤ31の金の含有比率を第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33の金の含有比率よりも高くすることによって、第1ワイヤ31が破断することを抑制することができる。また、第1インナーリード部11Iと第2インナーリード部12Iに重なっていない第2ワイヤ及び第3ワイヤの銀の含有比率を第1ワイヤ31の銀の含有比率よりも高くすることによって、発光装置の光取り出し効率が向上する。例えば、第1ワイヤの銀の含有率を75%以上85%以下、かつ、第1ワイヤの金の含有率を15%以上25%以下とし、第2ワイヤ及び第3ワイヤの銀の含有率を95%以上99%以下、かつ、第2ワイヤ及び第3ワイヤの金の含有率を1%以上5%以下とすることが好ましい。
【0016】
発光素子13は、
図1A、1C及び1Eに示すように、樹脂部材の凹部14aの底面に位置する第1インナーリード部11I、第2インナーリード部12I及び/又は樹脂部材14の表面に、接合部材によって実装される。この場合、発光素子は、フリップチップ実装であってもよいし、フェイスアップ実装でワイヤによるワイヤボンディングされていてもよい。ワイヤは、発光素子の正極及び負極と第1インナーリード部11I及び第2インナーリード部12Iとをそれぞれ電気的に接続する。フェイスアップ実装の場合には接合部材として、例えばエポキシ樹脂、シリコーン等を用いることができる。フリップチップ実装の場合には、接合部材として、例えばAu-Sn共晶などの半田、低融点金属等のろう材、導電性ペーストなどを用いることができる。さらに、導電性基板(GaAs等)を有し、両面に素子電極が形成された発光素子の場合には、接合部材として、例えば銀、金、パラジウム等の導電性ペースト等を用いることができる。なお、基板と対向しない素子電極は例えば、ワイヤによってワイヤボンディングされていてもよい。
なお、発光装置には、発光素子の他、保護素子又は電子部品等が搭載されていてもよい。保護素子又は電子部品等は発光素子13が載置される凹部14a内に搭載されてもよいし、樹脂部材14に別の凹部を形成して搭載してもよい。発光素子が搭載されるインナーリード部の裏面に保護素子又は電子部品等搭載して、樹脂で被覆して樹脂部材14と一体に形成してもよい。保護素子又は電子部品等は、1つでもよいし、2つ以上の複数個でもよい。保護素子又は電子部品等は、発光装置に搭載される公知のもののいずれでもよい。
【0017】
(樹脂部材14)
樹脂部材14は、
図1A~1Iに示すように、正面Fと、正面Fの反対側に位置する背面Bと、正面F及び背面Bに隣接する底面BLと、底面BLの反対側に位置する上面Uと、底面BL及び上面Uに隣接する第1側面S1と、第1側面S1の反対側に位置する第2側面S2とを有する。正面Fは、発光素子を載置するために、背面B側に凹んだ凹部14aを有する。
樹脂部材14は、発光素子の電極と接続する一対のリードを一体的に保持する支持体である。また、樹脂部材14は発光素子等を外部環境から保護する機能を有する。
樹脂部材14の概形は、柱状、錐台状、球、楕円体及びこれらが部分的又は全体的に組み合わせられた形状等、種々の形状が挙げられる。なかでも、樹脂部材14の概形は、柱状又はこれに凹凸等が形成された形状等が好ましい。樹脂部材14として、例えば、正面F、背面B、底面BL及び上面Uは、第2方向及び/又は第3方向に部分的に凹凸があるが、第1方向に細長い形状を有するものが挙げられる。
【0018】
樹脂部材14は、上面視において、背面Bの第1方向の両側に、凸部14Pが2つ配置していることが好ましい。凸部14Pは、第1アウターリード及び第2アウターリードの第1基部b1と第1A屈曲部11Aと第1B屈曲部11Bに囲まれる第1凸部14P1と、第2基部b2と第2A屈曲部12Aと第2B屈曲部12Bに囲まれる第2凸部14P2と、を備えることが好ましい。第1方向において、第1凸部14P1から第2凸部14P2までの最短長さは、例えば、樹脂部材14の第1方向の最大長さの1/3以上9/10以下であることが好ましい。第1方向において、第1凸部14P1から第2凸部14P2までの最短長さ(
図1F中、LP)が樹脂部材14の第1方向の最大長さ(
図1F中、LM)の1/3以上であることにより、第1方向における第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの距離を広くしやすくなる。これにより、第1リード及び第2リードの短絡を回避しやすくなるので、信頼性の高い発光装置を得ることができる。具体的には、第1方向において第1凸部14P1から第2凸部14P2までの最短長さは50μm以上あることが好ましい。第1方向において、第1凸部14P1から第2凸部14P2までの最短長さが樹脂部材14の第1方向の最大長さの9/10以下であることにより、第1方向において樹脂部材14の長さを短くしやすくなる。これにより、第1方向において発光装置を小型化できる。第1凸部14P1及び第2凸部14P2の第1方向のそれぞれの最大長さは、例えば、樹脂部材14の第1方向の最大長さの1/20以上1/3以下であることが好ましい。第1方向において、第1凸部14P1及び第2凸部14P2のそれぞれの最大長さ(
図1F中、LS)が樹脂部材14の最大長さの1/20以上であることにより、第1凸部14P1及び第2凸部14P2の強度を向上させることができる。第1方向において、第1凸部14P1及び第2凸部14P2のそれぞれの最大長さが樹脂部材14長さの1/3以下であることにより、第1凸部14P1から第2凸部14P2までの最短の長さを長くしやすくなる。これにより、第1方向における第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの距離が広がるので、第1リード及び第2リードの短絡を回避しやすくなる。第2方向において、第1凸部14P1及び第2凸部14P2のそれぞれの最大長さ(
図1F中、LT)は樹脂部材14の最大長さ(
図1F中、LN)の1/10以上9/10以下であることが好ましい。第2方向において、第1凸部14P1及び第2凸部14P2のそれぞれの最大長さが、樹脂部材14の最大長さの1/10以上であることにより、第1凸部14P1及び第2凸部14P2の強度を向上させることができる。第2方向において、第1凸部14P1の最大長さが、樹脂部材14の最大長さの9/10以下であることにより、第1凸部14P1の最大長さを短くすることができる。これにより、第2方向において発光装置を小型化しやすくなる。
【0019】
背面Bが第1凸部と第2凸部を有している場合には、
図1Gに示すように第1凸部と第2凸部の間に位置する部分の背面Bは、平坦であってもよいし、
図2に示すように、第1凸部と第2凸部の間に位置する部分の背面Bは、部分的に突き出した第3凸部14PPを有していてもよい。この場合、第3凸部14PPの先端は、背面Bに位置する第1凸部14P1の先端及び第2凸部14P2の先端よりも正面F側に配置していることが好ましい。このようにすることで、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の領域に位置する第3凸部14PPの体積を小さくしやすくなる。これにより、第1B屈曲部と第2A屈曲部12Aとにそれぞれ接する接合部材の体積を大きくすることができる。これにより、発光装置と実装基板の固着強度を向上させることができる。第1方向における第3凸部14PPの最大長さ(
図2中、LQ)は、例えば、第1方向における樹脂部材14の最大長さ(
図2中、LM)の1/20以上1/3以下である。第1方向において、第3凸部14PPの最大長さが、樹脂部材14の最大長さの1/20以上であることにより、第3凸部14PPの強度を向上させることができる。第3凸部14PPの強度を向上することにより、樹脂部材が欠けることを抑制できる。第1方向において、第3凸部14PPの最大長さが、樹脂部材14の最大長さの1/3以下であることにより、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の領域に位置する第3凸部14PPの体積を小さくしやすくなる。これにより、第1B屈曲部と第2A屈曲部12Aとにそれぞれ接する接合部材の体積を大きくすることができる。第2方向における第3凸部14PPの最大長さは、第2方向における樹脂部材14の最大長さの1/15以上1/4以下であることが好ましい。第2方向において、第3凸部14PPの最大長さが、樹脂部材14の最大長さの1/15以上であることにより、第3凸部14PPの強度を向上させることができる。第2方向において、第3凸部14PPの最大長さが、樹脂部材14の最大長さの1/4以下であることにより、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の領域に位置する第3凸部14PPの体積を小さくしやすくなる。これにより、第1B屈曲部と第2A屈曲部12Aとにそれぞれ接する接合部材の体積を大きくすることができる。
【0020】
また、樹脂部材14は、
図1A等に示すように、正面視において、底面BLの第1方向の両側に、側面から底面BLにわたって切り欠かれた、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12を収容し得る切欠部14Nがあることが好ましい。切欠部14Nの第1方向の長さ、第2方向の長さ及び第3方向の長さは、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12の幅、厚み等と同等であることが好ましく、適宜設定することができる。
第1側面S1及び第2側面S2は、正面視において、その全部又は一部が、上面U及び/又は底面BLに対して垂直であってもよいし、上面視において、その全部又は一部が、例えば、
図1Hに示すように、正面Fから背面B方向に向けて、つまり第3方向において、内側に傾斜していてもよい。
樹脂部材14の切欠部14N、凸部14P、第3凸部14PPは、樹脂部材14の第1方向の中点を通り第2方向に平行な線に対して、線対称に配置することが好ましい。第3凸部14PPが、樹脂部材14の金型のゲートに相当する部分である場合には、このようにすることで、切欠部14N、凸部14P、第3凸部14PPに硬化前の樹脂部材を充填しやすくなる。これにより、樹脂部材が未充填になることを減少させやすくなる。
【0021】
樹脂部材14としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフタルアミド樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。凹部14a内に設けられる封止部材がエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂を含む場合には、樹脂部材14として半結晶性ポリマー樹脂を用いることが好ましい。半結晶性ポリマー樹脂は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂との密着性が良いので、樹脂部材14として半結晶性ポリマー樹脂を用いることにより封止部材との密着性が向上する。熱可硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。樹脂部材は、酸化チタンなどの光反射性部材などを含有していてもよい。このようにすることで、発光領域と非発光領域とのコントラストが高い、「見切り性」の良好な発光装置とすることができる。
【0022】
(第1リード及び第2リード)
第1リード及び第2リードは、
図1A~1Iに示すように、それぞれ、樹脂部材14に覆われた第1インナーリード部11I及び第2インナーリード部12Iと、樹脂部材14の底面BLから延出した第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12とを有する。
第1インナーリード部11I及び第2インナーリード部12Iは、凹部14aの底面において、それぞれの一部を露出している。第1インナーリード部11I及び第2インナーリード部12Iは、第1方向に沿って隣接するように配置されている。第1インナーリード部11I及び第2インナーリード部12Iは、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12が外部から得た電気を発光素子に供給するために設けられる。
第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12は、それぞれ第1インナーリード部11I及び第2インナーリード部12Iから延長し、樹脂部材14の底面BLから外側に延出した部位である。第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12は、発光素子に外部からの電気を供給するために設けられる。第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12は、第1方向において、互いに離れて、隣接するように配置されている。
【0023】
第1アウターリード部11は、例えば、
図1F、1G等に示すように、第1基部b1、第1A屈曲部11A及び第1B屈曲部11Bを有する。第1基部b1は、底面BLに沿って、第3方向に延長した部位である。第1A屈曲部11Aは、第1基部b1から第1側面S1側に向かって、第1方向に延びる部位である。背面B側に位置する第1基部b1の外縁と第1A屈曲部11Aの外縁とは第1方向に延びる同一直線上に位置していることが好ましい。このようにすることで、第3方向における第1アウターリード部11の長さが同じ場合に、第1基部b1の外縁と第1A屈曲部11Aの外縁が第1方向に延びる同一直線上に位置していない場合よりも第1A屈曲部11Aの体積を大きくしやすくなる。これにより、発光装置の放熱性が向上する。第1A屈曲部11Aは、第1方向に延びた部位からさらに上面U側に向かって、第2方向に延在する部位を備える。言い換えると、第1A屈曲部11Aは、第1方向に延びた部位からさらに上面U側に向かって、第2方向に折れ曲がる部位を備える。第1B屈曲部11Bは、第1基部b1から、第2側面S2側に向かって、第1方向に延び、さらに上面U側に向かって、第2方向に延在する部位である。言い換えると、第1B屈曲部11Bは、第1基部b1から、第2側面S2側に向かって、第1方向に延び、さらに上面U側に向かって、第2方向に折れ曲がる部位を備える。背面B側に位置する第1基部b1の外縁と第1B屈曲部11Bの外縁とは第1方向に延びる同一直線上に位置していることが好ましい。このようにすることで、第1B屈曲部11Bの体積を大きくしやすくなる。
【0024】
第2アウターリード部12は、第2基部b2、第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bを有する。第2基部b2は、底面BLに沿って、第3方向に延長した部位である。第2A屈曲部12Aは、第2基部b2から、第1側面S1側に向かって、第1方向に延び、さらに上面U側に向かって、第2方向に延在する部位である。言い換えると、第2A屈曲部12Aは、第2基部b2から、第1側面S1側に向かって、第1方向に延び、さらに上面U側に向かって、第2方向に折れ曲がる部位を備える。背面B側に位置する第2基部b2の外縁と第2A屈曲部12Aの外縁とは第1方向に延びる同一直線上に位置していることが好ましい。このようにすることで、第2A屈曲部12Aの体積を大きくしやすくなる。第2B屈曲部12Bは、第2基部b2から、第2側面S2側に向かって、第1方向に延び、さらに上面U側に向かって、第2方向に延在する部位である。言い換えると、第2B屈曲部12Bは、第2基部b2から、第2側面S2側に向かって、第1方向に延び、さらに上面U側に向かって、第2方向に折れ曲がる部位を備える。背面B側に位置する第2基部b2の外縁と第2B屈曲部12Bの外縁とは第1方向に延びる同一直線上に位置していることが好ましい。このようにすることで、第2B屈曲部12Bの体積を大きくしやすくなる。
【0025】
このように第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12が屈曲した形状をしていることにより、実装基板に半田等の接合部材によって接合する場合に、第1A屈曲部11A、第1B屈曲部11B、第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bに接合部材のフィレットを形成することができる。その結果、発光装置と実装基板との固着強度を向上させることができる。また、上述したように、樹脂部材14に第3凸部14PPが配置されていたとしても、
図2に示すように、第1B屈曲部11Bから第3凸部14PPまでの距離LRを含んで第1B屈曲部11B及び第2A屈曲部12Aの周辺に樹脂部材がない空間を存在させることができる。これによって、第1A屈曲部11A、第1B屈曲部11B、第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bへの半田等の接合部材の這い上がりを樹脂部材によって阻止されることなく形成することができる。その結果、接合部材の体積を大きくできるので、発光装置と実装基板とのの固着強度を向上させることができる。また、第1アウターリード及び第2アウターリードが第2方向に延在することによって、第1方向において発光装置を小型化しやすくなる。さらに、第1アウターリード及び第2アウターリードが第2方向に延在することによって、第1アウターリード及び第2アウターリードの体積を大きくすることができるので、発光装置の放熱性を向上させることができる。
【0026】
第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12は、大きさが同じであることが好ましく、形状及び大きさが同じであることがより好ましい。このようにすることで、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12を実装基板に接合するそれぞれの接合部材の量を同じにしやすくなる。これにより、第1基部b1の下側に位置する接合部材の厚みと第2基部b2の下側に位置する接合部材の厚みとを同じにしやすくなるので、発光装置が第3方向において傾くことを抑制しやすくなる。尚、本明細書において大きさが同じとは、±5%以内の変動は許容させるものとする。同様に、本明細書において形状が同じとは、±5%以内の変動は許容させるものとする。
【0027】
図1Fに示すように、第1A屈曲部11Aの底面BL側から上面U側までの最大高さL11と、第1B屈曲部11Bの底面BL側から上面U側までの最大高さL12とは同じにしてもよい。言い換えると、第1A屈曲部11Aと第1B屈曲部11Bとは、背面視において、第2方向の最大長さを同じ、つまり、L11=L12とすることができる。このようにすることで、リードを屈曲加工する場合に、第1A屈曲部11Aと第1B屈曲部11Bとに負荷される力を均一にすることができる。その結果、第1A屈曲部11Aと第1B屈曲部11Bとのバラつきを低減させることができ、また、第1A屈曲部11Aと第1B屈曲部11Bの加工が容易になる。この場合、第2A屈曲部12Aの底面BL側から上面U側までの最大高さL21と、第2B屈曲部12Bの底面BL側から上面U側までの最大高さL22とは同じ、つまりL21=L22とすることが好ましい。このようにすることで、リードを屈曲加工する場合に、第2A屈曲部12Aと第2B屈曲部12Bとに負荷される力を均一にすることができる。L11、L12、L21及びL22は、例えば、樹脂部材14の第2方向の長さの1/2以上9/10以下とすることが好ましい。L11、L12、L21及びL22が、樹脂部材14の第2方向の長さの1/2以上であることにより第1A屈曲部11A、第1B屈曲部11B、第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bの体積を大きくすることができる。これにより、第1A屈曲部11A、第1B屈曲部11B、第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bを覆う接合部材の体積を大きくすることができるので、発光装置と実装基板の固着強度が向上する。例えば、L11、L12、L21及びL22は、50μm以上であることが好ましい。L11、L12、L21及びL22が、樹脂部材14の第2方向の長さの9/10以下であることにより、第2方向において発光装置を小型化できる。
【0028】
樹脂部材14の第1凸部14P1を挟むように第1A屈曲部11A及び第1B屈曲部11Bを屈曲させる場合には、第1凸部14P1に沿って第1A屈曲部11A及び第1B屈曲部11Bを屈曲させることができる。また、樹脂部材14の第2凸部14P2を挟むように第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bを屈曲させる場合には、第2凸部14P2に沿って第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bを屈曲させることができる。これにより、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの距離がバラつきを低減できるので、発光装置が短絡することを抑制しやすくなる。また、第1凸部14P1に沿って第1A屈曲部11A及び第1B屈曲部11Bを屈曲させ、第2凸部14P2に沿って第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bを屈曲させることにより、第1A屈曲部11A、第1B屈曲部11B、第2A屈曲部12A及び第2B屈曲部12Bの形状のバラつきを抑制できるので、高品質の発光装置を提供することができる。
【0029】
また、
図1Fに示すように、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の最短距離L(つまり、第1方向の長さ)は、第1B屈曲部11Bの底面BL側から上面U側までの最大高さL12と、第2A屈曲部12Aの底面BL側から上面U側までの最大高さL21との合計以上とすることができる。言い換えると、L12+L21<Lとすることができる。この場合、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の最短距離Lは、第1A屈曲部11Aの底面BL側から上面U側までの最大高さL11と、第2B屈曲部12Bの底面BL側から上面U側までの最大高さL22との合計以上とすることが好ましい。つまり、L11+L22<Lとすることが好ましい。このようにすることで、第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aとの間の最短距離Lが長くなるので、第1B屈曲部11B及び/又は第2A屈曲部12Aの屈曲する角度がバラついた場合でも第1B屈曲部11Bと第2A屈曲部12Aが接することを抑制できる。これにより、発光装置が短絡することを抑制しやすくなる。また、L11+L12<L、L21+L22<Lとしてもよい。なお、第1A屈曲部11A及び第1B屈曲部11Bを形成した後において、第1方向における第1アウターリード部11の第1基部b1の最大長さ(
図2、5D中、W17)は、第1方向における第1アウターリード部11の最大長さ(
図2、5D中、W18)の1/5以上4/5以下であることが好ましい。第1方向における第1アウターリード部11の第1基部b1の最大長さが、第1方向における第1アウターリード部11の最大長さの1/5以上であることにより、第1基部b1の強度が向上する。第1方向における第1アウターリード部11の第1基部b1の最大長さが、第1方向における第1アウターリード部11の最大長さの4/5以下であることにより、第1方向における第1A屈曲部及び/又は第1B屈曲部を長くすることができる。これにより、第1A屈曲部及び第1B屈曲部にそれぞれ形成される接合部材の体積を大きくすることができるので、発光装置と実装基板の固着強度が向上する。また、第3方向における第1アウターリード部11の最大長さ(
図1G中、DS)は、第3方向における凸部を含む樹脂部材14の最大長さ(
図1G中、DU)の1/2以上4/5以下であることが好ましい。第3方向において、第1アウターリード部11の最大長さが、樹脂部材14の最大長さの1/2以上であることにより、第1アウターリード部11を大きくすることができる。これにより、発光装置を実装基板に接合部材を用いて接合する場合に、接合部材と第1アウターリード部11との接触面積を大きくすることできる。このため、発光装置と実装基板の固着強度が向上する。第3方向において、第1アウターリード部11の最大長さが、樹脂部材14の最大長さの4/5以下であることにより、第3方向において発光装置を小型化しやすくなる。
【0030】
第1リード及び第2リードは、発光素子の一対の電極にそれぞれ接続される導電部材であり、実質的に板状であればよいが、波形板状、凹凸を有する板状であってもよい。厚さはその機能を果たす限り、任意に設定することができ、均一であってもよいし、厚い部分又は薄い部分があってもよい。材料は、熱伝導率の比較的大きな材料で形成することが好ましい。このような材料で形成することにより、発光素子から発生する熱を効率的に逃がすことができる。例えば、200W/(m・K)以上の熱伝導率を有しているもの、比較的大きい機械的強度を有するもの、あるいは打ち抜きプレス加工又はエッチング加工等が容易な材料が好ましい。具体的には、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属又は鉄-ニッケル合金、燐青銅等の合金等の単層又は積層構造のものが挙げられる。その表面には、搭載される発光素子からの光を効率よく取り出すために反射メッキが施されていることが好ましい。メッキ表面の光沢度は、光取り出し効率、製造コストの面を考慮して、例えば0.2以上2.0以下の範囲が挙げられる。
なお、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12以外に、3つ以上のアウターリード部を有してもよい。このようなアウターリード部を配置することにより、放熱性をより向上させることができる。
【0031】
(封止部材15)
発光装置は、例えば、発光素子を封止する封止部材15が凹部14a内に配置されていることが好ましい。封止部材15は、透光性の樹脂等によって形成することが好ましい。樹脂としては、樹脂部材で例示した、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等が挙げられる。封止部材15には、光拡散材、蛍光体等が含有されていてもよい。光拡散材としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。蛍光体としては、当該分野で公知のもののいずれを用いてもよい。封止部材15は、発光素子の発光ピーク波長における光透過率が、60%以上とすることができ、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
【0032】
(発光装置の変形例1)
第1アウターリード部11は、第1A屈曲部11Aの底面BL側から上面U側までの最大高さL11と、第1B屈曲部11Bの底面BL側から上面U側までの最大高さL12とを異ならせてもよい。言い換えると、第1A屈曲部11Aの第2方向の最大高さL11と、第1B屈曲部11Bの第2方向の最大高さL12とを異ならせてもよい。例えば、L11>L12としてもよいし、
図3に示すように、第1アウターリード部11xにおいては、第1A屈曲部11Axの第2方向の最大高さL11と、第1B屈曲部11Bとの最大高さL12を、L11<L12としてもよい。この場合、第2A屈曲部12Aの底面BL側から上面U側までの最大高さL21が、第2B屈曲部12Bxの底面BL側から上面U側までの最大高さL21よりも低いことが好ましい。つまり、L21>L22であることが好ましい。第2アウターリード部においても、第1アウターリード部と同様の形状を有していることが好ましい。このような構成とすることにより、各発光装置を個片化する前の集合体のリードフレームの状態において、1つの発光装置を構成する第1リード及び第2リードの第1方向における大きさを小さくすることができる。例えば、
図4に示すリードフレーム111において、第1A屈曲部の最大高さを、LpからLqにまで小さくすることができる。これによって、1つの発光装置を構成する第1リード及び第2リードの合計長さLrを小さくすることができる。その結果、各発光装置を個片化する前の集合体のリードフレームの状態において、1つの発光装置を構成する第1リード及び第2リードの取り数を増加させることができる。
【0033】
〔光源装置〕
本開示の実施形態の光源装置20は、
図5A~5Dに示すように、上述した発光装置10と、第1配線21及び第2配線22を有する実装基板23とを備える。発光装置10は、底面BLが実装面として、実装基板23上に搭載されている。
なお、発光装置10を実装基板上に実装した場合の発光装置10における第1方向、第2方向及び第3方向を、それぞれ、実装基板及び光源装置の第1方向、第2方向及び第3方向と称する。従って、実装基板23の表面は、第1方向と第3方向とを含み、実装基板23の厚み方向が第2方向となる。
【0034】
(実装基板)
実装基板23は、例えば、
図5Bに示すように、板状の母材の上に第1配線21及び第2配線22を有する。第1配線21と第2配線22は、それぞれ、発光装置の第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12と電気的に接続されるものであり、発光装置の第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12の位置に対応するように配置されている。つまり、第1配線21と第2配線22とは、第1方向において離れて位置する。
第1配線21は、
図5B~5Dに示すように、底面視において、第1基部b1と重なる第1配線部21bと、第1配線部21bから第1側面S1側に延び、第1A屈曲部11Aと重なる第1A延長部21Aと、第1配線部21bから第2側面S2側に延び、第1B屈曲部11Bと重なる第1B延長部21Bとを有する。
言い換えると、第1配線21は、上面視において、第1基部b1と重なるように、第3方向に延長する第1配線部21bと、第1A屈曲部11Aと重なるように、第1配線部21bから第1方向に延長する第1A延長部21Aと、第1B屈曲部11Bと重なるように、第1配線部21bから第1方向(ただし、第1A延長部21Aとは反対の方向)に延長する第1B延長部21Bとを有する。また、第1A延長部21A及び第1B延長部21Bは、第1配線部21bよりも樹脂部材の正面から離れて位置する。
【0035】
第2配線22は、底面視において、第2基部b2と重なる第2配線部22bと、第2配線部22bから第1側面S1側に延び第2A屈曲部12Aと重なる第2A延長部22Aと、第2配線部22bから第2側面S2側に延び第2B屈曲部12Bと重なる第2B延長部22Bとを有することが好ましい。
言い換えると、第2配線22は、上面視において、第2基部b2と重なるように、第3方向に延長する第2配線部22bと、第2A屈曲部12Aと重なるように、第2配線部22bから第1方向に延長する第2A延長部22Aと、第2B屈曲部12Bと重なるように、第2配線部22bから第1方向(ただし、第2A延長部22Aとは反対の方向)に延長する第2B延長部22Bとを有することが好ましい。また、第2A延長部22A及び第2B延長部22Bは、第2配線部22bよりも樹脂部材の正面から離れて位置する。
このような構成を有することにより、発光装置を実装基板に実装した場合に、つまり、発光装置の第1基部b1と第1配線部21bとを、接合部材24を用いて接合した場合に、接合部材24が第1A延長部21A及び第1B延長部21Bに広がるとともに、第1A屈曲部11A及び第1B屈曲部11Bに這い上がり、いわゆるフィレットを形成する。これにより、発光装置と実装基板との固着強度を向上させることができる。
【0036】
第1配線21及び第2配線22は、それぞれ、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12よりも平面積が大きいことが好ましい。
具体的には、
図5C、5Dに示すように、第1方向及び第3方向のいずれにおいても、第1配線部21b及び第2配線部22bは、それぞれ、第1アウターリード部11及び第2アウターリード部12よりも長いことが好ましい。つまり、底面視において、第1基部b1の端部(
図5D中、E)は、第1配線部21bの端部(
図5D中、E2)よりも第1アウターリード部11の中心側に配置されていることが好ましい。尚、本明細書において「第1アウターリード部11の中心」とは、底面視における第1アウターリード部11の幾何学的な重心を意味する。例えば、第1基部b1の端部は、第1方向において、第1配線部21bの端部から距離W13だけ離れて配置されていることが好ましい。また、第1B屈曲部11Bの端部(
図5D中、E3)は、第1B延長部の端部(
図5D中、E4)よりも第1アウターリード部11の中心側に配置されていることが好ましい。例えば、第1B屈曲部11Bの端部は、第1方向において、第1B延長部の端部から距離W14だけ離れて配置されていることが好ましい。距離W13及び距離W14は、それぞれ最短距離を意味する。距離W13と距離W14とは同程度であってもよいが、底面視において、距離W13は、距離W14よりも小さい、つまり、W13<W14であることが好ましい。このような配置によって、発光装置を実装基板23に接合部材を用いて接合する場合に、第1A屈曲部11A位及び第1B屈曲部11Bに接合される接合部材を、フィレット形状に形成することが容易となる。また、W13をW14より小さくすることにより、接合部材によるセルフアライン効果を効果的に発揮させることができ、実装基板23への発光装置の位置ずれを抑制することができる。
【0037】
ここで、距離W13及び距離W14の長さは、発光装置の大きさ、第1アウターリード部11並びに第2アウターリード部12の大きさ及び形状等によって適宜設定することができる。例えば、距離W13は、第1基部b1の第1方向の長さの1/50以上1/2以下が挙げられる。具体的には、第1基部b1の第1方向の長さが200μm以上500μm以下の場合、距離W13は、5μm以上100μm以下が挙げられる。距離W14は、距離W13の2倍以上200倍以下が挙げられる。具体的には、距離W14は、50μm以上2mm以内が挙げられる。
また、
図5Dに示すように、第1方向における第1配線21の第1配線部21bの最大長さW11は、例えば、第1方向における第1アウターリード部11の第1基部の最大長さW17に対して、1.1倍以上2倍以内とすることが挙げられる。具体的には、長さW11は220μm以上1mm以内が挙げられる。また、第1方向における第1配線21の最大長さW12は、例えば、第1方向における第1アウターリード部11の最大長さW18に対して、1.2倍以上3倍以内とすることが挙げられる。具体的には、長さW12は、500μm以上5mm以内が挙げられる。
第2配線22は、第2アウターリード部12の第1方向の長さの関係が、第1配線21と第1アウターリード部11の第1方向の長さの関係と同様であることが好ましい。
【0038】
このような発光装置のアウターリード部と実装基板23の配線との関係とすることにより、後述するように、発光装置を実装基板23に接合部材を用いて接合する場合に、接合部材のアウターリードとの接触面積を適度に確保することができ、固着強度を向上させることができる。また、W11とW12との間で、第1方向の長さが異なる場合には、発光装置の接合部材によるセルフアライメント効果が有効に働き、位置ずれを防止することができる。さらに、W12が長いことにより、接合部材によるフィレットを形成することが容易となる。
なお、W13及びW14の関係は、第2アウターリード部12と第2配線22とにおいても同様であることが好ましい。
【0039】
母材は、ガラスエポキシ樹脂、セラミック又はポリイミドなどにより形成することができる。第1配線21及び第2配線22は、銅、金、銀、ニッケル、パラジウム、タングステン、クロム、チタン又はこれらの合金等の単層構造又は積層構造によって形成することができる。第1配線21及び第2配線22は、メッキ、積層圧着、貼り付け、スパッタ、蒸着、エッチングなどの方法を用いて形成することができる。
【0040】
(接合部材)
接合部材24は、発光装置の第1リード及び第2リードを、それぞれ第1配線21及び第2配線22に電気的に接続するために用いる部材であり、当該分野で公知の材料のいずれをも用いることができる。接合部材は、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系等の半田(具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等)、共晶合金(AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等)、銀、金、パラジウム等の導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属等のろう材等が挙げられる。
【0041】
(光源装置の変形例1)
図6Dに示すように、底面視において、第1方向における第1A屈曲部11Aの端部から第1A延長部21Axまでの最短距離W15は、第1方向における第1B屈曲部11Bの端部から第1B延長部21Bまでの最短距離W14よりも短くてもよい。距離W15は、例えば、15μm以上1.5mm以内が挙げられる。距離W14は、W15の1.2以上5倍以内が挙げられ、20μm以上2mm以内が挙げられる。
なお、W15及びW14の関係は、第2配線22x及び第2アウターリード部12においても同様であることが好ましい。つまり、底面視において、第1方向における第2A屈曲部12Aの端部から第2A延長部22Aまでの最短距離は、第1方向における第2B屈曲部12Bの端部から第2B延長部22Bxまでの最短距離よりも長いことが好ましい。
【0042】
このようにすることで、第1配線21及び第2配線22を含んだ第1配線21から第2配線22までの最大長さ(
図6C中、LL)を短くすることができる。これにより、第1方向において実装できる発光装置の数を増やすことができる。発光装置が1つの場合でも、第1配線21及び第2配線22を含んだ第1配線21から第2配線22までの最大長さ(
図6C中、LL)を短くすることにより、実装基板23を小型化することができる。また、第1方向における第1A屈曲部11Aの端部から第1A延長部21Axまでの最短距離W15が、第1方向における第1B屈曲部11Bの端部から第1B延長部21Bまでの最短距離W14よりも短い場合には、上述した
図4に示すリードフレーム111を備えた発光装置を実装してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10、10A 発光装置
11、11x 第1アウターリード部
b1 第1基部
11A、11Ax 第1A屈曲部
11B 第1B屈曲部
11I 第1インナーリード部
12、12x 第2アウターリード部
b2 第2基部
12A 第2A屈曲部
12B、12Bx 第2B屈曲部
12I 第2インナーリード部
13 発光素子
13A 第1発光素子
13B 第2発光素子
14 樹脂部材
14a 凹部
14N 切欠部
14P 凸部
14P1 第1凸部
14P2 第2凸部
14PP 第3凸部
15 封止部材
20、20A 光源装置
21、21x 第1配線
21A、21Ax 第1A延長部
21B 第1B延長部
21b 第1配線部
22、22x 第2配線
22A 第2A延長部
22B、22Bx 第2B延長部
22b 第2配線部
23、23A 実装基板
24 接合部材
31 第1ワイヤ
32 第2ワイヤ
33 第3ワイヤ
111 リードフレーム
F 正面
B 背面
U 上面
BL 底面
S1 第1側面
S2 第2側面
E、E2、E3、E4 端部