(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】LED光源及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240828BHJP
【FI】
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2020151980
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荏原 宗嗣
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213412(JP,A)
【文献】特開2011-128290(JP,A)
【文献】特開2011-086569(JP,A)
【文献】特開2005-321772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面を有する基板と、
前記第一面に設けられる保持部と、
前記第一面に設けられるLEDと、
前記第一面に設けられる前記LEDを固定する接合部材と、
前記LEDの上面若しくは上方に位置し、平面視において前記LEDよりも外形が大きく、前記LEDの出射光を屈折させて出射させるための透光性部材と、
平面視において前記LEDの外側であり、前記基板の前記第一面と対向する前記透光性部材の面に設けられる支持部と、
前記支持部と前記基板とを接着してなる接着剤と、
を備え、
前記支持部が前記保持部に保持されて、前記透光性部材が前記基板の前記第一面の定位置に配置されて
おり、
前記接合部材及び保持部が、ハンダであり、
前記支持部の先端面が平坦で、前記第一面に前記接着剤で接着されてなるLED光源。
【請求項2】
請求項1に記載のLED光源であって、
前記支持部が、複数、前記透光性部材の異なる部位にそれぞれ設けられており、
前記保持部が、各支持部を複数で保持してなるLED光源。
【請求項3】
請求項2に記載のLED光源であって、
前記複数の保持部は、それぞれ前記基板の前記第一面上に凸部を形成しており、
各支持部を保持する複数の前記凸部は、それぞれが多角形の頂点の位置に設けられており、前記多角形の頂点で囲まれた内側に前記支持部が配置されてなるLED光源。
【請求項4】
請求項3に記載のLED光源であって、
前記多角形が、三角形以上六角形以下であるLED光源。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のLED光源であって、
前記凸部が、前記支持部を案内する多角形の頂点を構成する領域を傾斜面としており、
前記傾斜面が、前記支持部の挿入方向に向かって前記支持部に接近する方向に傾斜されてなるLED光源。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載のLED光源であって、
前記基板に対して垂直方向の前記凸部の垂直断面形状が、円形又は楕円形であるLED光源。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のLED光源であって、
前記基板が、プリント基板であり、
前記保持部が、前記接合部材と同じ材質で形成されてなるLED光源。
【請求項8】
請求項7に記載のLED光源であって
、
前記基板が、
前記第一面の前記接合部材を配置する位置に電極導電膜を、
前記第一面の前記保持部を配置する位置に保持導電膜を、
それぞれ形成してなるLED光源。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のLED光源であって、
前記支持部が、柱状に形成されてなるLED光源。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載のLED光源であって、
前記支持部が、先細り状に形成されてなるLED光源。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のLED光源であって、
前記支持部が、先端面に保持凹部を形成しており、
前記保持部が、前記保持凹部を案内する保持凸部を有し、
前記保持凹部に前記保持凸部が案内されて、前記支持部が前記保持部に保持されてなるLED光源。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のLED光源であって、
前記LED光源が、液晶表示装置のバックライト用の光源であるLED光源。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のLED光源であって、
前記透光性部材が、光学レンズであるLED光源。
【請求項14】
LEDと、
第一面を有する基板と、
平面視において前記LEDよりも外形が大きく、前記第一面に対向する面に、平面視において前記LEDの外側に備えられた支持部を備え、前記LEDの出射光を屈折させて出射するための透光性部材と、
前記基板に前記LEDを固定するための接合部材を準備する工程と、
前記第一面に塗布された前記接合部材となるハンダペーストに、前記LEDを
接合する工程と、
前記透光性部材を保持する保持部となる前記ハンダペーストが前記第一面に
塗布された状態で、リフローを行い、前記LEDをハンダ付けすると共に、前記保持部を形成する工程と、
前記支持部と前記保持部を接着剤を介して接着し、前記透光性部材を前記第一面の定位置に配置する工程と、
を含むLED光源の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載のLED光源の製造方法であって、
前記接合部材及び保持部を形成する工程において、
前記保持部が、前記接合部材と同じ材質で形成されてなるLED光源の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載のLED光源の製造方法であって、
前記第一面の、
前記接合部材を配置する位置に電極導電膜を、
前記保持部を配置する位置に保持導電膜を、
それぞれ形成したLED光源の製造方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載のLED光源の製造方法であって、
前記接合部材及び保持部を形成する工程において、
前記保持部が、前記支持部の周囲を囲む複数の凸部で形成されると共に、
各凸部の上面を湾曲させた形状に形成してなるLED光源の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの出射光を、光学レンズ等の透光性部材で屈折して外部に放射するLED光源が開発されている。このLED光源は、LEDの出射光を光学レンズで拡散し、あるいは集光して種々の用途に使用される。例えば液晶表示装置のバックライトに使用されるLED光源は、LEDの出射光を光学レンズで拡散して、局所的に明るく発光する発光ムラを抑制している。バックライト用のLED光源は、基板の表面に複数のLEDを固定して、各々のLEDの出射光を光学レンズで拡散して外部に放射して、発光面全面の配光分布を均一化して発光ムラを抑制している。LEDの出射光を光学レンズで屈折して外部に放射するLED光源は、光学レンズが正常に出射光を拡散し、あるいは集光して正確な配光パターンとすることが大切であるが、このことを実現するには、LEDと光学レンズの光軸を正確に一致させることが大切である。光学レンズの光軸が、LEDとの光軸を一致する状態で使用されて所望される配光パターンとするように設計されているからである。
【0003】
実装基板の表面に、ICやコンデンサー等のチップ部品を固定して、これ等のチップ部品をカバーする枠体を定位置に配置するために、実装基板の表面に突出部を設けて、突出部の内側に枠体を配置して定位置に固定する構造は開発されている。(特許文献1参照)
【0004】
また、プリント基板に複数の凸部を設けて、プリント基板の実装部品の底面に位置決め凹部を設け、位置決め凹部に凸部を嵌合して、実装部品をプリント基板の定位置に配置する実装構造も開発されている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-130009号公報
【文献】特開2002-198632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的の一は、基板の表面に固定されるLEDと透光性部材の相対位置の位置決めを行い易くしたLED光源及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るLED光源は、第一面を有する基板と、前記第一面に設けられる保持部と、前記第一面に設けられるLEDと、前記第一面に設けられる前記LEDを固定する接合部材と、前記LEDの上面若しくは上方に位置し、平面視において前記LEDよりも外形が大きく、前記LEDの出射光を屈折させて出射させるための透光性部材と、平面視において前記LEDの外側であり、前記基板の前記第一面と対向する前記透光性部材の面に設けられる支持部と、前記支持部と前記基板とを接着してなる接着剤と、を備え、前記支持部が前記保持部に保持されて、前記透光性部材が前記基板の前記第一面の定位置に配置されている。
【0008】
本発明の一実施形態に係るLED光源の製造方法は、LEDと、第一面を有する基板と、平面視において前記LEDよりも外形が大きく、前記第一面に対向する面に、平面視において前記LEDの外側に備えられた支持部を備え、前記LEDの出射光を屈折させて出射するための透光性部材と、前記基板に前記LEDを固定するための接合部材と、を準備する工程と、前記LEDを、前記接合部材を介して前記第一面に固定する工程と、前記第一面に前記接合部材を用いて保持部を形成する工程と、前記支持部と前記保持部を接着剤を介して接着し、前記透光性部材を前記第一面の定位置に配置する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
これにより基板の表面に固定するLEDと透光性部材の相対位置の位置決めを行い易くしたLED光源及びその製造方法を提供することができる。
【0010】
また、LED光源の製造方法によれば、LEDを固定する接合部材と、透光性部材を定位置に保持する保持部とを同時に形成できるので、製造工程を簡素化できる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係るLED光源の概略断面図である。
【
図2】実施形態1に係るLED光源の分解斜視図である。
【
図3】
図3Aは基板の所望の位置とは異なる位置にLEDがセットされた状態を示す拡大断面図、
図3Bはセルフアライメントさせて基板の所望の位置にLEDがハンダ付けされた状態を示す拡大断面図である。
【
図4】LEDをセルフアライメントして基板の定位置に固定する実装精度を示すグラフである。
【
図5】透光性部材を基板の定位置にセットして固定する実装精度を示すグラフである。
【
図6】
図4のLEDと
図5の透光性部材による光軸の精度を示す分布図である。
【
図7】変形例に係るLED光源を示す分解斜視図である。
【
図9】変形例1に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする一例を示す平面図及び断面図である。
【
図10】変形例2に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする他の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図11】実施形態2に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする他の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図12】実施形態2の変形例に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする他の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図13】LEDの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、以下の構成によって特定されてもよい。
【0013】
前記支持部が、複数であり、かつ、前記透光性部材の異なる部位にそれぞれ設けられており、前記保持部が、各支持部を複数で保持していることが好ましい。
【0014】
前記複数の保持部は、それぞれ前記基板の前記第一面上に凸部を形成しており、各支持部を保持する複数の前記凸部は、それぞれが多角形の頂点の位置に設けられており、前記多角形の頂点で囲まれた内側に前記支持部が配置されていることが好ましい。
【0015】
前記多角形が、三角形以上六角形以下であることが好ましい。
【0016】
前記凸部が、前記支持部を案内する多角形の頂点を構成する領域を傾斜面としており、前記傾斜面が、前記支持部の挿入方向に向かって前記支持部に接近する方向に傾斜されていることが好ましい。
【0017】
前記基板に対して垂直方向の前記凸部の垂直断面形状が、円形又は楕円形であることが好ましい。
【0018】
前記基板が、プリント基板であり、前記保持部が、前記接合部材と同じ材質で形成されている。上記構成により、基板上にLEDを固定するための接合部材を設ける作業と同時に、透光性部材を定位置に位置決めする保持部を形成することが可能となり、製造工程を簡素化できる利点が得られる。
【0019】
前記接合部材及び保持部が、ハンダであり、前記基板が、前記第一面の前記接合部材を配置する位置に電極導電膜を、前記第一面の前記保持部を配置する位置に保持導電膜を、それぞれ形成している。上記構成により、ハンダを溶融させることでLEDを実装する際に銅箔のパターンにLEDを沿わせるセルフアライメントの効果を発揮でき、LEDの位置決めを容易に行える。加えて、ハンダの保持部を保持導電膜によって定位置に形成し易くすることができ、LEDと透光性部材の双方の位置決めが図られる。
【0020】
前記支持部が、柱状に形成されている。
【0021】
前記支持部が、先細り状に形成されている。
【0022】
前記支持部が、先端面に保持凹部を形成しており、前記保持部が、前記保持凹部を案内する保持凸部を有し、前記保持凹部に前記保持凸部が案内されて、前記支持部が前記保持部に保持されている。
【0023】
前記LED光源が、液晶表示装置のバックライト用の光源である。
【0024】
前記透光性部材が、光学レンズである。
【0025】
他の実施形態に係るLED光源の製造方法によれば、上記に加えて、前記接合部材及び保持部を形成する工程において、前記保持部が、前記接合部材と同じ材質で形成されている。これにより、基板上にLEDを固定するための接合部材を設ける作業と同時に、透光性部材を定位置に位置決めする保持部を形成することが可能となり、製造工程を簡素化できる利点が得られる。
【0026】
他の実施形態に係るLED光源の製造方法によれば、上記いずれかに加えて、前記第一面の、前記接合部材を配置する位置に電極導電膜を、前記保持部を配置する位置に保持導電膜を、それぞれ形成している。これにより、ハンダを溶融させることでLEDを実装する際に銅箔のパターンにLEDを沿わせるセルフアライメントの効果を発揮でき、LEDの位置決めを容易に行える。加えて、ハンダの保持部を保持導電膜によって定位置に形成し易くすることができ、LEDと透光性部材の双方の位置決めが図られる。
【0027】
他の実施形態に係るLED光源の製造方法によれば、上記いずれかに加えて、前記接合部材及び保持部を形成する工程において、前記保持部が、前記支持部の周囲を囲む複数の凸部で形成されると共に、各凸部の上面を湾曲させた形状に形成している。これにより、光学部材の支持部を保持部で保持する際、複数の凸部で囲み、かつ上面を湾曲されることで、湾曲面に沿って支持部を凸部で囲まれた領域に案内し易くして、透光性部材を定位置に位置決めすることが可能となる。
【0028】
以下、図面に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0029】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
[実施形態1]
【0030】
LEDの出射光を透光性部材で屈折して外部に放射するLED光源は、外部に放射する光の配光パターンをコントロールして種々の用途に使用される。たとえば、液晶表示装置のバックライトに使用されるLED光源は、各々のLEDの出射光を透光性部材で拡散して配光分布を均等化して発光ムラの少ない光源としている。また、車のヘッドライトに使用されるLED光源は、LEDの出射光を透光性部材で収束して遠くを明るく照射できる配光パターンとしている。LED光源は、用途に最適な配光パターンとするためにLEDの照射面に透光性部材を配置するが、この透光性部材は光軸にLEDの出射光を入射して、特定の配光パターンとするので、透光性部材とLEDの位置ずれは所望される配光パターンを実現する弊害となる。
【0031】
実施形態1に係るLED光源100を、
図1の概略断面図及び
図2の分解斜視図に示す。これらの図に示すLED光源100は、基板1と、基板1の第一面1aに固定しているLED2と、LED2の出射光を屈折させて出射させる透光性部材3とを備えている。基板1は、第一面1aを有している。第一面1aは、
図1及び
図2においては上面であり、LED2は、この第一面1aに設けられている。また第一面1aには、LED2を固定する接合部材6が設けられる。さらに第一面1aには、保持部5が設けられる。一方で透光性部材3は、LED2の上面若しくは上方に位置し、平面視においてLED2よりも外形が大きく形成されている。さらに平面視においてLED2の外側であり、基板1の第一面1aと対向する透光性部材3の面に支持部4が設けられる。加えて、支持部4と基板1とは接着剤30で接着される。このLED光源100は、支持部4が保持部5に保持されて、透光性部材3が基板1の第一面1aの定位置に配置される。
【0032】
支持部4は、柱状に形成されることが好ましい。また支持部4は、先細り状となるように形成されることが好ましい。これにより、光学部材の支持部を保持部で保持する際、支持部を凸部で囲まれた領域に案内し易くするとの効果が得られる。また支持部4は、複数が、透光性部材3の基板1の第一面1aと対抗する面3Aにおいて、異なる部位にそれぞれ設けられている。さらに保持部5が、各支持部4を複数で保持している。
【0033】
複数の保持部5は、それぞれ基板1の第一面1a上に凸部を形成している。また各支持部4を保持する複数の凸部は、それぞれが多角形の頂点の位置に設けられている。この多角形の頂点で囲まれた内側に、支持部4が配置される。多角形は、三角形以上六角形以下とすることが好ましい。複数の凸部の位置を多角形の頂点の位置とすることで、光学部材の支持部を保持部で保持した際に、光学部材の位置ズレの抑制する効果が得られる。
図1では、支持部4の配置形状が三角形の場合の例を示している。
【0034】
また各凸部の上面は、湾曲させた形状に形成することが好ましい。これにより、光学部材の支持部を保持部で保持する際、複数の凸部で囲み、かつ上面を湾曲されることで、湾曲面に沿って支持部を凸部で囲まれた領域に案内し易くして、透光性部材を定位置に位置決めすることが可能となる。凸部は、支持部4を案内する多角形の頂点を構成する領域を傾斜面としている。この傾斜面が、支持部4の挿入方向に向かって支持部4に接近する方向に傾斜されている。さらに基板1に対して垂直方向の凸部の垂直断面形状は、円形又は楕円形とすることが好ましい。これにより、光学部材の支持部を保持部で保持する際、支持部を凸部で囲まれた領域に案内し易くするとの効果が得られる。以下、詳述する。
【0035】
基板1は、第一面1aに局所的に導電膜15を設けて、この導電膜15にLED2の電極をハンダ付けしている。さらに基板1は、LED2の出射光を屈折して所望の配光パターンとする透光性部材3を接合している。LED2は、接合部材6を介して基板1に固定されている。接合部材6にはハンダ等の導電性部材が利用できる。LED光源100は、LED2をハンダ付けして基板1に固定して、透光性部材3は接着剤30を介して基板1に接合している。
【0036】
透光性部材3は、基板対向面3Aであって、LED2の外側の非対向領域3Bに複数の支持部4を設けて、各々の支持部4を、基板1の第一面1aに設けている複数の保持部5による保持構造に配置して接合している。基板1は、LED2の位置をセルフアライメントして定位置にハンダ付けしている接合半田18と、支持部4を保持構造で定位置に配置する複数の保持部5を構成する保持ハンダ19とを有する。ここでは、接合部材6として、LED2を実装するハンダを、保持部5を構成する保持ハンダ19と区別するため、接合半田18と呼ぶ。保持ハンダ19の保持部5で構成される保持構造で支持部4が連結されて、透光性部材3を基板1の第一面1aの定位置に配置している。LED2は、接合部材6である接合半田18となる溶融状態の溶融ハンダ11の表面張力でセルフアライメントされて所望の位置に調整されてハンダ付けされる。
【0037】
透光性部材3は複数の支持部4を設けており、この支持部4は、基板1に設けた保持ハンダ19である複数の保持部5に保持構造で連結されて、基板1の正確な位置に配置されて接合される。
図1に示すLED光源100は、LED2と透光性部材3の両方を基板1の正確な位置に固定して、LED2と透光性部材3の相対的な位置ずれを防止して、LED2の出射光を、透光性部材3で最適な配光パターンとして外部に放射する。
(LED2)
【0038】
図3Aは基板の所望の位置とは異なる位置にLEDがセットされた状態を示す拡大断面図、
図3Bはセルフアライメントさせて基板の所望の位置にLEDがハンダ付けされた状態を示す拡大断面図である。
図3Aおよび
図3Bは基板1にLED2がハンダ付けされる状態を示す断面図である。
図3Aに示すように、基板1の第一面1aに設けられた電極導電膜16に接合部材6となるハンダペーストが印刷される。印刷されたハンダペーストの上に、LED2がセットされる。LED2は、上面を発光面、底面を電極面とする方形状で、電極面には一対の平面電極21を設けている。その後、
図3Bに示すように、はんだ付けリフロー工程において加熱されることでハンダペーストが溶融し、LED2の一対の平面電極21は、溶融されたハンダでセルフアライメントされて所望の位置にハンダ付けされる。
【0039】
図3Aは、基板1のずれた位置にLED2がセットされた状態を示している。ハンダペースト10の上に平面電極21を配置するようにLED2はセットされるが、その際にLED供給装置の精度によりLED2とハンダペースト10との間に位置ずれが発生する場合がある。
【0040】
図3Aの位置にLED2をセットした状態で、はんだ付けリフロー工程でハンダペースト10が溶融される。溶融したハンダは、
図3Bの断面図に示すように、平面電極21の表面に沿って拡散し、さらに表面張力の収縮力がLED2の平面電極21を引っ張って電極導電膜16の真上に移動させる。表面張力は、接合半田18である溶融ハンダ11の分子間力で分子が引き合う力で発生するので、露出する表面積を小さくする収縮力が働いて、
図3Aに示す、基板の所望の位置とは異なる位置にセットされたLED2を
図3Bに示す、基板の所望の位置に移動させる。
図3Bの位置にLED2を移動して、溶融ハンダ11を冷却し、硬化して平面電極21を電極導電膜16の正確な位置に固定する。セルフアライメントは、溶融ハンダ11の表面張力を有効に利用して、LED2を基板1の正確な位置に移動する。
【0041】
図4は、LEDをセルフアライメントして基板の定位置に固定する実装精度を示すグラフである。
図5は、透光性部材を基板の定位置にセットして固定する実装精度を示すグラフである。
図6は、
図4のLEDと
図5の透光性部材による光軸の精度を示す分布図である。
【0042】
図4と
図5は、多数のLED2と透光性部材3を自動の供給機で基板1の第一面1aの決められた位置にセットして、LED2と透光性部材3が基板1の第一面1aに固定される位置をプロットしたグラフであり、
図6はこれらLEDと透光性部材による光軸のずれを示すグラフである。
図4は、多数のLED2がセルフアライメントされて基板1の定位置に固定される位置をプロットしている。
図5は、透光性部材3を基板1にセットして固定される位置をプロットしている。これ等の図に示すように、LED2と透光性部材3は同じ機構の供給装置で基板1にセットして同じ精度で供給しながら、LED2はセルフアライメントされて多数のプロットが狭い領域、図においてはX軸方向とY軸方向の位置ずれを約50μm以内する領域に固定されるが、透光性部材3は、X軸方向に100μm~200μm位置ずれし、Y軸方向には約100μm程度の位置ずれが発生する。これ等の図に示すように、LED2は透光性部材3と同じ精度で基板1にセットされながら、溶融ハンダ11のセルフアライメントで、位置精度が50μm以内と、セルフアライメントされない透光性部材3の2倍以上に高い位置精度で基板1に固定される。
【0043】
セルフアライメントは、溶融ハンダ11の表面張力による露出面の収縮力でLED2を固定する位置を自動調整する。セルフアライメントして定位置に配置されるLED2は、好ましくは底面に平面電極21が配置される。このLED2は、底面に配置している各々の平面電極21のセルフアライメントで、姿勢と位置を正確にコントロールして基板表面の定位置に固定される。さらに、セルフアライメントされるLED2は、平面電極21と電極導電膜16の面積を大きくしてより効果的に位置調整できる。溶融ハンダ11の露出表面積を大きくして、表面張力による収縮力を大きくできるからである。したがって、LED2は、一対の平面電極21のトータル面積を、好ましくはLED2の底面全体の1/2以上として、確実にセルフアライメントして基板1にハンダ付けできる。さらに、各々の平面電極21は、好ましくは基板表面に設けている電極導電膜16の形状と面積と実質的に同一として、セルフアライメントの作用でLED2を所望の位置にハンダ付けできる。
【0044】
LED2は、発光部を備える半導体積層体(以下、単に「半導体積層体」ともいう)、あるいは半導体積層体の表面に波長変換層を1層又は複数層配置しているものが使用できる。半導体積層体は、発光特性を有し、このような半導体積層体は、液相成長法、HDVPE法やMOCVD法により気体上にZnS、SiC、GaN、GaP、InN、AlN、ZnSe、GaAsP、GaAlAs、InGaN、GaAlN、AlInGaP、AlInGaN等の半導体層を複数層積層し、いずれかの半導体層に発光層を形成させたものが用いられる。半導体層の材料やその混晶度の選択により、発光部の発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。特に、野外でも好適に利用することができる表示装置とするときには、高輝度発光可能な半導体積層体が求められる。そこで、緑色系及び青色系の高輝度な発光する発光部の材料として、窒化物半導体を選択することが好ましい。例えば、発光部の材料として、InXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等が利用できる。また、このような半導体積層体と、その発光により励起されて、半導体積層体の発光波長と異なる波長を有する光を発する種々の蛍光体からなる波長変換層とを組み合わせたLEDとすることもできる。複数の蛍光体を用いる場合、複数の蛍光体を1層内に配置してもよいし、複数層の各層に振り分けてもよい。赤色系の発光する半導体積層体の材料として、GaAlAs系の半導体やAlInGaP系の半導体を選択することが好ましい。なお、カラー表示装置とするためには、赤色系の発光波長が610nmから700nm、緑色が495nmから565nm、青色の発光波長が430nmから490nmの半導体積層体を組み合わせることが好ましい。
【0045】
また、LED2は、半導体積層体の一方の面に電極が形成されており、半導体積層体における電極が形成される面である電極形成面を基板1に面するように位置させて、溶融されたハンダで実装すると共に、電極形成面の裏面側を主光取出し面とするフェイスダウン実装(所謂フリップチップ実装)としている。
(透光性部材3)
【0046】
透光性部材3は、LED2と光軸を一致するようにLED2の真上に配置され、LED2からの入射光を拡散し、あるいは収束して放射する。透光性部材3は、LED2から入射される光を屈折して、LED光源100の用途に特定の配光パターンとして外部に放射する。このような透光性部材3は光学レンズ等の光学部材が好適に利用できる。透光性部材3を光学レンズとする場合は、凹レンズや凸レンズが利用できる。透光性部材3は、LED2と光軸が一致するように基板1に固定されて、設計された配光パターンを実現する。特定の配光パターンを実現する透光性部材3は、表面に凹部や凸部を設けてLED2の入射光を屈折して外部に出射する。透光性部材3は、基板1に固定されるが、基板1を介してLED2と相対的に位置ずれしないように固定される。LED2は、基板1にハンダ付けされる工程において、溶融ハンダ11にセルフアライメントされて基板1の正確な位置にハンダ付けされるが、透光性部材3は、接着剤30で接合して基板1に接合するので、セルフアライメントによる自動的な位置調整はなく、正確に特定位置に高い精度で接合するのが極めて難しい。
図5は、多数の透光性部材3を基板1に接合して、中心が位置ずれする位置をプロットしている。この図に示すように、セルフアライメントのない透光性部材3は、基板1に固定される位置ずれがLED2よりも大きく、LED2と光軸を一致させるのが難しい。LED2の位置ずれは、透光性部材3との光軸ずれを大きくして、
図6の光軸のずれをプロットした分布図に示すように設計された配光パターンを狂わせる原因となる。
【0047】
図2の斜視図に示す透光性部材3は、基板1の特定位置に高精度に接合するために複数の支持部4を設けている。支持部4は、透光性部材3を成形するアクリル樹脂やシリコーン樹脂などの透光性の樹脂を用いて、透光性部材3と一体的に成形して設けられる。ただ本発明は支持部を透光性部材と一体的に形成する構成に限定せず、支持部を透光性部材と別部材で構成してもよい。支持部4は、LED2の基板対向面3A(
図1において下面)であって、LED2の表面には対向しない非対向領域3Bに形成されており、基板1に向かって突出している。非対向領域3Bの支持部4は、各々がLED2の外側領域において先端面を基板1の第一面1aに接合して、LED2を基板1と平行姿勢で、光軸を一致させて固定している。基板1は、支持部4の下端面を接合する領域にレンズ固定用ランド13を設けている。レンズ固定用ランド13は、基板1の表面をカバーしているソルダーレジスト14の塗布されない領域であって、ここに後述する複数の保持部5を設けて、複数の保持部5の中央部に支持部4を保持構造で接合する。基板1は、表面のほぼ全面にソルダーレジスト14を塗布しているが、LED2を固定するLED固定用ランド12と、レンズ固定用ランド13はソルダーレジスト14で被覆されない。ソルダーレジスト14は白色として、LED2の発光を反射してLED光源100の輝度を向上することができる。
【0048】
透光性部材3は、支持部4の長さで基板表面との隙間を調整できる。支持部4は、透光性部材3の材質に応じて下面をLED2の上面に接触させ、あるいは接近する長さに設定される。支持部4は、透光性部材3とLED2の表面との隙間をできる限り狭くする長さとして、LED2の出射光を透光性部材3に入射する。3つ以上の支持部4を設けている透光性部材3は、各々の支持部4の先端面4Aを基板表面に接合して、基板1に平行姿勢に固定できる。透光性部材3は、LED2を中心とするリング状もしくは多角形状に配置された複数の支持部4を設けて、各々の支持部4を基板1に接合して、基板1に高い精度と姿勢で定位置に固定できる。
図2に示す例においては、透光性部材3は、3個の支持部4を設けているが、支持部4は4個以上とすることもできる。
【0049】
図7は、変形例に係るLED光源を示す分解斜視図である。
図7に示すように、LED2を中心として対称な位置に2個の支持部4Bを設けて、各々の支持部4Bの下端面積を大きくして、LED2を平行姿勢で基板1の定位置に複数の保持部5Bでもって固定することもできる。透光性部材3は、支持部4の先端面4Aを接着剤30を介してレンズ固定用ランド13に接合して固定し、あるいは、支持部4の先端面4Aとその近傍を接着剤30を介して基板1の表面に接着することもできる。
【0050】
支持部4は、
図1の一部拡大図に示すように、好ましくは外周面を先端面4Aに向かって細くなるテーパー面とする。この支持部4は、外周面が傾斜面となるので、傾斜面が保持部5の間に滑り込んで保持構造で連結される。したがって、複数の保持部5にスムーズに保持構造に連結できると共に、傾斜面を滑り込むことで、支持部4の位置がセルフアライメントされて、正確な位置にスムーズに連結できる。さらに、支持部4は、
図1の一部拡大図に示すように、外周面と先端面4Aとのコーナー部を湾曲面することができる。この支持部4は、先端部が保持部5に引っかかることなく、スムーズに案内して保持構造に連結できる。
(基板1)
【0051】
基板1は、絶縁性の平面を有しており、絶縁性の平面上に配線層(図示せず)を設けている。配線層は、各々のLED2の電極にハンダ付けして電気的に接続される電極導電膜16を設けている。基板1は、放熱性に優れた絶縁性の基板が好適に利用できる。例えばセラミック基板が利用でき、この例ではアルミナセラミック基板を利用している。また、ガラスエポキシ基板、窒化アルミ基板等も適宜利用できる。
【0052】
基板1は、
図1に示すように、その表面に、LED2と電気的に接続する導電膜15を設けている。さらに、基板1は、LED2を固定するLED固定用ランド12を除く領域および透光性部材3の支持部4を接合するレンズ固定用ランド13を除く領域に、光反射性のソルダーレジスト14を設けて、発光効率を向上することができる。光反射性のソルダーレジスト14は、絶縁性の材料が利用される。表面に複数のLED2を設ける基板1は、複数のLED固定用ランド12を設けて、各々のLED固定用ランド12の周囲に複数のレンズ固定用ランド13を設けている。
【0053】
LED固定用ランド12は、LED2の電極にハンダ付けされる電極導電膜16を露出して設けている。LED固定用ランド12は、一対の電極導電膜16を設けている。一対の電極導電膜16は、LED2の底面に設けている一対の平面電極21との対向位置に設けられている。表面実装工程において、一対の電極導電膜16は、表面にハンダペースト10が印刷して付着される。ハンダペースト10は、上にLED2がセットされて、各々の電極導電膜16を一対の平面電極21に接合して、LED2を定位置に仮止めする。この状態で、リフローハンダなどの方法でハンダペースト10を加熱し、加熱されたハンダペースト10が溶融してLED2の平面電極21を電極導電膜16にハンダ付けする。溶融したハンダは、表面張力でセルフアライメントしてLED2の平面電極21を正確に電極導電膜16の真上に移動し、この状態で冷却し、硬化して、一対の平面電極21を電極導電膜16にハンダ付けする。
【0054】
基板1は、LED2をセルフアライメントして電極導電膜16の真上に一対の平面電極21を配置してハンダ付けする。LED光源100は、LED2と透光性部材3の光軸を一致して基板1に固定することで、最適な配光パターンを実現する。LED2はセルフアライメントされて基板1の所望の位置に正確に固定されるが、透光性部材3は基板1に固定される際にセルフアライメントされない。このため、レンズ固定用ランド13は、透光性部材3の支持部4を保持構造で定位置に配置する複数の保持部5を設け、保持部5に保持構造で支持部4を連結することで、透光性部材3は基板1の所望の位置に配置される。保持部5の位置が、透光性部材3の位置を特定するので、保持部5を基板1に設ける位置の精度を向上することができる。
【0055】
透光性部材3を基板1に固定する位置の精度を極めて高くするために、レンズ固定用ランド13には保持ハンダ19で構成される複数の保持部5を設けている。さらに、保持部5のLED2に対する位置ずれを阻止するために、表面実装工程において、レンズ固定用ランド13の定位置に保持部5を成形する。表面実装工程は、LED固定用ランド12の電極導電膜16と、レンズ固定用ランド13の保持導電膜17にハンダペースト10を印刷して設け、このハンダペースト10を加熱し、溶融して、溶融ハンダ11でLED2をセルフアライメントして正確な位置にハンダ付けし、保持導電膜17のハンダペースト10を溶融し、硬化させて保持部5を成形する。
【0056】
図8は、
図2に示すLED光源の基板の平面図である。
図9は、変形例1に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする一例を示す平面図及び断面図である。
図10は、変形例2に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする他の一例を示す平面図及び断面図である。
【0057】
図2と
図8に示す実施形態1に係るLED光源100の基板1は、各々のレンズ固定用ランド13に3個の保持部5を設けているが、本発明は保持部の数を3個に限定せず、4個以上の保持部を設けてもよい。例えば、変形例1に係るLED光源のレンズ固定用ランド13として
図9の平面図に示すように、6個の保持部5をリング状に配置して設けてもよい。多数の保持部5をリング状に配置して、リング状の保持部5の内側に支持部4を案内して保持構造で支持部4と保持部5とを連結する構造は、支持部4をより正確にレンズ固定用ランド13の定位置に配置できる。各保持部5は、
図9の平面図に示す例では、平面形状を円形としているが、本発明は保持部の形状を円形に限定しない。例えば変形例2に係るLED光源として
図10の平面図に示すように、保持部5を支持部4の外周縁に沿う形状とすることもできる。
【0058】
あるいは逆に、保持部の周囲を支持部で囲むように構成してもよい。
図11は、実施形態2に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする他の一例を示す平面図及び断面図である。
図11に示す実施形態2に係るLED光源では、一の円形状の保持部5の周囲を、中央に窪みを形成した支持部4で囲むように構成している。
【0059】
保持部5は、保持導電膜17に付着しているハンダペースト10を溶融して形成される。溶融ハンダ11は表面張力の収縮力で、
図9ないし
図11の断面図に示すように、断面形状を半円に近似する形状で硬化する。この形状の保持部5は、基板1に向かって裾広がり状となる。この保持部5は、外周面が傾斜面となるので、リング状に配列された保持部5の内側にセットされる支持部4を中心に移動させる、すなわちセルフアライメントして、正確な位置に配置する。透光性部材3と一体構造である各々の支持部4が、複数の保持部5でセルフアライメントされてリング状に配列された保持部5の中心に配置されるので、透光性部材3は支持部4を複数の保持部5と保持構造に連結して、基板1の正確な位置に配置される。とくに、多数の保持部5でセルフアライメントされて各々の支持部4が基板1の定位置に配置される構造によって、透光性部材3は極めて高い精度で基板1に固定できる。
【0060】
図9のレンズ固定用ランド13は、6個の保持部5をリング状もしくは多角形状に配置して、内側に支持部4を配置して透光性部材3を基板1の定位置に保持している。一方、
図10のレンズ固定用ランド13は、リング状や多角形状に配置された保持部5の、当該リング状等の中心側に面した内側縁を支持部4の外周縁に沿う形状とする3個の保持部5をリング状に設けて、各々の保持部5の内側に支持部4を配置して、透光性部材3を基板1の定位置に連結する。
図12は、実施形態2の変形例に係るLED光源の透光性部材の支持部を保持部で位置決めする他の一例を示す平面図及び断面図である。実施形態2の変形例として
図12に示すのレンズ固定用ランド13では、さらに多数の保持部5をリング状に配置して、リングの内側に支持部4を配置すると共に、支持部4の先端面4Aには保持凹部4aを設けて、この保持凹部4aに案内する保持部5をリング状に配列された保持部5の中心に設けている。このレンズ固定用ランド13は、リング状に複数の保持部5を設けて、リングの中心にも保持部5を設けている。この構造は、リング状に配置している複数の保持部5で支持部4を定位置に配置することに加えて、リングの中心に設けている保持部5を、支持部4先端面4Aの保持凹部4aに案内してより正確に支持部4を基板1の定位置に連結できる。先端面4Aに保持凹部4aを設けている支持部4は、
図12に示すように、リング状に複数の保持部5を設けることなく、ひとつの保持部5で支持部4を定位置に配置できる。
【0061】
基板1の表面の電極導電膜16と保持導電膜17は、基板1の表面に積層している導電膜15の一部をエッチングで除去して同時に設けることができるので、両者の相対的な位置ずれは極めて少なく、電極導電膜16と保持導電膜17は相対的に位置ずれすることなく基板表面に同時に配置できる。
【0062】
さらに、電極導電膜16と保持導電膜17の表面に付着されるハンダペースト10は、印刷して同時に付着できるので、これ等も相対的に位置ずれしないように配置される。この状態で、LED2を基板1にハンダ付けするはんだ付けリフロー工程でハンダペースト10を加熱し、溶融してLED2をセルフアライメントして基板1の正確な位置にハンダ付けする。この工程は、同時に保持導電膜17のハンダペースト10を溶融し、硬化して保持部5を正確な位置に設ける。LED2のハンダ付けと同時にハンダで形成される保持部5は、LED2との相対的な位置ずれを阻止して成形できるので、透光性部材3とLED2の両方を極めて高い精度で基板1に固定して、両者の相対的な位置ずれを防止できる。さらに、LED2に対して極めて高い精度で保持部5を設けることができるにもかかわらず、保持部5を設けるために特定の工程を設ける必要がない。
【0063】
保持導電膜17は、基板表面の導電膜15をエッチングして電極導電膜16との位置ずれを阻止して一緒に設けることができ、ハンダペースト10は印刷して電極導電膜16と保持導電膜17の両方を位置ずれなく付着でき、さらに電極導電膜16と保持導電膜17に設けているハンダペースト10は、LED2をハンダ付けする工程で両方を同時に加熱して、LED2をハンダ付けして、ハンダで保持部5を設けることができる。したがって、以上のLED光源100とその製造方法は、LED2と透光性部材3の両方を、とくに相対的な位置ずれを防止しながら、高い位置精度で基板1に固定できる。
【0064】
このため、基板1に固定されたLED2と透光性部材3の光軸を正確に一致できる。この特性は、LED2の出射光を透光性部材3で屈折して特定の配光パターンとする用途に理想的な特長を実現する。例えば、液晶表示装置のバックライトに使用されるLED光源にあっては、透光性部材を二次レンズとして、LEDの出射光を二次レンズで均一な配光分布として外部に放射して液晶表示装置の発光ムラを少なくできる。また、LEDを出射光を透光性部材で収束して放射する車両のペンライト用のLED光源にあっては、LEDの出射光を特定の配光ビームに収束して、遠方まで明るく照射できる特長を実現する。
(LED光源の製造方法)
【0065】
【0066】
(1)まずステップS1として、基板1を準備する。基板1の表面の導電膜15は、従来のプリント基板を製作する工程で製作できる。例えば、
図14Aで示すように、導電膜15の一部をエッチングで除去して、電極導電膜16と保持導電膜17を設けることができる。電極導電膜16はLED2の平面電極21との対向位置に配置し、保持導電膜17は保持部5を設ける位置に配置する。表面に複数のLED2を所定のピッチで固定する基板1は、各々のLED2の平面電極21の対向位置に電極導電膜16を設けて、各々の電極導電膜16を配線パターンで接続する。保持導電膜17は通電のための導電膜15ではなく、必ずしも電極導電膜16に接続する必要はないが、電極導電膜16に接続して設けることもできる。保持導電膜17は、透光性部材3の支持部4を保持構造で定位置に配置する位置に設けられる。
【0067】
基板1のエッチングは、たとえば、基板表面に感光性レジストフィルム表面にアートワークフィルムを介して紫外線を照射して露光し、紫外線で照射された領域を硬化し、照射されない領域を硬化しない状態として、硬化しない領域をエッチングして除去した後、フィルムを除去して基板1の表面に電極導電膜16と保持導電膜17を設けることができる。
【0068】
(2)次にステップS2として、半田の印刷を行う。ここでは
図14Bで示すように、基板1の表面にソルダーレジスト14を塗布する。ソルダーレジスト14は、基板1の全面に塗布することなく、LED2を固定する領域にはLED固定用ランド12を、複数の保持部5を配置する領域にはレンズ固定用ランド13を設けて、塗布する。さらに
図14Cで示すように、電極導電膜16と保持導電膜17の表面に、印刷でハンダペースト10を塗布する。この工程は、ハンダペースト10の塗布量で、保持部5の高さを調整できる。たとえば、ハンダペースト10の膜厚を0.2mmとして、LED2を電極導電膜16に確実にハンダ付けして、支持部4を保持構造で定位置に配置する保持部5を設けることができる。(プリント工程)
【0069】
(3)次にステップS3として、LEDのマウントを行う。ここでは
図14Dで示すように、電極導電膜16のハンダペースト10にLED2の平面電極21を接合して、LED2を仮止めする。
【0070】
(4)次にステップS4として、半田付けのリフローを行う。ここでは
図14Eで示すように、LED2を接合しているハンダペースト10を加熱して溶融して、LED2を基板1の定位置にハンダ付けすると共に、保持導電膜17のハンダを溶融し、硬化させて保持導電膜17の表面に保持部5を設ける。
【0071】
(5)さらにステップS5として、接着剤30の塗布を行う。ここでは
図14Eの状態で、透光性部材3であるレンズの支持部4を配置する位置に、接着剤30を塗布する。接着剤30は、透光性部材3を基板1に接合するよう、例えばレンズ固定用ランド13に塗布する。接着剤30には未硬化の状態では液状ないしペースト状のエポキシ樹脂を使用する。接着剤30には、加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂や、紫外線照射することにより硬化する紫外線硬化樹脂等が好適に用いられる。
【0072】
(6)さらにステップS6として、レンズのマウントを行う。ここでは
図14Fで示すように、レンズ固定用ランド13に設けている複数の保持部5の保持構造に透光性部材3をセットして、透光性部材3を基板1の定位置に配置する。
【0073】
(7)最後にステップS7として、レンズを固定する接着剤30を硬化させる。ここでは
図14Fの状態で、基板1の定位置に透光性部材3を保持構造で保持した状態のまま、接着剤30を硬化させることにより透光性部材3を基板1に固定する。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のLED光源及びその製造方法は、LEDの出射光を透光性部材で屈折して拡散し、あるいは集光して所定の配光パターンで外部に放射するLED光源として、例えば液晶ディスプレイやテレビのバックライト光源、照明、インジケータ、車両のヘッドライト等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0075】
100…LED光源
1…基板
1a…第一面
2…LED
3…透光性部材
3A…基板対向面
3B…非対向領域
4、4B…支持部
4A…先端面
4a…保持凹部
5、5B…保持部
6…接合部材
10…ハンダペースト
11…溶融ハンダ
12…LED固定用ランド
13…レンズ固定用ランド
14…ソルダーレジスト
15…導電膜
16…電極導電膜
17…保持導電膜
18…接合半田
19…保持ハンダ
21…平面電極
30…接着剤