(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240828BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240828BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240828BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20240828BHJP
F21V 7/24 20180101ALI20240828BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240828BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240828BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240828BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/60
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V7/00 510
F21V7/24
F21V5/00 510
F21V5/04 200
F21V5/00 600
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020161364
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真樹
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186513(JP,A)
【文献】特開2009-054893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に発光素子を載置する載置工程と、
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有し、前記第1主面から前記第2主面まで達する貫通孔を画定する枠状の遮光フレームであって、前記第2主面に少なくとも1つの凸部を有する遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、
前記遮光フレームの前記第2主面に前記凸部と接する光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、
前記貫通孔を囲む前記第1主面の内周より小さい外周を有する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に連続する第1側面と、前記第1側面より外側に位置し、前記第2面に連続する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連続する第3面と、を有する透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、
前記透光性部材の前記第1側面と前記遮光フレームの内側面とが離隔する位置で前記第3面と前記凸部又は前記凸部と接する前記光反射性樹脂とを接触させることにより前記透光性部材の前記第1側面と前記遮光フレームの内側面との間に前記光反射性樹脂を配置し、前記光反射性樹脂を硬化させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、
前記発光素子の上面と前記第2面とを接合する光学部材接合工程と、を含み、
上から平面視したときの前記遮光フレームの内周の形状は略長方形であり、
前記凸部は、前記略長方形の長辺側に位置する前記第2主面に配置され、
前記光反射性樹脂供給工程では
、供給される前記光反射性樹脂によって前記凸部が少なくとも部分的に覆われる、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記光反射性樹脂供給工程は、前記第2主面に配置される前記光反射性樹脂の最頂部が前記凸部上に位置するように供給する工程を含む、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記光学部材形成工程は、前記凸部を介して前記光反射性樹脂を前記透光性部材の前記第3面に移動させる工程を含む、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
断面視において、前記凸部は上側よりも下側が幅広である、請求項1~3のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
断面視において、前記凸部の上面は曲面を含む、請求項1~4のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記遮光フレーム準備工程は、前記遮光フレームの前記第2主面に前記凸部を形成する工程を含む、請求項1~
5のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記光学部材形成工程は、前記透光性部材の前記第3面と前記凸部とが前記光反射性部材を介して離隔している前記光学部材を形成する工程を含む、請求項1~
6のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用途等の光源としてLED等の発光素子を用いて構成した高出力の発光装置が用いられるようになってきている。例えば、特許文献1には、車載用の光源として用いられる高出力の発光装置において、発光素子の発光面の周縁部を覆うように放熱層を形成して、放熱効果を高めた発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出せる発光装置を得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法は、
基板上に発光素子を載置する載置工程と、
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有し、前記第1主面から前記第2主面まで達する貫通孔を画定する枠状の遮光フレームであって、前記第2主面に少なくとも1つの凸部を有する遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、
前記遮光フレームの前記第2主面に前記凸部と接する光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、
前記貫通孔を囲む前記第1主面の内周より小さい外周を有する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に連続する第1側面と、前記第1側面より外側に位置し、前記第2面に連続する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連続する第3面と、を有する透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、
前記透光性部材の前記第1側面と前記遮光フレームの内側面とが離隔する位置で前記第3面と前記凸部又は前記凸部と接する前記光反射性樹脂とを接触させることにより前記透光性部材の前記第1側面と前記遮光フレームの内側面との間に前記光反射性樹脂を配置し、前記光反射性樹脂を硬化させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、
前記発光素子の上面と前記第2面とを接合する光学部材接合工程と、
を含み、
前記光反射性樹脂供給工程では、前記供給される前記光反射性樹脂によって前記凸部が少なくとも部分的に覆われる。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成された本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法では、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出せる発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る発光装置の一例を示す模式的平面図である。
【
図2A】
図1のIIA-IIA線における模式的断面図である。
【
図2B】
図1のIIB-IIB線における模式的断面図である。
【
図3A】実施形態に係る発光装置の遮光フレームの一例を示す模式的斜視図である。
【
図3B】実施形態に係る発光装置の遮光フレームの一例を示す模式的平面図である。
【
図4A】実施形態に係る発光装置の透光性部材の一例を示す模式的斜視図である。
【
図4B】実施形態に係る発光装置の透光性部材の一例を示す模式的平面図および模式的側面図である。
【
図5A】実施形態に係る製造方法の一例として遮光フレームに供給された光反射性樹脂を示す模式的斜視図である。
【
図6A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図6B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図7A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図7B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図7C】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図7D】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図7E】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図7F】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図8A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図8B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図9A】実施形態に係る製造方法の一例として透光性部材と光反射性樹脂との接触を説明するための模式的断面図である。
【
図9B】実施形態に係る製造方法の一例として透光性部材と光反射性樹脂との接触を説明するための模式的断面図である。
【
図9C】実施形態に係る製造方法の一例として透光性部材と光反射性樹脂との接触を説明するための模式的断面図である。
【
図10A】凸部の例示的な形態を説明するための模式的平面図である。
【
図11】実施形態に係る製造方法のある様態を説明するための光学部材の模式的断面図である。
【
図12A】実施形態に係る発光装置の遮光フレームの別の一例を示す模式的平面図である。
【
図12B】実施形態に係る発光装置の遮光フレームの別の一例を示す模式的平面図である。
【
図13】シートに遮光フレームを配置する態様の一例を示す模式的斜視図および一部平面図である。
【
図14A】凸部の形成工程の一例を示す模式的断面図である。
【
図14B】凸部の形成工程の一例を示す模式的断面図である。
【
図15A】凸部の例示的な形態を説明するための模式的平面図である。
【
図16A】凸部の例示的な形態を説明するための模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態の製造方法、及びそれにより得られる発光装置(以下では「実施形態の発光装置」と称すことがある)について図面を参照しながら説明する。但し、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具現化するためのものであって、本発明を限定するものではない。以下の説明において参照する図面は、本発明に係る実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔及び位置関係等が誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。断面図は、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。また、本明細書において「被覆」、「覆う」等の用語は直接接する場合に限定するものではなく、特に断らない限り、間接的に(例えば他の部材を介して)被覆する場合も含むものである。
【0009】
≪実施形態の発光装置≫
実施形態の発光装置は、遮光フレームと透光性部材と発光素子とを少なくとも備えている。具体的には、
図1ならびに
図2A及び
図2Bに示すように、発光装置は、基板10と、基板10上に載置された発光素子1と、発光素子1の主たる発光面となる上面に対向するように設けられた透光性部材3と、透光性部材3の側面に設けられた第1光反射性部材9aと、透光性部材3の周りにおいて第1光反射性部材9aと接して設けられた遮光フレーム5とを備える。
【0010】
図3A及び
図3Bに示すように、遮光フレーム5は、第1主面5aと、第1主面5aと反対側の第2主面5bとを有し、第1主面5aから第2主面5bまで達する貫通孔50を画定する枠状の部材である。遮光フレーム5において、第1主面5aと第2主面5bとはそれぞれ貫通孔50を囲む内周を有し、遮光フレーム5は、第1主面5aの内周と第2主面5bとに連なる内側面5cを有する。遮光フレーム5の第2主面5bは少なくとも1つの凸部58を有する。発光装置において、遮光フレーム5の第1主面5aは発光装置の上面の一部を構成している。
図1、
図4A及び
図4Bに示すように、透光性部材3は、遮光フレーム5の第1主面5aの内周より小さい外周を有する第1面3aと、第1面3aの反対側の第2面3bと、第1面3aに連続する第1側面3cと、第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dと、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eと、を有する。透光性部材3の第1面3aは発光装置の上面の一部を構成しており、透光性部材の第2面3bは発光素子1の上面に接合されている。
遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより接合されて光学部材60を構成している。光学部材60において、透光性部材3と遮光フレーム5とは離隔しており、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとが第1光反射性部材9aを介して接合されている。
さらに、実施形態の発光装置は、第1光反射性部材9aと基板10との間に、第2光反射性部材9bを備える。第2光反射性部材9bは、光学部材60の上面を露出し、光学部材60の側面を被覆する。さらに、第2光反射性部材9bは、発光素子1の側面及び基板10の上面を被覆する。以下、第1光反射性部材9aと第2光反射性部材9bとを合わせて「光反射性部材9」と呼ぶことがある。
【0011】
実施形態の発光装置では、遮光フレーム5の貫通孔50に透光性部材3が配置されている。言い換えると、遮光フレーム5は透光性部材3を囲むように配置されている。具体的には、
図2Bに示すように、遮光フレーム5の内側面5cと透光性部材3の第1側面3cとが第1光反射性部材9aを介して接合されるように設けられている。さらに、実施形態の発光装置は、
図1に示すように、上方から(つまり発光装置の光出射面側から)平面視したときに、透光性部材3の第1面3aが第1光反射性部材9a及び遮光フレーム5から露出している。透光性部材3の第1面3aと、遮光フレーム5の上面とは実質的に同じ平面上に位置することが好ましい。つまり、
図2Bに示すように、透光性部材3の第1面3aと遮光フレーム5の第1主面5aとは、互いに面一となっていることが好ましい。
【0012】
実施形態の発光装置では、上方から平面視したときに、遮光フレーム5の第1主面5aは透光性部材3の第1面3aを囲んでおり、遮光フレーム5の第1主面5aと透光性部材3の第1面3aとの間に第1光反射性部材9aが位置している。言い換えると、発光装置を上方から平面視したときに、遮光フレーム5の第1主面5aの内周は透光性部材3の第1面3aの外周より外側に位置しており、透光性部材3の第1面3aと遮光フレーム5の第1主面5aとの間に第1光反射性部材9aが介在している。
【0013】
実施形態の発光装置は、光出射面とそれを取り囲む領域との輝度差を大きくでき、かつ発光素子が出射した光を効率よく取り出すことができる。
実施形態の発光装置において、遮光フレーム5の第1主面5aの内周と透光性部材3の第1面3aの外周との間隔は、5μm以上150μm以下とすることが好ましく、40μm以上60μm以下とすることがより好ましい。これにより、発光装置の光出射面となる透光性部材3の第1面3aの外周の内側と外側における輝度差を大きくすることと、発光素子が出射した光を効率よく取り出すこととを両立することができる。
遮光フレーム5の内側面は、第1主面から第2主面に向かって広がるように傾斜する傾斜側面であってもよく、第1主面に略垂直な側面であってもよい。これにより、遮光フレームの内側面を被覆する第1光反射性樹脂の第1主面5aへの濡れ広がりを抑制することができる。
【0014】
実施形態の発光装置において、遮光フレーム5の第2主面5bは凸部58を有する。具体的には、第2主面5bは、第1主面5aに略平行な平坦部55と、平坦部55から高さ方向(つまり第1主面5aから第2主面5bに向かうA方向)に凸の凸部58を有する。
【0015】
遮光フレーム5は、発光装置の上面において光出射面を除いた部分の輝度を下げるために設けられる部材である。遮光フレーム5の内側には、透光性部材3が配置される。遮光フレーム5の第2主面5bは、製造時において光反射性樹脂が供給される領域である。
【0016】
光学部材形成工程において、第2主面5bに凸部58を備えた遮光フレーム5が用いられることによって、第1光反射性部材9aにてボイドの発生が抑制された光学部材を得ることができる。
【0017】
遮光フレーム5において、凸部58は、遮光フレーム5の厚みが部分的に増した肉厚部分に相当する。このような遮光フレーム5に対して光反射性樹脂が供給されると、遮光フレーム5上の光反射性樹脂の高さは、凸部58に起因して全てが一定の高さにはならない。例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように、光反射性樹脂供給工程で第2主面5bに供給された光反射性樹脂9a’は局所的に異なる高さを有する。つまり、凸部58上に位置する光反射性樹脂9a
1’の第1主面5aからの高さは、平坦部55上に位置する光反射性樹脂9a
2’の第1主面5aからの高さよりも高い。このように凸部58上に設けた光反射性樹脂の高さが高いことにより、光学部材形成工程におけるボイド発生を抑制することができる。具体的には、光学部材形成工程では、光反射性樹脂9a’と透光性部材3の第3面3eとを接触させることにより、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとの間に光反射性樹脂9a’を移動させるが、その際、凸部58により、透光性部材3と光反射性樹脂9a’とを時間差で接触させることができる。つまり、凸部58を、光反射性樹脂9a’が透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとの間に移動する際の起点とすることができる。起点を設けることにより、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとの間において光反射性樹脂9a’の移動方向を制御することが可能となる。これにより、光反射性樹脂9a’が透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとの間を移動する際に、空気を外部へと逃げ易くし、ボイド発生を抑制することができる。
【0018】
光反射性部材のボイドが抑制された光学部材を用いることにより、発光装置の光の取り出しをより一層向上させることができる。さらに、ボイド発生の抑制によって、発光装置の構成要素同士の接合強度を向上させることもできる。
【0019】
以下、実施形態の発光装置の全体構成および各構成部材について詳述する。
【0020】
実施形態の発光装置において、透光性部材3は発光装置の光出射面となる第1面3aと、その第1面3aの反対側の第2面3bとを有している。透光性部材3の第1面3aは遮光フレーム5の第1主面5aの内周より小さい外周を有している。
図1に示すように、上方からの平面視において、透光性部材3は、その第1面3aの面積が第2面3bの面積よりも小さくなっている。また、上方からの平面視において、透光性部材3の第1面3aの外周は、透光性部材3の第2面3bの外周より内側に位置している。なお、透光性部材3の第1面3aの外周の一部は、第2面3bの外周と一致していてもよい。
透光性部材3の第1面3aの面積を第2面3bの面積よりも小さくすることにより、透光性部材3の第2面3bに入射される発光素子1からの出射光を、より小さな面積である第1面3aから放出させることができる。つまり、透光性部材3を通過することにより発光面の面積が絞られて、高輝度でより遠くを照らすことが可能となる。正面輝度の高い発光装置は、特にヘッドライト等の車載照明に適している。なお、車載照明においては、その灯火類の色について様々な規定が有り、例えば前照灯(ヘッドライト)の灯光の色は白色または淡黄色であり、そのすべてが同一であることが定められている。
【0021】
透光性部材3においては、上記したように第1面3aと第2面3bとの大きさが異なっており、透光性部材3は鍔部30を有する。具体的には、
図4Aおよび
図4Bに示すように、透光性部材3は、第1面3aに連続する第1側面3cと、その第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dとを有しており、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eを有している。図示するように、透光性部材3では、第2面3bの一部と第3面3eと第2側面3dとによって鍔部30が構成されている。端的にいえば、透光性部材3は、第2面3bの面積が第1面3aの面積よりも大きくなっていることに起因して、透光性部材3に鍔部30が設けられている。
【0022】
透光性部材3において第2面3bの外周の少なくとも一部は、発光装置を上方から平面視したときに遮光フレーム5の貫通孔50の内周の外側に位置する。
図1に示す実施形態の発光装置では、透光性部材3の第2面3bの外周のうち、第2側面3dに連なる部分が、上方から平面視したときに貫通孔50の内周よりも外側に位置している。透光性部材3の第2面3bの外周が例えば矩形を有する場合、第2面3bの外周の少なくとも一辺、例えば対向する2辺、好ましくは対向する2つの長辺が遮光フレーム5の内周よりも外側に位置することが好ましい。
【0023】
つまり、かかる実施形態の発光装置では、発光装置を上方から平面視したときに、遮光フレーム5の内側には、透光性部材3の第1面3aとその第1面3aの外周を取り囲む第1光反射性部材9aの上面が配置されている。この際、遮光フレーム5の内側の領域において、第1光反射性部材9aの下方の少なくとも一部に、透光性部材3が位置する。これにより、透光性部材3の第1面3aと遮光フレーム5の第1主面5aとの間において、仮に第1光反射性部材9aにクラックや剥離が生じたとしても、第1光反射性部材9aから漏れる光は透光性部材3から出射される光のみとなり易い。
透光性部材3の第2面3bの外周が略長方形である場合、少なくとも第2面3bの外周の対向する2つの長辺が遮光フレーム5の内周の外側に位置するように構成することが好ましい。これにより、車両用灯具等に適した、縦方向(つまり短辺方向)より横方向(つまり長辺方向)に、より広がりが確保された配光パターンを有する発光装置を得ることができる。
さらに、発光装置の上面において、遮光フレーム5に覆われる光反射性部材9からの漏れ光は遮光フレーム5により遮光される。このため、仮に発光素子1の側方に位置する光反射性部材9にクラックや剥離が生じたとしても、発光素子1の側面から出射された光がクラック及び/又は剥離箇所を通過して光出射面に漏れ伝わることをより一層効果的に抑制できる。
【0024】
実施形態の発光装置の一形態において、
図1に示すように、透光性部材3の第1面3aの外周の少なくとも一部は、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置する。例えば、透光性部材3の第1面3aが長辺と短辺を有する略長方形状の場合、長辺が、平面視において透光性部材3の長辺側に位置する発光素子1の外周よりも内側に位置することが好ましい。
これにより、複数の発光素子1から出た光を集光して、透光性部材3の第1面3aから出射することができる。よって、発光素子1が発光した光をより光束密度の高い状態で発光装置の光出射面である透光性部材3の第1面3aから出射することができる。
【0025】
(基板)
基板10は、発光素子1等を支持する部材である。基板10は、少なくともその表面に発光素子1に電気的に接続される配線を有する。基板10の主な材料としては、絶縁性材料であって、発光素子1からの光及び外からの光が透過しにくい材料が好ましい。例えば、基板10の主な材料として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン及びポリフタルアミド等から選択された少なくとも一種の樹脂を挙げることができる。なお、樹脂が用いられる場合には、必要に応じて、ガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化アルミニウム等から選択された少なくとも一種の無機フィラーが樹脂に混合されてもよい。これにより、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることができる。また、基板10は、金属部材の表面に絶縁性材料を介して配線が形成されたものでもよい。かかる配線は、上記絶縁性材料の上に、所定のパターンで形成される。配線の材料として、Au、Ag、Cu、Fe、Ti、Pd、Ni、Cr、Rt、W及びAlから選択された少なくとも一種を挙げることができる。配線は、めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0026】
(発光素子)
発光素子1としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子1は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、ZnSe及びGaPから選択された少なくとも一種を用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成、発光色、大きさ、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長の光を発することが可能な窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を好適に挙げることができる。発光素子1の発光波長は、半導体層の材料及びその混晶度によって種々選択できる。
【0027】
実施形態の発光装置に用いる発光素子1は、例えば、同一面側に正負の電極を有する。
図2Aに示すように、発光素子1は、導電性接合部材11を介して基板10上にフリップチップ実装されていてよい。尚、
図2Aでは、発光素子1の正負の電極に接続される導電性接合部材11を簡略化して描いているが、実際には、同一面側に設けられた正負の電極それぞれに接続するように設けられる。発光素子1の正負の電極が、それぞれ導電性接合部材11を介して基板10上に設けられた正負の配線に接続されている。また、発光素子1は、電極形成面を下面として基板10に載置され、その下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子1は、バンプ、導電ペーストなどの導電性接合部材11を用いて基板10上に接続できるので、金属ワイヤなどで接続される発光素子と比較して、電極と基板との接触面積を大きくでき、接続抵抗を低くできる。
導電性接合部材としては、例えば、Au、Ag、Cu、又はこれらを含む合金等からなるバンプ、Sn-Bi系、Sn-Cu系、Sn-Ag系、Au-Sn系などの半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、Au、Ag、Pdなどの導電ペースト、ACP、ACF等の異方性導電材、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた導電性接着剤等が挙げられる。
【0028】
発光素子1の平面視形状は、例えば、矩形状である。発光素子1は、例えば、透光性の支持基板上に窒化物半導体層を積層させた発光素子であり、支持基板側が発光素子1の主な光出射面(つまり上面)となる。なお、支持基板は、研磨、レーザーリフトオフ等で除去してもよい。
【0029】
(透光性部材)
透光性部材3は、発光素子1から出射される光を透過して外部に放出する部材である。透光性部材3は、発光素子1から出射される光及び/又は発光素子1からの光が波長変換された光(例えば、波長320nm~850nmの範囲の光)の60%以上を透過するものが挙げられ、70%以上の光を透過するものが好ましい。
透光性部材3は実質的に発光装置の光出射面となる第1面3aとその反対側の第2面3bと、第1面3aに連続する第1側面3cと、第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dと、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eとを有する。透光性部材3の第2面3bの面積は透光性部材3の第1面3aの面積よりも大きい。上述したように、透光性部材3は、その側部にて鍔部30を備えている。鍔部30は、第2面3bの一部と第3面3eと第2側面3dとによって構成されている。
【0030】
透光性部材3は、例えば、ガラス、セラミックス、サファイア等の無機材料、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等の有機材料のいずれによって形成されていてもよい。
透光性部材3は、光拡散材、および/または、入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有していてもよい。蛍光体を含有する透光性部材は、例えば、蛍光体の焼結体、上述した材料に蛍光体を含有させたもの等が挙げられる。また、樹脂、ガラス、セラミックス等の成形体の表面に蛍光体を含有する層を備えたものでもよい。透光性部材3の第1面3aから第2面3bまでの厚みは、例えば50μm~300μm程度である。
透光性部材3と発光素子1とは、
図2Aに示すように、例えば、導光部材13を介して接合されていてよい。また、透光性部材3と発光素子1との接合には、導光部材13を用いることなく、圧着、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合等による直接接合法が用いられてもよい。
【0031】
透光性部材3に含有させることができる蛍光体としては、発光素子1からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体、CaAlSiN3:Euで表されるCASN系蛍光体、(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表されるSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、K2SiF6:Mnで表されるKSF系蛍光体、硫化物系蛍光体、並びに量子ドット蛍光体などから選択された少なくとも一種が挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0032】
透光性部材3の第1面3a及び第2面3bの平面視形状は例えば略矩形状である。ここでいう「矩形」とは正方形を含む。
例えば1つの透光性部材3の第2面3bに対して複数の発光素子1が接合される場合、透光性部材3の第2面3bは、その複数の発光素子1の全てを内包するような形および大きさを有することが好ましい。
【0033】
透光性部材3の平面視形状が矩形である場合、その対向する辺において対を成すように鍔部30が設けられていることが好ましい。つまり、矩形の互いに対向する辺の少なくとも1組に対して鍔部30が設けられていることが好ましい。これにより透光性部材3と遮光フレーム5との第1被覆部材による接合を容易に行うことができる。
図1に示すように、透光性部材3は、例えばその第1面3aおよび第2面3bが平面視形状として長方形を有している。このように透光性部材3の平面視形状が長方形である場合、少なくとも長方形の対向する長辺側において対を成すように鍔部30が設けられていることが好ましい。
【0034】
(遮光フレーム)
遮光フレーム5は、発光装置の上面において光出射面を除いた部分の輝度を下げるために設けられる部材である。光出射面を除いた部分の輝度を下げるためには、透光性部材3の第1面3a以外から外部に漏れる光を遮光する必要がある。この機能を考慮すると、遮光フレーム5は、例えば、光を透過させずに、光を反射及び/又は吸収する材料からなる部材、または表面に光を反射及び/又は吸収する材料からなる膜を備えた部材であることが好ましい。
【0035】
遮光フレーム5は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、第1主面5aと、その反対側の第2主面5bと、第1主面5aから第2主面5bに達する貫通孔50を有している。遮光フレーム5は、貫通孔50を画定する枠状の部材である。遮光フレーム5は、第1主面5aと第2主面5bとがそれぞれ略平坦で略平行な平板状であるが、局所的に、その厚み(つまり第1主面5aから第2主面5bまでの最短距離)が一定でない箇所を有する。具体的には、遮光フレーム5は、局所的に厚みが増した凸部58を備えている。凸部58は、発光装置の光出射面側の第1主面5aの反対側となる第2主面5bに設けられている。
【0036】
遮光フレーム5を構成する材料としては、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、セラミックス、ガラス、紙、金属等、及びこれらの材料の2種以上からなる複合材料などから選択して構成することができる。遮光性に優れ、劣化しにくい材料であることを考慮して、例えば金属からなる金属フレームまたは表面に金属膜を備えたフレームから遮光フレーム5が構成されてよい。金属材料としては、Cu、Fe、Ni、Cr、Al、Au、Ag、Ti、またはこれらの合金等が挙げられる。
さらに、遮光フレーム5は、発光装置内部からの漏れ光を抑制するだけでなく、外部からの光の反射を抑制する機能を備えていることがより好ましい。外部からの光の反射を抑制する機能としては、例えば、光出射面側の第1主面5aの表面に微細な凹凸を有すること、光吸収率の高い材料を用いること、などが挙げられる。微細な凹凸としては例えば平均算術粗さRa0.5μm以上1.0μm以下の凹凸が挙げられる。なお、遮光フレーム5の表面が微細な凹凸を有する場合、遮光フレーム表面の液体に対する濡れ性が高くなり、各部材を構成する樹脂が遮光フレームの表面に濡れ広がりやすくなる。このため、例えば、遮光フレーム5の第1主面5aの縁には微細な凹凸加工を施さないことが好ましい。光吸収率の高い材料としては、黒色ニッケルめっき材、黒色クロムめっき材等が挙げられる。
遮光フレーム5の平坦部55における厚みは、発光装置として使用するときの強度を保ちつつ、軽さ、変形しにくさ等を考慮し、20μm~200μm程度とすることが好ましく、30μm~80μm程度とすることがより好ましい。
【0037】
遮光フレーム5は、平面視において、その外周が発光装置の外周と一致するように設けられてもよく、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周よりも内側に位置するように設けられてもよい。遮光フレーム5の外周が発光装置の外周よりも内側に位置するように設けられている場合には、製造工程において集合基板を用いて製造する際に、発光装置を単位領域ごと(つまり個々の発光装置となる領域ごと)に分割する分割工程において、分割線上に遮光フレーム5が配置されず、分割時の遮光フレーム5の位置ずれ等が抑制される。
平面視において、透光性部材3を取り囲む遮光フレーム5の幅(つまり遮光フレーム5の内周から外周までの最短距離)は、透光性部材3において発光装置の光出射面となる第1面3aの外周の内側と外側との輝度差を大きくすることを考慮すると、130μm以上であることが好ましい。また、製造工程における取り扱いの容易さを考慮すると、例えば500μm以上であることがより好ましい。
遮光フレーム5の幅は、全周にわたって一定の幅であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。遮光フレーム5の幅が部分的に異なる場合、少なくとも全周にわたって130μm以上の幅を有し、かつ、部分的に500μm以上の幅を有することがより好ましい。
【0038】
(光反射性部材)
光反射性部材9は、遮光フレーム5と透光性部材3とを接合する第1光反射性部材9aと、第1光反射性部材9aと基板10との間にて発光素子1の側面を覆うように設けられる第2光反射性部材9bとを含んでいてよい。
【0039】
光反射性部材9は、発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆している。光反射性部材9は、発光素子1の側面および透光性部材3の側面から出射される光を反射して発光装置の光出射面となる透光性部材3の第1面3aから光を出射させる。このように発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆する光反射性部材9を設けることで発光装置の光の取りだし効率を高くできる。光反射性部材9は、発光素子1からの光に対して60%以上の反射率を有し、90%以上の反射率を有することが好ましい。光反射性部材9は、例えば、光反射性物質を含有する樹脂(光反射性樹脂とも称する)から形成することができる。詳細を後述するように、第1光反射性部材9aと第2光反射性部材9bとは別個に形成されるものであり、互いに異なる光反射性樹脂を用いて形成してよく、同一の光反射性樹脂から形成してもよい。
【0040】
光反射性部材9を構成する母材の樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等を用いることができる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等も用いることができる。なかでも、耐熱性および耐光性に優れる点でシリコーン樹脂を用いることが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、母材の樹脂に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。具体的には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びムライトなどから選択された少なくとも一種を用いることができる。なかでも、光反射の観点から、屈折率が比較的高い酸化チタンを用いることが好ましい。また、光反射性物質として、母材の樹脂の屈折率と異なる粒子を母材の樹脂中に分散させてもよい。光反射性物質の材料、樹脂に対する含有濃度等により、得られる光反射性部材の反射率が異なる。よって、発光装置の形状および/または大きさに応じて、光反射性物質の所望の材料、濃度等を調整してよい。
また、光反射性部材は光反射性物質に加え、粘度を調整するためのフィラー、その他の顔料、蛍光体等を含有していてもよい。特に、透光性部材3が蛍光体を含有する場合、発光素子1の側面を被覆する第2光反射性部材9bにも蛍光体を含有させることにより、発光装置の側面から、発光素子1の発光色が視認されることを抑制できる。
【0041】
(導光部材)
発光装置において、透光性部材3と発光素子1とは、導光部材13を介して接合することができる。導光部材13は発光素子1と透光性部材3との間に介在し、両者を接合する。
図2Aに示すように、導光部材13は、発光素子1の側面の一部または全部を被覆していてよい。このように構成された導光部材13は、発光素子1の上面及び側面からの出射光を透光性部材3へと効率よく導光させることができる。
【0042】
導光部材13は、取り扱いおよび加工が容易であるという観点から、樹脂を用いることが好ましい。導光部材13に用いる樹脂は透光性を有する樹脂であることが好ましく、光反射性部材9の母材の樹脂として例示したものを用いてよい。
【0043】
(その他の部材)
発光装置は、任意に、保護素子等の別の半導体素子、電子部品等を有していてもよい。これらの部材は、基板10上に配置され、光反射性部材9に埋設されていることが好ましい。また、これらの部材は、基板10の配線を介して発光装置と電気的に接続されていてよい。また発光装置の小型化のために、部品の少なくとも一部が平面視において遮光フレーム5と重なるように配置されることが好ましい。
図1に示される発光装置では保護素子6が設けられている。この保護素子6は、その一部が遮光フレーム5の直下に位置するように、光反射性部材9に埋設されている。
【0044】
≪実施形態の発光装置の製造方法≫
実施形態の発光装置の製造方法は、基板上に発光素子を載置する載置工程と、遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、遮光フレームに光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、遮光フレームと透光性部材とが光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、発光素子と光学部材とを接合する光学部材接合工程と、を少なくとも含んでいる。
【0045】
かかる実施形態の製造方法により、例えば、
図1ならびに
図2Aおよび
図2Bに示す実施形態の発光装置を得ることができる。以下、実施形態の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0046】
(載置工程)
ここでは、基板10上に発光素子1を載置する。例えば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、基板10に少なくとも1つの発光素子1をフリップチップ実装する。具体的には、例えば、同一面側に正負の電極を有する発光素子1を、正負の電極を有する面が基板10上に設けられた配線に対向するように導電性接合部材11により接合する。
図6Bでは、
図2A等と同様、発光素子1の正負の電極及び基板10上に設けられた正負の配線に接続される導電性接合部材11を区別することなく簡略化して描いている。
発光素子1は、半導体成長等の工程を経るなど、製造工程の一部又は全てを経ることで準備することができる。あるいは、発光素子1は、購入等により準備することもできる。
【0047】
(遮光フレーム準備工程)
ここでは、第1主面5aと、その反対側の第2主面5bと、第1主面5aから第2主面5bまで貫通する貫通孔50とを有する遮光フレーム5を準備する。
図3Aおよび
図3Bに示すように、遮光フレーム5は、その第2主面5bに凸部58を有する。遮光フレーム5の凸部58は第2主面5bの平坦部55の一部が部分的に突き出たような形態を有している。例えば、遮光性を有する板状の部材であって、予め凸部を有する板状部材を切削加工、打ち抜き加工および/またはプレス加工等の機械加工手段によって貫通孔50を形成し、遮光フレーム5を準備してよい。また、貫通孔50を画定する平坦な枠状の遮光フレーム前駆体に対して、凸部を別途で形成することによって遮光フレーム5を準備してもよい(これについては後述する)。
さらにいえば、遮光フレーム5は、凸部58を含め上述した所望の形状に予め加工されたものを購入等により準備してよい。
【0048】
(光反射性樹脂供給工程)
ここでは、遮光フレーム5の第2主面5bに光反射性樹脂9a’を供給する。
遮光フレーム5への光反射性樹脂9a’の供給は、遮光フレーム5をシート等の支持体上に固定して行うことが好ましい。具体的には、
図7Aに示すように、遮光フレーム5の第1主面5aがシート4の上面に対向するように、遮光フレーム5をシート4上に固定する。複数の遮光フレームをシート上に個々に配置してよいし、複数の遮光フレームが行方向及び/又は列方向に連結したものを準備し、それらを一括してシート上に配置してもよい。シートは、表面に粘着性を有する耐熱性のシートを用いてよい。シートの基材としては、例えばポリイミドが挙げられる。
【0049】
光反射性樹脂供給工程では、
図7Bに示すように、遮光フレーム5の第2主面5bに凸部58と接する光反射性樹脂9a’を供給する。この際、光反射性樹脂9a’によって凸部58が少なくとも部分的に、好ましくは凸部58の全てが光反射性樹脂9a’によって覆われるように光反射性樹脂9a’が供給される。
光反射性樹脂9a’の供給量は、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとの間及び透光性部材3の第3面3eと遮光フレーム5の第2主面5bとの間に光反射性樹脂が配置されることを可能とする量である。例えば、光反射性樹脂9a’は、供給時において、遮光フレーム5の第2主面5bの略全面に濡れ広がり、かつ、遮光フレーム5の内側面5cに濡れ広がらない程度に、粘度や配置する量を調整することが好ましい。
【0050】
光反射性樹脂9a’の供給は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。例えば、樹脂吐出装置のノズルを用いて、そのノズルの先端から連続的に、あるいは断続的に第2主面5b上に光反射性樹脂9a’を吐出することによって、遮光フレーム5に光反射性樹脂9a’を供給してよい。例えば、ノズルから光反射性樹脂9a’を断続的に吐出させながらノズルを移動させることで遮光フレーム5上に光反射性樹脂9a’を線状に供給することができる。
供給時の光反射性樹脂9a’の粘度は、例えば5Pa・s以上15Pa・s以下である。これにより、光反射性樹脂9a’の透光性部材3と貫通孔50との間への流動を確保し易くなると共に、透光性部材3の第1面3aへの光反射性樹脂9a’の濡れ広がりを抑制し易くなる。
【0051】
(透光性部材準備工程)
ここでは、鍔部30を備えた板状の透光性部材3を用意する。具体的には、
図1、
図4A及び
図4Bに示すように、遮光フレーム5の第1主面5aの内周より小さい外周を有する第1面3aと、その反対側の第2面3bと、第1面3aに連続する第1側面3cと、第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dと、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eとを有する透光性部材3を準備する。
【0052】
透光性部材3は、いずれの常套的な手法で作製できる。例えば、ブレードなどの機械加工手段を用いた切削加工を通じて、鍔部30を備えた板状の透光性部材3を作製してよい。また、所望の形状に予め加工された透光性部材3を購入等により準備してよい。
【0053】
(光学部材形成工程)
図7C~
図7Fは、光学部材形成工程を示す断面図である。
ここでは、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより接合された光学部材60を得る。具体的には、透光性部材3の配置に伴って、遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’を透光性部材3と遮光フレーム5との間へと移動させた後で硬化して第1光反射性部材9aを形成する。これにより、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより支持された光学部材60が得られる。
【0054】
図7C~
図7Eに示すように、光学部材形成工程では、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとが離隔する位置で透光性部材3を遮光フレーム5の貫通孔50に配置させる。この際、
図7Dおよび
図7Eに示すように、透光性部材3の第3面3eと光反射性樹脂9a’とが接触することによって、光反射性樹脂9a’が押圧され、遮光フレーム5及び透光性部材3の表面を伝って光反射性樹脂9a’が移動する。これにより、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の貫通孔50の内側面5cとの間に光反射性樹脂9a’が配置される。その後、光反射性樹脂9a’を硬化させて第1光反射性部材9aが形成される。このようにして、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより接合された光学部材60を得ることができる。
第1光反射性部材9aは、
図7Fに示すように、遮光フレーム5と透光性部材3との間において、その表面に引けが生じる。つまり、遮光フレーム5上に配置された光反射性樹脂9a’は、透光性部材3で押圧されることにより遮光フレーム5と透光性部材3との間に移動し、遮光フレーム5上に残った光反射性樹脂9a’は、表面張力により、より小さな表面積を保とうとして、透光性部材3に沿った形状となる。
【0055】
図7C~
図7Fに示すように、遮光フレーム5の貫通孔50への透光性部材3の配置に際しては、透光性部材3の第1面3aがシート4に接触する前に、透光性部材3の第3面3eが光反射性樹脂9a’に接触することが好ましい。具体的には、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとが離隔する位置で透光性部材3の第1面3aがシート4と対向するように、透光性部材3を遮光フレーム5の貫通孔50内に配置させる過程で透光性部材3を遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’と接触させる。これにより、光反射性樹脂9a’が透光性部材3により押圧され、遮光フレーム5と透光性部材3との間に移動する。
【0056】
より具体的には、
図7Cに示すように、透光性部材3の第2面3bの一部が遮光フレーム5の直上に位置するように配置し、
図7Dに示すように、透光性部材3の第3面3eを光反射性樹脂9a’と接触させる。この接触によって、
図7Eに示すように、光反射性樹脂9a’が透光性部材3の鍔部30から第1側面3c側へと移動し、
図7Fに示すように、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の内側面5cとの間に光反射性樹脂9a’が移動する。
【0057】
尚、光学部材形成工程において、遮光フレーム5および透光性部材3の双方が矩形状を有する場合、当該矩形にとって好適な配置が行われてよい。具体的には、遮光フレーム5の第1主面5aの内周及び透光性部材3の第2面3bがいずれも長辺と短辺を有する長方形である場合、平面視で第2面3bの長辺と第1主面5aの内周の長辺間の距離及び第2面3bの短辺と第1主面5aの内周の短辺間の距離がそれぞれ略等しくなるように透光性部材3と遮光フレーム5とを配置してよい。
【0058】
また、光学部材形成工程では透光性部材3の遮光フレーム5内への配置のためにコレット等を用いてよい。例えば、コレットなどの吸着手段70によってピックアップした状態で透光性部材3を遮光フレーム5の貫通孔50に配置してよい。そのような吸着手段で透光性部材3を配置した後、引き続いて透光性部材3を押圧することによって、透光性部材3の鍔部30と接触する光反射性樹脂9a’をより早く所望の領域に移動させることができる。
【0059】
光学部材形成工程前において、透光性部材3の鍔部30と遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’との接触に際しては、遮光フレーム5の凸部58上の光反射性樹脂9a’から透光性部材3の第3面3eが接することになり、次いで時間差を伴って当該第3面3eは光反射性樹脂9a’の他の箇所と接することになる。
【0060】
(光学部材接合工程)
ここでは、
図8Aに示すように、基板10に載置した発光素子1の上面と、透光性部材3の第2面3bとを互いに対向させて、発光素子1上に光学部材60を接合する。
つまり、光学部材60における透光性部材3の第2面3bを発光素子1の上面に対して位置合わせし、透光性部材3を、例えば導光部材13によって発光素子1と接合する。
図1ならびに
図2A及び
図2Bに示す実施形態の発光装置を得る場合、光学部材は、例えば、透光性部材3の第2面3bの外周が、上方から平面視したときに発光素子1の外周の外側に位置するように、かつ、透光性部材3の第1面3aの外周の少なくとも一辺、好ましくは外周全てが、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置するように、位置合わせをする。
【0061】
光学部材60の透光性部材3の第2面3bと発光素子1の上面とを接合する際、予め第2面3bに導光部材13となる未硬化の樹脂を塗布した透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてよいし、発光素子1の上面に導光部材13となる未硬化の樹脂を塗布した後に光学部材60の透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてもよい。導光部材13となる樹脂の塗布量及び粘度、透光性部材3を発光素子1上に載置する際の荷重等は、導光部材13の所望の形状を考慮して適宜設定してよい。
【0062】
(第2光反射性部材形成工程)
ここでは、第1光反射性部材9aと基板10との間において、発光素子1の側面を被覆する第2光反射性部材9bを形成する。具体的には、第2光反射性部材9bとなる未硬化の第2光反射性樹脂9b’を、基板10と遮光フレーム5との間に配置する。これにより、
図8Bに示すように、基板10と遮光フレーム5との間で発光素子1と透光性部材3とを囲む第2光反射性部材9bを形成することができる。
例えば、基板10よりも一回り小さい(つまり平面視において外縁が基板10に内包される大きさの)遮光フレーム5を用いた場合、遮光フレーム5の外側から、基板10と遮光フレーム5との間の空間に第2光反射性樹脂9b’を供給することができる。このように基板10と遮光フレーム5との間に第2光反射性樹脂9b’を供給した後、第2光反射性樹脂9b’を硬化させることで、第2光反射性部材9bが形成される。
【0063】
以上のようにして、実施形態の発光装置は製造される。
【0064】
上記説明は、単一の発光装置が示される図面を参照して行った。
しかしながら、実施形態の発光装置の製造方法では、基板として、それぞれ個々の発光装置に対応する複数の単位領域に区分されたものを用いて複数の発光装置を一括して作製した後に、個々の発光装置へと分離してよい。
【0065】
具体的には、以下のようにして複数の発光装置を作成することができる。
(1)発光素子載置工程において、集合基板上の複数の単位領域にそれぞれ1以上の発光素子を載置する。
(2)光学部材形成工程において、上記複数の単位領域それぞれに配置する複数の光学部材を形成する。
(3)光学部材接合工程において、上記複数の単位領域それぞれに載置された1以上の発光素子を一括して覆うようにそれぞれ光学部材を接合する。
(4)第2光反射性部材形成工程において、集合基板と光学部材における遮光フレームの間に第2光反射性樹脂を充填する。
(5)第2光反射性部材形成工程後に、分割工程において、光反射性部材及び基板を単位領域ごとに分割することで、発光装置を個片化する。分割は、例えばブレード等を用いた切断により行うことができる。
この単位領域ごとに分割することを考慮すると、単位領域ごとに分割する際の分割位置が遮光フレームの外周から離れていることが好ましい。言い換えれば、各遮光フレームは、発光装置の外形より一回り小さいことが好ましい。この場合、例えば、遮光フレームとして、発光装置の外形より一回り小さい複数の遮光フレームを用いてよい。
【0066】
上記の発光装置の製造方法では、複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置に分離するので、複数の発光装置を簡易に製造できる。
【0067】
以下では、遮光フレームが有する凸部について詳述する。本発明に係る実施形態では、
図3Aおよび
図3Bに示すように、第2主面5bに平坦部55と凸部58とを有する遮光フレーム5を用いる。このような遮光フレーム5は、発光装置の製造時においてボイドの発生を抑制することができる。より具体的には、光反射性樹脂供給工程で第1光反射性樹脂によって少なくとも部分的に覆われる凸部58を備えた遮光フレーム5を用いることによって、光学部材にボイドが含まれることを抑制することができる。
【0068】
上述したように、本発明に係る実施形態において、遮光フレーム5の凸部58は、光学部材形成工程においてボイド発生を抑制するような光反射性樹脂9a’の移動を促す作用を有している。
透光性部材と光反射性樹脂との時間差を伴う接触について
図9A~
図9Cの模式図を用いて詳述しておく。
図9A~
図9Cに示されるように、光学部材形成工程は、凸部58を介して光反射性樹脂9a’を透光性部材3の第3面3eに移動させる工程を含んでいる。
【0069】
まず
図9Aに示すように、光反射性樹脂9a’が配置された遮光フレーム5に対して透光性部材3が配置される。光反射性樹脂9a’と透光性部材3との接触は、
図9Bに示すように、凸部58上の光反射性樹脂9a’と透光性部材3の第3面3eとがまず接触する。凸部58上の光反射性樹脂9a’がその最頂部を成しているからである。光反射性樹脂9a’と透光性部材3の第3面3eとが接触すると、凸部58上の光反射性樹脂9a’が透光性部材3の第3面3eへと濡れ拡がる。つまり、凸部58を介して光反射性樹脂9a’が透光性部材3の第3面3eに移動する。これは、透光性部材3の鍔部30と遮光フレーム5との間が光反射性樹脂9a’で満たされるように光反射性樹脂9a’が凸部58を起点として移動することを意味している。
【0070】
次いで、
図9Bおよび
図9Cに示すように透光性部材3がより下降するに伴い、凸部58上の光反射性樹脂9a’に加えて平坦部55上の光反射性樹脂9a’が透光性部材3の第3面3eと接触することになる。これにより、光反射性樹脂9a’が透光性部材3からの押圧作用をより受けるようになる。よって、凸部58を起点とする光反射性樹脂9a’の第3面3eへの濡れ拡がりと共に光反射性樹脂9a’が透光性部材3から受ける押圧力によって、光反射性樹脂9a’が透光性部材3と遮光フレーム5の貫通孔との間を埋めることになる。最終的には、
図9Cに示すように鍔部30と遮光フレーム5との間が光反射性樹脂9a’で実質的に隙間なく満たされ、遮光フレーム5と透光性部材3とが光反射性樹脂9a’によって接合された光学部材60が得られる。
【0071】
図3Aおよび
図3Bに示すように、遮光フレーム5は、平面視形状が略長方形の内周と外周を有し、内周(より詳細には内側面5c)の形状により貫通孔50の形状が画定される。つまり、
図3Bに示すように、上から平面視したときの遮光フレーム5の形状が略長方形となっている。なお、本明細書でいう「略長方形」とは、当業者の認識としておおよそ長方形に通常含まれる形状も含んでいる。例えば、辺が全て直線状の長方形のみならず、辺の少なくとも一部に曲線を含む長方形、さらには、Rが付いた角部分を有する長方形などが含まれる。
【0072】
ある態様において、凸部は、平面視略長方形の貫通孔を画定する遮光フレームにおいて、長方形の長辺側に対して少なくとも1つ設けられている。つまり、上から平面視したときの内周の形状が略長方形である遮光フレームにおいて、凸部は、内周の長辺を含む第2主面に対して配置されていてよい。長方形の内周を有する遮光フレームにおいて、長方形の長辺側に相当する箇所は、特にボイドが生じ易い箇所である。なぜなら、長辺側に相当する箇所は、光学部材の形成に際して透光性部材と光反射性樹脂とがより長い距離で接触する箇所であり、光反射性樹脂が「透光性部材と遮光フレームとの間」に移動する際に空気が外部に逃げ難い領域であるからである。これにつき、実施形態に係る発光装置で用いる遮光フレームは、その空気が逃げにくい長辺側に設けられた凸部によって、ボイド発生をより効果的に抑制できる。換言すれば、ボイドの発生抑制といった効果は、凸部が遮光フレームの長辺側に設けられた場合、より顕在化し易い。
【0073】
平面視形状が略長方形枠状の遮光フレームにおいて、長方形の長辺側に設けられる凸部は、辺の中央近傍ではなく辺の端部近傍に配置されていてよい。
図3Bを用いて例示すれば、略長方形枠状の遮光フレーム5において、長辺52に設けられる凸部58は、長辺52の中央領域52Mではなく、端部領域52Nに配置されてよい。つまり、
図3Bでは略長方形を成す遮光フレーム5の長辺52の端部領域52Nに凸部58が設けられている。このように遮光フレームの端部領域52Nに凸部が配置されていると、その端部領域上の光反射性樹脂が最頂部を有するので、光学部材形成工程で透光性部材と光反射性樹脂とが接触するに際して、端部領域から漸次的に透光性部材と光反射性樹脂とが接していくことになる。よって、長辺の一方から他方へと空気が逃げやすくなり、ボイドの発生がより抑制された光学部材が得られ易い。
【0074】
凸部58は、遮光フレーム5において局所的に肉厚の形状を有している。断面視において、凸部58は上側よりも下側が幅広であることが好ましい。光学部材形成工程で、凸部58上に位置する光反射性樹脂9a’と透光性部材3の鍔部30との好適な点接触がもたらされ易くなるからである。つまり、光学部材形成工程で透光性部材3と光反射性樹脂9a’とが接触するに際して、凸部58を起点として、光反射性樹脂9a’が透光性部材3の第3面3eへと濡れ拡がり易くなる。よって、光学部材形成工程でもたらされる光反射性樹脂9a’高さに起因した時間差が、点接触に起因してより顕著となり得、ボイド発生をより効果的に抑制できる。
【0075】
例えば、凸部58の幅寸法は、凸部58の頂端に向けて小さくなることが好ましい。具体的な形状を例示すると、凸部58の断面視形状は、半円形、三角形、または円錐台形などが挙げられる。
【0076】
図10A~
図10Dには、断面視形状として半円形状、三角形状、台形状を有する凸部58を示している
図示するように、凸部58は上側よりも下側が幅広となっている。具体的には、凸部58において、相対的に上側の寸法をWaとし、相対的に下側の寸法をWbとすると、Wa<Wbとなっている。また、半円形状の凸部58では、その頂端に向けて幅寸法が次第に減少している。このような形状の凸部は、光学部材形成工程で、凸部上の光反射性樹脂と透光性部材の鍔部との接触が点接触となり易い。
【0077】
図10Aに示すように、凸部58は、遮光フレーム5の第2主面5bにおいて、より内周側に設けられていることが好ましい。つまり、遮光フレーム5の幅方向(つまり内周から最も近い位置にある外周に向かう方向)において、相対的に内側に、すなわち、より貫通孔50側に凸部58が設けられていることが好ましい。これにより、光学部材形成工程で透光性部材3が遮光フレーム5に対して配置された際に、遮光フレーム5の凸部58と透光性部材3の鍔部30とが互いに対向しやすくなる。例えば、遮光フレーム5においてその幅方向の中間よりも内側となる領域に凸部58が設けられていてよい。
【0078】
本発明に係る実施形態において、遮光フレーム5の幅方向における凸部の平面視寸法は特に制限はない。つまり、上側よりも下側が幅広である凸部は、遮光フレームの幅方向におけるその最大寸法の点で特に制限はない。但し、光学部材において、凸部の最頂部が透光性部材の鍔部と重なるように配置されることが好ましい。
【0079】
本発明に係る実施形態において、凸部は、その上に供給される光反射性樹脂と透光性部材の鍔部との接触にとって好適な高さを有している。例えば、第2主面の平坦部を基準とした凸部58の最大高さ寸法は、光反射性樹脂供給工程において平坦部55上で形成される光反射性樹脂の厚みよりも大きいことが好ましい。例えば、かかる凸部58の最大高さ寸法は、例えば20μmよりも大きくてよい。一方、凸部の最大高さが過度に大きいと、光学部材形成工程で透光性部材の配置が阻害され得る。つまり、光学部材形成工程で遮光フレームに透光性部材を配置するに際して、透光性部材の鍔部が遮光フレームの凸部に衝突し、透光性部材が損傷を受ける虞がある。よって、凸部は、光学部材形成工程で透光性部材の鍔部との衝突を回避できる高さを有していることが好ましい。
【0080】
これにつき、光学部材形成工程は、透光性部材の第3面と凸部とが光反射性部材を介して離隔している光学部材を形成する工程を含んでいることが好ましい。
図11に示すように、光学部材60では、透光性部材3の第3面3eと遮光フレーム5の凸部58(最大高さ部分)との間に隙間Lが設けられ、当該隙間Lに対して第1光反射性部材9aが介在していてよい。隙間Lの寸法は、過度に大きいと、凸部上の光反射性樹脂と透光性部材の鍔部との接触が点接触になりにくいので、できるだけ小さいことが好ましい。例えば、0<L<15μmが挙げられる。
【0081】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、種々の態様で具現化される。
【0082】
(凸部の配置の態様)
凸部の配置としては、種々の態様が考えられる。例えば、
図12Aに示すように、凸部58はフレーム中央付近に配置されていてよい。つまり、遮光フレーム5を構成する一辺に相当する領域のなかでも中央付近に凸部が配置されてよい。
図12Aに示す平面視で例示すれば、略長方形枠状の遮光フレーム5の長辺52でその中央領域52Mに凸部58が配置されてよい。かかる場合、遮光フレームの中央領域上の光反射性樹脂が最頂部を成すので、光学部材形成工程で透光性部材と光反射性樹脂とが接触するに際して、中央領域からそれを挟む両側に向けて漸次的に透光性部材と光反射性樹脂とが接することができる。よって、当該中央部分から互いに逆向き方向に偏り少なく空気が逃げやすくなり、ボイドの発生が抑制され易くなる。
【0083】
本発明に係る実施形態において、遮光フレームに設けられる凸部の数は、単数に限らず複数であってもよい。例えば、
図12Bに示すように、遮光フレームの一辺に相当する領域に複数の凸部58が設けられてもよい。
【0084】
図12Bに示される略長方形枠状の遮光フレーム5では、その長辺52に3つの凸部58が設けられている。このように複数の凸部58が設けられていると、遮光フレームの設置状態の影響を受け難くなり、より好適な光学部材形成工程が実施され得る。
【0085】
具体的には、遮光フレームを固定するシートが撓んでいること等に起因して、遮光フレームの上面が傾いてしまう場合、当該遮光フレームに供給された光反射性樹脂の表面もまた全体的に傾いてしまう。例えば、
図13に示すように、シートを固定する剛性枠体45に樹脂シート4が貼り付けられ、その樹脂シート4に複数の遮光フレーム5が固定される場合を想定すると、各遮光フレームの上面は厳密には水平面を保てないことがある。剛性枠体45に貼り付けられた樹脂シート4は、巨視的にみて撓みのない表面を成していても微視的には撓みを有する面となっている場合があるからである。かかる場合、光学部材形成工程で配置される透光性部材と光反射性樹脂との離隔距離が想定よりも大きくなる箇所が存在し得、その箇所では透光性部材と光反射性樹脂との接触が不十分となってしまう虞がある。かかる離隔距離がより大きくなる箇所は、シート撓みに依存するので、どこで生じているかは予測難い。この点、遮光フレームに凸部が複数設けられていると、離隔距離がより大きくなる箇所に対して複数の凸部のいずれかが位置付けられることになり、結果として、光学部材形成工程で透光性部材と光反射性樹脂とを容易に接触させることができる。
【0086】
なお、
図13に示すように複数の遮光フレーム5がシート4に固定される場合、その複数の遮光フレーム5間で遮光フレーム5の傾きのばらつきが抑制されるように、各遮光フレーム5において、複数の凸部が平面視で対称に配置されていてよい。
図12Aおよび
図12Bに示される遮光フレーム5では、平面視にて点対称または線対称に複数の凸部58が配置されている。同様に、
図3Bに示される遮光フレーム5でも、2つの凸部58が平面視にて遮光フレームの中心に対して点対称となるように配置されている。換言すれば、
図3Bに示される遮光フレーム5では、互いに対角に位置するように凸部58が配置されている。
【0087】
(別形成の凸部の態様)
本発明に係る実施形態では、凸部は、予め遮光フレームに備えられていてもよく、
図14Aおよび
図14Bに示すように、遮光フレーム5の平坦部55に対して凸部58’を形成又は予め成型された凸部58’を配置してもよい。
【0088】
つまり、遮光フレーム準備工程は、遮光フレーム5の第2主面5bに凸部58’を形成する工程を含んでいてよい。凸部58’の材料は遮光フレーム5の第2主面5bに凸部58を設けることができるものであればよく、例えば、樹脂、セラミックおよび/または金属などの材料を第2主面5bに供給して凸部58’を形成してよい。
【0089】
凸部58’の材質は、遮光フレーム5と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。例えば、凸部58の材質が遮光フレーム5の他の部分(例えば、平坦部55)の材質と異なるように凸部58を形成してよい。
【0090】
ある好適な態様では、凸部58’の材料として、光反射性樹脂9a’よりも粘度の高い樹脂を用いてよい。遮光フレーム5上で凸部58’が形状変化を受けにくく、凸部58としてより好適に形状が維持され得るからである。例えば、光反射性樹脂9a’と同じ母材の樹脂であって、より高い粘度に調整された樹脂を第2主面5bに対して供給して凸部58’を形成してよい。あくまでも例示にすぎないが、光反射性樹脂9a’としてシリコーン樹脂を用いる場合、凸部58’の材料もシリコーン樹脂を用いてよい。かかる場合、フィラーの調整等により相対的に高い粘度を有するシリコーン樹脂により凸部58’を形成してよい。
【0091】
このように遮光フレームに凸部58’を形成する態様は、遮光フレーム5における凸部58の特性、配置、形状などの点で設計自由度が向上する利点がある。
【0092】
(曲面形態の凸部の態様)
断面視において、凸部の上面は曲面を含んでいることが好ましい。上述で言及した
図10A~
図10Dに示すように又は
図15A~
図15Cおよび
図16A~
図16Cに示すように、凸部58の上面が角張っていないことが好ましい。さらに、凸部58の表面は尖った領域を含まないことがより好ましい。これにより、光学部材形成工程において光反射性樹脂が凸部58で途切れることが抑制される。より具体的には、光学部材形成工程で、凸部58上の光反射性樹脂9a’が透光性部材3の鍔部30と接する際に光反射性樹脂9a’が途切れて、透光性部材3の第3面3eへの濡れ拡がりが阻害されることが抑制される。また、凸部の上面が曲面を含んでいることは、透光性部材の損傷防止の点でも好ましい。具体的には、凸部58の上面が角張っていると、光学部材形成工程における透光性部材の配置に際して、仮に、透光性部材が遮光フレームの凸部に接触した場合、透光性部材が損傷する虞があるが、凸部上面が曲面を成すことで、接触時の衝撃を抑制できる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0094】
例えば、上記において、光反射性樹脂供給工程では、凸部が光反射性樹脂で全て覆われる態様について説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、凸部が第1光反射性樹脂によって部分的にのみ覆われ、凸部の最頂部が光反射性樹脂で被覆されていない態様も考えられる。かかる態様では、凸部の高さ寸法がより大きいと(例えば、凸部の最大高さ寸法が、光学部材における透光性部材の第3面と遮光フレームの第2主面の平坦部との離隔距離と同様である場合)、光学部材形成工程で遮光フレームに配置される透光性部材の鍔部はまず凸部と接触することになる。つまり、透光性部材の第3面が遮光フレームの凸部とまず接触し、それに伴って凸部を部分的に覆っている第1光反射性樹脂が第3面へと移動する。かかる態様であっても、凸部に起因した時間差、すなわち、透光性部材と光反射性樹脂との接触の時間差がもたらされ、ボイドの発生がより抑制された光学部材を得ることができる。
【0095】
また、上記において、長方形状の遮光フレームにおける幅の寸法は、その長方形の一辺に相当する部分において一定として説明したが、遮光フレームの幅は、一辺において一定の幅でもよく、局所的に異なっていてもよい。例えば遮光フレームは、部分的に幅狭となる幅狭部を有していてもよい。つまり、平面視略矩形状の遮光フレームについて、矩形の長辺において部分的に幅狭となる幅狭領域、および、それよりも幅広の幅広領域が設けられていてもよい。このような幅狭領域および幅広領域を有する遮光フレームは、光反射性樹脂供給工程において、供給された光反射性樹脂の高さをより好適に調整することができる。幅狭領域および幅広領域を有する遮光フレームに未硬化の光反射性樹脂が供給されると、光反射性樹脂は遮光フレーム上において濡れ拡がる。遮光フレーム上における樹脂の濡れ拡がりは、幅広領域が相対的に広い領域ゆえ光反射性樹脂がより大きく拡がる一方、幅狭領域が相対的に狭い領域ゆえ光反射性樹脂の拡がりがより小さい。よって、相対的に広い領域である幅広領域では、光反射性樹脂の高さがより低くなる一方、幅狭領域に位置する光反射性樹脂の箇所が相対的に高くなりやすい。このように、凸部による効果のみならず、幅狭・幅広領域による効果からも、遮光フレーム部分上の光反射性樹脂に対して高さ差を形成することができる。
【0096】
さらに、上記において、光反射性樹脂供給工程を説明したが、本発明では、必ずしも遮光フレームの全ての辺に光反射性樹脂を供給する必要はない。例えば、遮光フレームが平面視形状として略長方形の枠状を有する場合、第2主面5b上のその長辺に相当する部分にのみ光反射性樹脂を供給してよい。かかる場合、遮光フレームに光反射性樹脂を供給した際、および/または、透光性部材の鍔部で遮光フレーム上の光反射性樹脂を押圧して「透光性部材と遮光フレームとの間の空間」に光反射性樹脂を流入させるに際して“長辺”における光反射性樹脂が“短辺”側へと回り込むように流動する。つまり、枠部分の長辺の光反射性樹脂は、枠部分の“短辺”側へと回り込むように流動しつつ「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間の空間」に充填される。
【0097】
なお、上記において、鍔部30は、平面視において透光性部材3の一組の対向する辺(特に、略長方形状の透光性部材の長辺側)にのみ設けられていたが(例えば
図4Aおよび4B参照)、本発明はこれに限らない。透光性部材において、鍔部は、二組の対向する辺にも設けられてよい。つまり、略長方形状の透光性部材では、長辺側の対向する辺のみならず、短辺側の対向する辺にも鍔部が設けられていてよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本開示の発光装置の製造方法は、車載用途、照明用途等に使用される発光装置の製造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 発光素子
3 透光性部材
3a 第1面(発光装置の光出射面)
3b 第2面
3c 第1側面
3d 第2側面
3e 第3面
30 透光性部材の鍔部
4 シート
45 剛性枠体
5 遮光フレーム
50 貫通孔
52 遮光フレームの長辺
52M 遮光フレームの長辺の中央領域
52N 遮光フレームの長辺の端部領域
5a 第1主面
5b 第2主面
5c 内側面
55 平坦部
58、58’ 凸部
58a 断面視半円形状の凸部の円弧部分
58b 断面視三角形状の凸部の頂角部分
58c 断面視四角形状の凸部の角部の部分
6 保護素子
9 光反射性部材
9a 第1光反射性部材
9a’光反射性樹脂
9b 第2光反射性部材
9b’第2光反射性樹脂
10 基板
11 導電性接合部材
13 導光部材
60 光学部材
70 吸着手段