(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成組成物の製造方法、パターニングされた基板の製造方法および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240828BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20240828BHJP
C08G 8/04 20060101ALI20240828BHJP
C08G 8/28 20060101ALI20240828BHJP
C08G 12/08 20060101ALI20240828BHJP
C08G 12/26 20060101ALI20240828BHJP
C08G 12/40 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/26 511
C08G8/04
C08G8/28 B
C08G12/08
C08G12/26
C08G12/40
(21)【出願番号】P 2023021196
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2020531378の分割
【原出願日】2019-07-19
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2018137157
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】西巻 裕和
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-125890(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
C08G 8/04
C08G 8/28
C08G 12/08
C08G 12/26
C08G 12/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノボラック樹脂に、下式(1)で表される基を含む化合物
を反応させ、前記ノボラック樹脂の環上に下記式(1)で表される基を結合させたポリマーを得、該ポリマーを含むレジスト下層膜形成組成物を得る、レジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【化1】
(式(1)中、R
xは、水素原子又は炭素数2~20であり、また、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも一つを含んでもよい一価の有機基であり、S
y及びS
zは、それぞれ独立して水素原子又は一価の有機基であり、一価の有機基は、炭素数1~20であり、また、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも一つを含んでもよく、直鎖式骨格及び分岐式骨格の何れでもよく、また、環式骨格を含んでもよく、更に、不飽和結合を含んでもよい。
R
y及びR
zは、それぞれ独立して単結合又は二価の有機基であり、二価の有機基は、炭素数1~20であり、また、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも一つを含んでもよく、直鎖式骨格及び分岐式骨格の何れでもよく、環式骨格を含んでもよく、更に、不飽和結合を含んでもよい。
環Ar
y及び環Ar
zは、それぞれ独立して炭素数4~20の環状アルキル基又は炭素数6~30のアリール基であり、かつ、互いに結合して環Ar
y及び環Ar
zの間に新たな環を形成してもよく、
n
yは、0以上かつ環Ar
yに置換できる最大数までの整数であり、
n
zは、0以上かつ環Ar
zに置換できる最大数までの整数であり、
※は
ノボラック樹脂との結合箇所である。)
【請求項2】
前記環Ar
y及び前記環Ar
zの少なくとも一方は、炭素数6~30のアリール基を含む、
請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【請求項3】
ノボラック樹脂に、下式(1-1)~下式(1-15)の中から選ばれる少なくとも一つの
基を含む化合物
を反応させ、前記ノボラック樹脂の環上に下式(1-1)~下式(1-15)で表される基を結合させたポリマーを得、該ポリマーを含むレジスト下層膜形成組成物を得る、レジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【化2】
(式(1-1)~式(1-15)中、※は
ノボラック樹脂との結合箇所である。)
【請求項4】
前記ポリマーは、
下式(1a)で表される単位と、下式(1b)で表される単位と、の少なくとも一つを含む、
請求項1又は2に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【化3】
(式(1a)及び式(1b)中、
AUは、それぞれ独立して式(1)で表される基であり、
R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、グリシジルエーテル基、芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、
R
2は、それぞれ独立して水素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基であり、
R
3は、それぞれ独立して水素原子、芳香族炭化水素基、複素環基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、
R
2及びR
3の芳香族炭化水素基及び複素環基は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、
R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、
環Ar
1は、それぞれ独立してベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、
環Ar
2は複素環であり、
nは、それぞれ独立して1以上の整数であり、
n
1は、それぞれ独立して0以上の整数であり、
n+n
1は、それぞれ独立して環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。)
【請求項5】
前記ポリマーは、
下式(1a-1)及び/又は下式(1a-2)で表される単位を含む、
請求項1又は2に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【化4】
(式(1a-1)及び式(1a-2)中、
AUは、それぞれ独立して式(1)で表される基であり、
R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、
R
2は、それぞれ独立して芳香族炭化水素基又は複素環基であり、
R
3は、それぞれ独立して水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、
R
2とR
3がそれぞれフェニル基であるとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、
R
4は、それぞれ独立して水素原子、アセタール基、アシル基、グリシジル基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、
環Ar
1は、ベンゼン環であり、
Xは、それぞれ独立してベンゼン環であり、かつ、該ベンゼン環と結合する2つの-C(CH
3)
2-基はメタ位又はパラ位の関係にあり、
n
1は、それぞれ独立して0又は1であり、
n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、
n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計は、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。)
【請求項6】
前記ポリマーは、
下式(1a-3)で表されるポリマーを含む、
請求項1又は2に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【化5】
(式(1a-3)中、
AUは、それぞれ独立して式(1)で表される基であり、
R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、
R
2は、複素環基又は炭素数6~40の芳香族炭化水素基であり、
該複素環基又は該芳香族炭化水素基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、
R
3は、水素原子、複素環基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、該複素環基、該芳香族炭化水素基、該アルキル基又は該アルケニル基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、及びヒドロキシ基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、
R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、
R
5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つであり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、
環Ar
1は、それぞれ独立してベンゼン環又はナフタレン環であり、
n
1は、それぞれ独立して0~3の整数であり、
n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、
n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計は、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。)
【請求項7】
前記ポリマーは、
下式(1b-1)で表されるポリマーを含む、
請求項1又は2に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法。
【化6】
(式(1b-1)中、
AUは、それぞれ独立して式(1)で表される基であり、
R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、
R
2は、水素原子、複素環基又は炭素数6~40の芳香族炭化水素基であり、
該複素環基又は該芳香族炭化水素基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、フェニル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、
R
3は、水素原子、複素環基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基又は炭素数1~10のアルキル基であり、
R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、
環Ar
1は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、
R
5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つであり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、
n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、
n
1及びn
3は、それぞれ独立して0以上の整数であり、
n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計のそれぞれは、環Ar
1に置換できる最大数までの整数であり、
n
3は、それが結合する複素環に置換できる最大数までの整数である。)
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法で製造したレジスト下層膜形成組成物を含む塗布膜の焼成物である、レジスト下層膜。
【請求項9】
請求項1~7の何れか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法で製造したレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を焼成する工程と、
を含む、レジスト下層膜の製造方法。
【請求項10】
請求項1~7の何れか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法で製造したレジスト下層膜形成組成物を用いて基板上にレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜上に所定のハードマスクを形成する工程と、
前記ハードマスク上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記フォトレジスト膜に対する露光及び現像によりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンにより前記ハードマスクをエッチングしてマスクパターンをする工程と、
前記マスクパターンにより前記レジスト下層膜をエッチングしてレジスト下層パターンを形成する工程と、
前記レジスト下層パターンにより基板を加工する工程と、
を含む、パターニングされた基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1~7の何れか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物
の製造方法で製造したレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布する工程と、
所定のパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト下層膜に基づいて基板を加工する工程と、を含む、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜形成組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
多層レジストプロセスでは、無機層と有機層とを交互に備える積層体(例えば、半導体基板、レジスト下層膜、ハードマスク及びフォトレジスト膜の積層体)に対して、該無機層と該有機層とでエッチング選択性が異なるエッチングガスを交互に用いてエッチングを行い、これにより基板をパターニングする。特許文献1には、多層レジストプロセスに用いられるレジスト下層膜形成組成物であって、少なくとも、ノボラック樹脂を含むものであり、該ノボラック樹脂が、所定の基で置換された繰り返し単位を有するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多層レジストプロセスを好適に実施する上で、レジスト下層膜には、フォトレジスト溶液(フォトレジスト膜を形成するための溶液)に不溶であること及びエッチング選択性が高いこと、レジスト下層膜形成組成物には、該組成物中の溶剤に対してポリマーが良好な溶解性を有すること、等の性能が求められる。
【0005】
そこで本発明は、フォトレジスト溶液に不溶である上にエッチング選択性が高いレジスト下層膜を形成でき、かつ、レジスト下層膜形成組成物中の溶剤に対して良好な溶解性を有するポリマーを含む、該レジスト下層膜形成組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、該レジスト下層膜形成組成物を用いて実現される、レジスト下層膜及びその製造方法、パターニングされた基板の製造方法並びに半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、下式(1)で表される基が付加されたポリマーを含む、レジスト下層膜形成組成物である。
【0007】
【化1】
(式(1)中、R
x、S
y及びS
zは、それぞれ独立して水素原子又は一価の有機基であり、R
y及びR
zは、それぞれ独立して単結合又は二価の有機基であり、環Ar
y及び環Ar
zは、それぞれ独立して炭素数4~20の環状アルキル基又は炭素数6~30のアリール基であり、かつ、互いに結合して環Ar
y及び環Ar
zの間に新たな環を形成してもよく、n
yは、0以上かつ環Ar
yに置換できる最大数までの整数であり、n
zは、0以上かつ環Ar
zに置換できる最大数までの整数であり、※はポリマーとの結合箇所である。)
【0008】
本発明の第2の態様は、前記環Ary及び前記環Arzの少なくとも一方は、炭素数6~30のアリール基を含む、第1の態様に記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0009】
本発明の第3の態様は、前記式(1)で表される基は、下式(1-1)~下式(1-15)の中から選ばれる少なくとも一つである、第1の態様又は第2の態様に記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0010】
【化2】
(式(1-1)~式(1-15)中、※はポリマーとの結合箇所である。)
【0011】
本発明の第4の態様は、前記ポリマーは、下式(1a)で表される単位と、下式(1b)で表される単位と、の少なくとも一つを含む、第1の態様~第3の態様の何れか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0012】
【化3】
(式(1a)及び式(1b)中、AUは、それぞれ独立して式(1)で表される基であり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、グリシジルエーテル基、芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、R
2は、それぞれ独立して水素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子、芳香族炭化水素基、複素環基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、R
2及びR
3の芳香族炭化水素基及び複素環基は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、環Ar
1は、それぞれ独立してベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、環Ar
2は複素環であり、nは、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
1は、それぞれ独立して0以上の整数であり、n+n
1は、それぞれ独立して環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。)
【0013】
本発明の第5の態様は、前記ポリマーは、ノボラック樹脂である、第1の態様~第4の態様の何れか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0014】
本発明の第6の態様は、前記ポリマーは、下式(1a-1)及び/又は下式(1a-2)で表される単位を含む、第1の態様~第5の態様の何れか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0015】
【化4】
(式(1a-1)及び式(1a-2)中、AUは、式(1)で表される基であり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、R
2は、それぞれ独立して芳香族炭化水素基又は複素環基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、R
2とR
3がそれぞれフェニル基であるとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、R
4は、それぞれ独立して水素原子、アセタール基、アシル基、グリシジル基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、環Ar
1は、ベンゼン環であり、Xは、それぞれ独立してベンゼン環であり、かつ、該ベンゼン環と結合する2つの-C(CH
3)
2-基はメタ位又はパラ位の関係にあり、n
1は、それぞれ独立して0又は1であり、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計は、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。)
【0016】
本発明の第7の態様は、前記ポリマーは、下式(1a-3)で表されるポリマーを含む、第1の態様~第6の態様の何れか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0017】
【化5】
(式(1a-3)中、AUは、式(1)で表される基であり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、R
2は、複素環基又は炭素数6~40の芳香族炭化水素基であり、該複素環基又は該芳香族炭化水素基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
3は、水素原子、複素環基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、該複素環基、該芳香族炭化水素基、該アルキル基又は該アルケニル基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、及びヒドロキシ基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、R
5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つであり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、環Ar
1は、それぞれ独立してベンゼン環又はナフタレン環であり、n
1は、それぞれ独立して0~3の整数であり、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計は、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。)
【0018】
本発明の第8の態様は、前記ポリマーは、下式(1b-1)で表されるポリマーを含む、第1の態様~第7の態様の何れか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物である。
【0019】
【化6】
(式(1b-1)中、AUは、式(1)で表される基であり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、R
2は、水素原子、複素環基又は炭素数6~40の芳香族炭化水素基であり、該複素環基又は該芳香族炭化水素基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、フェニル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
3は、水素原子、複素環基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基又は炭素数1~10のアルキル基であり、R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、環Ar
1は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、R
5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つであり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
1及びn
3は、それぞれ独立して0以上の整数であり、n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計のそれぞれは、環Ar
1に置換できる最大数までの整数であり、n
3は、それが結合する複素環に置換できる最大数までの整数である。)
【0020】
上記課題を解決する本発明の他の態様(第9の態様)は、前記式(1)で表される基を含む化合物と、アルデヒド類及び/又はケトン類と、ビスフェノール類、アミン類及び複素環類の少なくとも一つと、を原料に用いる、レジスト下層膜形成組成物の製造方法である。
【0021】
上記課題を解決する本発明の更に他の態様(第10の態様)は、第1の態様~第8の態様の何れか1つに記載のレジスト下層膜形成組成物を含む塗布膜の焼成物である、レジスト下層膜である。
【0022】
上記課題を解決する本発明の更に他の態様(第11の態様)は、第1の態様~第8の態様の何れか1つに記載のレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜を焼成する工程と、を含む、レジスト下層膜の製造方法である。
【0023】
上記課題を解決する本発明の更に他の態様(第12の態様)は、第1の態様~第8の態様の何れか1つに記載のレジスト下層膜形成組成物を用いて基板上にレジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜上に所定のハードマスクを形成する工程と、前記ハードマスク上にフォトレジスト膜を形成する工程と、前記フォトレジスト膜に対する露光及び現像によりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンにより前記ハードマスクをエッチングしてマスクパターンをする工程と、前記マスクパターンにより前記レジスト下層膜をエッチングしてレジスト下層パターンを形成する工程と、前記レジスト下層パターンにより基板を加工する工程と、を含む、パターニングされた基板の製造方法である。
【0024】
上記課題を解決する本発明の更に他の態様(第13の態様)は、第1の態様~第8の態様の何れか一項に記載のレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布する工程と、所定のパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程と、パターン化されたレジスト下層膜に基づいて基板を加工する工程と、を含む、半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、フォトレジスト溶液に不溶である上にエッチング選択性が高いレジスト下層膜を形成でき、かつ、レジスト下層膜形成組成物中の溶剤に対して良好な溶解性を有するポリマーを含む、該レジスト下層膜形成組成物及びその製造方法を提供することができる。また本発明によれば、該レジスト下層膜形成組成物を用いて実現される、レジスト下層膜及びその製造方法、パターニングされた基板の製造方法並びに半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、具体的な実施形態を示し、本発明を詳細に説明する。
<レジスト下層膜形成組成物及びその製造方法>
(式(1)で表される基)
本実施形態に係るレジスト下層膜形成組成物(以下、単に「組成物」と称することがある)は、多層レジストプロセスに用いられるレジスト下層膜を形成するのに適している。
【0027】
多層レジストプロセスはマルチレイヤープロセス(Multi Layer Process)とも称される。このプロセスでは、無機層と有機層とを交互に備える積層体に対して、該無機層と該有機層とでエッチング選択性が異なるエッチングガス(例えば、酸素系ガスや水素系ガスと、これらとエッチング選択性が相反するCF4ガス等のハロゲン系ガス)を交互に用いてエッチングを行い、これにより基板をパターニングする。
【0028】
積層体は、例えば、半導体基板(多層レジストプロセスにおける無機層)と、半導体基板上に形成されるレジスト下層膜(多層レジストプロセスにおける有機層)と、レジスト下層膜上に形成されるハードマスク(多層レジストプロセスにおける無機層)と、ハードマスク上に形成されるフォトレジスト膜(多層レジストプロセスにおける有機層)と、である。このうち、レジスト下層膜を形成するのに上記組成物は適している。
【0029】
ここで、上記組成物は、下式(1)で表される基が付加されたポリマー(以下、単に「ポリマー」と称することがある)を含む。
【0030】
【0031】
式(1)中、Rx、Sy及びSzは、それぞれ独立して水素原子又は一価の有機基であり、Ry及びRzは、それぞれ独立して単結合又は二価の有機基であり、環Ary及び環Arzは、それぞれ独立して炭素数4~20の環状アルキル基又は炭素数6~30のアリール基であり、かつ、互いに結合して環Ary及び環Arzの間に新たな環を形成してもよく、nyは、0以上かつ環Aryに置換できる最大数までの整数であり、nzは、0以上かつ環Arzに置換できる最大数までの整数であり、※はポリマーとの結合箇所である。上記ポリマーには、式(1)で表される基が一つ以上付加されていればよい。
【0032】
式(1)で表される基が付加された上記ポリマーは、上記組成物中の溶剤に対して良好な溶解性を有する。例えば上記ポリマーは、溶解性を評価する試験に用いられる溶剤(2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等)に対しても、後述の実施例で評価されるように、析出が確認されない。そのため、メタノール等の有機溶媒を用いて上記ポリマーを再沈殿させやすく、故に、その純度を高めやすい。
【0033】
また、式(1)で表される基は、炭素成分の含有率が比較的高くなるように設計されている。これは、化合物中の炭素成分の含有率が高いほうがエッチング選択性を高めやすい、という本発明者が着目した傾向に基づいている。従って、上記ポリマーを用いることで、多層レジストプロセスに用いられるエッチングガス(CF4ガス等のハロゲン系ガス)に対する耐エッチング性が高い、ひいては、エッチング選択性が高い、レジスト下層膜を形成することができる。
【0034】
上記組成物を用いて得られるレジスト下層膜は、後述の実施例で評価されるように、フォトレジスト溶液に不溶である。このようなレジスト下層膜を用いることで、多層レジストプロセスにおいて、フォトレジスト層とのインターミキシングを防止しやすくなる。
【0035】
上記の通り、上記組成物は、フォトレジスト溶液に不溶である上にエッチング選択性が高いレジスト下層膜を形成でき、かつ、上記組成物中の溶剤に対して良好な溶解性を有するポリマーを含む。このため上記組成物を用いることで、多層レジストプロセスを好適に実施しやすくなる。多層レジストプロセスを好適に実施しやすくなることで、基板に施されるパターニングが微細化されかつそれが基板に深堀りされた該基板を製造しやすくなることが期待される。
【0036】
式(1)中、Rx、Sy及びSzは、それぞれ独立して水素原子又は一価の有機基である。一価の有機基は、炭素数1~20であり、また、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも一つを含んでもよい。一価の有機基は、直鎖式骨格及び分岐式骨格の何れでもよく、環式骨格を含んでもよい。更に、一価の有機基は、不飽和結合を含んでもよい。
【0037】
式(1)中、Ry及びRzは、それぞれ独立して単結合又は二価の有機基である。二価の有機基は、炭素数1~20であり、また、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも一つを含んでもよい。二価の有機基は、直鎖式骨格及び分岐式骨格の何れでもよく、環式骨格を含んでもよい。更に、二価の有機基は不飽和結合を含んでもよい。
【0038】
式(1)中、環Ar1及び環Ar2は、それぞれ独立して炭素数4~20の環状アルキル基又は炭素数6~30のアリール基である。これらのうち、環Ar1及び環Ar2の少なくとも一方は、炭素数6~30のアリール基であることが好ましい。なお、環Ary及び環Arzは、互いに結合して環Ary及び環Arzの間に新たな環を形成してもよい。
【0039】
以上より、式(1)で表される基の具体例は以下の通りである。
【0040】
【化8】
(式(1-1)~式(1-15)中、※はポリマーとの結合箇所である。)
【0041】
上記式のうち、式(1)で表される基は、式(1-1)~式(1-5)の少なくとも一つであることが好ましい。ただし、式(1)で表される基は、本発明の効果が得られる範囲で上記式に限定されない。
【0042】
(ポリマー)
上記ポリマーは、下式(1a)で表される単位と、下式(1b)で表される単位と、の少なくとも一つを含む。
【0043】
【化9】
式(1a)及び式(1b)中、AUは、それぞれ独立して式(1)で表される基であり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、グリシジルエーテル基、芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、R
2は、それぞれ独立して水素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子、芳香族炭化水素基、複素環基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、R
2及びR
3の芳香族炭化水素基及び複素環基は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、環Ar
1は、それぞれ独立してベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、環Ar
2は複素環であり、nは、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
1は、それぞれ独立して0以上の整数であり、n+n
1は、それぞれ独立して環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。
【0044】
上記ポリマーは、式(1a)で表される単位及び(1b)で表される単位の両方を含む場合、式(1a)で表される単位を含み、式(1b)で表される単位を含まない場合、式(1a)で表される単位を含まず、式(1b)で表される単位を含む場合、の何れにも該当する。
【0045】
上記ポリマーの重量平均分子量の、下限は例えば、100であり、また400であり、また600であり、上限は例えば、50,000であり、また40,000であり、また30,000である。ただし、これらの重量平均分子量の上限及び下限は一例である。重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレンで換算した値である。
【0046】
上記ポリマーは、ノボラック樹脂を含む。ノボラック樹脂は、アルデヒド類及び/又はケトン類と、ビスフェノール類、アミン類及び複素環類の少なくとも一つと、を原料に用いた重合反応により得られる。ここで、上記ポリマーを得る手法としては、これらの原料と、式(1)で表される基を含む化合物(以下、「付加ユニット」と称することがある)と、一括で仕込んで重合反応を進めてもよいし、該原料を用いて重合反応させた上で、得られたノボラック樹脂に付加ユニットを付加させてもよい。
【0047】
重合反応において、酸触媒の有無及びその種類、反応溶媒の有無及びその種類、各成分を配合するタイミング、各成分の仕込み比、反応時間及び反応温度等の条件は、製造するポリマーに応じて適宜設定することができる。酸触媒としては、硫酸、リン酸、過塩素酸等の鉱酸類、メタスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物等の有機スルホン酸類、蟻酸、シュウ酸等のカルボン酸類等が挙げられる。反応溶媒としては、重合反応を阻害しないものであれば限定されず、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,4-ジオキサン等の公知のものを用いることができる。液状の酸触媒を用いる場合には、反応溶媒としての役割を該酸触に兼ねさせることもできる。酸触媒及び反応溶媒の何れも1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0048】
付加ユニットの具体例は下式の通りである。
【0049】
【0050】
付加ユニットの分子量の、下限は例えば、50であり、また100であり、また150であり、上限は例えば、500であり、また400であり、また300である。ポリマーの作製に用いられる付加ユニットの少なくとも一つの分子量、更には、ポリマーの作製に用いられる全ての付加ユニットの分子量の平均値が、上記範囲内であることが好ましい。
【0051】
アルデヒド類としては、芳香族アルデヒド類、飽和脂肪族アルデヒド類、不飽和脂肪族アルデヒド類、ヘテロ環式アルデヒド類、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0052】
芳香族アルデヒドとしては、1-ピレンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、アニスアルデヒド、テレフタルアルデヒド、アントリルアルデヒド、フェナントリルアルデヒド、サリチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロピオンアルデヒド、トリルアルデヒド、(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、アセトキシベンズアルデヒド、が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0053】
飽和脂肪族アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、7-メトキシ-3、7-ジメチルオクチルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、3-メチル-2-ブチルアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0054】
不飽和脂肪族アルデヒド類としては、アクロレイン、メタクロレイン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0055】
ヘテロ環式アルデヒド類としては、フルフラール、ピリジンアルデヒド、チオフェンアルデヒド、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0056】
芳香族ケトン類としては、ジフェニルケトン、フェニルナフチルケトン、ジナフチルケトン、フェニルトリルケトン、ジトリルケトン、9-フルオレノン、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0057】
ビスフェノール類、アミン類及び複素環類の具体例は後述する。なお、ビスフェノール類を用いることで第1ポリマーが、アミン類を用いることで第2ポリマーが、複素環類を用いることで第3ポリマーが得られる。
【0058】
式(1a)及び(1b)で表される単位は、比較的柔軟性のある骨格を有する。柔軟性のある骨格は、段差のある基板の該段差による隙間まで組成物を接触させやすくする観点や、段差のある基板であっても平坦性の高い塗布膜を形成しやすくする観点で、有利な場合が多い。上記の観点から、上記ポリマーは、第1ポリマー、第2ポリマー及び第3ポリマーの少なくとも一つであることが好ましい。
【0059】
(第1ポリマー)
第1ポリマーは、
下式(1a-1)及び/又は下式(1a-2)で表される単位を含む。
【0060】
【化11】
【化12】
式(1a-1)及び式(1a-2)中、AUは、前記の通りであり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、R
2は、それぞれ独立して芳香族炭化水素基又は複素環基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、R
2とR
3がそれぞれフェニル基であるとき互いに結合してフルオレン環を形成してもよく、R
4は、それぞれ独立して水素原子、アセタール基、アシル基、グリシジル基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、環Ar
1は、ベンゼン環であり、Xは、それぞれ独立してベンゼン環であり、かつ、該ベンゼン環と結合する2つの-C(CH
3)
2-基はメタ位又はパラ位の関係にあり、n
1は、それぞれ独立して0又は1であり、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計は、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。
【0061】
第1ポリマーは、式(1a-1)で表される単位及び式(1a-2)で表される単位の両方を含む場合、式(1a-1)で表される単位を含み、式(1a-2)で表される単位を含まない場合、式(1a-1)で表される単位を含まず、式(1a-2)で表される単位を含む場合、の何れにも該当する。
【0062】
式(1a-1)で表される単位及び(1a-2)で表される単位の、骨格の具体例は以下の通りである。ただし、下記具体例では、式(1)で表される基の記載は省略している。下記具体例の環上に、式(1)で表される基が付加されることで、第1ポリマーとなる。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
ただし、第1ポリマーの骨格は、本発明の効果が得られる範囲で上記の具体例に限定されない。
【0076】
第1ポリマーは、付加ユニットと、アルデヒド類及び/又はケトン類と、フェノール類と、を重合反応させて合成される。ビスフェノール類としては、例えば、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、2-フェニルインドール、1-フェニル-2-ナフチルアミン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼンが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0077】
(第2ポリマー)
第2ポリマーは、下式(1a-3)で表されるポリマーを含む。
【0078】
【化25】
式(1a-3)中、AUは、前記の通りであり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、R
2は、複素環基又は炭素数6~40の芳香族炭化水素基であり、該複素環基又は該芳香族炭化水素基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
3は、水素原子、複素環基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、該複素環基、該芳香族炭化水素基、該アルキル基又は該アルケニル基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、及びヒドロキシ基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、R
5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つであり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、環Ar
1は、それぞれ独立してベンゼン環又はナフタレン環であり、n
1は、それぞれ独立して0~3の整数であり、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計は、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。
【0079】
また、第2ポリマーは、式(1a-3)で表される単位と下式(1a-4)で表される単位とを含む、共重合体を含む。
【0080】
【化26】
式(1a-4)中、AU、R
2及びR
3は、前記の通りであり、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
a及びn
1のそれぞれは、環Ar
1に置換できる最大数までの整数である。
【0081】
式(1a-3)で表される単位及び(1a-4)で表される単位の、骨格の具体例は以下の通りである。ただし、下記具体例では、式(1)で表される基の記載は省略している。下記具体例の環上に、式(1)で表される基が付加されることで、第2ポリマーとなる。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
ただし、第2ポリマーの骨格は、本発明の効果が得られる範囲で上記の具体例に限定されない。
【0087】
第2ポリマーは、付加ユニットと、アルデヒド類及び/又はケトン類と、アミン類と、を重合反応させて合成される。アミン類としては、カルバゾール類又はトリフェニルアミン類が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0088】
カルバゾール類としては、カルバゾール、N-メチルカルバゾール、N-エチルカルバゾール、1,3,6,8-テトラニトロカルバゾール、3,6-ジアミノカルバゾール、3,6-ジブロモ-9-エチルカルバゾール、3,6-ジブロモ-9-フェニルカルバゾール、3,6-ジブロモカルバゾール、3,6-ジクロロカルバゾール、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、3-ブロモ-9-エチルカルバゾール、4,4’ビス(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル、4-グリシジルカルバゾール、4-ヒドロキシカルバゾール、9-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-9H-カルバゾール、9-アセチル-3,6-ジヨードカルバゾール、9-ベンゾイルカルバゾール、9-ベンゾイルカルバゾール-6-ジカルボキシアルデヒド、9-ベンジルカルバゾール-3-カルボキシアルデヒド、9-メチルカルバゾール、9-フェニルカルバゾール、9-ビニルカルバゾール、カルバゾールカリウム、カルバゾール-N-カルボニルクロリド、N-エチルカルバゾール-3-カルボキシアルデヒド、N-((9-エチルカルバゾール-3-イル)メチレン)-2-メチル-1-インドリニルアミン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0089】
トリフェニルアミン類としては、例えば、トリフェニルアミンが挙げられる。トリフェニルアミンは、置換基を含んでもよい。置換基としては、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数6~40のアリール基が挙げられる。置換基は、エーテル、ケトン、又はエステルを含んでもよい。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0090】
(第3ポリマー)
第3ポリマーは、下式(1b-1)で表されるポリマーを含む。
【0091】
【化31】
式(1b-1)中、AUは、前記の通りであり、R
1は、それぞれ独立してハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数2~10のアルケニル基であり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、R
2は、水素原子、複素環基又は炭素数6~40の芳香族炭化水素基であり、該複素環基又は該芳香族炭化水素基は、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボン酸アルキルエステル基、フェニル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つの置換基を含んでもよく、R
3は、水素原子、複素環基、炭素数6~40の芳香族炭化水素基又は炭素数1~10のアルキル基であり、R
2及びR
3は、互いに結合して環を形成してもよく、環Ar
1は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、R
5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基及び炭素数6~40のアリール基の少なくとも一つであり、かつ、エーテル、ケトン及びエステルの少なくとも一つを含んでもよく、n
a+n
bの合計は、それぞれ独立して1以上の整数であり、n
1及びn
3は、それぞれ独立して0以上の整数であり、n
a+n
1の合計及びn
b+n
1の合計のそれぞれは、環Ar
1に置換できる最大数までの整数であり、n
3は、それが結合する複素環に置換できる最大数までの整数である。
【0092】
式(1b-1)で表される単位の、骨格の具体例は以下の通りである。下記具体例では、式(1)で表される基の記載は省略している。下記具体例の環上に、式(1)で表される基が付加されることで、第3ポリマーとなる。
【0093】
【0094】
【0095】
ただし、第3ポリマーの骨格は、本発明の効果が得られる範囲で上記の具体例に限定されない。
【0096】
第3ポリマーは、付加ユニットと、アルデヒド類及び/又はケトン類と、複素環類と、を重合反応させて合成される。複素環類としては、窒素、イオウ、酸素を含む、5~6員環の複素環基を含む化合物であり、例えばピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、イソオキサゾール基、イソチアゾール基、ピリジン基等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0097】
(溶剤)
上記組成物は、溶剤を含む。溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0098】
固形分(上記組成物から溶剤を除いた固形分)の割合の、下限は例えば、0.1質量%以上、また0.5質量%以上、また0.8質量%以上であり、上限は例えば、70質量%以下、また50質量%以下、また30質量%以下である。固形分中の全ポリマーの含有割合は、1~100質量%、また20~99.9質量%、また50~99.9質量%である。
【0099】
(その他の成分:架橋剤)
上記組成物は、上記ポリマー及び上記溶剤に加えて、その他の成分(例えば、架橋剤、酸性化合物、酸発生剤、界面活性剤及びその他のポリマー等)を含むことができる。
【0100】
架橋剤としては、4,4’-(1-メチルエチリジン)ビス[2,6-ビス[(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)メチル]-フェノール、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、メトキシメチル化チオ尿素、が挙げられる。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0101】
架橋剤の含有割合は、上記組成物の固形分に対して、例えば、80質量%以下、また60質量%以下、また40質量%以下である。
【0102】
(その他の成分:酸性化合物及び/又は酸発生剤)
酸性化合物及び/又は酸発生剤は、架橋反応を促進する触媒として機能する。酸性化合物としては、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム-p-フェノールスルホネート、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0103】
酸発生剤としては、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸、第4級アンモニウム塩、TMOM-BP(本州化学工業(株)製、3,3’,5,5’-テトラメトキシメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル)、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0104】
酸性化合物及び/又は熱酸発生剤の含有割合は、上記組成物の固形分に対して、例えば、20質量%以下、また10質量%以下である。
【0105】
(その他の成分:界面活性剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファックF171、F173、R-30、R-30-N(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせてもよい。
【0106】
界面活性剤の含有割合は、上記組成物の固形分に対して、例えば、5質量%以下、また2質量%以下、また1質量%以下である。
【0107】
(その他の成分:その他のポリマー)
その他のポリマーとしては、ポリアクリル酸エステル化合物、ポリメタクリル酸エステル化合物、ポリアクリルアミド化合物、ポリメタクリルアミド化合物、ポリビニル化合物、ポリスチレン化合物、ポリマレイミド化合物、ポリマレイン酸無水物、及びポリアクリロニトリル化合物、等が挙げられる。
【0108】
その他のポリマーの含有割合は、上記組成物に含まれる全ポリマーに対して、30質量%以下、また10質量%以下である。
【0109】
以上のようにして得られる、上記組成物に対しては、メタノール等の有機溶媒を用いて再沈殿を施すことで好適に精製することができ、また、減圧乾燥機等で適宜乾燥させることもできる。上記組成物は、上記の各成分を溶剤に溶解させることで調製でき、均一な溶液状態で用いられる。調製した上記組成物は、孔径が0.02μmのフィルタ等を用いてろ過した後、使用することが好ましい。
【0110】
<レジスト下層膜及びその製造方法>
本実施形態に係るレジスト下層膜は、上記組成物を含む塗布膜の焼成物である。また、本実施形態に係るレジスト下層膜の製造方法は、上記組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する工程と、塗布膜を焼成(ベーク)する工程と、を含む。
【0111】
基板としては、いわゆる半導体基板(酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されていてもよい、シリコンウェハー又はゲルマニウムウェハー、等)が挙げられる。塗布の手法としては、スピンコート法、印刷法及びインクジェット法等が挙げられるが、これに限定されない。
【0112】
焼成時の温度や時間は、任意の条件を定めることができる。例えば、上記組成物に含まれる溶剤を十分に除去するため、焼成温度は、150℃~600℃、また350℃~450℃であり、焼成時間は、0.5分~5分、また1分~3分である。
【0113】
レジスト下層膜の厚みは、該レジスト下層膜の用途等に応じて適宜変更することができ、例えば、50nm以上、また100nm以上であり、1000nm以下、また500nm以下である。
【0114】
<パターニングされた基板の製造方法、半導体装置の製造方法>
本実施形態に係る、パターニングされた基板の製造方法は、上記組成物を用いて基板上にレジスト下層膜を形成する工程と、レジスト下層膜上に所定のハードマスクを形成する工程と、ハードマスク上にフォトレジスト膜を形成する工程と、フォトレジスト膜に対する露光及び現像によりレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンにより前記ハードマスクをエッチングしてマスクパターンをする工程と、マスクパターンにより前記レジスト下層膜をエッチングしてレジスト下層パターンを形成する工程と、レジスト下層パターンにより基板を加工する工程と、を含む。また、本実施形態に係る、半導体装置の製造方法は、上記組成物を基板上に塗布する工程と、所定のパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程と、パターン化されたレジスト下層膜(レジスト下層パターン)に基づいて基板を加工する工程と、を含む。
【0115】
ハードマスクは、例えば、ケイ素を含んで構成されるシリコンハードマスクが用いられる。ハードマスクの形成方法は限定されず、例えば、ケイ素成分を含む材料をレジスト下層膜上に塗布する手法が用いられる。ハードマスクをレジスト下層膜上に蒸着させる手法を用いてもよい。
【0116】
フォトレジスト膜は、一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液をハードマスク上に塗布して塗布膜を形成し、これを焼成することで形成することができる。フォトレジスト溶液には、フォトレジスト膜を形成するための組成物と、該組成物を溶解させる溶剤が含まれている。ここでの溶剤としては、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノン、等が挙げられる。また、フォトレジスト溶液は、露光に使用される光源に感光するものが用いられる。露光は、光及び電子線の何れも用いることができ、また現像に用いられる現像液についても特に限定されない。
【0117】
レジストパターンによるハードマスクのエッチングには、例えばCF4ガス等のハロゲン系ガスが用いられる。また、マスクパターンによるレジスト下層膜のエッチングには、例えば酸素系ガス又は水素系ガスが用いられる。そして、レジスト下層パターンによる基板の加工(エッチング)には、例えばCF4ガス等のハロゲン系ガスが用いられる。
【0118】
上記の通り、上記組成物を用いて得られるレジスト下層膜は、例えばハロゲン系ガスに対する耐エッチング性が高く、そのため、レジスト下層パターンに従って、基板を好適に加工することができる。加えて、ハロゲン系ガスとエッチング選択性が相反する、酸素系ガスや水素系ガスにより、レジスト下層膜自体も好適にエッチングされる(酸素系ガスや水素系ガスにより、レジスト下層パターンが好適に形成される)。
【実施例】
【0119】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は下記記載により限定されるものではない。
【0120】
合成例1~3及び比較合成例1~2における、ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwと、多分散度Mw/Mnと、はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定結果に基づく。測定には、東ソー(株)製GPC装置を用い、測定条件は下記の通り。
GPCカラム:TSKgel SuperMultipore〔登録商標〕Hz-N(東ソー(株))
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株))
【0121】
実施例及び比較例で用いる略語は、以下の通りである。
DPM:ベンズヒドロール
TPM:トリフェニルメタノール
DP:1,1-ジフェニル-2-プロピン-1-オール
TP:1,1,3-トリフェニル-2-プロピン-1-オール
FLO:9-フルオレノール
【0122】
【化34】
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0123】
<ポリマーの合成>
(合成例1)
窒素下、300mLの四口フラスコに1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(BPM)(10.00g、0.0289mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(Py)(6.646g、0.0289mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(0.5548g、0.0058mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(7.74g、関東化学(株)製)、PGMEA(18.06g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させてこれらを溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷後、TMP(3.76g、0.0144mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(0.2774g、0.0029mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(1.82g、関東化学(株)製)、PGMEA(4.24g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させてこれらを溶解させ、重合反応を開始させた。23時間後に該重合反応を停止させた。その後、室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(BPM-Py-TPM)16.12gを得た。BPM-Py-TPMの、重量平均分子量Mwは18,260、多分散度Mw/Mnは12.85であった。
【0124】
(合成例2)
窒素下、300mLの四口フラスコに1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(10.00g、0.0289mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(6.646g、0.0289mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(0.5548g、0.0058mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(7.74g、関東化学(株)製)、PGMEA(18.06g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させてこれらを溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷後、DP(3.01g、0.0144mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(0.2774g、0.0029mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(1.82g、関東化学(株)製)、PGMEA(4.24g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させてこれらを溶解させ、重合反応を開始させた。23時間後に該重合反応を停止させた。その後、室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(BPM-Py-DP)13.56gを得た。BPM-Py-DPの、重量平均分子量Mwは22,380、多分散度Mw/Mnは12.61であった。
【0125】
(合成例3)
窒素下、300mLの四口フラスコに1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(10.00g、0.0289mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(6.646g、0.0289mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(0.5548g、0.0058mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(7.74g、関東化学(株)製)、PGMEA(18.06g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷後、TP(4.10g、0.0144mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(0.2774g、0.0029mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(1.82g、関東化学(株)製)、PGMEA(4.24g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。23時間後に該重合反応を停止させた。その後、室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(BPM-Py-TP)13.48gを得た。BPM-Py-TPの、重量平均分子量Mwは3,490、多分散度Mw/Mnは2.50であった。
【0126】
(合成例4)
窒素下、300mLの四口フラスコに1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(10.00g、0.0289mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(6.646g、0.0289mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(0.5548g、0.0058mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(7.74g、関東化学(株)製)、PGMEA(18.06g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷後、FLO(2.63g、0.0144mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(0.2774g、0.0029mol、東京化成工業(株)製)を加え、更に、PGME(1.82g、関東化学(株)製)、PGMEA(4.24g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。23時間後に該重合反応を停止させた。その後、室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(BPM-Py-FLO)14.07gを得た。BPM-Py-FLOの、重量平均分子量Mwは6,720、多分散度Mw/Mnは3.11であった。
【0127】
(合成例5)
窒素下、300mLの四口フラスコに1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(10.00g、0.0289mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(6.646g、0.0289mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(0.5548g、0.0058mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(7.74g、関東化学(株)製)、PGMEA(18.06g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷後、DPM(2.66g、0.0144mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(0.2774g、0.0029mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(1.82g、関東化学(株)製)、PGMEA(4.24g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。23時間後に該重合反応を停止させた。その後、室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(BPM-Py-DPM)12.16gを得た。BPM-Py-DPMの、重量平均分子量Mwは15,080、多分散度Mw/Mn12.11はであった。
【0128】
(合成例6)
窒素下、300mLの四口フラスコに2-フェニルインドール(8.00g、0.0414mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(9.533g、0.0414mol、アルドリッチ社製)、TMP(4.31g、0.0166mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(1.6711g、0.0166mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(16.46g、関東化学(株)製)、PGMEA(38.41g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(Pid-Py-TPM)16.38gを得た。Pid-Py-TPMの、重量平均分子量Mwは780、多分散度Mw/Mnは2.00であった。
【0129】
(合成例7)
窒素下、300mLの四口フラスコに1-フェニル-2-ナフチルアミン(8.00g、0.0365mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(8.406g、0.0365mol、アルドリッチ社製)、TMP(3.80g、0.0146mol、東京化成工業(株)製)、メタンスルホン酸(1.4727g、0.0153mol、東京化成工業(株)製)を加え、更に1,4-ジオキサン(32.51g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(PNA-Py-TPM)16.36gを得た。PNA-Py-TPMの、重量平均分子量Mwは1,495、多分散度Mw/Mnは2.63であった。
【0130】
(比較合成例1)
窒素下、300mLの四口フラスコに1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(10.00g、0.0289mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(6.646g、0.0289mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(0.5548g、0.0058mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(7.74g、関東化学(株)製)、PGMEA(18.06g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。24時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(BPM-Py)10.82gを得た。BPM-Pyの、重量平均分子量Mwは6,300、多分散度Mw/Mnは1.90であった。
【0131】
(比較合成例2)
窒素下、300mLの四口フラスコに2-フェニルインドール(Pid)(8.00g、0.0414mol、東京化成工業(株)製)、1-ピレンカルボキシアルデヒド(9.533g、0.0414mol、アルドリッチ社製)、メタンスルホン酸(1.1937g、0.0124mol、東京化成工業(株)製)を加え、更にPGME(13.11g、関東化学(株)製)、PGMEA(30.59g、関東化学(株)製)を仕込んだ。撹拌しながら120℃まで昇温させて溶解させ、重合反応を開始させた。20時間後に該重合反応を停止させた。室温まで放冷し、メタノール(500g、関東化学(株)製)中へ再沈殿させた。得られた沈殿物を濾過し、減圧乾燥機で50℃及び10時間乾燥することで、ポリマー(Pid-Py)16.38gを得た。Pid-Pyの、重量平均分子量Mwは880、多分散度Mw/Mnは1.69であった。
【0132】
<レジスト下層膜形成組成物の調製>
(実施例1)
合成例1で得たポリマー20gに、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.06gを混合し、PGME24g、PGMEA66gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0133】
(実施例2)
合成例2で得たポリマー20gに、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.06gを混合し、PGME24g、PGMEA66gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0134】
(実施例3)
合成例3で得たポリマー20gに、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.06gを混合し、PGME24g、PGMEA66gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0135】
(実施例4)
合成例4で得たポリマー20gに、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.06gを混合し、PGME24g、PGMEA66gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0136】
(実施例5)
合成例5で得たポリマー20gに、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.06gを混合し、PGME24g、PGMEA66gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0137】
(実施例6)
合成例6で得たポリマー1.227gに、架橋剤として4,4’-(1-メチルエチリジン)ビス[2,6-ビス[(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)メチル]-フェノール0.184g、酸性化合物としてピリジニウム-p-フェノールスルホネート0.018g、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.0012gを混合し、PGME3.53g、PGMEA3.53g、シクロヘキサノン10.58gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0138】
(実施例7)
合成例7で得たポリマー1.227gに、架橋剤として4,4’-(1-メチルエチリジン)ビス[2,6-ビス[(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)メチル]-フェノール0.184g、酸性化合物としてピリジニウム-p-フェノールスルホネート0.018g、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.0012gを混合し、PGME3.53g、PGMEA3.53g、シクロヘキサノン10.58gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0139】
(比較例1)
比較合成例1で得たポリマー20gに、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.06gを混合し、PGME24g、PGMEA66gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0140】
(比較例2)
比較合成例2で得たポリマー1.227gに、酸発生剤としてTMOM-BP(本州化学工業(株)製、3,3’,5,5’-テトラメトキシメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル)0.184g、酸性化合物としてピリジニウム-p-フェノールスルホネート0.018g、界面活性剤としてメガファックR-30N(DIC(株)製)0.0012gを混合し、PGME3.53g、PGMEA3.53g、シクロヘキサノン10.58gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0141】
(実施例1A~7A及び比較例1A~2A)
実施例1~実施例7及び比較例1~比較例2で調製したレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で400℃及び90秒間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.25μm)を形成した。
【0142】
<フォトレジスト溶剤への溶出試験>
実施例1A~7A及び比較例1A~2Aで形成したレジスト下層膜を、フォトレジスト溶液に使用可能な溶剤、具体的には、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンの各々に浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。なお、確認は、溶出試験前後の膜厚測定により行った。
【0143】
<ドライエッチング速度の測定>
ドライエッチング速度の測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは以下の通り。
エッチャー:ES401(日本サイエンティフィック(株)製)
エッチングガス:CF4
【0144】
エッチングガスとしてハロゲン系エッチングガス(具体的にはCF4ガス)を用いて、実施例1A~7A及び比較例1A~2Aで形成したレジスト下層膜の、ドライエッチング速度を測定した。レジスト下層膜の、単位時間(1分間)あたりに減少した膜厚を、ドライエッチング速度として算出した結果を表1に示す。ドライエッチング速度が小さいほど、CF4ガスに対する耐エッチング性が高いことを示す。
【0145】
【0146】
なお、実施例1A~7Aは、CF4ガスに対する耐エッチング性が高い分、ハロゲン系エッチングガスとエッチング選択性が相反する、酸素系ガスや水素系ガスに対しては、比較例1A~2Aと比べて、ドライエッチング速度が大きくなることが期待される。
【0147】
<薬液混合試験>
実施例1~7及び比較例1~2で調製したレジスト下層膜形成組成物と、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルと、を重量比(9:1)で混合し、混合後の析出物の有無を確認した。結果を表2に示す。析出物の有無の確認は、目視により行い、透明な溶液であるときは析出なし、不溶物が発生した溶液であるときは析出あり、と評価した。
【0148】