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特許7545185高度に選択的な酸化ケイ素/窒化ケイ素エッチングのためのエッチング成分及び不動態化ガス成分の独立した制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】高度に選択的な酸化ケイ素/窒化ケイ素エッチングのためのエッチング成分及び不動態化ガス成分の独立した制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
H01L21/302 301
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021559229
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020024446
(87)【国際公開番号】W WO2020205335
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】62/830,223
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ユ-ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミンメイ
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-082688(JP,A)
【文献】特開2017-208482(JP,A)
【文献】特開2015-154047(JP,A)
【文献】特開平07-106308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理方法であって、
酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含有する基板を提供する工程であって、前記酸化ケイ素膜および前記窒化ケイ素膜は、いずれも被覆されていない、工程と、
a1)炭素、硫黄又は炭素及び硫黄の両方を含有するプラズマ励起不動態化ガスに前記基板を曝露する工程であって、前記不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない、工程、及び
b1)フッ素含有ガスを含有するプラズマ励起エッチングガスに前記基板を曝露する工程
により、前記窒化ケイ素膜に対して前記酸化ケイ素膜を選択的にエッチングする工程と、
を有し、
前記工程a1)は、前記窒化ケイ素膜上に、前記酸化ケイ素膜上よりも厚い不動態化層を形成する、プラズマ処理方法。
【請求項2】
前記曝露する工程a1)及びb1)は、交互に且つ連続的に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記曝露する工程a1)及びb1)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜をさらに選択的にエッチングする工程を有する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマ励起エッチングガスは、F、XeF、ClF、HF、NF又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマ励起エッチングガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスを含有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プラズマ励起不動態化ガスは、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl、SCl又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化ケイ素膜は、SiOを含み、及び前記窒化ケイ素膜は、Siを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
a2)フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、ハイドロクロロカーボンガス、ハイドロクロロフルオロカーボンガス、ハイドロカーボンガス又はこれらの組み合わせを含有する、プラズマ励起された追加的な不動態化ガスに、前記基板を曝露する工程
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマ励起された追加的な不動態化ガスは、CFCl、CH、CH、CHF、CHF、C、C、C、CHCl、CHCl、CHClF、CHClF又はこれらの組み合わせを含有する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記曝露する工程a1)、a2)及びb1)は、a1)、続いてa2)、続いてb1)の順に、交互に連続的に実施される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、
前記曝露する工程a1)、a2)及びb1)を少なくとも1回交互に連続的に繰り返して、前記酸化ケイ素膜をさらに選択的にエッチングする工程
を有する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記曝露する工程a1)及びa2)は、時間において少なくとも部分的に重複する、請求項に記載の方法。
【請求項13】
プラズマ処理方法であって、
酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含有する基板を提供する工程と、
a1)プラズマ励起不動態化ガスに前記基板を曝露する工程であって、前記プラズマ励起不動態化ガスは、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl、SCl又はこれらの組み合わせを含み、前記不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない、工程、及び
b1)F、XeF、ClF、HF、NF又はこれらの組み合わせを含有するプラズマ励起エッチングガスに、前記基板を曝露する工程
により、前記窒化ケイ素膜に対して前記酸化ケイ素膜を選択的にエッチングする工程と、
を有する、プラズマ処理方法。
【請求項14】
前記プラズマ励起エッチングガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスを含有しない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プラズマ処理方法であって、
酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含有する基板を提供する工程と、
a1)プラズマ励起不動態化ガスに前記基板を曝露する工程であって、前記プラズマ励起不動態化ガスは、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl若しくはSCl又はこれらの組み合わせを含み、前記不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない、工程、
a2)フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、ハイドロクロロカーボンガス、ハイドロクロロフルオロカーボンガス、ハイドロカーボンガス又はこれらの組み合わせを含有する、プラズマ励起された追加的な不動態化ガスに、前記基板を曝露する工程、及び
b1)F、XeF、ClF、HF、NF又はこれらの組み合わせを含有するプラズマ励起エッチングガスに、前記基板を曝露する工程
により、前記窒化ケイ素膜に対して前記酸化ケイ素膜を選択的にエッチングする工程と、
を有する、プラズマ処理方法。
【請求項16】
前記プラズマ励起された追加的な不動態化ガスは、CFCl、CH、CH、CHF、CHF、C、C、C、CHCl、CHCl、CHClF、CHClF又はこれらの組み合わせを含有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマ励起エッチングガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスを含有しない、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記暴露する工程a1)、a2)、およびb1)は、a1)、続いてa2)、続いてb1)の順に、交互に連続的に実施される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/830,223号明細書に関連し、且つそれに対する優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、半導体製造及び半導体デバイスの分野に関連し、より具体的には、半導体製造における窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の選択的プラズマエッチングの方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ある材料を他の材料に対して選択的にドライエッチングで除去する必要があるため、次世代の半導体技術開発は、大きい課題を呈する。窒化ケイ素に対する選択的酸化ケイ素エッチングは、多くの用途を有し、フルオロカーボン(FC)又はハイドロフルオロカーボン(HFC)を含有するプラズマを使用する場合、高いエッチング選択性のために優先的不動態化(主に炭素系)が広く検討されている。しかしながら、多くの従来のエッチング方法には、プラズマ励起処理ガス中のエッチング成分(例えば、フッ素又は水素)対不動態化成分(例えば、炭素)の別個の制御の欠如を含む制限がある。例えば、C/Cガスを含有するエッチングガスは、不動態化に寄与し、H/CH/CHF/CHガスを含有する不動態化ガスもエッチングに寄与する。更に、多くのエッチング方法は、1つのみのFC又はHFCガスを使用するため、高度な半導体デバイスにおいて窒化ケイに対して酸化ケイ素を選択的にエッチングするには不十分な柔軟性を提供する。エッチング成分と不動態化成分とを完全に分離する試みは、完全に独立した制御を提供していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
半導体製造における窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の選択的プラズマエッチングの方法がいくつかの実施形態で開示される。
【0005】
一実施形態によれば、プラズマ処理方法は、酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含有する基板を提供する工程とa1)基板を、炭素、硫黄又は炭素及び硫黄の両方を含有するプラズマ励起不動態化ガスに曝露する工程であって、不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない、工程、及びb1)基板を、フッ素含有ガスを含有するプラズマ励起エッチングガスに曝露する工程により、窒化ケイ素膜に対して酸化ケイ素膜を選択的にエッチングする工程とを含む。
【0006】
一実施形態によれば、プラズマ処理方法は、酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含有する基板を提供する工程と、a1)基板をプラズマ励起不動態化ガスに曝露する工程であって、プラズマ励起不動態化ガスは、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl、SCl又はこれらの組み合わせを含み、不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない、工程、及びb1)基板を、F、XeF、ClF、HF若しくはNF又はこれらの組み合わせを含有するプラズマ励起エッチングガスに曝露する工程により、窒化ケイ素膜に対して酸化ケイ素膜を選択的にエッチングする工程とを含む。
【0007】
一実施形態によれば、プラズマ処理方法は、酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含有する基板を提供する工程と、a1)基板をプラズマ励起不動態化ガスに曝露する工程であって、プラズマ励起不動態化ガスは、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl若しくはSCl又はこれらの組み合わせを含み、不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない、工程、a2)基板を、フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、ハイドロクロロカーボンガス、ハイドロクロロフルオロカーボンガス、ハイドロカーボンガス又はこれらの組み合わせを含有する、プラズマ励起された追加的な不動態化ガスに曝露する工程、及びb1)基板を、F、XeF、ClF、HF、NF又はこれらの組み合わせを含有する、プラズマ励起エッチングガスに曝露する工程により、窒化ケイ素膜に対して酸化ケイ素膜を選択的にエッチングする工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングのプロセスの流れ図である。
図2A】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図2B】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図2C】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図2D】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図2E】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図2F】本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図3】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングのプロセスの流れ図である。
図4A】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4B】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4C】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4D】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4E】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4F】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4G】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
図4H】本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の選択的プラズマエッチングの方法が記載される。この方法は、高度に選択的な酸化ケイ素/窒化ケイ素エッチングのためのエッチング成分及び不動態化ガス成分の独立した制御を利用する。
【0010】
本発明の実施形態に記載される、窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の本発明の選択的プラズマエッチングは、フルオロカーボン(FC)ガス又はハイドロフルオロカーボン(HFC)ガスを含有するプラズマによる従来の酸化ケイ素又は窒化ケイ素エッチングプロセスと基本的に異なる。本発明のプロセスでは、不動態化ガスは、エッチングに寄与するフッ素又は水素種を含有しないが、不動態化ガスは、酸化ケイ素対窒化ケイ素で十分な揮発性差を示す不動態化成分(炭素、硫黄又は炭素及び硫黄の両方)を含む。酸化ケイ素表面の不動態化成分の揮発性がより高いのは、窒化ケイ素表面の炭素副生成物の「開放殻」の性質(不対電子)と比較して、酸化ケイ素表面の炭素副生成物の「閉鎖殻」の性質(不対電子がない)によるものと考えられる。更に、硫黄含有エッチング副生成物は、酸化ケイ素表面では揮発性であるが、窒化ケイ素表面ではポリマーとして揮発性ではないと考えられる。
【0011】
エッチング成分は、フッ素含有ガスを使用して提供される。一実施形態によれば、フッ素含有ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスを含有しない。不動態化成分とエッチング成分とのこの完全な分離は、処理ウィンドウ及び酸化ケイ素と窒化ケイ素との間のエッチング選択性を大幅に向上させる。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングのプロセスの流れ図であり、図2A~2Fは、本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
【0013】
ここで、図1及び図2Aを参照すると、プラズマ処理方法10は、12において、酸化ケイ素膜200(例えば、SiO)及び窒化ケイ素膜220(例えば、Si)を含有する基板を提供する工程を含む。図2Aに示される例では、酸化ケイ素膜200及び窒化ケイ素膜220は、同じ水平面にあるが、本発明の実施形態は、同じ水平面にな、垂直にオフセットされている膜にも適用され得る。Siは、窒化ケイ素の中で最も熱力学的に安定であり、従って窒化ケイ素の中で最も商業的に重要である。しかしながら、本発明の実施形態は、主成分としてSi及びNを含有する他の窒化ケイ素に適用されてもよく、窒化ケイ素は、広い範囲のSi及びNの組成を有することができる。同様に、SiOは、酸化ケイ素の中で最も熱力学的に安定であり、従って酸化ケイ素の中で最も商業的に重要である。しかしながら、本発明の実施形態は、主成分としてSi及びOを含有する他の酸化ケイ素に適用されてもよく、酸化ケイ素は、広い範囲のSi及びOの組成を有することができる。
【0014】
この方法は、さらに、14において、炭素、硫黄又は炭素及び硫黄の両方を含有するプラズマ励起不動態化ガス201に、基板2を曝露する工程を含、プラズマ励起不動態化ガス201は、フッ素又は水素を含有しない。これは、図2Bに概略的に示されている。一例では、プラズマ励起不動態化ガス201ガスは、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl若しくはSCl又はこれらの組み合わせを含むことができる。プラズマ励起不動態化ガス201に対する曝露により図2Cに示されるように、基板2上に不動態化層222形成される。不動態化層222は、窒化ケイ素膜220上では、酸化ケイ素膜200上よりも厚くなる。プラズマ励起不動態化ガス201の副生成物の揮発性は、窒化ケイ素膜220上よりも酸化ケイ素膜200上の方でより高いためである。
【0015】
この方法は、16において、フッ素含有ガスを含有するプラズマ励起エッチングガス203に基板を曝露する工程を更に含む。これは、図2Dに概略的に示されている。一例では、プラズマ励起エッチングガス203は、F、XeF、ClF、HF、NF又はこれらの組み合わせを含む。プラズマ励起エッチングガスは、任意選択で、Ar、He又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。一実施形態によれば、フッ素含有ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスを含有しない。プラズマ励起エッチングガス203への曝露は、酸化ケイ素膜200上よりも窒化ケイ素膜220上で不動態化層222がより厚いため、窒化ケイ素膜220に対して酸化ケイ素膜200を選択的にエッチングする。選択的エッチングが図2Eに概略的に示されており、ここで、不動態化層222が酸化ケイ素膜200から除去され、酸化ケイ素膜200がエッチングされる一方、窒化ケイ素膜220上の不動態化層222が薄くされるが、窒化ケイ素膜220をエッチングから保護する。
【0016】
一実施形態では、曝露する工程14及び16は、交互に且つ連続的に実施されてもよい。更に、プロセスの矢印18によって示されるように、曝露する工程14及び16は、少なくとも1回繰り返され、酸化ケイ素膜200がさらに選択的にエッチングされてもよい。一実施形態では、曝露する工程14及び16は、時間において少なくとも部分的に重複してもよい
【0017】
この方法は、エッチングプロセスに続くアッシングプロセスを使用して、基板2から不動態化層222を除去する工程を更に含むことができる。これは、図2Fに概略的に示されている。
【0018】
図3は、本発明の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングのプロセスの流れ図であり、図4A~4Hは、本発明の別の実施形態による、窒化ケイ素膜に対する酸化ケイ素膜の選択的プラズマエッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
【0019】
ここで、図3及び図4Aを参照すると、プラズマ処理方法30は、32において、酸化ケイ素膜400及び窒化ケイ素膜420を含有する基板4を提供する工程を含む。図4Aに示される例では、酸化ケイ素膜400及びSi膜420は、同じ水平面にあるが、本発明の実施形態は、同じ水平面にないが、垂直方向にオフセットされている膜にも適用され得る。
【0020】
この方法は、34において、基板4を、炭素、硫黄又は炭素及び硫黄の両方を含有するプラズマ励起不動態化ガス401に曝露する工程を更に含み、ここで、プラズマ励起不動態化ガスは、フッ素又は水素を含有しない。これは、図4Bに概略的に示されている。一例では、プラズマ励起不動態化ガス401は、CO、COS、CS、CCl、CCl、CClBr、SCl、SCl又はこれらの組み合わせを含むことができる。プラズマ励起不動態化ガス401への曝露は、図4Cに示されるように、基板4上に不動態化層422を形成する。不動態化層422は、窒化ケイ素膜420上よりも酸化ケイ素膜400上のプラズマ励起不動態化ガス401の副生成物の揮発性が高いため、酸化ケイ素膜400上よりも窒化ケイ素膜420上でより厚い。
【0021】
この方法は、36において、基板4を、フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、ハイドロクロロカーボンガス、ハイドロクロロフルオロカーボンガス、ハイドロカーボンガス又はこれらの組み合わせを含有する、プラズマ励起された追加的な不動態化ガス423に曝露する工程を更に含む。一例では、プラズマ励起された追加的な不動態化ガスは、CFCl、CH、CH、CHF、CHF、C、C、C、CHCl、CHCl、CHCl、CHClF、CHClF又はこれらの組み合わせを含有することができる。プラズマ励起された追加的な不動態化ガス423への曝露は、図4Eに示されるように、基板4上に強化された不動態化層424を形成する。プラズマ励起された追加的な不動態化ガス423への曝露は、不動態化層422が、プラズマ曝露中、下にある窒化ケイ素膜420を保護するため、下にある窒化ケイ素膜420に損傷を与えることなく不動態化層422を改質及び強化するために使用される。一例では、プラズマ励起された追加的な不動態化ガス423への曝露は、プラズマにおけるフッ素又は水素イオン及び/又はラジカルによる窒化ケイ素膜420の損傷を回避するために、低い又はゼロの基板バイアスを使用して実行され得る。
【0022】
この方法は、さらに、38において、フッ素含有ガスを含有するプラズマ励起エッチングガス403に、基板4を曝露する工程を含む。これは、図4Fに概略的に示されている。一例では、プラズマ励起エッチングガス403は、F、XeF、ClF、HF、NF又はこれらの組み合わせを含む。プラズマ励起エッチングガスは、任意で、さらに、Ar、He又はこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、フッ素含有ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスを含有しない。プラズマ励起エッチングガス403に対する曝露により図4Gに示されるように、窒化ケイ素膜420に対して酸化ケイ素膜400選択的にエッチングされる。
【0023】
プラズマ励起エッチングガス403への曝露は、酸化ケイ素膜400上よりも窒化ケイ素膜420上でのより厚い強化された不動態化層424のため、窒化ケイ素膜420に対して酸化ケイ素膜400を選択的にエッチングする。この選択的エッチングは、図4Gに概略的に示されており、ここで、強化された不動態化層424が酸化ケイ素膜400から除去され、酸化ケイ素膜400がエッチングされる一方、窒化ケイ素膜420上の強化された不動態化層424が薄くされるが、窒化ケイ素膜420をエッチングから保護する。
【0024】
一実施形態によれば、曝露工程34~38は、交互に且つ連続的に実行され得る。一例では、曝露工程34~38は、34、続いて36、且つ続いて38の順で交互に且つ連続的に実行され得る。更に、プロセスの矢印40によって示されるように、曝露工程34~38は、酸化ケイ素膜400を更に選択的にエッチングするために少なくとも1回繰り返され得る。一実施形態によれば、曝露工程34~38の1つ以上は、時間において少なくとも部分的に重複し得る。
【0025】
この方法は、エッチングプロセスに続くアッシングプロセスを使用して、強化された不動態化層424を基板4から除去する工程を更に含むことができる。これは、図4Hに概略的に示されている。
【0026】
窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜の選択的プラズマエッチングの方法は、誘導結合プラズマ(ICP)システム、容量結合プラズマ(CCP)システム、マイクロ波プラズマシステム、基板の上流にプラズマ励起種を生成するリモートプラズマシステム、電子サイクロトロン共鳴(ECR)システム及び他のシステムなどの従来の商用プラズマ処理システムで実行され得る。
【0027】
選択的酸化ケイ素/窒化ケイ素エッチングプロセスは、酸化ケイ素と窒化ケイ素との間のエッチング選択性を最適化する基板温度、ガス流量、ガス流量比及びガス圧力で実行され得る。例としては、約-200℃~約200℃、約-100℃~約25℃、約0℃~約100℃、約0℃~約200℃、約-30℃~約25℃又は約0℃~約25℃の基板温度が挙げられる。プラズマエッチングチャンバー内のガス圧力は、約5ミリトール~約1000ミリトール、約10ミリトール~500ミリトール又は約20ミリトール~約100ミリトールであり得る。ガス流量の例は、0.1sccm~500sccmであり、任意のガスの流量比は、0%~100%である。
【0028】
半導体製造における窒化ケイに対する酸化ケイ素の選択的プラズマエッチングの方法の複数の実施形態が記載されてきた。本発明の実施形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されている。この説明は、網羅的であること又は開示されているまさにその形態に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲は、説明目的でのみ使用され、限定するものとして解釈されるべきではない用語を含む。関連する技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であることを理解し得る。当業者は、図に示されている様々な構成要素の様々な均等な組み合わせ及び置換形態を認識するであろう。従って、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることを意図している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H