(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】給気メンテナンスシステム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20240828BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20240828BHJP
F24F 7/013 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F24F7/10 Z
F24F7/003
F24F7/013 101S
F24F7/10 101D
(21)【出願番号】P 2020054772
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北野 壮輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑介
(72)【発明者】
【氏名】中野 謙司
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-257018(JP,A)
【文献】特開平10-266455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 7/003
F24F 7/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外に設置された給気ファンと、
当該給気ファンの出口部に連続し、室内において隔離可能に設けられ
、作業者が入室することが可能なメンテナンスルームと、
当該メンテナンスルームにおいて前記給気ファンの出口部との境界に設けられる第一フィルター部と、
室内側との境界に設けられる第二フィルター部と、
を備えた給気メンテナンスシステム。
【請求項2】
室外に設置された給気ファンと、
当該給気ファンの出口部に連続するダクト部と、
当該ダクト部の出口部に連続し、室内において隔離可能に設けられ
、作業者が入室することが可能なメンテナンスルームと、
当該メンテナンスルームにおいて前記ダクト部の出口部との境界に設けられる第一フィルター部と、
室内側との境界に設けられる第二フィルター部と、
を備えた給気メンテナンスシステム。
【請求項3】
前記室外に設置された給気ファンの給気口に、給気フィルターを装着した請求項1又は2に記載の給気メンテナンスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に空気を流入させるため給気ファンより流入する給気に対するフィルターのメンテナンスを容易に行うための給気メンテナンスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来までは外部からの給気システムは、模式図として
図1に示すように室外に給気ファンを載置し、当該給気ファンの給気口に虫や鳥の侵入を防止のため第一フィルター部として防虫ネットを設け、当該ネットを通過した空気をファンが吸引し、ダクトを通じて室内との境界に設けられた給気フィルターを通過させて空気を給気するシステムが一般的であった(
図1)。
【0003】
しかし、上記の構成の場合、具体的な構成として例えば、
図2に示すように給気ファンは屋外の屋上等に設置させており、当該ファンの給気口の防虫ネットを交換するためには、作業者が屋上に上がる必要があり、屋上に上がって作業するという煩雑さを要求していた。
さらに、室内との境界に設けられた給気フィルターの交換に際しては、通常当該給気フィルターが外壁の上方部に設けられている場合が多く、交換等において脚立やはしごを利用して作業する必要があった。
【0004】
屋内での作業や室内での高所での作業によって作業者の負担が多少煩雑になる場合があった。このような作業者の負担を軽減することを目的とする先行技術は、以下に開示されている。一方、当該先行技術以外にも他の方法も考えられるところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは給気ファンを利用した給気に際して、作業者の負担を回避するため簡単にフィルターの交換等を実施できる新たな方法を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らの鋭意研究の結果、室外に給気ファンを設置し、当該給気ファンの出口部に連続して、室内において通気性において隔離を可能としつつメンテナンスが可能な空間としてのメンテナンスルームを設け、当該メンテナンスルームにおいて給気ファンの出口部の境界に第一フィルターを設け、さらに室内側との境界に第二フィルター部を設ける方法が有効であることを見出した。
【0008】
すなわち、本願第一の発明は、
“室外に設置された給気ファンと、
当該給気ファンの出口部に連続し、室内において隔離可能に設けられるメンテナンスルームと、
当該メンテナンスルームにおいて前記給気ファンの出口部との境界に設けられる第一フィルター部と、
室内側との境界に設けられる第二フィルター部と、
を備えた給気メンテナンスシステム。 “、である。
【0009】
次に、前記給気ファンと、メンテナンスルームの間にダクト部を設ける態様も可能である。
すなわち、本願第二の発明は、
“室外に設置された給気ファンと、
当該給気ファンの出口部に連続するダクト部と、
当該ダクト部の出口部に連続し、室内において隔離可能に設けられるメンテナンスルームと、
当該メンテナンスルームにおいて前記ダクト部の出口部との境界に設けられる第一フィルター部と、
室内側との境界に設けられる第二フィルター部と、
を備えた給気メンテナンスシステム。“、である。
次に、前記室外に設置された給気ファンの入口部に給気フィルター部を装着することも可能である。
【0010】
すなわち、本願第三の発明は、
“前記室外に設置された給気ファンの給気口に、給気フィルター部を装着した請求項1又は2に記載の給気メンテナンスシステム。”、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の給気メンテナンスシステムを利用することで工場等の建築物の室内に給気する際におけるフィルター部のメンテナンスを簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来までの給気ファン及びフィルター部の状態を示した模式図である。
【
図2】従来までの給気ファン及びフィルター部の具体的な構成の例を示した模式図である。
【
図5】本発明の給気ファン及びフィルター部の具体的な第一の構成の例を示した模式図である。
【
図6】本発明の給気ファン及びフィルター部の具体的な第二の構成の例を示した模式図である。
【符号の説明】
【0013】
1 給気ファン
3 メンテナンスルーム
9 第一フィルター部
11 第二フィルター部
13 階段
15 開閉ドア
17 ダクト
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の内容について図面を参考としながら、具体的に説明する。
図3及び
図4は本発明のメンテナンスルームの概念図を示したものである。
次に、
図5及び
図6は
図4の概念図の具体的な実施形態について示したものであり、屋上に給気ファンを設置し、ダクトを経由した場合の本発明の具体的な構成の例を示したものである。
【0015】
本願請求項1に記載の発明は、
“室外に設置された給気ファンと、当該給気ファンの出口部に連続し、室内において隔離可能に設けられるメンテナンスルームと、当該メンテナンスルームにおいて前記給気ファンの出口部との境界に設けられる第一フィルター部と、室内側との境界に設けられる第二フィルター部と、を備えた給気メンテナンスシステム。“、に関するものである。
以下、発明の内容を説明する。
【0016】
─室外に設置された給気ファン─
本発明においては外気を取り入れるために室外において給気ファン1が室外に設置される。ここで、本発明にいう室外とは、建物等の建築物の場合、当該壁の外や屋上がある建物(工場等)の場合には当該建物の屋上も当然に含むものとする。
【0017】
─メンテナンスルーム─
本発明にいうメンテナンスルーム3とは、当該給気ファン1の出口部に連続し、室内において隔離可能に設けられる空間を形成する。また、本発明のメンテナンスルーム3とは、給気ファン1により流入した気流(空気)を室内へ取り込む際の通過経路に位置する空間をいう。
【0018】
当該メンテナンスルーム3の中には、給気ファン1から流入される空気に対する第一フィルター部9と当該第一フィルター部9を通過して流入した気流(空気)に対して室内側に供給する際に不純物を除くための第二フィルター部11が装着されている(
図3)。
すなわち、本発明においては、当該メンテナンスルーム3に対して、給気ファン1より吸引され第一フィルター部9を通過した空気がメンテナンスルーム3に流入し、当該流入した空気が当該メンテナンスルーム3にさらに設けられた第二フィルター部11を通過してメンテナンスルーム3から作業場等の室内に空気が流入される。
【0019】
本発明においては、当該メンテナンスルーム3に第一フィルター部9及び第二フィルター部11の両方が装着されているため、フィルターの交換が必要な場合、作業者は当該メンテナンスルーム内において第一フィルター部9及び第二フィルター部11を取り替えたり、洗浄すればよく、従来までのように屋外に在するフィルターの交換をする必要がなくなり、作業者の負担が軽減する。
【0020】
また、床位置に対してフィルターの位置が高い場合には予め数段の階段13の上に当該メンテナンスルーム3を設置してもよく、作業者が簡単にフィルターの脱着が可能である(
図5)。当該メンテナンスルーム3は上記の目的から、建物の室内に在するものであるが、当該室内において隔離された環境とすることが可能な部屋となっている。
すなわち、メンテナンスルーム3においては室内において隔離することができ、これによってメンテナンスルーム3を密閉することで室内側との通気においては第二フィルター部11を通じた通気以外は不可とすることが可能となっている。
このようにすることでメンテナンスルーム3には給気ファン1によって第一フィルター部9を介して流入した空気に第二フィルター部11を通過させることができ、室内に流入する空気を強制的にフィルターろ過することが可能となる。
【0021】
メンテナンスルーム3のサイズは、作業者が入室して内部でフィルター部の取り換え等の作業を実施できるのであれば、特に限定されるものでないが、床面積として概ね、
5m2~15m2程度(通路幅1.5mとして)であればよい。さらに、メンテナンスルーム3の体積として好ましくは、15m3~40m3程度(床面積:平米×高さ2.5mとして)である。
【0022】
次に、メンテナンスルーム3に入るために開閉ドア15を設けておくことが好ましい。また、メンテナンスルームではその密閉性を高める観点から開閉ドア15の周縁部に対してパッキン等を装着することによって、通気性を少なくして密閉性を高めることができる。
さらに、当該メンテナンスルーム3は
図5に示したように建物内部の壁側に在する場合を示しているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、
図6に示すように、室内の中間位置に存在してもよい。
【0023】
─第一フィルター部─
本発明にいう第一フィルター部9とは、給気ファン1により吸収した空気に含まれる不純物を除くためのフィルターであるが、特には給気ファン1により吸収した空気に含まれる比較的サイズの大きなごみ等を排除するためのフィルターとして利用することが好ましい。また、ごみのみではなく、虫等の侵入を防ぐためのフィルターとしても勿論利用可能である。
【0024】
─第二フィルター部─
第二フィルター部11については、第一フィルター部9を通過した空気についてさらに、不純物を除くためのフィルター部11である。第二フィルター部11については、室内の目的に応じて流入する空気の清浄度を変えるため種々のタイプを選択することができる。
具体的には、外気に含まれている粉塵、花粉等の防塵フィルターや、所定大きさ以上の粒子をカットできる高性能フィルター、窒素酸化物をカットするフィルター、アンモニア等の悪臭を除去する脱臭フィルター等が可能である。
【0025】
─ダクト部─
本発明においては、給気ファン1とメンテナンスルーム3との間にダクト17を設けてもよい。ダクト17を設けることで給気ファン1とメンテナンスルーム3との距離が離れている場合であっても好適に給気を行うことができる(
図5及び
図6)。
また、この場合、給気ファン1の出口部からダクト部17に接続し、当該ダクト部17の出口部に連続してメンテナンスルーム3が設置される。
【0026】
─給気フィルター部─
本発明においては、給気ファン1の空気の取入れ口にさらに、給気フィルターを設けてもよい。給気ファン1に流入する空気に含まれる比較的大サイズのゴミ等の不純物を取り除くことによって、第一フィルター部9(及び第二フィルター部11)に対して給気される空気のろ過負荷を低減することができる。